JP5339248B2 - 金属材の溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は金属材の溶接方法に係り、詳しくは、重ね合わせたワークをシーム溶接する方法に関する。
一般的な鋼板の溶接においては、図12(A)〜(D)に4通りのシーム溶接の方法が示されている。図において、104はローラ電極で一対有し、106は点線で示す継手部(又は溶接部と呼ぶ)であり、109はワークを示す。図12(A)は大径管に小径管を差し込み、嵌合部を周方向にシーム溶接するところを示している。図12(B)は鋼板を円筒形状に曲成し円周方向の端面同士を重ね合わせてこの重ね合わせ面をシーム溶接するところを示している。図12(C)は鋼板の長辺の端縁同士を重ねシーム溶接するところを示している。図12(D)は、鋼板の端辺の端縁同士を重ねシーム溶接するところを示している。このように、シーム溶接は、様々な形状の鋼板を溶接するために使用されている。
従来、ワーク109の重ね合わせ方に応じて、ラップシーム溶接方法やマッシュシーム溶接方法が使用されている(非特許文献1参照)。
図13(a)はラップシーム溶接方法を示す模式図である。ラップシーム溶接方法は、図13(a)に示すように、ワーク109の重ね部分を十分に広くし、ワーク109の重ね部分の中央だけを局所的に溶接する方法である。図13(b)はマッシュシーム溶接方法を示す模式図であり、図14は図13(b)のマッシュシーム溶接を示す拡大斜視図である。マッシュシーム溶接方法は、鋼板109の端部同士を重ね合わせて溶接する方法である。ラップシーム溶接とマッシュシーム溶接の違いは、ワーク109となる鋼板の重ね代で区別されている。つまり、溶接線の両端に未溶着部分を残すことが少ない溶接方法がマッシュシーム溶接方法である。ラップシーム溶接の場合、溶接部において、溶接がされない未溶着部分(未溶接部分とも呼ばれている。)が発生することが知られている(例えば、特許文献1、段落[0023]参照)。
図15は端縁同士を重ね合わせた鋼板を従来のマッシュシーム溶接方法により得られる溶接部の断面図である。図15に示すように、鋼板109同士をマッシュシーム溶接した溶接部110の断面では、溶接部110の中央に溶接箇所111とこの溶接箇所111の両側に未溶着部分112とが生じる。なお、溶接箇所111はナゲット又は溶融凝固部とも呼ばれている。マッシュシーム溶接方法は、ラップシーム溶接方法に比べて重ね代が少ないので未溶着部分112が少ない。
マッシュシーム溶接は高速溶接が可能であるが、ワーク109の板厚差や強度差が大きい場合には適さない。特許文献2には、板厚の異なる板状ワークをマッシュシーム溶接するために、一対のローラ電極において、上部電極と下部電極のワークに対する押圧力を変えて印加するマッシュシーム溶接装置が開示されている。
特開2002−160070号公報 特許第3350933号
社団法人溶接学会編、「溶接・接合便覧」、丸善株式会社、平成2年9月30日、pp.134−135
ラップシーム溶接やマッシュシーム溶接等のシーム溶接においては、溶接部で発生する未溶着部分の存在が欠点となっている。この未溶着部分に曲げモーメントが発生し、加えて重ね部分に応力が集中してき裂が進展する可能性があるので、シーム溶接は重要部品には適さず、用途が制限されている。
従って、従来のマッシュシーム溶接はワークの重ね部分に応力が集中するので溶接されたワークは疲労強度に弱いという課題がある。
また、近年、自動車鋼板は車体の軽量化及び衝突安全性向上の要請から高張力鋼板が使用されているが、高張力綱板をマッシュシーム溶接すると継手部(溶接部)の硬化が大きく溶接はできないという問題があった。つまり、高張力鋼板はカーボン量が多いため焼きが入り、溶接強度が得られない。このため、マッシュシーム溶接された溶接部で破断し、所謂母材破断となる所定の溶接強度は得られなかった。
本発明は、上記課題に鑑み案出されたもので、一般の鋼板製のワークの重ね部分のシーム溶接において未溶着部を無くすことができる金属材の溶接方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する溶接方法であって、一対のローラ電極により重ね合わせ部分を挟んで、一対の第1ローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して重ね合わせ部分の所定領域を加熱すると共に、一対のローラ電極間に第1の周波数とは異なる第2の周波数の電力を印加して所定領域の周縁領域を加熱することで、第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明の他の構成は、第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する溶接方法であって、一対の第1ローラ電極と、一対の第1ローラ電極から離れた位置で重ね合わせ部分を挟む一対の第2ローラ電極とにより重ね合わせ部分を挟んで、一対の第1ローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して重ね合わせ部分の所定領域を加熱し、一対の第2ローラ電極間に第1の周波数とは異なる第2の周波数の電力を印加して重ね合わせ部分を加熱することで、第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする。
上記構成において、一対の第2ローラ電極を、一対の第1ローラ電極の溶接進行方向の上流側へ離れた位置に設け、一対の第2ローラ電極間に第2の周波数を印加して重ね合わせ部分を予熱し、一対の第1ローラ電極間に第1の周波数に重畳して第1の周波数と異なる第2の周波数の電力を印加して本加熱してもよい。
一対の第2ローラ電極を、一対の第1ローラ電極の溶接進行方向の下流側へ離れた位置に設け、一対の第1ローラ電極間に第1の周波数の電力を印加して本加熱し、本加熱の後で、一対の第2ローラ電極間に第2の周波数を印加して重ね合わせ部分の加熱を行ってもよい。
一対の第2ローラ電極間に、第2の周波数に重畳して第1の周波数を印加してもよい。
上記目的を達成するため、本発明のさらに他の構成は、第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する溶接方法であって、一対の第1ローラ電極により重ね合わせ部分を挟んで、一対の第1ローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して上記重ね合わせ部分の所定領域を加熱すると共に、一対の第1ローラ電極により第1の周波数と異なる第2の周波数の周波数の電力によって上記所定領域の周縁領域を加熱し、一対の第1ローラ電極の中の一方のローラ電極と、該一方の第1ローラ電極から離れた位置で同一面上を転動する少なくとも1個の第2ローラ電極と、の間に第1の周波数とは異なる第2の周波数を印加して重ね合わせ部分の予熱又は後熱を行い、第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする。
上記各構成において、第2の周波数を第1の周波数よりも高くし、第2の周波数の電力によって所定領域の周縁領域を加熱してもよい。
本発明によれば、従来において一般の鋼板製のワークの重ね部分のシーム溶接においてナゲット外周に生じた未溶着部を無くすことができる、金属材の溶接方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 重ね合わせた2枚の鋼板へ低周波電源と高周波電源とから電力を同時に印加したとき鋼板に生じる電流分布を模式的に示す断面図である。 鋼板の加熱状態を示す図である。 一対の電極に流れる電流波形を模式的に示す図である。 マッシュシーム溶接したときの金属材の断面を模式的に示す図である。 他の実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 図6の実施形態に係る金属材の溶接方法における加熱波形を示す図である。 他の実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 他の実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 他の実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 他の実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置を模式的に示す図である。 従来のシーム溶接方法を示す図である。 (a)はラップシーム溶接方法を実施するための溶接装置の模式図であり、(b)はマッシュシーム溶接方法を示す模式図である。 図13(b)のマッシュシーム溶接方法を示す拡大斜視図である。 従来の重ね合わせた鋼板をマッシュシーム溶接方法で溶接した溶接部の断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
(第1の実施形態)
図1に示すように、この実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置1は、重ね合わせられた第1ワーク(鋼板)9と第2ワーク(鋼板)9を挟む一対のローラ電極4,4と、電源部10と、電源部10の出力制御を行う通電制御部11と、を含んで構成されている。電源部10は、ローラ電極4,4にインダクタンス5を介して接続される溶接用電源6と、ローラ電極4,4にコンデンサ7を介して接続される高周波電源8とを有してなる。通電制御部11は、溶接用電源6及び高周波電源8の各出力制御を行う。なお、金属材の溶接装置1は、図示していないが、一対のローラ電極4,4を回転駆動する駆動機構、一対のローラ電極4,4で第1ワーク9と第2ワーク9を押圧するローラシャフト加圧機構、第1ワーク9と第2ワーク9を両側から押圧するワーク押圧機構(図示せず)等をさらに備えている。一対のローラ電極4,4をワーク方向に押圧するローラシャフト加圧機構は、被溶接部材となる第1ワーク9と第2ワーク9を加圧するために使用される。
金属材の溶接装置1は、重ね合わせた第1ワーク9及び第2ワーク9をシーム溶接する装置であればよく、ラップシーム溶接やマッシュシーム溶接ができる装置である。
以下の説明では、金属材の溶接装置1をマッシュシーム溶接用の金属材の溶接装置として説明する。この金属材の溶接装置1は、ローラ電極4,4が転動してワーク9,9の重ね部分を溶接するものとして説明する。しかし、ローラ電極4,4を一定の位置で固定して、第1ワーク9及び第2ワーク9を溶接方向に移動して溶接する構成とすることもできる。
一対のローラ電極4,4は隙間を空けて対向しており、その隙間にワーク9となる金属材として2枚の鋼板が挿入される。ローラ電極4,4は例えば銅材で、円板形状に形成されている。
図1に示すように、金属材の溶接装置1の電気回路は、溶接用電源6と高周波電源8とからなる電源部10と、インダクタンス5と、コンデンサ7と、通電制御部11と、を含んで構成されている。溶接用電源6は低周波電源(第1電源部とも呼ぶ)であり、該溶接用電源6は例えば出力周波数が50Hz又は60Hzである商用電源12と、商用電源12の一端に接続される低周波電源制御部14と、商用電源12の他端と低周波電源制御部14の出力端に接続される溶接トランス16と、から構成されている。低周波電源制御部14は、サイリスタなどの電力制御用半導体素子及びゲート駆動回路等から構成されており、商用電源12からローラ電極4への通電制御などを行う。
高周波電源8(第2電源部とも呼ぶ)は、発振器18と、発振器18の出力端に接続される整合トランス20とから構成されている。整合トランス20は、一端が上部側ローラ電極4に接続され、他端がコンデンサ7を介して下部側ローラ電極4に接続されている。発振器18は、各種のトランジスタを用いたインバータなどから構成されており、ローラ電極4,4への高周波電源8の通電電力等を制御する。高周波電源8の通電電力は、通電制御部11によって制御される。
図1に示すように、溶接トランス16の2次巻き線から上部側ローラ電極及び下部側ローラ電極4,4までの配線経路には、インダクタンス5が挿入されている。インダクタンス5は上記配線経路で形成される浮遊インダクタンスを利用することができる。
コンデンサ7は、後述する直列共振回路の整合用コンデンサを兼ねることができる。コンデンサ7が整合用コンデンサを兼ねる場合には、この整合用コンデンサ7とインダクタンス5とによる直列共振回路を構成してもよい。コンデンサ7の容量値は、発振器18の発振周波数とインダクタンス5に依存する。
(低周波電源6と高周波電源8との分離)
低周波電源6と高周波電源8との関係について説明する。
低周波電源6と高周波電源8との間には、インダクタンス5とコンデンサ7とが接続されており、低周波数(f)におけるインダクタンス5(L)による誘導性リアクタンスX(X=2πfL、ここで、fは低周波電源6の周波数であり、Lはインダクタンス5の値である。)は低周波数では小さい。
一方、コンデンサ7(C)による容量性リアクタンスX(X=1/(2πfC))は低周波数(f)では大きな値となる。このため、低周波電源6の高周波電源8への電流漏洩は、低周波数(f)におけるコンデンサ7の大きい容量性リアクタンスXで阻止される。つまり、コンデンサ7は低周波電流阻止用コンデンサとなる。
高周波電源8から低周波電源6を見た場合のインピーダンスの内、高周波数(f)の容量性リアクタンスX(X=1/(2πfC)、ここで、fは高周波電源8の周波数である。)は高周波数では小さな値となる。
一方、高周波数では、インダクタンス5による誘導性リアクタンスX(X=2πfL、ここで、fは高周波電源8の周波数である。)は大きな値となる。このため、高周波電源8の低周波電源6への電流漏洩は、高周波数(f)におけるインダクタンス5の大きい誘導性リアクタンスXで阻止される。つまり、インダクタンス5は、高周波電流阻止用インダクタンスとなる。
金属材の溶接装置1において、コンデンサ7は低周波電源6から高周波電源8への電流阻止用コンデンサとして作用し、インダクタンス5は高周波電源8から低周波電源6への電流阻止用インダクタンス、つまりチョークコイルの作用をする。
溶接トランス16からローラ電極4,4への配線で生じる浮遊インダクタンス5が大きくない場合には、金属材の溶接装置1において高周波数で所定の誘導性リアクタンスXとなるように、高周波電流阻止用のインダクタンス13をさらに追加してもよい。この外付けインダクタンス13は、例えば、低周波電源6側の溶接トランス16の2次巻き線側に接続することができる。
本発明の金属材の溶接装置1の特徴は、低周波電源6と高周波電源8との分離をインダクタンス5及びコンデンサ7で行っている点と、ローラ電極4,4に低周波電源6と高周波電源8の周波数の異なる2周波数の電源を同時に印加できる点にある。
(ワーク(以下、ここでは鋼板という。)に生じる電流分布)
図2は、重ね合わせた2枚の鋼板9,9へ低周波電源6と高周波電源8とから電力を同時に印加したとき鋼板9,9に生じる電流分布を模式的に示す断面図であり、図3は鋼板9の加熱状態を示す図である。
図2において、実線は高周波電源8による高周波電流22を示し、点線は低周波電源6による低周波電流24を示している。ローラ電極4は銅からなり、低周波電源6の周波数は50Hzである。1枚の鋼板9の厚さは2mmであり、高周波電源8の周波数は40kHzである。低周波電流24はローラ電極4,4の内部全体を流れ、鋼板9は、おおよそナゲット径の断面積幅で通電される。
図3(A)は、低周波電流24だけによる鋼板9の加熱領域を示す平面図であり、ローラ電極4が鋼板9と接触している面を表している。図2に示すローラ電極4と鋼板9との接触領域は、図3(A)に示すように四角形になり、四角形の内部9Aが主たる加熱領域となる。ここで、四角形は、各頂部が丸みを帯びた形状を有している。
図3(B)は、図3(A)のX−X方向の温度分布であり、鋼板9において、四角形内部9Aが集中的に加熱される。X−X方向は、ローラ電極4の進行方向に対して垂直である。
一方、図2に示すように、高周波電流22はローラ電極4の表面及びナゲット外周領域に電流が集中する。低周波電流24と高周波電流22の分布が異なるのは、所謂表皮厚さに関係している。
図3(C)は、図2に示す高周波電流22だけによる鋼板9の加熱領域を示す平面図であり、ローラ電極4が鋼板9と接触している面を表している。ローラ電極4と鋼板9との接触領域は、図に示すように四角形の外周及び四角形の外周近傍、つまり、四角形のリング状の領域9Bが主たる加熱領域となる。リング状の領域9Bを、四角形内部9Aの周縁領域又は近傍領域とも呼ぶ。
図3(D)は、図3(C)のX−X方向の温度分布であり、鋼板9において、四角形の外周及び四角形の外周近傍のリング状領域9Bが抵抗加熱される。この場合、図2に示す高周波電流22による加熱は、ローラ電極4の表面を流れる高周波電流22により近接する鋼板9が誘導加熱される領域も含まれる。この誘導加熱は、誘導加熱コイルを用いた通常の誘導加熱とは異なる。
従って、リング状領域9Bの加熱は、高周波電流22による抵抗加熱、又は、この抵抗加熱と共に上記高周波誘導加熱が重畳した加熱によって行うことができる。
図3(D)において、さらに図1の高周波電源8の動作周波数を変化させることによって、リング状領域9Bの幅を変化させることができる。実際に、図2に示す低周波電流24を通電してマッシュシーム溶接を行った場合、高周波電源8の動作周波数を変化させると、ナゲット外周領域の高温領域の幅が変化することも確認できた。従って、高周波電流22によるリング状領域9Bの加熱は、図2に示す高周波電流22による抵抗加熱、又はこの抵抗加熱と共に上記高周波誘導加熱を重畳した加熱によって行うことができる。
従って、重ね合わせた2枚の鋼板9へ低周波電源6と高周波電源8とから電力を同時に印加したとき鋼板9の加熱領域は、図3(E)に示すように低周波電流24の通過領域となる四角形内部9Aと高周波電流22の通過領域となるリング状領域9Bを重畳したものとなる。さらに、これらの電流22,24で生じる鋼板9の温度分布は、図3(F)に示すように低周波電流24による温度分布(図3(B)参照)と高周波電流22による温度分布(図3(D)参照)を重畳したものとなる。
(表皮厚さ)
表皮厚さ(δ)は、下記(1)式で表わされる。
δ=503.3×(ρ/(μ×f))1/2 (m) (1)
ここで、ρは材料の抵抗率(Ω・m)、μは材料の比透磁率、fは周波数(Hz)である。変数であるρは材料温度の関数であり、μは温度及び磁界強度の関数である。
表皮厚さは、周波数の−1/2乗で変化するので、同じ材料であれば低周波数程厚くなり、高周波数になれば薄くなる。一般にマッシュシーム溶接用の電源は50Hz又は60Hzなので溶接の進行方向の厚さが6mm程度のローラ電極4,4であれば電流は、ローラ電極4,4全体に流れる。
高周波電流を導体(ここでは鋼のローラ電極4,4)に通電すると表皮効果により銅のローラ電極4,4の表面のみを流れる。銅のローラ電極4,4間で鋼板9を挟み高周波で通電すると高周波電流は鋼板9の表面のみに流れようとするが、反対側のローラ電極4の近傍に集まるので電流密度としてはローラ電極4近傍が高く、結果的にローラ電極4近傍がドーナツ状に昇温される。つまり、鋼板9のローラ電極4,4近傍において、ローラ電極4,4に高周波の大電流が流れているので、この電流によって発生する磁束により鋼板9は誘導加熱される。誘導加熱部分と直接通電部分の加算によりローラ電極4,4近傍の鋼板9がドーナツ状に昇温される。鋼板9のエッジ部分は直接通電と誘導加熱による昇温によるが、誘導加熱による昇温分は鋼板9の板厚と動作周波数とが密接な関係にある。つまり動作周波数を最適なものとしなければ効率の悪い装置となってしまう。
ここで、厚さが2mmの鋼板9同士での加熱を考えると、誘導加熱による効率の良い電源周波数は200kHz位の周波数になるが、高周波加熱では送電ロスが多くなり、装置全体の効率を考えると100kHz〜200kHz位が最適となる。
電源周波数決定において上記式(1)の変数を決める必要がある。この時に最も必要となるのが昇温部分の昇温値である。
本実施形態では高周波にて予熱加熱と本加熱との働きを持っており、予熱加熱の昇温値は300℃前後となり本加熱は700℃前後となる。高周波の働きを予熱、本加熱のどちらを主眼とするかで電源周波数は異なるが、厚さが2mmの鋼板9同士を加熱する場合に予熱、本加熱を考慮し計算すると、電源周波数は30kHz〜200kHzとなる。しかし、一般的に周波数が高いと送電損失が増加し、電源そのものの価格も上昇するので、実際の使用範囲は10kHz〜100kHzの範囲が望ましい。
(第1の実施形態の作用・効果)
この実施形態の金属材の溶接装置1によるマッシュシーム溶接について説明する。
金属材9の溶接は、金属材9を一対のローラ電極4,4にて挟み、通電して金属材9を加熱することによって行われる。一対のローラ電極4,4への第1周波数の通電によって金属材9の所定領域を加熱すると共に、一対のローラ電極4,4への第2周波数の通電によって第1周波数とは異なる領域を加熱することができる。
ここで、第1周波数と第2周波数の電力は、それぞれ独立して制御することができる。第1周波数が低周波電源6からの通電である場合には、第1の通電による金属材9の所定の加熱領域は、上記した四角形内部9Aである。第2周波数の通電が高周波電源8からの通電である場合には、第1の通電による金属材9の所定の加熱領域は、上記したリング状領域9Bであり、四角形内部9Aの周縁領域である。
図4は、一対のローラ電極4,4に流れる電流波形を模式的に示す図である。図4において、横軸は時間(任意目盛)を示し、縦軸は低周波電源6及び高周波電源8から印加される電流波形22,24(任意目盛)を示している。
図4は、低周波電源6からの電力と高周波電源8からの電力とによりマッシュシーム溶接と加熱処理とを連続的に行う場合の加熱波形を示す図である。図4に示すように、溶接で形成されるナゲットは低周波電源6からの電力でその全体が加熱されると共に、ナゲット外周領域は高周波電源8からの電力によって同時に加熱される。ここで、ナゲット全体は、四角形内部9Aに対応している。また、ナゲット外周領域は、リング状領域9Bに対応している。
本発明に用いる金属材の溶接装置1によれば、低周波電源6と高周波電源8とからの電力を同時印加したときの電流分布から、低周波電源6により鋼板9同士のマッシュシーム溶接を行う共に、2枚の鋼板9のローラ電極4,4に接していない領域の外周面を高周波電源8によって加熱を行うことができる。
図5は、マッシュシーム溶接したときの金属材9の断面を模式的に示す図である。図5に示すように、マッシュシーム溶接したときに金属材9,9の重ね合わせ部分にナゲット25が生じるだけで、図15に示す従来のマッシュシーム溶接で生じた未溶着部110は生じない。
(第2の実施形態)
図6は、金属材の溶接方法を実施するための溶接装置30の一部のみを示している。この一部は直流電源36であり、これは、図1に示すマッシュシーム溶接用電源6に替えて採用している。他の構成は、第1の実施形態の金属材の溶接装置1と同様であるので図及び説明を省略する。この実施形態では、直流電源36が第1電源となり、図1に示す高周波電源8が第2電源となる。直流電源36は、溶接トランス16の2次側に接続した整流用ダイオード35,35やインバータ等を用いた直流電源から構成され、図1に示す通電制御部11によって直流電流の大きさや通電時間等が制御される。
金属材の溶接装置30においても、図1に示すコンデンサ7は直流電源36から高周波電源8への電流阻止用コンデンサの作用をし、インダクタンス5は高周波電源8から直流電源36への電流阻止用インダクタンス、つまりチョークコイルの作用をする。
金属材の溶接装置30によれば、図1に示すローラ電極4,4に直流を流してマッシュシーム溶接をするので、低周波電源6を用いた場合とは異なり、表皮効果がないので、ローラ電極4,4の大きさをワーク9に応じて選定することができる。
(溶接用電源として直流電源を用いた場合の加熱方法)
溶接用電源6として直流電源36を用いた金属材の溶接装置30においても、図1に示す金属材の溶接装置1と同様な加熱方法を採用することができる。
図7は金属材の溶接装置30の加熱波形を示す図である。図の横軸は時間(任意目盛)を示し、縦軸は直流電源36及び高周波電源8から印加される電流波形26,22(任意目盛)を示している。図7に示すように、直流電源36と高周波電源8とを用いた同時加熱の効果は、図4に示した低周波電源6と高周波電源8とを用いた同時加熱の効果と同じである。
(第1及び第2の実施形態の作用・効果)
上記の高周波電源8によるワーク(鋼板)9の加熱電力は通電制御部11で制御することができるので、マッシュシーム溶接するワーク9等のマッシュシーム溶接箇所だけの部分昇温ができ、加熱に要する電力消費を低減することができる。
本発明によれば、金属材の溶接装置1,30のローラ電極4,4を介してワーク9に高周波電源8を接続することによって、ワーク9のローラ電極4,4に接触しない近傍領域の部分加熱を行うことができる。ワーク9の高周波加熱は、低周波電源6又は直流電源36の印加と同時に行うことができる。
金属材の溶接装置1,30によれば、加熱において、低周波と高周波の2周波数又は直流と高周波を用いるので、従来のマッシュシーム溶接で生じた未溶着部分や溶着できない箇所が生じなくなる。このため、ワーク9のマッシュシーム溶接した箇所の溶接強度を向上させることができる。この場合、溶接強度は従来のマッシュシーム溶接の約2倍となり、マッシュシーム溶接の適用範囲を拡大することができる。
なお、加熱は、低周波又は直流と共に高周波を使用し同等の効果が得られるので、特に断らない限り、2周波数として説明する。
さらに、溶接強度がばらつく要因の低下と、未溶着部分で錆への対策を不要とすることができる。
金属材の溶接装置1,30によれば、2周波数を用いるので、従来のマッシュシーム溶接で溶接できなかった炭素を含有した高張力鋼板9のマッシュシーム溶接を行うことができる。2周波通電によって、従来のマッシュシーム溶接で生じた未溶着部分が生じなくなり、高靱性のマッシュシーム溶接部が得られる。
従来のマッシュシーム溶接ではワークが硬く、伸びが小さい場合には溶接寸法の精度の確保ができなかったので、ワークのクランプ機構を大型にして力によって溶接寸法の確保をしていた。本発明に用いる金属材の溶接装置1,30によれば、2周波数を用いたマッシュシーム溶接によって効果的な予熱等を行うことで未溶着部分が生じないので、ワーク9のクランプ機構を大型にして溶接寸法の確保をする必要がなくなる。このため、金属材の溶接装置1,30の簡素化を図ることができると共に、マッシュシーム溶接部の溶接精度を向上させることができる。予熱は、低周波電源6、直流電源36、高周波電源の何れかを用いて行うことができる。
従来のマッシュシーム溶接ではローラ電極を押圧してマッシュシーム溶接を行っていたが、押圧のための圧力を減少させると、溶接自体や溶接寸法の精度の確保ができなかった。本発明に用いる金属材の溶接装置1,30によれば、2周波数を用いたマッシュシーム溶接によって効果的な予熱を行うことでワーク9の軟化させることができるので、ローラ電極4,4を加圧する圧力を低減化できる。このため、金属材の溶接装置1,30の簡素化を図ることができる。
金属材の溶接装置1,30によれば、2周波数を用いたマッシュシーム溶接によって効果的な予熱を行うことで予熱範囲を拡大することができるので、本加熱により、従来において、ワークの重ね部分のシーム溶接においてナゲット外周に生じていた未溶着部を無くすことができる。従来のマッシュシーム溶接では、原理的に予熱範囲を拡大は行うことができなかった。
従来のマッシュシーム溶接では、マッシュシーム溶接の進行と伴い、ワーク間のずれ、例えばワークが板材の場合には板ずれが生じていた。これを防止するためにローラ電極を押圧してマッシュシーム溶接を行っていた。しかしながら、本発明において、金属材の溶接装置1,30を用いれば、2周波数を用いたマッシュシーム溶接によって効果的な予熱を行うことでワーク9の軟化させることができ、接触状態が良好ではない領域への通電ができるので、マッシュシーム溶接を効果的に行うことができる。さらに、重ね合わせたワーク9の先端部近傍までマッシュシーム溶接ができるので、原理的に板ずれが生じない。
従来のマッシュシーム溶接では、ワークの板ずれ等を防止するために、ワークを設定する精度が得難く、ワークへの加圧圧力を増大させる必要があった。これに対して、本発明においては、金属材の溶接装置1,30により、2周波数を用いたマッシュシーム溶接によって効果的な予熱を行うことで、ワーク9を軟化させることができ、接触状態が良好ではない領域への通電ができるので、ワーク9への加圧圧力を増大させることなく、マッシュシーム溶接を行うことができる。このため、ワーク9の加圧機構の簡素化を図ることができる。
従来のマッシュシーム溶接では、ワークの重ね合わせた先端部分に溶着できない箇所が生じ、溶接強度低下の原因となっていた。このため、マッシュシーム溶接中にローラ電極の加圧圧力等を動的に変化させ、最適化させる方法も検討されているが、ワークの板合わせ精度のばらつきもあり、量産化への対応が困難であった。金属材の溶接装置1,30によれば、2周波数のマッシュシーム溶接によって未溶着部分が無くなり、マッシュシーム溶接の信頼性を向上させることができる。
従来のマッシュシーム溶接では、ワークの板厚差が大きく、大きなナゲットを形成しようとした場合、ワークの表面割れが生じるので、大きなナゲットを形成することができなかった。これに対し、金属材の溶接装置1,30を用いれば、2周波数通電のマッシュシーム溶接によってワーク9への入熱分布を平準化できるので、表面割れを確実に回避することができる。このため、ワーク9の重ね合わせ面に対して十分に大きな溶接部、つまりナゲットを形成することができる。
(第3の実施形態)
図8に示すように、この実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置40は、二対のローラ電極4,44を備えている。これは、図1に示す金属材の溶接装置1が一対の加熱ローラ電極4のみを備えていることと相違している。つまり、一対の本加熱ローラ電極4,4の溶接進行方向の下流側へ離れた位置に、さらに、一対の予熱ローラ電極44,44を設けた構成としている。本加熱ローラ電極4,4を主ローラ電極、予熱ローラ電極44,44を副ローラ電極とも呼ぶ。本加熱ローラ電極4,4は、金属材の溶接装置1と同様に、金属材9へ低周波の電力を印加して所定領域を加熱する第1の加熱手段6と、高周波の電力を印加して所定領域を加熱する第2の加熱手段8と、を備えている。予熱ローラ電極44は、金属材9へ低周波の電力を印加して所定領域を加熱する第3の加熱手段46と、高周波の電力を印加して所定領域を加熱する第4の加熱手段48と、を備えている。電源部10は、第1〜第4加熱手段6,8,46,48によって構成されている。さらに、第1〜第4加熱手段6,8,46,48を制御する通電制御部42を備えている。
なお、図8及び後述する図9〜11において、ローラ電極4,44が回転して移動する、つまり転動する向きを進行方向として矢印(→)で示している。
金属材の溶接装置40によれば、二対のローラ電極4,44を設けているので、ワーク9の板ずれを防止することができる。さらに、一対の予熱ローラ電極44,44でワーク9の予熱を行った後に、一対の本加熱ローラ電極4,4によってマッシュシーム溶接を行うことができ、一対のローラ電極4,4によるマッシュシーム溶接よりもさらに精度良くマッシュシーム溶接を行うことができる。
(第4の実施形態)
図9に示すように、この実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置45は、一対の予熱ローラ電極44を備え、この予熱ローラ電極44の電極間に、高周波の電力だけを印加する第4の加熱手段48を備え、図8に示す第3の加熱手段46を備えていない構成である。従って、電源部10は、第1,第2,第4の加熱手段6,8,48からなる。この場合、金属材の溶接装置45は、第1,2,4の加熱手段6,8,48が、通電制御部43によってそれぞれ独立に制御される。
金属材の溶接装置45によれば、ワーク9の予熱を高周波で行った後に、本加熱でマッシュシーム溶接を行うことができ、一対のローラ電極4,4によるマッシュシーム溶接よりもさらに精度良くマッシュシーム溶接を行うことができる。
(第5の実施形態)
図10に示すように、この実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置50は、一対の後熱ローラ電極54,54を本加熱ローラ電極4,4に対して溶接進行方向の上流側へ離れた位置に設けて、本加熱ローラ電極4,4には低周波の電力を第1の加熱手段6によって印加し、後熱ローラ電極54,54には、高周波の電力を第4の加熱手段48によって印加する構成としている。この構成部分のみが、図8に示す金属材の溶接装置40と相違している。
電源部10は、第1及び第4の加熱手段6,48からなる。この場合、金属材の溶接装置50は、第1及び第4の加熱手段6,48が、通電制御部52によってそれぞれ独立に制御される。
金属材の溶接装置50によれば、ワーク9の溶接を、一対の本加熱ローラ電極4,4によって低周波で行った後に、一対の後熱ローラ電極54,54へ高周波を印加して加熱することによって低周波溶接の未溶着部分を確実にマッシュシーム溶接することができる。これにより、一対のローラ電極4,4によるマッシュシーム溶接よりもさらに精度良くマッシュシーム溶接を行うことができる。
(第6の実施形態)
図11に示すように、この実施形態に係る金属材の溶接方法を実施するための溶接装置55は、図8に示す金属材の溶接装置40と同様に、本加熱ローラ電極4,4を備え、そして、図8に示す金属材の溶接装置40と相違して、本加熱ローラ電極の上部電極4と予熱ローラ電極の上部電極44との間に高周波の電力だけを印加する第4の加熱手段48を接続した構成である。予熱ローラ電極44は、本加熱のローラ電極4,4に対して、溶接進行方向へ離れた位置に配置されている。つまり、少なくとも1個の予熱用ローラ電極44は、本加熱ローラ電極4,4に対して溶接の進行方向側に配置され、ワーク9の重ね合わせ部分上を転動する。金属材の溶接装置55は、第1,第2,第4の加熱手段6,8,48が、通電制御部53によってそれぞれ独立に制御される。
ここで、さらに、高周波の電力を印加する第5の加熱手段49を、予熱ローラ電極の下部電極44と本加熱ローラ電極の下部電極4との間に接続してもよい。第4の加熱手段48等に使用する予熱ローラ電極44は、必ずしも一対でなくともよく、上記電極44としてもよい。また、予熱ローラ電極44は、上部に1個、下部に2個配置してもよい。これらの場合には、予熱ローラ電極44は、複数個又は組として配置してもよい。また、予熱ローラ電極44を後熱用として設けてもよい。この場合、予熱用ローラ電極44は、本加熱ローラ電極4,4に対して溶接の進行方向とは逆側に配置すればよい。
金属材の溶接装置55によれば、ワーク9の予熱を本加熱ローラ電極4の上部電極と予熱ローラ電極44の上部電極との間に設けた高周波の通電で行い、本加熱でマッシュシーム溶接を行うことができ、一対のローラ電極4,4によるマッシュシーム溶接よりもさらに精度良くマッシュシーム溶接を行うことができる。
上記の金属材の溶接装置40,45,55によれば、ワーク9の予熱を行うことによって、ワーク9が軟化し、ワーク9の接合状態が良くなる。金属材の溶接装置50によれば、ワーク9の後熱を行うことによって、ワーク9の接合状態が良くなる。このため、本加熱におけるワーク9の押圧状態を、予熱や後熱をしない場合と比較して低減することができる。従って、ローラ電極4,4の押圧機構やワーク9の押圧機構を、従来よりも小型化することができる。さらに、ワーク9への押圧する力が低減できるので、ローラ電極4,4の消耗も減少し、金属材の溶接装置40,45,50,55の保守も容易となり、運転コストの低減化も図れる。
(本発明に使用できるワーク)
上記説明においては、重ね合わせた鋼板9をシーム溶接やマッシュシーム溶接する場合を示したが、金属材9であれば如何なる材料でもよい。また、ワーク9の形状は板に限らず如何なる形状でもよい。また、鋼板9は2枚をマッシュシーム溶接する例を示したが、複数の板の溶接であってもよい。
さらに、マッシュシーム溶接される金属材9は、互いに異なる金属材同士のマッシュシーム溶接でもよい。
以下、上記第1の実施形態の金属材の溶接方法を実施する溶接装置1によって鋼板9をマッシュシーム溶接する具体例について詳細に説明する。
2枚の鋼板9のマッシュシーム溶接を行った。このとき用いた鋼板9、低周波電源6、高周波電源8等の条件を以下に示す。
鋼板9:高張力鋼板(ハイテン材)、厚さ1.2mm同士の溶接、大きさ5cm×17cm
低周波電源6:50Hz,電源容量300kVA、ローラ電極4,4は銅製で直径が300mm、幅が18mm
低周波電源6の通電時間:連続
高周波電源8:100kHz,100kW出力
高周波電源8の通電時間:連続
鋼板9の組成は、鉄以外の成分として、C(炭素)が0.19〜0.29重量%含有されている。
マッシュシーム溶接の幅はW=30mmであり、長さが100mmとして溶接試験用の試料を作製した。この溶接試験用試料(3試料)を用いて、溶接試料の十字引張試験を行い、破断荷重と破断形態を調べた。
(比較例)
実施例に対する比較例として、高周波電源8を印加せず、低周波電源6の通電によって溶接をした。つまり、通常のマッシュシーム溶接を行った。
実施例及び比較例の溶接試料の十字引張試験を行い、破断荷重を求めた。実施例では、比較例の約2倍程度の疲労強度が得られた。表1は、実施例及び比較例の溶接試料の破断形態を示している。
Figure 0005339248

表1から明らかなように、実施例では破断の形態は何れも母材破断であり、2周波数通電によって良好なマッシュシーム溶接ができた。一方、比較例では破断の形態は何れも溶接部破断であった。
以上のように、実施例のマッシュシーム溶接では、比較例の溶接部破断に比較して、母材破断となり溶接が十分に行なわれたことが分かった。
本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれる。上述した実施形態における、ローラ電極4,4の形状、インダクタンス5やコンデンサ7の値などは、ワーク9の種類や形状に応じて適宜に設計することが可能である。第2〜第6実施の形態の金属材の溶接方法において、カーボン量が多い高張力鋼板についてマッシュシーム溶接を適用したときには焼きが入らないことは、第1実施の形態と同様である。
1,30,40,45,50,55 金属材の溶接装置
4,44,54 ローラ電極
5 浮遊インダクタンス
6,46 低周波電源
7 整合コンデンサ
8,48 高周波電源
9 ワーク(鋼板)
9A 四角形内部
9B リング状領域
10 電源部
11,42,43,52,53 通電制御部
12 商用電源
13 高周波電流阻止インダクタンス
16 溶接トランス
18,49 発振器
20 整合トランス
22 高周波電流
24 低周波電流
25 ナゲット
26 直流電流
36 直流電源

Claims (7)

  1. 第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する溶接方法であって、
    一対のローラ電極により上記重ね合わせ部分を挟んで、上記一対のローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して上記重ね合わせ部分の所定領域を加熱すると共に、上記一対のローラ電極間に該第1の周波数とは異なる第2の周波数の電力を印加して上記所定領域の周縁領域を加熱することで、上記第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする、金属材の溶接方法。
  2. 第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する溶接方法であって、
    一対の第1ローラ電極と、当該一対の第1ローラ電極から離れた位置で上記重ね合わせ部分を挟む一対の第2ローラ電極とにより上記重ね合わせ部分を挟んで、
    上記一対の第1ローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して上記重ね合わせ部分の所定領域を加熱し、
    上記一対の第2ローラ電極間に上記第1の周波数とは異なる第2の周波数の電力を印加して上記重ね合わせ部分を加熱することで、上記第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする、金属材の溶接方法。
  3. 前記一対の第2ローラ電極を、前記一対の第1ローラ電極の溶接進行方向の下流側へ離れた位置に設け、
    前記一対の第2ローラ電極間に前記第2の周波数を印加して前記重ね合わせ部分を予熱し、
    前記一対の第1ローラ電極間に前記第1の周波数に重畳して該第1の周波数と異なる第2の周波数の電力を印加して本加熱することを特徴とする、請求項2に記載の金属材の溶接方法。
  4. 前記一対の第2ローラ電極を、前記一対の第1ローラ電極の溶接進行方向の上流側へ離れた位置に設け、
    前記一対の第1ローラ電極間に第1の周波数の電力を印加して本加熱し、
    上記本加熱の後で、前記一対の第2ローラ電極間に前記第2の周波数を印加して前記重ね合わせ部分の加熱を行うことを特徴とする、請求項3に記載の金属材の溶接方法。
  5. 前記一対の第2ローラ電極間に、前記第2の周波数に重畳して前記第1の周波数も印加することを特徴とする、請求項4に記載の金属材の溶接方法。
  6. 第1ワークと第2ワークとの重ね合わせ部分をシーム溶接する金属材の溶接方法であって、
    一対の第1ローラ電極により上記重ね合わせ部分を挟んで、一対の第1ローラ電極間に直流又は第1の周波数の電力を印加して上記重ね合わせ部分の所定領域を加熱すると共に、上記一対の第1ローラ電極により該第1の周波数と異なる第2の周波数の電力によって上記所定領域の周縁領域を加熱し、
    上記一対の第1ローラ電極の中の一方のローラ電極と、該一方の第1ローラ電極から離れた位置で同一面上を転動する少なくとも1個の第2ローラ電極と、の間に第1の周波数とは異なる第2の周波数を印加して上記重ね合わせ部分の予熱又は後熱を行い、上記第1ワークと第2ワークとを溶接することを特徴とする、金属材の溶接方法。
  7. 前記第2の周波数を前記第1の周波数よりも高くし、該第2の周波数の電力によって前記所定領域の周縁領域を加熱することを特徴とする、請求項1,2,6の何れかに記載の金属材の溶接方法。
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