JP5305194B2 - 金属材の溶接装置 - Google Patents
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次に、加圧状態を保持しながら電極52へkAオーダーの大電流を通電し、鋼板50同士の圧着部分をジュール発熱にて瞬間溶融し、ナゲット54と呼ばれる所定径の溶融した塊を形成することにより行われる(例えば、非特許文献1参照)。
図25は、高張力鋼板のスポット溶接強度を調べるための引張試験に用いられる試料の平面図であり、(A)が重ね合わせ継ぎ手の試料を、(B)が十字継ぎ手の試料を示している。図25(A)に示す重ね合わせ継ぎ手の試料では、2枚の長方形の鋼板50がその長手方向の端部で重ね合わせられ、端部でスポット溶接されている。図25(B)に示す十字継ぎの試料では、2枚の長方形の鋼板50を十字形状に交差させ、この交差する箇所がスポット溶接されている。点線で囲んだ略楕円状部が溶接で形成されたナゲット54であり、引張試験で印加される力56を矢印で示している。
上記構成において、金属材の所定領域の内部が第1の加熱手段により加熱され、金属材の前記所定領域の近傍が第2の加熱手段により加熱され、第1の加熱手段による加熱と第2の加熱手段による加熱とが、通電制御部により独立して制御されてもよい。
第1の加熱手段は、電極の軸断面を前記金属材に投影した円形内部を加熱する加熱手段であり、第2の加熱手段は、前記電極の軸断面を金属材に投影した円形に沿ってリング状をなす領域を加熱する加熱手段であり、第1の加熱手段による加熱と第2の加熱手段による加熱とが、通電制御部により独立して制御されてもよい。
第1の周波数は第2の周波数よりも周波数が低く、金属材へ第1の周波数の電力を通電することで、円形内部が溶接されてもよい。第2の周波数は第1の周波数よりも周波数が高く、金属材へ第2の周波数の電力を通電することで、リング状をなす領域が抵抗加熱され、あるいは、抵抗加熱及び高周波誘導加熱されてもよい。
(金属材の溶接装置)
図1は、本発明の実施形態に係る金属材の溶接装置1の構成の一例を模式的に示す図である。
金属材の溶接装置1は、電極アーム2と、電極アーム2の上部2A、下部2Bにそれぞれ一端が接続されている電極支持部3と、各電極支持部3の他端にそれぞれ接続される一対の電極4と、電極アーム2にインダクタンス5を介して接続される溶接用電源6と、電極アーム2にコンデンサ7を介して接続される高周波電源8と、溶接用電源6及び高周波電源8の各出力制御を行う通電制御部10と、を含んで構成されている。
なお、金属材の溶接装置1は、図示していないが、電極アーム2を支持する固定ベース、電極アーム2を駆動する駆動機構、電極支持部3から一方の電極4を押し出す押圧機構(図示せず)などをさらに備えている。押圧機構は、後述する被溶接部材となる金属材9を電極4,4で加圧するために使用される。
図2に示すように、金属材の溶接装置1の電気回路は、点線で囲んだ溶接用回路部1Aと溶接部1Bとからなる。溶接用回路部1Aは、溶接用電源6と高周波電源8とインダクタンス5とコンデンサ7と溶接用電源6及び高周波電源8の各出力制御を行う通電制御部10等の電気回路とからなる。溶接部1Bは、溶接用回路部1Aに電気的に接続される回路であり、ガンアーム2とガンアーム2に電気的に接続される一対の電極4,4と一対の電極4,4に挟まれる金属材9とから構成される。
溶接用電源6は低周波電源であり、例えば出力周波数が50Hz又は60Hzである商用電源12と、商用電源12の一端に接続される低周波電源制御部14と、商用電源12の他端と低周波電源制御部14の出力端に接続される溶接トランス16と、から構成されている。溶接トランス16の2次巻き線の両端が、それぞれ、C型ガンアーム2の上部2Aの左側端部及び下部2Bの左側端部に接続されている。低周波電源制御部14は、サイリスタなどの電力制御用半導体素子及びゲート駆動回路等から構成されており、商用電源12から電極4への通電制御などを行う。
図3は、金属材の溶接装置の変形例1を示す電気回路図である。
図3に示す金属材の溶接装置25の電気回路は、図2に示す金属材の溶接装置1の電気回路では高周波電源8がC型ガンアーム2を介して電極4,4に接続されているのに対して、C型ガンアーム2を介さないで直接一対の電極4、4に接続されている。高周波電源8は、コンデンサ7を介して電極4、4の根本に接続されてもよい。他の回路構成は、図2に示す電気回路と同じであるので、説明を省略する。
図4は、金属材の溶接装置の変形例2を示す電気回路図である。
図4に示す金属材の溶接装置30の電気回路は、一対の電極4、4の間に並列共振用のコンデンサ32を並列接続した点で、図2に示す金属材の溶接装置1と異なっている。即ち、並列共振用のコンデンサ32は、C型ガンアーム2の上部2Aと下部2Bに並列に接続されている。これにより、並列共振用のコンデンサ32とインダクタンス5とは並列共振回路を構成する。この場合、コンデンサ7は、低周波電源6からの低周波電流を阻止する作用を有している。他の回路構成は、図2に示す回路と同じであるので、説明は省略する。
低周波電源6と高周波電源8との関係について説明する。
低周波電源6と高周波電源8との間には、インダクタンス5とコンデンサ7とが接続されており、低周波数(fL)におけるインダクタンス5(L)による誘導性リアクタンスXL(XL=2πfLL、ここで、fLは低周波電源6の周波数であり、Lはインダクタンス5の値である。)は低周波数では小さい。
一方、コンデンサ7(C)による容量性リアクタンスXC(XC=1/(2πfLC))は低周波数(fL)では大きな値となる。このため、低周波電源6の高周波電源8への電流漏洩は、低周波数(fL)におけるコンデンサ7の大きい容量性リアクタンスXCで阻止される。つまり、コンデンサ7は低周波電流阻止用コンデンサとなる。
一方、高周波数では、インダクタンス5による誘導性リアクタンスXL(XL=2πfHL、ここで、fHは高周波電源8の周波数である。)は大きな値となる。このため、高周波電源8の低周波電源6への電流漏洩は、高周波数(fH)におけるインダクタンス5の大きい誘導性リアクタンスXLで阻止される。つまり、インダクタンス5は、高周波電流阻止用インダクタンスとなる。
図5は、重ね合わせた2枚の鋼板9へ低周波電源6と高周波電源8とから電力を同時に印加したとき鋼板9に生じる電流分布を模式的に示す断面図であり、図6は、鋼板9の加熱状態を示す図である。
図5において、実線は高周波電源8による高周波電流22を示し、点線は低周波電源6による低周波電流24を示している。電極4は銅からなり、直径は6mmであり、低周波電源6の周波数は50Hzである。1枚の鋼板9の厚さは2mmであり、高周波電源8の周波数は40kHzである。低周波電流24は電極4,4の内部全体を流れ、鋼板9は、おおよそナゲット径の断面積幅で通電される。
図6(C)は、高周波電流22だけによる鋼板9の加熱領域を示す平面図であり、電極4の軸断面を鋼板9に投影した外周円及び外周円近傍、つまり、リング状をなす円形外部となるリング状の近傍領域9Bが主たる加熱領域となる。図6(D)は、図6(C)のX−X方向の温度分布であり、鋼板9において、電極4の軸断面を鋼板9に投影した外周円及び外周円近傍の略リング状領域9Bが抵抗加熱される。この場合、高周波電流22による加熱は、電極4の表面を流れる高周波電流22により近接する鋼板9が誘導加熱される領域も含まれる。この誘導加熱は、誘導加熱コイルを用いた通常の誘導加熱とは異なる。従って、高周波電流22による鋼板9に投影した投影した外周円及び外周円近傍のリング状領域9Bの加熱は、高周波電流22による抵抗加熱、又は、この抵抗加熱と共に上記高周波誘導加熱が重畳した加熱によって行うことができる。
表皮厚さ(δ)は、下記(1)式で表わされる。
δ=503.3×(ρ/(μ×f))1/2 (m) (1)
ここで、ρは材料の抵抗率(Ω・m)、μは材料の比透磁率、fは周波数(Hz)である。
表皮厚さは、周波数の1/2乗で変化するので、同じ材料であれば低周波数程厚くなり、高周波数になれば薄くなる。一般にスポット溶接用の電源は50Hz又は60Hzなので直径6mm程度の電極であれば電流は、電極全体に流れる。
つまり、高周波電流22の周波数を変えることによって、ナゲット外周領域の加熱幅が変えられ、リング状領域9Bに焼戻し等の加熱処理をすることができる。従って、鋼板9が比較的柔らかい材料、例えばS20C焼鈍材等を用いた場合には、リング状領域9Bを軟化させることができる。
なお、材料内部において、表皮厚さの深さにおける高周波電流22の大きさは、最表面の1/e(ここで、eは自然対数である。)、つまり約1/3程度である。鋼板9の表皮厚さは、周波数が50Hzで約9.3mmであり、周波数が40kHzで約0.3mmである。
高周波電源8の周波数は、溶接トランス16の2次巻き線側に接続されるインダクタンス5と必要に応じてさらに挿入されるインダクタンス13と整合コンデンサ7の容量で決まる。ガンアーム2の浮遊インダクタンスをインダクタンス5として利用する場合、インダクタンス5はガンアーム2の形状で決まる。このため、周波数を決めるのは整合コンデンサ7の値となる。周波数を上げると表皮効果の影響で外周領域の昇温パターンは、加熱幅が狭くなり、局所的となる。しかし、ガンアーム2のインダクタンス5(ωL)は周波数に比例するので、整合コンデンサ7の電圧も上昇する。高周波電源8から電極4,4を見た回路は、直列共振回路である。直列共振周波数においては、インダクタンス5の電圧と整合コンデンサ7の電圧は同じとなるので整合コンデンサ7の電圧が上がると、低周波数と高周波の2周波数合成が困難となり、大きな電流阻止用インダクタンス5やインダクタンス13が必要となる。大きな電流阻止用インダクタンス5,13は、低周波電流24にも影響を及ぼすこととなり、従来式のスポット溶接機の2次電圧を大幅に上げる必要がある。
また、ガンアーム2には溶接トランス16、バイパスコンデンサ11、必要に応じて電流阻止用インダクタンス13を搭載する必要がある。この中で、溶接トランス16の重量が最も重い。溶接トランス16の重量は周波数に反比例する。以上を勘案すると、動作周波数は5kHzから40kHzが最適である。但し、ガンアーム2を溶接ロボット等の溶接装置に搭載しない場合はこの限りではない。また、低周波数と高周波数との周波数の差は、2周波数合成回路の観点から10倍以上の差が好ましい。
本発明の金属材の溶接装置1,25,30によるスポット溶接及び加熱処理について説明する。
金属材9の溶接は、金属材9を一対の電極4,4にて挟み通電して金属材9を加熱することによって行われる。一例として、一対の電4,4極への第1の通電によって金属材9の所定領域を加熱する第1ステップと、金属材9を挟む一対の電極4,4の位置を第1ステップと同一位置に維持した状態で、一対の電極4,4への第2の通電によって第1ステップとは異なる領域を加熱する第2ステップと、を、備えていればよい。ここで、第1ステップと第2ステップとの加熱時間を、それぞれ独立して制御することができる。第1通電が低周波電源6からの通電である場合には、第1の通電による金属材9の所定の加熱領域は、上記した円形内部9Aである。第2の通電が高周波電源8からの通電である場合には、第1の通電による金属材9の所定の加熱領域は、上記したリング状領域9Bである。上記の第1ステップ及び第2ステップは組み合わせてもよい。
図7は、低周波電源6からの電力と高周波電源8からの電力とによりスポット溶接と加熱処理とを同時に行う場合の加熱波形を示す図である。
図7に示すように、溶接で形成されるナゲットは低周波電源6からの電力でその全体が加熱されると共に、ナゲット外周領域は高周波電源8からの電力によって同時に加熱される。ここで、ナゲット全体は、電極4の軸断面を鋼板9に投影した円形内部9Aに対応している。また、ナゲット外周領域は、電極4の軸断面を鋼板9に投影した外周円及び外周円近傍のリング状領域9Bに対応している。
図8に示すように、低周波電源6から電力を印加しこれを停止後に高周波電源8から電力を印加する場合には、低周波電源6から電力印加によって、鋼板9同士がスポット溶接される。その後の高周波電源8から電力印加によって、2枚の鋼板9のナゲット外周領域の電極4に接していない領域の表面が加熱される。
これにより、本発明の金属材の溶接装置1,25,30によれば、低周波電源6から電力印加の後に高周波電源8から電力を印加することによって、スポット溶接されて形成されたナゲットの外周領域の加熱処理(アニールとも呼ばれることがある。)を行うことができる。この加熱処理の温度と加熱時間を調整することで、鋼板9等の焼戻し処理等の加熱処理に適用することができる。
図9に示すように、高周波電源8からの電力印加の後に低周波電源6から電力を印加する場合には、最初に鋼板9同士のスポット溶接されない領域の表面、つまり、銅電極4に接触していない近傍領域が加熱される。この予備加熱後に低周波電源6からの電力印加によって、2枚の鋼板9がスポット溶接される。
これにより、本発明の金属材の溶接装置1,25,30によれば、高周波電源8から電力を印加した後に低周波電源6から電力を印加することによって、スポット溶接される領域の近傍を、溶接される前に以前に予備加熱することもできる。予備加熱の温度と加熱時間を調整することで、スポット溶接で生じる焼入れを防止することができる。
金属材の溶接装置1によるさらに別の加熱方法を説明する。
図10〜図12は、一対の電極に流す電流波形の一例を示す図である。横軸は時間(任意目盛)を示し、縦軸は低周波電源6及び高周波電源8から一対の電極に印加される電流波形22,24(任意目盛)を示している。
図10は、高周波電源8を用いた予熱と低周波電源6を用いた加熱と高周波電源8を用いた後熱を連続して行う場合の加熱波形を示す図である。後熱という用語は予熱の後で行うに加熱の意味で用いている。つまり、後熱は、鋼板9を低周波電源6を用いてスポット溶接をした後の加熱処理を示している。
高周波電源8からの電力の印加後に低周波電源6からの電力を印加する場合には、最初に鋼板9同士のスポット溶接されない領域の表面が加熱される。この予備加熱後の低周波電源6からの電力の印加によって、2枚の鋼板9がスポット溶接される。さらに、高周波電源8からの電力による後熱によりスポット溶接によって形成されたナゲットの外周領域の加熱処理を行うことができる。この加熱処理の温度と加熱時間を調整することで、鋼板9等の焼戻し処理等の熱処理に適用することができる。
図11に示すように、高周波電源8からの電力は、予熱の時間と低周波電源6からの電力の印加時間直後の所定時間とに印加される。つまり、低周波電源6からの電力の印加時間の初期だけ、高周波電源8から電力が重畳される。予熱の効果は図6の加熱方法と同様な効果がある。また、低周波電源6及び高周波電源8からの電力が部分的に重畳されて鋼板9に印加されるので、図7の同時加熱方法と同様にスポット溶接を行う共に、2枚の鋼板9の電極4に接していない領域の電極4の外周面を高周波電源8からの電力によって加熱することができる。
図12に示すように、高周波電源8からの電力は、低周波電源6の印加終了前の所定時間とその後の後熱の時間に印加される。低周波電源6及び高周波電源8からの電力が部分的に重畳されるので、図7の加熱波形と同様にスポット溶接を行う共に、2枚の鋼板9の電極4に接していない領域の電極4の外周面を高周波電源8によって加熱することができる。後熱の効果は図8の加熱方法と同様な効果がある。
次に、金属材の溶接装置の変形例3を示す。
図13は、金属材の溶接装置の変形例3を示す電気回路図である。図13に示す金属材の溶接装置35が、図2に示す金属材の溶接装置1と異なるのは、スポット溶接用電源6を、低周波電源ではなく直流電源36を用いた点にある。直流電源36は、インバータ等を用いた直流電源から構成され、通電制御部10によって直流電流の大きさや通電時間等が制御される。他の構成は、金属材の溶接装置1と同様であるので説明は省略する。
次に、金属材の溶接装置の変形例4を示す。
図14は、金属材の溶接装置の変形例4を示す電気回路図である。図14に示す金属材の溶接装置40が、図4の金属材の溶接装置30と異なるのは、低周波電源6を直流電源36とした点にある。直流電源36は、インバータ等を用いた電源から構成され、通電制御部10によって直流電流の大きさや通電時間等が制御される。他の構成は、金属材の溶接装置30と同様であるので説明は省略する。
溶接用電源6として直流電源36を用いた金属材の溶接装置35,40においても、金属材の溶接装置1,25,30と同様な加熱方法を採用することができる。
図15〜図19は、金属材の溶接装置35,40の加熱波形を示す図である。各図の横軸は時間(任意目盛)を示し、縦軸は直流電源36及び高周波電源8から印加される電流波形26,22(任意目盛)を示している。
図15は、直流電源36と高周波電源8とを用いた同時加熱の加熱波形を示す図である。同時加熱の効果は、図7に示した低周波電源6と高周波電源8とを用いた同時加熱の効果と同じである。
上記説明においては、スポット溶接される金属材9が例えば鋼板9である場合を示したが、金属材9であれば如何なる材料でもよい。また、ワーク9の形状は板に限らず如何なる形状でもよい。また、鋼板9は2枚をスポット溶接する例を示したが、複数の板の溶接であってもよい。
2枚の鋼板9のスポット溶接を行った。図21は、低周波電源6と高周波電源8からの電力印加を模式的に説明する図である。用いた鋼板9、低周波電源6、高周波電源8等の条件を以下に示す。
鋼板9:厚さ2mm,大きさ5cm×15cm
低周波電源6:50Hz,電極4は銅製で直径が6mm、電源容量50kVA
低周波電源6の通電時間:0.3〜0.5秒
高周波電源8:30kHz,50kW出力
高周波電源8の通電時間:0.3〜0.6秒
次に、低周波電源6からの電力を印加して溶接を行った。低周波電源6の投入は、図18に示すように、第1電流及び第2電流の2段階の通電で行った。第1電流の立ち上がりを1サイクルとし、第1通電を2サイクルとし、第1電流値は11kAである。1サイクルの冷却をした後、第2電流値を8.kAとして16サイクル通電した。低周波電源6による2段階の通電は冷却等も含めて20サイクルであり、溶接時間は0.4秒であった。
実施例1〜3に対する比較例として、高周波電源8を印加せず、低周波電源6の通電によって溶接をした。つまり、通常のスポット溶接を行った。
なお、鋼板9の炭素含有量が0.19重量%〜0.26重量%程度の範囲内であれば、比較例よりも破断荷重を著しく高めることができた。
図22から明らかなようには、実施例4のクロムモリブデン鋼(SCM435)の電極4の最外周に相当する領域の硬度が最も高く約670HVであり、焼入れされていない領域の硬度である約370HVよりも硬度が高くなっていることが分かった。これにより、高周波電源8からの電力印加によりクロムモリブデン鋼(SCM435)において電極4の外周領域のリング状領域だけを焼入れできることが判明した。
図23から明らかなようには、実施例5のクロムモリブデン鋼(SCM435)9の電極4の最外周に相当する領域の硬度が最も低く約550HVであり、焼戻し前の硬度(約620HV)よりも硬度が低くなっていることが分かった。これにより、高周波電源8からの電力印加によりクロムモリブデン鋼(SCM435)9において電極4の外周領域のリング状領域だけを焼戻しできることが判明した。
1A,25A,30A,35A,40A:溶接装置の溶接用回路部
1B,25B,30B,35B,40B:溶接装置の溶接部
2:ガンアーム
2A:ガンアームの上部
2B:ガンアームの上部
3:電極支持部
4:電極
5:浮遊インダクタンス
6:低周波電源
7:整合コンデンサ
8:高周波電源
9:ワーク
9A:円形内部
9B:リング状領域
10:通電制御部
11:バイパスコンデンサ
12:商用電源
13:高周波電流阻止インダクタンス
14:低周波電源制御部
16:溶接トランス
18:発振器
20:整合トランス
22:高周波電流
24:低周波電流
26:直流電流
36:直流電源
Claims (17)
- 金属材を一対の電極にて挟み、金属材に対して該一対の電極を同一位置に維持した状態で通電して上記金属材の異なる領域を加熱する金属材の溶接装置であって、
上記一対の電極に接続され上記金属材へ第1の周波数又は直流の電力を印加して所定領域を加熱する第1の加熱手段と、
上記一対の電極に接続され上記金属材へ第2の周波数の電力を印加して上記所定領域とは異なる領域を加熱する第2の加熱手段と、
上記第1の加熱手段及び上記第2の加熱手段を、それぞれ独立して制御する通電制御部と、
を備えたことを特徴とする、金属材の溶接装置。 - 前記金属材の前記所定領域の内部が、前記第1の加熱手段により加熱され、
前記金属材の前記所定領域の近傍が、前記第2の加熱手段により加熱され、
前記第1の加熱手段による加熱と前記第2の加熱手段による加熱とが、前記通電制御部により独立して制御されることを特徴とする、請求項1に記載の金属材の溶接装置。 - 前記第1の加熱手段は、前記電極の軸断面を前記金属材に投影した円形内部を加熱する加熱手段であり、
前記第2の加熱手段は、前記電極の軸断面を前記金属材に投影した円形に沿ってリング状をなす領域を加熱する加熱手段であり、
前記第1の加熱手段による加熱と前記第2の加熱手段による加熱とが、前記通電制御部により独立して制御されることを特徴とする、請求項2に記載の金属材の溶接装置。 - 前記第1周波数は前記第2周波数よりも周波数が低く、前記金属材へ該第1周波数の電力を通電することで、前記円形内部が溶接されることを特徴とする、請求項3に記載の金属材の溶接装置。
- 前記第2周波数は前記第1周波数よりも周波数が高く、前記金属材へ該第2周波数の電力を通電することで、前記リング状をなす領域が抵抗加熱され、あるいは、抵抗加熱及び高周波誘導加熱されることを特徴とする、請求項3に記載の金属材の溶接装置。
- 金属材を一対の電極にて挟み、金属材に対して該一対の電極を同一位置に維持した状態で通電して上記金属材の異なる領域を加熱する金属材の溶接装置であって、
上記一対の電極に接続され上記金属材へ第1の周波数又は直流の電力を印加して所定領域を加熱する第1の加熱手段と、
上記一対の電極に接続され上記金属材へ第2の周波数の電力を印加して上記所定領域とは異なる領域を加熱する第2の加熱手段と、
上記第1の加熱手段及び上記第2の加熱手段を、それぞれ独立して制御する通電制御部と、を備え、
上記第1の加熱手段は、上記一対の電極に溶接用電力を供給する溶接用電源であり、
上記第2の加熱手段は、上記一対の電極に高周波電力を供給する高周波電源であり、
上記一対の電極に上記溶接用電源と上記高周波電源とがそれぞれ並列に接続され、
上記溶接用電源と上記一対の電極との間に電流阻止用インダクタンスが接続され、
上記高周波電源と上記一対の電極との間に電流阻止用コンデンサが接続され、
上記電流阻止用インダクタンスは、上記高周波電源から上記一対の電極に供給される高周波電流が上記溶接用電源に流れ込まないように阻止し、
上記電流阻止用コンデンサは、上記溶接用電源から上記一対の電極に供給される電流が上記高周波電源側に流れ込まないように阻止することを特徴とする、金属材の溶接装置。 - さらに、ガンアームを備えており、前記スポット溶接用電源と前記高周波電源とが、該ガンアームを介して前記一対の電極に接続されることを特徴とする、請求項6に記載の金属材の溶接装置。
- さらに、前記溶接用電源と前記高周波電源に対し、それぞれ、出力時間及び出力電流を制御する通電制御部を備えることを特徴とする、請求項4に記載の金属材の溶接装置。
- 前記溶接用電源は低周波電源であることを特徴とする、請求項6〜8の何れかに記載の金属材の溶接装置。
- 前記低周波電源はトランスを介して前記一対の電極に接続され、該トランスの前記一対の電極側の巻き線にバイパスコンデンサが並列接続されていることを特徴とする、請求項9に記載の金属材の溶接装置。
- 前記溶接用電源は直流電源であることを特徴とする、請求項6〜8の何れかに記載の金属材の溶接装置。
- 前記電流阻止用コンデンサと前記電流阻止用インダクタンスとが直列共振回路を構成することを特徴とする、請求項6に記載の金属材の溶接装置。
- 前記電流阻止用インダクタンスと前記ガンアームの上部及び下部に接続される並列共振用コンデンサとが並列共振回路を構成することを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属材の溶接装置。
- 前記電流阻止用インダクタンスは、前記ガンアームの浮遊インダクタンスからなることを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属材の溶接装置。
- 前記高周波電源は、前記電流阻止用コンデンサを介して前記電極側に直接給電されることを特徴とする、請求項6に記載の金属材の溶接装置。
- 前記高周波電源は、前記電流阻止用コンデンサを介して前記ガンアーム側根元から給電されることを特徴とする、請求項6又は7に記載の金属材の溶接装置。
- 前記電流阻止用コンデンサは、整合用コンデンサを兼ねることを特徴とする、請求項6に記載の金属材の溶接装置。
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