JP5339003B2 - カップ部を有する衣類 - Google Patents

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Description

本発明は、バストを覆うためのカップ部を有する衣類に関するものである。
特許文献1〜3には、バストを覆うためのカップ部を有する衣類として、ブラジャーが開示されている。これらのブラジャーは、バストの寄せ効果や押し上げ効果を高めるために、左右のカップ部を前中心に向かって寄せるための寄せ部材を備えている。この寄せ部材は、一端をカップ脇部及び土台部に固着し、他端を前中心部に向かって幅が狭くなるように延長させて互いに結合している。
特開2007−321249号公報 登録実用新案第3118029号公報 登録実用新案第3118931号公報
ところで、カップ部を有する衣類では、バストに対するカップ部の上部の浮きであって、着用者の動きに起因して生じるカップ部の上部の浮きの改善が要望されている。しかしながら、特許文献1〜3に記載のブラジャーでは、このような要望には応えられない。すなわち、特許文献1〜3に記載のブラジャーでは、着用者の動作に伴い、寄せ部材及びカップ部がバストに対してずれてしまい、その結果、カップ部の上部がバストから浮いてしまうことがある。
また、カップ部を有する衣類では、バストの寄せ上げ等の造形性の更なる向上が要望されている。
そこで、本発明は、バストの造形性を高めると共に、バストに対するカップ部の上部の浮きを抑制することが可能なカップ部を有する衣類を提供することを目的としている。
本発明のカップ部を有する衣類は、バストを覆うための一対のカップ部が土台部に支持されている衣類において、一対のカップ部の表側に設けられた引寄部は、その脇辺部及び脇側下辺部がそれぞれカップ部の脇辺部及び脇側下辺部に縫着され、土台部の前中心に向けて次第に幅が狭くなるように延びており、引寄部の前中心部が、土台部の前中心に設けられた固定部に左右方向に移動可能に固定されていることを特徴とする。
本発明においては、バストを前中心部に向けて引寄せるため、またはカップ部の浮きを抑制するための引寄部が、その脇辺部及び脇側下辺部がそれぞれカップ部の脇辺部及び脇側下辺部に縫着され、土台部の前中心に向けて次第に幅が狭くなるように延びており、引寄部の前中心部が、土台部の前中心に設けられた固定部に左右方向に移動可能に固定されていることにより、バストの十分な引寄せまたはカップ部の浮き上がりの抑制や、引寄部の前中心部の浮きの防止を図ることができる。
また、上記した固定部は、環状に形成されて孔を有しており、引寄部の前中心部は、孔に挿通されていることにより左右方向に移動可能に固定されていてもよい。
なお、本明細書において、布地パワーとは、布地のはりこしや引っ張り力である。例えば、布地のはりこしが強いほど布地パワーが強い。一方、布地の引っ張り力とは、布地を一定量伸ばすための荷重、又は、一定負荷をかけたときの伸び量によって表される。布地の引っ張り力が布地を一定量伸ばすための荷重によって表される場合、その荷重が大きいほど布地パワーが強く、布地の引っ張り力が一定負荷をかけたときの伸び量によって表される場合、その伸び量が小さいほど布地パワーが強い。
カップ部を有する衣類において、引寄部の下辺部の布地パワーが上辺部の布地パワーより強いことにより、引寄部によって、バストを引き寄せる効果に加えて、バストを押し上げる効果を高めることができ、バストの造形性を高めることができる。
また、引寄部の下辺部によってカップ部の下部をバスト側に強く押さえつけることにより、着用者の動きに起因して動くバストに対するカップ部の追従性を高めることができる。したがって、バストに対するカップ部の上部の浮きであって、着用者の動きに起因して生じるカップ部の上部の浮きを抑制することができる。
上記した引寄部は、左右方向に連結する前中心側部分と脇側部分とを有し、引寄部における前中心側部分の下辺部の布地パワーは、引寄部における前中心側部分の上辺部の布地パワーより強く、引寄部の脇側部分の布地パワーは、引寄部の前中心側部分の布地パワーより強くてもよい。
これによれば、引寄部の脇側部分によってバストの脇側部分を押さえつけることにより、バストの脇側への広がりを低減することができると共に、引寄部による引き寄せ力をバストの脇側部分へ効率よく伝えることができる。したがって、バストの造形性をより高めることができる。
または、上記したカップ部は、左右方向に連結する前中心側部分と脇側部分とを有し、カップ部の脇側部分の布地パワーは、カップ部の前中心側部分の布地パワーより強くてもよい。
これによれば、カップ部の脇側部分によってバストの脇側部分を押さえつけることにより、バストの脇側への広がりを低減することができる。したがって、バストの造形性をより高めることができる。
また、上記したカップ部の前中心側部分は、上下方向に連結する前中心側上部分と前中心側下部分とを有し、上記したカップ部の脇側部分は、上下方向に連結する脇側上部分と脇側下部分とを有し、カップ部における布地パワーは、前中心側上部分、前中心側下部分、脇側上部分、脇側下部分の順に強くなっていてもよい。
これによれば、カップ部における比較的に布地パワーが強い脇側下部分と脇側上部分とによってバストの脇側部分を押さえつけることにより、バストの脇側への広がりを低減することができる。また、カップ部における比較的に布地パワーが強い脇側下部分と前中心側下部分とによってバストを下側から押し上げることができる。したがって、バストの造形性をより高めることができる。
また、上記したカップ部を有する衣類は、カップ部の下部を支持するための土台部と、土台部の前中心に設けられた環状の固定部とを更に備え、引寄部の前中心部は、固定部の孔に挿通されていてもよい。
従来のように引寄部の前中心部を固定しない場合、引寄部の前中心部は着用者の前側に浮いてしまい、アウターウェアに影響を与えてしまう可能性がある。この点に関し、例えば、引寄部の前中心部を土台部の前中心に直接縫着することが考えられるが、この場合、バストの引き寄せ効果が十分に得られない可能性があり、また、バストに対するカップ部の上部の浮き抑制効果が十分に得られない可能性がある。
しかしながら、この構成によれば、引寄部の前中心部が固定部の孔に挿通されてフレキシブルに固定されるので、引寄部の前中心部は左右カップ間をフレキシブルに移動することができ、バストの引き寄せ効果を十分に得ることができると共に、バストに対するカップ部の上部の浮き抑制効果を十分に得ることができる。また、引寄部の前中心部が着用者の前側に浮くことを防止することができ、アウターウェアに影響を与えることを防止することができる。
本発明によれば、カップ部を有する衣類において、バストの造形性を高めると共に、バストに対するカップ部の上部の浮きを抑制することができる。
本発明の第1の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。 図1に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。 図3に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。 図5に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。 本発明の第4の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図である。 図7に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図であり、図2は、図1に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。このブラジャー1は、本体部10と、引寄部20とを備えている。なお、ブラジャー1は前中心部を中心として左右略対称であるので、以下では左右の一方のみによって説明する。
本体部10は、カップ部12と、土台部14と、バックベルト部16と、肩紐部18とを有している。
カップ部12は、バストを覆うためのものであり、土台部14に支持されている。土台部14は、非伸縮性の布からなっており、カップ部12の下部から脇側にかけてカップ部12と縫着されている。土台部14の脇側には、バックベルト部16が縫着されている。バックベルト部16は、伸縮性の布からなっており、背中において連結することによって、土台部14及びカップ部12を支持するためのものである。また、カップ部12の脇側上部には、肩紐部18が縫着されている。肩紐部18は、伸縮性の布からなっており、肩を介してバックベルト部16に連結されることによって、カップ部12を支持するためのものである。
また、カップ部12と土台部14との境界には、すなわち、バージスラインに沿ってカップワイヤー40が装着されている。なお、カップワイヤー40は必ずしも備えなくてもよい。また、カップ部12の表側には、引寄部20が設けられている。
引寄部20は、バストを前中心に向けて引き寄せるためのものである。引寄部20の脇辺部20s及び脇側下辺部20lsは、カップ部12の脇辺部12s及び脇側下辺部12lsに縫着されている。引寄部20は、カップ部12の脇辺部12s及び脇側下辺部12lsから前中心へ向けて、次第に幅が狭くなるように、底辺がバージスラインに沿った略三角形をなして延びている。引寄部20は、前中心において、左右の引寄部のうちのもう一方の引寄部と縫着されている。なお、引寄部20は、左右の引寄部を一枚布から一体的に形成するものであってもよい。引寄部20は、カップ部12に対して縫着部を除いて遊離しており、左右方向に伸縮性を有している。これにより、引寄部20は、バストを前中心方向に引き寄せるように作用する。
引寄部20の前中心側下辺部20lcの布地パワーは、上辺部20uの布地パワーより強くなっている。ここで、布地パワーとは、布地のはりこしや引っ張り力である。例えば、布地のはりこしが強いほど布地パワーが強い。一方、布地の引っ張り力とは、布地を一定量伸ばすための荷重、又は、一定負荷をかけたときの伸び量によって表される。布地の引っ張り力が布地を一定量伸ばすための荷重によって表される場合、その荷重が大きいほど布地パワーが強く、布地の引っ張り力が一定負荷をかけたときの伸び量によって表される場合、その伸び量が小さいほど布地パワーが強い。
前中心側下辺部20lcの布地パワーを強くするためには、例えば、前中心側下辺部20lcの裏側に、非伸縮性または難伸縮性のテープを縫着すればよい。又は、前中心側下辺部20lcの縫製方法としてオーバーロック方式を用いてもよい。あるいは、前中心側下辺部20lcの素材として布地パワーが強い素材、例えば伸張回復性が高い素材(SS曲線傾斜が小さい素材)を用いてもよい。
このように、第1の実施形態のブラジャー1によれば、引寄部20の前中心側下辺部20lcの布地パワーが上辺部20uの布地パワーより強いので、引寄部20によって、バストを寄せる効果に加えて、バストを押し上げる効果を高めることができ、バストの造形性を高めることができる。
また、引寄部20によってカップ部12をバスト側に強く押さえつけることにより、着用者の動きに起因して動くバストに対するカップ部12の追従性を高めることができる。したがって、バストに対するカップ部12の上部の浮きであって、着用者の動きに起因して生じるカップ部12の上部の浮きを抑制することができる。
なお、第1の実施形態のブラジャー1では、引寄部20の前中心部20cは、土台部14の前中心に設けられた固定部30によって、土台部14に固定されている。例えば、固定部30は、リボン状布を環状(リング状)に形成したものであり、土台部14の前中心に縫着されている。引寄部20の前中心部20cは、この固定部30の孔を通ることによって、土台部14にフレキシブルに固定される。これにより、着用者の動きに起因して動くバストに対する引寄部20及びカップ部12の追従性をより高めることができる。
従来のように引寄部20の前中心部20cを固定しない場合、引寄部20の前中心部20cは着用者の前側に浮いてしまい、アウターウェアに影響を与えてしまう可能性がある。すなわち、アウターウェアに不自然な凸部を生じさせてしまう可能性がある。この点に関し、例えば、引寄部20の前中心部20cを土台部14の前中心に直接縫着することが考えられるが、この場合、バストの引き寄せ効果が十分に得られない可能性があり、また、バストに対するカップ部の上部の浮き抑制効果が十分に得られない可能性がある。
しかしながら、第1の実施形態のブラジャー1によれば、引寄部20の前中心部20cが固定部30の孔に挿通されてフレキシブルに固定されるので、引寄部20の前中心部20cは左右カップ間をフレキシブルに移動することができ、バストの引き寄せ効果を十分に得ることができると共に、バストに対するカップ部12の上部の浮き抑制効果を十分に得ることができる。例えば、着用者が上体を右に捻った場合にあっては、左カップ部12の上辺付近でバストとの間に浮きが生じるところ、この動きに追従して引寄部20が左カップ部12側から右カップ部12側へ固定部30の孔をスライドして引かれ、左側カップ部12がバスト側に押さえつけられることにより上記浮きを抑制することとなる。更には、引寄部20の前中心部20cが着用者の前側に浮くことを防止することができ、アウターウェアに影響を与えることを防止することができる。
[第2の実施形態]
図3は、本発明の第2の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図であり、図4は、図3に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。このブラジャー1Aは、ブラジャー1において、引寄部20に代えて引寄部20Aを備えている点で、第1の実施形態と異なっている。ブラジャー1Aにおけるその他の構成は、ブラジャー1と同一である。
引寄部20Aは、脇側部分22と前中心側部分24とを有している。
脇側部分22は、カップ部12を左右方向に2分割してなる脇側部分12aと前中心側部分12bとのうちの脇側部分12aを覆う。脇側部分22の脇辺部22s及び下辺部22lは、カップ部12における脇側部分12aの脇辺部12s及び下辺部12lsに縫着されている。脇側部分22のその他の部分は、カップ部12の脇側部分12aに対して遊離している。なお、脇側部分22は、カップ部12の脇側部分12aに対して全体的に縫着されていてもよい。この場合、例えば、脇側部分22は、脇側部分12aの縁を一周するように縫着されればよい。
脇側部分22の布地パワーは、前中心側部分24の布地パワーより強くなっている。脇側部分22の布地パワーを強くするためには、脇側部分22として非伸縮性の素材、又は、伸縮性が低い素材、例えば伸張回復性が高い素材(SS曲線傾斜が小さい素材)を用いればよい。これにより、脇側部分22は、バストの脇側部分を押さえるように作用する。
本実施形態では、カップ部12において、肩紐部18の取付部12d近傍とバージスラインの最下部12e近傍とを結ぶラインを、脇側部分12aと前中心側部分12bとの境界としている。これにより、バストの寄せ上げに効果的なバストの脇側部分を効率よく押さえることができる。この脇側部分22の前中心側には、前中心側部分24が縫着されている。
前中心側部分24は、脇側部分22から前中心へ向けて、次第に幅が狭くなるように、底辺がバージスラインに沿った略三角形をなして延びている。前中心側部分24は、前中心において、左右の引寄部のうちのもう一方の前中心側部分と縫着されている。なお、前中心側部分24は、左右の前中心側部分を一枚布から一体的に形成するものであってもよい。前中心側部分24は、カップ部12の前中心側部分12bに対して遊離しており、左右方向に伸縮性を有している。これにより、前中心側部分24は、バストを前中心方向に引き寄せるように作用する。
この前中心側部分24の下辺部24lの布地パワーは、上辺部24uの布地パワーより強くなっている。下辺部24lの布地パワーを強くするためには、上記した引寄部20の前中心側下辺部20lcと同様の構造とすればよい。すなわち、下辺部24lの裏側に、非伸縮性または難伸縮性のテープを縫着したり、下辺部24lの縫製方法としてオーバーロック方式を用いたり、下辺部24lの素材として布地パワーが強い素材を用いたりすればよい。
また、第2の実施形態でも、引寄部20Aの前中心部20cは、土台部14の前中心に設けられた環状の固定部30の孔に挿通されて、土台部14にフレキシブルに固定されている。
このように、第2の実施形態のブラジャー1Aでは、引寄部20Aにおける前中心側部分24の上辺部24u、下辺部24l、脇側部分22の順に布地パワーが強くなっている。
この第2の実施形態のブラジャー1Aでも、引寄部20Aにおける前中心側部分24の下辺部24lの布地パワーが上辺部24uの布地パワーより強いので、第1の実施形態のブラジャー1と同様な利点を得ることができる。
更に、第2の実施形態のブラジャー1Aによれば、引寄部20Aにおける脇側部分22の布地パワーが前中心側部分24の布地パワーより強いので、脇側部分22によってバストの脇側部分を押さえつけることができる。したがって、バストの脇側への広がりを低減することができると共に、前中心側部分24による引き寄せ力を、脇側部分22からバストの脇側部分へ効率よく伝えることができ、バストの造形性をより高めることができる。
[第3の実施形態]
図5は、本発明の第3の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図であり、図6は、図5に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。このブラジャー1Bは、ブラジャー1において、本体部10に代えて本体部10Bを備えている点で、第1の実施形態と異なっている。ブラジャー1Bにおけるその他の構成は、ブラジャー1と同一である。
本体部10Bは、本体部10において、カップ部12に代えてカップ部12Bを有している点で、本体部10と異なっている。本体部10Bのその他の構成は、本体部10と同一である。
カップ部12Bは、左右方向に2分割してなる脇側部分12aと前中心側部分12bとを有している。脇側部分12aの布地パワーは、前中心側部分12bの布地パワーより強くなっている。例えば、カップ部12Bは、上記したカップ部12の表側に装飾用布地を縫着した構成とし、この装飾用布地の脇側部分12aの布地パワーを装飾用布地の前中心側部分12bの布地パワーより強くする。装飾用布地の脇側部分12aの布地パワーを強くするためには、装飾用布地の脇側部分12aとして非伸縮性の素材、又は、伸縮性が低い素材、例えば伸張回復性が高い素材(SS曲線傾斜が小さい素材)を用いればよい。これにより、カップ部12Bの脇側部分12aは、バストの脇側部分を押さえるように作用する。
なお、カップ部12Bの脇側部分12aの布地パワーを強くする手法は、本実施形態に限定されない。例えば、カップ部自体を異なる素材を用いた異なるパーツの組合せによって形成してもよい。
本実施形態でも、カップ部12Bにおいて、肩紐部18の取付部12d近傍とバージスラインの最下部12e近傍とを結ぶラインを、脇側部分12aと前中心側部分12bとの境界としている。これにより、バストの寄せ上げに効果的なバストの脇側部分を効率よく押さえることができる。
なお、第3の実施形態のブラジャー1Bでは、引寄部20における上辺部20u、前中心側下辺部20lc、カップ部12Bにおける脇側部分12aの順に布地パワーが強くなっていることが好ましい。
この第3の実施形態のブラジャー1Bでも、引寄部20を備えているので、第1の実施形態のブラジャー1と同様の利点を得ることができる。
更に、この第3の実施形態のブラジャー1Bでも、カップ部12Bにおける脇側部分12aの布地パワーが前中心側部分12bの布地パワーより強いので、脇側部分12aによってバストの脇側部分を押さえつけることができる。したがって、バストの脇側への広がりを低減することができ、バストの造形性をより高めることができる。
[第4の実施形態]
図7は、本発明の第4の実施形態に係るブラジャーを示す斜視図であり、図8は、図7に示すブラジャーを分解して示す分解斜視図である。このブラジャー1Cは、ブラジャー1Bにおいて、本体部10Bに代えて本体部10Cを備えている点で、第3の実施形態と異なっている。ブラジャー1Cにおけるその他の構成は、ブラジャー1Bと同一である。
本体部10Cは、本体部10Bにおいて、カップ部12Bに代えてカップ部12Cを有している点で、本体部10Bと異なっている。本体部10Cのその他の構成は、本体部10Bと同一である。
カップ部12Cは、左右方向に2分割してなる脇側部分12aと前中心側部分12bとのそれぞれを、更に上下方向に2分割してなる、すなわち、左右上下方向に4分割してなる脇側上部分12auと、脇側下部分12alと、前中心側上部分12buと、前中心側下部分12blとを有している。カップ部12Cにおける布地パワーは、前中心側上部分12bu、前中心側下部分12bl、脇側上部分12au、脇側下部分12alの順に強くなる。
例えば、カップ部12Cは、カップ部の表側に、カップ部12Bと同一の装飾用布地、すなわち、脇側部分12aの布地パワーが前中心側部分12bの布地パワーより強い装飾用布地を縫着した構成とする。そして、この装飾用布地を縫着カップ部として、下部の布地パワーが上部の布地パワーより強いカップ部を用いる。例えば、カップ部の構成を、異なる素材を用いた異なるパーツを上下に組合せた構成とすればよい。これにより、カップ部12Cの布地パワーを、左右上下に4段階に異ならせることができる。
なお、カップ部12Cの布地パワーを左右上下に4段階に異ならせる手法は、本実施形態に限定されない。例えば、カップ部自体を4種の異なる素材を用いた異なるパーツの組合せによって形成してもよいし、装飾用布地自体を4種の異なる素材によって形成してもよい。
この第4の実施形態のブラジャー1Cでも、引寄部20を備えているので、第1の実施形態のブラジャー1と同様の利点を得ることができる。
更に、この第4の実施形態のブラジャー1Cによれば、カップ部12Cにおける比較的に布地パワーが強い脇側下部分12alと脇側上部分12auとによってバストの脇側部分を押さえつけることにより、バストの脇側への広がりを低減することができる。また、カップ部12Cにおける比較的に布地パワーが強い脇側下部分12alと前中心側下部分12blとによってバストを下側から押し上げることができる。したがって、バストの造形性をより高めることができる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、本実施形態では、引寄部20,20Aにおける左右の引寄部が一体的に形成されていたが、引寄部20における左右の引寄部は、フロントホック式のように、ホックやリボン等によって前中心において係合可能になっていてもよい(2ホックタイプ)。
また、本実施形態では、カップワイヤー40を備えるブラジャーを例示したが、本実施形態の特徴は、上記したように、カップワイヤーを備えないノンワイヤータイプのブラジャーにも適用可能である。
また、本実施形態では、バックベルト部16の後端をホック等で掛け留めするタイプのブラジャーを例示したが、本実施形態の特徴は、前中心において土台部14の左右を分離してホック等で掛け留めするフロントホックタイプのブラジャーにも適用可能である。
また、本実施形態の特徴は、フルカップブラジャー、3/4カップブラジャー及び1/2カップブラジャー等のすべてのタイプのブラジャーに適用可能である。
また、本実施形態の特徴は、ブラジャー以外でも、ブラスリップ、ブラキャミソール、ボディスーツ、カップ付きテディ、水着等のようにカップ部を備える衣類であればすべてに適用可能である。
図1に示す第1の実施形態のブラジャー1を実施例1として製作し、試着評価を行った。この評価では、実施例1と従来品との対比評価を行った。ここで、本実施例1に対して対比を行った従来品は、他社の商品であって、主に、引寄部20の前中心側下辺部20lcと上辺部20uとの間に布地パワーの差がない点で、実施例1と異なっている。
本評価では、実施例1と従来品とを試着し、上半身を左右方向の何れか一方に90度回転して戻した後、この回転動作に起因してバストに対するカップ部の上部の浮きがどれくらい生じるかを観測した。
この評価結果によれば、従来品を試着した場合に比べ、実施例1を試着した場合の方が、回転動作に起因して生じるバストに対するカップ部12の上部の浮きが抑制されることを確認した。これは、引寄部20の前中心側下辺部20lcの布地パワーが上辺部20uの布地パワーより強いことにより、着用者の動きに起因して動くバストに対するカップ部12の追従性を高めることができたことによるものと考えられる。
図5に示す第3の実施形態のブラジャー1Bを実施例2として製作し、試着評価を行った。この評価では、実施例2と上記した従来品との対比評価を行った。本評価では、実施例2と従来品とを試着し、バストの造形性(寄せ上げ)効果を観測した。
この評価結果によれば、従来品を試着した場合に比べ、実施例2を試着した場合の方が、バストの脇側への広がりを低減することができ、その結果、バストの寄せ効果が高まっていることを確認した。これは、カップ部12Bにおける脇側部分12aの布地パワーが前中心側部分12bの布地パワーより強く、脇側部分12aによってバストの脇側部分を押さえつけることができたことによるものと考えられる。
また、この評価結果によれば、従来品を試着した場合に比べ、実施例2を試着した場合の方が、バストトップの位置が高くなっていることを確認した。これは、引寄部20の前中心側下辺部20lcの布地パワーが上辺部20uの布地パワーより強く、引寄部20によって、バストを寄せる効果に加えて、バストを押し上げる効果を高めることができたことによるものと考えられる。
1,1A,1B,1C…ブラジャー(カップ部を有する衣類)、10,10B,10C…本体部、12,12B,12C…カップ部、12a…カップ部の脇側部分、12b…カップ部の前中心側部分、12al…カップ部の脇側下部分、12au…カップ部の脇側上部分、12bl…カップ部の前中心側下部分、12bu…カップ部の前中心側上部分、12d…肩紐部の取付部、12e…バージスラインの最下部、12ls…カップ部の脇側下辺部、12s…カップ部の脇辺部、14…土台部、16…バックベルト部、18…肩紐部、20,20A…引寄部、20c…引寄部の前中心部、20lc…引寄部の前中心側下辺部、20ls…引寄部の脇側下辺部、20s…引寄部の脇辺部、20u…引寄部の上辺部、22…引寄部の脇側部分、22l…引寄部の脇側部分の下辺部、22s…引寄部の脇側部分の脇辺部、24…引寄部の前中心側部分、24l…引寄部の前中心側部分の下辺部、24u…引寄部の前中心側部分の上辺部、30…固定部、40…カップワイヤー。

Claims (2)

  1. バストを覆うための一対のカップ部が土台部に支持されている衣類において、
    前記一対のカップ部の表側に設けられた引寄部は、その脇辺部及び脇側下辺部がそれぞれ前記カップ部の脇辺部及び脇側下辺部に縫着され、前記土台部の前中心に向けて次第に幅が狭くなるように延びており、
    前記引寄部の前中心部が、前記土台部の前中心に設けられた固定部に左右方向に移動可能に固定されていることを特徴とする、カップ部を有する衣類。
  2. 前記固定部は、環状に形成されて孔を有しており、前記引寄部の前中心部は、前記孔に挿通されていることにより左右方向に移動可能に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のカップ部を有する衣類。
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