JP2009209460A - 乳房カップを有する衣類 - Google Patents

Abstract

【課題】バック片の上下縁部が着用者の脇部の肌にソフトに追従しやすい構成とすると共に、背中や脇の肉が盛り上がらないようにすっきりさせることができる乳房カップを有する衣類を提供すること。
【解決手段】着用者の脇部から背部を取り巻くバック片２を備え、該バック片２がバージスライン５の脇部上端５ａから背中側肩紐取付部２ａまでの範囲に該バック片２の下縁２ｂとほぼ平行に延びる上縁２ｃを備えて係止具取付部２ｄの幅よりも広い幅部分２ｅとされており、該バック片２の前記広い幅部分２ｅの上縁２ｃがバック片２の構成生地を中空部２ｆを有する折り返し縁２ｇとされている。
【選択図】図１

Description

本発明は、ブラジャー、ブラスリップ等の乳房カップを有する衣類に関するものである。

乳房カップを有する衣類としては、例えば、ブラジャー、ブラスリップ、ボディスーツ等の乳房カップを有するファンデーション類、水着等がある。
この種、乳房カップを有する衣類は、女性の乳房を保護すると共に、乳房を理想的な形状に整え、バスト全体を美しく形づけるために左右のカップ部と、このカップ部の両側脇部から背中側に巻き付けられるバック片と、カップ部及びバック片に取り付けられてカップ部を吊り下げ支持する肩紐とを備えている。
上記バック片の巻き付け力が強すぎると、脇部や背中においてバック片の上下に肉の盛り上がりによる段差ができ、シルエットを低下させる不具合がある。

これらを改善するため、特許文献１，２が提案されている。
特許第３５３１１１０号公報 特許第３８４８９６３号公報

しかし、特許文献１のものは、ブラジャーのバック片において、カップ脇側の上下方向幅寸法よりも背中側肩紐取付部の上下方向幅寸法を大きくし、着用者の脇回り部に対する接触面積を増やして脇から背中の肉を大きく包み込むようにしているため、野暮ったくなるのみならず、バック片の上下縁部が主体生地の端部を折り返し、その折り返し部に共生地を挟んで３重構造としているため、バック片の上下縁部が分厚くなり、着用者の脇部の肌にソフトに追従させることができないという問題点がある。
また、特許文献２のものも、ブラジャーのバック片において、カップ脇側の上下方向幅寸法よりも背中側肩紐取付部の上下方向幅寸法を大きくし、着用者の脇回り部に対する接触面積を増やして脇から背中の肉を大きく包み込むようにしているため、野暮ったくなるのみならず、カップ脇部と背中側肩紐取付部との間のバック片の上縁には弾性を備えた線材を内装させているため、バック片の上縁が分厚くなり、剛性も高くなるため、着用者の脇部の肌にソフトに追従させることができないという問題点がある。さらに、この特許文献２のものは、バック片の肩紐取付部から係止具取付部に亘って裏地が取り付けられており、縫製工数が増加するという問題点もある。

本発明は、バック片の上下縁部が着用者の脇部の肌にソフトに追従しやすい構成とすると共に、背中や脇の肉が盛り上がらないようにすっきりさせることができる乳房カップを有する衣類を提供することを目的としている。

前記目的を達成するために本発明は、着用者の脇部から背部を取り巻くバック片を備え、該バック片がバージスラインの脇部上端から背中側肩紐取付部までの範囲に該バック片の下縁とほぼ平行に延びる上縁を備えて係止具取付部の幅よりも広い幅部分とされており、該バック片の前記広い幅部分の上縁がバック片の構成生地を中空部を有する折り返し縁とされていることを特徴としている。
この構成によれば、着用者の脇回りに接触する部分のバック片を広幅として接触面積を増加させ、着用圧を低下させて締め付けすぎを防止することができ、その際、この部分のバック片の上縁を下縁と平行にしているため、野暮さが改善される。しかも、着用者の脇回りに接触する部分となるバック片の上縁が伸縮性生地を内側へ折り返して中空部を有する折り返し縁とされているため、薄くソフトな縁部とすることができ、着用者の脇回りの肌にソフトに追従させることができて背中や脇の肉の盛り上がりを防止し、滑らかな自然なシルエットを形成させることができる。

また、前記バック片は、下縁がシングルヘムの端末解れ止め編み組織とされていてもよく、或いは、前記バック片は、上縁で二つ折りされたバック片の構成生地が下縁まで延長されており、この下縁には伸縮性テープ生地が前記二つ折りされた生地の間に挟在状態で縫着されていてもよい。
上記前者のように、バック片の下縁をシングルヘムの端末解れ止め編み組織とした場合には、下縁も薄くソフトな縁とすることができ、着用者の脇回りの肌にソフトに追従させることができて段差の発生を防止することができる。しかし、バック片の下縁側は、上縁側に比較して、段差が目立ち難いため、上記後者の構成を採用してもよい。

本発明によれば、バック片の上下縁部が着用者の脇部の肌にソフトに追従しやすい構成とすると共に、背中や脇の肉が盛り上がらないようにすっきりさせることができる乳房カップを有する衣類を提供することができる。このように、本発明の前記構成によれば、女性の乳房を保護すると共に、乳房を理想的な形状に整え、バスト全体を美しく形づけることができ、しかも、後姿をよりスマートに美しく、若々しく見せることができる。

以下、本発明をブラジャーに適用した場合の実施形態を図面に基づいて説明する。
図１（Ａ）は第１の実施形態の正面図であって、１はカップ部、２はバック片、３は肩紐を示している。
左右のカップ部１は、土台部４によって連結されている。カップ部１の構成は、表側生地と裏側生地との間にパッドを介在させて縫製され、バージスライン５に沿って樹脂ワイヤーが内装される場合があるが、省略される場合もある。
左右のカップ部１、１の前側中央部は、左右のカップ部１，１をバージスライン５の下部で接続する土台部４まで深く凹入した谷部６とされている。

バック片２は、着用者の脇部から背部を取り巻くようにカップ部１におけるバージスライン５の脇部側辺よりカップ部１の外側に離隔した位置でカップ部の周辺生地１ａと接合されている。
バック片２は、主伸縮方向を胴回り方向とされた伸縮性生地、例えば、本実施形態ではシングル編み組織のパワーネット生地で構成されている。このバック片２は、バージスライン５の脇部上端５ａから背中側肩紐取付部２ａまでの範囲に該バック片２の下縁２ｂとほぼ平行に延びる上縁２ｃを備えて係止具取付部２ｄの幅よりも広い幅部分２ｅとされている。この広い幅部分２ｅは、本実施形態では、約８ｃｍの上下方向幅とされている。

また、上記バック片２の前記広い幅部分２ｅの上縁２ｃは、バック片２を構成する生地、本実施形態では伸縮性生地の上縁２ｃ側を二つ折りして縫い止めすることにより、中空部２ｆを有する折り返し縁２ｇとされている（図１（Ｂ）参照）。上縁２ｃの生地折り返し幅は、約２ｃｍとされている。
さらに、バック片２の下縁２ｂは、シングルヘムの端末解れ止め編み組織部２ｈとされている。このシングルヘムの端末解れ止め編み組織部２ｈの幅は、約２ｃｍとされている。

バック片２の係止具取付部２ｄには、係止フックと係止アイが適宜取り付けられ、この係止具取付部２ｄの幅は、約３．５ｃｍとされている。
そして、係止具取付部２ｄと背中側肩紐取付部２ａとの間のバック片２の上縁２ｃ’は、下向きに凸の円弧状曲線で構成されている。この上縁２ｃ’には、伸縮性テープ生地２ｉが縫着され、この伸縮性テープ生地２ｉの上端に肩紐連結具２ｊが取り付けられている。
肩紐３は、カップ部１とバック片２の背中側肩紐取付部２ａとに取り付けられ、カップ部１を支持するものである。カップ部１は、上縁１ｂが胸部中央から肩部へ向けて斜め上に曲線状に形成され、一方、脇側縁１ｃがバージスライン５の脇部上端５ａから前身中央側へ斜め上に曲線状に形成され、これらの上縁１ｂの上端と脇側縁１ｃの上端とが三角形の頂角のように交叉し、この交叉位置に肩紐３の前端側が縫着されている。肩紐３の前端側は、図１（Ｃ）に示すように、パワーネット生地のような伸縮性生地を二つ折りした広幅の第１紐部３ａと細幅の伸縮性テープ生地からなる第２紐部２ｂとを外側寄りに重ね合わせて縫着してあり、第１紐部３ａは、図１（Ａ）に示すように、カップ部１側では幅広とされ、肩部に向けて次第に細幅とされている。第２紐部３ｂは、一様な紐幅とされている。なお、肩紐３の背中側は、第２紐部３ｂよりもやや幅広の伸縮性テープ生地のみで構成されている。肩紐３の前端側の第２紐部３ｂは、カップ部１の上縁１ｂの上端と脇側縁１ｃの上端との交叉位置から脇側縁１ｃに沿って延長して縫着されており、バック片２の上縁２ｃに接合されている。

図２（Ａ）は第２の実施形態の正面図であって、この第２の実施形態のバック片２は、上縁で二つ折りされたバック片２の構成生地が、図２（Ｂ）に示すように、下縁２ｂまで延長されており、この下縁２ｂには伸縮性テープ生地２ｋが前記二つ折りされた生地の間に挟在状態で縫着されている。また、肩紐３は、伸縮性テープ生地のみで全長が構成されている。他の構成は、第１の実施形態とほぼ同様であるため、同一部位には同一符号を付してその説明を省略する。
本発明の実施形態は以上の構成からなるため、次のような作用効果を奏する。

即ち、着用者の脇回りに接触する部分のバック片２を広幅として接触面積を増加させ、着用圧を低下させて締め付けすぎを防止することができ、その際、この部分のバック片２の上縁２ｃを下縁２ｂと平行にしてあるため、野暮さが改善される。
そして、着用者の脇回りに接触する部分となるバック片２の上縁２ｃは、伸縮性生地を内側へ折り返して中空部２ｆを有する折り返し縁２ｇとしてあるため、薄くソフトな縁部となり、着用者の脇回りの肌にソフトに追従させることができて背中や脇の肉の盛り上がりを防止し、滑らかな自然なシルエットを形成させることができる。例えば、図３（Ａ）は本発明品の装着状態の背面図であり、図３（Ｂ）はバック片の上縁及び下縁に伸縮性テープ生地を縫着した従来品の装着状態の背面図であって、従来品には、背中や脇の肉の盛り上がりが発生している。

また、バック片２は、主伸縮方向を胴回り方向とされた伸縮性生地で構成することによって、着用者の上半身の動きによく追従させることができる。
さらに、バック片２は、第１の実施形態のように、下縁２ｂをシングルヘムの端末解れ止め編み組織部２ｈとした場合には、伸縮性テープ生地を別途取り付けなくてもよくなり、バック片２の下縁２ｂを薄くソフトな縁とすることができる。このため、着用者の脇回りの肌にソフトに追従させることができて段差の発生を防止することができる。
なお、バック片２の下縁２ｂ側は、上縁２ｃ側に比較して、段差が目立ち難いため、第２の実施形態のように、上縁２ｃで二つ折りされたバック片２の構成生地を下縁２ｂまで延長し、この下縁２ｃには伸縮性テープ生地２ｋを二つ折りされた生地の間に挟在状態で縫着してもよい。この場合には、ソフトなバック片２の下縁２ｂ側の形態保持機能を向上させるとともに装着バンド機能を具備させることができる。

また、バック片２と接合される左右のカップ部１，１の前側中央部が、左右のカップ部１，１をバージスライン５の下部で接続する土台部４まで深く凹入した谷部６とすることによって、前側のデザインがモダン化されると共に、楽な着用感を付与することができる。
さらに、バック片２がバージスライン５の脇部側辺よりカップ部１の外側に離隔した位置でカップ部１の周辺生地１ａと接合してあることによって、バック片２とカップ部１の周辺生地１ａとの接合縫着が容易となる。

また、肩紐３は、第１の実施形態の構成のものを使用することにより、バストの支持力を分散させて楽な装着感を得ることができる。
本発明の実施形態は、以上であるが、本発明はこれらの実施形態にのみ制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で自由に変形して実施することができ、また、ブラジャー以外の乳房カップを有する衣類に適用することができる。

（Ａ）は第１の実施形態の正面図、（Ｂ）及び（Ｃ）は（Ａ）のＡ−Ａ線断面図、及びＢ−Ｂ線断面図である。 （Ａ）は第２の実施形態の正面図、（Ｂ）は（Ａ）のＣ−Ｃ線断面図である。 （Ａ）は本発明品の装着状態の背面図であり、（Ｂ）は従来品の装着状態の背面図である。

符号の説明

１ カップ部
２ バック片
３ 肩紐
４ 土台部
５ バージスライン
６ 谷部

Claims (3)

1. 着用者の脇部から背部を取り巻くバック片を備え、該バック片がバージスラインの脇部上端から背中側肩紐取付部までの範囲に該バック片の下縁とほぼ平行に延びる上縁を備えて係止具取付部の幅よりも広い幅部分とされており、該バック片の前記広い幅部分の上縁がバック片の構成生地を中空部を有する折り返し縁とされていることを特徴とする乳房カップを有する衣類。
2. 前記バック片は、下縁がシングルヘムの端末解れ止め編み組織とされていることを特徴とする請求項１に記載の乳房カップを有する衣類。
3. 前記バック片は、上縁で二つ折りされたバック片の構成生地が下縁まで延長されており、この下縁には伸縮性テープ生地が前記二つ折りされた生地の間に挟在状態で縫着されていることを特徴とする請求項１に記載の乳房カップを有する衣類。

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