JP5338721B2 - 固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物、セパレータシール及びセパレータ - Google Patents

固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物、セパレータシール及びセパレータ Download PDF

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Description

本発明は、小型の燃料電池として使用できる固体高分子型燃料電池のセパレータ用接着性シール組成物に関し、特に、シール材として重要な圧縮永久歪特性及び接着性に優れた固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物に関する。更に、該接着性シール組成物を硬化して得られる固体高分子型燃料電池セパレータシール、及び固体高分子型燃料電池セパレータに関する。
燃料電池は、資源の枯渇に留意する必要がある化石燃料を使用する必要が殆どない上に、発電において騒音を殆ど発生せず、エネルギーの回収率も他のエネルギー発電機関と比べて高くできる等の優れた性質を持つために、ビルや工場の比較的小型の発電プラントとして開発が進められ、一部実用化されている。中でも固体高分子型燃料電池は、他のタイプの燃料電池と比べて低温で作動するので、電池を構成する部品について材料面での腐食の心配が少ないばかりか、低温作動の割に比較的大電流を放電可能といった特徴をもち、家庭のコージェネレーション用としてだけでなく、車載用の内燃機関の代替電源としても注目を集めている。この固体高分子型燃料電池を構成する部品の中で、セパレータは、一般的に平板の両面又は片面に複数の並行する溝を形成してなるもので、燃料電池セル内のガス拡散電極で発電した電気を外部へ伝達すると共に、発電の過程で上記溝中に生成した水を排水し、当該溝を燃料電池セルへ流入する反応ガスの流通路として確保するという役割を担っている。このような電池用のセパレータとしては、より小型化が要求され、また多数のセパレータを重ね合わせて使用することから耐久性が優れ、長期間使用できるセパレータ用シール材料が要求されている。
このようなセパレータ用シール材料としては、各種樹脂からなるパッキング材が検討されているが、成形性、弾性に優れたシリコーンゴム製のシール材が主に使用されている。更に、シリコーンゴムとしては、より成形性に優れた付加硬化型のシリコーンゴム組成物による硬化ゴムが用いられているが、長期間の信頼性を維持するという点では不十分であった。特に、燃料電池セパレータ用パッキング材として必要な耐酸性、耐熱性及び各種セパレータ基材や電解質膜等との接着性という点においては、十分なものではなかった。
このような問題点を解消するものとして、特開2002−309092号公報(特許文献1)には、付加硬化型の液状シリコーンゴム組成物中にシリコーンレジンを使用すること、また特開2003−257456号公報(特許文献2)には、耐酸性無機粉を配合することが記されている。しかしながら、耐熱性、接着性については、耐熱向上剤や接着性付与剤の配合は任意と記されるのみで、具体的な例示はなく、実施例への記載も全くなかった。また、本発明の用途で重要視される高温高湿条件でのシール性(圧縮永久歪)についても何ら開示はなかった。
一方、特開2004−269782号公報(特許文献3)及び特開2006−12784号公報(特許文献4)には、特定の接着助剤を使用することで接着耐久性が向上することが記されているが、燃料電池シール材料として重要な圧縮永久歪特性についての記載は全くなく、また各種の無機粉体が明細書中に任意成分として記されているが、その具体的な作用効果が明示されておらず、実施例、比較例での記載も全くなかった。更に、特開2010−9903号公報(特許文献5)では、各種の接着助剤と酸化鉄を組み合わせて配合することにより、低圧縮永久歪で、接着性に優れる燃料電池シール用の材料が開示されているが、接着試験は初期状態のみで行われており、接着耐久性、特に高熱、酸性水等の過酷な条件下における接着耐久性については、全く触れられていなかった。
特開2002−309092号公報 特開2003−257456号公報 特開2004−269782号公報 特開2006−12784号公報 特開2010−9903号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、固体高分子型燃料電池において、セパレータ間を流通する燃料ガス(酸素、水素、空気)が外部に漏れないように、更に周囲の冷却水等の外部環境が内部に浸入しないようにセパレータに形成されるシール材料用として使用され、各種の有機樹脂や金属との接着が可能で、かつ燃料電池用途として必要な長期接着耐久性に優れ、更に比較的良好な圧縮永久歪を有する硬化物を与える固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物、該組成物の硬化物からなるセパレータシール、及びセパレータを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、付加硬化型シリコーンゴム組成物に特定の架橋剤と特定の接着助剤を配合することにより、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の種々の金属、ポリカーボネート、ポリアミド、芳香族ポリアミド、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、ポリイミド、ポリウレタン等の多種多様な樹脂との接着が可能で、接着耐久性にも優れ、かつ圧縮永久歪が比較的小さい硬化物を与えるシリコーンゴム組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は、下記固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物、セパレータシール及びセパレータを提供する。
請求項1:
(A)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、かつ、ケイ素原子結合水素原子を含有しないオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基又はアリール基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部、
(C)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2個以上含有し、ケイ素原子と結合するアリール基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0〜20質量部、
(D)補強性シリカ微粉末:3〜100質量部、
(E)接着助剤:0.1〜30質量部、及び
(F)付加反応触媒:触媒量
を含有することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項2:
上記(B)成分の一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重合度が、15以上100以下である請求項1記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項3:
上記(B)成分の一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(SiH基)の含有量が、0.006〜0.015モル/gの範囲である請求項1又は2記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項4:
上記(A)成分中のアルケニル基の合計に対する上記(B)成分及び(C)成分中のSiH基の合計のモル比(SiH基/アルケニル基)が、0.8〜5.0の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項5:
上記(E)成分の接着助剤が、エポキシ基、イソシアネート基、1〜4価の芳香族基、ケイ素原子結合水素原子(SiH基)、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シラノール基、エステル結合及びアミド結合から選ばれる2種以上の基を分子中に有する非ケイ素系有機化合物又は有機ケイ素化合物である請求項1乃至4のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項6:
上記(E)成分の接着助剤が、分子中にSiH基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基から選ばれる基を有する非ケイ素系有機化合物又は有機ケイ素化合物である請求項5記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
請求項7:
請求項1乃至6のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物の硬化物からなる固体高分子型燃料電池セパレータシール。
請求項8:
セパレータ基材の少なくとも片面の周縁部に、シール部として請求項7記載の固体高分子型燃料電池セパレータシールが形成されてなる固体高分子型燃料電池セパレータ。
本発明によれば、特定量の上記(A)〜(F)成分を組み合わせることにより、固体高分子型燃料電池用セパレータのシール材料として優れた接着性シール組成物を提供することができ、該組成物の硬化物は、圧縮永久歪が小さく、かつ各種セパレータ基材との接着性、特に接着耐久性も良好なシーリング構造を与える。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物は、
(A)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、かつ、ケイ素原子結合水素原子を含有しないオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基又はアリール基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2個以上含有し、ケイ素原子と結合するアリール基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)補強性シリカ微粉末、
(E)接着助剤、及び
(F)付加反応触媒
を含有する。
[(A)成分]
(A)成分のケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、かつ、ケイ素原子結合水素原子を含有しないオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(I)で示されるものを用いることができる。
1 aSiO(4-a)/2 (I)
(式中、R1は、互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基から選ばれる1価炭化水素基であり、aは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8〜2.5、更に好ましくは1.95〜2.02の範囲の正数である。)
ここで、上記R1で示されるケイ素原子に結合した非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基から選ばれる1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
1のうち少なくとも2個はアルケニル基(炭素数2〜8のものが好ましく、更に好ましくは2〜6のものであり、特に好ましくはビニル基である。)であることが必要である。
上記アルケニル基の含有量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン中1.0×10-6モル/g〜5.0×10-4モル/gとすることが好ましく、特に1.0×10-5モル/g〜2.0×10-4モル/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が1.0×10-6モル/gより少ないとゴム硬度が低すぎてゲル状になってしまう場合があり、また5.0×10-4モル/gより多いと架橋密度が高くなりすぎて、硬度の高いゴムになってしまう場合がある。このアルケニル基は、分子鎖末端のケイ素原子に結合していても、分子鎖途中のケイ素原子に結合していても、両者に結合していてもよい。
なお、上記アルケニル基以外のR1としては、全R1のうち90モル%以上がメチル基であることが好ましく、特には、アルケニル基を除く全てのR1がメチル基であることが好ましい。
また、上記式(I)中、aは好ましくは1.5〜2.8、より好ましくは1.8〜2.5、更に好ましくは1.95〜2.02の範囲の正数である。(A)成分のオルガノポリシロキサンは、基本的には分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基(R1 3SiO1/2)で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位(R1 2SiO2/2)の繰り返しからなる直鎖状構造を有するが、部分的には分岐状の構造、環状構造、三次元網状構造等を有していてもよい。分子量については、平均重合度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ分析(GPC)におけるポリスチレン換算の重量平均重合度、以下同様)が1,500以下であることが好ましく、通常100〜1,500、特に150〜1,000であることが好ましい。100未満では十分なゴム感が得られない場合があり、1,500より高いと粘度が高くなり、成形が困難になってしまう場合がある。
[(B)成分]
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基又はアリール基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子(SiH基)を3個以上有し、かつ、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基(即ち、非置換又は置換の1価炭化水素基)の合計の3モル%以上がフェニル基であるものであり、分子中のSiH基が上記(A)成分のケイ素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル付加反応により架橋することで、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
この(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(II)
2 cdSiO(4-c-d)/2 (II)
(式中、R2は炭素数1〜10の非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基から選ばれる1価炭化水素基である。また、cは好ましくは0.7〜2.1、dは好ましくは0.001〜1.0で、かつc+dは好ましくは0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示されるものを用いることができ、一分子中に3個以上(通常3〜200個)、好ましくは6〜100個、より好ましくは10〜50個、更に好ましくは20〜50個のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有するものが好適に用いられる。
ここで、R2の非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基から選ばれる1価炭化水素基としては、アルケニル基を除いてR1で例示したものと同様の基を挙げることができるが、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基(例えば、R2の非置換又は置換の1価炭化水素基)の合計の3モル%以上がフェニル基であることが必須であり、好ましくは5モル%以上50モル%以下、より好ましくは8モル%以上40モル%以下、更に好ましくは10モル%以上35モル%以下がフェニル基である。更に、アルケニル基等の脂肪族不飽和結合を有しないものである。また、cは好ましくは0.8〜2.0、dは好ましくは0.01〜1.0、かつc+dは好ましくは1.0〜2.5であり、(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中のケイ素原子の数(又は重合度)は、好ましくは3〜300個、より好ましくは10〜200個、更に好ましくは15〜100個で、室温(25℃)で液状のものが好適に用いられる。なお、ケイ素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
上記(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)フェニルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン環状共重合体、メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン環状共重合体、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・ジフェニルシロキサン環状共重合体、ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン・メチルフェニルシロキサン環状共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C652SiO2/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C653SiO1/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C652SiO2/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(C65)SiO3/2単位とからなる共重合体等が挙げられる。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)の含有量は、0.006〜0.015モル/gであることが好ましく、より好ましくは、0.007〜0.013モル/gである。0.006モル/gより少ないと接着が不十分になってしまう場合がある。一方、0.015モル/gを超えると、1個のケイ素原子上に2個以上の水素原子が結合した構造が必要となり、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン分子が非常に不安定な物質になってしまう場合がある。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部であり、好ましくは0.3〜15質量部である。0.1質量部より少ないと、架橋が不十分になり、べたついたゴムとなってしまい、30質量部より多いと、ゴム物性が低下してしまい、かつ不経済である。また、同様の理由により、(A)成分中のケイ素原子に結合するアルケニル基に対する(B)成分中のSiH基がモル比で0.8〜5.0、好ましくは1.5〜4.0となる量で(B)成分を配合することもできる。
[(C)成分]
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子(SiH基)を2個以上有し、かつアリール基を含有しないものであり、(B)成分と同じく、分子中のSiH基が上記(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル付加反応により架橋することで、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
この(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(III)
3 efSiO(4-e-f)/2 (III)
(式中、R3は炭素数1〜10の非置換又はハロゲン置換のアルキル基から選ばれる1価炭化水素基であるが、フェニル基等のアリール基を含まない。また、eは好ましくは0.7〜2.1、fは好ましくは0.001〜1.0で、かつe+fは好ましくは0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示されるものを用いることができ、一分子中に2個以上(通常、2〜300個)、好ましくは3〜200個、より好ましくは4〜100個のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有するものが好適に用いられる。
ここで、R3の非置換又はハロゲン置換のアルキル基から選ばれる1価炭化水素基としては、アルケニル基、アリール基を除いてR1で例示したものと同様の基を挙げることができるが、フェニル基等のアリール基及び脂肪族不飽和結合を有しないものである。また、eは好ましくは0.8〜2.0、fは好ましくは0.01〜1.0、e+fは好ましくは1.0〜2.5であり、(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。この場合、一分子中のケイ素原子の数(重合度)は、好ましくは2〜300個、より好ましくは4〜200個、更に好ましくは10〜100個で、室温(25℃)で液状のものが好適に用いられる。なお、ケイ素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置していてもよい。
上記(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの例としては、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、メチルハイドロジェンシクロポリシロキサン、メチルハイドロジェンシクロシロキサン・ジメチルシロキサン環状共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH33SiO1/2単位と(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CH3)SiO3/2単位とからなる共重合体、(CH32HSiO1/2単位とSiO4/2単位と(CH32SiO2/2単位とからなる共重合体や、上記各例示化合物において、メチル基の一部又は全部がエチル基、プロピル基等の他のアルキル基で置換されたもの等が挙げられる。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子(SiH基)の含有量は、0.002〜0.017モル/gであることが好ましく、より好ましくは、0.003〜0.017モル/gである。0.002モル/gより少ないと接着性が低下する場合がある。一方、0.017モル/gを超えると、1個のケイ素原子上に2個以上の水素原子が結合した構造が必要となり、該オルガノハイドロジェンポリシロキサン分子が非常に不安定な物質になってしまう場合がある。
(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは任意成分であり、その配合量は、(A)成分100質量部に対して0〜20質量部であり、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは1〜10質量部である。20質量部より多いと、ゴム物性が低下してしまい、かつ不経済である。また、(A)成分中のケイ素原子結合アルケニル基に対する(B)成分と(C)成分中に含まれるSiH基の合計のモル比が、0.8〜5.0、特には1.2〜3.0程度となるように(B)成分、(C)成分を配合することが好ましい。
なお、(B)成分及び(C)成分中に含まれるSiH基の合計に対する(B)成分中に含まれるSiH基の割合が、50〜100モル%、特には50〜95モル%、更には60〜90モル%(即ち、モル比で0.5〜1、特には0.5〜0.95、更には0.6〜0.9)となる量で配合することが好ましい。
[(D)成分]
(D)成分の補強性シリカ微粉末は、シリカの種類に特に限定はなく、通常ゴムの補強材として使用されるものであればよい。上記補強性シリカ微粉末としては、従来のシリコーンゴム組成物に使用されているものを使用できるが、特には比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ微粉末が好ましい。特に50〜400m2/gの沈殿シリカ、ヒュームドシリカ、焼成シリカ等が好適に使用される。ゴム強度を向上させるためにはヒュームドシリカが好適である。
また、上記補強性シリカ微粉末は、表面処理されたシリカ微粉末であってもよい。その場合、これらのシリカ微粉末は、予め粉体の状態で直接処理されたものでもよい。処理法としては、通常は一般的に周知の方法でよく、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末と処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温又は熱処理にて混合処理する方法が挙げられる。場合により触媒を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより処理シリカ微粉末を製造し得る。処理剤の配合量は、その処理剤の被覆面積から計算される量以上であればよい。処理剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン及びクロロプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、ポリメチルシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物が挙げられるが、特にシラン系カップリング剤又はシラザン類が好ましい。これらの処理剤で表面処理し、疎水性シリカ微粉末として用いることができる。
(D)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して3〜100質量部であり、好ましくは5〜80質量部、より好ましくは10〜50質量部である。3質量部未満では、硬化ゴムの機械的強度が弱くなり脱型等成形に問題が生じる。100質量部を超えると充填が困難となり、作業性、加工性が悪くなる。
[(E)成分]
(E)成分は、接着助剤(接着性付与剤)として作用するものであり、通常、付加硬化型シリコーンゴム組成物に使用できるものであればいかなるものでも構わない。特には、一分子中にエポキシ基、イソシアネート基、1〜4価(特には2〜4価)の芳香族基、ケイ素結合水素原子(SiH基)、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シラノール基、エステル結合、アミド結合から選ばれる2種以上を有する分子中にケイ素原子を有さない(非ケイ素系)有機化合物、又はシラン、シロキサン等の有機ケイ素化合物が好ましい。例えば、アルケニル基、1価の芳香族基、エポキシ基、イソシアネート基、(メタ)アクリロイル基等の官能性基の1種以上を有するアルコキシシラン(即ち、分子中に1個以上のアルコキシシリル基を有するシラン)に代表される以下のような各種のシランカップリング剤が例示できる。
Figure 0005338721
また、シロキサン化合物としては、分子中に1個以上のケイ素原子結合水素原子(SiH基)を有し、かつ、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、2〜4価の芳香族基、アルコキシシリル基、エステル結合及びアミド結合から選ばれる1種以上を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。このようなものとしては、ケイ素原子数が好ましくは2〜30個、より好ましくは4〜20個程度の直鎖状又は環状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンが挙げられる。更には、分子中に1個以上、好ましくは2〜4個程度のアルケニル基又は(メタ)アクリロイル基及び1〜4個、好ましくは2〜4個程度の2〜4価の芳香族環を有する、分子中にケイ素原子を含有しない炭素数50個以下の(非ケイ素系)有機化合物等が挙げられる。具体的には、以下に示すような化合物が例示される。
Figure 0005338721
Figure 0005338721
(E)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜30質量部であり、好ましくは0.2〜20質量部、より好ましくは0.3〜15質量部である。配合量が0.1質量部未満では十分な接着性が得られず、30質量部を超えると圧縮永久歪が悪化するだけでなく、物性低下を引き起こす。
なお、(B)、(C)、(E)各成分に含有するケイ素原子結合水素原子(SiH基)の合計量は、(A)成分及び(E)成分中のアルケニル基の合計に対するモル比としてSiH基/アルケニル基=0.8〜5.0の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.0〜5.0、更に好ましくは1.2〜3.0の範囲である。
[(F)成分]
(F)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第二白金、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒等が挙げられる。この付加反応触媒の添加量は触媒量であり、通常(A)成分に対して白金、パラジウム又はロジウム金属質量として0.1〜1,000ppm、特に1〜200ppmであることが好ましい。
[その他の任意成分]
本発明の接着性シール組成物には、上記した成分以外に、目的に応じて各種の添加剤、例えば、酸化チタン、酸化鉄、酸化セリウム、酸化バナジウム、酸化コバルト、酸化クロム、酸化マンガン等の金属酸化物及びその複合物、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、カーボン、中空ガラス、中空樹脂、金、銀、銅等の導電性を有する無機粉末、メッキ粉末等の無機充填剤を添加することができる。また、本発明の目的とする特性を損なわない限り、顔料、耐熱剤、難燃剤、可塑剤、反応制御剤等を添加してもよい。なお、これらの任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で任意とすることができる。
[組成物の用途]
本発明の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物は、上記した(A)〜(F)成分及び任意成分を常温で均一に混合するだけでも得ることが可能であるが、(D)成分を予め(A)成分の全量又はその一部とプラネタリーミキサーやニーダー等で100〜200℃の範囲で1〜4時間熱処理し、室温に冷却後、その他の成分を添加、混合することが好ましい。
本発明のゴム硬化物を用いて燃料電池セパレータシールを得る方法として、具体的には、上記シリコーンゴム組成物を圧縮成型、注入成型、射出成型等によりシール形状に成型してセパレータ基材と組み合わせる方法や、ディッピング、コーティング、スクリーン印刷、インサート成型等によりセパレータ基材とシールが一体化したものとして得る方法等がある。なお、上記シリコーンゴム組成物の硬化条件は、温度100〜300℃で10秒〜30分の範囲が好ましい。
特に本組成物の接着性を有効に生かすためには、予めセパレータ基材を金型内にセットし、これに未硬化の材料を接触硬化させた両者が一体化した成形物を得る方法(インサート成形)や、溶融又は未硬化の有機樹脂と本組成物とを交互に金型に射出することにより一体化物を得る2色成形等が好ましい。
これらの成形に効果的に使用されるには、本組成物の粘度は、25℃でせん断速度が10s-1のときの粘度が、50〜800Pa・sであることが好ましく、より好ましくは80〜600Pa・s、更に好ましくは100〜500Pa・sの範囲である。この粘度が50Pa・s未満でも、800Pa・sを超えても成形が難しくなってしまうことがある。なお、上記粘度は回転粘度計による測定値である。
なお、上記粘度とするためには、使用するオルガノポリシロキサン成分(特に、ベースポリマーである(A)成分)の重合度及び(D)成分の補強性シリカ微粉末の種類と配合量の選択によって適宜調整することができる。例えば(A)成分の平均重合度が800以上のときは、(D)成分の補強性シリカ微粉末の配合量は、乾式シリカ(ヒュームドシリカ)の場合、(A)成分100質量部に対して20質量部以下、表面活性の低い湿式シリカ(沈殿シリカ)の場合、(A)成分100質量部に対して30質量部以下とすることが好ましい。また、(A)成分の平均重合度が300以上800未満のときには、(D)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して50質量部以下(特に20〜50質量部)、(A)成分の平均重合度が300未満のときには、(D)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して40質量部以上(特に40〜100質量部)とすることが好ましい。
また、本発明の接着性シール組成物(付加硬化型自己接着性シリコーンゴム組成物)の硬化速度は、上記の成形方法に合うものであれば特に限定はないが、その効率を重視すると、硬化性試験機[ローターレスタイプディスクレオメータ、ムービングダイ式レオメーター、又はMDR]による130℃で3分測定時の10%硬化時間をT10(秒)としたとき、10秒≦T10≦60秒の範囲であることが好ましく、より好ましくは、15秒≦T10≦40秒の範囲である。10秒未満では硬化が早すぎて成形が困難になる場合があり、60秒を超えると成形サイクルが長くて不経済になる場合がある。
なお、10%硬化時間を上記範囲とするためには、(F)成分の付加反応触媒に加えて、アセチレン化合物、リン化合物、窒素含有化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート等の従来公知の付加反応制御剤、特には、三重結合を有する炭素上に水酸基を有するアセチレン化合物(アセチレンアルコール)を併用して配合することが好ましい。付加反応制御剤の配合量は、上記T10が適切な範囲となるように、(F)成分との配合量比で適宜選択し得る。
本発明において、セパレータ基材として使用される金属としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、ステンレススチール、真鍮等種々挙げることができるが、耐酸性が必要であるため、ステンレススチールのように耐腐食性のあるもの、又は表面を改質したもの等が好適に使用される。有機樹脂としては、通常のオレフィン重合系又は縮重合系等の熱可塑性樹脂やエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、これらの樹脂に電気抵抗を下げるためカーボン等の導電性フィラーを高充填したもの等が挙げられる。有機樹脂として具体的には、ウレタン(PU)樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ナイロン樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、液晶樹脂等が挙げられる。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも質量部であり、%はいずれも質量%である。
[実施例1]
両末端がそれぞれジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が30,000mPa・sのジメチルポリシロキサンA(重合度710)60部、比表面積200m2/gのヒュームドシリカ30部、ヘキサメチルジシラザン6部、及び水2部をニーダーミキサーを使用して均一に混合した後、更に150℃で3時間加熱混合してシリコーンゴムベースを得た。このシリコーンゴムベースに、ジメチルポリシロキサンA30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有するジメチルポリシロキサンB(重合度220、ビニル価0.00065モル/g)10部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にケイ素原子結合水素原子及びメチル基を有しフェニル基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサンA(重合度35、SiH量0.0092モル/g)1.2部、下記式(1)
Figure 0005338721
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンB(SiH量0.0117モル/g)0.8部、更に、下記式(2)
Figure 0005338721
で示されるSiH官能基を有する接着助剤A(SiH量0.004モル/g)0.5部、塩化白金酸の1%2−エチルヘキサノール溶液0.1部、及び反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノールの50%エタノール溶液0.08部を加え、均一に約30分間混合し、シリコーンゴム組成物を得た。ここで、このシリコーンゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比(SiH基/アルケニル基)は2.2であった。
上記シリコーンゴム組成物の25℃、せん断速度10s-1における粘度を精密回転式粘度計ロトビスコRV1型(英弘精機(株)製)により測定した結果、245Pa・sであった。更に、130℃での硬化速度(T10)をレオメーターMDR2000(アルファテクノロジーズ社製)により測定した結果、T10は25秒であった。
上記シリコーンゴム組成物を150℃で5分間プレスキュア(圧縮永久歪測定は、15分間)し、更に150℃で2時間オーブン中ポストキュアを実施し、得られた硬化物の、硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び及び圧縮永久歪(25%圧縮、150℃×22時間)をJIS−K6249に基づき測定した。結果を表1に示す。
また、ステンレス鋼(SUS)、PPA(30%ガラス繊維入り芳香族ポリアミド)のテストピース(約25×50mm)を型内に置いて、上記シリコーンゴム組成物をその上部に置いて、150℃で3分間プレスキュアを実施した(ゴム厚さ1〜3mm)。このように一体化した成形物をそれぞれの基材について3個作製し、1個はそのまま、もう1個は150℃のオーブンに1週間放置後、最後の1個は加圧容器に入れた硫酸水(pH2)に浸漬させて120℃のオーブンに1週間放置後、成形物を手で剥がし、凝集破壊率(ゴム破壊率)によって接着性を評価した。結果を表2に示す。
[実施例2]
両末端がそれぞれジメチルビニルシロキシ基で封鎖された25℃の粘度が50,000mPa・sのジメチルポリシロキサンC(重合度850)60部、比表面積300m2/gのヒュームドシリカ10部、比表面積200m2/gの沈降シリカ20部、ヘキサメチルジシラザン6部、及び水2部をニーダーミキサーを使用して均一に混合した後、更に150℃で3時間加熱混合してシリコーンゴムベースを得た。このシリコーンゴムベースに実施例1のジメチルポリシロキサンA30部、実施例1のジメチルポリシロキサンB10部、両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖された側鎖にビニル基を有する生ゴム状ジメチルポリシロキサンD(重合度8000、ビニル価0.000022モル/g)10部、下記式(3)
Figure 0005338721
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンC(SiH量0.0072モル/g)1.7部、及び下記式(4)
Figure 0005338721
で示されるSiH官能基を有する接着助剤B(SiH量0.0096モル/g)0.6部、塩化白金酸の1%2−エチルヘキサノール溶液0.1部、及び反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノールの50%エタノール溶液0.10部を加え、均一に約30分間混合し、シリコーンゴム組成物を得た。ここで、このシリコーンゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比(SiH基/アルケニル基)は1.8であった。
このシリコーンゴム組成物の粘度及び硬化速度を実施例1と同じ方法によって測定した結果、粘度は390Pa・s、T10は31秒であった。
このシリコーンゴム組成物の硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び、圧縮永久歪及び接着性を実施例1と同じ方法によって測定した。結果を表1及び2に示す。
[実施例3]
実施例2のジメチルポリシロキサンC(重合度850)60部、表面がジメチルジクロロシランによって疎水化処理された比表面積180m2/gのヒュームドシリカ((株)トクヤマ製、レオロシールDM20S)40部、ヘキサメチルジシラザン4部、及び水2部をニーダーミキサーを使用して均一に混合した後、更に150℃で3時間加熱混合してシリコーンゴムベースを得た。このシリコーンゴムベースに実施例1のジメチルポリシロキサンA20部、実施例1のオルガノハイドロジェンポリシロキサンA2.2部、下記式(5)
Figure 0005338721
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンD2.4部、下記式(6)
Figure 0005338721
で示される接着助剤0.5部、塩化白金酸の1%2−エチルヘキサノール溶液0.1部、及び反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノールの50%エタノール溶液0.10部を加え、均一に約30分間混合し、シリコーンゴム組成物を得た。ここで、このシリコーンゴム組成物中の全アルケニル基に対する全SiH官能基のモル比(SiH基/アルケニル基)は2.5であった。
このシリコーンゴム組成物の粘度及び硬化性を実施例1と同じ方法によって測定した結果、粘度は360Pa・s、T10は32秒であった。
このシリコーンゴム組成物の硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び、圧縮永久歪及び接着性を実施例1と同じ方法によって測定した。結果を表1及び2に示す。
[比較例1]
実施例1において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンA1.2部及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンB0.8部に代えて、オルガノハイドロジェンポリシロキサンAのみ2.1部を配合した以外は、実施例1と同じ方法によって組成物を調製し、得られた組成物の粘度及び硬化性を実施例1と同じ方法によって測定した。その結果、粘度は245Pa・s、T10は30秒であった。
このシリコーンゴム組成物の硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び、圧縮永久歪及び接着性を実施例1と同じ方法によって測定した。結果を表1及び2に示す。
[比較例2]
実施例2において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンC1.7部に代えて、オルガノハイドロジェンポリシロキサンA1.3部を配合した以外は、実施例2と同じ方法によって組成物を調製し、得られた組成物の粘度及び硬化性を実施例1と同じ方法によって測定した。その結果、粘度は320Pa・s、T10は31秒であった。
このシリコーンゴム組成物の硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び、圧縮永久歪及び接着性を実施例1と同じ方法によって測定した。結果を表1及び2に示す。
[比較例3]
実施例3において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンD2.4部に代えて、下記式(7)
Figure 0005338721
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン2.7部を配合した以外は、実施例3と同じ方法によって組成物を調製し、得られた組成物の粘度及び硬化性を実施例1と同じ方法によって測定した。その結果、粘度は355Pa・s、T10は33秒であった。
このシリコーンゴム組成物の硬さ、引っ張り強さ、切断時伸び、圧縮永久歪及び接着性を実施例1と同じ方法によって測定した。結果を表1及び2に示す。
Figure 0005338721
Figure 0005338721

○:凝集破壊率80%以上
△:凝集破壊率30%以上80%未満
×〜△:凝集破壊率30%未満(但し0を除く)
×:凝集破壊率0%(剥離)

Claims (8)

  1. (A)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基、アリール基又はアルケニル基であり、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子と結合するアルケニル基を含有し、かつ、ケイ素原子結合水素原子を含有しないオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基又はアリール基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0.1〜30質量部、
    (C)ケイ素原子に結合する1価炭化水素基が、非置換又はハロゲン置換のアルキル基であり、一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を2個以上含有し、ケイ素原子と結合するアリール基を有しないオルガノハイドロジェンポリシロキサン:0〜20質量部、
    (D)補強性シリカ微粉末:3〜100質量部、
    (E)接着助剤:0.1〜30質量部、及び
    (F)付加反応触媒:触媒量
    を含有することを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  2. 上記(B)成分の一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの重合度が、15以上100以下である請求項1記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  3. 上記(B)成分の一分子中にケイ素原子と結合する水素原子を3個以上含有し、ケイ素原子と結合する水素原子及びケイ素原子と結合する全有機基との合計の3モル%以上がフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子結合水素原子(SiH基)の含有量が、0.006〜0.015モル/gの範囲である請求項1又は2記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  4. 上記(A)成分中のアルケニル基の合計に対する上記(B)成分及び(C)成分中のSiH基の合計のモル比(SiH基/アルケニル基)が、0.8〜5.0の範囲である請求項1乃至3のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  5. 上記(E)成分の接着助剤が、エポキシ基、イソシアネート基、1〜4価の芳香族基、ケイ素原子結合水素原子(SiH基)、アルコキシシリル基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、シラノール基、エステル結合及びアミド結合から選ばれる2種以上の基を分子中に有する非ケイ素系有機化合物又は有機ケイ素化合物である請求項1乃至4のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  6. 上記(E)成分の接着助剤が、分子中にSiH基、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基から選ばれる基を有する非ケイ素系有機化合物又は有機ケイ素化合物である請求項5記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用接着性シール組成物の硬化物からなる固体高分子型燃料電池セパレータシール。
  8. セパレータ基材の少なくとも片面の周縁部に、シール部として請求項7記載の固体高分子型燃料電池セパレータシールが形成されてなる固体高分子型燃料電池セパレータ。
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