JP6048332B2 - 固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造方法及び該方法に用いるシリコーンゴム組成物 - Google Patents
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Description
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、かつ1×10-4〜5×10-3mol/gのビニル基を含有する樹脂質共重合体 5〜50質量部、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.5〜20質量部、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ
10〜30質量部、
(E)付加反応触媒 触媒量、
(F)トリアゾール系化合物及び/又はイミダゾール系化合物
0.001質量部以上0.1質量部未満
を含有するシリコーンゴム組成物を選択的に用い、該組成物を加熱成形(1次硬化)して、固体高分子型燃料電池セパレータの少なくとも一方の表面の周縁部にシリコーンゴム硬化物からなる弾性シール層を形成することによって、該シリコーンゴム弾性シール層についてポストキュア(2次硬化)工程を実施しなくても圧縮永久歪が十分に小さく、更に硬化性、シール性にも優れるシール材料が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
〔1〕
固体高分子型燃料電池セパレータの少なくとも一方の表面の周縁部に、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、かつ1×10-4〜5×10-3mol/gのビニル基を含有する樹脂質共重合体 5〜50質量部、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.5〜20質量部、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ
10〜30質量部、
(E)付加反応触媒 触媒量、
(F)ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、及びこれらのシラン変性化合物、シロキサン変性化合物から選ばれるトリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物の1種又は2種以上 0.001質量部以上0.1質量部未満
を含有するシリコーンゴム組成物を適用し、該シリコーンゴム組成物を加熱成形(1次硬化)して、固体高分子型燃料電池セパレータの少なくとも一方の表面の周縁部にシリコーンゴム1次硬化物を形成し、該1次硬化物をポストキュア(2次硬化)することなく弾性シール層とすることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造方法。
〔2〕
シリコーンゴム組成物を100〜220℃で10秒〜10分間の条件で加熱成形(1次硬化)するものである〔1〕記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造方法。
〔3〕
ポストキュア(2次硬化)なしに1次硬化物から弾性シール層を形成する固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物であって、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、かつ1×10-4〜5×10-3mol/gのビニル基を含有する樹脂質共重合体 5〜50質量部、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.5〜20質量部、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ
10〜30質量部、
(E)付加反応触媒 触媒量、
(F)ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、及びこれらのシラン変性化合物、シロキサン変性化合物から選ばれるトリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物の1種又は2種以上 0.001質量部以上0.1質量部未満
を含有してなる固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物。
〔4〕
1次硬化物が、上記シリコーンゴム組成物を100〜220℃で10秒〜10分間加熱成形することによって形成されたものである〔3〕記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物。
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5である樹脂質共重合体、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ、
(E)付加反応触媒、
(F)トリアゾール系化合物及び/又はイミダゾール系化合物
を含有してなる付加硬化型シリコーンゴム組成物を選択的に使用するものである。
本発明の(A)成分の一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、下記平均組成式(I)で示されるものを用いることができる。
R1 aSiO(4-a)/2 …(I)
(式中、R1は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、aは1.5〜2.8、好ましくは1.8〜2.5、より好ましくは1.95〜2.02の範囲の正数である。)
(B)成分の樹脂質共重合体(いわゆる、シリコーンレジン)は、R3SiO1/2単位(1官能性シロキシ単位)及びSiO2単位を主成分とする、本質的に三次元樹脂状(レジン状)のビニル基含有オルガノポリシロキサン成分である。ここでRは、非置換又は置換の一価炭化水素基であり、炭素数1〜10、特に1〜8のものが好ましく、Rで示される一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、オクテニル基等のアルケニル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えばクロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。
本発明の(C)成分の一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中のSiH基(珪素原子に結合した水素原子)が、前記(A)及び(B)成分中の珪素原子に結合したアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための架橋剤として作用するものである。
R2 bHcSiO{4-(b+c)}/2 …(II)
(式中、R2は互いに同一又は異種の炭素数1〜10、好ましくは1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基である。また、bは0.7〜2.1、cは0.001〜1.0、かつb+c=0.8〜3.0を満足する正数である。)
で示され、一分子中に少なくとも3個(通常、3〜300個)、好ましくは3〜100個、より好ましくは3〜50個の珪素原子に結合した水素原子(SiH基)を有するものが好適に用いられる。
(D)成分のヒュームドシリカ(煙霧質シリカ)は、シリコーンゴムに十分な強度を与えるために必須なものである。ヒュームドシリカのBET法による比表面積は、50〜400m2/g、好ましくは100〜350m2/gで、50m2/gより小さいと耐酸性が悪くなってしまい、また400m2/gより大きいと圧縮永久歪が大きくなってしまう。これらヒュームドシリカはそのまま用いても構わないが、表面疎水化処理剤で予め処理したものを使用したり、あるいはシリコーンオイルとの混練時に表面処理剤を添加して処理することにより使用することが好ましい。これら表面処理剤は、アルキルアルコキシシラン、アルキルクロロシラン、アルキルシラザン、シランカップリング剤、チタネート系処理剤、脂肪酸エステルなど公知のものを1種で用いてもよく、また2種以上を同時又は異なるタイミングで用いても構わない。
(E)成分の付加反応触媒は、(A)及び(B)成分中の珪素原子結合アルケニル基と(C)成分中の珪素原子に結合した水素原子(SiH基)とをヒドロシリル化付加反応させるための触媒である。上記付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属系触媒が挙げられるが、特に白金系触媒が好ましい。
(F)成分は、トリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物から選ばれる1種又は2種以上の窒素含有複素環式化合物であって、このトリアゾール系化合物としては、ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール及びこれらの誘導体(例えば、シラン変性化合物、シロキサン変性化合物等)を挙げることができる。また、イミダゾール系化合物としては、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール及びこれらの誘導体を挙げることができる。
本発明においては、(F)成分をシリコーンゴム組成物中に均一に分散させるのに際して、エタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、キシレンなどの有機溶剤に溶解して使用してもよい。なお、(F)成分を有機溶剤に溶解して組成物中に配合する場合、通常、溶解させた溶液中の(F)成分の濃度は、5〜95質量%、特に10〜80質量%程度とすることが好ましい。
また、本発明に用いる組成物には、その他の成分として、必要に応じて沈降シリカ、石英粉、珪藻土、炭酸カルシウムのような充填剤や、(F)成分以外の窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、カーボンブラック等の導電性付与剤、接着性付与剤、チクソ性付与剤等を配合することも可能である。
分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が500であるジメチルポリシロキサン(1)100質量部、BET法による比表面積が110m2/gである疎水性ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製、R972)30質量部、ヘキサメチルジシラザン5質量部、及び水2.0質量部を30分混合して、160℃に昇温し、1時間撹拌を続けた後、冷却した。こうして得られたシリコーンベース100質量部に、(CH3)3SiO1/2単位、(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位及びSiO2単位からなる樹脂質共重合体[{(CH3)3SiO1/2単位+(CH2=CH)(CH3)2SiO1/2単位}/SiO2単位=0.95(モル比)、ビニル基含有量=0.00025mol/g、重量平均分子量2,200]15質量部、カーボンブラック粉末A(デンカブラックHS−100、電気化学工業(株)製、BET法による比表面積39m2/g、沃素吸着量52mg/g、DBP吸油量140ml/100g)1質量部、及びジメチルポリシロキサン(1)50質量部を添加し、30分撹拌した。更に、白金触媒(Pt濃度1質量%)0.1質量部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05質量部、及びベンゾトリアゾール(10質量%エタノール溶液)0.1質量部を添加し、15分撹拌した。最後に、架橋剤として両末端及び側鎖にSiH基を有するメチルハイドロジェンポリシロキサン(2)(重合度20、SiH基量0.0055mol/gの分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体)5.4質量部[SiH基/アルケニル基=1.2(モル比)]を添加し、15分撹拌してシリコーンゴム組成物を得た。
また、プライマーを塗布した(信越化学工業(株)製 プライマーNo.101A/B 風乾後150℃×30分焼付け)SUS板上に、シリコーンゴム組成物を接触させて150℃×5分でプレスキュア(1次硬化)により上記シリコーンゴム組成物を硬化させ(ゴム厚さ0.3mm)、これを0.01規定硫酸水溶液中120℃×500時間浸漬し、取り出した後、接着部の端部を千枚通しでひっかき、接着部を手で剥がしてゴムの凝集破壊率(破断面積全体に対する接着部がSUS板から界面剥離せずに凝集破壊した面積の比率)を測定した。結果を表1に示す。
実施例1において、得られたシリコーンゴム組成物を150℃×5分でプレスキュア(1次硬化)した後、更にオーブン内で200℃×4時間でポストキュア(2次硬化)を行った硬化物について、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
実施例1において、ベンゾトリアゾール(10質量%エタノール溶液)0.1質量部を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてシリコーンゴム組成物を調製し、同様にして各試験を実施した。結果を表1に示す。
比較例2において、得られたシリコーンゴム組成物を150℃×5分でプレスキュア(1次硬化)した後、更にオーブン内で200℃×4時間でポストキュア(2次硬化)を行った硬化物について、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
Claims (4)
- 固体高分子型燃料電池セパレータの少なくとも一方の表面の周縁部に、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、かつ1×10-4〜5×10-3mol/gのビニル基を含有する樹脂質共重合体 5〜50質量部、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.5〜20質量部、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ
10〜30質量部、
(E)付加反応触媒 触媒量、
(F)ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、及びこれらのシラン変性化合物、シロキサン変性化合物から選ばれるトリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物の1種又は2種以上 0.001質量部以上0.1質量部未満
を含有するシリコーンゴム組成物を適用し、該シリコーンゴム組成物を加熱成形(1次硬化)して、固体高分子型燃料電池セパレータの少なくとも一方の表面の周縁部にシリコーンゴム1次硬化物を形成し、該1次硬化物をポストキュア(2次硬化)することなく弾性シール層とすることを特徴とする固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造方法。 - シリコーンゴム組成物を100〜220℃で10秒〜10分間の条件で加熱成形(1次硬化)するものである請求項1記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造方法。
- ポストキュア(2次硬化)なしに1次硬化物から弾性シール層を形成する固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物であって、
(A)一分子中に少なくとも2個の珪素原子と結合するアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)R3SiO1/2単位(式中、Rは非置換又は置換の一価炭化水素基)とSiO2単位とを主成分とし、R3SiO1/2単位とSiO2単位とのモル比[R3SiO1/2/SiO2]が0.5〜1.5であり、かつ1×10-4〜5×10-3mol/gのビニル基を含有する樹脂質共重合体 5〜50質量部、
(C)一分子中に少なくとも3個の珪素原子と結合する水素原子を含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.5〜20質量部、
(D)BET法による比表面積が50〜400m2/gであるヒュームドシリカ
10〜30質量部、
(E)付加反応触媒 触媒量、
(F)ベンゾトリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、ベンゾイミダゾール、及びこれらのシラン変性化合物、シロキサン変性化合物から選ばれるトリアゾール系化合物及びイミダゾール系化合物の1種又は2種以上 0.001質量部以上0.1質量部未満
を含有してなる固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物。 - 1次硬化物が、上記シリコーンゴム組成物を100〜220℃で10秒〜10分間加熱成形することによって形成されたものである請求項3記載の固体高分子型燃料電池セパレータ用シールの製造用シリコーンゴム組成物。
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