以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態における画像形成システム1の一構成例を示す図である。この画像形成システム1には、複合機やMFPなどと称される画像形成装置2が設けられている。この画像形成装置2は、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファックス機能などの複数の機能を備えた装置である。ただし、画像形成装置2は、必ずしもそれら複数の機能を備えたものに限られず、例えばプリンタ機能のみを備えた単機能装置であっても構わない。そして画像形成装置2は、オフィス環境などに構築されたイントラネットなどのネットワーク4に接続されている。
また画像形成システム1は、ネットワーク4に接続された複数のコンピュータ3(3a,3b,3c,3d,…)を備えている。各コンピュータ3は、例えば一般的なパーソナルコンピュータ(PC)などで構成される。各コンピュータ3は、複数のユーザのそれぞれに対して個別に割り当てられている。図例の場合、コンピュータ3aはユーザAが使用する専用のコンピュータとなっている。またコンピュータ3b,3c,3dは、それぞれユーザB,C,Dが専用するコンピュータとなっている。そして各コンピュータ3は、それを使用するユーザによって予めカスタマイズされており、ユーザを識別するための識別情報(例えば、ユーザ名、ユーザID、ユーザの所属する部署名、役職名、従業員コードなど)が予め登録されるので、その識別情報を保持している。
上記のような画像形成システム1では、各ユーザが自身のコンピュータ3を操作することにより、コンピュータ3から画像形成装置2に対して印刷データを送信することができる。そして画像形成装置2は、ネットワーク4を介して受信する印刷データに基づいて、用紙に画像形成を行うことにより、印刷出力を行うことが可能である。
図2は、画像形成装置2のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置2は、プログラムを実行するCPU11と、プログラムやCPU11がプログラムを実行することに伴う各種データなどを記憶するためのメモリ12と、印刷データやその他各種データを記憶するための不揮発性記憶手段(例えばハードディスク装置)である記憶装置13と、ネットワーク4を介してコンピュータ3とデータ通信を行うための通信インタフェース14と、スキャナ部15と、用紙に画像形成を行って印刷出力を行う画像形成部16と、ファックス(FAX)部17と、ユーザが画像形成装置2を直接操作する際のインタフェースとなる操作パネル18とを備えている。そしてこれら各部が、データバス19によって相互にデータ入出力可能に接続された構成である。また操作パネル18は、ユーザに対して各種情報を表示するための液晶ディスプレイなどで構成された表示部18bと、表示部18bの表面に配置されたタッチパネルキー及び表示部18bの周囲に配置された押しボタンキーから成る入力部18aとを備えている。尚、画像形成装置2がプリンタ機能のみを備えた単機能装置である場合、スキャナ部15やFAX部17を具備しなくても良い。
画像形成装置2は、上記のようなハードウェア構成において、コンピュータ3がネットワーク4に送出した印刷データを通信インタフェース14により受信する。そしてCPU11がその印刷データに基づいて画像形成部16を駆動制御することにより、印刷出力が行われる。ここで画像形成部16は、図示を省略するが、プリンタ部と給紙部とから成り、給紙部には印刷出力時に使用される多数の用紙がストックされており、プリンタ部に対して1枚ずつ用紙を供給するように構成される。プリンタ部は、レーザプリンタ又はインクジェットプリンタなどで構成され、給紙部から供給される用紙に対して画像形成を行うことにより印刷出力を行うように構成される。
図3は、コンピュータ3のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。コンピュータ3は、プログラムを実行するCPU21と、CPU21がプログラムを実行することに伴う各種データなどを記憶するためのメモリ22と、出力インタフェース23と、入力インタフェース24と、ネットワーク4に接続するための通信インタフェース25と、不揮発性記憶手段(例えばハードディスク装置)である記憶装置26とがデータバス27に接続された構成である。またコンピュータ3は、さらに出力インタフェース23に接続された表示装置31と、入力インタフェース24に接続されたキーボード32及びマウス33とを備えている。尚、表示装置31は、液晶ディスプレイやCRTなどで構成される。またキーボード32及びマウス33は、ユーザがコンピュータ3に対して入力操作を行う際に使用する操作入力手段である。
コンピュータ3の記憶装置26には、図3に示すように画像形成装置2に対して印刷データを送信するためのプログラムであるプリンタドライバ34がインストールされている。また記憶装置26には、印刷対象となる文書データ35が記憶されている。ここで、文書データ35は、例えば電子メールの同報配信などにより、ネットワーク4に接続された複数のコンピュータ3の全てに送信されたデータであり、それぞれのコンピュータ3に同一の文書データ35が記憶されている。尚、コンピュータ3の記憶装置26には、この他にも、オペレーティングシステム(OS)や種々のアプリケーションプログラムがインストールされているが、それらについては図示を省略する。
ここで、各ユーザが自身のコンピュータ3を操作することによって、文書データ35に基づく印刷出力を行うべく、画像形成装置2に印刷データを送信するための操作手順の一例について説明する。ユーザは自身のコンピュータ3を操作することによって、コンピュータ3においてアプリケーションプログラムを起動させ、記憶装置26に保存されている文書データ35を読み出させる。そして、コンピュータ3においてプリンタドライバ34を起動させる。コンピュータ3においてプリンタドライバ34が起動すると、表示装置31には印刷出力に関する各種設定を行うための画面が表示される。そのため、ユーザはその画面を見ながら必要な設定操作を行うことができる。
図4は、コンピュータ3においてプリンタドライバ34を起動した場合に表示装置31に表示される印刷指示画面31aの一例を示す図である。この印刷指示画面31aの上部には、プリンタ表示欄41と、印刷対象表示欄42とが表示される。プリンタ表示欄41には、ネットワーク4に接続された画像形成装置2の名称などが表示される。また印刷対象表示欄42には、文書データ35のファイル名などが表示される。また印刷指示画面31aの中央は、印刷モードを指定したり、印刷出力時の設定操作を行うための表示領域となっている。図例では、印刷モード指定タブ43が選択されて印刷モードを指定するための画面が表示されている。
図4に示すように、ユーザは、この印刷指示画面31aにおいて印刷モードを指定することができる。本実施形態の画像形成装置2には、ユーザが指定可能な印刷モードとして、共有印刷モードと通常印刷モードとの2つのモードがある。
共有印刷モードは、複数のユーザが同一の印刷物を出力することによる用紙の無駄な消費を防止するための節約モードであり、例えば印刷指示を行うユーザがその印刷物の内容を1度しか確認しないような重要性の低い文書データを印刷する場合に指定するモードである。つまり、画像形成装置2で印刷出力が行われることにより得られる印刷物を、ユーザが独占して保管する必要がなく、複数のユーザで回覧して共有できるような文書を印刷する際には、この共有印刷モードが指定される。この共通印刷モードは、本実施形態において主要な印刷モードとなっている。共有印刷モードが指定された印刷データに基づいて画像形成装置2が印刷出力を行う際には、印刷データに基づく印刷物と共に、その印刷物を共有するユーザの識別情報(ユーザ名など)が印刷された回覧用紙が出力される。
これに対し、通常印刷モードは、従来の印刷出力モードであり、例えば印刷指示を行うユーザがその印刷物を独占して保管しておきたい場合や、機密性のある重要な文書などを印刷する場合に指定するモードである。通常印刷モードが指定された印刷データに基づいて画像形成装置2が印刷出力を行う際には、共有印刷モードと異なり、印刷データに基づく印刷物のみが出力され、回覧用紙は出力されない。
このような印刷モードの指定は、印刷モード指定欄45において行う。例えばユーザがマウス33を操作することによりマウスポインタMPを移動させて、印刷モード指定欄45の右側に設けられたプルダウンボタン45aをクリックすることにより、共通印刷モードと通常印刷モードと表示されたリストが表示されるので、ユーザは所望する印刷モードを指定する。尚、図4は、共通印刷モードが指定された場合を例示している。
共有印刷モードが指定された場合、ユーザはさらに印刷出力を行うタイミングを指定する。図例の場合、印刷指示画面31aに、印刷予定時刻を指定するためのボタン46aと、ただちに印刷出力を行うことを指定するためのボタン46bとが表示されており、ユーザはマウス33を操作することにより、これら2つのボタン46a,46bのうちのいずれか一方を選択することができる。尚、図4では、ボタン46aが選択された場合を示している。
ここで、印刷予定時刻を指定するためのボタン46aは、ユーザにとって、直ぐには印刷物の内容を確認する必要のない場合に選択されるボタンである。このボタン46aを選択した場合、さらにユーザは印刷出力を行うことを希望する時刻として印刷予定時刻を指定する。例えば、印刷予定時刻指定欄47の右側に設けられたプルダウンボタン47aをクリックすることにより、印刷予定時刻のリスト(例えば、1日後、3日後、1週間後、2週間後など)が表示されるので、ユーザは所望する印刷予定時刻を選択する。ただし、このような指定方法に限られず、例えばキーボード32を操作することによってユーザの所望する印刷予定時刻を印刷予定時刻指定欄47に直接入力するようにしても良い。尚、図4では、印刷予定時刻として3日後(72時間後)が指定された場合を例示している。このようにユーザが印刷予定時刻を指定するためのボタン46aを選択し、且つ、印刷予定時刻指定欄47に印刷予定時刻を指定した場合、画像形成装置2では、印刷データの受信後直ちに印刷出力が行われず、ユーザによって指定された印刷予定時刻となるまで印刷出力を待機する状態となる。
一方、ただちに印刷出力を行うことを指定するためのボタン46bは、ユーザが直ちに印刷物の内容を確認したい場合に選択されるボタンである。このボタン46bが選択された場合には、画像形成装置2において印刷データが受信された後、直ちに印刷出力が行われるので、印刷予定時刻の指定は不要である。
また印刷出力時の設定操作を行う場合、ユーザは、印刷出力設定タブ44を選択して印刷指示画面31aの中央に印刷出力設定を行うための画面を表示させる。図示を省略するが、この印刷出力設定画面では、ユーザは印刷出力時の設定として、例えば、2in1出力や両面印刷出力、またはカラー文書の白黒印刷出力などを指定することができる。そのため、この印刷出力設定画面では、印刷出力時の印刷コストがなるべく安くなるように設定することもできる。
上記のようにして印刷指示画面31aに対する操作が終了し、最終的に印刷指示を行う場合、ユーザはOKボタン48をクリックする。これにより、プリンタドライバ34を実行するCPU21が、文書データ35に基づいて印刷データを生成し、画像形成装置2に送信する。このとき、印刷モードとして共有印刷モードが指定されていれば、印刷データに付属情報が付加される。また印刷指示を行うことなく終了する場合、ユーザはキャンセルボタン49をクリックする。
図5は、ユーザAがコンピュータ3aに対して共有印刷モードを指定して印刷指示を行った場合にコンピュータ3aから画像形成装置2に送信されるデータの一例を示す図である。図5に示すように、共有印刷モードが指定された場合には、コンピュータ3aから画像形成装置2に対し、印刷データD1と付属情報D2とが送信される。ここで付属情報D2には、ユーザAを識別するための識別情報と、印刷モードとして共有印刷モードが指定されたことを示す情報と、印刷予定時刻指定の有無に関する情報と、印刷予定時刻が指定されている場合にはその指定された印刷予定時刻に関する情報とが含まれる。図例の場合、印刷予定時刻指定が「あり」となっており、指定された印刷予定時刻が「3日後」である付属情報D2を示している。これに対し、例えばユーザAが、共有印刷モードを指定し、且つ、ただちに印刷することを指定した場合には、コンピュータ3aから画像形成装置2に送信される付属情報D2において、印刷予定時刻指定が「なし」となる。
図5では、ユーザAがコンピュータ3aに対して共有印刷モードを指定して印刷指示を行った場合を例示しているが、例えばユーザB,C,Dのそれぞれが、自身のコンピュータ3b,3c,3dを操作し、共有印刷モードを指定して印刷指示を行った場合についても、図5と同様である。特に本実施形態では、コンピュータ3a,3b,3c,3dのそれぞれに同一の文書データ35が記憶されているため、ユーザA,B,C,Dのそれぞれが上述した操作を行うことにより、文書データ35を印刷対象として、共有印刷モードを指定した印刷指示を行うことがある。その場合、画像形成装置2は、複数のコンピュータ3のそれぞれから同一の印刷データD1を受信することになる。
また通常印刷モードの場合、コンピュータ3は印刷データD1に付属情報D2を付加して送信する必要はないが、共有印刷モードと同様に、付属情報D2を付加して送信しても良い。ただし、この場合、付属情報D2には、印刷モードとして「通常印刷モード」が指定されたことを示す情報が付与される。
そして画像形成装置2は、コンピュータ3から印刷データD1を受信すると、その印刷データD1に対して指定された印刷モードに応じた処理を行う。
例えば、印刷予定時刻が指定された共有印刷モードの印刷データを受信した場合、画像形成装置2は、その印刷データを記憶装置13に記憶して保存する。このとき、記憶装置13に保存する印刷データに対して印刷予定時刻を設定すると共に、その印刷データを送信したユーザを識別するための識別情報を登録した回覧リストを作成して印刷データに関連付けて保存する。
また、画像形成装置2は、既に記憶装置13に記憶している印刷データと同一の印刷データを受信し、且つ、その同一の印刷データに共有印刷モードの指定が含まれる場合、その同一の印刷データを送信したユーザを識別するための識別情報を回覧リストに追加登録する。このとき、既に記憶装置13に記憶している印刷データに設定された印刷予定時刻よりも、受信した同一の印刷データで指定されている印刷予定時刻の方が早い場合には、記憶装置13に記憶している印刷データの印刷予定時刻を変更する。
そして記憶装置13に記憶している印刷データの印刷予定時刻になると、画像形成装置2は、記憶装置13から印刷データを読み出して印刷出力を行うと共に、回覧リストに含まれる識別情報に基づいて回覧用紙を出力する。また、受信した同一の印刷データに印刷予定時刻の指定が含まれていない場合、画像形成装置2は、同一の印刷データを受信した後、直ちに印刷出力を行い、それと同時に、回覧リストに含まれる識別情報に基づいて回覧用紙を出力する。以下、このような画像形成装置2について更に詳しく説明する。
図6は、画像形成装置2のCPU11によって実現される機能を示したブロック図である。CPU11は、プログラムを実行することにより、上述した各部を制御するための各種処理部として機能するが、その一部について例を挙げると、図6に示すように、データ受信部51、印刷モード判別部52、共有印刷管理部53、印刷出力部56、通知処理部57及び課金処理部58として機能する。また、共有印刷管理部53は、さらに共有情報設定部54及び共有情報更新部55として機能する。
また画像形成装置2の記憶装置13には、共有印刷モードが指定され、且つ、印刷予定時刻の指定された印刷データであって、その指定された印刷予定時刻に至っていない印刷データ61が記憶される。この印刷データ61には、印刷予定時刻62と、回覧リスト63とが対応付けられる。また、記憶装置13には、印刷出力を行った後に更新される印刷履歴情報64と、ユーザ毎に印刷出力に要した金額を課金するための課金情報65とが記憶される。
データ受信部51は、通信インタフェース14を介して各コンピュータ3から送信されたデータを受信する処理部である。データ受信部51が、各コンピュータ3から受信するデータには種々のデータがある。例えば、印刷データD1を単独で受信した場合、又は、付属情報D2の付加された印刷データD1を受信した場合、データ受信部51は、その受信したデータを印刷モード判別部52に出力する。
またデータ受信部51が各コンピュータ3から受信するデータには、印刷状況確認要求がある。印刷状況確認要求は、共有印刷モードが指定された印刷データD1の印刷状況を画像形成装置2に問い合わせるためのデータである。そのため、この印刷状況確認要求には、問い合わせ対象となる印刷データD1(つまり、画像形成装置2が過去に受信した印刷データD1)を特定するための情報が含まれる。データ受信部51は、このような印刷状況確認要求を受信すると、その要求を共有印刷管理部53に出力する。
印刷モード判別部52は、データ受信部51が印刷データD1を受信した場合に、その印刷データD1に対して指定された印刷モードを判別する処理部である。例えば、受信した印刷データD1に付属情報D2が付加されている場合、印刷モード判別部52はその付属情報D2を参照し、共有印刷モードが指定されているか否かを判断する。そして共有印刷モードが指定されている場合、印刷モード判別部52は、その印刷データD1と付属情報D2とを共有印刷管理部53に出力する。一方、印刷データD1に対して指定された印刷モードが通常印刷モードである場合、印刷モード判別部52は、印刷データD1を印刷出力部56に出力する。
共有印刷管理部53は、共有印刷モードの指定された印刷データD1を処理する処理部である。共有印刷管理部53は、共有印刷モードの指定された印刷データD1と、それに付加された付属情報D2とを入力すると、まず、付属情報D2を参照して印刷予定時刻が指定されているか否かを確認し、それに続いて、受信した印刷データD1と同一の印刷データ61が既に記憶装置13に記憶されているか否かを判別する。ここで、受信した印刷データD1が記憶装置13に記憶されている印刷データ61と同一であるか否かの判別は、例えば、ファイル名、ファイルサイズ、データ内容及びファイル形式のうちのいずれか一つ又は複数が互いに一致するか否かにより行われ、一致した場合に同一のデータであると判別される。そして共有印刷管理部53は、受信した印刷データD1に印刷予定時刻が指定されており、且つ、受信した印刷データD1が既に記憶装置13に記憶されている何れの印刷データ61とも同一の印刷データでないと判別した場合(つまり、受信した印刷データD1が新規な印刷データである場合)、共有情報設定部54を機能させる。
共有情報設定部54は、共有印刷モードが指定された新規な印刷データD1を記憶装置13に記憶させる処理部である。この共有情報設定部54は、共有印刷モードが指定された新規な印刷データD1を、印刷出力待ちの印刷データ61として記憶装置13に記憶する。このとき、共有情報設定部54は、受信した印刷データD1に付加されている付属情報D2に基づいて、印刷データ61の印刷予定時刻62を設定すると共に、新規な印刷データD1を送信したユーザを識別するための識別情報を特定し、その特定した識別情報を登録した回覧リスト63を作成する。そして記憶装置13に、印刷データ61と、印刷予定時刻62と、回覧リスト63とを相互に関連付けた状態で記憶する。
また共有印刷管理部53は、受信した印刷データD1が、既に記憶装置13に記憶されている印刷データ61と同一の印刷データであると判別した場合、共有情報更新部55を機能させる。
共有情報更新部55は、共有印刷モードが指定された印刷データD1であって、既に記憶装置13に記憶されている印刷データ61と同一の印刷データD1を受信した場合に、その印刷データD1に付加されている付属情報D2に基づいて、記憶装置13に既に記憶されている印刷データ61と関連付けている印刷予定時刻62及び回覧リスト63を更新する処理部である。この共有情報更新部55は、まず、受信した同一の印刷データD1に付加されている付属情報D2に基づいて、その印刷データD1を送信したユーザを識別するための識別情報を特定し、その特定した識別情報を、記憶装置13に既に記憶されている回覧リスト63に追加登録する。したがって、この回覧リスト63には、印刷物を共有するユーザの識別情報が追加されていく。
図7は、記憶装置13に記憶される回覧リスト63の一例を示す図である。図7に示すように回覧リスト63には、回覧順序と、登録されたユーザの識別情報と、各ユーザが指定した印刷予定時刻とが含まれる。例えば、画像形成装置2が、共有印刷モードの指定された新規な印刷データD1を受信した場合、回覧リスト63の回覧順序「1」の欄に、最初のユーザの識別情報が登録されると共に、その最初のユーザが指定した印刷予定時刻が登録される。その後、他のユーザによって送信された同一の印刷データD1を受信した場合、共有情報更新部55は、その回覧リスト63に対して他のユーザの識別情報と、他のユーザによって指定された印刷予定時刻を追加登録する。このとき、共有情報更新部55は、回覧リスト63に対して先の登録されている印刷予定時刻と、回覧リスト63に追加登録する印刷予定時刻とを比較し、より早い印刷予定時刻を指定したユーザの回覧順序が先になるように回覧順序が組み替えられる。図7の例では、3名のユーザ(Aさん、Bさん及びCさん)が回覧リスト63に登録されており、Aさんの指定した印刷予定時刻が最も早いので、回覧順序が「1」となっている。次にBさんの指定した印刷予定時刻が早いので、回覧順序が「2」となっている。さらにCさんの指定した印刷予定時刻が最も遅いため、回覧順序が「3」となっている。つまり、本実施形態では、回覧順序の優先度は、各ユーザの指定した印刷予定時刻が早い順に高くなる。
また共有情報更新部55は、記憶装置13に記憶されている印刷データ61に設定されている印刷予定時刻62を更新する処理を行う。例えば、上述した回覧リスト63への追加登録により、回覧順序「1」となるユーザが追加登録された場合、そのユーザは回覧リスト63に登録された他のユーザよりも早い印刷予定時刻を指定したことになるため、共有情報更新部55は、印刷データ61に設定されている印刷予定時刻62を、回覧順序「1」の印刷予定時刻に対応させて更新する。
そして共有印刷管理部53は、記憶装置13に記憶されている印刷データ61の印刷予定時刻62を管理し、現在の時刻が印刷予定時刻62となったタイミングで、印刷出力部56に印刷データ61に基づく印刷出力を指示する。
また共有印刷管理部53は、受信した共有印刷モードの印刷データD1に印刷予定時刻が指定されていない場合、上述した処理を行った後、直ちに印刷出力部56に印刷データ61に基づく印刷出力を指示する。
また共有印刷管理部53は、印刷データ61に基づく印刷出力を指示する際、印刷出力部56に対し、2in1出力を行うか否か、両面印刷を行うか否か、或いはカラー印刷を行うか否かといった出力設定を指示する。このとき、共有印刷管理部53は、回覧リスト63に登録された複数のユーザがそれぞれ異なる印刷出力設定を行っている場合、例えば、より低コストで出力可能な印刷出力設定を優先的に採用し、印刷出力部56に対してその優先的に採用された出力設定を指示するように構成される。尚、印刷出力設定としてどのような設定を優先的に採用するかは、この他にも種々の態様がある。
さらに、共有印刷管理部53は、データ受信部51から印刷状況確認要求を入力した場合、その印刷状況確認要求に含まれる問い合わせ対象の印刷データD1を特定する。そして記憶装置13を検索し、問い合わせ対象の印刷データD1に対応する印刷データ61が記憶されている場合には、その印刷データ61に関連付けられた印刷予定時刻62を読み出して通知処理部57に出力する。また、問い合わせ対象の印刷データD1に対応する印刷データ61が記憶されていない場合には、印刷履歴情報64を参照し、問い合わせ対象の印刷データD1に対応する印刷データ61を印刷出力したユーザを特定する。ここでは、例えば印刷出力した回覧用紙の回覧順位が「1」であるユーザが特定される。そして共有印刷管理部53は、その特定したユーザの識別情報を通知処理部57に出力する。
印刷出力部56は、印刷データに基づいて画像形成部16を制御することにより、画像形成部16に印刷出力を行わせる処理部である。この印刷出力部56は、通常印刷モードの印刷データD1を印刷モード判別部52から入力した場合、その印刷データD1に基づいて画像形成部16を制御し、画像形成部16に印刷出力を行わせる。
また共有印刷管理部53から共有印刷モードの印刷指示を受けた場合、印刷出力部56は、記憶装置13から印刷データ61を読み出し、その印刷データ61に基づいて画像形成部16を制御することにより、画像形成部16に印刷データ61に基づいた印刷出力を行わせると共に、記憶装置13から回覧リスト63を読み出し、その回覧リスト63に基づいて画像形成部16を制御することにより、画像形成部16にユーザの識別情報を含む回覧用紙の出力を行わせる。このとき、印刷出力部56は、共有印刷管理部53によって指示された出力設定を反映させて印刷出力を制御するので、上述したように、例えば低コストで出力可能な印刷出力設定が優先的に採用されている場合には、低コストでの印刷出力が可能になる。
また印刷出力部56は、画像形成部16に印刷データ61に基づいた印刷出力を行わせる際、出力される印刷物に対して他のユーザへの回覧が必要なことを明示するために、「回覧用」といったスタンプマークやウォーターマークなどの所定の画像を印刷させるように指示しても良い。そうすることにより、画像形成部16は、印刷データ61に基づいて印刷出力を行う際、用紙の所定箇所に「回覧用」などの所定の画像を印刷する。それ故、ユーザは、印刷出力によって得られる印刷物を見れば、他のユーザに回覧するための回覧用紙が付加されていることを把握することができる。
そして印刷出力が終了すると、印刷出力部56は、記憶装置13に記憶されている印刷データ61、印刷予定時刻62及び回覧リスト63を削除し、さらに記憶装置13に記憶されている印刷履歴情報64を更新する。
課金処理部58は、印刷出力部56が印刷出力を実行した後、それに基づいて課金情報65を更新する処理部である。例えば、通常印刷モードでの印刷出力が行われた場合、課金処理部58は、その通常印刷モードの印刷データを送信したユーザの課金残高から印刷出力に要した金額を減算することにより、課金情報65を更新する。また、共有印刷モードでの印刷出力が行われた場合、課金処理部58は、印刷出力時の回覧リスト63に含まれていたユーザの課金残高から印刷出力に要した金額を分割して減算することにより、課金情報65を更新する。例えば、図7に示すように回覧リスト64に3名のユーザが登録されていた場合、印刷出力に要した金額を1/3ずつに分割し、その分割した額を3名の各ユーザに対して課金する。
通知処理部57は、共有印刷モードを指定したユーザに対して各種の通知を行う処理部である。この通知処理部57は、例えば、通信インタフェース14を介して、ユーザ毎に設定された電子メールアドレスに電子メールを送信することにより、通知を行う。通知処理部57が各ユーザに通知する内容には種々の内容がある。例えば、印刷データ61の印刷予定時刻62として、あるユーザが指定した印刷予定時刻とは異なる時刻が設定されている場合、そのユーザに対して現在設定されている印刷予定時刻62を通知する。またその後、印刷データ61の印刷予定時刻62が変更された場合には、その時点で回覧リスト63に登録されている全てのユーザに対してその変更された印刷予定時刻62を通知する。さらに、印刷データ61に基づく印刷出力が行われた場合には、回覧リスト63に登録されていた全てのユーザに対して印刷出力が行われた旨を通知する。
これにより、共有印刷モードで印刷指示を行ったユーザは、画像形成装置2においてその印刷指示に基づく印刷出力が何時頃行われるのかを、自身のコンピュータ3から離れることなく把握することができる。また画像形成装置2において印刷予定時刻62が変更される都度、各ユーザはその変更された時刻を、自身のコンピュータ3で把握することができるようになる。また、画像形成装置2において印刷出力が行われた場合には、各ユーザは自身のコンピュータ3で印刷出力が行われたことを把握することができる。
また通知処理部57は、共有印刷管理部53より、印刷状況確認要求を送信したユーザに対して印刷予定時刻62を通知することを指示された場合、そのユーザに対して共有印刷管理部53より指示された印刷予定時刻62を通知する。さらに、通知処理部57は、共有印刷管理部53より、印刷状況確認要求を送信したユーザに対し、問い合わせのあった印刷データが既に印刷出力済みであり、その印刷出力を行ったユーザの識別情報を通知することを指示された場合、共有印刷管理部53より指示されたユーザの識別情報を通知する。
これにより、共有印刷モードで印刷指示を行ったユーザは、自身のコンピュータ3を操作して、画像形成装置2に印刷状況確認要求を送信することにより、共有印刷モードを指定して送信した印刷データの印刷状況を確認することができる。そして、既に印刷出力が行われている場合には、画像形成装置2からその印刷出力を行ったユーザの識別情報が通知されるので、出力された印刷物を所持している可能性のあるユーザを把握することができる。
次に、上記のような画像形成装置2の動作について説明する。図8乃至図13は、画像形成装置2のCPU11によって行われる処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば画像形成装置2に電源が投入されると、それに伴って自動的にCPU11による実行が開始され、以後繰り返し実行されるようになっている。
図8は、画像形成装置2のCPU11が実行する主たる処理手順の一例を示すフローチャートである。画像形成装置2に電源が投入されると、CPU11は、印刷データ受信処理(ステップS1)、共有印刷出力処理(ステップS2)、印刷状況通知処理(ステップS3)及びその他の処理(ステップS4)を順次実行する処理を繰り返す。印刷データ受信処理(ステップS1)では、各コンピュータ3からネットワーク4を介して印刷データを受信した場合、その印刷データに指定された印刷モードの判別を行い、その判別結果に応じた各種処理が行われる。尚、この印刷データ受信処理(ステップS1)の詳細については後述する。また共有印刷出力処理(ステップS2)では、記憶装置13に印刷データ61が記憶されている場合、それに関連付けられた印刷予定時刻62となったか否かが判定され、印刷予定時刻62となっていれば印刷データ61に基づく印刷出力が行われると共に、回覧用紙の印刷出力が行われる。尚、この共有印刷出力処理(ステップS2)の詳細については後述する。また印刷状況通知処理(ステップS3)では、各コンピュータ3からネットワーク4を介して印刷状況確認要求を受信した場合、記憶装置13に記憶されている印刷データ61の印刷状況を確認してユーザに通知する処理が行われる。尚、この印刷状況通知(ステップS3)の詳細については後述する。そして、その他の処理(ステップS4)では、画像形成装置2において印刷出力以外の処理が行われる。例えば、コピー機能、スキャナ機能又はファックス機能など、プリンタ機能以外の機能に関する処理がその他の処理として行われる。
図9は、印刷データ受信処理(ステップS1)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、CPU11は、印刷データを受信したか否かを判断する(ステップS11)。印刷データを受信していない場合、この印刷データ受信処理は終了する。これに対し、印刷データを受信した場合(ステップS11でYES)、CPU11は、印刷データに指定された印刷モードを判別する(ステップS12)。そして印刷モードが共有印刷モードであれば(ステップS13でYES)、共有印刷モード処理を実行する(ステップS14)。尚、この共有印刷モード処理の詳細については後述する。
これに対し、印刷モードが共有印刷モードでない場合、すなわち通常印刷モードである場合(ステップS13でNO)、CPU11は、その受信した印刷データに基づいて印刷出力を行う(ステップS15)。この印刷出力に伴い、CPU11は、記憶装置13の印刷履歴情報64を更新する。そして印刷出力が終了すると、CPU11は、通常印刷モードの印刷データを送信したユーザに対して、印刷出力に要した金額を課金するため、課金処理を実行して記憶装置13の課金情報65を更新する(ステップS16)。以上で、印刷データ受信処理が終了する。
図10は、共有印刷モード処理(ステップS14)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。共有印刷モード処理では、CPU11は、まず受信した共有印刷モードの印刷データに対して印刷予定時刻が指定されているか否かを判断する(ステップS21)。そして受信した印刷データに印刷予定時刻が指定されている場合(ステップS21でYES)、CPU11は、受信した印刷データと同一の印刷データ61が既に記憶装置13に記憶されているか否かの確認処理を行う(ステップS22)。そして受信した印刷データと同一のデータが記憶装置13に記憶されていない場合(ステップS23でNO)、CPU11は、受信した印刷データに指定されている印刷予定時刻に基づいて記憶装置13に登録するための印刷予定時刻62を設定し(ステップS24)、続いて回覧リスト63を作成する(ステップS25)。そして受信した印刷データを、印刷待機状態の印刷データ61として、記憶装置13に記憶する(ステップS26)。このとき、CPU11は、記憶装置13に記憶する印刷データ61に対し、印刷予定時刻62と、回覧リスト63とを付加する。
一方、受信した印刷データと同一のデータが既に記憶装置13に記憶されている場合(ステップS23でYES)、CPU11は、受信した印刷データに付加されている付属情報D2に基づいて回覧リスト63にユーザの識別情報を追加登録する(ステップS27)。そして受信した印刷データに指定されている印刷予定時刻と、記憶装置13に記憶されている印刷予定時刻62とを比較し、記憶装置13に記憶されている印刷予定時刻62を更新するか否かを判断する(ステップS28)。つまり、ここでは受信した印刷データに指定されている印刷予定時刻が、記憶装置13に記憶されている印刷予定時刻62よりも早い時刻であれば、印刷予定時刻62を更新すると判断する。そして記憶装置13の印刷予定時刻62を更新すると判断した場合(ステップS28でYES)、記憶装置13の印刷予定時刻62を、受信した印刷データに指定されている印刷予定時刻に変更する(ステップS29)。印刷予定時刻62が変更されると、その時刻を回覧リスト63に登録された全てのユーザに通知する必要があるため、CPU11は、その変更された印刷予定時刻62を、回覧リスト63に登録されている全てのユーザに対して通知する(ステップS30)。
一方、記憶装置13の印刷予定時刻62を更新しないと判断した場合(ステップS28でNO)、回覧リスト63に登録された全てのユーザに対して印刷予定時刻62を通知する必要はない。そのため、この場合、CPU11は、ステップS27において回覧リスト63に追加登録したユーザに対してのみ、記憶装置13に記憶されている印刷データ61に関連付けられた印刷予定時刻62を通知する(ステップS32)。これにより、既に回覧リスト63に登録されているユーザに対し、印刷予定時刻62が変更されていないにもかかわらず、通知が頻繁に送られてくることを防止することができる。
また、受信した印刷データに印刷予定時刻が指定されていなかった場合(ステップS21でNO)、CPU11は、即時印刷処理を実行する(ステップS31)。
図11は、即時印刷処理(ステップS31)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この即時印刷処理では、CPU11は、受信した印刷データと同一の印刷データ61が既に記憶装置13に記憶されているか否かの確認処理を行う(ステップS41)。そして受信した印刷データと同一のデータが記憶装置13に記憶されている場合(ステップS42でYES)、CPU11は、受信した印刷データに付加されている付属情報D2に基づいて回覧リスト63にユーザの識別情報を追加登録する(ステップS423)。そして記憶装置13に記憶されている印刷予定時刻62を現在の時刻に変更する(ステップS44)。その後、記憶装置13から印刷データ61を読み出し(ステップS45)、その印刷データ61に基づいて画像形成部16を制御することにより、印刷出力を行う(ステップS46)。このとき、印刷物に対して「回覧用」などのスタンプマークやウォーターマークなどの所定の画像が印刷される。そして印刷データ61に基づく印刷出力が終了すると、次に回覧リスト63を読み出し、その回覧リスト63に基づいて回覧用紙の印刷出力を行う(ステップS47)。
そしてCPU11は、回覧用紙に印字したユーザの数に応じて印刷出力に要した金額を分割し、その分割した額を各ユーザに課金する課金処理を実行して記憶装置13の課金情報65を更新する(ステップS48)。そして回覧用紙に印字した各ユーザに対して印刷出力完了を通知する(ステップS49)。この印刷出力完了の通知により、印刷完了時刻が通知されると共に、ユーザ毎の回覧順序が通知される。その後、CPU11は、記憶装置13に記憶されている印刷履歴情報64を更新する(ステップS50)。尚、印刷データ61の印刷出力に伴い、記憶装置13に記憶されている印刷データ61は、適宜のタイミングで削除される。
一方、受信した印刷データと同一のデータが記憶装置13に記憶されていない場合(ステップS42でNO)、CPU11によって行われる処理は、通常印刷モードの場合と同様である。すなわち、CPU11は、その受信した印刷データに基づいて印刷出力を行う(ステップS51)。この印刷出力に伴い、CPU11は、記憶装置13の印刷履歴情報64を更新する。そして印刷出力が終了すると、CPU11は、印刷データを送信したユーザに対して印刷出力に要した金額を課金するため、課金処理を実行して記憶装置13の課金情報65を更新する(ステップS52)。
次に図12は、共有印刷出力処理(ステップS2)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、CPU11は、記憶装置13に印刷待機状態の印刷データ61が記憶されているか否かを判断する(ステップS51)。ここで、記憶装置13に印刷待機状態の印刷データ61が記憶されていない場合(ステップS51でNO)、この処理は終了する。これに対し、記憶装置13に印刷待機状態の印刷データ61が記憶されている場合(ステップS51でYES)、その印刷データ61に関連付けられた印刷予定時刻62を確認する(ステップS52)。そして現在の時刻がその印刷予定時刻62を経過しているか否かを判断し(ステップS53)、経過していない場合は(ステップS53でNO)、この処理を終了する。
一方、現在の時刻が印刷予定時刻62を経過している場合(ステップS53でYES)、CPU11は、その印刷データ61を記憶装置13から読み出し(ステップS54)、その印刷データ61に基づいて画像形成部16を制御することにより、印刷出力を行う(ステップS55)。このとき、印刷物に対して「回覧用」などのスタンプマークやウォーターマークなどの所定の画像が印刷される。そして印刷データ61に基づく印刷出力が終了すると、次に回覧リスト63を読み出し、その回覧リスト63に基づいて回覧用紙の印刷出力を行う(ステップS56)。
そしてCPU11は、回覧用紙に印字したユーザの数に応じて印刷出力に要した金額を分割し、その分割した額を各ユーザに課金する課金処理を実行して記憶装置13の課金情報65を更新する(ステップS57)。そして回覧用紙に印字した各ユーザに対して印刷出力完了を通知する(ステップS58)。その後、CPU11は、記憶装置13に記憶されている印刷履歴情報64を更新する(ステップS59)。尚、印刷データ61の印刷出力に伴い、記憶装置13に記憶されている印刷データ61は、適宜のタイミングで削除される。
したがって、この共有印刷出力処理により、印刷待機状態の印刷データ61は、印刷予定時刻62となったタイミングで印刷出力が行われ、それに伴って回覧用紙が出力される。
次に図13は、印刷状況通知処理(ステップS3)の詳細な処理手順の一例を示すフローチャートである。この処理を開始すると、CPU11は、ネットワーク4を介して、印刷状況確認要求を受信したか否かを判断する(ステップS61)。ここで、印刷状況確認要求を受信していない場合(ステップS61でNO)、この処理は終了する。これに対し、印刷状況確認要求を受信している場合(ステップS61でYES)、CPU11は、その印刷状況確認要求による問い合わせ対象の印刷データを特定する(ステップS62)。そして特定した印刷データが記憶装置13に依然として記憶されているか否かを確認し、記憶されている場合(ステップS63でYES)、その印刷データ61に関連付けられた印刷予定時刻62を確認する(ステップS64)。そして印刷状況確認要求を送信したユーザに対し、印刷予定時刻62を通知する(ステップS65)。一方、特定した印刷データが記憶装置13に既に記憶されていない場合(ステップS63でNO)、CPU11は、印刷履歴情報64を確認する(ステップS66)。そして印刷状況確認要求を送信したユーザに対し、特定した印刷データの印刷出力を行ったユーザの識別情報を通知する(ステップS67)。以上で、画像形成装置2による一連の処理が終了する。
画像形成装置2において上記のような処理が行われることにより、共有印刷モードとして指定された印刷データ61に基づいて印刷出力を行う際には、その印刷データ61に基づく印刷出力と共に、回覧リスト63に基づく印刷出力が行われる。そのため、共有印刷モードによる印刷出力が行われた場合、ユーザは、印刷データ61に基づく印刷物と共に、図14に示すような回覧用紙を得ることができる。図14に示すように、回覧用紙には、印刷予定時刻として最も早い時刻を指定したユーザから順に、ユーザの識別情報が印字されている。したがって、このような回覧用紙を取得したユーザは、自身が印刷物の内容を確認した後、次に誰に対して印刷物を回覧すればよいかを容易に把握することが可能である。
このような回覧用紙は、印刷物の出力が全て完了した後、最後に出力するようにしても良いし、印刷物の出力を開始する前の最初に出力するようにしても良い。また印刷データ61に基づく印刷出力を行う際、最終ページの裏面が余白であれば、その最終ページの裏面に印刷して出力するようにしても良い。また印刷データ61に基づく印刷出力を行う際、最初のページの表面又は最終ページの表面に余白があれば、その余白部分に印刷して出力するようにしても良い。
以上のように本実施形態の画像形成装置2は、共有印刷モードの指定が含まれる印刷データ61に対し、印刷予定時刻62を設定すると共に、ユーザを識別するための識別情報を登録した回覧リスト63を付加し、当該印刷データ61を記憶装置13に記憶させる。そして設定された印刷予定時刻62となるまでに、記憶装置13に記憶させた印刷データ61と同一の印刷データD1が受信され、且つ、その受信された印刷データD1に共有印刷モードの指定が含まれる場合に、当該同一の印刷データD1を送信したユーザを識別するための識別情報を回覧リスト63に追加登録する。その後、設定された印刷予定時刻62となると、記憶装置13から印刷データ61を読み出して印刷出力を行うと共に、回覧リスト63に含まれる識別情報に基づいて回覧用紙を同時に出力する。
したがって、この画像形成装置2によれば、複数のユーザが一の印刷物を回覧して共有することができるようになるので、同一の印刷物が複数回印刷されることを防止することができ、用紙が無駄に消費されるのを有効に防止することができる。
また特に、本実施形態の画像形成装置2は、共有印刷モードの指定が含まれる印刷データを受信した場合、既に他のユーザによって送信された同一の印刷データが印刷待機状態となって記憶装置13に記憶されているか否かを自動判別するように構成されており、しかも、既に他のユーザによって送信された同一の印刷データが記憶装置13に記憶されている場合には、その回覧リスト63にユーザの識別情報を自動的に追加登録するように構成されている。
そのため、複数のユーザで印刷物を共有することを希望する場合であっても、従来のように、事前に操作パネル18を操作して専用ボックスを作成する必要はなく、またその作成したボックスに印刷データを保存するための作業を行う必要もない。つまり、本実施形態の画像形成装置2によれば、ユーザは自身のコンピュータ3を操作することによって共有印刷モードを指定するだけで、複数のユーザで共有することができる一の印刷物が回覧用紙と共に出力されるようになる。それ故、ユーザが行う操作は、通常の印刷出力を行う場合とあまり異なるところがない。特にユーザは自身のコンピュータ3から離れる必要がないので、従来と比較すれば、本実施形態の画像形成装置2は、一の印刷出力を複数のユーザで共有するための各ユーザの操作性を改善することができ、使い勝手の優れた装置となる。
また本実施形態の画像形成装置2は、回覧リスト63への追加登録が行われた場合、印刷予定時刻62の変更が行われた場合、又は、印刷データ61を読み出して印刷出力が行われた場合に、回覧リスト63に登録されているユーザに対して必要な情報を通知するので、各ユーザは共有印刷モードを指定した印刷データの印刷状況をリアルタイムで把握することができるようになっている。また画像形成装置2は、ユーザからの印刷状況確認要求を受信した場合には、それに対応する適切な返答を自動的に行うので、各ユーザは共有印刷モードを指定した印刷データの印刷状況を随時把握することができる。
また上述した画像形成装置2は、複数のユーザの識別情報を含む回覧用紙を出力した場合、印刷データ61の印刷出力に伴って課金すべき金額を、それら複数のユーザのそれぞれに分割して課金処理を行うので、印刷物を共有する複数のユーザに対して平等に課金を行うことができる。
さらに、画像形成装置2は、印刷予定時刻62になるまでに、記憶装置13に記憶させた印刷データ61と同一の印刷データD1が受信され、且つ、その受信された印刷データD1に共有印刷モードの指定が含まれる場合に、当該同一の印刷データD1に設定された出力設定が、記憶装置13に記憶させた印刷データ61に設定されている出力設定よりも低コストで出力可能な設定である場合、記憶装置13に記憶させた印刷データ61に基づいて印刷出力する際の出力設定を低コストで出力可能な設定に変更するので、より低コストで印刷出力を行うことができるようになる。
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。すなわち、本発明には、上述した実施形態以外にも種々の変形例が適用可能である。
例えば、上述した実施形態では、画像形成装置2が印刷待機状態となる印刷データ61を記憶する記憶装置13を内蔵している場合を例示した。しかしながら、これに限定されるものではなく、記憶装置13は画像形成装置2の外部に設けられていても良い。例えば、ネットワーク4に設けられたサーバ装置に記憶装置13を設け、画像形成装置2がネットワーク4を介してサーバ装置の記憶装置13に記憶された印刷データ61を管理するようにしても良い。このような構成とすれば、例えば、ネットワーク4に複数の画像形成装置2が接続されている環境において、各ユーザが異なる画像形成装置2に対して共有印刷モードの印刷データを送信した場合でも、サーバ装置の記憶装置13で印刷待機状態の印刷データ61を一括管理できるようになり、同一の印刷物が異なる画像形成装置2で出力されることを防止できるようになる。
また上述した実施形態では、一例として、印刷データに指定した印刷予定時刻が早い順から、ユーザの回覧順序を上位に設定する場合を説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザの識別情報に基づいて各ユーザの役職を判別し、役職の高いユーザから順に回覧順序を上位に設定するようにしても良い。
また上述した実施形態では、一例として、各ユーザによって行われた印刷出力時の出力設定のうち、最も低コストで出力可能な設定を採用する場合を説明した。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、ユーザの識別情報に基づいて各ユーザの役職を判別し、役職の高いユーザが設定した出力設定を優先的に採用するように構成しても良い。また、最初に印刷データを送信したユーザによる出力設定をそのまま採用し、その後は出力設定を変更しない構成としても良い。