以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図2は本発明の第1の実施の形態における車両の概念図である。なお、図におけるF/B、L/R、U/Dは、車両の前後方向、左右方向及び上下方向をそれぞれ表す。
図において、10は車両、11は該車両10の本体を表すボディ(車体フレーム)、12は駆動源としての駆動モータ、WFL、WFR、WRL、WRRは、前記ボディ11に対して回転自在に配設された複数の、本実施の形態においては、左前方、右前方、左後方及び右後方の車輪である。なお、車輪WFL、WFRによって前輪が、車輪WRL、WRRによって後輪が構成される。
前記車両10は前輪駆動方式の構造を有し、前記駆動モータ12と車輪WFL、WFRとがドライブシャフト20を介して連結される。そして、前記駆動モータ12を駆動することによって発生させられた回転は、図示されない差動装置としてのディファレンシャル装置及びドライブシャフト20を介して車輪WFL、WFRに伝達される。該車輪WFL、WFRは、駆動輪として機能し、回転させられて車両10を走行させ、車両10の走行に伴って、車輪WRL、WRRが従動輪として機能し、回転させられる。本実施の形態においては、駆動源として駆動モータ12を使用するようになっているが、駆動モータ12に代えてエンジンを使用することができる。
また、14は、サスペンションとして機能し、前記各車輪WFL、WFR、WRL、WRRをボディ11に対して独立して懸架する懸架装置、16は、各車輪WFL、WFR、WRL、WRRのうちの所定の車輪、本実施の形態においては、車輪WFL、WFRの向きを変更することによって車両10の操舵を行う操舵装置、18は、車両10の所定の箇所、本実施の形態においては、右前方の端部に配設された周囲情報取得装置としての距離センサ、21は車両10を加速するための操作要素としての、かつ、加速操作要素としてのアクセルペダル、22は車両10を制動するための操作要素としての、かつ、制動操作要素としてのブレーキペダルである。操作者である運転者の前記アクセルペダル21の踏込状態(踏込量、踏込速度等)に対応させて車両10の加速力が変更され、前記ブレーキペダル22の踏込状態(踏込量、踏込速度等)に対応させて車両10の制動力が変更される。なお、本実施の形態において、距離センサ18は車両10の右前方の端部に配設されるようになっているが、左前方、左後方及び右後方の端部のうちの所定の端部に配設したり、複数の端部に配設したりすることができる。
また、前記操舵装置16は、車両10の操舵を行うための操作要素としての、かつ、操舵操作要素としてのステアリングホイール23、運転者がステアリングホイール23を操作したときに、ステアリングホイール23の回転を伝達する操舵軸としてのステアリングシャフト24、該ステアリングシャフト24を自動的に回転させるための操舵用の駆動部としての操舵モータ25、前記ステアリングシャフト24の回転を受け、車輪WFL、WFRの向きを変更する操舵機構26等を備える。
そして、該操舵機構26は、継手部材としてのフックジョイント31、運動方向変換部としてのステアリングギヤ32、タイロッド33、ナックルアーム34等を備え、前記ステアリングギヤ32は、第1の変換要素としての図示されないピニオン及び第2の変換要素としての図示されないラックを備える。
運転者がステアリングホイール23を操作するか、又は操舵モータ25を駆動してステアリングシャフト24を自動的に回転させると、ステアリングホイール23の操作状態(操作量、操作方向等)、又は操舵モータ25の駆動状態(回転角度、回転方向等)に応じて車両10の旋回半径及び旋回方向が変更される。
運転者がステアリングホイール23を操作すると、ステアリングホイール23の回動がステアリングシャフト24を介してフックジョイント31に伝達され、フックジョイント31によって回転軸の角度が変えられ、ピニオンが回転させられる。そして、ステアリングギヤ32において、ピニオンの回転運動がラックの直進運動に変換され、タイロッド33が左右に移動させられ、ナックルアーム34が揺動させられ、車輪WFL、WFRの向きが変更される。また、操舵モータ25が駆動された場合も、ステアリングシャフト24の回転がフックジョイント31に伝達され、フックジョイント31によって回転軸の角度が変えられ、ピニオンが回転させられる。そして、ステアリングギヤ32において、ピニオンの回転運動がラックの直進運動に変換され、タイロッド33が左右に移動させられ、ナックルアーム34が揺動させられ、車輪WFL、WFRの向きが変更される。なお、41はコンピュータとして機能し、車両10の全体の制御を行う制御部である。
次に、前記構成の車両10の制御装置について説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態における車両の制御ブロック図である。
図において、41は制御部であり、該制御部41は、演算装置としてのCPU51、第1の記録部としてのROM52、第2の記録部としてのRAM53、第3の記録部としての、かつ、データ記録部としてのハードディスク(HDD)54、及び入出力ポート55を備える。前記ROM52は、書換え不能な不揮発性のメモリであり、制御用のプログラム、データ等が記録される。前記RAM53は、書換え可能な揮発性のメモリであり、前記制御用のプログラムを実行する際に使用されるデータが記録される。また、前記ハードディスク54には、ナビゲーション処理を行うためのナビゲーション情報としての地図データが記録された地図データベース56、駐車場情報としての駐車場データが記録された駐車場データベース57等が配設される。なお、本実施の形態においては、地図データ、駐車場データ等がハードディスク54に記録されるようになっているが、地図データ、駐車場データ等を、後述される通信部65を介して情報提供者としての図示されない情報センタから取得し、ハードディスク54に記録することができる。
前記地図データには、地形に関する地形データ、道路リンクに関する道路データ、交差点に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ、地物に関する地物データ、所定の情報を音声によって出力するための音声データ、渋滞を予測するための統計データ、車両の走行履歴に関する走行履歴データ等が含まれる。
また、前記駐車場データには、駐車場の位置(座標)、入口の位置(座標)、出口の位置(座標)、各駐車スペースの番号、複数階構造を有する駐車場における各駐車スペースが位置するフロア(階)、各駐車スペースの寸法(幅、奥行及び高さ)、各駐車スペース内の所定の箇所に設定された駐車位置(座標)、各駐車スペースが空いているかどうかの空き情報、駐車場内の通路の縁部の位置(座標)等が含まれる。なお、運転者が所定の駐車スペースを契約により占有している場合には、占有している駐車スペースの番号も含まれる。
前記入出力ポート55には、画像によって各種の情報を運転者に通知するための第1の出力部としての表示部61、車両10の現在地(座標)及び方位並びに時刻を検出する現在地検出部としてのGPSセンサ62、運転者が操作することによって所定の入力を行うための操作部63、音声によって各種の情報を運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部64、及び前記情報センタ等との間でデータの送受信を行うための送受信部としての前記通信部65が接続される。なお、GPSセンサ62は、車両10の現在地及び方位並びに時刻を検出することができない場合、車速、方位等の情報に基づいて、車両10の仮想的な現在地を算出(デッドレコニング)することができる。
前記表示部61は、図示されないディスプレイ、タッチパネル等から成り、ディスプレイ、タッチパネル等に形成された各画面に各種の画像が表示される。本実施の形態においては、タッチパネルが使用され、該タッチパネルは操作部としても機能し、その場合、画面に画像による操作要素としてのキー、スイッチ、ボタン等が表示され、運転者がキー、スイッチ、ボタン等にタッチすることによって、所定の入力を行うことができる。
前記表示部61の画面には、現在地、周辺の地図、車両10の方位等を表す地図画面、駐車場内の各駐車スペースの状態を表す駐車場地図画面等が含まれる。
また、前記操作部63は、図示されないリモコン、キーボード、マウス等から成り、操作要素としてのキー、スイッチ、ボタン、ダイヤル等を備える。そして、運転者がキー、スイッチ、ボタン等を押下したり、ダイヤルを回転させることによって、所定の入力を行うことができる。
音声出力部64は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、音声出力部64から各種の情報が音声で出力される。
また、前記入出力ポート55には、駆動モータ12、操舵モータ25、距離センサ18、加速操作検出部としてのアクセルペダルセンサ66、制動操作検出部としてのブレーキペダルセンサ67、操舵検出部としてのステアリングセンサ68、車速検出部としての車速センサ69等が接続される。
前記距離センサ18は、赤外線レーザーを目標物に照射し、その反射の度合いによって、車両10から、車両10の周囲に存在する柱、壁、駐車スペースに駐車させられている他の車両等の対象物までの距離を検出するレーザレンジファインダから成り、距離検出部を構成する。
なお、距離センサ18に代えて、周囲情報取得装置として撮像装置、例えば、CCDカメラを使用することができる。その場合、CCDカメラによって、車両10の周囲に存在する柱、壁、他の車両等のほかに、各駐車スペースを区画する白線が対象物として撮影され、CPU51の図示されない画像処理手段は、画像処理を行い、撮影された対象物の画像のデータ、すなわち、画像データに基づいて画像を解析し、車両10から対象物までの距離を検出する。
また、前記アクセルペダルセンサ66は、アクセルペダル21に隣接させて配設され、アクセルペダル21の踏込状態を検出し、ブレーキペダルセンサ67は、ブレーキペダル22に隣接させて配設され、ブレーキペダル22の踏込状態を検出し、ステアリングセンサ68は、ステアリングホイール23に隣接させて配設され、ステアリングホイール23の操作状態又は操舵モータ25の駆動状態を検出する。そして、車速センサ69は、ドライブシャフト20が所定の角度回転するごとにパルスを発生させる図示されない角度センサから成り、発生させられたパルスに基づいて車速を検出する。
ところで、前記構成の車両10は、車両10の走行を支援する走行支援装置を備え、車両10を、現在地から目標位置、例えば、駐車場内の所定の駐車スペースまで自動で走行させることができるようになっている。なお、前記走行支援装置は、車両10、制御部41等によって構成される。
次に、前記構成の走行支援装置の動作について説明する。
図3は本発明の第1の実施の形態における走行支援装置の動作を示すフローチャート、図4は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図5は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図6は本発明の第1の実施の形態における駐車場地図画面の例を示す図、図7は本発明の第1の実施の形態における経路パターンの例を示す図、図8は本発明の第1の実施の形態における仮想移動点を算出する方法を示す図、図9は本発明の第1の実施の形態における移動禁止エリアの例を示す図、図10は本発明の第1の実施の形態における駐車可能条件判断処理手段の動作を示す図、図11は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す第1の図、図12は本発明の第1の実施の形態における仮想移動距離変更処理手段の動作を示す第1の図、図13は本発明の第1の実施の形態における仮想移動距離変更処理手段の動作を示す第2の図、図14は本発明の第1の実施の形態における仮想移動距離変更処理手段の動作を示す第3の図、図15は本発明の第1の実施の形態における仮想移動距離変更処理手段の動作を示す第4の図、図16は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す第2の図、図17は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す第3の図、図18は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す第4の図、図19は本発明の第1の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す第5の図である。
図6において、g1は表示部61に形成された駐車場地図画面、pi(i=1、2、…、14)は駐車スペースである。駐車場地図画面g1において、駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14には、他の車両が駐車させられていることを表すマーク、本実施の形態においては、「×」が表示される。この場合、他の車両が駐車させられていない駐車スペースp4、p7、p9、p12、p13のうちの駐車スペースp12に車両10を走行させるときの走行支援装置の動作について説明する。
まず、運転者が、所定の駐車場に向けて車両10を走行させ、前記駐車場の入口、又は駐車場内で、表示部61に形成された図示されないメニュー画面において走行支援用のキーにタッチすると、CPU51の図示されないモード設定処理手段は、モード設定処理を行い、車両10の動作のモードを、通常モードから、車両10の走行を支援するモード、すなわち、走行支援モードに切り換え、設定する。
そして、該走行支援モードが設定されると、車両10を、現在地(第1の地点)から所定の地点、本実施の形態においては、駐車スペースp12(第2の地点)まで自動で走行させるための経路(駐車経路)が生成される。したがって、運転者は、車両10を、前記経路に沿って現在地から駐車スペースp12まで自動で走行させることができ、該駐車スペースp12に駐車させることができる。なお、現在地によって、走行支援を開始する地点、すなわち、走行支援開始点が、駐車スペースによって、走行支援を終了する地点、すなわち、走行支援終了点が構成される。
そのために、前記CPU51の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記メニュー画面のサブ画面を形成し、該サブ画面に、走行支援モードにおいて、前記経路を生成する際の条件、すなわち、経路生成条件を選択するためのキーを表示する。
この場合、経路生成条件には、車両10を後端から駐車スペースpiに進入させることができるように経路を生成するための後ろ向き駐車の経路生成条件、車両10を前端から駐車スペースpiに進入させることができるように経路を生成するための前向き駐車の経路生成条件等が含まれ、運転者が所定の経路生成条件を選択し、対応するキーにタッチすると、CPU51の図示されない経路生成条件設定処理手段は、経路生成条件設定処理を行い、選択された経路生成条件を設定する(ステップS1)。本実施の形態においては、後ろ向き駐車の経路生成条件があらかじめデフォルトで設定される。
次に、前記CPU51の図示されない周囲情報取得処理手段は、周囲情報取得処理を行い、距離センサ18によって検出された距離を、周囲情報として読み込むことによって取得する(ステップS2)。
そして、前記CPU51の図示されない空き駐車スペース認識処理手段は、空き駐車スペース認識処理を行い、ハードディスク54の駐車場データベース57から駐車場データを読み出し、該駐車場データ、及び前記周囲情報取得処理手段によって取得された周囲情報に基づいて、各駐車スペースpiに他の車両が駐車させられているかどうかを判断し、他の車両が駐車させられていない駐車スペースp4、p7、p9、p12、p13を空き駐車スペースとして認識する(ステップS3)。そして、前記表示処理手段は、表示部61に前記駐車場地図画面g1を形成し、駐車場地図画面g1に各駐車スペースpiを表示するとともに、駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14に「×」を表示する。
本実施の形態においては、駐車場データをハードディスク54から読み出すようになっているが、通信部65を介して情報センタから取得することができる。その場合、情報センタから取得される駐車場データには、各駐車スペースpiに他の車両が駐車させられているかどうかを表す駐車場利用データも含まれる。また、駐車場内において、通信部65を介して駐車場の管理者から駐車場利用データを取得することもできる。
続いて、運転者が駐車場地図画面g1において、空き駐車スペースのうちの所定の駐車スペース、本実施の形態においては、駐車スペースp12を選択してタッチすると、CPU51の図示されない駐車スペース選択処理手段は、駐車スペース選択処理を行い、駐車スペースp12を、車両10を駐車させるための駐車スペースとして設定する(ステップS4)。
ところで、現在地は、車両10におけるGPSセンサ62が配設された位置、すなわち、配設位置を表すので、GPSセンサ62の配設位置によって車両10の座標が異なる。そこで、本実施の形態においては、CPU51による処理の便宜上、車両10の所定の点を車両位置特定点として設定し、該車両位置特定点の座標を、車両10の位置、すなわち、車両位置とするようにしている。したがって、CPU51の図示されない車両位置算出処理手段は、車両位置算出処理を行い、車両位置を、現在地の座標に、GPSセンサ62と車両位置特定点との間のX軸上及びY軸上の各距離に相当する値を加算することによって算出する。
また、距離センサ18によって検出される距離は、距離センサ18と、対象物における最も車両10に近接する部位との距離を表すので、距離センサ18の配設位置によって値が異なる。そこで、本実施の形態においては、CPU51による処理の便宜上、車両10と対象物との距離を、前記車両位置特定点と、対象物における最も車両10に近接する部位との距離とする。したがって、前記CPU51の図示されない距離算出処理手段は、距離算出処理を行い、車両10から対象物までの距離を、距離センサ18と対象物の最も車両10に近接する部分との間の距離に、距離センサ18と車両位置特定点との間のX軸上及びY軸上の各距離を加算することによって算出する。
そして、車両10を現在地から駐車スペースp12まで走行させるために生成される経路は、走行支援を開始する際の前記車両位置から、走行支援を終了する際の駐車スペースp12における車両位置特定点に対応する位置(以下「駐車位置」という。)まで車両10を仮想的に移動させたときの軌跡を表す。前記駐車位置によって目標位置が構成される。
なお、本実施の形態において、前記車両位置特定点は、車輪WRL、WRRを結ぶ線分の中央の点に設定されるが、車輪WFL、WFRを結ぶ線分の中央の点に設定したり、車両10の中央の点に設定したりすることができる。
続いて、CPU51の図示されない相対関係取得処理手段は、相対関係取得処理を行い、現在の車両位置と駐車位置との相対関係を取得する(ステップS5)。この場合、走行支援を開始する際の車両位置によって第1の位置が、走行支援を終了する際の駐車位置によって第2の位置が構成され、いずれも、座標で表される。
本実施の形態においては、後ろ向き駐車の経路生成条件があらかじめデォルトで設定されているので、前記駐車位置は、後ろ向き駐車を行った場合の車両位置特定点に対応する点で表されるが、運転者が前向き駐車の経路生成条件を選択した場合、前記駐車位置は、前向き駐車を行った場合の車両位置特定点に対応する点で表される。
そして、CPU51の図示されない経路生成処理手段は、経路生成処理を行い、現在の車両位置から駐車位置までの経路を生成する(ステップS6)。
次に、図7〜9に基づいて、前記経路生成処理手段の動作について説明する。
この場合、変数n(n=1、2、…、10)、s(s=1、2、…)、m(m=1、2、…)、i(i=1、2、…)に1がセットされ(ステップS6−1)、前記経路生成処理手段の基準点設定処理手段は、基準点設定処理を行い、現在の車両位置を基準点O0 とする(ステップS6−2)。
続いて、前記経路生成処理手段の仮想移動処理手段は、仮想移動処理を行い(ステップS6−3)、図7に示されるように、車両10を、基準点O0 から順次所定の経路パターンQnで仮想的に移動させ、各経路パターンQnの先端に設定された仮想移動点Snに置く。
そのために、基準点O0 から複数の方向、本実施の形態においては、10個の方向に向けてそれぞれ経路パターンQn及び仮想移動点Snがあらかじめ設定される。なお、変数nは、基準点O0 に対して設定される10個の経路パターンQnを識別するための経路パターン番号を表し、最大値nmax は10になる。
前記10個の方向は、車両10を直線状に前後進させる方向、車両10を複数の旋回半径、本実施の形態においては、第1、第2の旋回半径で左方に旋回させて前後進させる方向、及び車両10を第1、第2の旋回半径で右方に旋回させて前後進させる方向から成り、前記第1の旋回半径を、車両10の仕様によって決まる最小旋回半径と等しくされたRとし、第2の旋回半径を車両10の最小旋回半径Rを2倍した2Rとする。
また、各経路パターンQnの長さによって、車両10を仮想的に移動させる距離(以下「仮想移動距離」という。)Lが設定され、該仮想移動距離Lは、可変にされ、初期状態において2〔m〕にされる。
したがって、仮想移動点S1は、車両10を直線状に2〔m〕前進させた位置に、仮想移動点S2は、車両10を直線状に2〔m〕後退させた位置に、仮想移動点S3は、車両10を第2の旋回半径2Rで左方に旋回させて2〔m〕前進させた位置に、仮想移動点S4は、車両10を第2の旋回半径2Rで右方に旋回させて2〔m〕前進させた位置に、仮想移動点S5は、車両10を第2の旋回半径2Rで左方に旋回させて2〔m〕後退させた位置に、仮想移動点S6は、車両10を第2の旋回半径2Rで右方に旋回させて2〔m〕後退させた位置に、仮想移動点S7は、車両10を第1の旋回半径Rで左方に旋回させて2〔m〕前進させた位置に、仮想移動点S8は、車両10を第1の旋回半径Rで右方に旋回させて2〔m〕前進させた位置に、仮想移動点S9は、車両10を第1の旋回半径Rで左方に旋回させて2〔m〕後退させた位置に、仮想移動点S10は、車両10を第1の旋回半径Rで右方に旋回させて2〔m〕後退させた位置に、それぞれ設定される。
なお、経路パターンQn及び仮想移動点Snは、変数nの値が小さいほど優先的に選択され、経路パターンQ1及び仮想移動点S1が最初に、経路パターンQ10及び仮想移動点S10が最後に選択される。
そして、各仮想移動処理において、各仮想移動点Snが選択されるたびに、前記経路生成処理手段の基準点更新処理手段は、基準点更新処理を行い、各仮想移動点Snを、車両10を更に仮想的に移動させるための新たな基準点Oi とすることによって、基準点を更新し、RAM53に記録する(ステップS6−4)。なお、変数iは基準点を識別するための基準点番号を表す。
ここで、仮想移動処理において、各仮想移動点Sn、例えば、仮想移動点S8 、S9を算出する方法について説明する。
この場合、図8に示されるように、車両10を第1の旋回半径Rで仮想移動距離Lだけ移動させる際の旋回中心C1の座標を(xR ,yR )とし、基準点Oi の座標を(xi ,yi )とし、仮想移動点S8の座標を(xi+1 ,yi+1 )とし、旋回中心C1に対して基準点Oi と仮想移動点S8とが成す角度(以下「仮想移動角度」という。)をθ1とすると、
L=2πR・θ1/2π
=R・θ1
であるので、
θ1=L/R
になる。したがって、仮想移動点S8の場合、
xi <xR
であるので、仮想移動点S8の座標は、
xi+1 =xi +2R・sin(θ1/2)・sin(θ1/2)
yi+1 =yi +2R・sin(θ1/2)・cos(θ1/2)
になり、仮想移動点S9の場合、
xi >xR
であるので、仮想移動点S9の座標は、
xi+1 =xi −2R・sin(θ1/2)・sin(θ1/2)
yi+1 =yi −2R・sin(θ1/2)・cos(θ1/2)
になる。
本実施の形態においては、各基準点OO 、Oi に対して10個の経路パターンQnが設定されるようになっているが、任意の複数の経路パターンを設定することができる。また、本実施の形態においては、第1、第2の旋回半径R、2Rを最小旋回半径の整数倍で設定するようになっているが、任意の値に設定することができる。
ところで、本実施の形態においては、車両10が、基準点O0 、Oi から順次各経路パターンQnに沿って仮想移動点Snまで仮想的に移動させられるが、図6に示されるように、駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14には他の車両が駐車させられているので、図9に示されるように、所定の仮想移動点が駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14に設定されると、車両10を前記所定の仮想移動点まで仮想的に移動させることができない。また、所定の仮想移動点が駐車場内の壁の内部に設定される場合においても、車両10を前記所定の仮想移動点まで仮想的に移動させることができない。
そこで、本実施の形態において、前記経路生成処理手段の移動禁止エリア設定処理手段は、移動禁止エリア設定処理を行い、前記駐車場データ及び前記周囲情報に基づいて、柱、壁、他の車両等の位置(座標)を取得し、車両10の移動が禁止される領域を表す移動禁止エリアAR0を座標上に設定する。なお、図9においては、駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14が移動禁止エリアAR0として設定される。
そして、前記経路生成処理手段の仮想移動条件判断処理手段としての移動禁止エリア判断処理手段は、仮想移動条件判断処理としての移動禁止エリア判断処理を行い、車両10を基準点O0 から仮想移動点Snまで仮想的に移動させるための条件、すなわち、仮想移動条件が成立するかどうかを、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかによって判断し(ステップS6−5)、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在し、仮想移動条件が成立しない場合、仮想移動点Snについて経路の生成を行わず、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在せず、仮想移動条件が成立する場合、前記経路生成処理手段の移動可能条件判断処理手段としての駐車可能条件判断処理手段は、移動可能条件判断処理としての駐車可能条件判断処理を行い、仮想移動点Snについて、所定の移動可能条件としての駐車可能条件が成立するかどうかを判断する(ステップS6−6)。
なお、本実施の形態においては、車両10を、所定の旋回半径、本実施の形態においては、最小旋回半径(R)以上の旋回半径Rp で旋回させて駐車位置に移動させることができるかどうかによって、前記駐車可能条件が成立するかどうかが判断される。
次に、車両10を、仮想移動点である車両位置Sv から最小旋回半径(R)で左方に旋回させて後退させ、駐車位置SP に移動させ、後ろ向き駐車を行う場合の駐車可能条件について説明する。この場合、車両10を、駐車スペースp12内の駐車位置SP に置いたときに、車両10の縦軸とy軸とを一致させることを目標とする場合を第1の条件とし、図10に示されるように、車両10を駐車スペースp12外の所定の地点Saに置いたときに、縦軸とy軸とを一致させることを目標とする場合を第2の条件とする。
ここで、図10において、前記車両位置Sv の座標を(xv ,yv ) とし、駐車位置SP の座標を(xP ,yP )とし、車両位置Sv と駐車位置SP とを結ぶ線分のx軸に対する角度をθ2とし、車両位置Sv における車両10の縦軸のx軸に対する角度をθv とし、駐車位置SP における車両10の縦軸のx軸に対する角度をθP としたとき、前記角度θ2は、
θ2=tan-1((Yv −Yp )/((Xv −Xp ))
になる。したがって、x軸上における車両位置Sv と駐車位置SP との距離をPx とし、y軸上における車両位置Sv と駐車位置SP との距離をPy とすると、各距離Px 、Py は、
Px =|√((Xv −Xp )2 +(Yv −Yp )2 )・cos(θ2+π/2−θp )|
Py =|√((Xv −Xp )2 +(Yv −Yp )2 )・sin(θ2+π/2−θp )|
になる。
また、車両位置Sv において、旋回中心C2と車両位置Sv とを結ぶ線分のx軸に対する角度をθvpとしたとき、角度θvpは、
θvp=θv −θp
になる。そして、x軸上における車両位置Sv と旋回中心C2との距離をPrxとし、y軸上における車両位置Sv と旋回中心C2との距離をPryとすると、各距離Prx、Pryは、
Prx=Rp ・cosθvp
Pry=Rp ・sinθvp
になり、
Prx=Rp −Px
であるので、
Rp =Px /(1−cosθvp)
になる。
したがって、第1の条件においては、車両10を最小旋回半径(R)以上の旋回半径Rp で旋回させて後退させるときの距離Py が、
Py >Pry
である場合に、駐車可能条件が成立する。
また、第2の条件においては、地点Saで第1の旋回半径Rの旋回円の接線とy軸とを一致させる必要があるので、
Py −PL /2>Pry
である場合に、駐車可能条件が成立する。なお、値PL は、駐車スペースp12の長手方向の寸法である。
このようにして駐車可能条件が成立すると、前記経路生成処理手段の経路生成判断処理手段は、経路生成判断処理を行い、経路を生成することができると判断する(ステップS6−7)。
ところで、本実施の形態においては、移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立する仮想移動点が選択されるまで、図11に示されるように、各経路パターンQnについて仮想移動処理が繰り返し行われる。
すなわち、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在する場合、及び駐車可能条件が成立しない場合、変数n及びmがインクリメントされ(ステップS6−8、S6−9)、変数nがnmax より大きくなると(ステップS6−10)、変数nに1がセットされ(ステップS6−11)、変数iがΣnmax x (x=1、2、…、s)より大きくなるまで(ステップS6−12)基準点Oi を移動させ(ステップS6−13)、変数iをインクリメントし(ステップS6−14)、変数iがΣnmax x より大きくなると、変数sをインクリメントし(ステップS6−15)、変数sがsmax 以上になると(ステップS6−16)、前記経路生成判断処理手段は、経路を生成することができないと判断する(ステップS6−17)。なお、変数sは仮想移動処理の繰返し回数を識別する繰返し回数番号を表し、変数mは仮想移動点Snの総数を識別するための総仮想移動点番号を表し、変数sの最大値smax は、例えば、6にされる。
このようにして、前記経路生成判断処理手段によって、経路を生成することができると判断されると(ステップS7)、前記CPU51の図示されない経路決定処理手段は、経路決定処理を行い、生成された経路を決定する(ステップS8)。
そして、前記表示処理手段は、表示部61に、生成された経路を表示するとともに、実行キーを表示する。したがって、運転者が実行キーにタッチすると、CPU51の図示されない運転支援処理手段は、運転支援処理を行い、駆動モータ12及び操舵モータ25を駆動し、車両10を、現在地から駐車スペースp12まで自動で走行させる。
ところで、前記仮想移動距離Lは、初期状態において2〔m〕にされるが、図12に示されるように、駐車場内の通路の幅hが小さく、車両10の周囲に移動禁止エリアAR0が設定されている場合、車両10を仮想移動点Snまで仮想的に移動させることができず、経路を生成することができない。
そこで、前記経路生成判断処理手段によって経路を生成することができないと判断されると、前記経路生成処理手段の仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離変更処理を行い、仮想移動距離Lを変更する(ステップS9)。そのために、前記仮想移動距離変更処理手段は、図13に示されるように、車両10及び該車両10の各仮想移動点Snを含むように形成される矩(く)形の領域を仮想移動エリアAR1とし、該仮想移動エリアAR1内における前記移動禁止エリアAR0以外の領域を移動可能エリアAR2としたときに、前記仮想移動エリアAR1の面積A1及び移動可能エリアAR2の面積A2に基づいて仮想移動距離Lを変更する。なお、仮想移動エリアAR1の面積A1は、第1、第2の旋回半径R、2R及び仮想移動距離Lに基づいて算出される。
また、前記仮想移動距離変更処理手段は、図14に示される方法で移動可能エリアAR2の面積A2を算出する。
この場合、図14において、距離センサ18における距離を検出する際の角度分解能を表す角度をΔθ(本実施の形態においては、0.5〔°〕)としたときの、角度Δθを挟角とする二つの線分と移動可能エリアAR2の縁部とが交差する二つの点u1、u2の各座標を(x1 ,y1 )、(x2 ,y2 )とする。
このとき、車両位置SV と点u1との距離L1 は、
L1 =√(x1 2+y1 2)
に、車両位置SV と点u2との距離L2 は、
L2 =√(x2 2 +y2 2 )
になる。そして、車両位置SV 及び点u1、u2によって包囲される部分の面積をΔA1 とすると、
ΔA1 =1/2(L1 ・L2 ・sinΔθ)
になり、面積A2は、面積ΔA1 を360〔°〕分加算した値であるので、
A2=ΣΔAN
=Σ1/2(LN ・LN+1 ・sinΔθ)
になる。なお、値Nは、
N=1、2、…、720
である。
そして、変更後の仮想移動距離LをL’とすると、仮想移動距離L’は、
L’=(A2/A1)・k・L
になる。なお、kは値(A2/A1)の仮想移動距離L’に与える影響を調整するための移動距離係数である。
続いて、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lの変更に限界があるまで(例えば、値(A2/A1)が0.5になるまで)仮想移動距離Lを変更する(ステップS10)。
このようにして、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lを変更し、図15に示されるような、仮想移動距離L’が短くされた仮想移動エリアAR3を設定する。
このように、本実施の形態においては、車両10が、基準点Oo 、Oi から順次所定の経路パターンQnで仮想的に移動させられ、各経路パターンQnの先端に設定された仮想移動点Snに置かれ、各仮想移動点Snが次の基準点にされて、駐車可能条件が成立するまで、車両10が更に仮想的に移動させられる。したがって、運転者は、表示部61を目視することなく、車両10を、生成された経路に沿って現在地から駐車スペースp12まで容易に、かつ、確実に走行させることができる。
また、本実施の形態においては、柱、壁、他の車両等の位置に基づいて移動禁止エリアAR0が設定され、所定の仮想移動点が前記移動禁止エリアAR0内に存在する場合、仮想移動点について経路の生成が行われないので、柱、壁、他の車両等に向けて経路が生成されるのを防止することができる。
さらに、駐車場内の通路の幅hが小さく、車両10の周囲に移動禁止エリアAR0が設定されている場合でも、仮想移動距離変更処理手段によって仮想移動距離Lが変更され、短くされるので、経路を確実に生成することができる。
なお、本実施の形態においては、後ろ向き駐車の経路生成条件があらかじめデフォルトで設定され、図16に示されるような、後ろ向き駐車の経路が生成されるようになっているが、直進優先の経路を生成する場合は、図17に示されるように、前記仮想移動処理手段によって各経路パターンQnに重み付けが行われる。例えば、経路パターンQ1、Q2の重みが1.0に、経路パターンQ3〜Q6の重みが0.9に、経路パターンQ7〜Q10の重みが0.8にされる。この場合、図18及び19に示されるように、可能な限り、車両10が旋回するのを抑制し、直進させながら駐車スペースp12に駐車させることができる。
次に、車両10を仮想的に移動させる領域、すなわち、仮想移動領域内に柱、壁、他の車両等が障害物として存在する場合に、障害物を回避して経路を生成することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図20は本発明の第2の実施の形態における仮想移動領域の説明図である。
図において、10は車両であり、例えば、車両10を、旋回中心C1を中心にして第1の旋回半径Rで右方に旋回させ、経路パターンQ8(図7)に沿って走行させたとき、車両10の左前端は最長半径Rmax の軌跡を描き、車両10の右後端の近傍(車両位置SV と旋回中心C1とを結ぶ線分と、車両10の右側縁とが交差する点)は最小半径Rmin の軌跡を描く。
ところで、最長半径Rmax の軌跡と最小半径Rmin の軌跡との間に形成される仮想移動領域ARv内に障害物が存在すると、前記経路パターンQ8に沿って経路を生成することができない。
そこで、本実施の形態においては、障害物を回避する経路生成条件、すなわち、障害物回避経路生成条件が設定される。
図21は本発明の第2の実施の形態における走行支援装置の動作を示すフローチャート、図22は本発明の第2の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図23は本発明の第2の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図24は本発明の第2の実施の形態における領域計算経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図25は本発明の第2の実施の形態における領域計算経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図26は本発明の第2の実施の形態における仮想移動領域の説明図、図27は本発明の第2の実施の形態における車両の最端点の説明図である。
まず、走行支援モードが設定されると、前記表示処理手段は、前記メニュー画面のサブ画面を形成し、該サブ画面に、走行支援モードにおいて、経路を生成する際の条件、すなわち、経路生成条件を選択するためのキーを表示する。
この場合、経路生成条件には、後ろ向き駐車の経路生成条件、前向き駐車の経路生成条件、障害物回避経路生成条件等が含まれ、運転者が所定の経路生成条件を選択し、対応するキーにタッチすると、前記経路生成条件設定処理手段は、選択された経路生成条件を設定する(ステップS11)。なお、経路生成条件があらかじめ設定されている場合、例えば、第1の記録部としてのROM52等に記録されている場合、前記経路生成条件設定処理手段は、記録された経路生成条件を読み出す。
次に、前記周囲情報取得処理手段は、周囲情報を取得し(ステップS12)、前記空き駐車スペース認識処理手段は、駐車場データベース57(図1)から読み出した駐車場データ及び前記周囲情報に基づいて空き駐車スペースを認識する(ステップS13)。そして、前記表示処理手段は、前記駐車場地図画面g1(図6)に各駐車スペースpiを表示するとともに、他の車両が駐車させられている駐車スペースp1〜p3、p5、p6、p8、p10、p11、p14に「×」を表示する。
続いて、運転者が駐車場地図画面g1において、空き駐車スペースのうちの所定の駐車スペース、本実施の形態においては、駐車スペースp12を選択してタッチすると、前記駐車スペース選択処理手段は、駐車スペースp12を、車両10を駐車させるための駐車スペースとして設定する(ステップS14)。
次に、前記相対関係取得処理手段は、現在の車両位置と駐車位置との相対関係を取得し(ステップS15)、演算装置としての前記CPU51の図示されない経路生成条件判断処理手段は、経路生成条件判断処理を行い、設定された経路生成条件を読み込み(ステップS16)、障害物回避経路生成条件が設定されているかどうかを判断する(ステップS17)。
障害物回避経路生成条件が設定されている場合、前記CPU51の図示されない領域計算経路生成処理手段は、領域計算経路生成処理を行い、周囲情報取得装置としての距離センサ18によって距離が検出された柱、壁、他の車両等が障害物として仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかを判断し、仮想移動領域ARv内に障害物が存在しない場合に経路を生成することができると判断する(ステップS19、S20)。
また、障害物回避経路生成条件が設定されていない場合、前記CPU51の図示されない点計算経路生成処理手段は、点計算経路生成処理を行い、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかを判断し、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しない場合に経路を生成することができると判断する(ステップS18、S20)。
次に、図22及び23に基づいて、前記点計算経路生成処理手段の動作について説明する。
この場合、第1の実施の形態の経路生成処理手段の動作と同様に、変数n(n=1、2、…、10)、s(s=1、2、…)、m(m=1、2、…)、i(i=1、2、…)に1がセットされ(ステップS18−1)、点計算経路生成処理手段の基準点設定処理手段は、基準点設定処理を行い、現在の車両位置を基準点O0 とする(ステップS18−2)。
続いて、前記点計算経路生成処理手段の仮想移動処理手段は、仮想移動処理を行い(ステップS18−3)、車両10を、基準点O0 から順次所定の経路パターンQnで仮想的に移動させ、各経路パターンQnの先端に設定された仮想移動点Snに置く。そして、各仮想移動処理において、各仮想移動点Snが選択されるたびに、前記点計算経路生成処理手段の基準点更新処理手段は、基準点更新処理を行い、各仮想移動点Snを、車両10を更に仮想的に移動させるための新たな基準点Oi とすることによって基準点Oi を更新し、第2の記録部としてのRAM53に記録する(ステップS18−4)。
次に、前記点計算経路生成処理手段の移動禁止エリア設定処理手段は、前記駐車場データ及び前記周囲情報に基づいて移動禁止エリアAR0を座標上に設定し、前記点計算経路生成処理手段の第1の仮想移動条件判断処理手段としての移動禁止エリア判断処理手段は、第1の仮想移動条件判断処理としての移動禁止エリア判断処理を行い、第1の仮想移動条件が成立するかどうかを、前記仮想移動点Snが前記移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかによって判断する(ステップS18−5)。仮想移動点Snが前記移動禁止エリアAR0内に存在し、第1の仮想移動条件が成立しない場合、前記移動禁止エリア判断処理手段は、仮想移動点について経路の生成を行わず、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在し、第1の仮想移動条件が成立する場合、前記点計算経路生成処理手段の移動可能条件判断処理手段としての駐車可能条件判断処理手段は、移動可能条件判断処理としての駐車可能条件判断処理を行い、仮想移動点Snが所定の移動可能条件としての、第1の実施の形態と同様の駐車可能条件が成立するかどうかを判断する(ステップS18−6)。
そして、駐車可能条件が成立すると、前記点計算経路生成処理手段の経路生成判断処理手段は、経路を生成することができると判断する(ステップS18−7)。
また、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在する場合、及び駐車可能条件が成立しない場合、変数n及びmがインクリメントされ(ステップS18−8、S18−9)、変数nがnmax より大きくなると(ステップS18−10)、変数nに1がセットされ(ステップS18−11)、変数iがΣnmax x より大きくなるまで(ステップS18−12)基準点Oi を移動させ(ステップS18−13)、変数iをインクリメントし(ステップS18−14)、変数iがΣnmax x より大きくなると、変数sをインクリメントし(ステップS18−15)、変数sがsmax 以上になると(ステップS18−16)、前記経路生成判断処理手段は、経路を生成することができないと判断する(ステップS18−17)。
次に、図24〜27に基づいて、前記領域計算経路生成処理手段の動作について説明する。
この場合、前記点計算経路生成処理手段の動作と同様に、変数n(n=1、2、…、10)、s(s=1、2、…)、m(m=1、2、…)、i(i=1、2、…)に1がセットされる(ステップS19−1)。
次に、前記領域計算経路生成処理手段の余裕幅設定処理手段は、余裕幅設定処理を行い、車両10の最長半径Rmax に加算する余裕幅+α(α>0)及び最小半径Rmin に加算する余裕幅−αを設定する(ステップS19−2)。
続いて、前記領域計算経路生成処理手段の基準点設定処理手段は、現在の車両位置を基準点O0 とし(ステップS19−3)、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動処理手段は、仮想移動処理を行い(ステップS19−4)、車両10を、基準点O0 から順次所定の経路パターンQnで仮想的に移動させ、各経路パターンQnの先端に設定された仮想移動点Snに置く。そして、各仮想移動処理において、各仮想移動点Snが選択されるたびに、前記点計算経路生成処理手段の基準点更新処理手段は、基準点更新処理を行い、各仮想移動点Snを、車両10を更に仮想的に移動させるための新たな基準点Oi とすることによって基準点を更新し、RAM53に記録する(ステップS19−5)。
そして、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動領域設定処理手段は、仮想移動領域設定処理を行い、前記仮想移動処理で設定された経路パターンQnの旋回半径、本実施の形態においては、第1の旋回半径R、車両10の最長半径Rmax 、最小半径Rmin 、及び前記余裕幅設定処理で設定された余裕幅+α、−αを読み込み、最長半径Rmax に余裕幅+αを加算した値を最長半径Rmax とし、最小半径Rmin に余裕幅−αを加算した値を最小半径Rmin とし、最長半径Rmax 及び最小半径Rmin に基づいて仮想移動領域ARvを設定する。したがって、距離センサ18によって障害物の距離を検出することができる範囲が広くなり、仮想移動条件が成立しにくくなるので、移動禁止エリアAR0を広くすることができ、車両10を走行させる際の安全性を高くすることができる。
続いて、前記領域計算経路生成処理手段の周囲情報読込処理手段は、周囲情報読込処理を行い、前記周囲情報取得処理手段によって取得された周囲情報を読み込み(ステップS19−6)、前記領域計算経路生成処理手段の第2の仮想移動条件判断処理手段としての障害物判断処理手段は、第2の仮想移動条件判断処理としての障害物判断処理を行い、第2の仮想移動条件が成立するかどうかを、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかによって判断する(ステップS19−7)。
この場合、車両位置Svlにおける車両位置特定点を原点とする。図26に示されるように、車両10を経路パターンQ8で仮想的に移動させる場合、仮想移動領域ARvの外周縁は、最長半径Rmax の軌跡の式
(x−R)2 +y2 =Rmax 2
で表すことができ、仮想移動領域ARvの内周縁は、最小半径Rmin の軌跡の式
(x−R)2 +y2 =Rmin 2
で表すことができる。
そして、前記仮想移動領域ARv内の所定の点eの座標を(X,Y)とし、前記点eを通るy軸と平行な直線をLaとしたとき、
Y>0
の部分で前記仮想移動領域ARvの外周縁及び内周縁と前記直線Laとが交差する点e1、e2の座標を(X1 ,Y1 )、(X2 ,Y2 )とし、
Y<0
の部分で前記仮想移動領域ARvの内周縁及び外周縁と前記直線Laとが交差する点e3、e4の座標を(X3 ,Y3 )、(X4 ,Y4 )とすると、
X1 =X2 =X3 =X4 =X
Y1 =√(Rmax 2 −(X−R)2 )
Y2 =√(Rmin 2 −(X−R)2 )
Y3 =−√(Rmin 2 −(X−R)2 )
Y4 =−√(Rmax 2 −(X−R)2 )
になる。
そして、図27に示されるように、基準点Oi における車両位置をSV1とし、車両10を、車両位置SV1から旋回中心C1に対して車両位置SV1、SV2が成す角度である仮想移動角度θ1だけ旋回させて移動させたときの車両位置をSV2とし、車両位置SV2の座標を(xV ,yV )とし、車両位置SV2における車両10の右前端の座標を(xv1,yv1)とし、左前端の座標を(xv2,yv2)とし、左後端の座標を(xv3,yv3)とし、右後端の座標を(xv4,yv4)とする。
また、車両10の幅をWとし、車両10の車両位置特定点から前端までの距離をLf とし、前記車両位置特定点から車両10の右前端までの距離をLv1としたとき、車両位置SV1における車両位置特定点と車両10の右前端とを結ぶ線分Maと、車両10の縦軸とが成す角度θv1は、
θvl=tan-1((W/2)/Lf )
になり、前記距離Lvlは、
Lvl=Lf 2 +(W/2)2
になる。
また、車両位置SV2における車両位置特定点と車両10の右前端とを結ぶ線分Maと、車両位置SV1における車両10の縦軸(Y軸)とが成す角度θv2は、前記仮想移動角度θ1に前記角度θv1を加算した値と等しいので、仮想移動領域ARv内における車両10の最端点である右前端の座標(xv1,yv1)において、
xvl=xv +Lvl・cos(π/2−(θ+θvl))
yvl=yv +Lvl・sin(π/2−(θ+θvl))
になる。
したがって、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xvl
Y2 ≦Y≦Y1
の範囲に収まる場合、及び車両10を経路パターンQ8で仮想的に後退させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xvl
Y3 ≦Y≦Y4
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在すると判断される。
そして、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在し、第2の仮想移動条件が成立しない場合、前記障害物判断処理手段は、仮想移動領域ARv内の経路パターンについて経路の生成を行わず、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在せず、第2の仮想移動条件が成立する場合、前記領域計算経路生成処理手段の移動可能条件判断処理手段としての駐車可能条件判断処理手段は、移動可能条件判断処理としての駐車可能条件判断処理を行い、仮想移動点Snが所定の移動可能条件としての、点計算経路生成処理と同様の駐車可能条件が成立するかどうかを判断する(ステップS19−8)。
そして、駐車可能条件が成立すると、前記領域計算経路生成処理手段の経路生成判断処理手段は、経路を生成することができると判断する(ステップS19−9)。
また、障害物が仮想移動領域ARv内に存在する場合、及び駐車可能条件が成立しない場合、変数n及びmがインクリメントされ(ステップS19−10、S19−11)、変数nがnmax より大きくなると(ステップS19−12)、変数nに1がセットされ(ステップS19−13)、変数iがΣnmax x より大きくなるまで(ステップS19−14)基準点Oi を移動させ(ステップS19−15)、変数iをインクリメントし(ステップS19−16)、変数iがΣnmax x より大きくなると、変数sをインクリメントし(ステップS19−17)、変数sがsmax 以上になると(ステップS19−18)、前記経路生成判断処理手段は、経路を生成することができないと判断する(ステップS19−19)。
このようにして、前記経路生成判断処理手段によって、経路を生成することができると判断されると(ステップS20)、前記経路決定処理手段は、生成された経路を決定する(ステップS21)。
そして、前記表示処理手段は、表示部61に生成された経路を表示するとともに、実行キーを表示する。したがって、運転者が実行キーにタッチすると、前記運転支援処理手段は、駆動源としての駆動モータ12及び操舵用の駆動部としての操舵モータ25を駆動し、車両10を、現在地から駐車スペースp12まで自動で走行させる。
また、前記経路生成判断処理手段によって、経路を生成することができないと判断されると、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lの変更に限界があるまで仮想移動距離Lを変更する(ステップS22、S23)。
このように、本実施の形態においては、所定の仮想移動点が移動禁止エリアAR0内に存在する場合、仮想移動点Snについて経路の生成が行われないので、柱、壁、他の車両等の障害物に向けて経路が生成されるのを防止することができる。そして、障害物が仮想移動領域ARv内に存在する場合に、仮想移動領域ARv内の経路パターンQnについて経路の生成が行われないので、障害物が存在する仮想移動領域ARv内に経路が生成されるのを防止することができる。
ところで、本実施の形態においては、経路生成条件として障害物回避経路生成条件を設定することができるようになっていて、障害物回避経路生成条件が設定されない場合に、点計算経路生成処理だけが行われ、障害物回避経路生成条件が設定された場合に、領域計算経路生成処理だけが行われるようになっているが、点計算経路生成処理及び領域計算経路生成処理のいずれも行うことができるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図28は本発明の第3の実施の形態における走行支援装置の動作を示すフローチャート、図29は本発明の第3の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図30は本発明の第3の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図31は本発明の第3の実施の形態における領域計算経路生成処理のサブルーチンを示す図である。
運転者が所定の経路生成条件を選択し、対応するキーにタッチすると、前記経路生成条件設定処理手段は、選択された経路生成条件を設定する(ステップS31)。なお、第2の実施の形態と同様に、経路生成条件があらかじめ設定されている場合、例えば、第1の記録部としてのROM52等に記録されている場合、前記経路生成条件設定処理手段は、記録された経路生成条件を読み出す。
次に、前記周囲情報取得処理手段は、周囲情報を取得し(ステップS32)、前記空き駐車スペース認識処理手段は、駐車場データベース57(図1)から読み出した駐車場データ及び周囲情報に基づいて空き駐車スペースを認識し(ステップS33)、前記駐車スペース選択処理手段は、駐車スペースp12を設定する(ステップS34)。
続いて、前記相対関係取得処理手段は、現在の車両位置と駐車位置との相対関係を取得し(ステップS35)、前記点計算経路生成処理手段は、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、及び駐車可能条件が成立するかどうかによって仮想移動点Snについて経路を生成することができるかどうかを判断する(ステップS36、S37)。
そして、仮想移動点Snについて経路を生成することができる場合、前記領域計算経路生成処理手段は、前記仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在しないかどうかによって経路を生成することができるかどうかを判断する(ステップS38、S39)。
ところで、本実施の形態においては、前記点計算経路生成処理において、各仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、及び駐車可能条件が成立するかどうかが判断される(ステップS36−1、S36−3、S36−5〜S36−8、S36−11〜S36−19)。そして、所定の仮想移動点について、移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立する場合、前記経路生成判断処理手段は、仮想移動点について経路を生成することができると判断(ステップS36−10)し、移動禁止エリアAR0内に存在し、駐車可能条件が成立しない場合、前記経路生成判断処理手段は、仮想移動点について経路を生成することができないと判断する(ステップS36−20)。
この場合、残りの仮想移動点について経路を生成することができるかどうかの判断が行われることなく、領域計算経路生成処理に移行し、該領域計算経路生成処理において、前記仮想移動点に対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在しないかどうかを判断することによって経路を生成することができるかどうかが判断される(ステップS38−1〜S38−6)。そして、障害物が仮想移動領域ARv内に存在し、経路を生成することができないと判断された場合、再び点計算経路生成処理が行われ、次の仮想移動点について経路を生成することができるかどうかが判断される。
このように、本実施の形態においては、前記点計算経路生成処理において、所定の仮想移動点について経路を生成することができると判断されると、点計算経路生成処理が中断され、領域計算経路生成処理に移行するので、点計算経路生成処理が中断されたときの仮想移動点を記憶しておく必要がある。そこで、点計算経路生成処理において、仮想移動点について駐車可能条件が成立すると、点計算経路生成処理手段の記録処理手段は、記録処理を行い、駐車可能条件が成立したときの変数s、m、iを第2の記録部としてのRAM53に記録する(ステップS36−9)。
また、領域計算経路生成処理が行われた後、再び点計算経路生成処理が開始される(再計算である。)と(ステップS36−2)、点計算経路生成処理手段の変数取得処理手段は、変数取得処理を行い、前記RAM53に記録された変数s、m、iを読み出す(ステップS36−4)。そして、該変数s、m、iに基づいて点計算経路生成処理が行われる。
なお、領域計算経路生成処理において、仮想移動領域ARvについて経路を生成することができると判断されると、前記経路決定処理手段は、生成された経路を決定する(ステップS40)。また、点計算経路生成処理において、経路を生成することができないと判断されると、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lの変更に限界があるまで仮想移動距離Lを変更する(ステップS41、S42)。
このように、本実施の形態においては、経路生成条件として障害物回避経路生成条件を設定することなく、領域計算経路生成処理を行うことができるので、障害物が存在する仮想移動領域ARv内に経路が生成されるのを防止することができる。また、そのための処理を簡素化することができる。
ところで、本実施の形態においては、各仮想移動点Snについて点計算経路生成処理が行われ、所定の仮想移動点について経路を生成することができると判断されると、点計算経路生成処理が中断され、領域計算経路生成処理に移行するようになっているが、各仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかの判断、駐車可能条件が成立するかどうかの判断、及び障害物が各仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかの判断をいずれも行うようにした本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第1〜第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図32は本発明の第4の実施の形態における走行支援装置の動作を示すフローチャート、図33は本発明の第4の実施の形態における経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図34は本発明の第4の実施の形態における経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図である。
運転者が所定の経路生成条件を選択し、対応するキーにタッチすると、前記経路生成条件設定処理手段は、選択された経路生成条件を設定する(ステップS51)。なお、第2、第3の実施の形態と同様に、経路生成条件があらかじめ設定されている場合、例えば、第1の記録部としてのROM52等に記録されている場合、前記経路生成条件設定処理手段は、記録された経路生成条件を読み出す。
次に、前記周囲情報取得処理手段は、周囲情報を取得し(ステップS52)、前記空き駐車スペース認識処理手段は、駐車場データ及び周囲情報に基づいて空き駐車スペースを認識し(ステップS53)、前記駐車スペース選択処理手段は、駐車スペースp12を設定する(ステップS54)。
続いて、前記相対関係取得処理手段は、現在の車両位置と駐車位置との相対関係を取得し(ステップS55)、前記経路生成処理手段は、各仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、駐車可能条件が成立するかどうか、及び前記仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在しないかどうかによって経路を生成することができるかどうかを判断する(ステップS56、S57)。
すなわち、前記経路生成処理において、各仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかが判断され、駐車可能条件が成立するかどうかが判断される(ステップS56−1〜S56−6)。前記仮想移動点Snについて、移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立すると、前記経路生成処理手段は周囲情報を読み込み(ステップS56−7)、前記経路生成処理手段の障害物判断処理手段は、障害物判断処理を行い、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかを判断する(ステップS56−8)。
そして、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在しない場合、前記経路生成処理手段の経路生成判断処理手段は、経路を生成することができると判断する(ステップS56−9)。
なお、移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立し、対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在しない仮想移動点が選択されるまで、各経路パターンQnについて仮想移動処理が繰り返し行われる。
すなわち、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在する場合、駐車可能条件が成立しない場合、及び対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在する場合に、変数n及びmがインクリメントされ(ステップS56−10、S56−11)、変数nがnmax より大きくなると(ステップS56−12)、変数nに1がセットされ(ステップS56−13)、変数iがΣnmax x より大きくなるまで(ステップS56−14)基準点Oi を移動させ(ステップS56−15)、変数iをインクリメントし(ステップS56−16)、変数iがΣnmax x より大きくなると、変数sをインクリメントし(ステップS56−17)、変数sがsmax 以上になると(ステップS56−18)、前記経路生成判断処理手段は、経路を生成することができないと判断する(ステップS56−19)。
このようにして、前記経路生成判断処理手段によって、経路を生成することができると判断されると、前記経路決定処理手段は、生成された経路を決定する(ステップS58)。また、前記経路生成判断処理手段によって経路を生成することができないと判断されると、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lの変更に限界があるまで仮想移動距離Lを変更する(ステップS59、S60)。
このように、本実施の形態においては、経路生成条件として障害物回避経路生成条件を設定することなく、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかが判断されるので、障害物が存在する仮想移動領域ARv内に経路が生成されるのを防止することができる。また、そのための処理を簡素化することができる。
ところで、前記第1〜第4の実施の形態においては、各仮想移動点Snについて、順次、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、仮想移動点Snで駐車可能条件が成立するかどうか、及び障害物が仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかが判断され、所定の仮想移動点が移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立し、障害物が対応する仮想移動領域ARv内に存在しないと判断されると、それ以降は、新たに経路パターンQn及び仮想移動点Snの設定はされず、車両位置SV から駐車位置SP までの経路が生成されるようになっている。
ところが、前記各実施の形態においては、想定されるすべての仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、仮想移動点Snで駐車可能条件が成立するかどうか、及び障害物が仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかが判断されるようになっていないので、運転者が所望する経路を必ずしも生成することができない。
そこで、運転者が所望する経路を生成することができるようにした本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1〜第4の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図35は本発明の第5の実施の形態における走行支援装置の動作を示す第1のフローチャート、図36は本発明の第5の実施の形態における走行支援装置の動作を示す第2のフローチャート、図37は本発明の第5の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図38は本発明の第5の実施の形態における点計算経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図39は本発明の第5の実施の形態における領域計算経路生成処理のサブルーチンを示す第1の図、図40は本発明の第5の実施の形態における領域計算経路生成処理のサブルーチンを示す第2の図、図41は本発明の第5の実施の形態における経路生成処理手段の動作を示す図である。
本実施の形態において、経路生成条件には、後ろ向き駐車の経路生成条件、前向き駐車の経路生成条件、障害物回避経路生成条件等のほかに、全数検索用の条件として、最初の車両位置SV から駐車位置SP までの経路の距離が最も短い経路、すなわち、最短経路を生成するための最短経路生成条件が含まれ、運転者が所定の経路生成条件を選択し、対応するキーにタッチすると、前記経路生成条件設定処理手段は、選択された経路生成条件を設定する(ステップS61)。本実施の形態においては、最短経路生成条件があらかじめデフォルトで設定される。
次に、前記周囲情報取得処理手段は、周囲情報を取得し(ステップS62)、前記空き駐車スペース認識処理手段は、駐車場データ及び周囲情報に基づいて空き駐車スペースを認識し(ステップS63)、前記駐車スペース選択処理手段は、駐車スペースp12を設定する(ステップS64)。
続いて、前記相対関係取得処理手段は、現在の車両位置と駐車位置との相対関係を取得し(ステップS65)、前記経路生成条件判断処理手段は、設定されている経路生成条件を読み込み(ステップS66)、障害物回避経路生成条件が設定されているかどうかを判断する(ステップS67)。
障害物回避経路生成条件が設定されている場合、前記領域計算経路生成処理手段は、すべての仮想移動点Snについて、障害物が仮想移動領域ARv内に存在しないかどうかによって経路を生成することができるかどうかを判断し(ステップS69、S70)、障害物回避経路生成条件が設定されていない場合、前記点計算経路生成処理手段は、すべての仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうか、及び駐車可能条件が成立するかどうかによって、経路を生成することができるかどうかを判断する(ステップS68、S70)。
すなわち、前記点計算経路生成処理において、各仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在しないかどうかが判断され、駐車可能条件が成立するかどうかが判断される(ステップS68−1〜S68−6、S68−8〜S68−16)。
そして、所定の仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立する場合、前記経路生成判断処理手段は経路を生成することができると判断し、前記点計算経路生成処理手段の経路選択指標算出処理手段は、経路選択指標算出処理を行い、各仮想移動点Snのうちの、移動禁止エリアAR0内に存在せず、駐車可能条件が成立するすべての仮想移動点について、経路を選択するための指標としての、車両位置SV から駐車位置SP までの経路の距離(以下「経路距離」という。)を、経路を選択するための指標、すなわち、経路選択指標として算出し、RAM53に記録する(ステップS68−7)。
一方、すべての仮想移動点Snについて、仮想移動点Snが移動禁止エリアAR0内に存在するか、又は駐車可能条件が成立しない場合、前記経路生成判断処理手段は経路を生成することができないと判断する(ステップS68−17)。
また、前記領域計算経路生成処理において、各仮想移動点Snについて、仮想移動点Snに対応する仮想移動領域ARv内に障害物が存在しないかどうか、及び駐車可能条件が成立するかどうかによって、経路を生成することができないかどうかが判断される(ステップS69−1〜S69−8、ステップS69−10〜S69−18)。
そして、所定の仮想移動点Snについて、障害物が仮想移動領域ARv内に存在せず、駐車可能条件が成立する場合、前記経路生成判断処理手段は経路を生成することができると判断し、前記領域計算経路生成処理手段の経路選択指標算出処理手段は、経路選択指標算出処理を行い、各仮想移動点Snのうちの、障害物が対応する仮想移動領域ARv内に存在せず、駐車可能条件が成立するすべての仮想移動点Snについて、前記経路距離を算出し、前記RAM53に記録する(ステップS69−9)。
そして、すべての仮想移動点Snについて、障害物が対応する各仮想移動領域ARv内に存在し、経路を生成することができない場合、前記経路生成判断処理手段は経路を生成することができないと判断する(ステップS69−19)。
このようにして、前記点計算経路生成処理手段及び領域計算経路生成処理手段によって、経路を生成することができると判断されると、前記経路生成処理手段の経路選択処理手段は、経路選択処理を行い、生成された各経路の経路距離をRAM53から読み出し、図41に示されるように、経路距離が最も短い経路を最短経路として選択し、決定する(ステップS71)。また、点計算経路生成処理及び領域計算経路生成処理において、経路を生成することができないと判断されると、前記仮想移動距離変更処理手段は、仮想移動距離Lの変更に限界があるまで仮想移動距離Lを変更する(ステップS71、S72)。
このように、本実施の形態においては、想定されるすべての仮想移動点Snについて、経路を生成することができるかどうかが判断され、生成することができるすべての経路の中から運転者が所望する経路、本実施の形態においては、最短経路が選択されるので、運転者が所望する経路を確実に生成することができる。
なお、本実施の形態においては、経路選択指標として経路距離を算出するようになっているが、経路において車両10の前進と後退とが切り換わる回数(以下「前後進切換り回数」という。)を使用し、前後進切換り回数が最も少ない経路、操舵の変化量が少ない経路等を選択したり、経路選択指標として、車両位置SV から駐車位置SP まで車両10を走行させるのに必要な時間(以下「経路走行時間」という。)を使用し、経路走行時間が最も短い経路を選択したりすることができる。
ところで、前述されたように、前記第2の実施の形態においては、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在する場合、該仮想移動領域ARvの経路パターンについて経路の生成が行われず、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在しない場合、該仮想移動領域ARvの経路パターンについて経路の生成が行われる。
そして、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xvl
Y2 ≦Y≦Y1
の範囲に収まる場合、及び車両10を経路パターンQ9で仮想的に後退させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xvl
Y3 ≦Y≦Y4
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在すると判断される。
すなわち、障害物のX座標については、
−(Rmax −R)≦X≦xvl
の範囲に収まる場合、障害物が前記仮想移動領域ARv内に存在すると判断されるが、図26及び27において、車両位置SV2における車両10の近傍、例えば、前縁より前方、すなわち、右前端と左前端とを結ぶ直線より前方においては、仮に障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。
そこで、車両位置SV2における車両10の前縁より前方の領域を第2の実施の形態における仮想移動領域ARvから除外するようにした本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図42は本発明の第6の実施の形態における車両の最端点の説明図である。
この場合、基準点Oi である車両位置Svl(図27)における車両位置特定点を原点とする。図に示されるように、車両位置SV2における車両10の右前端と左前端とを結ぶ直線をε1とすると、直線ε1より前方においては、仮に障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。そこで、本実施の形態においては、前述されたように、車両位置SV2における車両10の前縁より前方の領域が第2の実施の形態における仮想移動領域ARvから除外される。
すなわち、最長半径Rmax の軌跡を表す曲線をLrmax とし、
X=xvl
の直線をk1とすると、前記直線ε1、曲線Lrmax 及び直線k1によって包囲される領域をδar1とすると、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動領域設定処理手段は、前記第2の実施の形態における仮想移動領域ARvから領域δar1を除外した領域を仮想移動領域ARv1として設定する。
すなわち、直線ε1の傾きをαとし、Y軸における直線ε1の折片をβとすると、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの傾きα及び折片βは、
α=(yv1−yv2)/(xv1−xv2)
β=yv1−αxv1
になり、車両10を経路パターンQ9で仮想的に後退させるときの傾きα及び折片βは、
α=(yv3−yv4)/(xv3−xv4)
β=yv4−αxv3
になる。
したがって、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xV2
の領域H1においては、
Y2 ≦Y≦Y1
の範囲に収まり、
xV2≦X≦vl
の領域H2においては、
Y2 ≦Y≦αX+β
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv1内に存在すると判断される。
また、車両10を経路パターンQ9で仮想的に後退させるときの、障害物の座標が、
−(Rmax −R)≦X≦xV2
の領域H1においては、
Y3 ≦Y≦Y4
の範囲に収まり、
xV2≦X≦vl
の領域H2においては、
αX+β≦Y≦Y4
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv1内に存在すると判断される。
このように、本実施の形態においては、第2の実施の形態における仮想移動領域ARv領域から領域δar1を除外した領域が仮想移動領域ARv1として設定されるので、仮想移動領域ARv1が無用に広く設定されることがなくなる。したがって、車両10を多くの仮想移動点Snに置くことができるので、迅速に経路を生成することができる。
次に、第6の実施の形態における仮想移動領域ARv1から更に所定の領域を除外して仮想移動領域を設定するようにした本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第2、第6の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図43は本発明の第7の実施の形態における仮想移動領域の説明図である。
この場合、基準点Oi である車両位置Svlにおける車両位置特定点を原点とする。また車両位置Svlにおける車両10の右前端をAとし、左前端をBとし、左後端をCとし、右後端をDとし、車輪WRLの位置をEとし、車輪WRRの位置をFとするとともに、車両10を車両位置SV1(車両方位π)から仮想移動角度θ1だけ旋回させて移動させたときの車両位置をSV2とし、車両位置SV2の座標を(xV ,yV )とし、車両位置SV2における車両10の右前端A’の座標を(xv1,yv1)とし、左前端B’の座標を(xv2,yv2)とし、左後端C’の座標を(xv3,yv3)とし、右後端D’の座標を(xv4,yv4)とし、車輪WRLの位置E’の座標を(xv5,yv5)とし、車輪WRRの位置F’の座標を(xv6,yv6)とする。
また、旋回中心C1(xR ,yR )と右前端Aとの距離をRv1とし、旋回中心C1(xR ,yR )と右前端Aとを結ぶ直線とX軸との成す角度をθv1とし、旋回中心C1(xR ,yR )と左前端Bとを結ぶ直線とX軸との成す角度をθv2とすると、
xv1=R+Rv1・cos(π+θv1+θ1)
yv1=Rv1・sin(π+θv1+θ1)
xv2=R+Rmax ・cos(π+θv2+θ1)
yv2=Rmax ・sin(π+θv2+θ1)
xv6=R+Rmin ・cos(π+θ1)
yv6=Rmin ・sin(π+θ1)
になる。なお、前記仮想移動角度θ1は、車両10を右方向に旋回させて前進させる場合、負の値を、左方向に旋回させて前進させる場合、正の値を採る。
ところで、車両位置SV2における車両10の近傍、本実施の形態においては、右前端A’と左前端B’とを結ぶ直線ε11より前方においては、障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。また、車両位置SV2における車両10の右前端A’と車輪WRRの位置F’とを結ぶ直線ε12より右方においても、障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。さらに、車両位置Sv1における車両10の左前端Bと車輪WRLの位置Eとを結ぶ直線ε13より左方においては、障害物が存在していても、車両10を右方向に旋回させて前進させる限り、車両10が障害物に当たることはない。
そこで、本実施の形態においては、車両位置SV2における直線ε11より前方の領域δar11、車両位置SV2における直線ε12より右方の領域δar12、及び車両位置Sv1における直線ε13より左方の領域δar13が第2の実施の形態における仮想移動領域ARvから除外される。
すなわち、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動領域設定処理手段は、第2の実施の形態における仮想移動領域ARv領域から領域δar1〜δar13を除外した領域を仮想移動領域ARv2として設定する。
すなわち、直線ε11の傾きをα1とし、Y軸における直線ε11の折片をβ1とすると、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの傾きα1及び折片β1は、
α1=(yv1−yv2)/(xv1−xv2)
β1=yv1−α1・xv1
になり、直線ε12の傾きをα2とし、Y軸における直線ε12の折片をβ2とすると、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの傾きα2及び折片β2は、
α2=(yv1−yv6)/(xv1−xv6)
β2=yv1−α2・xv1
になる。
したがって、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの、障害物の座標が、
−W/2≦X≦xv6
の領域H11においては、
√(Rmin 2 −(X−R)2 )≦Y≦√(Rmax 2 −(X−R)2 )
の範囲に収まり、
xv6≦X≦xv2
の領域H12においては、
α2・X+β2≦Y≦√(Rmax 2 −(X−R)2 )
の範囲に収まり、
xv2≦X≦xv1
の領域H13においては、
α2・X+β2≦Y≦α1・X+β1
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv2内に存在すると判断される。
このように、本実施の形態においては、第2の実施の形態における仮想移動領域ARv領域から領域δar1〜δar3を除外した領域が仮想移動領域ARv2として設定されるので、仮想移動領域ARv2が無用に広く設定されることがなくなる。したがって、車両10をその分多くの仮想移動点Snに置くことができるので、迅速に経路を生成することができる。
ところで、前記第2、第6、第7の実施の形態においては、車両位置Svlにおける車両位置特定点を原点として座標系が設定されているが、絶対座標系で仮想移動領域を設定するようにした本発明の第8の実施の形態について説明する。
図44は本発明の第8の実施の形態における仮想移動領域の説明図である。
この場合、縦軸がY軸と平行になるように車両10を基準位置Si0(xi0,yi0)に置いたときの車両10の方位角を基準方位角θi0とし、車両10を所定の基準点Oi である車両位置Si1(xi1,yi1)に置いたときの車両10の方位角をθi1とし、車両位置Si1(xi1,yi1)と旋回中心Ci1(xr1,yr1)とを結ぶ直線とX軸とが成す角度をΔθとし、旋回中心Ci0、Ci1(xr1,yr1)において第1の旋回半径Rで仮想移動角度θ1だけ車両10を仮想的に移動させたときの、基準位置Si0(xi0,yi0)及び車両位置Si1(xi1,yi1)から車両10の右前端までの角度をθ’(第2の実施の形態の車両位置SV2における角度θv2(図27)に相当する。)とすると、
θi1=θi0+Δθ
になる。なお、前記仮想移動角度θ1及び角度Δθは、車両10を右方向に旋回させて前進させる場合、負の値を、左方向に旋回させて前進させる場合、正の値を採る。
そして、旋回中心Ci1(xr1,yr1)において、
xr1=xi1+R・cosΔθ
yr1=yi1+R・sinΔθ
であるので、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動領域設定処理手段は、仮想移動領域ARv2を、旋回中心Ci1(xr1,yr1)からの距離及び仮想移動角度θ1に基づいて設定する。
すなわち、仮想移動領域をARv2内の所定の点eの座標を(X,Y)としたとき、旋回中心Ci1(xr1,yr1)と点e(X,Y)との距離をR0 とすると、
R0 =√((X−xr1)2 +(Y−yr1)2 )
になる。また、旋回中心Ci1(xr1,yr1)と点e(X,Y)とを結ぶ直線とX軸との成す角度をΘとすると、
Θ=tan-1((Y−yr1)/(X−xr1))
になる。
そこで、車両10を右方に旋回させて前進させる場合、
Rmin ≦R0 ≦Rmax
π−θ’+Δθ≦Θ≦π+Δθ
の範囲が仮想移動領域ARv3として設定される。
また、車両10を左方に旋回させて前進させる場合、
Rmin ≦R0 ≦Rmax
Δθ≦Θ≦π+Δθ
の範囲が仮想移動領域ARv3として設定される。
次に、本実施の形態における仮想移動領域ARv3から所定の領域を除外して、絶対座標系で仮想移動領域を設定するようにした本発明の第9の実施の形態について説明する。なお、第7の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
図45は本発明の第9の実施の形態における仮想移動領域の説明図である。
この場合、車両10を所定の基準点Oi である車両位置Si1(xi1,yi1)に置いたときの、車両10の右前端の座標を(xv1,yv1)とし、左前端の座標を(xv2,yv2)とし、車輪WRRの座標を(xv6,yv6)とし、車両位置Si1(xi1,yi1)と旋回中心C1(xR ,yR )とを結ぶ直線とX軸とが成す角度をθv とし、旋回中心C1(xR ,yR )と車両10の右前端との距離をRv1とし、車両10を車両位置Si1(xi1,yi1)から仮想移動角度θ1だけ旋回させて移動させたときの車両位置をSi1’とし、車両位置Si1’の座標を(xi1’,yi1’)とし、車両位置Si1’(xi1’,yi1’)における車両10の右前端の座標を(xv1’,yv1’)とし、左前端の座標を(xv2’,yv2’)とし、車輪WRRの座標を(xv6’,yv6’)とする。
そして、旋回中心C1(xR ,yR )において、
xR =xi1+R・cosθv
yr1=yi1+R・sinθv
であるので、
xi1’=xR +R・cos(π+θv +θ1)
yi1’=yR +R・sin(π+θv +θ1)
xv1’=xr +Rv1・cos(π+θv1+θ1)
yv1’=yR +Rv1・sin(π+θv1+θ1)
xv2’=xR +Rmax ・cos(π+θv2+θ1)
yv2’=yR +Rmax ・sin(π+θv2+θ1)
xv6’=xr +Rmin ・cos(π+θ1)
yv6’=yR +Rmin ・sin(π+θ1)
になる。なお、前記仮想移動角度θ1及び角度θv は、車両10を右方向に旋回させ前進させる場合、負の値を、左方向に旋回させて前進させる場合、正の値を採る。
ところで、車両位置Si1’における車両10の近傍、本実施の形態においては、右前端と左前端とを結ぶ直線ε21より前方においては、障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。また、車両位置Si1’における車両10の右前端と車輪WRRの位置とを結ぶ直線ε22より右方においても、障害物が存在していても、車両10が障害物に当たることはない。さらに、車両位置Si1における車両10の左前端と車輪WRLの位置とを結ぶ直線ε23より左方においては、障害物が存在していても、車両10を右方向に旋回させて前進させる限り、車両10が障害物に当たることはない。
そこで、本実施の形態において、前記領域計算経路生成処理手段の仮想移動領域設定処理手段は、第2の実施の形態における仮想移動領域ARv領域から、車両位置Si1’における直線ε21より前方の領域δar21、車両位置Si1’における直線ε22より右方の領域δar22、及び車両位置Si1における直線ε23より左方の領域δar23を除外した領域を仮想移動領域ARv4として設定する。
すなわち、直線ε21の傾きをα11とし、Y軸における直線ε21の折片をβ11とすると、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの傾きα11及び折片β11は、
α11=(yv1’−yv2’)/(xv1’−xv2’)
β11=yv1’−α11・xv1’
になり、直線ε22の傾きをα12とし、Y軸における直線ε22の折片をβ12とすると、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの傾きα12及び折片β12は、
α12=(yv1’−yv6’)/(xv1’−xv6’)
β12=yv1’−α12・xv1’
になる。
したがって、車両10を経路パターンQ8で仮想的に前進させるときの、障害物の座標が、
xv2/2≦X≦xv6’
の領域H21においては、
√(Rmin 2 −(X−R)2 )≦Y≦√(Rmax 2 −(X−R)2 )
の範囲に収まり、
xv6’≦X≦xv2’
の領域H22においては、
α12・X+β12≦Y≦√(Rmax 2 −(X−R)2 )
の範囲に収まり、
xv2’≦X≦xv1’
の領域H23においては、
α12・X+β12≦Y≦α2・X+β2
の範囲に収まる場合に、障害物が前記仮想移動領域ARv4内に存在すると判断される。なお、領域δar23については、車両10を右方向に旋回させて前進させる限り、車両10が障害物に当たることはないので、障害物が前記仮想移動領域ARv4内に存在するかどうかを判断するための式を省略した。
本実施の形態においては、第2の実施の形態における仮想移動領域ARv領域から領域δar21〜δar23を除外した領域が仮想移動領域ARv4として設定されるので、仮想移動領域ARv4が無用に広く設定されることがなくなる。したがって、車両10をその分多くの仮想移動点Snに置くことができるので、迅速に経路を生成することができる。
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。