JP5336042B2 - 工作機械における温度センサの異常検知方法 - Google Patents
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Description
請求項2に記載の発明は、請求項1の目的に加えて、異常検知を早期に判断可能とするために、検知温度のばらつきは、設置エリア内での複数の温度センサの検知温度を高い順あるいは低い順に並べた時に隣り合う検知温度間の差としたものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の目的に加えて、異常な補正量による加工時の不具合の発生を防止するために、温度センサを異常と判断した際には、工作機械の熱変位補正において補正量の変更を禁止させる構成としたものである。
また、熱源の影響の有無や床面からの高さといった外観から判断可能な設置エリアで温度センサをグループ分けしているので、各部の検知温度を計測することなく温度センサを容易に区別可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、異常判断に用いる検知温度差の制限値を温度センサ数に関係なく簡易的に設定でき、且つ必要最小限の値とすることができる。よって、異常検知を早期に判断可能となる。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、異常な補正量により機械の移動体が工作物等に衝突する等の不具合の発生を防止可能となる。
図1は、工作機械の一例である立形マシニングセンタを側方から見た概略図である。ベッド1の右側には、コラム2が固設され、ベッド1上面に設けたレールには、テーブル3が紙面の左右方向へ移動可能に載置され、ワーク4をテーブル3の上面に固定することが可能となっている。コラム2の左側面に設けたレールには、サドル5が紙面に垂直方向へ移動可能に架設され、サドル5の左側面に、主軸頭6が紙面の上下方向へ移動可能に架設されている。
また、破線7は、カバーで囲まれる加工空間を示している。この加工空間7において、切削液は、主軸頭6下端の主軸に設けた図示していないノズルより吐出し、テーブル3、ワーク4にかかった後、ベッド1上面の図示していない樋部を切粉と共に流れて、外部へ放出される。
A.軸受やモータなどの各熱源の影響を受ける位置(第1エリア)
B.熱源の影響を受けないが、切削液温度の影響を受ける加工空間内または加工空間に面している位置(第2エリア)
C.熱源の影響も切削液温度の影響を受けない位置で、室温変化の小さい床面に比較的近い位置(第3エリア)
D.熱源の影響も切削液温度の影響も受けない位置で、室温変化の大きい床面から離れた位置(第4エリア)
この内、B〜Dの条件においては、同じ区分の温度センサが複数であるため、B〜Dの条件の温度センサ8〜15について本発明の異常検知が可能である。このB〜Dの条件でグループ分けした温度センサにおいて、図5の室温変化、切削液温度変化時における検知温度は、図2、図3、図4となり、区分が同じ温度センサの検知温度は同じように変化することがわかる。
そして、パラメータ記憶装置17には、区分Bに対応する制限値γ2と、区分Cに対応する制限値γ3と、区分Dに対応する制限値γ4とが夫々設定されている。
まず、各温度センサ8〜15によって温度計測を行い、得られた検出信号を温度測定装置16によりデジタル信号化して温度数値として得る(S1)。なお、この処理は予め設定された間隔(例えば10秒)ごとに実行される。次に、S2において、検知温度判定装置18にて、パラメータ記憶装置17での区分情報に基づき、検知温度を以下の3つの区分にグループ分けする。
区分B:温度センサ8、温度センサ9、温度センサ10の検知温度
区分C:温度センサ11、温度センサ12の検知温度
区分D:温度センサ13、温度センサ14、温度センサ15の検知温度
例えば、図2、図3、図4にて、2Hの時点における、温度センサ8〜15の検知温度T8〜T15は、以下の通りとなる。
T8=25.0℃ T9=27.3℃ T10=29.6℃ T11=21.2℃
T12=20.5℃ T13=21.3℃ T14=21.9℃ T15=22.3℃
TB1=T10=29.6℃
TB2=T9=27.3℃
TB3=T8=25.0℃
となり、検知温度のばらつきとなる各検知温度差ΔTは、
ΔTB(1−2)=TB1−TB2=2.3℃
ΔTB(2−3)=TB2−TB3=2.3℃
となる。
TC1=T11=21.2℃
TC2=T12=20.5℃
となり、検知温度差ΔTは、
ΔTC(1−2)=TC1−TC2=0.7℃
となる。
TD1=T15=22.3℃
TD2=T14=21.9℃
TD3=T13=21.3℃
となり、検知温度差ΔTは、
ΔTD(1−2)=TD1−TD2=0.4℃
ΔTD(2−3)=TD2−TD3=0.6℃
となる。
特に、熱源や切削液温度の影響の有無と床面からの高さといった外観から判断可能な設置エリアで温度センサをグループ分けしているので、各部の検知温度を計測することなく温度センサを容易に区分可能となっている。
そして、温度センサを異常と判断した際には、熱変位補正において補正量の変更を禁止させるので、異常な補正量により機械の移動体が工作物等に衝突する等の不具合の発生を防止可能となる。
中央値を用いる場合は、区分した検知温度から公知の方法で中央値を求め、中央値と検知温度との差とあらかじめ設定した制限値とを比較することになる。
但し、標準偏差はサンプル総数によって値が異なるため、標準偏差と比較する制限値は、区分した温度センサの総数によって値を変えるのが望ましい。また、区分した温度センサの中でも、図2、図3、図4に示す様に温度センサ位置の違いによる検知温度のばらつきがあるため、範囲および中央値と検知温度との差と比較する制限値は、温度センサの総数や同じ区分の温度センサの取付位置によって値を変えるのが望ましい。
図7は、図1の立形マシニングセンタの主軸頭6内部の主軸構造及びサドル5内部の上下移動軸構造を示す概略図である。主軸21は軸受22〜26によって軸支されており、モータ27によって駆動される。主軸頭6はボールねじ28によって上下方向へ移動する。このボールねじ28は軸受29,30によって軸支されており、モータ31によって駆動されるものである。
主軸21を軸支する軸受22,24,26は、主軸21の回転に伴って発熱するため、熱源として扱うことができ、温度センサ32〜34で1つの設置エリア(上記形態での区分A、本発明での第1エリア)に区分できる。
一方、ボールねじ28を軸支する軸受29,30は、主軸頭6が上下移動する際の回転によって発熱するため、これも熱源として扱うことができ、温度センサ35,36で1つの設置エリア(区分A、第1エリア)に区分できる。
以上のようにして熱源ごとの区分がなされる。後の区分ごとの温度センサの異常検知処理は上記形態と同様である。
Claims (3)
- 複数の温度センサを異なる位置に配置した工作機械において、前記温度センサの異常を検知する方法であって、
予め前記温度センサを、軸受やモータ等の熱源の近傍で前記熱源の影響を受け、前記各熱源ごとに区分されるエリア(第1エリア)と、前記熱源の近傍になく前記熱源の影響を受けず、切削液温度の影響を受ける加工空間内にあるか又は当該加工空間に面しているエリア(第2エリア)と、前記熱源の近傍になく前記熱源の影響を受けず、且つ前記加工空間内にないか又は当該加工空間に面しておらずに前記切削液温度の影響を受けず、床面からの高さで分けられる複数のエリア(第3、第4エリア)とに区分される複数の設置エリアにグループ分けしておき、前記設置エリアに属する複数の前記温度センサの検知温度のばらつきを求め、そのばらつきを予め設定した制限値と比較して、前記ばらつきが前記制限値を超えている場合には、当該ばらつきに係る前記温度センサを異常と判断することを特徴とする工作機械における温度センサの異常検知方法。 - 検知温度のばらつきは、設置エリア内での複数の温度センサの検知温度を高い順あるいは低い順に並べた時に隣り合う検知温度間の差とする請求項1に記載の工作機械における温度センサの異常検知方法。
- 温度センサを異常と判断した際には、工作機械の熱変位補正において補正量の変更を禁止させる請求項1又は2に記載の工作機械における温度センサの異常検知方法。
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