以下、本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を図面に従って説明する。まず、第一実施形態に係るパチンコ遊技機について説明する。パチンコ遊技機Pは、遊技盤取付枠1の前側に遊技盤2が取り付けられ、該遊技盤2には、外レール3および内レール4で取り囲んで略円形状に形成した遊技領域5が設けられる。遊技領域5は、後述する前面装飾部材15と電子ディスプレー16とを含む図柄表示装置により、遊技盤を正面から見て左側の左側遊技領域5aと、右側の右側遊技領域5bとに区分けされる。また、外レール3は、遊技盤2の前面視左下部から右上部に亘って円弧状に設けられ、内レール4は、遊技盤2の左上部から右側部に亘って円弧状に設けられる。そして、外レール3および内レール4は、遊技盤2の左側部において遊技球を挿通し得る間隔を隔てて並設され、発射通路を形成し、さらに該遊技盤2の左上部にて、発射された遊技球を遊技領域5へ放出する発射球放出口6を形成している。遊技盤2の前面には、中央が略円形状に大きく開口した前面枠7が設けられる。この前面枠7の開口にはガラス製の透明板8が取り付けられ、前記遊技領域5は該透明板8を介して視認できるようになっている。また、前面枠7の上部両側部には、遊技中に適宜発光する枠ランプ9,9が取り付けられる。
前面枠7の下部前面には、遊技球を一時的に貯留する球皿10が設けられ、また、パチンコ遊技機Pの内部における遊技領域5の下方位置には、遊技領域5へ遊技球を一個ずつ発射する打球発射装置(図示せず)が設けられる。球皿10内の遊技球は、この打球発射装置へ向かって一列に整列して導かれるようになっている。さらに、前面枠7の下部の右側寄りには、打球発射ハンドル11が設けられ、この打球発射ハンドル11の回転操作により打球発射装置が作動するようになっている。遊技球発射の強弱は、打球発射ハンドル11の回転角度の大小で調節される。球皿10の上面には、押しボタン式の演出ボタン12が設けられる。この演出ボタン12は、遊技中の適時に遊技者により押操作され、例えば、遊技の演出モードの変更を行なうことができる。一方、前面枠7の下方には球箱13が設けられる。球皿10内の遊技球は球抜き操作により球箱13へ排出されるようになっている。また、パチンコ遊技機Pの下部両側には、遊技状態に応じて適宜効果音を出力するためのスピーカ14,14が内設されている。
遊技盤2の中央は、大きく開口窓2aが開設されると共に、その周囲を囲むようにして大型の前面装飾部材15が設けられる。開口窓2aの内部には、遊技盤2の裏面よりも若干後方に位置して、電子ディスプレー16が設けられる。この電子ディスプレー16は、略矩形平面状の液晶パネル等からなり、遊技中の適時に装飾図柄が変動表示されるようになっている。前面装飾部材15の上部右側には、外レール3の内周面に達するように上方へ迫り出した延出部15aが形成され、該延出部15aの左側にあたる前面装飾部材15の外周縁の上部左側部、および、該延出部15aの右側にあたる前面装飾部材15の外周縁の右側部には、遊技球の障害壁15bが立設される。さらに、前面装飾部材15の延出部15aの上端縁には、遊技球を一球ずつ挿通させる球誘導通路としての球誘導樋17が外レール3の内周面に沿って設けられる。この球誘導樋17は、その始端部17aが左側遊技領域5aの最上部付近に位置すると共に、終端部17bは右側遊技領域5bの上部に位置し、左側遊技領域5aと右側遊技領域5bとを連通させている。また、球誘導樋17の終端部17bから若干の距離を隔てた先には、球衝突壁18が形成される。そして、球誘導樋17には、発光部材としての盤ランプ19,19,…,19と可動演出部材としての可動部材20とから概ね構成される発射方向報知役物21が設けられる。この発射方向報知役物21については、後ほど詳しく説明する。
前面装飾部材15の下方には、第一始動入賞口22が配設される。また、右側遊技領域5bにおける前面装飾部材15の右側には、遊技球を挿通し得る貫通孔が略鉛直に形成された通過口としてのゲート23が配設され、さらに右側遊技領域5bにおける前面装飾部材15の右側下方には、一対の電動開閉翼片24a,24aを有する第二始動入賞口24が配設される。この第二始動入賞口24は、電動開閉翼片24a,24aが開閉作動することにより、遊技球を受け入れるか否かが変更されるようになっている。加えて、第一始動入賞口22の下方には、電動開閉扉25aを有する大入賞口25が設けられる。大入賞口25は、大当たりの発生により電動開閉扉25aが開放されると、多くの遊技球を入賞させることができるようになり、遊技者に多大な利益をもたらすようになっている。また、遊技領域5の適宜箇所には、複数の一般入賞口26が設けられている。
遊技領域5の最下部中央には、上述した各種入賞口22,24,25,26のいずれにも入賞しなかった遊技球を遊技領域5の外部へ排出するアウト球排出口27が設けられる。また、前面装飾部材15の左側には、遊技球の衝突で回転すると共に該遊技球の流下方向を変更させる風車28が設けられる。さらに、遊技領域5の適宜位置には、遊技球の流下方向を案内したり規制したりする多数の遊技釘(図示せず)が配設される。
遊技盤2の下部右側であって遊技領域5の外側にあたる位置には、「○×」表示部からなる普通図柄表示器29と、其々7セグ表示部からなる第一特別図柄表示器30および第二特別図柄表示器31とが設けられる。普通図柄表示器29は、遊技球がゲート23を通過した際に行なわれる普通抽選の結果に応じた変動表示を行なう。また、第一特別図柄表示器30は、遊技球が第一始動入賞口22へ入賞した際に行なわれる大当たり抽選の結果に応じた図柄の変動表示を行ない、同様に、第二特別図柄表示器31は、遊技球が第二始動入賞口24へ入賞した際に行なわれる大当たり抽選の結果に応じた図柄の変動表示を行なう。
第一特別図柄表示器30の左側には、普通図柄保留ランプ32が設けられ、さらにその左側には、第一特別図柄保留ランプ33と第二特別図柄保留ランプ34とが上下に並んで設けられる。普通図柄表示器29における普通図柄の変動表示中に遊技球がゲート23を通過すると、次回の普通図柄変動表示が保留されるため(最大四回まで)、該普通図柄保留ランプ32は、この保留された普通図柄の変動表示の回数を表示するようになっている。また、第一特別図柄保留ランプ33は、第一特別図柄表示器30または第二特別図柄表示器31における特別図柄の変動表示中に遊技球が第一始動入賞口22へ入賞すると、次回の第一特別図柄の変動表示の保留回数(最大四回まで)を表示し、同様に、第二特別図柄保留ランプ34は、第一特別図柄表示器30または第二特別図柄表示器31における特別図柄の変動表示中に遊技球が第二始動入賞口24へ入賞すると、次回の第二特別図柄の変動表示の保留回数(最大四回まで)を表示するようになっている。
次に、発射方向報知役物21とその周辺部の構成についてさらに詳しく説明する。前記可動部材20は、図2に示したように、球誘導樋17のカーブに沿うように湾曲形成された情報表示部としての平板部35の両端に後方へ突出する支持腕片36,36を一体に形成して概ね構成される。平板部35は、長手方向が球誘導樋17の約3分の1の長さであって、幅方向は球誘導樋17の幅よりも若干広く形成されている。そして、平板部35の前面には、左側遊技領域5aから右側遊技領域5bへ向かう方向(右方向)を指す打球方向指示情報としての右矢印窓37が該平板部35の前面から後面へ貫通するように開設される。この右矢印窓37は平板部35の湾曲に沿うように若干カーブしている。また、支持腕片36,36は、平板部35の下端縁よりも若干下方へ延出されると共に、該平板部35の後方へ所定長さで突出している。さらに、右側の支持腕片36の後端部には、係合歯を直線状に列設したラックギア38が取着される。
可動部材20は、球誘導樋17の前面の一部を覆うことができるように、前面装飾部材15の延出部15aにおける上端縁寄りに配設される。このために、該延出部15aには、可動部材20の平板部35が嵌合される嵌め込み窪部39が形成される。この嵌め込み窪部39は、上下幅が平板部35の幅の約二倍となっており、その上部は球誘導樋17の前面に重なっている。また、嵌め込み窪部39の両側縁には、該可動部材20の支持腕片36,36に対応位置して長孔状の溝孔40,40が開設される。そして、可動部材20は、その支持腕片36,36を溝孔40,40に挿入すると共に平板部35を嵌め込み窪部39に遊嵌することにより、該嵌め込み窪部39の上下幅の範囲内で上下方向へ摺動自在に設けられる。また、支持腕片36,36は、溝孔40,40への挿入により、図4および図6に示したように前面装飾部材15の後面に突出している。
可動部材20の後方には、該可動部材20の駆動モータ41が配設される。駆動モータ41の駆動軸42の先端部には駆動歯車43が固設され、この駆動歯車43は、右側の支持腕片36の後端部のラックギア38に歯合される。そして、駆動モータ41は、後述するランプ制御回路54からの作動信号により回転駆動され、可動部材20を下側位置または打球方向指示位置である上側位置へ移動させる。可動部材20が下側に位置しているときは、平板部35が球誘導樋17の前面から離れ、該球誘導樋17の前面側が全て視認できる。一方、可動部材20が上側の打球方向指示位置に位置しているときは、平板部35が球誘導樋17の前面に重なるように位置し該球誘導樋17の前面側の一部が覆い隠されるようになっている。
前記球誘導樋17は、断面視コ字型に形成され、左側遊技領域5aの最上部付近に位置する始端部17aから遊技球を受け入れると共に、右側遊技領域5bの上部に位置する終端部17bへ該遊技球を誘導するようになっている。球誘導樋17の前面壁44は、透光性の合成樹脂等からなる透明板によって形成され、該球誘導樋17を流下する遊技球が前側から視認できるようになっている。一方、球誘導樋17の後面壁45には、円形状の小窓孔46,46,…,46が該球誘導樋17の長手方向に沿って複数開設され、各小窓孔46には、透過光を拡散させる光拡散レンズ47が設けられている。さらに、各光拡散レンズ47の後方には、LED等の発光素子からなる盤ランプ19が一つずつ設けられる。これら盤ランプ19は、後述するランプ制御回路54からの作動信号により点灯または消灯される。加えて、盤ランプ19および光拡散レンズ47は、前記可動部材20が上側に位置したときに、該可動部材20の平板部35に開設された右矢印窓37と、前後方向に略一直線状に並ぶようになっている。これにより、盤ランプ19の光が、光拡散レンズ47によって広角状に広げられると共に、可動部材20の右矢印窓37を介して視認されるようになっている。
次に、本発明に係るパチンコ遊技機の制御回路の構成を図7に示したブロック図に従って説明する。遊技制御回路50は遊技の基本動作を制御するメイン回路であり、演算処理を行なうCPU、予め記憶されたプログラムやデータを読み出し可能なROM、演算処理に応じてプログラムやデータを適宜読み書き可能なRAM、を備えている。そして、この遊技制御回路50にサブ回路である払出制御回路51と演出制御回路52が電気的に通信可能に接続されると共に、該演出制御回路52にサブ回路である画像制御回路53とランプ制御回路54が電気的に通信可能に接続され、制御回路全体が概ね構成されている。また、各種サブ回路51,52,53,54にも、メイン回路と同様に、其々CPU、ROM、RAMが設けられ、さらに演出制御回路52には、実時間の計測機能を有するRTCが設けられている。
遊技制御回路50のROMには、ゲート23への遊技球通過に基づいて普通抽選を実行する普通抽選手段55、この普通抽選手段55の抽選結果が当たりであると第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aを開閉作動させる開閉翼片制御手段56、第一始動入賞口22または第二始動入賞口24への遊技球入球に基づいて大当たり抽選を実行する大当たり抽選手段57、この大当たり抽選手段57の抽選結果が大当たりであると特別遊技状態としての大当たり遊技状態を生起させ、大入賞口25の電動開閉扉25aを所定の態様で開閉作動させる大当たり遊技制御手段58、大当たり遊技状態の終了後に特定遊技状態としての確変遊技状態や時短遊技状態を生起させ、普通抽選手段55による普通抽選の抽選結果が高頻度で当たりになるようにする遊技状態制御手段としての特定遊技制御手段59、大当たり遊技状態として大入賞口25の開閉作動を長時間継続させる第一特別遊技状態(長当たり)と、該大入賞口25の開閉作動を短時間で終了させる第二特別遊技状態(短当たり)との内の何れか一方を選択する特別遊技状態制御手段60、としての各プログラムが記憶されている。これら各プログラムは、遊技中に遊技制御回路50のRAMに読み込まれると共に、CPUにより実行されるようになっている。
また、遊技制御回路50には、第一始動入賞口22へ入賞した遊技球を検出する第一始動入賞口スイッチ61、第二始動入賞口24へ入賞した遊技球を検出する第二始動入賞口スイッチ62、ゲート23を通過した遊技球を検出するゲートスイッチ63、大入賞口25へ入賞した遊技球を検出する大入賞口スイッチ64、および、一般入賞口26の各々へ入賞した遊技球を検出する一般入賞口スイッチ65が其々接続される。そして、遊技制御回路50は、遊技球の通過または入賞により各種スイッチから送信される信号を受け取る。さらに、遊技制御回路50には、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aを作動させるソレノイド66、大入賞口25の電動開閉扉25aを作動させるソレノイド67が接続されている。遊技制御回路50は、これら各ソレノイド66,67へ作動信号を送信し、該電動開閉翼片24aと該電動開閉扉25aの開閉状態を制御する。普通図柄表示器29、第一特別図柄表示器30、第二特別図柄表示器31は遊技制御回路50に接続されており、これら各図柄表示器における図柄の変動表示は該遊技制御回路50により制御される。また、普通図柄表示器29における図柄変動表示の保留回数を示す普通図柄保留ランプ32、第一特別図柄表示器30における図柄変動表示の保留回数を示す第一特別図柄保留ランプ33、第二特別図柄表示器31における図柄変動表示の保留回数を示す第二特別図柄保留ランプ34も遊技制御回路50に接続され、各保留ランプ32,33,34は、該遊技制御回路50により点灯消灯の制御が行なわれる。
前記払出制御回路51は、遊技制御回路50に対して双方向通信可能に接続される。払出制御回路51には、払出モータ68が接続されると共に、払出球検出スイッチ69、球有り検出スイッチ70、満タン検出スイッチ71が其々接続される。これら各球検出スイッチ69,70,71は、パチンコ遊技機Pの内部に設けられる球払出装置(図示せず)に取着されている。そして、払出制御回路51は、遊技制御回路50からの払出信号に従い払出モータ68を作動させ、所定個数の賞球を球皿10へ払い出す等の払い出し制御を行なう。
前記演出制御回路52は、遊技制御回路50からの制御信号を受信するように該遊技制御回路50に片方向通信接続される。この演出制御回路52のROMには、演出制御手段としてのプログラムである打球方向指示制御手段72が記憶され、遊技中に演出制御回路52のRAMに読み込まれると共に、CPUにより実行されるようになっている。この打球方向指示制御手段72は、遊技制御回路50の特定遊技制御手段59が確変遊技状態や時短遊技状態を生起することに伴って、可動部材20を位置変化させたり盤ランプ19を発光させたりするための信号をランプ制御回路54に送信する。また、演出制御回路52には、演出ボタン12が接続され、該演出ボタン12の押圧操作により送信される信号を受け取るようになっている。
前記画像制御回路53は、演出制御回路52に双方向通信可能に接続される。この画像制御回路53には、電子ディスプレー16およびスピーカ14が接続され、遊技状態に応じてこれらの機器が作動されるようになっている。さらに、前記ランプ制御回路54は、演出制御回路52に片方向通信接続され、該演出制御回路52からの信号を受け取るようになっている。このランプ制御回路54には、枠ランプ9や盤ランプ19が接続され、これらのランプが遊技状態に応じて適宜点灯制御されるようになっている。また、ランプ制御回路54には、可動部材20の駆動モータ41が接続されている。この駆動モータ41と盤ランプ19とは、演出制御回路52の打球方向指示制御手段72の信号により同調して作動するようになっている。
このようなパチンコ遊技機は、遊技者が打球発射ハンドル11を手で回動させると打球発射装置が作動し、球皿10より導かれた遊技球が打球発射ハンドル11の回動角度に応じた強度で一球ずつ打ち出される。これにより、遊技球は外レール3に案内されて発射球放出口6から遊技領域5の上部へ発射される。このときに、遊技球が球誘導樋17の始端部17aに到達しない比較的弱い強度で発射されると、該遊技球は左側遊技領域5aを流下する。この場合、遊技球は第一始動入賞口22へ入球する可能性がある一方、右側遊技領域5bへ流入し難いため、ゲート23通過や第二始動入賞口24へ入球する可能性がほとんど無くなる。また、打球発射ハンドル11を最大に回動させるなどして遊技球を強い強度で発射すると、該遊技球は球誘導樋17へ流入すると共にその終端部17bから排出され、右側遊技領域5bを流下するようになる。この場合、遊技球は、ゲート23を通過したり第二始動入賞口24へ入球したりする可能性が高くなる。
遊技球が第一始動入賞口22へ入球すると、これを契機として大当たり乱数値を取得する大当たり抽選が行なわれる。この大当たり抽選の結果は、第一特別図柄表示器30における特別図柄の変動表示後の停止図柄により遊技者に報知される。また、特別図柄の変動表示と連動して電子ディスプレー16に装飾図柄が変動表示される。そして、抽選結果が大当たりの場合は、大入賞口25の電動開閉扉25aが所定の態様で開閉作動する大当たり遊技状態が生起されるようになっている。また、遊技球がゲート23を通過すると、これを契機として当たり乱数値を取得する普通抽選が行われる。この普通抽選の結果は、普通図柄表示器29における普通図柄の変動表示後の停止図柄により遊技者に報知される。そして、抽選結果が当たりの場合は、普通図柄の変動表示が「○」で停止し、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aが所定時間で所定回数の開閉作動をするようになっている。さらに、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aの開閉作動に伴って、遊技球が第二始動入賞口24へ入賞すると、これを契機として大当たり乱数値を取得する大当たり抽選が行なわれる。この大当たり抽選の結果は、第二特別図柄表示器31における特別図柄の変動表示後の停止図柄により遊技者に報知される。また、特別図柄の変動表示と連動して電子ディスプレー16に装飾図柄が変動表示される。そして、抽選結果が大当たりの場合は、大入賞口25の電動開閉扉25aが所定の態様で開閉作動する大当たり遊技状態が生起されるようになっている。大当たり遊技状態中に大入賞口25へ遊技球を入球させることにより、遊技者は、多数の賞球を獲得することができる。
大当たり遊技状態は、大入賞口25の電動開閉扉25aが所定回数の開閉作動を終えたり、または、所定個数の遊技球が該大入賞口25へ入球すると終了する。その後、遊技状態は、特定遊技状態である確変遊技状態や時短遊技状態へ移行する。これら確変遊技状態や時短遊技状態では、ゲート23への遊技球通過に基づいて実行される普通抽選が高頻度で当たるように設定変更される。具体的には、普通図柄の変動表示が停止するまでの時間が短く設定され、且つ、普通図柄変動が当たりとなる確率が高確率に設定される。さらに、確変遊技状態や時短遊技状態では、普通図柄の当選により開閉作動される第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aの開放時間が長く設定され、且つ、その開放回数が増加される。これにより、第二始動入賞口24へ多数の遊技球を入球させ、大当たり抽選を何度も実行させることが期待できる。従って、遊技状態が、確変遊技状態や時短遊技状態であるときには、遊技球のゲート23通過や第二始動入賞口24への入賞を狙って遊技球を右側遊技領域5bへ向けて強く発射するといった、いわゆる、右打ちをすることが好ましい。一方、通常の遊技状態のときには、遊技球のゲート23通過に基づく普通抽選は低頻度でしか当たらない設定となっているため、右打ちをするメリットがない。従って、遊技球を弱く発射して左側遊技領域5aを流下させ、第一始動入賞口22への入賞を期待することが好ましい。また、大当たり遊技状態のときにも、遊技球が左側遊技領域5aを流下するように発射し、開閉作動する大入賞口25へ入球させて多数の賞球を獲得することが好ましい。
以下、本発明に係るパチンコ遊技機の制御回路における演算処理をフローチャートに従って説明する。図8は、遊技制御回路50で実行するタイマ割込処理のフローチャート図を示している。遊技制御回路50のCPUは、まず、乱数更新処理(S11)を実行し、次に、スイッチ処理(S12)において後述するゲートスイッチ処理および始動入賞口スイッチ処理を実行する。さらに、図柄処理(S13)では、後述する普通図柄処理および特別図柄処理を呼び出し、電動役物処理(S14)では、後述する第二始動入賞口処理および大入賞口処理を実行する。そして、遊技球の払い出しを行なう賞球処理(S15)を実行し、最後に、出力処理(S16)にて、上記各処理でセットされたコマンドを演出制御回路52や払出制御回路51へ送信し、タイマ割込処理を終了する。このタイマ割込処理は、パチンコ遊技機Pの電源が投入されている間に約4ミリ秒毎に繰り返し呼び出されるようになっている。
図9は、ゲートスイッチ処理を詳細に示すフローチャート図である。遊技制御回路50のCPUは、右側遊技領域5bのゲート23への遊技球通過を該ゲート23に設けられたゲートスイッチ63から信号を受け取ったか否かにより判定する(S21)。ゲートスイッチ63から信号を受け取ったと判定された場合(S21のY)、すなわち、遊技球がゲート23を通過したと判定された場合は、普通図柄の変動表示を保留する回数Gが、上限数である4回に達しているか否かを判定する(S22)。保留回数Gが4回に達していない場合は(S22のY)、保留回数Gに1を加算すると共に該保留回数Gを遊技制御回路50のRAMへ記憶させる(S23)。さらに、普通抽選手段55が、ゲート23への遊技球通過により行なわれる普通抽選として当たり乱数を取得し、該普通抽選の結果である当たり乱数値を遊技制御回路50のRAMへ格納する(S24)。そして、ゲートスイッチ処理を終了する。一方、S21において、ゲートスイッチ63から信号を受け取っていないと判定された場合(S21のN)、および、S22において、保留の回数Gが上限値である4回に達していると判定された場合は(S22のN)、直ちにゲートスイッチ処理を終了する。
図10は、始動入賞口スイッチ処理を詳細に示すフローチャート図である。この始動入賞口スイッチ処理は、第一始動入賞口に関する処理を行なう前半部と、第二始動入賞口に関する処理を行なう後半部とに大きく分けられる。まず、前半部の第一始動入賞口スイッチ処理を説明すると、遊技制御回路50のCPUは、第一始動入賞口22へ遊技球が入球したか否かを第一始動入賞口スイッチ61から信号を受け取ったか否かにより判定する(S31)。第一始動入賞口スイッチ61から信号を受け取ったと判定された場合(S31のY)、すなわち、遊技球が第一始動入賞口22へ入球したと判定された場合は、第一特別図柄の変動表示を保留する回数U1が、上限数である4回に達しているか否かを判定する(S32)。保留回数U1が4回に達していない場合は(S32のY)、保留回数U1に1を加算すると共に該保留回数U1を遊技制御回路50のRAMへ記憶させる(S33)。さらに、大当たり抽選手段57が、第一始動入賞口22への遊技球入球により行なわれる大当たり抽選として大当たり乱数を取得し、該大当たり抽選の結果である大当たり乱数値を遊技制御回路50のRAMへ格納する(S34)。そして、後半部の第二始動入賞口スイッチ処理へ移行する。一方、S31において、第一始動入賞口スイッチ61から信号を受け取っていないと判定された場合(S31のN)、および、S32において、保留の回数U1が上限値である4回に達していると判定された場合は(S32のN)、直ちに後半部の第二始動入賞口スイッチ処理へ移行する。
始動入賞口スイッチ処理の後半部である第二始動入賞口スイッチ処理を説明すると、遊技制御回路50のCPUは、右側遊技領域5bの第二始動入賞口24へ遊技球が入球したか否かを第二始動入賞口スイッチ62から信号を受け取ったか否かにより判定する(S35)。第二始動入賞口スイッチ62から信号を受け取ったと判定された場合(S35のY)、すなわち、遊技球が第二始動入賞口24へ入球したと判定された場合は、第二特別図柄の変動表示を保留する回数U2が、上限数である4回に達しているか否かを判定する(S36)。保留回数U2が4回に達していない場合は(S36のY)、保留回数U2に1を加算すると共に該保留回数U2を遊技制御回路50のRAMへ記憶させる(S37)。さらに、大当たり抽選手段57が、第二始動入賞口24への遊技球入球により行なわれる大当たり抽選として大当たり乱数を取得し、該大当たり抽選の結果である大当たり乱数値を遊技制御回路50のRAMへ格納する(S38)。そして、始動入賞口スイッチ処理を終了する。一方、S35において、第二始動入賞口スイッチ62から信号を受け取っていないと判定された場合(S35のN)、および、S36において、保留の回数U2が上限値である4回に達していると判定された場合は(S36のN)、直ちに始動入賞口スイッチ処理を終了する。
図11は、普通図柄処理を詳細に示すフローチャート図である。この普通図柄処理では、遊技球が右側遊技領域5bのゲート23を通過したことにより開始される普通図柄の変動表示に関する処理が実行される。すなわち、前記ゲートスイッチ処理における普通抽選の結果としての当たり乱数値を判定処理すると共に、該判定に基づいて普通図柄の変動表示の開始と停止を行ない、また、判定の結果が当たり値の場合は、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aを開閉作動させる補助遊技フラグを設定するようになっている。
この普通図柄処理において、まず、遊技制御回路50のCPUは、補助遊技フラグが設定されているか否かを判定する(S41)。補助遊技フラグが設定されていない場合は(S41のN)、普通図柄表示器29において普通図柄の変動表示中であるか否かを判定する(S42)。そして、普通図柄の変動表示中でないと判定された場合には(S42のN)、遊技制御回路50のRAMに記憶されている普通図柄の変動表示の保留回数Gが1以上であるか否かを判定し(S43)、この結果により、普通図柄の変動表示を開始する一連の処理を実行するか否かを決定する。S43において、保留回数Gが1以上であると判定された場合は、遊技制御回路50のRAMに格納されている当たり乱数値が、当たり又はハズレの何れであるかを判定すると共に(S44)、該判定の結果に応じて変動表示の停止図柄を選択し(S45)、さらに、変動表示の開始から停止までに要する時間である変動時間を選択してから(S46)、普通図柄表示器29における普通図柄の変動表示を開始するといった(S47)、普通図柄の変動表示の開始処理を実行する。ここで、S46にて選択される普通図柄の変動時間は、現在の遊技状態により異なった時間が設定されるようになっている。遊技状態が通常遊技状態または潜確遊技状態のときは、変動時間として4.0秒間を設定し、一方、遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態のときは、変動時間として1.5秒間を設定する。なお、S42において、普通図柄表示器29にて普通図柄が変動中であると判定された場合は(S42のY)、上述した普通図柄の変動表示の開始処理を含むS43からS47までの処理がスキップされる。
次に、普通図柄処理では、普通図柄の変動表示の停止処理を実行する。すなわち、普通図柄の変動表示時間が終了したか否かを判定し(S48)、変動表示時間が終了した場合は(S48のY)、普通図柄表示器29における図柄の変動表示を停止する(S49)。一方、S48において、変動表示時間が終了していないと判定された場合は(S48のN)、普通図柄処理から直ちに退出する。さらに、遊技制御回路50のRAMに格納されている当たり乱数値が当たり値であるか否かを判定し(S50)、当たりであると判定された場合は(S50のY)、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aを開閉作動させるフラグである補助遊技フラグを設定する(S51)。そして、普通図柄処理を終了する。一方、S50において、当たり乱数値が当たりでないと判定された場合は(S50のN)、補助遊技フラグを設定することなく普通図柄処理を終了する。なお、普通図柄処理の冒頭であるS41において、補助遊技フラグが設定されていると判定された場合(S41のN)、すなわち、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aが開閉作動中である場合は、直ちに普通図柄処理から退出する。また、S43において、保留回数Gが1以上でないと判定された場合も(S43のN)、直ちに普通図柄処理から退出する。
図12は、特別図柄処理を詳細に示すフローチャート図である。この特別図柄処理では、第一始動入賞口22への遊技球入球を契機として開始される第一特別図柄の変動表示と、第二始動入賞口24への遊技球入球を契機として開始される第二特別図柄の変動表示とに関する処理が実行される。すなわち、前記始動入賞口スイッチ処理における大当たり抽選の結果としての大当たり乱数値を判定処理し、該判定に基づいて変動パターンを選択する。そして、第一特別図柄表示器30、または、第二特別図柄表示器31における特別図柄の変動表示の開始と停止を行なう。また、特別図柄処理の最終段階では停止中処理を呼び出し、該停止中処理では、大当たり遊技制御手段58が当たり遊技フラグ(小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグ)の設定処理をして、大当たり遊技状態を生起させるようになっている。
この特別図柄処理において、まず、遊技制御回路50のCPUは、当たり遊技フラグが設定されているか否かを判定する(S61)。すなわち、小当たり遊技フラグ、長当たり遊技フラグ、短当たり遊技フラグの内の何れかが設定されているか否かを判定する。当たり遊技フラグが設定されていない場合は(S61のN)、第一特別図柄表示器30、または、第二特別図柄表示器31において特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する(S62)。そして、特別図柄の変動表示中でないと判定された場合は(S62のN)、まず、遊技制御回路50のRAMに記憶されている第二特別図柄の変動表示の保留回数U2が1以上であるか否かを判定する(S63)。ここで、保留回数U2が1以上であると判定された場合は(S63のY)、該保留回数U2から1を減算して遊技制御回路50のRAMへ再度記憶させ(S64)、次の処理へ移行する。一方、保留回数U2が1以上でないと判定された場合は(S63のN)、続いて、遊技制御回路50のRAMに記憶されている第一特別図柄の変動表示の保留回数U1が1以上であるか否かを判定(S65)する。そして、保留回数U1が1以上であると判定された場合は(S65のY)、該保留回数U1から1を減算して遊技制御回路50のRAMへ再度記憶させ(S66)、次の処理へ移行する。このように、第一特別図柄の変動表示と、第二特別図柄の変動表示との両方が保留されている場合は、第二特別図柄の変動表示の方が優先的に処理され、第一特別図柄の変動表示の処理は後回しにされるようになっている。また、S65において、保留回数U1が1以上でないと判定された場合(S65のN)、すなわち、第一特別図柄の変動表示、および、第二特別図柄の変動表示が共に保留されていない場合は客待ち設定処理を実行してから(S67)、特別図柄処理を終了する。この客待ち設定処理では、次の特別図柄の変動表示が開始されない状態であることを示す客待ちフラグの設定、および、客待ちコマンドのセットを行なっている。
特別図柄処理において、第一特別図柄の変動表示、または、第二特別図柄の変動表示が保留されていた場合の次の処理では、まず、客待ちフラグを解除する(S68)。そして、特別図柄の変動表示を開始する一連の処理を実行する。すなわち、大当たり乱数判定処理の実行により(S69)、遊技制御回路50のRAMに格納されている大当たり乱数値が、小当たり、長当たり、短当たり、または、ハズレの内の何れであるかを判定し、さらに、この判定の結果に応じた変動パターンを決定するための変動パターン選択処理を実行すると共に(S70)、演出制御回路52へ送信する変動開始コマンドのセットを行なう(S71)。この変動開始コマンドには、大当たり乱数判定の結果(小当たり/長当たり/短当たり/ハズレ)、変動パターン(変動時間を含む)、現在の遊技状態(確変遊技/時短遊技/潜確遊技/通常遊技)、大当たり遊技の終了後に生起される次の遊技状態等の各種情報が含まれている。そして、第一特別図柄表示器30、または、第二特別図柄表示器31における特別図柄の変動表示を開始し(S72)、次の処理へ移行する。なお、S62において、特別図柄の変動表示中であると判定された場合は(S62のY)、上述した特別図柄の変動表示の開始処理を含むS63からS66、および、S68からS72までの処理がスキップされる。
次に、特別図柄処理では、特別図柄の変動表示の停止処理を実行する。すなわち、特別図柄の変動表示時間が終了したか否かを判定し(S73)、変動表示時間が終了した場合は(S73のY)、演出制御回路52へ送信する変動停止コマンドのセットをすると共に(S74)、第一特別図柄表示器30、または、第二特別図柄表示器31における図柄の変動表示を停止する(S75)。さらに、停止中処理を呼び出してから(S76)、特別図柄処理を終了する。一方、S73において、変動表示時間が終了していないと判定された場合は(S73のN)、特別図柄処理から直ちに退出する。なお、特別図柄処理の冒頭であるS61において、当たり遊技フラグが設定されていると判定された場合(S61のN)、すなわち、大入賞口25の電動開閉扉25aが開閉作動中である場合は、直ちに特別図柄処理を終了する。
図13は、停止中処理を詳細に示すフローチャート図である。停止中処理では、まず、特別図柄の変動表示の停止態様が大当たりであるか否かの判定をする(S81)。この停止態様が大当たりでないと判定された場合は(S81のN)、時短遊技状態中における特別図柄変動表示の繰り返し回数のカウント処理を実行する。すなわち、時短遊技フラグが設定されているか否かを判定し(S82)、該時短遊技フラグが設定されている場合(S82のY)、つまり、現在の遊技状態が時短遊技状態である場合は、特別図柄の変動表示の繰り返し回数Jから1を減算して遊技制御回路50のRAMへ記憶させる(S83)。さらに、繰り返し回数Jが0であるか否かを判定し(S84)、該繰り返し回数Jが0である場合(S84のY)、すなわち、時短遊技状態中に規定回数の特別図柄変動表示が消化された場合は、時短遊技フラグを解除(S85)する。そして、次の処理へ移行する。また、S82において、時短遊技フラグが設定されていないと判定された場合(S82のN)、すなわち、現在の遊技状態が時短遊技状態でない場合は、直ちに次の処理へ移行する。さらに、S84において、繰り返し回数Jが0でないと判定された場合(S84のN)、つまり、時短遊技状態中における特別図柄の変動表示が規定回数消化されていない場合も、直ちに次の処理へ移行する。なお、時短遊技状態中における特別図柄の変動表示の繰り返し回数Jは、規定回数としての初期値が100回となっている。
停止中処理において、時短遊技状態中における特別図柄変動表示の繰り返し回数のカウント処理の次には、確変遊技状態中または潜確遊技状態中における特別図柄変動表示の繰り返し回数のカウント処理が実行される。この処理では、まず、確変遊技フラグまたは潜確遊技フラグが設定されているか否かを判定し(S86)、該確変遊技フラグまたは該潜確遊技フラグの内の何れか一方が設定されている場合(S86のY)、つまり、現在の遊技状態が確変遊技状態または潜確遊技状態である場合は、特別図柄の変動表示の繰り返し回数Xから1を減算して遊技制御回路50のRAMへ記憶させる(S87)。さらに、繰り返し回数Xが0であるか否かを判定し(S88)、該繰り返し回数Xが0である場合(S88のY)、すなわち、確変遊技状態中または潜確遊技状態中に規定回数の特別図柄変動表示が消化された場合は、確変遊技フラグと潜確遊技フラグとを解除(S89)する。そして、次の処理へ移行する。また、S86において、確変遊技フラグまたは潜確遊技フラグの何れも設定されていないと判定された場合(S86のN)、すなわち、現在の遊技状態が確変遊技状態または潜確遊技状態の何れでもない場合は、直ちに次の処理へ移行する。さらに、S88において、繰り返し回数Xが0でないと判定された場合(S88のN)、つまり、確変遊技状態中または潜確遊技状態中における特別図柄の変動表示が規定回数消化されていない場合も、直ちに次の処理へ移行する。なお、確変遊技状態中または潜確遊技状態中における特別図柄の変動表示の繰り返し回数Xは、規定回数としての初期値が10000回となっている。
停止中処理における特別図柄変動表示の繰り返し回数のカウント処理の次は、上述した始動入賞口処理にて取得した大当たり乱数値に基づいて、小当たりであるか否かの判定をする(S90)。小当たりであると判定された場合は(S90のY)、大当たり遊技制御手段58が小当たり遊技フラグを設定し(S91)、オープニング処理へ移行する。一方、小当たりでないと判定された場合は(S90のN)、直ちに停止中処理を終了する。また、上述したS81において、特別図柄の変動表示の停止態様が大当たりであると判定された場合は(S81のY)、上記大当たり乱数値に基づいて、特別遊技状態制御手段60がこの大当たりが長当たりであるか否かの判定をする(S92)。その結果、長当たりであると判定された場合は(S92のY)、特別遊技状態制御手段60が長当たり遊技フラグを設定し(S93)、一方、長当たりでないと判定された場合は(S92のN)、特別遊技状態制御手段60が短当たり遊技フラグを設定する(S94)。さらに、これら長当たり遊技フラグまたは短当たり遊技フラグを設定した後に、時短遊技フラグと確変遊技フラグと潜確遊技フラグとを解除(S95)する。すなわち、現在の遊技状態をリセットする。そして、大当たりの開始準備であるオープニング処理へ移行する。オープニング処理では、オープニング開始においてオープニング時間の計測を開始すると共に(S96)、演出制御回路52へ送信するオープニングコマンドのセットを行なう(S97)。その後に、停止中処理を終了する。なお、オープニングコマンドには、オープニングフラグや大当たりのオープニング演出図柄等の各種情報が含まれている。
図14は、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aを制御する処理である第二始動入賞口処理を詳細に示すフローチャート図である。第二始動入賞口処理では、開閉翼片制御手段56により該電動開閉翼片24aが所定パターンで開閉作動される。この開閉翼片制御手段56は、まず、補助遊技フラグが設定されているか否かを判定する(S101)。補助遊技フラグが設定されている場合は(S101のY)、次いで、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aが開閉作動中であるか否かを判定する(S102)。そして、電動開閉翼片24aが開閉作動中でない場合は(S102のN)、開閉翼片制御手段56は、開閉作動パターンの選択をしてから(S103)、該電動開閉翼片24aの開閉作動を開始する(S104)。開閉作動パターンは、電動開閉翼片24aの開閉作動における一回の開放時間や開放回数を指定するものであり、遊技状態が通常遊技状態または潜確遊技状態のときは、0.15秒間の開放時間で1回開放作動する設定となり、一方、遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態のときは、1.80秒間の開放時間で3回開放作動する設定となっている。なお、S102において、電動開閉翼片24aが開閉作動中であると判定された場合は(S102のY)、上述したS103とS104の処理はスキップされる。次に、開閉翼片制御手段56は、上記開閉作動パターンによる電動開閉翼片24aの開閉作動が終了したか否かを判定する(S105)。開閉作動が終了したと判定された場合は(S105のY)、遊技補助フラグを解除し(S106)、第二始動入賞口処理を終了する。一方、開閉作動が終了していないと判定された場合は(S105のN)、そのまま第二始動入賞口処理を終了する。なお、S101において、補助遊技フラグが設定されていないと判定された場合(S101のN)は、第二始動入賞口処理を直ちに終了する。
図15は、大入賞口25の電動開閉扉25aを制御する処理である大入賞口処理を詳細に示すフローチャート図である。この大入賞口処理において、遊技制御回路50のCPUは、まず、当たり遊技フラグが設定されているか否かを判定する(S111)。当たり遊技フラグが設定されていない場合は(S111のN)、電動開閉扉25aを開閉作動させないので、直ちに大入賞口処理を終了する。一方、当たり遊技フラグが設定されている場合は(S111のY)、オープニング中であるか否かの判定をする(S112)。オープニングとは、特別図柄の変動表示が停止してから大入賞口25の電動開閉扉25aの開閉作動が開始されるまでの間に行なわれる演出のことである。S112において、オープニング中であると判定された場合は(S112のY)、次いで、所定のオープニング時間が経過したか否かを判定する(S113)。オープニング時間が経過していないと判定された場合は(S113のN)、大入賞口処理から退出する。一方、オープニング時間が経過していると判定された場合は(S113のY)、電動開閉扉25aの開閉作動のラウンド数、開放時間、開放回数といった開閉パターンの設定をする(S114)。この開閉パターンは、当たり遊技の種類によって異なり、長当たり遊技では、29.5秒間の1回開放作動を15ラウンド繰り返すパターンが設定され、短当たり遊技では、0.1秒間の1回開放作動を2ラウンド繰り返すパターンが設定される。また、小当たり遊技では、0.1秒間の2回開放作動を1ラウンド実行するパターンが設定される。開閉パターンを設定した後は、消化したラウンドの回数を保持するラウンド数Rに1を加算すると共に該ラウンド数Rを遊技制御回路50のRAMへ記憶させ(S115)、続いて、電動開閉扉25aを開放する(S116)。
次に、大入賞口処理では、S114にて設定された所定の開放時間が経過したか否かを判定し(S117)、該開放時間が経過したと判定された場合は(S117のY)、電動開閉扉25aを閉塞して1ラウンド分の開放作動を終了させる(S118)。一方、開放時間が経過していないと判定された場合は(S117のN)、続いて、大入賞口25へ入賞した遊技球数Cが9球に達したか否かを判定する(S119)。そして、大入賞口25への入賞遊技球数Cが9球に達した場合(S119のY)、電動開閉扉25aを閉塞して1ラウンド分の開放作動を終了させる(S118)。一方、大入賞口25への入賞遊技球数Cが9球に達していない場合は(S119のN)、大入賞口処理から退出する。電動開閉扉25aを閉塞させた後には、開閉作動のラウンド数Rが、S114にて設定した所定ラウンド数であるか否か、すなわち、所定ラウンド数を終了したか否かを判定する(S120)。この結果、最終ラウンドでないと判定された場合は(S120のN)、大入賞口処理から退出し、一方、最終ラウンドであると判定された場合は(S120のY)、エンディング処理へ移行する。エンディングとは、大入賞口25の電動開閉扉25aの開閉作動が終了した後に所定時間行なわれる演出のことである。エンディング処理では、エンディング開始においてエンディング時間の計測を開始すると共に(S121)、演出制御回路52へ送信するエンディングコマンドのセットを行なう(S122)。さらに、開閉作動のラウンド数Rのカウント値を0にリセットする(S123)。
次いで、大入賞口処理では、所定のエンディング時間が経過したか否かを判定し(S124)、エンディング時間が経過したと判定された場合は(S124のY)、特定遊技制御手段59が、大入賞口25の電動開閉扉25aの開閉作動が終了した後の次の遊技状態を設定する(S125)。この遊技状態設定処理では、前記始動入賞口スイッチ処理にて遊技制御回路50のRAMへ格納した大当たり乱数値を参照し、必要に応じて、時短遊技フラグ、確変遊技フラグ、潜確遊技フラグを設定する。また、これらのフラグに対応して、特別図柄の変動表示の繰り返し回数を規定回数に初期化する。なお、時短遊技状態における特別図柄の変動表示の繰り返し規定回数Jは100回であり、確変遊技状態または潜確遊技状態における特別図柄の変動表示の繰り返し規定回数Xは10000回となっている。遊技状態設定処理の実行後は、当たり遊技フラグを解除し(S126)、大入賞口処理を終了する。一方、エンディング時間が経過していないと判定された場合は(S124のN)、直ちに大入賞口処理を終了する。
さらに、大入賞口処理では、S112において、オープニング中でないと判定された場合は(S112のN)、大入賞口25の電動開閉扉25aが開放されているか否かを判定する(S127)。そして、該電動開閉扉25aが開放されていると判定された場合は(S127のY)、S117へ処理を移行する。一方、電動開閉扉25aが開放されていないと判定された場合は(S127のN)、インターバル中であるか否かを判定する(S128)。インターバルとは、ラウンド同士の間において電動開閉扉25aが閉塞されている状態の期間のことである。そして、インターバル中でないと判定された場合は(S128のN)、S124へ処理を移行する。一方、インターバル中であると判定された場合は(S128のY)、所定のインターバル時間が経過したか否かを判定する(S129)。判定の結果、インターバル時間が経過している場合は(S129のY)、S115へ処理を移行し、インターバル時間が経過していない場合は(S129のN)、大入賞口処理を終了する。
次に、演出制御回路52における演算処理についてフローチャートに従って説明する。図16は、演出制御回路52で実行されるメイン処理のフローチャート図を示している。演出制御回路52のCPUは、パチンコ遊技機Pの電源が投入されると、メイン処理の実行を開始する。このメイン処理では、まず演出制御回路52のRAMをクリアする等の初期設定を実行する(S131)。次に、演出制御回路52のCPUは、CTC周期設定を実行して割込時間の周期を設定する(S132)。これにより、後述するタイマ割込処理の呼び出し周期が設定され、以後、パチンコ遊技機Pの電源が投入されている間は、タイマ割込処理が所定の周期で繰り返し呼び出されるようになる。本実施形態では割り込みの周期が4ミリ秒毎となっている。そして、演出制御回路52のCPUは、乱数更新処理を継続的に繰り返し実行するようになっている(S133)。この乱数は、ゲート23への遊技球通過や、第一始動入賞口22および第二始動入賞口24への遊技球入賞の際に行なわれる抽選に用いられる。
図17は、演出制御回路におけるタイマ割込処理を示すフローチャート図である。このタイマ割込み処理は、上述したように、パチンコ遊技機Pの電源が投入されている間に4ミリ秒の周期でメイン処理から繰り返し呼び出される。タイマ割込み処理では、遊技制御回路50にてセットされた各種コマンドを受け取ると共に、該コマンドに従って様々な演出処理を実行するためのコマンド受信処理が呼び出される(S141)。このコマンド受信処理の内容については後に詳しく説明する。次に、演出ボタン12の押圧信号を受け取ると共に、演出ボタンコマンドをセットする演出ボタン処理を実行する(S142)。そして、画像制御回路53やランプ制御回路54へ各種のコマンドを送信するコマンド送信処理を実行して(S143)、タイマ割込処理を終了する。
図18は、コマンド受信処理を詳細に示すフローチャート図である。このコマンド受信処理では、遊技制御回路50にてセットされた各種コマンド(変動開始コマンド、変動停止コマンド、オープニングコマンド、エンディングコマンド、客待ちコマンド)を受信すると共に、これらのコマンドに基づいて演出パターンの選択処理等を実行し、該処理の結果を演出コマンドとして画像制御回路53およびランプ制御回路54へ送信するようになっている。まず、演出制御回路52のCPUは、変動開始コマンドを受信したか否かを判定する(S151)。変動開始コマンドを受信した場合は(S151のY)、演出選択処理を呼び出し(S152)、一方、変動開始コマンドを受信していない場合は(S151のN)、演出選択処理をスキップする。次に、変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S153)、変動停止コマンドを受信した場合は(S153のY)、画像制御回路53とランプ制御回路54へ送信する変動演出終了コマンドをセットする(S154)。一方、変動停止コマンドを受信していない場合は(S153のN)、変動演出終了コマンドのセットをスキップする。さらに、コマンド受信処理において、演出制御回路52のCPUは、オープニングコマンドを受信したか否かを判定する(S155)。オープニングコマンドを受信した場合は(S155のY)、当たり演出選択処理を呼び出し(S156)、一方、オープニングコマンドを受信していない場合は(S155のN)、当たり演出選択処理をスキップする。続いて、エンディングコマンドを受信したか否かを判定する(S157)。エンディングコマンドを受信した場合は(S157のY)、エンディング演出選択処理を呼び出し(S158)、一方、エンディングコマンドを受信していない場合は(S157のN)、当たり演出選択処理をスキップする。最後に、客待ちコマンド受信処理を実行し(S159)、コマンド受信処理を終了する。客待ちコマンド受信処理では、所定の客待ち時間が経過したことを検知すると、画像制御回路53およびランプ制御回路54へ送信する客待ち演出コマンドをセットするようになっている。
図19は、演出選択処理を示すフローチャート図である。演出選択処理において、演出制御回路52のCPUは、まず、受信した変動開始コマンドに含まれる情報を解析する(S161)。そして、右打ちフラグが設定されているか否かを判定し(S162)、右打ちフラグが設定されている場合は(S162のY)、続いて、現在の遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態であるか否かを判定する(S163)。判定の結果、現在の遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態である場合は(S163のY)、打球方向指示制御手段72が、右打ち演出パターンを選択(S164)し、右側遊技領域5bへ向けて遊技球を発射することを報知する演出を行なうようにする。時短遊技状態または確変遊技状態においては、ゲート23への遊技球通過を契機として実行される普通抽選が高頻度で当たりとなる。従って、右側遊技領域5bに設けられたゲート23を狙って遊技球を右打ちすることが、遊技者にとって有利な遊技展開となる。さらに、普通抽選の抽選結果が当たりであると、第二始動入賞口24の電動開閉翼片24aが開閉作動することから、該第二始動入賞口24が設けられた右側遊技領域5bへ向けて遊技球を右打ちすることは、より有利な遊技展開となる。この右打ち演出パターンには、発射方向報知役物21の盤ランプ19の点灯消灯態様や可動部材20の作動態様、また、電子ディスプレー16に表示する画像の演出態様等が含まれる。一方、S162において、右打ちフラグが設定されていないと判定されると(S162のN)、打球方向指示制御手段72は、通常演出パターンを選択する(S165)。また、S163において、現在の遊技状態が時短遊技状態ではなく、かつ、確変遊技状態でもないと判定されると(S163のN)、右打ちフラグを解除すると共に(S166)、打球方向指示制御手段72は、通常演出パターンを選択する(S165)。そして、最後に、打球方向指示制御手段72が選択した演出パターンによる演出の開始信号である変動演出開始コマンドをセットし(S167)、演出選択処理を終了する。
図20は、当たり演出選択処理を示すフローチャート図である。当たり演出選択処理において、演出制御回路52のCPUは、まず、受信したオープニングコマンドに含まれる情報を解析する(S171)。そして、右打ちフラグが設定されているか否かを判定し(S172)、右打ちフラグが設定されている場合は(S172のY)、続いて、大当たりが長当たりであるか否かの判定をする(S173)。この判定の結果が長当たりである場合は(S173のY)、右打ちフラグを解除すると共に(S174)、右打ち演出解除コマンドをセットする(S175)。すなわち、大当たりが長当たりであるということは、大入賞口25の電動開閉扉25aが29.5秒間の1回開放作動を15ラウンド繰り返す大当たり遊技状態にまもなく移行するということである。そうすると、遊技球を左側遊技領域5aへ発射して該大入賞口25へ入球させることが遊技者にとって有利な遊技展開となり、対して、遊技球を右側遊技領域5bへ発射する右打ちは不利となる。従って、S174とS175において遊技球の右打ちを促す報知に関する処理を解除する。一方、S172において、右打ちフラグが設定されていないと判定された場合は(S172のN)、S174とS175とは、単にスキップされる。また、S173において、大当たりが長当たりでないと判定された場合(S173のN)、すなわち大当たりが短当たりである場合も、S174とS175とがスキップされる。短当たり遊技では、大入賞口25の電動開閉扉25aが0.1秒間の1回開放作動を2ラウンドだけ繰り返すようになっている。つまり、大当たり遊技状態の開始から停止までが極めて短時間である。従って、短当たりにおいては、遊技球の右打ちを促す報知を解除することなく継続させる方が遊技者にとって有利なため、右打ちフラグの解除や右打ち演出解除コマンドのセットを実行しないようにする。これは、打球方向指示制御手段72が可動演出部材20を打球方向指示位置に保持するように指示していることに相当する。そして、次の処理では、大当たり中の演出態様を決定する当たり演出パターンの選択をすると共に(S176)、画像制御回路53とランプ制御回路54へ送信するための当たり演出コマンドをセットし(S177)、当たり演出選択処理を終了する。
図21は、エンディング演出選択処理を示すフローチャート図である。エンディング演出選択処理において、演出制御回路52のCPUは、まず、受信したエンディングコマンドに含まれる情報を解析する(S181)。そして、該エンディングコマンドから大当たり遊技状態の終了後に生起される次の遊技状態に関する情報を調べ、当該大当たり遊技の終了後に時短遊技状態または確変遊技状態の内の何れか一方へ遊技状態が移行するか否かを判定する(S182)。遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態へ移行すると判定された場合は(S182のY)、右打ちフラグを設定すると共に(S183)、打球方向指示制御手段72が、エンディング演出として右打ち移行演出パターンを選択する(S184)。すなわち、大当たり遊技状態の終了後は、遊技球を右側遊技領域5bへ向けて右打ちすることが遊技者にとって有利な遊技展開となることを事前に報知する演出が選択される。一方、S182において、遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態の何れへも移行しないと判定された場合(S182のY)、すなわち、潜確遊技状態へ移行する場合は、打球方向指示制御手段72が、エンディング演出として通常遊技パターンを選択する(S185)。そして、最後に、選択した演出パターンによる演出の開始指令を画像制御回路53とランプ制御回路54へ送信するためのエンディング演出コマンドをセットし(S186)、エンディング演出選択処理を終了する。
上述した第一実施形態に係るパチンコ遊技機では、通常遊技状態のときには、右打ちフラグが解除されている。従って、演出選択処理において、打球方向指示制御手段72は通常演出パターンを選択する。これにより、右打ちを促す演出は行なわれず、例えば、可動部材20が下側に位置されると共に盤ランプ19が消灯されるようになる。次に、大当たり遊技状態の終了後に時短遊技状態または確変遊技状態へ移行することが確定すると、大当たりのエンディング演出選択処理にて、右打ちフラグが設定される。さらに、打球方向指示制御手段72は右打ち移行演出パターンを選択する。これにより、右打ちの開始を促すための右打ち移行演出が、大当たりのエンディング演出中に行なわれる。この右打ち移行演出では、例えば、可動部材20を上下に複数回移動させたり盤ランプ19を点滅させる等して、遊技者の注意を引くようにする。
遊技状態が時短遊技状態または確変遊技状態へ実際に移行すると、演出選択処理において、打球方向指示制御手段72は右打ち演出パターンを選択する。これにより、可動部材20が上側に移動して球誘導樋17の前面を覆うように位置すると共に、これに同調して盤ランプ19が点灯する。具体的には、盤ランプ19,19,…,19を左側から右側へ順に点灯させることにより、可動部材20の右矢印窓37が、その基端側(左側)から先端側(右側)へ順に発光する等の演出を行なう。すなわち、遊技者に右打ちを強く促すようにしたインパクトのある演出が行なわれる。
また、時短遊技状態または確変遊技状態において特別図柄の変動表示が規定回数終了すると、遊技状態は通常遊技状態に戻る。そうすると、演出選択処理において、右打ちフラグが解除されると共に、打球方向指示制御手段72は通常演出パターンを選択する。すなわち、右打ちを促す演出が終了されるようになっている。このように、本発明のパチンコ遊技機では、遊技状態の移行に伴って遊技球を右打ちすべきか否かが適切に判定されると共に、右打ちが有利な場合は、それを遊技者に分かり易く報知するようになっている。従って、初心者にも十分なアドバイスができる。
次に、本発明のパチンコ遊技機の第二実施形態について説明する。第二実施形態に係るパチンコ遊技機の概略構成および制御回路の構成は、上述した第一実施形態と同様である。従って、以下の説明においては、第一実施形態と相違する構成についてのみ説明し、同一の構成については同一の符号を付すことにより詳しい説明を省略する。第二実施形態における可動部材80は、緩やかに湾曲形成された平板部81の両端に後方へ突出する支持腕片82,82が一体に形成され、該平板部81の前面には、貫通窓としての矩形状の小窓83,83,…,83が七個並んで開設されている。また、右側の支持腕片82の後端部には、係合歯を直線状に列設したラックギア38が取着される。そして、可動部材80の後方には駆動モータ41が配設され、該駆動モータ41の駆動軸42に固着した駆動歯車43は、該可動部材80のラックギア38に歯合される。これにより、可動部材80は、駆動モータ41の回転により上側位置または打球方向指示位置としての下側位置へ移動するようになっている。
第二実施形態において、前面装飾部材15の延出部15aの上端縁に設けられた球誘導樋84は、図24に示したように、情報表示部としての前面壁84aの前面に、打球方向指示情報としての長孔状の右矢印窓85が開設される。この右矢印窓85は左側遊技領域5aから右側遊技領域5bへ向かう方向を指している。この右矢印窓85は、球誘導樋84の湾曲に沿ってカーブしており、また、透過光を拡散させる光拡散レンズ86が設けられている。これにより、球誘導樋84の後側に列設された盤ランプ19,19,…,19の光が拡散され、右矢印窓85がより見え易く発光するようになっている。常態において、右矢印窓85は、図23に示したように、球誘導樋84の前面を覆うように位置する可動部材80により隠され、視認できないようになっている。このとき、可動部材80の平板部81に開設した小窓83,83,…,83を介し、盤ランプ19の光だけが視認される。一方、遊技状態が確変遊技状態または時短遊技状態へ移行すると、可動部材80は、図24に示したように、下側である打球方向指示位置へ移動される。従って、右矢印窓85が視認できるようになると共に、盤ランプ19の光により該右矢印窓85が発光するようになる。これにより、右側遊技領域5bへ向けて遊技球を発射する右打ちを遊技者に報知できる。
第二実施形態では、大当たり遊技状態のエンディング時における右打ち移行演出としては、例えば、打球方向指示制御手段72は、右矢印窓85を可動部材80で覆い隠した状態で、盤ランプ19を左側から右側へ順に点灯させる。これにより、可動部材80の左側の小窓83から右側の小窓83へ順に光が移動し、まもなく右打ちが有利な遊技展開となることを示唆できる。そして、確変遊技状態または時短遊技状態へ移行したら、打球方向指示制御手段72は、可動部材80を下側へ移動させて右矢印窓85を露出させる。また、それに同調して、盤ランプ19を左側から右側へ順に点灯することで、右矢印窓85を基端側(左側)から先端側(右側)へ順に発光させるようにする。これにより、遊技者に右打ちを強く促すようにした、インパクトのある右打ち演出を行なうことができる。