以下、本発明を電子レンジに適用した実施の形態について詳述する。図1は、電子レンジの外観を示す正面図であり、図2乃至図5は、夫々電子レンジの内部構成を示す略示平面図、略示背面図、略示左側面図、及び略示右側面図である。
図中1はレンジ本体である。レンジ本体1は、略直方体をなし、前側に開放部を有する加熱室6を収容するキャビネット7を外殻とする。前記開放部は、レンジ本体1の前部の一側方に蝶着された横開きのドア2により、開閉可能に閉止される。レンジ本体1の前面の上部は、ドア2の上方を覆うように前方へ突出させてあり、突出させたレンジ本体1の前部及びドア2の下部に、レシピの選択及び加熱の開始等の操作を受け付けるための操作部3,4を夫々備える。
キャビネット7は、四角形状をなす底部のベース21と、該ベース21の前縁部に結合される枠状の前フレーム22と、両側板、天板及び背面板を有してベース21及び前フレーム22の周縁を被覆するカバー体23とを備える。加熱室6は、ベース21の前側に取り付けられている。
ドア2は、前フレーム22の一側方の上下に配されたヒンジ2a(下側は図示せず)に嵌着されたヒンジピン2bにより支持され、前フレーム22の他側方には、ドア2の開閉を検出するためのドアスイッチ2cが配設されている。
加熱室6の後方の中央には、加熱調理用のマイクロ波を発生させるための二つの高周波発生装置(以下、マグネトロンという)8、8が上下に離隔されて配されている。マグネトロン8,8に夫々電力を送給するための高圧トランス9,9及び高圧トランス9,9の出力を夫々整流・平滑するためのコンデンサ10,10は、加熱室6の後方下部及び後方上部の両側方に配設されている。加熱室6の背壁6dの背面には、二つの冷却用のファンモータ11,11が設けられ、加熱室6の天壁6a及び底壁6bの夫々上面及び下面には、マグネトロン8,8が発生したマイクロ波を夫々加熱室6へ送給するための導波管12,12が配されている。
加熱室6の天壁6aの上面には、加熱室6への外気の供給及び加熱室6からの排気の導出を夫々行う給気ダクト13及び排気ダクト14が配されている。排気ダクト14は、排気路に送風機15を有し、送風機15は、ダクト内の羽根車15a及び該羽根車15aを駆動する排気モータ15bからなる。加熱室6の側壁6cの外面には、操作部3,4及びマグネトロン8,8等の電気部品を制御する制御部16が配設されている。
図6は、電子レンジのレンジ本体1に配された操作部3の外観を示す説明図である。操作部3は、予め記憶されたレシピの選択を受け付けるための「0」乃至「9」のキーからなる数字キー31と、該数字キー31により選択される数値に対応付けられたレシピについて、加熱の開始及び停止を夫々受け付けるための開始キー32及び停止/クリアキー36と、各キーより受け付けた内容及び加熱の残り時間等の情報を表示する表示器5とを備える。
操作部3は、また、数値に対応付けられたレシピを設定して記憶する場合、設定されたレシピの記憶を受け付けるための設定記憶キー33と、設定中のレシピについて調理時間の設定を受け付けるための時間設定キー34と、設定中のレシピについて加熱出力の設定を受け付けるための出力設定キー35とを備える。
操作部3は、更に、記憶されたレシピの設定内容を表示器5に表示させるためのヘルプキー37と、被加熱物の重量がレシピを設定したときの所定量を超える場合、一時的に前記所定量の2倍又は3倍の被加熱物を受け付けるための2倍/3倍設定キー38と、急速解凍の時間の設定を受け付けるための急速解凍キー39とを備える。
図7は、電子レンジのドア2に配された操作部4の外観を示す説明図である。操作部4は、予め記憶されたレシピの選択を受け付けるための「0」乃至「9」のキーからなる数字キー41と、該数字キー41により選択される数値に対応付けられたレシピについて、加熱の開始及び停止を夫々受け付けるための開始キー42及び停止/クリアキー46とを備える。
数字キー31及び数字キー41により夫々選択される同一の数値には、同一のレシピが対応付けられており、各レシピは数字キー31及び41の何れによっても、数値による選択が受け付けられる。また、選択されたレシピについての加熱の開始及び停止は、夫々開始キー32,42の何れか、及び停止/クリアキー36,46の何れかによって受け付けられるようにしてある。
図8は、電子レンジの要部回路構成を示すブロック図である。図ではドア2が閉止され、被加熱物を加熱していない状態を示す。単相の交流電源(商用電源)に接続された電源プラグ51の一端は、電子レンジの回路電流の異常時に溶断するメインヒューズ52、及び加熱室6内の温度の異常時(例えば加熱室内での発火時)に溶断する温度ヒューズ53を介して、スイッチング電源からなる直流電源54の一端、及び交流電圧モニタ回路55の一次側の一端に接続されている。交流電圧モニタ回路55の一次側の他端は、ドア2の開放時にオフするセカンダリーインターロックスイッチ56を介して直流電源54の他端及び電源プラグ51の他端に接続されている。
尚、直流電源54に節電回路を介して交流電源を与えることにより、直流電源54がオートシャットダウンされるようにしてもよい。
サーマルヒューズ53及び直流電源54の接続点は、ドア2の開放時から加熱終了時までオンされるプライマリーインターロックリレー接点57aを介して、加熱室6の内部を照明するためのオーブンランプ58の一端と、導波管12,12から送給されたマイクロ波を加熱室6内に放射する図示しないアンテナを回転させるためのアンテナモータ59,59の各一端とに接続されている。オーブンランプ58の他端及びアンテナモータ59,59の各他端は、電源プラグ51の他端に接続されている。
プライマリーインターロックリレー接点57a及びオーブンランプ58の接続点は、また、ドア2の開放時にオンするモニタスイッチ60の一端、及びマグネトロン8,8の各出力をオン/オフするための加熱リレー接点61a,61aの各一端に接続されている。モニタスイッチ60の他端は、交流電圧モニタ回路55の一次側の他端に接続されたセカンダリーインターロックスイッチ56の一端、及び高圧トランス9,9の一次側の各一端に接続されている。
加熱リレー接点61a,61aの各他端は、夫々マグネトロン8,8の温度の異常時(例えば冷却異常時又は無負荷運転による高温時)に溶断する温度ヒューズ62,62を介して高圧トランス9,9の一次側の各他端に接続されている。
尚、加熱リレー接点61a,61aを夫々駆動する加熱リレーはEMR(電磁リレー)であるが、SSR(ソリッドステートリレー)であってもよい。
高圧トランス9,9の各二次側には、夫々倍電圧整流のためのコンデンサ10,10とダイオード81,81とが直列に接続されており、倍電圧に整流されたダイオード81,81の両端電圧が、夫々マグネトロン8,8に与えられるようになっている。マグネトロン8,8には、また、高圧トランス9,9の他の二次側から夫々ヒータ用の電圧が印加されるようになっている。
直流電源54の出力電圧(5V及びGND)は、CPU71を有するマイクロコンピュータ70からなる制御部16に与えられる。マイクロコンピュータ70は、プログラム等の情報を記憶するROM72、一部が不揮発性メモリで構成されプログラムの実行中に発生した情報を記憶するRAM73、時間を計時するタイマ、及び入出力回路をCPU71とバス接続して構成してある。CPU71は、ROM72に予め格納されている制御プログラムに従って、演算及び入出力等の処理を実行する。
マイクロコンピュータ70の図示しない入出力回路には、インターロックリレー駆動回路57b、加熱リレー駆動回路61b,61b、ドアスイッチ2c、及び操作部3,4が接続されており、表示器5とは操作部3を介して接続されている。マイクロコンピュータ70の入出力回路には、また、ファンモータ11,11及び排気モータ15bを夫々直流駆動及びPWM駆動するファンモータ駆動回路75,75及び排気モータ駆動回路76が接続されており、更に、交流電圧モニタ回路55の二次側に接続されて、交流電源の電圧を降圧及び整流した電圧、即ち交流電源の電圧をモニタするための直流電圧が与えられる。
図9は、図8に示す各部品の動作状態の関係を示すタイミングチャートである。図9(a)から9(i)の縦軸は、オン/オフの状態又は開/閉の状態を示し、横軸は時間を示す。先ず、電子レンジに供給される交流電圧が200Vである場合について説明する(各図では実線で示す)。
図9(a)において、電源プラグ51に接続された200Vの交流電源がオンした場合、図9(b)に示すように、直流電源54は交流電源がオフするまでオンを保ち、制御部16に5Vの出力電圧を与え続ける。その後、ドア2の開閉が検出されるまでの間に、交流電源の電圧が検出され、その結果がRAM73に記憶されるようになっている。
次いで、図9(i)の時刻T0でドア2が開放された場合、ドアスイッチ2cの状態を取り込んでいるマイクロコンピュータ70のCPU71が、ドア2の開放を検知し、インターロックリレー駆動回路57bによって、図9(c)に示すようにプライマリーインターロックリレー接点57aをオンさせる。これにより、図3(d)及び3(e)に夫々実線で示すように、オーブンランプ58がオン(点灯)し、アンテナモータ59,59(の回転)がオンとなる。
その後ドア2が閉止され、図9(j)の時刻T1で操作部3又は4から加熱の開始に係る操作が行われた場合、CPU71は、加熱リレー駆動回路61b,61b、ファンモータ駆動回路75,75、及び排気モータ駆動回路76によって、図9(f)から9(h)に実線で示すように加熱リレー接点61a,61a、ファンモータ11,11(の回転)、及び排気モータ15b(の回転)を夫々オンさせる。このとき、高圧トランス9,9を介してマグネトロン8,8に夫々電力が送給される。
尚、加熱リレー接点61a,61aをオン/オフさせることにより、マグネトロン8,8に送給する平均電力を調整することが可能である(図示せず)。
時刻T2で加熱を終了させる場合、CPU71は、加熱リレー接点61a,61aをオフさせ(図9(f)参照)、約1分後にプライマリーインターロックリレー接点57aをオフさせる(図9(c)参照)。従って、オーブンランプ58及びアンテナモータ59,59は、時刻T2から約1分後にオフとなる(図3(d)及び3(e)参照)。これにより、加熱終了後の一定時間、加熱室6内が照明されて食品の取り出しが容易となる。
加熱の開始に伴ってオンさせたファンモータ11,11及び排気モータ15bは、時刻T2から、例えば加熱時間に応じた時間だけ遅延させてオフさせる(図9(g)及び9(h)参照)。これは、加熱に伴って温度が上昇した電気部品を冷却し、加熱室6内の蒸気及び匂いを排出させるためである。
加熱中にドア2が開放された場合、セカンダリーインターロックスイッチ56がオフとなって、交流電源と高圧トランス9,9との接続が絶たれる。更に、モニタスイッチ60がオンとなって加熱リレー接点61a,61aの交流電圧側を短絡し、高圧トランス9,9へ電力が送給されることがないようにしてある。
以下では、電子レンジに供給される交流電圧が100Vの場合について、200Vの場合との違いを中心に説明する(一部の図では破線で示す)。
図9(a)において、電源プラグ51に接続された100Vの交流電源がオンした場合、直流電源54は、交流電圧の許容範囲を広くしてあるため、交流電源がオフするまでオンを保ち、制御部16に5Vの出力電圧を与え続ける(図9(b)参照)。その後、ドア2の開閉が検出されるまでの間に、交流電源の電圧が検出され、その結果がRAM73に記憶されるのは、200Vの場合と同様である。
次いで、図9(i)の時刻T0でドア2が開放された場合、ドアスイッチ2cの状態を取り込んでいるマイクロコンピュータ70のCPU71が、ドア2の開放を検知するが、交流電源の電圧が100Vであることが記憶されているため、プライマリーインターロックリレー接点57aはオンされない。従って、オーブンランプ58、及びアンテナモータ59,59はオフしたままとなる(図9(c)から9(e)の破線参照)。
尚、オーブンランプ58がLEDからなり、直流電源54によって駆動される場合は、交流電源の電圧が100Vの場合であっても、ドア2の開放を検出した時点でオーブンランプ58を点灯させてもよい。
図9(j)の時刻T1で、ドア2が閉止されているときに操作部3又は4からレシピの内容の登録(設定及び記憶)に係る操作が行われた場合、CPU71がレシピの内容を登録する。この場合に、加熱の開始に係る操作ではないため、ファンモータ11,11、及び排気モータ15bをオンさせないのは、200Vの場合と同様である。
このように、交流電源の電圧が100Vの場合であっても、レシピの内容の登録に係る操作を受け付けて、実際にレシピの内容を登録することが可能となる。
また、図9(j)の時刻T1で操作部3又は4からデモンストレーションの開始に係る操作が行われた場合、CPU71は、ファンモータ駆動回路75,75、及び排気モータ駆動回路76によって、図9(g)及び9(h)に示すようにファンモータ11,11(の回転)、及び排気モータ15b(の回転)を夫々オンさせる。この場合は、加熱リレー駆動回路61b、61bによって加熱リレー接点61a,61aをオンさせないため、実際の加熱は行われない(図9(f)の破線参照)。
加熱の開始に係る操作の受け付けに伴ってオンさせたファンモータ11,11及び排気モータ15bを、時刻T2から、例えば加熱時間に応じた時間だけ遅延させてオフさせるのは、交流電源の電圧が200Vの場合と同様である(図9(g)及び9(h)参照)。
このように、交流電源の電圧が100Vの場合であっても、デモンストレーションの開始に係る操作を受け付けることにより、加熱は行わずにファンモータ11,11、及び排気モータ15bを回転させて、使用者に動作確認させることが可能となる。上述したように、オーブンランプ58がLEDの場合は、デモンストレーション時にも点灯させることが可能である。
尚、本実施の形態では、「停止/クリアキー36,46の何れか」+「ヘルプキー37」+「数字キー31,41の何れかの「9」」+「開始キー32,42の何れか」が押下されたときに、デモンストレーションを開始させる。デモンストレーション時に行う動作は、上述したモータ類の回転及びオーブンランプの点灯に限定されるものではなく、任意の動作を予め準備しておくことができる。
以下、本発明の実施の形態に係る電子レンジが行う動作をフローチャートを用いて説明する。
図10は、交流電源の電圧の検出結果を記憶し、ドア2の開閉を検出するCPU71の処理手順を示すフローチャート、図11から図13は、レシピの設定、記憶、選択、及び模擬調理の開始を受け付けるCPU71の処理手順を示すフローチャートである。但し、表示器5への表示処理及び規定外の操作に対する処理を省略してある。以下の処理は、マイクロコンピュータ70のROM72に予め格納されている制御プログラムに従って、CPU71により実行される。
CPU71は、電子レンジの電源が投入されて初期化処理を終えた場合、図10の処理をスタートさせ、加熱処理を終える都度、再び図10の処理をスタートさせる。そして、図10の処理を終える都度、図11の処理をスタートさせる。
尚、交流電源の電圧の検出結果を示す「低圧フラグ」は、マイクロコンピュータ70のRAM73に記憶してある。また、電子レンジの定格電圧は、200Vとするが、使用される地域に合わせて、例えば208V又は230Vとしてもよい。
図10の処理が起動された場合、CPU71は、「低圧フラグ」を0にクリアする(S10)。その後、CPU71は、交流電圧モニタ回路55の二次側から交流電源の電圧をモニタするための直流電圧を取り込み(S11)、交流電源の電圧が定格電圧の200Vであるか否か、即ち200V±10%であるか否かを判定する(S12)。200Vであると判定した場合(S12:YES)、CPU71は処理を後述するステップS16に進める。200Vではないと判定した場合(S12:NO)、CPU71は交流電源の電圧が100Vであるか否か、即ち100V±10%であるか否かを判定する(S13)。
尚、ステップS12では、例えば200V−20V(200Vの10%低下値)以下であるか否かを判定し、以下であればステップS15に進めるようにしてもよい。また、交流電圧モニタ回路55は、降圧及び整流以外の方法によって、交流電源の電圧を検出できるようにしてもよい。
100Vではないと判定した場合(S13:NO)、CPU71は、表示器5にエラー表示をして(S14)処理を終了する。また、100Vであると判定した場合(S13:YES)、CPU71は、「低圧フラグ」を1にセットする(S15)。これにより、交流電源の電圧が、電子レンジの定格電圧より低い100Vであることが示される。その後、CPU71は、ドアスイッチ2cの状態を取り込んでドア2が開放されたか否かを判定し(S16)、開放されていないと判定した場合(S16:NO)、ドア2が開放されるまで待機する。
ドアが開放されたと判定した場合(S16:YES)、CPU71は、「低圧フラグ」が1であるか否かを判定する(S17)。1ではないと判定した場合(S17:NO)、即ち交流電源の電圧が200Vの場合、CPU71は、インターロックリレー駆動回路57bによってプライマリーインターロックリレー接点57aをオンさせる(S18)。ステップS18の処理を終えた場合、又はステップS17で「低圧フラグ」が1であると判定した場合(S17:YES)、CPU71は、ドアスイッチ2cの状態を取り込んでドア2が閉止されたか否かを判定し(S19)、閉止されていないと判定した場合(S19:NO)、ドア2が閉止されるまで待機する。ドア2が閉止されたと判定した場合(S19:YES)、CPU71は処理を終了する。
図11の処理が起動された場合、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S21)、押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定する(S22)。数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S22:YES)、CPU71は、押下されたキーの数値をRAM73に記憶する(S23)。その後、CPU71は、再びキー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S24)、押下されたキーが開始キー32,42の何れかのキーであるか否かを判定する(S25)。
押下されたキーが開始キー32,42の何れのキーでもないと判定した場合(S25:NO)、CPU71は処理を終了する。押下されたキーが開始キー32,42の何れかのキーであると判定した場合(S25:YES)、CPU71は、「低圧フラグ」が1にセットされているか否かを判定する(S26)。1にセットされていると判定した場合(S26:YES)、即ち交流電源の電圧が100Vである場合、CPU71は、処理を終了して加熱処理をスキップする。
「低圧フラグ」が1にセットされていないと判定した場合(S26:NO)、CPU71は、ステップS23でRAM73に記憶した数値を読み出すと共に、対応するレシピをRAM73の不揮発領域から読み出す(S27)。そしてCPU71は、読み出したレシピに基づいて、それ自体公知の加熱処理を実行し(S28)、処理を終了する。加熱処理については、フローチャートの記載を省略する。尚、加熱処理において停止/クリアキー36,46の何れかのキーの押下を検知した場合、加熱処理を終了させるようにしてある。
ステップS22で、押下されたキーが数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S22:NO)、CPU71は、押下されたキーが設定記憶キー33であるか否かを判定し(S31)、設定記憶キー33であると判定した場合(S31:YES)、後述するステップS41へ処理を進める。押下されたキーが設定記憶キー33ではないと判定した場合(S31:NO)、CPU71は、押下されたキーが停止/クリアキー36,46の何れかのキーであるか否かを判定する(S32)。
押下されたキーが停止/クリアキー36,46の何れかのキーであると判定した場合(S32:YES)、CPU71は、後述する図13のステップS61へ処理を進める。押下されたキーが停止/クリアキー36,46の何れのキーでもないと判定した場合(S32:NO)、CPU71は、その他のキー処理を実行し(S33)、処理を終了する。その他のキー処理は、受け付けた操作に対応する処理であり、そのフローチャートの記載を省略する。
以下では、ステップS31から分岐した図12の処理について説明する。押下されたキーが設定記憶キー33であると判定した場合(S31:YES)、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S41)、押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定する(S42)。数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S42:NO)、CPU71は、次のキーの押下を検知するために、処理をステップ41に戻す。
押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S42:YES)、CPU71は、押下されたキーの数値をRAM73に記憶する(S43)。その後、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S44)、押下されたキーが時間設定キー34であるか否かを判定する(S45)。時間設定キー34であると判定した場合(S45:YES)、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S46)、押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定する(S47)。
押下されたキーが数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S47:NO)、CPU71は、次のキーの押下を検知するために、処理をステップS46に戻す。押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S47:YES)、CPU71は、押下されたキーの数値に対応する調理時間をRAM73に記憶して(S48)処理をステップS44に戻す。
尚、本実施の形態では、押下を検知したキーの数値に10を乗じて得た値を秒単位の調理時間に対応させているが、これに限定されるものではなく、例えば、キー入力に係るサブルーチンで数字のキーのキー情報を3桁分取得し、各キー情報によって特定されるキーの数値の第1桁及び第2,3桁を夫々分単位及び秒単位の数値として調理時間に対応させてもよい。
ステップS45で、押下されたキーが時間設定キー34ではないと判定した場合(S45:NO)、CPU71は、押下されたキーが出力設定キー35であるか否かを判定する(S49)。出力設定キー35であると判定した場合(S49:YES)、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S50)、押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定する(S51)。
押下されたキーが数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S51:NO)、CPU71は、次のキーの押下を検知するために、処理をステップS50に戻す。押下されたキーが数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S51:YES)、CPU71は、押下されたキーの数値に対応する加熱出力をRAM73に記憶して(S52)処理をステップS44に戻す。
尚、本実施の形態では、押下を検知したキーの数値に10を乗じた値を加熱出力の最大値についてのパーセンテージに対応させているが、これに限定されるものではなく、例えば、キー入力に係るサブルーチンで数字のキーのキー情報を2桁分取得し、各キー情報によって特定されるキーの数値2桁をそのまま加熱出力の最大値に対するパーセンテージに対応させてもよい。
ステップS49で、押下されたキーが出力設定キー35ではないと判定した場合(S49:NO)、CPU71は、押下されたキーが設定記憶キー33であるか否かを判定する(S53)。設定記憶キー33ではないと判定した場合(S53:NO)、CPU71は、処理をステップS44に戻す。押下されたキーが設定記憶キー33であると判定した場合(S53:YES)、CPU71は、RAM73に記憶した数値、調理時間及び加熱出力を読み出す(S54)。そして、CPU71は、読み出した数値に調理時間及び加熱出力を対応させて、レシピとしてRAM73の不揮発領域に記憶し(S55)、処理を終了する。
以下では、ステップS32から分岐した図13の処理について説明する。押下されたキーが停止/クリアキー36,46の何れかのキーであると判定した場合(S32:YES)、CPU71は、「低圧フラグ」が1にセットされているか否かを判定する(S61)。1にセットされていないと判定した場合(S61:NO)、CPU71は処理を終了する。
「低圧フラグ」が1にセットされていると判定した場合(S61:YES)、即ち交流電源の電圧が100Vである場合、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S62)、押下されたキーがヘルプキー37であるか否かを判定する(S63)。ヘルプキー37ではないと判定した場合(S63:NO)、CPU71は処理を終了する。
押下されたキーがヘルプキー37であると判定した場合(S63:YES)、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S64)、押下されたキーが数字キー31,41の何れかの「9」であるか否かを判定する(S65)。数字キー31,41の何れの「9」でもないと判定した場合(S65:NO)、CPU71は処理を終了する。
押下されたキーが数字キー31,41の何れかの「9」であると判定した場合(S65:YES)、CPU71は、キー入力に係るサブルーチンを呼び出して実行し(S66)、押下されたキーが開始キー32,42の何れかのキーであるか否かを判定する(S67)。開始キー32,42の何れのキーでもないと判定した場合(S67:NO)、CPU71は処理を終了する。
押下されたキーが開始キー32,42の何れかのキーであると判定した場合(S67:YES)、つまり、「停止/クリアキー36,46の何れか」+「ヘルプキー37」+「数字キー31,41の何れかの「9」」+「開始キー32,42の何れか」の順序でキーの押下を検知した場合、CPU71は、予めROM72に準備されたデモンストレーション(模擬調理)を実行し(S68)、処理を終了する。デモンストレーションについては、フローチャートの記載を省略する。
尚、デモンストレーションの開始操作は、他の操作と弁別可能な範囲で、所定のキーが組み合わされて押下されたことを検知した場合に受け付けるようにすればよい。
図14は、押下されたキーを特定するためのキー情報をキーバッファに格納するCPU71の処理手順を示すフローチャートであり、図15は、キー入力のサブルーチンに係るCPU71の処理手順を示すフローチャートである。図14及び図15の処理は、ROM72に予め格納されている制御プログラムに従って実行される。また、図14の処理は、操作部3,4の何れかのキーの押下が検知された場合に実行され、図15のサブルーチンは、メインルーチンから呼び出しされた場合に、上述したキーバッファからキー情報を読み出して実行される。
尚、キーバッファはRAM73に記憶領域を確保してあり、CPU71の初期化処理において、書込ポインタ及び読出ポインタがキーバッファの先頭を指すようにする。
図14の処理が起動された場合、CPU71は、レンジ本体1の操作部3の何れかのキーが押下されたか否かを判定する(S81)。何れかのキーが押下されたと判定した場合(S81:YES)、CPU71は、押下されたキーを識別するためのキー情報を操作部3から取り込んで(S82)キー入力バッファに書き込み(S83)、書込ポインタをインクリメントして(S84)処理を終了する。
操作部3の何れのキーも押下されていないと判定した場合(S81:NO)、CPU71は、ドア2の操作部4の何れかのキーが押下されたか否かを判定する(S85)。何れのキーも押下されていないと判定した場合(S85:NO)、CPU71は、処理を終了する。操作部4の何れかのキーが押下されたと判定した場合(S85:YES)、CPU71は、押下されたキーを識別するためのキー情報を操作部4から取り込んで(S86)キー入力バッファに書き込み(S87)、書込ポインタをインクリメントして(S88)処理を終了する。
図15の処理が呼び出しされた場合、CPU71は、前述したキー入力バッファにキー情報があるか否か、即ち、書込ポインタが読出ポインタより進んでいるか否かを判定する(S91)。キー情報がないと判定した場合(S91:NO)、CPU71は、キー情報がキー入力バッファ内に存在するようになるまで待機する。
キー入力バッファにキー情報があると判定した場合(S91:YES)、CPU71は、キー入力バッファからキー情報を1つ読み出して(S92)サブルーチンの戻り値にセットし(S93)、読出ポインタをインクリメントする(S94)。その後、CPU71は、読み出したキー情報によって識別されるキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定し(S95)、数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S95:NO)、呼び出されたルーチンへリターンする。
読み出したキー情報によって識別されるキーが数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S95:YES)、CPU71は、キー入力バッファに更なるキー情報があるか否かを判定する(S96)。更なるキー情報がないと判定した場合(S96:NO)、CPU71は、キー情報がキー入力バッファ内に存在するようになるまで待機する。キー入力バッファにキー情報があると判定した場合(S96:YES)、CPU71は、キー入力バッファからキー情報を1つ読み出し(S97)、読み出したキー情報によって識別されるキーが数字キー31,41の何れかのキーであるか否かを判定する(S98)。
読み出したキー情報によって識別されるキーが数字キー31,41の何れのキーでもないと判定した場合(S95:NO)、呼び出されたルーチンへリターンする。識別されるキーが数字キー31,41の何れかのキーであると判定した場合(S98:YES)、CPU71は、読み出したキー情報を戻り値にセットし(S99)、読出ポインタをインクリメントして(S100)処理をステップS96に戻す。
このように、数字キー31,41の何れかのキーが特定されるキー情報を読み出した場合は、数字キー31,41の何れかのキー以外のキーが特定されるキー情報を読み出すまでキーバッファからキー情報を読み出し続け、数字キー31,41の何れかのキーのキー情報のみを戻り値にセットする。
以上のように本実施の形態によれば、交流電源の電圧が100Vである場合(即ち、200Vを10%下回る電圧である180Vより低い場合)、加熱処理に移行しないようにして加熱部への電力の供給を停止する。これにより、例えば、定格電圧が200Vである電子レンジに対し、一般家庭用の100Vの商用電源が通電されているときであっても、何らかの理由で加熱が開始されたときに、定格より低い電圧が印加された加熱部が故障すること、及び加熱部に想定外の大電流が流入することを防止するため、機器が損傷を受けて人体にも被害が及ぶ虞がなくなる。
従って、定格電圧より低い電圧の商用電源に接続して安全に保守することが可能となる。
また、交流電源の電圧に関わらず操作の受け付け等の制御を可能とする直流電源を内蔵するため、例えば、電源トランスのタップ切り替えのために電子レンジのレンジ本体を開放する必要がなく、活電部を露出させることもないため、より安全に保守することが可能となる。
更にまた、加熱室での被加熱物の調理を模した模擬調理(デモンストレーション)のレシピを予め準備してROMに記憶してあり、交流電源の電圧が100Vである場合、「停止/クリアキー」+「ヘルプキー」+「数字キーの「9」」+「開始キー」の押下を検知したときに、ROMに記憶されたレシピによる模擬調理の開始を受け付ける。
従って、例えば、販売店、納入先の事務所、控え室等の場所において、実際に加熱部で被加熱物を加熱することなしに、顧客に調理の流れを示すデモンストレーションを行うことが可能となる。
更にまた、交流電源の電圧が100Vであるか否かに関わらず、レシピを設定及び登録する操作を受け付けるため、厨房等の設置場所のみならず、販売店、納入先の事務所、控え室等の場所においても予めレシピとしての調理プログラムを設定して登録することが可能となる。
尚、本実施の形態にあっては、レシピの設定及び登録を別操作として受け付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、設定されたレシピがそのままRAM73の不揮発領域に記憶されて登録されるようにしてもよい。