JP5334398B2 - シリカ微粒子分散液の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はシリケートを原料とするシリカ微粒子分散液(以下、シリカゾルと云うこともある。)の製造方法に関するものである。
シリケートを原料として製造されたシリカ微粒子は、例えば、水硝子を脱アルカリして得られた核粒子を粒子成長させて得られるシリカ微粒子あるいは、いわゆる邂逅法により調製されるシリカ微粒子に比べて、不純物が少ないシリカ微粒子として知られており、半導体ウエハ用の研磨材、液晶表示装置に適用されるスペーサなど高純度が求められる用途に広く利用されている。この様なシリカ微粒子を調製する方法については、多くの方法が提案されている。
特許文献1(特開昭60−166203号公報)には、加水分解によって生成した粒子の凝集を抑制するために、分散剤を使用することを特徴とするシリカ微粒子の製造方法が開示されている。
特許文献2(特開昭62−260712号公報)には、アルコ−ル溶媒中でアルキルシリケ−トを水およびアンモニアで加水分解しシリカ微粒子を製造する方法において、(1)シリカ微粒子核を生成させる工程と(2)粒子核の成長と整粒を行なわせる工程の2工程から成ることを特徴とするシリカ微粒子の製造法が記載されている。
特許文献3(特開平1−278413号公報)には、アルキルシリケ−トを塩基性触媒により加水分解し、シリカ微粒子と調製、該シリカ分散液に、濃縮、安定化などを加えるシリカゾルの製造において、該シリカ分散液を、加熱、減圧、限外濾過などにより、濃縮する際、超音波を照射することを特徴とするシリカゾルの製造方法が開示されている。
特許文献4(特開平4−231320号公報)には、ポリミクロンサイズの多孔性シリカ微粒子の調製法において、(a) 水及びアルコ−ルを含む酸触媒された反応媒質中で、該反応媒質が有効量の加水分解されていないアルキルシリケ−トを最終的に含有し、かつ塩基の添加時においてポリミクロンサイズの多孔性シリカ微粒子のゲル化よりもむしろ最終的な沈殿を実質的に助成しかつ引き起こすように、アルキルシリケ−トを部分的に加水分解し;(b) 塩基の添加によって該粒子を反応媒質から沈殿させることを含むことを特徴とする方法が開示されている。
特許文献5(特開平8−337413号公報)には、モノアルキルトリテトラエチルオルソシリケートおよびアルキルシリケート二量体からなる群より選択される少なくとも1種で主としてなるシラン化合物をアルカリ性条件下において加水分解・重縮合する工程を包含するシリカ微粒子の製造方法であって、該シリカ微粒子の平均粒子径が0.1μmから100μmであり、そして粒子径の変動係数が10%以下であることを特徴とする、シリカ微粒子の製造方法が開示されている。
特許文献6(特開平10−226511号公報)には、アルキルケイ酸エステルを水及び有機溶媒の混合媒体中で加水分解及び縮合して球状シリカ微粒子を製造する方法において、加水分解反応中に副生する上記アルキル基のアルコールの沸点より高い沸点を持つ有機溶媒を使用し、かつ仕込み水と仕込み有機溶媒の体積比が1:1〜1:10となる量の該有機溶媒を仕込み、加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に除去しながら加水分解反応を行うことを特徴とする方法が開示されており、特にこのアルキルケイ酸エステルの例としてエチルシリケートなどが挙げられている。
特許文献7(特開2000−178020号公報)にはシリカ濃度1〜8モル/リットル、酸濃度0.0018〜0.18モル/リットルで水濃度2〜30モル/リットルの範囲の組成で、溶剤を使用しないでアルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、シリカ濃度が0.2〜1.5モル/リットルの範囲となるように水で希釈し、次いでpHが7以上となるようにアルカリ触媒を加え加熱して珪酸の重合を進行させて3〜100nmの粒子径に粒子成長させコロイダルシリカ微粒子を得ることを特徴とする請求項1記載の高純度シリカ水性ゾルの製造方法が開示されている。
特許文献8(特開2003−226865号公報)には、研磨用コロイダルシリカを製造する方法であって、(a)テトラテトラエチルオルソシリケート溶液を原料としてコロイド状のシリカ微粒子を形成し、原料コロイダルシリカを生成する工程と、(b)前記原料コロイダルシリカに、アンモニア、アミン、第四級アンモニウム水酸化物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム及び水酸化リチウムからなる群から選ばれる1種以上のアルカリを加えてpHを7〜11.5に調整し、50〜300℃の範囲で熱熟成させる工程とを含むことを特徴とする研磨用コロイダルシリカの製造方法が開示されている。
特許文献9(特開2003−213249号公報)の実施例1には、テトラエチルオルソシリケート、水−エタノール混合溶媒およびアンモニア触媒からシリカ微粒子を調製する方法が記載されている。このうち、特にテトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて、加水分解させることによりシリカ微粒子を調製する製造方法において、エタノール溶媒を有効利用する必要性が指摘されていた。
特開昭60−166203号公報 特開昭62−260712号公報 特開平1−278413号公報 特開平4−231320号公報 特開平8−337413号公報 特開平10−226511号公報 特開2000−178020号公報 特開2003−226865号公報 特開2003−213249号公報
本発明は、アルカリ存在下、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて加水分解することによりシリカ微粒子分散液を調製する工程を連続して複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し、次回以降のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、回収したエタノール溶媒または回収したエタノール溶媒を精製してなる精製エタノール溶媒を再使用することによりエタノールの有効利用を図ることを課題としている。
本発明は、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて、アルカリ存在下、加水分解する工程を含むシリカ微粒子分散液の製造方法において、該エタノール溶媒として、珪素濃度が10ppm以下のエタノール溶媒を使用することを特徴とする。
前記製造方法を連続してn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n回目の工程に使用するエタノール溶媒の一部として、n−1回目の工程で回収されたエタノール溶媒を珪素濃度10ppm以下まで精製して得たエタノール溶媒を使用することが好ましい。
本発明は、アルカリ(2)存在下、テトラエチルオルソシリケート(1A)をエタノールと水の混合溶媒(3)中にて加水分解することによりシリカ微粒子分散液を調製する工程を連続して複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用することを特徴とする。
前記水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあり、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。
本発明は、テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)と、アルカリ(2)とを1〜60時間かけて、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の繰返し製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、該回収エタノール溶媒を、水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製した精製エタノール溶媒とし、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該精製エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とする。
前記シリカ微粒子分散液を調製する工程における、水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあり、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。
本発明は、テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)の全量を一括して一時に、温度30〜79℃に保持したアルカリ(2)を含有するエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とする。
前記シリカ微粒子分散液を調製する工程における、水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあり、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。
本発明に係る精製エタノール溶媒を再利用してなるシリカ微粒子分散液の製造方法を適用することにより、アルカリ(2)とテトラエチルオルソシリケートとエタノールの混合物(1B)とを1〜60時間かけて、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の繰返し製造方法において、エタノールを有効に再利用しながら、シリカゾル微粒子分散液を調製することが可能となった。
本発明に係る回収エタノール溶媒を再利用してなるシリカ微粒子分散液の製造方法を適用することにより、アルカリ(2)とテトラエチルオルソシリケートとエタノールの混合物(1B)の全量を一括して一時に、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、エタノールを有効に再利用しながら、シリカゾル微粒子分散液を調製することが可能となった。
一般に、テトラエチルオルソシリケートの加水分解は、水、有機溶媒およびアルカリの存在下、温度30〜150℃の範囲で行なわれる。ここで、テトラエチルオルソシリケートを加水分解した後、必要に応じて150℃以下の温度で水熱処理してシリカ微粒子は調製される。テトラエチルオルソシリケートの加水分解は、通常、常圧下で、使用する溶媒の沸点以下の温度、好ましくは沸点より5〜10℃程度低い温度で行われるが、オートクレーブなどの耐熱耐圧容器を用いる場合には、この温度よりもさらに高い温度で行うこともできる。上記のような条件で加水分解すると、テトラエチルオルソシリケートの重合が三次元的に進行し、5〜300nmの粒径を有するシリカ微粒子を得ることができる。
エタノールは他の有機溶媒に比べて、環境への有害性が低く、テトラエチルオルソシリケートの加水分解ではエタノールしか生成しないため、回収が容易であるといった利点がある。
前記テトラエチルオルソシリケートの加水分解については、一般に次の式で表される。
触媒(アルカリ)
(CH3CH2O)4Si+2H2O ――――――――→ SiO2+4CH3CH2OH
溶媒(エタノール)
また、テトラエチルオルソシリケートの加水分解に引き続いて縮合反応が生じることにより、シリカ微粒子が生成する。
加水分解用の水分については、通常、溶媒としてエタノールと水の混合溶媒を使用することにより供給される。この加水分解反応によりシリカ微粒子分散液(エタノール溶媒)が生成する。
ここで、シリカ微粒子分散液については、通常、シリカ、エタノールおよび水の他に少なくとも、アルカリ、未反応のテトラエチルオルソシリケートおよび珪素含有成分などを含有するものである。このため、通常は限外濾過膜で未反応のテトラエチルオルソシリケートなどを除去し、ロータリーエバポレーターでエタノール溶媒、アルカリ、珪素含有成分などを回収することにより、シリカ微粒子分散液(水溶媒)を分離する。ここで珪素含有成分とは、前記未反応のテトラエチルオルソシリケート以外で珪素原子を含有する成分を意味しており、具体的な構造は特定されていないが、珪酸オリゴマー、珪酸モノマーまたはそれらの混合物と推測される。
また、本発明に係る製造方法により得られる最終生成物は、中間段階で生成したシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子、エタノール溶媒を主成分とし、水、アルカリ、珪素含有成分を含む)からエタノール溶媒、アルカリ、珪素含有成分を除去した後のシリカ微粒子分散液(水溶媒)である。
前記加水分解反応において、テトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)と水分量との関係については、水/SiO2(モル比)で2.0〜100の範囲が好ましい。100を超える場合は、生成するシリカ微粒子の生産性が実用的なレベルに達しない場合がある。また、2.0未満の場合は、シリカの凝集または沈殿が生じ易くなる。なお、ここで水分量は、テトラエチルオルソシリケートの全量をエタノールと水の混合溶媒に添加した段階で、存在する水分量を意味する。この水分量については、エタノールと水の混合溶媒に含まれる水分量に加えて、アルカリをアルカリ水溶液として適用する場合は、アルカリ水溶液に由来する水分量についても加算する必要がある。
テトラエチルオルソシリケートとアルカリとの関係については、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲が反応効率の面から見て好ましい。前記アルカリは、テトラエチルオルソシリケートの加水分解のための触媒として必要であり、アルカリ触媒としては、アンモニア、アミン、アルカリ金属水素化物、第4級アンモニウム化合物、アミン系カップリング剤またはアルカリ金属水素化物などの塩基性を示す化合物が用いられる。なお、アルカリをアルカリ水溶液として使用する場合のアルカリ濃度については格別限定されるものではないが、例えば0.05〜30質量%の範囲のアルカリ水溶液が使用される。
本発明に係るシリカ微粒子分散液の製造方法は、前記の通り、エタノール溶媒中にて、アルカリ存在下、テトラエチルオルソシリケートの加水分解を利用するものであるが、具体的には、大別して、(I)精製したエタノール溶媒(精製エタノール溶媒)を使用するシリカ微粒子分散液の製造方法と(II)未精製のエタノール溶媒(回収エタノール溶媒)を使用するシリカ微粒子分散液の製造方法の2種類を含むものである。
(I)精製エタノール溶媒を使用する製造方法
第1の製造方法は、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて、アルカリ存在下、加水分解する工程を含むシリカ微粒子分散液の製造方法において、該エタノール溶媒として、珪素濃度が10ppm以下のエタノール溶媒を使用することを特徴とするものである。
より具体的には、このシリカ微粒子分散液の製造方法を連続してn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n回目の工程に使用するエタノール溶媒の一部として、n−1回目の工程で回収されたエタノール溶媒を珪素濃度10ppm以下まで精製して得たエタノール溶媒を使用することを特徴とするものである。
本発明は、回収されたエタノール溶媒を、次回のシリカ微粒子分散液製造工程に再び使用するにあたって、珪素濃度を10ppm以下まで精製することが必要であることを見出し完成されたものである。本発明に係るシリカ微粒子分散液の製造方法の具体的な態様について以下に記す。
本発明に係るシリカ微粒子分散液の製造方法は、アルカリ(2)存在下、テトラエチルオルソシリケート(1A)をエタノールと水の混合溶媒(3)中にて加水分解することによりシリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用するものである。
前記水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあることが好ましく、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。それぞれの理由については前記の通りである。
このシリカ微粒子分散液の製造方法においては、テトラエチルオルソシリケートを(1A)を連続的にまたは断続的にエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することが好ましい。一括添加を行うと、ゲル状物が生じ易くなる。
前記テトラエチルオルソシリケート(1A)については、テトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)を使用しても良い。
アルカリ(2)については、前記テトラエチルオルソシリケート(1A)あるいはテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)と同時に、エタノールと水の混合溶媒(3)に添加してもよく、予め同混合溶媒(3)に添加してから、テトラエチルオルソシリケート(1A)あるいはテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)を添加しても良い。
この製造方法においては、回収エタノール溶媒を精製して、珪素濃度10ppm以下の精製エタノール溶媒とすることを特徴としている。精製したエタノール溶媒であっても、その珪素濃度が10ppmを超えるエタノール溶媒を、テトラエチルオルソシリケートの加水分解に使用した場合は、白濁が生じる傾向が大きくなり、シリカ微粒子の凝集も生じやすくなるため望ましくない。珪素濃度10ppm以下まで精製した精製エタノール溶媒を使用した場合は、この様な現象が生じることがなく、シリカ微粒子分散液を調製することが可能となる。
精製したエタノール溶媒を使用するシリカ微粒子分散液の製造方法としては、実用上、次の製造方法が特に好適である。
テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)と、アルカリ(2)とを1〜60時間かけて、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の繰返し製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、該回収エタノール溶媒を、水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製した精製エタノール溶媒とし、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該精製エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
前記水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあることが好ましく、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。それぞれの理由については前記の通りである。
この製造方法においては、テトラエチルオルソシリケートの加水分解をエタノールと水の混合溶媒中にて行なうので、加水分解に使用する水分量を管理するうえで実用的である。
テトラエチルオルソシリケートについては、特にテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)を使用することが好ましい。これは、テトラエチルオルソシリケートをエタノールで希釈することにより、空気中の水分との反応を抑制できるからである。
回収エタノール溶媒の精製方法については、加水分解で生成したシリカ微粒子分散液(シリカ微粒子が水−エタノール溶媒に分散し、更に未反応のテトラエチルオルソシリケート、アルカリおよび珪素含有成分を含む)を、限外濾過および/またはロータリーエバポレーターなどの手段で処理し、その際に生じた濾水を回収し、回収エタノール溶媒とし、この回収エタノール溶媒を蒸留または膜分離することにより珪素濃度10ppm以下まで精製する。この精製エタノール溶媒については、再度、シリカ微粒子分散液の製造工程に適用することが可能である。
前記蒸留操作により、精製エタノール溶媒におけるアルカリ濃度を20ppm以下まで精製することが望ましい。この水準まで精製しておくことにより、前記アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)範囲(0.01〜0.5)に実質的な影響を与えることがなく、良好な性状のシリカ微粒子分散液を調製することができる。
精製エタノール溶媒に含まれる水の割合については、本来的には、40質量%までは許容されるものであるが、アルコール事業法に従い、14質量%以下(エタノール度数で90度以上)であることが必要となる。水分量の割合が14質量%以下の精製エタノール溶媒中にて、テトラエチルオルソシリケートの加水分解を行った場合、シリカ微粒子生成時に、粒子の凝集や白濁沈殿が生じ難くなる。
通常は、アルカリ水溶液を添加する場合あるいは水分を含むエタノールとテトラエチルオルソシリケートの混合物を精製エタノール溶媒に添加する場合にあっては、加水分解を行う際の水分量が前記範囲上限を超えるので、前記水/SiO2(モル比)範囲内になるように精製エタノール溶媒を調整する必要がある。
精製エタノール溶媒の使用方法については、i)テトラエチルオルソシリケートを加水分解させる際のエタノールと水の混合溶媒の一部、ii)テトラエチルオルソシリケートとエタノールの混合物の一部などが挙げられるが、この他にiii)アルカリ水溶液の一部として使用することも可能である。精製エタノール溶媒を前記i)、ii)またはiii)に適用する場合、通常はエタノール濃度または水分量を、前記水/SiO2(モル比)の範囲となるように調整する必要がある。
本発明に係るシリカ微粒子分散液の製造方法においては、少なくともテトラエチルオルソシリケートの添加終了後、更に、前記30〜150℃の温度範囲で0.5〜10時間静置することにより熟成させることが望ましい。熟成させることにより、未反応のテトラエチルオルソシリケートの反応を促進させることができる。
(II)回収エタノール溶媒を使用する製造方法
第2の製造方法は、テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)の全量を一括して一時に、温度30〜79℃に保持したアルカリ(2)を含有するエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするものである。
第2の製造方法においても、前記シリカ微粒子分散液を調製する工程における、水とテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(水/SiO2)が2.0〜100の範囲にあり、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO2換算)のモル比(アルカリ/SiO2)が、0.01〜0.5の範囲にあることが好ましい。
この操作については、具体的には、回収エタノール溶媒の水分濃度およびアルカリ濃度を前記範囲に調整した後、温度30〜79℃に保持し、テトラエチルオルソシリケートを一時に添加し、同温度範囲を維持しながら、1〜10時間攪拌することにより行われる。
ここで、テトラエチルオルソシリケートを一時に添加しる場合の所要時間については、添加するテトラエチルオルソシリケートの量により異なるので、一律に定義することは容易ではないが、概ねテトラエチルオルソシリケートが実験室レベルであれば60秒以内、工場レベル(例えば1トン)であれば、10分以内で全量添加が終了することを意味するものである。
テトラエチルオルソシリケートの添加時間を連続的または断続的におこなった場合は、シリカ微粒子の凝集または沈殿が生じる。
本発明の好適な実施態様
[実施態様1]
アルカリ存在下、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて加水分解することによりシリカ微粒子分散液を調製する工程をn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n−1回目に生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、n回目のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様2]
テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)と、アルカリ(2)とを1〜60時間かけて、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程をn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の繰返し製造方法において、n−1回目に生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、該回収エタノール溶媒を、水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製した精製エタノール溶媒とし、n回目にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該精製エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様3]
テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)と、アルカリ(2)の全量を一括して一時に、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程をn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n−1回目に生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、n回目にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様4]
アルカリ存在下、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中に連続的にまたは断続的に添加し、加水分解を行うことによりシリカ微粒子分散液を調製する工程をn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n−1回目に生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、n回目のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様5]
アルカリ存在下、テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中に連続的にまたは断続的に30分〜10時間かけて添加し、加水分解を行うことによりシリカ微粒子分散液を調製する工程をn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n−1回目に生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、n回目のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様6]
テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて、アルカリ存在下、加水分解する工程を含むシリカ微粒子分散液の製造方法において、該エタノール溶媒として、珪素濃度が10ppm以下のエタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様7]
実施態様6のシリカ微粒子分散液の製造方法を連続してn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n回目の工程に使用するエタノール溶媒の一部として、n−1回目の工程で回収されたエタノール溶媒を珪素濃度10ppm以下まで精製して得たエタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様8]
アルカリ(2)存在下、テトラエチルオルソシリケート(1A)をエタノールと水の混合溶媒(3)中にて加水分解することによりシリカ微粒子分散液を調製する工程を連続して複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回のシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒を珪素10ppm以下まで精製して得られた精製エタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様9]
テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)と、アルカリ(2)とを1〜60時間かけて、温度30〜79℃に保持したエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の繰返し製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、該回収エタノール溶媒を、水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下、珪素10ppm以下まで精製した精製エタノール溶媒とし、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該精製エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[実施態様10]
テトラエチルオルソシリケート(1A)またはそのエタノール希釈物(1B)の全量を一括して一時に、温度30〜79℃に保持したアルカリ(2)を含有するエタノールと水の混合溶媒(3)に添加することにより、テトラエチルオルソシリケートを加水分解させ、シリカ微粒子分散液を調製する工程を複数回行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、生成したシリカ微粒子分散液から、エタノール溶媒を回収し(以下、回収したエタノール溶媒を「回収エタノール溶媒」と称する。)、次回以降にシリカ微粒子分散液を調製する工程において、該回収エタノール溶媒をテトラエチルオルソシリケートのエタノール希釈物(1B)の一部またはエタノールと水の混合溶媒(3)の一部として使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
[本発明で用いた濃度測定方法]
(1)アンモニア濃度
試料に20%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、ケルダール蒸留装置で蒸留し、生成したアンモニアをイオンメーターを使用してアンモニウムイオン電極で測定し、アンモニアを定量する。具体的操作を次に記す。
[1]標準液の調製
アンモニウムイオン(NH4 +) 標準原液(関東化学製標準液1000mg/L)を水で希釈し、アンモニウムイオン標準液(NH4 +の濃度が0.1、1または10mg/Lの3種類)を調製する。
[2]操作
1)試料約30gをビーカー(100mL)に採取し、0.1mgまで秤量する。
2)試料を蒸留フラスコ(500mL)に移しいれ,沸騰石を加えてケルダール蒸留装置をセットする。
3)留出液の受器として用いる全量フラスコ(200mL)に水約50mLを入れ、0.05mol/L硫酸溶液を1〜2滴加えて,凝縮管先端を液面より約5mm以上浸す。
4)20質量%水酸化ナトリウム水溶液10mLを液量計にとり、注入漏斗より蒸留フラスコに入れ、水で全量を200mLとする。
5)蒸留フラスコを加熱し蒸留を行い、留出液の量が約150mLになったら蒸留を止め、水で200mLに希釈して試料溶液とする。
6)前記3)〜5)の操作のみを行いブランク試験溶液を得る。
[3]測定
イオンメーターを使用し、前記アンモニウムイオン標準液のイオン強度を測定して、検量線を作成する。
次に、試料溶液とブランク試験溶液を測定し、ブランク試験溶液のアンモニウムイオン濃度を差し引き、試料溶液のアンモニウムイオン濃度を求める。
[4]算定
次式から試料中のアンモニア含有量を求める。
NH3(ppm)=(A×f×0.944×200)/W
A: 試料溶液のアンモニウムイオン濃度(mg/L)
f: アンモニウムイオン標準液の力価
W: 試料採取量(g)
0.944:NH4からNH3の換算係数
(2)アルコール濃度
カールフィッシャー水分計(京都電子工業株式会社製、MKA−610−TT)を使用して試料液体(精製エタノール溶媒)中の水分量を測定することにより、残量(エタノール)を算出し、エタノール濃度を算定した。
(3)珪素濃度
ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置(セイコー電子株式会社製、SPS1200A)にて測定した。
実施例1
〔シリカ微粒子分散液の調製〕
超純水237.3gとエタノール355.8gとの混合溶媒を65℃に加熱し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学製エチルシリケート28、SiO2=28.8質量%)1187.6gとエタノール2255.4gの混合物と、超純水1216.4gとアンモニア水溶液40.0g(アンモニア濃度29.4質量%)の混合物とを同時に3時間かけて添加した。添加終了後さらにこの温度で3時間熟成した。
その後限外濾過膜で固形分濃度15質量%まで濃縮し、未反応のテトラエトキシシランを除去した。さらにロータリーエバポレーターでアンモニア含有エタノールを回収し、固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を得た。得られた微粒子分散液の分散質について、動的光散乱法により平均粒子径を測定したところ25nmであった。
〔精製エタノール溶媒の調製〕
前記回収エタノールの組成は、エタノール74.1質量%、水25.8質量%、アンモニア0.1質量%、珪素50ppmであった。この回収エタノールを蒸留によって精製することにより精製エタノール溶媒を調製した。この精製エタノール溶媒は、エタノール89.5質量%、水10.5質量%、アンモニア10ppm以下、珪素濃度は3ppm以下だった。
〔精製エタノール溶媒の使用〕
精製エタノール溶媒397.5g(エタノール355.8g、水分41.7g)に超純水195.6gを添加することによりエタノールと水の混合溶媒(3)を調製した。
テトラエトキシラン1187.6gと精製エタノール溶媒2520g(エタノール2254.4g、水分264.6g)とを混合して、テトラエトキシシランのエタノール希釈物(1B)を調製した。
アンモニア水溶液40g(アンモニア濃度29.4質量%)に超純水951.8gを加えてアルカリ(2)を調製した。
前記エタノールと水の混合溶媒(3)を65℃に加熱し、前記テトラエトキシシランのエタノール希釈物(1B)と前記アルカリ(2)とを同時に3時間かけて添加した。添加終了後さらにこの温度で3時間熟成した。
その後限外濾過膜で固形分濃度15質量%まで濃縮し、未反応のテトラエトキシシランを除去した。さらにロータリーエバポレーターでアンモニア含有エタノールを回収し、固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を得た。
得られたシリカ微粒子分散液中のシリカ微粒子の動的光散乱法により平均粒子径を測定したところ24nmであり、エタノール溶媒を再使用していない場合と比較して差異はなかった。また、凝集状態のシリカ微粒子や白濁沈殿などの生成も認められなかった。
実施例2
超純水1173.95gにエタノール1782gを添加し、この混合溶液を攪拌した後に75℃に昇温した。温度が75℃に到達した後、29.4質量%のアンモニア水溶液を21.0g添加し、均一になるまで攪拌した。攪拌後テトラエチルオルソシリケート955.5gを48秒で添加した。添加終了後、75℃で3時間保った。その後限外濾過膜で固形分濃度15質量%まで濃縮し、未反応のテトラエトキシシランを除去した。さらにロータリーエバポレーターでアンモニア含有エタノールを回収し、固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を得た。得られた微粒子分散液の分散質について、動的光散乱法により平均粒子径を測定したところ30nmであった。
前記回収エタノールの組成分析を行った結果、エタノール濃度63.14質量%、水分36.78質量%、アンモニア0.08質量%、珪素19ppmであった。
次に、この回収エタノール2328.46gに超純水317.8gとエタノール311.7gを添加して均一になるまで攪拌した。攪拌後75℃まで昇温し、29.4質量%のアンモニア水溶液14.65gを添加した。さらにテトラエチルオルソシリケート955.5gを30秒で添加し、75℃で3時間保った。
その後限外濾過膜で固形分濃度15質量%まで濃縮し、未反応のテトラエトキシシランを除去した。さらにロータリーエバポレーターでアンモニア含有エタノールを回収し、固形分濃度20質量%のシリカ微粒子分散液を得た。得られた微粒子分散液の分散質について、動的光散乱法により平均粒子径を測定したところ35nmであった。微粒子分散液には凝集状態のシリカ微粒子や白濁沈殿の生成は認められなかった。
比較例1
実施例1の精製エタノール溶媒と同様にして得た精製エタノール溶媒と、実施例2の回収エタノール溶媒と同様にして得た回収エタノール溶媒を用いて以下のように、シリカ微粒子分散液の製造を行った。
超純水30.1gと回収エタノール溶媒568.1gとの混合溶媒を65℃に加熱し、これにテトラエトキシシラン(多摩化学製エチルシリケート28、SiO=28.8質量%) 1187.6gの精製エタノール2520gによる希釈物と、超純水951.8gとアンモニア水溶液38.45g(アンモニア濃度29.4質量%)の混合物とを同時に3時間かけて添加を開始した。混合液には添加開始後30分で白濁や沈殿が生じた。
比較例2
実施例2における2回目のテトラエチルオルソシリケートの添加時間を10分とした他は、実施例2と同様にしてシリカ微粒子分散液の調製を行った。テトラエチルオルソシリケートの添加終了後、75℃で加熱を始めてから1.5時間後に、混合液に白濁が生じた。
本発明に係る製造方法は、テトラエチルオルソシリケートを原料とし、エタノール溶媒を使用してなるシリカ微粒子分散液(シリカゾル)の製造方法として好適である。

Claims (4)

  1. テトラエチルオルソシリケートをエタノール溶媒中にて、アルカリ存在下、加水分解する工程を連続してn回(nは2以上の整数)行うシリカ微粒子分散液の製造方法において、n回目の工程に使用するエタノール溶媒として、n−1回目の工程で回収されたエタノール溶媒を珪素濃度が10ppm以下まで精製して得たエタノール溶媒を使用することを特徴とするシリカ微粒子分散液の製造方法。
  2. テトラエチルオルソシリケートまたはそのエタノール希釈物を連続的にまたは断続的にエタノールと水の混合溶媒に添加することを特徴とする請求項1記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  3. 前記水とテトラエチルオルソシリケート(SiO換算)のモル比(水/SiO)が2.0〜100の範囲にあり、アルカリとテトラエチルオルソシリケート(SiO換算)のモル比(アルカリ/SiO)が、0.01〜0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1〜2いずれか記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
  4. 精製エタノール溶媒が、水分14質量%以下、アルカリ20ppm以下であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のシリカ微粒子分散液の製造方法。
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