JP5334264B2 - フッ素および硫酸含有排水の処理方法およびフッ素および硫酸含有排水処理装置 - Google Patents

フッ素および硫酸含有排水の処理方法およびフッ素および硫酸含有排水処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、フッ素および硫酸を含有した排水からフッ素を除去する処理を行う方法、および装置に係り、特に、フッ素および硫酸含有排水を炭酸カルシウム充填塔に通水してフッ素処理する方法および装置に関する。
半導体製造工場やその関連工場等では、フッ酸やフッ化アンモニウムを主成分とし、ここに硫酸や塩酸等の鉱酸が共存するフッ素含有排水が排出されることから、これを処理する必要がある。
従来、フッ素含有排水は、水酸化カルシウム等のカルシウム塩を添加して難溶性のフッ化カルシウムを生成させ、凝集沈殿等の処理により、排水中からの除去が図られていた。しかし、この方法は、沈降性に乏しい大量の汚泥が発生するという問題があり、この汚泥発生量の低減が課題とされてきた。これに対し、この汚泥発生量の低減策として、フッ素含有排水を炭酸カルシウム充填塔に通水してフッ素を粒状のフッ化カルシウムに転換して除去する方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
特許第3466637号公報
しかし、この方法は、排水中に硫酸が含まれる場合、炭酸カルシウム粒の周囲に硫酸カルシウムが生成し、炭酸カルシウムと排水中のフッ素の接触を妨害するために、未利用の炭酸カルシウムが多く残っているにも係わらず、フッ素処理が不能となるという問題がある。
ここで、炭酸カルシウム充填塔に排水を通水する前に、含有する硫酸イオンを除去する方法として、2価選択性のイオン交換樹脂やNF膜等による分離、およびバリウム塩等の添加による凝集分離等が知られている。いずれの方法も、炭酸カルシウムイオンが共存する状態となるため、硫酸イオンのみをフィルタリングしてカルシウムとの反応を停止させることはできない。そのため、炭酸カルシウム充填塔によるフッ素処理が正常に機能する環境下で、硫酸カルシウムの生成を防止することは困難とされてきた。
そこで本発明では、フッ素および硫酸含有排水を炭酸カルシウム充填塔に通水してフッ素処理するに当たり、充填された炭酸カルシウムの多くが未利用であるにも係わらず、フッ素処理が不能となるという事態を防止することのできるフッ素および硫酸含有排水の処理方法、および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための、本発明に係るフッ素および硫酸含有排水の処理方法は、フッ素および硫酸を含有する排水を炭酸カルシウム充填塔にて処理する方法であって、前記排水に縮合リン酸塩を添加する縮合リン酸塩添加工程と、前記縮合リン酸塩を添加した後の排水を前記炭酸カルシウム充填塔に通水するフッ素処理工程とを有することを特徴とする。
また、上記特徴を有するフッ素および硫酸含有排水の処理方法では、前記フッ素処理工程の前段に、前記排水のpHを調整するpH調整工程を有し、前記pH調整工程では、前記排水中に含まれるフッ素を全てフッ酸とし、他の成分を含まない場合における基準pHの±0.5の範囲に、前記排水のpHを調整することが望ましい。排水に含まれる鉱酸の一部である塩酸や硝酸は、排水のpHを調整することでフッ素処理性能への影響を回避することができる。
また、上記特徴を有するフッ素および硫酸含有排水の処理方法では、前記縮合リン酸塩を、トリポリリン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸カリウムとすると良い。縮合リン酸塩の種類によっては、キレート作用が強く、不必要に炭酸カルシウムを溶解させ、フッ素処理性能を低下させてしまうものもあるが、トリポリリン酸ナトリウムやトリポリリン酸カリウムであれば、添加量の適正範囲も、比較的広くとることが可能となり、添加によるフッ素処理性能の低下を招く虞が少ない。
さらに、上記特徴を有するフッ素および硫酸含有排水の処理方法では、前記縮合リン酸塩添加工程における前記トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、前記炭酸カルシウム充填塔に供給する前記排水の空間速度をa〔h−1〕としたとき、
とすると良い。トリポリリン酸ナトリウムの添加量をこのような範囲とすることにより、炭酸カルシウム充填塔に対する排水の通水量(空間速度)に対する適正添加量を定めることができ、過剰添加によるフッ素処理性能の低下や、添加不足によるフッ素処理性能の改善不良などを生じさせる虞が少ない。
また、上記目的を達成するための、本発明に係るフッ素および硫酸含有排水処理装置は、フッ素および硫酸を含有する排水を炭酸カルシウム充填塔にて処理する装置であって、前記排水を通水することにより、前記排水中からフッ素を除去する炭酸カルシウム充填塔と、前記炭酸カルシウム充填塔へ通水させる前段の前記排水に対して縮合リン酸塩を添加する縮合リン酸塩添加手段を備えたことを特徴とする。
上記のような特徴を有するフッ素および硫酸含有排水の処理方法、および装置によれば、フッ素および硫酸含有排水を炭酸カルシウム充填塔に通水してフッ素処理する際に、充填された炭酸カルシウムの多くが未利用であるにも係わらず、フッ素処理が不能となるという事態を防止することができる。
実施形態に係るフッ素および硫酸含有排水処理装置の構成を示すブロック図である。 原水に含有される硫酸濃度とフッ素処理不能時における炭酸カルシウム利用率の関係を示すグラフである。 通水時間とフッ素処理時における原水からのフッ素除去率の関係を示すグラフである。 原水に対するトリポリリン酸ナトリウムの添加効果を示す表である。
以下、本発明のフッ素および硫酸含有排水の処理方法、および装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本実施形態に係るフッ素および硫酸含有排水処理装置(以下、単に排水処理装置10と称す)の一例を示す。本実施形態に係る排水処理装置10は、貯留槽12と、pH調整槽14、および縮合リン酸塩貯留槽32、炭酸カルシウム充填塔30を基本として構成される。
貯留槽12は、フッ素、および硫酸を含む排水(以下、原水と称す)を貯留するための水槽である。
pH調整槽14は、pH計24、塩酸貯留槽16、水酸化ナトリウム貯留槽20、塩酸供給ポンプ18、水酸化ナトリウム供給ポンプ22、およびpH調整制御手段26から成り、詳細を後述する炭酸カルシウム充填塔30における循環配管40と接続されたpH調整原水供給配管38には、pH調整原水を送水するための原水供給ポンプ28が備えられる。pH計24は、pH調整槽14内のpHを計測するpH計測手段である。また、塩酸貯留槽16は、pH調整槽14内に貯留された原水のpHを酸性側へシフトさせるための溶液としての塩酸を貯留するための貯留槽である。また、水酸化ナトリウム貯留槽20は、pH調整槽14内に貯留された原水のpHをアルカリ性側へシフトさせるための溶液としての水酸化ナトリウムを貯留する貯留槽である。また、塩酸供給ポンプ18は、塩酸貯留槽16内に貯留された塩酸をpH貯留槽14へ供給するためのポンプであり、水酸化ナトリウム供給ポンプ22は、水酸化ナトリウム貯留槽20内に貯留された水酸化ナトリウムをpH貯留槽14へ供給するためのポンプである。さらに、pH調整制御手段26は、pH計24によって計測されたpHの値に基づいて、pH調整槽14に貯留された原水のpHを酸性側またはアルカリ性側のいずれかへシフトさせることを判定し、塩酸供給ポンプ18または水酸化ナトリウム供給ポンプ22を稼動させる制御を行う手段である。なお、pH調整槽14には、pH調整槽14内のpHを安定させるために、攪拌手段46を設けるようにしても良い。
縮合リン酸塩貯留槽32は、縮合リン酸塩を貯留するための貯留槽であり、縮合リン酸塩供給ポンプ34を備える。本実施形態では、縮合リン酸塩として、トリポリリン酸ナトリウムを採用する。本実施形態では、縮合リン酸塩貯留槽32からの縮合リン酸塩供給配管44を、pH調整原水供給配管38へ接続し、炭酸カルシウム充填塔30に供給される前の原水(pH調整原水)に、縮合リン酸塩を添加する構成としている。このため、縮合リン酸供給ポンプ34は、pH調整原水供給配管38へ、縮合リン酸塩を送り込む役割を担う。
炭酸カルシウム充填塔30は、粒状の炭酸カルシウムが充填された容器である。炭酸カルシウム充填塔30には、吸引口を上側、供給口を下側とした循環配管40が設けられている。循環配管40には、循環ポンプ42が設けられ、炭酸カルシウム充填塔30内に通水される原水を循環可能な構成としている。このような循環配管40を備えることにより、炭酸カルシウム充填塔30内に充填された炭酸カルシウムの粒を浮遊させて膨張床を形成することができる。これにより、粒状の炭酸カルシウム同士の固着や炭酸カルシウムから排出される炭酸ガスが炭酸カルシウム充填塔30内に蓄積することを防止することができる。炭酸カルシウム同士の固着が生じた場合、炭酸カルシウムの表面積が減り、炭酸カルシウムと原水との接触面が少なくなり、反応停止までの時間が短くなってしまう。また、炭酸ガスの蓄積によっても、炭酸カルシウムと原水の接触面が少なくなり、反応の停止までの時間が短くなるという虞があり、上記構成によれば、反応時間の短縮や反応の早期停止といった事態を抑制することができる。
上記のような基本構成を有する排水処理装置10によるフッ素および硫酸含有排水の処理方法について以下に説明する。
まず、フッ素や硫酸を含んだ排水である原水が、貯留槽12に流れ込み、貯留される。貯留された原水は、オーバーフロー形式や、図示しない送水ポンプにより、pH調整槽14へと送水される。
pH調整槽14へ送水された原水は、pH計24にてpHが計測される。計測されたpHの値は、pH調整制御手段26に入力される。原水のpHの値が入力されたpH調整制御手段26では、入力されたpHの値と、原水に含有するフッ素が全てフッ酸であり、かつ、他の成分を含まない場合のpH(基準pH)とを比較し、pHを酸性側、またはアルカリ性側へシフトさせる旨の判定を行う。判定は、計測されたpHが基準pHのプラス側とマイナス側に設けられた閾値の範囲内にあるか否かによって成される。すなわち、原水におけるpHの計測値をXとした場合、
の範囲であれば、適正範囲との判定を出力し調整は行われない。これに対し、
の範囲であれば、アルカリ性側へシフトさせる旨の判定を出力し、
の範囲であれば、酸性側へシフトさせる旨の判定を出力する。なおここで、基準pHの具体例としては、原水のフッ素濃度と同じフッ素濃度となるように生成(水で希釈)されたフッ化水素酸(フッ酸:HFaq)のpHをいう。
アルカリ性側へシフトさせる旨の判定が出力された場合pH調整制御手段26は、水酸化ナトリウム供給ポンプ22に対しての駆動信号が出力する。駆動信号を受けた水酸化ナトリウム供給ポンプ22は、水酸化ナトリウム貯留槽20に蓄えられた水酸化ナトリウムをpH調整槽14へ添加する。水酸化ナトリウムの添加は、pH計24による検出値とpH調整制御手段26による判定、および水酸化ナトリウムの添加をフィードバック形式で繰り返し行うことでなされる。この動作により、pHが適正範囲内に調整されることとなる。
また、酸性側へシフトさせる旨の判定が出力された場合pH調整制御手段26は、塩酸供給ポンプ18に対して駆動信号の出力を行う。駆動信号を受けた塩酸供給ポンプ18は、塩酸貯留槽16に蓄えられた塩酸をpH調整槽14へ添加する。この場合の塩酸の添加も、上述した水酸化ナトリウムの添加と同様に、pH計による検出値が適正範囲内となるまで、フィードバック方式で行われる。
原水には、フッ素やフッ化アンモニウム、および硫酸の他、数種の鉱酸が共存するが、硫酸以外の塩酸や硝酸については、上記のようにしてpHを調整することによって、炭酸カルシウムを用いたフッ素処理性能への影響を無くすことができる。
pHの調整が成された原水(pH調整原水)は、pH調整原水供給配管38を介して、炭酸カルシウム充填塔30に付帯された循環配管40に送水される。pH調整原水の送水は、原水供給ポンプ28により成される。ここで本実施形態では、pH調整原水供給配管38を送水されるpH調整原水に対し、縮合リン酸塩であるトリポリリン酸ナトリウムの添加が行われる。なお、トリポリリン酸ナトリウムの添加は、縮合リン酸供給ポンプ34の駆動によって成される。
図2に、フッ素を用いた模擬原水(フッ化水素酸)に硫酸を所定濃度に調整して炭酸カルシウム充填塔に通水し、フッ素処理が不能になった際の炭酸カルシウム利用率を示す。なお図2は、模擬原水に対する硫酸含有量を0〔mg/L〕、すなわち硫酸が共存しない場合におけるフッ素処理不能時の炭酸カルシウム利用率を100〔%〕とした場合の利用率である。図2からは、模擬原水に対して硫酸をわずか100〔mg/L〕程度共存させた場合でも、フッ素処理不能時の炭酸カルシウム利用率が著しく低下していることを読み取ることができる。また、硫酸の共存量が200〔mg/L〕以上となった場合には、フッ素処理不能時における炭酸カルシウム利用率が50〔%〕以下にまで低下することを読み取ることができる。
このように、原水に対する硫酸の共存は微量(低濃度)であっても、フッ素処理性能に大きな影響を与え、充填された炭酸カルシウムの多くが未利用の状態であるにも係わらず、フッ素処理が不能となる事態が生ずるということが理解できる。
本願出願人は、模擬原水に対する硫酸の共存が、炭酸カルシウムの利用率低下に影響を与えるという事実を立証するために、フッ素処理不能となった炭酸カルシウム粒の分析を行ったことにより、次の事象を明らかとした。まず、フッ素処理不能時における炭酸カルシウム粒への硫酸カルシウム(硫酸と炭酸カルシウムの結合によって生成する化合物)の蓄積量は、模擬原水に対する硫酸濃度の変化に殆ど影響を受けることなく、略同一であった点。次に、フッ素処理不能となった炭酸カルシウム粒の元素分析によれば、硫酸カルシウムは炭酸カルシウム粒を被覆するように生成される点である。このような事象から、炭酸カルシウム粒を被覆した硫酸カルシウムが、フッ素と炭酸カルシウムとの接触を阻害することにより、炭酸カルシウムの多くが未利用であるにも係わらず、フッ素処理が不能になるということが推測できる。
図3は、硫酸を含有しない模擬原水と、硫酸を所定濃度で含有させた模擬原水とのフッ素処理性能(それぞれの模擬原水を炭酸カルシウム充填塔に通水した際のフッ素処理性能)の比較結果を示すグラフであり、硫酸含有模擬原水に対しては、縮合リン酸塩としてのトリポリリン酸ナトリウムの添加量を変化させて比較を行っている。
図3からはまず、模擬原水に硫酸を含有させていない場合のフッ素処理性能と、硫酸含有模擬原水におけるトリポリリン酸(TPPS)ナトリウム添加量0〔mg/L〕の場合のフッ素処理性能との間には、大きな隔たりがあることを読み取ることができる。具体的には、フッ素除去率が80%を超える処理性能を維持できる時間は、硫酸を含有させない模擬原水の場合の約1/4未満となってしまうことが読み取れる。
また、これと同時に、トリポリリン酸ナトリウムの添加量(濃度)を2〔mg/L〕とした場合でも、フッ素処理性能には、殆ど変化が見られないことも読み取ることができる。
これに対し、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を2.5〔mg/L〕、14〔mg/L〕とした場合には、フッ素処理性能の維持時間が極端に延びていることを読み取ることができる。
このような傾向からは、トリポリリン酸ナトリウムの添加によるフッ素処理性能の改善効果はあるものの、添加量が少ない場合にはその効果を得ることができないことが判る。また、同傾向からは、模擬原水に対するトリポリリン酸ナトリウムの添加量を増やすほど、フッ素処理性能の改善を図ることができるように考えることができるが、本願出願人による鋭意研究の結果から実際には、トリポリリン酸ナトリウムの添加量には適正範囲があり、この適正範囲を超えて添加を行った場合には逆に、フッ素処理性能を悪化させるという実験結果を得た。
図4は、炭酸カルシウム充填塔への模擬原水の通水量を空間速度で5〔h−1〕、10〔h−1〕とし、含有させる硫酸濃度と、添加するトリポリリン酸ナトリウム添加量(濃度)を変化させた際の、炭酸カルシウム利用率の変化を示す表である。なお図4に示した表における炭酸カルシウム利用率は、模擬原水に対する硫酸濃度を0〔mg/L〕とし、これを炭酸カルシウム充填塔に通水させた際の炭酸カルシウム利用率を100〔%〕とした場合における百分率である。
図4によれば、模擬原水に硫酸を含有させた場合、硫酸含有模擬原水の通水量、および模擬原水に含有させる硫酸濃度の如何に係わらず、トリポリリン酸ナトリウムを無添加(添加量0〔mg/L〕)とした場合には、著しく炭酸カルシウムの利用率が低下し、利用率が大きい場合であっても41〔%〕程度、利用率小さい場合には18〔%〕程度となってしまっていることを読み取ることができる。炭酸カルシウムの利用率の低下は、フッ素処理可能時間の短縮、すなわちフッ素処理性能の低下を意味する。
空間速度を5〔h−1〕、硫酸濃度を250mg/Lとした場合、トリポリリン酸ナトリウムの添加量が2〔mg/L〕の場合には、炭酸カルシウムの利用率に変化は無い。しかし、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を2.5〔mg/L〕とした場合には、炭酸カルシウム利用率が82〔%〕にまで回復している。このため、トリポリリン酸カルシウムの添加量としては、2〔mg/L〕では不足で、2.5〔mg/L〕とした場合には適正範囲となるということができる。また、トリポリリン酸ナトリウムの添加量は、14〔mg/L〕程度までは、添加量の上昇とともに炭酸カルシウム利用率の改善を見ることができる。しかし、それ以上の添加量、例えば20〔mg/L〕とした場合には、トリポリリン酸ナトリウムの添加量が過剰となり、フッ素処理性能が悪化する傾向にある。これは、トリポリリン酸ナトリウムのキレート作用が強まることにより、炭酸カルシウムを不要に溶解させてしまうという事が原因の1つであると考えられる。そして、もう1つの原因として、溶解された炭酸カルシウムのカルシウム成分が、処理水排出用の配管内や循環配管内で再析出し、配管の閉塞を生じさせるという事が考えられる。このため、縮合リン酸塩としてのトリポリリン酸ナトリウムの添加量には、適正範囲が存在するということができる。
ここで、模擬原水の通水量を10〔h−1〕とした場合、硫酸濃度が250mg/Lであった場合に、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を3〔mg/L〕とした場合であっても、炭酸カルシウムの利用率が38〔%〕となり、フッ処理性能の十分な改善効果を得られていないということが読み取れる。そして通水量10〔h−1〕の場合には、硫酸濃度250〔mg/L〕において、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を5〜25〔mg/L〕とした場合に、炭酸カルシウム利用率が80〔%〕以上となっている。
一方、模擬原水の通水量が5〔h−1〕の場合において、硫酸濃度を1900〔mg/L〕に上昇させて同様な実験を行った場合には、トリポリリン酸ナトリウムの添加量を2.5〔mg/L〕とすることで、炭酸カルシウムの利用率を80〔%〕以上に改善することができた。
これらのことより、原水に対するトリポリリン酸ナトリウムの添加量の適正範囲は、硫酸濃度に依存せず、通水量によって定まるということができる。そして種々の実験結果から、原水の空間速度(通水量)をa〔h−1〕としたとき、トリポリリン酸ナトリウムの添加量の適正範囲Pは、
と定めることができる。
このように、硫酸を含有した原水に対しては、炭酸カルシウム充填塔30へ通水する前に、適正範囲の縮合リン酸塩(上記実施形態においては、特にトリポリリン酸ナトリウム)を添加することにより、炭酸カルシウム充填塔30に充填された炭酸カルシウムの多くが未利用であるにも係わらずフッ素処理が不能となることを防止することができる。よって、充填した炭酸カルシウムを最大限利用することが可能となる。
トリポリリン酸ナトリウムを添加されたpH調整原水は、炭酸カルシウム充填塔30に備えられた循環配管40に流れ込み、循環流と共に炭酸カルシウム充填塔30の下部側へと流入する。炭酸カルシウム充填塔30の下部側から流入した原水(pH調整およびトリポリリン酸ナトリウム添加が成された原水)は、炭酸カルシウムとの間の化学反応(化学式1)により、
炭酸カルシウムをフッ化カルシウムに転換すると共に、フッ素除去された水(処理水)として、炭酸カルシウム充填塔30の上部より排出される。
ここで、縮合リン酸塩は、原水のフッ素処理が十分に行われている時は処理水に流出することは無い。しかし、フッ素処理性能が低下し、炭酸カルシウム充填塔30内のpHが低下すると、処理水に流出してくるという特徴がある。フッ素処理性能の低下した炭酸カルシウム充填塔30の処理水は、貯留槽12に戻すか、フッ素が流出した処理水の受け槽(不図示)を別途設け、ここから他の炭酸カルシウム充填塔(フッ素処理性能が低下していない炭酸カルシウム充填塔)の原水として通水させることが一般的である。
このため、処理水に縮合リン酸塩が流出した状態でさらに処理を続けると、これを原水とした処理工程において新たに縮合リン酸塩を添加すると、縮合リン酸塩の過剰添加を誘発することとなる。そのため、炭酸カルシウム充填塔30のフッ素処理性能が低下しても通水を継続する方式を採用する場合、フッ素処理性能の低下を検知した時点で、縮合リン酸塩の添加を停止することが望ましい。このような方法を採用することにより、処理水への縮合リン酸塩の流出を防止することができ、これを原水としたフッ素処理工程における縮合リン酸塩の過剰添加の発生も防ぐことができる。
このような方法によりフッ素処理を行うことによれば、炭酸カルシウム充填塔30に充填された炭酸カルシウムの多くが未利用であるにも係わらずフッ素処理が不能となることを防止できる。また、縮合リン酸塩の持つ可容化効果により、処理水に対するSS(Suspended solids:浮遊物質)発生量が減少し、汚泥発生量を削減できるといった相乗効果も奏することができる。
上記実施形態では、pH調整槽14は、貯留槽12と別個に設ける構成としたが、これを一槽にし、pH調整槽14を兼ねた貯留槽12とすることもできる。また、pH調整槽14を設けずに原水を送水するための配管中にて、塩酸や水酸化ナトリウムをライン注入することでpH調整を行うようにしても良い。また、pH調整槽14や、pH調整槽14を兼ねた貯留槽12にて1次pH調整し、ライン注入にて2次調整するといった2段階のpH調整方式を用いるようにしても良い。このようなpH調整方法によれば、より精密なpH調整をすることが可能となる。また、フッ素および硫酸含有排水のpHが一定の場合はpH計24は監視を目的とし、塩酸または水酸化ナトリウムの添加量は定量とすることができる。このような方法を採用した場合には、pH調整制御手段26を省略することも可能となる。
また、上記実施形態では、縮合リン酸塩はpH調整原水供給配管38でpH調整原水に添加する構成としたが、貯留槽12やpH調整槽14、またはpH貯留槽14を兼ねた貯留槽12に添加するようにしても良い。なお縮合リン酸塩は、低pH、高温下で加水分解が促進し、オルトリン酸となる。対象のフッ素および硫酸含有排水は低pHではあるが高温ではないため、排水の貯留槽に添加しても長期間の貯留で無い限り問題はない。しかし炭酸カルシウム充填塔30に流入する手前のpH調整原水供給配管38内で排水に添加し、低pH環境下に縮合リン酸塩を置かないことが、縮合リン酸の加水分解を防止する観点からは好ましい。この他に、炭酸カルシウム充填塔30内に直接添加する方法も考えられるが、縮合リン酸塩の分散が不十分となり、一部の炭酸カルシウムを不必要に溶解させてしまう可能性があり、添加方法としては好ましくない。
また、上記実施形態では、縮合リン酸塩の具体例としてトリポリリン酸ナトリウムを挙げて説明したが、縮合リン酸塩としては例えば、トリポリリン酸カリウムなどを採用しても良い。トリポリリン酸カリウムを採用した場合であっても、トリポリリン酸ナトリウムを採用した場合と同様な効果を得ることができるからである。
10………排水処理装置、12………貯留槽、14………pH調整槽、16………塩酸貯留槽、18………塩酸供給ポンプ、20………水酸化ナトリウム貯留槽、22………水酸化ナトリウム供給ポンプ、24………pH計、26………pH調整制御手段、28………原水供給ポンプ、30………炭酸カルシウム充填塔、32………縮合リン酸塩貯留槽、34………縮合リン酸塩供給ポンプ、38………pH調整原水供給配管、40………循環配管、42………循環ポンプ、44………縮合リン酸塩供給配管。

Claims (5)

  1. フッ素および硫酸を含有する排水を炭酸カルシウム充填塔にて処理する方法であって、
    前記排水に縮合リン酸塩を添加する縮合リン酸塩添加工程と、
    前記縮合リン酸塩を添加した後の排水を前記炭酸カルシウム充填塔に通水するフッ素処理工程とを有することを特徴とするフッ素および硫酸含有排水の処理方法。
  2. 前記フッ素処理工程の前段に、前記排水のpHを調整するpH調整工程を有し、
    前記pH調整工程では、前記排水中に含まれるフッ素を全てフッ酸とし、他の成分を含まない場合における基準pHの±0.5の範囲に、前記排水のpHを調整することを特徴とする請求項1に記載のフッ素および硫酸含有排水の処理方法。
  3. 前記縮合リン酸塩を、トリポリリン酸ナトリウムまたはトリポリリン酸カリウムとしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のフッ素および硫酸含有排水の処理方法。
  4. 前記縮合リン酸塩添加工程における縮合リン酸塩の添加量は、前記炭酸カルシウム充填塔に供給する前記排水の空間速度をa〔h−1〕としたとき、
    であることを特徴とする請求項3に記載のフッ素および硫酸含有排水の処理方法。
  5. フッ素および硫酸を含有する排水を炭酸カルシウム充填塔にて処理する装置であって、
    前記排水を通水することにより、前記排水中からフッ素を除去する炭酸カルシウム充填塔と、
    前記炭酸カルシウム充填塔へ通水させる前段の前記排水に対して縮合リン酸塩を添加する縮合リン酸塩添加手段を備えたことを特徴とするフッ素および硫酸含有排水処理装置。
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