JP5333891B2 - セメントモルタル用組成物、および舗装体の補修方法 - Google Patents
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Description
具体的には、セメントモルタル用組成物は水と共に混練され、この混練組成物たるセメントモルタルは、前記凹み部分を埋めるべく注入される。その後、この注入されたセメントモルタルが固まることにより、前記凹み部分にコンクリートが形成されて、このアスファルトの表面が修復される。
また、補修工事の作業性の観点から、作製されるセメントモルタルの可使時間が長いセメントモルタル用組成物が求められている。
更に、雨天等により滞水するような箇所の施工に適応できる、作製されるセメントモルタルの水中不分離性が良いセメントモルタル用組成物が求められている。
前記超速硬性セメント100質量部に対して、前記鉱物性微粉末として石灰石粉が10〜30質量部、前記細骨材が50〜150質量部、前記高性能減水剤としてナフタレンスルフォン酸塩が0.2〜0.3質量部、前記繊維物質としてビニロン繊維が0.1〜1.0質量部、及び前記水中不分離剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースが0.01〜1.0質量部で配合され、前記鉱物性微粉末の粉末度が、4000cm2/g以上であり、前記繊維物質の長さが3〜30mmであることを特徴とするセメントモルタル用組成物にある。
また、鉱物性微粉末及び繊維物質が含有されてなることにより、鉱物性微粉末及び繊維物質との相乗効果により、形成されるコンクリートがひび割れすることを抑制することができるため、ひび割れの抑制効果のある前記細骨材の混合割合が小さくても、十分にひび割れが生じにくいものとなる。また、鉱物性微粉末が含有されてなることにより、セメントモルタル組成物に混練させる水の量が比較的少ない量ですむため、ひいては、該コンクリートの乾燥収縮量が小さくなり、該コンクリートのひび割れが発生しにくくなる。
さらに、前記速硬性セメント、前記鉱物性微粉末、前記粒径が3mmである細骨材、前記高性能減水剤、前記長さが3〜30mmである繊維物質、及び前記水中不分離剤を所定範囲の配合割合で含有してなることによって、相乗効果により、作製されるセメントモルタルの可使時間が長く、作製されるセメントモルタルの水中不分離性が良好であり、形成されるコンクリートの曲げ強度、及び曲げタフネスが高いものとすることができる。
具体的には、前記速硬性セメント100質量部に対して、前記鉱物性微粉末が10質量部以上、前記粒径が3mmである細骨材が50質量部以上、前記高性能減水剤が0.2質量部以上、及び前記長さが3〜30mmである繊維物質が1.0質量部以下含有されてなることにより、作製されるセメントモルタルの可使時間が長いものとすることができる。また、前記速硬性セメント100質量部に対して、前記水中不分離剤が0.01質量部以上含有されてなることにより、作製されるセメントモルタルの水中不分離性が良好であるものとすることができる。更に、前記速硬性セメント100質量部に対して、前記鉱物性微粉末が30質量部以下、前記粒径が3mmである細骨材が150質量部以下、前記高性能減水剤が0.3質量部以下、及び前記水中不分離剤が1.0質量部以下含有されてなることにより、形成されるコンクリートの曲げ強度が高いものとすることができる。また、前記速硬性セメント100質量部に対して、前記繊維物質が0.1質量部以上含有されてなることにより、形成されるコンクリートの曲げタフネスが高いものとすることができる。
尚、凝結の終結時間は、「セメントの物理試験方法(JIS R 5201)」に従って測定する。
ポルトランドセメントとしては、公知のポルトランドセメントを特に制限されることなく使用することができ、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中よう熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント等を挙げることができる。また、ポルトランドセメントにフライアッシュ、高炉スラグなどを呼運号した各種混合セメントも使用することができる。
アルミナセメントは、C12A7、CA、CA2を含有するものである。
超速硬セメントは、C3A、C2A、C11A7・CaF2、CaF2、及び石膏を含有するものである。超速硬セメントとしては、「ジェットセメント(住友大阪セメント社製)」が例示される。
カルシウムアルミネート類としては、例えば、カルシウムアルミネート、カルシウムアミノフェライト、カルシウムハロアルミネート、カルシウムナトリウムアルミネート、カルシウムリチウムアルミネート、カルシウムサルホアルミネート等を挙げることができる。
カルシウムアルミネートとしては、例えば、C3A、C2A、C12A7、C5A3、CA、C3A5、CA2等を挙げることができる。
カルシウムアミノフェライトとしては、例えば、C2AF、C4AF等が挙げられる。
カルシウムハロアルミネートとしては、例えば、カルシウムアミネートにハロゲンが固溶若しくは置換したC3A3・CaF2、C11A7・CaF2等を挙げることができる。
カルシウムナトリウムアルミネートとしては、例えば、C8NA3、C3N2A5等を挙げることができる。
カルシウムサルホアルミネートとしては、例えば、C3A3・CaSO4等を挙げることができる。
凝結促進剤としては、公知の凝結促進剤を特に制限されることなく使用することができ、例えば、アルカリ金属の炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、アルミン酸塩、水酸化物、ケイ酸塩、ギ酸塩、消石灰等が挙げられる。
凝結遅延剤としては、公知の凝結遅延剤を特に制限されることなく使用することができ、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸、これらのアルカリ金属塩等のオキシカルボン酸塩や、ショ糖、ブドウ糖、果糖等の糖類、トリポリリン酸塩等のリン酸塩類等が挙げられる。
前記鉱物性微粉末の粉末度(比表面積)は、セメントモルタルの良好な流動性を確保するという観点や、セメントモルタル組成物に混練させる水の量が比較的少ない量ですみ、ひいては、コンクリートの乾燥収縮量が小さくなり、コンクリートのひび割れが発生しにくくなるという観点からから、8000cm2/g以下が好ましい。
尚、粉末度の測定は、「セメントの物理試験方法(JIS R 5201)」のブレーン法に従って測定する。
速硬性セメント100質量部に対して、鉱物性微粉末が10質量部以上では、作製されるセメントモルタルの可使時間が比較的長く、作業性が比較的優れている。また、速硬性セメント100質量部に対して、鉱物性微粉末が30質量部以下では、形成されるコンクリートの曲げ強度が比較的高い。
前記骨材としては、例えば、川砂、山砂、陸砂、砕砂、海砂、珪砂等を挙げることができる。
細骨材の粒径としては、作製されるセメントモルタルの流動性が高いことにより、該セメントモルタルが充填しやすいという観点、舗装体が薄層である場合でも、該セメントモルタルを擦り付けるように施工して、該薄層の舗装体も補修することが可能となるという観点、及び舗装体の表面を平坦に仕上げることが比較的容易であるという観点で、3mm以下であることが好ましい。
尚、細骨材の粒径とは、「試験用ふるい−第1部:金属製網ふるい(JIS Z 8801−1)」に規定されたふるいを用いて除去される粒子を、そのふるいの呼び径を用いて呼ぶものとし、例えば、粒径3mm以下とは、呼び径3mmのふるいを通過するものを意味する。
速硬性セメント100質量部に対して、細骨材が50質量部以上では、作製されるセメントモルタルの可使時間が比較的長く、作業性に比較的優れている。また、速硬性セメント100質量部に対して、細骨材が150質量部以下では、形成されるコンクリートの曲げ強度が比較的高い。
速硬性セメント100質量部に対して、高性能減水剤が0.2質量部以上では、作製されるセメントモルタルの可使時間が比較的長く、作業性が比較的優れている。また、速硬性セメント100質量部に対して、高性能減水剤が0.3質量部以下では、形成されるコンクリートの曲げ強度が比較的高い。
該繊維物質の繊維種としては、収束繊維や無収束繊維があるが、セメントモルタルを混合する時に、材料分離抵抗性が良好であるという観点から、収束繊維が好ましい。
繊維物質の繊維長が3mm以上では、形成されるコンクリートのひび割れが抑制される。また、繊維物質の繊維長が30mm以下では、作製されるセメントモルタルの混練性や、施工時の作業性が向上する。
速硬性セメント100質量部に対して、繊維物質が0.1質量部以上では、形成されるコンクリートの曲げ強度及び曲げタフネスが比較的高い。また、速硬性セメント100質量部に対して、繊維物質が1.0質量部以下では、作製されるセメントモルタルの可使時間が比較的長く、作業性が比較的優れている。
速硬性セメント100質量部に対して、水中不分離剤が0.01質量部以上では、作製されるセメントモルタルが水中不分離性を比較的有し、雨天等により滞水するような箇所での施工に適応できる。また、速硬性セメント100質量部に対して、水中不分離剤が1.0質量部以下では、形成されるコンクリートの曲げ強度が比較的高い。
他の成分としては、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロースなどのメチルセルロース類、酢酸ビニルエマルジョンやアクリルエマルジョン等の高分子エマルジョン、スチレンブタジエンゴムラテックスやクロロプレンゴムラテックス等のゴムラテックス、並びにシリコーン等の消泡剤等の各種混和材又は混和剤等を挙げることができる。
例えば、本発明に係る舗装体の補修方法は、舗装体に生じたポットホールやクラック等の凹み部分に、前記セメントモルタル用組成物と水とを混練して作製されるセメントモルタルを注入することによって、該舗装体の修復を行うものである。更に、本発明に係る舗装体の補修方法は、緊急工事等にも適用され得る。
セメントモルタル用組成物は、通常、水と混練する前に予め混合されたものを用いるが、本発明の方法においては、速硬性セメント、鉱物性微粉末、細骨材、高性能減水剤、繊維物質、及び水中不分離剤を混合せず、別にした状態のものを水に添加する態様も含まれるものとする。
水の配合割合としては、水/粉体質量比が、好ましくは15〜25%であり、より好ましくは18〜23%である。
水/粉体質量比が15%以上では、セメントモルタル用組成物の可使時間が比較的長く、作業性に比較的優れている。また、水/粉体質量比が25%以下では、セメントモルタル用組成物が用いられて形成されるコンクリートの曲げ強度が比較的高い。
尚、使用した材料は表1に示す通りである。また、使用した材料の基本の配合割合を表2に示す。下記に示す試験例1〜6において配合割合の記載がないものに関しては、表2の速硬性セメントに対する配合割合に基づきセメントモルタル用組成物を作製した。
セメントモルタル用組成物及びセメントモルタルの調製
鉱物性微粉末と速硬性セメントとを表3に示す配合割合に基づき、その他の材料を表2に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき混合し、実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、各セメントモルタル用組成物に水道水を水/粉体比22%となるように加え混練して、セメントモルタルを調製した。
実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物を用いて作製したセメントモルタルそれぞれについて、調整後5分ごとにモルタルフローを測定した。モルタルフローは、JIS R 5201−1997に規定されているフローコーンを用い、JIS R 5201に従って測定した。その測定値が160mm以上である状態までの時間を可使時間とした。可使時間の測定結果を表3に示す。
練上がり直後の実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物を用いて作製したセメントモルタル0.5kgをそれぞれ1.0Lの水に投入して1日放置し、その後、その水を撹拌し、撹拌した水を採取して懸濁状態を目視で確認した。セメントモルタルと水とが分離したものを「○」とし、それ以外のものを「×」とした。水中不分離性試験の結果を表3に示す。
実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物を用いて作製した材齢1日のセメントモルタル(コンクリート)をそれぞれ曲げ強度及び曲げタフネス試験に供した。
曲げ強度及び曲げタフネスは、「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法(JSCE−G552−1999)」に従って測定した。曲げ強度及び曲げタフネス試験の測定結果を表3に示す。
セメントモルタルの可使時間が20分以上で、セメントモルタルの水中不分離性を有し、コンクリートの曲げ強度が4.5N/mm2以上で、さらに、コンクリートの曲げタフネスが500N・mm以上であるものを「○」と判定した。また、それ以外のものを「×」と判定した。判定結果を表3に示す。
細骨材と速硬性セメントとを表4に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき、その他の材料を表2に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき混合し、実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、各セメントモルタル用組成物に水道水を水/粉体比22%となるように加え混練して、セメントモルタルを調製した。そして、試験例1と同様の試験を行った。試験結果を表4に示す。
高性能減水剤と速硬性セメントとを表5に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき、その他の材料を表2に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき混合し、実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、各セメントモルタル用組成物に水道水を水/粉体比22%となるように加え混練して、セメントモルタルを調製した。そして、試験例1と同様の試験を行った。試験結果を表5に示す。
繊維物質と速硬性セメントとを表6に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき、その他の材料を表2に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき混合し、実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、各セメントモルタル用組成物に水道水を水/粉体比22%となるように加え混練して、セメントモルタルを調製した。そして、試験例1と同様の試験を行った。試験結果を表6に示す。
水中不分離剤と速硬性セメントとを表7に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき、その他の材料を表2に示す速硬性セメントに対する配合割合に基づき混合し、実施例及び比較例のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、各セメントモルタル用組成物に水道水を水/粉体比22%となるように加え混練して、セメントモルタルを調製した。そして、試験例1と同様の試験を行った。試験結果を表7に示す。
表1に示す材料を表2に示す配合割合に基づき混合し、実施例12のセメントモルタル用組成物をそれぞれ調製した。また、実施例12のセメントモルタル用組成物と水道水とを表8に示す配合割合に基づき混合し、参考例1〜4のセメントモルタルを調製した。そして、試験例1と同様の試験を行った。試験結果を表8に示す。
Claims (4)
- 超速硬性セメント、鉱物性微粉末、細骨材、高性能減水剤、繊維物質、及び水中不分離剤を含有してなるセメントモルタル用組成物であって、
前記超速硬性セメント100質量部に対して、前記鉱物性微粉末として石灰石粉が10〜30質量部、前記細骨材が50〜150質量部、前記高性能減水剤としてナフタレンスルフォン酸塩が0.2〜0.3質量部、前記繊維物質としてビニロン繊維が0.1〜1.0質量部、及び前記水中不分離剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースが0.01〜1.0質量部で配合され、前記鉱物性微粉末の粉末度が、4000cm2/g以上であり、前記繊維物質の長さが3〜30mmであることを特徴とするセメントモルタル用組成物。 - セメントモルタル用組成物に対する水の質量割合が15〜25%となるように、水と混練されて使用されることを特徴とする請求項1記載のセメントモルタル用組成物。
- 前記細骨材の粒径が、3mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセメントモルタル用組成物。
- 請求項1〜3の何れかに記載のセメントモルタル用組成物を用いて、舗装体を補修することを特徴とする、舗装体の補修方法。
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