JP5333166B2 - 非接触icカードリーダライタ装置、その受信制御装置 - Google Patents

非接触icカードリーダライタ装置、その受信制御装置 Download PDF

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Description

本発明は、非接触ICカードリーダライタ装置に係わり、特にその受信制御に関する。
非接触ICカードシステムは、非接触ICカードリーダライタ装置(以下、単にリーダライタという場合もある)および非接触ICカードで構成され、リーダライタから放射される電磁波により非接触ICカードは電源を生成し、生成された電源により内蔵するICを起動する。リーダライタから非接触ICカードへのデータ通信は、放射する電磁波の振幅に変調をかけることにより実現する。また非接触ICカードからリーダライタへの通信は、リーダライタが放射する電磁波に対して非接触ICカード内の負荷を切替え、これをリーダライタが検出することにより行われる(負荷変調方式)。
リーダライタと非接触ICカードとは、上記のようにして近距離無線通信を行う。
また、リーダライタは、通常、不図示の上位装置(ホスト)との通信機能(有線)も有し、上位装置からの指示に応じて、非接触ICカードとの近距離無線通信を行う。
図10に、上記非接触ICカードシステムに関する従来のリーダライタ装置とICカードの構成例を示す。
図10に示される非接触ICカードリーダライタ装置であるリーダライタ装置100は、RF送信制御部120と、アンテナ回路130と、RF受信制御部140と、送信データおよび受信データの遣り取りを制御する制御部110で構成される。
RF送信制御部120は、制御部110から送信データを受け取り、送信データをRF変調してアンテナ回路130に印加する。これより、アンテナ回路130からICカード200に電磁波を送信するものである。RF送信制御部120は、RF搬送波を発生させるキャリア発振器122と、このRF搬送波を送信データに基づいて振幅変調する変調部121と、この変調波を増幅する増幅部123とで構成される。
RF受信制御部140は、ICカード200から負荷変調された信号を受信して、この受信信号S1から受信データを生成して制御部110に渡すものであり、受信信号S1を復調(検波・増幅)する復調処理部141と、復調処理部141が生成・出力した復調信号を2値化する2値化部142と、2値化された復調信号Qを復号制御する復号制御部143とで構成される。
アンテナ回路130は、共振回路を形成するL(アンテナコイル),C(コンデンサ)からなる回路部品を備える。すなわち、図示のアンテナコイルL11、コンデンサC11,C12等から成る。
また、非接触ICカードであるICカード200は、共振回路を形成するL(アンテナコイル),C(コンデンサ)からなる回路部品、および負荷変調を行うためのR及びスイッチ素子などの回路部品を備え、これらの回路部品をIC(半導体集積回路)で構成している。すなわち、図示の符号L21、C21、R21、R22、負荷変調SW等の回路部品から成る。また、特に図示しないが、制御部(メモリ含む)等も有する。
上記リーダライタ装置100、ICカード200の構成は、よく知られている一般的な構成であり、これ以上詳細には説明しない。
図11に、リーダライタ装置100とICカード200との通信距離(横軸)と通信成
功率(縦軸)との関係を示す。
図示の通り、基本的には、ICカード200に電力が供給できている領域、すなわち図示の距離0〜距離d2までの領域では、通信成功率はほぼ100%を維持しており、ICカード200の電源電圧が規定値以下となる距離d2を越えると通信成功率が下がっていく。そして、図示の距離d3では通信成功率が‘0’となる(通信不能となる)。
しかしながら、ICカード200とリーダライタ装置100との通信において、ICカード200に電力が供給できている領域(通信距離0〜d2のエリア)であるにもかかわらず、あるポイント(いわゆる、ヌルポイント)で通信ができない状態が発生することがある(通信距離d1の位置)。ICカード200とリーダライタ装置100は、それぞれがアンテナ回路を備え、搬送周波数に合わせて同調を取っており、伝送特性が最適になるように調整されている。しかし、アンテナ同士の距離が近づいたり、アンテナと金属体が結合すると、リーダライタ100の送信回路のインピーダンスが変化し、ICカード200からの負荷変調信号がアンテナコイルの電圧振幅変化として現れない状態(いわゆる、ヌル状態)となり、通信が行えなくなるという問題があることが従来から知られている。
図12〜図14は、ICカード200による負荷変調信号をリーダライタ装置100のアンテナ回路130で受信した時の電流(もしくは電圧)波形を示す図である。また、図15は、負荷変調ON時とOFF時の差電圧に関する距離特性例を示す図である。
図12〜図14には、リーダライタ搬送波、ICカード負荷変調SW、リーダライタ受信波S1、検波・増幅部出力、及び復調信号2値化出力の各信号例を示している。
上述した通り、ICカード200からリーダライタ装置100へのデータ送信は負荷変調方式で行われる。よって、RF送信制御部120は、変調部121による振幅変調は行わずにRF搬送波を送出し、これが図示のリーダライタ搬送波である。これに対して、ICカード側では、上記負荷変調SWをON/OFF制御することでデータ送信する。図示のICカード負荷変調SWが、このON/OFF制御の一例を示すものである。これより、アンテナ回路130で図示のリーダライタ受信波S1が検出されてRF受信制御部140に入力される。
図示の検波・増幅部出力、復調信号2値化出力は、このリーダライタ受信波S1に応じた復調処理部141、2値化部142の出力例である。尚、図示の通り、2値化部142は、予め設定される2値化処理閾値を用いて、検波・増幅部出力信号を1/0の2値化する。
ここで、リーダライタ装置−ICカード200間の通信距離が図11、図15に示す0〜d1(但し、d1は含まない)の位置では、図13に示すようにリーダライタ受信波S1はICカード200の負荷変調ON時に+側の電圧変化として現れる。よって、リーダライタ装置100のRF受信制御部140で検波・増幅・2値化などの復調処理を行って、更に復号処理を行うと、正常に受信データとして再生可能である。
また、リーダライタ装置100−ICカード200間の通信距離が図11、図15に示すd1〜d2(但し、d1は含まない)の位置では、図12に示すようにリーダライタ受信波S1はICカード200の負荷変調ON時に−側の電圧変化として現れる。これは、図13のケースとは逆の電圧変化であるが(極性が反転しているが)正常に受信データとして再生可能である。
これに対して、リーダライタ装置100−ICカード200間の通信距離が図11、図15に示すd1の位置では、図14に示すように、ICカードの負荷変調ON/OFF時に、リー
ダライタ受信波S1において上記のような電圧変化が殆ど見られず、この為、検波・増幅部出力(復調信号)が例えば図示のように+方向または−方向の三角波のようになったり、振幅がほとんど無い状態となる。
尚、上記図14に示すようなリーダライタ受信波S1の場合、図15に示すように、その差電圧ΔV(=Va−Vb)すなわちICカードの負荷変調OFF時の電圧Vaと負荷変調ON時の電圧Vbとの電圧差は、殆ど‘0’となる。
この為、この様な状態の復調信号を2値化部142においてコンパレータ等で2値化すると、Duty歪みが大きくなったり(図14の復調信号2値化出力例1、2)、ノイズパルスが重畳されて(図14の復調信号2値化出力例3)、後段の復号処理が正常に行えなくなり、結果として間欠的に通信エラーが発生したり受信不能状態となっていた。
この様な問題(ヌル問題)に対して、従来のリーダライタ装置は、送信制御部のインピーダンス切換え機能やアンテナ部の共振周波数切換え機能を備え、かつリーダライタ装置の上位装置(ソフトウェア制御)でICカードからの応答タイムアウト監視機能を備え、タイムアウト検出時に、上記の切換え制御を行うことでヌル発生位置を変えて通信できるようにしていた。しかしこのような従来方式では、ソフトウェア変更を要し、ソフトウェア処理が煩雑になるという問題があった。
この問題を改善するために、インピーダンスの異なる複数点の信号を復調するための受信回路を備え、ハードウェア制御で復調信号を合成する(特許文献1参照)、または選択する(特許文献2参照)方式がそれぞれ提案されている。
特開2007−012076号公報 特開2008−167259号公報
上記特許文献1に開示された技術は、復調信号を論理和演算して合成する方式で、復調信号は受信回路特性により極性反転する場合もあるので、論理和演算による合成では受信できない領域が発生し問題を解決できない、という課題がある。例えば、両方とも正常であっても一方が極性反転せず(図13)他方が極性反転(図12)した場合、両者を合成すると正常な信号にはならない。
また上記特許文献2に開示された技術は、通信フレーム内の固有コードを検出することで復調信号を選択する方式で、一方の復調信号が完全に通信不可能な状態であれば選択制御が可能だが、復調信号のDuty歪みやノイズで間欠的にビットエラーが発生するような場合は、選択判定以降のデータ部で通信エラーが発生する可能性が高く、問題を解決できない、という課題がある。
すなわち、ビットエラーが発生していても、それがデータ部以前(プリアンブルや同期符号領域(SYNC))では生じておらず、データ部(ペイロード領域等)で生じていた場合には、プリアンブル等を用いて判定を行っても異常が検出されないので、この復調信号が選択される可能性があり、通信エラーが発生する可能性がある。
例えば、両方とも完全に通信不可能な状態とはなっていないが、例えば一方において(あるいは両方とも)復調信号が不安定な状態となっている場合も有り得る。そして、通信
フレーム内において上記選択判定に用いる領域(Preamble等)では、不安定ながらもエラー発生とはならない状態であるが、受信データとなる領域(Payload等のデータ部)においてビットエラー発生する状態である、等という場合も有り得る。よって、選択判定においては特に問題ないものとして選択されたが、結果的に、Payload等のデータ部に関する復号データが異常となり、通信エラーが発生する場合が有り得る。
本発明の課題は、リーダライタ装置−ICカード間の非接触近距離無線通信におけるリーダライタ装置側の受信処理の際に、ヌル状態が生じても極力通信エラーが生じないように制御し、通信エラーの発生頻度を低減することができる非接触ICカードリーダライタ装置、その受信制御装置等を提供することである。
本発明の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置は、受信特性が異なる2つの復調回路と、任意のパケットを受信する毎に該2つの復調回路が生成・出力する2系統の復調信号を入力して復号データを生成・出力する復号制御部とを有し、前記復号制御部は、前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号を入力して受信クロックを生成・出力する、レベル変化検出部と位相比較器と制御発振器を有する受信クロック生成手段と、前記2系統の復調信号を両方入力して、選択判定手段からの選択指示に応じて何れか一方の系統の復調信号を選択・出力する切換え制御手段と、該切換え制御手段から出力された復調信号に基づいて復号データを生成・出力するデータ復号手段と、前記クロック生成手段に含まれる前記位相比較器の出力である位相差データに基づいて、前記2系統の何れか一方を選択する判定を行い、該選択判定結果を前記選択指示として前記切換え制御手段へ出力する前記選択判定手段とを有する。
上記受信制御装置において、例えば、前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号と前記受信クロックとを入力して、前記パケットにおける同期符号領域の先頭と最後尾を検出・出力する2つの同期符号領域検出手段を更に有し、前記選択判定手段は、前記同期符号領域の先頭、最後尾の検出出力に基づいて、更に前記同期符号領域における前記位相差データに基づいて、前記選択判定を行う。
上記位相差データに基づく系統選択判定手法としては、例えば、2つの系統毎にそれぞれ、同期符号領域における位相差データが閾値を越えた回数をカウントして、この2つのカウント値を比較して値が小さい方を選択する。あるいは、例えば、2つの系統毎にそれぞれ、同期符号領域における位相差データの絶対値の積算値を求めて、この2つの積算値を比較して値が小さい方を選択する。
その他、各種手法を提案するが、何れの場合でも、特に位相差データを用いた判定を行うことで、より良好な状態の復調信号を用いて復号データを生成することができ、通信エラーの発生頻度を低減することができる。
また、上記受信制御装置において、例えば、前記選択判定手段は、前記2系統の何れか一方の系統のみから前記同期符号領域の先頭及び最後尾の検出出力があった場合には、無条件で、該検出出力のあった系統を選択する判定を行う。
2つの系統の何れか一方の系統で同期符号領域が正常に検出できなかったならば、上記位相差データに基づく系統選択判定を行う必要なく、同期符号領域が正常に検出できなかった系統が選択されることはない。2つの系統の両方で同期符号領域が正常に検出できた場合でも、上記の通りデータ部等においてビットエラー等が生じる可能性があるが、上記のように位相差データに基づく選択判定を行うことで、より良好な状態の系統を選択することができ、データ部等においてビットエラー等が生じる可能性を非常に低くすることが
でき、通信エラーの発生頻度を低減することができる。
本発明の非接触ICカードリーダライタ装置、その受信制御装置等によれば、リーダライタ装置−ICカード間の非接触近距離無線通信におけるリーダライタ装置側の受信処理の際に、ヌル状態が生じても極力通信エラーが生じないように制御し、通信エラーの発生頻度を低減することができる。特に、復調信号のレベル変化情報と受信クロック生成部の制御発振器との位相差データを利用して、復号する復調信号を選択することで、2つの復調信号からDuty歪みやノイズ成分の少ない方を選択して復号処理を行うことが可能となり、通信エラーの発生頻度を低減する効果が高いものとなる。
本発明の実施形態に係るリーダライタ装置の構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る受信信号の差電圧と通信距離との関係を示す特性図である。 通信パケットのフォーマット例を示す図である。 図1に示したリーダライタ装置内に含まれる復号制御部の詳細な構成を示す図である。 受信クロック生成部の動作シーケンス図である。 (a)は復調信号が正常に受信可能な場合、(b)はヌル点で受信エラーが発生する場合の位相比較器の出力例を示す図である。 (a)は復調信号が正常に受信可能な場合、(b)はヌル点で受信エラーが発生する場合の位相比較器出力の積算データ例を示す図である。 実施例2における受信選択制御処理フローを示す図である。 実施例4における受信選択制御処理フローを示す図である。 従来のリーダライタ装置の構成を示す図である。 ヌル発生時の通信成功率と通信距離との関係を示す特性図である。 リーダライタ搬送波およびリーダライタ受信波のそれぞれの波形を示す波形図(ICカード負荷変調ON時に、負電圧となる場合)である。 リーダライタ搬送波およびリーダライタ受信波のそれぞれの波形を示す波形図(ICカード負荷変調ON時に、正電圧となる場合)である。 リーダライタ搬送波およびリーダライタ受信波のそれぞれの波形を示す波形図(ヌル点:ICカード応答が振幅に現れない場合)である。 従来の受信信号の差電圧と通信距離との関係を示す特性図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るリーダライタシステムの構成を示す図である。これは、実施例1〜実施例4に共通の構成図である。
図示の非接触ICカードシステムは、リーダライタ装置1とICカード2とを有する。また、通常、不図示の上位装置も存在する。
リーダライタ装置1、ICカード2は、上述した非接触ICカードリーダライタ装置、非接触ICカードであり、近距離無線通信によって相互にデータ送受信を行う。また、それ故に、上述したヌル点問題が発生し得る。
リーダライタ装置1は、不図示の上位装置(ホスト)との通信機能を有し、上位装置からの指示に応じて、ICカード2との近距離無線通信を行う。
リーダライタ装置1は、制御部10、RF送信制御部20、アンテナ部30、RF受信制御部40を有する。また、RF送信制御部20−アンテナ部30間に、インダクタンス
素子L21を設けている。
制御部10、RF送信制御部20、アンテナ部30は、上記従来のリーダライタ装置100における制御部110、RF送信制御部120、アンテナ回路130と略同様であってよく、以下、簡単に説明する。
制御部10は、送信時の符号化処理、および受信時のフレーム生成、データチェック等を行う集積回路(通信制御LSI)で構成されるものであり、RF送信制御部20、RF受信制御部40を介してアンテナ部30に接続される。制御部10は、上記制御部110と略同様に、RF送信制御部20に任意の送信データを送出し、あるいはRF受信制御部40から任意の受信データを受け取る。
RF送信制御部20は、変調部21、キャリア発振器22、増幅部23を備える。データ送信の際には、変調部21は、キャリア発振器22が発生させる所定周波数(例えば、13.56MHz)の搬送波を、制御部10からの送信データで振幅変調する。この振幅変調波を次段の増幅部23で増幅して所定の送信出力とする処理を行い、アンテナ部30に供給する。
また、ICカード2からのデータ受信の際には、上記搬送波を振幅変調せずにアンテナ部30に供給する。
アンテナ部30は、送受信を兼用しており、RF送信制御部20と共にRF受信制御部40が接続されており、RF送信制御部20から出力される上記振幅変調波または搬送波に応じた電磁波を、周辺空間上に送出するものである。また、ICカード2からのデータ受信の際には、ICカード200からの負荷変調信号を受信するものである。
アンテナ部30は、少なくともコンデンサC11,C12,および自己インダクタンスL11を有するループアンテナで構成されている。自己インダクタンスL11を有するループアンテナは、配線もしくは基板の銅箔パターンで渦巻き状に複数回巻いた形態とする。
アンテナ部30は、搬送波周波数に同調させる調整を行っており、ループアンテナの自己インダクタンスL11、およびコンデンサC11により、その同調周波数foは、以下に示す(1)式で定義される。
fo = 1 / 2π√(L11×C11)・・・(1)式
また、本構成では、RF送信制御部20−アンテナ部30間に、インダクタンス素子L21を設けている。そして、RF受信制御部40は、アンテナ部30による受信信号をインピーダンスが異なる2点(インダクタンス素子L21の両端)から入力して、この2つの入力それぞれに対して検波・増幅・2値化して復調信号Q1,Q2を生成する。つまり、2系統の復調信号生成回路を有する。
すなわち、一方の受信系統は、インダクタンス素子L21の1端(RF送信制御部20側)からの受信信号S1を、復調処理部41で検波・増幅し、これを2値化部43で2値化することで、復調信号Q1を生成する。同様に、他方の受信系統は、インダクタンス素子L21の他端(アンテナ部30側)からの受信信号S2を、復調処理部42で検波・増幅し、これを2値化部44で2値化することで、復調信号Q2を生成する。
尚、復調処理部41、42、及び2値化部43、44は、その処理機能自体は、上記従来の復調処理部141及び2値化部142と同じであってよく、相違点は従来では1系統であったのが本例では2系統となっている点であるので、ここでは特に説明しない。
上記2系統の検波・増幅・2値化構成によって生成された上記2つの復調信号Q1、Q2は、復号制御部45に入力される。復号制御部45は、この2つの復調信号Q1、Q2の何れか一方を選択して、選択した復調信号QをNRZ符号化データに復号処理して受信データを生成する。そして、この受信データ(NRZ符号)を制御部10に渡す。
図2は、通信距離を変化させた時のインダクタンス素子L21の両端におけるリーダライタ受信信号(但し、ここでは、受信信号を検波・増幅した信号)の差電圧V1,V2と通信距離との関係を示す特性図である。
ここでは仮に、インダクタンス素子L21の一端(送信制御部20側)に係る受信信号の差電圧ΔVをV1、インダクタンス素子L21の他端(ループアンテナ側)に係る受信信号の差電圧ΔVをV2として示す。尚、差電圧ΔVとは、上記図14で説明した通り、電圧Vaと電圧Vbとの電圧差であり、換言すれば負荷変調ON時の電圧とOFF時の電圧との電圧差である。
図2に示されるように、差電圧V1に係る受信信号は、通信距離d1においてヌル点が発生するが、同通信距離d1において差電圧V2に係る受信信号は十分な電圧差を有した受信信号となる。このようにインダクタンス素子L21を介した2点の受信信号を検波することで、受信特性が異なる(ヌルの発生位置が異なる)2種類の受信信号を得ることが可能となる。尚、図2には、差電圧V2に係る受信信号においてヌル点が発生する状態は示していないが、当然、ヌル点は発生し得る。しかし、1つの受信信号の両方で、同じ通信距離においてヌル点が発生することはない。
このような構成のリーダライタ装置1と近接したICカード2は、リーダライタ装置11から無線送信される13.56MHzの搬送波(電磁波)から電源を生成し、リーダライタ装置1と無線通信できる。尚、ICカード2の構成は、従来のICカード200と同じであってよく(従来公知のものを使用する)、それ故に同一符号を付してあり、その説明は省略する。
また本実施例では、変調/復調信号は212kbpsの伝送速度でやりとりされるマンチェスタ符号とし、通信パケットのフォーマットは図3に示す形態とする。
すなわち図3に示すように通信パケットフォーマットは、少なくとも48ビット長の論理0のプリアンブル領域(Preamble)、2バイト長の同期符号領域(SYNC)、1バイト長のデータ長領域(Length)、最大254バイト長のペイロード領域(Payload)、及び巡回冗長検査領域(CRC)の各領域を持つように形成される。同期符号領域のデータは、固定値(本例では、B2_4D(hex))を使用するものとする。
また、データ長領域(Length)、ペイロード領域(Payload)、及び巡回冗長検査領域(CRC)の3つの領域から成る部分を、データ部というものとする。後述するデータ復号部64では、このデータ部を復号することで、受信データ(NRZ符号)を生成する。
図4は、図1に示す復号制御部45の詳細な構成例を示す図である。
図4に示す復号制御部45には、図1に示した2系統の復調信号生成回路により生成された2つの復調信号(復調信号Q1,復調信号Q2)、およびリーダライタ装置1の制御部10で使用する基準クロック(例えば13.56MHz)が入力される。
復号制御部45は、復調信号Qの入力、及び入力した復調信号Qに基づいて受信クロック生成及び受信開始位置を検出するための構成(受信系統)を、上記各復調信号Q1、Q2に応じて2系統備える。すなわち、復調信号Q1に応じて、受信クロック信号P1を生成する受信クロック生成部50aと受信開始位置等を検出するための同期符号検出部61
aとから成る受信系統Aと、復調信号Q2に応じて、受信クロック信号P2を生成する受信クロック生成部50bと受信開始位置等を検出するための同期符号検出部61bとから成る受信系統Bとの、2系統を備える。
尚、上記2系統の受信系統A,Bは、広義には、上記2系統の検波・増幅・2値化構成(復調処理部41、42、及び2値化部43、44)も含まれると考えてもよい。つまり、この場合、復調処理部41及び2値化部43は受信系統Aに含まれ、復調処理部42及び2値化部44は受信系統Bに含まることになる。
受信クロック生成部50aは、レベル変化検出部51a、位相比較器52a、制御発振器53a、及びクロック生成部54aを有する。受信クロック生成部50bも、その構成自体は受信クロック生成部50aと同じであり、レベル変化検出部51b、位相比較器52b、制御発振器53b、及びクロック生成部54bを有する。
尚、受信開始位置とは、上記データ部の先頭位置すなわちデータ長領域(Length)の先頭位置を意味するが、同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出することで、この最後尾の次のビットが受信開始位置であることが分かるので、ここでは同期符号領域(SYNC)の最後尾の検出が、受信開始位置を意味するものとして説明する。
尚、同期符号検出部61a、61bの出力は、図示の通り同期符号検出信号R1,R2とする。これら同期符号検出信号R1,R2は、同じ信号であり且つ2種類の信号より成る。つまり、同期符号検出信号R1,R2は、それぞれ、同期符号領域(SYNC)の先頭の検出信号と最後尾の検出信号とから成る。尚、同期符号領域(SYNC)の最後尾の検出信号は、上記の通り、受信開始位置を示すものである。
尚、上記の様に、受信クロック生成部50aと50bは同じ構成なので、両者を区別して説明する必要が無い場合は、受信クロック生成部50、レベル変化検出部51、位相比較器52、制御発振器53、クロック生成部54と記して説明する場合がある。これは、各種信号についても同様であり、上記復調信号Q1、Q2を特に区別せずに復調信号Qと記す場合もあるし、受信クロック信号P1、P2を特に区別せずに受信クロック信号Pと記す場合もある。同期符号検出信号R1,R2も、特に区別せずに同期符号検出信号Rと記す場合もある。
復号制御部45は、更に、受信系統選択判定部62、受信系統切換え部63、データ復号部64を備える。
受信系統切換え部63には、上記2系統の受信系統の両方からの入力がある。すなわち、上記受信系統Aからは、上記復調信号Q1と受信クロック信号P1、及び同期符号検出部61aの出力が、受信系統切換え部63に入力される。尚、同期符号検出部61aの出力は、受信系統選択判定部62にも入力される。
同様に、上記受信系統Bからは、上記復調信号Q2と受信クロック信号P2、及び同期符号検出部61bの出力が、受信系統切換え部63に入力される。尚、同期符号検出部61bの出力は、受信系統選択判定部62にも入力される。
尚、上記の通り、同期符号検出部61a、61bの出力は、同期符号領域の先頭と最後尾の2種類の検出信号であり、このうちの最後尾の検出信号は上記の通り受信開始位置検出を意味するものである。この点は従来と同様であるが、本例では更に同期符号領域の先頭も検出しており、これによって同期符号領域の範囲(先頭と最後尾)を検出するようにしている。
ここで、同期符号検出部61a、61bの出力は、上記の通り、2種類の信号であるが、例えば出力信号線を2本とし、そのうちの1本のみ(最後尾の検出信号の出力線)が受信系統切換え部63に入力されるようにしてもよい。これによって、データ復号部64には、従来と同様、受信開始位置検出信号のみが入力されることになる。尚、この場合でも、受信系統選択判定部62には2本とも入力されることになる。
これより、以下の説明では、受信系統選択判定部62と受信系統切換え部63への入力に関して、何れも同期符号検出信号R(R1,R2)が入力されるものとして説明するが、上記の通り受信系統切換え部63に関しては同期符号検出信号Rの一部(受信開始位置検出信号のみ)が入力される構成も有り得る。
尚、受信系統切換え部63において、入力に関しては図示のIN1a等の入力端子に入力され、出力に関しては図示のOut1等の出力端子から出力されるが、詳しい説明は省略する。
受信系統選択判定部62は、位相比較器52a、52bの出力、及び同期符号検出信号R1,R2を入力して、受信系統切換え部63に上記2系統からの入力の何れか一方を選択・出力させる為の選択信号を、生成する。そして、この選択信号を受信系統切換え部63に出力する。
受信系統切換え部63は、この選択信号に従って、上記2系統からの入力の何れか一方を選択・出力する。すなわち、何れか一方の系統の復調信号Q、受信クロック信号P、及び同期符号検出信号Rを、データ復号部64へ出力する。
データ復号部64は、これら復調信号Q、受信クロック信号P、及び同期符号検出信号Rに基づいて、復調信号Qの復号処理を行って、NRZ符号に復号した受信データを生成・出力する。すなわち、データ復号部64は、復調信号Qを、受信クロック信号Pによってサンプリングし、また同期符号検出信号Rによって受信開始位置(データ部先頭)を認識して、復調信号Qのデータ部をNRZ符号に復号した受信データ(復号データ)を生成して、制御部10へ出力する
この受信データは、上記データ長領域(Length)及びペイロード領域(Payload)を復号したものである。尚、巡回冗長検査領域(CRC)も復号して、これを用いてCRCチェック(復号誤りチェック)を行ったうえで、問題なければ上記受信データを出力するようにしてもよい。
以下、図4に示した各構成ブロックの動作について説明する。
まず、受信クロック生成部50は、ディジタルPLL回路にて構成され、復調信号(マンチェスタ符号化信号、212kbps)のレベル変化タイミングからビットレートの2倍の周波数(本例では424kHz)のパルス信号を生成し、復調信号1bit長の中で概ね1/4,3/4の位置で出力する(つまり、受信クロック信号Pを生成・出力する)。
この受信クロック信号Pは、後段の同期符号検出部61、データ復号部64で復調信号Qをサンプリングするタイミングとして使用する。
以下、受信クロック生成部50内の各構成について説明する。
尚、受信クロック生成部50自体は従来から存在するものであり、図示の受信クロック生成部50内の各構成は既存の構成の一例であるので、以下、簡単に説明するものとする。
まず、レベル変化検出部51は、復調信号Qを基準クロックでサンプリングして前回値との排他的論理和をとることで、復調信号Qのレベル変化を検出する。すなわち、図5に示すように、復調信号Qの‘1’→‘0’または‘0’→‘1’の変化点で、レベル変化
点検出信号を出力する。
制御発振器53は、基準クロックで動作するカウンタ(例えば17bitダウンカウンタ)で構成され、そのカウンタ減算値(1クロックパルス毎の減算値)は、固定的ではなく、後述の位相比較器52から得られる位相差データによって変更制御される。また、そのカウンタ値データは、MSBを±符号データとし、00000→1FFFF〜10000→0FFFF〜00000(hex)の範囲で繰返し動作する。
尚、図5に示すカウンタデータにおける(+)、(−)、‘0’は、それぞれ、カウンタ値の最大値、最小値、‘0’値を意味する。上記カウンタ値データにおいて、(+)は0FFFF、(−)は10000、‘0’は00000であることになる。
クロック生成部54は、制御発振器53のカウンタ値データが10000→0FFFF (hex)に変化するタイミングで基準クロック1周期分のパルスを出力する。これは、上記の通り(そして図5に示す通り)、復調信号1bit長の中で概ね1/4,3/4の位置でパルス出力することになる。
図5は、本発明の実施例に係る受信クロック生成部50の動作シーケンスを示す図である。
図5に示されるように、受信クロック生成部50においては、復調信号Qとして212kbpsのマンチェスタ符号が入力されると、制御発振器53が、データレートの2倍にあたる概ね424kHzでカウントアップするように制御され、復調信号1bit長の中で1/4長,3/4長の位置で図示の受信クロック生成パルスが出力され、これが受信クロック信号Pとなる。
ここで、図5に示すカウンタデータにおける斜めの部分(上記1FFFF〜10000等の徐々に減算していく部分等)の傾きは、上記カウンタ減算値によって決まるものであり、上記のように位相差データによってカウンタ減算値が変わることで、この傾きが変わることになる。つまり、受信クロックPの周期(周波数)が変わることになる。これは、図5に示すように、上記レベル変化検出部51によるレベル変化検出のときに、上記カウンタ値データが上記‘0’となっているように、カウンタ減算値が、位相比較器52によって変更制御されるようになっている。
すなわち、位相比較器52は、レベル変化検出部51から得られる復調信号のレベル変化情報と、制御発振器53のカウンタ値データとから、上記位相差データを生成し、これを制御発振器53のカウンタ減算値にフィードバックする。
すなわち、復調信号Qのレベル変化発生時に、制御発振器53のカウンタ値をラッチして、そのときのカウンタ値データ(正負・カウンタ値)により制御発振器53のカウンタ減算値を増減する。当然、そのときのカウンタ値データ値が上記‘0’(00000)であったならば、カウンタ減算値は増減することなく現状維持となり、‘0’以外の場合にはカウント値自体が‘0’との差を示すものとなり、カウント値を用いてカウンタ減算値を増減することで、レベル変化発生時にカウント値が‘0’の状態となるように制御することができる。これにより、復調信号が一定の転送レートで入力されている時は、復調信号Qのレベル変化は位相差データが00000(hex)付近で発生するように制御される。
尚、図5においては、位相差データは、+Δφ、−Δφ、0等として示しており、このΔφが上記カウント値に相当し、カウント値が正の値((+)側)であれば+Δφ、負の値((−)側)であれば−Δφが、位相差データとして出力されることになる。また、上記の通り、カウント値が(00000)であれば0が出力されることになり、この場合はカウンタ減算値は増減されないことになる。
ここで、一般的に、復調信号のDuty歪み量が大きくなるにつれて、位相差データの絶対値も大きくなる。また、復調信号にノイズパルスが重畳した場合も、絶対値の大きな位相差データとなる。これより、本手法は、位相差データを用いて選択判定を行うことで、より正常な方の復調信号Q等を用いて復号データを生成・出力することができ、通信エラーの発生頻度を低減することができる。
特に2系統の復調回路による2つの復調信号Q1,Q2の何れか一方が、ヌル状態またはヌル状態に近い状態であり、絶対値の大きな位相差データとなっていても、同期符号領域等においてはビットエラーが発生していないケースであって、データ部においてビットエラーが発生するようなケースに対して、より正常な方の系統を選択してそのデータを用いて復号データを生成できるので、データ部においてビットエラーが発生する可能性を低くでき、通信エラーの発生頻度を低減することができる。
ここで、位相比較器52の出力例を図6(a)、図6(b)に示す。
図6(a)は、復調信号QのDutyが概ね50%でノイズパルスも無く、正常に受信可能な場合の位相比較器52の出力の様子を示している。これに対して、図6(b)は、復調信号QのDuty歪みが大きく間欠的にノイズパルスも重畳されている状態(例えばヌル状態やそれに近い状態)での位相比較器52の出力の様子を示している。
尚、リーダライタ装置の基準クロックと、ICカードの基準クロックが異なる場合は、双方のクロック周波数の差異で位相差データにオフセットが生じる。このオフセット成分のキャンセル処理については後述する。
同期符号検出部61は、復調信号Qと受信クロック信号Pが入力されて、受信クロック信号Pに基づいて復調信号Qをサンプリングし、上記2バイト長の同期符号領域(SYNC)の先頭部、および最後尾のタイミングを検出する。
尚、従来では、同期符号領域(SYNC)の最後尾のタイミングを検出する同期符号検出部は存在したが、本例の同期符号検出部61は上記の通り、最後尾だけでなく先頭部も検出する。
検出方法は、最後尾については従来と同様である。すなわち、同期符号領域(SYNC)のデータ値は予め決まっている固定値(例えば、B24D(16進)等)なので、上記復調信号Qのサンプリング結果として得られるデータ値が、この固定値と一致したタイミングで、最後尾の検出信号を出力する(例えば、1パルス出力する)。尚、これは、受信開始位置を検出するものと言える。
尚、上記のことから、この最後尾の検出信号は、単に同期符号領域(SYNC)の最後尾のタイミングを示すというだけでなく、同期符号領域(SYNC)が正常受信されたことを示すことを意味する。つまり、受信した復調信号Qにおける同期符号領域(SYNC)のデータが、上記固定値(例えば、B24D(16進)等)となっていない場合、すなわち何らかの異常(ヌル状態等)によって同期符号領域(SYNC)中の一部にエラービットがあった場合等には、上記最後尾の検出信号出力は行われないことになる。
この様に、同期符号検出部61は、最後尾の検出に関しては、同期符号領域(SYNC)が正常受信できたこと及び受信開始位置を、検出するものと言える。
一方、先頭部の検出に関しては、SYNCコードの1ビット目を検出するものであり、これは例えば1ビット目が‘1’であり、また上記の通りプリアンブル領域(Preamble)は全て‘0’であるので、上記復調信号Qのサンプリング結果として得られるデータ値が
例えば‘0001(16進)’となったときに、先頭部の検出信号を出力する(例えば、1パルス出力する)。
受信系統選択判定部62には、上記の通り、位相比較器52a、52bの出力、及び同期符号検出部61a、61bの出力が入力される。すなわち、2つの復調信号Q1,Q2それぞれに対応した位相差データ、及び同期符号領域(SYNC)の先頭部/最後尾のタイミング情報が入力される。そして、これらの入力に基づいて、同期符号領域(SYNC)の期間のDuty歪みやノイズ成分が比較的少ない方の受信系統のデータ(復調信号等)を選択する判定を行う。
この選択判定方法として、本手法では様々な方法を提案する。ここでは例えば以下に説明する方法を提案し、これを実施例1とするが、他の方法は後に実施例2,3,4として説明する。
実施例1における選択判定方法は、位相差データと比較・判定する為の判定閾値(図6に示す判定閾値(上限)、判定閾値(下限)等)を予め設定しておき、同期符号領域(SYNC)の期間内の各位相差データ値がこの判定閾値を越えた回数をカウントする機能を備え、カウント回数の少ない方の受信系統(復調信号)を選択する。例えば一例としては、上記カウント機能として2系統それぞれに対応して、位相差データの絶対値と判定閾値を入力して位相差データの絶対値の方が大きい場合に1パルス出力するコンパレータと、このコンパレータ出力を入力して1パルス毎にカウントアップする閾値超過回数カウンタ(何れも図示せず)とから成る構成を設ける。尚、各閾値超過回数カウンタは、上記同期符号領域(SYNC)の先頭部/最後尾の検出信号によって、同期符号領域(SYNC)の先頭部で0リセットされ、同期符号領域(SYNC)の最後尾でカウント機能を停止する。その後、両系統のカウンタ値を比較して少ない方の受信系統を選択する。
このような判定・選択を行ったパケットを受信中は、この選択判定結果を保持する。これより、選択された方の復調信号Qにおける同期符号領域(SYNC)の後のデータ部の各領域、すなわち上記データ長領域(Length)、ペイロード領域(Payload)、及び巡回冗長検査領域(CRC)が、データ復号部64に渡されて復号されることになる。
また、入力された位相差データとその前回値との差分をとり(微分データ)、上記閾値判定処理を行うことで、リーダライタ装置とICカードの基準クロック周波数の差異(同じ周波数に設定されているが、実際には微妙が違いが生じる場合がある)によるオフセット成分をキャンセルでき、復調信号のDuty歪み、ノイズ有無の判断精度を向上させることができる。
例えば、上記リーダライタ装置1の基準クロック周波数とICカード2の基準クロック周波数との多少の差異によって、位相差データが、例えば、図6(a)に示す信号と同様に変動が小さいものであるが、図6(a)に示す信号では0付近を中心としたものであるのに対して、上下(±)何れかの任意の値(判定閾値を越える場合も有り得る)を中心とした信号となる場合が考えられる。このような上記‘0’と上記任意の値との差が、オフセット成分である。この様なケースに対して、上記のように、入力された位相差データとその前回値との差分(微分データ)をとることで、オフセット成分をキャンセルすることができる。
受信系統切換え部63には、上記の通り、2系統の復調信号Q、受信クロックP、同期符号検出信号R(但し、上記の通り、受信開始位置検出信号のみとする場合もありえる)、及び受信系統選択判定部62からの選択信号が入力され、この選択信号に応じて何れか一方の受信系統の復調信号Q、受信クロックP、同期符号検出信号Rを出力する。この受
信系統の選択切換えは、同期符号領域(SYNC)の最後尾検出のタイミングとし、選択された受信系統の通信パケットのデータ長領域(Length)、ペイロード領域(Payload)、および巡回冗長検査領域(CRC)を出力する。
データ復号部64では、上記の通り、受信系統切換え部63から出力される復調信号Q、受信クロックP、同期符号検出信号Rを受けて、復号処理を行って受信データ(NRZ符号)を生成・出力する。
尚、データ部(データ長領域(Length)以降)の前の段階で受信系統の選択切換えを行う必要があるが、それ故に、プリアンブル領域を用いて選択判定を行うことも考えられる。しかしながら、プリアンブル領域は、その先頭の何ビット分かが、アナログ処理の段階で欠落する場合が有り得る為、選択判定精度が落ちる(実用的ではない)。この為、本手法では、プリアンブル領域ではなく、同期符号領域(SYNC)の信号を用いて、受信系統の選択切換えの為の判定を行うようにしている。
以上、本手法の一例について説明した。
上記説明における受信系統選択判定部62における受信系統の判定処理は、上記の通り、実施例1の処理である。これは、上記の通り、2系統の位相差データそれぞれについて判定閾値を越えた回数をカウントし、カウント値が小さい方の受信系統を選択するものである。
但し、これは一例であり、この例に限らない。例えば以下に説明する実施例2では、位相差データの積算値を用いて判定する。尚、実施例2は、受信系統選択判定部62における受信系統の判定処理に関しては実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と略同様であってよい。これは、後述する他の実施例3,4についても同様である。よって、以下、実施例1と略同様の点については、特に説明しない。
実施例2は、上述した実施例1と略同一の構成を備えつつ、受信系統選択判定部62の受信系統判定処理において、各復調信号Q1,Q2に対応した2つの位相差データの積算機能を備え、積算値の小さい方の受信系統を選択し、その復調信号Qを復号させる。これは、位相差データの絶対値を積算していくものである。これより、以下の実施例2の説明において、積算する「位相差データ」とは、「位相差データの絶対値」を意味するものとする。
図7(a)、図7(b)は、位相差データの積算結果の推移を示す図である。
図7(a)、図7(b)において、横軸は時間軸であり、縦軸は位相差データの積算値を示す。これは、同期符号領域(SYNC)における位相差データの積算値であり、時間経過と共に、同期符号領域の先頭から最後尾までの位相差データを順次積算していくことで、当然、積算値は増大していく(上記の通り、絶対値であるので)。
そして、図7(a)は、復調信号QのDutyが概ね50%でノイズパルスも無く、正常に受信可能な場合の位相差データ積算値の時間的推移を示している。これは例えば図6(a)の位相差データの積算値を示すものである。これに対して、図7(b)は、復調信号のDuty歪みが大きく間欠的にノイズパルスも重畳されている状態(ヌル点またはヌル点に近い状態)における位相差データ積算値の時間的推移を示している。これは例えば図6(b)の位相差データの積算値を示すものである)。
そして、図7(a)、(b)何れの場合も、同期符号領域の最後尾における積算値(図上、最も右側)を積算結果として、比較判定に用いることになる。尚、上記積算処理の開始/終了のタイミングは、上記同期符号領域(SYNC)の先頭部/最後尾の検出タイミング
である。また、尚、図7には“受信系統切換え判定閾値”を示しているが、これは後述する実施例4で用いるものであり、本実施例2では関係のないものである。
受信系統選択判定部62では、2系統の復調信号Q(その同期符号領域)の各位相差データの積算結果を大小比較し(相互に比較し)、積算結果値が小さい方の受信系統を選択して受信系統切換え部63に選択信号を出力する。例えば、受信系統Aは図7(a)、受信系統Bは図7(b)であったとしたならば、受信系統Aの選択信号を出力することになる。
受信系統切換え部63の動作は、上記実施例1と同じであり、受信系統選択判定部62からの選択信号に応じて、何れか一方の受信系統からの各種データ(復調信号Q、受信クロックP、同期符号検出信号R)を、選択・出力する。また、データ復号部64に関しても上記実施例1と同じであり、受信系統切換え部63から選択・出力される復調信号Q、受信クロックP、同期符号検出信号Rを受けて、NRZ符号の受信データに復号する処理を行う。
尚、実施例2に関しても、実施例1と同様に、微分処理を行うようにしてもよい。すなわち、積算処理前に、今回の受信パケットに係わる位相差データと前回の受信パケットに係わる位相差データ(保持しておく)との差分をとり(微分)、この差分値を用いて上記積算処理を行うことで、つまり位相差データ積算の代わりに差分値の積算を行い、2系統に応じた2つの差分値積算結果を相互に比較することで、差分値積算結果が小さい方の受信系統を選択して受信系統切換え部63に選択信号を出力するようにしてもよい。
この様な微分処理を行うことで、既に述べた通り、オフセット成分をキャンセルすることができ、復調信号のDuty歪み、ノイズ有無の判断精度を向上できる。
また、積算期間に関しても、同期符号検出部61からの2バイトの同期符号領域(SYNC)の先頭部、および最後尾のタイミング情報を受けて、その間の積算処理を行う。
尚、何れか一方の受信系統に係わる同期符号検出部61において、上記同期符号領域(SYNC)の先頭部/最後尾が検出されない場合も有り得る。この場合には、当然、先頭部と最後尾が検出された受信系統が選択されることになる。
図8は、実施例2における受信系統選択判定部62の処理フローチャート図である。
但し、この処理は、ソフトウェアによって行ってよいが、この処理を実現する専用ハードウェアにより実現してもよい。この専用ハードウェアは、既存の構成要素を用いて容易に実現できるので、特に図示・説明はしない。尚、実施例2に限らず、実施例1,3,4に関しても、受信系統選択判定部62は、専用ハードウェアにより実現してもよい。例えば実施例1の場合、既に述べたように、位相差データを判定閾値と比較するコンパレータと当該コンパレータ出力に基づいて閾値を越えた回数をカウントするカウンタとを2つの系統に応じてそれぞれ設けて、更にこれら2つのカウンタによる最終的なカウント値を大小比較するコンパレータ等を設けることにより実現できる。
図8の処理は、任意のパケットを受信する毎に実行される。
図8に示す処理例では、まず、各同期符号検出部61a、61bからの出力に基づいて、受信系統A,Bのいずれか一方のみ同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出したのか(どちらの受信系統が検出したのか)、または受信系統A,Bの両方とも同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出したのかを判定し、この判定結果に応じて処理を分岐させる(ステップS11)。
実施例1で説明したように、受信系統選択判定部62には、受信系統A,Bそれぞれの
同期符号検出部61a,61bによる同期符号領域(SYNC)の検出信号が入力している。すなわち、各受信系統の受信パケットにおける上記2バイト長の同期符号領域(SYNC)の先頭部および最後尾のタイミングの検出信号が入力している。上記ステップS11や後述するステップS17の判定は、この検出信号によって行う。
受信系統A,Bのいずれか一方の同期符号検出部61のみが上記同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出したのであれば、選択の余地はなく、先頭部検出した受信系統が選択されることになる。すなわち、受信系統Aの同期符号検出部61aのみが同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出した場合には、ステップS12に移行し、受信系統Aを選択する(ステップS12)。同様に、受信系統Bの同期符号検出部61bのみが同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出した場合には、ステップS13に移行し、受信系統Bを選択する(ステップS13)。
尚、ステップS12の処理では受信系統切換え部63に対して受信系統Aの選択信号を出力し、ステップS13の処理では受信系統切換え部63に対して受信系統Bの選択信号を出力する。
これによって、受信系統切換え部63は、この選択信号に応じて、選択された受信系統の復調信号Q等を、データ復号部64へ選択・出力することになる。これによって選択された受信系統に関するデータ復号処理が、データ復号部64で実行されることになる(ステップS14)。尚、この様に、ステップS14の処理だけは、受信系統選択判定部62の処理ではないが、説明の為に図には記してある。
一方、受信系統A,Bの両方とも受信パケットにおける同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出した場合には、ステップS15へ移行して、受信系統A,Bそれぞれについて上述した位相差データ(逐一述べないが、上記の通り、絶対値である)の積算処理を行う(ステップS15)。すなわち、位相比較器52a,52bの出力(位相差データ)に基づいて、各受信系統A,B毎に位相差データを積算していく。この位相差積算処理は、ステップS16において上記同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出したと判定するまで(ステップS16がYESとなるまで)続行する。
すなわち、ステップS16で同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出していないと判定された場合には(ステップS16,NO)、ステップS15に戻って位相差積算処理を続行し、そしてステップS16において同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出するまでこのループを繰り返す。そして、同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出したら(ステップS16,YES)、ステップS17の処理へ移行する。
尚、基本的には、ステップS15,S16のループ処理が完了した時点では、各受信系統A,Bそれぞれについて、同期符号領域(SYNC)の期間における位相差データの積算値が得られていることになる。但し、何れか一方の受信系統において、同期符号領域(SYNC)の先頭部は検出されたが最後尾は検出されない、という事態も有り得る。これに応じて、例えば、何れか一方の受信系統に関してステップS16がYESになった後、所定時間経過したら、たとえ他方の受信系統に関してはステップS16がYESにならない場合でも、ステップS17の処理に移行するようにしてもよい。
そして、ステップS17において、受信系統A,Bのいずれか一方の系統のみが同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出したのか(どちらの受信系統が検出したのか)、または受信系統A,Bの両方で同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出したのかによって、処理を分岐させる。
上記先頭部の場合と同様に、受信系統A,Bのいずれか一方しか最後尾が検出されなかったのであれば、積算結果に関係なく、最後尾検出した受信系統が選択されることになる。すなわち、受信系統Aに関してのみ同期符号領域(SYNC)の最後尾が検出された場合には、ステップS12に移行し、受信系統Aを選択する(ステップS12)。同様に、受信系統Bに関してのみ同期符号領域(SYNC)の最後尾が検出された場合には、ステップS13に移行し、受信系統Bを選択する(ステップS13)。
一方、受信系統A,Bの両方で同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出した場合には、ステップS18へ移行して、系統A,Bの上記積算結果を相互に比較して、積算結果が小さい方を選択する。すなわち、例えば「受信系統Aの積算結果≦受信系統Bの積算結果」であるか否かを判定し(ステップS18)、当該ステップS18の判定がYESであるならば、すなわち受信系統Aの積算結果が受信系統Bの積算結果以下ならば、上述したステップS12の処理を行うことになる。つまり、受信系統Aが選択されることになる。
一方、ステップS18の判定がNOであるならば、すなわち受信系統Bの積算結果が受信系統Aの積算結果よりも小さいならば、上述したステップS13の処理を行うことになる。つまり、受信系統Bが選択されることになる。
尚、ステップS14の処理後はステップS11に戻り、次の受信パケットがあれば同様の処理を行う。
このように本実施例2の受信選択制御処理は、任意のパケットを受信する毎に、積算処理の開始/終了タイミングとして用いる同期符号領域の先頭部、最後尾のタイミング情報を受けて、同期符号領域(SYNC)における位相差の積算結果を比較することで受信系統の選択・切換え制御を行う。
ここで、本手法の特徴は、特にステップS11とS17の判定で系統A,Bの両方とも同期符号領域の先頭部、最後尾の検出があった場合にある。すなわち、従来の課題で説明した通り、ヌル状態またはヌル状態に近い状態において、復調信号Q1,Q2の何れか一方(又は両方)が不安定な信号状態となっているが、選択判定に用いるプリアンブル領域(Preamble)や同期符号領域(SYNC)においては不安定ながらもエラービットが生じなかった一方で、復号や復号誤りチェックに用いるデータ長領域(Length)、ペイロード領域(Payload)、巡回冗長検査領域(CRC)ではエラービットが生じた為に通信エラーとなるという場合が有り得る。
プリアンブル領域(Preamble)や同期符号領域(SYNC)を用いた選択判定のみでは、系統A,Bの両方とも同期符号領域の検出があった場合には、どちらでもよいことになり、例えばどちらかの系統を任意に選択した場合、通信エラーとなる可能性がある。つまり、一方の系統は正常で他方の系統は不安定な場合に、不安定な系統の方を選択してしまう場合も有り得る。あるいは、両方とも不安定であるが、不安定さの程度が、一方は比較的大きくて他方は比較的小さい場合も考えられ、この場合も、比較的不安定さの程度が大きい方を選択して、通信エラーとなる可能性を高めてしまう可能性がある。
これに対して、本手法では、上記ステップS15,S16,S18の処理を行うことで、2つの受信系統の位相差データに基づいて、比較的信号状態が良好な系統を選択することができ、通信エラーとなる可能性を低減することができる。これは他の実施例に関しても同様である。実施例1〜4は、選択判定手法が異なるものの、何れも位相差データを用いて選択判定を行うことで、ヌル状態またはヌル状態に近い状態が生じても、極力通信エラーが生じないように制御でき、通信エラーの発生頻度を低減することができる。
次に、以下、実施例3について説明する。
実施例3も、上記実施例2と同様に、受信系統選択判定部62における受信系統の判定処理に関しては実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と略同様であってよい。
実施例3は、上述した実施例1,2と略同一の構成を備えつつ、図4に示す受信系統選択判定部62の制御において、2系統それぞれについて、過去のパケット受信時の(過去の受信パケットに関する)位相差データの積算結果を保持しておき、これを今回受信したパケットに関する位相差データの積算結果に合算する。そして、2系統それぞれの合算結果を相互に大小比較して、合算結果の小さい方の受信系統を選択して、その復調信号Qを復号させる。
尚、上記“過去の受信パケット”とは、前回受信したパケットのみとしてもよいし、直近の複数の受信パケットとしてもよい。これは、例えば、前回と前々回に受信したパケットとし、この2つのパケットに関する位相差データの積算値を、今回受信したパケットに関する位相差データの積算値に合算する。
仮に、“過去のパケット”を前回受信したパケットのみとした場合、例えば受信系統Aに関しては過去の積算結果をα1、今回の積算結果をα2とし、受信系統Bに関しては過去の積算結果をβ1、今回の積算結果をβ2とした場合、例えば「α1+α2≦β1+β2?」の判定を行うことになる。
これにより、復調信号選択の精度を向上させることができる。また、ヌル点付近で復調信号のDuty歪みやノイズが間欠的に発生するような場合も、正常に受信可能な受信系統を選択できる。
次に、以下、実施例4について説明する。
実施例4も、上記実施例2、3と同様に、受信系統選択判定部62における受信系統の判定処理に関しては実施例1と異なるが、それ以外は実施例1と略同様であってよい。
実施例4は、上述した実施例1等と略同一の構成を備えつつ、図4に示す受信系統選択判定部62の制御において、上述した実施例2と同様に位相差データ(逐一述べないが、上記の通り絶対値である)の積算値を求めると共に、この積算値と予め設定される判定閾値とを用いて、受信系統の選択判定を行う。
この判定閾値は、実施例2の説明中で述べた例えば図7に示すような“受信系統切換え判定閾値”である。実施例4では、現在選択されている受信系統の位相差データの積算値が、上記判定閾値を超えた場合に、受信系統の切換えを行う。
図9は、実施例4における受信系統選択判定部62の処理フローチャート図である。
図9に示す処理例では、リセット解除後、まず、予め決められている受信系統を選択する(ステップS21)。本例では受信系統Aを選択するものとするが受信系統Bを選択するものであってよい(開発者等が予めどちらか一方に決めて設定しておく)。
尚、既に実施例1等で述べた通り、これら受信系統A,Bの選択は、受信系統切換え部63に対して、受信系統AまたはBの選択信号を出力することを意味する。
その後、任意のパケットを受信したら、上記ステップS11と略同様に、受信系統A,Bそれぞれの同期符号検出部61a,61bの検出信号に基づいて、受信系統Aにおいて受信パケットの同期符号領域(SYNC)の先頭部を検出したか否かを判定する(ステップS22)。これは、受信系統Aのみ先頭部を検出した場合に限らず、受信系統A,Bの両方とも先頭部を検出した場合でも、ステップS22の判定はYESとなり、ステップS23へ移行することになる。
一方、受信系統Bについてのみ受信パケットの同期符号領域(SYNC)の先頭部が検出された場合には(ステップS22,NO)、ステップS27へ移行する。すなわち、上記受信系統A選択状態から受信系統B選択状態へと切り替える(ステップS27)。これによって、データ復号部64において受信系統Bに係わる各種信号(復調信号Q2等)によってデータ復号処理が行われることになる。
その後は、後述するステップS28〜S32の処理において再び受信系統A選択へと切り替わるまでは、つまりステップS28の判定がNOとなることでステップS21に移行するまでは、受信系統B選択状態が続くことになる。よって、その間は、データ復号部64は、受信系統Bに係わる各種信号(復調信号Q2等)を入力してデータ復号処理を行うことになる。
尚、図示していないが、受信系統A,Bの両方とも先頭部を検出しなかった場合には、例えば何も処理せずに次のパケット受信待ちとしてもよいし、エラー出力するようにしてもよい。
上記ステップS22の判定がYESとなった場合の処理について説明する。
この場合は、まず、上記ステップS15,S16と同様の処理を行う。但し、処理対象は受信系統Aのみである。すなわち、受信系統Aについて上述した位相差データ積算処理を行う(ステップS23)。すなわち、位相比較器52aから出力される位相差データ(逐一述べないが、上記の通り“絶対値”である)を積算していく。上記実施例2と同様に、この位相差データ積算処理は、ステップS24において上記同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出したと判定するまで、すなわちステップS24がYESとなるまで、続行する。つまり、ステップS24で同期符号領域(SYNC)の最後尾を未だ検出していないと判定された場合には(ステップS24,NO)、ステップS23に戻って位相差データ積算処理を続行する。ステップS24の判定がYESとなるまでこのループを繰り返す。
そして、同期符号領域(SYNC)の最後尾を検出した場合には(ステップS24,YES)、ステップS25に進み、上記位相差データ積算処理によって得られた位相差データの積算結果値が、予め設定されている所定の閾値以下であるか否か(積算結果≦閾値?)を判定する(ステップS25)。ここで、この閾値は、例えば上述した図7に示す「受信系統切換え判定閾値」であり、開発者等が予め任意に決めて設定しておくものである。
尚、同期符号領域(SYNC)の期間(先頭受信から最後尾受信までの期間)は、ある程度は分かっているので、図示していないが、上記先頭部検出時から上記の期間に相当する所定時間(+α)経過しても最後尾が検出されなかった場合には、ステップS27に移行して受信系統B選択状態へと切り換えるようにしてもよい。
位相差データの積算結果が閾値以下である場合には(ステップS25,YES)、上記受信系統A選択状態を継続する(ステップS26)。これより、受信系統切換え部63によって受信系統Aの各種信号(復調信号Q1等)が選択・出力されて、データ復号部64において受信系統Aの復調信号Q1等を用いてデータ復号処理が行われることになる。
その後は、ステップS22に戻り、次のパケット受信があったら再び上記判定等を行うことになる。そして、ステップS22またはS25の判定がNOとならない限りは、受信系統A選択状態を継続することになる。よって、その間は、データ復号部64は、受信系統Aの受信パケットについてデータ復号処理を行うことになる。
尚、実施例4では、上記の通り、受信系統Aと受信系統Bとの比較は行わない。よって
、例えば、受信系統A,Bの両方で同期符号領域を正常に検出でき、更に位相差データの積算結果が受信系統Bの方が少ない場合であっても(つまり、受信系統Bの復調信号Qの方が良好な状態であったとしても)、ステップS25の判定がNOとならない限りは、受信系統Aが選択されることになる。
一方、位相差データ積算結果が閾値を越えた場合には(ステップS25,NO)、上記ステップS27へ移行する。ステップS27については既に述べた通りであり、受信系統B選択へと切り替わることになる。
そして、受信系統B選択状態において、ステップS28〜S32の処理が実行されることになる。これらステップS28〜S32の処理は、上記ステップS22〜S26と略同様の処理であり、処理対象が受信系統Aではなく受信系統Bである点が異なるものである。よって、ステップS28〜S32の処理については、以下、簡単に説明するものとする。
まず、受信系統Bに関して同期符号領域(SYNC)の先頭部が検出されたか否かを判定し(ステップS28)、検出されなかった場合、すなわち受信系統Aに関してのみ同期符号領域の先頭部が検出された場合には(ステップS28,NO)、上記ステップS21に戻る。すなわち、再び、受信系統A選択状態へと切り替わる。
一方、受信系統Bに関して同期符号領域(SYNC)の先頭部が検出された場合には(ステップS28,YES)、同期符号領域(SYNC)の最後尾が検出されるまでの間、受信系統Bに係わる位相比較器52bの出力値(位相差データ)を積算していく(ステップS29,S30)。そして、最後尾を検出したら(ステップS30,YES)、「積算結果≦閾値?」か否かを判定する(ステップS31)。尚、この閾値は、上記ステップS25の判定で用いる閾値と同じであってよい。
受信系統Bに係わる位相差データの積算結果が閾値以下である場合には(ステップS31,YES)、上記受信系統B選択状態を継続する(ステップS32)。これより、データ復号部64において受信系統Bに係わる各種信号(復調信号Q2等)を用いてデータ復号処理が行われることになる。そして、ステップS28に戻る。
一方、位相差データ積算結果が閾値を越えた場合には(ステップS31,NO)、上記ステップS21に戻る。すなわち、再び、受信系統A選択状態へと切り替わることになる。
このように本実施例4の受信選択制御処理は、受信系統A,Bどちらかを選択している状態で、当該選択している受信系統に関して、パケット受信毎に、同期符号領域(SYNC)の先頭部、最後尾を検出でき、且つ同期符号領域の期間における位相差データの積算値が、予め設定される所定の閾値以下であるか否かを判定して、この条件を満たしている限りは、たとえ他方の(現在選択していない)受信系統の方が良好であったとしても、現在の選択状態を維持する。
そして、上記条件を満たさなくなったら、すなわち同期符号領域(SYNC)の先頭部、最後尾を検出できないか、もしくは位相差データの積算値が所定の閾値を越えた場合には、他方の受信系統選択へと切り替える。
この様に、現在選択している受信系統に関して「同期符号領域(SYNC)の先頭部等が検出され且つ位相差データ積算値が閾値以下である」という条件が満たされている限りは、現在の受信系統選択状態を継続し、この条件が満たされなくなったら他方の受信系統選択
へと切り替える。
これにより、ヌル点付近で復調信号のDuty歪みやノイズが間欠的に発生するような場合も、正常に受信可能な受信系統が選択され、通信エラーが生じないようにできる。
以上説明したように、本例の非接触ICカードリーダライタ装置1、そのRF受信制御部40等によれば、受信特性が異なる2つの復調回路を有し、2系統の復調信号の何れか一方を選択して復号(受信データ生成)する。そして、同期符号領域(SYNC)の先頭部/最後尾の検出の有無や、同期符号領域(SYNC)における位相差データの状態に基づいて、良好な受信状態の受信系統を選択することができ、どちらか一方の受信系統がヌル状態であったとしても、他方の正常な状態の受信系統の復調信号を用いて受信データ生成することができ、通信エラーの発生頻度を低減することができる。特に、位相差データに基づいて、上記のように閾値判定や相互の大小判定を行うことで、2つの復調信号からDuty歪みやノイズ成分の少ない方を選択して復号処理を行うことが可能となり、通信エラーの発生頻度を低減する効果が高いものとなる。
1 リーダライタ装置
2 ICカード
10 制御部
20 RF送信制御部
21 変換部
22 キャリア発振器
23 増幅部
30 アンテナ部
40 RF受信制御部
41、42 復調処理部
43、44 2値化部
45 復号制御部
50(50a,50b) 受信クロック生成部
51(51a,51b) レベル変化検出部
52(52a,52b) 位相比較器
53(53a,53b) 制御発振器
54(54a,54b) クロック生成部
61(61a,61b) 同期符号検出部
62 受信系統選択判定部
63 受信系統切換え部
64 データ復号部

Claims (9)

  1. 受信特性が異なる2つの復調回路と、任意のパケットを受信する毎に該2つの復調回路が生成・出力する2系統の復調信号を入力して復号データを生成・出力する復号制御部とを有し、
    前記復号制御部は、
    前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号を入力して受信クロックを生成・出力する、レベル変化検出部と位相比較器と制御発振器を有する受信クロック生成手段と、
    前記2系統の復調信号を両方入力して、選択判定手段からの選択指示に応じて何れか一方の系統の復調信号を選択・出力する切換え制御手段と、
    該切換え制御手段から出力された復調信号に基づいて復号データを生成・出力するデータ復号手段と、
    前記クロック生成手段に含まれる前記位相比較器の出力である位相差データに基づいて、前記2系統の何れか一方を選択する判定を行い、該選択判定結果を前記選択指示として前記切換え制御手段へ出力する前記選択判定手段と、
    を有することを特徴とする非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  2. 前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号と前記受信クロックとを入力して、前記パケットにおける同期符号領域の先頭と最後尾を検出・出力する2つの同期符号領域検出手段を更に有し、
    前記選択判定手段は、前記同期符号領域の先頭、最後尾の検出出力に基づいて、更に前記同期符号領域における前記位相差データに基づいて、前記選択判定を行うことを特徴とする請求項1記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  3. 前記選択判定手段は、前記2系統の何れか一方の系統のみから前記同期符号領域の先頭及び最後尾の検出出力があった場合には、無条件で、該検出出力のあった系統を選択する判定を行うことを特徴とする請求項2記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  4. 前記選択判定手段は、前記2系統それぞれに関して前記位相差データと予め設定される所定の第1閾値とに基づいて位相差が第1閾値を越えた回数をカウントし、該2つのカウント値を比較して値が小さい方の系統を選択することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  5. 前記選択判定手段は、前記2系統それぞれに関して前記位相差データの絶対値の積算値を求め、該2つの積算値を比較して値が小さい方の系統を選択することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  6. 前記位相差データを保持しておき、前回のパケット受信時の位相差データと今回の受信パケットに関する位相差データとの差分を求め、前記位相差データの代わりに該差分値を用いて前記第1閾値との比較または前記積算値の算出を行うことを特徴とする請求項4または5記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  7. 前記位相差データの積算値を保持しておき、過去のパケット受信時の位相差データ積算値と今回の受信パケットに関する位相差データ積算値との合算値を求め、前記2つの積算値比較の代わりに該2つの合算値を比較して、値が小さい方の系統を選択することを特徴とする請求項5記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  8. 前記選択判定手段は、前記2系統のうち現在選択している系統に関して前記位相差デー
    タの積算値を求め、該積算値が予め設定される所定の第2閾値以下の場合には現在の系統選択状態を維持し、該積算値が前記第2閾値を越える場合には、現在選択していない系統を選択することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の非接触ICカードリーダライタ装置における受信制御装置。
  9. 送信制御部とアンテナ部と受信制御部とを有するリーダライタ装置であって、
    前記受信制御部は、前記アンテナ部による受信信号をインピーダンスが異なる2点から入力する2つの復調回路と、該2つの復調回路がそれぞれ生成・出力する2系統の復調信号を入力して復号データを生成・出力する復号制御部とを有し、
    前記復号制御部は、
    前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号を入力して受信クロックを生成・出力する受信クロック生成手段と、
    前記2系統それぞれに対応して設けられ、何れか一方の復調信号と前記受信クロックとを入力して、前記パケットにおける同期符号領域の先頭と最後尾を検出・出力する2つの同期符号領域検出手段と、
    前記2系統の復調信号を両方入力して、選択判定手段からの選択指示に応じて何れか一方の系統の復調信号を選択・出力する切換え制御手段と、
    該切換え制御手段から出力された復調信号に基づいて復号データを生成・出力するデータ復号手段と、
    前記2つの同期符号領域検出手段からの前記同期符号領域の先頭、最後尾の検出出力と、前記クロック生成手段に含まれる位相比較器の出力である位相差データとに基づいて、前記2系統の何れか一方を選択する判定を行い、該判定結果を前記選択指示として前記切換え制御手段へ出力する前記選択判定手段と、
    を有することを特徴とする非接触ICカードリーダライタ装置。
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