JP5331103B2 - エチレンエラストマー組成物 - Google Patents

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Description

この発明はエチレンエラストマー組成物に関する。
一般にエチレンエラストマーは、エチレン、プロピレン等のアルファ−オレフィン、及び加硫を促進するためのジエン等の第3成分から成る。第3成分の選択は、重合中の分岐反応と、得られたポリマーの分子構造に大きく影響する。
例えば、ジエンとして一般的なエチリデンノルボルネン(ENB)を用いたとき、チーグラー・ナッタ触媒(Z-N)による重合の場合は、カチオンカップリング反応によりジエンから長鎖分岐が成長する。一方、メタロセン触媒の場合は、このような分岐鎖の成長メカニズムは存在しない。メタロセン触媒によるENBの重合において見られる分岐鎖の欠如は、メタロセン触媒にはZ-N触媒系のようなENB分子に垂れ下がった二重結合のカチオンカップリング反応を生じるルイス酸性が存在しないことに原因がある。
エチレンエラストマーの製造において、ENBの代わりにジビニルベンゼン(DVB)やビニルノルボルネン(VNB)等の他のジエンを用いて得られたポリマーは、加硫特性の向上や過酸化物による架橋が可能になる等の、改善された物性を示す。
しかし、メタロセン触媒を用いてジビニルベンゼンやビニルノルボルネン等のジエンを重合した場合、垂れ下がった二重結合のポリマー主鎖への組み込みが促進される結果、大量の分岐鎖とゲルが生成する。このため、VNBを含むエチレンエラストマーは、通常チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造される。しかし、得られるポリマーは、やはり高レベルの長鎖分岐を有している。長鎖分岐は、加工性の改善には寄与するが、ポリマーのその後の加工工程において硬化速度と硬化度を低下させる。
このため、DVBやVNB等のジエンを用いてエチレンエラストマーを製造する際に、ゲルの生成が低減されるか、またはゲルが全く生成しないメタロセン触媒による重合プロセスの開発が求められている。
最近、5から25wt%のエチレン由来のユニットと、95から75wt%のプロピレン由来のユニットとを有し、特定のタイプのメタロセン触媒を用いることにより、プロピレン由来のユニットにアイソタクチックプロピレンシーケンスが含まれているプロピレン/エチレン共重合体が上市された。この共重合体は、曲げ弾性率、引張強度、及び弾性のバランスが優れており、VNB等のジエンと組み合わせれば優れたエラストマー組成物が得られると考えられる。
しかし、上記の共重合体の製造に用いられたメタロセン触媒は、VNB等のジエンが存在するとゲルを生成することが知られている。従って、このプロピレン/エチレン共重合体を基にして、ゲル生成の問題が解決されるか、または軽減されたエラストマー組成物の製造プロセスを開発することが望ましい。
米国特許6,096,849に、下式で表わされるシングルサイトメタロセン触媒の存在下において、直鎖状で均一なエチレン/アルファ−オレフィン/VNB共重合体を製造するプロセスが開示されている。
Figure 0005331103
ここで、Mは周期律表の第3族及び第4族金属からなる群から選択される遷移金属であり;LとL'は金属Mにη5結合しており、それぞれ独立して-NR'-、-PR'-、シクロペンタジエニル基、置換されたシクロペンタジエニル基から成る群から選択され;LとL'の少なくともいずれか1がシクロペンタジエニル基、または置換されたシクロペンタジエニル基であり;Yは-SiR2'-, -CR2'-、及び- CR2'-CR2'-から成る群から選択され、ここで R'は水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの混合物から成る群から選択され;Xはヒドリド基、ハロ基、アルキル基、アリール基、アリールオキシ基、及びアルコキシ基から成る群から選択され;nは0、1または2であり;中心金属においてLリガンドとL'リガンドとが成す角度が135から105°である。
メタロセン触媒として、エチルジインデニルジルコニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルジルコニウムジクロライド、及びジシクロペンタジエニルジメチルシリル-t-ブチルアミノチタニウムジクロライドが例示されている。
米国特許6,207,756には、半結晶性プラスチック(SP)成分と、無定形エラストマー(AE)成分との緊密な分散体を製造する方法が開示されている。
この方法は、a)所定の割合で混合された第1モノマー混合物と、溶剤とを第1反応器に供給する工程と、b)第1反応器に溶解性メタロセン触媒を添加する工程と、c)溶剤中で第1モノマー混合物を重合して第1ポリマーを含む流出物を生成させる工程と、d)流出物を第2反応器へ送る工程と、e)所定の割合で混合された第2モノマー混合物と、任意成分の溶剤及び触媒とを、第2反応器に供給する工程と、f)溶剤中で、第1ポリマーの存在下で第2モノマー混合物を重合して第2ポリマーを生成させる工程とを含み、1)第1及び第2モノマー混合物はエチレン、アルファ−オレフィン、非共役ジエンから成る群から選択され、2)第1及び第2ポリマーのいずれか一方が、融点が60℃を超えるSPであり、3)他方のポリマーは融点が60℃未満でエチレン含有量が20-70wt %のAE共重合体であり、4)第1ポリマーは主鎖に0.2未満のビニル基を有し、5)第1及び第2ポリマーは混和性があり、2相混合物を形成する。
好ましいメタロセン触媒には、
μ-(CH3)2Si(インデニル)2M(Cl)2
μ-(CH3)2Si(インデニル)2M(CH3)2
μ-(CH3)2Si(テトラヒドロインデニル)2M(Cl)2
μ-(CH3)2Si(テトラヒドロインデニル)2M(CH3)2
μ-(CH3)2Si(テトラヒドロインデニル)2M(CH2CH3)2、及び
μ-(C6H5)2Si(インデニル)2M(CH3)2
(ここで、MはZr、Hf、及びTi からなる群から選択される)からなる群から選択される、架橋されたビスインデニル化合物が含まれる。
米国特許6,319,998には、溶液重合で共重合体ブレンド物を製造する方法が開示されている。
この方法では、(a)少なくとも2種のモノマーから成る第1モノマー混合物と、溶剤とを、所定の割合で第1連続流撹拌反応器に供給する工程と、(b)第1反応器へメタロセン触媒を供給する工程と、(c)第1反応器で第1モノマー混合物を重合して第1共重合体を含む流出物を生成させる工程と、(d)工程(c)の流出物を第2連続流撹拌反応器に供給する工程と、(e)少なくとも2種のモノマーが所定の割合で混合された第2モノマー混合物と任意成分の追加の溶剤とを第2反応器へ供給する工程と、(f)第2反応器で第2モノマー混合物を重合して第2共重合体を含む流出物を生成させる工程とが含まれ、第1及び第2モノマー混合物は、エチレン、高級アルファ−オレフィン、非共役ジエンから成る群から選択され、第1及び第2反応器におけるモノマーの比率を、第1共重合体のエチレン含有量が0から85wt %で、第2共重合体のエチレン含有量が0から85wt %であり、共重合体ブレンド物のエチレン含有量が6から85wt%となるように制御され、第1反応器に、全触媒添加量の50-100wt%が添加される。
好ましいメタロセン触媒には、
μ-(CH3)2Si(インデニル)2Hf(CH3)2
μ-(CH3)2Si[テトラメチルシクロペンタジエニル] [アダマンチルアミド] Ti(CH3)2、及び
μ-(C6H5)2Si[シクロペンタジエニル][フルオレニル]Hf(CH3)2が含まれる。
米国特許6,806,336には、エチレンと、プロピレンと、重合可能な二重結合を2つ有するジエンとを溶液重合する方法が開示されている。
この方法では、A)第1段階で、エチレンと、プロピレンと、1以上のジエンとを、バナジウム触媒系の存在下で反応させて、重合可能な二重結合を2つ有するジエンを0から1モル%未満含有するポリマー組成物を製造し、B)第2段階で、エチレンと、高級アルファ−オレフィンコモノマーと、ビニルノルボルネンを含むジエンとを、同じ触媒系の存在下で反応させ、ここで、第2段階で添加されたビニルノルボルネンの量は、第1及び第2段階で添加した全ジエンの50%以上であり、C)0.1から0.5モル%のビニルノルボルネン由来のユニットと、5モル%を超えない量のジエン由来のユニットと、50から90モル%のエチレン由来のユニットと、残余のプロピレン由来のユニットとから成るポリマー生成物を回収する。
米国特許7,135,533には、a)50から90モル%のエチレン由来のユニットと、b)0.1から2モル%のビニルノルボルネン(VNB)由来のユニットと、c)残余の高級アルファ−オレフィンのユニットとから成り、d)分岐指数が0.7より大きく、e)任意成分としてVNBより少ない量のエチリデンノルボルネン(ENB)を含む、ポリマーが開示されている。
国際公開WO2005/049670には、(a):成分(a)、(b)、(c)の全重量に対し少なくとも60wt%のポリプロピレン由来のユニットと、(b):成分(a)、(b)、(c)の全重量に対し0.3から10wt%のジエン由来のユニットと、(c):成分(a)、(b)、(c)の全重量に対し少なくとも6wt%のエチレン由来のユニットとを含み、アイソタクチックプロピレン結晶性を有し、DSCによる融点が110℃未満で、融解熱量が5 J/gから50 J/gのエラストマーが開示されている。
本願出願人は、米国出願11/599,030 (Attorney Docket 2005B 143/2 US)に、ジエンにVNBを用い、架橋されたビス−インデニル遷移金属化合物と、非配位性アニオン(NCA)活性化剤から成る特定の触媒系を用いて、ゲルを生じることなくエチレンエラストマーを製造する方法を開示した。
架橋されたビス−インデニル遷移金属化合物は、リガンドとして2つの環を備えるシクロペンタジエニル(Cp)錯体から成り、このCp錯体は一般式(Cp1R1 m)R3(Cp2R2 p)MXqで表わされ、ここで、リガンド(Cp1R1 m) Cp1と、リガンド(Cp2R2 p)のCp2は同一であり;R1とR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、または炭素数が最大約20個のヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかであり;mは1から5;pは1から5;R1および/またはR2はシクロペンタジエニル環において隣接する炭素原子に結合した2つの置換基であり、互いに連結して炭素数が4から約20の環を形成し;R3は架橋基であって、2つのリガンドの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;Mは原子価が3から6の、周期律表4、5、または6族の遷移金属であって、最も高い酸化状態にある遷移金属であり;各Xは非Cpリガンドであり、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基であり;qはMの原子価から2を引いた値である。
好ましい遷移金属化合物の例として、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、及び、これらの化合物のジルコニウムをハフニウムまたはチタンで置き換えた化合物が挙げられる。
この発明は、VNB等のジエンを用いてエチレンエラストマー組成物を製造する際に、特定構造の架橋基及び置換基を有するビスインデニル遷移金属化合物と、非配位性アニオン(NCA)含む活性化剤とを含むメタロセン触媒系を用いることにより、ゲルの生成を抑制できるとの知見に基づく。
この触媒系を用いることにより、半結晶性エラストマー組成物や、上記のプロピレンリッチのエラストマー組成物等を含む多様なエラストマー組成物を製造することが可能になり、また、現在用いられているチーグラー・ナッタ触媒系と比較して、ジエン含有量を高くすることが可能になる。
さらに、この触媒系のゲル生成抑制効果は、第2の成分として従来の遷移金属化合物を相当量含んでいても維持されることを見出した。従来の遷移金属化合物は、高温で重合反応可能なことから、安価で使いやすい触媒として知られている。しかしその一方、VNBが存在するとゲルが発生しやすいことも知られている。
また、この2種類の触媒の比率を調整することにより、長鎖分岐構造を直鎖状からゲル形成までの広い範囲で制御することが可能になる。
すなわち、この発明はエラストマー組成物を製造する方法に関し、この方法では少なくとも1のメタロセン触媒化合物、及び非配位性アニオン活性化剤から成る触媒系と、エチレン、少なくとも1のアルファ−オレフィン、及び少なくとも1のジエンを含むモノマー混合物とを接触させる工程を含み、少なくとも1のメタロセン触媒化合物が一般式:(In1R1 m)R3(In2R2 p)MXqで表わされるインデニル(In)錯体であり、ここで;
1以上のR1はインデニル環In1の置換基であり、1以上のR2はインデニル環In2の置換基であり、R1とR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、または炭素数が最大約20個のヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、またはハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかであり、置換基R1と置換基R2の少なくともいずれか1が、それが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合しており;
mは1から6であり;
pは1から6であり;
R3は架橋基であって、(In1R1 m) リガンドと(In2R2 p)リガンドとの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;
Mは周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、アクチニド金属と、ランタニド金属との内のいずれかであり;
qはMの原子価から2を引いた値であり;
各置換基Xは非シクロペンタジエニルリガンドであって、2つの置換基Xが連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成すること、または、2つの置換基Xがともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドのいずれかであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかである。
好ましくは、置換基R1と置換基R2の両者が、それらが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合しており;mは1または2であり;pは1または2である。好ましくは、各置換基R1及び置換基R2は、メチル基またはフェニル基等のヒドロカルビル基である。
好ましくは、R3は周期律表13、14、15、または16族の元素を含む架橋基であり、例えば-SiR4 2-、-CR4 2-、及び- CR4 2-CR4 2-からなる群から選択され、ここでR4は、水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの混合物から成る群から選択される。
好ましくは、少なくとも1のメタロセン触媒化合物は、rac-(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジクロライドと、rac- (ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ハフニウムジクロライドとの、少なくともいずれか1である。
ひとつの実施形態では、メタロセン触媒系は一般式
Figure 0005331103
で表わされる別のメタロセン触媒化合物をさらに含み、ここでM'は周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、アクチニド金属と、ランタニド金属との内のいずれかであり;
置換基Sは、2つの隣接する置換基Sが連結してC4からC20の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件に、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、 ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen) 、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
添え字vは、シクロペンタジエニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでシクロペンタジエニル環の置換基Sの数は0から4であり;
各置換基S"は、2つの隣接する置換基S"が連結してC4からC20の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件に、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen) 、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
添え字zは、フルオレニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでフルオレニル環の置換基S"の数は0から7であり;
Aは架橋基であり;
X1とX2は、非シクロペンタジエニルリガンドであって、X1とX2が連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成すること、またはX1とX2がともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基である。
別の実施形態では、触媒系にはさらに一般式:(In3)Y(In4)M"X'nで表わされるメタロセン触媒化合物が含まれ、ここでIn3とIn4は非置換のインデニル環であり;
Yは架橋基であって、In3リガンドとIn4リガンドとの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;
M"は周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、アクチニド金属と、ランタニド金属との内のいずれかであり;
nはM"の原子価から2を引いた値であり;
各置換基X'は非シクロペンタジエニルリガンドであって、2つの置換基X'が連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成するか、または、2つの置換基X'がともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドのいずれかであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基である。
この発明では、周期律表の番号付与方法は、CHEMICAL AND ENGINEERING NEWS, 63(5), 27 (1985年)に記載された方法に従う。
この発明により、エチレンと、少なくとも1のアルファ−オレフィンと、少なくとも1のジエンとを、特定のメタロセン触媒系の存在下で共重合させるエラストマー組成物の製造方法であって、ゲルの生成がごく僅かであるか、またはゲルが全く生成しないエラストマー組成物の製造方法が提供される。
この発明で「ゲル」というときは、重合反応がゲル化点を超えて進行してゲル成分が分離し、溶液中でゾル成分の重合が継続しているときに生成するマクロゲルを意味する。このようなゲルが生じると、異常な製品が製造されたり、反応器及びその下流工程で重大な詰まりが生じたりする原因になるため、商業プラントでこのようなゲルの生成を抑制することは重要である。
<モノマー>
この発明のポリマーが、不飽和基を有して硬化可能に成るようにするため、使用するモノマーにはエチレンの他に、少なくとも1のアルファ−オレフィンと、少なくとも1のジエンとが含まれる。
好ましくは、アルファ−オレフィンには1以上のC3からC8のアルファ−オレフィン、例えばプロピレンやブテン等が含まれ、典型的にはプロピレンである。
ジエンは、1,4-ヘキサジエン、1,6-オクタジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、ジシクロペンタジエン (DCPD)、ノルボルナジエン、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、エチリデンノルボルネン(ENB)、及びこれらの組合せから成る群から選択され、一般にはVNBである。
ポリマー主鎖上の加硫可能な不飽和基を増加させるために、モノマー混合物中にENBの他にVNBを含有させることが好ましい場合がある。一般に、加硫特性を導入するためには、約0.5から約10wt%(モノマー混合物の全重量を基準とする)のENBを反応器に添加する。
<エラストマーの製造プロセス>
この発明のエラストマー組成物は、公知の重合プロセスにより製造することができる。
この発明に適した重合方法には、高圧法、スラリー重合法、気相重合法、バルク重合法、懸濁重合法、または溶液重合法、あるいはこれらの組合せが含まれる。
また一般に、重合条件には、温度が約20から約200℃、圧力が約50から約2000psi(約350から14000 kPa)、滞留時間約が5から約15分であることが含まれるが、これらに限定されない。
重合は、少なくとも1のメタロセン触媒化合物と、非配位性アニオン活性化剤との存在下で行なわれる。
少なくとも1のメタロセン触媒化合物はインデニル(In)錯体から成り、一般式(I)で表わされる。
(In1R1 m)R3(In2R2 p)MXq・・・(I)
ここで、1以上のR1はインデニル環In1の置換基、1以上のR2はインデニル環In2の置換基であり、R1とR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、または炭素数が最大約20個のヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、またはハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかであり、置換基R1と置換基R2の少なくともいずれか1が、それが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合しており;
mは1から6であり;
pは1から6であり;
R3は架橋基であって、(In1R1 m) リガンドと(In2R2 p)リガンドとの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;
Mは周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、アクチニド金属と、ランタニド金属との内のいずれかであり、好ましくは最高の酸化状態にあり;qはMの原子価から2を引いた値であり;
各Xは、2つのXが連結して、さらに金属原子に結合して炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成すること、または2つの置換基Xがともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドのいずれかであること、さらに、各Xが置換または非置換シクロペンタジエニル環ではないことを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基である。
各置換基R1及び置換基R2は、メチル基やフェニル基等のヒドロカルビル基であり、それらが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合していることが好ましい。典型的にはmは1または2であり、特に2である。pは1または2であり、特に2である。
(In1R1 m) リガンド中のIn1と、(In2R2 p)リガンド中のIn2は同一構造であり、一般に(In1R1 m) リガンド全体と、(In2R2 p)リガンド全体は同一構造であり、一般式(I)で表わされる化合物は、架橋ビスインデニル化合物であることが好ましい。
R3は周期律表の13, 14, 15または16族の元素を含む架橋基であり、特にホウ素、イオウ、酸素、窒素、リン、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、及びセレニウムからなる群から選択される元素を含む架橋基であることが好ましい。
ひとつの実施形態では、R3は-SiR4 2-、- CR4 2-、及び- CR4 2-CR4 2-からなる群から選択され、ここでR4はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの組合せからなる群から選択される。典型的には、R4は-Si(CH3)2-である。
ひとつの実施形態では、一般式(I)で表わされる化合物は、rac-(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルと、rac-(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ハフニウムジメチルの、いずれか1である。
一般式(I)で表わされるメタロセン化合物に加え、この発明の方法で用いられる触媒系には、下記の一般式(II)で表わされる少なくとも1のメタロセン触媒化合物がさらに含まれる。
Figure 0005331103
ここで、Mは周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、ランタニド金属と、アクチニド金属との内のいずれかであり、好ましくは最高の酸化状態にあり;
置換基Sは、2つの隣接する置換基Sが連結してC4からC20の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件にして、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、 ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen) 、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
添え字vは、シクロペンタジエニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでシクロペンタジエニル環の置換基Sの数は0から4であり;
各置換基S"は、2つの隣接する置換基S"が連結してC4からC20の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件にして、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、 ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen) 、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
添え字zは、フルオレニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでフルオレニル環の置換基S"の数は0から7であり;
Aは架橋基であり;
置換基X1と置換基X2は、置換基X1と置換基X2が連結して金属原子に結合して、炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成すること、置換基X 1と置換基X2がともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドであること、さらに置換基X 1と置換基X2がともに置換または非置換のシクロペンタジエニル基ではないことを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基である。
上記の一般式(II)においてSリガンドが「対称的に置換された」とは、シクロペンタジエニル環の2及び5位、および/または、3及び4位がほぼ同様の嵩高さのS基で置換されていることを意味する。典型的なS基のサイズは、それぞれの炭素数の差が2以内である。従って、シクロペンタジエニル環の2及び5位の置換基がそれぞれメチル基とエチル基の場合、あるいは、3位及び4位の置換基がそれぞれヘキシル基とオクチル基の場合、対称的に置換されていると言える。
同様に、シクロペンタジエニル環の4つのサイトが全て置換されている場合でも、対称位置にある各置換基のペアーが同様の嵩高さを有する限り、対称的に置換されていると言える。
さらに、3位及び4位にある2つ置換基が連結して環を形成することもできる。但し、形成された環が対称に置換されていることが条件である。
置換基S基が存在する場合、各Svはそれぞれ独立して、メタロセン骨格が中心金属を対称に含み、Flu-及びCp-環を両断する平面を形成するように選択される。
Aリガンドは、対称である必要は無い。例えば、ジメチルシリル基や、メチルフェニルシリル基でも、製造されるポリマーの立体化学に影響しない。
複数の置換基S"はフルオレニル環上で互いに離間しているので、これらの置換基がフルオレニル環上で対称に配置されている必要は無い。従って、フルオレニル環は、最大7つの同一または異なる置換基で置換されていてもよい。
Aは13, 14, 15または16族の元素を含む架橋基であり、特にホウ素、イオウ、酸素、窒素、リン、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、及びセレニウムからなる群から選択される元素を含む架橋基である。
ひとつの実施形態では、Aは-SiR4 2-、- CR4 2-、及び- CR4 2-CR4 2-からなる群から選択され、ここでR4はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
上記の一般式(II)で表わされるタイプの非対称性シクロペンタジエニルメタロセンの非限定的例示として、μ-(C6H5)2 C(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)M(CH3)2;
μ-(C6H5)2 C(3-メチルシクロペンタジエニル)( フルオレニル)M(CH3)2;
μ-(CH3)2 C(シクロペンタジエニル)( フルオレニル)M(CH3)2; 及び
μ-(p-トリエチルシリルフェニル)2 C(シクロペンタジエニル)(3,8-ジ-t-ブチルフルオレニル) M(CH3)2
が挙げられ、ここでMはZrまたはHfである。
また別の実施形態では、この発明で用いる触媒系には、一般式(III)で表わされるメタロセン触媒化合物が含まれる。
(In3)Y(In4)M"X'n・・・(III)
ここでIn3とIn4は不飽和のインデニル環である。Yは架橋基であって、In3リガンドとIn4 リガンドとの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;M"は周期律表3、4、5、または6族の遷移金属と、アクチニド金属と、ランタニド金属との内のいずれかであり;nはMの原子価から2を引いた値であり;置換基X'は非シクロペンタジエニルリガンドであって、2つの置換基X'が連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を約3個から約20個含むメタロ環(metallacycle ring)を形成すること、または、2つの置換基X'がともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドのいずれかであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大約20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかである。
Yは周期律表の13, 14, 15または16族の元素を含む架橋基であり、特にホウ素、イオウ、酸素、窒素、リン、炭素、ケイ素、ゲルマニウム、及びセレニウムからなる群から選択される元素を含む架橋基である。
ひとつの実施形態では、Yは-SiR4 2-、- CR4 2-、及び- CR4 2-CR4 2-からなる群から選択され、ここでR4はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの組合せからなる群から選択される。典型的には、Yは-Si(CH3)2-である。
ひとつの実施形態では、一般式(III)のメタロセン触媒化合物は、rac-(ジメチルシリル)ビスインデニルジルコニウムジメチルと、rac- (ジメチルシリル)ビスフェニルインデニルハフニウムジメチルとの、少なくともいずれか1である。
この発明で用いられる触媒系には、一般式(I)で表わされるメタロセン触媒化合物と、一般式(II)で表わされるメタロセン触媒化合物単独との混合物、または一般式(I)で表わされるメタロセン触媒化合物と、一般式(III)で表わされるメタロセン触媒化合物単独との混合物、または一般式(I)で表わされるメタロセン触媒化合物と、一般式(II)及び一般式(III)で表わされるメタロセン触媒化合物との混合物のいずれかでが含まれる。
この発明の触媒系中には、一般式(I)で表わされるメタロセン触媒化合物に対し、一般式(II)および/または一般式(III)で表わされるメタロセン触媒化合物が、重量比でゼロから約0.9の範囲で含まれる。
メタロセン触媒化合物に加え、この発明の触媒系には、非配位性アニオン(NCA)活性化剤が含まれる。
「非配位性アニオン」とは、遷移金属カチオンに配位しないアニオンであって、中性のルイス塩基により置き換えられる程度に不安定な状態にあるアニオンを意味する。「コンパチブル(compatible)」NCAとは、当初形成された複合体が分解したとき、中性状態まで分解しない非配位性アニオンを意味する。
さらに、非配位性アニオンは、アニオン性置換基またはフラグメントを金属カチオンへ移送して、中性の4配位メタロセン化合物、及び非配位性アニオンに由来する中性の副生物を形成することはない。
好ましくは、NCAはコンパチブルであり、イオン性電荷を中和することによりメタロセンカチオンを安定化させ、かつ、重合中に、エチレン系またはアセチレン系の不飽和モノマーにより置き換えられ得る程度に不安定な状態にある。
さらに、使用する非配位性アニオンは、重合プロセス中に存在する重合性モノマー以外のルイス塩基によってメタロセンカチオンが中性化されることを阻害または防止できる程度の大きさ、または嵩高さの分子サイズを有する。一般に、非配位性アニオンの分子サイズは4オングストローム以上である。
この発明の方法では、欧州特許EP277004に開示されたNCA生成活性化剤が有用である。
ひとつの実施形態では、非配位性アニオン活性化剤は下式で表わされる。
(L-H)d +(Ad-)
ここで、
Lは中性ルイス塩基;
Hは水素;
(L-H)+はブロンステッド酸;
Ad-は電荷d-の非配位性アニオン;
dは1から3の整数である。
カチオン成分(L-H)+ には、プロトン、またはプロトン化されたルイス塩基、または、メタロセン遷移金属触媒前駆体に含まれる嵩高いリガンドからアルキル基やアリール基等を引き抜き、あるいはプロトン化してカチオン性遷移金属種を生成することができる還元性ルイス酸等の、ブロンステッド酸が含まれる。
非配位性アニオン成分Ad-には、式[Mk+Qn]d-で表わされる化合物が含まれ、ここで、kは1から3の整数;nは2から6の整数;n-k=dであり;Mは周期律表の第13族から選択される元素であり、好ましくはホウ素またはアルミニウム;Qはそれぞれ独立してヒドリド基、架橋又は非架橋のジアルキルアミド基、ハライド基、アルコキシド基、アリールオキシド基、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、及びハロ置換ヒドロカルビル基からなる群から選択され、Qの1以下がハライド基であることを条件に、Qは最大20個の炭素原子を含む。
好ましくは、各Qは炭素数が1から20のフッ素化炭化水素基であり、より好ましくは、各Qはフッ素化アリール基であり、最も好ましくは、各Qはペルフルオロアリール基、特に、ペルフルオロナフチル基、および/またはペルフルオロフェニル基である。
好ましいAd-の例には、本願に参照として組み込まれる米国特許5,447,895に開示された二ホウ化化合物も含まれる。
好ましい活性化剤の非限定的例示として、以下が挙げられる。
N,N-ジメチルアニリニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、
N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペルフルオロビフェニル)ボレート、
トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレート、及び
トリフェニルカルベニウムテトラ(ペルフルオロフェニル)ボレート。
この発明の方法で製造されたエラストマー組成物には、実質的にゲルが含まれていない。すなわち、重合生成物の少なくとも80wt%、一般には100wt%が、EPDMの溶剤に用いられるシクロヘキサン等の炭化水素溶剤に溶解する。ポリマー中にゲルが含まれるとき、または分子量が非常に高いとき(ムーニー粘度が125を超えるとき)は、高温においても不溶分が存在する。
<エラストマー組成物>
この発明の方法で製造されたエラストマーの組成は、広い範囲で変化させることができる。
一般に、この発明のエラストマーにはエチレン由来のユニットが約5wt%から約85wt%、例えば約20wt%から約80wt%、例えば約40wt%から約80wt%含まれ;1以上のC3からC8のアルファ−オレフィン由来のユニットが約15wt%から約95wt%、例えば約20wt%から約80wt%、例えば約20wt%から約60wt%含まれ;1以上のジエン由来のユニットが約0.3wt%から約10wt%、例えば約0.3wt%から約3wt%含まれる。
ひとつの実施形態では、エラストマー組成物は、約5wt%から約25wt%のエチレン由来のユニットと、約75wt%から約95wt%のプロピレン由来のユニットと、約0.3wt%から約10wt%の1以上のジエン由来のユニットが含まれる。
エラストマー中のエチレン含有量はASTM D3900により測定し、ジエン含有量による補正は行なわない。ポリマー中に導入されたVNBの含有量はH NMRで測定し、ENBの含有量はASTM D6047に従ってFTIRで測定する。
しかし、これらの測定方法は不飽和残基を測定するものであるため、実際のジエン含有量より低い可能性がある。これは、主鎖からぶら下がった不飽和部位が、例えば水素によって転換されたジエンとなっている場合は、これらの測定方法では検出されない。
ENBとVNBの両者が存在する場合、13C NMRでジエン含有量を測定することが好ましい。
この発明の方法で製造されたエラストマー組成物中の分岐鎖の程度は、分岐指数(BI)によって評価することができる。この分岐指数の計算には、VerStrate、Garyらの "Ethylene-Propylene Elastomers", Encyclopedia of Polymer Science and Engineering, 第6巻, 第2版 (1986年)に記載された、溶液中のポリマーの3種類の物性測定を行なう必要がある。これらの測定とは、(i) 低角レーザー光散乱(LALLS)と、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)との組合せによる重量平均分子量MWj GPC LALLSと、(ii)示差屈折率(DRI)とGPCとの組合せによる重量平均分子量(MwDR1)及び粘度平均分子量(Mv DRI)と、(iii)135℃のデカリン中で測定した固有粘度(IV)である。最初の2種類の測定(iとii)は、ポリマーを1,2,4-トリクロロベンゼンに溶解させた希薄溶液を濾過して用いて、GPCにより行なうことができる。
分岐指数(BI)は以下のように定義される。
Figure 0005331103
ここで、Mv,br = (IV/k)1/a;「k」と「a」はMark-Houwink定数(135℃のデカリンに溶解させたエチレンプロピレンジエンエラストマーの場合、a=0.759、k= 0.000246)である。この式から、直鎖ポリマーの分岐指数は1.0であることが導き出せる。
分岐ポリマーの場合、分岐の程度は、直鎖ポリマーに対し相対的に求められる。数平均分子量Mnが一定のときは(Mw)branch >(Mw)linearであるから、分岐ポリマーの分岐指数BIは1.0未満となり、分岐指数BIの値が小さいほど、分岐度が高いことを示す。デカリン中での固有粘度IVの測定に代えて、いわゆるGPC-3D装置に設けられたDRI及びLALLS検出器を用いて固有粘度IVを測定することもできる。この場合、上式の「k」と「a」の値には、GPCの溶媒に適した値を用いる。
一般に、この発明の方法で製造されたエラストマー組成物の分岐指数(BI)は、約0.1から約1.0、例えば約0.3から約0.9である。
さらに、この発明の方法で製造されたエラストマー組成物の、重量平均分子量の数平均分子量に対する比で定義される分子量分布(MWD)は約2から約20である。
<添加剤>
この発明のエラストマー組成物が、ポリマー成分の他に添加剤を含み得ることは、当業者にとって明らかであろう。様々な添加剤が特定の性能を向上させるため、又は各構成成分を加工した結果として、エラストマー組成物中に存在する。
使用する添加剤の非限定的例示として、プロセスオイル、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤、顔料、加硫剤または硬化剤、加硫促進剤または硬化促進剤、硬化遅延剤、加工助剤、難燃剤、粘着性樹脂、及び流動性改良剤が挙げられる。アンチブロッキング剤、着色剤、潤滑油、離型剤、造核剤、補強材、及び充填材(顆粒状、繊維状、粉末状のものを含む)を用いることもできる。造核剤と充填剤は、最終製品の剛性を向上させる。
ここに列挙した添加剤は、この発明に用いることができる添加剤の全てではない。当業者であれば、エラストマー組成物の性能を向上させるために、これら以外の添加剤を用いることができることを理解できよう。
この発明のエラストマー組成物には、粒子状の無機充填材が含まれる。粒子状の無機充填材は、エラストマー組成物、特に硬化された成分を含むエラストマー組成物の機械的強度と耐磨耗性を向上させる。用いられる無機充填剤の量は、100重量部のポリマーに対し、無機充填剤が1から100重量部である。
無機充填剤には、直径が1mm未満の粒子状のもの、長さが1cm未満のロッド状のもの、表面積が0.20.2 cm2未満のプレート状のもの等が含まれる。粒子状の充填剤の例として、カーボンブラック、クレイ酸化チタン、酸化マグネシウム、及びシリカが挙げられる。また、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、ホワイティング、酸化マグネシウム等の、他の粒子状充填剤を用いることもできる。
ロッド状充填剤の例として、グラスファイバーが挙げられる。プレート状充填剤の例は、雲母である。ナノコンポジットとも呼ばれる、微粒繊維状の添加剤を用いることもできる。
充填剤の添加により、この発明のエラストマー組成物の物性が変化する。例えば、無機充填剤を含む組成物は、改良された熱安定性と耐磨耗性を示す。白色充填剤の添加により、組成物が日光に曝されたときの温度変化が改善される。
充填剤の添加量が一定の量を超えると、粘度が急激に上昇するとともに、加工性が低下する。この限界値は、パーコレーション限界値と呼ばれている。粘度の増加に加え、パーコレーション限界値には弾性の変化が伴い、パーコレーション限界値より僅かに高い点で、ブレンド物の弾性回復力の低下が見られる。パーコレーション限界値は、使用する充填剤の種類により異なる。一般に、微細な充填剤の方が、より大きな充填剤よりもパーコレーション限界値が低くなる。
この発明のエラストマー組成物には、ポリマー100重量部に対し、プロセスオイルが0から500重量部含まれ、または2から200重量部含まれ、または5から150重量部含まれ、または10から100重量部含まれ得る。適度の量のプロセスオイルを添加することにより、ブレンド物の粘度と剛性が低下し、一方、0℃付近又は0℃以下の温度におけるブレンド物の性能が改善される。このような効果は、ブレンド物のガラス転移温度(Tg)の低下によるものと考えられる。
プロセスオイルをブレンド物に添加することにより加工性が改善され、また、弾性と引張強度のバランスが改善される。ゴムの加工分野では、プロセスオイルはエクステンダーオイルとして知られている。
プロセスオイルには、(a)微量の酸素等のヘテロ原子、または(b) ジオクチルフタレート、エーテル、及びポリエーテル等の少なくとも1のヘテロ原子を有する炭化水素が含まれる。プロセスオイルは、200℃において実質的に非揮発性となる沸点を有する。
このようなプロセスオイルは、固形状、液状、またはプロセスオイルを不活性な担体(例えばクレイやシリカ)に吸着させ、自由流動する粉体とした形態で入手できる。
プロセスオイルには、多数の化合物の混合物が含まれており、このような化合物は、直鎖状炭素化合物、分岐鎖を有する非環式炭素化合物、環状炭素化合物、及び芳香族炭素化合物から成る。
別の種類のプロセスオイルは、分子量(Mn)が10,000未満の有機エステル及びアルキルエーテルエステルである。
この発明では、プロセスオイルを組み合わせて用いることもできる。プロセスオイルは溶融状態でポリマーのブレンド物と混和または混合可能であり、室温においてプロピレン−ベースのエラストマーに実質的に混和することが好ましい。
プロセスオイルは、ブレンド組成物に公知の方法で添加することができ、例えばポリマーを回収する前に、プロセスオイルの全部または一部を添加する方法、またはプロピレン−ベースのエラストマーをブレンドしてコンパウンド化するとき、プロセスオイルの全部または一部を添加する方法によ添加することができる。
コンパウンド化工程は、ミル、またはバンバリーミキサー等のインターナルミキサーを用いて行なうことができる。コンパウンド化は、二軸押出機等の連続プロセスで行なうこともできる。
アイソタクチックポリプロピレンと、エチレンプロピレンジエンゴムのブレンド物のガラス転移点を下げるためにプロセスオイルを添加することは、本願に参照として組み込む米国特許5,290,886及び米国特許5,397,832に開示されている。
この発明の組成物に、鉱物性充填剤に結合させた脂肪酸エステルまたは脂肪酸カルシウムの混合物等の加工助剤を添加することにより、組成物の混合性と、組成物の成形型内への射出性を向上させることができる。他の加工助剤の例は、低分子量ポリエチレン共重合体のワックス、及びパラフィンワックスである。加工助剤の添加量は、0.5から5phrである。
この発明の組成物に酸化防止剤を添加することにより、長期間使用したときの耐老化性を改善することができる。酸化防止剤の非限定的例示として、キノリン類、例えばトリメチルヒドロキノリン(TMQ)、イミダゾール類、例えばメルカプタトルイルイミダゾール亜鉛 (ZMTI)、及び、ヒンダードフェノール類、ラクトン類、フォスファイト類等の、公知の酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止剤の添加量は、0.001から5 phrである。
<硬化された製品>
この発明のエラストマー組成物は、公知の方法により硬化又は加硫することができる。すなわち、例えば、C-O-C結合を生じる過酸化物等の硬化剤、あるいは、"Science and Technology of Rubber", A. Y. Coran著 (F. R Eirich編) Academic Press Inc., 1978年の第7章"Vulcanization"に記載されたC-Si-C結合を生じるヒドロシリル化剤等の硬化剤を用いて硬化することができる。
硬化された組成物を製造する方法は、組成物を構成するポリマー成分の緊密な混合物が得られる方法であれば、どのような方法でもよい。
一般には、先ず第1の工程として、ポリマー成分と、任意成分のプロセスオイル、充填剤、着色剤、酸化防止剤、造核剤、流動性改良剤等の添加剤を、各成分を分散させて緊密に混合するために設計された装置を用いて混合する。このような装置は、各成分を溶融プレスするためのCarverプレス、または各成分を溶液又は溶融ブレンドするためのバンバリーミキサーやブラベンダーミキサー等の内部ミキサー等の装置、あるいは、単軸または二軸押出機、スタティックミキサー、インピンジメントミキサー、その他、各成分を分散させて緊密に混合するために設計された装置等である。
ポリマー成分の完全な混合は、組成物のモルフォロジーの均一性によって示される。このような方法は当業者にとって公知である。
ひとつの実施形態では、次工程で緊密な混合物と、過酸化物や硫黄化合物等の硬化剤とを混合する。次に、硬化剤を含む緊密な混合物を最終製品の形状に成型し、昇温して、プロピレン−ベースのエラストマーを所定時間硬化させる。
別の実施形態では、次工程で緊密な混合物を最終製品の形状に成型し、成形された混合物を、高エネルギーの放射線等の外部硬化剤に曝して、プロピレン−ベースのエラストマーを硬化させる。
<エラストマー組成物の用途>
この発明のエラストマー組成物は、繊維、フィルム、及び成形品に用いることができ、また、ウェザーシール、クーラントホース、ルーフ材、ワイヤーやケーブルの絶縁材、動的加硫可能なポリマーアロイ、動力伝達ベルト、エンジンマウント、熱可塑性オレフィン等の、過酸化物硬化用途に用いることができる。
この発明について、以下の非限定的実施例を参照しながら説明する。
これらの実施例では、メタロセン重合は連続流撹拌槽反応器(CSTR)で行なった。いずれの場合も、エチレン、プロピレン、及び場合によりビニルノルボルネン(VNB)から成るモノマーは、溶媒(ヘキサン)と混合し、反応器へ混合物原料ストリームとして供給した。触媒と活性化剤は900ccのトルエンと予備混合し、反応器へ計量ポンプで供給した。
生産速度は、一定時間ごとに既知量の流出物を採取し、溶媒を蒸発させて固形物濃度を求めることにより測定した。触媒の濃度及び供給速度と生産速度とから、触媒の生産性を触媒効率(gポリマー/g触媒)として求めた。分子量は反応温度の選択により調整したが、水素などの連鎖移動材により分子量を制御することもできる。
重合反応が終了したとき、反応器を開放してゲルの生成状態を検査した。比較例4以外の全ての重合反応において、ゲルの発生がないことが確認された。
この発明の実施例の重合データと、生成したポリマーのデータをそれぞれ表1Aと表2Aに示す。また、比較例の重合データと、生成した比較例のポリマーのデータをそれぞれ表1Bと表2Bに示す。
分子量(数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及びz-平均分子量(Mz))は、示差屈折率計(DRI)と、オンラインの低角光散乱計(LALLS)と粘度計(VIS)を備える Waters社の150 Size Exclusion Chromatograph (SEC)を用いて測定した。この測定装置の詳細と較正方法は、本願に参照として組み込まれるT. Sun, P. Brant, R. R. Chance, W. W. GraessleyらのMacromolecules, 34巻, 19号, 6812-6820頁, (2001年)に記載されている。
SEC測定用の溶媒は、4リットルのボトル中の1,2,4トリクロロベンゼン (TCB) (Aldrich 社の試薬グレード)に酸化防止剤として6gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を添加し、静置状態で溶解させた。TCBの混合液を0.7ミクロンのガラスフィルターで濾過し、次に0.1ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターで濾過した。さらに、高圧ポンプとSECカラムの間には、0.7ミクロンのガラスフィルター/0.22ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターが設けられている。TCBをSECへ供給する前に、オンライン脱ガス装置(Phenomenex社, Model DG-4000)で脱ガスした。
ガラス容器に乾燥したポリマーと所定量のTCBとを入れ、この混合物を160℃で2時間撹拌してポリマー溶液を調製した。全ての量は重量で測定した。ポリマー濃度を質量/容積の単位で表わすために使用されるTCB密度は、室温では1.463 g/mlであり、135℃では1.324 g/mlであった。注入した試料の濃度は1.0から2.0mg/mlであった。高分子量の試料は、低濃度で調製した。
ムーニー粘度ML (1+4) ,125℃は、ASTM D 1646に準拠して測定した。
メルトインデックス(MI)とメルトインデックス比(MIR)はASTM D 1238 E及びFに準拠して測定した。ここで、MIR = MI/MFRであり、MFRはメルトフローレートである。MIR は一般に、MWと分子量分布の両者に依存する。MIが同一でMIR値が高いことは、長鎖分岐の量が多いことを示す。
ムーニー粘度緩和(MLRA)は、ASTM D 1646に準拠して測定した。
<実施例1〜5と、比較例2>
実施例1〜5では、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレートで活性化したrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル (触媒A)を用いて、種々のエチレン、プロピレン、及びビニルノルボルネン(VNB)の混合物を重合した。
比較例2では、モノマー混合物にVNBを使用しなかった点を除き、同様にして重合を行なった。
表1と表2に示すように、ジエンにVNBを用いた本願発明の実施例1〜5では、ジエンを使用しなかった点を除き実施例1〜5と同様の条件で重合した比較例2と同等の分岐度を有するエラストマーが得られた。
実施例1〜3は同様の重合条件を繰り返したものであり、得られた結果は実質的に同一であった。すなわち、本願発明の結果は再現性がある。
実施例3と実施例4の結果を比較すると、ポリマー組成物はポリマー主鎖へのVNBの導入に大きく影響することが分かる。
実施例4と実施例5の結果を比較すると、反応器温度は、触媒生産性に大きく影響することがわかる。さらに、実施例5は、ポリマー中にVNBが含有されている場合でも、長鎖分岐が少量に保たれることを示している。
このように多量のVNBを、主鎖中に長鎖分岐を導入することなく導入可能なことは、長鎖分岐の存在により改善された加工性よりも、むしろ高い架橋度と、引き裂き強度等の高い物性が要求される用途において重要である。
<実施例6と、比較例1,3,4>
実施例6では、 (1) 16wt%のrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル (触媒A)と、(2)84wt%のジ(パラ−トリエチルシリル)メチレン(2,7-ジターシャリブチルフルオレニル)(シクロペンタジエニル)ハフニウムジメチル(触媒B)から成る触媒を、N,N-ジメチルアニリウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレートで活性化して用い、実施例1と同様にして重合を行なった。
比較例4は触媒Bを単独で用い、反応器へのVNBの供給量を実施例6と同じにして重合したものである。比較例4では、反応器内が完全にゲル化するという結果となった。
これに対し、本願発明の実施例6では、触媒B単独ではなく、混合触媒(16wt%の触媒Aと84wt%の触媒Bから成る)を用いて同じ条件で重合した結果、マクロゲルは生成しなかった。
実施例6は、触媒Bと組み合わせたとき、触媒Aはゲル抑制剤として作用することを示している。
実施例6の結果と、比較例3の結果を比較すると、実施例6のポリマーにはゲルは無いが、分岐を有することが分かる。
また、実施例6のエラストマーと比較例1のエラストマーを比較すると、両ポリマーとも同レベルの分岐を有することが分かる。比較例1のエラストマーは、チーグラー・ナッタ触媒で重合された市販のEPDMであり、ExxonMobil Chemical Co社からワイヤー・ケーブル用に商品名V-1703Pで販売されているものである。V-1703Pはチーグラー・ナッタプロセスでゴムのベールとして製造され、次いで別の加工機でペレット形状に、追加のコストを費やして加工されたものである。従って、ペレット化設備を備えたメタロセンプラントでV-1703Pを直接製造することが可能になり、追加のペレット化のコストを削減できる。
<実施例7〜11>
実施例7〜11では、(1) 15から71wt%のrac-ジメチルシリルビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチル (触媒A)と、(2) 85から29wt%のrac-ジメチルシリル(ビスインデニル) ジルコニウムジメチル(触媒C)から成る触媒をN,N-ジメチルアニリウムテトラキス(ペルフルオロナフチル)ボレートで活性化して、種々のエチレン、プロピレン、及びビニルノルボルネン(VNB)の混合物を重合した。
本願発明の実施例7〜11は、触媒Cと組み合わせたとき、触媒Aはゲル抑制剤として作用することを示している。実施例7〜11のポリマーはゲルの生成が無いばかりでなく、触媒AとCの比率を調整する事により、長鎖分岐度を任意に調整することができることを示している。これにより、そのポリマーの用途により要求される物性を具備する様々なポリマーを自由に製造することが可能になる。実施例7〜10には実質的な量のVNBが存在する。
<実施例12〜15>
実施例12〜15では、触媒Aを単独で用い、結晶性アイソタクチックプロピレンシーケンスを含むポリマー組成物を得るために、実施例1〜5よりもエチレン含有量が少ないエチレン、プロピレン、及びビニルノルボルネン(VNB)の混合物を用いて重合を行なった。
表1と表2に示すように、ジエンにVNBを用いた本願発明の実施例12〜15では、ジエンを使用せずに重合した比較例2と同レベルの分岐度を有するポリマーが得られた。
すなわち、触媒Aにより長鎖分岐が実質的に無いVNB含有ポリマーが得られるという本願発明の効果は、プロピレンの結晶性の有無にかかわらず、広範囲のエチレン含有量において得られることが分かる。
また、実施例12〜15は、反応器温度が触媒生産性に大きく影響することを示している。
比較例5は、本願の実施例に用いた大型反応器と同じ設計の反応器において、比較のために触媒Cを単独で用いて重合したものである。
触媒Cを単独で用いた場合、VNB導入量が少量のときでも、実質的な量の長鎖分岐が認められる。VNBの導入量が増加したときには、触媒Bと同様にゲル化が生じると考えられる。従って、触媒Cの代わりに触媒Aを用いることにより、マクロゲルを生じることなく、VNBを含む実質的に直鎖状のポリマーを製造することができる。
この発明について実施例に基づき説明したが、当業者であれば本願明細書に開示されていない態様に変更して実施できることを理解できよう。従って、この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められる。
Figure 0005331103
Figure 0005331103
Figure 0005331103
Figure 0005331103

Claims (9)

  1. 少なくとも1のメタロセン触媒化合物及び非配位性アニオン活性化剤から成る触媒系と、エチレン、少なくとも1のアルファ−オレフィン、及び少なくとも1のジエンを含むモノマー混合物とを接触させる工程を含む、エラストマー組成物を製造する方法であって、
    少なくとも1のメタロセン触媒化合物が一般式:(In1R1 m )R3(In2R2 p )MX q で表わされるインデニル(In)錯体であり、ここで;
    1以上のR1はインデニル環In1の置換基であり、1以上のR2はインデニル環In2の置換基であり、R1とR2はそれぞれ独立して、ハロゲン、または炭素数が最大20個のヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、またはハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかであり、置換基R1と置換基R2の少なくともいずれか1が、それが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合しており;
    mは1から6であり;
    pは1から6であり;
    R3は架橋基であって、(In1R1 m ) リガンドと(In2R2 p )リガンドとの間の連結鎖における原子数が1から8の架橋基であり;
    Mは周期律表4族の遷移金属であり;qはMの原子価から2を引いた値であり;
    各置換基Xは非シクロペンタジエニルリガンドであって、2つの置換基Xが連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を3個から20個含むメタロ環を形成するか、または、2つの置換基Xがともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アライン(aryne)リガンドのいずれかであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基のいずれかであり;
    前記方法は、触媒系に下記一般式:
    Figure 0005331103
    (ここで、Mは周期律表4族の遷移金属であり、;
    各置換基Sは、2つの隣接する置換基Sが連結してC 4 からC 20 の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件にして、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、 ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen)、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
    添え字vは、シクロペンタジエニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでシクロペンタジエニル環の置換基Sの数は0から4であり;
    各置換基S"は、2つの隣接する置換基S"が連結してC 4 からC 20 の飽和または不飽和の多環式リガンドを形成することを条件にして、それぞれ独立して、ヒドロカルビル基、置換されたヒドロカルビル基、ハロカルビル基、置換されたハロカルビル基、 ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、ハロカルビル置換有機メタロイド基、二置換ホウ素、二置換ニクトゲン(pnictogen) 、置換カルコゲン(chalcogen)、またはハロゲン基のいずれかであり;
    添え字zは、フルオレニル環において置換基が結合した炭素原子の数を示し、ここでフルオレニル環の置換基S"の数は0から7であり;
    Aは架橋基であり;
    X1とX2は、非シクロペンタジエニルリガンドであって、X 1 とX 2 が連結して、さらに金属原子に結合して、炭素原子を3個から20個含むメタロ環を形成するか、または、X 1 とX 2 がともにオレフィンリガンド、ジオレフィンリガンド、アラインリガンドであることを条件に、それぞれ独立して、炭素数が最大20のヒドロカルビル基、オキシヒドロカルビル基、ハロカルビル基、ヒドロカルビル置換有機メタロイド基、オキシヒドロカルビル置換有機メタロイド基、または ハロカルビル置換有機メタロイド基である)
    で表わされる少なくとも1のメタロセン触媒化合物がさらに含まれ、
    前記少なくとも1のジエンがビニルノルボルネンを含む、
    エラストマー組成物を製造する方法。
  2. 各置換基R1と各置換基R2が、それらが結合するインデニル環の2-位または4-位に結合しており;
    mが1または2であり;pが1または2である、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  3. mが2で、pが2である、請求項2に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  4. 各置換基R1と各置換基R2がヒドロカルビル基である、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  5. 各置換基R1と各置換基R2がメチル基又はフェニル基である、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  6. R3が、13, 14, 15または16族の元素を含む架橋基である、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  7. R3が、-SiR4 2 -、- CR4 2 -、及び- CR4 2 -CR4 2 -からなる群から選択され、ここでR4はそれぞれ独立して、水素、アルキル基、アリール基、シリル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  8. R3が、-SiR4 2 -である、請求項7に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
  9. 少なくとも1のメタロセン触媒化合物が、
    rac-(ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ジルコニウムジメチルと、rac- (ジメチルシリル)ビス(2-メチル-4-フェニルインデニル)ハフニウムジメチルとの、少なくともいずれか1である、請求項1に記載のエラストマー組成物を製造する方法。
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