JP4204937B2 - オレフィン系グラフト共重合体組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
例えば、エチレン/α−オレフィン/ポリエンからなるグラフト前躯体にスチレン類をグラフト重合することにより、オレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この製造方法は、グラフト前躯体の製造と、それを用いたグラフト重合体の製造とが完全に分離された製造方法である。
また、グラフト前駆体の製造に引き続き、グラフト重合を行うことにより、オレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この製造方法では、グラフト前躯体の製造時に使用したポリエン成分が残存するため、グラフト重合の際に一層高いグラフト効率を達成するには限界がある。
さらに、シンジオタクチツク構造を有するスチレン系グラフト前駆体に、エチレン性不飽和モノマーをグラフト重合することにより、オレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献4参照)。
また、α−オレフィンとジビニルベンゼンからなるグラフト前駆体に、ラジカル重合触媒又はアニオン重合触媒を用いてオレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
重合工程[I]:(A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分と、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物から選ばれる一種以上の助触媒成分から構成される触媒を用いて、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体を重合してオレフィン系重合体を製造する工程。
重合工程[II]:重合工程[I]で得られた重合体の存在下、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンとを共重合してオレフィン系共重合体を製造する工程。
重合工程[III]:重合工程[I]で得られた重合体と重合工程[II]で得られた共重合体を含む重合体組成物の存在下、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体を重合してオレフィン系グラフト共重合体を製造する工程。
(a)重合工程[I]で得られた重合体、重合工程[II]で得られた共重合体及び重合工程[III]で得られたグラフト共重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合がそれぞれ5〜90質量%。
(b)135℃デカリン溶媒中で測定した、オレフィン系グラフト共重合体組成物の極限粘度[η]が0.05〜15デシリットル/g。
(c)熱パラキシレン溶解試験で得られる、オレフィン系グラフト共重合体組成物のゲル成分含有量が25質量%以下。
環状オレフィン類としては、例えば一般式(I)
前記一般式(I)において、R1 〜R12のうちの炭素数1〜20の炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基などの炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基などの炭素数1〜20のアルキリデン基等を挙げることができる。ただし、R1 ,R2 ,R5 ,R6 はアルキレン基を除く。なお、R3 ,R4 ,R7 〜R12のいずれかがアルキリデン基の場合それが結合している炭素原子は他の置換基を有さない。
酸素原子を含む置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基やアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
窒素原子を含む置換基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げることができる。
本発明において、単量体は、重合工程[I]、重合工程[II]及び重合工程[III]とで用単量体種の一種以上が異なるものを用いるか、あるいは重合工程[I]、重合工程[II]及び重合工程[III]で同種の単量体を用いる場合は、生成する重合体の単量体構成比、立体規則性及び分子量のうちの一つ以上がたがいに異なるものを用いる。
一般式(i)
CH2 =CH−Q−CH=CH2 ・・・(i)
(式中、Qは単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。このポリエンの具体例としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、4−メチル−1,9−デカジエン、4,4−ジメチル−1,9−デカジエン、5−アリル−1,9−デカジエン、1,19−エイコジエンなどが挙げられる。
一般式(ii)
一般式(iii−1)
上記R15〜R24のうちのハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子などが挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オチクル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基及びこれらに対応するアルコキシ基などが挙げられる。該R15〜R24はたがいに同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(iii−2)
一般式(iii−3)
一般式(iv)
一般式(v−1)
上記一般式(v−1)で表される化合物の例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(アリル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられなどが挙げられる。
さらに、一般式(v−2)
一般式(vi−1)
周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分としては、シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、キレート化合物及び下記一般式(A−1)
MR1 a R2 b R3 c R4 d (A−1)
(式中、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
から選ばれる金属化合物を挙げることができる。
シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物としては、例えば、一般式(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)及び(A−6)で表される化合物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物は、
CpM1 R5 e R6 f R7 g (A−2)
Cp2 M1 R5 h R6 i (A−3)
(Cp−A−Cp)M1 R5 h R6 i (A−4)
〔式(A−2)〜(A−4)において、M1 は周期律表第4族遷移金属を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基から選ばれる基を示し、R5 ,R6 及びR7 は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R5 ,R6 及びR7 は、その2以上がたがいに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、たがいに異なるものであってもよい。〕
である。
Cp上の置換基としては、それぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基が挙げられ、たがいに隣接する置換基は結合して環を形成していてもよい。ハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ヘキシル基,n−デシル基などのアルキル基、フェニル基,1−ナフチル基,2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、また炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられる。また、隣接する基のうちの少なくとも一組はたがいに結合して環を形成していてもよい。隣接する基が環を形成した例として、インデニル基の場合、例えば4,5−ベンゾインデニル基,α−アセトインデニル基及びその炭素数1〜10のアルキル置換体などを挙げることができる。
上記式(A−2)〜(A−4)におけるR5 ,R6 及びR7 は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,ケイ素原子を含む置換基などを例示でき、また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。R5 ,R6 及びR7 は、その2以上がたがいに結合して環を形成してもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
また、上記式(A−4)におけるAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR8 −、−PR8 −、−P(O)R8 −、−BR8 −又は−AlR8 −を示し、R8 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、メチレン基,ジメチルメチレン基,1,2−エチレン基,ジメチル−1,2−エチレン基,1,4−テトラメチレン基,1,2−シクロプロピレン基などのアルキレン基、ジフェニルメチレン基などのアリールアルキレン基などが挙げられる。炭素数1〜20の二価のハロゲン含有炭化水素基としては、クロロエチレン基,クロロメチレン基などが挙げられる。二価のケイ素含有基としては、メチルシリレン基,ジメチルシリレン基,ジエチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基などが挙げられる。ゲルマニウム含有基、スズ含有基としては、上記ケイ素含有基において、ケイ素をゲルマニウム又はスズに置換した基を挙げることができる。
上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5の化合物(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[1]」とする)が挙げられる。特に好ましいのは置換基数4又は5の化合物であり、特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
また、上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、チタン錯体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[2]」とする)が挙げられる。更に好ましくは一般式(A−2)において、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5のチタン化合物が好ましい。特に好ましいのは置換基数4又は5のチタン化合物であり、更に置換基が互いに環を形成したチタン化合物が好ましい。特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(シクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−(トリメチルシリルメチル)テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
また、上記一般式(A−3)で表される化合物の好ましいものとして、チタン化合物(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[4]」とする)が挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の具体例としては、ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−〔2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−〔2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−〔2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−〔2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリドなどのアリール置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−第三ブチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−エチル−4−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2,4−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジメチルなどの2,4−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(3,4,7−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−ブタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,7−位,2,4,7−位又は3,4,7−位置換体,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジフェニルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,4,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,4,6−位置換体,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,5,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,5,6−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロー1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−エチレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス−(4,7−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,5,6,7−テトラヒドロインデニル化合物など、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものなどを挙げることができる。
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、高い立体規則性[mmmm]を発現させるC2 対称構造のラセミ体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[6]」とする)が挙げられる。このラセミ体のうち、置換インデニル錯体としては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位に置換基を有するものが好ましく、置換シクロペンタジエニル錯体としては、2,4位、2,3,5位に置換基を有するものが好ましい。特に好ましい例示としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、低い立体規則性[mmmm]を発現させるもの(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[7]」とする)が挙げられ、無置換インデニル錯体及び置換シクロペンタジエニル錯体(3位、3,4位)が好ましい。無置換インデニル錯体としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチルが挙げられ、置換シクロペンタジエニル錯体としては、−セミ−ジメチルシランジイルビス(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、メソ体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[9]」とする)が挙げられる。好ましい例示としては、メソ−メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(2- エチルインデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルメチルシリレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−テトラフェニルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウムなどか挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、チタン化合物(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[11]」とする)が挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、(a)Cs対称の化合物又は(b)メソ体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[12]」とする)が挙げられる。更に好ましくはCs対称構造の化合物である。好ましいものの例示として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド,イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フェナントリル)ジルコニウムジクロリド,メソ−メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム,メソ−エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム,メソ−エチレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジメチルジルコニウム,メソ−エチレンビス(2−エチルインデニル)ジメチルジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7−インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−テトラフェニルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。これらは、環状オレフィン類又はスチレンと、オレフィンとの共重合において、共重合性が高い主触媒成分である。
一般式(A−5)で表される化合物は、
である。
また、X1 で示されるσ結合性配位子の具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20のケイ素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。このX1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 ,E1 ,E2 又はY1 と架橋していてもよい。
一方、Y1 で示されるルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。このY1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 やE1 ,E2 又はX1 と架橋していてもよい。
次に、A1 及びA2 で示される架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば一般式
この一般式(IV)で表される遷移金属化合物において、E1 及びE2 が置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又は置換インデニル基である場合、A1 及びA2 の架橋基の結合は、(1,1’)(2,2’)二重架橋型であってもよく、(1,2’)(2,1’)二重架橋型であってもよい。このような一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(A−5’)
上記一般式(A−5’)において、M2 ,X1 ,Y1 ,A1 ,A2 ,q及びrは上記と同じである。X1 はσ結合性の配位子を示し、X1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 又はY1 と架橋していてもよい。このX1 の具体例としては、一般式(A−5)のX1 の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1 はルイス塩基を示し、Y1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 又はX1 と架橋していてもよい。このY1 の具体例としては、一般式(A−5)のY1 の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。R21〜R26はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,ケイ素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R21〜R26はたがいに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士がたがいに結合して環を形成していてもよい。
この一般式(A−5’)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −プロピリデン)(2,2' −プロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド,ビス(ジメチルシリレン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)ビス(3−n−ブチル−インデニル)インデニルジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−エトキシメチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリレン−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。(A−5)成分としては、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、配位子が(1,1' )(2,2' )の二重架橋型錯体で無置換又は置換のシクロペンタジエニル、インデニル錯体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[15]」とする)が挙げられ、(a)(1,1' )(2,2' )無置換シクロペンタジエニル又はインデニル、テトラヒドロインデニル二重架橋錯体、(b)置換インデニル錯体又は置換シクロペンタジエニル錯体
が好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、O,P,S,N,Si含有置換基が挙げられる。上記(a)の好ましいものの例示として、架橋基が(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−エチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−エチレン),(1,1’−エチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−エチレン) ,(1,1’−メチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−メチレン),(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)のビスインデニルジルコニウムジクロリド又はビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
上記(b)の好ましいものの例示として、架橋基が上記(a)と同様のものが挙げられる。一例として、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、一般式(IV) の例示の全て(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[16]」とする)が挙げられる。
一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、(a)(1,1' )(2,2' )無置換シクロペンタジエニル又はインデニル、テトラヒドロインデニル二重架橋錯体、(b)(1,2' )(2,1' )無置換シクロペンタジエニル又はインデニル、テトラヒドロインデニル二重架橋錯体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[17]」とする)が挙げられる。上記(a)の好ましいものの例示として、架橋基が(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−エチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−エチレン),(1,1’−エチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−エチレン) ,(1,1’−メチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−メチレン),(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)のビスインデニルジルコニウムジクロリド及びビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
上記(b)の好ましいものの例示として、架橋基が(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン),(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン),(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン),(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン),(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−エチレン),(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン),(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン),(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)のビスインデニルジルコニウムジクロリド、ビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリド及びビス(ジメチルシリレン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。これらは、環状オレフィン類又はスチレン類と、オレフィンとの共重合において、共重合性が高い主触媒成分である。
一般式(A−6)で表される化合物は、
である。
一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものとして、一般式(A−6)における例示の全て(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[19]」とする)が挙げられる。特に好ましいものとして、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジインチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジメチル,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジメトキシド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリドなどが挙げられる。
キレート化合物として、下記一般式(A−7)
で表されるGibson型錯体が挙げられる。
上記一般式(A−7)において、R1 〜R4 及びR5 〜R9 のうち炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換基が導入されていてもよい。また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR1 及びR4 としては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ(t−ブチル)基、2,6−ジメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリンが好適である。R1 及びR4 は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R2 及びR3 としては、例えば水素原子、メチル基などが挙げられる。
一方、X及びYは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を挙げることができるが、後者としては上記炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX及びYとしては、特にメチル基が好ましい。また、XとYは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
Zは窒素原子を含む下記式2又は3
前記一般式(A−7)で表される錯体化合物の例としては下記の式4〜19で表される化合物等を挙げることができる。
さらに、キレート化合物としては、ジイミン化合物を配位子とするBrookhert型錯体が好ましく、このようなものとしては、例えば一般式(A−8)
上記一般式(A−8)において、R30及びR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換差が導入されていてもよい。また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR30及びR33としては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基が好適である。R30及びR33は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、R31及びR32のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、前記R30及びR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。また炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。このR30及びR31は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、たがいに結合して環を形成してもよい。
一方、X2 及びY2 のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記R31及びR32における炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX2 及びY2 としては、特にメチル基が好ましい。また、X2 とY2 は、たがいに同一であってもよく異なっていてもよい。
M2 の周期律表第8〜10族の遷移金属としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ロジウム、ルテニウムなとが挙げられ、ニッケル、パラジウムが好ましい。
前記一般式(A−8)で表される錯体化合物の例としては、下記の式[1]〜[17]で表される化合物などを挙げることができる。
キレート型錯体としては、下記一般式(A−9)
Ld MXe Yf Zg ・・・(A−9)
[式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列若しくはアクチノイド系列の金属を示し、Lは下記一般式
で表されるものである。また、dは1以上でかつMの原子価を超えない整数を示し、各L基は互いに同一でも異なっていてもよく、L基間で架橋していてもよい。Xは共役π電子を有する配位子を示す。具体的には、アリル基、シクロペンタジエニル基若しくは置換シクロペンタジエニル基、またはシクロペンタジエニル環内にヘテロ原子を含有するシクロペンタジエニル基若しくは置換シクロペンタジエニル基を示す。eは0又は1を示し、L基とX基との間で架橋していてもよい。Yはσ結合性の配位子又はキレート性の配位子を示し、fは0以上の整数で、[Mの原子価−(d+e)]に等しく、各Yは互いに同一でも異なっていてもよい。Zはルイス塩基を示し、gは0〜4の整数を示し、各Zは互いに同一でも異なっていてもよい。また、L基、XあるいはYとの間で架橋していてもよい。このYの具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、有機メタロイド基、アルコキシ基、アミノ基、炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基である。]
で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(A−9)で示される遷移金属化合物のn=1,e=0のときの具体例としては、ビス[N,N−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジメチルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジイソプロピルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N−シクロヘキシル−N′−メチルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムジクロリド、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムジクロリド、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジヒドリド、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジヒドリド、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムジヒドリド、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムジヒドリド、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジエトキシジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジエトキシジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジエトキシジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジエトキシジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジメチルジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジメチルジルコニウム、ビス[(t−ブトキシメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジメチルジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジメチルジルコニウム、[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムトリクロリド、(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムトリクロリド、[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムトリクロリド、(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムトリクロリド、ブチレンビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)アミジナート]ジルコニウムジクロリド、[δ−(t−ブチルアミノ)バレル−N,N′−ビス(トリメチルシリル)アミジナート]ジルコニウムジクロリド、ジアミジナートチタンジクロライド、さらに金属をチタニウム、ハフニウムに置換したものなどが挙げられ、好ましくはビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
前記一般式(A−9)で示される遷移金属化合物のn=3、e=0のときの具体例としては、下記式[a]〜[m]の化合物が挙げられる。さらに、金属をチタン又はハフニウムに置換したものが挙げられる。
キレート化合物としては、下記式
一般式(A−1)
MR1 a R2 b R3 c R4 d (A−1)
で表される化合物において、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示す。具体的にはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,ケイ素原子を含む置換基などを例示できる。また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。a,b,c及びdは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。R1 ,R2 ,R3 及びR4 は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式で表される遷移金属化合物の具体例としては、四塩化チタン,三塩化チタン,テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン,ジメトキシジクロルチタン,アセチルアセトナートチタン,ビス(N,N’−ジシクロヘキシルトリルアミジナート)ジクロロチタン、上記遷移金属化合物が塩化マグネシウムに担持したもの、更には電子供与体を含有するもので、チタン/マグネシウム/塩素又はこれに電子供与体を含有するものを例示することができる。
上記一般式で示した遷移金属化合物のうち、少なくとも2個のハロゲン原子又はアルコキシ基、あるいはそれぞれ2個のハロゲン原子とアルコキシ基が中心金属に結合した遷移金属化合物と、一般式(I)〜(VI)
上記一般式(I)〜(VI) で表される化合物において、R49及びR50は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Y3 は炭素数1〜20の炭化水素基、
該遷移金属化合物と、前記一般式(I)〜(VI) で表されるジオールとの反応生成物の一例としては、一般式(VII)
上記一般式(VII)において、M7 はチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、E1 及びE2 は、炭素数1〜20の炭化水素基で、v及びxは、それぞれ0又は1を示し、E1 及びE2 は、Y4 を介して架橋構造を形成するものである。E3 及びE4 は、σ結合性配位子、キレート性の配位子又はルイス塩基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。
v’及びx’は、それぞれ0〜2の整数〔v’+x’(M1 の原子価−2)の整数〕を示す。Y4 は炭素数1〜20の炭化水素基,E5 E6 Y5 ,酸素原子又は硫黄原子を示し、mは0〜4の整数を示す。E5 及びE6 は、炭素数1〜20の炭化水素基、Y5 は炭素原子又はケイ素原子を示す。
一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものとして、TiCl4 ,三塩化チタン、チタン/マグネシウム/塩素/電子供与体からなるもの(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[20]」とする)が挙げられる。
このような触媒の主触媒成分としては、上述した一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−7),(A−8),(A−9)及び(A−1)で表される金属化合物を用いることができる。助触媒成分としては、上述した(B−1),(B−2),(B−3),(B−4)及び(B−5)成分を使用することができる。
上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル環上の置換基が各々独立に炭素数1〜20の炭化水素基であり、置換基数が5の化合物が挙げられる。具体的には、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
また、一般式(A−4)で表される化合物としては、一般式(A−4−1)
で表される化合物が好ましい。
この遷移金属化合物は、単架橋型錯体である。
前記一般式(A−4−1)において、R7 〜R17,X3 及びX4 のうちのハロゲン原子としては、塩素原子,臭素原子,フッ素原子,ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ヘキシル基,n−デシル基などのアルキル基、フェニル基,1−ナフチル基,2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、また炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、トリフルオロメチルなどの上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられる。珪素含有基としては、トリメチルシリル基,ジメチル(t−ブチル)シリル基などが挙げられる。酸素含有基としては、メトキシ基,エトキシ基などが挙げられ、イオウ含有基としては、チオール基,スルホン酸基などが挙げられる。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。また、R9 とR10及びR14とR15はたがいに結合してフルオレンなどの環を形成してもよい。R10,R11,R13,R15及びR16の好ましいものとしては水素原子が挙げられる。R7 ,R8 ,R9 ,R12,R14及びR17としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基が更に好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。X3 ,X4 としては、ハロゲン原子,メチル基,エチル基,プロピル基が好ましい。
M1 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示すが、特にハフニウムが好適である。
前記一般式(A−4−1)で表される遷移金属化合物の具体例としては、1,2−エタンジイル(1−(4,7−ジイソプロピルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(9−フルオレニル)(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−(4,7−ジイソプロピルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(1−(4,7−ジメチルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(9−フルオレニル)(2−(4,7−ジメチルインデニル))ハフニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−(4,7−ジメチルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリドなど、及びこれらの化合物におけるハフニウムをジルコニウム又はチタンに置換したものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上記一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものは、上述した例示において、チタン錯体であるものである。
上記一般式(A−7),(A−8)及び(A−9)で表される化合物の好ましいものは、上記一般式(A−7)のうちの鉄系錯体、上記一般式(A−8)のうちの鉄系錯体及びニッケル系錯体、上記一般式(A−9)のうちのジルコニウム系錯体及びハフニウム系錯体である。
上記一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものは、チタン錯体であり、具体的には、(1) テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン等のアルコキシチタン、(2) 四塩化チタン等のハロゲン化チタン、(3) アセチルアセトナートチタンである。
より好ましい主触媒成分は、(1)エチレンを用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めようとする場合、一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−7),(A−8),(A−9)及び(A−1)で表される構造であり、(2)プロピレンを用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めるようとする場合、一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−4−1)及び(A−5)で表される構造であり、(3)エチレンとプロピレンを同時に用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めるようとする場合、上記(1)及び(2)のうちのどちらでも用いることができる
(B−1)アルミノキサンとしては、一般式(B−1−1)
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、更に水を反応させる方法などがある。
また、アルミノキサンから炭化水素溶媒に不溶な成分を除去する方法としては、例えば、炭化水素溶媒に不溶な成分を自然沈降させ、その後デカンテーションにより分離する方法が挙げられる。或いは、遠心分離等の操作により分離する方法でもよい。その後、更に回収した可溶解成分をG5ガラス製フィルター等を用い、窒素気流下にてろ過した方が不溶な成分が充分除去されるので好ましい。このようにして得られるアルミノキサンは時間の経過とともにゲル成分が増加することがあるが、調製後48時間以内に使用することが好ましく、調製後直ちに使用することが特に好ましい。アルミノキサンと炭化水素溶媒の割合は、特に制限はないが、炭化水素溶媒1リットルに対しアルミノキサン中のアルミニウム原子が0.5〜10モルとなるような濃度で用いることが好ましい。
なお、前記の炭化水素溶媒溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等芳香族炭化水素やペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等脂肪族炭化水素やシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等脂環式炭化水素やナフサ、ケロシン、ライトガスオイル等石油留分等が挙げられる。
(〔L1 −R60〕h+)a (〔Z〕- )b ・・・(X)
(〔L2 〕h+)a (〔Z〕- )b ・・・(XI)
(ただし、L2 はM5 ,R61R62M6,R63 3 C又はR64M6 である。)
〔(X),(XI) 式中、L1 はルイス塩基、〔Z〕- は、非配位性アニオン〔Z1 〕- 又は〔Z2 〕- 、ここで〔Z1 〕- は複数の基が元素に結合したアニオン、すなわち〔M4 G1 G2 ・・・Gf 〕(ここで、M4 は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1 〜Gf はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、または炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1 〜Gf のうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔( 中心金属M4 の原子価) +1〕の整数を示す。) 、〔Z2 〕- は、酸解離定数の逆数の対数(pKa ) が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R60は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R61及びR62はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R63は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R64はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニンなどの大環状配位子を示す。hは〔L1 −R60〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(h×a)である。M5 は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M6 は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
また、〔Z1 〕- 、すなわち〔M4 G1 G2 ・・・Gf 〕において、M4 の具体例としてはB,Al,Si ,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1 ,G2 〜Gf の具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル) 硼酸メチル( 4−シアノピリジニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。(B−2)成分としては、前記の硼素化合物が好ましい。
次に、(B−3)成分のルイス酸としては、特に制限はなく、有機化合物でも固体状無機化合物でもよい。有機化合物としては、硼素化合物やアルミニウム化合物などが、無機化合物としてはマグネシウム化合物、アルミニウム化合物などが効率的に活性点を形成できる点から好ましく用いられる。該アルミニウム化合物としては例えばビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムメチル,(1,1−ビ−2−ナフトキシ)アルミニウムメチルなどが、マグネシウム化合物としては例えば塩化マグネシウム,ジエトキシマグネシウムなどが、アルミニウム化合物としては酸化アルミニウム,塩化アルミニウムなどが、硼素化合物としては例えばトリフェニル硼素,トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素,トリス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕硼素,トリス〔(4−フルオロメチル)フェニル〕硼素,トリメチル硼素、トリエチル硼素,トリ−n−ブチル−硼素,トリス(フルオロメチル)硼素,トリス(ペンタフルオロエチル)硼素,トリス(ノナフルオロブチル)硼素,トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素,トリス(3,5−ジフルオロ)硼素,トリス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕硼素,ビス(ペンタフルオロフェニル)フルオロ硼素,ジフェニルフルオロ硼素,ビス(ペンタフルオロフェニル)クロロ硼素,ジメチルフルオロ硼素、ジエチルフルオロ硼素,ジ−n−ブチルフルオロ硼素,ペンタフルオロフェニルジフルオロ硼素,フェニルジフルオロ硼素,ペンタフルオロフェニルジクロロ硼素,メチルジフルオロ硼素,エチルジフルオロ硼素,n−ブチルジフルオロ硼素などが挙げられる。
これらのルイス酸は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(1) 粘土又は粘土鉱物
粘土とは、細かい含水ケイ酸塩鉱物の集合体であって、適当量の水を混ぜてこねると可塑性を生じ、乾けば剛性を示し、高温度で焼くと焼結するような物質をいう。また、粘土鉱物とは、粘土の主成分をなす含水ケイ酸塩をいう。
これらは、天然産のものに限らず、人工合成したものであってもよい。
(2) イオン交換性層状化合物
イオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面がたがいに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。粘土鉱物の中には、イオン交換性層状化合物であるものがある。
例えば、粘土鉱物としてフィロケイ酸類が挙げられる。フィロケイ酸類としては、フィロケイ酸やフィロケイ酸塩が挙げられる。フィロケイ酸塩としては、天然品として、スメクタイト族に属するモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、雲母族に属するイライト、セリサイト及びスメクタイト族と雲母族又は雲母族とバーミクキュライト族との混合層鉱物等が挙げられる。
その他、α−Zr(HPO4 )2 ,γ−Zr(HPO4 )2 ,α−Ti(HPO4 )2 及び,γ−Ti(HPO4 )2 等の粘土鉱物ではない層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を挙げることができる。
イオン交換性層状化合物には属さない粘土及び粘土鉱物で、(B−3)成分の具体例を挙げれば、モンモリロナイト含量が低いためベントナイトと呼ばれる粘土、モンモリロナイトに他の成分が多く含まれる木節粘土、ガイロメ粘土、繊維状の形態を示すセピオライト、パリゴルスカイト、また、非結晶質あるいは低結晶質のアロフェン、イモゴライト等がある。
ここで、化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをもさす。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
酸処理は表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のアルミニウム、鉄、マグネシウム等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機複合体などを形成し、表面積や層間距離等を変化させることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の嵩高いイオンと置換することによって、層間が拡大された状態の層間物質を得ることもできる。
(5) 上記(B−4)成分は更に有機アルミニウム化合物及び/又は有機シラン化合物で処理したものを用いてもよい。
(6) (B−4)成分として、好ましいものは粘土又は粘土鉱物であり、最も好ましいものはフィロケイ酸類であり、中でもスメクタイトがよく、モンモリロナイトが更に好ましい。
Rv M3 Qu-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、M3 は周期律表第1〜3族及び第11〜13族の金属元素を示し、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示す。uは金属の原子価であり、0<v≦uである。)
で表されるものである。
具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジエチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド,ジエチル亜鉛,トリエチルボロン,ブチルエチルマグネシウムなどが挙げられる。
助触媒成分が(B−1)アルミノキサンである場合、(A)/(B−1)は、モル比で通常1/1〜1/10000、好ましくは1/10〜1/7000、より好ましくは1/100〜1/5000、最も好ましくは1/150〜1/3000である。
助触媒成分が(B−2)遷移金属と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、(A)/(B−2)は、モル比で通常1/0.1〜1/500、好ましくは1/0.5〜1/400、より好ましくは1/0.8〜1/300、最も好ましくは1/1〜1/200である。
助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、(A)/(B−3)は、モル比で通常1/0.1〜1/500、好ましくは1/0.5〜1/400、より好ましくは1/0.8〜1/300、最も好ましくは1/1〜1/200である。
助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、(A)/(B−4)は、質量比で通常1/0.5〜1/1000、好ましくは1/1〜1/500である。
助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、(A)/(B−5)は、モル比で通常1/1〜1/10000、好ましくは1/10〜1/8000、より好ましくは1/15〜1/6000、最も好ましくは1/20〜1/5000である。
(C)成分のアルキルアルミニウム化合物としては、下記一般式
Rv AlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表される化合物が用いられる。
上記一般式で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
これらのアルキルアルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。なお、(B−5)成分のうちのアルキルアルミニウム化合物を助触媒成分として用いる場合、(C)成分は使用しない。
(A)主触媒成分と(C)アルキルアルミニウム化合物の使用割合(A)/(C)は、モル比で通常1/1〜1/20000、好ましくは1/5〜1/2000、より好ましくは1/10〜1/1000である。(C)成分の使用量が少なすぎると活性向上効果が小さく、多すぎると重合体中のアルミニウム残渣が多くなるおそれがある。
非担持触媒は、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことが好適である。予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10ミリモル/リットル〜20モル/リットルが好ましい。
予備重合の方法としては、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれでもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2 ,Al2 O3 ,MgO,ZrO2 ,TiO2 ,Fe2 O3 ,B2 O3 ,CaO,ZnO,BaO,ThO2 やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2 又はAl2 O3 が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
一方、上記以外の担体として、MgCl2 ,Mg(OC2 H5)2 などのマグネシウム化合物などで代表される一般式MgR41 X X7 y で表されるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R41は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X7 はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R41及び各X7 はそれぞれ同一でもよく、また異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。
本発明において用いられる担体としては、MgCl2 ,MgCl(OC2 H5 ),Mg(OC2 H5)2 ,SiO2 ,Al2 O3 などが好ましい。また担体の性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。
また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2 /g、好ましくは50〜500m2 /g、細孔容積は通常0.1〜5cm3 /g、好ましくは0.3〜3cm3 /gである。
更に、上記担体は、通常100〜1000℃、好ましくは130〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を上記担体に担持させる場合、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは主触媒成分及び助触媒成分の両方を担持させるのが、モルホロジー制御、気相重合などプロセスへの適用性などの点から望ましい。
担体と主触媒成分の使用割合は、担体1gに対して主触媒成分が通常5×10-8〜1.5×10-2モル、好ましくは7×10-8〜1.3×10-2モル、より好ましくは8×10-8〜1.0×10-2モル、最も好ましくは1.0×10-7〜5.0×10-3モルである。主触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、主触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。
助触媒成分が(B−1)アルミノキサンである場合、担体/(B−1)は、 質量比で通常0.1/1〜2000/1、好ましくは0.5/1〜1000/1、更に好ましくは1.0/1〜500/1、より好ましくは1.2/1〜300/1、最も好ましくは1.5/1〜100/1である。
助触媒成分が(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、担体/(B−2)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは10/1〜500/1である。
助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、担体/(B−3)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、担体/(B−4)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、担体/(B−5)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
上記方法(1)においては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒を使用して担持反応を行う。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
方法(1)において、担持条件は、温度−50〜100℃、好ましくは−10〜80℃、反応時間10秒〜5時間、好ましくは30秒〜2時間である。上述した担持方法(3) 、(4) 、(5) のように段階的に担持を実施する場合、または担持方法(3) のように予め接触させた触媒成分を用いる場合、温度や反応時間は上記範囲から独立に選定する。担持操作は、触媒成分を溶解させた条件で行うことが好ましい。担持操作の終了後、必要に応じて、未反応の触媒成分を溶媒により洗浄除去してもよい。
方法(2)において、担持条件は、温度−50〜100℃、好ましくは−10〜80℃、反応時間5分〜50時間、好ましくは1〜20時間である。上述した担持方法(3) 、(4) 、(5) のように段階的に担持を実施する場合、または担持方法(3) のように予め接触させた触媒成分を用いる場合、温度や反応時間は上記範囲から独立に選定する。担持操作の終了後、必要に応じて、未反応の触媒成分を溶媒により洗浄除去してもよい。
上述した、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) 〜(6) において、担体は、予め周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物[上述した(B−5)成分]で処理することができる。アルキル金属化合物としては、上述したものと同様のものが例示され、好ましくはアルキルアルミニウム、より好ましくはトリアルキルアルミニウム、最も好ましくはトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムである。
担体と周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物との使用割合は、担体1gに対して通常アルキル金属化合物0.1〜100ミリモル、好ましくは0.2〜90ミリモル、より好ましくは0.4〜80ミリモル、最も好ましくは0.5〜80ミリモルである。
担体をアルキル金属化合物により処理する際の条件は、処理温度−78〜100℃、好ましくは−50〜80℃、処理時間1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間である。処理は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒中で担体を攪拌分散させながら、上記アルキル金属化合物を滴下する方法が好ましい。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
上記処理が終了した後、固体の担体成分は分離除去することが好ましい。分離は、溶媒による洗浄又はろ過により行うことができる。得られた処理担体を用いた担持触媒成分の調製は、上述した方法と同様の方法により行うことができる。
含水担体をアルキル金属化合物により処理する際の条件は、処理温度−78〜100℃、好ましくは−50〜80℃、処理時間1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間である。処理は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒中で含水担体を攪拌分散させながら、上記のアルミノキサンやアルキル金属化合物を滴下する方法が好ましい。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、含水担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
上記処理が終了した後、固体の担体成分は分離除去することが好ましい。分離は、溶媒による洗浄又はろ過により行うことができる。得られた処理担体を用いた担持触媒成分の調製は、上述した方法と同様の方法により行うことができる。
このように水の共存下で担持触媒成分を製造する場合、用いる助触媒成分としては、アルミノキサン[上述した(B−1)成分]又は周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物[上述した(B−5)成分]で処理することが好ましい。アルミノキサン及びアルキル金属化合物としては、上述したものと同様のものが例示される。アルミノキサンとしては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油など上述した溶媒に可溶なアルミノキサン(メチルアルミノキサン,エチルアルミノキサン,トリイソブチルアルミノキサン及びこれらの混合アルミノキサンなど)、 1H−NMRにより測定した残留有機アルミニウム(アルミノキサン以外の有機アルミニム化合物)が2〜50質量%のアルミノキサンが好ましい。アルキル金属化合物としては、トリメチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム及びトリメチルアルミニウム(TMA)とトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の混合物(混合モル比:TMA/TIBA=10/90〜90/10)、トリイソブチルアルミニウムと、トリメチルアルミニウム以外のトリアルキルアルミニウム(TAA−1)の混合物(混合モル比:TAA−1/TIBA=0.1/99.9〜50/50)、トリメチルアルミニウムと、トリイソブチルアルミニウム以外のトリアルキルアルミニウム(TAA−2)の混合物(混合モル比:TAA−2/TMA=0.1/99.9〜50/50)が好ましい。
共存させる水の量は、通常、質量比で水/助触媒成分=1/0.5〜1/1000、好ましくは1/0.5〜1/800、より好ましくは1/0.8〜1/700である。水/助触媒成分の比が1/0.5未満では低活性となり、1/1000を超えると重合体中の残存アルミニウム成分が増加するため、品質が低下するおそれがある。
助触媒成分が(B−2)遷移金属と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、担体/(B−2)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは10/1〜500/1である。
助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、担体/(B−3)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、担体/(B−4)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、担体/(B−5)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
助触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、助触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。
担持方法(3) (主触媒成分と助触媒成分とを予め接触させた後、担体と混合する方法)、担持方法(4) (担体と助触媒成分とを予め接触させた後、主触媒成分と混合する方法)、担持方法(5) (担体と主触媒成分とを予め接触させた後、助触媒成分と混合する方法)、担持方法(6) (担体と主触媒成分と助触媒成分とを同時に接触混合する方法)の場合は、担持触媒成分をそのまま触媒として用いて予備重合触媒を製造するか、あるいは下記一般式
Rv AlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表されるアルキルアルミニウム化合物を担持触媒と併用して予備重合触媒を製造する。アルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。なお、(B−5)成分のうちのアルキルアルミニウム化合物を助触媒成分として用いる場合、予備重合触媒の製造において上記アルキルアルミニウム化合物は使用しない。
製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
(a)エチレン単独重合体又はエチレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(b)プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜20のα−オレフィンを50モル%以上含有する共重合体
(d)スチレン類の単独重合体又は共重合体[複数種のスチレン類からなる共重合体、スチレン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合体]
(e)環状オレフィン類の単独重合体又は共重合体[複数種の環状オレフィン類からなる共重合体、環状オレフィン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合体]
重合体(b)の具体例としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、プロピレン/ヘキセン共重合体、プロピレン/オクテン共重合体、プロピレン/デセン共重合体、プロピレン/エイコセン共重合体、プロピレン/ノルボルネン共重合体、プロピレン/スチレン共重合体、プロピレン/p−メチルスチレン共重合体、プロピレン/p−フェニルスチレン共重合体及び低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン/エチレン等α−オレフィン共重合体などのプロピレン系重合体が挙げられる。
重合体(c)の具体例としては、ポリブテン、ブテン/エチレン共重合体、ブテン/プロピレン共重合体、ブテン/デセン共重合体、ブテン/エイコセン共重合体、ブテン/スチレン共重合体、ブテン/ノルボルネン共重合体、ポリ4−メチル−ペンテン−1、及びブテンを4−メチル−ペンテン−1に変えた共重合体などのα−オレフィン系重合体が挙げられる。
重合体(d)の具体例としては、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、スチレン/エチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/オクテン共重合体、スチレン/デセン共重合体、スチレン/エイコセン共重合体、スチレン/ノルボルネン共重合体及びスチレン/p−メチルスチレン共重合体などのスチレン系重合体が挙げられる。
重合体(e)の具体例としては、ノルボルネン重合体、ノルボルネン/エチレン共重合体、ノルボルネン/プロピレン共重合体、ノルボルネン/ブテン共重合体、ノルボルネン/オクテン共重合体、ノルボルネン/スチレン共重合体、ノルボルネン/エチレン/プロピレン共重合体、ノルボルネン/エチレン/スチレン共重合体、ノルボルネン/エチリデンノルボルネン共重合体などが挙げられる。
上記重合体の立体規則性は、アタクチック構造、シンジオタクチック構造又はアイソタクチック構造であり、アイソタチクチック構造の場合は[mmmm]=40〜99.9%、シンジオタクチック構造の場合は[rrrr]=35〜99.9%が好ましい。
重合は、温度−100〜300℃、好ましくは0〜200℃、圧力0.001〜10MPa、好ましくは0.05〜3MPa、重合時間10秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間の条件で行なうことが好ましい。重合工程[I]において製造する重合体の分子量は、水素添加、重合温度、単量体の濃度、重合圧力により制御することができる。また、重合体の組成は、単量体の仕込み量を変更することにより行うことができる。
重合工程[I]で製造される重合体において、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]で表した分子量は、通常0.05〜20デシリットル/gであり、好ましくは0.2〜18デシリットル/g、より好ましくは0.3〜16デシリットル/g、最も好ましくは0.4〜13デシリットル/gである。この極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満では、剛性や耐衝撃性などの物性が低下し、20デシリットル/gを超えると、成形加工性が低下するおそれがある。
重合工程[I]で製造される重合体において、分子量分布に特に制限はなく、通常の範囲であればよい。好ましくは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが1.5〜25の範囲であり、1.8〜15がより好ましい。分子量分布は、通常、用いる触媒によりほぼ決定されるが、分子量分布を拡大するためには、重合工程[I]において、例えば水素濃度、重合圧力、重合温度のような、分子量を変化させる条件を変更すればよい。
重合工程[II]で製造される重合体としては、いずれもポリエンを含む下記(a)〜(e)の重合体が挙げられる。
(a)エチレン単独重合体又はエチレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(b)プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜20のα−オレフィンを50モル%以上含有する共重合体
(d)スチレン類の単独重合体又は共重合体[複数種のスチレン類からなる共重合体、スチレン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合体]
(e)環状オレフィン類の単独重合体又は共重合体[複数種の環状オレフィン類からなる共重合体、環状オレフィン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合体]
重合体(b)の具体例としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、プロピレン/ヘキセン共重合体、プロピレン/オクテン共重合体、プロピレン/デセン共重合体、プロピレン/エイコセン共重合体、プロピレン/ノルボルネン共重合体、プロピレン/スチレン共重合体、プロピレン/p−メチルスチレン共重合体、プロピレン/p−フェニルスチレン共重合体及び低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン/エチレン等α−オレフィン共重合体などのプロピレン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
重合体(c)の具体例としては、ポリブテン、ブテン/エチレン共重合体、ブテン/プロピレン共重合体、ブテン/デセン共重合体、ブテン/エイコセン共重合体、ブテン/スチレン共重合体、ブテン/ノルボルネン共重合体、ポリ4−メチル−ペンテン−1、及びブテンを4−メチル−ペンテン−1に変えた共重合体などのα−オレフィン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
重合体(d)の具体例としては、アイソタクチックポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、アタクチックポリスチレン、スチレン/エチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/オクテン共重合体、スチレン/デセン共重合体、スチレン/エイコセン共重合体、スチレン/ノルボルネン共重合体及びスチレン/p−メチルスチレン共重合体などのスチレン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
重合体(e)の具体例としては、ノルボルネン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/プロピレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/ブテン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/オクテン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/スチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/プロピレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/スチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチリデンノルボルネン/ポリエン共重合体などが挙げられる。
上記重合体の立体規則性は、アタクチック構造、シンジオタクチック構造又はアイソタクチック構造であり、アイソタチクチック構造の場合は[mmmm]=40〜99.9%、シンジオタクチック構造の場合は[rrrr]=35〜99.9%が好ましい。
重合は、温度−100〜300℃、好ましくは0〜200℃、圧力0.001〜10MPa、好ましくは0.05〜3MPa、重合時間10秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間の条件で行なうことが好ましい。重合工程[II]において製造する重合体の分子量は、水素添加量、重合温度、単量体の濃度、重合圧力などにより制御することができる。また、重合体の組成は、単量体の仕込み量を変更することにより行うことができ、重合体中のポリエンの含有量は、ポリエンの仕込み量を変更することにより増減することができる。
重合工程[II]で製造される重合体組成物において、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]で表した分子量は、通常0.05〜20デシリットル/gであり、好ましくは0.2〜18デシリットル/g、より好ましくは0.3〜16デシリットル/g、最も好ましくは0.4〜13デシリットル/gである。この極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満では、剛性や耐衝撃性などの物性が低下し、20デシリットル/gを超えると、成形加工性が低下するおそれがある。
重合工程[II]で製造される重合体において、分子量分布に特に制限はなく、通常の範囲であればよい。好ましくは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが1.5〜25の範囲であり、1.8〜15がより好ましい。分子量分布は、通常、用いる触媒によりほぼ決定されるが、分子量分布を拡大するためには、重合工程[II]において、例えば水素濃度、重合圧力、重合温度のような、分子量を変化させる条件を変更すればよい。
重合工程[II]で製造される重合体において、ポリエン含有量は、通常0を超え30モル%以下であり、好ましくは0を超え25モル%以下、より好ましくは0を超え20モル%以下、更に好ましくは0を超え15モル%以下、より一層好ましくは0を超え10モル%以下、更に一層好ましくは0.001〜5モル%、より好ましくは0.001〜2.5モル%、最も好ましくは0.001〜2モル%である。ポリエン含有量が0であると、本発明において目的とする樹脂相溶化剤としての効果や溶融流動性改良効果に乏しく、ポリエン含有量が30モル%を超えると、溶融流動性が劣ることとなる。
長鎖分岐の構造は、分岐長が炭素数10から主鎖と同程度の分子量までであり、分岐数が1000炭素当たり0.0001〜10のものである。長鎖分岐の構造は、重合工程[II]においてポリエンの使用量を増加させたり、マクロモノマーを生成する触媒を用いることにより制御することができる。
(a)溶融粘度のせん断速度依存性による評価方法
長鎖分岐を微量でも有するポリオレフィンは、溶融粘度のせん断速度依存性が分岐を含まないポリオレフィンとは異なることを利用して長鎖分岐構造を検出する方法である。すなわち、長鎖分岐が存在すると、溶融粘度のせん断速度依存性は長鎖分岐の存在しない系と比較して大きい。従って、長鎖分岐の存在しない直鎖状重合体とグラフト重合体とを比較することで、長鎖分岐の存在を検出することができる。
また、この方法は分子量分布の影響を受けることが知られているが、この場合は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)から求めた分子量分布がほぼ同じで、長鎖分岐の存在しない同種、すなわち、単量体種が同一でその構成比率がほぼ同一のポリオレフィンの直鎖状重合体と比較する。また他の方法として、明らかに分岐を含まず単量体種が同一でその構成比率がほぼ同一のポリオレフィンを用い、分子量分布に対する溶融粘度のせん断速度依存性を予め明らかにし、重合工程[I]の重合体と同一の分子量分布域で比較することで長鎖分岐の存在を検出することができる。この一例として挙げられる具体的な測定方法は、以下のとおりである。
装置: 溶融粘度測定装置 RMS800(レオメトリックス社製)
<測定条件>
温度:重合工程[I]の重合体の最高融点又は最高ガラス転移温度以上
通常重合工程[I]の重合体の最高融点より10〜60℃高い温度
通常重合工程[I]の重合体の最高ガラス転移温度より10〜200℃高い温度
歪み:15%
角速度:0.01〜300rad/s
試料形状:コーンプレート
<データ処理>
溶融粘度が10Pa・sとなる角速度をω1 、溶融粘度が103 Pa・sとなる角速度をω2 とし、ω2 /10ω1 の値を算出する。
<比較試料>
明らかに分岐を含まず、単量体種が同一でとその構成比率が重合工程[I]の重合体とほぼ同一のポリオレフィンを使用する。
(2) 長鎖分岐の検出
ケース1:重合工程[II]の重合体の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]と比較試料の分子量分布の比が0.8〜1.8倍の範囲にある場合
重合工程[II]の重合体のω2 /10ω1 の値をN1 とし、比較試料のω2 /10ω1 の値をN0 としたとき、下記式(5)
1.01≦N1 /N0 ≦80 (5)
満たす場合を長鎖分岐構造として評価する。
ケース2:重合工程[II]の重合体の分子量分布と比較試料の分子量分布の比が上記ケース1の範囲を外れる場合
予め、分子量分布に対するN0 の値を、分子量分布の異なる複数の比較試料を用いて決定する。すなわち、比較試料のGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)に対するN0 (比較試料のω2 /10ω1 の値)をプロットし、この関係から単調増加の関数N0 =f(Mw/Mn)を最小二乗法により決定する。
この関係に重合工程[I]の重合体の分子量分布(Mw/Mn)の値から得られるN1 が上記式(5)を満たす場合をグラフト構造として評価する。
1.02≦N1 /N0 ≦70が好ましく、
1.03≦N1 /N0 ≦65がより好ましく、
1.04≦N1 /N0 ≦60が更に好ましく、
1.05≦N1 /N0 ≦55が最も好ましい。
N1 /N0 が1.01未満では、長鎖分岐が少なく、本発明の効果を示さないおそれがある。N1 /N0 が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
(b)GPC−光散乱による評価方法
(1) 分岐パラメ−タ(α)の決定方法
試料のGPC/MALLS(多角度光散乱)測定を行い、各溶出位置において、散乱光強度の傾きより<R2 >1/2 (半径の2乗平均の平方根)を求め、散乱光強度の切片より重量平均分子量Mwを求め、<R2 >1/2 とMwの対数をプロットし、最小2乗法によりその傾きαを計算した。
なお、試料のGPC/MALLS測定は以下の条件で行った。
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
濃度 :0.3%(w/v)
溶解温度 :135℃
測定装置 :Waters社製 150−C(GPC)
Wyatt Technology社製 DAWN EOSTM
(多角度光散乱)
カラム :昭和電工(株) ShodexUT806MLT
(7.8mmφ×50cm)
注入量 :300マイクロリットル
流速 :1.0ミリリットル/min
屈折率の濃度増分(dn/dc) :−0.095
上記測定を重合工程[II]の重合体及び重合工程[II]の重合体と単量体種が同一で、共重合組成の類似した(±10%程度の誤差)直鎖状の重合体の双方で実施し、α値を決定する。このα値の比[(α)L /(α)B ]が1を超える場合に、長鎖分岐が存在すると評価する。ここで、(α)L は直鎖状重合体のα値を示し、(α)B は重合工程[II]の重合体のα値を示す。
(α)L /(α)B は、
1.0<(α)L /(α)B ≦10が好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦8がより好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦6が更に好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦4がより一層好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦2が更に一層好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦1.5がより好ましく、
1.0<(α)L /(α)B ≦1.3が最も好ましい。
長鎖分岐が存在しない場合、(α)L /(α)B は1となる。(α)L /(α)B が10を超えると、ゲルが発生し、成形性が低下するおそれがある。
重合工程[II]で用いる触媒の主触媒成分の濃度は、通常3×10-9〜1×10-3モル/リットルである。主触媒成分が、シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物[一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)]又はキレート化合物である場合、主触媒成分の濃度は3×10-9〜5×10-4モル/リットルが好ましく、より好ましくは1×10-8〜1×10-4モル/リットルである。主触媒成分が一般式(A−1)で表される化合物である場合、主触媒成分の濃度は1×10-8〜1×10-4モル/リットルが好ましく、より好ましくは1×10-7〜5×10-4モル/リットルである。
重合工程[II]で用いる主触媒成分と全単量体との使用割合は、主触媒成分1×10-7モルに対して、全単量体10-3〜102 モル(モル比で1:104 〜109 )が好ましく、2×10-3〜10モル(モル比で1:2×104 〜108 )がより好ましい。主触媒成分とポリエンとの使用割合は、主触媒成分1×10-7モルに対して、ポリエン10-6〜1モル(モル比で1:10〜107 )が好ましく、2×10-6〜0.5モル(モル比で1:20〜5×106 )がより好ましい。
ポリエンが、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が異なるポリエン、例えば上述した一般式(iii −1)、一般式(IV)、一般式(v−1)、一般式(v−2)、一般式(vi−1)、一般式(vi−2)及び一般式(ii)で表されるポリエン、具体的にはo−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びその核置換体、p−ジビニルベンゼン骨格を有し、核置換体である1−置換の置換p−ジビニルベンゼン、3−置換の置換p−ジビニルベンゼンなどである場合、ポリエンの使用量は、重合工程[II]で製造する重合体1g当たり、通常5.0×10-7〜1.0×10-3モルであり、好ましくは1.0×10-6〜5.0×10-4モル、より好ましくは1.5×10-6〜4.0×10-4モル、更に好ましくは2.0×10-6〜2.0×10-4モル、最も好ましくは2.5×10-6〜1.0×10-4モルである。
ただし、主触媒成分(A−1)の触媒[20]を用いる場合、ポリエンの使用量は以下のようにする。
重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な上述のポリエンにおいては、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常0.5×10-6〜1.0×10-2モルであり、好ましくは0.7×10-6〜7.0×10-3モル、より好ましくは1.0×10-6〜6.0×10-3モル、更に好ましくは1.5×10-6〜5.0×10-3モル、最も好ましくは2.0×10-6〜4.0×10-3モルである。
ポリエンが、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な上述のポリエンにおいては、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常2.5×10-6〜5.0×10-2モルであり、好ましくは3.5×10-6〜3.5×10-2モル、より好ましくは5.0×10-6〜3.0×10-2モル、更に好ましくは7.5×10-6〜2.5×10-2モル、最も好ましくは1.0×10-5〜2.0×10-2モルである。
ポリエンの使用量が少なすぎると、重合工程[III]におけるグラフト反応の開始点のポリエン濃度が低くなり、ポリエンの使用量が多すぎると、ゲル発生の抑制が困難となる。本発明においては、一般式(i)、一般式(ii)、一般式(iv)及び一般式(v)のものが好ましい。
洗浄方法(1) の具体的な方法について、重合工程[II]における重合方法が、スラリー重合、バルク重合、気相重合の場合について説明する。スラリー重合の場合は、少なくとも下記ステップ1〜3を含む洗浄方法である。
ステップ2は、上述した溶媒により固体成分を洗浄する工程である。洗浄は、攪拌により行うことができ、攪拌洗浄時間10秒〜5時間、洗浄温度−30〜80℃で洗浄を行う。溶媒の使用量は、固体成分100gに対して100〜2000ミリリットルであり、溶媒は、上述した一般式(Rv AlQ3-v )で表されるアルキルアルミニウム化合物を濃度0.0005〜0.1質量%(5〜1000質量ppm)で含むものが好ましく、より好ましくは0.008〜0.05質量%(8〜500質量ppm)、最も好ましくは0.0015〜0.03質量%(15〜300質量ppm)である。アルキルアルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
ステップ3は、洗浄溶媒を回収する工程であり、上記ステップ1と同様にして行うことができる。なお、洗浄を繰り返す場合は、ステップ2とステップ3を繰り返せばよい。
重合工程[II]における重合方法がバルク重合の場合、液相部が常温常圧下で気体であるか液体であるかにより異なる。液相部が常温常圧下で気体である場合、ステップ1は、脱圧により液相部を除去する工程である。液相部が常温常圧下で液体である場合、ステップ1は、上記スラリー重合におけるステップ1と同様の工程である。ステップ2及びステップ3は、上記スラリー重合におけるステップ2及びステップ3と同様である。
重合工程[II]における重合方法が気相重合の場合、スラリー重合におけるステップ2とステップ3により洗浄を行う。
洗浄方法(1) により除去されたポリエンの回収率は、以下のようにして求めることができる。ある洗浄工程nにおける全溶媒量An (単位:リットル)のうち、回収した溶媒量をBn (単位:リットル)としたとき、ポリエンの回収率をBn /An で表し、ポリエンの未回収率を[1−(Bn /An )]で表す。洗浄工程nの次の洗浄工程(n+1)では、ポリエンの回収率はBn+1 /An+1 となり、洗浄工程(n+1)におけるポリエンの回収率は[1−(Bn /An )]×(Bn+1 /An+1 )となる。洗浄工程を複数回繰り返す場合は、これらの洗浄工程毎のポリエンの回収率の和が全ポリエン回収率となる。ここで、n=0は、重合工程[II]の終了後に最初に実施する未反応ポリエンの抜き出し回収操作に相当し、通常n=0〜5である。
洗浄方法(2) により除去されたポリエンの回収率は、コンデンセートとして回収したポリエン質量と、共重合に関与しなかったポリエン質量との比として求められる。
本発明において、ポリエンの回収率は70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは78質量%以上、最も好ましくは80質量%以上である。ポリエンの回収率が70質量%未満であると、重合工程[III]においてゲル成分が多発し、製造されるグラフト共重合体の物性や加工性能が低下するおそれがある。
重合工程[III]で用いる単量体としては、重合工程[I]と同様にエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体であり、重合工程[I]と同種の単量体を用いても異種の単量体を用いてもよい。また、重合工程[III]では、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び重合工程[I]とは異なる(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、重合することが好ましい。
重合工程[III]で製造される重合連鎖としては、下記(a)〜(e)の重合連鎖が挙げられる。
(a)エチレン単独重合体又はエチレン単位を50モル%以上含有する重合連鎖
(b)プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50モル%以上含有する重合連鎖
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜20のα−オレフィンを50モル%以上含有する重合連鎖
(d)スチレン類の単独重合連鎖又は共重合連鎖[複数種のスチレン類からなる共重合連鎖、スチレン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合連鎖]
(e)環状オレフィン類の単独重合連鎖又は共重合連鎖[複数種の環状オレフィン類からなる共重合連鎖、環状オレフィン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合連鎖]
重合連鎖(b)の具体例としては、アイソタクチックポリプロピレン連鎖、シンジオタクチックポリプロピレン連鎖、アタクチックポリプロピレン連鎖、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン連鎖、プロピレン/エチレン共重合連鎖、プロピレン/ブテン共重合連鎖、プロピレン/ヘキセン共重合連鎖、プロピレン/オクテン共重合連鎖、プロピレン/デセン共重合連鎖、プロピレン/エイコセン共重合連鎖、プロピレン/ノルボルネン共重合連鎖、プロピレン/スチレン共重合連鎖、プロピレン/p−メチルスチレン共重合連鎖、プロピレン/p−フェニルスチレン共重合連鎖及び低立体規則性アイソタクチック/ポリプロピレン/エチレン等α−オレフィン連鎖などが挙げられる。
重合連鎖(c)の具体例としては、ポリブテン連鎖、ブテン/エチレン共重合連鎖、ブテン/プロピレン共重合連鎖、ブテン/デセン共重合連鎖、ブテン/エイコセン共重合連鎖、ブテン/スチレン共重合連鎖、ブテン/ノルボルネン共重合連鎖、ポリ4−メチル−ペンテン−1、及びブテンを4−メチル−ペンテン−1に変えた共重合連鎖などが挙げられる。
重合連鎖(d)の具体例としては、アイソタクチックポリスチレン連鎖、シンジオタクチックポリスチレン連鎖、アタクチックポリスチレン連鎖、スチレン/エチレン共重合連鎖、スチレン/プロピレン共重合連鎖、スチレン/オクテン共重合連鎖、スチレン/デセン共重合連鎖、スチレン/エイコセン共重合連鎖、スチレン/ノルボルネン共重合連鎖及びスチレン/p−メチルスチレン共重合連鎖などが挙げられる。
重合連鎖(e)の具体例としては、ノルボルネン重合連鎖、ノルボルネン/エチレン共重合連鎖、ノルボルネン/プロピレン共重合連鎖、ノルボルネン/ブテン共重合連鎖、ノルボルネン/オクテン共重合連鎖、ノルボルネン/スチレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチレン/プロピレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチレン/スチレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチリデンノルボルネン共重合連鎖などが挙げられる。
エチレン系グラフト重合体としては、例えば、HDPE−g−HDPE,HDPE−g−poly(エチレン−CO−プロピレン),HDPE−g−poly(プロピレン−CO−1−ブテン),HDPE−g−poly(エチレン−CO−1−オクテン),HDPE−g−poly(エチレン−CO−1−ノルボルネン),HDPE−g−poly(スチレン),HDPE−g−poly(1−ブテン);これらのHDPE部位を、poly(エチレン−CO−プロピレン),poly(エチレン−CO−1−オクテン),poly(エチレン−CO−1−スチレン),poly(エチレン−CO−1−ノルボルネン)などに置き換えたものが挙げられる。
プロピレン系グラフト重合体としては、例えば、PP−g−PP,PP−g−poly(プロピレン−CO−エチレン),PP−g−poly(プロピレン−CO−1−ブテン),PP−g−poly(プロピレン−CO−ノルボルネン),PP−g−poly(1−ブテン),PP−g−poly(1−オクテン),PP−g−poly(エチレン−CO−1−ブテン),PP−g−poly(エチレン−CO−1−オクテン),PP−g−poly(スチレン);これらのPP部位を、poly(プロピレン−CO−エチレン),poly(プロピレン−CO−1−ブテン),poly(プロピレン−CO−ノルボルネン)などに置き換えたものが挙げられる。
スチレン系グラフト重合体としては、例えば、poly(スチレン)−g−poly(スチレン),poly(スチレン)−g−poly(エチレン),poly(スチレン)−g−poly(エチレン−CO−プロピレン),poly(スチレン)−g−poly(エチレン−CO−1−オクテン),poly(スチレン)−g−poly(プロピレン),poly(スチレン)−g−poly(プロピレン−CO−1−オクテン;これらのpoly(スチレン)部位を、poly(スチレン−CO−エチレン),poly(スチレン−CO−p−メチルスチレン)などに置き換えたものが挙げられる。
環状オレフィン系グラフト重合体としては、例えば、poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン),poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン−CO−スチレン),poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン−CO−エチレン);これらのpoly(ノルボルネン)部位を、poly(ノルボルネン−CO−スチレン),poly(ノルボルネン−CO−エチレン)などに置き換えたものが挙げられ。
また、同一単量体で立体規則性の異なるグラフト重合体としては、IPP−g−APP,IPP−g−SPP,SPP−g−APP,SPS−g−IPSなどが挙げられる。立体規則性と単量体種を異にするグラフト重合体としては、IPP−g−SPS,IPP−g−SPS,IPP−g−APS,SPP−g−SPSなどが挙げられる。
重合は、温度−100〜300℃、好ましくは0〜200℃、圧力0.001〜10MPa、好ましくは0.05〜3MPa、重合時間10秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、重合工程[I]に対する重合量(重合工程[I]で生成したポリマー質量に対する重合工程[III]で生成したポリマー質量の割合を百分率で表した値)が5〜600%、好ましくは6〜500%、より好ましくは7〜450%、更に好ましくは8〜400%、一層好ましくは9〜350%、最も好ましくは10〜300%の条件で行なうことが好ましい。重合工程[III]において製造する重合体の分子量は、水素添加量、重合温度、単量体の濃度、重合圧力などにより制御することができる。また、重合体の組成は、単量体の仕込み量を変更することにより行うことができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、少量のポリエンを添加することができる。
(a)重合工程[I]で得られる重合体、重合工程[II]で得られる重合体及び重合工程[III]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合がそれぞれ5〜90質量%。
(b)オレフィン系グラフト共重合体組成物の極限粘度[η]が0.05〜15デシリットル/g。
(c)熱パラキシレン溶解試験で得られる、オレフィン系グラフト共重合体組成物のゲル成分含有量が25質量%以下。
重合工程[I]で得られる重合体、重合工程[II]で得られる重合体及び重合工程[III]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合は、好ましくは重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=5〜80質量%/5〜80質量%/5〜80質量%であり、より好ましくは重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=6〜75質量%/10〜75質量%/10〜75質量%であり、更に好ましくは重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=8〜70質量%/15〜70質量%/15〜70質量%であり、最も好ましくは重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=10〜50質量%/25〜60質量%/25〜60質量%である。重合工程[I]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合が5質量%未満であると、ゲル成分が発生し、応力集中による物性低下や外観の悪化を招くおそれがある。重合工程[II]で得られる重合体又は重合工程[III]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合が5質量%未満であると、相溶化機能などの本発明の目的を達するに十分な効果を有さない。また、重合工程[I]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合が90質量%を超えると、相溶化機能などの本発明の目的を達成することができない。また、重合工程[II]で得られる重合体又は重合工程[III]で得られる重合体の、オレフィン系グラフト共重合体組成物に占める割合が90質量%を超えると、ゲル成分が発生し、応力集中による物性低下や外観の悪化を招くおそれがある。
本発明において、ゲル成分は、熱パラキシレン不溶部の量として定義され、その測定方法については後述する。重合工程[III]で得られた組成物において、ゲル成分の含有量は25質量%以下であるが、好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、最も好ましくは12質量%以下である。重合工程[III]で得られた組成物においてゲル成分含有量が25質量%を超えると、成形体表面にゲルが発生し、応力集中を招き、物性が低下したり、外観不良を引き起こす。
重合工程[III]で製造される重合体において、ポリエン含有量は、通常0を超え25モル%以下であり、好ましくは0を超え23モル%以下、より好ましくは0を超え18モル%以下、更に好ましくは0を超え14モル%以下、より一層好ましくは0を超え9モル%以下、更に一層好ましくは0.001〜4.8モル%、より好ましくは0.001〜2.3モル%、最も好ましくは0.001〜1.8モル%である。ポリエン含有量が0であると、本発明において目的とする樹脂相溶化剤としての効果や溶融流動性改良効果に乏しく、ポリエン含有量が25モル%を超えると、溶融流動性が劣ることとなる。
溶融粘度のせん断速度依存性による評価方法において、下記式(5)
1.05≦N1 /N0 ≦80 (5)
満たす場合を長鎖分岐構造として評価する。
上記式(5)においては、
1.07≦N1 /N0 ≦70が好ましく、
1.08≦N1 /N0 ≦65がより好ましく、
1.09≦N1 /N0 ≦60が更に好ましく、
1.10≦N1 /N0 ≦55が最も好ましい。
N1 /N0 が1.05未満では長鎖分岐の数及び長さが不足するため、成形性改良効果や相溶化機能が低下するおそれがある。N1 /N0 が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
(α)L /(α)B は、
1.05≦(α)L /(α)B ≦80が好ましく、
1.06≦(α)L /(α)B ≦70がより好ましく、
1.07≦(α)L /(α)B ≦60が更に好ましく、
1.08≦(α)L /(α)B ≦50がより一層好ましく、
1.09≦(α)L /(α)B ≦40が更に一層好ましく、
1.10≦(α)L /(α)B ≦30がより好ましく、
1.11≦(α)L /(α)B ≦20が最も好ましい。
(α)L /(α)B が1.05未満では長鎖分岐の数及び長さが不足するため、成形性改良効果や相溶化機能が低下するおそれがある。(α)L /(α)B が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
(1)洗浄率(ポリエンの回収率)
明細書本文に記載の方法により求めた。すなわち、ある洗浄工程nにおける全溶媒量An (単位:リットル)のうち、回収した溶媒量をBn (単位:リットル)としたとき、ポリエンの回収率をBn /An で表し、ポリエンの未回収率を[1−(Bn /An )]で表す。洗浄工程nの次の洗浄工程(n+1)では、ポリエンの回収率はBn+1 /An+1 となり、洗浄工程(n+1)におけるポリエンの回収率は[1−(Bn /An )]×(Bn+1 /An+1 )となる。洗浄工程を複数回繰り返す場合は、これらの洗浄工程毎のポリエンの回収率の和が全ポリエン回収率となる。実施例1において、nは3である。
(2)重合工程[I]と重合工程[II]と重合工程[III]の重合比
全収量と重合工程[I],[II],[III]のプロピレン吸収量から、重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]を算出した。プロピレン吸収量は、マスフローセンサーを用い、予め所定の重合温度で所定の溶媒量に飽和吸収されるプロピレンを差し引いた、実際の重合反応により消費されたプロピレンを計測することにより求めた。
(3)極限粘度[η] の測定
(株) 離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中135℃において測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として表した。
(5)ゲル分率
攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコに、ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03μm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、重合工程[II]で得られた重合体50mgを入れ、攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700ミリリットルのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、オレフィン系グラフト共重合体を溶解させた。パラキシレン不溶部が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することによりパラキシレン不溶部を求めた。熱パラキシレン不溶部として定義するゲル分率(質量%)は、以下の式により算出した。
ゲル分率=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
(1)アルミニウムオキシ化合物の調製
メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.27モル/リットル,アルベマール社製)1000ミリリットルを減圧下(約2660Pa)、60℃で溶媒を留去した。その後、75℃で減圧下(約266Pa)で4時間保持した後、室温まで降温し、ドライアップしたメチルアルミノキサンを得た。
このドライアップメチルアルミノキサンに脱水トルエンを投入し、再溶解させ溶媒を留去する前の容量にもどし、 1H−NMRによりメチルアルミノキサン中のトリメチルアルミニウムを定量した結果2.3質量%であった。この溶液を48時間静置し、不溶成分を沈降させた。溶液部分をG5ガラスフィルターでろ過し、トルエン可溶のメチルアルミノキサンを得た。一部サンプリングし、減圧下で固体成分を分離し、その質量から算出したトルエン可溶メチルアルミノキサンの濃度は0.8モル/リットルであった。
(2)担体の調製と担持メチルアルミノキサンの調製
SiO2 (富士シリシア(株)製,平均粒子径40μm)70gを140℃で15時間、微量窒素気流下で乾燥させた。乾燥SiO2 を9.4g秤量し、脱水トルエン200ミリリットルに投入した。窒素雰囲気下、攪拌しながら0℃に温度を一定とした後、上記(1)で調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液196ミリリットルを40分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げこの状態で30分間反応させ、更に65℃で3時間反応させた。反応終了後、60℃に保持し、固体成分を脱水トルエン200ミリリットルで2回、脱水ヘプタン200ミリリットルで2回洗浄し、50℃で減圧乾燥して17.1gのSiO2 担持メチルアルミノキサンを得た。再度、脱水ヘプタンを投入して、0.5モル/リットルの濃度に調整した。
(3)メタロセン担持触媒の調製
50ミリリットルのシュレンク管を乾燥し、窒素置換した後、乾燥ヘプタン10ミリリットル、上記(2)のSiO2 担持メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2ミリモル加え、攪拌を開始した。これに、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2 −(2−Me−4−Ph−Ind)2 ZrCl2 ]をジルコニウム原子換算で2マイクロモルを含むトルエン溶液1ミリリットルをゆっくり添加し、25℃で10分間反応させた。
(4)重合体の製造
容量2リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン1000ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム1.0ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記(3)で調製した担持触媒を全量投入した。
触媒の活性化のため25℃、プロピレン圧0.3MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のプロピレンを除去した。水素を40ミリリットル導入し、温度を60℃に設定し、プロピレンを分圧で0.65MPa導入し重合を開始した。温度を制御しながら40分間かけてポリプロピレンを製造した[重合工程[I]]。
40分間経過した後、1,7−オクタジエン2.0ミリモルを含むヘプタン溶液30ミリリットルをオートクレーブに注入した。この状態で、50分間かけてプロピレン/1,7−オクタジエン共重合体を製造した[重合工程[II]]。
反応終了後、室温まで冷却し、脱圧し、攪拌を停止し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.009質量%(90質量ppm)ヘプタン溶液460ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を430ミリリットル回収するという洗浄を3回繰り返した後、全溶媒量が1000ミリリットルとなるようにヘプタンを追加し、洗浄を終了した[洗浄工程]。
次に、重合温度を40℃に制御し、プロピレンを10ノルマルリットル/分、エチレンを5ノルマルリットル/分で供給し、全圧を0.65MPaに制御しながら、洗浄されたプロピレン/1,7−オクタジエン共重合体に対して、40分間グラフト重合を実施した[重合工程[III]]。反応終了後、脱圧し、グラフト化ポリプロピレン組成物を回収し、乾燥させたところ、365gであった。グラフト化ポリプロピレン組成物の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−1及び表−2に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られたポリプロピレン組成物がグラフト共重合体組成物であることを確認した。
重合条件を表−1に示すように変更した以外は、実施例1−(4)と同様にしてグラフト化ポリプロピレン組成物を製造した。物性評価結果を表−2に示す。 また、実施例2〜5については、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られたポリプロピレン組成物がグラフト共重合体組成物であることを確認した。実施例6については、明細書本文中に記載のGPC−光散乱による評価において、[(α)L /(α)B ]=1.43であることが確認された。
容量2リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、脱水スチレン200ミリリットル、メチルアルミノキサン18ミリモル(1.27モル/リットルのトルエン溶液,アルベマール社製)を投入し、10分間室温で攪拌した。これにチタンを原子換算で0.18ミリモル含む量のテトラエトキシチタン(Ti(OEt)4 )のヘプタン溶液を投入し、50℃で90分間重合を実施した[重合工程[I]]。
重合工程[I]が終了した後、3−ブテニルスチレン20ミリモルを投入し、2時間、スチレンと3−ブテニルスチレンとの共重合を実施した[重合工程[II]]。
反応終了後、静置して液相部を抜き出し、トリイソブチルアルミニウムの0.010質量%(100質量ppm)ヘプタン溶液400ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を7回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした[洗浄工程]。
次に、重合温度を80℃に制御し、1−オクテンを50ミリリットル、水素を0.05MPa投入し、エチレンを0.7MPaの圧力で一定となるように4時間供給し、グラフト重合を実施した[重合工程[III]]。反応終了後、脱圧し、グラフト化ポリスチレン組成物を回収し、乾燥させたところ、365gであった。グラフト化ポリスチレン組成物の物性評価結果を表−2に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリスチレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位及び1−オクテン単位が観察され、得られたポリスチレン組成物がグラフト共重合体組成物であることを確認した。
(1)メタロセン担持触媒の調製
実施例1−(3)において、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2 −(2−Me−4−Ph−Ind)2 ZrCl2 ]の代わりにイソプロピルシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2 ]をジルコニウム原子換算で2マイクロモルを含むトルエン溶液1ミリリットルを用いた以外は、実施例1−(3)と同様にしてメタロセン担持触媒を調製した。
(2)重合体の製造
容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記(1)で調製した担持触媒を全量投入した。
触媒の活性化のため25℃、エチレン圧0.1MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のエチレンを除去し、水素を0.1MPa導入した。温度を60℃に設定し、エチレンを分圧で0.6MPa導入し重合を開始した。温度を制御しながら30分間かけてポリエチレンを製造した[重合工程[I]]。
次に、5−ビニルノルボルネン20ミリモルを含むヘプタン溶液20ミリリットルを添加し、60分間、エチレンと5−ビニルノルボルネンとの共重合を実施した[重合工程[II]]。
反応終了後、室温まで冷却し、脱圧し、攪拌を停止し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.01質量%(100質量ppm)ヘプタン溶液400ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[II]終了時の液レベルとした[洗浄工程]。
次に、活性アルミナ処理、脱水、脱酸素処理を施したノルボルネン73ミリリットルを投入し、温度90℃、エチレン圧0.7MPaで180分間、洗浄された共重合体に対して180分間グラフト重合を実施した[重合工程[III]]。
反応終了後、脱圧し、グラフト化ポリエチレン組成物を回収した。グラフト化ポリエチレン組成物の上記の評価法による物性評価結果を表−2に示す。
(1)触媒成分の調製
窒素で置換した内容積200ミリリットルの攪拌装置付き丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80ミリリットルを投入して懸濁状態とし、次いでこの懸濁液にTiCl4 20ミリリットルを加え、90℃に昇温してn−ブチルフタレート27ミリリットルを加え、更に115℃に昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100ミリリットルで2回洗浄し、新たにTiCl4 20ミリリットル及びトルエン80ミリリットルを加え、115℃において攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、反応生成物を40℃のn−ヘプタン200ミリで10回洗浄した。得られた固体触媒成分を中のチタン含有率を測定したところ、2.61質量%であった。
(2)グラフト共重合体の製造
内容積15リットルの攪拌装置付きステンレス鋼製耐圧オートクレーブを十分に乾燥させた後、窒素気流下でヘプタン7リットル、トリイソブチルアルミニウム25ミリモル及びジシクロペンチルジメトキシシラン2.5ミリモルを投入し、5分間攪拌した。
これに上記(1)で調製したチタン含有固体触媒成分をチタン原子換算で0.25ミリモル投入し、水素を0.11MPa・Gで導入し、80℃まで昇温した。これにプロピレンを0.7MPa・Gとなるように圧力を調節しながら導入し、40分間重合を行った[重合工程[I]]。
更に、1,7−オクタジエン147ミリリットルを投入し、引き続き100分間重合を行った[重合工程[II]]。
反応終了後、冷却し、脱圧し、攪拌を停止した。重合体が沈降してから、ディップチューブで液部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.009質量%(90質量ppm)ヘプタン溶液1.5リットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は94.5%であった[洗浄工程]。
次に、ジシクロペンチルジメトキシシラン2.5ミリモルを投入し、水素を0.01MPa・Gで導入し、プロピレン及びエチレンを、プロピレン/エチレン流量比=10/5で投入し、圧力が0.75MPaとなるように調整しながら、57℃で70分間重合を実施した[重合工程[III]]。
重合終了後、エチルアルコール50ミリリットルで失活操作をした後、反応混合物を400メッシュを通じてろ過し、メッシュ上に残った共重合組成物をヘプタン5リットルで3回洗浄した。この共重合体組成物を回収し、乾燥させてグラフト化ポリプロピレン組成物3150gを得た。グラフト化ポリプロピレン組成物の上記の評価法による物性評価結果を表−2に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られたポリプロピレン組成物がグラフト共重合体組成物であることを確認した。
容量2リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに実施例1−(3)で調製した担持触媒と同様の触媒をジルコニウム原子換算で2マイクロモル投入した。
触媒の活性化のため25℃、プロピレン圧0.3MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のプロピレンを除去し、水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を60℃に設定し、プロピレンを0.6MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、30分間重合を行った[重合工程[I]]。
更に、1,9−デカジエン2.0ミリモルを含むヘプタン溶液10ミリリットルを投入し、引き続き30分間重合を行った[重合工程[II]]。
反応終了後、冷却し、トリイソブチルアルミニウムの0.008質量%(80質量ppm)ヘプタン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を4回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[II]終了時の液レベルとした[洗浄工程]。
上記溶液を25℃で攪拌し、これに、イソプロピルシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2 ]を5マイクロモル含むトルエン45ミリリットルを5分間かけて滴下し、滴下が終了した後、このままの状態で20分間攪拌を行った。これにノルボルネン400ミリモルを投入し、重合温度を90℃まで昇温し、エチレンを0.7MPa・Gの圧力で一定となるように3時間導入し続けた[重合工程[III]]。
反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノールに投入し、ろ過により重合体を分離した。この重合体を風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト化ポリプロピレン組成物122gを得た。グラフト化ポリプロピレン組成物の上記の評価法による物性評価結果を表−2に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位及びノルボルネン単位が観察され、得られたポリプロピレン組成物にグラフト体が形成されていることを確認した。
容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに実施例1−(3)で調製した担持触媒と同様の触媒をジルコニウム原子換算で2マイクロモル投入した。
触媒の活性化のため25℃、エチレン圧0.2MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のエチレンを除去し、水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を60℃に設定し、エチレンを0.7MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、60分間重合を行った[重合工程[I]]。
更に、1,9−デカジエン2.0ミリモルを含むヘプタン溶液10ミリリットルを投入し、引き続き60分間重合を行った[重合工程[II]]。
反応終了後、冷却し、トリイソブチルアルミニウムの0.008質量%(80質量ppm)ヘプタン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を4回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[II]終了時の液レベルとした[洗浄工程]。
上記溶液を25℃で攪拌し、これに、イソプロピルシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2 ]を5マイクロモル含むトルエン45ミリリットルを5分間かけて滴下し、滴下が終了した後、このままの状態で20分間攪拌を行った。これにノルボルネン400ミリモルを投入し、重合温度を90℃まで昇温し、エチレンを0.7MPa・Gの圧力で一定となるように90分間導入し続けた[重合工程[III]]。
反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノールに投入し、ろ過により重合体を分離した。この重合体を風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト化ポリエチレン組成物135gを得た。グラフト化ポリエチレン組成物の上記の評価法による物性評価結果を表−2に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリエチレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、ノルボルネン単位が観察され、得られたポリエチレン組成物にグラフト体が形成されていることを確認した。
(1)触媒成分の調製
窒素で置換した内容積200ミリリットルの攪拌装置付き丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80ミリリットルを投入して懸濁状態とし、次いでこの懸濁液にTiCl420ミリリットルを加え、90℃に昇温してn−ブチルフタレート27ミリリットルを加え、更に115℃に昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100ミリリットルで2回洗浄し、新たにTiCl420ミリリットル及びトルエン80ミリリットルを加え、115℃において攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、反応生成物を40℃のn−ヘプタン200ミリで10回洗浄した。得られた固体触媒成分を中のチタン含有率を測定したところ、2.61質量%であった。
(2)グラフト共重合体の製造
内容積5リットルの攪拌装置付きステンレス鋼製耐圧オートクレーブを十分に乾燥させた後、窒素気流下でヘプタン2リットル、トリイソブチルアルミニウム2.86ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.24ミリモルを投入し、5分間攪拌した。
これに上記(1)で調製したチタン含有固体触媒成分をチタン原子換算で0.024ミリモル投入し、水素を0.12MPa・Gで導入し、80℃まで昇温した。これにプロピレンを0.7MPa・Gとなるように圧力を調節しながら導入し、40分間重合を行った[重合工程[I]]。
更に、p−3−ブテニルスチレン10ミリモルを含むヘプタン溶液30ミリリットルを投入し、引き続き40分間重合を行った[重合工程[II]]。
反応終了後、冷却し、脱圧し、攪拌を停止した。重合体が沈降してから、ディップチューブで液部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.009質量%(90質量ppm)ヘプタン溶液1.5リットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は93.1%であった[洗浄工程]。
次に、メチルアルミノキサン30ミリモル(1.27モル/リットルのトルエン溶液,アルベマール社製)を投入し、25℃で20分間室温で攪拌した。これにスチレン500ミリリットルを投入し、25℃に保ったまま24時間重合を実施した[重合工程[III]]。
反応終了後、反応混合物を多量のメタノールに投入し、洗浄、ろ過によりグラフト共重合体を分離した。更に風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト化ポリプロピレン組成物560gを得た。グラフト化ポリプロピレン組成物の上記の評価法による物性評価結果を表−2に示す。
グラフト化ポリオレフィン組成物の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−1及び表−2に示す。なお、表−1−1において、Aはrac−SiMe2−(2−Me−4−Ph−Ind)2ZrCl2、Bはrac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−α−メチル−α−アセトナフトインデニル)ジルコニウムジクロリド、Cはrac−SiMe2−(2−Me−4,5−Benzo−Ind)2ZrCl2、Dは1,7−オクタジエン、Eは5−ビニルノルボルネンを示す。
実施例1−(4)において、重合工程[I]を同一条件で実施し、重合工程で用いる1,7−オクタジエン量を6ミリモルとし、重合時間を120分とし、洗浄を行わず、重合工程[III]における重合時間を20分間とした以外は、実施例1−(4)と同様にしてグラフト化ポリプロピレン組成物を製造した。グラフト化ポリプロピレン組成物の収量は353g、重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=0.27/0.50/0.23、極限粘度[η]=2.8デシリットル/g、分子量分布(Mw/Mn)=5.3、ゲル分率=4.9質量%(6.7質量%)であった。なお、ゲル分率において、かっこ内の数値は、重合工程[I]においてゲル成分が存在しないとして計算した値[ゲル分率/(重合工程[II]と重合工程[III]の分率の和)]を示す。
実施例13において、重合工程[I]を実施しない以外は、実施例13と同様にして共重合体組成物を製造した。収量は261g、重合工程[I]/重合工程[II]/重合工程[III]=0/0.68/0.32、極限粘度[η]と分子量分布(Mw/Mn)は多量の不溶物のため測定不可、ゲル分率=67.9質量%であり、実施例13と比較してゲル量に顕著な差が認められた。
(1)チタン触媒成分の調製
三塩化チタン(東ソー・アクゾ社製)を窒素雰囲気下で2.0g採取し、ヘプタン200ミリリットルに窒素雰囲気下で懸濁させ、チタン触媒成分を調製した。
(2)重合体の製造
容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、ジエチルアルミニウムモノクロリド(DEAC)6ミリモルを含むヘプタン溶液10ミリリットルを添加し、室温で5分間攪拌した。これに上記(1)で調製した、三塩化チタン0.17gを含む17ミリリットルのヘプタン懸濁液を添加した。
水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を70℃に昇温した後、プロピレンを0.3MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、2時間重合を行い、ポリプロピレンを製造した[重合工程[I]]。
次に、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン5ミリモルを含むヘプタン溶液20ミリリットルを、バランスラインを介してオートクレーブに投入して2時間重合を行い、重合工程[I]で生成したポリプロピレンの存在下で、プロピレン/5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン共重合体を製造した[重合工程[II]]。
反応終了後、室温まで冷却し、脱圧した後、攪拌を停止し、静置し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.003質量%(30質量ppm)脱水トルエン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で5分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、静置後、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、重合工程[II]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は97.2%であった[洗浄工程]。
引き続き、実施例1−(1)で調製した、トルエン可溶メチルアルミノキサン10ミリモルを含むトルエン溶液12.5ミリリットルを投入し、室温で5分間攪拌した。温度を50℃に昇温した後、エチレンを5ノルマルリットル/分、プロピレンを1.5ノルマルリットル/分で供給し、全圧を0.2MPaに制御しながら、2時間重合を実施した[重合工程[III]]。
反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノール中に投入し、ろ過により重合体を分離し、更にメタノールで2回洗浄し、風乾した後80℃で減圧乾燥を12時間行い、共重合体110gを得た。この共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−3及び表−4に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例14において重合条件を表−3に示すように変更した以外は実施例14と同様にしてグラフト共重合体を製造した。これらのグラフト共重合体の物性評価結果を表−4に示す。
グラフト共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−3及び表−4に示す。なお、表−3−1において、Fは三塩化チタン、Gは5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、Hはp−(3−ブテニル)−スチレンを示す。
容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム2ミリモル及びジシクロペンチルジメトキシシラン1.2ミリモルを投入し、5分間室温で攪拌した。これに実施例9−(1)で調製したチタン含有固体触媒成分をチタン原子換算で0.24ミリモル投入し、水素を0.01MPa・Gで導入し、70℃まで昇温した。これにプロピレンを0.1MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、30分間重合を行い、ポリプロピレンを製造した[重合工程[I]]。
次に、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン5ミリモルを含むヘプタン溶液20ミリリットルを、バランスラインを介してオートクレーブに投入して30分間重合を行い、重合工程[I]で生成したポリプロピレンの存在下で、プロピレン/5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン共重合体を製造した[重合工程[II]]。
反応終了後、室温まで冷却し、脱圧した後、攪拌を停止し、静置し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.003質量%(30質量ppm)脱水トルエン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で5分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、静置後、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は97.1%であった[洗浄工程]。
引き続き、実施例1−(1)で調製した、トルエン可溶メチルアルミノキサン10ミリモルを含むトルエン溶液12.5ミリリットルを投入し、室温で5分間攪拌した。温度を50℃に昇温した後、エチレンを5ノルマルリットル/分、プロピレンを1.5ノルマルリットル/分で供給し、全圧を0.5MPaに制御しながら、2時間重合を実施した[重合工程[III]]。
反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノール中に投入し、ろ過により重合体を分離し、更にメタノールで2回洗浄し、風乾した後80℃で減圧乾燥を12時間行い、共重合体135gを得た。この共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−5及び表−6に示す。
また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例19において重合条件を表−5に示すように変更した以外は実施例19と同様にしてグラフト共重合体を製造した。これらのグラフト共重合体の物性評価結果を表−6に示す。
グラフト共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−5及び表−6に示す。なお、表−5−1において、Iは実施例9−(1)で調製したチタン含有固体触媒成分、Gは5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、Jは5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、Kは5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンを示す。
Claims (8)
- 触媒の存在下、少なくとも以下の重合工程[I]、重合工程[II]、ポリエンを除去する洗浄工程及び重合工程[III]を含む製造工程により製造された(共)重合体を含む組成物の製造方法であって、以下の(a)を満足するオレフィン系グラフト共重合体組成物の製造方法。
重合工程[I]:(A)ジルコニウムおよびチタンから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種を含む主触媒成分と、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)アルキルアルミニウム化合物から選ばれる一種以上の助触媒成分から構成される触媒を用いて、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体を重合して、重合工程[I]、重合工程[II]、ポリエンを除去する洗浄工程及び重合工程[III]を含む製造工程により製造されるオレフィン系グラフト共重合体組成物全量に対して、17〜58質量%のオレフィン系重合体を製造する工程。
重合工程[II]:重合工程[I]で得られた重合体の存在下、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンとを共重合してオレフィン系共重合体を製造する工程であって、主触媒成分とポリエンとの使用割合がモル比で1:10〜1:107である、オレフィン系共重合体を製造する工程。
ポリエンを除去する洗浄工程:重合工程[II]が終了した後に、反応混合物から、ポリエンを除去する工程であって、70質量%以上のポリエンの回収率でポリエンを除去する工程。
重合工程[III]:重合工程[I]で得られた重合体と重合工程[II]で得られた共重合体を含む重合体組成物の存在下、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体を重合してオレフィン系グラフト共重合体を製造する工程。
(a)熱パラキシレン溶解試験で得られる、オレフィン系グラフト共重合体組成物のゲル成分含有量が25質量%以下。 - (A)ジルコニウムおよびチタンから選ばれる遷移金属化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有するジルコニウム若しくはチタンの遷移金属化合物、キレート化合物又は下記一般式(A−1)で表される化合物である請求項1に記載の製造方法。
MR1 aR2 bR3 cR4 d (A−1)
(式中、Mはジルコニウムまたはチタン原子を示し、R1,R2,R3,及びR4はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R1,R2,R3,及びR4は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。) - シクロペンタジエニル骨格を有するジルコニウム若しくはチタンの遷移金属化合物が、下記一般式(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)及び(A−6)で表される化合物から選ばれる一種以上の遷移金属化合物である請求項2に記載の製造方法。
CpM1R5 eR6 fR7 g (A−2)
Cp2M1R5 hR6 i (A−3)
(Cp−A−Cp)M1R5 hR6 i (A−4)
〔式(A−2)〜(A−4)において、M1はジルコニウムまたはチタン原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基から選ばれる基を示し、R5,R6及びR7は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R5,R6及びR7は、その2以上がたがいに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、たがいに異なるものであってもよい。〕
で表される遷移金属化合物である。
- 重合工程[III]が、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び重合工程[I]とは異なる(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体であって重合工程[I]で用いたものと同種又は異種の単量体を重合する工程である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- (A)ジルコニウムおよびチタンから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分が、末端ビニル基形成能を有するものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 重合工程[I]、重合工程[II]及び重合工程[III]で用いる単量体種の一種以上が異なるか、あるいは重合工程[I]]、重合工程[II]及び重合工程[III]で用いる単量体種が同一であって、生成する重合体の単量体構成比、立体規則性及び分子量のうちの一つ以上がたがいに異なるものである請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
- ポリエンが、重合可能な炭素−炭素二重結合を分子内に2個以上有するポリエン、α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/スチレン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン及びスチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエンから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られたオレフィン系グラフト共重合体組成物。
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