JP2004143436A - オレフィン系グラフト共重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン系グラフト共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】   相溶化剤などとして用いた場合に高い効果を示すオレフィン系グラフト共重合体を提供すること。
【解決手段】 少なくとも以下の重合工程[I]、洗浄工程及び重合工程[II]を含むグラフト共重合体の製造方法である。
重合工程[I]:例えば、(A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物と、(B)アルミノキサンから構成される触媒を用いて、炭素数3〜20のα−オレフィンとポリエンとを共重合してオレフィン系重合体を製造する工程。
洗浄工程:重合工程[I]で得られたオレフィン系重合体の反応混合物から、ポリエンを除去する工程。
重合工程[II]:洗浄工程を経たオレフィン系重合体の存在下、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、例えば炭素数3〜20のα−オレフィンと重合する工程。
【選択図】  なし

Description

 本発明は、高溶融張力化により押出し成形性を高めるための溶融流動性改良剤として、あるいはポリオレフィン系複合材料分野及び複合材料の設計を容易にする相溶化剤として有用なオレフィン系グラフト共重合体の製造方法に関するものである。
 オレフィン系グラフト共重合体は、溶融成形性、特に押出し成形性を高めるための溶融流動性改良剤として、あるいは非相溶系複合材料の相溶化剤としての適用の可能性がある。しかしながら、オレフィン系グラフト共重合体の従来の製造方法は、製造工程が煩雑であり、より簡便で、かつ相溶化剤などとして用いた場合に高い効果を示すオレフィン系グラフト共重合体を製造する方法は未だ確立されていない。
 例えば、エチレン/α−オレフィン/ポリエンからなるグラフト前躯体にスチレン類をグラフト重合することにより、オレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。この製造方法は、グラフト前躯体の製造と、それを用いたグラフト重合体の製造とが完全に分離された製造方法であるため、製造工程が煩雑である。
 また、グラフト前駆体の製造に引き続き、グラフト重合を行うことにより、オレフィン系グラフト共重合体を製造する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この製造方法では、グラフト前躯体の製造時に使用したポリエン成分が残存するため、グラフト重合の際に一層高いグラフト効率を達成するには限界がある。
 さらに、スチレン系モノマー及び不飽和結合を有する炭化水素含有スチレン系モノマーを、遷移金属化合物、及び有機アルミニウム化合物と縮合剤のと接触生成物を主成分とする触媒の存在下に共重合し、次いで得られたスチレン系共重合体にエチレン性不飽和モノマーをグラフト重合するスチレン系グラフト共重合体の製造方法が開示されており、グラフト重合前の洗浄、異種触媒の使用についても開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、α−オレフィンや環状オレフィンとポリエンを用いてポリオレフィン系共重合体を製造し、その後グラフト重合する技術は開示されていない。
特開平5−295042号公報(第12頁、第19頁) 特開平5−247147号公報(第12−14頁) 特開平5−262817号公報(第14−15頁) 特開平5−17533号公報(第15−22頁)
 本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、相溶化剤などとして用いた場合に高い効果を示すオレフィン系グラフト共重合体をより簡便に製造する方法を提供することを目的とするものである。
 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び環状オレフィンから選ばれる一種以上の単量体とポリエンからなるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法において、特定の重合工程[I]で製造したオレフィン系重合体の反応混合物からポリエンを除去し、洗浄工程を経たオレフィン系重合体の存在下、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び重合工程[I]とは異なる(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、重合工程[I]で用いたものと同種又は異種の単量体を重合する重合工程[II]により、オレフィン系グラフト共重合体を製造することにより、上記目的が達成されることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
 すなわち、本発明は、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び環状オレフィン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンからなるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法において、少なくとも以下の重合工程[I]、洗浄工程及び重合工程[II]を含むことを特徴とするオレフィン系グラフト共重合体の製造方法を提供するものである。
重合工程[I]:(A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分と、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物から選ばれる一種以上の助触媒成分から構成される触媒を用いて、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び環状オレフィン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンとを共重合してオレフィン系重合体を製造する工程。
洗浄工程:重合工程[I]で得られたオレフィン系重合体の反応混合物から、ポリエンを除去する工程。
重合工程[II]:洗浄工程を経たオレフィン系重合体の存在下、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び重合工程[I]とは異なる(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体であって重合工程[I]で用いたものと同種又は異種の単量体を重合する工程。
 本発明のオレフィン系グラフト共重合体は、相溶化剤としての効果や溶融流動性改良効果に優れたものである。
 本発明の製造方法で用いる炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、4−フェニル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ペンテン、3,4−ジメチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、6−フェニル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキサン等のα−オレフィン類、ヘキサフルオロプロペン、テトラフルオロエチレン、2−フルオロプロペン、フルオロエチレン、1,1−ジフルオロエチレン、3−フルオロプロペン、トリフルオロエチレン、3,4−ジクロロ−1−ブテン等のハロゲン置換α−オレフィンを挙げることができる。
 環状オレフィン類としては、例えば一般式(I)
Figure 2004143436
(式中、R1 〜R12はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子、酸素原子もしくは窒素原子を含む置換基を示し、mは0以上の整数を示す。R9 又はR10とR11又はR12とは互いに環を形成してもよい。また、R1 〜R12はそれぞれ互いに同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。
 前記一般式(I)において、R1 〜R12のうちの炭素数1〜20の炭化水素基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル基、トリル基、ベンジル基などの炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基もしくはアリールアルキル基、メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基などの炭素数1〜20のアルキリデン基等を挙げることができる。ただし、R1 ,R2 ,R5 ,R6 はアルキレン基を除く。なお、R3 ,R4 ,R7 〜R12のいずれかがアルキリデン基の場合それが結合している炭素原子は他の置換基を有さない。
 また、ハロゲン原子を含む置換基としては、例えば、弗素、塩素、臭素、沃素などのハロゲン基、クロロメチル基、ブロモメチル基、クロロエチル基などの炭素数1〜20のハロゲン置換アルキル基等を挙げることができる。
 酸素原子を含む置換基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、フェノキシ基などの炭素数1〜20のアルコキシ基やアリールオキシ基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素数1〜20のアルコキシカルボニル基等を挙げることができる。
 窒素原子を含む置換基としては、例えば、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などの炭素数1〜20のアルキルアミノ基やシアノ基等を挙げることができる。
 前記一般式(I)で示される環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン、5−メチルノルボルネン、5−エチルノルボルネン、5−プロピルノルボルネン、5,6−ジメチルノルボルネン、1−メチルノルボルネン、7−メチルノルボルネン、5,5,6−トリメチルノルボルネン、5−フェニルノルボルネン、5−ベンジルノルボルネン、5−エチリデンノルボルネン、1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−メチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−ヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−エチリデン−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−フルオロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,5−ジメチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−シクロヘキシル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2,3−ジクロロ−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、2−イソブチル−1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレン、1,2−ジヒドロシシクロペンタジエン、5−クロロノルボルネン、5,5−ジクロロノルボルネン、5−フルオロノルボルネン、5,5,6−トリフルオロ−6−トリフルオロメチルノルボルネン、5−クロロメチルノルボルネン、5−メトキシノルボルネン、5,6−ジカルボキシルノルボルネンアンハイドレート、5−ジメチルアミノノルボルネン、5−シアノノルボルネンなどを挙げることができる。
 一方、スチレン類としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、3,5−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン類、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン、m−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン、o−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン、更にはトリメチルシリルスチレン、ビニル安息香酸エステル等を挙げることができる。
 本発明において、単量体は、重合工程[I]と重合工程[II]とで単量体の一種以上が異なるものを用いるか、あるいは重合工程[I]と重合工程[II]と同種の単量体を用いる場合は、生成する重合体の単量体構成比、立体規則性及び分子量のうちの一つ以上が異なるものを用いる。
 本発明で用いるポリエンとしては、重合可能な炭素−炭素二重結合を分子内に2個以上有するポリエン、α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/スチレン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン及びスチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエンが好ましく、これらから選ばれる少なくとも一種を用いる。好ましいポリエンとしては、例えば以下に示す(i)〜(vi)の化合物が挙げられる。
(i)α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(i)
  CH2 =CH−Q−CH=CH2        ・・・(i)
(式中、Qは単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。このポリエンの具体例としては、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,10−ウンデカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、4−メチル−1,9−デカジエン、4,4−ジメチル−1,9−デカジエン、5−アリル−1,9−デカジエン、1,19−エイコジエンなどが挙げられる。
(ii)スチレン骨格/スチレン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(ii)
Figure 2004143436
(式中、R13は水素原子、ハロゲン原子あるいは炭素原子及び/又はケイ素原子を含む置換基、R14はα−オレフィン残基を有する置換基、aは1〜4の整数を示し、aが2以上の場合、複数のR13は同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物を挙げることができる。このポリエンの具体例としては、p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、o−ジビニルベンゼン、ジ(p−ビニルフェニル)メタン、1,3−ビス(p−ビニルフェニル)プロパン、1,5−ビス(p−ビニルフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
(iii)環状オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(iii−1)
Figure 2004143436
(式中、R15〜R24はそれぞれ水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又はハロゲン原子を示し、nは0以上の整数を示す。R19とR20はたがいに環を形成していてもよい。また、R15〜R24はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表されるノルボルネン骨格とシクロペンテン骨格とからなる化合物を挙げることができる。
 上記R15〜R24のうちのハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子などが挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オチクル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基及びこれらに対応するアルコキシ基などが挙げられる。該R15〜R24はたがいに同一でも異なっていてもよい。
 一般式(iii−1)で表される化合物の例としては、ジシクロペンタジエン、ジメチルジシクロペンタジエン、ジエチルジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
 また、一般式(iii−2)
Figure 2004143436
(式中、bは0,1又は2を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(iii−2)で表される化合物としては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2,5−ジエン、テトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3,8−ドデカジエン、ヘキサシクロ〔6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 9,14〕−4,11−ヘプタデカジエンが挙げられる。
 一般式(iii−3)
Figure 2004143436
(式中、eは0〜6の整数を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(iii−3)で表される化合物の例としては、1,1−ビス(5−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2−エニル)メタン、1,2−ビス(5−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2−エニル)エタン、1,6−ビス(5−ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタ−2−エニル)ヘキサンなどが挙げられる。
(iv)スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(iv)
Figure 2004143436
(式中、R25は、炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示し、R26は、ハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R27及びR28は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜8の炭化水素基を示す。fは、0〜4の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(iv)において、R25で示される炭素数1〜20の二価の炭化水素基は、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基などであり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基あるいはトリレン基等が挙げられる。R26のうちのハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素、沃素が挙げられ、炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基などのアルキル基に代表される飽和炭化水素基あるいはビニル基などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。また、R27及びR28のうちのハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基としては、上記と同じものを挙げることができる。上記一般式(iv)で表される化合物としては、具体的には、一般式(iv)中のR25がアルキレン基である場合、例えば、p−(2−プロペニル)スチレン、m−(2−プロペニル)スチレン、p−(3−ブテニル)スチレン、m−(3−ブテニル)スチレン、o−(3−ブテニル)スチレン、p−(4−ペンテニル)スチレン、m−(4−ペンテニル)スチレン、o−(4−ペンテニル)スチレン、p−(7−オクテニル)スチレン、p−(1−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、m−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、o−(2−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(3−メチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−エチル−3−ブテニル)スチレン、p−(2−エチル−4−ペンテニル)スチレン、p−(3−ブテニル)−α−メチルスチレン、m−(3−ブテニル)−α−メチルスチレン、o−(3−ブテニル)−α−メチルスチレン等を挙げることができる。
 また、一般式(iv)中のR25が、アリーレン基である場合、例えば、4−ビニル−4′−(3−ブテニル)ビフェニル、4−ビニル−3′−(3−ブテニル)ビフェニル、4−ビニル−4′−(4−ペンテニル)ビフェニル、4−ビニル−2′−(4−ペンテニル)ビフェニル、4−ビニル−4′−(2−メチル−3−ブテニル)ビフェニル等を挙げることができる。
(v)環状オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(v−1)
Figure 2004143436
(式中、R15〜R24はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Rは炭素数2〜20のアルケニル基で、nは0又は3以上の整数を示す。)
で表されるノルボルネン骨格と不飽和基とからなる化合物が挙げられる。
 上記一般式(v−1)で表される化合物の例としては、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(アリル)−2−ノルボルネン、5−(4−ペンテニル)−2−ノルボルネン、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンなどが挙げられなどが挙げられる。
 さらに、一般式(v−2)
Figure 2004143436
(式中、cは1又は2、dは0〜11の整数を示す。)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(v−2)で表される化合物の例としては、5−ビニルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−アリルビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、5−(3−ブテニル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン、8−ビニルテトラシクロ〔4.4.0.12,5 .17,10〕−3−ドデセン、11−ビニルヘキサシクロ〔6.6.1.13,6 .110,13 .02,7 .09,14〕−4−ヘプタデセンなどが挙げられる。
(vi) スチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
 一般式(vi−1)
Figure 2004143436
(式中、R1 は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、R2 は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、エーテル基又はエステル基、R3 は炭素数1〜20の炭化水素基、ケイ素原子、エーテル基又はエステル基、R4 は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基又はケイ素原子を示す。ただし、芳香環と環状オレフィンとが直接結合している場合、R3 は不要である。)
で表される化合物、または一般式(vi−2)
Figure 2004143436
(式中、R1 、R2 、R3 及びR4 上記と同様であり、nは0以上の整数である。)
で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
Figure 2004143436
 本発明において用いる触媒は、(A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分と、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物から選ばれる一種以上の助触媒成分から構成される触媒である。
 周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分としては、シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、キレート化合物及び下記一般式(A−1)
   MR1 a 2 b 3 c 4 d        (A−1)
(式中、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
から選ばれる金属化合物を挙げることができる。
 シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物としては、例えば、一般式(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)及び(A−6)で表される化合物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
 一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物は、
   CpM1 5 e 6 f 7 g        (A−2)
   Cp2 1 5 h 6 i          (A−3)
  (Cp−A−Cp)M1 5 h 6 i     (A−4)
〔式(A−2)〜(A−4)において、M1 は周期律表第4族遷移金属を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基から選ばれる基を示し、R5 ,R6 及びR7 は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R5 ,R6 及びR7 は、その2以上がたがいに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、たがいに異なるものであってもよい。〕
である。
 一般式(A−2)〜(A−4)において、M1 で示される周期律表第4族遷移金属としては、チタン,ジルコニウム又はハフニウムなどが挙げられる。
 Cp上の置換基としては、それぞれ独立に水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基が挙げられ、たがいに隣接する置換基は結合して環を形成していてもよい。ハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ヘキシル基,n−デシル基などのアルキル基、フェニル基,1−ナフチル基,2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、また炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられる。また、隣接する基のうちの少なくとも一組はたがいに結合して環を形成していてもよい。隣接する基が環を形成した例として、インデニル基の場合、例えば4,5−ベンゾインデニル基,α−アセトインデニル基及びその炭素数1〜10のアルキル置換体などを挙げることができる。
 上記式(A−2)〜(A−4)におけるR5 ,R6 及びR7 は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,ケイ素原子を含む置換基などを例示でき、また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。R5 ,R6 及びR7 は、その2以上がたがいに結合して環を形成してもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
 R5 〜R7 の具体例としては、例えばハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子、炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基,2,4,6−トリメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピル−4−メチルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ基、炭素数2〜20のアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ−n−ブチルアミノ基,ジフェニルアミノ基,ビス(2,6−ジメチルフェニル)アミノ基,ビス(トリメチルフェニル)アミノ基、炭素数3〜50のアミジナート基としてN,N’−ジメチルトリルアミジナート基,N,N’−ジフェニルトリルアミジナート基,N,N’−ジシクロヘキシルトリルアミジナート基,N,N’−ベンズアミジナート基,N,N’−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート基、炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基、ケイ素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン;ピリジン;2,2’−ビピリジン;フェナントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、エチレン;ブタジエン;1−ペンテン;イソプレン;ペンタジエン;1−ヘキセン及びこれらの誘導体などの鎖状不飽和炭化水素、ベンゼン;トルエン;キシレン;シクロヘプタトリエン;シクロオクタジエン;シクロオクタトリエン;シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素などが挙げられる。
 また、上記式(A−4)におけるAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR8 −、−PR8 −、−P(O)R8 −、−BR8 −又は−AlR8 −を示し、R8 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の二価の炭化水素基としては、メチレン基,ジメチルメチレン基,1,2−エチレン基,ジメチル−1,2−エチレン基,1,4−テトラメチレン基,1,2−シクロプロピレン基などのアルキレン基、ジフェニルメチレン基などのアリールアルキレン基などが挙げられる。炭素数1〜20の二価のハロゲン含有炭化水素基としては、クロロエチレン基,クロロメチレン基などが挙げられる。二価のケイ素含有基としては、メチルシリレン基,ジメチルシリレン基,ジエチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基などが挙げられる。ゲルマニウム含有基、スズ含有基としては、上記ケイ素含有基において、ケイ素をゲルマニウム又はスズに置換した基を挙げることができる。
 上記一般式(A−2)で表される化合物としては、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(シクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,(シクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(メチルシクロペンタジエニル)ジメチル(メトキシ)ジルコニウム,(ジメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(トリメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(テトラメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−イソプロピルフェノキシ)ジクロロチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(N,N’−ジフェニルトリルアミジナート)ジクロロチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリス(ジメチルアミノ)チタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,3−ジメチルテトラヒドロアズレニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
 上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5の化合物(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[1]」とする)が挙げられる。特に好ましいのは置換基数4又は5の化合物であり、特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
 また、上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、チタン錯体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[2]」とする)が挙げられる。更に好ましくは一般式(A−2)において、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5のチタン化合物が好ましい。特に好ましいのは置換基数4又は5のチタン化合物であり、更に置換基が互いに環を形成したチタン化合物が好ましい。特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(シクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−(トリメチルシリルメチル)テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
 上記一般式(A−3)で表される化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジフェニルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジエチルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジメトキシジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム,ビス(シクロペンタジエニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチルジルコニウム,(シクロペンタジエニル)(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,[(CH3 5 5 2 Hf(CH2 Ph)2 ,[(CH3 5 5 2 Hf(C6 4 −p−CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 Zr(C6 4 −p−CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 Hf(CH3 2 ,[(C2 5 5 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC3 7 5 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC3 7 5 5 2 Zr(CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 HfH(CH3 ),[(C2 5 5 5 2 HfH(CH3 ),[(C2 5 5 5 2 ZrH(CH3 ),[(C3 7 5 5 2 HfH(CH3 ),[(C3 7 5 5 2 ZrH(CH3 ),[(CH3 5 5 2 Hf(H)2 ,[(CH3 5 5 2 Zr(H)2 ,[(C2 5 )(CH3 4 5 2 Hf(CH3 2 ,[(C2 5 )(CH3 4 5 2 Zr(CH3 2 ,[(nC3 7 )(CH3 4 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC3 7 )(CH3 4 5 2 Zr(CH3 2 ,[(nC4 9 )(CH3 4 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC4 9 )(CH3 4 5 2 Zr(CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 HfCl2 ,[(CH3 5 5 2 HfH(Cl),[(CH3 5 5 2 ZrH(Cl)などが挙げられる。
 上記一般式(A−3)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、フルオレニル骨格を有する、無置換及び置換体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[3]」とする)が挙げられる。更に、置換基数1〜5のアルキル置換シクロペンタジエニルが好ましく、アルキル置換インデニルとしては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位アルキル基を有するものが好ましい。好ましいものの例示として、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,ビス(メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,及びジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
 また、上記一般式(A−3)で表される化合物の好ましいものとして、チタン化合物(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[4]」とする)が挙げられる。
 上記一般式(A−4)で表される化合物としては、例えば、メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム,エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム,エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム,エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム,エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンビス(2−エチルインデニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,エチレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデンビス(2−メチル−4−tert−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−tert−ブチル−5’−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,シクロヘキシリデン(2,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレン(2,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,5’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,フェニルメチルシリレン(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)(2’,4’,5’−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,テトラメチルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,テトラメチルジシリレンビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(3−メチル−シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フェナントレル)ジクロロジルコニウムなどを挙げることができる。
 また、上記一般式(A−4)で表される化合物としては、特開平6−184179号公報,特開平6−345809号公報などに記載されている化合物を挙げることができる。具体例としては、rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ブタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(4,5−ベンゾインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−α−メチル−α−アセナフトインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−α−アセナフトインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどのベンゾインデニル型又はアセナフトインデニル型化合物、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものなどを挙げることができる。
 更に、上記一般式(A−4)で表される化合物としては、特開平4−268308号公報,同5−306304号公報,同6−100579号公報,同6−157661号公報,同7−149815号公報,同7−188318号公報,同7−258321号公報などに記載されている化合物を挙げることができる。上記一般式(A−4)で表される化合物としては、M1 がハフニウムであるか又は2位置換インデニル錯体,4位置換インデニル錯体,2,4位置換インデニル錯体、あるいはM1 がハフニウムであって、かつ2位置換インデニル錯体,4位置換インデニル錯体又は2,4位置換インデニル錯体であるものが好ましい。
 一般式(A−4)で表される化合物の具体例としては、ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−〔2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−〔2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−〔2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−〔2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル〕−ジルコニウムジクロリドなどのアリール置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−第三ブチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−イソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−エチル−4−メチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2,4−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(2−メチル−4−エチルインデニル)−ジルコニウムジメチルなどの2,4−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−1−(3,4,7−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−ブタンジイル−ビス−1−(4,7−ジメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,7−位,2,4,7−位又は3,4,7−位置換体,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−1,2−エタンジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジフェニルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,4,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,4,6−位置換体,rac−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2,5,6−トリメチルインデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの2,5,6−位置換体、rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロー1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−エチレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリド,rac−ジメチルシリレン−ビス−(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス(2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジメチル,rac−エチレン−ビス−(4,7−ジメチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)−ジルコニウムジクロリドなどの4,5,6,7−テトラヒドロインデニル化合物など、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものなどを挙げることができる。
 一般式(A−4)で表される遷移金属化合物の好ましいものとして、C2 対称構造のもの(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[5]」とする)が挙げられ、ラセミ型架橋インデニル錯体及びラセミ型架橋置換インデニル錯体、ラセミ型架橋シクロペンタジエニル錯体及びラセミ型架橋置換シクロペンタジエニル錯体が好ましい。置換インデニル錯体としては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位に置換基を有するものが好ましく、置換シクロペンタジエニル錯体としては、2,4位、2,3,5位に置換基を有するものが好ましい。特に好ましい例示としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチル,ラセミ−エチレンビス(4 ,5 ,6 ,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジメチル,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチルインデニル) ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル) ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル) ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−(1−ナフチル) インデニル) ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス−1−(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレン) ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
 一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、高い立体規則性[mmmm]を発現させるC2 対称構造のラセミ体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[6]」とする)が挙げられる。このラセミ体のうち、置換インデニル錯体としては、2位、2,4位、2,4,7位、3,4,7位、2,4,6位、2,5,6位、4,7位に置換基を有するものが好ましく、置換シクロペンタジエニル錯体としては、2,4位、2,3,5位に置換基を有するものが好ましい。特に好ましい例示としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,4−ジメチル−シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ラセミ−ジメチルシランジイルビス(2,3,5−トリメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる
 一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、低い立体規則性[mmmm]を発現させるもの(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[7]」とする)が挙げられ、無置換インデニル錯体及び置換シクロペンタジエニル錯体(3位、3,4位)が好ましい。無置換インデニル錯体としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチルが挙げられ、置換シクロペンタジエニル錯体としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
 一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、Cs対称構造を有するもの(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[8]」とする)が挙げられる。好ましい例示としては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,ジメチルゲルマニウム(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,フェニルアミノ(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(3−メチルシクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−シクロペンタ[1]フェナンスレル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウム,イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フェナントリル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
 一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、メソ体(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[9]」とする)が挙げられる。好ましい例示としては、メソ−メチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)モノクロロモノヒドリドジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)クロロメトキシジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジエトキシジルコニウム, メソ−エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンビス(2−メチルインデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−エチレンビス(2−エチルインデニル)ジメチルジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルメチルシリレンビス(4 ,5 ,6 ,7−インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジフェニレンシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−テトラフェニルジシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2−メチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジシクロヘキシルシリレンビス(2,4,7−トリメチルインデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−ジメチルゲルマニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−メチルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルアルミニウムビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルホスフィノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−エチレンボラノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム, メソ−フェニルアミノビス(インデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジクロロジルコニウム,メソ−ジメチルシランジイルビス(2−メチル−4−ナフチルインデニル)ジクロロジルコニウムなどか挙げられる。
 一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、チタン化合物(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[10]」とする)が挙げられる。
 一般式(A−5)で表される化合物は、
Figure 2004143436
〔式中、M2 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示し、E1 及びE2 はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及びケイ素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成しており、またそれらはたがいに同一でも異なっていてもよく、X1 はσ結合性の配位子を示し、X1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 ,E1 ,E2 又はY1 と架橋していてもよい。Y1 はルイス塩基を示し、Y1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 ,E1 ,E2 又はX1 と架橋していてもよく、A1 及びA2 は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR8 −、−PR8 −、−P(O)R8 −、−BR8 −又は−AlR8 −を示し、R8 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(M2 の原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
である。
 上記一般式(A−5)において、M2 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示すが、ジルコニウム及びハフニウムが好適であり、ハフニウムがより好ましい。E1 及びE2 は上述のようにそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィド基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及びケイ素含有基〔>SiR−,>Si<〕(ただし、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成している。また、E1 及びE2 はたがいに同一でも異なっていてもよい。このE1 及びE2 としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
 また、X1 で示されるσ結合性配位子の具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20のケイ素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基などが挙げられる。このX1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 ,E1 ,E2 又はY1 と架橋していてもよい。
 一方、Y1 で示されるルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。このY1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 やE1 ,E2 又はX1 と架橋していてもよい。
 次に、A1 及びA2 で示される架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば一般式
Figure 2004143436
(R19及びR20はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。pは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2 =C=)などを挙げることができる。これらの中で、メチレン基,エチレン基及びイソプロピリデン基が好適である。このA1 及びA2 は、たがいに同一でも異なっていてもよい。
 この一般式(IV)で表される遷移金属化合物において、E1 及びE2 が置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又は置換インデニル基である場合、A1 及びA2 の架橋基の結合は、(1,1’)(2,2’)二重架橋型であってもよく、(1,2’)(2,1’)二重架橋型であってもよい。このような一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(A−5’)
Figure 2004143436
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
 上記一般式(A−5’)において、M2 ,X1 ,Y1 ,A1 ,A2 ,q及びrは上記と同じである。X1 はσ結合性の配位子を示し、X1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 又はY1 と架橋していてもよい。このX1 の具体例としては、一般式(A−5)のX1 の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1 はルイス塩基を示し、Y1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 又はX1 と架橋していてもよい。このY1 の具体例としては、一般式(A−5)のY1 の説明で例示したものと同じものを挙げることができる。R21〜R26はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,ケイ素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R21〜R26はたがいに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士がたがいに結合して環を形成していてもよい。
 この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子が(1,1’)(2,2’)二重架橋型及び(1,2’)(2,1’)二重架橋型のいずれであってもよい。
 この一般式(A−5’)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −プロピリデン)(2,2' −プロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −エチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −エチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −メチレン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1' −イソプロピリデン)(2,2' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −メチレン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −メチレン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −イソプロピリデン)(2,1' −イソプロピリデン)−ビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビスインデニルジルコニウムジクロリド,ビス(ジメチルシリレン)ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)ビス(3−n−ブチル−インデニル)インデニルジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−メチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−n−ブチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−エトキシメチル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチレン−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−イソプロピル−インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリレン−インデニル)ジルコニウムジクロリドなど、及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。(A−5)成分としては、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
 一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型で、無置換又は置換シクロペンタジエニル、インデニル錯体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[11]」とする)が挙げられる。好ましいものの例示として、(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −エチレン)(2,1' −エチレン)−ビス(3−ノルマルブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−ノルマルブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−エトキシメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2' −ジメチルシリレン)(2,1' −ジメチルシリレン)−(インデニル)(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
 一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、配位子が(1,1' )(2,2' )の二重架橋型錯体で無置換又は置換のシクロペンタジエニル、インデニル錯体(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[12]」とする)が挙げられ、(a)(1,1' )(2,2' )無置換シクロペンタジエニル又はインデニル、テトラヒドロインデニル二重架橋錯体、(b)置換インデニル錯体又は置換シクロペンタジエニル錯体が好ましい。置換基としては、アルキル基、アリール基、O,P,S,N,Si含有置換基が挙げられる。上記(a)の好ましいものの例示として、架橋基が(1,1’−エチレン)(2,2’−エチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−エチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−エチレン),(1,1’−エチレン)(2,2’−メチレン),(1,1’−メチレン)(2,2’−エチレン) ,(1,1’−メチレン)(2,2’−イソプロピリデン),(1,1’−イソプロピリデン)(2,2’−メチレン),(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−イソプロピリデン)のビスインデニルジルコニウムジクロリド又はビステトラヒドロインデニルジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
 上記(b)の好ましいものの例示として、架橋基が上記(a)と同様のものが挙げられる。一例として、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(t−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
 一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものとして、Cs対称構造を有するもの(これを主触媒成分とする触媒を「触媒[13]」とする)が挙げられる。好ましい例示としては、ビスシリレン−ビス(3,5−ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスシリレン−ビス(3,5−ジシクロペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスシリレン−ビス(3,5−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスシリレン−ビス(3,5−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスエチレン−ビス(3,5−ジイソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスエチレン−ビス(3,5−ジシクロペンチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスエチレン−ビス(3,5−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,ビスエチレン−ビス(3,5−ジエチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
 一般式(A−6)で表される化合物は、
Figure 2004143436
〔式中、M2 はチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示す。X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。ZはSiR9 2,CR9 2,SiR9 2SiR9 2,CR9 2CR9 2,CR9 2CR9 2CR9 2,CR9 =CR9 ,CR9 2SiR9 2又はGeR9 2を示し、Y2 は−N(R10)−,−O−,−S−又は−P(R10)−を示す。上記R9 は水素原子又は20個までの非水素原子をもつアルキル,アリール,シリル,ハロゲン化アルキル,ハロゲン化アリール基及びそれらの組合せから選ばれる基であり、R10は炭素数1〜10のアルキル若しくは炭素数6〜10のアリール基であるか、または1個若しくはそれ以上のR9 と30個までの非水素原子の結合環系を形成してもよい。sは1又は2を示す。〕
である。
上記一般式(A−6)で表される化合物の具体例としては、(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロリド:(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルチタンジクロリド;(メチルアミド) (テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコ二ウムジクロリド:(メチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエエル)−1.2−エタンジイルチタンジクロリド;(エチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−メチレンチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリド:(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル;(ベンジルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η5 −シクペンタジエニル)シランチタンジクロリド;(フェニルホスフィド)ジメチル(テトラメテル−η5 −シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジルなどが挙げられる。(A−6)成分としてはM2 がチタンであるものが好ましい。(A−6)成分は、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
 一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものとして、一般式(A−6)における例示の全て(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[14]」とする)が挙げられる。特に好ましいものとして、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジインチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジメチル,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5 −シクロペンタジエニル)シランチタンジメトキシド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリドなどが挙げられる。
 キレート化合物としては、一般キレート型錯体を挙げることができる。具体的には、ジブロモ(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、ジブロモ(1,3−ビスジフェニルホスフィノプロパン)ニッケル、ジブロモ(1,1′−ジフェニルビスホスフィノフェロセン)ニッケル、ジメチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケル、メチル(1,2−ビスジフェニルホスフィノエタン)ニッケルテトラフルオロボレート、(2−ジフェニルホスフィノ−1−フェニルエチレンオキシ)フェニルピリジンニッケル、ジクロロ(1,2−ビスフェニルホスフィノエタン)パラジウム、ビス(2,2′−ビピリジン)メチル鉄テトラフルオロボレートエーテラート、1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4,7−トリイルチタニウムクロリド、7−メチル−1,4,7−トリアザシクロノナン−1,4−ジイルチタニウムジクロリド、4,7−ジメチル−1,4,7−トリアザシクロノナン−1−イルチタニウムトリクロリドなどを挙げることができる。
 キレート化合物として、下記一般式(A−7)
Figure 2004143436
(式中、MはFe又はCo、R1 〜R4 は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数7〜20の環状に炭化水素基を有する芳香族基、X,Yは、それぞれ独立にハロゲン原子、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、Zは、窒素原子を含む下記の官能基、R5 〜R9 は、それぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数7〜20の環状に炭化水素基を有する芳香族基このうち、R7 、R8 、R9 は互いに結合して環を形成していてもよい。nは0〜3の整数である。破線は、中心金属との配位結合を示す。)
で表されるGibson型錯体が挙げられる。
 上記一般式(A−7)において、R1 〜R4 及びR5 〜R9 のうち炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖もしくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換基が導入されていてもよい。また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR1 及びR4 としては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジ(t−ブチル)基、2,6−ジメチルアニリン、2,4,6−トリメチルアニリンが好適である。R1 及びR4 は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、R2 及びR3 としては、例えば水素原子、メチル基などが挙げられる。
 一方、X及びYは水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を挙げることができるが、後者としては上記炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX及びYとしては、特にメチル基が好ましい。また、XとYは互いに同一であってもよく異なっていてもよい。
 Zは窒素原子を含む下記式又は
Figure 2004143436
で表される官能基を示し、特にピリジン骨格を含む上記式で表される官能基が好ましい。一般式中のR7 、R8 、R9 の具体例は上記に記載のとおりであるが、お互いに結合して環を形成していてもよい。例えば、シクロヘキシル骨格、シクロペンチル骨格などを挙げることができる。
 前記一般式(A−7)で表される錯体化合物の例としては下記の式19で表される化合物等を挙げることができる。
Figure 2004143436
Figure 2004143436
 これらのうち10が好ましい。
さらに、キレート化合物としては、ジイミン化合物を配位子とするBrookhert型錯体が好ましく、このようなものとしては、例えば一般式(A−8)
Figure 2004143436
(式中、R30及びR33はそれぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基、R31及びR32はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R31とR32はたがいに結合して環を形成していてもよく、X2 及びY2 はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、M2 は周期律表第8〜10族の遷移金属を示す。)
で表される錯体化合物を挙げることができる。
 上記一般式(A−8)において、R30及びR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換差が導入されていてもよい。また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR30及びR33としては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基が好適である。R30及びR33は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。
 また、R31及びR32のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、前記R30及びR33のうち、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。また炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メチルナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。このR30及びR31は、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、たがいに結合して環を形成してもよい。
 一方、X2 及びY2 のうち、炭素数1〜20の炭化水素基としては、上記R31及びR32における炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX2 及びY2 としては、特にメチル基が好ましい。また、X2 とY2 は、たがいに同一であってもよく異なっていてもよい。
 M2 の周期律表第8〜10族の遷移金属としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、鉄、コバルト、ロジウム、ルテニウムなとが挙げられ、ニッケル、パラジウムが好ましい。
 前記一般式(A−8)で表される錯体化合物の例としては、下記の式[1]〜[17]で表される化合物などを挙げることができる。
Figure 2004143436
Figure 2004143436
これらのうち[1]〜[8]が好ましい。また、[1]〜[8]においてNiのσ配位子(メチル基,水素)をハロゲン原子に置換した化合物も好ましい。
 キレート型錯体としては、下記一般式(A−9)
  Ld MXe f g     ・・・(A−9)
[式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列若しくはアクチノイド系列の金属を示し、Lは下記一般式
Figure 2004143436
(式中、G1 ,G2 及びG3 は周期律表第13族、14族、15族又は16族の元素を示し、かつG1 及びG3 の少なくとも一方は15族の元素を示し、G1 −G2 間、G2 −G2 間及びG2 −G3 間はそれぞれ一重結合、二重結合又はその組合せにより連結されている。また、G1 はMに結合しており、G3 は孤立電子対を持つ場合にはMに配位しており、M,G1 ,G2 及びG3 間で共鳴している場合にはその共鳴により結合している。nは0〜10の整数を示し、各((R12b −G2 )は同じでも異なっていてもよい。R11,R12及びR13は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、有機メタロイド基、アルコキシ基、アミノ基、炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、R11,R12及びR13間で架橋していてもよく、またR11,R12,R13とMとが架橋していてもよい。a,b及びcはそれぞれ0〜3の整数である。)
で表されるものである。また、dは1以上でかつMの原子価を超えない整数を示し、各L基は互いに同一でも異なっていてもよく、L基間で架橋していてもよい。Xは共役π電子を有する配位子を示す。具体的には、アリル基、シクロペンタジエニル基若しくは置換シクロペンタジエニル基、またはシクロペンタジエニル環内にヘテロ原子を含有するシクロペンタジエニル基若しくは置換シクロペンタジエニル基を示す。eは0又は1を示し、L基とX基との間で架橋していてもよい。Yはσ結合性の配位子又はキレート性の配位子を示し、fは0以上の整数で、[Mの原子価−(d+e)]に等しく、各Yは互いに同一でも異なっていてもよい。Zはルイス塩基を示し、gは0〜4の整数を示し、各Zは互いに同一でも異なっていてもよい。また、L基、XあるいはYとの間で架橋していてもよい。このYの具体例としては、水素原子、ハロゲン原子、有機メタロイド基、アルコキシ基、アミノ基、炭化水素基又はヘテロ原子含有炭化水素基である。]
で表される化合物が挙げられる。
 前記一般式(A−9)で示される遷移金属化合物のn=1,e=0のときの具体例としては、ビス[N,N−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジメチルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジイソプロピルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N−シクロヘキシル−N′−メチルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムジクロリド、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムジクロリド、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジヒドリド、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジヒドリド、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムジヒドリド、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムジヒドリド、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(トリメチルシリル)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジエトキシジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジエトキシジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジエトキシジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジエトキシジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(ジエチルアミノ)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ビス(トリメチルシリルメチル)ジルコニウム、ビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジメチルジルコニウム、ビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジメチルジルコニウム、ビス[(t−ブトキシメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジメチルジルコニウム、ビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジメチルジルコニウム、[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムトリクロリド、(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムトリクロリド、[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムトリクロリド、(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムトリクロリド、ブチレンビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)アミジナート]ジルコニウムジクロリド、[δ−(t−ブチルアミノ)バレル−N,N′−ビス(トリメチルシリル)アミジナート]ジルコニウムジクロリド、ジアミジナートチタンジクロライド、さらに金属をチタニウム、ハフニウムに置換したものなどが挙げられ、好ましくはビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N′−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
 前記一般式(A−9)で示される遷移金属化合物のn=1、e=1のときの具体例としては、シクロペンタジエニル[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニル[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジニエル(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニル[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニル(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニルビス[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムクロリド、シクロペンタジエニルビス(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムクロリド、シクロペンタジエニルビス[(t−ブトキシジメチルシリル)−t−ブチルアミノ]ジルコニウムクロリド、シクロペンタジエニルビス(t−ブトキシジメチルシロキシ)ジルコニウムクロリド、δ−シクロペンタジエニルバレル−N,N′−ビス(トリメチリシリル)アミジナートジルコニウムジクロリド、さらに金属をチタニウム、ハフニウムに置換したものが挙げられ、好ましくはシクロペンタジエニル[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、ペンタメチルシクロペンタジエニル[N,N′−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニル(N,N′−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリドが挙げられる。
 前記一般式(A−9)で示される遷移金属化合物のn=3、e=0のときの具体例としては、下記式[a]〜[m]の化合物が挙げられる。さらに、金属をチタン又はハフニウムに置換したものが挙げられる。
Figure 2004143436
Figure 2004143436
これらのうち[a]〜[h]が好ましい。
 キレート化合物としては、下記式
Figure 2004143436
のように二つの錯体の配位子間が、アルキレン基やシリレン基を介して結合した二核錯体も挙げられる。
 一般式(A−1)
   MR1 a 2 b 3 c 4 d        (A−1)
で表される化合物において、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示す。具体的にはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、R1 ,R2 ,R3 及びR4 は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,ケイ素原子を含む置換基などを例示できる。また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。a,b,c及びdは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。R1 ,R2 ,R3 及びR4 は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。
 R1 〜R4 の具体例としては、例えばハロゲン原子としてフッ素原子,塩素原子,臭素原子,ヨウ素原子,炭素数1〜20のアルキル基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,オクチル基,2−エチルヘキシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,プロポキシ基,ブトキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基としてフェニル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基としてフェノキシ基,2,6−ジメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ基,2,4,6−トリメチルフェノキシ基,2,6−ジイソプロピル−4−メチルフェノキシ基,2,6−ジ−t−ブチル−4−フェノキシ基、炭素数2〜20のアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基,ジイソプロピルアミノ基,ジ−n−ブチルアミノ基,ジフェニルアミノ基,ビス(2,6−ジメチルフェニル)アミノ基,ビス(トリメチルフェニル)アミノ基、炭素数3〜50のアミジナート基としてN,N’−ジメチルトリルアミジナート基,N,N’−ジフェニルトリルアミジナート基,N,N’−ジシクロヘキシルトリルアミジナート基,N,N’−ベンズアミジナート基,N,N’−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート基、炭素数1〜20のアシルオキシ基としてヘプタデシルカルボニルオキシ基、ケイ素原子を含む置換基としてトリメチルシリル基、(トリメチルシリル)メチル基、ルイス塩基としてジメチルエーテル,ジエチルエーテル,テトラヒドロフランなどのエーテル類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、エチルベンゾエートなどのエステル類、アセトニトリル;ベンゾニトリルなどのニトリル類、トリメチルアミン;トリエチルアミン;トリブチルアミン;N,N−ジメチルアニリン;ピリジン;2,2’−ビピリジン;フェナントロリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類、エチレン;ブタジエン;1−ペンテン;イソプレン;ペンタジエン;1−ヘキセン及びこれらの誘導体などの鎖状不飽和炭化水素、ベンゼン;トルエン;キシレン;シクロヘプタトリエン;シクロオクタジエン;シクロオクタトリエン;シクロオクタテトラエン及びこれらの誘導体などの環状不飽和炭化水素などが挙げられる。
 上記一般式で表される遷移金属化合物の具体例としては、四塩化チタン,三塩化チタン,テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン,ジメトキシジクロルチタン,アセチルアセトナートチタン,ビス(N,N’−ジシクロヘキシルトリルアミジナート)ジクロロチタン、上記遷移金属化合物が塩化マグネシウムに担持したもの、更には電子供与体を含有するもので、チタン/マグネシウム/塩素又はこれに電子供与体を含有するものを例示することができる。
 上記一般式で示した遷移金属化合物のうち、少なくとも2個のハロゲン原子又はアルコキシ基、あるいはそれぞれ2個のハロゲン原子とアルコキシ基が中心金属に結合した遷移金属化合物と、一般式(I)〜(VI)
Figure 2004143436
で表されるジオールとの反応生成物も用いることができる。
 上記一般式(I)〜(VI) で表される化合物において、R49及びR50は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Y3 は炭素数1〜20の炭化水素基、
Figure 2004143436
で示される基(ここで、R55は炭素数1〜6の炭化水素基を示す。)である。R49,R50及びY3 で表される炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチレン,エチレン,トリメチレン,プロピレン,ジフェニルメチレン,エチリデン,n−プロピリデン,イソプロピリデン,n−ブチリデン,イソブチリデン基などが挙げられるが、これらの中で、メチレン,エチレン,エチリデン,イソプロピリデン及びイソブチリデン基が好適である。nは0以上の整数を示すが、特に0又は1が好ましい。
 また、R51,R52,R53及びR54は、それぞれ炭素数1〜20の炭化水素基,水酸基,ニトロ基,ニトリル基,ヒドロカルビロキシ基又はハロゲン原子を示し、これらはたがいに同一でも異なっていてもよい。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル,エチル,n−プロピル,イソプロピル,n−ブチル,イソブチル,t−ブチル,n−アミル,イソアミル,n−ヘキシル,n−ヘプチル,n−オクチル,n−デシル,n−ドデシル基などのアルキル基、フェニル,ナフチル基などのアリール基、シクロヘキシル,シクロペンチル基などのシクロアルキル基、プロペニル基などのアルケニル基、ベンジル基などのアラルキル基を挙げることができるが、これらの中で炭素数1〜10のアルキル基が好適である。y,y’,y'',y''' ,z,z’,z''及びz''' は、芳香族環に結合している置換基の数を表し、y,y’,z及びz’は、0〜4の整数、y''及びz''は、0〜2の整数、y''' 及びz''' は、0〜3の整数を示す。
 該遷移金属化合物と、前記一般式(I)〜(VI) で表されるジオールとの反応生成物の一例としては、一般式(VII)
Figure 2004143436
で表される化合物を挙げることができる。
 上記一般式(VII)において、M7 はチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、E1 及びE2 は、炭素数1〜20の炭化水素基で、v及びxは、それぞれ0又は1を示し、E1 及びE2 は、Y4 を介して架橋構造を形成するものである。E3 及びE4 は、σ結合性配位子、キレート性の配位子又はルイス塩基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。
 v’及びx’は、それぞれ0〜2の整数〔v’+x’(M1 の原子価−2)の整数〕を示す。Y4 は炭素数1〜20の炭化水素基,E5 6 5 ,酸素原子又は硫黄原子を示し、mは0〜4の整数を示す。E5 及びE6 は、炭素数1〜20の炭化水素基、Y5 は炭素原子又はケイ素原子を示す。
 一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものとして、TiCl4 ,三塩化チタン、Ti(OEt)4,Ti(OnBu)4及びこれらのチタン化合物とマグネシウム/塩素/電子供与体からなるもの(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[15]」とする)が挙げられる。
 後述する触媒[17]を構成する主触媒成分は、一般式(A−1)で表される化合物のうちのニッケルアセトナートなど、及び上述した一般式(A−4)で表される化合物のうちのジメチルメチレンビス(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレン(4,5−ベンゾ−1−インデニル)(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレン(1−インデニル)(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレンビス(1−シクロペンタ[l]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドである。
 一般式(A−4)及び一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものからなるもの(これらを主触媒成分とする触媒を「触媒[16]」とする)のうち、一般式(A−4)で表されるものは、ジメチルメチレンビス(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレン(4,5−ベンゾ−1−インデニル)(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレン(1−インデニル)(3−シクロペンタ[C]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレンビス(1−シクロペンタ[l]フェナンスリル)ジルコニウムジクロリド,ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドである。一般式(A−1)で表されるものは、Ni(acac)2 (ニッケルアセトナート)などである。
 本発明のオレフィン系グラフト共重合体の製造においては、末端ビニル基形成能を有する主触媒成分を用いることより、グラフト体の生成効率が高まり、より効果的な製造が実施できる。末端ビニルの選択性は、好ましくは20モル%以上、より好ましくは25モル%以上、更に好ましくは30モル%以上、より更に好ましくは40モル%以上、最も好ましくは50モル%以上である。末端ビニルの選択性が20モル%未満ではグラフト効率が低下し、効果が十分でない。このような触媒は、特に、エチレン、プロピレンを、モノマー成分として一部でも用いる重合において、好適に用いられる。
 このような触媒の主触媒成分としては、上述した一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−7),(A−8),(A−9)及び(A−1)で表される金属化合物を用いることができる。助触媒成分としては、上述した(B−1),(B−2),(B−3),(B−4)及び(B−5)成分を使用することができる。
 上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、シクロペンタジエニル環上の置換基が各々独立に炭素数1〜20の炭化水素基であり、置換基数が5の化合物が挙げられる。具体的には、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロロジルコニウム,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたものが挙げられる。
 上記一般式(A−3)で表される化合物の好ましいものとしては、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジベンジルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)クロロメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドメチルジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ヒドリドクロロジルコニウム,ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジヒドリドジルコニウム,ビス(テトラメチルモノエチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(テトラメチルモノnプロピルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,ビス(テトラメチルモノnブチルシクロペンタジエニル)ジメチルジルコニウム,及びこれらの化合物においてジルコニウムをチタン又はハフニウムに変えたもの、[(CH3 5 5 2 Hf(C6 4 −p−CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 Zr(C6 4 −p−CH3 2 ,[(C2 5 5 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC3 7 5 5 2 Hf(CH3 2 ,[(nC3 7 5 5 2 Zr(CH3 2 ,[(CH3 5 5 2 HfH(CH3 ),[(CH3 5 5 2 ZrH(CH3 ),[(C2 5 5 5 2 HfH(CH3 ),[(C2 5 5 5 2 ZrH(CH3 ),[(C3 7 5 5 2 HfH(CH3 ),[(C3 7 5 5 2 ZrH(CH3 )などが挙げられる。
 上記一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとしては、ハフニウム錯体、4位置換インデニル錯体、2位置換のインデニル錯体及び2,4置換インデニル錯体が挙げられる。ハフニウム錯体の好ましいものは、(1) 架橋(インデニル)又は架橋(テトラヒドロインデニル)骨格を持つハフニウム錯体,エチレンビス(インデニル)ジクロロハフニウム,エチレンビス(インデニル)モノクロルモノヒドリドハフニウム,ジメチルシリレンビス(インデニル)ジクロロハフニウム,エチレンビス(テトラヒドロインデニル)ジクロロハフニウムなど、(2) 2位アルキル置換インデニル骨格を有するハフニウム錯体,ジメチルシリレンビス(2−エチル−インデニル)ジクロロハフニウム,エチレンビス(2−メチル−インデニル)ジクロロハフニウムなど、(3) 4位アルキル置換インデニル骨格を有するハフニウム錯体,エチレンビス(4−フェニル−インデニル)ジクロロハフニウム,ジメチルシリレンビス(4−フェニル−インデニル)ジクロロハフニウムなど、(4) 2,4位アルキル置換インデニル骨格を有するハフニウム錯体,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−インデニル)ジクロロハフニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル)ジクロロハフニウム,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−イソプロピル−インデニル)ジクロロハフニウムなど、(5) 2位アルキル置換ベンゾインデニル錯体,ジメチルシリレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロハフニウム,エチレンビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジクロロハフニウムなどが挙げられる。置換インデニル錯体としては、上記(2) (3) (4) のジルコニウム錯体が好ましい。
 また、一般式(A−4)で表される化合物としては、一般式(A−4−1)
Figure 2004143436
〔式中、M1 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示す。R7 〜R17,X3 及びX4 は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示し、R9 とR10及びR14とR15はたがいに結合して環を形成してもよい。X3 及びX4 は、それぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基又はリン含有基を示す。Aは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−NR18−、−PR18−、−P(O)R18−、−BR18−又は−AlR18−を示し、R18は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示す。〕
で表される化合物が好ましい。
 この遷移金属化合物は、単架橋型錯体である。
 前記一般式(A−4−1)において、R7 〜R17,X3 及びX4 のうちのハロゲン原子としては、塩素原子,臭素原子,フッ素原子,ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えばメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,tert−ブチル基,n−ヘキシル基,n−デシル基などのアルキル基、フェニル基,1−ナフチル基,2−ナフチル基などのアリール基、ベンジル基などのアラルキル基などが挙げられ、また炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基としては、トリフルオロメチルなどの上記炭化水素基の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられる。珪素含有基としては、トリメチルシリル基,ジメチル(t−ブチル)シリル基などが挙げられる。酸素含有基としては、メトキシ基,エトキシ基などが挙げられ、イオウ含有基としては、チオール基,スルホン酸基などが挙げられる。窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられ、リン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。また、R9 とR10及びR14とR15はたがいに結合してフルオレンなどの環を形成してもよい。R10,R11,R13,R15及びR16の好ましいものとしては水素原子が挙げられる。R7 ,R8 ,R9 ,R12,R14及びR17としては、炭素数6以下のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基が更に好ましく、イソプロピル基が特に好ましい。X3 ,X4 としては、ハロゲン原子,メチル基,エチル基,プロピル基が好ましい。
 Aの具体例としては、メチレン、エチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロヘキシリデン、1,2−シクロヘキシレン、ジメチルシリレン、テトラメチルジシリレン、ジメチルゲルミレン、メチルボリリデン(CH3 −B=)、メチルアルミリデン(CH3 −Al=)、フェニルホスフィリデン(Ph−P=)、フェニルホスホリデン(PhPO=)、1,2−フェニレン、ビニレン(−CH=CH−)、ビニリデン(CH2 =C=)、メチルイミド、酸素(−O−)、硫黄(−S−)などがあり、中でも、メチレン、エチレン、エチリデン、イソプロピリデンが、本発明の目的達成の点で好ましい。
 M1 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示すが、特にハフニウムが好適である。
 前記一般式(A−4−1)で表される遷移金属化合物の具体例としては、1,2−エタンジイル(1−(4,7−ジイソプロピルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(9−フルオレニル)(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−(4,7−ジイソプロピルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(1−(4,7−ジメチルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリド、1,2−エタンジイル(9−フルオレニル)(2−(4,7−ジメチルインデニル))ハフニウムジクロリド、イソプロピリデン(1−(4,7−ジメチルインデニル))(2−(4,7−ジイソプロピルインデニル)ハフニウムジクロリドなど、及びこれらの化合物におけるハフニウムをジルコニウム又はチタンに置換したものなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
 上記一般式(A−5)で表される化合物の好ましいものは、上述した例示において、ハフニウム錯体であるものである。
 上記一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものは、上述した例示において、チタン錯体であるものである。
 上記一般式(A−7),(A−8)及び(A−9)で表される化合物の好ましいものは、上記一般式(A−7)のうちの鉄系錯体、上記一般式(A−8)のうちの鉄系錯体及びニッケル系錯体、上記一般式(A−9)のうちのジルコニウム系錯体及びハフニウム系錯体である。
 上記一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものは、チタン錯体であり、具体的には、(1) テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン等のアルコキシチタン、(2) 四塩化チタン等のハロゲン化チタン、(3) アセチルアセトナートチタンである。
 より好ましい主触媒成分は、(1)エチレンを用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めようとする場合、一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−7),(A−8),(A−9)及び(A−1)で表される構造であり、(2)プロピレンを用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めるようとする場合、一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−4−1)及び(A−5)で表される構造であり、(3)エチレンとプロピレンを同時に用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において、グラフト効率を高めるようとする場合、上記(1)及び(2)のうちのどちらでも用いることができる
 本発明で用いる助触媒成分は、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物から選ばれる一種以上である。
 (B−1)アルミノキサンとしては、一般式(B−1−1)
Figure 2004143436
(式中、R57は炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基などの炭化水素基あるいはハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。なお、各R57は同じでも異なっていてもよい。)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(B−1−2)
Figure 2004143436
(式中、R57及びwは上記一般式(B−1−1)におけるものと同じである。)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、更に水を反応させる方法などがある。
 アルミノキサンとしては、炭化水素溶媒に不溶性のものであってもよいし、炭化水素溶媒に可溶であってもよい。好ましくは、炭化水素溶媒に可溶であって、かつ 1H−NMRより測定した残留有機アルミニウム化合物(アルミノキサン以外の有機アルミニウム化合物)が10質量%以下の場合である。更に好ましくは、残留有機アルミニウム化合物が3〜5質量%以下、特に好ましくは、2〜4質量%以下である。このようなアルミノキサンを用いると、アルミノキサンが担体に担持される割合(担持率とも言う)が増加し好ましい。更に炭化水素溶媒に可溶であるので、担持されなかったアルミノキサンをリサイクルして再使用することができるという利点もある。更に、アルミノキサンの性状が安定しているので、使用に際して特に処理を必要としないという長所もある。また、このようなアルミノキサンを用いると重合により得られるポリオレフィンの平均粒径や粒径分布(総称してモルフォロジーとも言われる)が向上し、好ましい。残留有機アルミニウム化合物が10質量%を超えると担持率が低下し、重合活性が低下することがある。
 このようなアルミノキサンを得る方法としては、例えば、アルミノキサンの溶液を加温減圧により溶媒を留去し乾固させる方法(ドライアップ法とも言う)が挙げられる。ドライアップ法では、加温減圧による溶媒の留去は90℃以下が好ましく、更に好ましくは、80℃以下である。
 また、アルミノキサンから炭化水素溶媒に不溶な成分を除去する方法としては、例えば、炭化水素溶媒に不溶な成分を自然沈降させ、その後デカンテーションにより分離する方法が挙げられる。或いは、遠心分離等の操作により分離する方法でもよい。その後、更に回収した可溶解成分をG5ガラス製フィルター等を用い、窒素気流下にてろ過した方が不溶な成分が充分除去されるので好ましい。このようにして得られるアルミノキサンは時間の経過とともにゲル成分が増加することがあるが、調製後48時間以内に使用することが好ましく、調製後直ちに使用することが特に好ましい。アルミノキサンと炭化水素溶媒の割合は、特に制限はないが、炭化水素溶媒1リットルに対しアルミノキサン中のアルミニウム原子が0.5〜10モルとなるような濃度で用いることが好ましい。
 なお、前記の炭化水素溶媒溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等芳香族炭化水素やペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等脂肪族炭化水素やシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等脂環式炭化水素やナフサ、ケロシン、ライトガスオイル等石油留分等が挙げられる。
 一方、(B−2)成分としては、上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合部とを生成するイオン化剤であれば、いずれのものでも使用できるが、特に効率的に重合活性点を形成できるなどの点から、次の一般式(X),(XI)
 (〔L1 −R60h+a (〔Z〕- b   ・・・(X)
(〔L2 h+a (〔Z〕- b ・・・(XI)
(ただし、L2 はM5 ,R61626,R63 3 C又はR646 である。)
〔(X),(XI) 式中、L1 はルイス塩基、〔Z〕- は、非配位性アニオン〔Z1 - 又は〔Z2 - 、ここで〔Z1 - は複数の基が元素に結合したアニオン、すなわち〔M4 1 2 ・・・Gf 〕(ここで、M4 は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1 〜Gf はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、または炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1 〜Gf のうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔( 中心金属M4 の原子価) +1〕の整数を示す。) 、〔Z2 - は、酸解離定数の逆数の対数(pKa ) が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R60は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R61及びR62はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R63は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R64はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニンなどの大環状配位子を示す。hは〔L1 −R60〕,〔L2 〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(h×a)である。M5 は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M6 は、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
 ここで、L1 の具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリンなどのアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィンなどのホスフィン類、テトラヒドロチオフェンなどのチオエーテル類、安息香酸エチルなどのエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリルなどのニトリル類などを挙げることができる。
 R60の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基などを挙げることができ、R61,R62の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基などを挙げることができる。R63の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R64の具体例としてはテトラフェニルポルフィン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。また、M5 の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3 などを挙げることができ、M6 の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
また、〔Z1 - 、すなわち〔M4 1 2 ・・・Gf 〕において、M4 の具体例としてはB,Al,Si ,P,As,Sbなど、好ましくはB及びAlが挙げられる。また、G1 ,G2 〜Gf の具体例としては、ジアルキルアミノ基としてジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基など、アルコキシ基若しくはアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基など、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基など、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基など、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素などが挙げられる。
また、非配位性のアニオンすなわちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基〔Z2 - の具体例としてはトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CF3 SO3 - ,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO4 - ,トリフルオロ酢酸アニオン( CF3 CO2)- ,ヘキサフルオロアンチモンアニオン( SbF6)- ,フルオロスルホン酸アニオン(FSO3 - ,クロロスルホン酸アニオン(ClSO3 - ,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO3 /SbF5 - ,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO3 /AsF5 - ,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CF3SO3 /SbF5)- などを挙げることができる。二核アニオンとしては、下記式
Figure 2004143436
で示すものが挙げられる。
このような化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル) 硼酸メチル( 4−シアノピリジニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム) ,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀などを挙げることができる。(B−2)成分としては、前記の硼素化合物が好ましい。
この(B−2)成分のイオン化剤一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 次に、(B−3)成分のルイス酸としては、特に制限はなく、有機化合物でも固体状無機化合物でもよい。有機化合物としては、硼素化合物やアルミニウム化合物などが、無機化合物としてはマグネシウム化合物、アルミニウム化合物などが効率的に活性点を形成できる点から好ましく用いられる。該アルミニウム化合物としては例えばビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムメチル,(1,1−ビ−2−ナフトキシ)アルミニウムメチルなどが、マグネシウム化合物としては例えば塩化マグネシウム,ジエトキシマグネシウムなどが、アルミニウム化合物としては酸化アルミニウム,塩化アルミニウムなどが、硼素化合物としては例えばトリフェニル硼素,トリス(ペンタフルオロフェニル)硼素,トリス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕硼素,トリス〔(4−フルオロメチル)フェニル〕硼素,トリメチル硼素、トリエチル硼素,トリ−n−ブチル−硼素,トリス(フルオロメチル)硼素,トリス(ペンタフルオロエチル)硼素,トリス(ノナフルオロブチル)硼素,トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)硼素,トリス(3,5−ジフルオロ)硼素,トリス〔3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル〕硼素,ビス(ペンタフルオロフェニル)フルオロ硼素,ジフェニルフルオロ硼素,ビス(ペンタフルオロフェニル)クロロ硼素,ジメチルフルオロ硼素、ジエチルフルオロ硼素,ジ−n−ブチルフルオロ硼素,ペンタフルオロフェニルジフルオロ硼素,フェニルジフルオロ硼素,ペンタフルオロフェニルジクロロ硼素,メチルジフルオロ硼素,エチルジフルオロ硼素,n−ブチルジフルオロ硼素などが挙げられる。
 これらのルイス酸は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
 次に、(B−4)粘土、粘土鉱物もしくはイオン交換性層状化合物としては下記のものが好適に用いられる。
 (1) 粘土又は粘土鉱物
 粘土とは、細かい含水ケイ酸塩鉱物の集合体であって、適当量の水を混ぜてこねると可塑性を生じ、乾けば剛性を示し、高温度で焼くと焼結するような物質をいう。また、粘土鉱物とは、粘土の主成分をなす含水ケイ酸塩をいう。
 これらは、天然産のものに限らず、人工合成したものであってもよい。
 (2) イオン交換性層状化合物
 イオン交換性層状化合物とは、イオン結合等によって構成される面がたがいに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンが交換可能なものをいう。粘土鉱物の中には、イオン交換性層状化合物であるものがある。
 例えば、粘土鉱物としてフィロケイ酸類が挙げられる。フィロケイ酸類としては、フィロケイ酸やフィロケイ酸塩が挙げられる。フィロケイ酸塩としては、天然品として、スメクタイト族に属するモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、雲母族に属するイライト、セリサイト及びスメクタイト族と雲母族又は雲母族とバーミクキュライト族との混合層鉱物等が挙げられる。
 また、合成品として、フッ素四ケイ素雲母、ラポナイト、スメクトン等が挙げられる。
 その他、α−Zr(HPO4 2 ,γ−Zr(HPO4 2 ,α−Ti(HPO4 2 及び,γ−Ti(HPO4 2 等の粘土鉱物ではない層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を挙げることができる。
 イオン交換性層状化合物には属さない粘土及び粘土鉱物で、(B−3)成分の具体例を挙げれば、モンモリロナイト含量が低いためベントナイトと呼ばれる粘土、モンモリロナイトに他の成分が多く含まれる木節粘土、ガイロメ粘土、繊維状の形態を示すセピオライト、パリゴルスカイト、また、非結晶質あるいは低結晶質のアロフェン、イモゴライト等がある。
 (3) また、本発明においては、前記(B−4)成分は、(A)成分、他の(B)成分、後述の(C)有機アルミニウム化合物との接触にあたり、粘土、粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物中の不純物除去又は構造及び機能の変化という点から、化学処理を施すことも好ましい。
 ここで、化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをもさす。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。
 酸処理は表面の不純物を取り除く他、結晶構造中のアルミニウム、鉄、マグネシウム等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機複合体などを形成し、表面積や層間距離等を変化させることができる。イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の嵩高いイオンと置換することによって、層間が拡大された状態の層間物質を得ることもできる。
 (4) 上記(B−4)成分はそのまま用いてもよいし、新たに水を添加吸着させたものを用いてもよく、あるいは加熱脱水処理したものを用いてもよい。
 (5) 上記(B−4)成分は更に有機アルミニウム化合物及び/又は有機シラン化合物で処理したものを用いてもよい。
 (6) (B−4)成分として、好ましいものは粘土又は粘土鉱物であり、最も好ましいものはフィロケイ酸類であり、中でもスメクタイトがよく、モンモリロナイトが更に好ましい。
 (B−5)成分の周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物は、下記一般式
   Rv 3 u-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、M3 は周期律表第1〜3族及び第11〜13族の金属元素を示し、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示す。uは金属の原子価であり、0<v≦uである。)
で表されるものである。
 具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジエチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド,ジエチル亜鉛,トリエチルボロン,ブチルエチルマグネシウムなどが挙げられる。
 (A)主触媒成分と(B)助触媒成分の使用割合は、助触媒成分の種類により異なる。助触媒成分の使用量が少なすぎると触媒活性が低下し、多すぎると重合体中の助触媒成分残渣が多くなるため品質が低下してしまう。
 助触媒成分が(B−1)アルミノキサンである場合、(A)/(B−1)は、モル比で通常1/1〜1/10000、好ましくは1/10〜1/7000、より好ましくは1/100〜1/5000、最も好ましくは1/150〜1/3000である。
 助触媒成分が(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、(A)/(B−2)は、モル比で通常1/0.1〜1/500、好ましくは1/0.5〜1/400、より好ましくは1/0.8〜1/300、最も好ましくは1/1〜1/200である。
 助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、(A)/(B−3)は、モル比で通常1/0.1〜1/500、好ましくは1/0.5〜1/400、より好ましくは1/0.8〜1/300、最も好ましくは1/1〜1/200である。
 助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、(A)/(B−4)は、質量比で通常1/0.5〜1/1000、好ましくは1/1〜1/500である。
 助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、(A)/(B−5)は、モル比で通常1/1〜1/10000、好ましくは1/10〜1/8000、より好ましくは1/15〜1/6000、最も好ましくは1/20〜1/5000である。
 本発明において用いる触媒は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)アルキルアルミニウム化合物を含有するものであってもよい。
 (C)成分のアルキルアルミニウム化合物としては、下記一般式
    Rv AlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表される化合物が用いられる。
 上記一般式で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
 これらのアルキルアルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。なお、(B−5)成分のうちのアルキルアルミニウム化合物を助触媒成分として用いる場合、(C)成分は使用しない。
 (A)主触媒成分と(C)アルキルアルミニウム化合物の使用割合(A)/(C)は、モル比で通常1/1〜1/20000、好ましくは1/5〜1/2000、より好ましくは1/10〜1/1000である。(C)成分の使用量が少なすぎると活性向上効果が小さく、多すぎると重合体中のアルミニウム残渣が多くなるおそれがある。
 本発明において、触媒は、非担持触媒及び担持触媒のいずれであってもよく、また、予備重合を行わないものでも予備重合を行ったもののいずれも用いることができる。また、重合工程[I]と重合工程[II]とで同一の触媒を用いることもできる。
 非担持触媒は、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことが好適である。予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10ミリモル/リットル〜20モル/リットルが好ましい。
 予備重合量は、通常0.01〜200g/g触媒(触媒とは主触媒成分、助触媒成分及び担体などすべての触媒成分の和を指す)であり、好ましくは0.1〜150g/g触媒、より好ましくは0.3〜50g/g触媒である。予備重合の条件としては、温度−30〜80℃、好ましくは−10〜40℃、オレフィン類とポリエンの総和と触媒の量比が、オレフィン類とポリエンの総和を1モルとしたときに、主触媒成分が2×10-7〜2×10-2モル、好ましくは2×10-6〜1×10-2モル、より好ましくは1×10-6〜1×10-2モルの範囲、重合時間が1秒〜8時間の条件で行なうことが好ましい。
 予備重合に用いる触媒における(A)主触媒成分と(B)助触媒成分の使用割合は、上述したものと同様とすることができ、上記と同様に更に(C)アルキルアルミニウム化合物を用いることもできる。
 予備重合の方法としては、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれでもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
 製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
本発明においては、(A)主触媒成分及び(B)助触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特にモルホロジ−制御の点から無機酸化物担体あるいはそれ以外の無機担体が好ましい。
 無機酸化物担体としては、具体的には、SiO2 ,Al2 3 ,MgO,ZrO2 ,TiO2 ,Fe2 3 ,B2 3 ,CaO,ZnO,BaO,ThO2 やこれらの混合物、例えばシリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバーなどが挙げられる。これらの中では、特にSiO2 又はAl2 3 が好ましい。なお、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩などを含有してもよい。
 一方、上記以外の担体として、MgCl2 ,Mg(OC2 5)2 などのマグネシウム化合物などで代表される一般式MgR41 X 7 y で表されるマグネシウム化合物やその錯塩などを挙げることができる。ここで、R41は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、X7 はハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2であり、かつx+y=2である。各R41及び各X7 はそれぞれ同一でもよく、また異なってもいてもよい。
また、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリプロピレン,置換ポリスチレン,ポリアリレートなどの重合体やスターチ,カーボンなどを挙げることができる。
 本発明において用いられる担体としては、MgCl2 ,MgCl(OC2 5 ),Mg(OC2 5)2 ,SiO2 ,Al2 3 などが好ましい。また担体の性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
 粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。
 また、担体の比表面積は、通常1〜1000m2 /g、好ましくは50〜500m2 /g、細孔容積は通常0.1〜5cm3 /g、好ましくは0.3〜3cm3 /gである。
 比表面積又は細孔容積のいずれかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。なお、比表面積及び細孔容積は、例えばBET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる(J.Am.Chem.Soc,第60巻,第309ページ(1983年)参照)。
 更に、上記担体は、通常100〜1000℃、好ましくは130〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を上記担体に担持させる場合、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは主触媒成分及び助触媒成分の両方を担持させるのが、モルホロジー制御、気相重合などプロセスへの適用性などの点から望ましい。
 担体に、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば(1) 主触媒成分と担体とを混合する方法、(2) 助触媒成分と担体とを混合する方法、(3) 主触媒成分と助触媒成分とを予め接触させた後、担体と混合する方法、(4) 担体と助触媒成分とを予め接触させた後、主触媒成分と混合する方法、(5) 担体と主触媒成分とを予め接触させた後、助触媒成分と混合する方法、(6) 担体と主触媒成分と助触媒成分とを同時に接触混合する方法などを用いることができる。
 担体と主触媒成分の使用割合は、担体1gに対して主触媒成分が通常5×10-8〜1.5×10-2モル、好ましくは7×10-8〜1.3×10-2モル、より好ましくは8×10-8〜1.0×10-2モル、最も好ましくは1.0×10-7〜5.0×10-3モルである。主触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、主触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。
 担体と助触媒成分の使用割合は、助触媒の種類により異なる。助触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、助触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。 
 助触媒成分が(B−1)アルミノキサンである場合、担体/(B−1)は、 質量比で通常0.1/1〜2000/1、好ましくは0.5/1〜1000/1、更に好ましくは1.0/1〜500/1、より好ましくは1.2/1〜300/1、最も好ましくは1.5/1〜100/1である。
 助触媒成分が(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、担体/(B−2)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは10/1〜500/1である。
 助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、担体/(B−3)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、担体/(B−4)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、担体/(B−5)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 担持触媒成分の調製方法としては、溶媒中に担体成分と触媒成分とを分散する方法[方法(1)]、担体に固体状態の触媒成分を含浸させるか、または担体と触媒成分とを反応させる方法[方法(2)]がある。
 上記方法(1)においては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒を使用して担持反応を行う。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
 方法(1)において、担持条件は、温度−50〜100℃、好ましくは−10〜80℃、反応時間10秒〜5時間、好ましくは30秒〜2時間である。上述した担持方法(3) 、(4) 、(5) のように段階的に担持を実施する場合、または担持方法(3) のように予め接触させた触媒成分を用いる場合、温度や反応時間は上記範囲から独立に選定する。担持操作は、触媒成分を溶解させた条件で行うことが好ましい。担持操作の終了後、必要に応じて、未反応の触媒成分を溶媒により洗浄除去してもよい。
 上記方法(2)は、乾式又は湿式状態で、ボールミルを用いて機械的衝撃を与えることにより担体と触媒成分とを共粉砕するか、乾式又は湿式状態で、攪拌することにより担体と触媒成分との担持反応を進行させる方法である。
 方法(2)において、担持条件は、温度−50〜100℃、好ましくは−10〜80℃、反応時間5分〜50時間、好ましくは1〜20時間である。上述した担持方法(3) 、(4) 、(5) のように段階的に担持を実施する場合、または担持方法(3) のように予め接触させた触媒成分を用いる場合、温度や反応時間は上記範囲から独立に選定する。担持操作の終了後、必要に応じて、未反応の触媒成分を溶媒により洗浄除去してもよい。
 上述した、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) 〜(6) において、担体は、予め周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物[上述した(B−5)成分]で処理することができる。アルキル金属化合物としては、上述したものと同様のものが例示され、好ましくはアルキルアルミニウム、より好ましくはトリアルキルアルミニウム、最も好ましくはトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムである。
 担体と周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物との使用割合は、担体1gに対して通常アルキル金属化合物0.1〜100ミリモル、好ましくは0.2〜90ミリモル、より好ましくは0.4〜80ミリモル、最も好ましくは0.5〜80ミリモルである。
 担体をアルキル金属化合物により処理する際の条件は、処理温度−78〜100℃、好ましくは−50〜80℃、処理時間1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間である。処理は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒中で担体を攪拌分散させながら、上記アルキル金属化合物を滴下する方法が好ましい。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
 上記処理が終了した後、固体の担体成分は分離除去することが好ましい。分離は、溶媒による洗浄又はろ過により行うことができる。得られた処理担体を用いた担持触媒成分の調製は、上述した方法と同様の方法により行うことができる。
 上述した、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) 〜(6) において、担体として含水物を用いることもできる。このような含水担体の含水率は、通常0.1〜40質量%であり、好ましくは0.2〜35質量%、更に好ましくは0.3〜30質量%、より好ましくは0.4〜25質量%、最も好ましくは0.5〜20質量%である。含水率が低すぎると低活性となり、含水率が高すぎるとパウダーモルホロジーが悪化するおそれがある。含水率は、担体CW (g)を窒素気流下、120℃で10時間乾燥させ、乾燥後の質量CD (g)を測定し、[(CW −CD )/CW ]×100(質量%)により算出する。なお、CW としては通常20〜50g程度の量を用いる。担体と触媒成分の使用割合は、上述した使用割合と同様であり、担持触媒成分の調製は、上述した調製方法と同様の方法により行うことができる。
 含水担体は、予めアルミノキサン[上述した(B−1)成分]又は周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物[上述した(B−5)成分]で処理することが好ましい。アルミノキサン及びアルキル金属化合物としては、上述したものと同様のものが例示される。アルミノキサンとしては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油など上述した溶媒に可溶なアルミノキサン(メチルアルミノキサン,エチルアルミノキサン,トリイソブチルアルミノキサン及びこれらの混合アルミノキサンなど)、 1H−NMRにより測定した残留有機アルミニウム(アルミノキサン以外の有機アルミニウム化合物)が2〜30質量%のアルミノキサンが好ましい。アルキル金属化合物としては、トリメチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム及びトリメチルアルミニウ(TMA)とトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の混合物(混合モル比:TMA/TIBA=10/90〜90/10)、トリイソブチルアルミニウムと、トリメチルアルミニウム以外のトリアルキルアルミニウム(TAA)の混合物(混合モル比:TAA/TIBA=0.1/99.9〜50/50)が好ましい。
 含水担体とアルミノキサン、含水担体と周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物との使用割合は、含水担体1gに対して通常アルミノキサン又はアルキル金属化合物0.1〜100ミリモル、好ましくは0.2〜90ミリモル、より好ましくは0.4〜80ミリモル、最も好ましくは0.5〜80ミリモルである。
 含水担体をアルキル金属化合物により処理する際の条件は、処理温度−78〜100℃、好ましくは−50〜80℃、処理時間1分〜3時間、好ましくは10分〜2時間である。処理は、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などの溶媒中で含水担体を攪拌分散させながら、上記のアルミノキサンやアルキル金属化合物を滴下する方法が好ましい。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。溶媒の使用量は、含水担体1gに対して通常2〜100ミリリットルである。
 上記処理が終了した後、固体の担体成分は分離除去することが好ましい。分離は、溶媒による洗浄又はろ過により行うことができる。得られた処理担体を用いた担持触媒成分の調製は、上述した方法と同様の方法により行うことができる。
 上述した、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) 〜(6) において、水の共存下で担持触媒成分を製造する場合、具体的な製造方法は以下のとおりである。方法(1) の場合は、担体と主触媒成分のどちらか一方又は両者と水とを接触させる方法(方法(1) −1)であり、方法(2) の場合は、担体と水とを接触させて混合物を得、この混合物と助触媒成分とを混合する方法(方法(2) −1)であり、方法(3) の場合は、主触媒成分と助触媒成分のどちらか一方又は両方と水とを接触させた後、これを担体と水との混合物と接触させる方法、あるいは主触媒成分と助触媒成分のどちらか一方又は両方と水とを接触させた後、主触媒成分と助触媒成分とを接触させ、更にこの接触物と担体とを接触させる方法(方法(3) −1)であり、方法(4) の場合、担体と助触媒成分とを予め接触させた後、この接触物を、主触媒成分と水との混合物と接触させる方法、あるいは担体と助触媒成分とのどちらか一方又は両方と水とを接触させた後、担体と助触媒成分とを接触させ、更にこの接触物と主触媒成分とを接触させる方法(方法(4) −1)であり、方法(5) の場合、担体と主触媒成分どちらか一方又は両方と水とを接触させた後、この接触物と助触媒成分とを混合する方法(方法(5) −1)であり、方法(6) の場合、担体と主触媒成分と助触媒成分と水とを同時に接触させ、混合する方法(方法(6) −1)である。
 このように水の共存下で担持触媒成分を製造する場合、用いる助触媒成分としては、アルミノキサン[上述した(B−1)成分]又は周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物[上述した(B−5)成分]で処理することが好ましい。アルミノキサン及びアルキル金属化合物としては、上述したものと同様のものが例示される。アルミノキサンとしては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油など上述した溶媒に可溶なアルミノキサン(メチルアルミノキサン,エチルアルミノキサン,トリイソブチルアルミノキサン及びこれらの混合アルミノキサンなど)、 1H−NMRにより測定した残留有機アルミニウム(アルミノキサン以外の有機アルミニム化合物)が2〜50質量%のアルミノキサンが好ましい。アルキル金属化合物としては、トリメチルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム及びトリメチルアルミニウム(TMA)とトリイソブチルアルミニウム(TIBA)の混合物(混合モル比:TMA/TIBA=10/90〜90/10)、トリイソブチルアルミニウムと、トリメチルアルミニウム以外のトリアルキルアルミニウム(TAA−1)の混合物(混合モル比:TAA−1/TIBA=0.1/99.9〜50/50)、トリメチルアルミニウムと、トリイソブチルアルミニウム以外のトリアルキルアルミニウム(TAA−2)の混合物(混合モル比:TAA−2/TMA=0.1/99.9〜50/50)が好ましい。
 共存させる水の量は、通常、質量比で水/助触媒成分=1/0.5〜1/1000、好ましくは1/0.5〜1/800、より好ましくは1/0.8〜1/700である。水/助触媒成分の比が1/0.5未満では低活性となり、1/1000を超えると重合体中の残存アルミニウム成分が増加するため、品質が低下するおそれがある。
 主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) −1〜(6) −1における、処理温度、処理時間、使用溶媒、担持触媒成分の洗浄については、主触媒成分及び助触媒成分の少なくとも一方を担持させる方法(1) 〜(6) において説明したことと同様である。                          担持触媒成分からなる触媒も、担持されない触媒成分からなる触媒と同様に、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことが好適である。担持方法(1) (主触媒成分と担体とを混合する方法)の場合、助触媒成分として上述した(B−1)〜(B−5)成分を同様の使用比で用いる。すなわち、助触媒成分が(B−1)アルミノキサンである場合、担体/(B−1)は、 質量比で通常0.1/1〜2000/1、好ましくは0.5/1〜1000/1、更に好ましくは1.0/1〜500/1、より好ましくは1.2/1〜300/1、最も好ましくは1.5/1〜100/1である。
 助触媒成分が(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤である場合、担体/(B−2)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは10/1〜500/1である。
 助触媒成分が(B−3)ルイス酸である場合、担体/(B−3)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 助触媒成分が(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物である場合、担体/(B−4)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、担体/(B−5)は、質量比で通常5/1〜10000/1、好ましくは4/1〜300/1である。
 助触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、助触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。
 担持方法(2) (助触媒成分と担体とを混合する方法)の場合、担体と主触媒成分の使用割合は、担体1gに対して主触媒成分が通常5×10-8〜1.5×10-2モル、好ましくは7×10-8〜1.3×10-2モル、より好ましくは8×10-8〜1.0×10-2モル、最も好ましくは1.0×10-7〜5.0×10-3モルである。主触媒成分の使用割合が少なすぎると触媒活性が低下し、主触媒成分の使用量が多すぎるとパウダーモルホロジーの悪化をもたらす。
 担持方法(3) (主触媒成分と助触媒成分とを予め接触させた後、担体と混合する方法)、担持方法(4) (担体と助触媒成分とを予め接触させた後、主触媒成分と混合する方法)、担持方法(5) (担体と主触媒成分とを予め接触させた後、助触媒成分と混合する方法)、担持方法(6) (担体と主触媒成分と助触媒成分とを同時に接触混合する方法)の場合は、担持触媒成分をそのまま触媒として用いて予備重合触媒を製造するか、あるいは下記一般式
    Rv AlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表されるアルキルアルミニウム化合物を担持触媒と併用して予備重合触媒を製造する。アルキルアルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。なお、(B−5)成分のうちのアルキルアルミニウム化合物を助触媒成分として用いる場合、予備重合触媒の製造において上記アルキルアルミニウム化合物は使用しない。
 予備重合において用いる単量体、予備重合量、予備重合条件、予備重合触媒の取り扱いについては上述したものと同様である。すなわち、予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10ミリモル/リットル〜20モル/リットルが好ましい。
 予備重合量は、通常0.01〜200g/g触媒(触媒とは主触媒成分、助触媒成分及び担体などすべての触媒成分の和を指す)であり、好ましくは0.1〜150g/g触媒、より好ましくは0.3〜50g/g触媒である。予備重合の条件としては、温度−30〜80℃、好ましくは−10〜40℃、オレフィン類とポリエンの総和と触媒の量比が、オレフィン類とポリエンの総和を1モルとしたときに、主触媒成分が2×10-7〜2×10-2モル、好ましくは2×10-6〜1×10-2モル、より好ましくは1×10-6〜1×10-2モルの範囲、重合時間が1秒〜8時間の条件で行なうことが好ましい。
 ポリエンが、上述した、α−オレフィン/α−オレフィンを骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/スチレン骨格を分子中に有するポリエン,環状オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を有するポリエン、環状オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を有するポリエンの場合、ポリエンの添加量は、製造するグラフト共重合体1gに対して、通常1×10-7〜5.0×10-4 モルであり、好ましくは2.0×10-7〜5.0×10-4モル、より好ましくは3.0×10-7〜4.0×10-4モル、更に好ましくは4.0×10-7〜3.0×10-4モル、最も好ましくは 5.0×10-7〜2.0×10-4モルである。スチレン骨格/α−オレフィン骨格を有するポリエン、スチレン骨格/環状オレフィン骨格を有するポリエンの場合、その添加量は、製造するグラフト共重合体1gに対して、通常5.0×10-7〜5.0×10-3モルであり、好ましくは1.0×10-6〜2.5×10-3モル、より好ましくは1.5×10-6〜1.5×10-3モル、更に好ましくは2.0×10-6〜1.0×10-3モル、最も好ましくは2.5×10-6〜5.0×10-3モルである。ポリエンの添加量が少なすぎる場合は、グラフト効率の向上が見込めない。また、多すぎる場合は、ゲル発生の制御が困難となる。
 予備重合の方法としては、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれでもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
 製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
 重合工程[I]で用いる主触媒成分と、重合工程[II]で用いる主触媒成分の選択は、(1)重合工程[I]と重合工程[II]とで、単量体種が同一で立体規則性が異なる単量体種を用いる場合の選択、(2)重合工程[I]と重合工程[II]とで単量体種が異なるか、組成が異なる単量体種を用いる場合の選択がある。
 まず、単量体種が同一で立体規則性が異なる場合について説明する。本発明のオレフィン系グフト共重合体の製造方法において、主触媒成分としては、(a)アイソタクティシティーが、メソペンタッド分率[mmmm]で35〜100%の範囲の重合体を重合可能な触媒成分、(b)シンジオタクティシティーが、ラセミペンタッド分率[rrrr]で35〜100%の範囲の重合体を重合可能な触媒成分、及び(c)(a)及び(b)のどちらにも該当しないアタクチック重合体を重合可能な触媒成分から選ばれる二種以上を用いることが好ましい。
 重合工程[I]/重合工程[II]が、同一種の立体規則性でその規則性が異なる値となる触媒の組合せは、以下のとおりである。重合工程[I]の重合体/重合工程[II]の共重合体が、アイソタクチック構造/アイソタクチック構造である場合、触媒としては、[mmmm]=35〜100%の範囲に制御可能な触媒の任意な組合せであって、[mmmm]比が1.1〜2.85の範囲([mmmm]比=[mmmm]大/[mmmm]小)となるものを使用する。より好ましくは、重合工程[I]の重合体及び重合工程[II]の共重合体の立体規則性をそれぞれ[mmmm]I 及び[mmmm]IIとしたときに、[mmmm]I /[mmmm]II 及び[mmmm]II/[mmmm]I のうちの1を超える方の値が、1.2〜2.85、更に好ましくは1.3〜2.85、最も好ましくは1.4〜2.85の範囲にあることである。
 重合工程[I]の重合体/重合工程[II]の共重合体が、シンジオタクチック構造/シンジオタクチック構造である場合、[rrrr]=35〜100%の範囲に制御可能な触媒の任意な組合せであって、[rrrr]比が1.1〜2.85の範囲([rrrr]比=[rrrr]大/[rrrr]小)となるものを使用する。より好ましくは、重合工程[I]の重合体及び重合工程[II]の共重合体の立体規則性をそれぞれ[rrrr]I 及び[rrrr]IIとしたときに、[rrrr]I /[rrrr]II 及び[rrrr]II/[rrrr]I のうちの1を超える方の値が、1.2〜2.85、更に好ましくは1.3〜2.85、最も好ましくは1.4〜2.85の範囲にあることである。
 重合工程[I]の重合体/重合工程[II]の共重合体が、アタクチック構造/アタクチック構造である場合、上記以外の触媒を使用する。
 重合工程[I]の重合体と重合工程[II]の共重合体とが、異なる種類の立体規則性を発現する触媒の組合せとしては、重合工程[I]の重合体/重合工程[II]の共重合体が、アイソタクチック構造/シンジオタクチック構造、アイソタクチック構造/アタクチック構造、シンジオタクチック構造/アタクチック構造のいずれの場合も、立体規則性の範囲は上記同様の範囲であるものを使用する。
 重合工程[I]及び重合工程[II]において、単量体として炭素数3〜20のα−オレフィン、特にプロピレンを用いる場合、好ましい触媒は以下の(1)〜(5)のとおりである。(1)アイソタクチック構造を実現する触媒は、上述した触媒[5]、触媒[6]、触媒[7]、触媒[11]、触媒[15]の主触媒成分である。(2)シンジオタクチック構造を実現する触媒は、上述した触媒[8]であり、特にイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウムが好ましい。(3)アタクチック構造を実現する触媒は、上述した触媒[1]、触媒[3]、触媒[9]、触媒[12]、触媒[14]及び一般式(A−4)で表される化合物のラセミ−ジメチルシランジイルビス(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)である。(4)同一種の立体規則性であって、程度の異なる規則性を発現させる触媒の組合せとしては、(a)アイソタクチック構造同士の組合わせ、(b)シンジオタクチック構造同士の組合せ、(c)アタクチック構造同士の組合せがある。
 (a)アイソタクチック構造同士の組合せとしては、立体規則性[mmmm]の高い触媒[6]と立体規則性[mmmm]の低い触媒[7]との組合せ、触媒[15]と触媒[7]との組合せ、配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型触媒[11]同士の組合せ、一般式(A−4)と一般式(A−5)の組合せにおいて、立体規則性[mmmm]の高い触媒と立体規則性の低い触媒の組合せで、立体規則性[mmmm]が上記の好ましい範囲にあるものが挙げられる。
 二重架橋型触媒[11]同士の組合せは、立体規則性[mmmm]の高い触媒と立体規則性[mmmm]の低い触媒の組合せである。立体規則性[mmmm]の高い触媒としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなどを主触媒成分とするものが挙げられる。立体規則性[mmmm]の低い触媒としては、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−ノルマルブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−エトキシメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなどを主触媒成分とするものが挙げられる。
 一般式(A−4)と一般式(A−5)の組合せにおいて、立体規則性[mmmm]の高い触媒と立体規則性の低い触媒の組合せとしては、(1) 高立体規則性触媒である触媒[6]/一般式(A−5)の低立体規則性触媒、(2) 一般式(A−5)の高立体規則性触媒/低立体規則性触媒である触媒[7]、(3) 低立体規則性触媒である触媒[7]/一般式(A−5)の低立体規則性触媒などが挙げられる。上記(1) 及び(3) の一般式(A−5)の低立体規則性触媒としては、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−ノルマルブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−エトキシメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。上記(2) の一般式(A−5)の高立体規則性触媒としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
 (b)シンジオタクチック構造同士の組合せとしては、Cs対称構造を有する触媒[8]同士の組合せ、触媒[8]とC1 対称構造との組合せで、立体規則性[rrrr]が上記の好ましい範囲にあるものが挙げられる。触媒[8]とC1 対称構造との組合せとしては、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(インデニル)ジクロロジルコニウム(C1 対称)とイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジクロロジルコニウムまたはイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2−シクロペンタ[1]フェナンスレル)ジクロロジルコニウムの組合せなどが挙げられる。
 (c)アタクチック構造同士の組合せとしては、アタクチック構造を実現する一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5)及び(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。より好ましい組合せは、一般式(A−4)で表される化合物同士の組合せ(C2 対称構造のメソ体である触媒[9]同士の組合せが好ましく先の例示のいずれでも可)、一般式(A−5)で表される化合物同士の組合せ(配位子が(1,1' )(2,2' )の二重架橋型錯体である触媒[12]同士の組合せが好ましく先の例示のいずれでも可)、触媒[9]と触媒[12]の組合せなどが挙げられる。
 これらの組み合わせによる好ましい製造方法は、(1) 一般式(A−4)のうちのC2 対称構造のラセミ体の錯体を含む触媒[5],触媒[6],触媒[7]を用いるアイソタクティシティーの異なるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法、(2) 一般式(A−5)における配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型錯体を含む触媒[11]を用いるアイソタクティシティーの異なるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法、(3) 一般式(A−4)のうちのC2 対称構造のラセミ体の錯体を含む触媒[5],触媒[6],触媒[7]と一般式(A−5)における配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型錯体を含む触媒[11]を用いるアイソタクティシティーの異なるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法、(4) 一般式(A−4)のうちのCs対称構造の錯体を含む触媒[8]を用いるシンジオタクティシティーの異なるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法である。
(5)異なる種類の立体規則性を発現させる触媒の組合せとしては、(a)シンジオタクチック構造とアイソタクチック構造からなる組合せ、(b)シンジオタクチック構造とアタチック構造からなる組合せ、(c)アイソタクチック構造とアタクチック構造からなる組合せがある。
 (a)シンジオタクチック構造とアイソタクチック構造からなる組合せとしては、(1) Cs対称構造を有する触媒[8]とC2 対称構造のラセミ体を含む触媒[5],触媒[6],触媒[7]の組合せ,(2) Cs対称構造を有する触媒[8]と配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型錯体を含む触媒[11]との組合せ、(3) Cs対称構造を有する触媒[8]と触媒[15]の組合せなどが挙げられる。より好ましい組合せは(1) ,(2) である。
 (b)シンジオタクティク構造とアタクチック構造からなる組合せとしては、(1) Cs対称構造を有する触媒[8]と触媒[1],触媒[3],触媒[9],触媒[12],触媒[14]との組合せが挙げられる。このうち、触媒[8 ]と、触媒[1],触媒[9]又は触媒[12]の組合せが好ましい。
 (c)アイソタクチック構造とアタクチック構造からなる組合せとしては、(1) C2 対称構造のラセミ体を含む触媒[5],触媒[6]及び触媒[7]から選ばれる一種以上と、触媒[1],触媒[3],触媒[9],触媒[12]及び触媒[14]から選ばれる一種以上との組合せ、(2) 一般式(A−5)における配位子が(1,2' )(2,1' )の二重架橋型錯体を含む触媒[14]と、触媒[1],触媒[3],触媒[9],触媒[12]及び触媒[14]から選ばれる一種以上との組合せ、(3) 触媒[15]と、触媒[1],触媒[3],触媒[9],触媒[12]及び触媒[14]の一種から選ばれる一種以上との組合せが挙げられる。より好ましい組合せは(1) ,(2) であり、アタクチック構造を発現させる触媒としてより好ましいものは、触媒[1],触媒[9],触媒[12]及び触媒[14]から選ばれる錯体である。
 スチレン類を用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造において用いる触媒について、以下に説明する。
 アイソタクチック構造を実現する触媒として、触媒[17]が挙げられる。シンジオタクチック構造を実現する触媒としては、シクロペンタジエニル骨格を有するメタロセン化合物で、かつチタン錯体である化合物を含む、触媒[2],触媒[4]及び触媒[10]、一般式(A−1)で表される化合物のうちの、チタンハロゲン化物(TiCl4 ,TiBr4 ,TiI4 など)、チタンアルコキシ化合物(Ti(On Bu)n ,Ti(OEt)4 など)、配位子架橋型チタン化合物(2,2' −チオビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)チタニウムジクロリド,2,2' −メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)チタニウムジクロリドなど)を含む触媒が挙げられる。好ましい触媒は、触媒[2]である。アタクチック構造を実現する触媒としては、一般式(A−1)で表される化合物のうちの、ZrCl4 ,VOCl3 ,Nb(OEt)5 ,Cr(acac)3 ,Mo(acac)2 ,Fe(acac)3 ,Co(acac)3 (acacはアセチルアセトナート)などが挙げられる。
 触媒の組合せとしては(1)同一種の立体規則性であって、程度の異なる規則性を発現させる触媒の組合せと、(2)異なる種類の立体規則性を発現させる触媒の組合せがある。立体規則性の制御範囲が現在の触媒技術においては、未だ不十分であるため、スチレン類を用いるオレフィン系グラフト共重合体の製造においては、(2)異なる立体規則性を発現させる触媒の組合せを用いることが好ましい。
 異なる種類の立体規則性を発現させる触媒の組合せの具体例としては、(a)シンジオタクチック構造とアタクチック構造、(b)シンジオタクチック構造とアイソタクチック構造、(c)アイソタクチック構造とアタクチック構造が挙げられる。
 (a)シンジオタクチック構造とアタクチック構造からなる組合せとしては、触媒[2],触媒[4]及び触媒[10]から選ばれる一種以上と、一般式(A−1)における上記例示の一種以上を用いることが好ましい。更に好ましくは、触媒[2]と一般式(A−1)における上記例示の一種以上の組合せである。
 (b)シンジオタクチック構造とアイソタクチック構造からなる組合せとしては、触媒[2],触媒[4]及び触媒[10]から選ばれる一種以上と、触媒[17]及び一般式(A−1)における上記例示の一種以上を用いることが好ましい。一般式(A−1)の例示などとの組合せが好ましい。更に好ましくは、触媒[2]と触媒[17]の組合せである。
 (c)アイソタクチック構造とアタクチック構造からなる組合せ
 触媒[21]の一種以上と一般式(A−1)における上記例示の一種以上を用いることが好ましい。
 単量体が異なるか、組成が異なる場合の触媒の選択について、(1)エチレンを主成分(エチレン含有量40〜100モル%)とする場合、(2)プロピレンを主成分(プロピレン含有量40〜100モル%)とする場合、(3)炭素数4〜20のα−オレフィンを主成分(α−オレフィン含有量40〜100モル%)とする場合、(4)スチレン類を主成分(スチレン類含有量40〜100モル%)とする場合、(5)環状オレフィン類を主成分(環状オレフィン類含有量40〜100モル%)とする場合に分けて説明する。
 (1)エチレンを主成分とする場合であって、(1) エチレン単独又はエチレンが主成分で次に多い成分が炭素数3〜20のα−オレフィンである場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−7),(A−8),(A−9)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物、一般式(A−7)で表される化合物のうちの化合物10、一般式(A−8)で表される化合物のうちの化合物[1]〜[8]及び一般式(A−9)で表される化合物のうちの化合物[a]〜[h]から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[1]〜[3]、触媒[5]〜[9]、触媒[11]〜[15]、一般式(A−7)で表される化合物のうちの化合物10、一般式(A−8)で表される化合物のうちの化合物[1]〜[8]及び一般式(A−9)で表される化合物のうちの化合物[a]〜[h]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (1)エチレンを主成分とする場合であって、(2) エチレンが主成分で次に多い成分がスチレン類である場合及び(3) エチレンが主成分で次に多い成分が環状オレフイン類である場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、一般式(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[8]、触媒[9]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (2)プロピレンを主成分とする場合であって、(1) プロピレン単独又はプロピレンが主成分で次に多い成分がエチレン又は炭素数4〜20のα−オレフィンである場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6),(A−9)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物、及び一般式(A−9)で表される化合物のうちの化合物[a]〜[h]から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[1]〜[3]、触媒[5]〜[9]、触媒[11]〜[15]及び一般式(A−9)で表される化合物のうちの化合物[a]〜[h]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (2)プロピレンを主成分とする場合であって、(2) プロピレンが主成分で次に多い成分がスチレン類である場合及び(3) プロピレンが主成分で次に多い成分が環状オレフイン類である場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、一般式(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[8]、触媒[9]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (3)炭素数4〜20のα−オレフィンを主成分とする場合であって、(1) 炭素数4〜20のα−オレフィン単独又は炭素数4〜20のα−オレフィン間の共重合の場合、あるいは炭素数4〜20のα−オレフィンと、エチレン及びプロピレンの一種以上との共重合の場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、触媒[15]、触媒[2]、一般式(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[15]、触媒[2]、触媒[8]、触媒[9]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (3)炭素数4〜20のα−オレフィンを主成分とする場合であって、(2) 炭素数4〜20のα−オレフィンが単独又は炭素数4〜20のα−オレフィンが主成分で次に多い成分がスチレン類である場合及び(3) 炭素数4〜20のα−オレフィンが単独又は炭素数4〜20のα−オレフィンが主成分で次に多い成分が環状オレフイン類である場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、一般式(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[8]、触媒[9]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (4)スチレン類を主成分とする場合であって、(1) スチレン類単独又はスチレン類間の共重合の場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、触媒[15]、触媒[16]、触媒[2]、触媒[4]、触媒[8]〜[10]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (4)スチレン類を主成分とする場合であって、(2) スチレン類と炭素数4〜20のα−オレフィン一種以上との共重合である場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、触媒[15]、触媒[16]、触媒[2]、触媒[4]、触媒[10]、チタンハロゲン化物、チタンアルコキシ化合物、ZrCl4 、VOCl3 、Nb(OEt)3 、Cr(acac)3 、Mo(acac)2 、Fe(acac)3 及びCo(acac)3 から選ばれる二種以上の組合せである。
 (4)スチレン類を主成分とする場合であって、(3) スチレン類と環状オレフィン類一種以上との共重合である場合、通常一般式(A−1),(A−2),(A−4),(A−5),(A−6)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能である。好ましい組合せは、触媒[15]、触媒[16]、触媒[2]、触媒[4]及び触媒[10]から選ばれる二種以上の組合せである。より好ましくは、触媒[2]、触媒[4]、触媒[10]及び触媒[11]〜[14]から選ばれる二種以上の組合せである。
 (5)環状オレフィン類を主成分とする場合、通常一般式(A−1)で表される化合物から選ばれる二種以上の全ての組合せが可能であり、好ましくはNi(acac)2 である。
 重合工程[I]で製造される重合体としては、いずれもポリエンを含む下記(a)〜(d)の重合体が挙げられる。
(a)エチレン単独重合体又はエチレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(b)プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50モル%以上含有する共重合体
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜20のα−オレフィンを50モル%以上含有する共重合体
(d)環状オレフィン類の単独重合体又は共重合体[複数種の環状オレフィン類からなる共重合体、環状オレフィン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合体]
 重合体(a)の具体例としては、HDPE(高密度ポリエチレン)、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/デセン共重合体、エチレン/エイコセン共重合体、エチレン/スチレン共重合体、エチレン/p−メチルスチレン共重合体、エチレン/p−フェニルスチレン共重合体及びエチレン/ノルボルネン共重合体などのエチレン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
 重合体(b)の具体例としては、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、アタクチックポリプロピレン、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/ブテン共重合体、プロピレン/ヘキセン共重合体、プロピレン/オクテン共重合体、プロピレン/デセン共重合体、プロピレン/エイコセン共重合体、プロピレン/ノルボルネン共重合体、プロピレン/スチレン共重合体、プロピレン/p−メチルスチレン共重合体、プロピレン/p−フェニルスチレン共重合体及び低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン/エチレン等α−オレフィン共重合体などのプロピレン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
 重合体(c)の具体例としては、ポリブテン、ブテン/エチレン共重合体、ブテン/プロピレン共重合体、ブテン/デセン共重合体、ブテン/エイコセン共重合体、ブテン/スチレン共重合体、ブテン/ノルボルネン共重合体、ポリ4−メチル−ペンテン−1、及びブテンを4−メチル−ペンテン−1に変えた共重合体などのα−オレフィン系重合体にポリエンを含む共重合体が挙げられる。
 重合体(d)の具体例としては、ノルボルネン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/プロピレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/ブテン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/オクテン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/スチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/プロピレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチレン/スチレン/ポリエン共重合体、ノルボルネン/エチリデンノルボルネン/ポリエン共重合体などが挙げられる。
 上記重合体の立体規則性は、アタクチック構造、シンジオタクチック構造又はアイソタクチック構造であり、アイソタチクチック構造の場合は[mmmm]=40〜99.9%、シンジオタクチック構造の場合は[rrrr]=35〜99.9%が好ましい。
 重合工程[I]における重合は、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれの方法でもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。溶媒中で重合を行う場合、溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。
 重合は、温度−100〜300℃、好ましくは0〜200℃、圧力0.001〜10MPa、好ましくは0.05〜3MPa、重合時間10秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間の条件で行なうことが好ましい。重合工程[I]において製造する重合体の分子量は、水素添加量、重合温度、単量体の濃度、重合圧力などにより制御することができる。また、重合体の組成は、単量体の仕込み量を変更することにより行うことができ、重合体中のポリエンの含有量は、ポリエンの仕込み量を変更することにより増減することができる。
 重合工程[I]で製造される重合体において、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]で表した分子量は、通常0.05〜20デシリットル/gであり、好ましくは0.2〜18デシリットル/g、より好ましくは0.3〜16デシリットル/g、最も好ましくは0.4〜13デシリットル/gである。この極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満では、剛性や耐衝撃性などの物性が低下し、20デシリットル/gを超えると、成形加工性が低下するおそれがある。
 重合工程[I]で製造される重合体において、分子量分布に特に制限はなく、通常の範囲であればよい。好ましくは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが1.5〜25の範囲であり、1.8〜15がより好ましい。分子量分布は、通常、用いる触媒によりほぼ決定されるが、分子量分布を拡大するためには、重合工程[I]において、例えば水素濃度、重合圧力、重合温度のような、分子量を変化させる条件を変更すればよい。
 重合工程[I]で製造される重合体において、ポリエン含有量は、通常0を超え30モル%以下であり、好ましくは0を超え25モル%以下、より好ましくは0を超え20モル%以下、更に好ましくは0を超え15モル%以下、より一層好ましくは0を超え10モル%以下、更に一層好ましくは0.001〜5モル%、より好ましくは0.001〜2.5モル%、最も好ましくは0.001〜2モル%である。ポリエン含有量が0であると、本発明において目的とする樹脂相溶化剤としての効果や溶融流動性改良効果に乏しく、ポリエン含有量が30モル%を超えると、溶融流動性が劣ることとなる。
 重合工程[I]で製造される重合体は、その一部に長鎖分岐を有するものであってもよい。長鎖分岐の構造としては、分岐がポリエンにより形成されるもの、分岐がマクロモノマーにより形成されるもの、分岐がポリエンとオレフィン系マクロモノマーの両者が関与する重合反応により形成されるものが挙げられる。具体例としては、エチレンから誘導されるエチレン系マクロモノマー(マクロモノマー自体が分岐を含むマクロモノマーも包含)、プロピレンから誘導されるプロピレン系マクロモノマー(マクロモノマー自体が分岐を含むマクロモノマーも包含し、立体規則性はアタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック構造)、エチレンと、α−オレフィン、環状オレフィン、スチレン及びその誘導体から選ばれる単量体をコモノマー成分としたエチレン系共重合マクロモノマー、プロピレンと、エチレン、α−オレフィン、環状オレフィン、スチレン及びその誘導体から選ばれる単量体をコモノマー成分としたプロピレン系共重合マクロモノマー(立体規則性はアタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチック構造)、オレフィン系マクロモノマーとポリエンの両者から形成されるものが挙げられる。
 長鎖分岐の構造は、分岐長が炭素数10から主鎖と同程度の分子量までであり、分岐数が1000炭素当たり0.0001〜10のものである。長鎖分岐の構造は、重合工程[I]においてポリエンの使用量を増加させたり、マクロモノマーを生成する触媒を用いることにより制御することができる。
 長鎖分岐の検出方法としては、以下の(a)及び(b)の方法がある。
(a)溶融粘度のせん断速度依存性による評価方法
 長鎖分岐を微量でも有するポリオレフィンは、溶融粘度のせん断速度依存性が分岐を含まないポリオレフィンとは異なることを利用して長鎖分岐構造を検出する方法である。すなわち、長鎖分岐が存在すると、溶融粘度のせん断速度依存性は長鎖分岐の存在しない系と比較して大きい。従って、長鎖分岐の存在しない直鎖状重合体とグラフト重合体とを比較することで、長鎖分岐の存在を検出することができる。
 また、この方法は分子量分布の影響を受けることが知られているが、この場合は、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)から求めた分子量分布がほぼ同じで、長鎖分岐の存在しない同種、すなわち、単量体種が同一でその構成比率がほぼ同一のポリオレフィンの直鎖状重合体と比較する。また他の方法として、明らかに分岐を含まず単量体種が同一でその構成比率がほぼ同一のポリオレフィンを用い、分子量分布に対する溶融粘度のせん断速度依存性を予め明らかにし、重合工程[I]の重合体と同一の分子量分布域で比較することで長鎖分岐の存在を検出することができる。この一例として挙げられる具体的な測定方法は、以下のとおりである。
(1) 測定方法
装置: 溶融粘度測定装置 RMS800(レオメトリックス社製)
<測定条件>
温度:重合工程[I]の重合体の最高融点又は最高ガラス転移温度以上
通常重合工程[I]の重合体の最高融点より10〜60℃高い温度
通常重合工程[I]の重合体の最高ガラス転移温度より10〜200℃高い温度
歪み:15%
角速度:0.01〜300rad/s
試料形状:コーンプレート
上記装置及び条件でせん断速度(すなわち角速度ω)に対する溶融粘度を測定する。
<データ処理>
溶融粘度が10Pa・sとなる角速度をω1 、溶融粘度が103 Pa・sとなる角速度をω2 とし、ω2 /10ω1 の値を算出する。
<比較試料>
明らかに分岐を含まず、単量体種が同一でとその構成比率が重合工程[I]の重合体とほぼ同一のポリオレフィンを使用する。
(2) 長鎖分岐の検出
 ケース1:重合工程[I]の重合体の分子量分布[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]と比較試料の分子量分布の比が0.8〜1.8倍の範囲にある場合
 重合工程[I]の重合体のω2 /10ω1 の値をN1 とし、比較試料のω2 /10ω1 の値をN0 としたとき、下記式(5)
1.01≦N1 /N0 ≦80  (5)
満たす場合を長鎖分岐構造として評価する。
 ケース2:重合工程[I]の重合体の分子量分布と比較試料の分子量分布の比が上記ケース1の範囲を外れる場合
 予め、分子量分布に対するN0 の値を、分子量分布の異なる複数の比較試料を用いて決定する。すなわち、比較試料のGPCから求めた分子量分布(Mw/Mn)に対するN0 (比較試料のω2 /10ω1 の値)をプロットし、この関係から単調増加の関数N0 =f(Mw/Mn)を最小二乗法により決定する。
 この関係に重合工程[I]の重合体の分子量分布(Mw/Mn)の値から得られるN1 が上記式(5)を満たす場合をグラフト構造として評価する。
上記式(5)においては、
  1.02≦N1 /N0 ≦70が好ましく、
  1.03≦N1 /N0 ≦65がより好ましく、
  1.04≦N1 /N0 ≦60が更に好ましく、
  1.05≦N1 /N0 ≦55が最も好ましい。
 N1 /N0 が1.01未満では、長鎖分岐が少なく、本発明の効果を示さないおそれがある。N1 /N0 が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
(b)GPC−光散乱による評価方法
(1) 分岐パラメ−タ(α)の決定方法
 試料のGPC/MALLS(多角度光散乱)測定を行い、各溶出位置において、散乱光強度の傾きより<R2 1/2 (半径の2乗平均の平方根)を求め、散乱光強度の切片より重量平均分子量Mwを求め、<R2 1/2 とMwの対数をプロットし、最小2乗法によりその傾きαを計算した。
 なお、試料のGPC/MALLS測定は以下の条件で行った。
  溶媒        :1,2,4−トリクロロベンゼン
  濃度        :0.3%(w/v)
  溶解温度      :135℃
  測定装置      :Waters社製 150−C(GPC)
             Wyatt Technology社製 DAWN EOSTM
             (多角度光散乱)
  カラム       :昭和電工(株) ShodexUT806MLT
             (7.8mmφ×50cm)
  注入量       :300マイクロリットル
  流速        :1.0ミリリットル/min
  屈折率の濃度増分(dn/dc) :−0.095
(2) 長鎖分岐の評価
 上記測定を重合工程[I]の重合体及び重合工程[I]の重合体と単量体種が同一で、共重合組成の類似した(±10%程度の誤差)直鎖状の重合体の双方で実施し、α値を決定する。このα値の比[(α)L /(α)B ]が1を超える場合に、長鎖分岐が存在すると評価する。ここで、(α)L は直鎖状重合体のα値を示し、(α)B は重合工程[I]の重合体のα値を示す。
 (α)L /(α)B は、
  1.0<(α)L /(α)B ≦10が好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦8がより好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦6が更に好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦4がより一層好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦2が更に一層好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦1.5がより好ましく、
  1.0<(α)L /(α)B ≦1.3が最も好ましい。
 長鎖分岐が存在しない場合、(α)L /(α)B は1となる。(α)L /(α)B が10を超えると、ゲルが発生し、成形性が低下するおそれがある。
 重合工程[I]で用いる触媒としては、上述した非担持触媒と担持触媒があり、それぞれについて予備重合なしの触媒と予備重合触媒とがある。これらの詳細については上述したとおりである。
 重合工程[I]で用いる触媒の主触媒成分の濃度は、通常3×10-9〜1×10-3モル/リットルである。主触媒成分が、シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物[一般式(A−2),(A−3),(A−4),(A−5),(A−6)]又はキレート化合物である場合、主触媒成分の濃度は3×10-9〜5×10-4モル/リットルが好ましく、より好ましくは1×10-8〜1×10-4モル/リットルである。主触媒成分が一般式(A−1)で表される化合物である場合、主触媒成分の濃度は1×10-8〜1×10-4モル/リットルが好ましく、より好ましくは1×10-7〜5×10-4モル/リットルである。
 重合工程[I]で用いる主触媒成分と全単量体との使用割合は、主触媒成分1×10-7モルに対して、全単量体10-3〜102 モル(モル比で1:104 〜109 )が好ましく、2×10-3〜10モル(モル比で1:2×104 〜108 )がより好ましい。主触媒成分とポリエンとの使用割合は、主触媒成分1×10-7モルに対して、ポリエン10-6〜1モル(モル比で1:10〜107 )が好ましく、2×10-6〜0.5モル(モル比で1:20〜5×106 )がより好ましい。
 ポリエンが、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価なポリエン、例えば上述した一般式(i)、一般式(iii −2)、一般式(iii −3)及び一般式(ii)で表されるポリエン、具体的にはp−ジビニルベンゼンなどである場合、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常1.0×10-7〜2.0×10-4モルであり、好ましくは2.0×10-7〜1.0×10-4モル、より好ましくは3.0×10-7〜0.8×10-4モル、更に好ましくは4.0×10-7〜0.4×10-4モル、最も好ましくは5.0×10-7〜0.2×10-4モルである。
 ポリエンが、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価なポリエン、例えば上述した一般式(iii −1)、一般式(IV)、一般式(v−1)、一般式(v−2)、一般式(vi−1)、一般式(vi−2)及び一般式(ii)で表されるポリエン、具体的にはo−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びその核置換体、p−ジビニルベンゼン骨格を有し、核置換体である1−置換の置換p−ジビニルベンゼン、3−置換の置換p−ジビニルベンゼンなどである場合、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常5.0×10-7〜1.0×10-3モルであり、好ましくは1.0×10-6〜5.0×10-4モル、より好ましくは1.5×10-6〜4.0×10-4モル、更に好ましくは2.0×10-6〜2.0×10-4モル、最も好ましくは2.5×10-6〜1.0×10-4モルである。
 ただし、主触媒成分(A−1)の触媒[15]を用いる場合、ポリエンの使用量は以下のようにする。
 重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な上述のポリエンにおいては、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常0.5×10-6〜1.0×10-2モルであり、好ましくは0.7×10-6〜7.0×10-3モル、より好ましくは1.0×10-6〜6.0×10-3モル、更に好ましくは1.5×10-6〜5.0×10-3モル、最も好ましくは2.0×10-6〜4.0×10-3モルである。
 ポリエンが、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な上述のポリエンにおいては、ポリエンの使用量は、重合工程[I]で製造する重合体1g当たり、通常2.5×10-6〜5.0×10-2モルであり、好ましくは3.5×10-6〜3.5×10-2モル、より好ましくは5.0×10-6〜3.0×10-2モル、更に好ましくは7.5×10-6〜2.5×10-2モル、最も好ましくは1.0×10-5〜2.0×10-2モルである。
 ポリエンの使用量が少なすぎると、重合工程[II]におけるグラフト反応の開始点のポリエン濃度が低くなり、ポリエンの使用量が多すぎると、ゲル発生の抑制が困難となる。本発明においては、一般式(i)、一般式(ii)及び一般式(iv)のものが好ましい。
 重合工程[I]において製造された重合体は、洗浄工程において洗浄される。洗浄とは、重合工程[I]の反応混合物中に含まれる未反応ポリエンを反応系外に除去するすべての操作をいい、具体的な洗浄方法には、(1) 溶媒を用いて、重合工程[I]で発生した反応混合物の中から未反応ポリエンを洗浄により除去する方法と、(2) 乾燥により未反応のポリエン成分を除去する方法がある。洗浄方法(1) 、(2) ともに、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを用い、不活性雰囲気下でポリエンを除去することが好ましい。洗浄方法(1) で用いる溶媒としては、重合工程[I]において例示したものと同様のものを用いることができ、重合工程[I]において用いたものと同一の溶媒を用いることが好ましい。
 洗浄方法(1) の具体的な方法について、重合工程[I]における重合方法が、スラリー重合、バルク重合、気相重合の場合について説明する。スラリー重合の場合は、少なくとも下記ステップ1〜3を含む洗浄方法である。
 ステップ1は、重合終了後、重合溶媒及びこの溶媒に溶解している成分と固体成分とを分離する工程である。この分離方法としては、攪拌を停止して静置し、下層に固体成分を沈殿させた後、上層の溶媒成分を抜き出す方法、反応混合物を遠心分離装置に投入し、溶媒成分と固体成分を分離する方法などがある。分離は、温度−30〜80℃で行う。分離に際しては、固体成分の含液率を極力低下させることが望ましい。
 ステップ2は、上述した溶媒により固体成分を洗浄する工程である。洗浄は、攪拌により行うことができ、攪拌洗浄時間10秒〜5時間、洗浄温度−30〜80℃で洗浄を行う。溶媒の使用量は、固体成分100gに対して100〜2000ミリリットルであり、溶媒は、上述した一般式(Rv AlQ3-v )で表されるアルキルアルミニウム化合物を濃度0.0005〜0.1質量%(5〜1000質量ppm)で含むものが好ましく、より好ましくは0.0008〜0.05質量%(8〜500質量ppm)、最も好ましくは0.0015〜0.03質量%(15〜300質量ppm)である。アルキルアルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
 ステップ3は、洗浄溶媒を回収する工程であり、上記ステップ1と同様にして行うことができる。なお、洗浄を繰り返す場合は、ステップ2とステップ3を繰り返せばよい。
 重合工程[I]における重合方法がバルク重合の場合、液相部が常温常圧下で気体であるか液体であるかにより異なる。液相部が常温常圧下で気体である場合、ステップ1は、脱圧により液相部を除去する工程である。液相部が常温常圧下で液体である場合、ステップ1は、上記スラリー重合におけるステップ1と同様の工程である。ステップ2及びステップ3は、上記スラリー重合におけるステップ2及びステップ3と同様である。
 重合工程[I]における重合方法が気相重合の場合、スラリー重合におけるステップ2とステップ3により洗浄を行う。
 洗浄方法(2) (乾燥により未反応のポリエン成分を除去する方法)には、二つの方法があり、一つは、加熱又は減圧のどちらか一方又は両者を併用する方法である。この方法による洗浄は、通常50℃〜重合工程[I]の重合体の融点未満の温度、1.33×10-2〜1.33×104 Paの減圧下で行う。洗浄方法(2) のもう一つの方法は、窒素ガスなどの不活性ガス気流下で未反応のポリエン成分を除去する方法である。この方法による洗浄は、不活性ガスを温度50〜200℃に加熱し、この不活性ガス中で重合工程[I]の重合体を攪拌するか、あるいは流動状態の重合工程[I]の重合体に、温度50〜200℃に加熱した不活性ガスを流通し、乾燥させることにより行う。
 洗浄方法(1) により除去されたポリエンの回収率は、以下のようにして求めることができる。ある洗浄工程nにおける全溶媒量An (単位:リットル)のうち、回収した溶媒量をBn (単位:リットル)としたとき、ポリエンの回収率をBn /An で表し、ポリエンの未回収率を[1−(Bn /An )]で表す。洗浄工程nの次の洗浄工程(n+1)では、ポリエンの回収率はBn+1 /An+1 となり、洗浄工程(n+1)におけるポリエンの回収率は[1−(Bn /An )]×(Bn+1 /An+1 )となる。洗浄工程を複数回繰り返す場合は、これらの洗浄工程毎のポリエンの回収率の和が全ポリエン回収率となる。ここで、n=0は、重合工程[I]の終了後に最初に実施する未反応ポリエンの抜き出し回収操作に相当し、通常n=0〜5である。
 洗浄方法(2) により除去されたポリエンの回収率は、コンデンセートとして回収したポリエン質量と、共重合に関与しなかったポリエン質量との比として求められる。
 本発明において、ポリエンの回収率は70質量%以上であることが好ましく、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは78質量%以上、最も好ましくは80質量%以上である。ポリエンの回収率が70質量%未満であると、重合工程[II]においてゲル成分が多発し、製造されるグラフト共重合体の物性や加工性能が低下するおそれがある。
 重合工程[II]は、重合工程[I]で得られた、ポリエン残基を含む重合体にグラフト重合を実施する重合工程である。重合工程[II]で用いる単量体としては、重合工程[I]と同様にエチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体であり、重合工程[I]と同種の単量体を用いても異種の単量体を用いてもよい。
 重合工程[II]においては、主触媒成分又は助触媒成分を添加する。添加する触媒成分が主触媒成分である場合、重合工程[I]で用いた主触媒成分と異なるものであればよく、特に制限されない。好ましくは、上述した(1)同一種の立体規則性であって、程度の異なる規則性を発現させる触媒の組合せ、(2)異なる種類の立体規則性を発現させる触媒の組合せと同様にして、重合工程[I]で用いた主触媒成分及び助触媒成分とは異なる触媒を選択する。主触媒成分と助触媒成分の使用比は、重合工程[I]と同様である。ただし、助触媒成分は重合工程[I]の仕込み量を基準とする。
 重合工程[II]において添加する触媒成分が助触媒である場合、重合工程[I]で用いた助触媒成分と異なるものであればよく、特に制限されない。好ましくは、重合工程[I]で用いた助触媒成分が(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物である場合、重合工程[II]においては(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物を添加することが好ましい。主触媒成分と助触媒成分の使用比は、重合工程[I]と同様である。ただし、主触媒成分は重合工程[I]の仕込み量を基準とする。
 重合工程[II]における触媒成分の添加は、洗浄工程の終了後に行う。添加は、重合工程[I]の重合体を攪拌しながら行うことが好ましい。触媒成分は均一溶液であることが好ましく、重合工程[I]で用いた溶媒にも可溶であることが好ましい。添加する触媒成分の濃度は、主触媒成分の場合は、0.01マイクロモル/リットル〜10ミリモル/リットルが好ましく、10マイクロモル/リットル〜5ミリモル/リットルがより好ましい。助触媒成分の場合は、0.1〜10モル/リットルが好ましく、0.5〜5モル/リットルがより好ましい。
 重合工程[II]で製造される重合連鎖としては、下記(a)〜(e)の重合連鎖が挙げられる。
(a)エチレン単独重合体又はエチレン単位を50モル%以上含有する重合連鎖
(b)プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50モル%以上含有する重合連鎖
(c)炭素数4〜20のα−オレフィンの単独重合体又は炭素数4〜20のα−オレフィンを50モル%以上含有する重合連鎖
(d)スチレン類の単独重合連鎖又は共重合連鎖[複数種のスチレン類からなる共重合連鎖、スチレン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合連鎖]
(e)環状オレフィン類の単独重合連鎖又は共重合連鎖[複数種の環状オレフィン類からなる共重合連鎖、環状オレフィン類(≧50モル%)と他の単量体からなる共重合連鎖]
 重合連鎖(a)の具体例としては、HDPE(高密度ポリエチレン)連鎖、エチレン/プロピレン共重合連鎖、エチレン/ブテン共重合連鎖、エチレン/ヘキセン共重合連鎖、エチレン/オクテン共重合連鎖、エチレン/デセン共重合連鎖、エチレン/エイコセン共重合連鎖、エチレン/スチレン共重合連鎖、エチレン/p−メチルスチレン共重合連鎖、エチレン/p−フェニルスチレン共重合連鎖及びエチレン/ノルボルネン共重合連鎖などが挙げられる。
 重合連鎖(b)の具体例としては、アイソタクチックポリプロピレン連鎖、シンジオタクチックポリプロピレン連鎖、アタクチックポリプロピレン連鎖、低立体規則性アイソタクチックポリプロピレン連鎖、プロピレン/エチレン共重合連鎖、プロピレン/ブテン共重合連鎖、プロピレン/ヘキセン共重合連鎖、プロピレン/オクテン共重合連鎖、プロピレン/デセン共重合連鎖、プロピレン/エイコセン共重合連鎖、プロピレン/ノルボルネン共重合連鎖、プロピレン/スチレン共重合連鎖、プロピレン/p−メチルスチレン共重合連鎖、プロピレン/p−フェニルスチレン共重合連鎖及び低立体規則性アイソタクチック/ポリプロピレン/エチレン等α−オレフィン連鎖などが挙げられる。
 重合連鎖(c)の具体例としては、ポリブテン連鎖、ブテン/エチレン共重合連鎖、ブテン/プロピレン共重合連鎖、ブテン/デセン共重合連鎖、ブテン/エイコセン共重合連鎖、ブテン/スチレン共重合連鎖、ブテン/ノルボルネン共重合連鎖、ポリ4−メチル−ペンテン−1、及びブテンを4−メチル−ペンテン−1に変えた共重合連鎖などが挙げられる。
 重合連鎖(d)の具体例としては、アイソタクチックポリスチレン連鎖、シンジオタクチックポリスチレン連鎖、アタクチックポリスチレン連鎖、スチレン/エチレン共重合連鎖、スチレン/プロピレン共重合連鎖、スチレン/オクテン共重合連鎖、スチレン/デセン共重合連鎖、スチレン/エイコセン共重合連鎖、スチレン/ノルボルネン共重合連鎖及びスチレン/p−メチルスチレン共重合連鎖などが挙げられる。
 重合連鎖(e)の具体例としては、ノルボルネン重合連鎖、ノルボルネン/エチレン共重合連鎖、ノルボルネン/プロピレン共重合連鎖、ノルボルネン/ブテン共重合連鎖、ノルボルネン/オクテン共重合連鎖、ノルボルネン/スチレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチレン/プロピレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチレン/スチレン共重合連鎖、ノルボルネン/エチリデンノルボルネン共重合連鎖などが挙げられる。
 重合工程[I]、洗浄工程及び重合工程[II]を経て得られるグラフト重合体としては、上述した重合工程[I]で製造される重合体(a)〜(d)と重合工程[II]で製造される重合連鎖(a)〜(e)との組み合わせのすべてが挙げられる。具体的には、以下のものが例示される。なお、以下の例示において、polyは重合体、−g−はグラフト構造、COは共重合体、HDPEは高密度ポリエチレン、IPPはアイソタクチックポリプロピレン、APPはアタクチックポリプロピレン、SPPはシンジオタクチックポリプロピレン、IPSはアイソタクチックポリスチレン、APSはアタクチックポリスチレン、SPSはシンジオタクチックポリスチレンを示す。
 エチレン系グラフト重合体としては、例えば、HDPE−g−HDPE,HDPE−g−poly(エチレン−CO−プロピレン),HDPE−g−poly(プロピレン−CO−1−ブテン),HDPE−g−poly(エチレン−CO−1−オクテン),HDPE−g−poly(エチレン−CO−ノルボルネン),HDPE−g−poly(スチレン),HDPE−g−poly(1−ブテン);これらのHDPE部位を、poly(エチレン−CO−プロピレン),poly(エチレン−CO−1−オクテン),poly(エチレン−CO−1−ノルボルネン)などに置き換えたものが挙げられる。
 プロピレン系グラフト重合体としては、例えば、PP−g−PP,PP−g−poly(プロピレン−CO−エチレン),PP−g−poly(プロピレン−CO−1−ブテン),PP−g−poly(プロピレン−CO−ノルボルネン),PP−g−poly(1−ブテン),PP−g−poly(1−オクテン),PP−g−poly(エチレン−CO−1−ブテン),PP−g−poly(エチレン−CO−1−オクテン),PP−g−poly(スチレン);これらのPP部位を、poly(プロピレン−CO−エチレン),poly(プロピレン−CO−1−ブテン),poly(プロピレン−CO−ノルボルネン)などに置き換えたものが挙げられる。
 環状オレフィン系グラフト重合体としては、例えば、poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン),poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン−CO−スチレン),poly(ノルボルネン)−g−poly(ノルボルネン−CO−エチレン);これらのpoly(ノルボルネン)部位を、poly(ノルボルネン−CO−エチレン)などに置き換えたものが挙げられ。
 また、同一単量体で立体規則性の異なるグラフト重合体としては、IPP−g−APP,IPP−g−SPP,SPP−g−APPなどが挙げられる。立体規則性と単量体種を異にするグラフト重合体としては、IPP−g−SPS,IPP−g−SPS,IPP−g−APS,SPP−g−SPSなどが挙げられる。
 重合工程[II]における重合は、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれの方法でもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。溶媒中で重合を行う場合、溶媒としては、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素、灯油などが挙げられる。脂肪族炭化水素としては、プロパン,ブタン,ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン,デカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素としては、ベンゼン,トルエン,キシレン,異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。
 重合は、温度−100〜300℃、好ましくは−50〜250℃、圧力0.001〜10MPa、好ましくは0.01〜5MPa、重合時間10秒〜10時間、好ましくは1分〜5時間、重合工程[I]に対する重合量(重合工程[I]で生成したポリマー質量に対する重合工程[II]で生成したポリマー質量の割合を百分率で表した値)が5〜600%、好ましくは6〜500%、より好ましくは7〜450%、更に好ましくは8〜400%、一層好ましくは9〜350%、最も好ましくは10〜300%の条件で行なうことが好ましい。重合工程[II]において製造する重合体の分子量は、水素添加量、重合温度、単量体の濃度、重合圧力などにより制御することができる。また、重合体の組成は、単量体の仕込み量を変更することにより行うことができる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、少量のポリエンを添加することができる。
 重合工程[II]で製造される重合体において、135℃デカリン溶媒中で測定した極限粘度[η]で表した分子量は、通常0.05〜20デシリットル/gであり、好ましくは0.2〜18デシリットル/g、より好ましくは0.3〜16デシリットル/g、最も好ましくは0.4〜13デシリットル/gである。この極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満では、剛性や耐衝撃性などの物性が低下し、20デシリットル/gを超えると、成形加工性が低下するおそれがある。
 重合工程[II]で製造される重合体において、分子量分布に特に制限はなく、通常の範囲であればよい。好ましくは、GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法で測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比Mw/Mnが1.5〜25の範囲であり、1.7〜20がより好ましい。分子量分布は、通常、用いる触媒によりほぼ決定されるが、分子量分布を拡大するためには、重合工程[II]において、例えば、温度、圧力、重合工程[II]でのポリマー生成量のように分子量を変化させる条件を変更すればよい。
 重合工程[II]で製造される重合体において、ポリエン含有量は、通常0を超え25モル%以下であり、好ましくは0を超え23モル%以下、より好ましくは0を超え18モル%以下、更に好ましくは0を超え14モル%以下、より一層好ましくは0を超え9モル%以下、更に一層好ましくは0.001〜4.8モル%、より好ましくは0.001〜2.3モル%、最も好ましくは0.001〜1.8モル%である。ポリエン含有量が0であると、本発明において目的とする樹脂相溶化剤としての効果や溶融流動性改良効果に乏しく、ポリエン含有量が25モル%を超えると、溶融流動性が劣ることとなる。
 重合工程[II]で製造される重合体は、以下の長鎖分岐(1) 〜(3) を有する。長鎖分岐(1) は、重合工程[I]の重合体のポリエン残基に重合工程[II]で用いる単量体がグラフト重合することにより生成した長鎖分岐であり、長鎖分岐(2) は、重合工程[I]で生成したモクロモノマーと重合工程[II]で用いる単量体との共重合で生成した長鎖分岐であり、長鎖分岐(3) は、重合工程[II]で生成したマクロモノマーと重合工程[I]で生成したポリエン共重合体との反応からなる長鎖分岐である。重合工程[II]で製造される重合体は、重合工程[I]で生成する長鎖分岐(4) 〜(6) を、その一部に有するものであってもよい。すなわち、(4) 分岐がポリエンにより形成されるもの、(5) 分岐がマクロモノマーにより形成されるもの、(6) 分岐がポリエンとオレフィン系マクロモノマーの両者が関与する重合反応により形成される長鎖分岐を有するものであってもよい。
 長鎖分岐の検出方法としては、(a)溶融粘度のせん断速度依存性による評価方法及び(b)GPC−光散乱による評価方法の方法がある。これらの方法の詳細については、重合工程[I]において説明したとおりである。
 溶融粘度のせん断速度依存性による評価方法において、下記式(5)
  1.05≦N1 /N0 ≦80  (5)
満たす場合を長鎖分岐構造として評価する。
上記式(5)においては、
  1.07≦N1 /N0 ≦70が好ましく、
  1.08≦N1 /N0 ≦65がより好ましく、
  1.09≦N1 /N0 ≦60が更に好ましく、
  1.10≦N1 /N0 ≦55が最も好ましい。
 N1 /N0 が1.05未満では長鎖分岐の数及び長さが不足するため、成形性改良効果や相溶化機能が低下するおそれがある。N1 /N0 が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
 GPC−光散乱による評価方法において、α値の比[(α)L /(α)B ]が1以上の場合に、長鎖分岐が存在すると評価する。ここで、(α)L は直鎖状重合体のα値を示し、(α)B は重合工程[III]の重合体のα値を示す。
 (α)L /(α)B は、
  1.05≦(α)L /(α)B ≦80が好ましく、
  1.06≦(α)L /(α)B ≦70がより好ましく、
  1.07≦(α)L /(α)B ≦60が更に好ましく、
  1.08≦(α)L /(α)B ≦50がより一層好ましく、
  1.09≦(α)L /(α)B ≦40が更に一層好ましく、
  1.10≦(α)L /(α)B ≦30がより好ましく、
  1.11≦(α)L /(α)B ≦20が最も好ましい。
 (α)L /(α)B が1.05未満では長鎖分岐の数及び長さが不足するため、成形性改良効果や相溶化機能が低下するおそれがある。(α)L /(α)B が80を超えると、ゲル等が発生し、成形性が低下するおそれがある。
 本発明において、ゲル成分は、熱パラキシレン不溶部であり、その測定方法については後述する。重合工程[II]で得られた重合体において、ゲル成分の含有量は通常30質量%以下であるが、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下、最も好ましくは12質量%以下である。
 次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。なお、オレフィン系グラフト共重合体等は、以下の方法により評価した。
(1)洗浄率(ポリエンの回収率)
 明細書本文に記載の方法により求めた。すなわち、ある洗浄工程nにおける全溶媒量An (単位:リットル)のうち、回収した溶媒量をBn (単位:リットル)としたとき、ポリエンの回収率をBn /An で表し、ポリエンの未回収率を[1−(Bn /An )]で表す。洗浄工程nの次の洗浄工程(n+1)では、ポリエンの回収率はBn+1 /An+1 となり、洗浄工程(n+1)におけるポリエンの回収率は[1−(Bn /An )]×(Bn+1 /An+1 )となる。洗浄工程を複数回繰り返す場合は、これらの洗浄工程毎のポリエンの回収率の和が全ポリエン回収率となる。実施例1において、nは4である。
(2)重合工程[I]と重合工程[II]の重合比
 重合工程[I],[II]のエチレン又はプロピレン吸収量から、重合工程[I]/重合工程[II]を算出した。エチレン又はプロピレン吸収量は、マスフローセンサーを用い、予め所定の重合温度で所定の溶媒量に飽和吸収されるエチレン又はプロピレンを差し引いた、実際の重合反応により消費されたエチレン又はプロピレンを計測することにより求めた。
(3)極限粘度[η] の測定
 (株) 離合社のVMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中135℃において測定した。
(4)分子量分布(Mw/Mn)
 GPC(ゲルパーミエイションクロマトグラフ)法により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比として表した。
(5)ゲル分率
 攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコに、ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03μm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、重合工程[II]で得られた重合体50mgを入れ、攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700ミリリットルのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、オレフィン系グラフト共重合体を溶解させた。パラキシレン不溶部が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することによりパラキシレン不溶部を求めた。熱パラキシレン不溶部として定義するゲル分率(質量%)は、以下の式により算出した。
 ゲル分率=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
実施例1
(1)アルミニウムオキシ化合物の調製
 メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.27モル/リットル,アルベマール社製)1000ミリリットルを減圧下(約2660Pa)、60℃で溶媒を留去した。その後、75℃で減圧下(約266Pa)で4時間保持した後、室温まで降温し、ドライアップしたメチルアルミノキサンを得た。
 このドライアップメチルアルミノキサンに脱水トルエンを投入し、再溶解させ溶媒を留去する前の容量にもどし、 1H−NMRによりメチルアルミノキサン中のトリメチルアルミニウムを定量した結果2.3質量%であった。この溶液を48時間静置し、不溶成分を沈降させた。溶液部分をG5ガラスフィルターでろ過し、トルエン可溶のメチルアルミノキサンを得た。一部サンプリングし、減圧下で固体成分を分離し、その質量から算出したトルエン可溶メチルアルミノキサンの濃度は0.80モル/リットルであった。
(2)担体の調製と担持メチルアルミノキサンの調製
 SiO2 (富士シリシア(株)製,平均粒子径50μm)70gを140℃で15時間、微量窒素気流下で乾燥させた。乾燥SiO2 を9.4g秤量し、脱水トルエン200ミリリットルに投入した。窒素雰囲気下、攪拌しながら0℃に温度を一定とした後、上記(1)で調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液196ミリリットルを40分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げこの状態で30分間反応させ、更に65℃で3時間反応させた。反応終了後、60℃に保持し、固体成分を脱水トルエン200ミリリットルで2回、脱水ヘプタン200ミリリットルで2回洗浄し、50℃で減圧乾燥して17.1gのSiO2 担持メチルアルミノキサンを得た。再度、脱水ヘプタンを投入して、0.5モル/リットルの濃度に調整した。
(3)メタロセン担持触媒の調製
 50ミリリットルのシュレンク管を乾燥し、窒素置換した後、乾燥ヘプタン10ミリリットル、上記(2)のSiO2 担持メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2ミリモル加え、攪拌を開始した。これに、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2 −(2−Me−4−Ph−Ind)2 ZrCl2 ]をジルコニウム原子換算で2マイクロモルを含むトルエン溶液1ミリリットルをゆっくり添加し、25℃で10分間反応させた。
(4)重合体の製造
 容量2リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記(3)で調製した担持触媒を全量投入した。
 触媒の活性化のため25℃、プロピレン圧0.3MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のプロピレンを除去し、1,9−デカジエン0.5ミリモルを含むヘプタン溶液2ミリリットルを添加した。水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を60℃に設定し、プロピレンを0.6MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、30分間重合を行い、プロピレン/1,9−デカジエン共重合体を製造した[重合工程[I]]。
 反応終了後、室温まで冷却し、脱圧し、攪拌を停止し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.008質量%(80質量ppm)ヘプタン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を4回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定した洗浄率(ポリエンの回収率)は99.5%であった[洗浄工程]。
 上記溶液を25℃で攪拌し、これに、イソプロピルシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2 ]を5マイクロモル含むトルエン45ミリリットルを5分間かけて滴下し、滴下が終了した後、このままの状態で20分間攪拌を行った。これにノルボルネン400ミリモルを投入し、重合温度を90℃まで昇温し、エチレンを0.7MPa・Gの圧力で一定となるように3時間導入し続けた[重合工程[II]]。
 反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノールに投入し、ろ過により重合体を分離した。この重合体を風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト共重合体72gを得た。グラフト共重合の上記の評価法による物性評価結果を表−1に示す。
 また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位及びノルボルネン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例2
 容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを投入し、10分間室温で攪拌した。これに実施例1−(3)と同様にして調製した担持触媒を全量投入した。
 触媒の活性化のため25℃、エチレン圧0.2MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のエチレンを除去し、1,9−デカジエン0.5ミリモルを含むヘプタン溶液2ミリリットルを添加した。水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を60℃に設定し、エチレンを0.7MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、30分間重合を行い、エチレン/1,9−デカジエン共重合体を製造した[重合工程[I]]。
 反応終了後、室温まで冷却し、脱圧し、攪拌を停止し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.008質量%(80質量ppm)ヘプタン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を4回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定した洗浄率(ポリエンの回収率)は99.1%であった[洗浄工程]。
 上記溶液を25℃で攪拌し、これに、イソプロピルシクロペンタジエニルフルオレニルジルコニウムジクロリド[iPr(Cp)(Flu)ZrCl2 ]を5マイクロモル含むトルエン45ミリリットルを5分間かけて滴下し、滴下が終了した後、このままの状態で20分間攪拌を行った。これにノルボルネン400ミリモルを投入し、重合温度を90℃まで昇温し、エチレンを0.7MPa・Gの圧力で一定となるように90分間導入し続けた[重合工程[II]]。
 反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノールに投入し、ろ過により重合体を分離した。この重合体を風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト共重合体91.2gを得た。グラフト共重合体の上記の評価法による物性評価結果を表−1に示す。
 また、結晶化分別により、結晶性ポリエチレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、ノルボルネン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例3
(1)触媒成分の調製
 窒素で置換した内容積200ミリリットルの攪拌装置付き丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80ミリリットルを投入して懸濁状態とし、次いでこの懸濁液にTiCl4 20ミリリットルを加え、90℃に昇温してn−ブチルフタレート27ミリリットルを加え、更に115℃に昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100ミリリットルで2回洗浄し、新たにTiCl4 20ミリリットル及びトルエン80ミリリットルを加え、115℃において攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、反応生成物を40℃のn−ヘプタン200ミリで10回洗浄した。得られた固体触媒成分を中のチタン含有率を測定したところ、2.61質量%であった。
(2)グラフト共重合体の製造
 内容積5リットルの攪拌装置付きステンレス鋼製耐圧オートクレーブを十分に乾燥させた後、窒素気流下でヘプタン2リットル、トリイソブチルアルミニウム2.86ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.24ミリモル及びp−3−ブテニルスチレン10ミリリットルを投入し、5分間攪拌した。
 これに上記(1)で調製したチタン含有固体触媒成分をチタン原子換算で0.024ミリモル投入し、水素を0.12MPa・Gで導入し、80℃まで昇温した。これにプロピレンを0.7MPa・Gとなるように圧力を調節しながら導入し、40分間重合を行った[重合工程[I]]。
 反応終了後、冷却し、脱圧し、攪拌を停止した。重合体が沈降してから、ディップチューブで液部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.009質量%(90質量ppm)ヘプタン溶液1.5リットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は94.5%であった[洗浄工程]。
 次に、メチルアルミノキサン30ミリモル(1.27モル/リットルのトルエン溶液,アルベマール社製)を投入し、25℃で20分間室温で攪拌した。これに スチレン500ミリリットルを投入し、25℃に保ったまま24時間重合を実施した[重合工程[II]]。
 反応終了後、反応混合物を多量のメタノールに投入し、洗浄、ろ過によりグラフト共重合体を分離した。更に風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト共重合体325gを得た。グラフト共重合体の上記の評価法による物性評価結果を表−1に示す。
 また、このグラフト共重合体の一部をソックスレー抽出器にかけ、8時間メチルエチルケトンで抽出することにより、このグラフト共重合体からアタクチックポリスチレンを除去する操作を行った。ソックスレー抽出器からグラフト共重合体を回収し、乾燥させてサンプルとし、このサンプルをDSC(示差走査熱量)分析したところ、シンジオタクチックポリスチレンに基づく270℃の融点が認められた。
実施例4
(1)メタロセン担持触媒の調製
 実施例1−(3)において、SiO2 担持メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で3.5ミリモルに変更し、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2 −(2−Me−4−Ph−Ind)2 ZrCl2 ]をジルコニウム原子換算で1.75マイクロモルに変更した以外は、実施例1−(3)と同様にしてメタロセン担持触媒を調製した。
(2)グラフト共重合体の製造
 容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン700ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.75ミリモルを投入し、10分間室温において攪拌した。これに実施例1−(3)と同様にして調製した担持触媒を全量投入した。
 触媒の活性化のため25℃、プロピレン圧0.3MPaで30分間予備重合を実施した後、脱圧、窒素ブローにより未反応のプロピレンを除去し、p−3−ブテニルスチレン1.75ミリモルを含むヘプタン溶液2ミリリットルを添加した。水素を9ミリリットル注入し、温度を60℃に設定し、プロピレンを0.65MPa・Gで圧力が一定となるように導入し重合を開始した。温度を制御しながら60分間かけてプロピレン/p−3−ブテニルスチレン共重合体を製造した[重合工程[I]]。
 反応終了後、脱圧し、攪拌を停止し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.008質量%(80質量ppm)ヘプタン溶液800ミリリットルを投入し、40℃で10分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、洗浄液部を回収するという洗浄を4回繰り返した後、上記と同様のヘプタン溶液を投入して洗浄工程を終了し、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定した洗浄率(ポリエンの回収率)は99.0%であった[洗浄工程]。
 上記溶液を25℃で攪拌し、これに、(テトラヒドロフルオレニル)チタントリメトキシドを80マイクロモル含むトルエン50ミリリットルを5分間かけて滴下し、滴下が終了した後、このままの状態で20分間攪拌を行った。これにスチレン200ミリリットルを投入し、重合温度を60℃まで昇温し、8時間重合を実施した[重合工程[II]]。
 反応終了後、冷却し、反応混合物を多量のメタノールに投入し、ろ過により重合体を分離した。この重合体を風乾した後、80℃で十分に減圧乾燥させ、グラフト共重合体(IPP−g−SPS)77gを得た。グラフト共重合体の上記の評価法による物性評価結果を表−1に示す。
比較例1
 実施例1−(4)において、重合工程[I]が終了した後、脱圧し、洗浄工程を実施しないで、重合工程[II]を実施した。物性評価結果を表−1に示す。
比較例2
 実施例3−(2)において、重合工程[II]でメチルアルミノキサンを用いないでグラフト共重合体を製造した。物性評価結果を表−1に示す。
比較例3
 実施例4−(2)において、重合工程[II]で(テトラヒドロフルオレニル)チタントリメトキシドを用いないでグラフト共重合体を製造した。物性評価結果を表−1に示す。
Figure 2004143436
参考例
(1)樹脂組成物の製造
 ポリプロピレン(出光石油化学(株)製,F704NP)33.75g、シンジオタクチックポリスチレン(出光石油化学(株)製,130ZC)9g、実施例4で製造したIPP−g−SPS2.25g及びこれらの合計量の0.01質量%の酸化防止剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,イルガノックス1010)を、十分に混合した。この混合物を、ラボプラストミル(東洋精機製)に投入し、温度290℃、回転数30rpmで1時間溶融混練を行った。次いで、溶融混練物を取り出し、冷却固化し、粉砕機により粒子状とした。
 この粒子状物を、熱プレス機を用いてプレスし、6×6×0.02cmのフィルムを得た。このフィルムを、DIN−53504打ち抜き機具を用いて打ち抜き、引張り試験用試験片を作製した。同様にして10×10×0.2cmの成形体を作製し、同様に打ち抜いてアイゾット試験用試験片を作製した。物性評価は以下のようにして行った。結果を表−2に示す。
(1) 引張強度及び破断強度
 小型材料試験機(レオメトリックス社製,Minimat2000)を用い、チャック間距離10mm、幅2mmの形状で、引張速度100mm/分にて応力歪み曲線を測定した。
(2) 引張弾性率
 DMTA(Dynamic Mechanical Termal Analyzer)(レオメトリックス社製)を用い、室温にて、周波数10Hzで測定した。
(3) アイゾット衝撃強度
 JIS K7110に準拠し、23℃にて、ノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
比較参考例
 参考例において、ポリプロピレン(出光石油化学(株)製,F704NP)の使用量を36gに変更し、IPP−g−SPSを用いない以外は参考例と同様にして試験片を作製し、同様の物性評価を行った。結果を表−2に示す。
 参考例と比較参考例とを比較すると、参考例の樹脂組成物は、高弾性でかつ破断伸びの向上が認められる。すなわち、相溶化剤としての効果が現れている。
Figure 2004143436
実施例5
(1)チタン触媒成分の調製
 三塩化チタン(東ソー・アクゾ社製)を窒素雰囲気下で2.0g採取し、ヘプタン200ミリリットルに窒素雰囲気下で懸濁させ、チタン触媒成分を調製した。
(2)重合体の製造
 容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン5ミリモル及びジエチルアルミニウムモノクロリド(DEAC)6ミリモルを含むヘプタン溶液10ミリリットルを添加し、室温で5分間攪拌した。これに上記(1)で調製した、三塩化チタン0.17gを含む17ミリリットルのヘプタン懸濁液を添加した。
 水素を0.02MPa・Gで導入し、温度を70℃に昇温した後、プロピレンを0.3MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、2時間重合を行い、プロピレン/5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン共重合体を製造した[重合工程[I]]。
 反応終了後、室温まで冷却し、脱圧した後、攪拌を停止し、静置し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.003質量%(30質量ppm)脱水トルエン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で5分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、静置後、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は99.0%であった[洗浄工程]。
 引き続き、実施例1−(1)で調製した、トルエン可溶メチルアルミノキサン10ミリモルを含むトルエン溶液12.5ミリリットルを投入し、室温で5分間攪拌した。温度を50℃に昇温した後、エチレンを5ノルマルリットル/分、プロピレンを1.5ノルマルリットル/分で供給し、全圧を0.2MPaに制御しながら、2時間重合を実施した[重合工程[II]]。
 反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノール中に投入し、ろ過により重合体を分離し、更にメタノールで2回洗浄し、風乾した後80℃で減圧乾燥を12時間行い、共重合体65gを得た。この共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−3及び表−4に示す。
 また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例6〜9
 実施例5において重合条件を表−3に示すように変更した以外は実施例5と同様にしてグラフト共重合体を製造した。これらのグラフト共重合体の物性評価結果を表−4に示す。
 グラフト共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−3及び表−4に示す。なお、表−3−1において、Aは三塩化チタン、Bは5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、Cはp−(3−ブテニル)−スチレンを示す。
Figure 2004143436
Figure 2004143436
Figure 2004143436
実施例10
 容量1.6リットルのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ミリリットル、5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン5ミリモル、トリイソブチルアルミニウム2ミリモル及びジシクロペンチルジメトキシシラン1.2ミリモルを投入し、室温で5分間攪拌した。これに実施例3−(1)で調製したチタン含有固体触媒成分をチタン原子換算で0.24ミリモル投入し、水素を0.01MPa・Gで導入し、70℃まで昇温した。これにプロピレンを0.1MPa・Gで圧力が一定となるように導入し、30分間重合を行い、プロピレン/5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン共重合体を製造した[重合工程[I]]。
 反応終了後、室温まで冷却し、脱圧した後、攪拌を停止し、静置し、液相部を抜き出した。次に、トリイソブチルアルミニウムの0.003質量%(30質量ppm)脱水トルエン溶液500ミリリットルを投入し、40℃で5分間攪拌洗浄した後、攪拌を停止し、静置後、洗浄液部を回収するという洗浄を3回繰り返した後、重合工程[I]終了時の液レベルとした。上記の方法により測定したポリエンの回収率は98.2%であった[洗浄工程]。
 引き続き、実施例1−(1)で調製した、トルエン可溶メチルアルミノキサン10ミリモルを含むトルエン溶液12.5ミリリットルを投入し、室温で5分間攪拌した。温度を50℃に昇温した後、エチレンを5ノルマルリットル/分、プロピレンを1.5ノルマルリットル/分で供給し、全圧を0.5MPaに制御しながら、2時間重合を実施した[重合工程[II]]。
 反応終了後、冷却脱圧し、反応混合物を多量のメタノール中に投入し、ろ過により重合体を分離し、更にメタノールで2回洗浄し、風乾した後80℃で減圧乾燥を12時間行い、共重合体85gを得た。この共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−5及び表−6に示す。
 また、結晶化分別により、結晶性ポリプロピレン部を分離し、この部分について13C−NMR解析を実施したところ、エチレン単位が観察され、得られた共重合体がグラフト共重合体であることを確認した。
実施例11〜15
 実施例10において重合条件を表−5に示すように変更した以外は実施例10と同様にしてグラフト共重合体を製造した。これらのグラフト共重合体の物性評価結果を表−6に示す。
 グラフト共重合体の製造条件、上記の評価法による物性評価結果を表−5及び表−6に示す。なお、表−5−1において、Dは実施例3−(1)で調製したチタン含有固体触媒成分、Bは5−(5−ヘキセニル)−2−ノルボルネン、Eは5−(3−ブテニル)−2−ノルボルネン、Fは5−(7−オクテニル)−2−ノルボルネンを示す。
Figure 2004143436
Figure 2004143436
Figure 2004143436

Claims (7)

  1.  エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンからなるオレフィン系グラフト共重合体の製造方法において、少なくとも以下の重合工程[I]、洗浄工程及び重合工程[II]を含むことを特徴とするオレフィン系グラフト共重合体の製造方法。
    重合工程[I]:(A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分と、(B)(B−1)アルミノキサン、(B−2)遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤、(B−3)ルイス酸、(B−4)粘土,粘土鉱物及びイオン交換性層状化合物並びに(B−5)周期律表第1〜3族及び第11〜13族のアルキル金属化合物から選ばれる一種以上の助触媒成分から構成される触媒を用いて、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン及び環状オレフィン類から選ばれる一種以上の単量体とポリエンとを共重合してオレフィン系重合体を製造する工程。
    洗浄工程:重合工程[I]で得られたオレフィン系重合体の反応混合物から、ポリエンを除去する工程。
    重合工程[II]:洗浄工程を経たオレフィン系重合体の存在下、重合工程[I]とは異なる(A)成分及び重合工程[I]とは異なる(B)成分から選ばれる一種以上の触媒成分を導入した後、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類及びスチレン類から選ばれる一種以上の単量体であって重合工程[I]で用いたものと同種又は異種の単量体を重合する工程。
  2.  (A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物、キレート化合物又は下記一般式(A−1)で表される化合物である請求項1に記載の製造方法。
       MR1 a 2 b 3 c 4 d        (A−1)
    (式中、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R1 ,R2 ,R3 ,及びR4 は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
  3.  シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族の遷移金属化合物が、下記一般式(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−5)及び(A−6)で表される化合物から選ばれる一種以上の遷移金属化合物である請求項2に記載の製造方法。
       CpM1 5 e 6 f 7 g        (A−2)
       Cp2 1 5 h 6 i          (A−3)
      (Cp−A−Cp)M1 5 h 6 i     (A−4)
    〔式(A−2)〜(A−4)において、M1 は周期律表第4族遷移金属を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基から選ばれる基を示し、R5 ,R6 及びR7 は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R5 ,R6 及びR7 は、その2以上がたがいに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、たがいに異なるものであってもよい。〕
    Figure 2004143436
    〔式中、M2 はチタン,ジルコニウム又はハフニウムを示し、E1 及びE2 はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及びケイ素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1 及びA2 を介して架橋構造を形成しており、またそれらはたがいに同一でも異なっていてもよく、X1 はσ結合性の配位子を示し、X1 が複数ある場合、複数のX1 は同じでも異なっていてもよく、他のX1 ,E1 ,E2 又はY1 と架橋していてもよい。Y1 はルイス塩基を示し、Y1 が複数ある場合、複数のY1 は同じでも異なっていてもよく、他のY1 ,E1 ,E2 又はX1 と架橋していてもよく、A1 及びA2 は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2 −、−Se−、−NR8 −、−PR8 −、−P(O)R8 −、−BR8 −又は−AlR8 −を示し、R8 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(M2 の原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
    で表される遷移金属化合物である。
    Figure 2004143436
    〔式中、M2 はチタン、ジルコニウム又はハフニウム原子を示し、Cpはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、テトラヒドロインデニル基、置換テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基又は置換フルオレニル基などの環状不飽和炭化水素基又は鎖状不飽和炭化水素基を示す。X2 は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を示す。ZはSiR9 2,CR9 2,SiR9 2SiR9 2,CR9 2CR9 2,CR9 2CR9 2CR9 2,CR9 =CR9 ,CR9 2SiR9 2又はGeR9 2を示し、Y2 は−N(R10)−,−O−,−S−又は−P(R10)−を示す。上記R9 は水素原子又は20個までの非水素原子をもつアルキル,アリール,シリル,ハロゲン化アルキル,ハロゲン化アリール基及びそれらの組合せから選ばれる基であり、R10は炭素数1〜10のアルキル若しくは炭素数6〜10のアリール基であるか、または1個若しくはそれ以上のR9 と30個までの非水素原子の結合環系を形成してもよい。sは1又は2を示す。〕
  4. (A)周期律表第3〜10族、アクチノイド及びランタノイドから選ばれる遷移金属化合物を少なくとも一種含む主触媒成分が、末端ビニル基形成能を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5.  重合工程[I]と重合工程[II]とで用いる単量体種の一種以上が異なるか、あるいは重合工程[I]と重合工程[II]とで用いる単量体種が同一であって、生成する重合体の単量体構成比、立体規則性及び分子量のうちの一つ以上が異なるものである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6.  ポリエンが、重合可能な炭素−炭素二重結合を分子内に2個以上有するポリエン、α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/スチレン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン、環状オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン及びスチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエンから選ばれる少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7.  請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法により得られたオレフィン系グラフト共重合体。
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