JP4839061B2 - 反応性前駆体組成物及び該組成物を用いた変性反応組成物、並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、オレフィン系重合体は極性を持たないため、極性樹脂や極性化合物との相溶化機能や異種界面での界面活性機能が低く、これらを解消することがオレフィン系重合体を種々の用途に展開する際の課題となっている。
そこで、オレフィン系重合体に極性を付与するために、溶融反応により無水マレイン酸のようなα,β−不飽和カルボン酸をラジカル触媒の存在下にオレフィン系重合体を変性するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1には、金属触媒を用いて反応性を向上させる方法が、特許文献2には、変性剤を樹脂と均一に混合したものを使用して変性率を向上させる方法が、特許文献3には、変性剤の重合反応性をドナー成分により向上させる方法が、特許文献4には、基材として新たに開発したメタロセン系樹脂を用いる方法が開示されている。
また、重合反応に基づいて変性体を製造する技術として、特許文献5及び6には、オレフィン/ジビニルベンゼン共重合体の未反応不飽和基を反応点として、ビニルモノマーをグラフト重合する技術が開示され、特許文献7及び8には、共重合選択性の高いスチレン誘導体を変性点とした、各種変性反応に適する反応性前駆体が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜4に開示されている技術では変性反応量が十分でなく、また、特許文献5〜8に開示されている技術は、オレフィン主鎖の不飽和残基を活用するため変性率を上げることに可能性を有するが、ゲルが発生しやすく、各種用途展開の際に表面特性が低下するという問題がある。
すなわち本発明は、以下の反応性前駆体組成物及びこの組成物を用いた変性反応組成物、並びにそれらの製造方法を提供するものである。
1. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上のモノマーと多官能モノマーとを共重合してなるオレフィン系共重合体[b]を含み、以下の(1)〜(3)の要件を満足することを特徴とする反応性前駆体組成物。
(1)オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[b]の質量百分率が5〜95質量%である。
(2)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(3)熱パラキシレン不溶分が1質量%以下である。
2. 多官能モノマーが、スチレン骨格、α−オレフィン骨格及び環状オレフィン骨格から選ばれる骨格を少なくとも2個有する不飽和化合物又はジビニルベンゼンである上記1に記載の反応性前駆体組成物。
(1)デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(2)熱パラキシレン不溶分が2質量%以下である。
(3)変性剤の含有量が0.1〜50質量%である。
4. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造することを特徴とする上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法
5. エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で重合してなるオレフィン系重合体[a]と、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを上記触媒の存在下で共重合してなるオレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドすることを特徴とする上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
6. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である上記4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
7. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である上記4又は5に記載の反応性前駆体組成物の製造方法。
9. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である上記8に記載の変性反応組成物の製造方法。
10. (A)遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)有機金属化合物が、(3B)有機アルミニウム化合物である上記8に記載の変性反応組成物の製造方法。
11. 上記1又は2に記載の反応性前駆体組成物に、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする上記3に記載の変性反応組成物の製造方法。
12. 変性剤をルイス酸との接触混合物として用いる上記8〜11のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
13. 変性剤が、酸素、窒素、硫黄及び珪素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン並びにスチレン誘導体から選ばれる一種以上である上記8〜12のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
14. 上記3に記載の変性反応組成物を含有する接着剤。
15. 上記3に記載の変性反応組成物を含有する相溶化剤。
製造し、引き続き、酸素、窒素、硫黄、珪素及び塩素から選ばれる一種以上の原子を含む炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、スチレン、スチレン誘導体、ジエン類並びオレフィン類から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことを特徴とする上記3に記載の変性反応組成物の製造方法。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチルペンテン−1、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセンなどが挙げられる。本発明においては、炭素数3〜16のα−オレフィンが好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
オレフィン系重合体[a−1]の具体例としては、HDPE(高密度ポリエチレン)、ワックス、エチレンと炭素数3〜28のα−オレフィン一種以上からなる共重合体(例えば、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、エチレン/デセン共重合体、エチレン/オクタデセン共重合体及びエチレン/イコセン共重合体など)などを挙げることができる。
オレフィン系重合体[a−3]としては、炭素数4〜28のα−オレフィンの単独重合体(例えば、ポリブテン、ポリデセン、ポリヘキサデセン、ポリオクタデセン及びポリイコセンなど)、炭素数4〜28のα−オレフィン二種以上、炭素数4〜28のα−オレフィン一種以上とエチレン及び/又はプロピレンとの共重合体(例えば、デセン/ヘキサデセン共重合体、ヘキサデセン/イコセン共重合体、イコセン/エチレン共重合体、イコセン/プロピレン共重合体及びヘキサデセン/イコセン/ブテン共重合体など)が挙げられる。
上記オレフィン系重合体[a−1]、[a−2]及び[a−3]は、その性質を損なわない範囲において、モノマー成分の中にスチレン、スチレン誘導体又は環状オレフィン類を含んでもよい。
オレフィン系重合体[a]は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.015〜8dl/g、更に好ましくは0.02〜7dl/g、最も好ましくは0.025〜6dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると、オレフィン系重合体[a]が低分子量体とはならないので、後述する変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードが発生することがない。また、極限粘度[η]が10dl/g以下であると、反応性前駆体組成物の溶融流動性が低下せず、良好な溶融流動性が得られる。
オレフィン系共重合体[b]の立体規則性、極限粘度[η]及び分子量については、オレフィン系重合体[a]と同様である。
(i)スチレン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
一般式(i)
で表される化合物を挙げることができる。上記一般式(i)において、R1で示される炭素数1〜20の二価の炭化水素基は、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20のアルキルアリーレン基又はアリールアルキレン基などであり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、フェニレン基あるいはトリレン基等が挙げられる。R2のうちのハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素が挙げられ、炭素数1〜8の炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基及びペンチル基などのアルキル基に代表される飽和炭化水素基あるいはビニル基などの不飽和炭化水素基などが挙げられる。また、R3及びR4のうちのハロゲン原子、炭素数1〜8の炭化水素基としては、上記と同じものを挙げることができる。
(ii)スチレン骨格/スチレン骨格を同一分子内に有する多官能モノマー
一般式(ii)
で表される化合物を挙げることができる。この多官能モノマーの具体例としては、ジ(p−ビニルフェニル)メタン、1,3−ビス(p−ビニルフェニル)プロパン及び1,5−ビス(p−ビニルフェニル)ペンタンなどが挙げられる。
(iii)ジビニルベンゼン
p−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びo−ジビニルベンゼンがある。これらの混合物を用いることもできる。
(iv)スチレン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有するポリエン
一般式(iv−1)
で表される化合物、または一般式(iv−2)
で表される化合物を挙げることができる。これらの化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
α−オレフィン骨格/α−オレフィン骨格を分子中に有する多官能モノマー(例えば、1,9−デカジエン及び1,7−オクタジエンなどのα,ω−ジエン化合物)、α−オレフィン骨格/環状オレフィン骨格を分子中に有する多官能モノマー(例えば、5−ビニル−2−ノルボルネン及び5−ヘキセニル−2−ノルボルネンなどのω−アルケニル−2−ノルボルネン化合物)などが挙げられる。
オレフィン系共重合体[b]においては、その一部に長鎖分岐が存在していてもよい。長鎖分岐の構造としては、分岐が多官能モノマーにより形成されるもの、分岐がビニル不飽和基末端を有するオレフィン重合体(マクロモノマー)により形成されるもの、分岐が多官能モノマーとマクロモノマーの両者が関与する重合反応により形成されるものが挙げられる。
ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03mm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、サンプル(反応性前駆体組成物)50mgを入れ、攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコの攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700mlのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、サンプルを溶解させた。熱パラキシレン不溶分が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することにより熱パラキシレン不溶分量(メッシュ内残量)を求め、熱パラキシレン不溶分(質量%)を、以下の式により算出する。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
熱パラキシレン不溶部分はオレフィン系共重合体[b]において生成するため、上記測定で求めた熱パラキシレン不溶分率を、オレフィン系共重合体[b]の生成率[オレフィン系共重合体[b]/(オレフィン系重合体[a]+オレフィン共重合[b])]で除した値として算出する。
本発明の反応性前駆体組成物は、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gであることを要し、好ましくは0.015〜8dl/g、より好ましくは0.02〜7dl/g、更に好ましくは0.025〜6dl/gである。この極限粘度[η]が0.01dl/g以上であると、反応性前駆体組成物が低分子量体とはならないので、後述する変性反応組成物を成形してなる成形体においてブリードが発生することがない。また、極限粘度[η]が10dl/g以下であると、反応性前駆体組成物の溶融流動性が低下せず、良好な溶融流動性が得られる。
本発明の反応性前駆体組成物は、熱パラキシレン不溶分が1質量%以下であることを要し、好ましくは0.9質量%以下、より好ましくは0.7質量%以下、更に好ましくは0.6質量%以下、最も好ましくは0.5質量%以下である。熱パラキシレン不溶分が1質量%以下であると、反応性前駆体組成物を変性反応に供した場合、不溶不融成分の発生が抑制される。なお、この熱パラキシレン不溶分は、上記オレフィン系共重合体[b]における熱パラキシレン不溶分の測定と同様の方法で行うことができ、上述したように以下の式により算出された値(質量%)である。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
オレフィン系重合体[a]の製造における重合、あるいはオレフィン系共重合体[b]の製造における共重合は、(A)遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機金属化合物を含有する触媒の存在下で行う。
このような触媒としては、(A)成分が、(1A)周期律表第3〜10族の遷移金属化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分であり、(B)成分が、(1B)アルミノキサン及び(2B)上記遷移金属化合物と反応してイオン性化合物を生成するイオン化剤から選ばれる一種以上である触媒(触媒[1])、(A)成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分であり、(B)成分が、(3B)有機アルミニウム化合物である(触媒[2])などが挙げられる。
MR11 aR12 bR13 cR14 d (A−1)
(式中、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示し、R11,R12,R13,及びR14はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R11,R12,R13,及びR14は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
から選ばれる金属化合物を挙げることができる。
シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第3〜10族、好ましくは第4族の遷移金属化合物としては、例えば、一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物から選ばれる一種以上を挙げることができる。
一般式(A−2)、(A−3)及び(A−4)で表される化合物は、
CpM1R15 eR16 fR17 (A−2)
Cp2M1R15 hR16 i (A−3)
(Cp−A−Cp)M1R15 hR16 i (A−4)
[式(A−2)〜(A−4)において、M1は周期律表3〜10族、好ましくは第4族遷移金属(チタン,ジルコニウム又はハフニウムなど)を示し、Cpはシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,テトラヒドロインデニル基,置換テトラヒドロインデニル基,フルオレニル基,置換フルオレニル基,オクタヒドロフルオレニル基,置換オクタヒドロフルオレニル基及びアズレニル基、置換アズレニル基、ヘキサヒドロアズレニル基及び置換ヘキサヒドロアズレニル基から選ばれる基を示し、R15,R16及びR17は、それぞれ独立に配位子を示し、Aは共有結合による架橋を示す。e,f及びgはそれぞれ0〜3の整数を、h及びiはそれぞれ0〜2の整数を示す。R15,R16及びR17は、その2以上が互いに結合して環を形成していてもよい。式(A−3)式及び式(A−4)において、2つのCpは同一のものであってもよく、互いに異なるものであってもよい。]
である。
上記式(A−2)〜(A−4)におけるR15,R16及びR17は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,珪素原子を含む置換基などを例示でき、また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。R15,R16及びR17は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。上記Cpが置換基を有する場合には、該置換基は炭素数1〜20のアルキル基が好ましい。
また、上記一般式(A−2)で表される化合物の好ましいものとして、チタン錯体が挙げられる。更に好ましくは一般式(A−2)において、シクロペンタジエニル環が置換基を有し、置換基がアルキル基であり、置換基数が1〜5のチタン化合物が好ましい。特に好ましいのは置換基数4又は5のチタン化合物であり、更に置換基が互いに環を形成したチタン化合物が好ましい。特に好ましいものの例示として、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメチルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリフェニルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリベンジルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリクロルチタン,(ペンタメチルシクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(シクロペンタジエニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(テトラヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(オクタヒドロフルオレニル)トリメトキシチタン,(2−メチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(1,2−ジメチルテトラヒドロインデニル)トリメトキシチタン,(2−(トリメチルシリルメチル)テトラヒドロインデニル)トリメトキシチタンなどが挙げられる。
一般式(A−4)で表される化合物の具体例としては、ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−[2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,ジメチルシランジイル−ビス−1−[2−エチル−4−(1−ナフチル)インデニル]ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−[2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]−ジルコニウムジクロリド,フェニルメチルシランジイル−ビス−1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド,
一般式(A−4)で表される化合物の好ましいものとして、低い立体規則性[mmmm]を発現させるものが挙げられ、無置換インデニル錯体及び置換シクロペンタジエニル錯体(3位、3,4位)が好ましい。無置換インデニル錯体としては、ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジクロリド,ラセミ−エチレンビスインデニルジルコニウムジメチルが挙げられ、置換シクロペンタジエニル錯体としては、ラセミ−ジメチルシランジイルビス(3−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジクロロジルコニウムなどが挙げられる。
E1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基[>CR−,>C<]及び珪素含有基[>SiR−,>Si<](但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。また、E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE1,E2又はXと架橋していてもよい。該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類などを挙げることができる。
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基などを挙げることができる。これらの中では、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。cは1〜5の整数で[(Mの原子価)−2]を示し、dは0〜3の整数を示す。
このような一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(A−5a)
上記一般式(A−5a)において、M,A1,A2,c及びdは、一般式(A−5)と同じである。X1はσ結合性の配位子を示し、X1が複数ある場合、複数のX1は同じでも異なっていてもよく、他のX1又はY1と架橋していてもよい。このX1の具体例としては、一般式(A−5)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。Y1はルイス塩基を示し、Y1が複数ある場合、複数のY1は同じでも異なっていてもよく、他のY1又はX1と架橋していてもよい。このY1の具体例としては、一般式(A−5)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
R23〜R28はそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。また、R23〜R28は互いに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士が互いに結合して環を形成していてもよい。なかでも、R25とR26は環を形成していること及びR27とR28は環を形成していることが好ましい。R23及びR24としては、酸素、ハロゲン、珪素などのヘテロ原子を含有する基が、重合活性が高くなり好ましい。
一般式(A−5)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−メチレン)(2,1'−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−イソプロピリデン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2'−エチレン)(2,1'−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,
また、上記化合物において、(1,1'−)(2,2'−)が(1,2'−)(2,1'−)であってもよく、(1,2'−)(2,1'−)が(1,1'−)(2,2'−)であってもよい。
一般式(A−6)で表される化合物の好ましいものとして、一般式(A−6)における例示の全てが挙げられる。特に好ましいものとして、(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジインチタンジクロリド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジメチル,(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジメトキシド,(第3級ブチルアミド)ジメチル(2−インデニル)シランチタンジクロリドなどが挙げられる。
ビス(N,N’−ジフェニルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N’−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、ビス(N,N’−ジシクロヘキシルベンズアミジナート)ジルコニウムジクロリド、シクロペンタジエニル[N,N’−ビス(トリメチルシリル)ベンズアミジナート]ジルコニウムジクロリド及びシクロペンタジエニル(N,N’−ジメチルアセトアミジナート)ジルコニウムジクロリドなどのアミジナート型錯体;下記化学式
で表される化合物などの二つの錯体の配位子間が、アルキレン基やシリレン基を介して結合した二核錯体などを挙げることができる。
一般式(A−1)
MR11 aR12 bR13 cR14 d (A−1)
で表される化合物において、Mは周期律表第4〜8族又はランタノイド系列の金属元素を示す。具体的にはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、R11,R12,R13及びR14は、それぞれ独立にσ結合性の配位子,キレート性の配位子,ルイス塩基などの配位子を示し、σ結合性の配位子としては、具体的には水素原子,酸素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数2〜20のアミノ基,炭素数3〜50のアミジナート基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,アリル基,置換アリル基,珪素原子を含む置換基などを例示できる。また、キレート性の配位子としては、アセチルアセトナート基,置換アセチルアセトナート基などを例示できる。a,b,c及びdは、それぞれ独立に0〜4の整数を示す。R11,R12,R13及びR14は、その2以上が互いに結合して環を形成してもよい。
上記一般式で表される遷移金属化合物の具体例としては、四塩化チタン,三塩化チタン,テトラエトキシチタン,テトラブトキシチタン,ジメトキシジクロルチタン,アセチルアセトナートチタン,ビス(N,N'−ジシクロヘキシルトリルアミジナート)ジクロロチタン、上記遷移金属化合物が塩化マグネシウムに担持したもの、更には電子供与体を含有するもので、チタン/マグネシウム/塩素又はこれに電子供与体を含有するものを例示することができる。
上記一般式で示した遷移金属化合物のうち、少なくとも2個のハロゲン原子又はアルコキシ基、あるいはそれぞれ2個のハロゲン原子とアルコキシ基が中心金属に結合した遷移金属化合物と、一般式(I)〜(VI)
上記一般式(I)〜(VI)で表される化合物において、R31及びR32は、炭素数1〜20の炭化水素基であり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、Y3は炭素数1〜20の炭化水素基、
該遷移金属化合物と、上記一般式(I)〜(VI)で表されるジオールとの反応生成物の一例としては、一般式(VII)
上記一般式(VII)において、M7はチタン,ジルコニウム,ハフニウム,バナジウム,ニオビウム,クロムなどの遷移金属を示し、E1及びE2は、炭素数1〜20の炭化水素基で、r及びsは、それぞれ0又は1を示し、E1及びE2は、Y4を介して架橋構造を形成するものである。E3及びE4は、σ結合性配位子、キレート性の配位子又はルイス塩基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。
t及びuは、それぞれ0〜2の整数〔t+u(M7の原子価−2)の整数〕を示す。Y4は炭素数1〜20の炭化水素基,E5E6Y5,酸素原子又は硫黄原子を示し、mは0〜4の整数を示す。E5及びE6は、炭素数1〜20の炭化水素基、Y5は炭素原子又は珪素原子を示す。
一般式(A−1)で表される化合物の好ましいものとして、TiCl4,三塩化チタン、Ti(OEt)4,Ti(OnBu)4及びこれらのチタン化合物とマグネシウム/塩素/電子供与体からなるものが挙げられる
で表される鎖状アルミノキサン、及び一般式(B−2)
で表される環状アルミノキサンを挙げることができる。
上記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水などの縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。例えば、(1) 有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、(2) 重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、(3) 金属塩などに含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、(4) テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、更に水を反応させる方法などがある。
また、アルミノキサンから炭化水素溶媒に不溶な成分を除去する方法としては、例えば、炭化水素溶媒に不溶な成分を自然沈降させ、その後デカンテーションにより分離する方法が挙げられる。あるいは遠心分離等の操作により分離する方法でもよい。その後、更に回収した可溶解成分をG5ガラス製フィルター等を用い、窒素気流下にてろ過した方が不溶な成分が充分除去されるので好ましい。このようにして得られるアルミノキサンは時間の経過とともにゲル成分が増加することがあるが、調製後48時間以内に使用することが好ましく、調製後直ちに使用することが特に好ましい。アルミノキサンと炭化水素溶媒の割合は、特に制限はないが、炭化水素溶媒1Lに対しアルミノキサン中のアルミニウム原子が0.5〜10molとなるような濃度で用いることが好ましい。
なお、上記の炭化水素溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメン等芳香族炭化水素やペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等脂肪族炭化水素やシクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタン等脂環式炭化水素やナフサ、ケロシン、ライトガスオイル等石油留分等が挙げられる。
([L1−R50]k+)a([Z]-)b ・・・(B−3)
([L2]k+)a([Z]-)b ・・・(B−4)
(ただし、L2はM4、R51R52M5、R53 3C又はR54M5である。)
[(B−3),(B−4)式中、L1はルイス塩基、[Z]-は、非配位性アニオン[Z1]-及び[Z2]-、ここで[Z1]-は複数の基が元素に結合したアニオンすなわち[M3G1G2・・・Gf]-(ここで、M3は周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G1〜Gfはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G1〜Gfのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは[(中心金属M3の原子価)+1]の整数を示す。)、[Z2]-は、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組み合わせの共役塩基、あるいは一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。また、ルイス塩基が配位していてもよい。また、R50は水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R51及びR52はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R53は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。R54はテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。kは[L1−R50],[L2]のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。M4は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、M5は、周期律表第7〜12族元素を示す。]
で表されるものを好適に使用することができる。
R53の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基などを挙げることができ、R54の具体例としてはテトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン,アリル,メタリルなどを挙げることができる。
また、M4の具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I3などを挙げることができ、M5の具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Znなどを挙げることができる。
このような化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,
この(2B)成分のイオン化剤は一種用いてもよく、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
助触媒成分である上記(1B)アルミノキサン又は(2B)イオン化剤と、上記(1A)成分との使用割合は、(1A)成分1molに対して、(1B)又は(2B)成分104〜109molが好ましく、より好ましくは2×104〜108molである。助触媒成分として(1B)アルミノキサンを用いる場合、(1A)/(1B)はモル比で、好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲である。この範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。また、助触媒成分として(2B)イオン化剤を用いる場合、(1A)/(2B)はモル比で、好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲である。上記範囲にあれば、単位質量ポリマー当りの触媒コストがあまり高くならず、実用的である。
(1B)成分及び(2B)成分は、それぞれ単独で又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
RvAlQ3-v
(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Qは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である)
で表される化合物が用いられる。
上記一般式で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。この中でトリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリノルマルヘキシルアルミニウムが好ましい。
これらのアルキルアルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
(1A)触媒成分と(1C)アルキルアルミニウム化合物の使用割合(1A)/(1C)は、モル比で通常1/1〜1/20000、好ましくは1/5〜1/2000、より好ましくは1/10〜1/1000である。(1C)成分の使用量が少なすぎると活性向上効果が小さく、多すぎると重合体中のアルミニウム残渣が多くなるおそれがある。
非担持触媒は、グラフト共重合を実施する以前に予備重合を行なうことが好適である。予備重合において用いる単量体としては、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、環状オレフィン類、スチレン類及びポリエンなどが挙げられる。具体的には上述したものと同様のものが挙げられる。この中で、重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、より好ましくは重合工程[I]で用いる単量体種と同一のもの、エチレン及びプロピレンである。単量体の濃度は10mmol/L〜20mol/Lが好ましい。
これらのマグネシウム化合物の中でも、重合活性及び立体規則性の面から、マグネシウムハライド、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、アルキルマグネシウムハライドが好適に使用できる。上記のマグネシウム化合物は、金属マグネシウム、またはマグネシウムを含有する化合物から調製することができる。
具体的には、フタル酸、ナフタレン−1,2−ジカルボン酸,ナフタレン−2,3−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,2−ジカルボン酸、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2,3−ジカルボン酸、インダン−4,5−ジカルボン酸、インダン−5,6−ジカルボン酸等のジカルボン酸のメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、n−ペンチル、1−メチルブチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、1,1−ジメチルプロピル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、1−エチルブチル、2−エチルブチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル等のジアルキルエステルが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジエステル類が好ましく、また、エステル部の有機基の炭素数が4個以上の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素が好ましい。
この具体例としては、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ−n−ヘプチル、フタル酸ジエチルなどを好ましく挙げることができる。また、これらの化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
触媒成分(3A)は、更に(v)有機アルミニウム化合物を含むものであってもよい。有機アルミニウム化合物としては、アルキル基、ハロゲン原子、水素原子、アルコキシ基を有するもの、アルミノキサン及びそれらの混合物を好ましく用いることができる。具体的には、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,トリオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムモノクロリド,ジイソプロピルアルミニウムモノクロリド,ジイソブチルアルミニウムモノクロリド,ジオクチルアルミニウムモノクロリド等のジアルキルアルミニウムモノクロリド;エチルアルミニウムセスキクロリド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;メチルアルミノキサン等の鎖状アルミノキサン等を挙げることができる。これらの有機アルミニウム化合物の中では、炭素数1〜5個の低級アルキル基を有するトリアルキルアルミニウム、特にトリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリプロピルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、これらの有機アルミニウム化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
このSi−O−C結合を有する有機珪素化合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトライソブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、エチルイソプロピルジメトキシシラン、プロピルイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジ−t−ブチルジメトキシシラン、t−ブチルメチルジメトキシシラン、t−ブチルエチルジメトキシシラン、t−ブチルプロピルジメトキシシラン、t−ブチルイソプロピルジメトキシシラン、t−ブチルブチルジメトキシシラン、t−ブチルイソブチルジメトキシシラン、t−ブチル(s−ブチル)ジメトキシシラン、t−ブチルアミルジメトキシシラン、t−ブチルヘキシルジメトキシシラン、t−ブチルヘプチルジメトキシシラン、t−ブチルオクチルジメトキシシラン、t−ブチルノニルジメトキシシラン、t−ブチルデシルジメトキシシラン、t−ブチル(3,3,3−トリフルオロメチルプロピル)ジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルプロピルジメトキシシラン、シクロペンチル−t−ブチルジメトキシシラン、シクロヘキシル−t−ブチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ビス(2−メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3−ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、
ここで、(i)チタン化合物は、(ii)マグネシウム化合物1molに対して、通常、0.5〜100mol、好ましくは1〜50mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性が十分となる。また、(iii)電子供与性化合物(a)又は(vi)電子供与性化合物(b)は、(ii)マグネシウム化合物のマグネシウム1molに対して、通常、0.01〜10mol、好ましくは、0.05〜1.0mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性や立体規則性が十分となる。更に、(iv)珪素化合物を用いるときは、(ii)マグネシウム化合物のマグネシウム1molに対して、通常、0.001〜100mol、好ましくは、0.005〜5.0mol使用する。このモル比が上記範囲内であると、触媒活性や立体規則性の向上効果が十分に発揮され、かつ生成ポリマー中の微粉量が抑制される。
また、(ii)マグネシウム化合物のうちのエトキシマグネシウムを(vii)アルキルベンゼン中に懸濁させ、しかる後に該アルキルベンゼンに対する容量比で1/2以下の(i)チタン化合物のうちの四塩化チタン及び(iii) 電子供与性化合物(a)のうちのフタル酸ジエステルを80〜135℃程度の温度で接触させて得られた固体物質をアルキルベンゼンで洗浄し、該固体物質に更にアルキルベンゼンの存在下で該アルキルベンゼンに対する容量比で1/2以下の四塩化チタンを反応させることにより調製する方法(特開昭64−69608号公報に記載の方法)などを用いることができる。アルキルベンゼンとしては、トルエン,キシレン,エチルベンゼン,プロピルベンゼン,トリメチルベンゼン等が挙げられる。
本発明の製造方法で用いる触媒の調製には必要に応じて、(2C)第3成分としての電子供与性化合物が用いられる。この(2C)第3成分としての電子供与性化合物としては、上記(vi)電子供与性化合物(b)として例示したものと同様ものを用いることができる。
(3A)成分の触媒成分は、チタン原子に換算して、反応容積1L当たり、通常0.00005〜1mmolの範囲になるような量が用いられ、(3B)成分の有機アルミニウム化合物は、アルミニウム/チタン原子比が通常1〜1000、好ましくは10〜500の範囲になるような量が用いられる。この原子比が上記範囲であると、十分な触媒活性が得られる。また、(2C)第3成分としての電子供与性化合物を用いるときは、(2C)電子供与性化合物/(3B)有機アルミニウム化合物のモル比が、通常0.001〜5.0、好ましくは0.01〜2.0、より好ましくは0.05〜1.0の範囲になるような量が用いられる。このモル比が上記範囲であると、十分な触媒活性及び立体規則性が得られる。ただし、予備重合を行う場合は、更に低減することができる。
予備重合の方法としては、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれでもよく、反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
製造した予備重合触媒は、そのまま保存してもよく、溶媒を用いて洗浄し、固体物質として分離したもの、あるいは再度、溶媒に分散した状態のものを保存してもよい。保存は、30℃以下の低温で、不活性雰囲気下で行うことが好ましい。また、重合工程[I]に用いるものと同一の反応器で予備重合を実施し、引き続き重合工程[I]に供することもできる。
オレフィン系重合体[a]は、スラリー重合法、バルク重合法、気相重合法のいずれの方法でも製造することができる。反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
溶媒中で重合を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。脂肪族炭化水素化合物としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン及びデカンなどが挙げられる。芳香族炭化水素化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン及び異性体混合キシレンなどが挙げられる。脂環式炭化水素化合物としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン及びメチルシクロペンタンなどが挙げられる。また、ヘプタン/トルエンなどのようなこれらの溶媒の混合溶媒を用いることもできる。
オレフィン系重合体[a]の分子量は、水素添加量、重合温度、モノマーの濃度及び重合圧力などにより制御することができる。重合体組成は、モノマー仕込み量比を変更することにより変更することができる。
オレフィン系共重合体[b]における多官能モノマーの含有量は、その仕込み量を変更することにより増減することができる。多官能モノマーの使用割合は、用いる触媒の(A)成分1×10-7molに対して、多官能モノマー10-6〜1mol(モル比で1:10〜107)が好ましく、2×10-6〜0.5mol(モル比で1:20〜5×106)がより好ましい。
(1-i)触媒として、(1A)成分と、(1B)成分及び(2B)成分から選ばれる一種以上から構成される触媒(触媒[1])を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、p−ジビニルベンゼン、1,9−デカジエン、1,7−オクタジエンなどを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常1.0×10-7〜2.0×10-4mol程度、好ましくは2.0×10-7〜1.0×10-4mol、より好ましくは3.0×10-7〜0.8×10-4mol、更に好ましくは4.0×10−7〜0.4×10-4mol、最も好ましくは5.0×10-7〜0.2×10-4molである。
具体的には、多官能モノマーとしてo−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン及びその核置換体、p−ジビニルベンゼン骨格を有し、核置換体である1−置換の置換p−ジビニルベンゼン、3−置換の置換p−ジビニルベンゼン及びω−アルケニルスチレンなどを用いる場合である。
この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常5.0×10-7〜1.0×10-3mol程度、好ましくは1.0×10-6〜5.0×10-4mol、より好ましくは1.5×10-6〜4.0×10-4mol、更に好ましくは2.0×10-6〜2.0×10-4mol、最も好ましくは2.5×10-6〜1.0×10-4molである。
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常0.5×10-6〜1.0×10-2mol程度、好ましくは0.7×10-6〜7.0×10-3mol、より好ましくは1.0×10-6〜6.0×10-3mol、更に好ましくは1.5×10-6〜5.0×10-3mol、最も好ましくは2.0×10-6〜4.0×10-3molである。
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は、重合工程[I]で製造されるオレフィン系重合体[a]1g当たり、通常2.5×10-6〜5.0×10-2mol程度、好ましくは3.5×10-6〜3.5×10-2mol、より好ましくは5.0×10-6〜3.0×10-2mol、更に好ましくは7.5×10-6〜2.5×10-2mol、最も好ましくは1.0×10-5〜2.0×10-2molである。
重合条件である、多官能モノマー構造、多官能モノマー使用量、触媒の性能、オレフィン系重合体[a]生成量によってゲル発生量は変化するが、この他に、温度、オレフィンモノマーの仕込み量、反応時間によってもゲル量は変化する。従って、熱パラキシレン不溶分が1質量%以下となる範囲において、製造条件(温度、圧力、時間)を選定することができる。
オレフィン系重合体[a]と、オレフィン系共重合体[b]とを、溶液ブレンド又は溶融ブレンドする方法(製造方法2)において、オレフィン系重合体[a]として、上記オレフィン系重合体[a]について定義した条件を満足する市販品や、上記製造方法以外の方法で製造した重合体を用いることもできる。
オレフィン系共重合体[b]としては、上述したものを用いることができ、多官能モノマーの使用量は以下の範囲が好ましい。
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマー使用量は0.1〜10mmol/Lの範囲である。
(2-ii)触媒[1]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は1〜100mmol/Lの範囲である。
(2-iii)触媒[2]を用い、重合反応部位が同一の構造であって、重合反応性が等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして、上記(1-i)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は0.5〜50mmol/Lの範囲である。
(2-iv)触媒[2]を用い、重合反応部位が同一の構造ではなく、重合反応性が非等価な多官能モノマーを使用する場合
具体的には、多官能モノマーとして上記(1-ii)と同様のものを用いる場合である。この場合、多官能モノマーの使用量は1〜100mmol/Lの範囲である。
この変性反応組成物における、構成モノマー種、モノマー組成、立体規則性、分子量及び分子量分布は、上述した反応性前駆体組成物と同様の範囲を満足する。また、この変性反応組成物において、熱パラキシレン不溶分は2質量%であることを要し、好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、最も好ましくは0.6質量%以下である。熱バラキシレン不溶分が2質量%以下であると、成形物の表面外観や接着性能が良好となる。熱パラキシレン不溶分は、上述した反応性前駆体組成物の場合と同様にして測定することができる。
変性反応に関与しなかった変性剤の単独重合物及び残存変性剤が変性反応組成物に共存する場合、単独重合物の存在量は、変性反応組成物基準で50%以下である。この量が50質量%以下であると、変性反応物の含有量が低下しないので、接着性や相溶化等の機能が十分に発現される。
本発明の変性反応組成物の構造は、変性反応前駆体組成物中に存在する多官能モノマーの炭素−炭素不飽和結構残基を介して付加重合した構造であり、いわゆるグラフト構造である。
(i)アクリル誘導体
アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、アクリロニトリル、アクロレイン及びシアン化ビニリデンなど、
(ii)スチレン及びスチレン誘導体
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−エチルスチレン、p−プロピルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−フェニルスチレン、o−メチルスチレン、o−エチルスチレン、o−プロピルスチレン、o−イソプロピルスチレン、m−メチルスチレン、m−エチルスチレン、m−イソプロピルスチレン、m−ブチルスチレン、メシチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン及び3,5−ジメチルスチレン等のアルキルスチレン類、p−メトキシスチレン、o−メトキシスチレン及びm−メトキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−クロロスチレン、m−クロロスチレン、o−クロロスチレン、p−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、o−ブロモスチレン、p−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、o−フルオロスチレン及びo−メチル−p−フルオロスチレン等のハロゲン化スチレン、更にはトリメチルシリルスチレン及びビニル安息香酸エステルなど、
塩化ビニル、臭化ビニル、四フッ化エチレン及び塩化ビニリデンなど、
(iv)ビニルピリジン類
2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン及び4−ビニルピリジンなど、
(v)メタアクロイル化合物
メタクリルアミド、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸−t−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、グリシジルメタクリレート、アクリル酸クロリド及びメタクリロニトリル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど、
(vi)ジエン類
ブタジエン、イソプレン、クロロプレン及び2,3−ジメチルブタジエンなど、
(vii)ビニルエステル類
安息香酸ビニル、酢酸ビニル及び酪酸ビニルなど、
(viii)ケトン類
エチルビニルケトンなど、
(ix)エーテル類
エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル及びイソブチルビニルエーテルなど、
(x)オレフィン類
プロピレン及びイソブチレンなど、
(xi)含珪素類
ビニルメトキシシランなど、
(xi)α,β−置換不飽和化合物
無水マレイン酸、フマール酸、マレイン酸、フマルイミド、無水イタコン酸、ムコン酸ジエチル、フマール酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレロニトリル、マレイン酸モノメチル、N−フェニルマレイミド及びN−メチルマレイミドなど。
ルイス酸としては、(i)周期律表第2〜4族元素の、ハロゲン化物(塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、アルキル化物(炭素数1〜20のアルキル基)又はハロゲン化アルキル化物、(ii)アルミニウム、硼素、亜鉛、スズ、マグネシウム又はカルシウム原子からなるルイス酸が挙げられる。
ルイス酸として具体的には、塩化マグネシウム、塩化カルシゥム、塩化亜鉛、三塩化硼素、三塩化アルミニウム、三塩化ガリウム、四塩化珪素、及びこれらの化合物の塩素を臭素又はフッ素に変えたもの、ブチルエチルマグネシウム、ジエチル亜鉛、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム、トリメチル硼素、トリエチル硼素、トリエチルガリウム、トリメチルガリウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、エチルアルミニウムジクロリド及びエチルアルミニウムセスキクロリドなどが挙げられる。
ルイス酸と変性剤との使用割合は、ルイス酸1molに対して、変性剤が通常1〜200mol程度、好ましくは2〜150mol、更に好ましくは4〜100molである。ルイス酸1molに対する変性剤の使用量が1mol以上であると、ルイス酸量が適度のものとなるので、後処理が容易となる。また、ルイス酸1molに対する変性剤の使用量が200mol以下であると、熱パラキシレン不溶分の低減効果が向上する。
上記変性剤とルイス酸との混合接触方法としては、接触方法は直接変性剤とルイス酸を接触する方法、ルイス酸、変性剤の両者又は一方を、溶媒に溶解又は分散させて接触する方法などが挙げられる。
上記ラジカル開始剤としては、例えば、過酸化物やアゾニトリル化合物等、通常のラジカル開始剤を使用することができる。
過酸化物としては、ブチルペルオキシド、α,α−ビス(t−ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、t−ブチルペルアセテート、t−ブチルペルジエチルアセテート、t−ブチルペルイソブチレート、t−ブチルペル−sec−オクトエート、t−ブチルペルピバレート、クミルペルピバレート、t−ブチルペルベンゾエート、t−ブチルペルフェニルアセテート、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルペルオキシ)ブタン、ラウロイルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)へキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)へキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,4,4−トリメチルペンチル−2−ハイドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオキシド、4,4−ジ−t−ブチルペルオキシバレリックアシッド−n−ブチルエステル、ジ−t−ブチルペルオキシヘキサハイドロフタレート、ジ−t−ブチルペルオキシアゼレート、t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルヘキソエート、t−ブチルペルオキシ−イソプロピルカーボネート、サクシニックアシッドペルオキシド及びビニルトリス−(t−ブチルペルオキシ)シラン、過酸化水素、過硫酸カリウム、過ギ酸t−ブチル、過酢酸t−ブチル及び過安息香酸t−ブチルなどが挙げられる。
ラジカル開始剤としては、高分子主鎖への反応を抑制するために、低温で分解するものが好ましい。この観点から、好ましい過酸化物は、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカルボナート、ベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、(ジ−t−ブチルペルオキシド及びt−ブチルペルオキシベンゾエート)であり、好ましいアゾニトリル化合物は、アゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスイソプロピルニトリルである。
ラジカル開始剤を用いたラジカル変性反応は、スラリー法、溶液法又は溶融法により行うことができる。溶融法の場合は通常の粘調物質の攪拌が可能な槽型反応機、ロールミル、バンバリーミキサー又は押出機などを使用することができる。反応器としては、回分式及び連続式のいずれも用いることができる。
溶媒中でラジカル変性反応を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。これらの具体例は、上記オレフィン系重合体[a]において説明したとおりである。ラジカル変性反応においては、水系懸濁又は乳化状態での変性を行うこともできる。
ラジカル変性反応における変性剤の使用量は、反応性前駆体組成物100質量部に対して、通常1〜200質量部程度、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。変性剤の使用量が1質量部以上であると、変性量が十分であり、200質量部以下であると、変性反応に関与しない変性剤の増加が抑制される。
反応性前駆体組成物の製造後、連続的に変性反応組成物を製造する場合、オレフィン系重合体[a]の製造に引き続いてオレフィン系共重合体[b]の製造が終了した段階で、必要に応じて、上記触媒[1]又は[2]を失活させ、反応性前駆体組成物を洗浄し、スラリー又は溶液状態で上記の方法により変性反応を行う。
溶媒中でラジカル変性反応を行う場合、溶媒として、脂肪族炭化水素化合物、芳香族炭化水素化合物、脂環式炭化水素化合物及び灯油などを用いることができる。これらの具体例は、上記オレフィン系重合体[a]において説明したとおりである。
アニオン変性反応における変性剤の使用量は、反応性前駆体組成物100質量部に対して、通常1〜200質量部程度、好ましくは1〜150質量部、より好ましくは5〜100質量部、更に好ましくは10〜80質量部である。変性剤の使用量が1質量部以上であると、変性量が十分であり、200質量部以下であると、変性反応に関与しない変性剤の増加が抑制される。
アニオン開始剤を用いる場合、予め−100〜40℃において、反応性前駆体組成物とアニオン開始剤とを接触させることが好ましい。接触時間は10秒〜2時間が好ましい。
反応性前駆体組成物の製造後、連続的に変性反応組成物を製造する場合、オレフィン系重合体[a]の製造に引き続いてオレフィン系共重合体[b]の製造が終了した段階で、必要に応じて、上記触媒[1]又は[2]を失活させ、反応性前駆体組成物を洗浄し、スラリー又は溶液状態で上記の方法により変性反応を行う。反応終了後、スラリー法による反応の場合は未反応のアニオン開始剤をデカンテーション法等により回収除去することができる。
本発明の変性反応組成物は、ポリプロピレンと合成ゴムとからなる成型品、ポリアミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等からなる成型品、鉄、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属板、ポリウレタン樹脂、脂肪酸変性ポリエステル樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂に対しても密着性を有する。また、本発明の変性反応組成物は、耐熱性を有するホットメルト接着剤またはその成分として用いることもできる。
溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン等の脂肪族系炭化水素;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、デカリン等の脂環式脂肪族系炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロルエチレン、クロルベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、n−エチルアセテート、n−ブチルアセテート等のエステル類、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒類などが挙げられ、これらの中でも、芳香族炭化水素もしくは脂環族炭化水素が好ましく、特にトルエン、キシレン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンが好ましい。
変性反応組成物を上記溶媒に溶解してコーティング組成物とした場合、この組成物は塗膜を形成することが可能であり、この塗膜を接着剤層とすることができる。また、変性反応組成物が溶媒に可溶である場合も、変性反応組成物が結晶性の場合と同様に各種基材における接着剤として用いることができる。
本発明の変性反応組成物をポリオレフィン基材と上記樹脂との相溶化剤として用いる場合、上記樹脂を含む組成物100質量部に対して、変性反応組成物の配合量は、通常0.1〜30質量部程度、好ましくは0.2〜15質量部、より好ましくは0.4〜10質量部である。この配合量が0.1質量部以上であると、相溶化機能が発現し、30質量部以下であると、相溶化機能と経済性のバランスが良好となる。
本発明の変性反応組成物を相溶化剤として用いた場合、分散粒子径の微細化による、物性、表面外観、塗装性及び接着性の向上が図られる。相溶化剤としての使用方法としては、樹脂組成物の溶融混練の際に変性反応組成物を添加する方法、変性反応組成物のマスターバッチを予め製造して用いる方法などが挙げられる。
製造例1(触媒成分の調製)
窒素で置換した内容積200mlの攪拌装置付き丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10g及びトルエン80mlを投入して懸濁状態とし、次いでこの懸濁液にTiCl4 20mlを加え、90℃に昇温してn−ブチルフタレート27mlを加え、更に115℃に昇温し、攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、90℃のトルエン100mlで2回洗浄し、新たにTiCl4 20ml及びトルエン80mlを加え、115℃において攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後、反応生成物を40℃のn−ヘプタン200ミリで10回洗浄した。得られた固体触媒成分を中のチタン含有率を測定したところ、2.61質量%であった。
三塩化チタン(東ソー・アクゾ社製)を窒素雰囲気下で2.0g採取し、ヘプタン200mlに窒素雰囲気下で懸濁させ、チタン触媒成分を調製した。
(1)アルミニウムオキシ化合物の調製
メチルアルミノキサンのトルエン溶液(1.27mol/L,アルベマール社製)1000mlを減圧下(約2660Pa)、60℃で溶媒を留去した。その後、75℃で減圧下(約266Pa)で4時間保持した後、室温まで降温し、ドライアップしたメチルアルミノキサンを得た。
このドライアップメチルアルミノキサンに脱水トルエンを投入し、再溶解させ溶媒を留去する前の容量にもどし、1H−NMRによりメチルアルミノキサン中のトリメチルアルミニウムを定量した結果2.3質量%であった。この溶液を48時間静置し、不溶成分を沈降させた。溶液部分をG5ガラスフィルターでろ過し、トルエン可溶のメチルアルミノキサンを得た。一部サンプリングし、減圧下で固体成分を分離し、その質量から算出したトルエン可溶メチルアルミノキサンの濃度は0.8mol/Lであった。
(2)担体の調製と担持メチルアルミノキサンの調製
SiO2(富士シリシア株式会社製,平均粒子径40μm)70gを140℃で15時間、微量窒素気流下で乾燥させた。乾燥SiO2を9.4g秤量し、脱水トルエン200mlに投入した。窒素雰囲気下、攪拌しながら0℃に温度を一定とした後、上記(1)で調製したメチルアルミノキサンのトルエン溶液196mlを40分間かけて滴下した。滴下終了後、室温まで温度を上げこの状態で30分間反応させ、更に65℃で3時間反応させた。反応終了後、60℃に保持し、固体成分を脱水トルエン200mlで2回、脱水ヘプタン200mlで2回洗浄し、50℃で減圧乾燥して17.1gのSiO2担持メチルアルミノキサンを得た。再度、脱水ヘプタンを投入して、0.5mol/Lの濃度に調整した。
(3)メタロセン担持触媒成分の調製
50mlのシュレンク管を乾燥し、窒素置換した後、乾燥ヘプタン10ml、上記(2)のSiO2担持メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2mmol加え、攪拌を開始した。これに、ラセミ−ジメチルシランジイル−ビス−1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)−ジルコニウムジクロリド[rac−SiMe2−(2−Me−4−Ph−Ind)2ZrCl2]をジルコニウム原子換算で2μmolを含むトルエン溶液1mlをゆっくり添加し、25℃で10分間反応させた。
以下のようにして、[(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを製造した。
シュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩の3.0g(6.97mmol)をTHF(テトラヒドロフラン)50mlに溶解し−78℃に冷却した。ヨードメチルトリメチルシラン2.1ml(14.2mmol)をゆっくりと滴下し室温で12時間撹拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mlを加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。分液後、有機相を乾燥し溶媒を除去して(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.88mmol)とエーテル50mlを入れた。−78℃に冷却し、n−BuLiのヘキサン溶液(1.54M、7.6ml(1.7mmol))を滴下した。室温に上げ12時間撹拌後、エーテルを留去した。得られた固体をヘキサン40mlで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06g(5.07mmol)を得た(収率73%)。1H−NMR(90MHz、THF−d8)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル);0.48(s,12H,ジメチルシリレン);
1.10(t,6H,メチル);2.59(s,4H,メチレン);3.38(q,4H,メチレン);6.2-7.7(m,8H,Ar-H)
1H−NMR(90MHz、CDCl3)による測定の結果は、以下のとおりである。
δ:0.0(s,18H,トリメチルシリル);1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン);2.51(dd,4H,メチレン);7.1-7.6(m,8H,Ar-H)
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.066mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタン原子換算で6.5μmol添加し、これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、20分間重合を行い、プロピレン重合体を製造した。この時点で少量の反応混合物を、測定に供するためサンプリングラインから採取し、メタノールで洗浄後、十分乾燥させ、極限粘度及び分子量分布(Mw/Mn)の測定を行った。プロピレン重合体の極限粘度は3.2dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
その後、3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、90分間重合を行った。重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]からなる変性前駆体組成物136gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.6dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.5であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[b]×100/([a]+[b])}は71.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.3質量%であった。
なお、極限粘度、分子量分布、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比及び熱パラキシレン不溶分は下記のようにして測定した。以下の実施例等においても同様である。
(1)極限粘度
135℃のデカリン中、ウベローデ型粘度計で比粘度(ηsp)を測定し、下記一般式(ハギンスの式)を用いて算出した。
ηsp/c=[η]+k[η]2C
ηsp/c(dl/g):還元粘度
[η](dl/g):極限粘度
C(g/dl)ポリマー濃度
k=0.35(ハギンス定数)
(2)分子量分布
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記の装置及び条件で、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。
検出器 :液体クロマトグラフィー用RI検出器 ウオーターズ 150C
カラム :TOSO GMHHR−H(S)HT
測定条件
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0ml/分
試料濃度 :0.3質量%
(3)プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}
反応器に導入された消費されたプロピレン量をマスフローセンサーで検出し、重合開始から終了までに消費されたプロピレン量を測定し、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の収量を決定し、[a]×100/([a]+[b])により求めた。
なお、プロピレン重合部[a]は,重合開始から3−ブテニル−スチレン投入直前までのマスフローセンサーによるプロピレン量であり、プロピレン共重合部[b]は,3−ブテニル−スチレン投入開始から重合終了までのマスフローセンサーによるプロピレン量である。
(4)熱パラキシレン不溶分
ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03mm,目開き0.034mm,空間率27.8%)で作製された籠に、サンプル(反応性前駆体組成物)50mgを入れ、攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコの攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2, 6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール)1gを含む700mlのパラキシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら、サンプルを溶解させた。熱パラキシレン不溶分が入った籠を回収し、十分に乾燥させ、秤量することにより熱パラキシレン不溶分量(メッシュ内残量)を求め、熱パラキシレン不溶分(質量%)を、以下の式により算出した。
熱パラキシレン不溶分=[メッシュ内残量(g)/仕込みサンプル量(g)]×100
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、製造例2で調製した触媒成分50mg及び有機アルミニウム化合物としてジエチルアルミニウムモノクロリド100mgを添加した。これに水素0.1MPa導入した。温度を60℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、40分間重合を行った。その後、3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、70分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]からなる反応性前駆体組成物42.6gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は3.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.2であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は44.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.2質量%であった。
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、上記製造例3で調製したメタロセン担持触媒成分をジルコニウム原子換算で1μmol添加し、25℃、0.2MPaのプロピレン圧で30分間予備重合した。次に温度を65℃に上昇させ、水素を40ml注入し、プロピレン圧0.65MPaで30分間重合を行った。3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、更に40分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物148gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は2.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.4であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を、微小ピークとして1640cm-1のα−オレフィン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。スチレン骨格の不飽和基の含有量は0.4mol%、α−オレフィン骨格の不飽和基の含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は63.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、脱気した後、水素0.2MPaを導入し、更に、プロピレンを導入し、重合温度80℃、全圧0.8MPaまで昇温、昇圧した。トリイソブチルアルミニウム0.5mmol、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート0.5μmol、上記製造例4で調製した(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド0.1μmolを加え、30分間重合を行った。更に3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、更に40分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し均一溶液の反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物125gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は0.32dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.2であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を、微小ピークとして1640cm-1のα−オレフィン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。スチレン骨格の不飽和基の含有量は0.4mol%、α−オレフィン骨格の不飽和基の含有量は0.2mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は63.3質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
実施例1において、3−ブテニル−スチレンに代えてジビニルベンゼン(新日鉄化学株式会社製、DVB810、純度81%、m/p混合体)を10mmol用いた以外は実施例1と同様にして、反応性前駆体組成物134gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.0であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.3mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は66.2質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0.4質量%であった。
実施例1において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレンを15mmol用いた以外は実施例1と同様にして、反応性前駆体組成物120gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.9であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.4mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は64.5質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
実施例4において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレンを10mmol用いた以外は実施例4と同様にして、反応性前駆体組成物130gを得た。
この変性前駆体組成物の極限粘度は0.33dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。また、赤外線吸収スペクトル観察の結果、1630cm-1にスチレン骨格の不飽和基に基づく吸収を認めた。その含有量は0.4mol%であった。プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は65.4質量%であった。熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
実施例1の反応性前駆体組成物5gを攪拌装置付のシュレンク反応管に採り、80℃、減圧下で1時間乾燥させた。これに脱水ヘプタン20mlを注入し、n−ブチルリチウム0.5mmolを含むヘキサン溶液を0.33ml添加し、室温下攪拌しながら30分間反応させた。攪拌を停止し、静置した後、ヘプタンを回収した。これにカルシウムハイドライドで脱水処理し、蒸留により精製したメチルメタアクリレート46.7mmolを含むトルエン溶液20mlを添加し、30℃で3時間攪拌しながら変性反応を行った。
反応終了後、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、変性反応組成物6.21gを得た。メチルエチルケトンにより、変性反応に関与しなかったMMA成分をソックスレー抽出により除去し、抽出残部の変性剤含有量を測定したところ8.4質量%であった。
この変性反応組成物の極限粘度は4.9dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.5、熱パラキシレン不溶分は0.5質量%であった。
実施例8において、実施例1の反応性前駆体組成物に代えて実施例6の反応前駆体組成物を用いた以外は実施例8と同様にして、変性反応組成物7.1gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は6.5質量%であった。また、極限粘度は4.5dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.8、熱パラキシレン不溶分は0質量%であった。
実施例8において、メチルメタクリレート46.7mmolを含むトルエン溶液20mlにトリイソブチルアルミニウム0.6mmolを添加し室温下20分間攪拌したものを用いた以外は実施例8と同様にして、変性反応組成物8.51gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は26.5質量%であった。また、極限粘度は4.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は7.0、熱パラキシレン不溶部は0.2質量%であった。
内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン600ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.1mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタニウム原子換算で10μmol添加し、これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇させ、プロピレン分圧を0.4MPaとして、60分間重合を行った(プロピレン重合部[a]の重合)。
その後、3−ブテニル−スチレン4mmolを含むヘプタン溶液20mlを、バランスラインを介してオートクレーブに投入し、133分間重合を行った(プロピレン共重合部[b]の重合)。ここで、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}は50質量%であり、供給モノマー量から算出した反応性前駆体組成物の収量は200gであった。
重合終了後、未反応ガスを除去し、室温下で液相部を抜き出し、脱水ヘプタン600mlを用いて2回、デカンテーション法により反応性前駆体組成物を洗浄した。これにn−ブチルリチゥム12.5mmolを添加し、30℃で30分間反応を行った。回収可能な未反応n−ブチルリチウムを除去するために、液相部を回収した。
カルシウムハイドライドで脱水処理し蒸留により精製したメチルメタクリレート88.8gを脱水トルエン200mlに溶解し、これにトリイソブチルアルミニウム12mmolを添加し20分間攪拌反応したものを全量リチウム処理した反応性前駆体組成物に投入し、攪拌しながら40℃で120分間反応させた。
反応終了後、冷却してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、変性反応組成物284gを得た。この変性反応組成物における変性剤含有量は17.8質量%であった。また、極限粘度は3.8dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.2、熱パラキシレン不溶部は0.1質量%であった。
実施例11において、3−ブテニル−スチレンに代えて3−ブテニル−α−メチルスチレン11mmolを用い、プロピレン重合部[a]の重合時間を54分、プロピレン共重合部[b]の重合時間を131分とし、プロピレン重合部[a]とプロピレン共重合部[b]の比{[a]×100/([a]+[b])}を50質量%とし、供給モノマー量から算出した反応性前駆体組成物の量を200gとした以外は実施例11と同様にして、変性反応組成物288gを得た。
この変性反応組成物における変性剤含有量は15.7質量%であった。また、極限粘度は3.7dl/g、分子量分布(Mw/Mn)は6.5、熱パラキシレン不溶部は0質量%であった。
(1)反応性前駆体組成物の製造
実施例1において、プロピレンの単独重合を実施しない以外は実施例1と同様にして反応性前駆体を製造した。すなわち、内容積1.6Lのステンレス鋼製耐圧オートクレーブに脱水ヘプタン400ml、トリイソブチルアルミニウム2.0mmol、ジシクロペンチルジメトキシシラン0.066mmolを投入し、10分間室温で攪拌した。これに上記製造例1で調製した固体触媒成分をチタニウム原子換算で6.5μmol添加し、更に3−ブテニル−スチレン11.8mmolを含むヘプタン溶液20mlを投入した。これに水素0.015MPa導入した。温度を70℃に上昇し、プロピレン分圧を0.4MPaとして、90分間重合を行った。
重合終了後、冷却脱圧してオートクレーブを開放し、反応混合物を大量のメタノールに投入し、ろ過後、メタノール洗浄を2回行った。次いで、風乾した後、80℃で減圧乾燥させ、反応性前駆体組成物70.2gを得た。この反応性前駆体組成物の熱パラキシレン不溶分は6.7質量%であった。
(2)メチルメタクリレート(MMA)を用いた変性反応組成物の製造
上記(1)で製造した反応性前駆体組成物5gを用いること以外は実施例8と同様にして、MMA変性反応組成物6.1gを得た。メチルエチルケトンにより、変性反応に関与しなかったMMA成分をソックスレー抽出により除去し、抽出残部の変性剤含有量を測定したところ9.5質量%であった。
この変性反応組成物の熱パラキシレン不溶分は30.5質量%であった。極限粘度、分子量分布は、多量の不溶分が存在するため、測定することができなかった。
ポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)3847.5g、ポリメチルメタクリレート(広島和光株式会社製)416.2g、実施例11で得られた変性反応組成物236.3g及びフェノール系酸化防止剤イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)4.5gを予め十分に混合しておき、スクリュー径32mmの二軸押出機TEX−30(株式会社日本製鋼所製)により、シリンダー設定温度200℃、回転数300回転/分、押出量30kg/時間の条件で混練し、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
なお、樹脂組成はJ3000GV/PMMA=90/10(質量比)に対して真の変性反応組成物が4.5質量%となるよう、変性反応組成物中の未反応PMMA量を補正して仕込み組成を決定した。ここで、真の変性反応組成物は,変性組成物中に存在するグラフト反応に関与しなかったポリメチルメタクリレートを差し引いたものである。このグラフト反応に関与しなかったポリメチルメタクリレートと後に添加するポリメチルメタクリレートの量が10質量部となり、真の変性反応組成物が4.5質量%となるように、ポリプロピレン、後に添加するポリメチルメタクリレート及び変性反応組成物の各混合量を調整した。
JIS K7202に準拠して、射出成形試験片を作製し、曲げ弾性率を測定した。
(2)引張り強度及び引張り伸び
JIS K7113に準拠して、射出成形試験片を作製し、引張り強度及び引張り伸びを測定した。
(3)耐衝撃強度
JIS K7110に準拠して、射出成形試験片を作製し、23℃及び−20℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
実施例13において、実施例11で得られた変性反応組成物に代えて実施例12で得られた変性反応体組成物248.7gを用い、PMMAの使用量を404.3gとした以外は実施例13と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を上記の方法により測定した。結果を表1に示す。
実施例13において、実施例11で得られた変性反応組成物を用いず、ポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)4050gとPMMA450g(質量比90/10)を用いたた以外は実施例13と同様にして、ポリオレフィン系樹脂組成物のペレットを製造した。得られた組成物の物性を上記の方法により測定した。結果を表1に示す。
試料Aは、実施例11の変性反応組成物を、熱プレスにより厚み40μmのシートに成形して作製した。試料Bは、実施例11の変性反応組成物0.5gに98質量%硫酸10ml加え、室温で48時間加水分解し、これを氷浴に投入し、十分に水洗し、乾燥させたものを、熱プレスにより厚み40μmのシートに成形して作製した。これらのシートについて、下記の方法により接着強度を評価した。結果を表2に示す。
<接着強度評価>
シートを10mm×10mmに切断したものをアルミニウム板(幅10mm、長さ80mm、厚さ0.3mm)の一端に乗せ、アルミニウム側を230℃に加熱して、溶融密着した。これにポリプロピレン(出光興産株式会社製、J3000GV)からなるシート(幅10mm、長さ80mm、厚さ2mm)を重ね、熱プレス機を用いて60秒間予熱した後、0.5MPaの圧力で10秒間圧着した。各試料の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を240℃、ポリプロピレン側を150℃に設定した。この接着試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度50mm/分で引張剪断接着強さ試験を行なった。測定には株式会社島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用い、破壊するまでの最大荷重から引張剪断接着強さを求めた
Claims (8)
- エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上を、(A)周期律表第4族の遷移金属化合物を含む触媒成分及び(B)有機アルミニウム化合物を含有する触媒の存在下で重合してオレフィン系重合体[a]を製造した後、引き続き、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上と多官能モノマーとを共重合してオレフィン系共重合体[b]を製造することで、オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]とを含み、以下の(A1)〜(A3)の要件を満足する反応性前駆体組成物を製造し、引き続き、該反応性前駆体組成物を、(i)アクリル誘導体、(ii)スチレン及びスチレン誘導体、(iii)ハロゲン化ビニル類、(iv)ビニルピリジン類、(v)メタアクロイル化合物、(vi)ジエン類、(vii)ビニルエステル類、(viii)ケトン類、(ix)エーテル類、(x)オレフィン類、(xi)含珪素類及び(xii)α,β−置換不飽和化合物から選ばれる一種以上の変性剤と、ラジカル開始剤及びアニオン開始剤から選ばれる触媒の共存下に変性反応を行うことで、以下の(B1)〜(B3)の要件を満足する変性反応組成物を製造する、変性反応組成物の製造方法。
(A1)反応性前駆体組成物において、オレフィン系重合体[a]とオレフィン系共重合体[b]の合計量に対するオレフィン重合体[b]の質量百分率が5〜95質量%である。
(A2)反応性前駆体組成物の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(A3)反応性前駆体組成物の熱パラキシレン不溶分が1質量%以下である。
(B1)変性反応組成物の、デカリン中135℃で測定した極限粘度[η]が0.01〜10dl/gである。
(B2)変性反応組成物の熱パラキシレン不溶分が2質量%以下である。
(B3)変性反応組成物において、変性剤の含有量が0.1〜50質量%である。 - 多官能モノマーが、スチレン骨格、α−オレフィン骨格及び環状オレフィン骨格から選ばれる骨格を少なくとも2個有する不飽和化合物又はジビニルベンゼンである、請求項1に記載の変性反応組成物の製造方法。
- (A)周期律表第4族の遷移金属化合物を含む触媒成分が、シクロペンタジエニル骨格を有する遷移金属化合物、キレート化合物及び下記一般式(A−1)
MR11 aR12 bR13 cR14 d (A−1)
(式中、Mは周期律表第4族の金属元素を示し、R11,R12,R13,及びR14はそれぞれ独立にσ結合性の配位子、キレート性の配位子、ルイス塩基から選ばれる配位子を示し、R11,R12,R13,及びR14は同一であっても異なっていてもよい。a,b,c及びdは0〜4の整数である。)
で表される化合物から選ばれる一種以上を含む触媒成分である、請求項1又は2に記載の変性反応組成物の製造方法。 - (A)周期律表第4族の遷移金属化合物を含む触媒成分が、(2A)三塩化チタン化合物、または(3A)チタン、マグネシウム及びハロゲン元素を必須成分として含む触媒成分である、請求項1又は2に記載の変性反応組成物の製造方法。
- 変性剤をルイス酸との接触混合物として用いる、請求項1〜4のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
- 変性剤が、(i)アクリル誘導体、(v)メタアクロイル化合物、(x)オレフィン類及び(xii)α,β−置換不飽和化合物から選ばれる一種以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
- 前記のエチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる一種以上が、プロピレン単独重合体又はプロピレン単位を50mol%以上含有するオレフィン系重合体である、請求項1〜6のいずれかに記載の変性反応組成物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法によって得られる変性反応組成物を含有する接着剤。
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