JP5330814B2 - インクジェット記録用水系インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット記録用水系インク、及びその水系インクを用いるインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録部材に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録部材として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため普及が著しい。
インクジェット記録方式においては、インク液滴の吐出に付随してインクミストが発生し、このインクミストが記録ヘッドの吐出口面に付着して液溜りを生ずるおそれがある。この液溜りは、インク液滴の吐出不良を引き起こし、記録媒体への着弾位置がずれ、画像品位の低下を招くという問題がある。
この問題を改善するため、インクジェット記録装置においては、記録ヘッドの吐出口面に付着したインクミストや塵埃等をゴム製のブレードで拭き取るワイピング処理操作が行われている。また、ワイピング処理操作の効果を高めるために、吐出口面にインク撥水膜を形成することが行われている。
インク撥水膜の形成方法としては、共析メッキ法や、フッ素系樹脂を吐出口面にコーティングし、熱処理等の硬化処理を行う方法(例えば、特許文献1参照)等が知られている。共析メッキ法では、インクに含まれる界面活性剤により長期間印字させると品質低下が起きる場合があり、フッ素系樹脂コーティング法では、共析メッキ法に比べて撥水膜の硬さが弱いという問題がある。
一方、特許文献2には、印字濃度、吐出性等の改善を目的として、カーボンブラックを含む水不溶性ポリマー粒子のインクジェット記録用水分散体であって、該カーボンブラックが、pH1〜5のカーボンブラック(A)とpH7〜11のカーボンブラック(B)とを含む水分散体が記載されている。
また、特許文献3には、光沢性、写像性の改善を目的として、カーボンブラックを含有する水不溶性架橋ポリマー粒子の水分散体であって、該カーボンブラックのDBP吸油量が40〜90ml/100gであり、該水不溶性架橋ポリマー粒子の平均粒子径が95nm以下である、インクジェット記録用水分散体が開示されている。
しかしながら、インク吐出口面にフッ素系樹脂からなる撥水膜を有する記録ヘッドを用いて、特許文献2及び3のようなカーボンブラックを含むインクを使用すると、ワイピング処理操作時に撥水膜が磨耗して、撥水機能が低下するという問題があった。
特開平2−55140号公報 特開2006−111691号公報 特開2008−120948号公報
本発明は、インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置を用いて印刷しても、インク吐出口面の撥水機能低下の問題を生じず、撥水膜の耐久性に優れ、かつ優れた印字濃度を有するインクジェット記録用水系インク、及びその水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定のDBP給油量を有するチャンネルブラックを、架橋ポリマー粒子に含有させた水系インクを用いることにより、前記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置用の水系インクであって、チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子を含み、かつ該チャンネルブラックのDBP給油量が120〜180ml/100gである、インクジェット記録用水系インク。
(2)前記(1)の水系インクを用いるインクジェット記録方法。
本発明によれば、インク吐出口面にフッ素系樹脂からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置を用いて印刷しても、インク吐出口面の撥水機能低下の問題を生じず、撥水膜の耐久性に優れ、かつ優れた印字濃度を有するインクジェット記録用水系インク、及びその水系インクを用いるインクジェット記録方法を提供することができる。
本発明のインクジェット記録用水系インクは、インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置用の水系インクであって、チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子を含み、かつ該チャンネルブラックのDBP給油量が120〜180ml/100gであることを特徴とする。
以下、本発明に用いられる各成分、構成要素について説明する。
〔チャンネルブラック〕
カーボンブラックは、その製造方法の違いにより、一般にファーネスブラック、チャンネルブラック、デグサガスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が知られているが、それらの特性は大きく異なる。
本発明で用いられるカーボンブラックは、チャンネルブラックであり、ストラクチャー(一次凝集性)が高いものが好ましい。
本発明においてはチャンネルブラックを用いるが、本発明の目的を損なわない範囲内で、ファーネスブラック等の他のカーボンブラックを併用することができる。具体的には、チャンネルブラックを、カーボンブラックの全使用量のうち51重量%以上用いることが好ましく、80重量%以上用いることがより好ましく、90重量%以上用いることが更に好ましく、実質100重量%が特に好ましい。
チャンネルブラックが好ましい性能を示す理由は明らかではないが、製造時に表面に酸素を含む基を形成しながら凝集体を形成するためではないかと考えられる。
これは、チャンネルブラックが、ファーネスブラック等のように完全に密閉された系ではなく、空気中で多数の小さな拡散炎が燃える大気開放系で操作され、冷却面に析出するため、空気が自由にアクセスできる結果、表面に酸素を含む基が形成されると考えられる。
カーボンブラック協会発行のカーボンブラック便覧の200頁、6.1.4、「表面成長」に記載されているように、カーボンブラックの形成は核に相当する粒子の形成とその粒子状への表面成長の2段階で進行する。
チャンネルブラックは、この表面成長の段階において空気中の酸素を取り込みながら表面成長しているため、粒子表面が多孔性であり、粒子表面が比較的平滑なファーネスブラック等に比べ、一次粒子(一次凝集体)間の結合力が、弱くなっているのではないかと考えられる。この一次粒子間の結合力が弱いことが、インクの付着したインクジェットヘッドの撥水膜をワイピング処理操作する際に、インク中の粒子に応力が集中しても、凝集体が解れて応力を弱め、撥水膜を摩耗させにくくすると考えられる。
チャンネルブラックは、オゾン、硝酸、過酸化水素、窒素酸化物等の酸化剤を使用する気相又は液相酸化法、又はプラズマ処理等の表面改質法により酸化処理することもできる。
チャンネルブラックとしては、いわゆる自己分散型チャンネルブラックを用いることもできる。自己分散型チャンネルブラックとは、アニオン性親水基又はカチオン性親水基の1種以上を直接又は他の原子団を介してチャンネルブラックの表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能であるチャンネルブラックを意味する。ここで、アニオン性親水基としては、特にカルボキシル基(−COOM1)、スルホン酸基(-SO31)が好ましく(式中、M1は、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムである)、カチオン性親水基としては、第4級アンモニウム基が好ましい。
チャンネルブラックのDBP吸油量は、撥水膜を摩耗させにくくする観点から、好ましくは120〜180ml/100g、より好ましくは125〜170ml/100gである。なお、DBP吸油量は、チャンネルブラック100g当たりのDBP(フタル酸ジブチル)の吸収量であり、JIS K6221の吸油量A法に準拠して測定されるものである。DBP吸油量の値は、チャンネルブラックの空隙率と正の相関があり、チャンネルブラックの嵩高さを間接的に示すものである。
チャンネルブラックのpHは、撥水膜の耐久性の観点から、好ましくは2〜5、より好ましくは2.5〜4.5である。なお、PHは、DIN EN ISO 787/9に準拠して測定されるものである。
チャンネルブラックの揮発分は、保存安定性の観点から、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは3〜15重量%、更に好ましくは3〜10重量%である。なお、揮発分は、DIN 53552に準拠して測定されるものである。
チャンネルブラックの平均粒径は、印字濃度を高める観点から、好ましくは8以上25nm未満、より好ましくは10〜22nmである。なお、平均粒径は電子顕微鏡を用いて計測された100個の長径の平均値である。
チャンネルブラックの市販品例としては、デグサ社製のNipex180IQ(DBP吸油量:160ml/100g、pH:4.5、揮発分:5重量%、平均粒径15nm)、Special Black 5(DBP吸油量:150ml/100g、pH:3、揮発分:15重量%、平均粒径20nm)、Color Black FW200(DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5、揮発分:20.0重量%、平均粒径13nm)、Color Black FW2(DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5、揮発分:16.5重量%、平均粒径13nm)、Color Black FW2V(DBP吸油量:150ml/100g、pH:2.5、揮発分:16.5重量%、平均粒径13nm)、Color Black FW1(DBP吸油量:170ml/100g、pH:4.5、揮発分:5.0重量%、平均粒径13nm)、Color Black FW6(DBP吸油量:160ml/100g、pH:2.5、揮発分:18.0重量%、平均粒径17nm)、Color Black S 170(DBP吸油量:150ml/100g、pH:4.5、揮発分:5.0重量%、平均粒径17nm)、Color Black S 160(DBP吸油量:150ml/100g、pH:4.5、揮発分:5.0重量%、平均粒径20nm)等が挙げられる。
〔ポリマー〕
本発明に用いられるチャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子は、チャンネルブラックを含有し、撥水層の耐久性の観点から用いられ、水不溶性ポリマーであることが好ましい。
水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させ、恒量に達した後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が好ましくは10g以下、より好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基の種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
かかるポリマーとしては、塩生成基含有モノマー(a)(以下「(a)成分」ともいう)由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(b)(以下「(b)成分」ともいう)由来の構成単位、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステル(c)(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位、及び下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)(以下「(d)成分」ともいう)由来の構成単位から選ばれる1種以上の構成単位とから本質的になるポリマーが好ましい。
本発明の水系インクを、インク吐出口面にフッ素系樹脂からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置用として用いると、インク吐出口面にポリマーが付着したとしても、該ポリマーがインク吐出口面から剥がれ易いのでワイピング処理操作により除去し易く、また、撥水膜の撥水機能を低下させる問題を抑制できる。
CH2=C(R1)COO(R2O)q3 (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2又は3の炭化水素基、R3は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
ここで「本質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲、好ましくは1重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.1重量%以下で、他のモノマー成分由来の構成単位を有していてもよいが、他のモノマー成分由来の構成単位を有さないことが好ましいことを意味する。
このポリマーは、(a)成分と、(b)成分、(c)成分及び(d)成分から選ばれる1種以上の成分とを含むモノマー混合物(以下「モノマー混合物」ともいう)を共重合させることにより得ることができる。
((a)塩生成基含有モノマー)
(a)塩生成基含有モノマーは、得られる分散体の分散安定性を高める観点から用いられる。塩生成基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基、アミノ基、アンモニウム基等が挙げられ、特にカルボキシ基が好ましい。
塩生成基含有モノマーとしては、カチオン性モノマー、アニオン性モノマー等が挙げられる。その例として、特開平9−286939号公報段落〔0022〕等に記載されているもの等が挙げられる。
カチオン性モノマーの代表例としては、不飽和アミン含有モノマー、不飽和アンモニウム塩含有モノマー等が挙げられる。これらの中では、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(N',N’−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びビニルピロリドンが好ましい。
アニオン性モノマーの代表例としては、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイルオキシシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記アニオン性モノマーの中では、チャンネルブラックを含有するポリマー粒子の分散体の分散安定性、インクの吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
((b)(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー)
(b)(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(以下、単に「(b)マクロマー」ともいう)は、ポリマー粒子がチャンネルブラックを含有した場合に、ポリマー粒子の分散安定性を高める観点から用いることができる。(メタ)アクリル酸エステル系マクロマーとは、マクロマーの片末端に存在する重合性官能基として、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を有するものを意味する。
(b)マクロマーとしては、数平均分子量500〜100,000、好ましくは1,000〜10,000の重合可能な不飽和基を有するモノマーであるマクロマーが挙げられる。なお、(b)マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロマーの中では、ポリマー粒子の分散安定性等の観点から、片末端に前記重合性官能基を有する、スチレン系マクロマー、及び芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーが挙げられる。
スチレン系マクロマーとしては、スチレン系モノマー単独重合体、又はスチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。スチレン系モノマーとしては、スチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、クロロスチレン等が挙げられる。
芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマーとしては、芳香族基含有(メタ)アクリレートの単独重合体又はそれと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数7〜22、好ましくは炭素数7〜18、更に好ましくは炭素数7〜12のアリールアルキル基、又は、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、更に好ましくは炭素数6〜12のアリール基を有する(メタ)アクリレートであり、ヘテロ原子を含む置換基としては、ハロゲン原子、エステル基、エーテル基、ヒドロキシ基等が挙げられる。例えばベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート等が挙げられ、特にベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、共重合される他のモノマーとしては、下記式(2)で表されるアクリロニトリル系モノマー等が好ましい。
Figure 0005330814
(式中、x、yは平均付加モル数を示し、x/y=6/4〜10/0である。)
スチレン系マクロマー中におけるスチレン系モノマー、又は芳香族基含有(メタ)アクリレート系マクロマー中における芳香族基含有(メタ)アクリレートの含有量は、チャンネルブラックとの親和性を高める観点から、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
(b)マクロマーは、オルガノポリシロキサン等の他の構成単位からなる側鎖を有するものであってもよい。この側鎖は、例えば下記式(3)で表される片末端に重合性官能基を有するシリコーン系マクロマーを共重合することにより得ることができる。
CH2=C(CH3)-COOC36-〔Si(CH32O〕t-Si(CH33 (3)
(式中、tは8〜40の数を示す。)。
(b)マクロマーとして商業的に入手しうるスチレン系マクロマーとしては、例えば、東亜合成株式会社の商品名、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)等が挙げられる。
((c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステル)
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステルは、保存安定性を高める観点から用いることができる。
(c)(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数1〜18、より好ましくは炭素数1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。
その具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸(イソ)プロピル、(メタ)アクリル酸(イソ又はtert−)ブチル、(メタ)アクリル酸(イソ)アミル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸(イソ)オクチル、(メタ)アクリル酸(イソ)デシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ドデシル、(メタ)アクリル酸(イソ)ステアリル等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸アリールエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の炭素数6〜22、好ましくは炭素数6〜18、より好ましくは炭素数6〜12のアリール基、アリールアルキル基、アルコキシ基を有していてもよい(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はtert−)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を含むことを意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を示す。
上記の中では、チャンネルブラックへの吸着力を高め、インクのより高い保存安定性と印字濃度を得る観点から、(メタ)アクリル酸アリールエステルが好ましく、メタクリル酸ベンジルがより好ましい。
((d)(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル)
本発明で用いられるポリマーは、チャンネルブラックが該ポリマーに含有された後のチャンネルブラックを含有するポリマー粒子の分散体の安定性を補助し、インクの吐出安定性を高めるという観点から、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)由来の構成単位を有することが好ましい。
CH2=C(R1)COO(R2O)q3 (1)
(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2又は3の炭化水素基、R3は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
1の具体例としては、エチレン基、トリメチレン基、又はプロパン−1,2−ジイル基等挙げられる。qは平均付加モル数を意味し、好ましくは7〜30であり、より好ましくは8〜23である。qが2以上の場合、R2は同一でも異なっていてもよく、ブロック付加、ランダム付加のいずれであってもよい。
3は、好ましくは炭素数3〜22、より好ましくは炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基、(イソ又はtert−)ブチル基、(イソ)アミル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、(イソ)オクチル基、(イソ)デシル基、(イソ)ドデシル基、(イソ)ステアリル基、ベヘニル基等が挙げられる。
但し、平均付加モル数qが4以下の場合、インクの吐出安定性及び保存安定性の観点から、R3は炭素数3〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましい。
(d)成分の好適例としては、末端にアルキル基を有するポリエチレングリコール(n=2〜30、nはアルカンジイルオキシ基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、末端にアルキル基を有するポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、末端にアルキル基を有するポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。
特に好適な具体例としては、2−エチルヘキシロキシポリエチレングリコール(n=4)メタクリレート、2−エチルヘキシロキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=9)メタクリレート等が挙げられる。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社の単官能性アクリレートモノマー(NKエステル)EH−4E、EH−9E、M−90G、日本油脂株式会社のブレンマーシリーズ、50PEP−300、50POEP−800B等が挙げられる。
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
ポリマー製造時における、上記(a)〜(d)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量。以下同じ)又は水不溶性ポリマー中における(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは2〜30重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
(b)成分の含有量は、チャンネルブラックとの相互作用を高める観点から、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは5〜20重量%である。
(c)成分の含有量は、光沢性及び写像性の観点から、好ましくは5〜98重量%、より好ましくは10〜60重量%である。
(d)成分の含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは5〜40重量%、より好ましくは7〜35重量%である。
モノマー混合物中における〔(a)成分+(d)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは20〜60重量%である。〔(b)成分+(c)成分〕の合計含有量は、得られる分散体の分散安定性の観点から、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
また、〔(a)成分/[(b)成分+(c)成分]〕の重量比は、光沢性及び写像性の観点から、好ましくは0.02〜0.8、より好ましくは0.03〜0.6、更に好ましくは0.05〜0.5である。
(a)成分と(c)成分との重量比[(a)/(c)]は、分散安定性と吐出安定性との両立の観点から、好ましくは0.1〜0.8、より好ましくは0.2〜0.5である。
(b)成分と(c)成分との重量比[(b)/(c)]は、吐出安定性と印字濃度との両立の観点から、好ましくは0.05〜0.5、より好ましくは0.1〜0.4である。
(ポリマーの製造)
本発明で用いられるポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、モノマー混合物を共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒としては極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、例えば、炭素数1〜3の脂肪族アルコール;炭素数3〜8のケトン類;酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの中では、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はこれらの1種以上と水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加してもよい。
モノマー混合物の重合条件は、使用するラジカル重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるので一概には決定することができない。通常、重合温度は、好ましくは30〜100℃、より好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、好ましくは1〜20時間である。また、重合雰囲気は、窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
ポリマーの重量平均分子量は、印字濃度、チャンネルブラックの分散安定性の観点から、5,000〜50万が好ましく、1万〜40万がより好ましく、1万〜30万が更に好ましく、2万〜30万が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、実施例で示す方法により測定する。
前記ポリマーは、(a)塩生成基含有モノマー由来の塩生成基を有している場合は中和剤により中和して用いる。中和剤としては、ポリマー中の塩生成基の種類に応じて、酸又は塩基を使用することができる。例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、乳酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グリセリン酸等の酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、アルキルアミン、アルカノールアミン等の塩基が挙げられる。
塩生成基の中和度は、10〜200%であることが好ましく、さらに20〜150%、特に50〜150%であることが好ましい。
ここで中和度は、塩生成基がアニオン性基である場合、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーの酸価(KOHmg/g)×ポリマーの重量(g)/(56×1000)]}×100
塩生成基がカチオン性基である場合は、下記式によって求めることができる。
{[中和剤の重量(g)/中和剤の当量]/[ポリマーのアミン価(HCLmg/g)×ポリマーの重量(g)/(36.5×1000)]}×100
酸価やアミン価は、ポリマーの構成単位から、計算で算出することができる。または、適当な溶剤(例えばメチルエチルケトン)にポリマーを溶解して、滴定する方法でも求めることができる。ポリマーの酸価又はアミン価は、50〜200が好ましく、50〜150が更に好ましい。
〔架橋ポリマー〕
チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子に用いられる架橋ポリマーとしては、ポリマーの分子中に架橋性基を導入した自己架橋ポリマー、互いに反応しうる官能基を持つ2種以上のポリマーを反応して得られる架橋ポリマー、ポリマーを架橋剤で架橋して得られる架橋ポリマー等が挙げられるが、ポリマーを架橋剤で架橋して得られる架橋ポリマーが好ましい。
架橋剤で架橋を行う前のポリマーは、架橋剤と反応しうる反応性基(架橋性官能基)を有し、該反応性基としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等のアニオン性基、アミノ基、水酸基、イソシアネート基、エポキシ基等が挙げられる。該反応性基を有するポリマーは、前記ポリマーの製造において、該反応性基を有するモノマーを含む重合性モノマー組成物を共重合することによって製造することができる。
該反応性基を有するモノマーとしては、前述の塩生成基含有モノマー、水酸基含有モノマーを用いることが好ましい。
本発明の架橋ポリマーは、架橋ポリマー1g当たり、塩基で中和されたカルボキシ基等のアニオン性基を0.5mmol/g以上含有することがインクの保存安定性の観点から好ましい。該アニオン性基の量は、好ましくは0.5〜5mmol/g、より好ましくは0.7〜3mmol/g、より好ましくは0.7〜2mmol/g、更に好ましくは0.7〜1.5mmol/g、更に好ましくは1.0〜1.5mmol/gである。
〔架橋剤〕
架橋剤としては、分子中に2以上の反応性官能基を有する化合物が好ましく用いられる。架橋剤の分子量は、架橋ポリマー粒子の保存安定性の観点から、120〜2000が好ましく、150〜1500がより好ましく、150〜1000が更に好ましい。
架橋剤に含まれる反応性官能基の数は、分子量を制御して保存安定性を向上する観点から、2〜6が好ましい。反応性官能基としては、水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシ基、オキサゾリン基、及びイソシアネート基からなる群から選ばれる1以上が好ましく挙げられる。
架橋剤は、効率よくポリマーを表面架橋する観点から、25℃の水100gに溶解させたときの溶解量が好ましくは50g以下、より好ましくは40g以下、更に好ましくは30g以下ものが好適である。
架橋剤としては、分子中に2以上の水酸基、エポキシ基、アルデヒド基、アミノ基、カルボキシ基、オキサゾリン基、又はイソシアネート基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、ポリマーの反応性基がカルボキシ基等のアニオン性基の場合は、架橋剤は分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物が好ましい。
分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールA型ジグリシジルエーテル等のポリグリシジルエーテルが挙げられ、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルがより好ましい。
架橋剤の使用量は、〔架橋剤/ポリマー〕の重量比で0.3/100〜50/100が好ましく、0.3/100〜35/100がより好ましく、2/100〜30/100がより好ましく、5/100〜25/100が更に好ましく、5/100〜20/100が更に好ましい。
また、架橋剤が、ポリマーのアニオン性基と反応する官能基を有するものであって、該ポリマー1g当たりのアニオン性基量換算での架橋剤の使用量が、該ポリマーのアニオン性基0.1〜3mmol/gと反応する量であることが好ましく、0.4〜2.5mmol/gと反応する量であることがより好ましく、0.7〜2.5mmol/gと反応する量であることがより好ましく、0.7〜2.0mmol/gと反応する量であることが更に好ましく、0.7〜1.5mmol/gと反応する量が更に好ましい。
〔チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子の製造〕
チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子は水分散体の形態で製造することが好ましく、その方法に特に制限はないが、下記工程I、II及びIIIを有する方法によれば効率的に製造することができる。
工程I:水不溶性ポリマー、チャンネルブラック、有機溶媒、及び水を含有する混合物を分散処理して、分散体を得る工程
工程II:工程Iで得られた分散体から有機溶媒を除去して、水分散体を得る工程
工程III:工程IIで得られた水分散体と架橋剤とを反応させて、架橋水不溶性ポリマーを含有する水分散体を得る工程
(工程I)
工程Iでは、まず、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次にチャンネルブラック、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。工程Iで得られる分散体中、チャンネルブラックは、5〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、有機溶媒は、10〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、ポリマーは、2〜40重量%が好ましく、3〜20重量%がより好ましく、水は、10〜70重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。
ポリマーが塩生成基を有する場合は中和剤を用いることが好ましいが、中和度に特に制限はない。最終的に得られる水分散体の液性がpHが3.5〜11であることが好ましく、pHが4.5〜10であることがより好ましい。ポリマーの望まれる中和度により、pHを決めることもできる。中和剤としては前記のものが挙げられる。また、ポリマーを予め中和しておいてもよい。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒等が挙げられる。有機溶媒は、水100gに対する溶解量が20℃において、5g以上のものが好ましく、10g以上のものがより好ましい。より具体的には該溶解量が5〜80gのものが好ましく、10〜50gのものがより好ましく、特にメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが好ましい。
工程Iにおける混合物の分散方法に特に制限はない。一度の分散処理だけでチャンネルブラックと水不溶性ポリマーとを含有する分散体を得ることもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、ポリマー粒子を得ることが好ましい。工程Iの分散温度は、5〜50℃が好ましく、10〜35℃がより好ましい。
混合物を予備分散させる際には、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー〔浅田鉄鋼株式会社、商品名〕、エバラマイルダー〔株式会社荏原製作所、商品名〕、TKホモミクサー〔プライミクス株式会社、商品名〕等の高速攪拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ビーズミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。これらの中では、チャンネルブラックの小粒子径化の観点から、高圧ホモジナイザーが好ましい。
工程Iで得られる分散体の平均粒径は、好ましくは40〜400nm、より好ましくは50〜300nm、更に好ましくは60〜200nmである。なお、平均粒径の測定は、実施例記載の方法により測定される。
(工程II)
工程IIでは、得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を留去して水系にすることで、チャンネルブラックとポリマーとを含有する水分散体を得ることができる。得られた水分散体中の有機溶媒は実質的に除去されている。残留有機溶媒の量は0.1重量%以下であることが好ましく、0.01重量%以下であることがより好ましい。
得られた水分散体は、チャンネルブラック及びポリマーが水を主媒体とする中に分散しており、チャンネルブラックの表面には、ポリマーが付着していることが好ましく、付着状態は、電子顕微鏡により確認することができる。また、水分散体中のチャンネルブラックに付着したポリマーの付着率は、実施例に記載の遠心分離法により求めることができる。
(工程III)
工程IIIでは、工程IIで得られた水分散体と架橋剤とを反応させて、水分散体中のポリマーを架橋して、架橋ポリマーを含有する水分散体を得る。
工程IIIを行うことによって、インク吐出口面の撥水機能の低下を抑制し、撥水膜の耐久性を高めると共に、インクの保存安定性、吐出信頼性を向上させることができる。この原因は明らかではないが、ポリマーを架橋することによって、チャンネルブラックからポリマーが剥がれてしまうことを防止するため、チャンネルブラック粒子による撥水層の摩耗が低減され、インク吐出口面の撥水機能の低下を抑制することができると考えられる。また、チャンネルブラック表面にポリマーが強固に付着するため保存安定性が向上し、さらにチャンネルブラックに吸着していないポリマーが減少するため、乾燥しやすい高温低湿度下でもインクジェット記録装置のインク吐出口面へのポリマー付着が低減し、吐出信頼性が向上すると考えられる。
ポリマーが架橋されると、該ポリマーがチャンネルブラックに付着した状態でゲル化するため、溶媒にも溶解しにくくなる。そこで、水分散体にメチルエチルケトン等の水不溶性ポリマーを溶解する溶媒を添加し、濾過、遠心分離、又は抽出等の手法によって、チャンネルブラックと溶媒可溶分の分離操作を行えば、水分散体の溶媒可溶分(ポリマー抽出量)は、架橋後の方が架橋前より減少することから、その架橋状態を確認することができる。
ポリマーの架橋方法としては、保存安定性、製造し易さの観点から、ポリマーを含有する水分散体と架橋剤とを混合して、ポリマーを架橋させる方法が好ましい。
用いる架橋剤により、触媒、溶媒、反応温度、反応時間等を適宜決定することができるが、架橋反応の温度は、好ましくは40〜95℃であり、架橋反応の時間は、好ましくは0.5〜10時間、更に好ましくは1〜5時間である。
架橋剤の使用量は、保存安定性及び吐出信頼性の観点から、ポリマー100重量部に対して、0.5重量部以上が好ましく、0.7重量部以上がより好ましく、0.85重量部以上がより好ましく、1重量部以上が更に好ましく、1.5重量部以上が更に好ましい。また、その上限は、保存安定性の観点から、9.5重量部以下が好ましく、8重量部以下がより好ましく、7.5重量部以下がより好ましく、7.0重量部以下が更に好ましく、6.5重量部以下が更に好ましく、6重量部以下が更に好ましい。これらの観点から、0.5〜9.5重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましく、0.7〜8重量部がより好ましく、0.85〜7.5重量部がより好ましく、1〜7.0重量部がより好ましく、1〜6.5重量部が更に好ましく、1.5〜6重量部が更に好ましい。
得られた水分散体は、チャンネルブラックと架橋ポリマーとが水を主媒体とする中に分散しており、チャンネルブラックの表面には、架橋ポリマーが付着しており、被覆されていることが好ましい。
ここで、分散の形態は特に制限はなく、例えば、(1)チャンネルブラックの表面に、架橋ポリマーが付着して、複数のチャンネルブラック粒子を包含する粒子を形成して分散されている形態、(2)チャンネルブラックが架橋ポリマーに内包されて分散されている形態、(3)架橋ポリマー粒子の表面にチャンネルブラックが露出して分散されている形態(4)チャンネルブラックの表面に架橋ポリマーが部分付着して分散されている形態等の混合形態が挙げられる。
ここで、下記式(3)から求められる架橋ポリマーの架橋率(モル%)は、インク吐出口面の撥水機能の低下を抑制する観点、及びインクの保存安定性の観点から、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜80モル%、更に好ましくは30〜60モル%である。架橋率は、架橋剤の使用量と反応性基のモル数、ポリマーの使用量と架橋剤の反応性基と反応できるポリマーの反応性基のモル数から計算で求めることができる値である。
架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (3)
式(3)において、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、使用する架橋剤の重量を反応性基の当量で除した値である。即ち、使用する架橋剤のモル数に架橋剤1分子中の反応性基の数を乗じたものである。
〔インクジェット記録用水系インク〕
本発明の水系インクは、前記の水分散体を含有し、必要により、湿潤剤、分散剤、消泡剤、防黴剤、キレート剤等の添加剤を添加することができる。これらの添加剤の混合方法に特に制限はない。
インクジェット記録用水系インク中の各成分の含有量は、印字濃度、インク吐出口面の撥水機能の低下を抑制し、またインクの保存安定性、吐出信頼性を向上させる観点から次のとおりである。
チャンネルブラックと架橋ポリマーとの合計含有量は、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは2〜25重量%である。
チャンネルブラックの含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
ポリマーの含有量は、好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
水の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜80重量%である。
水系インクにおける、前記分散形態のポリマー粒子の平均粒径は、吐出信頼性、分散安定性等の観点から、好ましくは40〜400nm、より好ましくは50〜300nm、更に好ましくは60〜200nmである。なお、平均粒径は、実施例記載の方法により測定される。
水系インクの粘度(20℃)は、良好な吐出性を維持するために、2〜12mPa・sが好ましく、2.5〜10mPa・sがより好ましい。なお、水系インクの粘度の測定は、E型粘度計を用いて、測定温度20℃、測定時間1分、回転数100rpm、標準ローター(1°34′×R24)使用の条件で測定する。
本発明の水系インクの好ましい表面張力(20℃)は、水系インクとしては、好ましくは25〜50mN/m、より好ましくは27〜45mN/mである。また、水系インクのpHは4〜10が好ましい。
〔インクジェット記録装置〕
本発明の水系インクは、インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置用として用いられる。
(フッ素系樹脂層からなる撥水膜)
フッ素系樹脂層からなる撥水膜は、公知の方法で製造することができ、通常0.1〜2μm程度の厚さを有する。
撥水膜を形成するフッ素系樹脂としては、特に制限はないが、4フッ化エチレン樹脂又はそのオリゴマー、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体樹脂、4フッ化エチレン−フッ化ビニルエーテル共重合体樹脂、主鎖にヘテロ環構造を含むパーフルオロ樹脂(パーフルオロシクロポリマー)、反応重合型フッ素樹脂組成物(パーフルオロ基含有エポキシ系樹脂組成物、パーフルオロ基含有ビニル系樹脂組成物等)、フルオロオレフィンとビニルエーテルとの交互共重合体(FEVE)、反応性オリゴマーと希釈モノマーからなる光ラジカル重合型フッ素樹脂組成物等が挙げられる。
より具体的には、デュポン社製のテトラフルオロエチレンとパーフルオロジメチルジオキソールの共重合樹脂(テフロン(登録商標)AF);旭硝子株式会社製のパーフルオロシクロポリマー(商品名:サイトップCT−805A)、パーフルオロ環状エーテル(商品名:CTソルブ100)、サイトップCTL−809M、CTX−CZ5A、サイトップCTL−810NM、ルミフロン;DIC株式会社製のフルオネート、DEFENSA;セントラル硝子株式会社製のセフラルコート;ダイキン硝子株式会社製のC−1;三井石化硝子株式会社製のトリフロン;ATOCHEM社製のKYNAR−SL/KYNAR−ADS;共重合櫛型フッ素ポリマー;綜研科学株式会社製のLF−40;信越化学株式会社製のフロロシリコン(KP801M)等が挙げられる。
(記録ヘッドの製造)
インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドも公知の方法により製造することができる。例えば、特開2002−355977号公報、特開2002−219797号公報等に記載の方法が挙げられる。
上記の記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置には、記録ヘッドの吐出口面を常に良好に保つための回復機構を備えている。回復機構は、吸引キャップと、ゴム製のブレードとを有し、吸引キャップは、記録を行わない時には記録ヘッドの吐出口面をキャッピングするとともに、吸引ポンプからの吸引力によって、ノズル内に溜まったインク等を吸い出す。ブレードは、その先端部で吐出口面をワイピングすることによって、吐出口面に付着したインクや塵埃等を除去する。ワイピング処理操作は、キャリッジが定期的にブレード上を移動することによって行われる。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量、ポリマー粒子の平均粒径の測定は以下の方法により行った。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを用いたゲルクロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。使用カラム:東ソー株式会社製(TSK-GEL、α-M×2本)、本体:東ソー株式会社製(HLC−8120GPC)、流速:1mL/minを用いた。
(2)チャンネルブラックを含有するポリマー粒子の平均粒径の測定
大塚電子株式会社のレーザー粒子解析システムELS−8000(キュムラント解析)を用いて測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力する。測定濃度は、約5×10-3重量%で行った。
製造例1(ポリマーの製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部、重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、及びモノマーとして、(a)メタクリル酸22部、(b)スチレンマクロマー(東亜合成株式会社、商品名AS−6S、数平均分子量6,000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基、固形分濃度50%)10部、(c)2−エチルヘキシルメタクリレート(三菱レイヨン株式会社、商品名アクリエステルEH)24部、(c)ベンジルメタクリレート44部のうちのそれぞれ10%ずつを入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、初期仕込みモノマー溶液を得た。
一方、滴下ロート中に、上記各モノマーの残りの90%ずつを仕込み、次いで前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及び重合開始剤(2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、滴下モノマー溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の初期仕込みモノマー溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の滴下モノマー溶液を3時間かけて徐々に反応容器内に滴下した。滴下終了後、その反応液の液温を75℃で2時間維持した後、前記重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を該反応液に加え、更に75℃で2時間、85℃で2時間熟成させ、反応終了とし、ポリマー溶液を得た。
得られたポリマー溶液を、減圧下、105℃で2時間乾燥させ、メチルエチルケトンを除去することによって単離した。得られたポリマーの重量平均分子量は90,000であった。
調製例1(チャンネルブラックを含有するポリマー粒子の水分散体の調製)
製造例1で得られたポリマー48部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に5N水酸化ナトリウム水溶液20.7部、及びイオン交換水230部を加えて攪拌し、次いで浅田鉄工株式会社製のウルトラディスパーに仕込み、ディスパー翼を用いて、2000rpmで10分間処理した後、チャンネルブラック(Degussa社製、商品名:Nipex180IQ、DBP吸油量:160ml/100g、pH:4.5、揮発分:5重量%)を75部加え、ディスパー翼を用いて、9000rpmで15℃で1時間処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加えて攪拌した後、60℃、減圧下でメチルエチルケトン及び一部の水を除去して、固形分濃度30%のチャンネルブラックを含有するポリマー粒子の水分散体を得た。
調製例2(チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子の水分散体の調製)
調製例1で得られた水分散体100gに、架橋率が28.7モル%となるように架橋剤(商品名:デナコールEX810、エチレングリコールジグリシジルエーテル、平均分子量:226、ナガセケムテックス株式会社製、エポキシ当量113)を0.921g加え、90℃で2時間攪拌を行った。得られた分散液を冷却し、5μmのフィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、富士フイルム株式会社製)を用いて濾過し、ボウショウ法で固形分濃度を測定した。得られた固形分濃度から、固形分濃度が20%になるように水分散体を撹拌しながらイオン交換水を添加して、チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子の水分散体を得た。
実施例1〔インクの製造〕
グリセリン7.7部、2−ピロリドン2.5部、エチレングリコール4部、トリメチロールプロパン4部、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(川研ファインケミカル株式会社、商品名:アセチレノールE100、平均付加モル数:10)0.5部、及びイオン交換水56.3部を混合し、室温で15分間攪拌して、混合溶液を得た。
次に、調製例2で得られたチャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子の水分散体25部(固形分換算5部、チャンネルブラック換算3部)をマグネチックスターラーで撹拌しながら、前記混合溶液を添加し、1.2μmのフィルター(アセチルセルロース膜、富士フイルム株式会社製)で濾過し、水系インクを得た(固形分濃度:20%、平均粒径110nm)。
比較例1〜5及び実施例2〔インクの製造〕
下記のチャンネルブラックを用意し、調製例1又は2と同様にして水分散体を調製し、表1に示す条件で、実施例1と同様にして水系インクを得た。
・Nipex180IQ:デグサ社製のチャンネルブラック(DBP吸油量:160ml/100g、pH:4.5、揮発分:5重量%、平均粒径15nm)
・Special Black 5:デグサ社製のチャンネルブラック(DBP吸油量:150ml/100g、pH:3、揮発分:15重量%、平均粒径20nm)、
・Printex U:デグサ社製のチャンネルブラック(DBP吸油量:110ml/100g、pH:4.5、揮発分:5.0重量%、平均粒径25nm)
・M880:キャボット社製のファーネスブラック(DBP吸油量:68ml/100g、pH:9、揮発分:1.5重量%、平均粒径17nm)
・M1100:キャボット社製のファーネスブラック(DBP吸油量:50ml/100g、pH:7、揮発分:1.5重量%、平均粒径14nm)
製造例1(スピンコート法による撥水膜層が形成された吐出ノズルプレート1の製造)
(1)吐出ノズルプレートの製造
厚み0.10mmのニッケル圧延材料(株式会社ニラコ製)をプレス加工して、口径0.032mmの吐出口が直線上に100穴形成されたノズルプレートを製造した。
(2)スピンコート法による撥水膜の形成
上記(1)で得られたノズルプレートの面上に、撥水膜をスピンコート法によって形成した。撥水膜の材料としては、サイトップCTL−809M(旭硝子株式会社製、cyclized perfluoro polymer(CPFP)の商品名)を選択し、スピンコーターにノズルプレートをバキューム吸着させた後に1000rpmで20秒及び2000rpmで0.5秒の条件でスピンコートを行い、
厚さ2μmの撥水膜を形成し、80℃で3分間のプリベークを行った。さらに、250℃で2時間の本焼成を行って撥水膜を硬化させ、撥水膜が設けられたノズルプレート1を得た。
得られたノズルプレート1の撥水膜の厚みを、KLA−Tencor社製の段差・表面あらさ・微細形状測定装置(アルファステップP−15)を用いて測定したところ、0.2μmであった。
製造例2(メッキ法による撥水膜が形成された吐出ノズルプレート2の製造)
製造例1(1)で得られたノズルプレートを、30重量%のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を含有する無電解めっき液(株式会社上村工業製、ニムフロンFRS、フッ素樹脂含有率32%)を空気攪拌によって撹拌しながらヒータで90℃±2℃に温度制御しためっき浴中に2分間浸漬した後、真空オーブン中において、340℃で3時間の本焼成を行って撥水膜を硬化させ、撥水膜が設けられたノズルプレート2を得た。メッキ法による撥水膜では、ニッケル層中にフッ素樹脂粒子が一部取り込まれ、て存在している。
得られたノズルプレート2の撥水膜6の厚みは、0.2μmであった。
次に、製造例1又は2で得られた撥水膜が形成された吐出ノズルプレートを装着した記録ヘッドをインクジェット記録装置に搭載し、実施例及び比較例で得られたインクを用いて、印字濃度、保存安定性、記録ヘッドの撥水膜耐久性及び濡れ性の測定、評価を以下のとおり行った。結果を表1に示す。
(1)印字濃度の測定
調製したインクを、インクカートリッジを介してインクジェットプリンター(キヤノン株式会社製、型番:MX7600、サーマル方式)のブラックヘッド上部のインク注入口に充填した。次いで、プリンターのユーティリティからヘッドリフレッシング操作を2回行い、次いで通常クリーニング操作を1回行った。ブラックヘッドの全ノズルで問題なく吐出可能となった状態から、同インクジェットプリンターを用いて、市販の普通紙(上質普通紙、キヤノン株式会社製、商品名:GF500)に横204mm×縦275の大きさにフォトショップ上でRGBを0として作成した黒ベタ画像を印刷し、印字物1を得た〔印刷条件=用紙種類:普通紙、モード設定:標準、グレースケール〕。
このようにして得られた印字物1を25℃湿度55%で24時間放置後、表側(印刷面)の印字濃度を測定した。印字濃度の測定にはマクベス濃度計(グレタグマクベス社製、品番:RD914)を用い、測定条件は、観測光源を D65とし、観測視野を 2度とし、濃度基準を DIN16536とし、白色基準を紙の濃度Paperとし、フィルター無しとし、出力されるブラックの色濃度の数値を読み取った。基準となる紙の濃度は印刷していない市販の普通紙(上質普通紙、キヤノン株式会社製、商品名:GF500)の表面を用いた。測定回数は、測定する場所を変え、双方向印刷の往路において印刷された部分から5点、復路において印刷された部分から5点をランダムに選び、合計10点の平均値を求めた。印字濃度は値が高い方が良好である。
(2)保存安定性の評価
調製したインクの初期粒径及び70℃で1週間静置した後の粒径を、下記の測定方法で測定し、粒径の変化率(%)を、([70℃で1週間静置後の粒径(nm)]−[初期粒径(nm)])×100/[初期粒径(nm)]の値として求め、保存安定性を評価した。粒径の変化率の絶対値が小さいほど良好である。
(3)記録ヘッドの撥水膜耐久性
ノズルプレート1の上に、協和界面科学株式会社製の自動極小接触角計「MCA−3」を用いて、イオン交換水の接触角A0を測定した。
次いで、ノズルプレートを乾燥させ、ノズルプレート1の上にインク1を滴下し、サーマルインクジェットプリンター(キヤノン株式会社製、型番:MX7600)から取り外したクリ−ニングブレードを用いて100往復ワイピング処理操作を行い、これを1セットとして、30セット繰り返した。
30セット終了後、ノズルプレートをイオン交換水の流水で洗浄し、色成分を除去した。次いで、再度、前記接触角計を用いて、イオン交換水の接触角A1を測定した。このA1とA0の接触角の変化量を、ヘッド撥水膜耐久性として評価した。
(4)記録ヘッドの濡れ性
密栓できる110ml用スクリュー管にインクを110ml入れ、次いでノズルプレートをスクリュー管に入れインク中に浸漬させる。スクリュー管の栓をし、70℃で2週間保存する。次いで、スクリュー管を常温下に置き、常温に戻るまで6時間静置した。次いで、ピンセットを用いてノズルプレートを取り出し、ノズルプレートの撥水面を90度に傾けてインクが切れるまでの時間を測定した。ノズルプレートの取り出しは2秒以内に行い、測定開始はノズルプレートの末端がインク液面から離れた瞬間から計測した。
Figure 0005330814
表1から、実施例の水系インクは、比較例の水系インクに比べて、インク吐出口面の撥水機能低下の問題を生じず、また、印字濃度、保存安定性にも優れていることが分かる。

Claims (5)

  1. インク吐出口面にフッ素系樹脂層からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載したインクジェット記録装置用の水系インクであって、チャンネルブラックを含有する架橋ポリマー粒子を含み、該チャンネルブラックのDBP給油量が120〜180ml/100gであり、かつ該チャンネルブラックのpHが2〜5である、インクジェット記録用水系インク。
  2. 架橋ポリマー粒子を構成するポリマーが、塩生成基含有モノマー(a)由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル系マクロマー(b)由来の構成単位、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はアリールエステル(c)由来の構成単位、及び下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸のアルカンジイルオキシドエステル(d)由来の構成単位から選ばれる1種以上の構成単位とから本質的になる、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インク。
    CH2=C(R1)COO(R2O)q3 (1)
    (式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数2又は3の炭化水素基、R3は水素原子又は炭素数1〜22の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示し、qは平均付加モル数を示し1〜60の数である。)
  3. 架橋ポリマー粒子を構成する架橋ポリマーがポリマーを架橋剤で架橋して得られるものであって、該架橋ポリマーの下記式(3)から求められる架橋率が10〜80モル%である、請求項2記載のインクジェット記録用水系インク。
    架橋率(モル%)=[架橋剤の反応性基のモル数×100/ポリマーが有する架橋剤と反応できる反応性基のモル数] (3)
    (式中、「架橋剤の反応性基のモル数」とは、架橋剤の重量を反応性基の当量で除した値である。)
  4. チャンネルブラックの揮発分が2〜20重量%である、請求項1〜3に記載のインクジェット記録用水系インク。
  5. インク吐出口面にフッ素系樹脂からなる撥水膜を有する記録ヘッドを搭載し、インクの付着したインクジェットヘッドの撥水膜のワイピング処理操作を行うインクジェット記録装置で、請求項1〜4のいずれかに記載の水系インクを用いるインクジェット記録方法。
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