以下、本発明の実施例1に係る電力変換装置について図1乃至図19を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る電力変換装置のシステム構成図である。図1における電力変換装置は、制御装置1A、制御装置1B及び電力変換器5で構成される。電力変換器5は、例えばその構成要素である図示しない複数のスイッチング素子を適切にオンオフさせることによって交流電源から得られる交流電圧を電動機駆動用の交流に変換する。
制御装置1A及び制御装置1Bは、その構成が基本的に同一であり、その何れかが電力変換器5を運転制御するように冗長配置され、個別に保守が可能なように図示しない制御電源を分離可能な構成となっている。そして制御装置1A及び制御装置1Bは、夫々変換器制御回路2A、2B、制御異常検出回路3A、3B、並びに制御切替コントロール回路4A、4Bを有している。
変換器制御回路2A、2Bは、電力変換器5を構成するスイッチング素子にゲート信号を与える、このゲート信号は、例えば電力変換器5の出力で駆動される図示しない電動機の速度が所望の速度となるように図示しない制御手段、例えばPWM制御によって定められたゲート信号である。
制御切替コントロール回路4A、4Bは、制御切替リクエスト、制御切替リクエストアンサ、待機リクエスト、待機リクエストアンサ及びステータス授受の各入出力信号インタフェースを夫々持ち、制御装置1A、1Bの間でこれらの信号を互いに送受信する。そして、制御切替コントロール回路4A、4Bは夫々変換器制御回路2A、2Bに対し、制御開始/停止信号を供給する。また、制御切替コントロール回路4A、4Bは互いに相手方に対する優先権があるかどうかのフラグを有している。このフラグ設定は上位の制御装置または手動によって行なわれる。図1は制御切替コントロール回路4A側に優先権フラグが立っている場合を示している。
制御異常検出回路3A、3Bに対し、変換器制御回路2A、2Bから夫々自身の制御系の異常信号が与えられ、また電力変換器5から共通の異常信号が与えられる。この共通の異常信号とは電力変換器5の過電圧異常、過電流異常などの信号である。これらの信号を制御異常検出回路3A、3Bが受けたとき、制御異常検出回路3A、3Bは自らの属する制御装置の制御切替コントロール回路4A、4Bに対し、夫々制御装置異常信号を出力する。
図2の制御装置ステータス変遷図に示したように、制御装置1A、1Bは、それぞれ基本的に自らの状態を示す「選択」、「待機」、「保守」の3つのステータスを有し、これらのステータスを記憶するステータス記憶手段を有している。これらのステータスは前述したように互いに読み込む構成となっているので、4制御装置1A、1Bはステータス記憶/読み込み手段を有していることになる。これらのステータスのうち、「選択」ステータスにおいては制御装置1A、1Bの状態によって「選択」のみのステータスの他、「選択」で且つ「運転準備完了」と「選択」で且つ「運転」との2つの状態が存在する。また、図の下方に示した「点検/再起動」は保守後の動作を示すものであってステータスではない。これらのステータスは自らの制御装置がその運転経歴によって自動更新する。そして、一方の制御装置が「選択」であれば、他方は「待機」または「保守」であり、両者が「選択」にはならないようにお互いにインターロックがとられている。
制御装置1Aが「選択」、制御装置1Bが「待機」のステータスを持つ状態において、制御装置1Aが制御異常を検出した場合の制御切替は以下のようになる。
制御装置1Aで制御異常を検出すると、まず制御装置1Aのステータスが「選択」であるかどうか自ら確認し、ステータスが「選択」でなければ、制御装置1Aは電力変換器5の制御を実施していないので、制御切替は不要となる。ステータスが「選択」であれば、制御装置1Aが電力変換器5の運転制御を実施しているので、制御装置1Bへ制御切替を行う。
制御切替の方法は、まず電力変換器5の通電を停止するために電力変換器5を構成するスイッチング素子に対する自らの全ゲート指令をブロックし、次に制御装置1Bに対して「制御切替リクエスト」を送信する。制御装置1Aからの「制御切替リクエスト」を制御装置1Bが受信すると、まず制御装置1Bは自らのステータスが「待機」であるかどうか確認する。ステータスが「待機」でなければ、制御切替を行って制御装置1Bで制御を行うことができないので、「制御切替リクエスト」に対する「制御切替リクエストアンサ」の返信は行わない。
制御装置1Bのステータスが「待機」であれば、「制御切替リクエストアンサ」を制御装置1Aに対して送信する。そして、制御装置1Bのステータスを「待機」から「選択」に変更し、電力変換器5の運転制御を開始する。尚、「制御切替リクエスト」を受信した時点で、制御装置1Aは電力変換器5の制御を停止しているので、制御装置1Aと1Bの間で電力変換器5の運転制御用のゲート信号が競合することはない。
「制御切替リクエスト」を送信した制御装置1Aは、制御装置1Bからの「制御切替リクエストアンサ」の受信を確認し、制御装置1Aのステータスを「選択」から「保守」に変更する。尚、制御装置1Aは、一定時間以内に「制御切替リクエストアンサ」が返信されたかどうかチェックし、一定時間以内に「制御切替リクエストアンサ」を確認することができなかった場合、制御装置1A、1Bとも制御不可能として、システム停止とすることができる。また、他の方法として、制御切替できなかったので、制御装置1Aを故障リセットし、1度だけ再び制御装置1Aで電力変換器5の運転制御を試みることも可能である。
次に「保守」ステータスとなった制御装置1Aの基本的復旧手順について説明する。制御装置1Aは、該当する故障部位を点検しその復旧作業が完了した後、故障復帰操作を行う。この操作を自動検出し、自らの制御装置1Aが「保守」状態にあるかどうかチェックする。そして自らの制御装置1Aが「保守」状態にあれば、このステータスを「待機」ステータスに切替える。これにより制御装置Aのステータスが「保守」から「待機」に切り替わり、制御装置Aは待機状態となって再びシステムに参加する。
また、制御装置の手動保守については、制御装置1A、1B内に保守リクエストスイッチ6A、6Bを設け、この保守リクエスト信号を制御切替コントロール回路4A、4Bに夫々供給することにより達成している。
保守点検は次のように行なう。制御装置1Aが「選択」、制御装置1Bが「待機」のステータスにある場合、制御装置1A側の保守時の動作はまず、保守リクエスト信号があるかどうか検出し、保守リクエスト信号があれば、次に制御装置1Bが待機状態にあるかどうかそのステータスをチェックし、制御装置1Bが待機状態にあれば、制御装置1Aは制御装置1Bに対して制御切替リクエストを出力する。尚、ここで制御装置1Bが待機状態になければ制御装置1Bに切替えることができない状態であるので、保守リクエスト信号をキャンセルする。
制御装置1Bからの「制御切替リクエストアンサ」の信号が返信されれば、制御装置1Aは「保守」ステータスとなって保守が可能な状態となる。ここで以下の2点についてチェックを行うことが可能となる。
まず、制御装置1Bからの「制御切替リクエストアンサ」の信号が所定時間以内に得られたかどうかチェックし、これが得られなかったときは、制御装置1Bが何らかの異常状態となったと判断し、保守リクエストをキャンセルする。
次に、制御装置1Bからの「制御切替リクエストアンサ」の信号が所定時間以内に得られた場合であっても、制御切替リクエスト信号が入力されれば、制御装置1Aは運転制御の再開を行う。これは、具体的には所定時間内に制御切替リクエスト信号が検出されたかどうかチェックし、検出されない場合は制御装置1Aは「保守」ステータスとなって保守が可能な状態とする。しかしながら、所定時間内に制御切替リクエスト信号が検出されたときは、制御装置1Bが制御切替に失敗するなどの理由で故障したと判断し、制御装置1Aの保守をあきらめ、制御装置1Aでの運転制御を再開する。
以上の方法によれば、制御冗長をコントロールする共通制御系がなくても、制御装置1Aから制御装置1Bへの制御切替が実現できる。制御装置1Aと制御装置1Bは基本的に同一の動作を行う構成となっているので、制御装置1Bから制御装置1Aへの制御切替も全く同様の手法で行うことが可能となる。
また、保守リクエスト信号による保守操作は、健全な制御装置に対して、定期メンテナンスを実施するために制御装置を停止させ、待機制御装置に制御切替を実施させる操作である。従って、制御装置1Aと制御装置1Bの間で「制御切替リクエスト」および「制御切替リクエストアンサ」を送受信して制御切替を実現する手順は、前述の場合と同様である。
ここで重要な点は、制御装置1Aは故障検出したわけではないので、制御装置1Bに制御切替した直後に制御装置1Bで故障検出したときは、再び制御装置1Aに制御切替を行うことが可能な点である。これを実現するため、制御装置1Aは、「制御切替リクエストアンサ」を受信した後所定時間「制御切替リクエスト」を受信するのを待つ。「制御切替リクエスト」を受信すれば制御装置1Aで電力変換器5の運転制御を再開し、受信しなければ制御装置1Aのステータスを「保守」に切り替える。
よって、冗長制御をコントロールする共通制御系がなくても、システムを止めることなく、電力変換器の運転制御を実施している制御装置の保守作業も可能となる。
尚、前述したように図2において「選択」を更に「運転準備完了」、「運転」と分けているのは、図示しない上位制御装置が2つの制御装置1A/1Bに対して、運転指令を出すにあたり、単なる「選択」状態では運転指令は出さず、「選択」であって且つ「運転準備完了」となったとき運転指令を出すのが一般的であるためである。
また「優先権」については、「運転準備完了」に対し「優先権」が与えられた場合、「優先権」の有り無しで、たとえば、制御装置1Aに「優先権」があり、制御装置1Bに「優先権」がなく、先に制御装置1Bが「運転準備完了」に達すると、上位制御装置では「運転」指令を制御装置1Bに出そうとするが、「運転」指令を出した瞬間に制御装置1Aの「優先権」行使により制御装置1Bは「運転準備完了」ステータスが解除されてしまい、運転できなくなる問題が生じる。従って、「優先権」は「選択」ステータスに対して与えることとするのがよい。
次に、制御装置1A/1Bの状態(条件)により、「運転」を行う制御装置のどのように決めるかについてのステータス変化図を図3乃至図15に示す。上位制御装置からの運転(起動)指令などは制御装置1A/1Bに対して基本的に同時に与えられるので、以下のように多くのケースが出現することとなる。
図3は制御装置1Aが「保守」、制御装置1Bが「選択」で且つ「運転」のステータスを持つ状態において、制御装置1Aの「保守」が完了し、そのステータスを「待機」に変化させる場合の処理を示す(既に制御装置1Bで変換器5を運転制御中。)。
この場合、「選択」の競合が発生しないので、「選択」の「優先権」については不問であり、既に「運転」している制御装置1Bに対して、制御装置1Aは影響を与えず、制御装置1Aは「待機」となればよい。
図4は制御装置1Bが「選択」で且つ「運転準備完了」のステータスを持つ状態において、制御装置1Aを後から起動する場合の例である(まだ、上位制御装置より運転指令を受けていない状態。)。
この場合も「選択」の競合が発生しないので、「選択」の「優先権」については不問であり、すでに「運転準備完了」となっている制御装置1Bに対して、制御装置1Aは影響を与えず、制御装置1Aは「待機」となればよい。
図5は制御装置1Bが「選択」のみのステータスを持つ状態において、「選択」の「優先権」を保持する制御装置1Aを後から起動する場合の例である(起動を制御装置1Bより行い、後で制御装置1Aを起動した場合であるが、制御装置1Bは「選択」のステータスで、まだ「運転準備完了」になっていない状態。)。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」保持のため、制御装置1Bを「待機」として、制御装置1Aを「選択」とする。尚、図5において、制御装置1Aは点検/再起動から「選択」へ移行するよう表示してあるが、実際のステータス変化としては「保守」から「選択」への移行となる。尚、制御装置1Aが点検/再起動の状態であれば制御装置1Aの制御電源は通常オフされているが、このとき制御装置1Aのステータスは「保守」と見做すようにすれば良い。
図6は制御装置1Bが「選択」のみのステータスを持つ状態において、「選択」の「優先権」を保持しない制御装置1Aを後から起動する場合の例である(起動を制御装置1Bより行い、後で制御装置1Aを起動した場合であるが、制御装置1Bは「選択」のステータスで、まだ「運転準備完了」になっていない状態。)。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」なしであるため、制御装置1Bを「選択」に維持して、制御装置1Aを「待機」とする。
図7は「選択」の「優先権」の設定ミスがある場合の例である。図5においては、「選択」の「優先権」設定が正常に行われている場合を示しているが、制御装置1Bが「優先権」の設定ミスによって「選択」の「優先権」を保持しておらず、「選択」のみのステータスを持つ状態において、「選択」の「優先権」を保持しない制御装置1Aを後から起動する場合の例である。
この場合、制御装置1A、1B共「選択」の「優先権」なしであるが、制御装置1Bが既に「選択」されているので、制御装置1Aを「待機」とする。
図8も「選択」の「優先権」の設定ミスがある場合の例である。図5においては、「選択」の「優先権」設定が正常に行われている場合を示しているが、制御装置1Bに「選択」の「優先権」を保持、制御装置1Bが「選択」のみのステータスを持つ状態において、「選択」の「優先権」を保持している制御装置1Aを後から起動する場合の例である。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」を保持しているため、制御装置間で競合が生じる。先に起動した制御装置1Bを運転準備に移行させ、制御装置1Aは異常状態として、ステータスを「保守」に戻し、制御装置1Aの「優先権」剥奪を手動で実施するようにする。
図9は制御装置1Bも制御装置1Aも起動直後で「選択」のステータスを持たない状態において、「選択」の「優先権」を保持する制御装置1Aの起動が、「選択」の「優先権」を持たない制御装置1Bより若干遅い場合の例である(制御装置1Bを先に起動したが、制御装置は「選択」に達しない状態で、制御装置1Aが起動した場合。)。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」ありのため、制御装置1Bを「待機」として、制御装置1Aを「選択」とする。
図10は制御装置1Bも制御装置1Aも起動直後で「選択」のステータスを持たない状態において、「選択」の「優先権」を保持しない制御装置1Aの起動が、「選択」の「優先権」を持つ制御装置1Bより若干遅い場合の例である(制御装置1Bを先に起動したが、制御装置1Bは「選択」に達しない状態で、制御装置1Aが起動した場合。)。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」なしのため、制御装置1Bを「選択」として、制御装置1Aを「待機」とする。
図11は「選択」の「優先権」の設定ミスを想定している。制御装置1Bも制御装置1Aも起動直後で「選択」のステータスを持たない状態において、「選択」の「優先権」を共に保持しない制御装置1A/1Bにおいて制御装置1Aの起動が、制御装置1Bより短時間だけ遅い場合の例である(制御装置1Bを先に起動したが、制御装置1Bが「選択」に達しない状態で、制御装置1Aが起動した場合。)。
この場合、制御装置1Aは「選択」の「優先権」なしであるので、制御装置1A/1Bとも「待機」となり、これを後述する図18のフローにより、相手方の制御装置のステータスを確認するステップを踏んだ後「保守」に変更する。
図12も「選択」の「優先権」の設定ミスを想定している。制御装置1Bも制御装置1Aも起動直後で「選択」のステータスを持たない状態において、「選択」の「優先権」をともに保持した制御装置1A/1Bにおいて制御装置1Aの起動が、制御装置1Bより若干遅い場合の例である。(制御装置1Bを先に起動したが、制御装置は「選択」に達しない状態で、制御装置1Aが起動した場合。)。
この場合、制御装置1Aも「選択」の「優先権」を保持しているため制御装置間で競合が生じる。従って、先に起動した制御装置1Bをタイムアウトにより「保守」に戻し、後に起動した制御装置1Aを「選択」とし、制御装置1Bの「優先権」剥奪を手動で実施する。
図13は、制御装置1Bも制御装置1Aも起動直後で「選択」のステータスを持たない状態において、「選択」の「優先権」を保持する制御装置1Aの起動が、「選択」の「優先権」を持たない制御装置1Bと同時に起動する場合の例である(起動から選択にいたるタイミングシーケンスが制御装置1Bと制御装置1Aが同時になっている場合)。
この場合、「優先権」を持つ制御装置1Aは「選択」、「優先権」を持たない制御装置1Bは「待機」とする。
図14は「選択」の「優先権」の設定ミスを想定しており、「選択」の「優先権」をどちらも保持しない制御装置1A/1Bの起動が、同時に起動する場合の例である(起動から選択にいたるタイミングシーケンスが制御装置1Bと制御装置1Aが同じになっている場合。)。
この場合は後述する理由により制御装置1A/1B共に「保守」とする。
図15も「選択」の「優先権」の設定ミスを想定しており、「選択」の「優先権」をどちらも保持する制御装置1A/1Bの起動が、同時に起動する場合の例である(起動から選択にいたるタイミングシーケンスが制御装置1Bと制御装置1Aが同時になっている場合。)。
この場合も後述する理由により制御装置1A/1B共に「保守」とする。
上記各起動の運転フローの詳細について、図16乃至図19も参照して以下に説明する。
図16は制御装置1A/1Bの起動後のフローチャート、図17は制御装置1の「選択」から「運転準備」に至るフローチャート、図18は制御装置1A/1B共に「選択」の「優先権」の設定を忘れてしまった場合の「待機」後のフローチャート、図19は保守になった場合の「待機リクエスト」に対するフローを示すフローチャートである。
図3に示した処理においては、制御装置1Aが再起動をすると、まず制御装置1Bの「運転」を確認し(ST1)、「運転」であるかを判断する(ST2)。ステータスが「運転」であれば、変換器5は制御装置1Bにより制御(ゲート出力)されているので、制御装置1Aは「待機」へステータスを設定し(ST22)、そのままフローを抜ける。
図4に示した処理においては、制御装置1Aが再起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bが「運転準備完了」であるため、制御装置1Aは「待機」へステータスを設定し(ST22)、そのままフローを抜ける。
図5に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの「運転」を確認し(ST1)、「運転」であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)し、制御装置1Bが「選択」であることが確認される。次に、制御装置1Aは自らの選択の「優先権」を判断し(ST7)、自身の「選択」準備に入り(ST8)、制御装置1Bに対して、「待機リクエスト」を発信する(ST9)。このとき制御装置1Bは図17の「選択」後の処理フローにより、「運転準備完了」ではなく(ST2A)、自制御装置にも優先権がないので(ST4A)、制御装置1Aより「待機リクエスト」があった場合(ST5A)、制御装置1Aに対して、「待機リクエストアンサ」を出力し(ST6A)、自制御装置を「待機」に設定(ST7A)する。よって、図16において制御装置1Bより「待機リクエストアンサ」入力(ST10)が規定時間内に入力されたと判断(ST11)すると、制御装置1Aはステータスを「選択」に設定し、そのままフロー抜ける。
また、制御装置1Bより「待機リクエストアンサ」入力(ST10)が規定時間内に入力されなかったと判断(ST11)すると、制御装置1A/1Bの何れかの異常があったと判断して制御装置1Aはステータスを「保守」に設定し、そのままフロー抜ける。尚、前述の異常においては、制御装置1A/1Bのどちらにも「選択」の「優先権」が存在する場合も含まれる(図8に示した状態)。よって、先に起動する制御装置1Bの「選択」を生かして、制御装置1Aを「保守」にして、優先権の設定変更を行うことによって、起動不良を防止することができる。尚、ST8の「選択」準備とはステータスを仮の「選択」に設定することであり、ST12の「選択」の本設定(自制御装置の運転準備に入る)には至っていないが、制御装置1Bより制御装置1Aを見た場合「選択」されていることと同義である。
図6に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)すると、制御装置1Bは「選択」であり、制御装置1Aは選択の「優先権」がないので(ST7)、制御装置1Aは「待機」へステータスを設定し(ST22)、そのままフローを抜ける。
図7に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)すると、制御装置1Bは「選択」であり、制御装置1Aは選択の「優先権」がないので(ST7)、制御装置1Aは「待機」へステータスを設定し(ST22)、そのままフローを抜ける。
ここで、制御装置1A/1Bは共に「選択」の「優先権」の保持はないが、制御装置1A/1Bの「選択」の競合は発生しないため、装置動作上の問題(共に「選択」→「運転準備完了」→「運転」になり、変換器に対して、ゲートを出力する)は生じない。
図9に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)するが、制御装置1Bは「選択」でないので、制御装置1Aは自制御装置の「選択」準備に移行する(ST14)。制御装置1Aは一定時間(X秒)の間、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST15乃至17)。X秒の時間内で制御装置1Bが「選択」となる場合を想定しているので、先に「選択」準備になった制御装置1BはST18により自制御装置の「優先権」を確認し、自制御装置1Bを「待機」へステータス設定し、図18に示す待機後のフローへ移行する。制御装置1Aは「優先権」ありのため制御装置1Bに対し、「待機リクエスト」を出力し、図18のST1B乃至3Bの処理内で、制御装置1Aに対して「待機リクエストアンサ」を入力し(ST20)、一定時間内にアンサ検出していることを確認し(ST21)、自制御装置1Aのステータスを「選択」に設定してフローを抜ける。
また、制御装置1Bより「待機リクエストアンサ」入力(ST10)が規定時間内に入力されなかったと判断(ST11)すると、制御装置1A/1Bの何れかの異常があったと判断して制御装置1Aはステータスを「保守」に設定し、そのままフロー抜ける。尚、前述の異常においては、制御装置1A/1Bのどちらにも「選択」の「優先権」が存在する場合も含まれる(図12に示した状態)。よって、先に起動する制御装置1Bは、制御装置1Aも「選択」と判断するので、「待機リクエスト」を出力しても(ST18)、「待機リクエストアンサ」が入力されず(ST20)、ST21で一定時間内のアンサ検出できず、制御装置1Bは自身のステータスを「保守」に設定する。ここから、図19に示す保守後のフローになり、ST1C乃至3Cで制御装置1Aからの「待機リクエスト」に対して、「待機リクエストアンサ」を出力、制御装置1Aは自身の制御装置のステータスを「選択」に設定することができ、起動不良を防止することができる。尚、ST14の「選択」準備とはステータスを仮の「選択」に設定することであり、ST12の「選択」の本設定(自制御装置の運転準備に入る)には至っていないが、制御装置1Bより制御装置1Aを見た場合「選択」されていることと同義である。
図10に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)するが、制御装置1Bは「選択」でないので、制御装置1Aは自制御装置の「選択」準備に移行する(ST14)。制御装置1Aは一定時間(X秒)の間、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST15乃至17)。X秒の時間内で制御装置1Bが「選択」となるので、制御装置1Aは自制御装置の「優先権」の確認を行う(ST18)。制御装置1Aは「優先権」がないため、自制御装置のステータスを「待機」として(ST22)フローを抜ける。
制御装置1Bは自制御装置「優先権」ありのため(ST18)、制御装置1Aに対し、「待機リクエスト」を出力し、制御装置1Aが「待機」となる。制御装置1Aは、図18に示した「待機」後のフローのST1B乃至3Bにおいて、「待機リクエストアンサ」を制御装置1Bに返すので、制御装置1Bは一定時間内にアンサ検出して(ST21)、制御装置1Bのステータスを「選択」と設定し(ST12)、フローを抜ける。
図11に示した処理においては、制御装置1Aが起動をすると、まず制御装置1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1Bはステータスが「運転」でないので、制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1Aは制御装置1Bの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1Bは「運転準備完了」ではないので、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1Aは制御装置1Bの「選択」を判断(ST6)するが、制御装置1Bは「選択」でないので、制御装置1Aは自制御装置の「選択」準備に移行する(ST14)。制御装置1Aは一定時間(X秒)の間、制御装置1Bの「選択」を確認する(ST15乃至17)。X秒の時間内で制御装置1Bも「選択」となり、制御装置1Aは自制御装置の「優先権」の確認を行う(ST18)が、制御装置1Aは「優先権」がないため、自制御装置のステータスを「待機」として(ST22)フローを抜ける。
また、ここで、制御装置1Bも「優先権」がないため(ST18)、自制御装置のステータスを「待機」として(ST22)フローを抜ける。
よって、制御装置1A/1Bは共に図18の待機後のフローに移行し、先に待機に移行した制御装置1BがステップST4B、5B内の確認ルーチンを終了し、相手方の「選択」を確認後(ST7B)、制御装置1Aは「待機」であるため、自制御システムを「保守」へ移行させる(ST8B)。制御装置1AもステップST4B、5B内の確認ルーチンを終了し、相手方「選択」を確認後(ST7B)、制御装置1Bは「保守」であるため、制御装置1Aも自ステータスを「保守」へ移行させる(ST8B)。
上記は立ち上げ時にごく僅かのタイミングの差で生じたものであるが、「優先権」の設定がない状態であるので、無理に「選択」へ移行させるより、両方とも保守としたほうが、安全である。どうしても起動したい場合などは制御装置1A/1Bの立ち上げタイミング間隔をあければ、正常に起動できることは図7を参照して既に説明済みである。
図13に示した処理においては、制御装置1A/1Bが起動をすると、制御装置1A/1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1A/1Bともにステータスが「運転」でないので、制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1B/1Aは「運転準備完了」ではないので、制御装置1B/1Aの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「選択」を判断(ST6)するが、制御装置1B/1Aは「選択」でないので、制御装置1A/1Bは自制御装置の「選択」準備に移行する(ST14)。制御装置1A/1Bは一定時間(X秒)の間、制御装置1B/1Aの「選択」を確認する(ST15乃至17)。X秒の時間内で制御装置1B/1Aも同時に仮の「選択」となり、制御装置1A/1Bは自制御装置の「優先権」の確認を行う(ST18)が、制御装置1Aは「優先権」があり、制御装置1Bは「優先権」ないため、制御装置1Aは「待機リクエスト」を制御装置1Bに対して出力する。制御装置1Bは自制御装置のステータスを「待機」として(ST22)フローを抜ける。「待機」となった制御装置1Bは図18の「待機」フローに移行し、制御装置1Aより「待機リクエスト」を受け付けるので(ST1B、2B)、「待機リクエストアンサ」を制御装置1Aへ出力、制御装置1Aは図4の「待機リクエストアンサ」入力(ST20)を、一定時間内にアンサ検出(ST21)するので、自制御装置1Aを「選択」に設定し(ST12)、フローを抜ける。
また、制御装置1Bより「待機リクエストアンサ」入力(ST10)が規定時間内に入力されなかったと判断(ST11)すると、制御装置1A/1Bのいずれかの異常があったと判断して制御装置1Aはステータスを「保守」に設定し、そのままフロー抜ける。尚、前述の異常においては、制御装置1A/1Bのどちらにも「選択」の「優先権」が存在する場合も含まれる(図15に示した状態)。よって、同時に「優先権」有と判断した制御装置1Bも制御装置1Aも共に相手に対し、「待機リクエスト」出力する(ST19)。前述は制御装置1A/1Bにとって「待機リクエストアンサ」入力(ST20)が一定時間内にアンサ検出できない(ST21)となることより、制御装置1A/1Bは自身のステータスを「保守」に設定する。なお、ST14の「選択」準備とはステータスを仮の「選択」に設定することであり、ST12の「選択」の本設定(自制御装置の運転準備に入る)には至っていないが、制御装置1Bより制御装置1Aを見た場合「選択」されていることと同義である。
上記も同時立ち上げ時というタイミングで生じたものであるが、「優先権」の設定が共にある異常状態であるので、無理に「選択」へ移行させるより、両方とも保守としたほうが、安全である。どうしても起動したい場合には、制御装置1A/1Bの立ち上げタイミング間隔をあければ、正常に起動できることは図8を参照して既に説明済みである(ただし一方は保守に陥る。)。尚、図8において保守に入れないようにするためには、一方を起動後、「運転準備完了」の状態までステータスを進めたことを確認したあとに起動すれば、「待機」まで移行可能となることは説明するまでもない。
図14に示した処理においては、制御装置1A/1Bが起動をすると、制御装置1A/1Bの運転を確認し(ST1)、運転であるかを判断する(ST2)。制御装置1A/1Bともにステータスが「運転」でないので、制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「運転準備完了」を確認する(ST3)。制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「運転準備完了」を判断(ST4)し、制御装置1B/1Aは「運転準備完了」ではないので、制御装置1B/1Aの「選択」を確認する(ST5)。制御装置1A/1Bは制御装置1B/1Aの「選択」を判断(ST6)するが、制御装置1B/1Aは「選択」でないので、制御装置1A/1Bは自制御装置の「選択」準備に移行する(ST14)。制御装置1A/1Bは一定時間(X秒)の間、制御装置1B/1Aの「選択」を確認する(ST15乃至17)。X秒の時間内で制御装置1B/1Aも同時に仮の「選択」となり、制御装置1A/1Bは自制御装置の「優先権」の確認を行う(ST18)が、制御装置1A/1B共に「優先権」がないため、制御装置1A/1Bは自制御装置のステータスを「待機」として(ST22)フローを抜ける。「待機」となった制御装置1A/1Bは図18の「待機」フローに移行し、ST4Bの相手の待機を規定のY2秒確認(ST5B)しても制御装置1A/1Bは共に「待機」のまま変化しないので、ステップST6Bの相手選択判断後、システム停止処理のため自制御装置ステータスを「保守」に設定し(ST8B)、フローを抜ける。
上記も同時立ち上げ時というタイミングで生じたものであるが、「優先権」の設定がともにない異常状態であるので、無理に「選択」へ移行させるより、両方とも保守としたほうが、安全である。どうしても起動したい場合には、制御装置1A/1Bの立ち上げタイミング間隔をあければ、正常に起動できることは図7を参照して既に説明済みである。
ここで、図18において、ステップST7Bの相手「選択」か?でYESが選ばれる場合は、待機後の処理で常に図18のSTARTから、ENDを繰り返す。これは、一方が「選択」の場合、他方は「待機」となることが冗長制御系として安定した状態であるためである。
以上説明したように、「待機リクエスト」、「待機リクエストアンサ」を設け、制御切替コントロール回路4に選択の「優先権」設定し、「選択」になってから、実際の運転までに更に「運転準備完了」、「運転」を追加することにより、共通部分を必要とせず、一方の制御装置のみで運転制御すべき制御装置の選択や制御装置の切替を実施することが可能で、制御装置の起動を自動で行うことが可能な冗長制御系を有する電力変換装置を提供することが可能となる。