JP5330055B2 - 使い捨て紙おむつ - Google Patents

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Description

本発明は、裏面シートの外面側両側部に長手方向に沿ってそれぞれ、平面ギャザーの機能を補助する補助ギャザーを形成した使い捨て紙おむつに関する。
従来より、市場に提供されている紙おむつは、図7および図8に示されるように、裏面側に配置されるポリエチレン等からなる不透液性裏面シート51と、表面側に配置される不織布等からなる透液性表面シート52と、これら不透液性裏面シート51と透液性表面シート52との間に配置された略砂時計状の吸収体53とから主に構成され、紙おむつの両側部においては、表面側に設けられた不織布等からなる立体ギャザーシート54と、その内側端縁に沿って配設された弾性伸縮部材55とにより表面側に起立する立体ギャザーBSが形成されている。
漏れを防止するための技術としては、例えば下記特許文献1では、サイドフラップ上の吸収体側縁に沿って長手方向に立体ギャザーが配置され、前記立体ギャザーが前記サイドフラップの複数本の脚周り弾性体の外に起立線を有して配置されていることにより実質的に股下部分の立体ギャザーの堰を高くした使い捨ておむつが開示されている。
下記特許文献2では、ギャザーシートの長手方向の少なくとも一方の端部に、紙おむつ本体の外側に折り返されてギャザーシート同士が固着された外側折り返し固定部と、外側折り返し固定部の少なくとも一部と透液性シートとが固着された固着部とを形成し、前記外側折り返し固定部の長さをギャザーシートの長手方向の長さの30%以上、且つ、70%以下とすることによって、ギャザーシートの先端が内側に倒れ込むことなく漏れを防止した紙おむつのギャザー構造が開示されている。
特開平10−113362号公報 特開2003−290278号公報
上記特許文献1、2記載の使い捨ておむつはいずれも、おむつの表面側に突出する立体ギャザーの起立状態を適正化することによって漏れを防止しようとしたものである。しかしながら、かかる使い捨ておむつでは、排泄物が立体ギャザーを越えて外側に達した場合、脚周りからの漏れが防止できる構造にはなっていなかった。
一方、脚周りからの漏れを防止するため、吸収体53の側縁よりも側方に延在された前記不透液性裏面シート51部分と、前記立体ギャザーシート54の外側シート部分とにより吸収体53の介在しないサイドフラップ部SFを形成し、かつこれらの間に複数条の糸状弾性ゴム57,57…を紙おむつの長手方向に沿って配置することにより、前記サイドフラップ部SFにひだ状の平面ギャザーFGを形成した紙おむつが知られている。しかしながら、従来の平面ギャザーFGでは、脚周りのフィット性が十分でないため、脚を活発に動かすことにより、おむつのズレにより隙間が生じ、漏れにつながっていた。
また、脚周りにおけるフィット性を向上するため、弾性伸縮部材の伸縮力を増加させることが考えられるが、脚周りが局所的に締め付けられて装着感が悪化するとともに、フラップ部が異常に収縮しておむつの装着作業性が低下するおそれがある。
そこで本発明の主たる課題は、おむつの装着感及び装着作業性を損なうことなく、平面ギャザーの脚周りへのフィット性を向上させ、脚周りからの漏れを防止した使い捨て紙おむつを提供することにある。
前記課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の両側部に吸収体の存在しないサイドフラップ部が形成され、かつこのサイドフラップ部に長手方向に沿って弾性伸縮部材を配置することにより平面ギャザーが形成された使い捨て紙おむつにおいて、
前記裏面シートの外面側両側部に長手方向に沿ってそれぞれ、シートの外側部分は裏面シート側に接着され、シートの内側部分はおむつ長手方向両端部において裏面シート側に接着されるとともに、おむつ長手方向中間領域において裏面シート側に接着されることなく内側に向けた自由片とされ、該自由片の先端部におむつ長手方向に沿って弾性伸縮部材が配置された補助ギャザーが配設され、かつ前記自由片の基端部は、前記吸収体側縁部よりおむつ幅方向外側に位置しており、
前記使い捨て紙おむつの装着時に、前記補助ギャザーの自由片をそれぞれおむつ両側に折り返し反転させることにより、前記平面ギャザーの外面側に重ね合わせ、補助ギャザーの起立によって前記平面ギャザーを肌面側に密着させるようにしたことを特徴とする使い捨て紙おむつが提供される。
上記請求項1記載の発明では、前記平面ギャザーが形成された使い捨て紙おむつにおいて、裏面シートの外面側両側部に長手方向に沿ってそれぞれ、シートの外側部分は裏面シート側に接着され、シートの内側部分はおむつ長手方向両端部において裏面シート側に接着されるとともに、おむつ長手方向中間領域において裏面シート側に接着されることなく内側に向けた自由片とされ、該自由片の先端部におむつ長手方向に沿って弾性伸縮部材が配置された、平面ギャザーの機能を補助する補助ギャザーを配設した。
そして、使い捨て紙おむつの装着時に、前記補助ギャザーの自由片をそれぞれおむつ両側に折り返し反転させることにより、前記平面ギャザーの外面側に重ね合わせ、補助ギャザーの起立によって前記平面ギャザーを肌面側に密着させるように、また、自由片の前後端部では着用者の下腹部や臀部を平面ギャザーとは異なる位置で斜め方向に押さえるようにした。すなわち、前記補助ギャザーが弾性伸縮部材の伸縮力によって、股下部においては平面ギャザーを、下腹部及び臀部においては吸収体を肌面側に押し当て密着性を確保するようにしたため、使い捨て紙おむつの脚周りにおけるフィット性が向上し、おむつがずれて隙間が生じることによる漏れが確実に防止できるようになる。
上記発明では、前記自由片の基端部が、吸収体側縁部よりおむつ幅方向外側に位置するようにしてある。すなわち、補助ギャザーの基端部が吸収体の側縁部よりおむつ幅方向中心側に位置すると、吸収体の折れやヨレなどの影響で平面ギャザーを外側から肌面側に押し付ける補助ギャザーの機能が阻害されるおそれがあるため、自由片の基端部は吸収体側縁部よりおむつ幅方向外側に位置するようにするのが望ましい。
請求項2に係る本発明として、前記補助ギャザーを反転させた状態で前記自由片の先端部は、前記サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材の内、最も内側に位置する弾性伸縮部材よりおむつ幅方向中心側に位置している請求項1記載の使い捨て紙おむつが提供される。
上記請求項2記載の発明は、前記補助ギャザーの先端部とおむつ構成部材との相対的位置関係を規定したものであり、補助ギャザーを反転させた状態で自由片の先端部が、サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材の内、最も内側に位置する弾性伸縮部材よりおむつ幅方向中心側に位置するようにしてある。これにより、補助ギャザーの先端部に配置された弾性伸縮部材の伸縮力によって、平面ギャザーの付け根部分が肌面側に押し付けられ、平面ギャザーのフィット性が向上し漏れが防止できる。さらに、補助ギャザーを反転させた状態で自由片の先端を平面ギャザーの最内側弾性伸縮部材より内側としているため、平面ギャザーの機能が本来的に維持されるとともに、補助ギャザーは平面ギャザーの外面側から締め付けるため、脚周りに対する当たりも柔らかく装着感も損なわれることがないとともに、平面ギャザーの弾性伸縮部材と補助ギャザーの弾性伸縮部材とが重なっていないため、弾性伸縮部材による締付けがきつすぎることもなく、脚周りが局所的に締め付けられて装着感が悪化することもない。
請求項に係る本発明として、前記補助ギャザーの先端部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さは、前記サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さより長くしてある請求項1〜いずれかに記載の使い捨て紙おむつが提供される。
上記請求項記載の発明は、補助ギャザーの先端部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さとおむつ構成部材との相対的関係を規定したものであり、前記自由片の先端に配設される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さを前記サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さより長くしてある。これにより、平面ギャザーを脚周り全体に亘って補助できるようになり、脚周り全体のフィット性が高められるようになる。
請求項に係る本発明として、前記表面シートがわ両側部に、表面側に起立する立体ギャザーが形成されている請求項1〜いずれかに記載の使い捨て紙おむつが提供される。
請求項記載の発明は、使い捨て紙おむつの表面シートがわ両側部に、表面側に起立する立体ギャザーが形成されているおむつを対象として本発明を適用するものである。脚周りからの漏れは立体ギャザーと、前記補助ギャザーによってサポートされた平面ギャザーの二重のギャザーによって防止するのが望ましい
以上詳説のとおり本発明によれば、おむつの装着感及び装着作業性を損なうことなく、平面ギャザーの脚周りへのフィット性を向上させ、脚周りからの漏れを防止した使い捨て紙おむつが提供できる。
本発明に係る使い捨て紙おむつ1の使用状態外観図である。 使い捨て紙おむつ1の表面側の一部破断展開図である。 その外面側の展開図である。 図2のIV−IV線矢視図である。 図4の使用状態図である。 使用状態を示す外面側の展開図である。 従来の使い捨て紙おむつを示す展開図である。 図7のVIII−VIII線矢視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。なお、本発明における「おむつ長手方向」とは、おむつ背側と腹側とを結ぶ方向(おむつ展開時の前後方向)を意味し、「おむつ幅方向」とは長手方向と直交する方向(おむつ展開時の左右方向)を意味する。また、図面の所要部位において接着部位を×印で表示している。
本発明に係る使い捨て紙おむつ1(以下、単におむつという。)は、図2の表面側展開図に示されるように、綿状パルプ等からなり、たとえば砂時計形状(または長方形状等)のある程度の剛性を有するとともに、被包シート5によって囲繞された吸収体4と、該吸収体4の表面側(肌当接面側)を覆うように配設された有孔または無孔の不織布や孔開きプラスチックシート等からなる透液性表面シート3と、前記吸収体4の裏面側(非肌当接面側)に配設され、少なくとも吸収体4の全面積を覆うように配設されたポリエチレン等からなる防漏シート6と、この防漏シート6の裏面側(非肌当接面側)に設けられ、おむつ外形を画成するとともに、不織布からなる裏面シート2と、おむつの表面がわ両側部に起立する立体ギャザーBS、BSを形成するとともに、前記吸収体4の側縁よりも側方に延在されたおむつ両側部で前記防漏シート6及び裏面シート2を含む構成部材と共に前記吸収体4が介在しないサイドフラップ部SFを構成する立体ギャザーシート7、7と、おむつ背側の両側端縁から側方に突出して取り付けられる止着テープ10、10と、前記止着テープ10、10を止め付けるためのフロントターゲットテープ8とから主に構成されている。
また、おむつ背側の胴周りには、上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って配置される複数条の弾性伸縮部材12、12…が装着シート間に伸張状態で接着された伸縮性シート11が配設されるとともに、前記立体ギャザーBS、BSをおむつの表面側に起立させるため、前記立体ギャザーシート7の内側端縁部におむつ長手方向に沿って弾性伸縮部材13…が配設され、且つサイドフラップ部SFにひだ状の平面ギャザーFGを形成するため、サイドフラップ部SF、SFの立体ギャザーシート7と裏面シート2との間におむつ長手方向に沿って複数条の弾性伸縮部材14…が配置されている。
本発明では特に、図3の外面側展開図に示されるように、前記裏面シート2の外面側両側部に長手方向に沿ってそれぞれ、補助ギャザーAGが配設されている。補助ギャザーはシート20(補助ギャザーシート)と弾性伸縮部材21とからなり、シート20の外側部分X2は裏面シート2側に接着され、シート20の内側部分X1はおむつ長手方向両端部Y2において裏面シート2側に接着されるとともに、おむつ長手方向中間領域Y1において裏面シート2側に接着されることなく内側に向けた自由片15(非接着領域)とされ、該自由片15の端縁部におむつ長手方向に沿って弾性伸縮部材21が配置されている。図1及び図5に示されるように、おむつ1の装着時に前記補助ギャザーAGの自由片15をそれぞれおむつ両側に折り返し反転させることにより、前記平面ギャザーFGの外面側に重ね合わせ、補助ギャザーAGの起立によって前記平面ギャザーFGを肌面側に密着させるようにしている。
以下、更に各構成について具体的に詳述すると、
前記吸収体4は、たとえば綿状パルプ等の繊維集合体と高吸収性ポリマー等の高吸収材とにより構成され、図示例では脚回りへの当たりを和らげるために両側部に夫々括れ部を有する略砂時計状のものが使用されている。吸収体4の平面形状としては、長方形状とすることもでき、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。前記吸収体4は、坪量が50〜600g/m程度が好ましく、300〜500g/m程度がより好ましい。
前記高吸収性ポリマーとしては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸収性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸水力(吸収倍率)と吸水速度の調整が可能である。前記吸収体4における高吸収性ポリマーの含有比率は、30〜70%程度が適当であるが、これに限るものではない。
前記吸収体4は、被包シート5によって囲繞されている。被包シート5は、ティシュー等の紙材あるいは不織布等の透液性のシートを用いることができる。厚みは0.05〜0.5mm程度が好ましく、0.05〜0.2mm程度がより好ましい。坪量は5〜25g/m程度が好ましく、5〜15g/m程度がより好ましい。不織布を用いる場合は、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布、特にSMS法により加工された不織布が、薄さと強度のバランスに優れる点で好適である。なお、被包シート5は、少なくとも吸収体4の表面側(肌当接面側)の面が撥水性でなければシートの親水度は特に問わない。
前記吸収体4の表面側(肌当接面側)を覆う透液性の表面シート3としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。特には、スパンボンド法やSMS法により加工された不織布が薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、エアスルー法により加工された不織布は低坪量でも吸収が速やかでかつドライタッチ性に優れるため好適である。これらは1層からなるシートでも2層以上(同一種類あるいは複数種類)からなるシートでもよいが、合計の坪量としては、10〜40g/mが好ましく、10〜22g/mがより好ましく、10〜15g/mが特に好ましい。厚みは1mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.3mm以下が特に好ましい。表面シート3に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。前記表面シート3は、吸収体4の側縁部から側方まで延在している。
少なくとも前記吸収体4の裏面側(非肌当接面側)の全面積を覆う防漏シート6は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの不透液性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートであり、仮にシート厚が同じであれば無孔シートよりも剛性が低下するため、柔軟性の点で勝るものとなる。具体的には、JIS Z0208に準じて測定された透湿度が3000〜12000g/m2・24hr、好ましくは6000〜12000g/m2・24hr、より好ましくは8000〜12000g/m2・24hrの不透液性シートを使用するのが望ましい。
一方、表面がわ両側部に起立する立体ギャザーBSを形成する立体ギャザーシート7は、折返しによって二重シートとした不織布が用いられ、前記吸収体4の側縁部近傍よりも外側部分が外縁まで延び、前記防漏シート6及び裏面シート2と接合され、後段で詳述する裏面シート2の裏面側に接合された補助ギャザーシート20とともに、これらの積層シート部分によってサイドフラップ部SFを構成している。より具体的には、前記立体ギャザーシート7は、おむつの長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部からおむつ1の側部端縁に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、前記幅方向中間部から前記二重シート形成部分の端縁までの区間がおむつ1の表面側に接着されている。なお、図示例ではサイドフラップ部SFの側縁部は裏面シート2、立体ギャザーシート7、補助ギャザーシート20の3層のシートの積層からなるように構成されているが、必ずしも3層以上が重なるようにする必要はない。
前記二重シート不織布によって形成された立体ギャザーシート7の内部には、起立先端側部分におむつ長手方向に複数本、図示例では2本の弾性伸縮部材13、13が伸張状態で配設されている。この弾性伸縮部材13の伸縮力を利用して、立体ギャザーBSを起立させるようになっている。
他方、前記サイドフラップ部SFにおいては、おむつ長手方向に複数本、図示の例では2本の弾性伸縮部材14、14が配設され、平面ギャザーFGが形成される。この平面ギャザーFGは、着用した際に紙おむつをきっちりと脚周りにて保持し、フィット性を向上させ、紙おむつがずれるのを防止するためのものである。
前記弾性伸縮部材12、13、14としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは940dtex以下、テンション(伸張率)は150〜350%として配設するのがよい。なお、かかる糸状の弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状の弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
前述の立体ギャザーシート7を構成する素材繊維も前記表面シート3と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、SMS法、サーマルボンド法、エアスルー法、ポイントボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法によって得られた不織布を用いることができる。具体的には、不織布の加工方法としてはスパンボンド法やSMS法によるものが薄さと強度のバランスに優れる点で好適であり、坪量としては、8〜30g/mが好ましく、10〜22g/mがより好ましく、10〜15g/mが特に好ましい。厚みは0.5mm以下が好ましく、0.3mm以下がより好ましく、0.2mm以下が特に好ましい。さらに前記ギャザー不織布7については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いても良い。
前記裏面シート2の不織布を構成する素材繊維としては、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維を用い、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法にて得られた不織布を用いることができる。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型のバイコンポーネント不織布やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維による不織布を用いることができる。前記バイコンポーネント不織布は、熱融着性に優れたものとすることができるため好ましい。
おむつ胴周りの密着性を向上させるため、おむつ背側の胴周りには、上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って複数条の弾性伸縮部材12、12…が配置される。前記弾性伸縮部材12、12…としては、太さは470〜940dtex、テンション(伸張率)は150〜250%として配設するのがよい。配置間隔は3〜10mm程度が好ましく、4〜8mm程度がより好ましい。図示例では、これら弾性伸縮部材12…は、装着シート間に伸張状態で接着された伸縮性シート11によって配置されている。ここで、前記伸縮性シート11は、吸収体4の縮こまりを防止するため吸収体4と重なる領域に存在する弾性伸縮部材12…を細かく切断するとともに、両端部でのシワやめくれを防止するためこの領域の弾性伸縮部材12…を細かく切断することによって、弾性伸縮部材12…の伸縮力を作用させないようにしてもよい。一方、前記弾性伸縮部材12…は、前記伸縮性シート11による配置に代えて、表面シート3と裏面シート2との間に、少なくとも胴周りの上下方向に間隔をおいて水平方向に沿って伸長下で複数条配置固定する構成としてもよい。また、かかる糸状の弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状の弾性伸縮部材や、縦糸と横糸とからなるネット状の弾性伸縮部材、あるいは伸縮フィルムや伸縮不織布等のシート状の弾性伸縮部材を用いるようにしてもよく、この場合でも吸収体4と重なる領域では幅方向の伸縮力を作用させないようにすることができる。
前記止着テープ10は、図2に示されるように、少なくとも、プラスチック、ポリラミ不織布、不織布、紙等の基材シート10aと、この基材シート10aの側方突出部分であってかつ表面側(肌当接面側)に貼着されたテープ用接合部10bとから構成されている。前記テープ用接合部10bは、機械接合式のファスニングテープとすることができる。前記機械接合式のファスニングテープは、その外面に多数の係合片を有している。係合片の形状としては、例えばレ字状、J字状、マッシュルーム状、T字状等のものが存在するが、いずれの形状であっても良い。好ましいのはT字状のものである。前記止着テープ10は、製品状態では表面シート3側に折り畳まれ、前記テープ用接合部10bが表面シート3に対して剥離可能に接合されている。
前記フロントターゲットテープ8は、おむつ背側の両側に取り付けられた止着テープ10、10のテープ用接合部10bを止め付けるためのもので、おむつ腹側の前記裏面シート2及び補助ギャザーシート20に跨って、これらの部材外面に接合されている。
(補助ギャザーAGについて)
補助ギャザーAGを構成する補助ギャザーシート20は、折り返しによって二重シートとした不織布が用いられ、前記吸収体4の側縁部近傍よりも外側部分が外縁まで延び、前記裏面シート2と接合され、前述の立体ギャザーシート7、防漏シート6及び裏面シート2とともに、これらの積層シート部分によってサイドフラップ部SFを構成している。
また、前記補助ギャザーシート20は、シート20の外側部分X2はホットメルト接着剤等によって裏面シート2側に接着され、シート20の内側部分X1は長手方向前後端部(Y2領域)は、前記X1領域と同様に、おむつ1の裏面側に接着され、おむつ長手方向中間部(Y1領域)では、裏面シート2側に接着されることなく内側に向けた自由片15とされる。前記長手方向の中間領域Y1において、非接着領域X1と接着領域X2との境界部は、補助ギャザーAGの折り返し基端とされる。
前記補助ギャザーAGの先端部、すなわち二重シート不織布によって形成された補助ギャザーシート20の内部であって折り返し先端側部分におむつ長手方向に複数本、図示例では2本の弾性伸縮部材21、21が伸張状態で配設されている。
おむつの外面側両側部に配設された前記補助ギャザーシート20は、おむつの装着時に、図1、図5及び図6に示されるように、おむつ長手方向の中間領域Y1において、自由片15をそれぞれ、非接着領域X1と接着領域X2との境界部を基端としておむつ両側(幅方向外側)に折り返し反転させることにより、前記平面ギャザーFGの外面側を覆う補助ギャザーAGを形成する。この補助ギャザーAGは、股下部分(Y1領域の中間部)では、前記弾性伸縮部材21の伸縮力を利用して、平面ギャザーFGを肌面側に押付けて密着させるように補助する。さらに、下腹部及び臀部(Y1領域の前後端部すなわちY2領域近傍)では、前記弾性伸縮部材21の伸縮力は図6に示されるように幅方向の内側から外側に向けて斜め方向に配置されるようになる。そのため、下腹部側では図1を見ればわかるようにそけい部を押さえるように働き、尿の脇漏れを防止する。また、臀部ではお尻の山の頂部を斜めに横切るように押さえるため、軟便の脇漏れが効果的に防止される。このように、補助ギャザーAGを配置することにより、おむつ1の下腹部から脚周り、臀部にかけてのフィット性が向上し、おむつがずれたり、着用者の姿勢の変化に平面ギャザーFGが十分追従できなかったりして隙間が生じることにより発生する漏れが防止できるようになる。
上記のような弾性伸縮部材が非直線的な軌跡を描き、かつ自由部分の幅が前後端部と中間部とで異なるような自由片を有する補助ギャザーを備えたおむつが、本発明により、補助ギャザーシート20や弾性伸縮部材21を直線的に配置するだけで容易に製造することができるようになる。
次に、前記補助ギャザーAGを効果的に機能させるため、補助ギャザーAGと各部材との相対的位置関係について詳述する。前記補助ギャザーAGを折返し反転させた状態で、補助ギャザーAGの先端部は、前記サイドフラップ部SFに配置される弾性伸縮部材14、14内、最も内側に位置する弾性伸縮部材よりおむつ幅方向中心側に位置することが好ましい。すなわち、図5に示されるように、補助ギャザーAGの自由片15は、基端部からの折返し幅寸法Aが、補助ギャザーAGの基端部からおむつ幅方向中心寄りの弾性伸縮部材14までの寸法A’より短くなるようにすることが好ましい。
これにより、補助ギャザーAGの先端部に配置された弾性伸縮部材21の伸縮力によって、平面ギャザーFGの付け根部分(脚周りの付け根部分)が押し上げられ、平面ギャザーFGの肌面に対するフィット性が向上して漏れが確実に防止できるようになる。さらに、かかる補助ギャザーAGは、平面ギャザーFGとは離間可能であり、その外面側から締め付けるため、着用者の動きに伴って平面ギャザーFGとの重なり位置が少しずつ変わるようになるため、脚周りにおける平面ギャザーの当たり位置と同じ位置を常に締め付けることがないため、脚周りに対する当たりも柔らかく、ゴムの跡付きが少なく、装着感が損なわれることがない。なお、補助ギャザーAGを設ける際には、ベースとなるおむつの平面ギャザーFGを形成する弾性伸縮部材14が片側3本である場合は、弾性伸縮部材14を片側2本とし、補助ギャザーAGの先端部の弾性伸縮部材21の本数を片側1〜2本とする、またはこれら弾性伸縮部材の伸縮力を20〜30%下げる、あるいは立体ギャザーに配置される弾性伸縮部材13の本数を減らすなどして、脚周り部の全体的な伸縮力が強くなりすぎないようバランスを取るのが好ましい。
より好ましいのはA<A’(A≦A’)となる形態であるが、これとは逆にA>A’となる場合は、平面ギャザーFGの付け根部分(脚周りの付け根部分)の押し上げ効果は部分的なものとなるが、その代わり補助ギャザーAGが平面ギャザーFGのさらに外側で漏れを防止する防漏壁として効果的に働くことができる。
一方、同図5に示されるように、補助ギャザーAGの基端部Bは、吸収体4の側縁部B’よりおむつ幅方向外側に位置することが好ましい。すなわち、これとは逆に、補助ギャザーAGの基端部Bが、吸収体4の側縁部B’よりおむつ幅方向中心側に位置すると、吸収体4の折れやヨレなどの影響で平面ギャザーFGを外側から効果的に押し付けることができなくなることがあるためである。補助ギャザーシート20の内側部分X1の長手方向前後端部(Y2領域)の一部、少なくとも弾性伸縮部材21の前後端部は、吸収体4と重なるように位置することが好ましい。これにより、下腹部及び臀部でのフィット性向上と漏れ防止が効果的なものとなる。
また、図3に示されるように、補助ギャザーAGの先端部に配置される弾性伸縮部材21のおむつ長手方向長さCは、前記サイドフラップ部SFに配置される弾性伸縮部材14のおむつ長手方向長さC‘より長くすることが好ましい。これにより、サイドフラップ部SFに配置される弾性伸縮部材14によって形成される平面ギャザーFGを、脚周り全体に亘って補助ギャザーAGが補助することができるようになり、脚周り全体のフィット性が高められるようになる。
本発明に係るおむつ1の具体的寸法の範囲について説明すると、おむつ1の長手方向長さが300〜600mmの製品に対して、腹側端部からフロントターゲットテープ8までのおむつ長手方向長さは20〜60mmが好ましく、フロントターゲットテープ8から補助ギャザーAGの腹側基端部(補助ギャザーシート20の非接着部分であるおむつ長手方向の中間領域Y1の腹側端部)までのおむつ長手方向長さは、0〜10mmが好ましい。このとき、補助ギャザーAG形成時にフロントターゲットテープ8が浮き上がらないようにするため、補助ギャザーAGの自由片幅寸法A(図5参照)は、20〜30mmとすることが好ましい。また、補助ギャザーAGの先端部の弾性伸縮部材21のおむつ長手方向長さ(C)は、250〜550mmが好ましく、平面ギャザーFGを形成する弾性伸縮部材14のおむつ長手方向長さ(C‘)は、200〜420mmが好ましい。一方、立体ギャザーBSの高さは、25〜35mmが好ましい。また、おむつ1の長手方向長さを440mmとする場合には、腹側端部からフロントターゲットテープ8までのおむつ長手方向長さを25mm、フロントターゲットテープ8から補助ギャザーAGの腹側基端部までのおむつ長手方向長さを10mm、補助ギャザーAGの自由片幅寸法Aを30mm、補助ギャザーAGの先端部の弾性伸縮部材21のおむつ長手方向長さ(C)を385mm、平面ギャザーFGを形成する弾性伸縮部材14のおむつ長手方向長さ(C‘)を335mmとし、立体ギャザーBSの高さを35mmとするのが最も好ましい。
〔他の形態例〕
(1)上記形態例では、テープ式の使い捨て紙おむつ1を例に説明したが、前身頃と後身頃とが両側部において接合されることによりウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型の使い捨て紙おむつにも同様に適用できる。
1…使い捨て紙おむつ(おむつ)、2…裏面シート、3…表面シート、4…吸収体、5…被包シート、6…防漏シート、7…立体ギャザーシート、8…フロントターゲットテープ、10…止着テープ、11…伸縮性シート、12・13・14・21…弾性伸縮部材、20…補助ギャザーシート、AG…補助ギャザー、BS…立体ギャザー、FG…平面ギャザー、SF…サイドフラップ部

Claims (4)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在されるとともに、前記吸収体の両側部に吸収体の存在しないサイドフラップ部が形成され、かつこのサイドフラップ部に長手方向に沿って弾性伸縮部材を配置することにより平面ギャザーが形成された使い捨て紙おむつにおいて、
    前記裏面シートの外面側両側部に長手方向に沿ってそれぞれ、シートの外側部分は裏面シート側に接着され、シートの内側部分はおむつ長手方向両端部において裏面シート側に接着されるとともに、おむつ長手方向中間領域において裏面シート側に接着されることなく内側に向けた自由片とされ、該自由片の先端部におむつ長手方向に沿って弾性伸縮部材が配置された補助ギャザーが配設され、かつ前記自由片の基端部は、前記吸収体側縁部よりおむつ幅方向外側に位置しており、
    前記使い捨て紙おむつの装着時に、前記補助ギャザーの自由片をそれぞれおむつ両側に折り返し反転させることにより、前記平面ギャザーの外面側に重ね合わせ、補助ギャザーの起立によって前記平面ギャザーを肌面側に密着させるようにしたことを特徴とする使い捨て紙おむつ。
  2. 前記補助ギャザーを反転させた状態で前記自由片の先端部は、前記サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材の内、最も内側に位置する弾性伸縮部材よりおむつ幅方向中心側に位置している請求項1記載の使い捨て紙おむつ。
  3. 前記補助ギャザーの先端部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さは、前記サイドフラップ部に配置される弾性伸縮部材のおむつ長手方向長さより長くしてある請求項1〜いずれかに記載の使い捨て紙おむつ。
  4. 前記表面シートがわ両側部に、表面側に起立する立体ギャザーが形成されている請求項1〜いずれかに記載の使い捨て紙おむつ。
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