JP5946121B2 - パンツタイプ使い捨ておむつ - Google Patents

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Description

本発明は、フィット性、薄さ及び柔軟性を兼ね備えた外装シートを有するパンツタイプ使い捨ておむつに関する。
パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃を有する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記外装シートの前身頃と後身頃とが両側部において接合されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されているものである。
パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、身体へのフィット性を向上させるために、外装シートに、種々の弾性部材を伸長状態で固定することが行われており(例えば特許文献1〜9参照)、中でも、ウエスト部弾性部材、腰り弾性部材及び湾曲弾性部材を備えているもの(特許文献6記載に代表される)は、比較的に身体に対するフィット性が高いものとなっている。ここに、ウエスト部弾性部材は、ウエスト開口部の縁部に、縦方向に間隔を空けて幅方向に沿って複数本平行に配置されているものである。また、腰り弾性部材は、ウエスト部弾性部材よりも前後方向中央部側の領域に、縦方向に間隔を空けて幅方向に沿って配置されているものである。さらに、湾曲弾性部材は、前身頃及び後身頃の少なくとも一方の両側部から、幅方向中央に向かうにつれて反対の身頃側へ向かうように湾曲しつつ延在するものである。
しかしながら、従来の一般的なパンツタイプ使い捨ておむつにおいては、普通の下着と違って股間部がモコモコするという問題点があった。そして、本発明者らの研究によれば、この問題点の原因の一つは、臀裂から股間にかけての部分において吸収体が身体から浮くこと、つまり当該部位におけるフィット性が不十分であることであった。
この問題点に対して、臀裂のフィット性を改善するものとしては、背側の湾曲弾性部材を股間横断部においてウエスト開口部側に凸状に突出する配置としたもの等、種々の形態が提案されている(例えば、特許文献10,11参照)が、おむつ内面は臀裂にフィットする形状となるものの、フィットした状態に維持され難く、臀裂から股間にかけてのフィット性が不十分となり易いという問題点があった。
特開平7−265357号公報 特開平7−299094号公報 特開平11−36103号公報 特開2001−258931号公報 特開2001−204762号公報 特開2006−043415号公報 特表2007−113978号公報 特開2000−140021号公報 特開2007−97621号公報 特開2008−253289号公報
そこで本発明の主たる課題は、臀裂から股間にかけてのフィット性を改善し、装着時に股間部がモコモコし難い、パンツタイプ使い捨ておむつを提供することにある。
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
<請求項1記載の発明>
前身頃及び後身頃を形成する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記前身頃における外装シートの両側部と後身頃における外装シートの両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
前身頃の右のサイドシール部から前身頃の右のレッグ開口部に沿って延在し、前身頃において前記内装体を幅方向に横切りつつ前向きに方向転換され、前身頃の左のレッグ開口部に沿って前身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の腰周り湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
前身頃の右のサイドシール部から前身頃の右のレッグ開口部に沿って股間部における右側部に至り、股間部における右側部から更に幅方向中央側に向かいつつ後側に向かうように湾曲して後身頃の幅方向中央部に位置する臀裂対向部に至り、臀裂対向部において前側に折り返され、更に左側に向かいつつ前側に向かうように湾曲して股間部の左側部に至り、股間部における左側部から前身頃の左のレッグ開口部に沿って前身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の腹側湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
前記後身頃における臀裂対向部に、幅方向に収縮して装着者の臀裂に入り込むように折れ曲がる屈曲フィット部が設けられるとともに、
前記腹側湾曲弾性部材によって、少なくとも前身頃から後身頃の臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用するように構成されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように臀裂対向部を幅方向に伸縮させることにより、臀裂対向部が峰状に隆起して臀裂に入り込む立体形状の屈曲フィット部となり、さらにこの屈曲フィット部から股間部にかけての部分は、腹側湾曲弾性部材によって、少なくとも前身頃から後身頃の臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用する結果、鼠蹊部に沿ってウエスト側に引っ張られ(以下、腹側への引張作用ともいう)、臀裂から股間にかけてフィットするようになる。よって、本発明によれば、臀裂から股間にかけて良好にフィットするとともに、装着時に股間部がモコモコし難くなる。また、もちろん、このような腹側湾曲弾性部材は鼠蹊部に対するフィット性を向上させる機能も発揮する。
<請求項2記載の発明>
後身頃の右のサイドシール部から後身頃の右のレッグ開口部に沿って前側に向かい、更に臀裂対向部を右から左へ幅方向に横切りつつ後向きに方向転換され、更に後身頃の左のレッグ開口部に沿って後身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の背側湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
この背側湾曲弾性部材によって、少なくとも後身頃における前記臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用するように構成されており、かつ
前身頃における縦方向の弾性変形時引張応力が、後身頃における縦方向の弾性変形時引張応力よりも大きい、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような背側湾曲弾性部材を設けることにより、特に臀溝に対するフィット性を向上させることができる。また、このように、前身頃における縦方向の弾性変形時の引張応力を後身頃のそれよりも大きくすると、装着状態においては、後身頃の縦方向収縮力に抗する前身頃の縦方向収縮力によって、おむつの股間部から臀裂対向部にかけての部分が前側に移動しつつ持ち上がった状態で弾力的にバランスするため、前述した屈曲フィット部の臀裂へのフィット作用がより一層のものとなる。
<請求項3記載の発明>
前記腹側湾曲弾性部材における前記臀裂対向部を通る部分、及び前記背側湾曲弾性部材における前記臀裂対向部を通る部分によって、前記臀裂対向部に収縮力が作用し、これにより前記屈曲フィット部が設けられている、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
屈曲フィット部は、腹側湾曲弾性部材や背側弾性伸縮部材とは別の専用の弾性部材を臀裂対向部に設けることによっても形成することができるが、腹側湾曲弾性部材及び背側弾性伸縮部材を利用することにより、資材増加を回避できるとともに、腹側湾曲弾性部材による引張力が臀裂対向部に自然と向かうようになり、本発明の腹側への引張作用がより一層効果的に発揮されるようになる。
<請求項4記載の発明>
前記腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材は、前記内装体と重なる部分のうち前記臀裂対向部に位置する部分を除いた部分では細かく切断され、前記臀裂対向部に位置する部分及び前記内装体と重ならない部分は細かく切断されずに連続部分として残されている、請求項3記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材のうち内装体と重なる部分を、臀裂対向部に位置する部分を除いて細かく切断することにより、内装体を不必要に収縮させずに、前述の本発明の作用により股間から臀裂に対するフィット性を向上させることができ、もって股間から臀裂に対するフィット性がより一層のものとなる。
<請求項5記載の発明>
前記前身頃における外装シート及び後身頃における外装シートのそれぞれにおいて、ウエスト開口部の縁部に、幅方向に沿って延在する細長状のウエスト部弾性部材が複数本縦方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されるとともに、前記ウエスト部弾性部材よりも前後方向中央部側の領域に、幅方向に沿って延在する細長状の腰り弾性部材が複数本縦方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されている、請求項4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このような幅方向に沿うウエスト部弾性部材及び腰り弾性部材により周方向の締め付けを行う構成とすると、周方向の締め付け力を十分に確保でき、これを支えとして腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材の収縮作用が確実に発揮されるとともに、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材のバランス作用に対してウエスト弾性部材及び腰り弾性部材の収縮力が悪影響を及ぼし難いため好ましい。
<請求項6記載の発明>
前記外装シートは、少なくとも前記ウエスト部弾性部材、腰り弾性部材、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材を有する部分では複数枚の不織布が接着剤で張り合わせてなるとともに、それら不織布間に前記ウエスト部弾性部材、腰り弾性部材、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材が挟持固定されており、
前記外装シートの坪量は30〜75g/m2であり、
前記前身頃及び後身頃におけるウエスト部弾性部材は、それぞれ、太さ310〜1240dtex、本数が5〜10本、間隔が0〜10mm、及び固定時の伸長率が180〜350%であり、
前記前身頃及び後身頃における腰り部弾性部材は、それぞれ、太さ310dtex、本数が6〜26本、間隔が5〜40mm、及び固定時の伸長率が180〜350%であり、
前記腹側湾曲弾性部材は、太さ470〜1,240dtex、本数が3〜10本、間隔が10〜35mm、及び固定時の伸長率が230〜380%で且つ前記背側湾曲弾性部材より高い伸長率であり、かつ
前記背側湾曲弾性部材は、太さ470〜1,240dtex、本数が3〜10本、間隔が10〜35mm、及び固定時の伸長率が200〜350%である、
請求項5記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明は、このような構造の外装シートにおいて、このように各弾性部材を設けるのが好ましい。
<請求項7記載の発明>
前記内装体の両側部に、内装体の側部の裏側から表側に回りこんで内装体の表側に突出する立体ギャザーがそれぞれ設けられており、この立体ギャザーは突端部及び前記内装体の側方から裏側までの部位のそれぞれに、前後方向に沿って延在する細長状のギャザー弾性部材がその長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
前記腹側湾曲弾性部材の軌跡の後端部と前記背側湾曲弾性部材の軌跡の前端部とが前後方向に離間しており、
前記ギャザー弾性部材のうち前記内装体の側方から裏側までの部位に位置するものが、前記腹側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置から、前記背側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置まで延在している、
請求項3〜6のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
本発明では、腹側湾曲弾性部材の軌跡の後端部と背側湾曲弾性部材の軌跡の前端部とが前後方向中間部において交差する形態を採用することもできるが、交差部分が硬くなり、製造も複雑となるため、腹側湾曲弾性部材の軌跡の後端部と背側湾曲弾性部材の軌跡の前端部とが前後方向に離間している形態が望ましい。しかし、この場合、腹側湾曲弾性部材による引張作用が、屈曲フィット部のうち腹側湾曲弾性部材による部分に偏るようになる。これに対して、上述のように、ギャザー弾性部材のうち内装体の側方から裏側までの部位に位置するものが、腹側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置から、背側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置まで延在していると、腹側湾曲弾性部材による引張作用が、当該ギャザー弾性部材を介して屈曲フィット部における背側湾曲弾性部材による部分まで作用するようになり、本発明の腹側引張作用がより一層のものとなる。
<請求項8記載の発明>
前記内装体と前記外装シートとの固定領域は、前後方向中間部よりもその前後両側の部分の幅が広い括れ形状とされており、かつこの固定領域における前側の幅の広い部分の前後方向長さが、後側の幅の広い部分の前後方向長さよりも長い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
(作用効果)
このように内装体の前側の固定領域を広い幅で前後方向に長く形成することで、本発明の腹側への引張作用がより一層のものとなる。また、本発明の腹側への引張作用により臀裂対向部が腹側に引っ張られると、内装体の前側の形状が不適切に変形するおそれがあるが、このように内装体の前側の固定領域を広い幅で前後方向に長く形成することで、内装体前側の不適切な変形を防止することができる。
以上のとおり、本発明によれば、臀裂から股間にかけてのフィット性が改善され、装着時に股間部がモコモコし難くなる、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(内面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの平面図(外面側)である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部平面図である。 図1のC−C断面図である。 図1のA−A断面図である。 図1のB−B断面図である。 接着剤塗布パターンを示す平面図である。 弾性部材の配置パターン及びカットパターンを示す平面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの装着状態の斜視図である。 パンツタイプ使い捨ておむつをダミー人形に装着した状態の背面写真である。 図1のD−D断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつをダミー人形に装着した状態の、右斜め上方からの写真である。 パンツタイプ使い捨ておむつをダミー人形に装着した状態の背面写真である。 パンツタイプ使い捨ておむつをダミー人形に装着した状態の、右斜め上方からの写真である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの要部平面図である。 従来のパンツタイプ使い捨ておむつをダミー人形に装着した状態の背面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ詳説する。
図1〜図12はパンツタイプ使い捨ておむつの実施の形態を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ1(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bを形成する外装シート20と、この外装シート20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性表面シート11と液不透過性裏面側シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装シート20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤Gなどの接合手段によって固定された後に、内装体10および外装シート20が前身頃F及び後身頃Bの境界である縦方向(前後方向)中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着またはホットメルト接着剤などによって接合され、サイドシール部21,22が形成されることによって、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
(内装体の構造例)
内装体10は、図4〜図6に示すように、不織布などからなる液透過性表面シート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性裏面側シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、表面シート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。
吸収体13の表面側(肌当接面側)を覆う液透過性表面シート11としては、有孔または無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高でソフトである点で優れている。液透過性表面シート11に多数の透孔を形成した場合には、尿などが速やかに吸収されるようになり、ドライタッチ性に優れたものとなる。液透過性表面シート11は、吸収体13の側縁部を巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在している。
吸収体13の裏面側(非肌当接面側)を覆う液不透過性裏面側シート12は、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートが用いられるが、近年はムレ防止の点から透湿性を有するものが好適に用いられる。この遮水・透湿性シートは、たとえばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートである。
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合、固着等してなるものを用いることができ、図示例では平面形状を略方形状として成形されたものが使用され、その幅寸法は股間部への当たりによって着用者にゴワ付き感を与えない寸法幅となっている。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。吸収体13の形状は、図示形態のように長方形状とする他、背側及び腹側に対して股間部の幅が狭い砂時計形状(括れ形状)とすることもできる。
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザーBSが形成されているのが好ましい。この立体ギャザーBSはギャザー不織布15により形成される、ギャザー不織布としては、図5及び図6に示されるように、折返しによって二重シートとした不織布が好適に用いられ、液透過性表面シート11によって巻き込まれた吸収体13の側縁部をさらにその上側から巻き込んで吸収体13の裏面側まで延在して接着されている。より具体的には、ギャザー不織布15は、おむつ1の長手方向中間部では、立体ギャザーBS形成部分を残し、幅方向中間部から吸収体13の裏面側に亘る範囲がホットメルト接着剤等によって接着され、また長手方向前後端部では、幅方向中間部から一方側端縁までの区間が吸収体13の裏面側に亘る範囲で接着されるとともに、立体ギャザーBSを形成する部分を吸収体13の上面部にて折り畳むようにしながらホットメルト接着剤等により接着している。
二重シート不織布によって形成されたギャザー不織布15の内部には、起立先端側部分及び基端側部分に複数本の細長状のギャザー弾性部材16、17が配設されている。ギャザー弾性部材16、17は、製品状態において図5に二点鎖線で示すように、弾性伸縮力により吸収体側縁部より突出する不織布部分を起立させて立体ギャザーBSを形成するためのものである。
液不透過性裏面側シート12は、二重シート状のギャザー不織布15の内部まで進入し、図5に示されるように、立体ギャザーBSの下端側において防漏壁を構成するようになっている。この液不透過性裏面側シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
ギャザー弾性部材16、17としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、糸状弾性伸縮部材に代えて、ある程度の幅を有するテープ状弾性伸縮部材を用いるようにしてもよい。
前述のギャザー不織布15を構成する素材繊維も液透過性表面シート11と同様に、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、アミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザー不織布15については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロイド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
(外装シートの構造例)
外装シート20は、図4〜図6にも示されるように、それぞれ上層不織布20A及び下層不織布20B(つまり、この形態では下層不織布が最外側不織布となる)からなる2層構造の不織布シートとされ、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間、及び下層不織布20Bをウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cの不織布間に各種弾性部材が伸長状態で挟持固定され、伸縮性が付与されている。平面形状は、中間両側部に夫々脚部開口を形成するために形成された凹状の脚りライン29により、全体として擬似砂時計形状をなしている。弾性部材としては、合成ゴムや天然ゴムを糸状、紐状、網状、シート状等の任意の形態に加工したものを用いることができる。
外装シート20に設けられる弾性部材は、図1〜3、図9、図15には収縮力作用部分のみが示され、図7及び図8には取り付け部分の全てが示されている。図示形態の外装シート20においては、前身頃F及び後身頃Bのそれぞれにおいて、ウエスト開口部近傍23に配置されたウエスト部弾性部材24,24と、ウエスト部弾性部材24,24よりも股間側に配置された、縦方向に間隔をおいて幅方向に沿って配置された複数の腰り弾性部材25と、腰り弾性部材群25とは別に、前身頃Fと後身頃Bとを接合する両サイドシール部21,22から各側のレッグ開口部に沿って湾曲しつつ延在する湾曲弾性部材26,28と、を備えている。なお、本外装シート20では、湾曲弾性部材26,28により脚周りに対するフィット性が確保されるため、脚りライン29に沿って前身頃Fから後身頃Bまで実質的に連続する脚り弾性部材は設けられていない。
ウエスト部弾性部材24,24は、サイドシール部21,22を有する縦方向範囲のうち、ウエスト開口縁近傍に上下方向に間隔をおいて配設された複数条の糸ゴム状弾性部材であり、身体のウエスト部りを締め付けるように伸縮力を与えることによりおむつのウエスト開口縁を身体に装着するためのものである。このウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えばテープ状の伸縮部材を用いてもよい。また、図示形態のウエスト部弾性部材24,24は、ウエスト部における下層不織布20Bの折り返し部分20Cの不織布間に挟持されているが、上層不織布20Aと下層不織布20Bとの間に挟持しても良い。
り弾性部材25は、サイドシール部21,22と対応する縦方向範囲、及びそれよりも股間側の範囲のうち、概ね上部から下部までの範囲に亘り、上下方向に間隔をおいて幅方向に沿って配設された糸ゴム等の細長状弾性部材であり、前身頃F及び後身頃Bの腰り部分に夫々幅方向の伸縮力を与え、おむつを身体に密着させるためのものである。なお、ウエスト部弾性部材24,24と腰り弾性部材25との境界は必ずしも明確でなくてよい。例えば、前身頃F及び後身頃Bに上下方向に間隔をおいて幅方向に配置された弾性部材の内、数は特定できなくても、上部側の何本かがウエスト部弾性部材として機能し、残りの弾性部材が腰り弾性部材として機能していればよい。
(湾曲弾性部材)
腹側湾曲弾性部材28は、前身頃Fの右のサイドシール部21から右のレッグ開口部に沿って臀裂対向部の右側方に至り、臀裂対向部を右から左に幅方向に横切りつつ前向きに方向転換され、臀裂対向部の左側方から左のレッグ開口部に沿って前身頃Fの左のサイドシール部21に至るパターンをもって、長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されているものである。
また、図示形態では、腹側湾曲弾性部材28のウエスト側に、前身頃Fの右のサイドシール部21から前身頃Fの右のレッグ開口部に沿って延在し、臀裂対向部の前側において内装体10を幅方向に横切りつつ前向きに方向転換され、前身頃Fの左のレッグ開口部に沿って前身頃Fの左のサイドシール部21に至るパターンをもって、長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されている腰り湾曲弾性部材27も設けられている。この腰り湾曲弾性部材27に代えて背側の腰り弾性部材25の本数を股間側に増やすことも可能である。
一方、背側湾曲弾性部材26は、後身頃Bの右のサイドシール部22から後身頃Bの右のレッグ開口部に沿って臀裂対向部の右側方に至り、臀裂対向部における右側部から左側部まで幅方向に横切りつつ後向きに方向転換され、臀裂対向部の左側方から後身頃Bの左のレッグ開口部に沿って後身頃Bの左のサイドシール部22に至るパターンをもって、長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されているものである。背側湾曲弾性部材26は省略することもできる。
また、図示形態では、背側湾曲弾性部材26のウエスト側においても、後身頃Bの右のサイドシール部21から後身頃Bの右のレッグ開口部に沿って延在し、臀裂対向部の後側において内装体10を幅方向に横切りつつ後向きに方向転換され、後身頃Bの左のレッグ開口部に沿って後身頃Bの左のサイドシール部21に至るパターンをもって、長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されている腰り湾曲弾性部材27も設けられている。この腰り湾曲弾性部材27に代えて背側の腰り弾性部材25の本数を股間側に増やすことも可能である。
特に、図2と図8との対比からも分るように、本実施形態では、前身頃F及び後身頃Bに配置された腰り湾曲弾性部材27(腰り湾曲弾性部材27に代えて腰り弾性部材25の本数を股間側に増やす場合には、その腰り弾性部材25)及び湾曲弾性部材26,28は、湾曲弾性部材26,28の臀裂対向部に位置する部分26d,28dを除いて、内装体10を横切る部分細かく切断され部分を有しており、弾性部材の細かな切断片(図示略)が残っているものの収縮力が作用しない非伸縮領域とされている。すなわち、図8に示すように、腰り湾曲弾性部材27及び湾曲弾性部材26,28を、一方側の側部接合縁22から内装体10を横切って他方(反対)側の側部接合縁22まで連続的に設けた後に、臀裂対向部を残すような所定の切断パターンCPにより内装体10を横切る部分を細かく切断し、収縮力が採用しないようにするものである。弾性部材25,26,28を内装体10と重なる部分で不連続とすることにより、内装体10(特に吸収体13)の幅方向の収縮を防止することができる。この非伸縮領域は弾性部材を全く取り付けないことにより形成することもできる。もちろん、腰り湾曲弾性部材27及び湾曲弾性部材26,28のうち少なくとも一部を、内装体10と重なる部分において切断せずに、内装体10を横切って連続的に配置することもできる。いずれにせよ、本発明では、腹側湾曲弾性部材28によって、少なくとも後身頃Bにおける臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用するように構成される。
湾曲弾性部材26,28は、その長手方向中間に縦方向との鋭角側交差角θ(以下、縦方向交差角ともいう)が最小となる最小点を有するとともに、この最小点から幅方向両側に向かうにつれて縦方向交差角θが0度〜90度の範囲内で増加する所定の曲線であって、且つおむつを展開した状態で内装体10の両側部と重なる領域内に縦方向交差角θが60°以下となる交差部分70を有する所定の曲線に沿って配置するのが好ましい。湾曲弾性部材26,28は図示例のようにその全体が湾曲している形態の他、部分的に直線状の部分を有する形態も採用することができる。
湾曲弾性部材26,28は、一本であっても良いが複数本であるのが好ましく、特に、複数本の弾性伸縮部材を間隔を密にして実質的に一束として配置するのではなく、図示例のように、互いに交差することなく所定の伸縮ゾーンを形成するように所定の間隔を空けて複数本配置されるのが好ましい。
また、腹側湾曲弾性部材28の群と、背側湾曲弾性部材26の群とは互いに交差することなく後身頃Bにおける前後方向中間部で縦方向に離間している。この最小縦方向離間距離は10〜20mm程度とするのが好ましい。湾曲弾性部材26,28を、前身頃F及び後身頃Bの両方に設ける場合、図15に示すように、腹側湾曲弾性部材28の群の一部又は全部と、背側湾曲弾性部材26の群の一部又は全部とが臀裂対向部又はその近傍で交差する弾性部材の配置パターンとすることもできる。
上述した外装シート20は、例えば特開平4−28363号公報や、特開平11−332913号公報記載の技術により製造することができる。また、湾曲弾性部材26,28を内装体10上で切断し不連続化するには、特開2002−35029号公報、特開2002−178428号公報及び特開2002−273808号公報に記載される切断方法が好適に採用される。
腹側湾曲弾性部材28は、後身頃Bに入ってから幅方向中央側に方向転換を開始するまでは内装体10と重ならないように配置されていても良く、また、後身頃Bに入ってから幅方向中央側に方向転換を開始する部位よりも前側、特に後身頃Bに入るよりも前側において内装体10と重なるように配置されていても良い。図示形態の腹側湾曲弾性部材28では外側の一本が前者の通過形態となり、内側の二本が後者の通過形態となっている。
(屈曲フィット部)
特徴的には、図10〜図12にも示すように、湾曲弾性部材26,28のうち臀裂対向部に位置する部分28dにより、臀裂対向部が幅方向に収縮して装着者の臀裂に入り込む立体形状の屈曲フィット部40が形成され、さらにこの屈曲フィット部40から股間部にかけての部分は、腹側湾曲弾性部材28によって、少なくとも前身頃Fから後身頃Bの臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用する結果、鼠蹊部に沿ってウエスト側に引っ張られ、臀裂から股間にかけて良好にフィットするようになり、装着時に股間部がモコモコし難くなる。そして、この屈曲フィット部40の屈曲形状は、湾曲弾性部材26,28のうち臀裂対向部に位置する部分26d,28dの収縮作用によって弾力的に維持される。図11中の二点鎖線で示される部分は折れ曲った状態の屈曲フィット部40を示している。
これに対して、従来の一般的なパンツタイプ使い捨ておむつでは、図16に示すように、臀裂対向部が膨出して肌から大きく離間する結果、股間部がモコモコし、普通の下着と顕著に異なる違和感が発生する。また、腹側湾曲弾性部材26が臀裂対向部の側方まで延在せずに、前身頃内で内装体10を横切るように構成されている場合には、臀裂対向部に幅方向に沿う専用の弾性伸縮部材を設けて、屈曲フィット部を形成したとしても、図13及び図14に示すように、屈曲フィット部40が臀裂から離れ、フィット性が不十分となる。
なお、屈曲フィット部40は、腹側湾曲弾性部材28や背側弾性伸縮部材とは別の専用の弾性部材を臀裂対向部に設けることによっても形成することができる。
また、上述の屈曲フィット部40は、吸収体13における臀裂対向部に縦方向に沿う溝41やスリットを設ける等によってその形成を補助することもでき、その場合、適切な位置を折り目として屈曲フィット部40が形成され、またその形状も維持され易くなる。
臀裂対向部における収縮力作用部分(図示例では湾曲弾性部材26d,28dが切断されずに連続している領域)の寸法は適宜定めることができるが、幅は吸収体13よりも狭く、例えば40〜90mmの範囲内とするのが望ましく、前後方向長さは吸収体13の前後方向長さの1/5〜1/2程度とするのが望ましい。また、その前端は前後方向中央又はその近傍に位置しているのが好ましい。前述の切断パターンにおける非切断部分NCは、収縮力作用部分と同じ形状で、同じ又は若干大きめの寸法となる。また、前述の吸収体13に設ける溝41又はスリットの前後方向長さ及び幅は、この収縮力作用部分より短くても、長くても、同じでも良いが、幅については収縮力作用部分未満とするのが好ましい。
また、図15に示すように、腹側湾曲弾性部材28の軌跡の後端部と背側湾曲弾性部材26の軌跡の前端部とが前後方向中間部において交差する形態を採用することもできるが、交差部分が硬くなり、製造も複雑となるため、腹側湾曲弾性部材28の軌跡の後端部と背側湾曲弾性部材26の軌跡の前端部とが前後方向に離間している形態が望ましい。しかし、この場合、腹側湾曲弾性部材28による引張作用が、屈曲フィット部のうち腹側湾曲弾性部材28による部分に偏るようになる。これに対して、図2及び図5に示すように、内装体10の側方から裏側までの部位に位置するギャザー弾性部材17が、少なくとも、腹側湾曲弾性部材28と内装体10の側縁とが交差する位置から、背側湾曲弾性部材26と内装体10の側縁とが交差する位置まで(図示例では内装体10の前端部から後端部まで)延在していると、腹側湾曲弾性部材28による引張作用が、当該ギャザー弾性部材17を介して屈曲フィット部における背側湾曲弾性部材26による部分まで作用するようになり、本発明の腹側引張作用がより一層のものとなる。
(縦方向の弾性変形時引張応力のバランス)
また、本発明では、前身頃Fにおける縦方向の弾性変形時引張応力が、後身頃Bにおける縦方向の弾性変形時引張応力よりも大きくなる前後収縮力バランスとするのが好ましい。弾性変形時引張応力は、おむつの両サイドシール部21,22を剥がして展開状態にした後、測定対象身頃のウエスト開口縁部と、測定対象でない反対の身頃の股間側端部とを引張試験機のチャックでそれぞれ掴み、引張試験を行うことにより計測することができる。弾性変形時引張応力の差は適宜定めることができるが、前身頃Fにおける180〜320%(自然長を100%としたとき)伸長時の縦方向の弾性変形時引張応力が、後身頃Bにおけるそれの1.1〜1.2倍程度であるのが好ましい。なお、このことからも分かるように、弾性変形時引張応力の大小は同じ伸長率(伸長率180〜380%の範囲内とするのが好ましい)での大小を意味する。
このように前身頃Fにおける縦方向の弾性変形時の引張応力を後身頃Bのそれよりも大きくすると、図10及び図12に示すように、装着状態においては、後身頃Bの縦方向収縮力に抗する前身頃Fの縦方向収縮力によって、おむつの股間部から臀裂対向部にかけての部分が前側に移動しつつ持ち上がった状態で弾力的にバランスするため、前述した屈曲フィット部40の臀裂へのフィット作用がより一層のものとなる。
図示例では、このような前後収縮力バランスを腹側湾曲弾性部材28及び背側湾曲弾性部材26のみで形成しているが、これらとともに、あるいは背側湾曲弾性部材26に代えて、細長状、シート状等の弾性部材を幅方向中間部に縦方向に沿って伸長状態で固定することにより形成しても良い(図示略)。
前述の前後収縮力バランスは、各身頃F,Bにおける縦方向の弾性変形時引張応力の因子、例えば収縮力が縦方向の分力を有する弾性部材26,28の太さ、伸長率、本数等の少なくとも一つを前後で異ならしめることにより実現できる。弾性部材26,28の太さ等を調整する場合、弾性部材26,28の本数は、おむつのサイズや配置に応じて定めるのが好ましいため、その配置及び本数を基本として、前述の前後収縮力バランスが得られるように、太さ及び伸長率の少なくとも一方を、後身頃Bよりも前身頃Fが太く又は高くなるようにするのが好ましい。
具体的に、図示例の場合には次の範囲内で各部の仕様を定めるのが好ましい。なお、弾性部材の太さの単位をdtexに統一しているが、合成ゴムに限定するものではなく、天然ゴムを用いることもでき、天然ゴムを用いる場合の単位dtexとは、当該dtexの合成ゴムと同等のSSカーブを有する天然ゴムの太さ(例:ウエスト部弾性部材24に天然ゴムを用いる場合は0.5mm〜3.0mm)を意味するものである。
・外装シート20
素材:不織布
坪量:30〜75g/m2、特に36〜60g/m2
・前身頃F及び後身頃Bのウエスト部弾性部材24
太さ:310〜1,240dtex、特に940〜1,240dtex
本数:5〜10本、特に8〜10本(各身頃)
間隔:0〜10mm、特に3〜5mm
固定時の伸長率:180〜350%、特に220〜300%
・前身頃F及び後身頃Bの腰り部弾性部材25
太さ:310〜1,240dtex、特に470〜620dtex
本数:6〜26本、特に8〜16本
間隔:5〜40mm、特に15〜35mm
固定時の伸長率:180〜350%、特に250〜300%
・腹側湾曲弾性部材28(臀裂対向部に位置する部分も含む)
太さ:470〜1,240dtex、特に620〜940dtex
本数:3〜10本、特に5〜10本
間隔:10〜35mm、特に16〜32mm
固定時の伸長率:180〜380%、特に280〜380%で且つ背側湾曲弾性部材26より高い伸長率
・背側湾曲弾性部材26(臀裂対向部に位置する部分も含む)
太さ:470〜1,240dtex、特に620〜940dtex
本数:3〜10本、特に5〜10本
間隔:10〜35mm、特に16〜32mm
固定時の伸長率:200〜350%、特に250〜300%
(弾性部材の固定のための接着剤塗布パターンについて)
ウエスト部弾性部材24、腰り弾性部材25及び湾曲弾性部材26,28は、外装シート20を構成する一対のシート層20A,20Bの間に挟まれるとともに、それらシート層20A,20Bに対して接着剤により接着固定されており、その接着剤塗布量は外装シート20の柔軟性を大きく左右する。よって、図7に示すように、その接着剤による接着部分B1,B2は、ウエスト部弾性部材24の配置部分及びその近傍、腰り弾性部材25の配置部分及びその近傍、湾曲弾性部材26〜28の配置部分及びその近傍領域のみとし、これらの接着剤以外には両シート層間に接着剤を塗布しないようにするのが好ましい。このように、接着剤塗布部分を可能な限り低減することにより、接着剤による硬質化を各段に抑制することができる。しかも、これと前述の腰り弾性部材25の局所的間隔増大とが組み合わさると、予想以上の柔軟性向上効果が得られる。
図7は、製造工程におけるホットメルト接着剤の塗布部位24B,25B,B1,B2を示しており、湾曲弾性部材26〜28は二点鎖線で示されるように内装体10を横切る部分の切断前の状態を示している。ウエスト部弾性部材24及び腰り弾性部材25を両シート層20A,20Bに固定するための接着剤24B,25Bは、実質的に各弾性部材24,25の配置部位及びその近傍にのみ塗布されている。このような接着剤の塗布は、外周面に接着剤を塗布した弾性部材24,25を両シート層20A,20Bで挟むことにより実現することができ、そのような弾性部材24,25の外周面への接着剤の塗布はノードソン社のシュアラップノズルにより行うことができる。
一方、湾曲弾性部材26〜27を両シート層20A,20Bに固定するための接着剤は、矩形の接着剤塗布部分B1,B2が湾曲弾性部材26〜27の湾曲方向に沿って階段状に並設されることにより、湾曲弾性部材26〜27の長手方向全体にわたり、湾曲弾性部材26〜27の配置部分及びその近傍の領域にのみ接着剤が塗布されている。このような接着剤の塗布は、塗布工程においてシート層20A,20Bの横方向(おむつの幅方向)がラインMD方向(流れ方向)に沿う通常の形態では、ラインCD方向(MD方向と交差する方向)に複数のスロット塗布ノズルを並設し、各ノズルから独立的かつ間欠的に接着剤を塗布することにより行うことができる。
(内装体と外装シートとの固定)
内装体10と外装シート20との固定領域81,82,83は特に限定されないが、図3に示すように、前後方向中間部よりもその前後両側の部分の幅が広い括れ形状とし、かつこの固定領域における前側の幅の広い部分81の前後方向長さが、後側の幅の広い部分83の前後方向長さよりも長い形状とするのが好ましい。このように内装体10の前側の固定領域81を広い幅で前後方向に長く形成することで、本発明の腹側への引張作用がより一層のものとなる。また、本発明の腹側への引張作用により臀裂対向部が腹側に引っ張られると、内装体10の前側の形状が不適切に変形するおそれがあるが、このように内装体10の前側の固定領域81を広い幅で前後方向に長く形成することで、内装体10前側の不適切な変形を防止することができる。
各部の寸法は適宜定めることができるが、通常の場合、固定領域における前側の幅の広い部分81の幅及び前後方向長さは、それぞれ内装体10の幅の85〜100%及び内装体10の全長の40〜60%程度とすることができ、後側の幅の広い部分83の幅及び前後方向長さは、それぞれ内装体10の幅の85〜100%及び内装体10の全長の10〜30%程度とすることができる。特に、後側の幅の広い部分83の前端は臀裂対向部よりも後側に位置しているのが好ましい。
(前後押えシート)
図1及び図4にも示されるように、外装シート20の内面上に取り付けられた内装体10の前後端部をカバーし、且つ内装体10の前後縁からの漏れを防ぐために、前後押えシート50,60が設けられている。図示形態について更に詳細に説明すると、前押えシート50は、前身頃F内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の前端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在しており、後押えシート60は、後身頃B内面のうちウエスト側端部の折り返し部分20Cの内面から内装体10の後端部と重なる位置まで幅方向全体にわたり延在している。前後押えシート50,60の股下側縁部に幅方向の全体にわたり(中央部のみでも良い)若干の非接着部分を設けると、接着剤が食み出ないだけでなく、この部分を表面シートから若干浮かせて防漏壁として機能させることができる。
図示形態のように、前後押えシート50,60を別体として取り付けると、素材選択の自由度が高くなる利点があるものの、資材や製造工程が増加する等のデメリットもある。そのため、外装シート20をおむつ1内面に折り返してなる折り返し部分20Cを、吸収パッド200と重なる部分まで延在させて、前述の押えシート50,60と同等の部分を形成することもできる。
本発明は、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて利用できるものである。
1…パンツタイプ使い捨ておむつ、10…内装体、11…液透過性表面シート、12…液不透過性裏面側シート、13…吸収体、14…包装シート、15…ギャザー不織布、16…糸状弾性伸縮部材、20…外装シート、21,22…側部接合縁、24…ウエスト部弾性部材、25…腰り弾性部材、26…背側湾曲弾性部材、27…腰り湾曲弾性部材、28…腹側湾曲弾性部材、29…脚りライン、20C…外装シート折り返し部、40…屈曲フィット部、81,82,83…固定領域、F…前身頃、B…後身頃。

Claims (8)

  1. 前身頃及び後身頃を形成する外装シートと、この外装シートの内面に固定された、吸収体を含む内装体とを備え、前記前身頃における外装シートの両側部と後身頃における外装シートの両側部とがそれぞれ接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口部及び左右一対のレッグ開口部が形成された、パンツタイプ使い捨ておむつにおいて、
    前身頃の右のサイドシール部から前身頃の右のレッグ開口部に沿って延在し、前身頃において前記内装体を幅方向に横切りつつ前向きに方向転換され、前身頃の左のレッグ開口部に沿って前身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の腰周り湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
    前身頃の右のサイドシール部から前身頃の右のレッグ開口部に沿って股間部における右側部に至り、股間部における右側部から更に幅方向中央側に向かいつつ後側に向かうように湾曲して後身頃の幅方向中央部に位置する臀裂対向部に至り、臀裂対向部において前側に折り返され、更に左側に向かいつつ前側に向かうように湾曲して股間部の左側部に至り、股間部における左側部から前身頃の左のレッグ開口部に沿って前身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の腹側湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
    前記後身頃における臀裂対向部に、幅方向に収縮して装着者の臀裂に入り込むように折れ曲がる屈曲フィット部が設けられるとともに、
    前記腹側湾曲弾性部材によって、少なくとも前身頃から後身頃の臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用するように構成されている、
    ことを特徴とするパンツタイプ使い捨ておむつ。
  2. 後身頃の右のサイドシール部から後身頃の右のレッグ開口部に沿って前側に向かい、更に臀裂対向部を右から左へ幅方向に横切りつつ後向きに方向転換され、更に後身頃の左のレッグ開口部に沿って後身頃の左のサイドシール部に至る;細長状の背側湾曲弾性部材が、その長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
    この背側湾曲弾性部材によって、少なくとも後身頃における前記臀裂対向部の側方までの左右のレッグ開口部に沿う部分に収縮力が作用するように構成されており、かつ
    前身頃における縦方向の弾性変形時引張応力が、後身頃における縦方向の弾性変形時引張応力よりも大きい、請求項1記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  3. 前記腹側湾曲弾性部材における前記臀裂対向部を通る部分、及び前記背側湾曲弾性部材における前記臀裂対向部を通る部分によって、前記臀裂対向部に収縮力が作用し、これにより前記屈曲フィット部が設けられている、請求項2記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  4. 前記腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材は、前記内装体と重なる部分のうち前記臀裂対向部に位置する部分を除いた部分細かく切断された部分を有し、前記臀裂対向部に位置する部分及び前記内装体と重ならない部分は細かく切断されずに連続部分として残されている、請求項3記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  5. 前記前身頃における外装シート及び後身頃における外装シートのそれぞれにおいて、ウエスト開口部の縁部に、幅方向に沿って延在する細長状のウエスト部弾性部材が複数本縦方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されるとともに、前記ウエスト部弾性部材よりも前後方向中央部側の領域に、幅方向に沿って延在する細長状の腰り弾性部材が複数本縦方向に間隔を空けてそれぞれ幅方向に沿って所定の伸長率で伸長された状態で固定されている、請求項4記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  6. 前記外装シートは、少なくとも前記ウエスト部弾性部材、腰り弾性部材、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材を有する部分では複数枚の不織布が接着剤で張り合わせてなるとともに、それら不織布間に前記ウエスト部弾性部材、腰り弾性部材、腹側湾曲弾性部材及び背側湾曲弾性部材が挟持固定されており、
    前記外装シートの坪量は30〜75g/m2であり、
    前記前身頃及び後身頃におけるウエスト部弾性部材は、それぞれ、太さ310〜1240dtex、本数が5〜10本、間隔が0〜10mm、及び固定時の伸長率が180〜350%であり、
    前記前身頃及び後身頃における腰り部弾性部材は、それぞれ、太さ310dtex、本数が6〜26本、間隔が5〜40mm、及び固定時の伸長率が180〜350%であり、
    前記腹側湾曲弾性部材は、太さ470〜1,240dtex、本数が3〜10本、間隔が10〜35mm、及び固定時の伸長率が230〜380%で且つ前記背側湾曲弾性部材より高い伸長率であり、かつ
    前記背側湾曲弾性部材は、太さ470〜1,240dtex、本数が3〜10本、間隔が10〜35mm、及び固定時の伸長率が200〜350%である、
    請求項5記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  7. 前記内装体の両側部に、内装体の側部の裏側から表側に回りこんで内装体の表側に突出する立体ギャザーがそれぞれ設けられており、この立体ギャザーは突端部及び前記内装体の側方から裏側までの部位のそれぞれに、前後方向に沿って延在する細長状のギャザー弾性部材がその長手方向に所定の伸長率で伸長された状態で固定されており、
    前記腹側湾曲弾性部材の軌跡の後端部と前記背側湾曲弾性部材の軌跡の前端部とが前後方向に離間しており、
    前記ギャザー弾性部材のうち前記内装体の側方から裏側までの部位に位置するものが、前記腹側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置から、前記背側湾曲弾性部材と内装体の側縁とが交差する位置まで延在している、
    請求項3〜6のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
  8. 前記内装体と前記外装シートとの固定領域は、前後方向中間部よりもその前後両側の部分の幅が広い括れ形状とされており、かつこの固定領域における前側の幅の広い部分の前後方向長さが、後側の幅の広い部分の前後方向長さよりも長い、請求項1〜7のいずれか1項に記載のパンツタイプ使い捨ておむつ。
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