JP5329991B2 - 希土類元素添加光ファイバ母材の製造方法 - Google Patents

希土類元素添加光ファイバ母材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は光ファイバ母材の製造方法に関し、特に、希土類元素添加の光ファイバ母材の製造方法に関する。
MCVD(modified chemical vapor deposition)法を用い、コア母材を作製する製法として、ガラス微粒子の形成と希土類元素含有化合物等を添加する工程を別個の工程として行う、液浸MCVDと呼ばれる製造方法がある。該製造方法は、石英管の内周面にガラス微粒子を堆積した後、石英管の一方の端部から希土類元素含有化合物等を含む溶液を流し込んで微粒子中に浸透後、希土類元素含有化合物等を熱で拡散させた後にガラス微粒子を透明化させるという方法である。例えば、石英管内周面にガラス微粒子を堆積させてガラス微粒子層を形成する堆積工程、該ガラス微粒子層に希土類元素含有化合物の溶液を含浸させる液浸工程、乾燥工程を経て、ガラス微粒子層の透明化工程、及び石英管をコラプスする工程により光ファイバ母材を製造する方法が特許文献1に記載されている。上記液浸工程では、例えば、堆積工程の終了した石英管内に希土類元素含有化合物溶液を注ぎ込み、その後、余剰の溶液を捨てる方法が例示されている。
特開2004−83399号公報
しかしながら、円筒状石英管の内周面全面に希土類元素含有化合物溶液を均一に接触させることは容易ではない。石英管内に希土類元素含有化合物溶液で充満させる方法では、廃棄せねばならない処理済溶液の量が過大となり、コストの増加につながる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、液浸工程における希土類元素含有化合物溶液の使用量を少なくし、かつ、石英管の内周方向および管の長手方向にわたって均一な液浸処理が可能な、光ファイバ母材の製造方法を提供することにある。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]MCVD法により石英管の内周面に形成されたガラス微粒子に、希土類元素含有化合物の溶液を含浸させることにより、希土類元素を添加する液浸工程を有する光ファイバ母材の製造方法であって、前記液浸工程において前記石英管に液体流出抑制手段が設けられ、前記石英管を中心軸の周りに回転しながら、前記ガラス微粒子に前記溶液を含浸させることを特徴とする希土類元素添加光ファイバ母材の製造方法。
[2]前記液体流出抑制手段が弾性材料を用いて形成された栓であり、前記液浸工程が、前記石英管に注入された前記溶液を、前記石英管の両端に装着された前記栓で封入し、前記栓が装着された石英管を回転させる工程である上記[1]記載の製造方法。
[3]少なくとも一方の前記栓の中央部に貫通孔が設けられ、前記貫通孔を通じて前記溶液が注入される、上記[2]記載の製造方法。
[4]前記液浸工程が含浸後の溶液の除去工程を含み、前記除去工程が、前記栓を取り外して含浸後の溶液を流出させる工程である、上記[2]または[3]記載の製造方法。
[5]前記液体流出抑制手段が前記石英管の内周面に形成された1以上のリング状突起であり、前記液浸工程が、前記石英管に注入された前記溶液の流出を前記リング状突起により抑制しつつ、前記石英管を回転させる工程である、上記[1]記載の製造方法。
[6]前記希土類元素含有化合物溶液が、希土類元素含有化合物と共添加化合物を含み、前記光ファイバ母材の開口数が0.05〜0.2である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記希土類元素がイッテルビウム(Yb)であり、共添加元素がアルミニウム(Al)であることを特徴とする上記[6]記載の製造方法。
液浸工程での希土類元素含有化合物溶液の使用量を少なくし、生産性が高く、かつ、石英管の内周方向および管の長手方向にわたって均一な液浸処理が可能な、光ファイバ母材の製造方法を実現できる。
図1は本発明に係る光ファイバ母材の製造方法を示すフローチャートである。 図2は円筒状の石英管の内周面を湿潤させる一般的な方法を説明する断面図である。 図3は、本発明の実施例1の液浸工程を説明する断面図である。 図4は、図3の4−4断面図を示す。 図5は、本発明の実施例2の液浸工程を説明する断面図である。 図6は、本発明の実施例2の液浸工程を説明する断面図である。 図7は、本発明の実施例1の方法で作製した光ファイバ母材の評価結果を示すチャートである。 図8は、本発明の実施例2の方法で作製した光ファイバ母材の評価結果を示すチャートである。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明は、希土類元素がドープされたコアを有する光ファイバ母材の製造方法に関するものである。図1に本発明の製造方法をフローチャートで示す。図1に示すように、本発明の製造方法は、堆積工程S1、液浸工程S2、乾燥拡散工程S3、透明化工程S4、およびコラプス工程S5からなる。なお、堆積工程の前に、石英管の脱水工程S0を行っても良い。
[脱水工程(S0)]
MCVD法では有機金属原料中に含まれるOH基やコア作製中に混入されるOH基によって伝送損失が増え、レーザ特性を悪化させるためにOH基の混入を抑制することが望ましい。そのため、脱水工程S0では、無水石英管を高温に加熱しつつ、その一端から脱水ガスを導入することで、石英管の内周面を脱水する。使用する脱水ガスとしては、Cl、SiCl、GeCl、POCl、BClなどを用いることができる。その際、脱水ガスを単独で供給しても構わないが、O、Ar、Heなどのガスと同時に流しても良い。また、脱水温度は石英管内周面の損傷を考慮し、1200℃から1500℃が望ましい。なお、無水石英管とは、OHを含む量が1ppm以下(赤外線分光器による測定の限界)の石英管を意味する。
[堆積工程(S1)]
次に、堆積工程S1では、中空の石英管の内周面にガラス微粒子(以下、スートということがある)層を形成する。堆積工程では、石英管を加熱しつつ、その一端から、ガラス原料ガス、キャリヤガス、反応ガスなどを導入する。これにより、石英管内周面にガラス微粒子を堆積させることで、スート層を形成する。石英管を加熱する温度は1000℃から1600℃が好ましい。堆積時の加熱温度が1600℃を超えると、微粒子ガラスの大きさや密度が変動し、希土類含有化合物をガラス微粒子中に浸透させる液浸工程S2(後述)にて、微粒子ガラス中に染み込む希土類元素のドーピング濃度に好ましく無い影響を与える。一方、1000℃未満の低温で微粒子ガラスを堆積すると石英管からスート層が剥がれ落ちる場合がある。また、微粒子を堆積する際には石英管の内圧が、大気圧より約4Pa低くなるようにガラス内圧を制御することが好ましい。
MCVDで用いるガラス原料ガスとしては、SiCl、SiF、POCl、BF、BClなどが挙げられる。また、キャリヤガスとしては、He、Arが挙げられ、反応ガスとしてはOが挙げられる。
なお、一般に、形成するスート層の層厚は、約0.05mm〜約0.5mmである。適当な層厚は使用する石英管の管径により異なるが、スート層を厚く堆積してコラプスする方が、光ファイバ母材からのファイバの生産量が増えるので上記範囲内で層厚は厚いほうが好ましい。
[液浸工程(S2)]
次の工程は、スート層が形成された石英管内周面に希土類元素含有化合物溶液(以下、処理液ともいう)を注入して、スート層に含浸させる液浸工程S2である。ここで、希土類元素含有化合物溶液は、希土類元素及び希土類元素との共添加物のそれぞれの塩化物または酸化物を溶解した溶液である。希土類元素含有化合物として、塩化エルビウム(ErCl3、ErCl・6HO)、塩化ネオジム(NdCl)、塩化イッテルビウム(YbCl3、YbCl・6HO)、塩化ツリウム(TmCl)、塩化ランタン(LaCl)など、共添加化合物として、AlCl、AlCl・6HO、P、HPOなどが挙げられる。溶媒としてはアルコール類、水、塩酸などの極性溶媒が挙げられ、乾燥除去の容易性からエタノールが最も好ましい。
希土類元素添加のファイバの特性は、希土類元素や共添加物の濃度に大きく影響される。YbとAlを共添加する場合、各々の溶液濃度(wt%)は、0.05≦Yb≦1.5、0.05≦Al≦2程度の範囲であることが望ましい。また、Ybのクラスタリングはガラスのフォトダークニングに影響し、ファイバレーザ特性に悪影響を及ぼすため、AlとYbのモル比もYb添加光ファイバ特性に重要なパラメータである。つまり、Ybのクラスタリングを抑制するためにはAlとYbのモル比R(=Al/Yb)を3≦R≦15にすることが望ましい。この範囲の比率にすることで、NAが0.05〜0.2の光ファイバ母材を提供することができる。
図2は、円筒状の石英管の内周面を湿潤させる場合に通常行われる方法を示す断面図である。旋盤(図示せず)にチャックしたままで石英管1内に希土類元素含有化合物溶液3を充満することは困難である。そこで、一旦、石英管1を旋盤から外し、タンク4に収容された希土類元素含有化合物溶液3に石英管1を漬けて溶液3を浸透させている。図2の場合には、石英管1の内周面に形成されたスート層2に含浸させるため、通常、タンク4に希土類元素含有化合物溶液3を5L(リットル)収容する必要がある。この方法だと、大量の希土類元素含有化合物溶液3が必要であり、かつ廃棄する溶液3の量も多くなるため、コスト的に不利である。また、一旦、石英管1を旋盤から取り外すので作業の連続性が損なわれる上に、石英管1の表面にも溶液3が付着するという問題点があった。
本発明者等は、液体流出抑制手段を採用し、かつ、石英管を中心軸の周りに回転させることで、液浸工程での処理液量を削減できることを見出した。
(液浸方法A)
図3は、本発明の一実施形態における液浸工程を説明する断面図であり、図4は、図3の4−4断面図を示す。図3で示す本発明の一実施形態は、液体流出抑制手段として、石英管10の内面に一つのリング状突起40を設けた例を示す。石英管10内に注入された希土類元素含有化合物溶液30は、石英管の内周面に形成されたスート層20のうち、下方の一部を覆う。このように一部のスート層20が覆われた状態で、石英管10を矢印の方向に回転させることで、スート層の全面に希土類元素含有化合物溶液30が行渡り、含浸される。このとき、石英管10の両端は開口しているため、回転中に図3の右端部からは、希土類元素含有化合物溶液30が少量流出するが、リング状突起40が設けられているため左端からの流出は殆ど無い。このため、図2のように管内に処理液を充満する場合に比べると少量の処理液量で処理できる。なお、図3の例では、リング状突起40を左端側にのみ形成しているが、右端側に設けてもよいし、左右の両端にそれぞれリング状突起40を設けることもできる。
突起の形状は特に限定されないが、加工性の点から、断面略三角形の突起が適している。突起の頂点付近はアールを有していても良い。突起の高さは特に限定されないが、液浸工程終了時でも、下部のスート層が浸漬している程度の高さに設定することが好ましい。したがって、スート層の層厚が、約0.05〜約0.5mmとすると、突起の高さは0.1〜3mmが好ましい。
図3に示すリング状突起40を本発明の液体流出抑制手段とする場合、処理液使用量の削減という効果はあるものの、作製された光ファイバにおけるコアNAやドーピング濃度が母材の長手方向で変動するという現象がみられた。このバラツキは、石英管に設けられた突起40の近傍と、突起40から離れた位置とで、希土類元素含有化合物溶液30の濃度傾斜が生じることに起因するものと推定される。
(液浸方法B)
本発明者等は、処理液使用量の削減を実現しつつ、作製された光ファイバのコアNAやドーピング濃度の分布を均一にできる液浸方法として、図5、6に示す方法を見出した。以下、本発明の他の実施形態の液浸方法について説明する。
図5に示す実施形態は、スート層21が形成された石英管11の両端の開口にゴム栓41および42を挿入し、共添加成分を含む希土類元素含有化合物溶液(処理液という場合がある)31が石英管11外に流出するのを防止しつつ、石英管11を回転する態様を説明している。つまり、本実施形態では、ゴム栓41、42を液体流出抑制手段として用いる。石英管11を回転させるため、下部に溜められた少量の処理液31が、スート層21の全面に行き渡り、微粒子ガラスに効果的に含浸される。スート層21には凹凸形状等が形成されていないため、凹凸起因の濃度ムラが発生することはなく、均一な処理が行われる。石英管11内への処理液31の投入量は、石英管11の管径やスート層21の厚さによっても異なるが、底面に位置するスート層21の表面から2〜5mmの水位であることが好ましい。この水位は石英管11の内容積の約20〜40%に相当する。
石英管11の内部への希土類元素含有化合物溶液31の注入は種々の方法を採用できるが、その一つの形態を図6に示す。図6に示すように、一方のゴム栓43の中央に貫通孔44が形成されており、貫通孔44には注入管50が挿入される。希土類元素含有化合物溶液31は、注入管50から石英管11の内部に注入される。石英管11はガラス旋盤により回転されるので、石英管11内での注入管50の高さ位置に達する量の希土類元素含有化合物溶液31は必要ではない。言い換えると、希土類元素含有化合物溶液31は貫通孔44から流出するほど多量に注入する必要が無い。したがって、処理液を含浸させるための石英管11の回転の際には、注入管50を抜き取るだけでよく、貫通孔44が形成されていないゴム栓に取り替える必要は無い。なお、このとき、注入管50を抜き取った後の貫通孔44に栓を取り付けても良い。また、注入管50の石英管外の形状によっては、とりつけたままで石英管11を回転することもできる。なお、このとき注入管50に栓をつけても良い。また、貫通孔44のないゴム栓に取り替えてもよい。また、貫通孔44の直径を注入管50の挿入部の外形より大きくし、貫通孔44内で注入管50が自由に回転できる態様にしておけば、注入管50を抜き取ることなく石英管11を回転させることができる。液浸の終了後には、石英管11の両端で止めたゴム栓41および42または43を外すことで、石英管11中の残留共添加溶液を除去することができる。
ここで、弾性材料を用いて形成された栓としては、代表的な例としてゴム栓が挙げられるが、その材料は、希土類元素含有化合物溶液による溶解や膨潤などが生じない材料であれば特に種類は限定されない。例えば、架橋イソプレンゴムまたは架橋ブチルゴム、架橋イソブチレン・イソプレンゴム、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマーが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、ウレタン系、エチレンプロピレン系、EVA系、EEA系、スチレン系などの各種エラストマー、ナイロン6、ナイロン66、ポリエステル、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデンなどが挙げられる。また、熱硬化性エラストマーとしては、天然あるいは合成イソプレン系、エチレンプロピレンジエンモノマー系、イソプレンイソブチレン系、ニトリルブタジエン系、クロロプレン系、またはシリコーン系エラストマーなどを主成分とするものが挙げられる。これらの中でも、シリコーン系ゴム栓が好適に用いられる。
石英管の適切な回転速度は、石英管の管径によって異なる。たとえば、外径が28mmで内径が25mmの石英管の場合には、液浸方法A、Bいずれの場合も、5〜20回転/分が好ましい。この回転速度範囲であれば、石英管内面のスート層に、希土類元素含有化合物溶液を全面均一に浸透させることができる。
[乾燥拡散工程(S3)]
液浸の終了後、乾燥拡散工程S3に移る。石英管内は、残留処理液を除去後、Oガスを流しながら自然乾燥させる。自然乾燥の時間は約1時間でよい。
乾燥後、石英管の温度を上げるために外部熱源の温度を段階的に上げ、石英管の温度を150℃から1500℃に加熱する。加熱は、脱水、希土類元素含有化合物および共添加物の分解、および、それら元素の拡散を目的としているので、150℃から1500℃まで段階的に石英管温度を上げることが望ましい。希土類元素含有化合物および共添加物の分解は150℃以上であれば起こるため、分解後に希土類元素であるEr、Ybなどのイオンや、共添加物であるAl、Pなどのイオンはこの乾燥拡散工程S3で、微粒子ガラス中に均一に拡散されて行くものと推定される。
[透明化工程(S4)]
乾燥拡散工程S3に引き続き、透明化工程S4を実行する。透明化工程は、石英管内にCl等の脱水ガス及びHeなどのキャリヤガス、およびOガスを流しながら石英管温度を1500℃から1800℃まで上げることにより、残留する微量の水分や異物を除去して希土類金属元素等が添加されたスート層を透明化することができる。
[コラプス工程(S5)]
透明化工程S4に引き続き、同等の温度で、石英管の外部から加熱し、石英管をコラプスさせた。コラプス工程S5により、希土類元素および共添加物元素がドープされた中実コアを有する光ファイバ母材が完成する。なお、コアが扁平になることを回避するため、石英管の内圧を、大気圧に対して0Pa〜10Pa低くすることが望ましい。
[NA測定方法]および[デルタ測定方法](デルタ=比屈折率差)
光ファイバ母材のNAおよびデルタ(コアとクラッドとの比屈折率差)などの光学特性の測定は、光ファイバ母材内部屈折率分布測定装置を用いて行った。使用した装置は、Photon Kinetics社製のP104プリフォームアナライザ(preform analyzer)である。
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[実施例1]
外径28mmφ−管厚1.5mm−長さ400mmの無水石英管の内壁面に1.4SLMのOを流しながら段階的に温度を上げ、1200〜1500℃で石英管の内壁面の空焼きを行った後、50SCCMのClを流しながら1130℃で脱水を行った(脱水工程)。なお、ガラス旋盤による保持のため、石英管の両端に上記石英管よりも管径が大きな補助石英管を継ぎ足しても良い。補助石英管の長さは特に規定されないが、本実施例では長さ約500mmの補助石英管を用いた。この補助石英管には、スート層は形成されない。ここで、SLMおよびSCCMは、0℃基準で表記するガス流量の単位であり、それぞれ、L/min、mL/minに相当する。
その後、0.56SLMのSiCl、0.4SLMのHe、0.5SLMのOのガスを流しながら、1180℃で4回連続して、石英管内壁面へ微粒子ガラスの堆積を行った(堆積工程)。微粒子を堆積する際には石英管の内圧が大気圧より約4Pa低くなるように石英管の内圧を制御した。
次に、端部の微粒子ガラスを石英管内面から除去し、ゴム栓を用いて補助石英管の両端を封止した。別途、0.6gのYbCl・6HO(希土類元素含有化合物)、2gのAlCl・6HO(共添加化合物)を300mLのエタノールに溶かした希土類元素含有化合物溶液(処理液ともいう)を調製した。150mLの希土類元素含有化合物溶液を石英管中に注入した後、ガラス旋盤のチャックに保持した状態で石英管を1時間回転させ、石英管の内面全体に均一に希土類元素含有化合物溶液を浸透させた。このとき、注入された処理液の水位は、最も低いスート層の表面から約5mmの高さであった。石英管を保持し、回転させることができるガラス旋盤のチャックの回転速度は10回転/分で行った。YbCl・6HOとAlCl・6HOは、いずれも水溶性であり、水、アルコール類に溶けるが、乾燥工程を考慮してアルコールを溶媒として用いた。YbCl・6HO、AlCl・6HOの共添加量は、目的とする光ファイバの性質によって異なるが、本実施例では、開口数(NA)が0.06〜0.08で、波長915nmでのコア吸収係数が100〜120dB/mになるように約0.5wt%のYb濃度、および約0.6wt%のAl濃度で共添加を行った(液浸工程)。
液浸処理後、石英管両端で止めたゴム栓を外し、石英管中の残留共添加溶液を流し捨てた後、Oガスを流しながら1時間ほど自然乾燥を行った。そして、石英管温度を上げるために外部熱源の温度を段階的に上げ、150℃から1500℃の石英管の温度で加熱乾燥を行った(乾燥工程)。加熱乾燥は脱水、YbCl・6HO、AlCl・6HOの分解および、AlとYbを拡散させるため、150℃から1500℃まで石英管の加熱温度を段階的に昇温した。YbCl・6HO、AlCl・6HOの分解は150℃以上で起こり、生成したYbイオン、Alイオンは加熱によって、微粒子ガラス中に均一に拡散される。
その後、石英管内の内圧を大気圧より4Pa低くなるように維持し、O流量を0.3SLM、He流量を0.7SLM、Cl流量を20SCCMとして、混合ガスを流しながら石英管温度を1500℃から1800℃まで上げ、微粒子ガラスの透明化および石英管のコラプスを行った。コラスプに際しては、加熱不足により、コア中心部に気泡が発生したり、屈折率プロファイルに凹が生じたりすることがなく、逆に、加熱しすぎて、石英管が垂れたり、Ybクラスタが起こらないように、適宜ヒータを移動させることで、長手方向のバラツキがない中実コアを作製した。光ファイバ母材内部屈折率分布測定装置(Photon Kinetics社製、モデルP104)による測定の結果、作製された光ファイバ母材のコア径は約2mmφであった。
図5の液浸工程を経由する製造方法により、28mmφ−1.5mmt-400mmLの無水石英管を出発原料として、コラプス後、長さ240mmの光ファイバ母材を作製した。作製された母材のNA値とデルタ(Delta、△)値を測定した。測定位置は、端から20、60、100、140、180、220mmの位置である。図7および表1に実施例1の光学特性の評価結果を示す。R−20等の表示は、光ファイバ母材の測定位置を示す。プリフォーム径は、作製された母材の外径を示している。標準偏差は、R−20の位置の測定値からR−220の位置の測定値までの6つのデータから算出した。長さ240mmのコアのNAの長手方向のバラツキとして、6つのNA値の標準偏差を2倍し、それを平均のNAで割った値を算出した。また、図7の横軸は、測定位置を示しており、左縦軸はNA値、右縦軸はデルタ値である。
表1から、コアの長手方向におけるNAのバラツキは5%程度と小さかった。つまり、本実施例の液浸工程を用いることで、長手方向のバラツキが小さな光ファイバ母材を得ることができた。これにより、母材として用いることができる有効長さとして240mmを確保できた(実施例2の2倍以上であった。)。このように特性のバラツキが改善されたことにより、特性の再現性や製造の安定性の確保が可能となる。
Figure 0005329991
[実施例2]
実施例2では、外径28mmφ−管厚1.5mm−長さ400mmの無水石英管であって、端部からR=30mmの位置に、図3に示すリング状突起を一つ有する無水石英管を用いて、液浸工程以外は実施例1と同じ方法で光ファイバ母材を製造した。以下、実施例2の液浸工程について説明する。
実施例1と同じ条件で、脱水工程及び堆積工程を行った石英管を用い、0.6gのYbCl・6HO(希土類元素含有化合物)、2gのAlCl・6HO(共添加化合物)を300mlのエタノールに溶解した溶液を調製し、石英管の一端から、パイプを回転しながら、50mlの希土類元素含有化合物溶液を少しずつ石英管中に注入した。注入後、ガラス旋盤のチャックで保持して石英管を10回転/分の回転速度で1時間回転させ、石英管の内面全体に均一に希土類元素含有化合物溶液を浸透させた。石英管内に設けられたリング状突起は、石英管の一端からの希土類元素含有化合物溶液の流出を抑制する効果を有するものの、回転中に石英管の他端から希土類元素含有化合物溶液の一部は流出するので、適宜、溶液を補充しつつ回転を継続した。YbCl・6HO、AlCl・6HOの共添加量は、本実施例2では、開口数(NA)が0.06〜0.08、波長915nmのコア吸収係数が100〜120dB/mになるように約0.5wt%のYb濃度、および約0.6wt%のAl濃度で共添加を行った。液浸処理後、石英管中の残留共添加溶液を流し捨てた後、Oガスを流しながら1時間ほど自然乾燥を行った。その後、実施例1と同一の条件で、乾燥工程、透明化工程およびコラプス工程を行い、中実コアを作製した。光ファイバ母材内部屈折率分布測定装置による評価の結果、作製された光ファイバ母材のコア径は約2mmφであった。
図8および表2は、実施例2の製法で作製されたコアの、長手方向におけるNAの変化を示す。長さ240mmのコア母材に対し、コアNAの長手方向のバラツキは9%である。長手方向のバラツキは実施例1に比べると大きかった。
Figure 0005329991
以上、実施例1および実施例2により詳細に説明したように、液体流出抑制手段を用いて液浸工程を行う本発明の光ファイバ母材の製造方法により、大量の希土類元素含有化合物溶液を使用することなく効果的な液浸処理を行うことができた。中でも液体流出抑制手段としてゴム栓を用いる方法により、処理液量を少なくすることに加えて、NAなどのバラツキが小さく、均質な光ファイバ母材を製造することができる。
本発明の製造方法により、液浸法により、NAなどのバラツキが小さく、均質な光ファイバ母材を高収率で製造することができる。
1 石英管
2 スート層
3 希土類元素含有化合物溶液
4 タンク
10 石英管
20 スート層
30 希土類元素含有化合物溶液
40 リング状突起
11 石英管
21 スート層
31 希土類元素含有化合物溶液(処理液)
41,42,43 ゴム栓
44 貫通孔
50 注入管

Claims (4)

  1. MCVD法により石英管の内周面に形成されたガラス微粒子に、希土類元素含有化合物の溶液を含浸させることにより、希土類元素を添加する液浸工程を有する光ファイバ母材の製造方法であって、
    前記液浸工程において前記石英管に液体流出抑制手段が設けられ、前記石英管を中心軸の周りに回転しながら、前記ガラス微粒子に前記溶液を含浸させることを特徴とし、
    該液体流出抑制手段が弾性材料を用いて形成された栓であり、
    前記液浸工程が、前記石英管に注入された前記溶液を、前記石英管の両端に装着された前記栓で封入し、前記栓が装着された石英管を回転させる工程であり、
    少なくとも一方の前記栓の中央部に貫通孔が設けられ、前記貫通孔に注入管が挿入され、該注入管から前記溶液が前記石英管内に注入されるようにし、かつ、前記石英管の回転の際には前記注入管を抜き取る、希土類元素添加光ファイバ母材の製造方法。
  2. 前記液浸工程が含浸後の溶液の除去工程を含み、前記除去工程が、前記栓を取り外して含浸後の溶液を流出させる工程である、請求項記載の製造方法。
  3. 前記希土類元素含有化合物溶液が、希土類元素含有化合物と共添加化合物を含み、前記光ファイバ母材の開口数が0.05〜0.2である請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記希土類元素がイッテルビウム(Yb)であり、共添加元素がアルミニウム(Al)であることを特徴とする請求項に記載の製造方法。
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