JP5327160B2 - ロックセンサ - Google Patents

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Description

本発明は、回転機械のロックを検出するロックセンサに関する。
従来、回転機械のロックを検出するロックセンサが知られている。例えば、特許文献1、2には、電磁クラッチを介して回転駆動力が伝達される回転機械である圧縮機に適用され、圧縮機の外殻を形成するハウジングの内部に収容された圧縮機構のロック(固着)を検出するロックセンサが開示されている。
具体的には、特許文献1のロックセンサは、ハウジングの内外を貫通する貫通穴を介してハウジングの内側に固定された磁気抵抗素子を有して構成されている。そして、圧縮機構の回転軸(シャフト)の回転に伴って、シャフトに連結されたカウンタウェイトと磁気抵抗素子との距離が変化して、磁気抵抗素子にて検出される磁束が周期的に変化することを利用して、圧縮機構の回転およびロックを検出している。
また、特許文献2のロックセンサは、電磁クラッチの電磁石に固定されて、所定の温度まで加熱されると溶断する温度ヒューズを有して構成されている。そして、圧縮機構がロックした際に、電磁クラッチのロータとアーマチュアとの摩擦によって生じる摩擦熱にて温度ヒューズを溶断させ、この溶断を検出することで圧縮機構のロックを検出している。
特開平8−326670号公報 特開2004−270644号公報
ところが、特許文献1のロックセンサを圧縮機に取り付けるためには、ハウジングに貫通穴を設けなければならない。さらに、圧縮機にロックセンサを取り付けた状態では、貫通穴とロックセンサとの間の隙間のシール性を確保しなければならない。そのため、特許文献1のロックセンサを採用すると、圧縮機(回転機械)の製造コストを増加させてしまうことが問題となる。
また、特許文献2のロックセンサでは、温度ヒューズが電磁クラッチの電磁石に固定されているので、圧縮機のロックを速やかに精度良く検知することができない。その理由は、電磁クラッチの電磁石は、圧縮機に回転駆動力が伝達されてもロータ、アーマチュア等とともに回転しないので、電磁石とロータとの間あるいは電磁石とアーマチュアとの間には空隙が形成されてしまうからである。
そして、このような空隙は、圧縮機構がロックした際に生じるロータとアーマチュアとの摩擦熱を温度ヒューズに速やかに伝熱することの妨げとなってしまう。その結果、特許文献2のロックセンサでは、圧縮機(回転機械)のロックを速やかに精度良く検知することができない。
上記点に鑑み、本発明は、回転機械の製造コストの増加を招くことなく、回転機械のロックを速やかに精度良く検知可能なロックセンサを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回転駆動源(EG)からの回転駆動力によって回転する駆動側回転体(24)、および、駆動側回転体(24)に連結されることによって回転駆動力が伝達される従動側回転体(25、28、29)を有する動力伝達機構(22)を介して、回転駆動力が伝達される回転機械(2)のロックを検出するロックセンサであって、
駆動側回転体(24)に取り付けられ、磁束を発生する磁性部材(32)と、磁性部材(32)が発生させた磁束を検出する磁束検出手段(31)とを備え、磁性部材(32)は、駆動側回転体(24)と従動側回転体(25、28、29)との摩擦熱によって予め定めた所定温度以上となるまで加熱されると、磁束密度が減少する整磁性を有する材料で形成されていることを特徴とする。
これによれば、磁束検出手段(31)が、駆動側回転体(24)に配置された磁性部材(32)の発生する磁束を検出するので、回転機械(2)の内部構成部品の回転に伴う磁束の変化を検出する場合のように、磁束検出手段(31)を回転機械(2)の内部に配置する必要がない。従って、回転機械(2)の製造コストの増加を招くことがない。
さらに、磁性部材(32)が駆動側回転体(24)に取り付けられているので、回転機械(2)がロック(固着)した際に駆動側回転体(24)と従動側回転体(25、28、29)との摩擦によって生じる摩擦熱を速やかに磁性部材(32)に伝熱することができる。そして、速やかに伝熱された摩擦熱によって、整磁性を有する材料で形成された磁性部材(32)の磁束密度を減少させて、磁束検出手段(31)によって検出される磁束を減少させることができる。
従って、磁束検出手段(31)が、この磁性部材(32)の発生する磁束の変化を検出することで、速やかに精度良く回転機械(2)のロックを検出することができる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、回転機械(2)の製造コストの増加を招くことなく、回転機械(2)のロックを速やかに精度良く検知することのできるロックセンサを提供することができる。
請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載のロックセンサにおいて、磁性部材は、整磁合金(32)で形成されていてもよい。
ここで、整磁合金(32)は、常温付近で所定の磁束密度を有し、その温度の上昇とともに磁束密度を減少させる性質を有し、ニッケル、鉄等を主成分とした合金を採用できる。さらに、整磁合金(32)は、含有する金属の成分割合を変化させることで、温度上昇に伴う磁束密度の減少度合を変化させることもできる。
従って、磁性部材として整磁合金(32)を採用して、温度上昇に伴う磁束密度の減少度合等を適切に設定することで、回転機械(2)のロックを、より一層、速やかに精度良く検知することができる。
請求項3に記載の発明のように、請求項1に記載のロックセンサにおいて、磁性部材は、永久磁石で形成されていてもよい。
ここで、永久磁石は、その温度の上昇とともに磁束密度を減少させ、キュリー温度に到達すると磁性を失うことから、磁性部材として採用することができる。さらに、永久磁石は、その材質的な種類(例えば、フェライト磁石、ネオジム磁石等)によって温度上昇に伴う磁束密度の減少度合やキュリー温度が異なる。
従って、磁性部材として適切な材質の永久磁石を採用することで、回転機械(2)のロックを、より一層、速やかに精度良く検知することができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のロックセンサにおいて、動力伝達機構は、電磁石(27)を有する電磁クラッチ(22)にて構成され、駆動側回転体(24)は、その回転軸方向に伸びる円筒状の外側円筒部(24a)、外側円筒部(24a)の内側に配置されて回転軸方向に伸びる円筒状の内側円筒部(24b)、および、外側円筒部(24a)の軸方向一端側と内側円筒部(24b)の軸方向一端側とを連結するとともに従動側回転体(25、28、29)との摩擦面を形成する円板状の摩擦部(24c)を有し、電磁石(27)の少なくとも一部は、外側円筒部(24a)と内側円筒部(24b)との間に形成される空間に配置され、さらに、磁束検出手段(31)は、前記電磁石(27)に取り付けられていることを特徴とする。
これによれば、外側円筒部(24a)と内側円筒部(24b)との間に形成される空間を電磁石(27)を配置するために有効に利用できるので、電磁クラッチ(22)の大型化を抑制することができる。さらに、電磁石(27)は、回転機械(2)の外部に配置されるので、磁束検出手段(31)を容易に取り付けることができる。
なお、この欄および特許請求の範囲に記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(a)は、第1実施形態の圧縮機の軸方向断面図であり、(b)は、(a)のA−A断面図である。 第1実施形態の冷凍サイクル装置の全体構成図である。 第1実施形態の整磁合金の温度と整磁合金が発生する磁界の強さとの関係を示す特性図である。 (a)は、正常作動時のロックセンサの出力信号の経時変化を示したグラフであり、(b)は、圧縮機がロックした際のロックセンサの出力信号の経時変化を示したグラフである。 圧縮機がロックした際の整磁合金の温度および整磁合金が発生する磁界の強さの経時変化を示したグラフである。 第2実施形態の永久磁石の温度と永久磁石が発生する磁界の強さとの関係を示す特性図である。
(第1実施形態)
図1〜4を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、本発明のロックセンサ30を、回転機械である圧縮機2に適用している。図1(a)は、ロックセンサ30が取り付けられた圧縮機2の模式的な軸方向断面図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図である。また、図2は、この圧縮機2が適用された車両用空調装置の冷凍サイクル装置1の全体構成図である。
まず、冷凍サイクル装置1は、車両用空調装置において車室内へ送風される室内送風空気を冷却するもので、図2に示すように、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機2、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱させる放熱器3、放熱器3にて放熱した冷媒を減圧膨張させる膨張弁4、および、膨張弁4にて減圧された冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる蒸発器5等を環状に接続したものである。
圧縮機2は、図1(a)に示すように、その外殻を形成する金属製のハウジング20の内部に圧縮機構21を収容して構成されたものである。この圧縮機構21には、車両走行用の駆動力を出力する回転駆動源であるエンジンEGから、プーリP、ベルトV、後述する電磁クラッチ22および回転軸であるシャフト23を介して回転駆動力が伝達される。また、本実施形態では、圧縮機構21として斜板式可変容量型圧縮機構を採用している。
より具体的には、圧縮機構21は、シャフト23に連結されてシャフト23と一体的に回転するラグプレート21a、ラグプレート21aの外周側に設けられたリンク部に連結された斜板21b、斜板21bの回転に伴ってシャフト23と平行な方向にハウジングに20に形成されたシリンダ21d内を往復運動するピストン21c等を有して構成されている。
ラグプレート21aは、シャフト23の径方向に広がる略円板状の金属部材で形成され、ラグプレート21aの外周側面の一部には、圧縮機構21およびシャフト23の偏心回転を抑制するカウンタウェイト21eが配置されている。
斜板21bは、略円板状の金属部材で形成され、ラグプレート21aのリンク部に、シャフト23の軸線に対する傾斜角度を変更可能に連結されている。さらに、斜板21bには、複数のピストン21cが連結されている。そして、この複数のピストン21cが、ハウジング20に形成されたシリンダ21dの内部を往復運動することによって、冷媒が吸入されて圧縮される。
また、ラグプレート21aおよび斜板21bは、ハウジング20の内部に形成された制御圧室20a内に収容されている。この制御圧室20a内の圧力は、図示しない電磁式容量制御弁の開度を調整して制御圧室20a内へ導入させる吸入冷媒と吐出冷媒との導入割合を変化させることによって調整される。
さらに、斜板21bの傾斜角度は、制御圧室20a内の制御圧Pcおよびピストン21cとシリンダ21dとによって形成される圧縮室内の圧力(吐出冷媒圧Pdおよび吸入冷媒圧Pc)との釣り合いによって決定される。従って、圧縮機構21では、電磁式容量制御弁の弁開度を調整して、斜板21bの傾斜角度を調整することによって、ピストン21cのストローク量(すなわち吐出容量)を変化させることができる。
なお、吐出容量とは、圧縮室の幾何学的な容積、すなわちピストンストロークの上死点と下死点との間のシリンダ容積である。また、電磁式容量制御弁の弁開度は、後述する空調制御装置10から出力される制御電流によって制御され、この制御電流は空調装置に要求される室内送風空気の冷却度合によって決定される。
次に、電磁クラッチ22は、エンジンEGからプーリPおよびベルトVを介して伝達される回転駆動力によって回転する駆動側回転体であるロータ24、ロータ24に連結されることによってエンジンEGからの回転駆動力が伝達されるアーマチュア25、ロータ24とアーマチュア25とを連結させる吸引力となる電磁力を発生させる電磁石27等を有して構成されている。
ロータ24は、シャフト23に対して同軸上に配置された円筒状の外側円筒部24a、この外側円筒部24aの内周側に配置されるとともに、シャフト23に対して同軸上に配置された円筒状の内側円筒部24b、並びに、外側円筒部24aおよび内側円筒部24bの回転軸方向一端側同士を結ぶように回転軸垂直方向に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する円形状の貫通穴が形成された円板状の摩擦部24cを有している。
従って、ロータ24は、図1(a)に示すように、径方向断面がコの字に形成されている。また、外側円筒部24a、内側円筒部24b、および摩擦部24cは、磁性材(具体的には、鉄)にて一体的に形成され、電磁石27に通電することによって生じる磁気回路の一部を構成する。外側円筒部24aの外周側には、エンジンEGから出力される回転駆動力を伝達するベルトVが掛けられるV溝(具体的には、ポリV溝)が形成されている。
内側円筒部24bの内周側には、ボールベアリング26の外周側が固定され、ボールベアリング26の内周側は、圧縮機2のハウジング20のうち電磁クラッチ22側へ突出した円筒状のボス部に固定されている。つまり、ロータ24は、ボールベアリング26によって、ハウジング20に対して回転自在に固定されている。従って、ロータ24は、エンジンEGの回転とともに回転する。
また、摩擦部24cの外側面は、ロータ24と従動側回転体が連結された際に、従動側回転体を構成するアーマチュア25と接触する摩擦面を形成している。そこで、本実施形態では、摩擦部24cの表面の一部に、摩擦部24cの摩擦係数を増加させるための図示しない摩擦部材(具体的には、アルミニウムの焼結材)を配置している。
アーマチュア25は、圧縮機2のシャフト23方向に対して垂直に広がるとともに、中央部にその表裏を貫通する貫通穴が形成された円板状部材である。さらに、アーマチュア25は、磁性材(具体的には、鉄)にて形成され、ロータ24とともに、電磁石27が発生させる電磁力の磁気回路の一部を構成する。
また、アーマチュア25の一端側の平面は、ロータ24の摩擦部24cに対向しており、ロータ24とアーマチュア25が連結された際に、ロータ24と接触する摩擦面を形成している。一方、アーマチュア25の他端側の平面には、図示しないリベット等によって略円板状に形成された板バネ29の外周側が固定されている。また、板バネ29の内周側には、同様に略円筒状のハブ28が固定されている。
板バネ29は、アーマチュア25に対してロータ24から離れる方向に弾性力を作用させる弾性手段である。これにより、電磁石27が非通電状態となって電磁力を発生させていないときに、この弾性力によって、アーマチュア25の一端側の平面とロータ24の摩擦部24cの外側面との間に隙間を生じさせることができる。換言すると、板バネ29は、電磁石27を非通電状態とした際にロータ24とアーマチュア25とを切り離すための荷重を発生させている。
板バネ29の内周側に固定されたハブ28には、圧縮機2のシャフト23が締め付け固定されている。より具体的には、シャフト23の電磁クラッチ22側端部に形成された雄ネジが、ハブ28の中心部に形成された雌ネジに締め付けられることによって、ハブ28とシャフト23が固定されている。なお、ハブ28とシャフト23との固定には、スプライン(セレーション)あるいはキー溝などの締結手段を用いてもよい。
従って、ロータ24とアーマチュア25が連結されると、アーマチュア25、板バネ29およびハブ28がロータ24とともに回転する。つまり、本実施形態では、これらのアーマチュア25、板バネ29およびハブ28によって従動側回転体が構成されている。
電磁石27は、磁性材(具体的には、鉄)で形成されているとともにシャフト23と同軸状に配置された円環状のステータハウジング27a、ステータハウジング27aの内部に収容されたコイル27b等を有して構成されている。このステータハウジング27aは、ハウジング20の円筒状のボス部から径方向外周側に突出する突出部20bに固定されている。従って、電磁石27は、ハウジング20の外周側に固定されている。
コイル27bは、絶縁性の樹脂ボビンに巻かれた状態で、ステータハウジング27aに固定されており、ステータハウジング27aに対して電気的に絶縁されている。さらに、コイル27bは空調制御装置10に接続されており、空調制御装置10から出力される制御電圧によって、通電状態および非通電状態が切り替えられる。つまり、電磁クラッチ22は、空調制御装置10から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
このステータハウジング27aは、ハウジング20の円筒状のボス部から径方向外周側に突出する突出部20bに固定されている。従って、電磁石27は、ハウジング20の外周側に固定されている。コイル27bは、絶縁性の樹脂ボビンに巻かれた状態で、ステータハウジング27aに固定されており、ステータハウジング27aに対して電気的に絶縁されている。
次に、ロックセンサ30について説明する。本実施形態のロックセンサ30は、圧縮機2(具体的には、圧縮機構21)のロック(固着)を検出するもので、永久磁石と磁気抵抗素子(MRE)を一体的に樹脂モールディングして形成された磁束検出器31、および、磁束検出器31に検出される磁束を発生する磁性部材としての整磁合金32を有して構成されている。
より具体的には、この磁束検出器31は、磁気抵抗素子を通過する磁束の変化に伴って、その抵抗値を変化させる磁束検出手段である。さらに、本実施形態の磁束検出器31は、圧縮機2に回転駆動力が伝達された際に回転しない部位である電磁石27のうち、圧縮機2のハウジング20に対向する側の面に取り付けられている。
換言すると、磁束検出器31は、ロータ24の外側円筒部24aおよび内側円筒部24bの摩擦部24cが設けられていない軸方向他端側に取り付けられており、電磁クラッチ22と圧縮機2のハウジング20との間に形成される隙間に配置されている。
また、整磁合金32は、図3の特性図に示すように、温度上昇に伴って、発生させる磁束量(発生させる磁界の強さ)を減少させる整磁性を有する磁性材料であり、ニッケル、鉄を主成分とし、さらにクロム等を含有する合金で形成されている。
なお、本実施形態の整磁合金32では、含有する金属の重量比率を調整することによって、磁束密度が略0Tとなる温度が300℃程度に設定されている。さらに、本実施形態の整磁合金32は、ロータ24の外側円筒部24aの内周側であって、電磁石27の外周側に対向する位置に取り付けられている。
本実施形態では、上記の如く、磁束検出器31および整磁合金32を配置することによって、ロータ24の回転に伴って、ロータ24に配置された整磁合金32と磁束検出器31との距離が周期的に変化することを利用して、磁束検出器31が検出する磁束を周期的に変化させるようにしている。さらに、磁束検出器31の出力信号端子は、空調制御装置10の入力側に接続されている。
空調制御装置10は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成され、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種空調制御機器(具体的には、圧縮機2の電磁式容量制御弁、電磁クラッチ22等)の作動を制御する制御手段である。
空調制御装置10の入力側には、ロックセンサ30の磁束検出器31の他にも、車室内温度を検出する内気センサ、外気温を検出する外気センサ、車室内の日射量を検出する日射センサ、蒸発器5からの吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度センサ等(いずれも図示せず)の種々の空調制御用のセンサ群および図示しない車両用空調装置の操作パネルが接続され、センサ群からの検出信号および操作パネルからの操作信号が入力される。
次に、上記構成における本実施形態の作動について説明する。空調制御装置10が制御電圧の出力を停止して電磁石27を非通電状態にすると、電磁石27は電磁力を発生しないので、板バネ29の弾性力によって、ロータ24とアーマチュア25が切り離される。従って、エンジンEGの回転駆動力が圧縮機2に伝達されることはなく、冷凍サイクル装置1は作動しない。
また、空調制御装置10が制御電圧を出力して、電磁石27を通電状態にすると、電磁石27の電磁力が板バネ29の弾性力を上回り、ロータ24とアーマチュア25が連結される。これにより、エンジンEGの回転駆動力が電磁クラッチ22およびシャフト23を介して圧縮機構21へ伝達される。
この際、圧縮機構21がロックしていない正常作動時には、圧縮機2吐出冷媒が放熱器3にて放熱し、放熱した冷媒が膨張弁4にて減圧膨張される。そして、減圧膨張した冷媒が蒸発器5にて蒸発する際の吸熱作用によって、室内送風空気が冷却される。これにより、車室内の冷房が実現される。
ここで、図4、5を用いて、ロックセンサ30(具体的には、磁束検出器31)の出力について説明する。なお、図4(a)は、正常作動時のロックセンサ30の出力信号の経時変化を示したグラフであり、図4(b)は、圧縮機2がロックした際のロックセンサ30の出力信号の経時変化を示したグラフである。また、図5は、圧縮機2がロックした際のロータ24(整磁合金32)の温度の経時変化を上段に示し、整磁合金32が発生させる磁界の強さの経時変化を下段に示したグラフである。
正常作動時には、図4(a)に示すように、ロックセンサ30の出力信号が周期的に変化するので、空調制御装置10では、予め定めた基準時間あたりの出力信号の変化の回数に基づいて圧縮機2(具体的には、圧縮機構21)の回転数を算出し、算出された回転数等に基づいて予め定めた制御マップを参照して、電磁式容量制御弁に出力する制御電流等を決定する。
一方、圧縮機2にロックが発生すると、ロータ24とアーマチュア25が電磁石27の電磁力によって連結されているにもかかわらず、アーマチュア25が回転できないため、ロータ24の摩擦部24cの外側面とアーマチュア25の一端側の平面とが滑って、図5の上段に示すように、ロータ24とアーマチュア25との摩擦による摩擦熱を生じる。
この際、整磁合金32がロータ24に取り付けられているので、この摩擦熱は速やかに整磁合金32へ伝熱され、整磁合金32が加熱される。そして、整磁合金32は、ロータ24とほぼ同様に温度上昇して、図5の下段に示すように、磁束密度を減少させて、発生させる磁界の強さを減少させる。そして、所定温度(本実施形態では、300℃程度)以上となると磁界を殆ど発生しなくなる。
その結果、図4(b)に示すように、ロックセンサ30の出力が周期的に変化しなくなる。そこで、本実施形態の空調制御装置10では、予め定めた基準時間あたりのロックセンサ30の出力変化の回数が0回となった際に、圧縮機構21がロックしているものと判定して、電磁クラッチ22への通電を停止する。これにより、圧縮機構21のロックによってエンジンEG側に過大な負荷がかかってしまうことを防止できる。
さらに、本実施形態では、磁束検出器31および整磁合金32を有して構成されたロックセンサ30を採用しているので、以下のような優れた効果を得ることができる。
すなわち、磁束検出器31がロータ24に配置された整磁合金32の発生する磁束を検出するので、圧縮機2の内部構成部品の回転に伴う磁束の変化を検出する場合のように、磁束検出器31を圧縮機2のハウジング20内部に配置する必要がない。従って、従来技術のように、ハウジング20にロックセンサを取り付けるための貫通穴等を設ける必要がなく、圧縮機2の製造コストの増加を招くことがない。
このように、圧縮機2のハウジング20に貫通穴を設ける必要がなくなることは、本実施形態の圧縮機2のようにハウジング20の内部に制御圧室20aが形成される斜板式可変容量型の圧縮機構21を採用する構成では、制御圧室20aからの冷媒漏れを防止でき、吐出容量を精度良く変化させることができる点で極めて有効である。
さらに、本実施形態のロックセンサ30では、整磁合金32がロータ24に取り付けられているので、圧縮機2がロックした際にロータ24とアーマチュア25との摩擦によって生じる摩擦熱を速やかに整磁合金32に伝熱することができる。そして、速やかに伝熱された摩擦熱によって、整磁合金32の磁束密度を減少させて、磁束検出手段(31)によって検出される磁束を減少させることができる。
従って、磁束検出器31が、整磁合金32の発生する磁束の変化(低下)を検出することで、速やかに精度良く圧縮機2のロックを検出することができる。すなわち、本実施形態のロックセンサ30によれば、圧縮機2の製造コストの増加を招くことなく、圧縮機2のロックを速やかに精度良く検知することができる。
さらに、本実施形態のロックセンサ30では、整磁合金32を形成する金属の含有量を調整することで、整磁合金32の温度上昇に伴う磁束密度の減少度合を調整しているので、圧縮機2のロックを、より一層、速やかに精度良く検知することができる。
つまり、温度上昇に伴う整磁合金32の発生する磁束密度の減少度合が不必要に小さければ、圧縮機2のロックを検出する迄の時間が長くなってしまうという不具合が懸念される。逆に、磁束密度の減少度合が不必要に大きければ、圧縮機2がロックしていないときであっても僅かな温度上昇によって、整磁合金32の磁束密度が小さくなり圧縮機2のロックを誤検出してしまうという不具合が懸念される。
これに対して、本実施形態のように、整磁合金32の温度上昇に伴う磁束密度の減少度合を、圧縮機2がロックした際のロータ24とアーマチュア25との摩擦熱の上昇度合に応じて適切に調整しておくことで、上述した不具合を抑制して、圧縮機2のロックを、より一層、速やかに精度良く検知することができる。
さらに、本実施形態では、外側円筒部24aと内側円筒部24bとの間に形成される空間に配置された電磁石27のうち、摩擦部24cが設けられていない圧縮機2のハウジング20に対向する側の面にロックセンサ30の磁束検出器31を取り付けているので、電磁クラッチ22および圧縮機2の大型化を抑制することができる。
つまり、外側円筒部24aと内側円筒部24bとの間に形成される空間を電磁石27を配置するために有効に利用できる。さらに、電磁石27のうち内側円筒部24bの外周面および摩擦部24cによって囲まれていない面に、磁束検出器31が取り付けられるので、磁束検出器31を容易に取り付けることができるとともに、電磁クラッチ22と圧縮機2のハウジング20との間に形成される隙間空間を磁束検出器31を取り付けるために有効に利用できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態の整磁合金32を永久磁石(具体的には、フェライト磁石)に変更した例を説明する。その他の構成および作動を第1実施形態と同様である。
ここで、永久磁石は、図6の特性図に示すように、その温度の上昇とともに磁束密度を減少させキュリー温度に到達すると磁性を失うことから、第1実施形態で説明した整磁合金32と同様の性質を有する。従って、永久磁石を磁性部材として採用しても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、永久磁石はその材質的な種類によって温度上昇に伴う磁束密度の減少度合やキュリー温度が異なる。例えば、第2酸化鉄を主成分とするフェライト磁石のキュリー温度は450℃程度であり、サマリウム、コバルトを主成分とするサマリウムコバルト磁石のキュリー温度は780℃程度であり、ネオジム、鉄、ボロン等を主成分とするネオジム磁石のキュリー温度は330℃である。
従って、電磁クラッチ22の体格(熱容量)やロータ24とアーマチュア25との摩擦熱の上昇度合等を勘案して、磁性部材として適切な材質の永久磁石を採用することが望ましい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、動力伝達機構として電磁クラッチ22を採用し電磁力によって回転駆動力の断続を行う例を説明したが、動力伝達機構はこれに限定されない。例えば、油圧や空気圧によって回転駆動力の断続を行う油圧式クラッチ機構や空気圧式クラッチ機構を採用してもよい。
(2)上述の実施形態では、回転機械として圧縮機2を採用した例を説明したが、回転機械はこれに限定されない。例えば、回転機械として、送風機、発電機等を採用してもよい。また、回転機械として圧縮機2を採用する場合、圧縮機構21の形式は斜板式可変容量型圧縮機構に限定されない。その他の可変容量型圧縮機構を採用してもよいし、スクロール型、ベーン型、ローリングピストン型等の固定容量型圧縮機構を採用してもよい。
(3)上述の実施形態では、ロックセンサ30の磁束検出器31として、磁気抵抗素子を有する磁気検出器を採用した例を説明したが、磁束検出器31はこれに限定されない。例えば、ホール素子、MI素子を有する磁気検出器を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、磁束検出器31に永久磁石と磁気抵抗素子とを一体的に樹脂モールディングしたものを採用しているが、磁束検出器31は磁性部材(整磁合金32、永久磁石)が発生させた磁束を検出するので、磁気抵抗素子のみによって磁束検出器31を構成してもよい。
(4)上述の実施形態では、電磁石27と空調制御装置10とを接続する電気回路あるいはロックセンサ30と空調制御装置10とを接続する電気回路の詳細について説明していないが、電磁石27は、電源供給用の電磁石側電源線および接地用の電磁石側アース線のうち少なくとも一方を、それぞれロックセンサ30の電源供給用のセンサ側電源線あるいは接地用のセンサ側アース線として共用化してもよい。これにより、電気配線の本数を減らすことができるので、より一層、圧縮機2の製造コストを低減することができる。
(5)上述の実施形態では、駆動側回転体としてのロータ24に整磁合金32あるいは永久磁石を1個取り付けた例を説明したが、もちろん、複数個取り付けてもよい。なお、この場合は、第1実施形態の図4(a)で説明した圧縮機2の1回転当たりのロックセンサ30の出力信号の変化回数も変化する。
2 圧縮機
20 ハウジング
22 電磁クラッチ
24 ロータ
24a 外側円筒部
24b 内側円筒部
24c 摩擦部
25 アーマチュア
27 電磁石
28 ハブ
29 板バネ
30 磁気センサ
31 磁束検出器
32 整磁合金

Claims (4)

  1. 回転駆動源(EG)からの回転駆動力によって回転する駆動側回転体(24)、および、前記駆動側回転体(24)に連結されることによって前記回転駆動力が伝達される従動側回転体(25、28、29)を有する動力伝達機構(22)を介して、前記回転駆動力が伝達される回転機械(2)のロックを検出するロックセンサであって、
    前記駆動側回転体(24)に取り付けられ、磁束を発生する磁性部材(32)と、
    前記磁性部材(32)が発生させた磁束を検出する磁束検出手段(31)とを備え、
    前記磁性部材(32)は、前記駆動側回転体(24)と前記従動側回転体(25、28、29)との摩擦熱によって予め定めた所定温度以上となるまで加熱されると、発生する磁束量が減少する整磁性を有する材料で形成されていることを特徴とするロックセンサ。
  2. 前記磁性部材は、整磁合金(32)で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロックセンサ。
  3. 前記磁性部材は、永久磁石で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のロックセンサ。
  4. 前記動力伝達機構は、電磁石(27)を有する電磁クラッチ(22)にて構成され、
    前記駆動側回転体(24)は、その回転軸方向に伸びる円筒状の外側円筒部(24a)、前記外側円筒部(24a)の内側に配置されて前記回転軸方向に伸びる円筒状の内側円筒部(24b)、および、前記外側円筒部(24a)の軸方向一端側と前記内側円筒部(24b)の軸方向一端側とを連結するとともに前記従動側回転体(25、28、29)との摩擦面を形成する円板状の摩擦部(24c)を有し、
    前記電磁石(27)の少なくとも一部は、前記外側円筒部(24a)と前記内側円筒部(24b)との間に形成される空間に配置され、
    さらに、前記磁束検出手段(31)は、前記電磁石(27)に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のロックセンサ。
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