JP5325753B2 - ダブルデッキエレベータ - Google Patents
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Description
従来と同じ大きさのねじ機構を用いて長寿命化を図るためには、かごを支持する複数のねじ軸に作用する支持荷重を均等化することが考えられる。一部のねじ軸にのみ大きな支持荷重が作用しているような状況では、そちらのねじ軸への負担が大きくなり寿命が減少するからである。
ところで、一つのかごを支持するねじ機構の支持荷重を均等化するには、差動歯車機構などを用いることが考えられる。しかし、ダブルデッキエレベータの場合、上下のかごのそれぞれにねじ機構が配置され、各ねじ機構にそれぞれ2本のねじ軸を配したとすれば、そのなかで最も支持荷重が大きくなるねじ軸の寿命が最も短くなるので、その最大支持荷重がダブルデッキエレベータにおける階高調整機構の寿命を決定することになる。
図8は支持荷重均等化機構8の部分斜視図を示す。この図では、ジンバル機構81内部を示すため、一部を部分断面として図示している。ジンバル機構81は、内側ジンバル枠811、外側ジンバル枠812、回転軸813及び814を有している。内側ジンバル枠811はスラスト軸受とラジアル軸受を介してねじ軸4b(または4d)を支持している(図中は図示していない)。回転軸813は内側ジンバル枠811と外側ジンバル枠812とを回転対偶によって連結し、回転軸814は外側ジンバル枠812とL字ブラケット82とを回転対偶によって連結している。また、回転軸813と回転軸814とは互いに回転軸が直交するように取り付けられている。これにより、L字ブラケット82と内側ジンバル枠811とは相対的に任意の方向へ傾斜可能となり、内側ジンバル枠813に取り付けられたねじ軸4b(または4d)が回転軸813と回転軸814の回転軸の仮想的な交点を中心に揺動可能となる。
ここで、支持荷重均等化機構8の機能について説明する。下かご13bを駆動するねじ軸4bとねじ軸4dの支持荷重が異なると、それが各L字ブラケット82によって一定の比率で縮小され、各L字ブラケット82の作用点がロッド87を引き合う力のバランスが崩れる。これにより、各L字ブラケット82の力点が上下に変位する。例えばねじ軸4bの支持荷重の方がねじ軸4dの支持荷重より大きかったとすると、ねじ軸4bは軸方向に下降し、ねじ軸4dは軸方向に上昇する。ねじ軸4bが軸方向に下降すると、ねじ軸4bに作用する支持荷重は減少し、逆に、ねじ軸4dが軸方向に上昇するとねじ軸4dに作用する支持荷重は増加する。これは、下かご13bが内側レール15bによって傾斜を規制されているのに対して、下かご13bの重量を支えるねじ軸4b、4dだけが上下するためである。この結果、ねじ軸4bとねじ軸4dのそれぞれの支持荷重が等しくつり合うところでねじ軸の上下の変位が止まる。すなわち、支持荷重均等化機構8によって下かご13bを駆動するねじ軸4bとねじ軸4dとの支持荷重が、自動的に均等になる。
図9は偏荷重防止機構5を図示したものであり、図9(a)は組み立て図、図9(b)は展開図を示す。偏荷重防止機構5は、凸曲面部と平面部とからなりほぼ半円柱形状で凸曲面部に摺動面を有する4つの滑動部材52と、ねじ軸を通すための円筒形の孔が開けられたリング状をしており滑動部材52の凸曲面部に対応する凹曲面部を有する中間部材51とを構成要素としている。なお、滑動部材52には、ナット部材6a(または6b)と、もしくは床板14a(または14b)とを接続する連結ピン部材53が取り付けられている。偏荷重防止機構5は、滑動部材52の凸曲面部と中間部材51の凹曲面部とが接触及び摺動するよう配置され、それらの接触部が半円の円周方向に摺動することにより揺動動作を行う。また、中間部材51の凹曲面部は、中間部材51の上面と下面のそれぞれに形成されており、上面と下面のそれぞれに滑動部材52が配置される。滑動部材52が揺動動作を行う際の揺動軸は、中間部材51の上面と下面のそれぞれに配置されたもの同士で軸方向から見て互いに直角に交わる向きに構成されている。これによって、中間部材51の上面に配置された滑動部材52と連結する床板14a(または14b)と、中間部材51の下面に配置された滑動部材52と連結するナット部材6a(または6b)とが、任意の方向に傾斜可能に連結される。また、滑動部材52と、床板14a(または14b)、ナット部材6a(または6b)とが連結ピン部材53によって連結されており、ナット部材6a(または6b)は床板14a(または14b)に対して回転が阻止されている。このため、ねじ軸4a(または4b、4c、4d)が回転することで、ナット部材6a(または6b)は上下に直動し、床板14a(または14b)と一緒に上かご13a(または下かご13b)を駆動することができる。
偏荷重防止機構5をナット部材6a(または6b)と床板14a(または14b)との間に挿入することによって、ナット部材6a(または6b)と床板14a(または14b)とが傾斜しても、ナット部材6a(または6b)にエッジロードが発生せず、ナット部材6a(または6b)に偏荷重が生じることを防止できる。また、偏荷重防止機構5は直交する2つの回転軸によって任意の姿勢に傾斜可能なジンバル機構と同じような機能を有しているが、回転軸にせん断荷重ではなく圧縮荷重が作用する構造にすることで、強度的に有利となっている。また、回転軸を半円柱状の滑動部材とすることで薄くしている。
しかし、転がりねじ機構の場合、ねじ軸とナット部材との間を転動体が転がることにより繰り返し圧縮応力を受けるため、材料の疲れによるフレーキングが発生しやすいという問題がある。これが転がりねじ機構の寿命(フレーキング寿命)となるが、このフレーキング寿命は一般に作用する荷重の3乗(転動体が玉の場合)、もしくは10/3乗(転動体がころの場合)に反比例することが知られている。つまり、支持荷重が2倍となれば寿命は1/10程度まで減少することになる。
2・・・階高調整機構
3・・・ジンバル機構
4・・・ねじ軸
5・・・偏荷重防止機構
6・・・ナット部材
7・・・オルダム継手
8・・・支持荷重均等化機構
9・・・建物の壁及び床の一部
11・・・メインレール
12・・・外枠
13・・・かご
14・・・床板
15・・・内側レール
16・・・ガイドシュー
17・・・ガイドローラ
18・・・上枠部
19・・・中間枠部
21・・・駆動モータ
31・・・ジンバル枠
32・・・ジンバル枠
33・・・中間部材
34・・・回転軸
51・・・中間部材
52・・・滑動部材
53・・・連結ピン部材
71、72・・・係合部材
73・・・中間部材
81・・・ジンバル機構
82・・・L字ブラケット
83・・・支持部材
84、85・・・シャフト
86・・・T字ブラケット
87・・・ロッド
91・・・建物の床
92・・・建物のフロア側ドア
Claims (9)
- 上下に配置された二つのかごを有し、上かごと下かごとの間隔を調整可能なダブルデッキエレベータにおいて、
前記上かごと前記下かごはそれぞれねじ機構によって駆動され、前記上かごのねじ機構を構成する2本のねじ軸と前記下かごのねじ機構を構成する2本のねじ軸とは、軸回りの回転動力を伝達し、軸方向の相対移動を許容する連結機構を介して接続され、
さらに、ねじ機構の支持荷重を均等化する支持荷重均等化機構を備え、
前記支持荷重均等化機構は、上かご又は下かごの前記ねじ機構において、スラスト力の大小関係により、スラスト力の大きい方のねじ軸が軸方向に下降し、スラスト力の小さい方のねじ軸が軸方向に上昇するよう、2本のねじ軸に作用するスラスト力を互いに伝達し合う部材を介して前記2本のねじ軸の間を連結した構成を有することを特徴とするダブルデッキエレベータ。 - 請求項1に記載のダブルデッキエレベータにおいて、上かご及び下かごの前記ねじ機構は、かごを支持するナット部材とねじ軸との間の荷重伝達を転動体を介して行う転がりねじ機構で構成することを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1に記載のダブルデッキエレベータにおいて、前記支持荷重均等化機構は、それぞれのねじ軸をスラスト支持する支持部をそれぞれ支点を有するレバー部材によって支持し、一方のねじ軸の支持部へ作用するスラスト力によってレバー部材が支点回りに回転するように構成し、このレバー部材の回転によって前記一方のねじ軸の支持部を軸方向に下降させ、かつ他方のねじ軸をスラスト支持する支持部を軸方向に上昇させることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項3に記載のダブルデッキエレベータにおいて、前記支持荷重均等化機構は、力点・支点・作用点の3点を持つレバー部材を備え、前記2本のねじ軸は前記レバー部材の力点部に各々軸回りに回転可能にそれぞれ連結され、前記各レバー部材は、ねじ軸が軸方向に下降すると当該支点を中心に回転し、この回転によって各レバー部材の作用点同士が互いに遠ざかる向きに設置されており、複数のレバー部材の作用点同士はその距離が遠ざからないよう拘束されていることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1に記載のダブルデッキエレベータにおいて、前記支持荷重均等化機構は、2つの作用点の重心に支点を持つレバー部材を備え、この作用点に各々軸回りに回転可能に前記ねじ軸をそれぞれ連結することを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1又は2に記載のダブルデッキエレベータにおいて、上かごを駆動する前記ねじ軸と下かごを駆動する前記ねじ軸とは、オルダム継手を介して接続されていることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1又は2に記載のダブルデッキエレベータにおいて、上かごを駆動する前記ねじ軸と下かごを駆動する前記ねじ軸とは、すべりキーを介して接続されていることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1又は2に記載のダブルデッキエレベータにおいて、上かごを駆動する前記複数のねじ軸は、差動歯車機構によって分配された動力によって駆動されることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
- 請求項1又は2に記載のダブルデッキエレベータにおいて、上かごを駆動する前記複数のねじ軸は、それぞれ誘導電動機によって駆動され、当該それぞれの誘導電動機は同一の周波数の電圧によって駆動されることを特徴とするダブルデッキエレベータ。
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