JP5324904B2 - 偏光板の製造方法、偏光板、および液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法、偏光板、および液晶表示装置 Download PDF

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本発明は偏光板の製造方法に関する。また、偏光板、および液晶表示装置にも関する。
近年、液晶ディスプレイ市場の隆盛に伴い、様々なフィルムが開発されている。例えば、特許文献1〜3には、傾斜型位相差フィルムが開示されている。このような液晶表示装置用の位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いて偏光板を製造する方法においては、得られたフィルムと偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて貼り合わせ(以下、ロールtoロールで貼り合わせる、ロールtoロールで加工する等とも言う)、製造コストを低下させることが求められている。また、液晶表示装置用の偏光板としては、斜めから見た時の偏光板の光漏れがなく、視野角が広いことも求められている。
このような課題に対し、例えば、特許文献1には、溶液製膜で得られた正の複屈折性樹脂フィルムを周速度の異なる2つのロール間にフィルムを通すことで、該フィルムにせん断力を付与し、光軸が傾斜したフィルムを作成する方法が記載されている。該文献では、さらに得られたフィルムにフィルム幅方向(以下、TD方向または横方向とも言う)に延伸を行うことで、遅相軸がTD方向であり、傾斜方位がフィルム長手方向(以下、MD方向または縦方向とも言う)であるフィルムを製造している。しかし、該文献に記載の正の複屈折性樹脂フィルムに対してせん断応力を付与してを行う方法では、2つのロール間の周速差の管理や周速差精度の維持が困難であり、付与できるせん断力の大きさに制限があり、延伸工程において加えられる温度の範囲に制限があった。そのため、得られるフィルムは傾斜構造の経時安定性が不十分である等の問題があった。さらに、特許文献1に記載された方法で製造されたフィルムがレターデーションや傾斜方位のバラツキが大きいため、偏光板保護フィルムとして用い、偏光子と直接ロールtoロールで貼り合せて偏光板を製造した場合、得られる偏光板を組み込んだ液晶表示装置は表示品位を低下させる問題などがあった。また、該文献は溶融物に対してせん断応力付与する製膜方法を適用することも示唆していなかった。
一方、せん断応力を付与する製膜方法を溶融物に適用した例が知られている。例えば、特許文献2〜4では、硬度の低い弾性ロール(例えば、特許文献2に記載されている表面を金属でコートしたゴムロール)と金属ロールの2つの周速度の異なってもよいロールを用いて溶融物を挟み、溶融物に対してせん断力を付与する製膜法が開示されている。
しかしながら、これらの文献に記載された方法で製造されたフィルムを偏光板保護フィルムとして用い、偏光子と直接ロールtoロールで貼り合せて偏光板を製造した場合、得られる偏光板は斜めから見た時に光漏れするという問題があり、該偏光板を組み込んだ液晶表示装置は視野角が狭いという問題もあった。
さらに、特許文献2および3に記載された方法で製造されたフィルムは傾斜構造が依然として小さいという問題が解決されていなかった。例えば、特許文献3では、光軸傾斜が±0.3度の極めて小さいフィルムが開示されている。特許文献4ではその実施例で光軸が11.5〜18.2°傾斜した光学フィルムが開示されているが、光軸傾斜角度と液晶ディスプレイの光学補償との関係については何ら記載されていない。また、特許文献4は正の複屈折性樹脂フィルムに対して溶融物にせん断応力を付与して製膜した後、縦方向に延伸することを開示しているが、得られた位相差フィルムの遅相軸と傾斜方位が直交できないため、広い視野角を実現するのは困難である。さらに、金属ロールと硬度の低い弾性ロールを用いて圧力を加えてせん断応力を加える場合、どのように製造条件を変更しても傾斜構造が大きいフィルムを得ることができなかった。そのため、実際に、透過型のTNやECB、OCB液晶ディスプレイの光学補償を行うには、傾斜構造が大きく、偏光板補償機能と液晶セルの視野角を両方補償できるような遅相軸と傾斜方位が直交する位相差フィルムを有する偏光板が望まれていた。
このように、傾斜構造が大きい位相差フィルムを偏光板保護フィルムとして用いて、該偏光板保護フィルムと偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせ、貼り合せて偏光板を製造する場合に、視野角補償能が大きく、斜めから見た時の光漏れが改善された偏光板を、低コストで製造する方法は従来知られていなかったのが実情である。
特開平6−222213号公報 特開2003−25414号公報 特開2007−237495号公報 特開2007−38646号公報
本発明は上記の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の第一の目的は、製造コストが安く、液晶表示装置の視野角補償能が大きく、斜めから見たときの光漏れが改善された偏光板の製造方法および該製造方法で得られる偏光板を提供することにある。また、本発明の第二の目的は、該偏光板を用いた液晶表示装置を提供することにある。
そこで、本発明者は上記課題を解決すべく、偏光板の製造方法において一連の研究を重ねた。その過程で、偏光板に使用される偏光板保護フィルムの光学特性に着目した。液晶表示装置において広い視野角および斜め方向からの黒表示時の光漏れ改善を実現するためには、用いる偏光板保護フィルムの遅相軸と傾斜方位が直交する必要があると考えた。本発明では、負の複屈折性樹脂を用いることを検討したところ、驚くべきことに傾斜構造が大きく、遅相軸がフィルム幅方向を向き、傾斜方位がフィルム搬送方向を向くという特性を有するフィルムを得ることができることが判明した。また、該フィルムと偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せた偏光板を液晶表示装置に組み込んだところ、視野角を大幅に広げられ、斜めから見たときの光漏れも改善されることを見出した。従来、このような特性を有するフィルムは知られておらず、また、このような特性を有するフィルムと偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程(ロールtoロールで貼り合わせる工程)を含む偏光板の製造方法は示唆も開示もされていなかった。例えば、従来知られていたフィルムの製造方法で得られたフィルムを改良し、フィルムの遅相軸と傾斜方位を直交させるには、高価な横延伸装置(例えばテンター)を用いて横延伸する工程を経なければ製造できなかったと予想される。そのため、横延伸を必須の構成としない本発明の偏光板製造方法によれば、前記特許文献1等に記載の方法を改良した場合に比べても、製造コストを大きく下げることができることがわかった。
一般的に、負の複屈折性樹脂の溶融物に対してせん断応力を付与して製膜する場合、主鎖の配向方向は予測できると考えられていた。一方、負の複屈折性樹脂中、負の固有複屈折性を示す構造である側鎖の運動性は高いため、溶融物に対してせん断応力を付与して製膜を行うと側鎖が様々な方向に向く可能性が高いと考えられていた。側鎖の向く方向によって得られるフィルムの傾斜方位と配向方向が変わるため、特に側鎖が一様に同じ方向を向くことは予想されておらず、整然と側鎖が並び、かつ得られるフィルムの遅相軸と傾斜方位が直交することは予想できないものであった。
さらに、本発明者は偏光板保護フィルムを偏光板に組み込んだ際、実用上偏光板保護フィルム自体の前記傾斜構造の経時安定性にも、偏光板の視野角補償能および、斜めから見たときの光漏れが影響を受けることを見出した。そこで、傾斜構造の経時安定性の改善についても検討した結果、本発明の偏光板の製造方法において製造された偏光板保護フィルムは、従来達成できていなかった傾斜構造の経時安定性についても大幅に改良できることが判明した。
すなわち、本発明者は上記課題を解決すべく溶融物に対してせん断応力付与する製膜法を鋭意検討した結果、挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間で負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物をバンク(溶融物の余剰分がロール上へ滞留し、形成された滞留物)を形成させながら連続的に挟圧することで、傾斜構造が大きく、かつ遅相軸と傾斜方位が直交し、傾斜構造の経時安定性が改善されたフィルムを得ることができることを見出した。その結果、該フィルムと偏光子とを直接ロールtoロールにて貼り合せることで、製造コストが安く、視野角補償能が大きく、斜めから見たときの光漏れが改善された偏光板の製造方法を見出すに至った。
具体的には、下記製造方法およびその方法で作成された偏光板が上記課題を解決できることを見出し、以下に記載する本発明を完成するに至った。
[1] 偏光板保護フィルムAを製造する工程と、偏光子の一方の面に前記偏光板保護フィルムAを貼合する貼合工程とを含む偏光板の製造方法であって、前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物を挟圧装置挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に通過させて帯状のフィルム状に成型する工程と、前記第一挟圧面の移動速度を前記第二挟圧面の移動速度よりも速くする工程とを有し、前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有することを特徴とする偏光板の製造方法。
[2] 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、負の複屈折性樹脂を含有する組成物をダイから溶融押出しする工程と、挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に溶融押出しされた溶融物をバンク形成させながら通過させて連続的に挟圧してフィルム状に成形する工程と、下記式(I)で定義される前記挟圧装置の第一挟圧面と第二挟圧面の移動速度比を0.60〜0.99に制御する工程とを含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
移動速度比=第二挟圧面の速度/第一挟圧面の速度 式(I)
[3] 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、前記挟圧装置の第一挟圧面の表面温度と第二挟圧面の表面温度との間に0.1℃〜50℃の温度差を与える工程を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の偏光板の製造方法。
[4] 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、前記フィルム状に成形された溶融物を、Tg−10℃〜Tg−100℃のキャストロールを用いて搬送する工程を含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法(但し、前記Tgは前記負の複屈折性樹脂のガラス転移温度を表す。)。
[5] 前記挟圧装置が互いに周速度が異なる2つのロールであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[6] 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、前記溶融物を20〜500MPaの圧力で挟圧する工程を含むことを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[7] 少なくとも1方向に前記偏光板保護フィルムAを延伸する工程を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[8] 前記偏光板保護フィルムAが負の複屈折性樹脂であり、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、およびポリビニルアセタール系樹脂、環状オレフィン系樹脂、およびポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[9] 前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと、帯状の前記偏光子と、帯状の偏光板保護フィルムBとをこの順に、各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有することを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[10] 前記偏光板保護フィルムBがセルロースアシレートフィルムまたはアクリルフィルムであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
[11] [1]〜[10]のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
[12] 前記偏光板保護フィルムAの遅相軸と、前記偏光板保護フィルムAの傾斜方位が直交していることを特徴とする[11]に記載の偏光板。
[13] TNモード用、OCBモード用またはECBモード用であることを特徴とする[11]または[12]に記載の偏光板。
[14] [11]〜[13]のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚使用したことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、製造コストが安く、液晶表示装置の視野角補償能が大きく、斜めから見たときの光漏れが改善された偏光板の製造方法および該製造方法で得られる偏光板を提供することができる。また、本発明の偏光板の製造方法は、遅相軸と傾斜方位が直交しており、偏光子とロールtoロールで加工でき、液晶表示装置に使用した場合に十分な光学補償を実現できる偏光板保護フィルムの製造方法を含む。詳しくは、上記光学特性を有するフィルムは、遅相軸と傾斜方位が直交しているため、該フィルムを用いた偏光板をTNモード、ECBモード、OCBモードの液晶ディスプレイに使用した場合に、十分な光学補償を実現できる。例えば、TNモードの液晶ディスプレイでは、視野角度が狭いため、通常、光学補償を実現する液晶組成物からなる光学補償層が設けられた光学補償フィルム(例えば、WVフィルム(富士フィルム製))が偏光子に積層されて使用されるが、上記光学特性を有するフィルムを使用した場合には、液晶組成物からなる光学補償層を利用しなくても、従来の液晶組成物からなる光学補償層を有する光学補償フィルムを利用したものよりも簡便に視野角補償を行うことができる。また、本発明の偏光板の製造方法により、横延伸工程を省くことができ、低い製造コストにて偏光板を提供することができる。さらに本発明の偏光板の製造方法中の工程の一部によって得られる前記偏光板保護フィルムは傾斜構造の経時安定性にも優れている。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本明細書において、「フィルム長手方向」とは、MD(マシン・ダイレクション)方向を意味する。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする。具体的には、本発明の偏光板は、偏光子の一方の面に前記偏光板保護フィルムAを有する。前記偏光板保護フィルムAの遅相軸と、前記偏光板保護フィルムAの傾斜方位が直交していることが、偏光子とロールtoロールで加工した際の視野角補償能および斜めから見たときの光漏れ改善の観点から好ましい。
本発明の偏光板は、前記偏光子のもう一方の面に偏光板保護フィルムBを有することが好ましい。
本発明の偏光板は、その少なくとも一方の面に、他の部材との貼着のための粘着剤層を有してもよい。また、本発明の偏光板において、前記偏光板保護フィルムAの表面が凹凸構造であれば、アンチグレア性(防眩性)の機能を有することになる。さらに、本発明の偏光板には、前記偏光板保護フィルムAの表面にさらに反射防止層(低屈折率層)を積層した反射防止フィルムや、前記偏光板保護フィルムAの表面にさらに光学異方性層を積層した光学補償フィルムを用いることも好ましい。
一般に液晶表示装置は二枚の偏光板の間に液晶セルが設けられるため、偏光板が両面に偏光板保護フィルムを有する場合は、4枚の偏光板保護フィルムを有する。前記偏光板保護フィルムAは、二枚の偏光板のいずれに用いてもよいが、前記偏光板保護フィルムAは、液晶表示装置における液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板保護フィルムとなるように配置して、特に有利に用いることができる。
本発明の偏光板は、前記偏光板保護フィルムB、偏光子および前記偏光板保護フィルムAがこの順に積層している構成であることがより好ましい。また、前記偏光板保護フィルムB、偏光子、前記偏光板保護フィルムAおよび粘着剤層がこの順に積層している構成もより好ましい。
<偏光板保護フィルムA>
本発明の偏光板には、前記偏光板保護フィルムAが用いられる。
また、前記偏光板保護フィルムAには表面処理をしておくこともできる。表面処理方法としては、例えば、コロナ放電、グロー放電、UV照射、火炎処理、アルカリ水溶液のケン化処理等の方法が挙げられる。
以下、前記偏光板保護フィルムAを詳細に説明する。
前記偏光板保護フィルムAは、負の複屈折性樹脂を含むフィルムであって、遅相軸と傾斜方位を有し、遅相軸と傾斜方位が直交することを特徴とする。前記傾斜方位とは、後述する測定方法において、|Re[+40°]−Re[−40°]|が最大となる方位を表す。また、「遅相軸と傾斜方位が直交する」とは、遅相軸と傾斜方位とがなす角度がおよそ90°であることを表す。以下、前記偏光板保護フィルムAについて詳細に説明する。
(面内方向のレターデーションRe、厚み方向のレターデーションRth、γ、Δγ)
前記偏光板保護フィルムAは、フィルム傾斜方位とフィルム法線を含む面内において、該法線に対して傾斜方位側へ40°傾いた方向から測定した波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe[+40°]と、該法線に対して傾斜方位と反対側へ40°傾いた方向から測定した波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe[−40°]が、下記式(II)を共に満たすことが好ましい。
10nm<γ≦300nm 式(II)
γ=|Re[+40°]−Re[−40°]| 式(II')
本明細書において、「フィルム法線からθ°傾いた方向」とは、法線方向から傾斜方位にθ°だけフィルム面方向に傾斜させた方向と定義する。即ち、フィルム面の法線方向は、傾斜角度0°の方向であり、フィルム面内の任意の方向は、傾斜角度90°の方向である。
前記偏光板保護フィルムAは、前記γが40〜300nmであることが好ましく、50〜280nmであることがより好ましく、60〜250nmであることが特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムAは、フィルム傾斜方位とフィルム法線を含む面内において、該法線方向から測定した波長550nmにおける面内方向のレターデーションRe[0°]が下記式(III)を満足することが好ましい。
20nm≦Re[0°]≦300nm 式(III)
前記偏光板保護フィルムAは、面内方向のレターデーションRe[0°]が30〜300nmであることが好ましく、40〜250nmであることがより好ましく、50〜200nmであることが特に好ましい。
またさらに、前記偏光板保護フィルムAは、下記式(IV)〜(V)を同時に満たすことが好ましい。
50nm≦Re[0°]≦200nm (IV)
40nm≦γ≦250nm (V)
前記偏光板保護フィルムAは、60℃、相対湿度90%の環境下で500時間経過前後のγの変化率Δγが、15%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、5%以下であることが特に好ましい。Δγは傾斜構造の湿熱耐久性の経時変化率を表し、Δγが小さければ、湿熱環境下においても長期に光学補償能を十分に発揮できるため、好ましい。なお、前記Δγは下記式にて計算される。
Δγ={(60℃、相対湿度90%の環境下で500時間経過後のγ)−(60℃、相対湿度90%の環境下で500時間経過前のγ)}/(60℃、相対湿度90%の環境下で500時間経過前のγ)
γ、Δγ、Re[0°]が前記好ましい範囲の前記偏光板保護フィルムAは、後述する前記偏光板保護フィルムAの製造方法によって作製することができる。また、上記好ましい光学特性の偏光板保護フィルムAを用いた偏光板を、TNモード、ECBモード、OCBモード等の液晶ディ液晶ディスプレイの光学補償に利用した場合に、視野角特性の改善に寄与し、広視野角化を達成することができる。
Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキは、液晶ディスプレイに利用した場合に、表示ムラとなって現れるので、そのバラツキは小さいほど好ましく、具体的には、±3nm以内であることが好ましく、±1nm以内であることがさらに好ましい。
また、同様に遅相軸の角度のバラツキも、表示ムラの原因となるので、そのバラツキは小さいほど好ましく、具体的には±1°以内であることが好ましく、±0.5°以内であることがさらに好ましく、±0.25°以内であることが特に好ましい。
上記光学特性値は、以下の方法により測定することができる。
本発明において、前記偏光板保護フィルムAのRe[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]は、KOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)を用い、フィルムの傾斜方位とフィルム法線を含む面内において、傾斜角度0°での位相差、傾斜角度40度での位相差および傾斜角度−40度での位相差を測定したものである。
ここで、傾斜方位は、以下の方法で決定した。
(1)フィルム面内の遅相軸方位を0°、フィルム面内の進相軸方位を90°とし、0°〜90°の間で0.1°刻みで仮傾斜方位を設定する。
(2)各仮傾斜方位とフィルム法線を含む面内においてRe[+40°]とRe[−40°]を測定し、|Re[+40°]−Re[−40°]|、すなわちγを求める。
(3)|Re[+40°]−Re[−40°]|が最大となる方位を傾斜方位と決定する。
なお、測定波長は550nmとする。なお、一般的な熱可塑性樹脂を溶融製膜法で作成したフィルムは、どの方位で測定しても、γ≒0nmとなる。すなわち、傾斜方位で|Re[+40°]−Re[−40°]|を測定した場合、0nm以上の位相差を発現することが前記偏光板保護フィルムAの特徴である。
また、Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキは、以下の方法により測定することができる。フィルム面の互いに2mm以上離れた任意の10点以上の位置でサンプリングを行い、上記方法でRe[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]を測定し、その最大値と最小値の差を、Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキとする。Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]の値が正である場合は、遅相軸がTD方向に向く。Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]の値が負である場合は、遅相軸がMD方向に向く。
さらに、遅相軸および後述のRthのバラツキも同様に測定される。
Rthは、屈折率楕円体がβ°一様傾斜したことを仮定し、屈折率楕円体の各方位の屈折率nx、ny、nzを数値計算し、下記数式(A)に代入して、求めることができる。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d 数式(A)
前記xは偏光板保護フィルムAの傾斜方位であり、yはフィルム面内で傾斜方位と直交する方向であり、zはフィルム厚み方向である。
前記偏光板保護フィルムAでは、nyはy方向の屈折率である。nxはフィルムのx軸への射影成分がz軸への射影成分よりも大きい方位の屈折率、nzはz軸への射影成分がx軸の射影成分よりも大きい方位の屈折率である。
nx、ny、nzの求め方については、王子計測機器株式会社の技術資料等(http://www.oji-keisoku.co.jp/products/kobra/kobra.html)に記載されているが、例えば、Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]の値および平均屈折率naveの値および膜厚値dから、以下の数式(B)を用いて計算することが出来る。
Figure 0005324904
式中、Re(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。また、数式(B)中のβは、屈折率楕円体が一様傾斜したことを仮定した場合の傾斜角度を表し、傾斜型位相差フィルムの構造を単純に把握するときに使用される。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は、ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学補償フィルムのカタログの値を使用することができる。また、平均屈折率の値が既知でないものについては、アッベ屈折計で測定することができる。主な光学補償フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。
(破断伸び)
前記偏光板保護フィルムAは、25℃における破断伸びが5〜200%であることがフィルムの脆性および取り扱い性の向上の観点から好ましい。
前記破断伸びは、10〜180%であることがより好ましく、15〜180%であることが特に好ましい。
偏光板保護フィルムAの25℃における破断伸びは次の方法に従って測定する。試料10mm×150mmを、25℃、相対湿度65%、2時間調湿し、東洋ボールドウィン製万能引張試験機STM T50BPを用い、23℃で60%RHの雰囲気中、初期試料長100mm、10%/分での延伸処理により応力歪み曲線を測定し、破断伸びを求める。10回繰り返し測定し、平均値を破断伸びとして求める。
前記偏光板保護フィルムAの膜厚は、100μm以下であることが好ましい。液晶ディスプレイ等に用いる場合は、薄型化の観点からは、80μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが特に好ましい。後述する偏光板保護フィルムAの製造方法では、このような薄手のフィルムを作成できる。
(負の複屈折性樹脂)
前記偏光板保護フィルムAは負の複屈折性樹脂を含む。
前記負の複屈折性樹脂とは、分子が一軸性の延伸配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より小さくなる樹脂のことをいう。
本発明で用いられる負の複屈折性樹脂は、上記光学特性を有する限り特に限定されず、公知の負の複屈折性樹脂を用いることができる。前記偏光板保護フィルムAを溶融押出し法を利用して作製する場合は、溶融押出し成形性が良好な材料を利用するのが好ましく、その観点では、環状オレフィン系樹脂(但し、正の複屈折性樹脂、すなわち分子が一軸性の延伸配向をとって形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる樹脂、を除く)、セルロースアシレート系樹脂(但し、正の複屈折性樹脂であるものを除く)、マレイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスチレン類等のスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系ポリマー、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂(但し、正の複屈折率樹脂であるものを除く)などを選択するのが好ましい。
前記偏光板保護フィルムAは1種の前記負の複屈折性樹脂を含有していてもよいし、互いに異なる2種以上の当該樹脂を含有していてもよい。また、1種単独で負の複屈折性を有する樹脂を単独で使用してもよいし、2種以上をブレンドした場合に負の複屈折性を示す場合は、2種以上を併用してもよい。前記負の複屈折性樹脂が、単独で負の複屈折性樹脂である樹脂と、単独で正の複屈折性樹脂である樹脂からなるポリマーブレンドの場合、単独で負の複屈折性樹脂である樹脂の、単独で正の複屈折性樹脂である樹脂に対する配合割合としては、両者の固有複屈折値の絶対値の大きさや、成形温度における複屈折性の発現性等により異なる。また、前記ポリマーブレンドは、単独で負の複屈折性樹脂である樹脂と、単独で正の複屈折性樹脂である樹脂以外に、その他の成分を含有していてもよい。該成分は、本発明の効果を害しない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば相溶化剤などが好適に挙げられる。前記相溶化剤は、ブレンド時に相分離が生じてしなう場合等に好適に使用することができ、該相溶化剤を使用することによって、前記単独で負の複屈折性樹脂である樹脂と、単独で正の複屈折性樹脂である樹脂との混合状態を良好にすることができる。
前記偏光板保護フィルムAは、フィルム全体に対して、前記単独で負の複屈折性樹脂である樹脂を30質量%〜100質量%含むことが好ましく、40質量%〜100質量%含むことがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。また、前記偏光板保護フィルムAに含まれる樹脂全体に占める、単独で負の複屈折性樹脂である樹脂の割合は、30質量%〜100 質量%であることが好ましく、40質量%〜100質量%であることがより好ましく、100質量%であることが特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムAでは、負の複屈折性樹脂がアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、環状オレフィン系樹脂(好ましくは付加重合体)およびポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂およびマレイミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましいい。また、スチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・(メタ)アクリロニトリル共重合体、スチレン・(メタ)アクリレート共重合体、スチレン・マレイミド共重合体、ビニルエステル・マレイミド共重合体、又はオレフィン・マレイミド共重合体などの樹脂を含むことが好ましい。
後述する偏光板保護フィルムAの製造方法では、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、負の固有複屈折性を示す環状オレフィン系樹脂、負の固有複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂等の負の複屈折性樹脂を用い、遅相軸と傾斜方位が直交した前記偏光板保護フィルムAを得ることができる。例えばスチレン系樹脂を2つのロールでせん断変形を付与する製膜法によって製造した場合、進相軸が傾斜方位を向き、2つのロールをダイ出口と平行に配置する一般的な方法の場合、傾斜方位がフィルム長手方向と同じとなる。
これに対し、正の固有複屈折性を示すセルロースアシレート系樹脂、正の固有複屈折性を示す環状オレフィン系樹脂、正の固有複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂などを用いて2つのロールでせん断変形を付与する製膜法によって製造した場合、遅相軸が傾斜方位を向き、例えば、2つのロールをダイ出口と平行に配置した場合、傾斜方位はフィルム長手方向と同じである。
前記偏光板保護フィルムAを、視野角補償フィルムとして液晶表示装置に応用する場合には、液晶表示装置の特性や偏光板加工の利便性を考慮にいれて、上記負の固有複屈折樹脂を適宜選択して用いることが出来る。
本発明に使用可能なスチレン系樹脂とは、主成分としてスチレン及びそれらの誘導体を重合して得られる樹脂及び、その他の樹脂の共重合体を指し、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のスチレン系熱可塑性樹脂等を用いることができ、特に複屈折、フィルム強度、耐熱性を改良できる、共重合体樹脂が好ましい。
共重合体樹脂としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−無水マレイン酸系樹脂、あるいはこれらの多元(二元、三元等)共重合ポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、スチレン−アクリル系樹脂やスチレン−無水マレイン酸系樹脂が耐熱性・フィルム強度の観点から好ましい。
前記スチレン−無水マレイン酸系樹脂は、スチレンと無水マレイン酸との質量組成比が、スチレン:無水マレイン酸=95:5〜50:50であることが好ましく、スチレン:無水マレイン酸=90:10〜70:30であることがより好ましい。また、固有複屈折を調整するため、スチレン系樹脂の水素添加を行うことも好ましく利用できる。
前記スチレン−無水マレイン酸系樹脂としては、例えば、ノバケミカル社製の「Daylark D332」などが挙げられる。
また、スチレン−アクリル系樹脂としては、後述する、旭化成ケミカル社製の「デルペット980N」、「XSR9251」などを用いることができる。
本発明に使用可能なアクリル系樹脂とは、主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体を重合して得られる樹脂、およびさらにその誘導体のことをいい、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のメタクリル酸系熱可塑性樹脂等を用いることできる。
アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体を重合して得られる樹脂としては、例えば、下記一般式(1)で表される構造のものを重合して得られる樹脂を挙げることができる。
Figure 0005324904
前記一般式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を示す。有機残基とは、具体的には、炭素数1〜20の直鎖状、分枝鎖状、もしくは環状のアルキル基を示す。
前記アクリル酸、メタクリル酸およびそれらの誘導体を重合して得られる樹脂の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシエキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルが好ましく、熱安定性に優れる点で(メタ)アクリル酸メチル(以下MMAともいう)がより好ましい。これらのうち一種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのうち一種の単重合体であっても、2種以上の共重合体であっても、その他の樹脂の共重合体であってもよいが、ガラス転移温度を高める観点からその他の樹脂との共重合体であることが特に好ましい。
前記アクリル系共重合体樹脂の中でも、樹脂を構成する全モノマー中、MMA単位(モノマー)を30モル%以上含むものが好ましく、MMA以外に、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、グルタル酸無水物単位の少なくとも1種の単位を含むことがより好ましく、例えば下記のものを使用できる。
(1)ラクトン環単位を含むアクリル樹脂
特開2007−297615号、特開2007−63541号、特開2007−70607号、特開2007−100044号、特開2007−254726号、特開2007−254727号、特開2007−261265号、特開2007−293272号、特開2007−297619号、特開2007−316366号、特開2008−9378号、特開2008−76764号の各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが特開2008−9378号公報に記載の樹脂である。
(2)無水マレイン酸単位を含むアクリル樹脂
特開2007−113109号、特開2003−292714号、特開平6−279546号、特開2007−51233号(ここに記載の酸変性ビニル)、特開2001−270905号、特開2002−167694号、特開2000−302988号、特開2007−113110号、特開2007−11565号各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが、特開2007−113109号公報に記載のものである。また市販のマレイン酸変性MAS樹脂(例えば旭化成ケミカルズ(株)製デルペット980N)も好ましく使用できる。
(3)グルタル酸無水物単位を含むアクリル樹脂
特開2006−241263号、特開2004−70290号、特開2004−70296号、特開2004−126546号、特開2004−163924号、特開2004−291302号、特開2004−292812号、特開2005−314534号、特開2005−326613号、特開2005−331728号、特開2006−131898号、特開2006−134872号、特開2006−206881号、特開2006−241197号、特開2006−283013号、特開2007−118266号、特開2007−176982号、特開2007−178504号、特開2007−197703号、特開2008−74918号、国際公開WO2005/105918等各公報に記載のものを使用できる。この中でより好ましいのが特開2008−74918号公報に記載のものである。
これらの樹脂のガラス転移温度(Tg)は106℃〜170℃が好ましく、より好ましくは110℃〜160℃、さらに好ましくは115℃〜150℃である。
本発明に使用可能なマレイミド系樹脂とは、主成分として、マレイミドおよびその誘導体を重合して得られる樹脂、およびさらにその誘導体のことをいい、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のマレイミド系熱可塑性樹脂等を用いることできる。
マレイミドおよびその誘導体を重合して得られる樹脂としては、例えば、下記一般式(2)で表される単位構造を含む樹脂を挙げることができる。
Figure 0005324904
一般式(2)において、R11は水素原子、芳香族環または非芳香族環で形成される複素環基、または炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基を表す。
12〜R19はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、酸素原子、窒素原子、イオウ原子もしくは珪素原子を含む連結基、または炭素数1〜30の置換または無置換のアルキル基を表し、水素原子もしくは炭素数1〜20の置換または無置換のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
mおよびnはそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、0〜2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
前記一般式(2)で表されるマレイミド系樹脂の単位構造の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0005324904
前記マレイミド系樹脂の具体例としては、Rがフェニル基、ナフチル基、ハロゲン系元素,カルボン酸,カルボン酸エステル,水酸基,シアノ基,ニトロ基,炭素数1〜8の直鎖状アルキル基,炭素数1〜8の分岐状アルキル基により置換されたフェニル基又はナフチル基を有することが好ましく、熱安定性に優れる点でN−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミドなどがより好ましい。これらのうち一種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのうち一種の単重合体であっても、2種以上の共重合体であっても、その他の樹脂の共重合体であってもよいが、ガラス転移温度を高める観点からその他の樹脂との共重合体であってもよい。
前記マレイミド系樹脂の中でも、樹脂を構成する全モノマー中、マレイミドおよびその誘導体単位を30モル%以上含むものが好ましく、マレイミドおよびその誘導体単位の単独重合体であることがより好ましい。
本発明に使用可能なポリビニルアセタール系樹脂としては、たとえば、一般式(3)に示す熱可塑性樹脂を用いることができる。また、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の負の屈折性を有するポリビニルアセタール系熱可塑性樹脂等を用いることできる。
Figure 0005324904
一般式(3)中、R21はメチル基である。R22はフェニル基;炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、水酸基又は炭素数1〜5のアシル基で置換されたフェニル基;ベンジル基;炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、水酸基又は炭素数1〜5のアシル基で置換されたベンジル基;ナフチル基;炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアシル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、カルボキシル基、ハロゲン基、水酸基又は炭素数1〜5のアシル基で置換されたナフチル基;炭素数6〜20の環状アルキル基を表す。
上記一般式(3)中のR22 としては、具体的には例えば、フェニル基、o−メチルフェニル基、m−メチルフェニル基、p−メチルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,3,4,5−テトラメチルフェニル基、2,3,4,6−テトラメチルフェニル基、2,3,5,6−テトラメチルフェニル基、2,4,5,6−テトラメチルフェニル基、3,4,5,6−テトラメチルフェニル基、ペンタメチルフェニル基、o−エチルフェニル基、m−エチルフェニル基、p−エチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、2,4,6−トリエチルフェニル基、p−nプロピルフェニル基、p−イソプロピルフェニル基、p−tブチルフェニル基、p−カルボキシルフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−アセトフェノン基、p−クロロフェニル基、2,6ジメチル−4−tブチルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基、ベンジル基、p−メチルベンジル基、p−エチルベンジル基、p−イソプロピルベンジル基、シクロヘキシル基、2−ノルボルナン基等が挙げられる。
上記一般式(3)中、p、q、およびrの比率は、置換基の種類や目的に応じて、適宜選択され得る。好ましくは、p、q、およびrの合計を100(モル%)とした場合に、pは20〜80(モル%)、qは10〜70(モル%)、rは1〜50(モル%)であり、特に好ましくは、pは25〜75(モル%)、qは15〜60(モル%)、rは2〜40(モル%)であり、最も好ましくは、pは30〜70(モル%)、qは20〜50(モル%)、rは2〜30(モル%)である。上記の範囲とすることによって、負の複屈折率を示し、成形加工性、延伸性、位相差値の安定性、および傾斜配向性に極めて優れた位相差フィルムを得ることができる。
本発明に使用可能な負の複屈折性を示す熱可塑性樹脂である環状オレフィン系樹脂には、例えば側鎖に少なくとも1つの芳香環構造を有する環状オレフィン樹脂、側鎖に少なくとも1つの環構造を有するスピロ型環状オレフィン樹脂などが含まれる。
前記環状オレフィン系樹脂は、開環重合および付加重合のいずれの重合方法によって得られる樹脂であってもよいが、開環重合によって得られる樹脂であることが好ましい。
また、前記環状オレフィン系樹脂は、ノルボルネン系重合体であることが好ましく、開環系ノルボルネン系重合体であることも好ましい。
前記環状オレフィン系樹脂が側鎖に少なくとも1つの芳香環構造を有する環状オレフィン樹脂である場合、該芳香環構造は単数または複数の置換基を有していてもよく、置換基を複数有する場合は置換基どうしが互いに結合してさらに環構造を形成していてもよい。また、側鎖の立体構造についても特に制限はなく、前記芳香環構造がエキソ型で結合していても、エンド型で結合していてもよい。
前記環状オレフィン系樹脂が側鎖に少なくとも1つの環構造を有するスピロ型環状オレフィン樹脂である場合、該環構造は芳香性であっても、芳香性でなくてもよい。また、前記環構造は単数または複数の置換基を有していてもよく、置換基を複数有する場合は置換基どうしが互いに結合してさらに環構造を形成していてもよく、特に置換基どうしが互いに結合して芳香環構造を形成していてもよい。前記官能基としては、酸素原子を含む官能基(例えばカルボニル基、エステル基、オキシ基など)を有することも好ましい。また、側鎖の立体構造についても特に制限はない。
開環重合によって得られる負の複屈折性を示す環状オレフィン系樹脂としては、特開2003−292639号公報、特開2006−189474号公報、特開2008−52119号公報に記載されているものが挙げられる。
本発明に使用可能な負の複屈折性を示す熱可塑性樹脂であるポリカーボネート系樹脂には、例えば下記一般式(4)
Figure 0005324904
で示されるメチル基を有するフルオレン骨格を持つ繰り返し単位を重合させたものや、前記一般式(4)示される繰り返し単位と下記一般式(5)
Figure 0005324904
(上記一般式(5)において、R39〜R46はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜3の炭化水素基から選ばれ、Yは下記式群
Figure 0005324904
(上記式群中、R47〜R49、R51、R52はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1〜22の炭化水素基から選ばれ、R50及びR53はそれぞれ独立に炭素数1〜20の炭化水素基から選ばれ、また、Ar1〜Ar3はそれぞれ独立に炭素数6〜10のアリール基から選ばれる。))で示される繰り返し単位を含むポリカーボネートなどを挙げることができる。
前記一般式(5)におけるR47〜R49、R51、R52のハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。炭素数1〜3の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基等のアルキル基等を挙げることができる。
前記Yの式群中、ハロゲン原子としては前記一般式(5)におけるハロゲン原子と同じものを挙げることができる。炭素数1〜22の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数1〜22の(シクロ)アルキル基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル等の炭素数6〜18のアリール基を挙げることができる。R50及びR53の炭化水素基としては、エチレン基等の炭素数2〜20の2価の(シクロ)アルキレン基、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜18の2価のアリーレン基を挙げることができる。Ar1〜Ar3はフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜10のアリール基を挙げることができる。
前記負の複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂としては、上記一般式(4)と類似構造のメチル基を有さないフルオレン骨格を有する下記の繰り返し単位を有するポリカーボネートも挙げることができる。
Figure 0005324904
前記負の複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂は、上記式(4)で表わされる繰り返し単位を主成分とするポリカーボネート、かかる上記式(4)と上記式(5)で表わされる繰り返し単位からなる共重合体、上記式(4)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートと上記式(5)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートとの組成物、該共重合体を2種類以上含有する組成物、該共重合体と上記式(5)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボネートとの組成物を含む。
また、上記一般式(4)で表される繰り返し単位が該ポリカーボネート全体の71〜98モル%を占め、上記一般式(5)で表される繰り返し単位が29〜2モル%を占める樹脂であってもよい。
上記ポリカーボネートの製造方法としては、ジヒドロキシ化合物とホスゲンとの界面重縮合、溶融重縮合法等が好適に用いられる。
2種類以上のポリカーボネートをブレンドする場合は、相溶ブレンドが好ましいが、完全に相溶しなくても成分間の屈折率を合わせれば成分間の光散乱を抑え、透明性を向上させることが可能である。
上記ポリカーボネートの分子量としては、特に制限はないが、メチレンクロライドを溶媒とした極限粘度測定により規定されるが、20℃での極限粘度が0.30〜2.0dl/gであることが好ましい。
前記負の複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂としては、その他特開2001−194530号公報、特開2001−194668号公報などに記載されているものが挙げられ、好ましく用いることができる。
また、前記負の複屈折性樹脂が共重合体である場合は、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもかまわない。
前記負の複屈折性を有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは100℃〜185℃であり、さらに好ましくは110℃〜170℃であり、特に好ましくは120℃〜150℃である。Tgが90℃以上あれば、熱安定性の良好なフィルムが得られやすくなり、185℃以下であれば、成形加工性に優れる。なお、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K 7121に準じたDSC法により求めることができる。
(添加剤)
前記偏光板保護フィルムAは、上記負の複屈折性樹脂以外の材料を含有していてもよいが、上記負の複屈折性樹脂の1種または2種以上を主成分(組成物中の全材料中、最も含有割合の高い材料を意味し、当該樹脂を2種以上含有する態様では、それらの合計の含有割合が、他の材料それぞれの含有割合より高いことを意味する)として含有しているのが好ましい。上記負の複屈折性樹脂以外の材料としては、種々の添加剤が挙げられ、その例には、安定化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、可塑剤、微粒子、および光学調整剤が含まれる。
安定化剤:
前記偏光板保護フィルムAは、安定化剤の少なくとも一種を含有していてもよい。安定化剤は、前記負の複屈折性樹脂を加熱溶融する前にまたは加熱溶融時に添加することが好ましい。安定化剤は、フィルム構成材料の酸化防止、分解して発生した酸の捕捉、光または熱によるラジカル種基因の分解反応を抑制または禁止する等の作用がある。安定化剤は、解明されていない分解反応などを含む種々の分解反応によって、着色や分子量低下等の変質および揮発成分の生成等が引き起こされるのを抑制するのに有用である。樹脂を製膜するための溶融温度においても安定化剤自身が分解せずに機能することが求められる。安定化剤の代表的な例には、フェノール系安定化剤、亜リン酸系安定化剤(フォスファイト系)、チオエーテル系安定化剤、アミン系安定化剤、エポキシ系安定化剤、ラクトン系安定化剤、アミン系安定化剤、金属不活性化剤(スズ系安定化剤)などが含まれる。これらは、特開平3−199201号公報、特開平5−1907073号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報などに記載があり、本発明ではフェノール系や亜リン酸系安定化剤の少なくとも一方以上を用いることが好ましい。フェノール系安定化剤の中でも、特に分子量500以上のフェノール系安定化剤を添加することが好ましい。好ましいフェノール系安定化剤としては、ヒンダードフェノール系安定化剤が挙げられる。
これらの素材は、市販品として容易に入手可能であり、下記のメーカーから販売されている。チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社から、Irganox 1076、Irganox 1010、Irganox 3113、Irganox 245、Irganox 1135、Irganox 1330、Irganox 259、Irganox 565、Irganox 1035、Irganox 1098、Irganox 1425WL、として入手することができる。また、旭電化工業株式会社から、アデカスタブ AO−50、アデカスタブ AO−60、アデカスタブ AO−20、アデカスタブ AO−70、アデカスタブ AO−80として入手できる。さらに、住友化学株式会社から、スミライザーBP−76、スミライザーBP−101、スミライザーGA−80、として入手できる。また、シプロ化成株式会社からシーノックス326M、シーノックス336B、としても入手することが可能である。
また、上記の亜リン酸系安定化剤としては、特開2004−182979号公報の[0023]〜[0039]に記載の化合物をより好ましく用いることができる。亜リン酸エステル系安定化剤の具体例としては、特開昭51−70316号公報、特開平10−306175号公報、特開昭57−78431号公報、特開昭54−157159号公報、特開昭55−13765号公報に記載の化合物を挙げることができる。さらに、その他の安定化剤としては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)17頁〜22頁に詳細に記載されている素材を好ましく用いることができる。
上記亜リン酸エステル系安定化剤は、高温での安定性を保つために高分子量であることが有用であり、分子量500以上であり、より好ましくは分子量550以上であり、特には分子量600以上が好ましい。さらに、少なくとも一置換基は芳香族性エステル基であることが好ましい。また、亜リン酸エステル系安定化剤は、トリエステルであることが好ましく、リン酸、モノエステルやジエステルの不純物の混入がないことが望ましい。これらの不純物が存在する場合は、その含有量が5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下であり、特には2質量%以下である。これらは、特開2004−182979号公報の[0023]〜[0039]に記載の化合物などを挙げることが、さらに特開昭51−70316号公報、特開平10−306175号公報、特開昭57−78431号公報、特開昭54−157159号公報、特開昭55−13765号公報に記載の化合物も挙げることができる。亜リン酸エステル系安定化剤の好ましい具体例として下記の化合物を挙げることができるが、本発明で用いることができる亜リン酸エステル系安定化剤はこれらに限定されるものではない。
これらは、旭電化工業株式会社からアデカスタブ1178、同2112、同PEP−8、同PEP−24G、PEP−36G、同HP−10として、またクラリアント社からSandostab P−EPQとして市販されており、入手可能である。さらに、フェノールと亜リン酸エステルを同一分子内に有する安定化剤も好ましく用いられる。これらの化合物については、さらに特開平10−273494号公報に詳細に記載されており、その化合物例は、前記安定化剤の例に含まれるが、これらに限定されるものではない。代表的な市販品として、住友化学株式会社から、スミライザーGPがある。これらは、住友化学株式会社から、スミライザーTPL、同TPM、同TPS、同TDPとして市販されている。旭電化工業株式会社から、アデカスタブAO-412Sとしても入手可能である。
前記安定化剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択される。好ましくは、負の複屈折性樹脂の質量に対して、安定化剤の添加量は0.001〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜3質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.8質量%である。
紫外線吸収剤:
前記偏光板保護フィルムAは、1種または2種以上の紫外線吸収剤を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、劣化防止の観点から、波長380nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ、透明性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。特に好ましい紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系化合物やベンゾフェノン系化合物である。中でも、ベンゾトリアゾール系化合物は、セルロース混合エステルに対する不要な着色が少ないことから好ましい。これらは、特開昭60−235852号、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号、同6−118233号、同6−148430号、同7−11056号、同7−11055号、同7−11056号、同8−29619号、同8−239509号、特開2000−204173号の各公報に記載がある。
紫外線吸収剤の添加量は、負の複屈折性樹脂の0.01〜2質量%であることが好ましく、0.01〜1.5質量%であることがさらに好ましい。
光安定化剤:
前記偏光板保護フィルムAは、1種または2種以上の光安定化剤を含有していてもよい。光安定化剤としては、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)化合物が挙げられ、より具体的には、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄および米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。これらは、旭電化からアデカスタブLA−57、同LA−52、同LA−67、同LA−62、同LA−77として、またチバ・スペシャリティーケミカルズ社からTINUVIN 765、同144として市販されている。
これらのヒンダードアミン系光安定化剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらヒンダードアミン系光安定化剤は、勿論、可塑剤、安定化剤、紫外線吸収剤等の添加剤と併用してもよいし、これら添加剤の分子構造の一部に導入されていてもよい。その配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で決定され、一般的には、負の複屈折性樹脂100質量部に対して、0.01〜20質量部程度であり、好ましくは0.02〜15質量部程度、特に好ましくは0.05〜10質量部程度である。光安定か剤は、負の複屈折性樹脂組成物の溶融物を調製するいずれの段階で添加してもよく、例えば、溶融物調製工程の最後に添加してもよい。
可塑剤:
前記偏光板保護フィルムAは、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤の添加は、機械的性質向上、柔軟性を付与、耐吸水性付与、水分透過率低減等のフィルム改質の観点において好ましい。また、前記偏光板保護フィルムAを溶融製膜法で製造する場合は、用いる負の複屈折性樹脂のガラス転移温度よりも、可塑剤の添加によりフィルム構成材料の溶融温度を低下させることを目的として、または無添加の負の複屈折性樹脂よりも同じ加熱温度において粘度を低下させることを目的として、添加されるであろう。前記偏光板保護フィルムAには、例えばリン酸エステル誘導体、カルボン酸エステル誘導体から選択される可塑剤が好ましく用いられる。また、特開2003−12859号公報に記載の重量平均分子量が500〜10000であるエチレン性不飽和モノマーを重合して得られるポリマー、アクリル系ポリマー、芳香環を側鎖に有するアクリル系ポリマーまたはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系ポリマーなども好ましく用いられる。
微粒子:
前記偏光板保護フィルムAは、微粒子を含有していてもよい。微粒子としては、無機化合物の微粒子や有機化合物の微粒子が挙げられ、いずれでもよい。本発明における負の複屈折性樹脂に含まれる微粒子の平均一次粒子サイズは、ヘイズを低く抑えるという観点から5nm〜3μmであることが好ましく、5nm〜2.5μmであることがより好ましく、10nm〜2.0μmであることがさらに好ましい。ここで、微粒子の平均一次粒子サイズは、負の複屈折性樹脂を透過型電子顕微鏡(倍率50万〜100万倍)で観察し、粒子100個の一次粒子サイズの平均値を求めることにより決定する。微粒子の添加量は、負の複屈折性樹脂に対して0.005〜1.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.8質量%であり、さらに好ましくは0.02〜0.4質量%である。
光学調整剤:
前記偏光板保護フィルムAは、光学調整剤を含有していてもよい。光学調整剤としてはレターデーション調整剤を挙げることができ、特に負の複屈折性を向上させる光学調整剤が好ましい。このような添加剤はとしては、例えば、特開2006−52329号、特開2007−65184号、2008−15118号、特開2001−166144号、特開2003−344655号、特開2003−248117号、特開2003−66230号各公報記載のものを使用することができる。光学調整剤を添加することによって、面内のレターデーション(Re)、厚み方向のレターデーション(Rth)を制御することができる。好ましい添加量は0〜10質量%であり、より好ましくは0〜8質量%、さらに好ましくは0〜6質量%である。
<偏光板保護フィルムB>
本発明の偏光板の前記偏光板保護フィルムBには、公知の偏光板用の偏光板保護フィルムが用いられる。前記偏光板保護フィルムBがセルロースアシレートフィルムまたはアクリルフィルムであることが好ましい。例えば、公知のトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(例えば、富士フィルム(株)製フジタックT−60)などを好ましく用いることができる。また、前記ルロースアシレートフィルムには表面処理をしておくこともできる。表面処理方法としては、例えば、けん化処理などが挙げられる。
<偏光子>
前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬して延伸したもの等を用いることができる。
本発明に用いられる偏光子は、本発明の目的を達成し得るものであれば、任意の適切なものが選択され得る。前記偏光子としては、例えば、親水性高分子フィルムにヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。前記親水性高分子フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等が挙げられる。本発明において、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着させた偏光子が好ましい。
前記偏光子は、好ましくは、さらにカリウムおよびホウ素の少なくとも一方を含有する。前記偏光子が、カリウムおよびホウ素を含有することによって、好ましい範囲の複合弾性率(Er)を有し、且つ、偏光度が高い偏光子(偏光板)を得ることができる。カリウムおよびホウ素の少なくとも一方を含む偏光子の製造は、例えば、偏光子の形成材料であるフィルムを、カリウムおよびホウ素の少なくとも一方の溶液に浸漬すればよい。前記溶液は、ヨウ素を含む溶液を兼ねてもよい。
前記偏光子は、接着剤との密着性を向上させるために、任意の表面改質処理が施されていてもよい。前記表面改質処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、グロー放電処理、火炎処理、オゾン処理、UVオゾン処理、紫外線処理等が挙げられる。これらの処理は、単独で、または2つ以上を組み合せて用いてもよい。
<粘着剤層>
本発明の偏光板は、最外層の少なくとも一方として粘着剤層を有していても良い(このような偏光板を粘着型偏光板と称することがある)。特に好ましい形態として、前記偏光板保護フィルムAの偏光子が接着されていない側に、他の光学フィルムや液晶セル等の他部材と接着するための粘着剤層を設けることができる。
本発明の偏光板は、液晶表示装置内で使用するのが好ましく、液晶セルの視認側、バックライト側のどちらか片側に設けても、両側に設けてもよく、限定されない。本発明の偏光板が適用可能な画像表示装置の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、プラズマディスプレイ(PD)、電界放出ディスプレイ(FED:Field Emission Display)のような自発光型表示装置が挙げられる。液晶表示装置は透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置等に適用される。
[偏光板の製造方法]
本発明の偏光板の製造方法を説明する。
本発明の偏光板の製造方法は、偏光板保護フィルムAを製造する工程と、偏光子の一方の面に前記偏光板保護フィルムAを貼合する貼合工程とを含む偏光板の製造方法であって、前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物を挟圧装置挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に通過させて帯状のフィルム状に成型する工程と、前記第一挟圧面の移動速度を前記第二挟圧面の移動速度よりも速くする工程とを有し、前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有することを特徴とする。
本明細書中、「各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて、重ね合わせて貼り合わせる」ことを「ロールtoロールで貼り合わせる」とも言う。ここで、典型的には「ロールtoロールで貼り合わせる」という用語は、ロールから巻きだされたフィルムを一度も幅方向に切断することなく他のフィルムと貼合してロールに再度巻き取ることを表すことがある。しかしながら、本明細書中における「ロールtoロールで貼り合わせる」という用語は、上記典型的な態様に限定されるものはなく、フィルムを一度も幅方向に切断することなく他のフィルムと貼合することを広く意味し、ロールからフィルムを巻きだす工程や、最終的にロールに巻き取る工程は必須ではない。そのため、製造した各帯状のフィルムをオンラインで連続的に互いに貼り合わせる態様も、一度各帯状のフィルムを一度ロールに巻き取ったあと互いに貼り合わせる態様も、最終的にロールに巻き取らずにそのまま切断して偏光板を作成する態様も含む。
また、一般に前記偏光板保護フィルムAおよびB、偏光子はそれぞれ帯状のフィルムとして連続的に製造されるが、生産性の観点からそれぞれのフィルムの長手方向の長さ(製膜する長さ)は、幅方向の長さに対してかなり長くなる。
このように、ロールtoロールで貼り合わせることができると、帯状フィルムから偏光板サイズに切り出して貼り合わせる場合に比べ、連続生産が容易となり、顕著に偏光板の製造コストは低くなる。なお、従来、遅相軸と傾斜方位が直交するフィルムを偏光子とロールtoロールで貼り合わせて偏光板を製造する方法は知られておらず、検討すらされていなかった。
本発明は、遅相軸と傾斜方位が直交するフィルムと偏光子とをロールtoロールで貼り合せる工程を有することを特徴とする。詳しくは、このような負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物を挟圧装置挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に通過させてフィルム状に成型する工程と、前記第一挟圧面の移動速度を前記第二挟圧面の移動速度よりも速くする工程によって得られた偏光板保護フィルムAを前記偏光子とロールtoロールで貼り合せる工程を有することが、従来の方法と異なる本発明の特徴である。上述したとおり、本発明では偏光板保護フィルムAの材料として負の複屈折性樹脂を用いることを検討したところ、驚くべきことに傾斜構造が大きく、遅相軸がフィルム幅方向を向き、傾斜方位がフィルム搬送方向を向くという特性を有するフィルムを得ることができることを見出した。また、該フィルムと偏光子とを直接ロールtoロールにて貼り合せた本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込んだところ、視野角を大幅に広げられ、斜めから見たときの光漏れも改善されることを見出した。本発明では、偏光板保護フィルムAの材料として負の複屈折性樹脂を用いることを検討したところ、従来の予想に反して驚くべきことに、負の複屈折性樹脂の側鎖が一様に同じ方向を向いて整然と並び、かつ得られるフィルムの遅相軸と傾斜方位が直交することを見出した。
さらに、光学特性(レターデーション)の発現を大きくするために、本発明の偏光板の製造方法は、少なくとも1方向に前記偏光板保護フィルムAを延伸する工程を含むことも好ましい。
<<偏光板保護フィルムAを製造する工程>>
まず、偏光板保護フィルムAを製造する工程について説明する。
本発明の偏光板の製造方法は、負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物(以下、メルトともいう)を挟圧装置挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に通過させて帯状のフィルム状に成型する工程と、前記第一挟圧面の移動速度を前記第二挟圧面の移動速度よりも速くする工程とを有することを特徴とする。
前記第一挟圧面と第二挟圧面とで速度の異なる挟圧装置としては、例えば互いに周速が異なる2つのロールの組合せや、特開2000−219752号公報に記載の互いに速度の異なるロールとタッチベルトの組合せ(片面ベルト方式)や、ベルトとベルトの組合せ(両面ベルト方式)等が挙げられる。この中でも、メルトへの挟圧を均一にかけられることから、互いに周速が異なる2つのロールであることが好ましい。
以下、前記偏光板保護フィルムAの製造方法について詳細に説明する。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法は、負の複屈折性樹脂を含有する組成物をダイから溶融押出し、挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の隙間にバンクを形成させることが好ましい。バンクを形成すると、メルト樹脂が挟圧装置の間につぶされることによって、大きな伸長変形が起こし、メルト樹脂に十分なズリ変形を与えることができるため、好ましいγ、Re、Rthの範囲のフィルムを得られる。バンク形成の有無やバンク量の測定はカメラや超音波発受信器やセンサーなどを用いて撮影や計測できる。例えば、特開平7−195395号、特開平9−174663号、特開平10−26438号各公報に記載のバンク測定方法を用いることができる。
従来の公知技術では、例えば、特許文献3(特開2007−237495号公報)に、バンクが発生すると、バンクが厚み方向につぶされることにより視野角が狭くなるという問題点が生じるため、好ましくないことを記載されている。本発明では、負の複屈折性樹脂が製膜時、前述のようなバンクを形成しながら、前記第一挟圧面と第二挟圧面との間に移動速度差を与えてせん断を応力を付与する製膜を行うことで、驚くべきことに、傾斜構造が大きく、遅相軸がフィルム幅方向を向き、傾斜方位がフィルム搬送方向を向いた前記偏光板保護フィルムAを得ることができることも見出した。
<負の複屈折性樹脂組成物の溶融物の供給>
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、負の複屈折性樹脂を含有する組成物(「負の複屈折性樹脂組成物」という場合がある)を挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間を通過させて連続的に挟圧して帯状のフィルム状に成形する工程を含むが、前記挟圧工程に負の複屈折性樹脂を含有する溶融樹脂を供給手段から供給する。その際、前記組成物の溶融物(メルト)を供給する手段に特に制限はない。例えば、メルトの具体的な供給手段として、前記組成物を溶融してフィルム状に押出す押出機を用いる態様でもよく、押出機およびダイを用いる態様でもよく、前記組成物を一度固化してフィルム状とした後に加熱手段により溶融してメルトを形成し、製膜工程に供給する態様でもよい。
本発明のフィルムの製造方法は、前記組成物をダイから溶融押出しする工程を含むことが、より得られるフィルムの光学特性のムラを抑える観点から好ましい。また、溶融押出しされた溶融物を前記第一挟圧面と前記第二挟圧面の間を通過させる工程を含むことが、より得られるフィルムの光学特性のムラを抑える観点から好ましい。
前記熱可塑性樹脂組成物を溶融押出しする場合、溶融押出しをする前に、負の複屈折性樹脂組成物をペレット化するのが好ましい。市販品の負の複屈折性樹脂(例えば、デルペット980N、DayLark D332、ポリイミレックスPSX0371、ポリイミレックスPAS1460、ポリイミレックス PML203)は、ペレット化されている場合もあるが、ペレット化されていない場合は以下の方法を用いることができる。前記負の複屈折性樹脂としては前記偏光板保護フィルムAに含まれる負の複屈折性樹脂として説明したものを用いることができ、好ましい範囲も同様である。また、添加剤についても同様である。
前記負の複屈折性樹脂組成物を乾燥した後、2軸混練押出機を用い150℃〜300℃で溶融後、ヌードル状に押出したものを空気中あるいは水中で固化し裁断することにより作製できる。また、押出機による溶融後、水中に口金より直接押出しながらカットするアンダーウオーターカット法等によりペレット化することもできる。ペレット化に利用される押出機としては、単軸スクリュー押出機、非かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、かみ合い型異方向回転二軸スクリュー押出機、かみ合い型同方向回転二軸スクリュー押出機などを用いることができる。押出機の回転数は10rpm〜1000rpmが好ましく、より好ましくは20rpm〜700rpmである。押出滞留時間は10秒〜10分、より好ましくは20秒〜5分である。
ペレットの大きさについては特に制限はないが、一般的には10mm3〜1000mm3程度であり、より好ましくは30mm3〜500mm3程度である。
溶融押出し前に、ペレット中の水分を減少させることが好ましい。好ましい乾燥温度は40〜200℃、さらに好ましくは60〜150℃である。これにより含水率を1.0質量%以下にすることが好ましく、0.1質量%以下にすることがさらに好ましい。乾燥は空気中で行ってもよく、窒素中で行ってもよく、真空中で行ってもよい。
押出機を用いて溶融押出しを行う場合、次に、乾燥したペレットを、押出機の供給口を介してシリンダー内に供給し、混練および溶融させることが好ましい。シリンダー内は、例えば、供給口側から順に、供給部、圧縮部、計量部とで構成される。押出機のスクリュー圧縮比は1.5〜4.5が好ましく、シリンダー内径に対するシリンダー長さの比(L/D)は20〜70が好ましく、シリンダー内径は30mm〜150mmが好ましい。前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)の押出し温度(以下、吐出温度とも言う)は、負の複屈折性樹脂の溶融温度に応じて決定されるが、一般的には、190〜300℃程度が好ましい。さらに残存酸素による溶融樹脂の酸化を防止するため、押出機内を不活性(窒素等)気流中、あるいはベント付き押出機を用い真空排気しながら実施するのも好ましい。
負の複屈折性樹脂組成物中の異物濾過のためブレーカープレート式の濾過やリーフ型ディスクフィルターを組み込んだ濾過装置を設けることが好ましい。濾過は1段で行ってもよく、多段濾過で行ってもよい。濾過精度は15μm〜3μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜3μmである。濾材としてはステンレス鋼を用いることが望ましい。濾材の構成は、線材を編んだもの、金属繊維もしくは金属粉末を焼結したもの(焼結濾材)が使用でき、中でも焼結濾材が好ましい。
吐出量の変動を減少させ厚み精度を向上させるために、押出機と前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)の間にギアポンプを設けることが好ましい。これにより前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)内の樹脂圧力変動巾を±1%以内にすることができる。ギアポンプによる定量供給性能を向上させるために、スクリューの回転数を変化させて、ギアポンプ前の圧力を一定に制御する方法も用いることができる。
前記の如く構成された押出機によって溶融され、必要に応じ濾過機、ギアポンプを経由して溶融樹脂が前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)に連続的に送られる。前記ダイはTダイ、フィッシュテールダイ、ハンガーコートダイの何れのタイプでも構わない。また前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)の直前に樹脂温度の均一性アップのためスタティックミキサーを入れることも好ましい。
前記供給手段がダイである場合、ダイ出口部分のクリアランス(以下、リップギャップとも言う)は一般的にフィルム厚みの1.0〜30倍がよく、好ましくは5.0〜20倍である。具体的には、0.1〜30mmであることが好ましく、0.2〜20mmであることがより好ましく、0.3〜15mmであることが特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法において、ダイリップの先端の曲率半径は特に制限はなく、公知のダイを用いることができる。
前記ダイは5〜50mm間隔で厚み調整可能であることが好ましい。また下流のフィルム厚み、厚み偏差を計算し、その結果をダイの厚み調整にフィードバックさせる自動厚み調整ダイも有効である。
単層製膜装置以外にも、多層製膜装置を用いて製造も可能である。
このようにして、樹脂が供給口から押出機に入ってから前記熱可塑性樹脂組成物を供給する供給手段(例えばダイ)から出るまでの滞留時間は3分〜40分が好ましく、さらに好ましくは4分〜30分である。
<キャスト>
次に、挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に、任意の供給手段から供給された負の複屈折性樹脂組成物の溶融物をバンク形成しながら通過させて連続的に挟圧してフィルム状に成形し、好ましくは冷却固化して、フィルムを得る。この際、第一挟圧面と第二挟圧面のうち、いずれか一方の面と溶融物が先に剥離し、その後もう一方の面と溶融物が剥離することが生産性の安定化の観点から好ましい。前記偏光板保護フィルムAの製造方法において第一挟圧面の移動速度は前記第二挟圧面の移動速度よりも速いが、先に剥離する側の面は、第一挟圧面であっても第二挟圧面であってもよいが、剥離ダンを抑制する観点から、先に先に剥離する側の面は、第一挟圧面(移動速度が速い挟圧面)であることが好ましい。
(挟圧面の表面温度差)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法は、溶融押出しされた溶融物を挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に連続的に挟圧してフィルム状に成形する従来の方法に加え、前記挟圧装置の第一挟圧面の表面温度と第二挟圧面の表面温度との間に0.1℃〜50℃の温度差を与えることが、前記メルト表裏の温度差分布を付けし、せん断応力を前記溶融物に与える際に、傾斜構造を大きくすることができる観点から、好ましい。
前記温度差は傾斜構造を大きくするおよび良好な面状を維持する観点から1〜40℃であることが好ましく、より好ましくは5〜30℃である。温度差が0.1℃未満では、負の複屈折性フィルムの傾斜構造が大きくならず、一方温度差を50℃を越えると、フィルムの面状悪化の恐れがある。
ここで、前記第一挟圧面の表面温度とは、前記負の複屈折性樹脂含有組成物が挟圧される区間の挟圧開始部から第一挟圧面に沿って上方1cmの部分における第一挟圧面の温度を表す。前記第二挟圧面の表面温度とは、前記負の複屈折性樹脂含有組成物が挟圧される区間の挟圧開始部から第二挟圧面に沿って上方1cmの部分における第二挟圧面の温度を表す。
その際、両方の挟圧面の表面温度は、前記負の複屈折性樹脂のガラス転移温度Tgを用いて、Tg−50℃〜Tg+40℃、より好ましくはTg−40℃〜Tg+30℃、さらに好ましくはTg−30℃〜Tg+20℃に設定する。このような温度制御の方法としては特に制限はないが、例えばそれぞれの挟圧面内部に温調した液体、気体を通すことで達成することができる。
なお、負の複屈折性樹脂のガラス転移温度は、走査型示差熱量計(DSC)を用いて、測定パンに樹脂をいれ、これを窒素気流中で、10℃/分で30℃から300℃まで昇温した後(1st-run)、30℃まで−10℃/分で冷却し、再度10℃/分で30℃から300℃まで昇温した(2nd-run)。2nd-runでベースラインが低温側から偏奇し始める温度をガラス転移温度(Tg)として、求めることができる。
(移動速度比)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記式(I)で定義される前記挟圧装置の第一挟圧面と第二挟圧面の移動速度比を0.60〜0.99に制御し、溶融樹脂が挟圧装置を通過する際にせん断応力を付与する。挟圧装置の挟圧面どうしの移動速度比は、0.75〜0.98とすることが好ましく、0.85〜0.95とすることがより好ましい。
(圧力)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記溶融物を挟圧する際に加える圧力に特に制限はないが、前記溶融物を20〜500MPaの圧力で挟圧することが、前記γを本発明における好ましい範囲まで発現させる観点から好ましい。前記圧力は、25〜300MPaであることが前記γに加えてRe[0°]を本発明における好ましい範囲まで発現させる観点からより好ましく、30〜200MPaであることが特に好ましい。挟圧面によって前記溶融物に加えられる圧力は、例えば2つのロールを用いる場合は、圧力測定フィルム(富士フィルム社製 中圧用プレスケール等)を2つのロールに通すことで測定することが出来る。その他の挟圧装置の場合も同様または類似の方法によって測定することができる。
(吐出温度)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、吐出温度(供給手段の出口の樹脂温度)は、樹脂の成形性向上と劣化抑制の観点から、Tg+50〜Tg+200℃であることが好ましく、Tg+70〜Tg+180℃であることがより好ましく、Tg+90〜Tg+150℃であることが特に好ましい。すなわち、Tg+50℃以上であれば、樹脂の粘度が十分低くなるため成形性が良好となり、Tg+200℃以下であれば、樹脂が劣化しにくい。
(エアーギャップ)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、例えばダイなどの供給手段から熱可塑性樹脂組成物を挟圧装置に供給する場合、エアーギャップ(供給手段のダイ出口から挟圧装置の溶融物着地点までの距離)は、エアーギャップ間におけるメルトの保温の観点から、可能な限り近接することが好ましく、具体的には10〜300mmであることが好ましく、より好ましくは、20〜250mm、特に好ましくは、30〜200mmである。
(搬送温度)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記挟圧装置のメルトを狭圧する箇所を通過した以降において前記フィルム状の溶融物を、Tg−100℃〜Tg−10℃のキャストロールを用いて搬送することが、60℃、相対湿度90%の環境下で500時間経過前後のγの変化率Δγを小さくさせる観点から好ましい。すなわち、挟圧装置を構成するキャストロール(チルロール)を除き、1本〜6本の金属製剛性キャストロールを連続的に配置することが好ましく、より好ましくは2〜4本を用い、搬送方向の下流側に従い徐冷することが好ましい。挟圧装置を構成するキャストロール(チルロール)を除き、すべてのキャストロールの温度が前記の範囲であることが好ましい。前記キャストロールの温度は、Tg−100℃〜Tg−15℃であることがより好ましく、Tg−40℃〜Tg−15℃であることが特に好ましい。これにより、せん断応力を付与して形成されるフィルムの残留ひずみを取り除くことで、寸法変化や高温高湿の環境下で光学特性の変化が起こり難く、安定な傾斜構造を維持することができる。また、表面温度分布を制御できるキャストロールを用いて前記フィルム状に成形された溶融物を、Tg−10℃〜Tg−100℃で搬送してもよい。このような特殊な装置としては、例えば、従来公知の挟圧装置に加熱手段(装置)と冷却手段(装置)を好適な位置にさらに設置したフィルム製造装置や、特開2006−256159号公報に記載のロールを挙げることができる。
前記挟圧装置がロールである場合、その挟圧装置を構成するキャストロール(チルロール)を除く、前記搬送キャストロールの直径は、好ましくは50〜5000mmであり、より好ましくは100〜2000mmであり、さらに好ましくは150〜1000mmである。ロールの間隔は、面間で0.3〜300mmが好ましく、より好ましくは1〜100mm、さらに好ましくは3〜30mmである。
(ライン速度)
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、エアーギャップでのメルトの保温の観点から、ライン速度(製膜速度)が2m/分以上であることが好ましく、5m/分以上であることがより好ましく、10m/分以上であることが特に好ましい。ライン速度が速くなると、エアーギャップ中でのメルトの冷却を抑制でき、メルトの温度が高い状態で、挟圧装置によって、より均一なせん断変形を付与できる。なお、前記ライン速度とは、挟圧装置間を溶融物が通過する速度、および搬送装置におけるフィルム搬送速度を表す。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、フィルム状の溶融物の幅は特に制限はなく、例えば200〜2000mmとすることができる。
(2つのロールを用いたキャスト)
供給された前記溶融物を挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に連続的に挟圧してフィルム状に成形する方法の中でも、2つのロール(例えば、タッチロール(第1ロール)およびチルロール(第2ロール))間を通過させることが好ましい。なお、本明細書では、前記溶融物を搬送するキャスティングロールを複数有している場合、最上流の前記熱可塑性樹脂組成物供給手段(例えば、ダイ)に最も近いキャスティングロールのことをチルロールともいう。以下、2つのロールを用いた前記偏光板保護フィルムAの製造方法の好ましい態様を説明する。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記供給手段から押し出された溶融物の着地点に特に制限はなく、該供給手段から押出されたメルトの着地点と、タッチロールとチルロールとが最も接近する部分における隙間の中点を通る鉛直線との距離がゼロであっても、ずれていてもよい。前記メルトの着地点とは、供給手段から押し出されたメルトが初めてタッチロールあるいはチルロールに接触(着地)する地点を指す。また前記タッチロールとチルロールの隙間の中点とは、タッチロールとチルロールの隙間が最も狭くなった所のタッチロール表面とチルロール表面の中点を指す。
前記2つのロール(例えば、タッチロールやチルロール)の表面は、算術平均高さRaが100nm以下であることが好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは25nm以下である。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記2つのロールのそれぞれの横幅は特に制限はなく、フィルム状の溶融物の幅に対応して、自由に変更して採用することができる。
互いに異なる周速で回転している2つのロール間のロール圧力は20〜500MPaであることが好ましく、より好ましくは25〜300MPaであり、特に好ましくは30〜200MPaである。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記範囲のロール圧力を加圧するために、シリンダー設定値を適宜変更することとなる。前記シリンダー設定値は、用いる樹脂材料や2つのロールの材質によっても異なるが、例えば、フィルム状の溶融物の実効幅が200mmの場合、3〜100KNであることが好ましく、3〜50KNであることがより好ましく、3〜25KNであることが特に好ましい。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記範囲のロール圧力を加圧するために、ロールのショア硬さが45HS以上のロールを使用することが好ましい。好ましい前記2つのロールのショア硬さは50HS以上であり、さらに好ましくは60〜90HSである。
ショア硬さは、JIS Z 2246の方法を用いて、ロール幅方向に5点および周方向に5点測定した値の平均値から求めることができる。
前記2つのロールの材質は、金属であることが前記ショア硬さを達成する観点から好ましく、より好ましくはステンレスであり、表面をメッキ処理されたロールも好ましい。また、2つのロールの材質は金属であれば、表面の凹凸が小さく、フィルムの表面に傷が付きにくいため、好ましい。一方、ゴムロールやゴムでライニングした金属ロールは、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、用いることができる。
前記タッチロールについては、例えば特開平11−314263号公報、特開2002−36332号公報、特開平11−235747号公報、国際公開第97/28950号パンフレット、特開2004−216717号公報、特開2003−145609号公報記載のものを利用できる。
さらに、前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、フィルム状の溶融物を通過させる2つのロールの周速度比を制御することで、溶融樹脂が2つのロールを通過する際にせん断応力を付与し、前記偏光板保護フィルムAを製造する。2つのロールの周速度比は、0.60〜0.99であり、0.75〜0.98とすることがより好ましく、0.85〜0.95とすることが特に好ましい。ここで、2つのロールの周速度比とは、遅いロールの周速度/速いロールの周速度を意味する。
前記2つのロールの周速比を0.60〜0.99にすると、傾斜構造を有し、傾斜方位が遅相軸と直交したフィルムを得ることができる。また、フィルム表面に傷が付き難く、平滑性が良好なフィルムを安定的に製造することができる。
前記偏光板保護フィルムAを得るためには、前記2つのロールの速度はどちらが速くても構わないが、タッチロールが遅い場合、タッチロール側にバンク(溶融物の余剰分がロール上へ滞留し、形成された滞留物)が形成される。タッチロールは、溶融物が接触している時間が短いため、タッチロール側に形成されたバンクは、十分に冷却することができず、剥離ダンが発生し、面状故障の原因となり易い。よって、遅いロールがチルロールであり、速いロールがタッチロールであることが好ましい。
さらに、前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記2つのロールとして、それぞれ直径の大きなロールを用いるのが好ましく、具体的には、直径が350〜600nm、より好ましくは350〜500nmの2つのロールを使用するのが好ましい。直径の大きなロールを用いると、フィルム状の溶融物とロールの接触面積が広くなり、せん断がかかる時間がより長くなるため、γが大きなフィルムを、しかもRe[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキを抑制しつつ製造することができる。なお、前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記2つのロールの直径は等しくても、異なっていてもよい。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、前記2つのロールが、互いに異なる周速で駆動される。前記2つのロールは、連れ周り駆動でも独立駆動でもよいが、Re[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキを抑制するためには、独立駆動であることが好ましい。
さらに、前記偏光板保護フィルムAの製造方法は、前記γを大きくするために、2つのロールの表面温度に0.1℃〜50℃の温度差をつけることを特徴とする。前記温度差は傾斜構造を大きくするおよび良好な面状を維持する観点から1〜40℃であることが好ましく、より好ましくは5〜30℃である。
その際、2つのロールの温度は、前記負の複屈折性樹脂のガラス転移温度Tgを用いて、はTg−50℃〜Tg+60℃、より好ましくはTg−40℃〜Tg+30℃、さらに好ましくはTg−30℃〜Tg+20℃に設定する。このような温度制御は、タッチロール内部に温調した液体、気体を通すことで達成することができる。
また、前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、供給手段から供給された負の複屈折性樹脂組成物の溶融物が、前記供給手段から前記挟圧装置の挟圧面に達するまでの間、溶融物を保温し、幅方向の温度分布を軽減するのが好ましく、具体的には、幅方向の温度分布を5℃以内にするのが好ましい。温度分布を軽減するためには、前記エアーギャップの少なくとも一部に、断熱機能または熱反射機能のある部材を配置し、該溶融物を外気から遮蔽するのが好ましい。この様に、断熱部材を通路に配置して、外気から遮蔽することで、外部環境、例えば風、の影響を抑えることができ、フィルムの幅方向の温度分布を抑制することができる。フィルム状溶融物の幅方向の温度分布は、±3℃以内がより好ましく、±1℃以内がよりさらに好ましい。
さらに、前記遮蔽部材を用いると、フィルム状溶融物の温度が高い状態、すなわち、溶融粘度が低い状態で、ロール間を通過させることができるため、前記偏光板保護フィルムAを作成しやすい効果もある。
なお、フィルム状の溶融物の温度分布は、接触式温度計や非接触式温度計によって測定することができる。
前記遮蔽部材は、例えば、2つのロールの両端部よりも内側で、且つ熱可塑性樹脂組成物の供給手段(例えば、ダイ)の幅方向側面と隙間を介して設けられる。遮蔽板は、供給手段の側面に直接固定されてもよいし、支持部材によって支持固定されてもよい。遮蔽部材の幅は、供給手段の放熱による上昇気流を効率的に遮断できるように、例えば、供給手段側面の幅と同等かそれ以上であるのが好ましい。
遮蔽部材とフィルム状の溶融物の幅方向端部との隙間は、ロールの表面に沿って流れ込む上昇気流を効率よく遮蔽する上で狭く形成されることが好ましく、フィルム状溶融物の幅方向端部から50mm程度であることがより好ましい。なお、供給手段の側面と遮蔽部材との隙間は、必ずしも設ける必要はないが、遮蔽部材に囲まれた空間内の気流を排出できる程度、例えば10mm以下に形成されることが好ましい。
また、断熱機能および/または熱反射機能を持つ材料として、遮風性や保温性に優れたものが好ましく、例えば、ステンレス等の金属板が好ましく使用できる。
よりRe[0°]、Re[+40°]およびRe[−40°]のバラツキをなくす方法として、フィルム状の溶融物がロールに接触する際の密着性を上げる方法がある。具体的には、静電印加法、エアナイフ法、エアーチャンバー法、バキュームノズル法などの方法を組み合わせて、密着性を向上させることができる。このような密着向上法は、フィルム状の溶融物の全面に実施してもよく、一部に実施してもよい。
このようにして製膜した後、フィルム状の溶融物を通過させる2つのロール(例えばキャスティングロールとタッチロール)以外に、キャスティングロールを1本以上使用して、フィルムを冷却するのが好ましい。タッチロールは、通常は最上流側(熱可塑性樹脂組成物の供給手段、例えばダイに近い方)の最初のキャスティングロール(チルロール)にタッチさせるように配置する。一般的には3本の冷却ロールを用いることが比較的よく行われているが、この限りではない。複数本あるキャスティングロールの間隔は、面間で0.3mm〜300mmが好ましく、より好ましくは、1mm〜100mm、さらに好ましくは3mm〜30mmである。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法では、特に、フィルム状の溶融物を通過させる2つのロール以外のキャスティングロールの温度が、Tg−100℃〜Tg−10℃であることが好ましく、Tg−100℃〜Tg−15℃であることがより好ましく、Tg−40℃〜Tg−15℃であることが特に好ましい。
さらに加工したフィルムの両端をトリミングすることが好ましい。トリミングで切り落とした部分は破砕し、再度原料として使用してもよい。また片端あるいは両端に厚みだし加工(ナーリング処理)を行うことも好ましい。厚みだし加工による凹凸の高さは1μm〜50μmが好ましく、より好ましくは3μm〜20μmである。厚みだし加工は両面に凸になるようにしても、片面に凸になるようにしても構わない。厚みだし加工の幅は1mm〜50mmが好ましく、より好ましくは3mm〜30mmである。押出し加工は室温〜300℃で実施できる。
巻き取る前に、片面もしくは両面に、ラミフィルムを付けることも好ましい。ラミフィルムの厚みは5μm〜100μmが好ましく、10μm〜50μmがより好ましい。材質はポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等、特に限定されない。
巻き取り張力は、好ましくは2kg/m幅〜50kg/幅であり、より好ましくは5kg/m幅〜30kg/幅である。
前記偏光板保護フィルムAの製造方法で得られるフィルムの未延伸時の膜厚は、100μm以下であることが好ましい。液晶ディスプレイ等に用いる場合は、薄型化の観点からは、80μm以下であることがより好ましく、60μm以下であることが特に好ましく、40μm以下であることがより特に好ましい。
<延伸、緩和処理>
さらに、上記方法により製膜した後、前記偏光板保護フィルムAを延伸および/または緩和処理を行ってもよい。例えば、以下の(a)〜(g)の組合せで各工程を実施することができる。
(a) 縦延伸
(b) 縦延伸→緩和処理
(c) 縦延伸→横延伸
(d) 縦延伸→横延伸→緩和処理
(e) 横延伸
(f) 横延伸→緩和処理
(g) 横延伸→緩和処理→縦延伸→緩和処理
前記偏光板保護フィルムAの製造方法は、光学特性の発現範囲を広げる観点から少なくとも1方向に延伸する工程を含むことが好ましく、これらの組合せの中で好ましいのは、(a)〜(d)の工程である。また、本発明の偏光板の製造方法は、偏光板保護フィルムAの遅相軸と傾斜方位を直交させる観点、および製造コストを低下させる観点から、縦延伸工程を含むことがより好ましく、横延伸工程を含まずに縦延伸工程を含むことが好ましく、縦延伸工程のみを含むことがより特に好ましい。また、さらに製造コストを低下させる必要がある場合は、本発明の偏光板の製造方法は、偏光板保護フィルムAを延伸する工程を含まなくてもよい。
横延伸はテンターを用い実施することができる。即ちフィルムの幅方向の両端部をクリップで把持し、横方向に拡幅することで延伸する。この時、テンター内に所望の温度の風を送ることで延伸温度を制御できる。延伸温度は、Tg−20℃〜Tg+30℃が好ましく、Tg−15℃〜Tg+20℃がより好ましく、Tg−10℃〜Tg+10℃以下がさらに好ましい。また、好ましい横延伸倍率は1.2〜3.0倍、より好ましく1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.2〜2.0倍である。
このような延伸の前に予熱、延伸の後に熱固定を行うことで延伸後のRe、Rth分布を小さくし、ボーイングに伴う配向角のばらつきを小さくできる。予熱、熱固定はどちらか一方であってもよいが、両方行うのがより好ましい。これらの予熱、熱固定はクリップで把持して行うのが好ましく、即ち延伸と連続して行うのが好ましい。
予熱は延伸温度より1℃〜50℃程度高い温度で行うことができ、好ましく2℃〜40℃以下、さらに好ましくは3℃〜30℃高くすることが好ましい。好ましい予熱時間は1秒〜10分であり、より好ましくは5秒〜4分、さらに好ましくは10秒〜2分である。予熱の際、テンターの幅はほぼ一定に保つことが好ましい。ここで「ほぼ」とは未延伸フィルムの幅の±10%を指す。
熱固定は延伸温度より1℃〜50℃低い温度で行うことができ、より好ましく2℃〜40℃、さらに好ましくは3℃〜30℃低くすることが好ましい。さらに好ましくは延伸温度以下でかつTg以下にするのが好ましい。好ましい予熱時間は1秒〜10分であり、より好ましくは5秒〜4分、さらに好ましくは10秒〜2分である。熱固定の際、テンターの幅はほぼ一定に保つことが好ましい。ここで「ほぼ」とは延伸終了後のテンター幅の0%(延伸後のテンター幅と同じ幅)〜−10%(延伸後のテンター幅より10%縮める=縮幅)を指す。延伸幅以上に拡幅すると、フィルム中に残留歪が発生しやすく好ましくない。
縦延伸は、2対のロール間を加熱しながら出口側の周速を入口側の周速より速くすることで達成できる。この際、間の間隔(L)と延伸前のフィルム幅(W)を変えることで厚み方向のレターデーションの発現性を変えることができる。L/W(縦横比と称する)が2〜50以下(長スパン延伸)ではRthを小さいフィルムを作成し易く、L/Wが0.01〜0.3(短スパン)ではRthが大きいフィルムを作成できる。本実施の形態では長スパン延伸、短スパン延伸、これらの間の領域(中間延伸=L/Wが0.3を超え2以下)のどれを使用してもよいが、配向角を小さくできる長スパン延伸、短スパン延伸が好ましい。さらに高Rthを狙う場合は短スパン延伸、低Rthを狙う場合は長スパン延伸と区別して使用することがより好ましい。
延伸温度は、Tg−20℃〜Tg+30℃が好ましく、Tg−15℃〜Tg+20℃がより好ましく、Tg−10℃〜Tg+10℃以下がさらに好ましい。また、好ましい縦延伸倍率は1.2〜3.0倍、より好ましく1.2〜2.5倍、さらに好ましくは1.2〜2.0倍である。
さらに、これらの延伸の後に緩和処理を行うことで寸法安定性を改良できる。熱緩和は製膜後、縦延伸後、横延伸後のいずれか、あるいは両方で行うことが好ましい。緩和処理は延伸後に連続してオンラインで行ってもよく、延伸後巻き取った後、オフラインで行ってもよい。
熱緩和は(Tg−30)℃〜(Tg+10)℃、より好ましく(Tg−20)℃〜(Tg+5)℃、さらに好ましくは(Tg−10)℃〜(Tg+3)℃で、1秒〜10分、より好ましくは5秒〜4分、さらに好ましくは10秒〜2分、0.1kg/m〜20kg/m、より好ましく1kg/m〜16kg/m、さらに好ましくは2kg/m〜12kg/mの張力で搬送しながら実施するのが好ましい。
<<偏光子を製造する工程>>
前記偏光子の製造方法としては、従来公知の方法が適用できる。例えば、前記ポリビニルアルコール系フィルムを得る方法としては、任意の適切な成形加工法が採用され得る。前記成形加工法としては、従来公知の方法が適用できる。また、前記ポリビニルアルコール系フィルムには、市販のフィルムをそのまま用いることもできる。市販のポリビニルアルコール系フィルムとしては、例えば、(株)クラレ製の商品名「クラレビニロンフィルム」、東セロ(株)製の商品名「トーセロビニロンフィルム」、日本合成化学工業(株)製の商品名「日合ビニロンフィルム」等が挙げられる。
偏光子の製造方法の一例について、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする高分子フィルム(原反フィルム)は、純水を含む膨潤浴、およびヨウ素水溶液を含む染色浴に浸漬され、速比の異なるロールでフィルム長手方向に張力を付与されながら、膨潤処理および染色処理が施される。つぎに、膨潤処理および染色処理されたフィルムは、ヨウ化カリウムを含む架橋浴中に浸漬され、速比の異なるロールでフィルムの長手方向に張力を付与されながら、架橋処理および最終的な延伸処理が施される。架橋処理されたフィルムは、ロールによって、純水を含む水洗浴中に浸漬され、水洗処理が施される。水洗処理されたフィルムは、乾燥して水分率を調節した後で巻き取られる。このように、偏光子は、原反フィルムを、例えば、元の長さの5倍〜7倍に延伸することで得ることができる。
<<貼合工程>>
本発明の製造方法は、前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合わせる工程を含む。
本発明の偏光板は、接着剤を用いて前記偏光子の少なくとも片面に前記偏光板保護フィルムAの片面(表面処理をしてある場合は表面処理面)を貼り合わせることで製造できる。また、前記偏光板保護フィルムB、偏光子および前記偏光板保護フィルムAの順に貼り合わせる場合は、本発明の偏光板は偏光子の両面に接着剤を用いて偏光子とその他のフィルムを張り合わせることで製造できる。
本発明の偏光板の製造方法においては、前記偏光板保護フィルムAが偏光子と直接貼合される。
また、本発明の偏光板の製造方法では、製造コストを下げる観点から、前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて(ロールtoロールで)貼り合わせて製造する。TN、OCB、ECB等の透過型液晶パネルにおいて、広い視野角を実現するためには用いる位相差フィルムの遅相軸と傾斜方位が直交することが好ましい。前記偏光板保護フィルムAは延伸工程を含まずに製造された場合であっても遅相軸と傾斜方位が直交しているため、従来公知の位相差フィルムに対して横延伸工程を実施してからフィルムと偏光子とを貼り合わせるよりも安価かつ容易に本発明の偏光板を製造できる。
前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とをロールtoロールで貼り合わせる方法は、例えば接着剤を用いて、前記偏光板保護フィルムAを製造する工程における偏光板保護フィルムAの長手方向(MD)のロール状フィルムを巻き出し、染色延伸した偏光子フィルムの一方の面と直接オンラインで、ロールtoロールで貼り合わせることができる。
また、前記偏光板保護フィルムBと前記偏光子とをロールtoロールで貼り合わせる方法は、接着剤を用いて、ロール状偏光板保護フィルムBを巻出し、染色延伸した偏光子フィルムの前記偏光板保護フィルムAを貼り合せる側とは反対側の面と直接オンラインでロールtoロールで貼り合わせることができる。このとき、偏光板保護フィルムAと前記偏光子と前記偏光板保護フィルムBは、すべて同時に貼り合せても、順に貼り合せてもよい。好ましくは、染色延伸した偏光子フィルムの両面に接着剤を適用し、ロール状偏光板保護フィルムAを巻出したものと偏光子の一方の面に、ロール状偏光板保護フィルムBを巻出したものを偏光子の他方の面に同時に貼り合せる方法である。すなわち、本発明の偏光板の製造方法は、前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと、帯状の前記偏光子と、帯状の偏光板保護フィルムBとをこの順に、各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有することが製造コストを下げる観点からより好ましい。
前記接着剤としては、本発明の趣旨に反しない限り、公知の偏光板製造用接着剤を用いることができる。また、前記偏光子と各フィルムの間に接着剤層を有する態様も好ましい。前記接着剤の具体例としては、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアセタール(例、ポリビニルブチラール)の水溶液や、ビニル系ポリマー(例、ポリブチルアクリレート)のラテックスを用いることができる。特に好ましい接着剤は、完全鹸化ポリビニルアルコールの水溶液である。前記ポリビニルアルコール系接着剤は、ポリビニルアルコール系樹脂と架橋剤を含有することが好ましい。
本発明の偏光板の製造方法は、本発明の趣旨に反しない限り、上記の方法に限定されず、他の方法を用いることもできる。例えば、特開2000−171635号、特開2003−215563号、特開2004−70296号、特開2005−189437号、特開2006−199788号、特開2006−215463号、特開2006−227090号、特開2006−243216号、特開2006−243681号、特開2006−259313号、特開2006−276574号、特開2006−316181号、特開2007−10756号、特開2007−128025号、特開2007−140092号、特開2007−171943号、特開2007−197703号、特開2007−316366号、特開2007−334307号、特開2008−20891号各公報などに記載の方法を使用できる。これらの中でもより好ましくは特開2007−316366号、特開2008−20891号公報に記載の方法である。
[液晶表示装置]
本発明の偏光板は、種々のモードの液晶表示装置に用いることができる。好ましくは、TN(Twisted Nematic)、OCB(Optically Compensatory Bend)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モードの液晶表示装置、中でも、より好ましくは、TN、ECBモード液晶表示に用いることができる。
なお、本発明の偏光板以外の偏光板を液晶表示装置の片側に設ける場合、該偏光板は、偏光子の一方または両方の表面に偏光板保護フィルムが貼り付けられているのが好ましく、かかる偏光板保護フィルムは、前記偏光板保護フィルムAであってもよい。また、セルロースアシレートフィルム、環状ポリオレフィン系ポリマーフィルム等、従来偏光板保護フィルムとして用いられている種々のフィルムを利用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
[製造例1] スチレン−無水マレイン酸系樹脂A−1のペレットの製造
スチレン−無水マレイン酸系樹脂として、ノバケミカル社製の「Dylark D332」のペレットを用いた。なお、「Dylark D332」は、負の固有複屈折性を示す。また、当該樹脂のガラス転移点は130℃であった。
[製造例2] N−フェニルマレイミドーアクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂A−2のペレットの製造
アクリロニトリル−スチレン共重合体として、日本触媒(株)製の「ポリイミレックスPAS1460」のペレットを用いた。なお、「ポリイミレックスPAS1460」は、負の固有複屈折性を示す。また、当該共重合体樹脂のガラス転移点は167℃であった。
[製造例3] スチレン−アクリル系樹脂A−3のペレットの製造
アクリル系樹脂として、スチレン−アクリル系共重合体である旭化成ケミカルズ社製の「デルペット980N」のペレットを用いた。なお、「デルペット980N」は、負の固有複屈折性を示す。また、当該樹脂のガラス転移点は123℃であった。
[製造例4] メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂A−4の製造
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂として、新日鉄化学(株)社製のエスチレンMS600(商品名、メタクリル酸メチル/スチレン=6/4共重合樹脂)のペレット40質量部、および日本触媒(株)製のメタクリル酸メチル−スチレン−N−フェニルマレイミドの共重合樹脂「ポリイミレックスPML203」のペレット60質量部を用いて混合し、2軸押出機で窒素下混練押出しを行い、樹脂組成物のペレットを得た。樹脂組成物のTgは、118℃であった。混合樹脂は、負の固有複屈折性を示す。
[製造例5] ポリビニルアセタール樹脂A−5のペレットの製造
重合度700、鹸化度98モル%のポリビニルアルコール樹脂100質量部を700質量部の蒸留水に加温溶解した後、20℃に保ち、これに35重量%塩酸29質量部を加え、更にベンズアルデヒド50質量部を添加した。次いで、12℃まで冷却することにより、樹脂を析出させた。
次に、30分間保持した後、塩酸108質量部を加え45℃に昇温して6時間保った。反応終了後、蒸留水にて10時間流水洗浄し、水洗後のポリビニルアセタール樹脂に水酸化ナトリウムを添加して分散液のpHを9に調整した。分散液を55℃で6時間保持した後、冷却した。このときの分散液のpHは8.5であった。次に、固形分に対し100倍量の蒸留水により分散液を水洗した後、分散液を50℃で5時間保持し、10倍量の蒸留水で水洗して、脱水した後に乾燥することにより、ガラス転移温度が132℃であるポリビニルアセタール樹脂を得た。2軸押出機で窒素下混練押出しを行い、樹脂組成物のペレットを得た。
得られたポリビニルアセタール樹脂について、JIS K 6729「ポリビニルホルマール試験方法」に準拠した方法で構成成分の比率を測定したところ、前記一般式(3)で表される構成単位pが40モル%、qが58.3モル%、rが1.7モル%であった。また、得られたポリビニルアセタール樹脂は、負の固有複屈折性を示す。
[製造例6] 比較用ポリカーボネート樹脂C−1のペレットの製造
比較用ポリカーボネート樹脂として、出光興産社製の「タフロンMD1500」のペレットを用いた。なお、「タフロンMD1500」は、正の固有複屈折性を示す。また、当該樹脂のガラス転移点は150℃であった。
[実施例1]
(偏光板保護フィルムAの作製)
負の複屈折性樹脂として下記表1に記載の樹脂A−1のペレットを用いて、100℃において2時間以上乾燥し、安定剤IRGANOX−1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を樹脂100重量部に対して0.6重量部を添加し、265℃で溶融し、1軸混練押出し機を用い混練し押出した。このとき押し出し機とダイの間にスクリーンフィルター、ギアポンプ、ろ過精度5μmのリーフディスクフィルターをこの順に配置し、これらをメルト配管で連結した。T−ダイ押出吐出温度が265℃で、幅1500mm、リップギャップ1mmのダイから押出した。
この後、キャストロールとタッチロールの間にメルト(溶融樹脂)を押出した。この時、最上流側の幅1800mm、直径400mmの材質がハードクロムメッキ表面処理を施す炭素鋼製であるキャストロール(チルロール)に下記表1に記載のタッチ圧力となるようにシリンダーを設定し、幅1400mm、直径350mm、金属表層厚み30mmの材質がハードクロムメッキ表面処理を施す炭素鋼製であるタッチロールを接触させた。なお、該タッチロールがクラン量3mmである鼓状剛性ロールであった。タッチ圧力は、中圧用プレスケール(富士フィルム社製)を、メルトのない状態で等周速(5m/分)でともに25℃に制御した二つのロールに挟みこむことで測定し、その値を製膜時の圧力とした。タッチロールおよびチルロールはショア硬度65HSのものを用いた。また、メルトはキャストロールとタッチロールで挟まれる中央部分に落とした。ダイとメルト着地点の距離を110mmに設定した。これらのロールを用い、タッチロール周速度が速く、チルロール周速度が遅く、その周速度比を下記表1に記載の条件に設定し、下記表1に記載の搬送速度(チルロール速度)で製膜した。なお、チルロールの温度はTg−5℃とし、タッチロールの温度が下記表1に記載のチルロールとタッチロールの温度差より設定した。なお、チルロールの温度およびタッチロールの温度は、負の複屈折性樹脂含有組成物が挟圧される区間の挟圧開始部からそれぞれのロールに沿って1cm上方の部分において、各ロールの表面温度を測定した。なお、バンク形成の制御は製膜条件(挟圧装置間の隙間、製膜温度、速度、タッチ圧、ロール温度)により調整できる。バンク形成の有無を、CCDカメラを搭載したケーブル型内視鏡を用いて観察し、表1に記載した。また、バンク形成有無の判別は、上記のCCDカメラによる方法でバンク形成の有無を判断できない場合は、代わりに下記の簡便な方法で測定することができる。バンク形成される状態でタッチしていた場合にチルロールからタッチロールを約10cm/秒程度で引き離し、突然タッチ無しの状態に戻す。挟圧装置の隙間に溜まっていたバンクが一気に放出され、冷却後固化した後のフィルムにバンクの跡が縞状に残る。フィルムのタッチ無し状態にした部分の流れ方向において厚み変化が発生していた場合は、バンクが形成していたことを確認できる。また、製膜の雰囲気は25℃、50%であった。
この後、得られたフィルムはチルロール(第1のキャストロールでもある)によって搬送され、次に下記表1に記載の温度に設定した第2のキャストロール、さらに第2キャストロール表面温度より10℃低い第3キャストロールによって搬送された。その後、巻き取り直前にタッチされた部分のフィルム両端(各5cm)をトリミングした後、両端に幅10mm、高さ20μmの厚みだし加工(ナーリング)をつけた。また製膜幅は1300mmとし、450m巻き取った。製膜後のフィルムの厚みは下記表1に記載の厚みとし、実施例1の偏光板保護フィルムAを作製した。
(偏光板保護フィルムAの光学特性)
得られた実施例1のフィルムの光学特性も表1にあわせて記載した。なお、その他の実施例を含め、偏光板保護フィルムAのRe[+40°]とRe[−40°]を測定した傾斜方位は、いずれも、フィルムの長手方向である。
また、得られた実施例1の偏光板保護フィルムAを60℃、相対湿度90%の湿熱環境下で500時間経過させた際のγを測定した。湿熱環境下へ曝す前のγとの変化率Δγを計算し、得られた結果を下記表1に記載した。
[実施例2〜8、14、16〜18、参考例9〜13、15、比較例1および2]
用いた樹脂と製膜条件を下記表1に記載したように変更した以外は実施例1と同様にして、各実施例および比較例の偏光板保護フィルムAを得た。各実施例および比較例の偏光板保護フィルムAの光学特性を下記表1に示す。なお、参考例12では、押圧体としてタッチロールのかわりに、幅800mm、金属表層厚み20mm、挟圧部分の長さ30mmの材質がハードクロムメッキ表面処理を施す炭素鋼製であるタッチベルトを用いてフィルムを製造したものである。なお、各樹脂の製膜温度は以下の通りである。A−2樹脂の製膜温度が280℃、A−3樹脂の製膜温度が260℃、A−4樹脂の製膜温度が265℃、A−5樹脂の製膜温度が255℃、C−1樹脂の製膜温度が265℃である。
Figure 0005324904
表1から、実施例1〜8、14および16〜18ではいずれも遅相軸と傾斜方位を有し、さらに遅相軸と傾斜方位が直交していることが判明した。一方、比較例1は、タッチロールとチルロールの間に周速差を設けずに挟圧したものであり、得られたフィルムはγが発現しておらず、傾斜方位は存在しなかった。また、比較例2は樹脂として正の複屈折製樹脂を用いたものであり、得られた樹脂は遅相軸がMD方向となっており、傾斜方位もMD方位であるため、遅相軸と傾斜方位は直交していなかった。また、実施例1〜8、14および16〜18ではγが大きく、良好な位相差の傾斜構造が形成されており、Re[0°]の発現量が十分大きく、γの湿熱耐久性に優れ、破断伸びも好ましい範囲であることが判明した。
以上より、本発明の製造方法によれば、バンクを形成しながら、挟圧装置間の2つの挟圧面間の温度差を本発明の範囲として2つの挟圧面間に本発明の範囲の移動速度差を与えることで、遅相軸と傾斜方位を有し、さらに遅相軸と傾斜方位が直交しているフィルムを製造できることがわかった。
また、実施例1〜8、14および16〜18より、本発明の実施例1〜8、14および16〜18の偏光板保護フィルムAは光学用途に適したフィルムであり、特に光学補償フィルムとして好適に偏光板に用いることができることがわかった。
<TN液晶パネルへの装着と評価>
(TNモード用偏光板の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコール(PVA)フィルムを、ヨウ素濃度0.05質量%、KI濃度3質量%のヨウ素水溶液(30℃)中に60秒浸漬して染色し、次にホウ酸濃度4質量%、KI濃度3.5質量%の水溶液(55℃)中に60秒浸漬している間に元の長さの5.5倍に縦延伸した後、50℃で4分間乾燥させて、厚さ20μmの偏光子を得た。
これとは別に、ロール状のセルロースアシレートフィルム(富士フイルム(株)製、フジタックTD80UL)を偏光子の保護フィルムBとして用いた。濃度2.0モル/Lで55℃の水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬ケン化処理した後、水で十分に水酸化ナトリウムを洗い流した。その後、0.005モル/Lで35℃の希硫酸水溶液に1分間浸漬した後、水に浸漬し希硫酸水溶液を十分に洗い流し、105℃で乾燥した。
実施例1〜8、14、16〜18、参考例9〜13、15、比較例1および2のロール状未延伸の偏光板保護フィルムAの表面に接触角を30°以下になるようにコロナ放電処理を行い、偏光子の保護フィルムAとして使用した。
表面にコロナ放電処理した実施例1〜8、14、16〜18、参考例9〜13、15、比較例1および2のロール状未延伸フィルムと、上記ケン化処理したロール状フジタックTD80ULを、上記染色延伸した偏光子フィルムの両側にそれぞれ配置し、ポリビニルアルコール系接着剤を用い、直接オンラインでロールtoロールで偏光子と貼り付け、乾燥後、偏光板保護フィルムA、偏光子、偏光板保護フィルムBがこの順に積層したロール状の偏光板を得た。
(TN型液晶表示装置の作製)
TN型液晶セルを使用した液晶表示装置(AQUOS LC−20C1−S 、シャープ(株)製)に設けられている一対の偏光板を剥がし、代わりに各実施例および比較例のフィルムを用いて作製した偏光板を、各実施例および比較例のフィルムが液晶セル側となるように粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。各実施例および比較例で採用した液晶表示パネルの構成を表1および図1〜図3に示す。なお、図2のパネル構成にした際に用いた二軸位相差膜は、富士フィルム製のVAZフィルム(遅相軸がTD方向に有する)を用いた。こうして得られた液晶表示装置を、ELDIM社製EZ−contrastにより白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上の視野角を測定した。測定された視野角から、以下の方法で表示視認性を評価し、得られた結果を上記表1に記載した。
○: 液晶セルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲が、正対方向に対し上下左右ともに60°以上。
△: 液晶セルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲が、正対方向に対し上下左右ともに40℃以上60°未満。
×: 液晶セルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲が、正対方向に対し上下左右ともに40℃未満。
表1より、前記偏光板保護フィルムAを用いた本発明の偏光板は、TN液晶表示装置に組み込んだ場合、表示視認性が良好であることがわかった。さらに、本発明の偏光板は黒表示時の斜め方向から見た光漏れが少ない。また、ロールtoロールで偏光子を貼り合わせた際にこのような特性を得ることができたことがわかり、高価な装置を用いることが必要な横延伸工程を含まないという観点から、このような特性を持つ偏光板の製造コストを顕著に下げることができることがわかった。
(偏光板保護フィルムAの延伸)
実施例1の製膜後の未延伸フィルムを、2対のロール間にTg+2℃温度で加熱しながら、1.2倍縦延伸した。得られた延伸フィルムの厚みが74μm、遅相軸がTD方向に向き、傾斜方位がMD方向に有し、Re[0°]=140nm、Re[40°]=198nm、Re[−40°]=49nm、γ=149nm、Δγ=0.4%であった。前記未延伸の実施例1フィルムと同じように、ロールtoロールで偏光板を作成し、これを前記同様にTN型液晶パネルに評価したところ、液晶セルの白表示と黒表示時のコントラスト比が10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角の範囲が、正対方向に対し上下左右ともに60°以上であることを確認した。未延伸のフィルムと比べ、レターデーション値が向上することが分かった。
(ECBモード液晶表示装置の作製と評価)
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が反平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを2.8μmに設定した。正の誘電率異方層を持つネマチック液晶材料を用いて注入し、液晶セルのΔnd LC を300nmとした(Δnは液晶材料の屈折率異方性)ECBセルを作製した。作製した液晶表示装置をバックライト上に配置し、ECBセルに55Hz矩形波で電圧を印加した。
作製したECBセルを挟むように、各実施例および比較例で作製した偏光板2枚を、図1と図3に示すパネル構成(パネルセルは作製したECBセルである)に貼り合わせ、同様な傾向が得られた。
このように、前記偏光板保護フィルムAを用いた本発明の偏光板は、ECBモード液晶表示装置に組み込んだ場合、大きな視野角補償を行うことができる。さらに、本発明の偏光板は黒表示時の斜め方向から見た光漏れが少ない。また、ロールtoロールで偏光子を貼り合わせた際にこのような特性を得ることができたことがわかり、高価な装置を用いることが必要な横延伸工程を含まないという観点から、このような特性を持つ偏光板の製造コストを顕著に下げることができることがわかった。
本発明のTNモード液晶表示装置における偏光板の吸収軸、液晶セルの配向方向、フィルムの遅相軸およびフィルムの傾斜方位を表した概略図である。 本発明のTNモード液晶表示装置における偏光板の吸収軸、液晶セルの配向方向、フィルムの遅相軸およびフィルムの傾斜方位を表した概略図である。 比較例2のTNモード液晶表示装置における偏光板の吸収軸、液晶セルの配向方向、フィルムの遅相軸およびフィルムの傾斜方位を表した概略図である。
符号の説明
1a、1b 偏光子
2a 偏光子の吸収軸
2b 偏光子の吸収軸(MD方向)
3a、3b 各実施例の偏光板保護フィルムAおよび比較例1のフィルム
4 各実施例および比較例1のフィルムの面内遅相軸方向(TD方向)
5 各実施例のフィルムの傾斜方位(MD方向)
6 液晶セル
7 二軸位相差膜
8a、8b 比較例2のフィルム
9 比較例2のフィルムの面内遅相軸方向(MD方向)
10 比較例2のフィルムの傾斜方位(MD方向)

Claims (11)

  1. 偏光板保護フィルムAを製造する工程と、
    偏光子の一方の面に前記偏光板保護フィルムAを貼合する貼合工程と、を含む偏光板の製造方法であって、
    前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、負の複屈折性樹脂を含む組成物の溶融物を挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に通過させて帯状のフィルム状に成型する工程と、前記第一挟圧面の移動速度を前記第二挟圧面の移動速度よりも速くする工程とを有し、
    前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと帯状の前記偏光子とを各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有し、
    前記偏光板保護フィルムAは下記式(II’)で表されるγが60〜250nmであり、
    前記負の複屈折性樹脂が、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、負の複屈折性を示す環状オレフィン系樹脂および負の複屈折性を示すポリカーボネート系樹脂から選ばれる少なくとも1種を含み、
    前記挟圧装置が互いに周速度が異なる2つのロールであり、
    前記2つのロールの材質が金属であり、
    前記2つのロール間のロール圧力を25〜300MPaにすることを特徴とする偏光板の製造方法。
    γ=|Re[+40°]−Re[−40°]| 式(II')
    (式(II’)中、Re[+40°]はフィルム傾斜方位とフィルム法線を含む面内において、該法線に対して傾斜方位側へ40°傾いた方向から測定した波長550nmにおける面内方向のレターデーションを表し、Re[−40°]は該法線に対して傾斜方位と反対側へ40°傾いた方向から測定した波長550nmにおける面内方向のレターデーションを表す。)
  2. 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、
    負の複屈折性樹脂を含有する組成物をダイから溶融押出しする工程と、
    挟圧装置を構成する第一挟圧面と第二挟圧面の間に溶融押出しされた溶融物をバンク形成させながら通過させて連続的に挟圧してフィルム状に成形する工程と、
    下記式(I)で定義される前記挟圧装置の第一挟圧面と第二挟圧面の移動速度比を0.60〜0.99に制御する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の偏光板の製造方法。
    移動速度比=第二挟圧面の速度/第一挟圧面の速度 式(I)
  3. 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、前記挟圧装置の第一挟圧面の表面温度と第二挟圧面の表面温度との間に0.1℃〜50℃の温度差を与える工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の偏光板の製造方法。
  4. 前記偏光板保護フィルムAを製造する工程が、前記フィルム状に成形された溶融物を、Tg−10℃〜Tg−100℃のキャストロールを用いて搬送する工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法(但し、前記Tgは前記負の複屈折性樹脂のガラス転移温度を表す。)。
  5. 少なくとも1方向に前記偏光板保護フィルムAを延伸する工程を含むことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  6. 前記貼合工程が、前記偏光板保護フィルムAと、帯状の前記偏光子と、帯状の偏光板保護フィルムBとをこの順に、各帯状のフィルムの長手方向どうしを一致させて重ね合わせて、貼り合せる工程を有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  7. 前記偏光板保護フィルムBがセルロースアシレートフィルムまたはアクリルフィルムであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の偏光板の製造方法で製造されたことを特徴とする偏光板。
  9. 前記偏光板保護フィルムAの遅相軸と、前記偏光板保護フィルムAの傾斜方位が直交していることを特徴とする請求項に記載の偏光板。
  10. TNモード用、OCBモード用またはECBモード用であることを特徴とする請求項8または9に記載の偏光板。
  11. 請求項8〜10のいずれか1項に記載の偏光板を少なくとも1枚使用したことを特徴とする液晶表示装置。
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