JP5321794B2 - 高段差基板向け保護膜用塗布組成物 - Google Patents
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Description
一方、MEMS(メムス、Micro Electro Mechanical Systems)は、機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、有機材料などの上に集積化したデバイスであり、立体形状を形成する。
しかしながら、近年はバルクマイクロマシニングと称される技術が主流でとなってきている。ウエハに厚膜(数十μm以上)もしくは高段差(数十μm以上)を形成してMEMSデバイスを作製する技術である。最近ではボッシュ法等のICP−RIEによるエッチングが可能となったため、シリコンを垂直に深掘りエッチングすることができるようになった。
したがって、MEMS作製、特にバルクマイクロマシニングによる深堀りエッチングによって形成される工程は、半導体集積回路製造工程とは大きく異なる。シリコンウエハを加工して製造されるMEMSデバイスは、多くの場合シリコンウエハ表裏両面の加工を行う。
最初に、シリコンウエハのエッチング方法について述べる。
ウエハ面の一方(ウエハ表面)をデバイス面として作製する場合、デバイス面は金属、酸化膜、窒化膜等が形成されている。これに対しデバイスとの反対のシリコン面(ウエハ裏面)は、異方性エッチング等により、シリコンを数十乃至数百μmの加工(主にシリコンのホール、または空洞形状)を施す。
この加工を行なう際は、通常はKOH(水酸化カリウム)水等のアルカリ水溶液を用いて、シリコンの各結晶面に対するエッチング速度の違いを利用して、ホール形状を作製している。
このボッシュ法では、エッチング装置内にウエハを搬送し、エッチングを施し、ウエハが取り出される。この場合、デバイス面が下になるため、搬送アーム等にデバイス面が当たるとデバイス部分に損傷を起こし、不良品となるため歩留まりが低下する。そこで、一時的にこのデバイス面を保護し、使用後は簡単に除去できる保護膜が望まれる。
さらにボッシュ法によるエッチング装置では、ウエハは静電チャックによる吸着で固定されるが、実際のエッチング時には、ウエハと静電チャックの間にヘリウムガスを流して、ウエハ表面の熱を逃がしている。この際、静電チャックに接するウエハ表面が平坦でない場合、ヘリウムガスの流出量が大きくなり、エッチング装置内のウエハが静電チャックでしっかり固定できない。ウエハが十分固定できない場合は、エッチング中にウエハが動くため、精度の良いエッチングができなくなるという問題が発生する。そのため、通常はヘリウムのリーク量の上限値を設定して、この値を超えるとエッチング装置の安全装置が働き、エッチング工程の処理が進まない仕組みになっている。したがって、ヘリウムのリーク量が設定値以下になるような保護膜の平坦化性が要求される。
先にも述べたとおりシリコンウエハを加工して製造されるMEMSデバイスは、ウエハの裏表両面にエッチングを施す場合が多い。
すなわち、ウエハの片面をKOH等のアルカリ水、もしくはボッシュ法によるドライエッチングでシリコンウエハの深掘りエッチングを行って高段差形状を作製し、次に反対面をエッチングする工程である。そのため、片面に段差のあるウエハを、ボッシュ法によるシリコンエッチング装置を用いてもう一方の面のシリコンエッチング加工を行う場合、段差を保護し、かつ平坦にできる保護膜が必要である。そのため、数十乃至数百μmの深さの段差形状を覆う保護膜が必要である。
加えて、保護膜は目的の加工工程を行った後は、除去が必要である。この除去に関しては、デバイス面へのダメージを与えること無く除去する必要があるため、なるべく多くの除去方法が存在することが望ましい。その除去方法には、有機溶媒から構成される薬液によるウエット除去による方法、酸素プラズマ等によるドライエッチングによる方法がある。
そしてデバイスによっては、酸素プラズマの影響によるデバイスに対する酸化の影響から、ドライエッチング除去が好まれず、ウエット除去が好まれる場合があので、デバイスの種類によって選択できることが望ましい。
したがって、段差形状の基板(ウエハ)を保護でき、使用後は有機溶媒による保護膜の除去が可能で、かつフッ酸を含む溶液に耐性のある保護膜が望まれている。
すなわち、容易に平坦な膜の形成ができ、かつ高段差形状を有する基板(高段差基板)の段差を埋め込んでも平坦な膜であること。使用後に膜の除去が容易であり、特に使用後は、酸素プラズマエッチング、または有機溶媒によるウエット除去が可能であること。また、膜がフッ酸を含む溶液に耐性があること。さらに保護膜用塗布組成物のコーターが、レジスト等の樹脂溶液と共有できることである。
なお、本発明での高段差基板としては、MEMSデバイス向けのウエハが挙げられる。例えば、(1)ボッシュ法もしくはアルカリ水により段差が形成されたシリコンウエハで、片面にこの段差を有するもの、(2)同様にシリコンウエハとシリコンウエハの間にシリコン酸化膜が存在しるSOI(Silicon on Insulator)ウエハで、片面段差を有するもの、(3)ガリウムヒ素基板で、片面に段差形状を有するもの、(4)シリコンウエハ上に金属・絶縁膜が形成されていて、片面に段差形状を有するものを言う。
第2観点として、ノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた組成物で、界面活性剤を0.2質量%以下含有させ、かつ溶液粘度が650mPa・s以上10000mPa・s以下である高段差基板向け保護膜用塗布組成物、
第3観点として、ノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた組成物で、界面活性剤を0.2質量%以下含有させ、かつ溶液粘度が1400mPa・s以上8000mPa・s以下である高段差基板向け保護膜用塗布組成物、
第4観点として、界面活性剤がフッ素系界面活性剤である第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物、
第5観点として、ノボラック樹脂がフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物、
第6観点として、有機溶媒がグリコールエーテル類およびグリコールエステル類から選ばれる少なくとも1種の溶剤である第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物、
第7観点として、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる高段差基板の保護膜、
第8観点として、第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、高段差形状を有する基板を保護する保護方法、
第9観点として、段差形状を有する基板をエッチングする際に、段差形状の部位を第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、反対面を深堀りエッチングするエッチング方法、
第10観点として、段差形状を有する基板をエッチングする際に、段差形状の部位を第1観点乃至第6観点のいずれか一つに記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、反対面をボッシュ法で深堀りエッチングするエッチング方法である。
すなわち本発明は、以下に記載のノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた高段差基板向け保護膜用塗布組成物の発明に関する。
これらのノボラック樹脂の具体例としては、群栄化学工業株式会社からエポキシ樹脂硬化剤用として、フェノールノボラック樹脂製品名PSM−4261、PSM−4324,PSM−4326,PSM−4327,クレゾールノボラック樹脂製品名PS−6937,PSF−2803,PSF―2808などが市販されている。その他住友ベークライト株式会社、DIC株式会社、日立化成工業株式会社等からもエポキシ樹脂硬化剤用として市販されているノボラック樹脂を用いることができる。
また、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ビニルピロリドン等のアミド系溶媒が挙げられる。さらには、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジメチルスルホキシドなども使用できる。
なお、これらの有機溶媒は混合しても用いることができる。
なお、塗布組成物の粘度はE型粘度計を用い、温度25℃で測定した濃厚溶液粘度を言う。
また、バッファードフッ酸に対して耐性を持つため、シリコン酸化膜のエッチング加工時の保護膜として使用することができる。
さらに、基板加工および搬送後は、この保護膜を容易に有機溶媒によるウエット除去することができる。すなわち、先に記載したノボラック樹脂を溶解させる有機溶媒に溶解させて除去することも、TMAH水等のアルカリ水でも除去できるし、硫酸・過酸化水素水による除去もできる。
<保護膜用の樹脂溶液の準備>
(1)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PSM4327)および界面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名メガファック:R−30)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(以下PGMEと略す)に溶解した樹脂溶液、並びに同一のノボラック樹脂(PSM4327)をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した樹脂溶液を作成した。これらの各種濃度の樹脂溶液を用いた結果を実施例1、2、および比較例2、並びに実験例10乃至14に示す。
(2)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PSM4261)および界面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名メガファック:R−30)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解した樹脂溶液、並びに同一のノボラック樹脂(PSM4261)をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した樹脂溶液を作成した。これらの各種濃度の樹脂溶液を用いた結果を実施例3乃5および比較例1、並びに実験例1乃至9に示す。
(3)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PSM4324)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解した樹脂溶液を作成した。この樹脂溶液を用いた結果を比較例3に示す。
(4)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PS6937)および界面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名メガファック:R−30)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)に溶解した樹脂溶液、並びに同一のノボラック樹脂(PS6937)をプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解した樹脂溶液を作成した。これらの各種濃度の樹脂溶液を用いた結果を比較例4および実験例15乃至16に示す。
(5)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PSM4327)をプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下PGMEAと略す)の混合溶媒に溶解した樹脂溶液を作成した。これらの溶液を用いた結果を比較例5乃至6に示す。なお、混合溶媒の配合比は質量比である。
(6)ノボラック樹脂(群栄化学工業株式会社製品、商品名レジトップ:PSM4326)および界面活性剤(大日本インキ化学工業株式会社製、商品名メガファック:R−30)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解した樹脂溶液を作成した。これらの溶液を用いた結果を実験例17乃至19に示す。
<保護膜の塗布性試験>
4インチシリコンウエハを用い、先に準備した各種の樹脂溶液を用いて塗布試験を行った。
塗布性の評価は、ウエハ表面上の観察を目視で行った。
○は、膜がウエハ全面に平坦に塗布が可能であったもの。
×は、膜がウエハ内で全面に塗布できず、塗布ムラが発生したもの。
<保護膜の接触角測定試験>
接触角測定箇所は、先に製膜したウエハ面内の中央部(平滑部)にて測定を行った。
接触角の評価機器としては、協和界面化学社製接触測定器(CA150)を用いて行った。
これらの結果を表1に示す。
従って、界面活性剤入りの塗布組成物から得られた膜は塗布性に優れていた。
また、膜の接触角を調査したところ、界面活性剤入りの溶液から得られた膜に対する水の接触角は76°以上であり、界面活性剤のない溶液から得られた膜に対する水の接触角では55°以下であった。接触角が高い場合、塗布性が良いことが確認された。
<溶液の粘度評価>
先に準備した各種の樹脂溶液の粘度測定を行った。測定機器に株式会社トキメック製のE型粘度計(TVE−20LおよびTVE−20H)を用い、温度25℃にて測定を行った。低粘度の実験例サンプルは主にTVE−20Lを用い、高粘度の実験例サンプルは主にTVE−20Hを用いて評価を行った。
ウエハは6インチ基板で、深さ50μm・幅50μmのL&Sの溝が形成されているもの、および深さ100μm・幅50μmのL&Sの溝が形成されているものをそれぞれ2cm角のウエハチップ状に切断し、先に準備した各種の樹脂溶液を用いて段差埋め込み試験を行った。
○は、十分な埋め込み性が確認された。
×は、十分な埋め込み性が確認されなかった。
<バッファードフッ酸耐性実験>
49質量%フッ酸(HF)水溶液、40質量%フッ化アンモニウム(NH4F)溶液、および水を混合して、バッファードフッ酸(以下BHFと略す)をNH4F:HF=10:1の比(酸性フッ化アンモニウムNH4FHF濃度40.9質量%)で準備した。
次に、シリコン酸化膜ウエハ(シリコン酸化膜部分は熱酸化によって作製。膜厚500nm)、約4cm角のチップ上に実験例3乃至9で用いた組成の樹脂溶液を用い、スピンコート法にて、1000rpmで30秒間回転させて膜形成し、その後100℃で2分、160℃で2分、205℃で2分間と順次加熱焼成してシリコン酸化膜ウエハ上に樹脂膜(保護膜)を製膜した。
その後、BHF溶液中に、温度23℃にて15分間、シリコン酸化膜ウエハと上記条件でそれぞれ樹脂膜を製膜したシリコン酸化膜ウエハを浸漬した。その後純水でリンスし、ウエハを乾燥させた。さらに上記条件で樹脂膜を製膜したシリコン酸化膜ウエハに、アセトンに15分間浸漬し、IPA(イソプロピルアルコール)で5分リンスし、純水リンス、乾燥を行い、樹脂膜を除去した。
観察は目視および膜厚測定(ナノメトリクス社製干渉膜厚計ナノスペックにて測定)を行った。
結果は、樹脂膜の無いシリコン酸化膜ウエハはBHF液浸漬により、シリコン酸化膜部分がフッ酸によって溶解し、500nmの膜厚減少が観察されたのに対し、樹脂膜を形成した場合は、シリコン酸化膜の膜厚変化量が1nm以下であった。
また、樹脂膜(保護膜)を除去した後のシリコン酸化膜表面状態は、使用前のシリコン酸化膜と概観上の差は無かった。
ウエハは6インチ基板で、深さ50μm・幅50μmのL&Sの溝が形成されているもの、および深さ100μm・幅50μmのL&Sの溝が形成されているものをそれぞれ2cm角のウエハチップ状に切断し、実験例3乃至9で用いた組成の樹脂溶液を用い、スピンコート法にて、1000rpmで30秒間回転させて膜形成し、その後100℃で2分、160℃で2分、205℃で2分間と順次加熱焼成して樹脂膜を製膜した。
その後、室温23℃で2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(THAH)水溶液、アセトン、NMP(N−メチルピロリドン)、およびPGME各溶液に対する浸漬による溶解試験を行った。各溶液に15分間浸漬し、続いて純水リンス、乾燥を行った。結果はSEM観察にて段差内部の除去性を確認したところ、各溶液で完全に除去されていた。
また保護膜は有機溶媒で容易に除去でき、基板上に何ら痕跡も残さないので、その後の工程においても、基板上の素子の使用に支障をきたすことがない。
Claims (10)
- ノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた組成物で、該ノボラック樹脂濃度が45〜65質量%であり、界面活性剤を0.2質量%以下含有させ、かつ溶液粘度が400mPa・s以上12000mPa・s以下である高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- ノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた組成物で、該ノボラック樹脂濃度が45〜65質量%であり、界面活性剤を0.2質量%以下含有させ、かつ溶液粘度が650mPa・s以上10000mPa・s以下である高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- ノボラック樹脂および界面活性剤を有機溶媒に溶解させた組成物で、該ノボラック樹脂濃度が45〜65質量%であり、界面活性剤を0.2質量%以下含有させ、かつ溶液粘度が1400mPa・s以上8000mPa・s以下である高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- 界面活性剤がフッ素系界面活性剤である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- ノボラック樹脂がフェノールノボラック樹脂またはクレゾールノボラック樹脂である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- 有機溶媒がグリコールエーテル類およびグリコールエステル類から選ばれる少なくとも1種の溶剤である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる高段差基板の保護膜。
- 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、高段差形状を有する基板を保護する保護方法。
- 段差形状を有する基板をエッチングする際に、段差形状の部位を請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、反対面を深堀りエッチングするエッチング方法。
- 段差形状を有する基板をエッチングする際に、段差形状の部位を請求項1乃至6のいずれか1項に記載の高段差基板向け保護膜用塗布組成物から得られる膜で覆い、反対面をボッシュ法で深堀りエッチングするエッチング方法。
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