JP5321016B2 - 車両用シート - Google Patents
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Description
そして車両用シートは、上述のキャッチ部に係合可能なロック部と、スライドレールと、リンクアームを備える。スライドレールとロック部は、車両用シートの下部に配設されている。またリンクアームの一端が車両用シート(スライドレール)の前側に嵌装されており、リンクアームの他端が下段面に傾倒可能(回転可能)に軸支されている。
またリンクアームの前側への回転動作によって、車両用シートを前側に変位させつつ、車両用シート下部のロック部を、車両前側の別のキャッチ部に係合する。こうすることで車両用シートを、段差部から車両前側に張り出させて固定する(前方ポジションで保持する)ことができる。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、より簡単な構成によって、車両用シートのポジション間の変位量を多くすることにある。
そして車両用シートを、上段面から下段面側に変位させるのであるが、この種の構成は極力簡単であって、車両用シートの変位量が多いことが望ましい。
さらに他方ポジションにおいては、リンクアームを上段面側に倒して、ロック部を、上段面上に設けた第二キャッチ部のみに係合する。こうすることで他方ポジションの車両用シートを上段面上で安定的に固定する構成とした。
本発明によれば、一方ポジションと他方ポジションとの間の車両用シートの変位量を多くするとともに、リンク機構の回転動作を利用して、各ポジションの車両用シートを安定的に固定することができる。
図1を参照して、本実施例の車室床面には段差部が形成されており、車両前側の床面(下段面DP)よりも車両後側の床面(上段面UP)が一段高くされている。上段面UPと下段面DPの間は傾斜面(立ち上がり面RP)とされている。
また上段面UPには、第二キャッチ部38が車両後側に配設されている。この第二キャッチ部38は棒状部材(断面円状)であり、上段面UPの後側に形成された凹状部(D4)に配置されている。
そして車両用シート2は、図1を参照して、シートクッション4及びシートバック6を有する。シートクッション4下部の後側にはロック部8が設けてある。このロック部8の下部は凹状とされており、棒状の第二キャッチ部38(後述する第一キャッチ部36)が嵌り込み状に係合する構成である。
またシートクッション4下部の前端にはフック部10が設けてある。フック部10の下方は、各ストライカ部(棒状)と係合可能な爪状である。
また車両用シート2が下方傾斜状の時(車両用シート2の変位時)には、フック部10の先端を車両後側に向かって傾斜させる。そして後述する位置合わせ動作によって、フック部10の先端が、シートクッション4前端を回転中心(C1)とする半径E1の回転軌跡を描く構成とする(図2,図4の破線T1を参照)。
そして本実施例では、第一ストライカ部32を、下段面DP前側の凹状部D1内に配置する。このとき第一ストライカ部32を、前方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図4の破線T1を参照)の途中に設ける。
また第二ストライカ部34を、下段面DP後側(段差部近傍)の凹状部D2内に配置する。このとき第二ストライカ部34を、後方ポジション時のフック部10の回転軌跡(図2の破線T1を参照)の途中に設ける。
そこで本実施例では、比較的シンプルな構成(後述するリンク機構Lと第一キャッチ部36)によって、各ポジション間の変位量を多くすることとした。
リンク機構Lは、一対の前方リンクアーム20と、一対の後方リンクアーム26(本発明のリンクアームの一例)を有する(図1及び図2を参照)。
一対の前方リンクアーム20は、共にL字状(側面視)の平板部材であり、上部アーム22と下部アーム24を有する。そして上部アーム22を、シートクッション4の前端に回転可能に軸支する。また下部アーム24を、下段面DPのブラケットBに傾倒可能に軸支することで、前方リンクアーム20をシートクッション4前側の両側に配設する。
そして一対の前方リンクアーム20は、ポジション変位時において、下段面DPのブラケットBを回転中心(C3)として車両前後に回転する。そして本実施例では、前方リンクアーム20の回転半径E3を、後述の後方リンクアーム26の回転半径E2よりも大きく設定して、比較的緩やかな回転軌跡を描く構成とした(図2の破線T3を参照)。
この後方リンクアーム26は、ポジション変位時において、上段面UPのブラケットBを回転中心(C2)として車両前後に傾倒回転する(図2の破線T2を参照)。
また後方リンクアーム26は、上段面UP上で回転するため、後述する下段面DPの前方リンクアーム20よりも高い位置で回転する。このため後述する変位動作時には、後方リンクアーム26で支持された車両用シート2の後側が、前方リンクアーム20で支持された車両用シート2の前側よりも上方に配置することとなる。
そして本実施例では、後方リンクアーム26の長さ寸法などを適宜調節して、前倒し状態の後方リンクアーム26を、段差部よりも車両前方に配置する(上段面UP上とは異なる下段面DP側に配置する)。そして図4を参照して、同ポジション時において、段差部よりも車両前方に配置する部位(張出し部位E)に後述の第一キャッチ部36を設ける。
第一キャッチ部36は棒状部材(断面円状)であり、車両用シート2のロック部8に係合する部材である(図2〜図4を参照)。
そして本実施例では、一対の後方リンクアーム26,26の間に、第一キャッチ部36を橋渡し状として溶接固定する(二点の溶接個所にて固定する)。より詳しくは、前倒した後方リンクアーム26の張出し部位Eに第一キャッチ部36を固定する。
そしてリンク解除レバーを操作してリンク機構Lの回転動作を行い、車両用シート2を後方ポジション(他方ポジション)に変位させる(図2を参照)。
このとき前方リンクアーム20と後方リンクアーム26の車両後側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両後側に移動する(変位動作)。そして後方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を後倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、上段面UP上の後方ポジションに変位する。
またロック部8も、位置合わせ動作によって上段面UPの第二キャッチ部38に係合することで、後方ポジションの車両用シート2を上段面UPに固定することができる。
つぎに前方ポジション(一方ポジション)への車両用シート2のポジション変位を行う(図4を参照)。
このとき両リンクアーム20,26の車両前側への連携回転によって、車両用シート2前側が、車両用シート2後側よりも下方に配置した状態となり、車両前側に移動する(変位動作)。そして前方ポジションにおいて、後方リンクアーム26を前倒しして、車両用シート2前側の高さ位置に車両用シート2後側の高さ位置を合わせる(位置合わせ動作)。こうすることで車両用シート2が略水平となり、下段面DP側に張り出す前方ポジションに変位する。
またロック部8は、位置合わせ動作によって第一キャッチ部36に係合する。このとき第一キャッチ部36は、後方リンクアーム26の前倒しによって、段差部から張り出して配置する。この張出し部位Eの第一キャッチ部36にロック部8が係合することで、前方ポジションの車両用シート2を段差部から張り出し状に固定することができる。
このため本実施例の車両用シート2は、いずれのポジション時においても、乗員に違和感を極力生じさせることなく使用することができる。
実施例2の基本構造は、実施例1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
実施例2では、一対の後方リンクアーム27,27が、各々U字状(横断面視)とされて、平板部材の両側を同向きに屈曲してなる一対のフランジ部27a,27aを有する(図5を参照)。これら一対のフランジ部27a,27aに、第一キャッチ部36(棒状)を橋渡し状に配設する。
本構成では、後方リンクアーム27にフランジ部27aを設けることで、ねじりに対する剛性をより向上させることができる。また一対のフランジ部27a,27aに第一キャッチ部36を設ける(後方リンクアーム27内に第一キャッチ部36を内設する)ことで、車両用シート2の構成がコンパクトとなる。
実施例3の基本構造は、実施例1とほぼ同一であるため、共通の構造等については対応する符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本実施例では、前方ポジションの車両用シート2が、後方ポジションの車両用シート2よりも下方に配置する例を説明する(図6を参照)。本実施例では、第二ストライカ部34を、下段面DPよりも一段高い中段面に設ける。
また第一キャッチ部36を、一対の後方リンクアーム26aの間に橋渡し状として溶接固定する(二点の溶接個所にて固定する)。より詳しくは、前倒し状態の後方リンクアーム26aの張出し部位E(下段面DP側に張り出す部位)に第一キャッチ部36を固定する。
この後方リンクアーム26aの上部(直線部分)を、シートクッション4下部の中央部(ブラケットB)に回転可能に軸支する。また後方リンクアーム26aの下部(屈曲部分)を、立ち上がり面RPのブラケットBに傾倒(回転)可能に軸支する。
後方ポジションの車両用シート2は、上段面UP上に配置する。このとき後方リンクアーム26aは、その上部(直線部分)が上段面UP上に後倒し状態となる。
そして車両用シート2を前方ポジションに変位させる(図5の破線状態を参照)。
このとき後方リンクアーム26a(略L字状)を、立ち上がり面RPのブラケットBを中心に車両前側に前倒したのち、車両用シート2を略水平とする。このように本実施例では、後方リンクアーム26aが、立ち上がり面RPのブラケットB(上段面UPよりも下方)で前倒し状態となることから、上段面UPよりも下方位置で略水平状態となる。
このため本実施例では、前方ポジションの車両用シート2と、後方ポジションの車両用シート2の高さ位置を異ならせることで、車室空間を前後上下に有効利用することができる。
(1)本実施例では、車両前側に下段面DPを形成するとともに、車両後側に上段面UPを形成したが、車両床面の形状を限定する趣旨ではない。すなわち車両前側に上段面UPを形成するとともに、車両後側に下段面DPを形成してもよい。また車両左側に上段面UPを形成するとともに、車両右側に下段面DPを形成してもよい。
なお本実施例では、着座側が前方を臨むように車両用シートを配置したが、車両用シートの向きは特に限定しない。
なお後方リンクアームは、専ら車両用シートを変位させるための部材であるため、例えばシートクッションの中央部に一つだけ設ける構成(よりシンプルな構成)としてもよい。また前方リンクアームは、車両用シートを支持する部材でもあるため、シートクッションに複数設ける構成が好ましい。
また同様に後方リンクアーム26も、凹状部内に収納する構成としてもよく、上段面上に配設する構成としてもよい。
(4)また本実施例では、L字状の前方リンクアーム20と、I字状又はL字状の後方リンクアーム26を例示したが、これらリンクアームの形状を限定する趣旨ではない。また段差部(特に立ち上がり面)の形状も特に限定しないが、立ち上がり面の形状と前方リンクアームの形状を対応させることで、よりコンパクトな構成となる。
(6)また本実施例では、リンク機構に、前方リンクアームと後方リンクアームを設けたが、リンク機構の構成を限定する趣旨ではない。すなわち車両用シートがポジション変位可能であるならば、前方リンクアームを適宜省略してもよい。この場合には、車両用シート前側を支持するための支持部材を配設することが望ましい。
(7)また本実施例の車両用シート2には、スライド機構を設けることもできる。そしてスライド機構によって、各ポジションの車両用シート2を車両前後にスライド移動させることができる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ロック部
10 フック部
20 前方リンクアーム
22 上部アーム
24 下部アーム
26 後方リンクアーム
27 別例の後方リンクアーム
27a フランジ部
32 第一ストライカ部
34 第二ストライカ部
36 第一キャッチ部
38 第二キャッチ部
B ブラケット
DP 下段面
E 張出し部位
RP 立ち上がり面
UP 上段面
L リンク機構
Claims (1)
- リンク機構を介して、車両一側の下段面よりも車両他側の上段面が高くされた車室床面に配設される車両用シートにおいて、
前記リンク機構に、前記下段面よりも高い位置にある車室床面と前記車両用シートを連結するリンクアームを設けて、前記リンクアームを、前記上段面と前記下段面の間で傾倒回転可能として、
前記車両用シートを、前記リンクアームの回転動作によって、前記下段面側に配置する一方ポジションと、前記上段面上に配置する他方ポジションの間を変位させる構成とし、
前記一方ポジションにおいては、前記リンクアームを前記下段面側に倒して、前記車両用シートの下部に設けたロック部を、前記リンクアームに設けた第一キャッチ部のみに係合するとともに、前記他方ポジションにおいては、前記リンクアームを前記上段面側に倒して、前記ロック部を、前記上段面上に設けた第二キャッチ部のみに係合する構成とした車両用シート。
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