JP5318039B2 - 原子力プラントの化学除染方法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子力プラントの化学除染方法に係り、特に、沸騰水型原子力プラントの再循環系配管の除染に適用するのに好適な原子力プラントの化学除染方法に関する。
沸騰水型原子力プラントの原子炉圧力容器内の冷却水(以下、炉水という)が、再循環ポンプで昇圧されて再循環系配管を通り、原子炉圧力容器内で炉心の外側に形成される環状のダウンカマ内に配置されたジェットポンプのノズルに供給される。このノズルからジェットポンプのベルマウス内に昇圧された炉水が噴射されることによって、ノズル周囲のダウンカマ内の炉水がベルマウス内に吸引され、ジェットポンプから吐出された炉水が炉心に供給される。
炉心内に供給された炉水が炉心に装荷されている燃料集合体に含まれる核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、この炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉圧力容器内の気水分離器及び蒸気乾燥器で湿分を除去された後に、発電機に連結されたタービンに供給される。タービンが、蒸気によって回転され、発電が行われる。
複数のジェットポンプが炉心を取り囲んでダウンカマ内に配置されている。これらのジェットポンプには、再循環系配管から炉水が供給される。再循環系配管から各ジェットポンプに炉水を配分するために、再循環系配管には、各ジェットポンプのノズルにそれぞれ接続されるライザー管が接続された半円形状のリングヘッダーが接続されている。リングヘッダーは、水平配管であって原子炉圧力容器の外側に配置される。各ライザー管は、垂直配管であって原子炉圧力容器を貫通し、一部が原子炉圧力容器内に配置されている。
一方、沸騰水型原子力プラントは、技術の進歩に伴って開発される予防保全技術を適用することによって、信頼性の向上を図っている。予防保全の一環として、再循環系配管の溶接部等の健全性を確認するため、再循環系配管の点検が定期的に行われている。
放射性物質を含む酸化皮膜が、再循環系配管の内面に付着している。このため、再循環系配管の点検または補修作業に先立って、この酸化皮膜を除去することにより、放射性物質を除去することが点検または補修作業時の被ばく低減に有効である。酸化皮膜を除去するために、化学薬品を用いて酸化皮膜を溶解する化学除染方法が用いられている。
沸騰水型原子力プラントの再循環系配管の化学除染の例が、特開2005−164344号公報、特開2009−109253号公報及び特開平11−109094号公報に記載されている。
特開2005−164344号公報及び特開2009−109253号公報に記載された化学除染は、化学除染装置を用いて、再循環系配管内に酸化除染液を供給して再循環系配管内面の酸化除染を行い、その後、還元除染液による再循環系配管内面の還元除染を行う。これらの化学除染方法では、化学除染を行っている間、再循環系配管内に除染液の自由液面が形成されている。
化学除染装置は、循環管路、加熱器、サージタンク、2基の循環ポンプ、カチオン樹脂塔、混床樹脂塔及び還元剤分解装置を備える。加熱器がサージタンクに設けられる。サージタンク、循環ポンプ、カチオン樹脂塔、混床樹脂塔及び還元剤分解装置が、循環管路に設けられる。除染剤を投入する薬品投入口が、循環管路とサージタンクをつなぐ管路に設けられる。
再循環系配管に対して化学除染を行うとき、循環管路の一端が、再循環系配管に設けられた再循環ポンプの上流で再循環系配管に接続され、循環管路の他端が再循環ポンプの下流で再循環系配管に接続される。サージタンク及び循環管路内に水が充填されている。1基の循環ポンプ(第1循環ポンプという)が、サージタンクの下流で循環管路に設置され、水または除染液(酸化除染液及び還元除染液)を再循環系配管に供給する。他の循環ポンプ(第2循環ポンプという)が、サージタンクの上流で循環管路に設置され、再循環系配管内の水または除染液をサージタンクに戻している。
薬品投入口から除染剤を投入して再循環系配管の除染を行う前に、第1及び第2循環ポンプを駆動し、サージタンク内の水を再循環系配管及び循環管路によって形成される閉ループ内で循環させる。第1循環ポンプの回転数を第2循環ポンプの回転数よりも増加させ、第1循環ポンプから再循環系配管に供給する水の量を、第2循環ポンプにより再循環系配管から吸い込む水の量よりも多くする。これにより、ライザー管内の液面が上昇し、この液面が所定液位に到達したとき、第1循環ポンプの回転数の増加を停止し、ライザー管内で所定の液位を保持するように、第1循環ポンプ及び第2循環ポンプをそれぞれ一定の回転数で運転する。
その後、サージタンク内に設置した加熱器の電源をONにしてサージタンク内の水を加熱し、循環管路に供給する水の温度を設定温度になるまで上昇させる。そして、薬品投入口から酸化剤(例えば、過マンガン酸カリウム)を投入してサージタンクに供給し、酸化剤をサージタンク内で水に溶解させて酸化除染液を生成する。この酸化除染液は、駆動している第1循環ポンプによって循環管路を通して再循環系配管内に供給される。酸化除染液は、自然対流により垂直のライザー管内にも供給される。再循環系配管内の酸化除染液は、駆動している第2循環ポンプにより循環管路を通してサージタンクに戻される。この状態を数時間保持することによって、酸化除染液は、酸化除染を行い、再循環系配管の内面に付着した酸化皮膜中に取り込まれているクロム酸化物等を溶解させる。
再循環系配管の内面に対する酸化除染が終了したとき、薬品投入口から還元剤(例えば、シュウ酸)を投入してサージタンクに供給する。還元剤を、酸化除染液に含まれる酸化剤を分解するために必要な量以上に供給することによって、サージタンク内で還元除染液が生成される。還元除染液も、第1循環ポンプによって再循環系配管内に供給される。還元除染液は、自然対流により垂直のライザー管内にも供給される。再循環系配管内の還元除染液は、第2循環ポンプにより循環管路を通してサージタンクに戻される。この状態を10時間程度保持することによって、還元除染液は、還元除染を行い、再循環系配管の内面に付着した酸化皮膜の主成分である鉄酸化物等を溶解させる。循環管路に戻された還元除染液はカチオン樹脂塔に供給され、還元除染液によって溶解した金属イオン、酸化除染液の分解によって生成された金属イオンがカチオン樹脂塔によって除去される。還元除染が終了した後、還元除染液に含まれた還元剤が、除染剤分解装置で分解される。以上により、化学除染が終了する。
特開2005−164344号公報は、上記の化学除染において、リングヘッダーまで液位を上昇させてリングヘッダーの内面も、除染液(酸化除染液及び還元除染液)による化学除染を行っている。この化学除染では、リングヘッダー及びライザー管へ供給される除染液がリングヘッダー及びライザー管内を上昇するので、循環管路内の除染液と置換えられにくく、配管からの放熱により、リングヘッダー及びライザー管内の除染液の温度が降下する。このため、リングヘッダー及びライザー管の内面の除染効率が低下してしまう。
特開2009−109253号公報に記載された化学除染では、この問題を解消するために、リングヘッダー等の除染部位に電気ヒーターを設置し、リングヘッダー等の除染部位での除染液の温度低下を防止している。しかしながら、循環ポンプ容量の問題からライザー管内での液位の上昇に時間がかかり、液位を上昇させる過程では除染ができず、全体的に化学除染の作業時間が長くなってしまう。また、電気ヒーターの取付けは、化学除染前に実施する必要があるので、リングヘッダー等への電気ヒーターの取付け時において作業員の被ばく量が大きくなってしまう。
特開平11−109094号公報の図11に記載された化学除染方法は、原子炉圧力容器内から再循環系配管に除染液を供給する。この化学除染方法では、ジェットポンプのノズル及びスロート及びこのノズルとライザー管を接続する曲り管部を含むインレットミキサーを、ジェットポンプのデフューザ及びライザー管から取り外し、ライザー管の上端部、及び再循環系配管の他端部(ライザー管に接続された、再循環系配管の端部とは別の端部)を閉止プラグでそれぞれ封鎖する。原子炉建屋内の運転床上に置かれた化学除染装置の循環配管の一端に取り付けられた除染液供給ホースが、ライザー管に取り付けられた閉止プラグを貫通して設けられた配管に取り付けられている。化学除染装置の循環管路の他端に取り付けられた別の除染液戻りホースが、再循環系配管の他端部に取り付けられた他の閉止プラグを貫通して設けられた配管に取り付けられている。化学除染装置から除染液供給ホースを介してライザー管内に供給された除染液が、ライザー管及び再循環系配管内を流れ、除染液戻りホースにより化学除染装置に戻される。このように除染液を循環させることによって、ライザー管及び再循環系配管の内面が除染される。
特開平11−109094号公報に記載された化学除染方法では、化学除染装置で加熱された除染液がライザー管及び再循環系配管内を強制循環されるので、除染部位の温度が低下せず、特開2009−109253号公報に記載された化学除染方法のように、リングヘッダー等の除染部位に電気ヒーターを設置する必要がない。また、特開平11−109094号公報に記載された化学除染方法では、原子炉圧力容器内の線量の高い炉水を排水する必要がない。
特開2005−164344号公報 特開2009−109253号公報 特開平11−109094号公報
沸騰水型原子力プラントは、ダウンカマ内に複数のジェットポンプ(例えば、10基のジェットポンプ)が設置されている。特開平11−109094号公報に記載された化学除染方法では、化学除染装置で加熱された除染液がライザー管及び再循環系配管内を強制循環される関係上、化学除染装置に接続された除染液供給ホースが取り付けられた閉止プラグで封鎖されたライザー管以外の全てのライザー管も、ホースが取り付けられる配管が設けられていない閉止プラグで封鎖する必要がある。全てのライザー管の内面を除染する場合にも、化学除染装置に連絡される複数の除染液供給ホース(例えば、10本のホース)がそれぞれ取り付けられた各閉止プラグを、インレットミキサーを取り外したライザー管の上端部に取り付けなければならない。
各閉止プラグの各ライザー管への取り付けは、各閉止プラグ内に圧縮空気をそれぞれ供給して閉止プラグを膨張させてライザー管の内面に接触させることによって行われる。閉止プラグとライザー管の間は、閉止プラグの膨張によってシールされる。再循環系配管の他端部にも除染液戻りホースを取り付けた閉止プラグが、ライザー管の上端部と同様に、再循環系配管の他端部にも取り付けられる。閉止プラグと再循環系配管の間も、閉止プラグの膨張によってシールされる。
ライザー管の上端部及び再循環系配管の他端部から除染液が、漏洩して原子炉圧力容器内の炉水に混入した場合には、この炉水の全てを原子炉圧力容器から排出して原子炉圧力容器内を洗浄する必要がある。
このような特開平11−109094号公報では、各ライザー管の上端部及び再循環系配管の他端部に対して実施する、除染剤の漏洩を防止する封止作業に時間を要することになる。結果的に、除染作業に長時間を要することになる。
本発明の目的は、化学除染作業に要する時間を短縮することができる原子力プラントの化学除染方法を提供することにある。
上記した目的を達成する本発明の特徴は、原子炉容器、原子炉容器の外部に配置されて一端部が原子炉容器に接続され、再循環ポンプを設けた再循環系配管、再循環系配管に接続された複数のライザー管を備え、ライザー管が、原子炉容器のノズルと再循環系配管に接続される外部管部、及びノズルに接続されて原子炉容器内に存在する垂直管部を有する原子力プラントの化学除染方法において、化学除染装置に設けられた除染液管路の除染液供給端部が取り付けられた装着治具を、上端が開放された垂直管部内に挿入して垂直管部内に配置し、除染液管路の除染液受入端部を、再循環ポンプと原子炉容器に接続された、再循環系配管のその一端部の間で、再循環系配管に接続し、原子炉容器内に形成された、水の液面よりも上方の第1空間と、垂直管部内で装着治具より下方で垂直管部内に形成された自由液面より上方に形成された第2空間が連通した状態で、除染液管路を通して垂直管部内に除染液を供給することにある。
除染液管路の除染液供給端部が取り付けられた装着治具を、上端が開放された垂直管部内に配置したとき、原子炉容器内に形成された、水の液面よりも上方の第1空間と、垂直管部内で装着治具より下方で垂直管部内に形成された自由液面より上方に形成された第2空間が連通した状態になり、シールが不要であるので、装着治具の垂直管部内への配置に要する時間が少なくて済む。このため、準備段階を含む化学除染に要する時間を短縮することができる。
本発明によれば、化学除染作業に要する時間を短縮することができる。
本発明の好適な一実施例である実施例1の原子力プラントの化学除染方法に用いられる化学除染装置の構成図である。 図1に示す化学除染装置を用いた実施例1の化学除染方法の工程を示す説明図である。 図1に示す原子炉圧力容器内のライザー管上端部への除染液供給管路の装着状態を示す説明図である。 図3に示す除染液供給管路の装着部の拡大斜視図である。 除染液内での鉄酸化物の溶解速度と除染液の温度との関係を示した特性図である。
本発明の実施例を以下に説明する。
本発明の好適な一実施例である、沸騰水型原子力プラントに適用した原子力プラントの化学除染方法を、図1及び図2を用いて説明する。
まず、本実施例の原子力プラントの化学除染方法に用いられる化学除染装置を図1に基づいて説明する。化学除染装置は、図1に示すように、循環管路(例えば、高圧ホース)30、加熱器2を備えたサージタンク1、循環ポンプ4,5、混床樹脂塔7、カチオン樹脂塔8及び還元剤分解装置9を備える。循環管路30には、弁V5、循環ポンプ5、弁V6,V7,V10,V13,V16、サージタンク1、循環ポンプ4、弁V1及び弁V3が、上流側よりこの順番に設置されている。循環ポンプ4はサージタンク1内の除染液(または水)を除染対象物である再循環系配管22に供給する。循環ポンプ5は再循環系配管22から除染液をサージタンク1に戻す。混床樹脂塔7は除染液を浄化し、カチオン樹脂塔8は除染液に溶解した陽イオン(たとえば、鉄イオン)を除去する。除染剤分解装置9は除染液に含まれる還元除染剤を分解する。
弁V7をバイパスする管路34の両端が循環管路30にそれぞれ接続される。冷却器6が管路34に設けられ、冷却器6の上流及び下流に配置された弁V8及びV9が管路34に設けられる。弁V11、混床樹脂塔7及び弁V12が上流よりこの順番に設けられた管路35が弁V10をバイパスして設けられ、管路35の両端が循環管路30にそれぞれ接続される。弁V14、カチオン樹脂塔8及び弁V15が上流よりこの順番に設けられた管路36が弁V13をバイパスして設けられ、管路36の両端が循環管路30にそれぞれ接続される。除染剤分解装置9が設けられて弁V16をバイパスする管路33の両端が、循環管路30に接続される。除染剤分解装置9の上流に位置する弁V17、及び除染剤分解装置9の下流に位置する弁V18が、管路33にそれぞれ設けられる。弁V1の下流で循環管路30に接続された管路32がサージタンク1に接続される。弁V2及び薬品投入口3が管路32に設けられる。弁V4を備えたバイパス配管31の一端が、弁V5と循環ポンプ5の間で循環管路30に接続され、バイパス配管31の他端が、管路32と循環管路30の接続点と弁V3の間で循環管路30に接続される。
複数の貫通孔37が形成された装着治具25が、循環管路30の下流端部(除染液供給端部)に取り付けられる(図4参照)。循環管路30が、装着治具25の中心を貫通して装着治具25に取り付けられている。複数の貫通孔37が循環管路30を取り囲んで配置される。複数の貫通孔の替りに、装着治具25を貫通する複数の溝を装着治具25の側面に形成してもよい。
本実施例において、化学除染の対象となる沸騰水型原子力プラントの概略構成を、図1を用いて説明する。沸騰水型原子力プラントは、複数の燃料集合体(図示せず)を装荷した炉心(図示せず)を内蔵する原子炉圧力容器20、及び再循環系を有する。再循環系は、再循環ポンプ41を設けた再循環系配管22、リングヘッダー23及び複数のライザー管24を有する。円筒状の炉心シュラウド(図示せず)が、原子炉圧力容器20内に設置され、炉心を取り囲んでいる。環状の領域であるダウンカマ(図示せず)が、炉心シュラウドと原子炉圧力容器20の間に形成される。炉心に炉水を供給する複数のジェットポンプ(図示せず)が、炉心を取り囲んでダウンカマ内に配置される。ジェットポンプは、図示されていないが、ノズル、ベルマウス、スロート及びフューザを有する。ベルマウスはスロートの上端に固定され、スロートの下端部がデフューザの上端部に取り外し可能に取り付けられる。ノズルが、ベルマウスの上方に配置され、複数の支持板によりベルマウスに固定されている。
原子炉圧力容器20の外側に配置された再循環系配管22の一端が、原子炉圧力容器20に設けられてダウンカマに連絡されるノズルに接続される。再循環系配管2の他端が、原子炉圧力容器20の外側に配置されて半円形状のリングヘッダー23に接続される。複数のライザー管24がリングヘッダー23に接続される。ライザー管24の本数は原子炉圧力容器20内に設置されたジェットポンプの基数に等しい。各ライザー管24は、原子炉圧力容器20の外部に配置された垂直管部24a及び水平管部24b、及び原子炉圧力容器20の内部に配置された垂直管部24cを有する。垂直管部24a及び水平管部24bは外部管部と称する。水平管部24bは原子炉圧力容器20に設けられたノズル(N2ノズル)21に接続される(図3参照)。垂直管部24cの下端部もノズル21に接続される(図3参照)。曲り管(図示せず)の一端がライザー管24の垂直管部24cの上端に取り外し可能に取り付けられる。この曲り管の他端が、ジェットポンプのノズルに接続される。取合弁29bを設けた接合部(例えば、分岐管)27bが、再循環ポンプ41の上流に位置する、再循環系配管22の垂直管部28bに接続される。閉止板26bが、接合部27bの下端に取り付けられ、接合部27bを封鎖している。接合部(例えば、分岐管)27aが、再循環ポンプ41の上流に位置する、再循環系配管22の垂直管部28aに接続される。閉止板26aが、接合部27aの下端に取り付けられ、接合部27aを封鎖している。
沸騰水型原子力プラントの運転時では、再循環ポンプ41が駆動しており、ダウンカマ内の炉水が再循環ポンプ41によって再循環系配管22内に吸引されて昇圧され、リングヘッダー23に導かれる。リングヘッダー23に到達した炉水は、複数のライザー管24内に分配され、各ライザー管24内を上昇し、それぞれのジェットポンプのノズルに供給される。ノズルからベルマウス内に炉水が噴射され、この炉水の噴射流によってノズル周囲でダウンカマ内に存在する炉水が吸引されてベルマウス内に流入する。噴射された炉水及び吸引された炉水がスロート及びデフューザを通ってジェットポンプから吐出され、炉心に供給される。炉心に供給された炉水は、燃料集合体に含まれている核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、この炉水の一部が蒸気になる。この蒸気は、原子炉圧力容器内の気水分離器及び蒸気乾燥器で湿分を除去された後に、タービンに供給される。
1つの運転サイクルでの沸騰水型原子力プラントの運転が終了したとき、沸騰水型原子力プラントが停止され、沸騰水型原子力プラントの定期検査が行われる。再循環系配管22等の定期検査を開始する前に、再循環系配管22に対する化学除染が行われる。本実施例の化学除染方法を、図1及び図2を用いて具体的に説明する。
沸騰水型原子力プラントの停止後、原子炉圧力容器20の上蓋39(図3参照)が取り外され、原子炉圧力容器20内に設置されている蒸気乾燥器(図示せず)及び気水分離器(図示せず)が取り外されて原子炉圧力容器20の外に搬出される。曲り管及びジェットポンプのノズル、ベルマウス及びスロートが、一体化され、インレットミキサーを形成している。このインレットミキサーは、曲り管と垂直部24cの接続関係を解除し、スロートとデフューザの結合関係を解除することによって、取り外すことができる。再循環系配管22の化学除染を行う前に、原子炉圧力容器20内に設置された複数のジェットポンプのうち1基のジェットポンプに対するインレットミキサーを、取り外し、原子炉圧力容器20の外へ搬出する。
図1に示す化学除染装置が、原子炉建屋内で原子炉格納容器(図示せず)の外部に設置される。循環管路30が原子炉格納容器内に向って配置され、循環管路30の、装着治具25が取り付けられた端部が、原子炉建屋の運転床(図示せず)から原子炉圧力容器20内に降ろされる。運転床上を移動する燃料交換機(図示せず)に乗っている作業員が、トングを用いて装着治具25を、インレットミキサーが取り外されたライザー管24の垂直管部24c内に挿入して垂直管部24cの上端部に配置する(図3参照)。その後、原子炉圧力容器20の上部のフランジ上に複数のスペーサ部材40を配置し、上蓋39をこれらのスペーサ部材39の上に置く。本実施例では、再循環系配管22等内の化学除染を行う際には、原子炉圧力容器20内の冷却水の液面41(図3参照)が、原子炉圧力容器20内に存在するライザー管の垂直管部24cの上端よりも下方まで低下される。上蓋39を、複数のスペーサ部材40を介して原子炉圧力容器20の上部のフランジ上に置くことによって、原子炉圧力容器20内から運転床に向かって放射される放射線をその上蓋39で遮へいすることができる。
装着治具25の直径は垂直管部24cの内径と実質的に同じである。接続治具25は、循環管路30からライザー管24内に除染液を噴射する際に、循環管路30の振動を防止する役割を有する。循環管路30の他端部が、接合部27bに設けられた取合弁29bに取り付けられる。循環管路30の装着治具25を垂直管部24cの上端部内に配置し、循環管路30の他端部(除染液受入端部)を取合弁29bに接続することによって、循環管路30、ライザー管24、再循環系配管22及び接合部27bをつなぐ閉ループが形成される。
装着治具25を垂直管部24cの上端部内に配置する前に、原子炉圧力容器20内の炉水を、原子炉圧力容器20の底部に接続されたドレン配管(図示せず)から排出して、原子炉圧力容器20内の炉水の液面を、垂直管部24cの上端よりも下方まで下げておく。
化学除染装置の循環管路30の再循環系配管22への連絡が完了した後、図2に示すステップS1〜S9の各工程が実行される。まず、弁の開閉操作を行って、系統を構成する(ステップS1)。化学除染装置に設けられた弁のうち弁V1、V4、V6、V7、V10、V13、V16を「開」とし、その他の弁を「閉」とする。この状態では、サージタンク1及び循環管路30等の化学除染装置内に、純水が充填されている。化学除染装置の運転を開始する(ステップS2)。循環ポンプ4及び5を起動することにより、サージタンク1内の純水を、循環管路30及びバイパス配管31で形成される閉ループ内を循環させる。このとき、弁V3,V5が閉じているので、純水が再循環系配管22内に供給されることはない。その後、化学除染対象物内に純水を充填する(ステップS3)。弁V3、V5を「開」にし、弁V4を「閉」にし、サージタンク1内の純水を、循環ポンプ4によって循環管路30を通して再循環系配管22に供給する。再循環系配管22内に供給された純水は、循環ポンプ5によって循環管路30を通してサージタンク1に戻される。循環ポンプ4で昇圧された純水は、循環管路30により、装着治具25が挿入された、ライザー管24の垂直管部24cに供給される。その後、純水は、ライザー管24の水平管部24b及び垂直管部24a、リングヘッダー23及び再循環系配管22内を流れ、接合部27bから循環管路30に排出される。このように、純水は、循環管路30、ライザー管24、再循環系配管22及び接合部27bによって形成される閉ループ内を循環する。
循環ポンプ5の回転数を制御し、垂直管部28b側の再循環系配管22の端部よりも下方で再循環系配管22と接合部27bの接合点よりも上方で垂直管部28b内に自由液面が形成されるように、再循環系配管22から循環ポンプ5が吸い込む純水の量を調節する。また、循環ポンプ4の回転数を循環ポンプ5の回転数よりも大きくなるように制御し、循環ポンプ4によって再循環系配管22に供給される純水の流量を循環ポンプ5によって再循環系配管22から吸い込む純水の流量よりも多くして、ライザー管24の垂直管部24c内に純水の自由液面38を形成する。この自由液面38は、垂直管部28b内に形成される自由液面よりも高い位置に存在する。装着治具25が挿入されたライザー管24だけでなく、装着治具25が挿入されていない残りの全てのライザー管24の各垂直管部24c内にも、それぞれ、自由液面38が形成される。この状態では、垂直管部24c内で装着治具25より下方で自由液面38より上方に形成された空間(第2空間)が、装着治具25に形成された貫通孔37を介して、原子炉圧力容器20内で炉水の液面よりも上方に形成された空間(第1空間)と連通している。
本実施例では、ステップS3の再循環系配管22内への純水の供給をステップS2の後に行っているが、ステップS2の工程を省略し、ステップS1の後にステップS3の工程を実施してもよい。
純水を加熱する(ステップS4)。再循環系配管22への純水の供給により再循環系配管22内が純水で満たされた後、サージタンク1に設けた加熱器2の電源をONにする。サージタンク1内の純水が加熱され、純水の温度が上昇する。加熱された純水が、循環管路30により垂直管部24cを経て再循環系配管22内に供給される。加熱器2による加熱により、純水の温度が設定温度(例えば、90℃)まで上昇する。加熱器2への電流のON,OFFにより、純水の温度が設定温度、例えば、90℃に保持される。再循環系配管22内の純水の温度も、やがて、90℃になる。加熱された純水の再循環系配管22への供給は、ライザー管24及び再循環系配管22を予熱することになり、これらの配管の温度が90℃付近に保たれる。
酸化除染剤を投入する(ステップS5)。純水が設定温度まで上昇した後、薬品投入口3から管路32内に酸化除染剤(例えば、過マンガン酸カリウム)を投入する。投入された酸化除染剤は、サ−ジタンク1内に導かれて純水中で溶解し、過マンガン酸カリウムを含む酸化除染液を生成する。投入された酸化除染剤は、酸化除染剤を含む酸化除染液が循環管路30、ライザー管24、再循環系配管22及び接合部27bによって形成される閉ループ内を循環する間に、完全に溶解し、酸化除染剤の濃度が均一な酸化除染液が生成される。酸化除染液がこの閉ループを循環する状態を数時間保持することによって、酸化除染液の作用により、再循環系配管22、リングヘッダー23、及びライザー管24の内面に付着していたクロム酸化物が溶解される。再循環系配管22の垂直管部28b及び全てのライザー管24の垂直管部24c内でも、それぞれの自由液面付近まで、酸化除染剤が拡散により、到達する。このため、垂直管部28b内で自由液面よりも下方の内面、及び全てのライザー管24の各垂直管部24c内で、それぞれに形成された自由液面38より下方の各内面が、酸化除染液により酸化除染される(クロム酸化物の除去)。酸化除染を行っている間、酸化除染液が設定温度(例えば、90℃)に保持される。
再循環系配管22等の酸化除染が終了した後、還元除染剤を投入する(ステップS6)。酸化除染終了後、薬品投入口3から管路32に還元剤除染剤(例えば、シュウ酸)を投入する。このシュウ酸は、サージタンク1内に導かれ、酸化除染液によって溶解する。シュウ酸は、酸化除染液に含まれる酸化除染剤(例えば、過マンガン酸カリウム)を分解する。酸化除染剤の分解により、酸化除染液が水になる。酸化除染剤の分解終了後に、弁V14及びV15を「開」にし、弁V13を「閉」にする。これらの弁の開閉操作により、循環管路30内を流れる水が管路36によりカチオン樹脂塔8に導かれる。
その後、還元除染剤を追加投入する(ステップS7)。薬品投入口3から管路32内に還元剤除染剤を、さらに、投入する。この還元除染剤は、サ−ジタンク1内に導かれて純水中で溶解し、シュウ酸を含む還元除染液を生成する。投入された還元除染剤は、還元除染剤を含む還元除染液が循環管路30、ライザー管24、再循環系配管22及び接合部27bによって形成される閉ループ内を循環する間に、完全に溶解し、還元除染剤の濃度が均一な還元除染液が生成される。還元除染液がこの閉ループを循環する状態を10数時間保持することによって、還元除染液の作用により、再循環系配管22、リングヘッダー23、及びライザー管24の内面に付着していた鉄酸化物が溶解される。再循環系配管22の垂直管部28b及びライザー管24の垂直管部24c内でも、それぞれの自由液面付近まで、還元除染剤が拡散により、到達する。このため、垂直管部28b内で自由液面よりも下方の内面、及び全てのライザー管24の各垂直管部24c内で、それぞれに形成された自由液面38より下方の各内面が、還元除染液により還元除染される(鉄酸化物の除去)。還元除染液によって配管内面から除去された鉄酸化物は、還元除染液内で鉄イオンとして存在する。再循環系配管22から循環管路30に戻された還元除染液は、カチオン樹脂塔8に供給される。この還元除染剤に含まれる鉄イオンが、カチオン樹脂塔8内のカチオンイオン交換樹脂によって除去される。還元除染を行っている間、還元除染液が設定温度(例えば、90℃)に保持される。
還元除染が終了した後、還元除染液に含まれている還元除染剤を分解する(ステップS8)。還元除染が終了したとき、弁V17及びV18を「開」にし、弁V16を「閉」にする。これにより、循環管路30内を流れている還元除染液が、管路33を通して除染剤分解装置9に供給される。除染剤分解装置9は内部に触媒を充填しており、還元除染液に含まれている還元除染剤、例えば、シュウ酸を分解するとき、除染剤分解装置9に酸化剤(例えば、過酸化水素)が供給される。除染剤分解装置9に供給された還元除染液に含まれる還元除染剤が、触媒及び過酸化水素の作用により分解される。
混床樹脂塔への通水を行う(ステップS9)。還元除染剤の分解終了後、弁V8、V9、V11、V12、V13をそれぞれ「開」にし、弁V7、V10、V14、V15をそれぞれ「閉」にする。再循環系配管22から循環管路30に戻された水は、冷却器6で冷却された後、混床樹脂塔7に供給されて浄化される。
ステップS5〜S9の各工程による化学除染を1サイクルとして、再循環系配管22の汚染度合いに応じて2〜数サイクル程度繰り返し、化学除染を終了する。
本実施例によれば、循環管路30の一端部が取り付けられた装着治具25が1本のライザー管24の垂直管部24c内に挿入され、設定温度(例えば、90℃)の除染液が垂直管部24cに供給されるので、この垂直管部24の温度が低下せず、酸化除染及び還元除染の効率が向上する。除染液の温度と除染効果との関係を、図5を用いて説明する。再循環系配管22の内面に付着した酸化皮膜の主成分である鉄酸化物の溶解度が、再循環系配管22内に存在する除染液(例えば、還元除染液)の温度が高いほど増加する傾向にある。しかしながら、除染液の温度が90℃から70℃まで低下した場合には、除染効果が半減する。
化学除染の効果を表す係数としてDF(Decontamination Factor:化学除染前の線量当量率/化学除染後の線量当量率)が用いられている。本実施例によれば、リングヘッダー23及びライザー管24の水平管部24b及び垂直管部24cのDFは、特開2009−109253号公報では、リングヘッダー及びリングヘッダーよりも上方に存在する、ライザー管の垂直管部のそれぞれのDFよりも大きくなる。
本実施例では、循環管路30を取り付けた装着治具25が1本のライザー管24の垂直管部24cの上端部内に挿入されている。この構成は、一見、特開平11−109094号公報に記載された化学除染装置の循環管路の一端部が取り付けられた閉止プラグをライザー管の垂直管部に挿入した構成に似ているように見える。特開平11−109094号公報に記載された閉止プラグは、その垂直管部と閉止プラグの間の気密性を保つシール部材である。しかしながら、本実施例で用いられる装着治具25は、シール部材ではなく、装着治具25と垂直管部24cの間の気密性を確保する必要がなく、装着治具25にも貫通孔37が形成されている。このため、本実施例における装着治具25の、ライザー管24の垂直管部24cへの挿入作業は、シール性を確保しなくて済む分、特開平11−109094号公報における閉止プラグの取り付け作業に比べて容易であり、挿入作業に要する時間も短縮できる。特開平11−109094号公報では再循環系配管の他端部にも閉止プラグを挿入する必要があるのに対し、本実施例では、再循環系配管22の他端部に装着治具25を挿入する必要はない。このような本実施例は、特開平11−109094号公報よりも、再循環系配管に除染液を供給する前の準備段階の作業(装着治具25のライザー管24への挿入等の作業)に要する時間を短縮することができる。結果的に、化学除染の準備段階を含む化学除染に要する時間を短縮することができる。
特に、特開平11−109094号公報では、全てのライザー管に接続された全インレットミキサーを取り外す必要があるのに対して、本実施例は、1つのインレットミキサーを取り外せばよいので、準備段階も含めて化学除染に要する時間を短縮することができる。
本実施例は、装着治具25の、ライザー管24の垂直管部24cへの挿入作業に要する時間を短縮することができるので、装着治具25の垂直管部24cへの挿入に従事する作業員の被ばく量をさらに低減することができる。
特開平11−109094号公報に記載された化学除染方法では、閉止プラグの垂直管部への取り付け時において、閉止プラグを取り付けた、化学除染装置の循環管路内に空気が存在している可能性がある。この従来の化学除染方法では、ライザー管の垂直管部の上端部内に挿入された閉止プラグとその垂直管部の間がシールされているので、循環管路内に存在する空気を、除染液が流れる循環管路及び再循環系配管等で形成される閉ループから外部に排出することができず、除染液と共に閉ループ内を循環する。このため、循環管路に設けられた2つの循環ポンプでキャビテーションが発生する可能性がある。これに対し、本実施例では、装着治具25に貫通孔37が形成されているので、装着治具25の垂直管部24c内への挿入時に循環管路30内に空気が存在していても、この空気が、垂直管部24c内において装着治具25より下方で自由液面38の上方に形成される空間に排出され、装着治具25に形成された複数の貫通孔37を通して垂直管部24cの外部である原子炉圧力容器20内の炉水の液面より上方に形成された空間に排出される。したがって、本実施例では、循環管路30内に存在している空気を、循環管路30及び再循環系配管22等で形成される閉ループの外部に容易に排出することができる。これにより、循環ポンプ4,5でキャビテーションが発生しない。
また、装着治具25に貫通孔37が形成されているので、酸化除染時において酸化除染液に含まれる酸化除染剤の分解で発生する分解ガス、及び還元除染時において還元除染液に含まれる還元除染剤の分解で発生する分解ガスも、貫通孔37を通して原子炉圧力容器20内の炉水の液面より上方に形成された空間に排出することができる。
本実施例は、循環ポンプ4により再循環系配管22に供給する除染液の流量を循環ポンプ5により再循環系配管22から吸引する除染液の流量よりも大きくしているので、装着治具25を挿入していない垂直管部24cを含むすべての垂直管部24c内に除染液の液面を形成することができ、全てのライザー管24の垂直管部24cの内面に対しても、化学除染を実施することができる。
本発明の他の実施例である実施例2の原子力プラントの化学除染方法を、以下に説明する。本実施例の原子力プラントの化学除染方法では、実施例1が、1本のライザー管24の垂直管部24c内に装着治具25を挿入しているのに対し、複数のライザー管24のそれぞれの垂直管部24cの上端部内に、別々に装着治具25を挿入する。
本実施例で用いる化学除染装置は、図1に示す化学除染装置と実質的に同じ構成を有する。ただし、複数の垂直管部24cに別々に装着治具25を挿入する関係上、循環管路30とバイパス配管31の接続点よりも下流で、装着治具25を挿入する垂直管部24cの本数と同じ本数(例えば、5本)になるように、循環管路30を分岐する。この分岐された部分も循環管路30と称する。分岐された各循環管路30の端部を別々の装着治具25に取り付ける。分岐された各循環管路30には、弁V3がそれぞれ設けられる。
1つのリングヘッダー23に接続されるライザー管24は5本存在し、これらのライザー管24で導かれる炉水が、駆動水として、5基のジェットポンプのノズルに供給される。これらの5基のジェットポンプに装着されたそれぞれのインレットミキサーが、沸騰水型原子力プラントの停止時に取り外される。インレットミキサーが取り外された、各ライザー管24の垂直管部24cの上端部内に、別々に、循環管路30が取り付けられた装着治具25が挿入される。各装着治具25と垂直管部24cの内面の間は、シールされていない。
本実施例でも、実施例1で実施されたステップS1〜S9の各工程が実行される。循環ポンプ4で昇圧された純水、酸化除染液または還元除染液が、5本の循環管路30を通って、装着治具25がそれぞれ挿入された5本の垂直管部24、すなわち、5本のライザー管24の各上端部内に供給される。各垂直管部24c内には、実施例1と同様に、自由液面38が形成される。ステップS5での酸化除染液の再循環配管22への供給及びステップS7での還元除染液の再循環系配管22への供給により、実施例1と同様に、各ライザー管24、リングヘッダー23及び再循環系配管22の内面に付着した酸化物を除去することができる。
本実施例は、各ライザー管24からのインレットミキサーの取り外しに要する時間を除いて、実施例1で生じる効果を得ることができる。本実施例は、全ての垂直管部24c内に装着治具25を挿入するので、全ての垂直管部24cの温度を除染液の設定温度まで上昇させることができる。このため、各ライザー管24の垂直管部24c、水平管部24b及び垂直管部24aの除染効率を向上させることができる。
1…サージタンク、2…加熱器、3…薬品投入口、4,5…循環ポンプ、6…冷却器、7…混床樹脂塔、8…カチオン樹脂塔、9…除染剤分解装置、20…原子炉圧力容器、22…再循環系配管、23…リングヘッダー、24…ライザー管、25…装着治具、27a,27b…接合部、24a,24c,28a,28b…垂直管部、30…循環管路、41…循環ポンプ。

Claims (4)

  1. 原子炉容器、前記原子炉容器の外部に配置されて一端部が前記原子炉容器に接続され、再循環ポンプを設けた再循環系配管、前記再循環系配管に接続された複数のライザー管を備え、前記ライザー管が、前記原子炉容器のノズルと前記再循環系配管に接続される外部管部、及び前記ノズルに接続されて前記原子炉容器内に存在する垂直管部を有する原子力プラントの化学除染方法において、
    前記原子炉容器内の水の液面を、前記垂直管部の上端よりも下方まで低下させ、
    前記原子炉容器内に設置されたジェットポンプにつながる、前記垂直管部の上端を開放し、
    化学除染装置に設けられた除染液管路の除染液供給端部が取り付けられた装着治具を、上端が開放された前記垂直管部内に挿入して前記垂直管部内に配置し、前記除染液管路の除染液受入端部を、前記再循環ポンプと前記原子炉容器に接続された前記一端部の間で、前記再循環系配管に接続し、
    前記装着治具より下方で前記垂直管部内に第1自由液面を形成し、前記除染液受入端部と前記再循環系配管の接続点と前記一端部の間で、前記再循環系配管内に第2自由液面を形成し、
    前記原子炉容器内の、前記水の液面よりも上方の第1空間と、前記垂直管部内で前記装着治具より下方で前記第1自由液面より上方に形成された第2空間が連通した状態で、前記除染液管路を通して前記垂直管部内に除染液を供給することを特徴とする原子力プラントの化学除染方法。
  2. 前記第1空間と前記第2空間の連通状態が、前記装着治具に形成された、前記装着治具の上面及び下面にそれぞれ開放された溝及び貫通孔のいずれかによってなされる請求項1に記載の原子力プラントの化学除染方法。
  3. 前記垂直管部の上端の開放は、前記ジェットポンプの一部を含んで前記垂直管部の前記上端に接続されるインレットミキサーを取り外すことによって行われる請求項1または2に記載の原子力プラントの化学除染方法。
  4. 前記第2自由液面の前記原子炉容器の軸方向における位置が、前記除染液管路に設けられた、前記再循環系配管内の前記除染液を吸引する第2ポンプの回転数を制御することによって調節され、前記第1自由液面の前記原子炉容器の軸方向における位置が、前記除染液管路に設けられた、前記垂直管部に前記除染液を供給する第1ポンプの回転数を、前記第2ポンプの回転数よりも大きくすることによって調節する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の原子力プラントの化学除染方法。
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