JP5317435B2 - 全固体型ポリマー電池用負極活物質および全固体型ポリマー電池 - Google Patents

全固体型ポリマー電池用負極活物質および全固体型ポリマー電池 Download PDF

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Description

本発明は、全固体型ポリマー電池用負極活物質および全固体型ポリマー電池に関する。
非水電解質電池は、電解液型電池と、固体型電池とに大別することができる。電解液型電池では、正極と負極との間に電解液を介在させている。電解液型電池は、高い電池容量を有するが、電解液が電池外部に漏出するいわゆる液漏れの発生を防止するために、精密な構造が必要になる。また、固体型電池では、正極と負極との間に固体電解質を介在させている。固体型電池は、液漏れのおそれがないため、電池としての安全性や信頼性が高く、また、電池の薄型化や積層化が可能であるという長所を有する。
固体型電池において、固体電解質には各種の無機材料や有機材料が用いられている。このうち、無機材料からなる固体電解質は高いイオン伝導性を有するが、脆性が高いために可撓性を有する膜に加工することが困難である。一方、有機材料からなる固体電解質としては、たとえば、有機高分子化合物からなるポリマー電解質が知られている。ポリマー電解質は柔軟性があり、薄膜の形成が可能であることから、薄型で高エネルギー密度を有する固体電解質の材料として期待されている。ポリマー電解質を含む固体型電池は、一般に、全固体型ポリマー電池と呼ばれている。
ポリマー電解質としては、たとえば、ポリエチレンオキシドとリチウム塩やナトリウム塩などのアルカリ金属塩とを複合化してなるポリマー電解質が挙げられる。しかしながら、このポリマー電解質は室温でのイオン伝導性が10-4〜10-7S/cmと低い。したがって、このポリマー電解質を含む固体型電池には、高負荷下で得られる電池容量が低いという問題がある。また、主鎖であるポリエチレンオキシドに、側鎖である比較的短いエチレンオキシド鎖が結合した櫛型ポリマーを含むポリマー電解質が提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。非特許文献1のポリマー電解質は、分子配列の無定形化によって結晶化が抑制された櫛型ポリマーを含むので、室温で10-4S/cm以上の導電率を示す。しかしながら、非特許文献1のポリマー電解質を含む固体型電池においても、電解液型電池に比べて高負荷下での電池容量が低いという問題は十分に解決されるに至っていない。
ところで、電解液型の非水電解液二次電池の充放電効率を向上させるために、平均結晶粒度20μm2以上のアルカリ金属結晶を含む負極を用いることが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。この負極を用いると、充電時に、前記のアルカリ金属結晶表面にアルカリ金属が球状または太い線状に析出する。そして、析出したアルカリ金属のほとんどが放電時に溶出するので、充放電効率が向上する。同様に、平均結晶粒度1μm3以上のアルカリ金属結晶を含む負極を用いることによっても、非水電解液二次電池の充放電効率を向上させることができる(たとえば、特許文献2参照)。
特許文献1および2の負極は電解液型電池には有効であるが、全固体型ポリマー電池に用いると、充放電前後の内部抵抗が大きくなり、電池容量が低下するのを十分に防止することができない。また、特許文献1または2の負極を含む全固体型ポリマー電池を二次電池化した場合には、サイクル特性が不十分になる。
ポリマーバッテリーの最新技術II、金村聖志監修、p113、シーエムシー出版 特開昭63―143747号公報 特開昭63−146355号公報
本発明の目的は、特に全固体型ポリマー電池に用いた場合に、内部抵抗の低減および高電池容量化に有効であり、全固体型ポリマー電池を二次電池化しても優れたサイクル特性を付与できる負極活物質、および該負極活物質を含む全固体型ポリマー電池を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。その研究過程において、負極と電解質との界面(以下「負極界面」とする)における負極活物質と電解質との接触面積(以下単に「接触面積」とする)に着目した。
負極活物質としてアルカリ金属であるリチウムまたはリチウム合金(以下「リチウム系活物質」とする)を含む負極では、充放電反応に伴って、リチウム系活物質の体積が大きく変動する。このとき、電解液型電池のように電解質が液体電解質であれば、リチウム系活物質の体積が変動しても、負極界面における接触面積を大きく保つことは容易である。したがって、電解液型電池に特許文献1および2の負極を用いれば、充放電効率の向上効果が得られる。
これに対し、全固体型ポリマー電池に用いられるポリマー電解質は固体であり、液体電解質やゲルポリマー電解質に比べて、流動性が乏しいため、リチウム系活物質の体積が変動すると、負極界面における接触面積をほぼ一定に保つことは困難であり、接触面積が著しく小さくなる。その結果、負極界面の抵抗(以下「界面抵抗」とする)が大きくなる。これによって、電池容量が低下し、二次電池化した場合にはサイクル特性が悪化する。
本発明者らは、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、負極界面における接触面積が小さくても、界面抵抗を低減できるリチウム系活物質を得ることに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、結晶粒と結晶粒界とを含みかつ表面に結晶粒界が露出するリチウムまたはリチウム合金であって、結晶粒界の露出面の面積が、リチウムまたはリチウム合金の表面1cm2あたり0.02〜0.5cm2である全固体型ポリマー電池用負極活物質を提供する。
本発明の全固体型ポリマー電池用負極活物質においては、結晶粒界が酸化リチウムを含み、酸化リチウムが結晶粒界の露出面に存在することが好ましい。
本発明の全固体型ポリマー電池用負極活物質においては、結晶粒界が酸化リチウムを含み、酸化リチウムが結晶粒界の露出面から該露出面に対して垂直な方向における100〜1000nmまでの領域に存在することが好ましい。
本発明の全固体型ポリマー電池用負極活物質においては、結晶粒の粒度が100〜1000nmであることが好ましい。
また、本発明は、本発明の全固体型ポリマー電池用負極活物質を含む全固体型ポリマー電池を提供する。
本発明の負極活物質は、負極界面における接触面積が小さくなっても、界面抵抗が増大するのを抑制し、却って界面抵抗を低減化できるリチウム系活物質である。したがって、本発明の負極活物質は、各種電池において好適に利用でき、特に全固体型ポリマー電池の負極活物質として有効である。
本発明の全固体型ポリマー電池は、電解質として従来と同様のポリマー電解質を用いているにもかかわらず、負極界面の抵抗が低く、高電池容量を有し、高負荷下でも高電池容量を保持できる。また、本発明の全固体型ポリマー電池を二次電池化した場合には、高電池容量を有しかつサイクル特性に優れた二次電池になる。
[負極活物質]
本発明の負極活物質は、結晶構造中に結晶粒と結晶粒界を含み、結晶粒界の少なくとも一部が表面に露出するリチウムまたはリチウム合金である。図1は、本発明の実施の第1形態である負極活物質1の結晶構造の一例を概略的に示す縦断面図である。負極活物質1は、リチウム(リチウム単体)またはリチウム合金である。ここで、リチウム合金としては、電池分野において電極活物質として常用されるものを使用でき、たとえば、Li−Si合金、Li−Sn合金、Li−Al合金、Li−Ga合金、Li−Mg合金、Li−In合金などが挙げられる。また、負極活物質1は、結晶構造中に、結晶粒2と結晶粒界3とを含む。結晶粒界3は、たとえば、隣り合う結晶粒2の間に存在し、少なくとも一部が負極活物質1の表面1aに露出している。
負極活物質1の表面1aにおける、結晶粒界3の露出面の面積は、該表面1aの1cm2あたり0.02〜0.5cm2である。結晶粒界3は結晶粒2よりもイオン伝導性が高いので、充放電時に、負極界面におけるイオン伝導通路になる。したがって、結晶粒界3が、負極活物質1の表面1aにおいて前記割合で露出することによって、負極界面における接触面積が小さくなっても、イオンの伝導が確保され、負極界面における界面抵抗を低減化できる。露出面積が0.02cm2未満では、負極界面における界面抵抗の低減化効果が不十分になるおそれがある。一方、露出面積が0.5cm2を超えると、活物質容量が低下するおそれがある。すなわち、結晶粒界3は充放電反応に直接関与する部位ではないので、結晶粒界3の露出面積が多くなると、それだけ充放電反応に関与する部位が減少し、活物質容量が低下するおそれがある。
負極活物質1では、結晶粒界3が酸化リチウムを含むことが好ましい。酸化リチウムはイオン伝導性が特に高く、負極界面における良好なイオン伝導通路になる。結晶粒界3は活性な部位であるため、大気中の酸素と反応して酸化リチウムが生成し易い。なお、結晶粒界3は大気中の水や二酸化炭素とも反応し、酸化リチウムよりもイオン伝導性の低い水酸化リチウムや炭酸リチウムを生成することもある。水酸化リチウムおよび炭酸リチウムは、充放電時の絶縁層になるので、これらが負極活物質1の表面1aひいては負極界面に存在することは好ましくない。したがって、負極活物質1を製造するに際し、酸化リチウムが生成し易く、かつ水酸化リチウムおよび炭酸リチウムが生成し難い条件を選択するのが好ましい。なお、負極活物質1の製造法については、後に詳述する。
さらに、酸化リチウムは、負極活物質1の表面1aにおける結晶粒界3の露出面から、該露出面に対して垂直な方向において、負極活物質1aの内方に向けて100〜1000nmまでの範囲に存在することが好ましい。酸化リチウムが負極活物質1の内部まで存在することによって、結晶粒2と結晶粒界3との接触面積が大きくなり、負極活物質1におけるイオン伝導性が一層向上する。充放電時には、酸化リチウムに接する結晶粒2からイオンが挿入および脱離される。酸化リチウムの存在範囲が1000nmを超えると、負極活物質1の活物質容量が低下するおそれがある。
酸化リチウムの存在は、たとえば、XPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy、X線光電子分光法)またはAES(Auger Electron Spectroscopy、オージェ電子分光法)により確認できる。具体的には、XPSまたはAESによる分析において、O(1s)のピークを確認することにより、Li−O結合の存在の有無を確認することができる。
負極活物質1の結晶粒2の粒度は特に制限されないが、平均粒径として好ましくは10〜1000nmである。この範囲の平均粒径を持つ結晶粒2を含む負極活物質1では、結晶粒界3に対する結晶粒2の接触面積を一層大きくできるので、負極界面における界面抵抗をさらに低減化できる。平均粒径が10nm未満では、負極活物質1の活物質容量が低下するおそれがある。一方、平均粒径が1000nmを超えると、界面抵抗の低減化効果が不十分になるおそれがある。結晶粒界および結晶粒の大きさ(平均粒径も含む)ならびに面積は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察像を画像処理することによって求めることができる。
負極活物質1の結晶粒2の内部、結晶粒2の露出面、結晶粒界3の内部、結晶粒界3の露出面および結晶2と結晶粒界3との接触面から選ばれる少なくとも1つには、酸化リチウムの他に、不可避的な不純物が存在していてもよい。不可避的な不純物は、負極活物質1の好ましい特性を損なわない範囲で存在していてもよい。不可避的な不純物の具体例としては、たとえば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、窒化リチウム、リチウムアルコキシド、リチウムアルキルカーボネートなどが挙げられる。
負極活物質1は、たとえば、リチウム系活物質の組織制御を行うことによって製造できる。リチウム系活物質を始めとする金属材料は、一般に、多くの結晶(結晶粒)の集合体である。そして、金属の組織制御は、金属を加熱、冷却または加熱および冷却することで起こる相変態、析出現象などを利用することによって行われる。負極活物質1は、電池の負極における負極活物質層の形成に用いられるので、リチウム系活物質(リチウムまたはリチウム合金)を用いて負極集電体表面に負極活物質層を形成する際に、各種条件を適宜選択することによって、負極の製造と負極活物質1の合成とを同時に並行して実施でき、工業的に有利である。より具体的には、たとえば、負極集電体表面に溶融状態のリチウム系活物質を載置して冷却し、冷却により固化したリチウム系活物質を圧延し、さらに加熱などの後処理を施してリチウム系活物質層を形成するに際し、リチウム系活物質の組成、冷却速度、圧延後の加熱時間などを適宜選択することによって、負極活物質1が製造される。ここで、冷却速度とは、溶融状態のリチウム系活物質を負極集電体表面に載置して冷却する際の速度である。
たとえば、リチウム系活物質がリチウム単体である場合は、冷却速度を1.5〜2.5℃/分程度、後処理の加熱温度を140〜160℃程度、後処理後の加熱時間を20〜40分程度かまたは4.5〜5.5時間程度にすることによって、負極活物質1が得られる。また、リチウム系活物質がリチウム−アルミニウム合金である場合は、該合金におけるアルミニウム含有量を0.1〜15重量%、好ましくは0.2〜10重量%とし、冷却速度を0.001〜2.5℃/分程度、後処理の加熱温度を140〜160℃程度、後処理後の加熱時間を5分〜5.5時間程度にすることによって、負極活物質1が得られる。このように、他の合金においても、組成、冷却速度、加熱時間と加熱温度などを適宜調整することによって、負極活物質1を製造することができる。
このようにして得られる負極活物質1は、各種電池における負極活物質として使用でき、特に全固体型ポリマー電池用の負極活物質として有用である。
[全固体型ポリマー電池]
本発明の全固体型ポリマー電池は、本発明の負極活物質1を含む負極を備える以外は、従来の全固体型ポリマー電池と同様の構成を有する。図2は、本発明の実施の他の形態である全固体型ポリマー電池10の構成を概略的に示す縦断面図である。全固体型ポリマー電池10は、負極11、正極12、ポリマー電解質層13およびシール材14を含む。
負極11は、負極活物質層20と、負極集電体21とを含む。負極活物質層20は、負極集電体21の厚み方向における少なくとも一方の表面に設けられる。負極活物質層20は、本発明の負極活物質1を含む。さらに負極活物質層20は、必要に応じて、本発明の負極活物質1の好ましい特性を損なわない範囲で、この分野で常用される各種負極活物質を含んでいてもよい。負極集電体21には、多孔性または無孔の導電性基板が使用できる。多孔性導電性基板には、たとえば、メッシュ体、多孔質体、不織布などが挙げられる。無孔の導電性基板には、たとえば、金属箔、金属板などが挙げられる。導電性基板の材質としては、たとえば、銅、ニッケル、銀、ステンレス鋼などが挙げられる。
負極11は、たとえば、リチウム系活物質からなる金属シートを溶融させ、これを加熱した負極集電体21の厚み方向における一方の面に載置して冷却し、固化したリチウム系活物質を所定の寸法に圧延し、引き続いて加熱処理を施すことによって作製できる。この際、リチウム系活物質の組成、冷却速度、圧延後の加熱処理条件などを適宜選択することによって、本発明の負極活物質を含む負極活物質層20が得られることは、先に説明したとおりである。
正極12は、正極活物質層22と、正極集電体23とを含む。正極活物質層22は、正極集電体23の厚み方向における少なくとも一方の表面に設けられる。正極活物質層22は正極活物質を含み、必要に応じて、導電剤、結着剤などを含んでもよい。
正極活物質には、電池分野で常用されているものを使用できる。正極活物質の具体例としては、たとえば、(CF)n、(C2F)n、MnO2、TiS2、MoS2、FeS2、LixaCoO2、LixaNiO2、LixaMnO2、LixaCoyNi1-y2、LixaCoy1-yz、LixaNi1-yyz、LixbMn24、LixbMn2-yy4(前記各式において、Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、SbおよびBよりなる群から選ばれる少なくとも1つの元素を示す。xa=0〜1.2、xb=0〜2.0、y=0〜0.9、z=2.0〜2.3である。)、バナジウム酸化物およびそのリチウム化合物、ニオブ酸化物およびそのリチウム化合物、有機導電性物質である共役系ポリマー、シェブレル相化合物、オリビン系化合物などが挙げられる。なお、前記のxaおよびxbの値は充放電開始前の値であり、充放電により増減する。正極活物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
導電剤としては、たとえば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維類、アルミニウム粉などの金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料などが挙げられる。導電剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
結着剤としては、たとえば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ヘキシル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ヘキシル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。また、結着剤として、後に詳しく説明するポリマー電解質を用いてもよい。結着剤としてポリマー電解質を用いると、正極12表面から深部に至るまでイオンが容易に到達することができるため好ましい。結着剤は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
正極集電体23には、多孔性または無孔の導電性基板が使用できる。多孔性導電性基板には、たとえば、メッシュ体、多孔質体、不織布などが挙げられる。無孔の導電性基板には、たとえば、金属箔、金属板などが挙げられる。導電性基板の材質としては、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。
正極12は、たとえば、正極活物質および必要に応じて導電剤、結着剤などを含有する正極合剤を調製し、この正極合剤を正極集電体23に圧着させることによって製造できる。また、正極12は、正極合剤を液状媒体に溶解または分散させて正極合剤スラリーを調製し、この正極合剤スラリーを正極集電体23表面に塗布し乾燥させ、さらに必要に応じて圧延することによっても製造できる。ここで、液状媒体としては、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒、水、これらの混合溶媒などが挙げられる。
ポリマー電解質13としては、電池分野で常用されているものを使用できるが、たとえば、エーテル酸素、エステル酸素などの、電気陰性度が大きい酸素原子を分子中に含むポリマー(以下「酸素含有ポリマー」とする)と、リチウム塩との複合体などが好ましい。ポリマー中の電気陰性度が大きい酸素原子にリチウムイオンが配位することによって、該ポリマーにリチウム塩が溶解し、固体状の電解質でありながら、イオン伝導性を示すようになる。このように、ポリマー中に相対的に負に荷電したエーテル酸素やエステル酸素などが存在していることが、高い導電率を示すための条件となっている。
酸素含有ポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体などの、エチレンオキシド単位および/またはプロピレンオキシド単位を有するポリマーが好ましく用いられる。これらの中でも、ポリマー側鎖にエーテル酸素を有し、かつその鎖長を短くしたポリマーを用いた場合には、負極界面における効率のよいリチウムイオン移動が可能となる点から特に好ましい。
酸素含有ポリマーと複合化するリチウム塩としては、たとえば、LiClO4、LiBF4、LiPF6、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiAsF6、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、四フェニルホウ酸リチウム、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22などが挙げられる。リチウム塩は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を組み合わせて使用できる。
酸素含有ポリマーとリチウム塩との複合化は、公知の方法に従って実施できる。たとえば、酸素含有ポリマーを有機溶媒に溶解し、得られたポリマー溶液とリチウム塩とを混合すればよい。このとき、酸素含有ポリマーとリチウム塩との使用割合は特に制限されず、作製する電池の形態、種類、性能、用途などに応じて適宜選択すればよい。たとえば、酸素含有ポリマーの酸素含有部分における酸素と、リチウム塩に含有されるリチウムイオンとのモル比を適宜調整すればよい。なお、ポリマー溶液とリチウム塩との混合によって得られるポリマー電解質溶液を、たとえば、負極活物質層20表面に塗布して乾燥させることによって、負極活物質層20表面にポリマー電解質13を設け、負極11とポリマー電解質13とを積層できる。
シール材14には、電池分野で常用されるものを使用できる。たとえば、合成樹脂材料からなるシール材が挙げられる。
全固体型ポリマー電池10は、たとえば、次のようにして製造される。まず、負極11の負極活物質層20側の表面にポリマー電解質13を積層する。この積層体と正極12とを重ね合わせる。このとき、積層体のポリマー電解質13と正極12の正極活物質層22とが対向するように重ね合わせを行う。次に、負極11と正極12との周縁部をシール材14により封止することによって、全固体型ポリマー電池20が得られる。
全固体型ポリマー電池10は、その構成および形態についての制限はなく、電池分野で知られている構成および形態を採ることができる。構成の具体例としては、たとえば、積層型、捲回型、バイポーラ型などが挙げられる。形態の具体例としては、たとえば、扁平型、コイン型、円筒型、角型、ラミネート型などが挙げられる。また、全固体型ポリマー電池10は、一次電池および二次電池のいずれにも構成することができる。
以下に実施例、比較例および試験例を挙げ、本発明を詳細に説明する。なお、実施例および比較例における各操作は、全て−30℃以下に露点管理された雰囲気中で実施した。
(実施例1および比較例1)
(1)負極活物質の製造ならびに負極1〜14および比較負極1〜3の作製
アルゴン雰囲気中で、押出し成型機により、厚み300μmのリチウム系活物質箔を作製し、200℃に加熱して溶融させた。溶融状態にあるリチウム系活物質を、加熱状態にある厚み20μmの銅箔上に設置し、表1に記載の冷却速度で前記銅箔を室温まで冷却した。続いて銅箔のリチウム系活物質が設置された面に所定寸法のガイド(直径10mm)を載置した後、リチウム系活物質を加圧して厚み約100μmかつ前記ガイドと同じ寸法に圧延するとともに、負極集電体となる銅箔上に圧着した。圧延により得られるリチウム系活物質箔を150℃に加熱し、圧延ひずみを取り除き、負極活物質の製造と負極1〜14および比較負極1〜3の作製を同時に行った。なお、加熱時間は表1に記載の通りとした。
得られた負極1〜14および比較負極1〜3を、リチウム系活物質層が銅箔からはみ出さないように、それぞれ直径10mmの円形に打ち抜き、試料を作成した。この試料の表面をSEM観察、XPS分析およびAES分析し、結晶粒界の面積、結晶粒界に存在する酸化リチウムの存在位置および結晶粒の粒度を測定した。結果を表1に示す。なお、酸化リチウムの深さは、負極(または負極活物質)表面を基準にして測定しており、「0」とは酸化リチウムが負極表面に露出していることを意味する。
[SEM観察]
走査型電子顕微鏡(商品名:S−4500、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いてSEM観察(倍率:10000倍、加速電圧:3.0kV)を行い、負極1〜14および比較負極1〜3の表面のSEM写真を撮影した。撮影したSEM写真の任意の場所10点について画像処理を行い、負極表面における結晶粒界の露出面積を求めた。画像処理には、画像解析式粒度分布システム(商品名:マックビュー ver3.5、(株)マウンテック)を用いた。
負極1〜14における表面1cm2当たりの結晶粒界の露出面積は0.02〜0.5cm2であることが確認された。一方、比較負極1および3における表面1cm2あたりの結晶粒界の露出面積は0.01cm2であり、また比較負極2における表面1cm2あたりの結晶粒界の露出面積は0.7cm2であることが確認された。
[XPS分析]
XPS分析には、X線光電子分光装置(商品名:XPS−7000、理学電機工業(株)製)を使用した。測定条件は次の通りである。X線源:Mg−Kα、電圧:10kV、電流:10mA、X線スポットサイズ:約9mm。帯電補正は、ハイドロカーボンの1s電子の結合エネルギーまたはイオンエッチング(2000nmまでのイオンエッチング、加速電圧:500V、角度:90度、イオン電流密度:32μA/cm2、エッチングレート:1nm/分)に用いたアルゴンの2p電子の結合エネルギーを基準に行った。また、前記イオンエッチングを行ったときのXPS分析も同様に行った。
[AES分析]
AES分析には、オージェ電子分光分析装置(商品名:SAM670xi、アルバックファイ(株)製)を使用した。測定条件は次の通りである。加速電圧:3kV、試料電流:10nA、ビーム径:約75nm。また、イオン銃の加速電圧3kV、エッチングレート10nm/分、試料傾斜30度の条件で2000nmまでのイオンエッチングを行ったときのAES分析も同様に行った。
Figure 0005317435
(2)負極板の作製
表1に記載の負極1〜14および比較負極1〜3をそれぞれ直径14mmの円形に切り抜いて負極板を作製した。なお、リチウム系活物質と銅箔とは、同じ位置に中心を有していた。したがって、負極板のリチウム系活物質の周縁部は、銅箔が露出した状態にあった。
(3)ポリマー電解質層の作製
ポリエチレンオキシド(粘度平均分子量10万、Sigma−Aldrich社製)1gをアセトニトリル10gに溶解させてポリエチレンオキシドのアセトニトリル溶液を調製した。このアセトニトリル溶液に、リチウム塩としてLiN(CF3SO22を、ポリマー中のエチレンオキシド部のエーテル酸素濃度[EO]とリチウム塩中のリチウムイオン濃度[Li]のモル比率[Li]/[EO]が1/50となるように添加して、ポリマー電解質溶液を調製した。
得られたポリマー電解質溶液を、負極1〜14および比較負極1〜3上にスピンコート法により塗布した。そして、真空乾燥を80℃で48時間行い、溶媒成分を完全に除去することにより、負極板上に厚み30μm、直径10mmの円形状ポリマー電解質層を形成し、負極板とポリマー電解質層との積層体(以下単に「積層体」とする)を作製した。なお、負極板とポリマー電解質層とは、同じ位置に中心を有していた。したがって、負極板のポリマー電解質層を形成した側の表面の周縁部は、ポリマー電解質層が形成されず、銅箔が露出した状態にあった。
(4)全固体型ポリマー一次電池の作製
400℃で熱処理した電解二酸化マンガン(MnO2、正極活物質)、アセチレンブラック(導電剤)、結着剤である平均分子量10万のポリエチレンオキシド(粘度平均分子量10万、Sigma−Aldrich社製)およびLiN(CF3SO22をアセトニトリルに溶解または分散させて混練し、ペースト状の正極合剤を調製した。ここで、MnO2:アセチレンブラック:ポリマー電解質=70質量%:20質量%:10質量%になるように配合した。なお、ポリマー電解質の質量は、固形分換算の質量とした。
得られたペースト状の正極合剤を厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の片面に塗布し、120℃で24時間乾燥した後、ロールプレスで圧延することにより、厚み10μmの正極活物質層を形成し、フィルム状電極を作製した。得られたフィルム状電極を直径14mmの円形に切り抜いた後に、正極活物質層が直径10mmとなるように剥離処理し、周縁部のアルミニウム箔を露出させた正極板を作製した。なお、正極活物質層とアルミニウム箔とは、同じ位置に中心を有していた。
次いで、上記で得られた負極板およびポリマー電解質層の積層体と、正極板とを、ポリマー電解質層と正極活物質層とが対向するように重ね合わせた。次に、負極板周縁部の露出部分と正極板の周縁部との間に、絶縁樹脂フィルムからなる窓枠状のシール材を配設し、シール材を溶着させて正極板と負極板との間を封止した。これにより、扁平型の全固体型ポリマー一次電池を作製した。
負極1〜14から得られた負極板を含む扁平型の全固体型ポリマー一次電池を、それぞれ電池1〜14とする。また、比較負極1〜3から得られた負極板を含む扁平型の全固体型ポリマー一次電池を、それぞれ比較電池1〜3とする。
(試験例1)
電池1〜14および比較電池1〜3について、室温下、定電流10μA、放電終止電圧2.0Vの条件で放電試験を行い、電池容量を測定した。また、ソーラトロン社製1255WB型電気化学測定システムを用いて、前記放電試験前後の電池の交流インピーダンス測定を行った。その結果、周波数0.01Hz〜1MHzの範囲でのNyqistプロットからは、円弧が確認された。この円弧の高周波側の実軸切片を電解質抵抗として考え、低周波側の実軸切片を電解質抵抗と界面抵抗の合計として考え、これらの切片の値から、界面抵抗値を算出した。結果を表2に示す。なお、表2には、表1に示した「結晶粒界面積」、「酸化リチウムの存在位置」および「結晶粒度」を再掲する。


Figure 0005317435
表2において、電池1〜4と比較電池1、2との比較から、リチウム系活物質表面1cm2あたりの結晶粒界の露出面積が0.02〜0.5cm2であることによって、放電試験前後における界面抵抗値を低減し、全固体型リチウム一次電池を高容量化できることがわかる。これは、イオン伝導性の高い結晶粒界が放電時における負極界面のイオン伝導パスとなり、電池特性向上に寄与するためと考えられる。
また、電池1、5と比較電池3との比較から、リチウム系活物質の少なくとも最表面に酸化リチウムが存在することによって、放電試験前後における界面抵抗値を低減し、結果として全固体型リチウム一次電池を高容量化できることがわかる。これは、結晶粒界に存在する酸化リチウムはリチウムイオンの伝導性が高いため、負極界面となる最表面に酸化リチウムが存在することで、負極界面を良好なイオン伝導パスとできるためと考えられる。
また、電池2と電池6〜10との比較から、結晶粒界に存在する酸化リチウムがリチウム系活物質表面から内部に向かって100〜1000nmまでの領域に存在することがさらに好ましいことがわかる。酸化リチウムが前記範囲に存在することによって、放電試験前後における界面抵抗値を低減し、結果として全固体型リチウム一次電池を高容量化できることがわかる。これは、酸化リチウムがより活物質内部まで存在することで、リチウム系活物質の結晶粒と結晶粒界の接する面積が大きくなり、イオン伝導通路となる部位の面積が増大できるためと考えられる。
また、電池2と電池11〜14との比較から、リチウム系活物質の結晶粒度、すなわち結晶の平均粒径が100〜1000nmであることが、放電試験前後における界面抵抗値を低減し、結果として全固体型リチウム一次電池を高容量化できることがわかる。これは、負極活物質表面に結晶粒界が占める割合が同じ場合でも、結晶粒が小さくなると、結晶粒界に接する結晶粒の面積が大きくなるためと考えられる。
(実施例2)
[全固体型ポリマー二次電池の作製]
正極活物質として、電解二酸化マンガンに代えてスピネル型マンガン酸リチウム(LiMn24)を使用する以外は、実施例1と同様に操作して、ペースト状の正極合剤を調製した。得られたペースト状の正極合剤および厚み20μmのアルミニウム箔(正極集電体)を用い、実施例1と同様に操作して、厚み10μmの正極活物質層を含むフィルム状電極を作製し、直径10mmの円板に切り抜いて正極板を作製した。
上記で得られた正極板を用いる以外は、実施例1と同様に操作して、扁平型の全固体型ポリマー二次電池を作製した。負極1〜14から得られた負極板を含む扁平型の全固体型ポリマー二次電池を、それぞれ電池15〜28とする。また、比較負極1〜3から得られた負極板を含む扁平型の全固体型ポリマー二次電池を、それぞれ比較電池4〜6とする。
(試験例2)
電池15〜28および比較電池4〜6について、室温下、定電流10μA、放電終止電圧3.5Vの条件で30サイクル充放電試験を行い、容量維持率を求めた。容量維持率は、2サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の百分率(%、[30サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量]×100)として算出した。また、ソーラトロン社製1255WB型電気化学測定システムを用いて、前記充放電試験前後の電池の交流インピーダンス測定を行った。その結果、周波数0.01Hz〜1MHzの範囲でのNyqistプロットからは円弧が確認された。この円弧の高周波側の実軸切片を電解質抵抗として考え、低周波側の実軸切片を電解質抵抗と界面抵抗の合計として考え、これの切片の値から、界面抵抗値を算出した。結果を表3に示す。なお、表3には、表1に示した「結晶粒界面積」、「酸化リチウムの存在位置」および「結晶粒度」を再掲する。
Figure 0005317435
表3において、電池15〜18と比較電池4、5との比較から、リチウム系活物質表面1cm2あたりの結晶粒界の露出面積が0.02〜0.5cm2であることにより、充放電サイクルの繰り返しによる界面抵抗の増加を抑制し、かつ容量維持率を向上できることがわかる。これは、イオン伝導性の高い結晶粒界が充放電時における負極界面のイオン伝導通路となり、電池特性向上に寄与するためと考えられる。
また、電池15、19と比較電池6との比較から、リチウム系活物質の少なくとも表面に酸化リチウムが存在することにより、充放電サイクルの繰り返しによる界面抵抗の増大を抑制し、結果として容量維持率を向上できることがわかる。これは、結晶粒界に存在する酸化リチウムはリチウムイオンの伝導性が高いため、負極界面となる表面に酸化リチウムが露出することで、負極界面が良好なイオン伝導通路になるためと考えられる。
また、電池16と電池20〜24との比較から、結晶粒界に含まれる酸化リチウムが、負極活物質表面から内部に向かって100〜1000nmまでの領域に存在することにより、充放電サイクルの繰り返しによる界面抵抗の増大を抑制し、結果として容量維持率を向上できることがわかる。これは、酸化リチウムが負極活物質のより内部まで存在することにより、リチウム系活物質の結晶粒と結晶粒界との接触面積が大きくなり、イオン伝導通路となる部位の面積が増大するためと考えられる。
また、電池16と電池25〜28との比較から、リチウム系活物質の結晶粒度、すなわち結晶の平均粒径が100〜1000nmであることにより、充放電サイクルの繰り返しによる界面抵抗の増大を抑制し、結果として容量維持率を向上できることがわかる。これは、活物質表面に結晶粒界が占める割合が同じ場合でも、結晶粒が小さくなると、結晶粒界に接する結晶粒の面積が大きくなるためと考えられる。
本発明により、負極活物質とポリマー電解質の界面抵抗を低減でき、結果として電池容量が高く、また二次電池化した場合にはサイクル特性にも優れた全固体型ポリマー電池を提供できる。そして、漏液の恐れがなく安全であり、またポリマー電解質の形状自由という特徴を活かした、薄型でフレキシブルな全固体型ポリマー電池を提供可能になり、携帯情報端末、携帯電子機器、医療用機器など薄型で信頼性が要求されるデバイスの電源として全固体型ポリマー電池を利用できるようになる。
本発明の実施の第1形態である負極活物質の結晶構造の一例を概略的に示す縦断面図である。 本発明の実施の他の形態である全固体型ポリマー電池の構成を概略的に示す縦断面図である。
符号の説明
1 リチウム系活物質
2 結晶粒
3 結晶粒界
10 全固体型ポリマー電池
11 負極
12 正極
13 ポリマー電解質層
14 シール材
20 リチウム系活物質層
21 負極集電体
22 正極活物質層
23 正極集電体

Claims (5)

  1. 結晶粒と結晶粒界とを含みかつ結晶粒界の少なくとも一部が表面に露出するリチウムまたはリチウム合金であって、結晶粒界の露出面の面積がリチウムまたはリチウム合金の表面1cm2あたり0.02〜0.5cm2である全固体型ポリマー電池用負極活物質。
  2. 結晶粒界が酸化リチウムを含み、酸化リチウムが結晶粒界の露出面に存在する請求項1記載の全固体型ポリマー電池用負極活物質。
  3. 結晶粒界が酸化リチウムを含み、酸化リチウムが結晶粒界の露出面から該露出面に対して垂直な方向における100〜1000nmまでの領域に存在する請求項1または2記載の全固体型ポリマー電池用負極活物質。
  4. 結晶粒の粒度が100〜1000nmである請求項1〜3のいずれか1つに記載の全固体型ポリマー電池用負極活物質。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の全固体型ポリマー電池用負極活物質を含む全固体型ポリマー電池。
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