JP5315006B2 - 塗膜防水材供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主剤と硬化剤とをこれらを混合するための混合装置を有する吐出ノズルに容器から別々の送液ラインによって送液し、主剤と硬化剤とを前記混合装置にて混合してなる2液型塗膜防水材を吐出ノズルから吐出して施工現場に供給する塗膜防水材供給装置に関する。
建物屋上やバルコニー、廊下等の防水工事にあっては、ウレタン樹脂防水材、エポキシ樹脂防水材等の塗膜防水材を用いた塗膜防水工法が広く採用されている。ここで使用される塗膜防水材としては、主剤と硬化剤とからなる2液型のものが一般的である。
この2液型塗膜防水材の施工方法は、手塗り塗工、圧送手塗り塗工、圧送吹き付け塗工に大別される。
手塗り塗工は、主剤を充填した容器と硬化剤を充填した容器とを施工現場に搬入して主剤と硬化剤とを計量し、例えば電動攪拌機を用いて所定配合比で攪拌混合し、鏝、レイキ等の塗工器具を用いて塗り拡げるものである。
圧送手塗り塗工は、図7に示す専用の液状防水材供給装置100を用いる。この液状防水材供給装置100は、主剤を充填した容器111及び硬化剤を充填した容器121から主剤及び硬化剤を圧送ポンプ112、122を用いて個々に送液ホース113、123に圧送して送液する2本の送液ライン110、120を有し、主剤用の送液ホース113の先端と硬化剤用の送液ホース123の先端とが接続された吐出ノズル130に設けられている混合装置131にて主剤と硬化剤とを混合し、混合によって得られた塗膜防水材を吐出ノズル130から施工現場に吐出するものである。そして、この圧送手塗り塗工は、吐出ノズル130から吐出させた塗膜防水材を、鏝、レイキ等の塗工器具を用いて塗り拡げて施工する(例えば、特許文献1)。前記吐出ノズル130は、塗膜防水材を霧状(ミスト状)に噴射するものではなく、混合装置にて得られた塗膜防水材をひとつの吐出口から連続的に流出させて現場に供給するものであることが一般的である。以下、この吐出ノズル130について流出供給ノズルとも言う。
流出供給ノズル130の混合装置131としては例えばスタティックミキサ等が採用される。容器111、112から流出供給ノズル130の混合装置131への主剤、硬化剤の供給量は、混合装置131での主剤と硬化剤との配合比に従う。
また、主剤、硬化剤を別々に送液するための送液ラインに加温用のヒーターを設けて、このヒーターによって主剤、硬化剤を加温して温度低下に伴う粘度上昇を抑え粘度が低い状態を保つ技術も提案されている(例えば、特許文献2)。
この圧送手塗り塗工では、例えば、地上に設置した容器111、121から建物屋上の流出供給ノズル130に主剤、硬化剤を送液して、塗膜防水材を供給するといったことが可能である。
圧送吹き付け塗工は、図7に例示した液状防水材供給装置100について流出供給ノズル130にかえて、スプレーノズルを採用した液状防水材供給装置を用いる。このスプレーノズルも、主剤、硬化剤を混合するための混合装置を具備する。混合装置での主剤と硬化剤との混合によって得られた塗膜防水材は、スプレーノズルからの霧状(ミスト状)の吹き付け塗工となる。
この圧送吹き付け塗工の場合、主剤、硬化剤の圧送は、一般に、圧送手塗り塗工に比べて高圧である。また、スプレーノズルの混合装置は送液ホースから圧給された主剤、硬化剤を衝突攪拌する構成のものであることが一般的である。
上述の圧送手塗り塗工及び圧送吹き付け塗工では、例えば、地上に設置した容器から建物屋上の吐出ノズルに主剤、硬化剤を送液して、塗膜防水材を供給するといったことが可能である。このため、例えば、容器や圧送ポンプをトラック(従来、2tトラックの使用が一般的)に積んだまま荷揚げすることなく、施工現場の建物近く(地上)に停車させたトラックから建物屋上の施工現場に主剤及び硬化剤を送液して、施工現場に塗膜防水材を供給するといったことが可能である。
手塗り塗工では、施工現場への容器の搬入、空になった容器の現場からの撤去に手間と労力を要するが、圧送手塗り塗工、圧送吹き付け塗工では、このような手間や労力を解消できる利点がある。
特開平8−120851号公報 特開2004−68368号公報
ところで、上述の圧送手塗り塗工、圧送吹き付け塗工にて使用する液状防水材供給装置は、送液ホースとして長さ70〜100m程度の長尺のものを使用する。従来の液状防水材供給装置にあっては、塗膜防水材の主剤、硬化剤の粘性に鑑みて主剤、硬化剤を圧送ポンプによって圧送する構成であり、送液ホースに圧送圧力が作用することから、使用する送液ホースは太く(例えば、流路断面積283.4mm。内径19mm(6/8インチ))、重量が大きい(ホース重量とその内部の液状材料の重量の合計で2.5kg/m程度、あるいはそれ以上)ものが一般的である。このため、例えば、送液ホースのトラックに対する積み卸し、トラックから現場までの布設、工事完了後の撤去、布設位置の移動に、ウィンチやホイスト等の機械を必要とするなど、送液ホースの取り扱いや移動に手間が掛かるといった不満があった。また、長尺で太い送液ホースは巻き上げても嵩張るため、塗工機材搬送用の車両(トラック)の小型化の障害にもなっていた。
送液ホースとして細い(内径が細い)ものを使用すると、送液の圧損の増大により、ノズルへの主剤及び硬化剤の供給量の安定確保に影響を与える。これに鑑みて、圧送ポンプによる圧送圧力を高めると、材料の圧送に係るコストの増大を招く。また、圧送ポンプとしてより高圧での圧送が可能なものを必要とするケースが生じることがある。また、高い耐圧性が要求される送液ホースの細径化、軽量化には限界がある。
特許文献2のようなヒーターによる加熱も、長尺の送液ホースへの材料圧送では粘度上昇の抑制効果に限界があり、また、現実的には送液ホースの細径化、軽量化を実現しかつ充分な圧送量を確保することには至らないのが実情であった。
本発明は、前記課題に鑑みて、塗膜防水材を得るための液状材料の低圧での圧送が可能であり、その結果、送液ホースの細径化、軽量化を実現でき、しかも、主剤及び硬化剤の吐出ノズルへの供給量の安定化(定量化)も容易に実現できる塗膜防水材供給装置の提供を目的としている。
本発明者は、まず、塗膜防水材を得るための液体材料である主剤及び硬化剤の一方又は両方として揺変剤を含有するものを使用することにより、低圧での圧送(送液)を実現することを検討した。すなわち、揺変剤を含有する液体材料を使用することにより、圧送ポンプによる圧送時の液体材料の粘性低下で低圧での圧送を実現することを検討した。しかしながら、揺変剤を含有する液体材料を使用した場合、圧送ポンプ(ここではシリンダポンプを使用した。但し、後述の供給ポンプを使用していない)内に液体材料が充填されにくく、その結果、キャビテーションや脈動も生じやすくなり、実用上の障害となることが判明した。
これに鑑みて、本発明者は、揺変剤を含有する液状材料の使用にあたり、圧送ポンプの他に、容器から液体材料を吸い出して圧送ポンプに供給する供給ポンプを用いて、液状材料を供給ポンプから圧送ポンプに加圧供給する構成を見出した。供給ポンプとしては、ギアポンプ又はダイアフラムポンプを使用することを必須とする。ギアポンプ又はダイアフラムポンプは、容器からの液状材料の吸引性能に優れており、容器から吸い出した液状材料を圧送ポンプに確実に送給できる。圧送ポンプ内に確実に液状材料を充填することができ、圧送ポンプからの液状材料の圧送の円滑化、圧送量の安定化を図ることができる。
そして、本発明者は、揺変剤の含有によって揺変性が付与された液状材料を供給ポンプによって圧送ポンプに加圧供給することにより、圧送ポンプへの液状材料の導入を確実かつ円滑に実現でき、圧送ポンプへの液状材料の充填状況の不安定に起因するキャビテーションや脈動を解消可能であることを見出し、本発明の完成に至った。
第1の発明は、主剤と硬化剤とを混合して得られる2液型の塗膜防水材を施工現場に供給するための塗膜防水材供給装置であって、前記塗膜防水材を得るための液状材料である前記主剤と前記硬化剤とを混合するための混合装置を有し該混合装置にて得られた前記塗膜防水材を吐出する吐出ノズルと、主剤と硬化剤とを容器から前記吐出ノズルの前記混合装置に別々に送液するための複数の送液ラインとを具備し、前記主剤及び前記硬化剤の一方又は両方が揺変剤を含有するものであり、前記送液ラインは、前記液状材料を前記混合装置に送液するための圧送ポンプと、前記容器から前記液状材料を吸い出して前記圧送ポンプに供給する供給ポンプと、前記圧送ポンプから前記吐出ノズルの前記混合装置への前記液状材料の送液用の可撓性の送液ホースとを具備し、前記供給ポンプがギアポンプあるいはダイアフラムポンプであり、前記供給ポンプによって前記液状材料が前記圧送ポンプに加圧供給され、前記主剤を容器から前記吐出ノズルの混合装置に送液するための送液ラインである主剤送液ラインの圧送ポンプと、前記硬化剤を容器から前記吐出ノズルの混合装置に送液するための送液ラインである硬化剤送液ラインの圧送ポンプとを兼ねるシリンダポンプを具備し、前記シリンダポンプは、前記供給ポンプから供給された液状材料を前記送液ホースを介して前記混合装置に圧送するための圧送シリンダを3本以上有し、各圧送シリンダに設けられたピストンが駆動装置によって往復動されるひとつの可動部材に取り付けられて一括移動されるように構成されており、前記圧送シリンダは互いに並列に設けられ、しかも、前記主剤及び前記硬化剤の一方の圧送用の圧送シリンダである偶数本の第1圧送シリンダが、両端の圧送シリンダの間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置され、前記主剤及び前記硬化剤の他方の圧送用の圧送シリンダである第2圧送シリンダが前記中央位置を介して両側に対称の位置及び/又は前記中央位置に配置されていることを特徴とする塗膜防水材供給装置を提供する。
第2の発明は、前記圧送ポンプが、前記液状材料の圧送用の圧送シリンダに内挿されたピストンの往復動によって液状材料を圧送する構成のポンプ部を有するものであることを特徴とする第1の発明の塗膜防水材供給装置を提供する。
第3の発明は、前記送液ラインは、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに液状材料を供給するためのポンプ間送液ラインと前記容器とが、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに供給する液状材料の過剰分を前記容器に戻すための返送用配管を介して接続されていることを特徴とする第1又は2の発明の塗膜防水材供給装置を提供する。
第4の発明は、前記ポンプ間送液ラインは前記液状材料を貯留する予備タンクを具備し、前記予備タンクと前記容器とが前記返送用配管を介して接続されていることを特徴とする第3の発明の塗膜防水材供給装置を提供する。
第5の発明は、前記主剤送液ライン及び前記硬化剤供給ラインには、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに液状材料を供給するためのポンプ間送液ラインが前記圧送シリンダの個々に設けられていることを特徴とする第1乃至4のいずれか1つの発明の塗膜防水材供給装置を提供する。
の発明は、主剤送液ラインは前記シリンダポンプの主剤圧送用の全ての圧送シリンダから1本の送液ホースによって主剤を圧送するように構成され、硬化剤送液ラインは前記シリンダポンプの硬化剤圧送用の全ての圧送シリンダから1本の送液ホースによって主剤を圧送するように構成されていることを特徴とする第1乃至5のいずれか1つの発明の塗膜防水材供給装置を提供する。
本発明によれば、揺変剤の含有によって揺変性が付与された液状材料を供給ポンプによって圧送ポンプに加圧供給する構成により、圧送ポンプへの液状材料の導入を確実かつ円滑に行うことができるため、圧送ポンプへの液状材料の充填状況の不安定に起因するキャビテーションや脈動の発生を防止することができ、液状材料の低圧での圧送を確実かつ安定に行うことが可能となる。液状材料の吐出ノズルへの供給量の安定化(定量化)も容易に実現できる。また、液状材料の低圧での圧送によって、送液ホースの細径化、軽量化を容易に実現できる。
以下、本発明を実施した実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る塗膜防水材供給装置1の概要を説明する構成図、図2は前記塗膜防水材供給装置1の具体例を説明する構成図である。
図1、図2において、前記塗膜防水材供給装置1は、主剤と硬化剤とを混合して得られる2液型の塗膜防水材20を施工現場(本明細書において単に、現場、と略記する場合がある)に供給するための装置であって、符号21は主剤20aを貯留する容器、22は硬化剤20bを貯留する容器である。
また、符号30は主剤送液ライン、40は硬化剤送液ライン、50は圧送ポンプ、60は吐出ノズルである。
前記主剤20a及び前記硬化剤20bとしては、その一方又は両方に、揺変剤を含有し揺変性を有するものを採用する。主剤20a及び硬化剤20bの片方のみに揺変剤によって揺変性を付与する場合は、圧送時の圧損が大きい方を選択することが有利である。
主剤20a及び硬化剤20bについては後に詳述する。
図1に示すように、前記塗膜防水材供給装置1は、吐出ノズル60と、容器21から吐出ノズル60に主剤20aを送液するための主剤送液ライン30と、容器22から吐出ノズル60に硬化剤20bを送液するための硬化剤送液ライン40とを具備している。
吐出ノズル60は、前記塗膜防水材20を得るための液状材料である前記主剤20aと前記硬化剤20bとを混合するための混合装置61と、該混合装置にて得られた前記塗膜防水材20を吐出するためのノズル本体62とを具備し、ノズル本体62に形成されている吐出口(図示略)から塗膜防水材20を吐出する。
主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40は、容器21、22から液状材料を吸い出すための供給ポンプ31、41を具備し、さらに、供給ポンプ31、41によって容器21、22から吸い出した液状材料を前記圧送ポンプ50の駆動力によって、液状材料を吐出ノズル60に圧送する構成となっている。
なお、図中符号31c、41cは供給ポンプ31、41から延びるサクション用配管であり、供給ポンプ31、41とは反対側の端部を容器21、22に差し入れてある。
図1、図2に例示した塗膜防水材供給装置1は、複数の送液ライン(主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40)の供給ポンプ31、41によって容器21、22から吸い出した液状材料を、ひとつの前記圧送ポンプ50によって吐出ノズル60に圧送するようになっている。
圧送ポンプ50は、主剤送液ライン30の圧送ポンプとして機能する部分(主剤圧送ポンプ部50a)と、硬化剤送液ライン40の圧送ポンプとして機能する部分(硬化剤圧送ポンプ部50b)とを具備するものであり、圧送ポンプ50から吐出ノズル60への液状材料の圧送は、主剤送液ライン30と硬化剤送液ライン40とに区分けして行われる。
本発明に係る塗膜防水材供給装置としては、主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40の個々に圧送ポンプを設けた構成としても良い。
主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40の供給ポンプ31、41は、容器21、22から液状材料を吸い出して圧送ポンプ50に供給する。また、供給ポンプ31、41は、容器21、22から吸い出した液状材料を圧送ポンプ50に加圧供給する。すなわち、供給ポンプ31、41の吐出量を圧送ポンプ50の吐出量よりも大に設定する。
圧送ポンプ50による液状材料の圧送圧力は5〜19MPaであることが好ましい(圧送ポンプ50の吐出口での計測圧力)。圧送ポンプ50による液状材料の圧送圧力は5〜19MPaであるとき、供給ポンプ31、41から圧送ポンプ50への液状材料の加圧供給は、0.1〜0.5MPa程度の圧力で行うことが好ましい。0.5MPaよりも高い圧力で加圧供給を行うことも可能であるが、1.0MPaを上限(1.0MPa以下)とすることが好ましい。また、供給ポンプ31、41としては、容器21、22からの液状材料の吸い出し及び吸い出した液状材料の圧送ポンプ50への加圧供給を確実に行うために、ギアポンプあるいはダイアフラムポンプを採用する。
図1に示すように、各送液ライン(主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40)は、前記供給ポンプ31、41から前記圧送ポンプ50に供給する液状材料の過剰分を前記容器21、22に戻すための返送用配管33、43を具備している。
返送用配管33、43は、前記供給ポンプ31、41から前記圧送ポンプ50に液状材料を供給するためのポンプ間送液ライン34、44にリリーフ弁33a、43aを介して接続されている。各送液ラインのポンプ間送液ライン34、44は、返送用配管33、43を介して前記容器21、22と接続されている。ポンプ間送液ライン34、44内の液状材料の圧力がリリーフ弁33a、43aに設定した開放圧力(例えば、0.1〜0.5MPa)を超えたとき、ポンプ間送液ライン34、44からリリーフ弁33a、43aを介して返送用配管33、43へ液状材料が流出し、この液状材料が過剰分として返送用配管33、43から容器21、22へ返送される。
既述のように、吐出ノズル60は、前記主剤20aと前記硬化剤20bとを混合するための混合装置61と、該混合装置61にて得られた前記塗膜防水材20を吐出するためのノズル本体62とを具備し、ノズル本体62に形成されている吐出口(図示略)から塗膜防水材20を吐出するものである。ノズル本体62としては、ここでは流し延べ工法、より具体的には圧送手塗り塗工を実現するために、塗膜防水材20を霧状(ミスト状)にすることなくひとつの吐出口から連続的な液流として流出させる構成のもの(流出供給ノズル)を採用している。但し、吐出ノズルとしては、塗膜防水材20を霧状(ミスト状)にして噴射する構成のノズル本体(スプレーノズル)を具備するものであっても良い。
図1、図2において、送液ライン(主剤送液ライン30及び硬化剤送液ライン40)の圧送ポンプ50から送液方向下流側の部分は、可撓性の送液ホース32、42によって構成されている。
送液ホース32、42の長さは例えば70〜100mが好適であるが、これに限定されず70m未満あるいは100m超の長さのものであっても良い。
塗膜防水材供給装置の吐出ノズル60から現場に供給した塗膜防水材は、鏝、レイキ等の塗工器具を用いて塗り拡げることで塗工できる。
なお、ノズル本体として上述のスプレーノズルを採用した吐出ノズルを具備する塗膜防水材供給装置の場合は、塗膜防水材の塗工を、吐出ノズルから施工面への吹き付けによって実現できる。
次に、図2に例示した塗膜防水材供給装置について説明する。なお、図2の塗膜防水材供給装置に符号10を付す。
図2に例示した塗膜防水材供給装置10は、図1に示した塗膜防水材供給装置の具体例であり、送液ライン(主剤送液ライン30、硬化剤送液ライン40)の供給ポンプ31、41としてギアポンプ、圧送ポンプ50としてポンプ部53を3つ具備するシリンダポンプを採用している。
なお、図中、図1と共通の構成部分には共通の符号を付している。
供給ポンプ31、41として用いるギアポンプとしては、ここでは電動モータ31b、41bによって駆動される電動式のものを採用している。
ギアポンプとしては電動式のものに限定されず、例えば油圧モータによって駆動される構成のものであっても良いが、電動式のものの方が駆動源のコンパクト化、騒音低減の点で好ましい。
図2に示す塗膜防水材供給装置10において、前記圧送ポンプ50は具体的にはシリンダポンプであり(以下、圧送ポンプがシリンダポンプを指す場合、シリンダポンプとも言う)、図3(a)に示すように、シリンダ51(以下、圧送シリンダとも言う)と該シリンダ51に往復動可能に設けられたピストン52とで構成されるポンプ部53を3つ具備する。3つのポンプ部53のうちの2つが前記主剤圧送ポンプ部50a、他の1つが前記硬化剤圧送ポンプ部50bである。
また、この圧送ポンプ50の各ポンプ部53のピストン52は、ひとつの駆動装置54の駆動力(具体的には駆動装置54の駆動源54aである電動モータの駆動力)によって往復動されるひとつの可動部材55に取り付けられており、一括移動されるようになっている。
このシリンダポンプ50は、主剤圧送ポンプ部50aと硬化剤圧送ポンプ部50bとを、ひとつの駆動装置54によって駆動する構成により、主剤送液ライン30の圧送ポンプと硬化剤送液ライン40の圧送ポンプとを兼ねるものであり、主剤20aと硬化剤20bとを別々の送液ライン30、40によって吐出ノズル60に送液するための圧送装置として機能する。
また、図2に示す塗膜防水材供給装置10にあっては、主剤送液ライン30のポンプ間送液ライン34はシリンダポンプ50の2つの主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51を個々に供給ポンプ31と接続する計2本の配管34aによって構成され、硬化剤送液ライン40のポンプ間送液ライン44はシリンダポンプ50の硬化剤圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51と供給ポンプ41とを接続する1本の配管44aによって構成されている。
図2中、符号41dは、硬化剤送液ライン40のサクション用配管41に設けられたヒーターであり、このヒーター41dによってサクション用配管41を流れる硬化剤20bを例えば30〜60℃程度に加温できるようにしてある。これにより、温度低下による硬化剤20bの粘度上昇を抑制できるため、供給ポンプ41、圧送ポンプ50への硬化剤の流入の円滑化、これらポンプにおける硬化剤20bの圧送に要する駆動力の低減が可能になる。このヒーター41dは、硬化剤送液ライン40のサクション用配管41cのみならず、主剤送液ライン30のサクション用配管31cにも適用可能である。
なお、図2に例示した塗膜防水材供給装置10のポンプ間送液ライン34、44を構成する配管34a、44aの供給ポンプ31、41に対する接続は、供給ポンプ31、41の吐出口に設けられポンプ間送液ライン34、44の一部として機能する流路分岐ブロック31a、41aを介して行っている。ポンプ間送液ライン34、44は、詳細には、流路分岐ブロック31a、41aと配管34a、44aとによって構成されている。主剤送液ライン30のポンプ間送液ライン34は、詳細には、流路分岐ブロック31aと2本の配管31aとを具備する構成となっている。
返送用配管33、43は、リリーフ弁33a、43aを介して、ポンプ間送液ライン34、44の前記流路分岐ブロック31a、41a内の流路と接続されている。
図3(a)に示すように、このシリンダポンプ50のポンプ部53の圧送シリンダ51は、その軸方向一端に液入口ポート51a、軸方向他端に液出口ポート51bを有している。前記ピストン52は、棒状のピストンロッド52aと、このピストンロッド52aの長手方向片端に取り付けられ前記圧送シリンダ51内に収納されたピストンヘッド52bとを具備している。このピストン52は、ピストンロッド52aの前記ピストンヘッド52bとは反対側の端部が前記可動部材55に取り付けられており、駆動装置54の駆動によって可動部材55と一体的に往復動される。
前記ポンプ部53は、駆動装置54の駆動によってピストン52のピストンヘッド52aが前記圧送シリンダ51内にて軸方向一端側(以下、液入口側)から他端側(以下、液出口側)へ移動されることで、液入口ポート51aに接続された送液ラインの配管から液状材料が、前記液入口ポート51aに設けられた一方弁51c(入口側一方弁)を介して圧送シリンダ51内(具体的には、圧送シリンダ51の内側領域の内、ピストンヘッド52aから液入口側(図3(a)において下側)の領域。以下、第1内側領域51dとも言う)に導入される。
なお、前記一方弁51cは、液入口ポート51aを介して圧送シリンダ51へ導入される液状材料の液流の形成を許可するが、その反対方向の液流の形成を阻止する機能を果たす。
図3(b)に示すように、ピストン52には、圧送シリンダ51の軸方向(換言すればピストンロッド52aの軸方向)において、ピストンヘッド52bを介してその両側に開口する内部液流路52cが形成されている。前記内部液流路52cは、その一端が、圧送シリンダ51内において前記第1内側領域51dに開口し、他端が、ピストンヘッド52bを介して第1内側領域51dとは反対側の内側領域である第2内側領域51eに開口する。
また、ピストン52には、第1内側領域51dから内部液流路52cを介して第2内側領域51eへ流入する液状材料の液流の形成を許可し、その反対方向の液流の形成を阻止する一方弁52dが組み込まれている。図3(b)において、前記一方弁52dは、前記内部液流路52cの途中に介在させてピストン52に組み込まれているが、一方弁52dの位置は、内部液流路52cの端部であっても良い。
このため、ピストン52のピストンヘッド52aが前記圧送シリンダ51内にて液入口側から液出口側へ移動されると、液入口ポート51aに接続された送液ラインの配管から液状材料に、第1内側領域51dに吸引する吸引力を作用させることができる。
ピストンヘッド52bが液出口側への可動限界位置(以下、上死点とも言う)から、反対側、つまり液入口側(図3(a)において下側)の可動限界位置(以下、上死点とも言う)に移動されると、前記第1内側領域51d内の液状材料がピストン52の前記内部液流路52cを通って、第2内側領域51eに流入する。
なお、液出口ポート51bには圧送シリンダ51(具体的には第2内側領域51e)内から送液ホース32、42への液状材料の排出を許可し、逆流を阻止する一方弁51f(出口側一方弁)が設けられている。このため、ピストンヘッド52bが上死点から下死点側に移動されたときには、第1内側領域51d内の液状材料に、ピストンヘッド52bから与えられる圧縮力に加えて、第2内側領域51eに発生する負圧も作用することになり、第1内側領域51dから第2内側領域51eへの液状材料の流入が円滑かつ迅速になされる。
第2内側領域51eに液状材料が充填された状態で、ピストンヘッド52bが下死点から上死点側に移動されると、第2内側領域51e内の液状材料が液出口ポート51bから圧送シリンダ51の外側へ押し出されるとともに、液入口ポート51aを介して送液ラインの液状材料が第1内側領域51dに流入する。
このとき、送液ラインの供給ポンプによる液状材料の送液圧力も、送液ラインから第1内側領域51dへの液状材料の流入に寄与するため、第1内側領域51dへの液状材料の充填を確実に行うことができる。その結果、ポンプ部53(詳細には圧送シリンダ51)内への液状材料の充填状況の不安定に起因するキャビテーションや脈動の発生を防止できる。また、ピストンヘッド52bを下死点から上死点側に移動するための駆動力が小さくて済む、といった利点もある。
なお、塗膜防水材を得るための主剤、硬化剤といった液状材料を圧送機械を用いて、数十mもの長尺のホースに圧送してホース先端のノズルに送給する場合、圧送機械の駆動によって生じる脈動は、通常、長尺のホースによって形成される長い流路においてホースの弾性等によって吸収され、実用上、ホース先端のノズルへの液状材料の供給量に影響が無い程度に減衰される。このことは、本発明に係る圧送ポンプ50からの送液ホース32、42、吐出ノズル60への液状材料の圧送についても同様に言える。
しかしながら、揺変剤の含有によって揺変性が付与されている液状材料を使用した場合、圧送ポンプ内に液状材料が入りにくくなり圧送ポンプにおける液状材料の充填状況が不安定になると、長尺のホースによって形成される流路において吸収できない程度の強い脈動が生じ、ホース先端のノズルへの液状材料の供給量が不安定になるといった問題が生じる。ノズルにおいて主剤と硬化剤とを混合し、得られた塗膜防水材をノズルから吐出する構成の場合、ノズルへの液状材料の供給量が不安定になると、主剤と硬化剤との配合比に影響を与えることになる。
本発明に係る塗膜防水材供給装置によれば、送液ラインの供給ポンプによって液状材料を圧送ポンプに加圧圧送する構成により、揺変剤の含有によって揺変性が付与されている液状材料を使用した場合であっても圧送ポンプ内に液状材料を確実に充填することができるため、圧送ポンプ内への液状材料の充填状況の不安定に起因する脈動の発生を防止することができ、吐出ノズルへの液状材料の供給量を安定維持でき、主剤と硬化剤との配合比を安定に保つことができる。
上述の構成のシリンダポンプ50であれば、例えば、ポンプ部として、液出口ポートが圧送シリンダ51の軸方向一端側(液入口ポートと同じ側)に存在して、ピストン52の往復動によって送液ラインから第1内側領域51dに吸引した液状材料を第1内側領域51dから液出口ポートを介して送出する構成のものを採用した場合(本発明は、この場合も含む)に比べて、ピストン52の往復動に要する駆動力が小さくて済む。
前記シリンダポンプ50のポンプ部53であれば、既述のように、ピストンヘッド52bを下死点から上死点側に移動するための駆動力が小さくて済む。また、ピストンヘッド52bが上死点から下死点側に移動されたときに、第1内側領域51d内の液状材料がピストン52の前記内部液流路52cを通って第2内側領域51eに流入する構成により、ピストンヘッド52bを上死点から下死点側に移動するための駆動力も小さくて済む。このため、ピストン52の往復動に要する駆動力が小さくて済む上、上死点及び下死点におけるピストン52の移動方向の変更に伴う振動や騒音の発生も抑えることができる。
液出口ポート51bから圧送シリンダ51の外側へ押し出された液状材料は、圧送ポンプ50に設けられている吐出ポート部材56a、56bから、該吐出ポート部材56a、56bに接続されている送液ホース32、42に圧送される。吐出ポート部材56a、56bは、その内部に、圧送ポンプ50のポンプ部53から送り込まれた液状材料を前記送液ホース32、42に流入させるための流路を有している。
主剤圧送用の2本の圧送シリンダ51(主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51)の液出口ポート51bは接続配管57を介してひとつの吐出ポート部材56aと接続されており、前記2本の圧送シリンダ51からそれぞれ押し出された液状部材は、吐出ポート部材56aにて合流されて、該吐出ポート部材56aに設けられている吐出口から主剤用の1本の送液ホース32に圧送される。
一方、硬化剤圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51の液出口ポート51bは接続配管58を介して、主剤用の吐出ポート部材56aとは別の吐出ポート部材56bに接続されており、硬化剤圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51から押し出された液状部材は、吐出ポート部材56bを経由して硬化剤用の1本の送液ホース42に圧送される。
ひとつの駆動装置54によって主剤圧送ポンプ部50aと硬化剤圧送ポンプ部50bとを駆動する構成の圧送ポンプであれば、主剤と硬化剤とを目的の配合比に対応する流量で吐出ノズル60に連続的に圧送することを容易に実現できる。また、塗膜防水材供給装置の低コスト化、コンパクト化の点でも有利である。
送液ライン(主剤送液ライン30、硬化剤送液ライン40)によって吐出ノズル60に送液する主剤20a、硬化剤20bの粘度は必ずしも一致しない。
このため、図2に示す塗膜防水材供給装置10のシリンダポンプ50にあっては、2つの主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51が1つの硬化剤用圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51の両側に配置されるようにして、3つのポンプ部53の圧送シリンダ51を互いに並列に設け、可動部材55から各ポンプ部53のピストン52に作用する駆動力の均等化を図っている。2つの主剤圧送ポンプ部50aとして構造及びサイズが互いに同じものを用い、各主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51の、硬化剤用圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51からの距離を同じに揃えることで、可動部材55から各ポンプ部53のピストン52に作用する駆動力の均等化を容易に実現できる。すなわち、可動部材55の力点バランスを均等にとることが可能となる。
可動部材55から各ポンプ部53のピストン52に作用する駆動力の均等化を図ることにより、可動部材55に作用する応力の偏在を防止でき、シリンダポンプ50の作動精度の長期安定維持や耐久性向上、振動低減、駆動エネルギー(具体的には電動モータ54aの消費電力)の低減に寄与する。また、主剤20a及び硬化剤20bの圧送圧力や送液量の安定にも寄与することは言うまでも無い。
なお、圧送ポンプ50は、例えば、ポンプ部53のピストン52の往復動が56〜84回/min、液状材料の圧送量が13〜18kg/minであることが好ましいが、これに限定されるものではない。
また、主剤と硬化剤との配合比は例えば3:1(主剤が硬化剤の3倍)程度とすることができるが、これに限定されるものではない。図2の塗膜防水材供給装置10のシリンダポンプ50の各ポンプ部53の圧送シリンダ51の容積は主剤と硬化剤との配合比に対応させる。例えば、主剤と硬化剤との配合比が3:1(主剤が硬化剤の3倍)のとき、図2、図3(a)に示すように、硬化剤圧送用ポンプ部50bの圧送シリンダ51として、主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51よりも細い(軸方向に垂直の断面積が小さい)ものを採用し、軸方向に垂直の断面積の比を主剤と硬化剤との配合比に対応させる。
図5に示すように、この塗膜防水材供給装置10にあっては、前記主剤送液ライン30の前記送液ホース32の流路断面積と前記硬化剤送液ライン40の前記送液ホース42の流路断面積との比が、前記主剤送液ライン30から前記吐出ノズル60に送液する主剤の供給量(圧送量)と前記硬化剤送液ライン40から前記吐出ノズル60に送液する硬化剤の供給量(圧送量)との比、つまり吐出ノズル60における主剤、硬化剤の配合比に揃えられている。
主剤送液ライン30、硬化剤送液ライン40の送液ホース32、42は、圧送ポンプ50からの液状材料の送液量(圧送量)に対応して、ホース内部に液状材料の送液に使用しない無駄な空隙が生じず、流路断面積全体が液状材料の送液に使用されるように、その内径を選択して使用することが、細径化、軽量化の点で好ましい。
送液ホース32、42の流路断面積全体が液状材料の送液に使用される場合、主剤送液ライン30の前記送液ホース32の流路断面積と硬化剤送液ライン40の前記送液ホース42の流路断面積との比が、前記主剤送液ライン30から前記吐出ノズル60に送液する主剤の供給量(圧送量)と前記硬化剤送液ライン40から前記吐出ノズル60に送液する硬化剤の供給量(圧送量)との比と揃えられている構成であれば、シリンダポンプ50の主剤圧送ポンプ部50aから主剤を圧送する圧力と硬化剤圧送ポンプ部50bから硬化剤を圧送する圧力とを均等化させることができる。このことも、可動部材55から各ポンプ部53のピストン52に作用する駆動力の均等化、可動部材55の力点バランスの均等化に寄与する。
なお、本発明に係るシリンダポンプとしては、上述のように、3つのポンプ部53を具備する構成に限定されず、ポンプ部53を4以上具備し、各ポンプ部53の圧送シリンダ51を互いに並列に配列した構成も採用可能である。また、主剤圧送用の圧送シリンダの数が硬化剤圧送用の圧送シリンダ51の数よりも多い構成に限定されず、主剤圧送用の圧送シリンダよりも硬化剤圧送用の圧送シリンダ51の方が数が多い構成も採用可能である。但し、可動部材55から各ポンプ部53のピストン52に作用する駆動力の均等化を図るため、前記主剤及び前記硬化剤の一方の圧送用の圧送シリンダである偶数本の第1圧送シリンダが、両端の圧送シリンダの間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置され、前記主剤及び前記硬化剤の他方の圧送用の圧送シリンダである第2圧送シリンダが前記中央位置を介して両側に対称の位置及び/又は前記中央位置に配置されている構成とする。
図3(a)に例示した圧送ポンプ50は、互いに離隔させて並列に設けられた2本の主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51(第1圧送シリンダ)の間の中央位置に、硬化剤圧送用ポンプ部50bの圧送シリンダ51(第2圧送シリンダ)が配置された構成になっている。
例えば、図4(a)は、主剤圧送用ポンプ部50aを2つ、硬化剤圧送用ポンプ部50bを2つ具備する圧送ポンプ50Aを例示する。2つの硬化剤圧送用ポンプ部50bのそれぞれの圧送シリンダ51(第2圧送シリンダ)は、互いに離隔して設けられた2つの主剤圧送用ポンプ部50aの計2本の圧送シリンダ51(第1圧送シリンダ)の間にて、主剤用の2本の圧送シリンダ51の間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置されている。
また、図4(b)は、主剤圧送用ポンプ部50aを3つ、硬化剤圧送用ポンプ部50bを2つ具備する圧送ポンプ50Bを例示する。この圧送ポンプ50Bでは、5つのポンプ部53に対応する計5本の圧送シリンダ51が並列に配列されている。主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51が配列の両端に配置されており、この両端の圧送シリンダ51の間の中間位置にも主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51が配置されている。また、2つの硬化剤圧送用ポンプ部50bの圧送シリンダ51は、両端の圧送シリンダ51の間の中間位置を介して両側に対称の位置に配置されている。
なお、例えば図4(a)、(b)に例示したように、硬化剤圧送用ポンプ部50bを2つ以上具備する構成の場合は、硬化剤用の吐出ポート部材56bとして、接続配管58を介して、全ての硬化剤圧送用ポンプ部50bの液出口ポート51aから送出される液状材料が流入するように接続でき、全ての硬化剤圧送用ポンプ部50bから送出される硬化剤を合流させて、ひとつの吐出口から吐出する構成のものを採用し、全ての硬化剤圧送用ポンプ部50bから送出される硬化剤をこの吐出ポート部材56bに接続された1本の送液ホース42に流入させるようにする。
また、主剤圧送用ポンプ部50aを複数具備する構成の場合、全ての主剤圧送用ポンプ部50aから送出される主剤を合流させて、1本の送液ホース32に流入させることができる構成の吐出ポート部材56aを採用する。
主剤送液ライン30の圧送ポンプと硬化剤送液ライン40の圧送ポンプとを兼ねる構成の圧送ポンプとしては、ひとつの駆動装置54によって主剤圧送ポンプ部50aと硬化剤圧送ポンプ部50bとを駆動する構成により、主剤20aと硬化剤20bとを別々の送液ライン30、40によって吐出ノズル60に送液するための圧送装置として機能するものであれば良く、シリンダポンプに限定されず、例えばプランジャポンプ、ギアポンプ、ダイアフラムポンプ等であっても良い。
但し、塗膜防水材供給装置の低コスト化、コンパクト化の点では、上述のようなシリンダポンプやプランジャポンプを採用することが好適である。
なお、図2に示すように、前記駆動装置54は、駆動源54aである電動モータ(以下、駆動源54aを電動モータとも言う)の駆動力を、変速機54bと、クラッチ54cと、電動モータ54aの出力軸の駆動力を可動部材55の往復動に変換するための変換機構(具体的には、偏心カム54d)とを介して可動部材55に伝達して可動部材55を往復動させる構成であり、変速機54bによって、変換機構に伝達する電動モータ54aの回転数を変更することができる。
図2において符号70はホースリールである。吐出ノズル60は、送液ホース32、42のホースリール70から引き出された先端に接続されている。
なお、送液ホース32、42は、それぞれ、圧送ポンプ50からホースリール70までの連絡ホース32a、42aと、ホースリール70から吐出ノズル60までの主ホース32b、42bとを、ホースリール70にて接続した構成になっている。
また、図2に例示した塗膜防水材供給装置10は、溶剤タンク81と、溶剤タンク81中の溶剤を吸い出して吐出ノズル60に送液するためのポンプ82と、吐出ノズル60とポンプ81とを接続する溶剤用送液ホース83とを具備して構成された洗浄ライン80を有しており、吐出ノズル60からの塗膜防水材20の吐出終了時、中断時などに、ポンプ81の駆動力によって吐出ノズル60に洗浄用の溶剤を供給して、吐出ノズル60内を洗浄することができる。吐出ノズル60内部から材料(主剤、硬化剤、塗膜防水材)を排出することで、吐出ノズル60の詰まりを防止することができる。
なお、上記洗浄ライン80は、図1の塗膜防水材供給装置1にも設けられている。
図6に示すように、塗膜防水材供給装置は、主剤用、硬化剤用の送液ラインにおいて供給ポンプ31、41と圧送ポンプ50とを接続するポンプ間送液ライン35、45として、前記液状材料を貯留する予備タンク351、451を具備するものを採用し、前記予備タンク351、451と前記容器21、22とを前記返送用配管33、43を介して接続した構成としても良い。
図6に示す塗膜防水材供給装置10Aは、ポンプ間送液ライン35、45のみが、図2、図3(a)、(c)、図5を参照して説明した既述の塗膜防水材供給装置10と相違し、ポンプ間送液ライン35、45以外の構成は既述の塗膜防水材供給装置10と同様になっている。
この塗膜防水材供給装置10Aの主剤送液ライン30Aの前記ポンプ間送液ライン35は、予備タンク351と、供給ポンプ31から予備タンク351への送液用の1本の配管352(以下、入口側配管)と、予備タンク351から圧送ポンプ50への送液用の2本の配管353(以下、出口側配管)とを具備して構成されている。ポンプ間送液ライン35の2本の出口側配管353は、圧送ポンプ50の2つの主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51と予備タンク351とを接続するものである。主剤送液ライン30Aにあっては、2つの主剤圧送用ポンプ部50aの圧送シリンダ51がそれぞれ1本の出口側配管353を介して予備タンク351と接続されている。
一方、硬化剤送液ライン40Aの前記ポンプ間送液ライン45は、予備タンク451と、供給ポンプ41から予備タンク451への送液用の1本の配管452(以下、入口側配管)と、予備タンク451から圧送ポンプ50への送液用の1本の配管453(以下、出口側配管)とを具備して構成されている。
返送用配管33、43は、リリーフ弁33a、43aを介して予備タンク351、451に接続されている。予備タンク351、451は密閉性(液密性及び気密性)を有しており、供給ポンプ31、41がポンプ間送液ライン35、45を介して圧送ポンプ50に液状材料を圧送する圧力は、ポンプ間送液ライン35、45中の液状材料全体に作用する。前記供給ポンプ31、41から前記圧送ポンプ50に供給する液状材料の過剰分は、予備タンク351、451から該予備タンク351、451に接続されている返送用配管33、43を介して容器21に返送される。
この塗膜防水材供給装置10Aの場合、例えば容器21、22の交換の際に、予備タンク351、451内に貯留されている液状材料を使用して、塗膜防水材の現場への供給を継続できるといった利点がある。このとき、容器21、22の交換作業中、供給ポンプ31、41から予備タンク351、451への空気の圧送が継続されることで、予備タンク351、451から圧送ポンプ50への材料圧送が継続されるため、圧送ポンプ50から送液ホース32、42への材料圧送に支障は生じない。
次に、本発明に適用する塗膜防水材の主剤、硬化剤について説明する。
前記主剤20a及び前記硬化剤20bとしては、その一方又は両方に、揺変剤を含有し揺変性を有するものを採用する。主剤20a及び硬化剤20bの片方のみに揺変剤によって揺変性を付与する場合は、圧送時の圧損が大きい方を選択することが有利である。
ここでは、塗膜防水材として、イソシアネート成分を含む主剤と硬化剤(硬化剤成分としてポリオール成分及び/又は架橋剤を含むもの)とからなる2液型のウレタン防水材を、塗膜防水材供給装置を用いて現場に供給する場合について説明する。
主剤のイソシアネート成分としては、2官能のイソシアネートであるジイソシアネートであり、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を挙げることができる。
ポリオール、架橋剤としては、ジイソシアネートとの反応によるポリウレタンの合成に用いられる周知ものを採用できる。架橋剤としては、カルボキシ基、アミノ基などの官能基を持つものを挙げることができ、例えばポリアミン等を用いることができる。
硬化剤としては、硬化剤成分として、ポリオール及び架橋剤のうち、ポリオールのみを含むもの、架橋剤のみを含むもの、ポリオール及び架橋剤の両方を含むもの、のいずれも採用可能である。
揺変剤としては有機系のものと無機系のものとがある。有機系の好適な揺変剤としては、例えば、酸化ポリエチレン、脂肪酸アマイド、脂肪酸グリセリン、脂肪酸エステル等の合成ワックス、尿素ウレタン、硫酸エステル、ポリカルボン酸、硬化ヒマシ油、セルロース等を挙げることができる。無機系の好適な揺変剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック、クレータルク、カーボンブラック、酸化チタン、生石灰、カオリン、ゼオライト、珪藻土、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、ベントナイト等を挙げることができる。
揺変剤によって揺変性を付与した液状材料は、送液ラインによって吐出ノズル60に送液する際に、供給ポンプ31、41、圧送ポンプ50の圧送力が作用することによって、静置時に比べて粘度が低下する。
そして、本発明者は、揺変剤を含有する液状材料を圧送ポンプ50によって送液ホース32、42に圧送することで、揺変剤を含有していない液状材料に比べて低圧での圧送を実現できることを見出した。液状材料として揺変剤を含有するものを用いることで、送液ホース32、42として細いものを採用することが可能となる。
また、本発明に係る塗膜防水材供給装置では、供給ポンプ31、41から圧送ポンプ50内への液状材料の充填を円滑かつ確実に行えるようにし、圧送ポンプ50への液状材料の充填状況の不安定に起因するキャビテーションや脈動の発生を防止することに鑑みて、揺変剤の含有によって揺変性が付与された液状材料を供給ポンプによって圧送ポンプに加圧供給する構成とした。すなわち、既述のように、供給ポンプ31、41の吐出量を圧送ポンプ50の吐出量よりも大に設定し、供給ポンプ31、41から圧送ポンプ50へ液状材料を加圧供給する。この構成により、圧送ポンプへの液状材料の導入を確実かつ円滑に実現でき、圧送ポンプへの液状材料の充填状況の不安定に起因するキャビテーションや脈動の発生を防止できる。
(供給試験)
揺変剤を含有し互いに配合が異なる複数種類の硬化剤と、主剤とを用意し、図2、図3(a)、(b)を参照して説明した塗膜防水材供給装置10を用いて、主剤と硬化剤との組み合わせによる複数種類の塗膜防水材(実施例1〜3、比較例1の計4種類の硬化剤)の供給試験を行った。その結果を表1に纏めて示した。
なお、実施例1〜3、比較例1について、主剤は変更することなく同じものを用いた。
主剤は、トリレンジイソシアネート(TDI)を13.4重量%、ポリオール成分を76.6重量%、可塑剤(アジピン酸ジイソノニル)を10重量%の配合のものを用いた。
実施例1〜3、比較例1の塗膜防水材の硬化剤の配合は表1の通りである。いずれの硬化剤も、架橋剤はポリアミンを用いている。また、実施例2の硬化剤の可塑剤はアジピン酸ジイソノニル、実施例3の硬化剤の可塑剤もアジピン酸ジイソノニルを用いている。実施例2、3の有機系揺変剤は変性ウレア溶液、実施例1〜3の無機系揺変剤は炭酸カルシウムである。
主剤送液ライン用の送液ホースとして、流路断面積283.4mm、内径19mm(6/8インチ)、長さ90mのものを用いた。硬化剤送液ライン用の送液ホースとして、流路断面積70.8mm、内径9.5mm(3/8インチ)、長さ30mの第1ホースの片端に、流路断面積126.6mm、内径12.7mm(4/8インチ)、長さ30mの第2ホースを接続したものを用いた。硬化剤送液ライン用の送液ホースは、第1ホース側の端部を圧送ポンプの吐出口(具体的には図3(a)の吐出ポート部材56bに開口する吐出口)に接続して使用した。
また、シリンダポンプ50は、2つの主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51の内側領域のシリンダ軸方向に垂直の断面積の合計が、硬化剤圧送ポンプ部50bの圧送シリンダ51の内側領域のシリンダ軸方向に垂直の断面積の3倍となるように、3つの圧送シリンダ51のサイズを選択して用いた。2つの主剤圧送ポンプ部50aの圧送シリンダ51の内側領域のシリンダ軸方向に垂直の断面積は、互いに同じに揃っている。
Figure 0005315006
表1の「wt%」は重量%を意味する。
表1の「粘度[mPa・s/23℃]」欄は、図2、図3(a)、(b)を参照して説明した塗膜防水材供給装置10の硬化剤送液ライン40を用いて硬化剤を送液し、圧送ポンプ50の吐出口(具体的には図3(a)の吐出ポート部材56bに開口する吐出口)にて計測した粘度を意味する。但し、駆動装置54の変換機構(偏心カム54d)の回転数を20rpmとしたときの粘度(回転粘度)を記載している。
また、各硬化剤について、回転数20rpmの粘度(回転粘度η1)の他に、回転数2rpmの粘度(回転粘度η2)を計測し、チクソインデックスT.I.=η2/η1を算出して、その結果を表1の「T.I.」欄に纏めた。
表1の「圧力[MPa]」欄、吐出量[/min]欄の数値、及び、「判定」欄の判定結果は、圧送ポンプの駆動装置54の偏心カム54dの回転数を20rpmとしたときの計測値、判定結果である。なお、硬化剤の粘度の違いによる回転数の変化が生じないように、圧送ポンプの電動モータは周波数を一定に固定して駆動させている。
表1の「圧力[MPa]」欄は、圧送ポンプ50の吐出口(具体的には図3(a)の吐出ポート部材56bに開口する吐出口)にて計測した計測値(MPa)を記載している。
表1の「吐出量[/min]」欄は、吐出ノズルの吐出口からの塗膜防水材の吐出量であり、換言すれば吐出ノズルからの主剤及び硬化剤の吐出量の合計値を記載している。
表1の「判定」欄は、キャビテーション無、表1の「圧力」の値が16MPa以下、表1の吐出量が14kg/min以上、の全てを満たす場合に○、キャビテーション、圧力、吐出量のいずれか1以上を満たしていない場合に×を記載している。
供給試験の結果、実施例1、2、3は、いずれも、キャビテーション、圧力、吐出量の全てを満たしており判定結果が「○」であった。比較例1は、キャビテーションの発生は見られなかったものの、「圧力」が16MPaを超えており、吐出量が14kg/minに達しなかった。
表1の結果、実施例1と比較例1とを対比すると、実施例1は、粘度[mPa・s/23℃]の値が比較例1よりもかなり高いが、圧力[MPa]は比較例1よりも低く、吐出量[/min]は比較例1よりも多かった。すなわち、実施例1では、比較例1に比べて低圧で多量圧送を実現できることが判った。実施例2、3と比較例1との対比についても同様の傾向が得られた。
実施例1、2、3が比較例1に比べて低圧での多量圧送を実現できる理由は、さらに詳細な分析、検討が必要であるものの、実施例1、2、3のT.I.の値が比較例1に比べて格段に高いことが有効に寄与しているものと考えられる。送液ホースの内面付近では送液ホース内を流れる硬化剤が送液ホース内面との接触抵抗によって流れが遅くなっているのに対し、送液ホース内面から離れた所では送液ホース内を流れる硬化剤の流速に前記接触抵抗が与える影響が小さく、送液ホースの内面付近に比べて硬化剤の流速が速くなっており、送液ホース内面付近を流れる硬化剤と送液ホース内面から内側に離隔した位置を流れる硬化剤との間で剪断運動が生じると考えられるため、実施例1、2、3のT.I.の値が比較例1に比べて格段に高いことが、低圧での多量圧送の実現に有効に寄与しているものと考えられる。
さらに、実施例3は、実施例1に比べて硬化剤の粘度[mPa・s/23℃]の値がほぼ同等であるものの、圧力[MPa]は実施例1よりも格段に低く、吐出量[/min]は実施例1よりも明らかに多くなった。実施例3の硬化剤のT.I.値は実施例1の硬化剤の約3.8倍であり、このことからもT.I.値と圧力[MPa]の低減との関係性が認められた。
また、実施例2についても、圧力[MPa]が実施例1よりも格段に低く、吐出量[/min]が実施例1よりも明らかに多くなった。但し、実施例2の圧力[MPa]値は、実施例3よりも高く、実施例1と実施例3との平均値にほぼ近い数値となった。実施例2の硬化剤のT.I.値は実施例1の約2.3倍であり、実施例3の硬化剤に比べてT.I.値が低いことが、圧力[MPa]値が実施例3よりも高いことの原因になっているものと考えられる。
表1の結果、T.I.値が高いほど低い圧力での圧送が可能であることが判る。
揺変剤を含有していない比較例1との対比で液状材料(ここでは硬化剤)の低圧での圧送を実現するためには、T.I.値が2.0以上であることが好ましい。
なお、実施例2、3の吐出量[/min]は18kg/minで同じになっているが、これは、圧送ポンプの電動モータを周波数が一定の固定値となるように駆動させたことにより、硬化剤の圧送ポンプによる圧送量が、圧送ポンプによる設定周波数における硬化剤の圧送量の上限付近に達していることによる。例えば、圧送ポンプの電動モータの駆動周波数を固定せず供給電流値を一定として塗膜防水材供給装置を運転した場合には、実施例2、3の吐出量と実施例1の吐出量との差が一層顕著に現れるものと考えられる。
本発明に係る実施例1、2、3によれば、揺変剤を含有する硬化剤の使用によって、硬化剤について、低圧での多量圧送を実現できる結果、比較例1に比べて低圧での多量圧送を実現できる。このため、硬化剤用の送液ホースとして細く、軽量のものを使用できる。
また、主剤についても揺変剤を含有するものを使用することで、硬化剤と同様に、低圧での多量圧送を実現することが可能である。主剤、硬化剤の両方に、揺変剤を含有するものを使用すれば、主剤用の送液ホース及び硬化剤用の送液ホースの両方について、細径化及び軽量化を実現できる。
2液型ウレタン防水材の場合、主剤に比べて硬化剤に粘度が高いものが多いため、硬化剤用の送液ホースの細径化、軽量化は、実用上の有効性が高いが、主剤用の送液ホースについても細径化、軽量化を実現すれば、塗膜防水材供給装置を用いたウレタン防水材(塗膜防水材)の施工作業上、施工効率の向上に一層有効に寄与することは言うまでもない。
送液ホースの細径化は、車両による送液ホースの搬送時に送液ホースの収納スペースを縮小できるため、塗膜防水材供給装置全体のコンパクト化に有効に寄与するものであり、塗膜防水材供給装置を搬送するための車両の小型化を実現できる。ホースリール70も小型化、軽量化が可能となる。
また、送液ホースの軽量化は、ホースの移動等に用いるウィンチ等の機械が簡易なもので済み、機械の省略が可能なケースも生じる等の利点がある。また、吐出ノズル60を、作業者が手動で楽に移動操作できるものとすることも可能である。
また、ひとつの駆動装置54によって主剤圧送ポンプ部50aと硬化剤圧送ポンプ部50bとを駆動する構成の圧送ポンプ(特に、図2、図3(a)、(b)を参照して説明した塗膜防水材供給装置10のシリンダポンプ50)であれば、主剤と硬化剤とを目的の配合比に対応する流量で吐出ノズル60に連続的に圧送することを容易に実現でき、また、塗膜防水材供給装置全体の低コスト化、コンパクト化の点でも有利である。塗膜防水材供給装置全体のコンパクト化は、塗膜防水材供給装置の構成機材を搬送するための車両の小型化が可能になる、といった利点がある。
また、圧送ポンプ50及び供給ポンプ31、41を、電動モータによって駆動される構成とすることも、コンパクト化の点で好ましい。この場合、例えば油圧駆動と比べて駆動源自体の小型化、塗膜防水材供給装置の構成機材の削減、コンパクト化を容易に実現できる。
図2、図3(a)、(b)を参照して説明した塗膜防水材供給装置10の試作の結果、塗膜防水材供給装置10を構成する全ての機材をワゴン車1台に搭載することが可能であった。この点、従来、2tトラックの使用が一般的であったことに比較して、大幅なコンパクト化を実現できた。
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
例えば、図2、図3(a)、(b)に例示した塗膜防水材供給装置10の圧送ポンプ50として、2つの主剤圧送ポンプ部50aと1つの硬化剤圧送ポンプ部50bとを具備する構成のシリンダポンプを例示したが、シリンダポンプとしては、例えば、1つの主剤圧送ポンプ部50aと2つの硬化剤圧送ポンプ部50bとを具備する構成としても良い。
圧送ポンプとして用いるシリンダポンプとしては、主剤圧送用の偶数本の圧送シリンダが、シリンダポンプに互いに並列に3本以上設けられた圧送シリンダの内の両端の圧送シリンダの間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置され、硬化剤圧送用の圧送シリンダが前記中央位置を介して両側に対称の位置及び/又は前記中央位置に配置されている構成の他に、硬化剤圧送用の偶数本の圧送シリンダが、シリンダポンプに互いに並列に3本以上設けられた圧送シリンダの内の両端の圧送シリンダの間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置され、主剤圧送用の圧送シリンダが前記中央位置を介して両側に対称の位置及び/又は前記中央位置に配置されている構成も採用可能である。
本発明に係る塗膜防水材供給装置の概要を説明する構成図である。 図1の塗膜防水材供給装置の具体例を説明する構成図である。 (a)は図2の塗膜防水材供給装置の圧送ポンプ(シリンダポンプ)の構成を説明する部分断面図、(b)は前記圧送ポンプのポンプ部を構成するピストンの構造を説明する断面図である。 (a)、(b)は、本発明に係る塗膜防水材供給装置の圧送ポンプ(シリンダポンプ)の他の態様を説明する図である。 図2の塗膜防水材供給装置の主剤送液ラインの送液ホース及び硬化剤送液ラインの送液ホースの流路断面積の関係を説明する図(断面図)である。 供給ポンプと圧送ポンプとの間のポンプ間送液ラインに予備タンクを具備する構成の塗膜防水材供給装置の例を示す構成図である。 従来例の液状防水材供給装置を説明する構成図である。
符号の説明
1…塗膜防水材供給装置、10、10A…塗膜防水材供給装置、
20…塗膜防水材、20a…主剤、20b…硬化剤、21、22…容器、
30、30A…主剤送液ライン、31…供給ポンプ、31a…流路分岐ブロック、31b…駆動源(電動モータ)、31c…サクション用配管、32…送液ホース、33…返送用配管、33a…リリーフ弁、34…ポンプ間送液ライン、34a…配管、35…ポンプ間送液ライン、351…予備タンク、352…入口側配管、353…出口側配管、
40、40A…主剤送液ライン、41…供給ポンプ、41a…流路分岐ブロック、41b…駆動源(電動モータ)、41c…サクション用配管、41d…ヒーター、42…送液ホース、43…返送用配管、43a…リリーフ弁、44…ポンプ間送液ライン、44a…配管、45…ポンプ間送液ライン、451…予備タンク、452…入口側配管、453…出口側配管、
50…圧送ポンプ、50a…主剤圧送ポンプ部、50b…硬化剤圧送ポンプ部、51…シリンダ、圧送シリンダ、51a…液入口ポート、51b…液出口ポート、51c…一方弁、51d…第1内側領域、51e…第2内側領域、51f…一方弁、52…ピストン、52a…ピストンロッド、52b…ピストンヘッド、52c…内部液流路、52d…一方弁、53…ポンプ部、54…駆動装置、54a…駆動源(電動モータ)、54b…変速機、54c…クラッチ、54d…変換機構(偏心カム)、55…可動部材、56a、56b…吐出ポート部材、57、58…接続配管
60…吐出ノズル、61…混合装置、62…ノズル本体、
70…ホースリール、
80…洗浄ライン、81…溶剤タンク、82…ポンプ、83…溶剤用送液ホース。

Claims (6)

  1. 主剤と硬化剤とを混合して得られる2液型の塗膜防水材を施工現場に供給するための塗膜防水材供給装置であって、
    前記塗膜防水材を得るための液状材料である前記主剤と前記硬化剤とを混合するための混合装置を有し該混合装置にて得られた前記塗膜防水材を吐出する吐出ノズルと、主剤と硬化剤とを容器から前記吐出ノズルの前記混合装置に別々に送液するための複数の送液ラインとを具備し、前記主剤及び前記硬化剤の一方又は両方が揺変剤を含有するものであり、
    前記送液ラインは、前記液状材料を前記混合装置に送液するための圧送ポンプと、前記容器から前記液状材料を吸い出して前記圧送ポンプに供給する供給ポンプと、前記圧送ポンプから前記吐出ノズルの前記混合装置への前記液状材料の送液用の可撓性の送液ホースとを具備し、前記供給ポンプがギアポンプあるいはダイアフラムポンプであり、前記供給ポンプによって前記液状材料が前記圧送ポンプに加圧供給され
    前記主剤を容器から前記吐出ノズルの混合装置に送液するための送液ラインである主剤送液ラインの圧送ポンプと、前記硬化剤を容器から前記吐出ノズルの混合装置に送液するための送液ラインである硬化剤送液ラインの圧送ポンプとを兼ねるシリンダポンプを具備し、
    前記シリンダポンプは、前記供給ポンプから供給された液状材料を前記送液ホースを介して前記混合装置に圧送するための圧送シリンダを3本以上有し、各圧送シリンダに設けられたピストンが駆動装置によって往復動されるひとつの可動部材に取り付けられて一括移動されるように構成されており、
    前記圧送シリンダは互いに並列に設けられ、しかも、前記主剤及び前記硬化剤の一方の圧送用の圧送シリンダである偶数本の第1圧送シリンダが、両端の圧送シリンダの間の中央位置を介して両側に対称の位置に配置され、前記主剤及び前記硬化剤の他方の圧送用の圧送シリンダである第2圧送シリンダが前記中央位置を介して両側に対称の位置及び/又は前記中央位置に配置されていることを特徴とする塗膜防水材供給装置。
  2. 前記圧送ポンプが、前記液状材料の圧送用の圧送シリンダに内挿されたピストンの往復動によって液状材料を圧送する構成のポンプ部を有するものであることを特徴とする請求項1記載の塗膜防水材供給装置。
  3. 前記送液ラインは、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに液状材料を供給するためのポンプ間送液ラインと前記容器とが、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに供給する液状材料の過剰分を前記容器に戻すための返送用配管を介して接続されていることを特徴とする請求項1又は2記載の塗膜防水材供給装置。
  4. 前記ポンプ間送液ラインは前記液状材料を貯留する予備タンクを具備し、前記予備タンクと前記容器とが前記返送用配管を介して接続されていることを特徴とする請求項3記載の塗膜防水材供給装置。
  5. 前記主剤送液ライン及び前記硬化剤供給ラインには、前記供給ポンプから前記圧送ポンプに液状材料を供給するためのポンプ間送液ラインが前記圧送シリンダの個々に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の塗膜防水材供給装置。
  6. 主剤送液ラインは前記シリンダポンプの主剤圧送用の全ての圧送シリンダから1本の送液ホースによって主剤を圧送するように構成され、硬化剤送液ラインは前記シリンダポンプの硬化剤圧送用の全ての圧送シリンダから1本の送液ホースによって主剤を圧送するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の塗膜防水材供給装置。
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