JP5314636B2 - 到達坑口の止水方法、止水構造および推進機回収装置 - Google Patents

到達坑口の止水方法、止水構造および推進機回収装置 Download PDF

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Description

本発明は、推進トンネルの施工時における到達坑口の止水方法、止水構造および推進機回収装置に関する。
推進工法によりトンネルを構築する場合には、推進機により地中を切削するとともに、この推進機の後方に推進管を配置し、この推進管を利用して推進機を推し進める。
地下水位以深におけるトンネル施工においては、発進坑口や到達坑口での鏡付けの際に、土砂や地下水等が噴出するおそれがある。そのため、土砂や地下水等の噴出を防止するための止水構造が多数開発されている。
例えば、特許文献1には、予め到達坑口にエントランスパイプを配置しておき、このエントランスパイプにより推進機を受け止めることで、到達坑口部における止水性を確保するとともに、推進機の回収を簡易に行うことを可能とした止水構造が開示されている。
この特許文献1の止水構造は、エントランスパイプの口元に取り付けられた詰め部材と、詰め部材内に埋設された注入管を備えており、推進機と推進管が詰め部材を貫通した後、推進管と詰め部材との間の隙間に注入管を介して注入材を注入することで、止水性を確保している。
特開2007−23546号公報
特許文献1の止水構造によれば、注入材が硬化して止水性を確保した後、エントランスパイプを解体して推進機を回収することを可能としている。
ところが、注入材が硬化するまでの間は作業を進めることができないため、推進機を転用して複数の推進トンネルを構築する場合には、全体工期の短縮化の妨げとなる場合があった。
このような観点から、本発明は、注入材が硬化する前においても推進機の回収を行うことを可能とした到達坑口の止水方法、止水構造および推進機回収装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明に係る到達坑口の止水方法は、モルタルが充填された取付部を到達坑口部に形成するとともに、第一止水部および収容部を前記取付部に取り付ける工程と、前記収容部内に水を注入する工程と、推進機が前記収容部内に進入した後、前記第一止水部内の第一シール部材を前記推進機後方の推進管の外周囲に密着させる工程と、前記収容部を解体して前記推進機を回収する工程と、前記取付部内のモルタルと推進管との隙間に注入材を注入する工程と、前記注入材が硬化した後、前記第一止水部を撤去する工程と、を備えることを特徴としている。
かかる到達坑口の止水方法によれば、第一止水部において、止水性を確保しているため、注入材の注入の機能が発揮される前においても推進機の回収を行うことができる。そのため、推進機を転用して複数のトンネル施工を行う場合において、施工サイクルの短縮化が可能となる。
また、第一シール部材により、注入材の注入範囲が規制されるため、従来の止水方法と比較して注入材の注入量の低減化が可能となる。
さらに、注入材による止水性が確保された後は、第一止水部を回収して転用することができるため、費用の削減が可能となる。
前記到達坑口の止水方法において、前記第一止水部と前記収容部との間に第二止水部が介設されており、前記第一止水部による止水が不十分な場合に、前記第二止水部内に配設された第二シール部材を前記推進管の外周囲に密着させることで、止水を行ってもよい。
かかる到達坑口の止水方法によれば、何らかの原因により、第一止水部による止水性が確保できない場合であっても、第二止水部において止水を行うことができるので、注入材の機能が発揮される前においても推進機の回収を行うことができる。
そのため、従来の止水方法よりも工期の短縮化および施工費用の低減化が可能となる。
また、前記到達坑口の止水方法において、前記第一シール部材が、径方向に移動することで前記第一止水部に進入した前記推進機の施工誤差を吸収するものであれば、推進機に施工誤差が生じた場合であっても、第一止水部による止水性を確保することができる。
本発明の止水構造は、推進機の到達坑口部に形成され止水構造であって、到達坑口部に取り付けられた取付部と、前記取付部に接続された第一止水部と、前記第一止水部に接続された収容部と、を備え、前記取付部にはモルタルが充填されており、かつ、前記推進機後方の推進管の外周囲に接続する注入管が配管されていて、前記第一止水部は、前記推進機後方の推進管の外周囲に周設される第一シール部材を備えていることを特徴としている。
かかる止水構造によれば、注入材による止水性が確保できるまでの間、第一止水部の第一シール部材により止水性を確保することができるため、推進機の回収作業等を注入材の注入作業と同時に行うことができ、工期の短縮化を図ることが可能となる。
また、前記止水構造が前記第一止水部と前記収容部との間に第二止水部が介設されており、前記第二止水部は、当該第二止水部の内周面に沿って配設された第二シール部材を備えていれば、第一止水部とともに二重の止水機能を確保することができるため、優れた止水性を発現できる。
さらに、前記止水構造において、前記第一シール部材が、前記推進管の径方向に移動可能に配設されていれば、推進機の施工誤差を吸収して、第一シール部材による止水性能が低下することを防止できる。
本発明の推進機回収装置は、到達坑口部に到達した推進機の収容が可能に形成された収容部と、前記収容部の坑口側に配設された第一止水部と、前記収容部と前記第一止水部との間に介設された第二止水部と、を備えており、前記第一止水部および前記第二止水部が、それぞれ前記推進機後方の推進管の外周囲に周設されるシール部材を備えていることを特徴としている。
かかる推進機回収装置によれば、第一止水部または第二止水部により止水した状態で、推進機を回収することが可能となる。
本発明の到達坑口の止水方法、止水構造および推進機回収装置によれば、止水材の注入と並行して推進機の回収を行うことを可能となる。
本実施の形態に係る止水構造を示す断面図である。 図1の止水構造の一部を示す拡大断面図である。 第一止水部を示す断面図である。 第二止水部を示す断面図である。 本実施形態の到達坑口の止水方法を示す断面図である。 図5に続く到達坑口の止水方法を示す断面図である。 図6に続く到達坑口の止水方法を示す断面図である。 図7に続く到達坑口の止水方法を示す断面図である。
本発明の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
本実施形態では、図1に示すように、隣接する大断面トンネルT1,T2同士を連結するように、一方の大断面トンネルT1から他方の大断面トンネルT2に向けて小断面推進トンネルT3を施工する場合において、本発明の到達坑口部の止水方法、止水構造および推進機回収装置を採用する場合について説明する。
止水構造1は、到達坑口部4(他方の大断面トンネルT2の覆工に設けられた開口)から他方の大断面トンネルT2の坑内へ進入した推進管3に沿って地下水の流入することを防止するとともに、推進機2の早期回収を可能とする。
止水構造1は、到達坑口部4に取り付けられた取付部10と、取付部10に接続された推進機回収装置20と、を備えている。
取付部10は、他方の大断面トンネルT2に形成されるものであり、図2に示すように、取付部本体11と連結体12とを備えて構成されている。
取付部本体11は、到達坑口部4の位置に対応して、他方の大断面トンネルT2の覆工内面に固定されている。この取付部本体11の内部には、モルタル13が充填されている。
到達坑口部4に到達した推進機2はモルタル13を貫通して推進機回収装置に進入する。これに伴い取付部本体11内には、推進機2後方の推進管3が配設される。
取付部本体11は、推進機2の挿通が可能な寸法を有した断面矩形の鋼製の筒状部材からなる。筒状部材には、モルタル注入口15と薬液注入口16とが形成されている。
なお、取付部本体11の断面形状は限定されるものではなく、例えば円形でもよい。また、取付部本体11は、推進機2に施工誤差が生じた場合であっても、推進機2の進入が可能となるように、十分な大きさを有して形成されている。また、本実施形態では、薬液注入口16を2ヶ所有するものとするが、薬液注入口16の数は限定されるものではなく、1ヶ所でもよい。
取付部本体11の内部には、内空側(推進機回収装置20側)の開口部を塞ぐ板材14が配設されている。
板材14は、取付部本体11にモルタル13を注入する際の注入圧に対して十分な耐力を備えているとともに、推進機2による削孔が可能な部材により構成する。
本実施形態では、推進機2が貫通する際に、推進機2に施工誤差が生じることを防止することを目的として、発泡スチーロール等の比較的柔らかい材質の板材を採用する。また、板材14は、取付部本体11にモルタル13を充填する際の型枠としても機能する。なお、板材14の材質や板厚等は限定されるものではないが、板材14が硬い材質だと推進機2が板材14に当接した際に、掘進方向(軸)がぶれるおそれがあるため、削孔のしやすい柔らかい材質であるのが望ましい。
モルタル13は、推進機2による削孔が可能な強度であるとともに、取付部10を挿通した推進管を支持できる強度を備えている。
連結体12は、取付部本体11の推進機回収装置20側に取り付けられた筒状部材である。連結体12の端部周縁には、推進機回収装置20と接続するための接続フランジ12aが一体に形成されている。本実施形態では、連結体12の断面が、取付部本体11の断面よりも小さくなるように形成している。
推進機回収装置20は、図1に示すように、取付部10に接続された第一止水部30と、第一止水部30に接続された第二止水部40と、第二止水部40に接続された収容部50と、を備えている。第一止水部30、第二止水部40および収容部50は分離可能である。
第一止水部30は、取付部10と収容部50との間に配設されている。
第一止水部30は、図3に示すように、円筒状の本体部31と、本体部31の内部に配設された環状の第一シール部材32と、シール部材32を保持する支持リング33と、本体部31の地山側の開口に取り付けられた蓋部材34とを備えている。
本体部31は、円筒状の鋼材であって、両端にそれぞれ接続フランジ31a,31bが形成されている。
取付部材10側の第一接続フランジ31aには蓋部材34が固定される。第一接続フランジ31aと蓋部材34との間には、隙間31cが形成されている。
第一接続フランジ31aにはトンネルT3の軸方向に貫通する複数のボルト孔が形成されており、取付部10(連結体12)の接続フランジ12aとの締着が可能に構成されている。
隙間31cには、後記する支持リング33の一部(円板部33b)が挿入されている。これにより、支持リング33(第一シール部材32)は、上下左右(推進管3の径方向)に移動可能に保持されることになる。
また、第一接続フランジ31aと蓋部材34との間には、本体部31の径方向で進退する3本以上の締め付けボルト35が等間隔で配設されている。
これらの締め付けボルト35を隙間31c内において支持リング33(円板部33b)に当接させることで、第一シール部材32の径方向での移動を拘束する。
第二止水部40側の第二接続フランジ31bは、環状の板材からなり、本体部31の端部外面に一体に形成されている。
接続フランジ31bには、複数のボルト孔(図示省略)が形成されている。接続フランジ31bは、ボルト孔に挿入されたボルトにより第二止水部40と接合される。
第一シール部材32は、推進管3の外周面に沿って地下水が浸透することを防止する部材であって、第一止水部30を貫通する推進管3の外周面に密着する。
第一シール部材32は、環状に形成されたゴム製(樹脂製)のチューブ材により構成されており、推進管3を挿通することができるように、第一シール部材32の内径は推進管3の外径よりも大きくなっている。
第一シール部材32には注入管36が接続されている。第一シール部材32は、注入管36を介して内部に注入された液体や気体(本実施形態では水)の圧力により膨張し、推進管3の外周面に密着する(図2参照)。
第一シール部材32は、支持リング33を介して第一止水部30に配設されている。
支持リング33は、第一シール部材32が配設されるシール固定部33aと、板状の開口付円板部33bと、シール固定部33aと円板部33bとの間に介設された調芯部33cと、を備えている。
シール固定部33aには、第一シール部材32を配設するための凹部33dが形成されている。凹部33dは、内空側に開口した環状の溝条である。シール固定部33aの構成は限定されるものではないが、本実施形態では環状の鋼材からなる。また、シール固定部33aは、調芯部33cを介して円板部33bに一体に固定されている。
円板部33bは、第一止水部の接続フランジ31aと蓋部材34との間に形成された隙間31cに、外周部分が挿入されている。円板部33bは、隙間31cよりも小さい形状からなり、隙間31c内において、上下左右(径方向)に移動することが可能に構成されている。
円板部33bの中央部には開口しており、推進機2および推進管3の挿通が可能に構成されている。
調芯部33cは、円板部33bからシール固定部33aに向かうに従って、内径が縮小するテーパ状を呈した部分である。
このように、第一シール部材32は、支持リング33を介して、径方向に移動が可能に配設されているため、推進機2に施工誤差が生じた場合であっても、径方向に移動することで誤差を吸収し、推進管3を挿通するとともに外周面に密着することが可能に構成されている。
第二止水部40は、図1に示すように、収容部50と第一止水部30との間に介設されており、推進機2および推進管3の挿通が可能に構成されている。
第二止水部40は、図4に示すように、筒状の部材からなる。第二止水部40の内周面には第二シール部材41が固定されている。
なお、第二止水部40の断面形状は、限定されるものではないが、本実施形態では円形とする。
第二シール部材41は、ゴム製(樹脂製)のチューブ材であって、内部に水を注入することで、第二止水部40の中心方向に膨張する。推進管3が第二シール部材41を貫通した状態で第二の止水部材41を膨張させると、推進管3の外周面に密着する。
第二止水部40には、第二の止水部材41に挿通する注水口42と排気口43がそれぞれ下部と上部に形成されている。
第二シール部材41は、注水口42から水を注水することで膨張するとともに、排気口43から第二シール部材41内の空気が排気される。なお、第二シール部材41内の水を排出する際は、注水口42と排気口43との両方を開口することにより行う。
なお、第二シール部材41への注水は、水道管の水圧を利用して行ってもよいし、ポンプ等により圧入してもよい。また、水に代えて他の液体や気体を第二シール部材41内に注入することにより膨張させてもよい。
本実施形態では、第二シール部材41を、カバー材44を介して固定している。カバー材44は、鋼製部材により構成されており、第二シール部材41を覆うように配置され多状態で、ボルト45により第二止水部40の内面に締着されている。第二シール部材41は、カバー材44に覆われているため、第二止水部40内に進入した推進機2が接触して破損することが防止されている。
カバー材44には、軸方向中央部にスリットが形成されており、膨張した第二シール部材41の一部が第二止水部40の中心側に突出することが可能に構成されている。第二シール部材41は、スリットから突出した部分が推進管に密着することで止水を行う。
なお、カバー材44は必要に応じて設置すればよく、省略してもよい。また、カバー材44の構成は限定されるものではない。例えば、カバー材44は、円環状に形成されていてもよいし、複数に分割されていて、部分的に第二シール部材41を抑えるものであってもよい。
第二止水部40には、両端の周縁にそれぞれ接続フランジ40a、40bが形成されており、第一止水部30および収容部50との接続が可能に構成されている。
収容部50には、図1に示すように、到達坑口部4に到達し、第一止水部30および第二止水部40を貫通した推進機2が収容されるように形成されている。
収容部50は、複数の部材を組み合わせることにより形成された有底の円筒状部材である。
収容部50の第二止水部40側の端部(一方の端部)周縁には、接続フランジが形成されており、第二止水部40の接続フランジ40bとの定着が可能に構成されている。
また、収容部50の他方(第二止水部40と反対側)の端部は、遮蔽されている。さらに、収容部50には、注水口と排水口とが形成されており、内部への水の注水などが可能に構成されている。
以下、本実施形態の到達坑口の止水方法を説明する。
到達坑口の止水方法は、取付工程と、注水工程と、止水工程と、回収工程と、注入工程と、撤去工程と、を備えている。
取付工程では、まず、図5に示すように、他方のトンネルT2の到達坑口部4に取付部10を形成し、続いて、図6に示すように、取付部10に推進機回収装置20を設置する。
なお、他方の大断面トンネルT2の到達坑口部4の開口は、セグメント製作時にモルタル4aを打設することにより閉塞されている。これにより、推進機2による切削が可能となる。
取付部10の形成は、取付部本体11を到達坑口部4に固定した後、この取付部本体11の内部にモルタル注入口15からモルタル13を充填することにより行う。このとき、取付部本体11と連結体12との境界部は、板材14により遮蔽されているため、モルタル13が連結体12に流出することが防止されている。
なお、モルタル13の取付部本体11内への注入は、取付部10に推進機回収装置20を連結した後に行ってもよい。
一方のトンネルT1の発進坑口部5には、発進側取付部60を形成する。発進側取付部60の構成は限定されるものではないが、本実施形態では、内部にモルタル13を充填しておく。
次に、推進機回収装置20の取付部10への連結を行う。推進機回収装置20の設置は、第一止水部30、第二止水部30および収容部50を順次連結することにより行う。
なお、予め第一止水部30、第二止水部40および収容部50が連結された状態で取付部10に連結してもよい。
なお、取付工程は、発進坑口からの推進トンネルの施工を開始する前に行ってもよいし、施工中に行ってもよい。
注水工程は、推進機回収装置20の収容部50内に水を注入する工程であり、推進機2が到達坑口部4に到達する前に行われる(図6参照)。
収容部50への注水は、収容部50に形成された注水口から行う。本実施形態では、水道水を注水するが、収容部50に注水される水は限定されない。
収容部50内に水を充填しておくことで、推進機2が到達した際に、地下水が推進機回収装置20内に流入すること防止することが可能となる。
止水工程は、図7に示すように、水が充填された収容部50内に推進機2が進入した後に行われる工程である。止水工程では、第一止水部30内の第一シール部材32を推進機2後方の推進管3の外周囲に密着させて止水を行う。
止水工程では、音により推進機2の位置を確認しつつ、推進機2の先端部が第一止水部30内に進入(支持リング33に当接する)するタイミングで、締め付けボルト35(図3参照)を緩める。これにより支持リング33の径方向での移動が可能となる。
第一止水部30に進入した推進機2に施工誤差があった場合でも、支持リング33は、調芯部33cのテーパに沿って移動する。そのため、推進機2の軸心と第一シール部材32の中心とを略一致させることが可能となる。
推進機2の軸心と第一シール部材32の中心とが略一致したら、締め付けボルト35により支持リング33を固定する。
そして、推進機2が収容部50に到達し、第一止水部30内に推進管3が配置されたら、第一シール部材32の内部に水を圧入して推進管3の外周面に第一シール部材32を密着させる。これにより、第一シール部材32による止水が完了する。
回収工程は、収容部50を解体して推進機2を回収する工程である(図8参照)。
回収工程では、まず、収容部50から排水を行い、第一止水部30による止水性の確認を行う。排水に多量の泥水が混入しているのが確認された場合、あるいは、泥水が継続して排出された場合は、第一止水部30による止水が不十分な可能性があるため、第二止水部30内に配設された第二シール部材41を膨張させて、推進管3の外周囲に密着させることで止水を行う。
止水が確認できたら、図8に示すように、収容部50を解体し、推進機2を回収する。
注入工程は、取付部10内のモルタル13と推進管3との隙間に注入材を注入する工程である。
注入工程は、回収工程と並行して行う。なお、注入工程および回収工程を実施する順序は限定されるものではない。
注入工程では、取付部本体11内に推進管3が配設されたら、薬液注入口16から注入材17を注入することで、モルタル13と推進管3との間の隙間を充填する(図2参照)。
なお、取付部10内に注入される注入材は、止水性を確保することが可能なものであれば限定されるものではなく、適宜選定して使用することが可能である。
撤去工程は、取付部10に注入された注入材が硬化した後、第一止水部30および第二止水部40を撤去する工程である。
なお、回収工程において、第一止水部30による止水が確認された場合には、収容部50の解体とともに第二止水部40を撤去してもよい。
以上、本実施形態の止水構造および到達坑口の止水方法によれば、第一止水部30または第二止水部40により早期に止水を行うことを可能としているため、取付部10に注入された注入材の固化(注入材の機能が発現すること)を待つことなく、到達坑口部4に到達した推進機2を早期に回収することができる。
そのため、推進機2を転用して複数のトンネル施工を行う場合であっても、全体の工期を短縮することが可能となる。
また、第二止水部40を備えていることにより、何らかの原因により第一止水部30により止水性が確保できない場合であっても、推進機2の回収作業が中断されることなく、実施することができる。
第一止水部30の第一シール部材が、推進機2の位置に応じて径方向で移動するため、推進管3への密着度が低下することがなく、止水性を維持することができる。
取付部10の第一止水部30側端部に比較的柔らかい材質の板材14が配設されているため、トンネル貫通時に推進機2の方向がぶれることなく、高品質施工を行うことができる。
推進機回収装置20内に水が予め注入されていることで、トンネル貫通時に、推進機2とともに地下水や土砂が流入することが防止されている。そのため、第一止水部30内に土砂が流入して推進管3と第一シール部材32との間に土砂が挟まって止水性が低下することが防止されている。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明したが、本発明は前記各実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、トンネルから隣接する他のトンネルに接続する推進トンネルの施工に本発明を採用する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、あらゆる湧水が予想される推進工法に採用可能である。
また、前記実施形態では、第二止水部40を配置する場合について説明したが、第二止水部は必要に応じて配設すればよく、省略してもよい。
また、収容部50の分割数は限定されるものではない。
また、シール部材として、チューブ材を使用したが、推進管3の外周面に密着して止水することが可能であればシール部材の構成は限定されるものではない。例えば、リップシールでもよいし、内面に沿って貼り付けられたゴム板を使用し、内壁面とゴム板との間に水等を注入することでゴム板を膨張させるものとしてもよい。
板材14の板厚を大きくすることで、モルタルの注入量を少なくしてもよい。
1 止水構造
2 推進機
3 推進管
4 到達坑口部
10 取付部
13 モルタル
20 推進管回収装置
30 第一止水部
32 第一シール部材
40 第二止水部
41 第二シール部材
50 収容部

Claims (7)

  1. モルタルが充填された取付部を到達坑口部に形成するとともに、第一止水部および収容部を前記取付部に取り付ける工程と、
    前記収容部内に水を注入する工程と、
    推進機が前記収容部内に進入した後、前記第一止水部内の第一シール部材を前記推進機後方の推進管の外周囲に密着させる工程と、
    前記収容部を解体して前記推進機を回収する工程と、
    前記取付部内のモルタルと推進管との隙間に注入材を注入する工程と、
    前記注入材が硬化した後、前記第一止水部を撤去する工程と、を備えることを特徴とする、到達坑口の止水方法。
  2. 前記第一止水部と前記収容部との間に第二止水部が介設されており、
    前記第一止水部による止水が不十分な場合に、前記第二止水部内に配設された第二シール部材を前記推進管の外周囲に密着させることを特徴とする、請求項1に記載の到達坑口の止水方法。
  3. 前記第一シール部材が、径方向に移動することで前記第一止水部に進入した前記推進機の施工誤差を吸収することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の到達坑口の止水方法。
  4. 推進機の到達坑口部に形成され止水構造であって、
    到達坑口部に取り付けられた取付部と、
    前記取付部に接続された第一止水部と、
    前記第一止水部に接続された収容部と、を備え、
    前記取付部にはモルタルが充填されており、かつ、前記推進機後方の推進管の外周囲に接続する注入管が配管されていて、
    前記第一止水部は、前記推進機後方の推進管の外周囲に周設される第一シール部材を備えていることを特徴とする、止水構造。
  5. 前記第一止水部と前記収容部との間に第二止水部が介設されており、
    前記第二止水部は、当該第二止水部の内周面に沿って配設された第二シール部材を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の止水構造。
  6. 前記第一シール部材が、前記推進管の径方向に移動可能に配設されていることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の止水構造。
  7. 到達坑口部に到達した推進機の収容が可能に形成された収容部と、
    前記収容部の坑口側に配設された第一止水部と、
    前記収容部と前記第一止水部との間に介設された第二止水部と、を備える推進機回収装置であって、
    前記第一止水部および前記第二止水部が、それぞれ前記推進機後方の推進管の外周囲に周設されるシール部材を備えていることを特徴とする、推進機回収装置。
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