JP5312423B2 - トマトにおいて抵抗性対立遺伝子を連結するための方法 - Google Patents

トマトにおいて抵抗性対立遺伝子を連結するための方法 Download PDF

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Description

本発明は、トマト(Lycopersicon esculentum、L.)において商業的に重要な密接に連鎖する遺伝子を集積(pyramiding)させるための方法に関する。特に、本発明は、最も有効なトマト黄化葉巻ウイルス抵抗性遺伝子(Ty−1)及び最も有効なセンチュウ抵抗性遺伝子(Mi−1)を、これらの密接に連鎖する遺伝子が単一単位であるかのごとくに共遺伝されるように、相引相(シス相)で含むトマト植物を作出することに関する。
文書で記録されている200以上の栽培トマトの病害が存在する(Compendium of Tomato Diseases.J.B.Jones,J.P.Jones,R.E.Stall,T.A.Zitter編集(1997)American Phytopathological Society Press,St.Paul,MN)。これらの病原体によって引き起こされる被害に対抗するために、栽培者は、典型的には栽培慣例及び農薬の使用を含む総合害虫管理戦略を用いる。栽培慣例の一例は、トマト植物の上方にネットを張ることであり、これは病害を運ぶ昆虫が作物に感染するのを排除するのに有効でありうる、物理的障壁を提供する。
数多くの調査研究が植物病害に対する有効なトランスジェニックアプローチを明らかにしているにもかかわらず、栽培者が使用できる、何らかの病原体に抵抗性のトランスジェニックトマト品種は現在のところ存在しない。さらに、特にEUでは、一般民衆の抵抗という問題が残されており、これが、規制承認を得るための高いコストと合わせて、この有望なテクノロジーを商業トマト栽培において使用することを事実上妨げてきた。
伝統的な交配アプローチを使用した近代的栽培品種への病害抵抗性遺伝子の移入は、植物病害の大部分に対抗するために使用しうる有効なテクノロジーとなってきた。その連続的な成功の故に、このアプローチはなおも学術的及び商業的トマト育種プログラムにおける第一の焦点である。
何百ものトマト病原体の中で、線虫及びトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)によって引き起こされる病害は商業的栽培者にとって最も重要なものに含まれる。線虫は汎発流行性であり、その分布はほとんど北極から南極にまで及ぶ。その広い分布に加えて、様々な種の線虫が、大部分の植物及び動物を含む多様な宿主範囲を有する病原体である。例えば線虫は、ヒトにおける蟯虫疾患(Enterobius vermicularisが病原体である)からトマトの根こぶ病まで多様な疾病を引き起こす。50種以上のネコブセンチュウが存在するが、トマトに感染する3つの最も重要な種は、Meloidogyne arenaria、M.incognita及びM.javanicaである。
ネコブ種のセンチュウは、それらの感染が植物において生じさせる根構造の種類によって命名される。感染が成功すると、線虫は植物においてその根を肥厚させるエリシターを生産し、根に1mmから10mmのこぶ又はふしの形成を生じさせる。これらの変化は植物から線虫への栄養分の輸送を促進する。感染し、形態的に変化した根は、同時に植物に水と栄養分を供給する能力が低下する。植物は、この栄養分摂取についての能力低下を地上で観察できる一般的な活力低下で明示する。感染植物はまた、発育阻害、萎凋及び黄白化(クロロシス)などのより特異的な病徴を示すこともある。線虫個体群は成長期の間に形成されるので、萎凋はより著明になり、果実形成が影響を受けることもある。
ネコブセンチュウの化学的防除は有効であり、殺線虫剤、臭化メチルはMeloidogyne種のすべてに対して卓越した防除を提供する。農薬施用についての健康上の懸念及びオゾン枯渇に対する懸念を含む様々な理由から、臭化メチルの使用は世界中で低減されつつある。この化学的防除剤の最終的な禁止は、トマトにおける線虫病害を防除するための代替法を開発することの重要性を強調する。
TYLCVはジェミニウイルスであり、Begomovirus属に分類される。ほとんどすべての土壌に遍在する線虫と異なり、トマト黄化葉巻ウイルスの分布は、このウイルスを伝搬する昆虫ベクターであるコナジラミ、Bemisia tabaciの範囲によって限定される。
商業的トマト生産は、より低い労働力コスト、より良好な輸送及び北米自由貿易協定や世界貿易機関協定のような条約によって、過去25年間に世界中で温帯からより熱帯の生育領域へとシフトした。この地理的なシフトはB.tabaciの分布と一致する。それ故、トマト生育領域が熱帯気候へ移行すると共に、TYLCVによって引き起こされる病害がより著明になってきた。TYLCVはコナジラミの摂食によって速やかにトマトへと伝搬されうる。ひとたび植物に入ると、ウイルスは複製し、植物全体に広まるが、典型的にはその師部に限定される。TYLCVは、植物において、巻葉及び黄化から、節間の長さの短縮と花の生育停止によって引き起こされる発育阻害までの範囲にわたる深刻な病徴を生じさせる。同時に、これは低木様の外観を有する植物を生じさせる。収穫の損害は深刻になりうる;1990年代初期には、ドミニカ共和国におけるトマト収穫高の約95%が失われ、またフロリダでは1シーズンで(1991−1992年)約1億4千万ドルの損失が報告された(Moffat,Science(1999)286:1835)。
コナジラミの化学的防除は有効でありうるが、商業的トマト生産における農薬の誤った使用は、20以上の異なるトマト感染性ベゴモウイルスを媒介することができる農薬抵抗性B.tabaciをもたらした(Morales(2001)Crop Protection;PolstonとAnderson(1997)Plant Disease 81:1358−1369;Zeidanら(1999)Asia Trop.Res.Ext.1:107−115)。
トマトにおける線虫防除のための主要な化学的選択肢が徐々に消失しつつあるのと同様に、昆虫ベクターが農薬に抵抗性になりつつあることや農薬の使用に対する一般大衆の健康上の懸念に及ぶ理由から、TYLCVについての化学的防除選択肢も減少しつつある。トランスジェニック抵抗性栽培品種を生産することに付随する高い開発コストは、遺伝子工学アプローチを使用したTYLCV抵抗性栽培品種の開発にとっても同様に障害である。当業者は、それ故、線虫、ジェミニウイルス(TYLCV)及びトマト生産における他の植物病害の防除のためのこれらの化学的防除戦略及びトランスジェニック戦略に対する代替策の必要性を認識する。天然に生じる抵抗性遺伝子の移入は、今日やはり、トマト病原体を防除するための最も有効な選択肢である。
抵抗性表現型の遺伝は定量的及び多遺伝子性でありうるが、植物においては、個々の単一遺伝子座によって制御される多くの優性から半優性抵抗性遺伝子を有することは一般的である。植物の抵抗性遺伝子はしばしば、特異的病原体がコードされたリガンドに結合する受容体として働くタンパク質をコードする。植物によるこの病原体特異的認識とその後の応答は、1940年代後期にFlorによって最初に記述された現象であり、「遺伝子対遺伝子」抵抗性と称される(Flor(1971)Ann.Review of Phytopathology 9:275−296)によって総説された)。この特異的受容体−リガンド複合体は、最終的に抵抗性表現型をもたらすシグナル伝達経路の引き金となる(Bakerら(1997)Science 276:726−733;Staskawiczら(1995)Science 268:661−667)。この病原体攻撃の認識に対応して、宿主は、細胞壁の強化、酸化バースト、防御遺伝子発現の誘導、及び時として、過敏性反応と呼ばれる感染部位での迅速な細胞死によって応答しうる。
ほとんどの育種目的のために、商業的育種家は、しばしば「栽培型」と称される生殖質を取り扱う。この生殖質は、園芸成績について評価したとき一般に良好に機能するので、育種がより容易である。栽培型の性能優位型は、しばしば対立遺伝子の多様性の欠如によって相殺される。これは、育種家が栽培生殖質を扱うときに受け入れる交換取引である−よりよい全体成績であるが対立遺伝子多様性の欠如。遺伝的に多様なソースで育種するときよりも栽培材料で作業するときのほうが進行が速いので、育種家は一般にこの交換取引を受け入れる。
これに対し、育種家が広い種内交配又は種間交配のいずれかを行うときは、逆の交換取引が起こる。これらの例では、育種家は、典型的には栽培生殖質を非栽培型と交配する。そのような交配において、育種家は非栽培型からの新規対立遺伝子へのアクセスを獲得することができるが、供与交配親に関連する遺伝子ひきずりを克服しなければならない。この育種戦略に関する難しさに加えて、このアプローチは受胎能又は生殖能の問題のためにしばしば失敗に終わる。
L.pennellii、L.hirsutum、L.peruvianum、L.chilense、L.parviflorum、L.chmielewskii、L.cheesmanii、L.cerasiforme及びL.pimpinellifoliumを含む栽培トマトと交配することができる多くの野生類縁が存在する。野生種と栽培L.esculentumの間の遺伝距離は、種間交配を行うこと及び付加形質を有する新しい商業的栽培品種を成功裏に作出することの両方の難しさと相関する(Genetics and breeding.MA StevensとCM Rick.The tomato crop:A scientific basis for improvementより。JG AthertonとJ Rudich編集。Chapman and Hall(1994)London)。例えば、L.pimpinellifolium、L.cerasiforme、L.cheesmanii、L.chmielewskii及びL.parviflorumのような種は、近代的トマトへの遺伝子移入のための供与体として使用するのに最も容易な野生種である。これに対し、L.pennellii、L.chilense、L.hirsutum及びL.peruvianumは近代的トマトへの形質移入がはるかに難しい種である(同上)。これらのより遠い類縁種を使用するときは、初期世代交雑のために橋渡し種及び胚救済を使用しなければならないこともまれでない。これらの余分な工程を実施しても、重大な分離異常、受胎能の問題、低い組換え及び遺伝子ひきずりに直面することがある。後期世代でも、ゲノムの移入領域内での組換えの抑制が、良好な商業的栽培品種を作出するのに十分な程度まで遺伝子ひきずりを低下させる上で主要な障害となる。
それ故、野生種において有用な形質を特定し、栽培種への移入のためにその形質を標的しうるが、成功するという保証はない。ほとんどの成功を収めた商業的トマト育種家も、その経歴全体を通じて、商業的栽培品種を作出するための野生種からの遺伝子移入を完全に成功させてはいない。成功への障壁は、遺伝子移入が困難であるか又は不可能な場合がある野生ゲノムの領域を生じうる、分離異常を含む。さらに、近代的トマトの野生種の一部は、自家受粉することができないことを意味する、自家不和合性である。自家不和合性の結果として、これらの植物は極めて異質性であり、多くの座に異なる対立遺伝子を有する。これらの野生種の高度な異質性はまた、対象とする最も有効な遺伝子の移入を妨げることがある。
栽培化された作物の野生類縁から新規対立遺伝子を移入することに関する難しさは多くの作物に及び、トマトでは線虫抵抗性の遺伝子移入に例示される。Bailey((1941)Proc.Am.Soc.Hort.Sci.38:573−575)は、初めて、野生種L.peruvianumを線虫抵抗性のための潜在的ソースとして特定した。Smith((1944)Proc.Am.Hort.Sci.44:413−416)は、その後、線虫抵抗性形質を含む種間雑種を成功裏に回収するために胚救済法を使用した。GilbertとMcGuire((1955)はこの遺伝子座Miを作出し、その後Miを6番染色体に位置決定した(Glibert(1958)Tomato Genet.Coop.Rep.8:15−17)。L.peruvianumに由来するMi遺伝子座の抵抗性対立遺伝子はMi−1対立遺伝子と呼ばれる。L.esculentumからの感受性対立遺伝子は野生型対立遺伝子と称され、「+」で表わされる。Mi−1抵抗性対立遺伝子を含むすべての商業的トマト栽培品種はSmithによって作出された種間雑種に由来すると考えられる。同型接合Mi−1系統は1949年に早くも開発されたが(FrazierとDennett(1949)、Proc.Am.Soc.Hort.Sci.54:225−236)、Mi−1対立遺伝子が商業的栽培品種において一般的に使用され始めたのは1970年代半ばからであった。2つの開発がこの商業上の実現を導いた。第一に、RickとFobesがアルカリホスファターゼ(Aps)と呼ばれるアイソザイムマーカーとMi遺伝子座の間の連鎖を報告した((1974)Tomato Genet.Coop.Rep.24:25)。分子マーカー試験の早期使用により、育種家は病理試験を実施せずに形質を追跡することが可能になった。第二に、雑種トマト栽培品種が商業的栽培家によってより広く受け入れられようになった。60年間にわたるMi−1対立遺伝子に関する育種にもかかわらず、ストレス条件下での局所的な壊死応答(Hoら(1992)The Plant Journal,2:971)、より小さな果実及びより少ない結実を含む、L.peruvianumからのMi−1移入に関連する重大な遺伝子ひきずりが現在も存在する。
育種家は、Mi−1対立遺伝子が異型接合体として存在するときに有効であり、線虫抵抗性形質を1つの親だけから雑種に送達することを可能にすることを認めた。これは次に、育種家が、6番染色体のこの領域内にesculentum遺伝子を有する第二の近交系親を使用することによって遺伝子ひきずりの大部分を克服することを可能にした。雑種栽培品種の作出はこの育種戦略の実施を可能にした。優性Mi−1対立遺伝子を近交系親の一方に交配し、遺伝子ひきずりの大部分を隠すことを可能にする周辺のesculentum対立遺伝子と共に感受性対立遺伝子(「+」)を第二の近交系親に交配した。異型接合状態で遺伝子ひきずりを不顕化できたことは、それぞれストレス条件下での局所的な壊死応答、より小さな果実サイズ及びより少ない結実を不顕化する能力の故に、植物の全般的健康状態、果実の大きさ及び果実の収量に影響を及ぼす遺伝子がゲノムのこの領域内に存在することの間接的証拠を提供する。
植物抵抗性遺伝子はゲノム内でクラスターを形成することが示されており、トマトでは、一般にセントロメアの近くで認められる。Mi遺伝子座は、6番染色体上のセントロメアに近い、これらの病害抵抗性クラスターの1つに位置する。Mi抵抗性遺伝子座を有することに加えて、ジェミニウイルスについての他の抵抗性遺伝子、Oidium lycopersicum(van de Beekら(1994)Theoret.Appl.Genet.89:467−473)及びCladosporium fulvumレース2及び5についての2つの抵抗性遺伝子(Dickinsonら、Mol.Plant Microbe Interact.(1993)6:341−347)は、6番染色体のこのセントロメア領域においてすべて遺伝的に密接に連鎖する。
何十年を経た後も、Mi−1遺伝子移入の困難さは、その形質に関連する遺伝子ひきずりを低減することができなかった。この困難さについての代替的な説明は、Mi−1抵抗性遺伝子が多面発現性であり、直接遺伝子ひきずりに寄与すること、あるいは遺伝子ひきずり低下の前進を制限する、このゲノム領域内における組換えの抑制が存在することである。様々な実験アプローチがこの問題を取り上げてきた。遺伝学と細胞遺伝学の組合せを使用して、Zhongら((1999)Theoret.Appl.Genet.98:365−370)は、トマトのゲノムサイズを基礎として、〜1cMの遺伝距離の遺伝学的評価に基づき、Mi遺伝子座とAps遺伝子座の間の物理的距離は約750,000塩基対であるはずであることを示した。それらの蛍光インサイチューハイブリダイゼーション(FISH)の結果は、しかしながら、この物理的距離が実際には40,000,000塩基対であることを明らかにした。これらの遺伝子座の間の遺伝距離と物理的距離の相違から、Zhongらは、Mi遺伝子座付近での組換えがこのゲノムについての平均と比較して約50倍低いと予測した。Kaloshianら((1998)Mol.Gen.Genet.257:376−385)は、比較遺伝学アプローチを採用して、L.peruvianum × L.peruvianumの交配はL.esculentum × L.peruvianum由来の個体群と比較してこの領域内での組換えが8倍高いことを示した。これらの実験に加えて、セントロメア領域では一般に組換えが抑制されることは周知である。Milliganら(1998、Plant Cell 10:1307−1320)は、クローン化したMi抵抗性遺伝子を感受性栽培品種、Moneymakerに導入するためにトランスジェニック相補性を利用した。これらの相補性試験で多面発現効果が認められなかったことは、Mi移入に関連する園芸上の欠陥が遺伝子ひきずりによるものであることを強く示唆する。これらの試験は、6番染色体のこの領域内に病害抵抗性遺伝子を移入することに伴う困難さへの洞察を提供した。
1998年に、Kaloshianらは、ApsアイソザイムマーカーよりもMi遺伝子座により近い、REX−1と呼ばれる共優性のPCRに基づく分子マーカーを記述した(Mol.Gen.Genet.257:376−385)。このDNAに基づくマーカーは速やかにトマト育種プログラムに採用され、新しい線虫抵抗性雑種栽培品種の開発を大きく促進した。
トマト育種業界は学術公表文献を通してMi−1線虫抵抗性対立遺伝子の移入におけるその進歩を速やかに開示したが、この難しい育種アプローチの成功の可能性が低いことは、この分野におけるいくつかの特許(米国特許第6,414,226号、同第6,096,944号、同第5,866,764号及び同第6,639,132号)の発行の際に米国特許商標庁によって認識された。
トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)に対する抵抗性についてはほぼ40年間にわたって報告されてきた。Cohenは、1964年に早くもいくつかの耐性遺伝子型を報告し(CohenとHarpaz(1964)Entomol.Exp.Appl.7:155−166)、その後、L.pimpinelliforium及びL.peruvianumがより高いレベルのTYLCV抵抗性を含むと特定した(CohenとNitzany(1966)Phytopathology 56:1127−1131)。1990年代に、PilowskiとCohenは、5個の劣性遺伝子と共にL.peruvianum(PI126935)からの耐性を報告した(Plant Disease 74:248−250)。Michelsonらは、L.chilenseにおけるTYLCV抵抗性を発見し((1994)Phytopathology 84:928−933)、その後Hoogstraten(米国特許第6,414,226号)は独立してL.chilenseにおけるTYLCV抵抗性を確認した。この抵抗性遺伝子座はTy遺伝子座と称され、L.chilenseからの抵抗性対立遺伝子はTy−1と命名された。
Mi遺伝子座と同様に、Ty遺伝子座の感受性対立遺伝子は野生型又は「+」と称される。ZamirらはTy遺伝子座を6番染色体のセントロメア領域に位置づけた((1994)Theoret.Appl.Genet.88:141−146)。Ty−1対立遺伝子は優性対立遺伝子として働き、それ故Ty−1対立遺伝子に固定された系統又は異型接合(Ty−1/「+」)の両方がTYLCVに抵抗性である。
L.chilenseからのTy−1抵抗性遺伝子を含む近交系トマト系統FDR16−2045も、Mi遺伝子座付近に移入されたL.chilenseからの抵抗性遺伝子の故に線虫に対する抵抗性を付与する(Hoogstraten、米国特許第6,414,226号)。線虫及びジェミニウイルスについてのこれら2つの抵抗性遺伝子がFDR16−2045系統において共遺伝されることは、Ty遺伝子座とMi遺伝子座が遺伝的に近接して位置することを明らかにする。Mi遺伝子座の線虫抵抗性対立遺伝子は、L.chilenseからFDR16−2045系統に移入されたとき、Mi−Jと称される。FDR16−2045系統は、育種家が、Mi及びTy遺伝子座に「+」型対立遺伝子を有する第二の近交系交配親を使用することにより、遺伝子ひきずりの大部分を隠す能力を備えた、線虫及びジェミニウイルスについての有効な抵抗性対立遺伝子を含む商業的雑種を作出することを可能にするので、貴重な交配近交系である。この移入からの遺伝子ひきずりは、ストレス条件下での自己壊死、より長い節間、より小さな果実サイズ及びより少ない結実として発現されうる。
しかし、病理試験を通して、L.chilenseからのMi−J対立遺伝子はL.peruvianumからのMi−1対立遺伝子ほど有効ではないことが認められた。これは、Mi−J対立遺伝子をF1雑種においてMi遺伝子座の「+」感受性対立遺伝子と対合させたとき特に明らかである。分子学的手法を使用して、発明者はMi遺伝子座の3つの可能な対立遺伝子(Mi−1、Mi−J及び「+」)を識別するための分子マーカー試験を設計することができた。
トマト育種家は、それ故、これらの移入に付随する遺伝子ひきずりを隠す能力を保持しながら、6番染色体のセントロメア領域に位置づけられる多数の抵抗性遺伝子を送達することの限界に直面する。雑種栽培品種の6番染色体のこの領域に位置づけられるすべての既知の抵抗性遺伝子を集積させるために、育種家は、線虫抵抗性遺伝子Mi−1を含むL.peruvianumからの移入を有するものを一方の交配親とし、TYLCV抵抗性遺伝子Ty−1を含むL.chilenseからの移入を有するもの、Oidiumについての抵抗性遺伝子を含むL.hirsutumからの移入を有するもの、Cladosporiumのレースについての抵抗性遺伝子を含むL.pimpinellifoliumからの移入を含むもの、及びさらにこれらの移入の一部に関連する遺伝子ひきずりを隠すためのesculentumからの「+」型対立遺伝子を含むものをもう一方の親としなければならない。雑種栽培品種を作製するためには2つの親系統しか選ぶことができないので、この作業は育種家にとって不可能である。このジレンマはまた、Hoら((1992)The Plant Journal 2:971−982、図6参照)によって及びLiharskaら((1996)Genome 39:485−491、図1参照)によって図式的に示されている。
それ故、最初にL.chilenseから移入されたTYLCV抵抗性について最も有効な対立遺伝子、Ty−1と共に、最初にL.peruvianumから移入された線虫抵抗性について最も有効な対立遺伝子、Mi−1を含む、組換えが強く抑制されることが知られているゲノムのこの領域内での組換え事象を特定する必要性が現在も存在する。このように近位の密接に連鎖する対立遺伝子は、相引相又はシス相であると称される。シス相の有効な抵抗性対立遺伝子のそのような組合せは、トマト育種家が、遺伝子ひきずりを隠すため、又はOidium、Cladosporiumあるいはこの病害クラスター内のまだ発見されていない抵抗性対立遺伝子などの付加的な抵抗性遺伝子を送達するために第二の近交系親を選択する自由を保持しながら、TYLCV及び線虫に対して最も有効な抵抗性を有するトマト雑種を作出することを可能にする。
本発明により、そのゲノム内に少なくとも1個のトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)抵抗性対立遺伝子及び少なくとも1個のネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を含み、前記抵抗性対立遺伝子が1つの染色体上の異なる座に相引相で存在すること、及びその植物がTYLCVに対して抵抗性であり、Meloidogyne arenaria、Meloidogyne incognita及びMeloidogyne javanicaから成る群より選択される少なくとも1つのネコブセンチュウ種に対して高度に抵抗性であることを特徴とする、Lycopersicon esculentum植物が提供される。
また、そのゲノム内に少なくとも1個のトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)抵抗性対立遺伝子及び少なくとも1個のネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を含み、前記抵抗性対立遺伝子が1つの染色体上の異なる座に相引相で存在すること、及びその植物が、TYLCV及びMeloidogyne arenaria、Meloidogyne incognita及びMeloidogyne javanicaから選択される少なくとも1つのネコブセンチュウ種の両方に対して抵抗性であって、前記ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子がL.chilenseからのMi−J対立遺伝子ではないことを特徴とする、Lycopersicon esculentum植物が提供される。
1つの好ましい実施態様では、約1.0未満のネコブセンチュウ抵抗性スコアを有する本発明の植物が提供され、さらなる好ましい実施態様では、約0.5未満のネコブセンチュウ抵抗性スコア、より好ましくは約0.25未満、さらに一層好ましくは約0.05未満のネコブセンチュウ抵抗性スコアが提供される。1つの実施態様では、前記植物は雑種植物である。
1つの好ましい実施態様では、TYLCV抵抗性対立遺伝子はTy−1と称される対立遺伝子である。もう1つの好ましい実施態様では、ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子はMi−1と称される対立遺伝子である。さらなる好ましい実施態様では、TYLCV抵抗性対立遺伝子及びネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子は、それぞれLycopersicon chilense及びLycopersicon peruvianumからである。
好ましくは、TYLCV抵抗性対立遺伝子及びネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子は非トランスジェニックである。
本発明のもう1つの局面では、そのようなLycopersicon esculentum植物の果実又は種子が提供される。
本発明は、近交系商業的Lycopersicon esculentum植物を提供しうる、あるいは本発明に従った植物はもう1つ別のLycopersicon esculentum植物との交配における親として使用しうる。本発明は、それ故、本発明の植物を、TYLCV抵抗性対立遺伝子を持たず、且つネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を持たない近交系植物と交雑する方法によって生産される雑種Lycopersicon esculentum植物を提供する。
本発明のこの局面の好ましい実施態様では、TYLCV抵抗性対立遺伝子及びネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子の両方が異型接合である雑種Lycopersicon esculentum植物が提供される。良好な園芸特性を有するそのような雑種植物がより好ましく、またTYLCV抵抗性対立遺伝子及びネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を与える野生トマト種の遺伝子移入に通常付随する遺伝子ひきずりが大きく低下した雑種植物がさらに一層好ましい。
好ましくは、前記雑種植物は、野生種Lycopersicon chilenseに関連するもののような大きく低下した遺伝子ひきずり作用、及び野生種Lycopersicon peruvianumに関連するもののような大きく低下した遺伝子ひきずり作用を示す。より好ましくは、前記雑種植物は、自己壊死、より長い節間、より小さな果実、より少ない結実及び園芸的に劣る植物構造から成る病徴群より選択される遺伝子ひきずり病徴が大きく低下している。
前記TYLCV抵抗性対立遺伝子及び前記ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子の遺伝子座は、前記染色体上の同じ病害抵抗性クラスター内で生じる。それ故、本発明のさらに一層好ましい実施態様では、前記クラスター内の少なくとも1個の付加的な病害抵抗性対立遺伝子が、Ty−1 TYLCV抵抗性対立遺伝子及びMi−1ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子に対して相反相又はトランス相で提供される。本発明のこの局面の1つの代替的実施態様では、前記付加的病害抵抗性対立遺伝子は、Cladosporiumレース2、Cladosporiumレース5及びOidiumから成る群より選択される病害に対する抵抗性を付与する。
本発明の様々な実施態様の例を、以下の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、Ty+(配列番号11)及びTy−1(配列番号10)対立遺伝子近くのマーカー遺伝子座のポリヌクレオチド配列の比較、及び斜線の箱で表わした、前記ポリヌクレオチド配列の間での19個の一塩基多型の特定を示す。円は、Ty−1配列内の塩基対97−98及びTy+配列内の塩基対96−97における2個の隣接多型を特定し、Ty−1対立遺伝子においてのみTaqI制限酵素認識部位が生じる。 図2は、Mi+、Mi−1及びMi−J対立遺伝子近くのマーカー遺伝子座のポリヌクレオチド配列の比較、及び斜線の箱で表わした、前記ポリヌクレオチド配列の間での20個の一塩基多型の特定を示す。円は、塩基対603及び754における多型を特定する。 図3は、Mi遺伝子座における様々な対立遺伝子の組合せを含む、5つの植物遺伝子型の平均線虫抵抗性等級を示す。
本発明は、組換え事象から生産され、最初にL.chilenseから移入されたTy−1とシス相で、最初にL.peruvianumから移入されたMi−1を含むトマト植物(Lycopersicon esculentum)を提供する。
(定義)
植物学用語:リンネは植物分類の父とみなされている。彼は初めて近代的なトマトをSolanum(ナス属)として分類したが、その学名は長年にわたってLycopersicon esculentumであった。同様に、L.pennellii、L.hirsutum、L.peruvianum、L.chilense、L.parviflorum、L.chmielewskii、L.cheesmanii、L.cerasiforme及びL.pimpinellifoliumのような近代的トマトの野生類縁はLycopersicon属の中に分類された。過去数年にわたって、これらの種の名称を再分類すべきかどうかについてトマト研究者と植物学者の間で論争が為されてきた。近代的トマトについての新たに提案された学名は、Solanum lycopersicumである。同様に、野生種の名前も変更される可能性がある。L.pennelliiはSolanum pennelliiに、L.hirsutumはS.habrochaitesになる可能性があり、L.peruvianumは、S.「N peruvianum」とS.「Callejon de Huayles」、S.peruvianum及びS.corneliomuelleriに分けられ、L.parviflorumはS.neorickiiに、L.chmieilewskiiはS.chmielewskiiに、L.chilenseはS.chilenseに、L.cheesmaniaeはS.cheesmaniae又はS.galapagenseに、及びL.pimpinellifoliumはS.pimpinellifoliumになるかもしれない(Solanacea Genome Network(2005)SpoonerとKnapp; http://www.sgn.cornell.edu/help/about/solanum_nomenclature.html)。
このように、明瞭化のためにトマト及びその類縁についての名称が変更になるかもしれないが、近代的トマト及びその野生類縁は、すべてLycopersicon属に含まれる既存の名称を使用して定義する。
線虫:ネコブセンチュウ(Meloidogyne種)は土壌中に一般的に存在し、大部分は広い宿主範囲を有していて、多くの一年生及び多年生作物で問題を引き起こす。トマトは最も深刻な影響を受けるものの1つであり、線虫はすべてのトマト生育地域で問題を生じさせる。ネコブセンチュウは特定が困難であり、50種以上が特定されているが、少数の種(例えばM.javanica、M.incognita及びM.arenaria)がトマト栽培者にとっての問題の大部分を引き起こす。
ここで使用するとき、「対立遺伝子」の語は、特定の座の遺伝子の1つ以上の選択的形態のいずれかを意味し、それらの対立遺伝子はすべて特定遺伝子座の1つの形質又は特徴に関する。生物の二倍体細胞では、所与の遺伝子の対立遺伝子は1つの染色体上の特定の位置又は座に位置する。相同染色体の対の各々の染色体上に1個の対立遺伝子が存在する。二倍体植物種は、特定遺伝子座に多数の異なる対立遺伝子を含みうる。
ここで使用するとき、「(遺伝子)座」の語は、例えば遺伝子又は遺伝マーカーが認められる染色体上の特定の場所又は部位を意味する。「Mi遺伝子座」は、ここでは1個以上の対立遺伝子が位置し、植物又は植物組織が有するネコブセンチュウ抵抗性の程度を決定する、トマトゲノム内の位置を指す。「Ty遺伝子座」の語は、ここでは1個以上の対立遺伝子が位置し、植物又は植物組織が有するTYLCV抵抗性の程度を決定する、トマトゲノム内の位置を指す。
ここで使用するとき、「相引相」及び「シス相」の語は、2つの異なる座の対立遺伝子が1つの(相同)染色体上で互いに連鎖して起こる遺伝的状態を指す。例えば、対立遺伝子Ty−1とMi−1が1つの相同染色体上に位置するとき、これらの対立遺伝子は「相引相」である。これに対し、対立遺伝子Ty−1とMi−1が1つの相同対の異なる相同染色体上に位置するとき、それらは「相反相」又は「トランス相」であるという。
「組換え」又は「組換え事象」は、ここでは交叉及び相同染色体の独立した組合せの結果として生じる新しい遺伝子構造を有する植物を指す。
「TYLCV抵抗性対立遺伝子」は、ゲノム内に存在するとき、トマト黄化葉巻ウイルス感染及び/又は被害に対する「抵抗性」又は「中間抵抗性」を付与する対立遺伝子を指す。1又は複数の植物が、「TYLCV抵抗性アッセイ」(以下参照)を使用して0−1の間あるいは0又は1に等しい平均病害スコアを有するとき、その1又は複数の植物はTYLCVに対して「抵抗性」であるという。1又は複数の植物が、TYLCV抵抗性アッセイを使用して約2の平均病害スコアを有するとき、その1又は複数の植物は「中間」TYLCV抵抗性を有するという。約3以上の平均病害スコアを有する植物は感受性であるという。
「ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子」は、ゲノム内に存在するとき、M.incognita、M.javanica及びM.arenariaから選択される少なくとも1つ又はそれ以上の線虫種に対する抵抗性を付与する対立遺伝子を指す。1又は複数の植物が、「ネコブセンチュウ抵抗性アッセイ」(以下参照)を使用して約0.1未満の平均病害スコアを有するとき、その1又は複数の植物はこれらのネコブセンチュウ種の少なくとも1つに対して「高度抵抗性」であるという。例えばMi−1/Mi−1植物及びMi−1/+植物は高度抵抗性である。1又は複数の植物が、約0.1以上であるが1.0未満の平均病害スコアを有するとき、その1又は複数の植物は「中間抵抗性」を有するという(例えば対立遺伝子MiJ/MiJを有する植物)。1.0以上であるが2.0未満の平均病害スコアを有する植物は「軽度抵抗性」を有するといい(例えば対立遺伝子MiJ/+を有する植物)、2.0以上の平均病害スコアを有する植物は感受性であるという(例えば対立遺伝子+/+を有する植物)。
「TYLCV抵抗性アッセイ」は、複数の植物を自然のTYLCV感染が起こる圃場において生育させ、実施例においてさらに説明するように、0−4の尺度を用いて感染後の1つ以上の時点で病害症状を評価し、及びTy遺伝子座に特定対立遺伝子組成物(遺伝子型)を有する複数の植物について平均病害等級を決定することを指す。
「線虫抵抗性アッセイ」は、複数の植物を、M.incognita、M.javanica又はM.arenaria接種材料を接種した土壌において生育させ、実施例においてさらに説明するように、約28日後に0−4の等級で根こぶを評価し、及びMi遺伝子座に特定対立遺伝子組成物(遺伝子型)を有する複数の植物について平均病害等級を決定することを指す。
ここで使用するとき、「異型接合」の語は、2個の異なる対立遺伝子が1つの特定遺伝子座にあるが、二倍体生物の細胞における相同染色体の対応する対上に個別に位置するときに存在する遺伝的状態を意味する(例えばMi−1/+)。逆に、ここで使用するとき、「同型接合」は、2個の同一対立遺伝子が1つの特定遺伝子座にあるが、二倍体生物の細胞における相同染色体の対応する対上に個別に位置するときに存在する遺伝的状態を意味する(例えばMi−1/Mi−1)。
ここで使用するとき、「植物」の語は、植物全体、あるいは植物細胞、植物プロトプラスト、そこからトマト植物が再生することができる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物細胞クランプ及び植物中の無傷の植物細胞などの、その何らかの部分又は誘導体、あるいは胚、花粉、卵、果実(例えば収穫されたトマト)、花、葉、種子、根、根端等のような植物の部分を包含する。
「分子アッセイ」(又は試験)は、Mi又はTy遺伝子座における特定対立遺伝子の存在又は不在を(直接又は間接的に)指示する(DNAに基づく)アッセイを指す。加えて、分子アッセイは、特定対立遺伝子が個々の植物においてTy又はMi遺伝子座で同型接合であるか又は異型接合であるかを決定することを可能にする。例えば、1つの実施態様では、Mi又はTy遺伝子座に関係する核酸をPCRプライマーを用いて増幅し、その増幅産物を酵素で消化して、前記増幅産物の電気泳動分離パターンに基づき、個々の植物中にMi又はTy対立遺伝子が存在するかどうか及びMi又はTy遺伝子座の対立遺伝子の接合生殖性(すなわち各々の座の遺伝子型)を決定することができる。例は、SCAR、CAPS及び同様のアッセイである。
ここで使用するとき、「品種」又は「栽培品種」の語は、所与の遺伝子型又は遺伝子型の組合せから生じる特徴の発現によって定義できる、最も低い既知等級の単一植物分類群内の植物グループを意味する。
ここで使用するとき、「野生型」の語は、L.esculentum内で認められる天然に生じる対立遺伝子を意味する。線虫抵抗性遺伝子座Mi及びTYLCV遺伝子座Tyで、L.esculentumからのこれらの野生型対立遺伝子はこれらの病原体に対する感受性を与え、ここではMi+及びTy+、又は単に「+」と称される。
ここで使用するとき、「変異体」又は「多型変異体」の語は、所与の核酸配列に本質的に類似する核酸配列を指す。例えば、「その変異体」又は「配列番号1から11のいずれかの変異体」の語は、そのポリヌクレオチド配列から1個以上(例えば2個、3個、4個、5個又はそれ以上)のヌクレオチドが欠失している(欠失変異体)又は1個以上のヌクレオチドが他のヌクレオチドで置換されている(置換変異体)又は1個以上のヌクレオチドが前記ポリヌクレオチド配列に挿入されている(挿入変異体)、ポリヌクレオチド配列を指す。
配列番号1から11の変異体は、配列番号1から11のいずれかに「本質的に類似」するヌクレオチド配列を含む。配列番号1から11に本質的に類似する配列は、例えばデフォルトパラメータを用いるGAP又はBESTFITプログラムと共に、例えばNeedlemanとWunschのアルゴリズムを使用して最適に整列したとき、配列番号1から11の1つ以上の配列に少なくとも約90%、より好ましくは91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%又はそれ以上の核酸配列同一性を有する核酸配列である。GAPデフォルトパラメータは、ギャップ生成ペナルティー=50(ヌクレオチド)及びギャップ伸長ペナルティー=3(ヌクレオチド)である。ヌクレオチドについては、使用するデフォルト評価マトリックスはnwsgapdna(Henikoff & Henikoff,1992、PNAS 89:915−919)である。配列アラインメント及びパーセンテージ配列同一性についてのスコアは、Accelrys Inc.,9685 Scranton Road,San Diego,CA 92121−3752,USAから入手可能なGCG Wisconsin Package、バージョン10.3又はWindows(登録商標)についてのオープンソースソフトウエア(現在のバージョン2.7.1−07)などのコンピュータプログラムを使用して決定しうる。変異体はまた、これらの配列のいずれかの断片又は部分を包含する。
(本発明に従った植物及び植物の部分)
1つの実施態様では、本発明は最初にL.chilenseから移入されたTy−1とシス相で、最初にL.peruvianumから移入されたMi−1対立遺伝子をそのゲノム内に含むトマト植物(Lycopersicon esculentum)、ならびにそのような植物の細胞及び組織、種子又は果実を提供する。これらの植物は、例えば、各々が(好ましくは固定された)対象対立遺伝子(ここではMi−1又はTy−1)を含む、公的に入手可能な商業品種を交雑することによって、及び前記交雑から得たF2植物から、又はさらなる自家受粉又はF1の交雑によって得たさらなる世代から(例えばF2又は戻し交雑個体群)、Mi−1とTy−1をシス相で含む組換え植物を選抜することによって、作製することができる。組換えの発生率が非常に低く、数多くの事象を必要とするので、選抜は、好ましくはSCAR又はCAPSアッセイなどの1つ以上のMi対立遺伝子特異的分子アッセイ又は対立遺伝子識別分子アッセイを用いて実施する。例えば、実施例で述べるような、ここでは「Ty遺伝子座についてのSCARアッセイ」、「Mi遺伝子座についてのSCARアッセイNo.1」及び「Mi遺伝子座についてのSCARアッセイNo.2」と称する3つのSCARアッセイの1つ以上を使用しうる。これらのアッセイでは、PCR反応において3つのプライマー対(配列番号1と2、配列番号3と4及び配列番号5と6)を使用し、次に酵素制限して、PCR増幅産物間の多型を検出するために得られた断片の検出を実施する。
常用実験を使用して同様のアッセイを開発できることは明白である。例えばプライマー配列のいずれかの「変異体」、あるいはMi及びTy遺伝子座上又はそれらの近くのゲノムの他の部分にハイブリダイズするプライマー又はプローブが使用しうる。
Mi−1とTy−1をシス相で含む植物は、同型接合又は異型接合でありうる。これらの植物は、例えば雑種又は近交系を生成するために前記対立遺伝子を1つの単位として他のトマト植物に移入するためのさらなる交雑において使用しうる。好ましい実施態様では、相同染色体上にMi−1及びTy−1対立遺伝子を相引相で含み、感受性である雑種植物、あるいは相同染色体上にMi+及びTy+対立遺伝子を含む雑種植物が提供される。これらの植物は、Mi−1及びTy−1対立遺伝子が同型接合状態で存在するとき通常これらの対立遺伝子に結びつく遺伝子ひきずり病徴が有意に低いか又は全くないという利点を有する。
遺伝子ひきずり病徴は、Mi−1及びTy−1対立遺伝子を持たない植物と比較して、自己壊死、より長い節間、より小さな果実、より少ない結実及び園芸的に劣る構造の群から選択される1つ以上の病徴を指す。当業者は、遺伝子ひきずりのそのような病徴が栽培者による近交系又は雑種植物系統の商業的受け入れに好ましくない影響を及ぼすことを認識する。一般に、有害レベルの遺伝子ひきずりの存在は、これらの病徴の1つ以上が、その植物系統が商業的に受け入れられなくなる程度に存在することによって判定されうる。
本発明のトマト植物は、約0.25未満、好ましくは約0.2未満、より好ましくは約0.1未満あるいは0.03又は0.02などの約0.05未満の平均線虫抵抗性スコアを有する。さらに、これらの植物はTYLCVに抵抗性であり、上述したアッセイで測定するとき、1.0以下の平均TYLCV抵抗性スコアを有する。
(他の線虫及びTYLCV抵抗性対立遺伝子を含む植物)
もう1つの実施態様では、本発明は、上記組換え体を作製及び/又は選抜する方法、ならびに、好ましくはL.esculentumの6番染色体上に、少なくとも1個のMi抵抗性対立遺伝子及び少なくとも1個のTYLCV抵抗性対立遺伝子を相引相(シス相)で有する他の組換え体を作製及び/又は選抜するための方法を提供する。そのような植物は、M.arenaria、M.incognita及び/又はM.javanica種の線虫に対して高度、中間又は軽度抵抗性を有すること、及びここで述べる抵抗性アッセイを使用するときTYLCVに対して抵抗性又は中間抵抗性を有することによって特徴付けられる。また、この方法を用いて作製される組換え事象、ならびにこれらの植物の組織、細胞、種子及び果実、及びMi及びTy抵抗性対立遺伝子をシス相で含む雑種又は近交系色物を生成するためのこれらの植物の使用も提供される。但し、Ty−1対立遺伝子と相引相でL.chilenseからのMi−J対立遺伝子を含む植物は、先行技術(米国特許第6,414,226号)において既に偶然に自然発生しているので、そのような植物は本発明に従って作製されなかったが、明白に除外される。いかなる場合も、Ty−1対立遺伝子と相引相でL.chilenseからのMi−J対立遺伝子を含む植物は高いレベルの線虫抵抗性を示さない、すなわちここで定義するような高度抵抗性ではない。それ故、TYLCVに対する抵抗性及び線虫に対する高度抵抗性を付与する植物が特に好ましい。
1つの実施態様では、本発明は、ネコブセンチュウに対する抵抗性を付与する対立遺伝子と相引相でTYLCVに対する抵抗性を付与する対立遺伝子を含むトマト植物を作製することに関する。TYLCVに対する抵抗性を付与する対立遺伝子及びネコブセンチュウに対する抵抗性をコードする対立遺伝子は、もともと、Lycopersicon esculentum、Lycopersicon cerasiforme、Lycopersicon pimpinellifolium、Lycopersicon cheesmanii、Lycopersicon parviflorum、Lycopersicon chmielewskii、Lycopersicon hirsutum、Lycopersicon pennellii、Lycopersicon peruvianum、Lycopersicon chilense又はSolanum lycopersicoidesなどの、但しこれらに限定されない、異なる生殖質ソース(すなわちトマトの異なる種)に由来しうる。
それ故、1つの実施態様では、2つの遺伝子座に相引相で少なくとも1個のTYLCV抵抗性対立遺伝子及び少なくとも1個のネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を含むLycopersicon esculentum植物を作製するための方法が提供され、その方法は、(a)TYLCV抵抗性対立遺伝子を含むLycopersicon植物を、ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を含むLycopersicon植物と交雑すること、(b)前記交雑の子孫を、1つ以上の分子アッセイを使用して2つの遺伝子座の各々における前記抵抗性対立遺伝子の存在に関して分析すること、及び(c)前記抵抗性対立遺伝子を相引相で含む1つ以上の植物を選抜すること、の工程を含む。
場合により、抵抗性アッセイを前記方法のいずれかの段階で実施しうる。さらなる任意の工程(d)は、得られた植物を自家受粉させること又は得られた植物をもう1つ別のトマト植物と交雑して雑種植物を作出することを含む。好ましい実施態様では、前記法によって得られる植物はTYLCVに抵抗性であり、線虫に高度抵抗性(定義したように)である。
工程(a)の出発植物は、実施例の中で述べるように病理試験を用いて選抜することができる。それらは、野生又は栽培植物、あるいは突然変異誘発又は形質転換植物などの改変された植物であってもよい。例えば、TILLING(Targeting Induced Local Lesions In Genomics;McCallumら、2000、Nat Biotech 18:455及びMcCallumら、2000、Plant Physiol.123、439−442)又はECOTILLING(Henikoffら、2004、Plant Physiology Preview 2004年5月21日)などのアプローチを使用して、改変された病原体抵抗性及び/又はTy又はMi遺伝子座の対立遺伝子における突然変異を有する植物を作製及び/又は選抜しうる。これらの植物は、その後、Ty及びMi抵抗性対立遺伝子のソースとして使用しうる。
次に、(以下で述べる)本発明に従った1つ以上の分子アッセイを使用して、交雑の子孫を分析する。分析し、その中から植物を選抜する子孫は、所望交雑/選抜計画及び使用する植物中に存在する対立遺伝子に依存して、F2、F3世代等、戻し交雑世代(BC1、BC2等)等のような様々な世代の子孫のいずれかでありうる。分子アッセイは、好ましくはF2植物に関して実施する。また、病理アッセイ及び/又は1つ以上の分子アッセイを使用して異なる世代の子孫を繰り返し試験しうる。1つの世代においていくつかの分子アッセイを実施しうるか、あるいは異なる世代において1つ以上の異なるアッセイを実施しうる。それ故、工程(a)、(b)及び/又は(c)を数回反復しうる。その目的は、所望Ty及びMi抵抗性対立遺伝子を相引相で含む組換え体を特定すること(工程c)である。この方法では、いかなるTy抵抗性対立遺伝子をいかなるMi抵抗性対立遺伝子と組み合わせてもよい(相引相で)。
前記植物は、例えばTy遺伝子座又はその近く、及びMi遺伝子座又はその近くの核酸配列に基づき、分子アッセイを使用して他の植物から識別することができる。これらの分析は、これら2つの遺伝子座の対立遺伝子構造を決定することを可能にする。例えば、本発明に従った植物は、Mi遺伝子座の近くに配列番号8又は基本的にそれに類似する(及びMi遺伝子座のMi抵抗性対立遺伝子を指示する)核酸配列、あるいはTy遺伝子座の近くに配列番号10又は基本的にそれに類似する(及び連鎖Ty遺伝子座のTy抵抗性対立遺伝子を指示する)核酸配列を含み、それによってこれらの領域は相引相で連結される。好ましくは、本文中別の箇所で述べるような1つ以上のPCRベースのアッセイを使用して、Mi遺伝子座とTy遺伝子座の異なる遺伝子型を識別し、所望対立遺伝子を相引相で有する組換え植物を選抜する。
Mi及びTy抵抗性対立遺伝子を相引相で含む組換え植物の選抜及びこの単一メンデル単位の他の植物への移入は、分子生物学、植物病理学及び伝統的交雑手法の組合せを用いて達成しうる。好ましいアプローチでは、本発明は、分子生物学手法を使用して、TYLCV抵抗性とネコブセンチュウ抵抗性についての所望対立遺伝子を栽培トマトのゲノム内にシス相で導入するためにTy及びMi遺伝子座の種々の対立遺伝子を識別する。本発明は、典型的にこれらの形質に結びつく遺伝子ひきずりを隠す植物育種家の能力を保持しながら、またTy及びMi抵抗性をOidium、Cladosporiumについての抵抗性遺伝子又はこの遺伝子クラスター内に存在するまだ発見されていない抵抗性遺伝子と組み合わせる自由を保持しながら、TYLCV及びネコブセンチュウの両方に多数の抵抗性を有するトマト雑種の育種を促進させる。
限定ではなく例として、本発明は、好ましくは6番染色体上に位置するシス相の共遺伝単位として、いずれかのTy抵抗性対立遺伝子およびいずれかのMi抵抗性対立遺伝子を相引相で含むトマト生殖質の開発を提供する。ひとたび高いレベルの(例えばTy−1及びMi−1によって提供される抵抗性レベルと同等の)抵抗性を有する植物が特定されれば、Mi及びTi遺伝子座に密接に関連する、ここで開示する核酸領域を配列決定することができ、その(関連マーカー領域の)配列情報を使用して、それらの植物において認められる対立遺伝子についての分子アッセイを開発することができる。当業者には明白であるように、様々な生殖質においてMi又はTy抵抗性対立遺伝子を特定するための代替的な方法が存在する。そのような方法のさらなる詳細を下記で述べる。
先に述べたように、本発明は分子生物学、植物病理学及び伝統的交雑手法の組合せを使用する。1つの実施態様では、使用する分子生物学手法は、例えば、下記でより詳細に論じる、Mi及び/又はTy遺伝子座に関連する核酸領域にハイブリダイズする(及び増幅する)核酸プライマーを用いたマーカーアッセイを含む。本発明は、Ty−1及びMi−1対立遺伝子を含む、実施例で開示する特定アッセイだけでなく、ネコブセンチュウに対する抵抗性をコードする対立遺伝子と相引相でTYLCVに対する抵抗性をコードする対立遺伝子をトマトに移入するために開発され、使用されうるいかなるアッセイも考慮する。例えば、本発明は、Ty及び/又はMi遺伝子座の何らかの変異体(例えばオーソローグ又は進化的に分岐した天然対立遺伝子又は突然変異誘発によって生成される対立遺伝子)をトマトに移入すること及びシス相で対立遺伝子を含む植物を生成することを考慮する。
またここでは、前述した方法のいずれかによって入手しうる植物、及びもう1つ別のL.esculentum植物との交雑における親としてのそれらの植物の使用が提供される。本発明は、技術的にいかなる意味においてもトマトの1つ又はそれ以上の特定品種に限定されず、トマト植物(近交系、雑種等を含む)に一般的に適用されることに留意すべきである。
(本発明に従った分子アッセイ)
植物のTy遺伝子座におけるTy−1及びTy+の存在又は不在、及びMi遺伝子座のMi−1、Mi−J及び/又はMi+を識別するいくつかの分子アッセイがここで提供される。これらのアッセイの1つ以上がマーカーアシスト選抜において、すなわち、Mi及びTy遺伝子座における植物の対立遺伝子構造を決定するため及び所望Mi及びTy抵抗性対立遺伝子を有する植物を選抜するために使用できる。常套的分子生物学手法を使用して、何らかのMi及びTy抵抗性対立遺伝子に関する同様のアッセイを開発することができる。例えば、配列番号7から9(又は変異体核酸配列)又は配列番号10又は11(又はその変異体)の10、12、14、16、18、20、21、22、23、24、25、26、30又はそれ以上の連続ヌクレオチドの断片は、PCRプライマー対又は核酸ハイブリダイゼーションのためのプローブを設計するため、及びそのようなプライマー対によって増幅される領域又はそのようなプローブがハイブリダイズする核酸配列の核酸情報に基づく識別分子アッセイを開発するために使用しうる。開発するアッセイの正確なタイプは、それがMi抵抗性対立遺伝子とTy抵抗性対立遺伝子、及びMi及び/又はTy遺伝子座の同型接合/異型接合を識別することができる限り、重要ではない。アッセイの様々なタイプの例を下記及び実施例に示す。
本発明の方法においてマーカーアシスト選抜を実施するために、対象トマト植物又は植物の部分を、例えば、最初に、当技術分野において既知の手法であるDNA抽出に供する(Hnetkovskyら、Crop Sci.,36(2):393−400(1996)参照)。ひとたび抽出が完了すれば、増幅切断多型配列(CAPS)アッセイ(Akopyanzら、Nucleic Acid Research,20:6221−6225(1992)及びKonieczny & Ausubel,The Plant Journal,4:403−410(1993)参照)又はSCARアッセイを含むがこれらに限定されない分子アッセイを実施することができる。SCARアッセイは、PCRによって遺伝子座(Ty遺伝子座又はMi遺伝子座の近くの特定遺伝子座)のDNAを増幅し、その後制限酵素で消化することを含む。核酸配列間の多型は、例えば異なる大きさの制限断片を生じることにより、異なる対立遺伝子(Mi+、Mi−J及び/又はMi−1対立遺伝子などであるが、これらに限定されない)を識別する。
トマト植物のゲノム内のTy及び/又はMi遺伝子座にどの対立遺伝子が存在するかを特定し、もし前記対立遺伝子が存在する場合は、それらの対立遺伝子が同型接合又は異型接合のいずれの状態で存在するかを特定するために、これらのアッセイでは核酸プライマー及び酵素を使用する。両方の遺伝子座から得た情報を使用して、Ty及びMi遺伝子座に相引相(すなわちシス相)で特定の対立遺伝子組合せを有する植物を特定する。
マーカーアシスト選抜試験を作成するために、当業者は、供与体ソース(すなわち病害抵抗性形質を含む生殖質)からのDNA配列を、受容体ソース(すなわち特定病原体についての感受性「+」体を含む生殖質)からの対応するDNA配列と比較することから始める。あるいは、対象形質に遺伝的に密接に関連するゲノム内の対応する位置で供与体と受容体からのDNAの配列比較を実施する。Ty及びMi遺伝子座については、これらの形質付近での多型の特定は当技術分野において既知である(Zamirら、Theor.Appl.Genet.88:141(1994)及びWilliamsonら、Theor.Appl.Genet.87:757(1994)参照)。Ty−1対立遺伝子に関して、Zamirらは、Tanskley(Tanskleyら、Genetics 132:1141(1992))によって最初に位置決定された、制限断片長多型(RFLP)TG97がTy遺伝子座に密接に関連することを認めた。同様に、Williamsonらは、REX−1遺伝子座がMi遺伝子座に密接に関連することを認めた。
1つの実施態様では、使用する分子アッセイはSCARアッセイであるか、又は実施例に見られるようにいくつかのSCARアッセイである。例えば、配列番号10は、L.chilenseからのTy−1対立遺伝子近くのポリヌクレオチドLA1969を提供する。配列番号11は、TG97遺伝子座のL.esculentumからの野生型Ty+対立遺伝子の近くのポリヌクレオチド配列を提供する。図1は、これら2つの配列間に存在するいくつかの一塩基多型(SNP)を強調した、これらの配列の比較を示す。SNPは、一般にINDELSと呼ばれる置換突然変異体、挿入又は欠失突然変異体でありうる。対立遺伝子間の多型を利用して、当業者は、SNPについてのマーカーアシストアッセイ及びプライマー(又はプローブ)を開発できることを認識する。そのようなアッセイは、感受性Ty+対立遺伝子から抵抗性Ty−1対立遺伝子を識別するために使用できる。例えば、配列番号1と2のプライマー対は約398bpの断片を増幅する(例えばゲノムトマトDNAを鋳型とするPCR増幅を使用して)。次にその増幅産物をTaqI酵素(配列T↓CGAを認識し、制限する)と共にインキュベートすると、Ty−1対立遺伝子を含む植物から増幅した398bp産物の約95bpと約303bpの2つの核酸断片への制限を生じる。Ty−1について同型接合の植物は、それ故、これら2つの断片を生じるが(例えばゲル上のバンド等として視覚化される)、Ty+について同型接合の植物は約398bpの単一断片を生じる。異型接合植物(Ty−1/Ty+)は3つの断片すべてを生産する。
同様に、Williamsonら、Theoretical and Applied Genetics 87:757−763(1994)によって公表されたデータに基づき、L.esculentum、L.peruvianum及びL.chilenseのポリヌクレオチド配列をREX−1と称されるMi近くの遺伝子座で決定した。これら3つのポリヌクレオチド配列を配列番号7(Mi+に特異的)、8(Mi−1)及び9(Mi−J)に示す。これらのポリヌクレオチド配列の比較を図2に示す。図2はこれら3つの配列間で20のSNPを明らかにしている。
ここで述べるSCARアッセイは他の分子アッセイによって容易に修正又は置換でき、及びTy及び/又はMi遺伝子座のいかなる対立遺伝子についても容易に開発できることは明白である。また、前記アッセイは、2個以上のヌクレオチドの欠失、挿入又は置換などのSNP以外の他の多型にも基づきうる。
既に述べたように、配列番号7から11の全部又は一部、あるいはその何らかの変異体又はゲノム内の隣接領域の全部又は一部にハイブリダイズし、増幅する特異的又は縮重プライマーを設計することができる。あるいは、抵抗性対立遺伝子の部分を直接増幅する又はMi及びTy遺伝子座の近くの他の核酸領域を増幅するためのプライマーも設計しうる。さらに、所望する場合は、米国特許第5,464,746号、同第5,424,414号及び同第4,948,882号に述べられているものを含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の手法を用いて、Applied Biosystems,Foster City,CAからのTaqMan(登録商標)アッセイなどの、但しこれに限定されない、他のマーカーアシスト選抜アッセイにおける使用のために本発明のプライマーを修飾することができる。
新しいTy又はMi抵抗性対立遺伝子を識別する新しい分子試験を設計するために、当業者は、例えば、最初にMi又はTy遺伝子座上又はその近くのマーカー遺伝子座のDNA配列を決定し(例えばここで述べるPCR増幅とプライマー対及びその増幅産物の配列決定を使用して)、次に他のマーカー配列(Mi及びTy遺伝子座上又はその近くの他の対立遺伝子)の対応するDNAと配列を比較することを認識する。このDNA比較により、当業者は、新しい配列多型あるいはこれまで他の比較ではカバーされていなかった既存の多型が残存するかどうかを特定できよう。これらのデータを使用して、新しい分子試験を設計するか、又はシス相のTy及びMi遺伝子座における何らかの対立遺伝子の組合せの選抜を容易にするために既存の試験を利用することができる。
上述したのと同様の方法が、ネコブセンチュウに対する抵抗性をコードする対立遺伝子を選抜及び/又は移入するために使用できる。限定ではなく一例として、トマト植物のゲノムにおけるMi−1対立遺伝子の存在を判定するためのアッセイを述べる。Mi−1対立遺伝子の存在を判定するためのアッセイは、先に述べたTy−1対立遺伝子を特定するために使用したのと同様の方法で決定できる。しかし、検討する植物がおそらくMi−J対立遺伝子を含むと考えられる場合、植物のゲノムにおけるMi−1対立遺伝子の存在の特定は、実施例で述べるような2つの分子アッセイを実施することを含みうるが、必ずしも含まない。いずれの場合も、これらのアッセイを実施する順序は決定的に重要ではない。
上述したアッセイは、Ty抵抗性対立遺伝子とMi抵抗性対立遺伝子を相引相で含むトマト植物の交雑及び/又は選抜を容易にするための育種プログラムにおいて個別に及び集合的に使用できる。
これらの方法がどのように使用できるかについての非制限的な1つの例を、Mi−1とTy−1を相引相で含む植物の選抜に関して以下で述べる。第一近交系トマト系統を第二近交系トマト系統と交雑させて雑種植物を生産しうる。交雑において使用する1つのトマト植物はTy−1対立遺伝子をそのゲノム内に含み、第二の植物はMi−1対立遺伝子をそのゲノム内に含む。生じた植物(F1雑種)を、次に、自家受粉させ、受精させて、播種する(F2種子)。そのF2種子からF2植物を生育させる(又はさらに自家受粉又は交雑させる、例えば交雑親の1つと戻し交配させる)。次にこれらの植物を、当技術分野で既知の手法である(Hnetkovskyら、1996、Crop Sci.,36(2):393−400参照)DNA抽出に供し、破砕された組織試料に関して直接PCRを実施する。
それ故、上述したアッセイは、異型接合状態のTy−1対立遺伝子及び同型接合状態のMi−1対立遺伝子を含むF2植物(又は他の子孫)を特定するために使用できる。あるいは、同型接合状態のTy−1対立遺伝子及び異型接合状態のMi−1対立遺伝子を含むF2植物を特定することができる。そこで、前述したSCARアッセイなどの1つ以上の分子アッセイを使用して、Ty−1とMi−1を相引相で含む組換え植物を特定することができる。
TyとMi遺伝子座の間での組換え率は低いので、F2世代の組換え体を見出すことはまれである。ここで述べるアッセイはまた、Ty−1及び/又はMi−1対立遺伝子が同型接合又は異型接合状態で植物のゲノム内に存在するかどうかを判定するためにも使用できる。アッセイの結果に依存して、さらなる交配及び分子特定指摘が必要になりうる。例えば、育種プログラムの目標が近交系を作出することであり、及び試験する特定トマト植物についての上記アッセイの1つ以上の結果が、その植物がMi−1対立遺伝子を同型接合状態でそのゲノム内に含み、Ty−1対立遺伝子を異型接合状態で含むことを明らかにする場合、その植物及びその子孫が、自殖後、Mi−1対立遺伝子とTy−1対立遺伝子の両方を同型接合状態でそのゲノム内に含むと判定されるまで、前記植物をさらなる自家受精、交配及び/又はここで述べるアッセイの1つ以上を用いた分子特定指摘に供しうる。ひとたびMi−1及びTy−1対立遺伝子が相引相又はシス相で作出されれば、それらは共に遺伝される。多抵抗性対立遺伝子のこの遺伝ブロックは、植物育種家に、第二近交系親による野生種移入の遺伝子ひきずり作用を隠すことを可能にしつつ、新しい雑種を作出する上での柔軟性を提供する。また、Oidium及びCladosporium抵抗性遺伝子などの他の抵抗性遺伝子との組合せも容易に可能である。
上記で簡単に述べたように、本発明の方法は、新しい、より優れた近交系を作出するために使用できる。これらの近交系は、TYLCV及びネコブセンチュウに対して抵抗性であり、同時に他の商業的に望ましい特性を有する雑種トマト植物を作出するためのその後の育種において使用できる。そのような近交系は、速やかな育種を促進する単一共遺伝性単位としてのTy−1及びMi−1対立遺伝子の移入を可能にするので、育種において有用である。さらに、前記方法はまた、近交系が実際にTy−1対立遺伝子及びMi−1対立遺伝子を同型接合状態でそのゲノム内に含み、その同型接合性を保持していることを確認する上で有用である。ひとたびこの確認が得られれば、その近交系は、Ty−1対立遺伝子とMi−1対立遺伝子を単一共遺伝単位として雑種トマト植物に移入するために第二近交系との交雑において使用できる。その第二代近交系は、遺伝子ひきずり作用を隠すための野生種対立遺伝子Ty+及びMi+を担うことができる。
(本発明に従ったキット)
さらなる実施態様では、Mi及び/又はTy遺伝子座の対立遺伝子組成物を判定するための分子アッセイが提供される。そのようなアッセイは、1つ以上のトマト植物からDNAを抽出すること、少なくとも1つのPCRプライマー対を使用してMi及び/又はTy遺伝子座上のDNAの部分又はそれらに関連するDNAの部分を増幅すること、場合により1つ以上の制限酵素で増幅産物を制限すること、及び前記DNA断片を視覚化することを含む。
さらに、Mi遺伝子座及びTy遺伝子座における植物又は植物組織の対立遺伝子構造を判定するための検出キットが提供される。そのようなキットは、配列番号1と2、配列番号3と4及び/又は配列番号5と6、あるいはその変異体などの、1つ以上のプライマー対を含む。さらに、指示書及び場合により植物材料又はDNA(例えば対照組織の)が含まれうる。
(実施例)
線虫抵抗性についての効力評価
FDR16−2045系統は米国特許第6,414,226号の対象である。この系統はTy遺伝子座にTy−1対立遺伝子を含む;この対立遺伝子の由来は、近代的トマトL.esculentumの野生類縁、L.chilenseからの移入であった。Ty−1対立遺伝子は、商業的に重要な病原体、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)に対する抵抗性を与える。FDR16−2045系統は、この移入と共遺伝される、Mi遺伝子座近くのMi−J対立遺伝子を含む。Mi−J対立遺伝子は、もう1つの商業的に重要な病原体であるネコブセンチュウに対する抵抗性を与える。交配及び病理実験において、Mi−J対立遺伝子によって与えられる抵抗性のレベルは、代替対立遺伝子、Mi遺伝子座のMi−1ほどにはネコブセンチュウに対して有効でない。これは、Mi−J対立遺伝子がL.esculentumからの「+」型感受性対立遺伝子と対合した異型接合状態で存在するときに特に明らかである。それ故、ここで述べる一連の病理実験は、Mi−1及びMi−J抵抗性対立遺伝子を使用して抵抗性レベルを定量する。
Meloidogyne incognitaに対する抵抗性を測定するための病理試験
トマトにおけるネコブセンチュウ病の病原菌であるMeloidogyne incognitaに対する抵抗性を評価するために生病原菌アッセイを使用した。抵抗性等級は、こぶ形成の程度と大きさに基づく。表1は、ネコブセンチュウ抵抗性を判定するための等級採点システムを示す。M.incognitaの病害症状について採点するために0から4までの尺度を使用した(表1)。
Figure 0005312423
感受性トマト系統からの植物を2ヶ月間感染させることによってMeloidogyne incognita接種材料を作製した。この時点で、感染植物の根は病原体からの成熟卵塊を示す。接種材料の作製のために根を採取し、4から5cmの断片に切断した。試験は、感染接種材料の存在下で種子を発芽させる。種子を、泥炭、バーミキュライト及び砂の土壌混合物(それぞれ4:1:1)を含む温室ベンチに播く。1つの系統からの種子を約4cmずつ離して畦に播き、畦と畦の間は4.5から5cmとした。接種材料のために、各々の畦の間に約12cmの間隔で小さな穴を作った。これらの穴に、作製した接種材料2又は3片を差し込み、土壌で覆った。畦の各々の側に接種材料を交互に配置することにより、各々の種子は接種材料から約6から7cmの距離であった。実生を発芽させ、温室において毎日の温度範囲22から26℃で生育させた。播種後28日目に各々の植物を引き抜き、根をこぶの存在について検査することによって等級付けを実施した。
試験は、交配系統、雑種及び対照系統に関して2回実施した。線虫抵抗性についての病理試験の結果を表2に示す。
Figure 0005312423
左側の欄が試験した系統の名称である。これらは、交配系統、雑種系統及び対照系統を含む項に分けられている。次の欄にはMi及びTy遺伝子座の遺伝子型を列記している。これらの遺伝子型はここで述べる分子マーカー試験によって決定した。その次の5つの欄のシリーズは、2回の別々の時点に採点した試験についての等級スコアを含む。最後の5つの欄はこれら2回の試験の結果を合計している。
Ty及びMi遺伝子座に種々の遺伝子型を有する14の試料が存在するので、表2の成績傾向を認識するのは難しいと考えられる。14の試料のうち、5つの遺伝子型だけがMi遺伝子座に存在する。1つの遺伝子型は、L.esculentumからの感受性対立遺伝子について同型接合である。これを+/+と称する。2番目の遺伝子型は異型接合であり、感受性「+」対立遺伝子と対合したMi−J対立遺伝子を有する。3番目の遺伝子型は、同型接合状態のMi−J対立遺伝子を有する。4番目と5番目の遺伝子型は、それぞれ同型接合として及び「+」対立遺伝子との異型接合として存在する、Mi−1対立遺伝子を含む。
表2のデータをMi遺伝子座の遺伝子型に従って要約し、平均すると、線虫抵抗性についての種々の対立遺伝子組合せの効力が明らかになる(図3)。図3において、表2に認められる遺伝子型についての平均病害等級を示す。表2の系統をMi遺伝子座の遺伝子型に従って分析した。これらの遺伝子型分類をY軸に示す。X軸は、これらの5つの遺伝子型分類についての平均病害等級を表わす。
図3は、最初にL.peruvianumから移入したMi−1対立遺伝子が線虫に対する最も強力なレベルの抵抗性を与えることを示す。また、その抵抗性は、Mi−1が異型接合(感受性「+」対立遺伝子との)として存在するか又は同型接合として存在するかに関わりなく強力であることも明らかである。これは、遺伝子型Mi−1/Mi−1及びMi−1/+が線虫抵抗性に関して高度抵抗性の表現型を付与することを明らかにしている。この「高度抵抗性」クラスは、ここで述べる方法によって判定した、0.1未満の平均抵抗性スコアを有すると定義される。
その次に最も抵抗性のクラスは、L.chilennseから移入した、同型接合状態のMi−J対立遺伝子を有する系統からである。この抵抗性のクラスは「中間抵抗性」と定義され、0.1以上であるが1.0未満の平均採点範囲内である。近交系FDR16−2045は、それ故、中間レベルの抵抗性を有すると採点される。
「軽度抵抗性」と定義される3番目の抵抗性クラスは、感受性対立遺伝子「+」と対合した、異型接合状態のMi−J対立遺伝子を有する系統に例示される。このクラスは1.0以上であるが2.0未満の平均抵抗性等級を有する。近交系FDR16−2045を、雑種栽培品種を作出するための近交系親として使用する場合、及び第二の親が感受性「+」対立遺伝子を含む場合、その雑種は軽度の抵抗性だけを示す。中間抵抗性及び軽度抵抗性クラス内のMi−J対立遺伝子の成績を比較したとき、この遺伝子が半優性的に働くことは明白である。
最後のクラスは感受性と定義され、L.esculentumからの感受性対立遺伝子について同型接合又は+/+である系統を含む。この感受性クラスは、2以上の平均病害等級スコアを有すると定義される。
これらの試験結果は、L.peruvianum(Mi−1)、L.chilennse(Mi−J)及びL.esculentum(「+」)からの対立遺伝子を使用したトマト交雑において達成されうる種々の抵抗性レベルを示す。これらのデータに基づき、トマト育種家は、Ty遺伝子座の抵抗性対立遺伝子(Ty−1)を含む近交系をMi遺伝子座の最良抵抗性対立遺伝子(Mi−1)を含む近交系と交雑することによって雑種栽培品種を作出することができる。この戦略には、しかしながら、2つの決定的に重要な制限がある。第一に、育種家が、6番染色体のセントロメア領域内の病害クラスターに位置づけられる他の病害抵抗性遺伝子を送達する可能性を排除する。この領域に位置することが知られている他の病害抵抗性遺伝子の例は、Cladosporium抵抗性遺伝子、レース2及びレース5、及びOidiumについての抵抗性遺伝子である。第二に、育種家は、各々が野生種に由来し、各々遺伝効力を生じることが知られている2つの領域を移入するので、これは、近代的トマト(L.esculentum)からの遺伝子を使用することによる遺伝子ひきずり作用を隠す能力を制限する。
ここで述べるシス相のTy−1及びMi−1トマト植物は、これらの制限に対抗しうる対立遺伝子の新規組合せを提供し、トマト育種家に、多数の病害抵抗性を備えた栽培品種を作出するためのより多くの選択を可能にする。
トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)に対する抵抗性を判定するためのプロトコール この実施例は、トマト植物がTYLCVに対して抵抗性、中間抵抗性又は感受性であるかどうかを判定するためのプロトコールを述べる。
Bemisia tabaciを通してTYLCVの自然感染が存在する圃場において植物を生育させる。ウイルス病原体の動きは様々な政府機関によって管理されうるので(検疫病(quarantine disease))、自然に起こる圃場感染はウイルスが地方病性である区域において抵抗性を測定する好ましい方法である。例えば、米国農務省は通常、TYLCV病原体が通常は存在しない米国の大半のトマト生育領域にTYLCV病原体を持ち込むことを許可しない。ウイルスの伝播のために昆虫(Bemisia tabaci)を飼育する必要があるので、管理条件下で病害スクリーニングを実施することは厄介である。
0から4の尺度を使用して(表3)TYLCVの病害症状について採点した:
表3
Figure 0005312423
植物系統又は品種を、平均スコアが0−1であるときTYLCVに対して抵抗性、平均スコアが約2であるとき中間抵抗性、及び平均スコアが3以上であるとき感受性と等級付ける。あるいは、当技術分野で知られているTYLCVを判定するためのプロトコールも使用できる。「Tomato Yellow Leaf Curl Virus from Sardinia is a whitefly−transmitted monopartite geminivirus」;A.Keyyr−Pour,M.Bendahmane,V.Matzeit,G.P.Acotto,S.Crespi,B.Gronenborn;Nucleic Acids Research,Volume19,p.6763−6769;Tomato Yellow Leaf Curl Virus:a whitefly transmitted geminivirus with a single genomic component」,N.Navot,E.Pichersky,M.Zeidan,D.Zamir,H.Czosnek,Virology,185,1991,p.151−161。
(Mi及びTy遺伝子座の対立遺伝子組成物を識別するための分子試験)
3つの分子マーカー試験の組合せを使用して、Mi及びTy遺伝子座の遺伝子型を決定した。Ty遺伝子座では、2つの可能な対立遺伝子、Ty−1と「+」を識別するのに1つの共優性分子マーカー試験しか必要としない。当業者は、共優性アッセイが、二対立遺伝子座の3つの対立遺伝子の可能性を識別することができる試験として定義されていることを認識する。これらの遺伝子座で、3つの遺伝子型を各々同型接合クラス及び異型接合クラスについて採点することができる。典型的に、配列決定特性指摘増幅領域(equenced haracterized mplified egions)又はSCARアッセイ、増幅切断多型部位又はCAPSアッセイ、及び一塩基多型又はSNPアッセイのようなマーカーアッセイはすべて典型的には共優性アッセイである。これに対し、ランダム増幅多型DNA(RAPD)及び増幅断片長多型(AFLP)は典型的には優性マーカーであり、共優性マーカーほど多くの情報を提供しない。Mi遺伝子座では、3つの対立遺伝子(Mi−1、Mi−J及び「+」)の間の可能な組合せを決定するためには2つの試験が必要である。いかなる意味においても限定ではないが、ここで述べるマーカーアッセイはすべてSCAR型アッセイである。
大部分の他の分子マーカー試験と同様に、実施するSCARアッセイは、非常に小量の出発物質からDNAを約10億倍に増幅することができる、ポリメラーゼ連鎖反応又はPCRを使用する。PCRの使用は当業者に周知であり、研究者は試験を実施するためにごく小量の植物試料を採取するだけでよい。1cm2未満の葉物質、好ましくは活発に生育している幼若組織がこれらの試験を実施するために必要である。これはごく小量の試料であるので、これらのマーカー試験は通常非破壊的と称される。それらは、試料の採取がいかなる意味でも植物の発育を妨げないので非破壊的とみなされる。それ故、この小量の試料はその後の多くの試験、すなわち病理試験、果実の生化学的分析、収量試験又は園芸的評価からの結果に影響を及ぼさない。非破壊的であることに加えて、SCARアッセイはまた、付加的な時間的利点を提供する。典型的には、対象遺伝子座の遺伝子型を24時間以内に確認することができる。
使用する3つの分子マーカー試験は各々、ゲノムDNAの単離を必要とする。
マーカー試験のためのトマトDNAの単離
いかなる意味においても限定ではなく、その後の分子マーカー試験用のトマトDNAを抽出するために以下のプロトコールが使用できる。当業者は、先行技術において多くのDNA抽出プロトコールが使用可能であることを認識する。このプロトコールの中で述べるすべての化学物質は、Sigma Chemical Company,Saint Louis,Missouriから入手できる。手順は次の工程を含む:
1.およそ96穴マイクロタイタープレートフォーマットのウエルの大きさの植物部分を収集する。好ましくは、種子試料を使用するか、又は若葉から組織試料を採取する。
2.抽出緩衝液150μl(200mMトリス−HCl、pH7.5;250mM NaCl;25mM EDTA;0.5%SDS)を試料に加えて、組織を浸軟する。
3.15℃、1900×gで15分間プレートを遠心分離する。
4.上清分画100μlを、各々のウエルに2.5M酢酸カリウム100μl(pH6.5)が入った新しい96穴プレートに移す。200rpmで約2分間振とうして混合する。
5.15℃、1900×gで15分間プレートを遠心分離する。
6.上清分画75μlを、イソプロパノール75μlを含む新しい96穴プレートに移す。混合し、次に200rpmで2分間振とうする。
7.15℃、1900×gで15分間プレートを遠心分離する。
8.上清分画を除去し、ペレット分画に70%エタノール200μlを加える。200rpmで5分間振とうし、その後−20℃で一晩インキュベートする。
9.15℃、1900×gで15分間プレートを遠心分離する。
10.上清分画を除去する。ペレットに70%エタノール200μlを加え、室温で1時間放置して前記アルコールでペレットを洗浄する。
11.15℃、1900×gで15分間プレートを遠心分離する。
12.上清分画を廃棄し、ペレット分画を室温で乾燥する。これを約1時間かけて実施する。
13.ペレット分画を37℃で15分間、TE100μl(10mMトリス、pH8.0、1mM EDTA、5μg/ml RNAアーゼA)に溶解する。PCR工程へ進まない場合は、前記DNAを4℃又は−20℃で保存することができる。
SCARアッセイのための一般的PCR条件
3つのSCARマーカーアッセイの各々は、同様のデザインと実施法を共有する。各々のアッセイは、PCR反応においてDNA合成を開始させるために使用されるのでプライマーと称される、一対の特異的DNAオリゴヌクレオチドを含む。これらのプライマーは、典型的には15−25ヌクレオチドの長さである;これらの長さのヌクレオチドは、増幅するマーカー遺伝子座の基質のDNA配列に対応する。これらのプライマーは、典型的には100から1,000塩基対のアンプリコンの合成を促進するように設計される。当業者は、SCAR型アッセイを創出するためにこれらのプライマーをどのようにして設計するかを認知しており、しばしばその設計を助けるために公的に入手可能なPrimer3ソフトウエア(Whitehead Institute,Cambridge,MA)のようなソフトウエアプログラムを使用する。プライマーは当技術分野で既知の方法を用いて合成するか又は多くのオリゴヌクレオチド注文製造会社から購入することができる。これらのアッセイで使用したプライマーはすべてOperon Company,Alameda,CAから購入した。PCR反応における他の試薬は、多くの商業的供給業者から購入することができる;ここで述べるアッセイでは、我々は、4つのデオキシリボヌクレオチド−5’三リン酸(dNTP)をPharmacia Company,Kalamazoo,MIより、PCR緩衝液及びTaqポリメラーゼ酵素をthe Applied Biosystems Company,Foster City,CAより購入した。当業者は、使用できる多くの種類のPCR装置及びアッセイ条件が存在するので、SCARアッセイを実施するのにある程度の柔軟性があることを認識する。the Applied Biosystems Company,Foster City,CAからの9700型PCR装置を、3つのアッセイの各々について以下の実施パラメータと共に使用した。94℃で2分間の初期変性工程に続いて35サイクルの増幅を実施した。各々の増幅サイクルは、92℃、30秒、次に50℃、30秒、次に72℃、90秒の3工程であった。35回のサイクル後、試料を5分間72℃に保持した。これでPCR増幅アッセイは終了するが、研究者が回収するまで最終反応物を25℃に保持するようにPCR装置をプログラムした。
当業者は、PCRアッセイ条件にはかなりの柔軟性が許容されることを認識する。DNA鋳型1μL、2つのアッセイ特異的PCRプライマー各々10ピコモル、4つのdNTPの各々について最終容量200μM、10XPCR緩衝液2.5μL、及びTaqポリメラーゼ1.25単位でPCR反応物を調製した。反応物の最終容量を25μLにするために無菌水を使用した。
各々のSCARアッセイはまた、PCR反応が完了した後いかにして多型を明らかにするかについても共通性を有する。各々の試験に関して、PCR反応からのDNAの増幅領域は多型制限酵素認識部位を含みうる。選択(alternate)対立遺伝子はこの認識部位を持つ場合と持たない場合がある。PCR産物を特異的制限酵素で消化するとき、アンプリコンは、その制限酵素部位が存在しないために切断されないか、又は2つの断片へと非対称に消化される。遺伝子座の遺伝子型は、これらの断片をアガロースゲルで電気泳動分離し、DNAに結合する染料、臭化エチジウムでゲルを染色して、次に紫外線でDNAを励起して断片を視覚化することによって決定することができる。PCR反応からの断片の大きさは、それらを、アガロースゲルで近くのレーンに電気泳動される既知の大きさの標準品と比較することによって決定される。SCARアッセイのうちの2つは、多型を明らかにするために制限酵素TaqIを使用する。これらのアッセイに関しては、10X制限酵素緩衝液3μL、TaqI制限酵素0.25μL及び水1.75μLをPCR反応後に加え、65℃で約3時間インキュベートする。3番目のアッセイは、遺伝子型を明らかにするために制限酵素NlaIIIを使用する。この試験では、10X制限酵素緩衝液3.5μL、NlaIII 0.25μL及び水6.25μLをPCR反応後に加え、次に37℃で約3時間インキュベートする。当業者は、制限酵素及び緩衝液が多くの商業的販売者によって市販されていることを認識する。本発明者らはNew Englands Biolabs,Beverly,MAからの試薬を使用した。制限酵素による消化後、当技術分野で周知の方法に従って(Current protocols in molecular biology(1994)F.Ausubel編集、John Wiley and Sons,New York)、生成物を1−2%(w/v)アガロースゲルでの電気泳動によって分離した。
Ty遺伝子座のSCAR試験
Zamirは、Ty−1遺伝子をTG97と呼ばれる制限断片長多型(RFLP)マーカーの近くに位置決定した((1994)Theoret.Appl.Genet.88:141−146)。RFLPアッセイは実施がより難しく、植物に対して破壊的で、コストがかかり、実施にも時間がかかるので、「+」対立遺伝子と抵抗性対立遺伝子Ty−1の両方を基質として使用してRFLP遺伝子座を配列決定することにより、このRFLPをSCARマーカーアッセイに変換した。これらの配列の比較によって多型制限部位を発見することができた。
SCAR試験は、以下の特異的プライマー対を使用してここで述べるように実施する。
配列番号1:5' TAA TCC GTC GTT ACC TCT CCT T 3'及び
配列番号2:5' CGG ATG ACT TCA ATA GCA ATG A 3'。
多型は、PCR後に制限酵素TaqIでの消化によって明らかにすることができる。Ty−1対立遺伝子が同型接合として存在する場合は、この対立遺伝子から生産されるアンプリコンはTaqI制限酵素部位を含むので、398塩基対のPCRアンプリコンは95と303塩基対の断片に消化される。「+」対立遺伝子が同型接合として存在する場合は、398塩基対のPCRアンプリコンはTaqI酵素によって消化されない。異型接合試料については、PCR反応の約半分が95と303塩基対の断片に消化され、PCR反応の約半分は消化されない。電気泳動によって分離したとき、異型接合は95、303及び398塩基対の長さの3つの断片を有する。このようにして、Ty遺伝子座の遺伝子型を迅速且つ正確に決定することができる。
Mi遺伝子座のSCAR試験No.1(Mi−1又はMi−J対立遺伝子を「+」対立遺伝子から識別する)
Williamsonら(Theoretical and Applied Genetics 87:757−763(1994))によって公表されたデータに基づき、L.esculentum、L.peruvianum及びL.chilenseのポリヌクレオチド配列を、REX−1と称されるMi近くの遺伝子座で決定した。
SCAR試験を、以下の特異的プライマー対を使用してここで述べるように実施する。
配列番号3:5' AAC CGT GGA CTT TGC TTT GAC T 3'及び
配列番号4:5' TAA GAA CAG GGA CTC AGA GGA TGA 3'。
Ty遺伝子座についてここで述べるSCARアッセイと同様に、Mi遺伝子座のSCARアッセイNo.1も多型TaqI制限酵素認識部位を使用する。多型は、PCR産物を制限酵素TaqIで消化することによって明らかにすることができる。Mi−1対立遺伝子又はMi−J対立遺伝子が同型接合として存在する場合、又はMi−1対立遺伝子とMi−J対立遺伝子が異型接合として存在する場合は、これらの対立遺伝子はTaqI制限認識部位を含むので、595塩基対のPCRアンプリコンは145と450塩基対断片に消化される。「+」型対立遺伝子が同型接合として存在する場合は、595塩基対のPCRアンプリコンはTaqI酵素によって消化されない。異型接合試料(Mi−1/+又はMi−J/+)については、PCR反応の約半分が145と450塩基対の断片に消化され、PCR反応の約半分は消化されない。電気泳動によって分離したとき、これらの異型接合は145、450及び595塩基対の長さの3つの断片を有する。このようにして、抵抗性対立遺伝子(Mi−1又はMi−J)が存在するかどうか、又は感受性対立遺伝子(「+」)が存在するかどうか、又は抵抗性対立遺伝子(Mi−1又はMi−J)と感受性対立遺伝子(「+」)が異型接合として存在するかどうかを判定することができる。
Mi遺伝子座のSCAR試験No.2(Mi−JをMi−1又は「+」対立遺伝子から識別する)
上記実施例5で述べたSCAR試験はMi−1対立遺伝子とMi−J抵抗性対立遺伝子を識別することができないので、REX−1マーカーにおけるもう1つのSCARアッセイを開発した。この試験は、このマーカー遺伝子座のMi−1、Mi−J及び「+」対立遺伝子を配列決定することによって開発された。残念ながら、3つの対立遺伝子の各々について異なる多型を有する単一ヌクレオチドは存在しなかった。一塩基多型はNlaIIIと呼ばれる制限酵素認識部位において発見された。明細には、Mi−J対立遺伝子はこの認識部位を含んだが、Mi−1及び「+」対立遺伝子はこの認識部位を含まなかった。
この多型に基づき、第二のSCARアッセイを開発し、これは、以下の特異的プライマー対を使用してここで述べるように実施することができる:
配列番号5:5' CTA CGG AGG ATG CAA ATA GAA
配列番号6:5' AAT CAT TAT TGT CAC ACT TCC CC。
PCR反応後、反応物をここで述べる方法により制限酵素NlaIIIで消化することによって多型を明らかにすることができる。Mi−J対立遺伝子が存在する場合は、282塩基対のアンプリコンは124と158塩基対の断片に消化される。Mi−1対立遺伝子又は「+」対立遺伝子が存在する場合は、アンプリコンはNlaIII酵素によって消化されない。異型接合(Mi−J/Mi−1又はMi−J/+)は3つの断片すべて(124、158及び282塩基対)を有する。Mi遺伝子座の両方のSCARアッセイを使用して(実施例5及び6)、3つの可能な対立遺伝子(Mi−1、Mi−J又は「+」)のどの組合せが存在するかに関わらず、Mi遺伝子座の遺伝子型を決定することができる。
Mi及びTy遺伝子座で最も有効な対立遺伝子を組み合わせるための交雑プロトコール 各々密接に連鎖する対象固定遺伝子を含む2つの親系統から出発して、当業者は、これらの対象形質をシス相で組み合わせるという目標を達成するためにいくつかの可能な戦略があることを認識する。これらの戦略はすべて、しかしながら、F1雑種を作製するために各々対象形質を含む親系統を交雑することから始まる。好ましくは、親系統は各々、対象形質の1つについて固定されているべきである。F1雑種は自家受粉させて分離F2個体群を作出するか、又はいずれかの親系統に戻し交配することができる。交雑戦略に関わりなく、当業者は、F1植物が減数分裂の過程を通して配偶子を生産するとき対象新規組換え体が作出できることを認識する。
いかなる意味においても限定ではなく、Mi及びTy遺伝子をシス相で組み合わせるためにF2戦略を採用した。明細には、近交系交雑系統FIR16−176とFDR16−2045の間の交雑を1997年秋にNimes,Franceにおいて実施した。これらの交雑系統はいずれもSeminis Vegetable Seeds,Inc.のトマト育種プログラムからである。近交系FIR16−176は、Ty遺伝子座に感受性対立遺伝子「+」を含み、近くのMi遺伝子座にMi−1対立遺伝子を含む。米国特許第6,414,226号の対象である近交系FDR16−2045は、Ty遺伝子座にTy−1対立遺伝子を含み、近くのMi遺伝子座にMi−J対立遺伝子を含む。No.1652817と称されるF1植物は、それ故、親遺伝子型を表わす、Ty及びMi遺伝子座の対立遺伝子のシス対合の対を含む。これらの対合は一般に、共に下線を付しており、下線はそれらの遺伝子座が遺伝的に連鎖することを表わす。例えば、F1植物はシス対合の「+」Mi−1及びTy−1 Mi−Jを有する。親が減数分裂を受けたときに組換えが起こりうるはずであるが、これらの系統の各々がMi及びTy遺伝子座に固定されていたため有効な組換えは起こらなかった。
F1植物No.1652817を自家受粉させたF2個体群を作出した。F1植物は減数分裂を通して配偶子を生産したので、それらの配偶子の大部分はもとの親からの対立遺伝子組合せ(「+」Mi−1及びTy−1 Mi−J)を保持する。Ty遺伝子座とMi遺伝子座の遺伝距離が、組換え体配偶子(「+」Mi−J及びTy−1 Mi−1)が生産される相対頻度を決定する。Ty及びMi遺伝子座は近接して位置し、数多くの研究者が6番染色体のこの領域では組換えが抑制されることを示しているので、当業者は、組換え型配偶子の数は親配偶子と比較して非常に低いことを予測する。
その後、Ty−1及びMi−1対立遺伝子をシス相で有する組換え体を特定するために、ここで述べる一連の分子試験を開発した。というのは、表現型病理学スクリーニングを通してこのシス対合を特定するには何年にもわたる多世代スクリーニングを行わなければ不可能だったからである。当業者は、このシス対合の表現型特定が可能であることを認識するが、ここで述べる分子特定法が対立遺伝子のこの有用な組合せを特定するためのより速く且つはるかに効率的な方法であることは明白である。
2000年1月に、F1雑種1652817の自家受粉に由来する504のF2種子をDNA抽出(実施例3)のために試料採取し、ここで述べる方法(実施例4及び5)を用いて各々の試料についてTy遺伝子座の遺伝子型を決定した。127植物が感受性対立遺伝子「+」について同型接合であり、これらの植物は廃棄した。Ty−1対立遺伝子について異型接合(Ty−1/「+」)であるか又はTy−1対立遺伝子について同型接合(Ty−1/Ty−1)である残りの377植物をここで述べる方法(実施例4、6、7)によって分析し、近くのMi遺伝子座の遺伝子型を決定した。1個の好ましい対立遺伝子を異型接合(Ty−1又はMi−1のいずれか)として含み、且つ他の好ましい対立遺伝子(Ty−1又はMi−1のいずれか)が同型接合として固定されている植物を、Ty−1及びMi−1対立遺伝子をシス相で有するとして選抜した。
6番染色体のこの領域では組換えが抑制されることが広く文書で記録されているので、組換え体は予想されなかった。それ故、8個のそのような組換え体が発見されたことは意外であった。Kaloshianら((1988)Mol.Gen.Genet.257:376−385)は、peruvianum対peruvianumの交雑を実施したとき、esculentum対peruvianumの交雑と比べてこの領域での組換え頻度が約8倍高いことを示した。組換え体の比較的高い回収率についてのこの可能な説明をもってしても、実施した交雑はKaloshianら(同上)のperuvianum対peruvianumではなくこのゲノム領域内のhirsutumとperuvianumのDNAを含むので、前記事象はやはり予想外であった。
Mi−1及びTy−1遺伝子導入は、別々に遺伝子ひきずりを引き起こすことが知られている。それ故、発見された8個の組換え体の各々はおそらくユニークな組換え事象であるので、これはこれらの形質の移入に付随する遺伝子ひきずりを低下させる好機であった。多くの園芸的評価を実施し、これらの評価から、改良に向けてNo.20とNo.251と称する2つの植物を選抜した。これらの植物はいずれもTy−1対立遺伝子について異型接合(Ty−1/「+」)であり、Mi−1対立遺伝子について同型接合であった。これらの植物はいずれも、それ故、Ty−1対立遺伝子とMi対立遺伝子をシス相で含むが、この好ましいシス相の組合せは固定されていない。
2000年の春に、F2植物No.20及びNo.251を自家受粉させたF3個体群を作出した。これらの個体群をそれぞれ97.5281.M20及び97.5281.M251と称した。ここで述べる方法(実施例3から7)を用いて、Ty−1及びMi−1対立遺伝子を両方の事象について同型接合状態で固定した。
分子試験が抵抗性表現型を正確に予測することを保証するために、植物No.20及びNo.251に由来するこれらの固定系統(97.5281.M20.M.1.1、97.5281.M251.M.1.1、97.5281.M251.M2.1)を、ここで述べる方法(実施例1)に従ってネコブセンチュウ抵抗性に関して試験した。表2は、ユニークシス配置のTy−1及びMi−1対立遺伝子を有するこれらの系統がネコブセンチュウに対して高度抵抗性であることを示している。
これらの同じ系統(97.5281.M20.M.1.1、97.5281.M251.M.1.1、97.5281.M251.M2.1)を、ここで述べる方法(実施例2)を用いて、Antalya,TurkeyにおいてTYLCVについても試験した。ユニークシス配置のTy−1及びMi−1対立遺伝子を有するこれらの系統はTYLCVに対して抵抗性であった。
シス相のTy−1及びMi−1の有効な抵抗性対立遺伝子のこの組合せは、トマト育種家が、遺伝子ひきずりを隠すため、あるいはOidium又はCladosporium又はこの病害クラスター内のまだ発見されていない抵抗性対立遺伝子についての付加的な抵抗性遺伝子を送達するための第二の近交系親を選択する自由を保持しながら、TYLCVに抵抗性であり、線虫に高度抵抗性であるトマト雑種を作出することを可能にする。この新規アプローチは、トマト栽培家に、専ら防除のための化学農薬に頼ることなく、あるいはトランスジェニック抵抗性戦略に基づくことなく、許容される園芸品質で、多くの病害病原体を防除する可能性を提供する。

Claims (25)

  1. トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)抵抗性およびコブセンチュウ抵抗性であるリコペルシコン・エスクレンタムを作製する方法であって、
    a.リコペルシコン・チレンセ(L.chilense)由来のトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)抵抗性対立遺伝子であって配列番号10によって特徴付けることができるTy-1を少なくとも一つ第6番染色体上に含む第1の親リコペルシコン・エスクレンタム植物を得る工程;
    b.前記第1の親リコペルシコン・エスクレンタム植物を、リコペルシコン・ペルヴィアヌム(L.peruvianum)由来の、配列番号8によって特徴付けることができるMi-1ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子を6番染色体上に保持する第2の親リコペルシコン・エスクレンタムと交配する工程;および、
    c.前記Ty-1対立遺伝子および前記Mi-1対立遺伝子を相引相で含むリコペルシコン・エスクレンタム子孫植物を選抜する工程、
    を含む、前記方法。
  2. 選抜がマーカーアシスト選抜を使用する、請求項1記載の方法。
  3. Ty-1対立遺伝子がFDR16-2045由来である、請求項1記載の方法。
  4. Mi-1対立遺伝子が、商業的トマト栽培品種由来である、請求項1記載の方法。
  5. 子孫リコペルシコン・エスクレンタム植物からトマト果実を得ることをさらに含む請求項1記載の方法。
  6. トマト果実から種子を得ることを更に含む、請求項記載の方法。
  7. 種子を生育させて第2のリコペルシコン・エスクレンタム植物を生じさせ、前記第2のリコペルシコン・エスクレンタム植物を更に第3のリコペルシコン・エスクレンタム植物と交配することを含む、請求項記載の方法。
  8. 第3のリコペルシコン・エスクレンタム植物が、クラドスポリウム(Cladosporium)レース2、クラドスポリウム(Cladosporium)レース5及びオイディウム(Oidium)およびこれらの組合せから成る群より選択される病害に対する抵抗性を付与する付加的病害抵抗性対立遺伝子を含み、前記付加的病害抵抗性対立遺伝子が第1の第6染色体上の病害抵抗性クラスターに存在するか、または第2の6番染色体上の第2の病害抵抗性クラスターに存在する、請求項記載の方法。
  9. 第3のリコペルシコン・エスクレンタム植物の付加的病害抵抗性対立遺伝子が第2の病害抵抗性クラスターにトランス相で位置する、請求項記載の方法。
  10. アレナリアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)、ジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)およびこれらの組合せからなる群より選択されるネコブセンチュウ種に対して抵抗性である、請求項1記載の方法によって得られるリコペルシコン・エスクレンタム植物。
  11. Ty-1対立遺伝子およびMi-1対立遺伝子を相引相で含む種子を提供することを含む、請求項10記載の植物を生育させる方法。
  12. a.Ty-1対立遺伝子およびMi-1対立遺伝子を相引相で含む、第1のリコペルシコン・エスクレンタム植物の種子を提供すること、
    b.前記種子を生育させて、トマト果実を有する第2のリコペルシコン・エスクレンタム植物を生育させること、
    を含む、請求項10記載のリコペルシコン・エスクレンタム植物の種子を生育させる方法。
  13. トマト果実を収穫することを更に含む、請求項12記載の方法。
  14. a.Ty-1対立遺伝子およびMi-1対立遺伝子を相引相で含む、第1のリコペルシコン・エスクレンタムの種子を提供すること、
    b.前記種子を生育させて、トマト果実を有する第2のリコペルシコン・エスクレンタム植物を生育させること、を含む、
    リコペルシコン・エスクレンタム植物の種子を生育させる方法。
  15. さらにトマトを収穫することを含む、請求項14記載の方法。
  16. マーカーアシスト選抜が配列番号8および配列番号10の配列をリコペルシコン・エスクレンタム植物のゲノム中に同定することを含む、請求項記載の方法。
  17. 第1の親リコペルシコン・エスクレンタム植物がさらに少なくとも一つのセンチュウ抵抗性対立遺伝子Mi-JをTYLCV対立遺伝子Ty-1と相引相で含む、請求項記載の方法。
  18. 第1の親リコペルシコン・エスクレンタム植物がFDR16-2045系統である、請求項記載の方法。
  19. そのゲノム内に、少なくとも1個のリコペルシコン・チレンセ由来のTy−1トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)抵抗性対立遺伝子を少なくとも1個のリコペルシコン・ペルヴィアヌム由来のMi−1ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子と相引相で含む6番染色体上の病害抵抗性クラスターを含むリコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)植物であって、TYLCVならびに、アレニアネコブセンチュウ(Meloidogyne arenaria)、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)及びジャワネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)から選択される少なくとも1つのネコブセンチュウの両方に抵抗性を有する、前記リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)植物。
  20. 前記TYLCV抵抗性対立遺伝子及び前記ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子が非トランスジェニックである、請求項19に記載の植物。
  21. 請求項19に記載の近交系の商業的リコペルシコン・エスクレンタム(Lycopersicon esculentum)植物。
  22. TYLCV抵抗性対立遺伝子が異型接合であり、ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子が異型接合である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の植物。
  23. TYLCV抵抗性対立遺伝子が同型接合であり、ネコブセンチュウ抵抗性対立遺伝子が同型接合である、請求項19〜21のいずれか1項に記載の植物。
  24. 請求項19〜23のいずれか1項に記載の植物の果実。
  25. 成長した際に、請求項19〜23のいずれか1項に記載の植物をもたらす種子。
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