JP5311869B2 - 帯電部材及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真装置内で用いられる帯電部材及びその製造方法に関する。
電子写真感光体の接触帯電に用いられる帯電部材は、電子写真感光体との当接ニップを十分に確保するために、柔軟な導電性弾性層が設けられているのが一般的である。ここで、導電性弾性層は、その柔軟性を確保するために、低分子量成分を比較的多量に含む場合が多い。そのため、当該低分子量成分の電子写真感光体への付着が従来技術における課題として挙げられている。このような課題の1つの解決手段として、特許文献1は、フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表面層を設けてなる帯電部材を提案している。
特開2007−4113号公報
しかし、本発明者らの検討によれば、上記特許文献1にかかる帯電部材は、以下のような課題を有する場合があることを新たに見出した。即ち、帯電部材を電子写真感光体と当接させた状態で高温高湿環境に長期間放置したのちに低温環境に移動した場合に帯電部材の表面が結露することがある。このとき、電子写真感光体との当接部は結露を生じない。そのため、電子写真感光体との当接部と非当接部とでは帯電部材の表面における水分量に差が生じることとなる。上記特許文献1に係る帯電部材は、このような状態が解消される前に電子写真画像の形成に供した場合に、電子写真感光体との当接部と非当接部の跡が電子写真画像に顕在化することがあった。これは帯電部材の表面の水分が多い部分では放電が生じやすくなり、電子写真感光体に付与される電位が高くなっているためと考えられる。
そこで本発明の課題は、柔軟な導電性弾性層を具備してなり、かつ結露による画像不良の発生を有効に抑制した帯電部材及びその製造方法を提供することにある。
本発明にかかる帯電部材は、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、
該表面層は、
フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有し、
膜厚が6nm以上1000nm以下であり、かつ
酸素原子の原子%が該表面層の深さ方向に対して減少し、
該表面層の最表面における酸素原子の原子%をXO、該表面層の最表面から深さ4nmの位置における酸素原子の原子%をXO(4nm)、該表面層の最表面におけるC-O結合及びC=O結合を持つ炭素原子の原子%をXC-O,C=O、フッ素原子の原子%をXFとしたときに下記式(1)〜(4)の関係を満たすことを特徴とする:
(1)10%≦XO≦20%
(2)XO−XO(4nm)≦2%
(3)5%≦XC-O,C=O≦15%
(4)10%≦XF≦20%。
本発明にかかる上記帯電部材の製造方法は、
(1)支持体上に形成された導電性弾性層の表面に、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させた縮合物を含有する塗膜を形成する工程と、
(2)オゾン濃度が0.20ppm以下の雰囲気で該塗膜に紫外線を照射して該塗膜を硬化させる工程と、
を有することを特徴とする。
本発明に係る帯電部材は、ポリシロキサンの形成工程における酸化が抑制されていることから、最表面と表面層内部における酸素の原子%の差が小さい。その為、上記したような結露しやすい状況の下でも、帯電部材の電子写真感光体との非当接部への水の付着を抑制できる。そのため、結露に由来する画像不良の発生を低減することができる。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明にかかる帯電部材は、支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層及び該導電性弾性層上に形成された表面層を有している。
該表面層は、フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有している。フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有する表面層を有する帯電部材は、長期間の繰り返し使用によってもトナーやトナーに用いられる外添剤などが表面に固着しにくく、長期間安定した帯電および画像出力が可能である。
表面層の膜厚は、導電性弾性体層からの低分子量成分の電子写真感光体への付着を抑制するという本来の機能を担保させるために6nm以上とする。一方、導電性弾性層への追従性を考慮して1000nm以下とする。そして、表面層は、酸素原子の原子%が該表面層の深さ方向に対して減少しているように構成されている。更に、表面層の最表面における酸素原子の原子%をXO、該表面層の最表面から深さ4nmの位置における酸素原子の原子%をXO(4nm)、該表面層の最表面におけるC-O結合及びC=O結合を持つ炭素原子の原子%をXC-O,C=O、フッ素原子の原子%をXFとしたときに下記式(1)〜(4)の関係を満たす。
(1)10≦XO≦20
(2)XO−XO(4nm)≦2
(3)5≦XC-O,C=O≦15
(4)10≦XF≦20
一般にポリシロキサンを含む表面層は、ジメチルシロキサンなどを含む表面層形成用の塗料の塗膜を硬化させる過程において酸化された状態を有している。その結果、表面層の最表面は、親水性が高まり、結露しやすくなる。そこで、本発明においては、表面層の最表面における酸素の原子%(XO)を10%以上、20%以下、C-O結合及びC=O結合を持つ炭素原子の原子%(XC-O,C=O)を5%以上、15%以下とする。これにより、上記したような環境下においても結露に起因する画像不良の発生を有効に抑えることができる。
また、表面層にフッ素原子を含有させることは、表面層の表面に撥水性を付与させることができる。そのため、結露に起因する画像不良を抑制するうえで有効となる。そこで、本発明においては、表面層の最表面のフッ素の原子%(XF)を10%以上20%以下とする。
更に、最表面と表面層内部における酸素の原子%の差が小さいほど良い。具体的には、表面層の最表面の酸素の原子%をXO、表面層の最表面から深さ4nmの位置における酸素の原子%をXO(4nm)としたとき、XO−XO(4nm)が0%より大きく、2%以下の場合にその効果が顕著であった。その理由は明らかでないが、表面層の最表面の酸素原子%が、表面層の内部の酸素原子%よりも大きい場合、表面近傍の双極子モーメントが大きくなり、極性分子である水分子が付着しやすくなるためであると推測できる。つまり、表面層内部に比べ最表面の酸素が多いと、最表面は僅かにマイナスに分極した状態になり、水分子の僅かにプラスに分極した水素と水素結合をし、水分子が付着しやすいものと推定される。
本発明の帯電部材の構造及び形態を例示すれば、図1に示したように、導電性弾性層12を導電性支持体11の外周に形成し、その導電性弾性層12の外周に、表面層13を形成した帯電ローラを例示することができる。
導電性支持体としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム及びニッケル等の金属材料の円柱を用いることができる。さらにこれらの金属表面に良導電性を失わない範囲で、防錆性や耐傷性の付与を目的としてメッキ処理を施しても良い。また、良導電性を失わない範囲で、導電性弾性層との接着を目的とした厚さ20μm以下の接着剤を塗布しても良い。
導電性弾性層は、従来から帯電部材の導電性弾性層として用いられているゴムや熱可塑性エラストマー等で形成された導電性エラストマーを用いることができる。
ゴムとしては、
ポリウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム
等から選択されたの1種以上のゴムを含むゴム組成物が好適に用いられる。
熱可塑性エラストマーとしては、その種類としては特に制限はなく、汎用のスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーなどから選ばれる1種あるいは複数種の熱可塑性エラストマーを含む熱可塑性エラストマー組成物を好適に用いることができる。
導電性エラストマーの導電機構としては、イオン導電機構と電子導電機構の二つに大別される。
イオン導電機構の導電性エラストマーは、
エピクロルヒドリンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム
に代表される極性エラストマーとその極性エラストマーの中で電離し、かつその電離したイオンの移動度が高いイオン導電剤からなるものが一般的である。しかし、イオン導電機構の導電性エラストマーは、電気抵抗の環境依存性が大きく、イオンが移行することによって導電性が発現するという機構上の問題で、当接跡の原因となるブリード・ブルームを起こしやすい場合がある。
それに対し、電子導電機構による導電性エラストマーは、エラストマー中に導電性粒子として、カーボンブラック、カーボンファイバー、グラファイト、金属微粉末、金属酸化物等の1種以上を分散し、複合したものが一般的である。電子導電機構の導電性エラストマーは、イオン導電機構の導電性エラストマーに比べ、電気抵抗の温湿度依存性が小さい、ブリードやブルームが少ない、安価であるなどの長所がある。
本発明の帯電部材は、電子写真感光体と当接させて、長期間使用せずに放置した際に、当接部が画像不良として表れることを低減する必要があるので、ブリードやブルームの少ない電子導電機構の導電性エラストマーを用いるのが好ましい。
本発明に用いる導電性粒子の具体例としては、
ケッチェンブラックEC、アセチレンブラック等の導電性カーボン;
SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;
酸化処理を施したカラー(インク)用カーボン、熱分解カーボン、天然グラファイト、人造グラファイト;
酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、銅、銀等の金属及び金属酸化物
等が挙げられる。
これらの導電性粒子の充填量としては、原料ゴム、導電性粒子、及びその他配合剤の種類によって、導電性弾性層が所望の電気抵抗となるように、適宜選択することができる。例えば、ポリマー100質量部に対して、導電性粒子を0.5質量部以上100質量部以下、好ましくは2質量部以上60質量部以下などとすることができる。
導電性弾性層を構成する組成物には、本発明の帯電ローラの低圧縮永久歪み性、低ブリード性、半導電性等の特性を失わない範囲で、ゴムの配合剤として一般的に用いられる、
加工助剤、架橋剤、架橋促進剤、架橋促進助剤、架橋遅延剤、充填剤、分散剤、発泡剤、滑剤、老化防止剤、オゾン劣化防止剤、酸化防止剤、導電剤
等を適宜添加することができる。
これらの原料ゴムと配合剤の混練方法としては、バンバリーミキサーやインターミックスや加圧式ニーダーといった密閉型混練機を使用した方法や、オープンロールのような開放型の混練機を使用した方法などを例示することができる。
混練した導電性弾性層組成物の成形方法としては導電性弾性層組成物を導電性支持体と一体に押出して未加硫ゴムローラを成形する押出成形が好ましい。
未加硫ゴムローラの加硫方法として、型加硫、加硫缶加硫、連続加硫、遠・近赤外線加硫、誘導加熱加硫等の方法を挙げることができる。
また、上記加硫後に所望のローラ形状、ローラ表面粗さにするために、砥石により研削することが好ましい。
一般的に、ローラ形状の導電性弾性層を研削する方法として、トラバース方式や幅広研削方式という研削方法がある。トラバース方式は短い砥石をローラに準じて移動させることにより、導電性弾性層を研削するものである。それに対して、幅広研削方式は、文字通り幅の広い砥石、即ち、導電性弾性層の長さよりも広い幅の砥石を用い、僅かな時間でローラ研削ができるという方式である。作業の効率化等を考慮すると、幅広研削方式がより好ましい。次に、フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有し、膜厚が6nm以上1000nm以下である表面層の形成について以下に説明していく。
〈フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを合成する原材料について〉
フッ化アルキル基としては、例えば、直鎖型または分岐型のアルキル基における水素原子の一部または全部をフッ素原子で置換したものが挙げられる。その中でも、炭素数6〜31の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
オキシアルキレン基とは、−O−R−(R:アルキレン基)で示される構造を有する2価の基(「アルキレンエーテル基」と呼ばれることもある。)である。このR(アルキレン基)としては、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましい。
また、ポリシロキサンは、さらにアルキル基およびフェニル基を有するものが好ましい。このアルキル基としては、炭素数1以上21以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基、ヘキシル基、デシル基がより好ましい。
ポリシロキサンは以下の工程を含む方法で形成することができる。
(1)まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させて加水分解性縮合物を得る。
(2)次いで、該カチオン重合可能な基を開裂させることにより、該加水分解性縮合物を架橋させる。
上記カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
Figure 0005311869
上記式(2)中、R21は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。R22は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z21は、2価の有機基を示す。Rc21は、カチオン重合可能な基を示す。dは0以上2以下の整数であり、eは1以上3以下の整数であり、d+e=3である。
上記式(2)中のRc21のカチオン重合可能な基とは、開裂によってオキシアルキレン基を生成するカチオン重合可能な有機基を意味し、例えば、エポキシ基やオキセタン基などの環状エーテル基、および、ビニルエーテル基などが挙げられる。これらの中でも、入手の容易性および反応制御の容易性の観点から、エポキシ基が好ましい。
上記式(2)中のR21およびR22の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(2)におけるZ21の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基およびアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記式(2)中のeは3であることが好ましい。
上記式(2)中のdが2の場合、2個のR21は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(2)中のeが2または3の場合、2個または3個のR22は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(2)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(2−1):グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(2−2):グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
(2−3):エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン
(2−4):エポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシラン
また、フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物としては、下記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物が好適である。
Figure 0005311869
上記式(3)中、R31は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。R32は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。Z31は、2価の有機基を示す。Rf31は、炭素数1以上31以下の直鎖状のパーフルオロアルキル基を示す。fは0以上2以下の整数であり、gは1以上3以下の整数であり、f+g=3である。
上記式(3)中のR31およびR32の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基がより好ましい。
上記式(3)におけるZ31の2価の有機基としては、例えば、アルキレン基およびアリーレン基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上6以下のアルキレン基が好ましく、さらにはエチレン基がより好ましい。
上記式(3)におけるRf31である炭素数1以上31以下の直鎖状のパーフルオロアルキル基としては、撥水性を高めるため、特に炭素数6以上31以下の直鎖状のパーフルオロアルキル基が好ましい。
上記式(3)中のgは3であることが好ましい。
上記式(3)中のfが2の場合、2個のR31は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(3)中のgが2または3の場合、2個または3個のR32は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(3)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(3−1):CF3−(CH22−Si−(OR)3
(3−2):F(CF22−(CH22−Si−(OR)3
(3−3):F(CF24−(CH22−Si−(OR)3
(3−4):F(CF26−(CH22−Si−(OR)3
(3−5):F(CF28−(CH22−Si−(OR)3
(3−6):F(CF210−(CH22−Si−(OR)3
上記(3−1)乃至(3−6)中のRはメチル基またはエチル基を示す。
上記(3−1)乃至(3−6)の中でも、(3−4)乃至(3−6)が好ましい。
上記工程(1)において、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物および上記フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物は、それぞれ個々に、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
表面層形成用のポリシロキサンには、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物およびフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物に加えて、下記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物を併用することが好ましい。そうすることで、容易に弾性率や誘電特性を制御することができる。
Figure 0005311869
上記式(1)中、R11は、フェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基、または、アルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基を示す。R12は、飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基を示す。aは0以上3以下の整数であり、bは1以上4以下の整数であり、a+b=4である。
上記式(1)におけるR11であるフェニル基置換のアルキル基もしくは無置換のアルキル基のアルキル基としては、炭素数1以上21以下の直鎖状のアルキル基が好ましい。
上記式(1)におけるR11であるアルキル基置換のアリール基もしくは無置換のアリール基のアリール基としては、フェニル基も好ましい。
上記式(1)中のaは1以上3以下の整数であることが好ましく、特には1であることがより好ましい。
上記式(1)中のbは1以上3以下の整数であることが好ましく、特には3であることがより好ましい。
上記式(1)中のR12の飽和もしくは不飽和の1価の炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基およびアリール基などが挙げられる。これらの中でも、炭素数1以上3以下の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、さらにはメチル基、エチル基、n−プロピル基がより好ましい。
上記式(1)中のaが2または3の場合、2個または3個のR11は同一であってもよく、異なっていてもよい。
上記式(1)中のbが2、3または4の場合、2個、3個または4個のR12は同一であってもよく、異なっていてもよい。
以下に、上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物の具体例を示す。
(1−1):テトラメトキシシラン
(1−2):テトラエトキシシラン
(1−3):テトラプロポキシシラン
(1−4):メチルトリメトキシシラン
(1−5):メチルトリエトキシシラン
(1−6):メチルトリプロポキシシラン
(1−7):エチルトリメトキシシラン
(1−8):エチルトリエトキシシラン
(1−9):エチルトリプロポキシシラン
(1−10):プロピルトリメトキシシラン
(1−11):プロピルトリエトキシシラン
(1−12):プロピルトリプロポキシシラン
(1−13):ヘキシルトリメトキシシラン
(1−14):ヘキシルトリエトキシシラン
(1−15):ヘキシルトリプロポキシシラン
(1−16):デシルトリメトキシシラン
(1−17):デシルトリエトキシシラン
(1−18):デシルトリプロポキシシラン
(1−19):フェニルトリメトキシシラン
(1−20):フェニルトリエトキシシラン
(1−21):フェニルトリプロポキシシラン
(1−22):ジフェニルジメトキシシラン
(1−23):ジフェニルジエトキシシラン
〈フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンの合成について〉
まず、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物およびフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物、ならびに、必要に応じて上記式(1)の加水分解性シラン化合物を水の存在下で加水分解反応させることによって加水分解性縮合物を得る。
加水分解反応の際、温度やpHなどを制御することで、所望の縮合度の加水分解性縮合物を得ることができる。また、加水分解反応の際、加水分解反応の触媒として金属アルコキシドなどを利用し、縮合度を制御してもよい。金属アルコキシドとしては、例えば、アルミニウムアルコキシド、チタニウムアルコキシドおよびジルコニアアルコキシドなど、ならびに、これらの錯体(アセチルアセトン錯体など)が挙げられる。
また、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物と上記式(1)で示される構造を有する加水分解性シラン化合物とのモル比は、10:1から1:10までの範囲で配合することが好ましい。
次に、得られた加水分解性縮合物を含む表面層用塗布液を調製し、導電性弾性層上に、調製した表面層用塗布液を塗布する。表面層用塗布液を調製する際には、塗布時の生産性を向上するために、加水分解性縮合物以外に、溶剤を用いてもよい。適当な溶剤としては、例えば、エタノールおよび2−ブタノールなどのアルコール、酢酸エチル、メチルエチルケトンなど、あるいは、これらを混合したものが挙げられる。
〈フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンの形成について〉
表面層用塗布液を導電性弾性層上に塗布する方法としては、ディッピング塗工、スプレー塗工、リング塗工(特開2005−321749号公報に開示されている)、刷毛塗工などの方法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
次に、導電性弾性層上に塗布された表面層用塗布液に活性エネルギー線を照射する。すると、表面層用塗布液に含まれる加水分解性縮合物中のカチオン重合可能な基が開裂して、該加水分解性縮合物を架橋させることができる。活性エネルギー線としては、紫外線や電子線が好ましく、さらには紫外線がより好ましい。架橋反応を紫外線によって行えば、熱による導電性弾性層の劣化を抑制することができるため、導電性弾性層の電気的特性の低下を抑制することもできる。紫外線の照射には一般的に、低圧水銀ランプ、エキシマランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられる。これらのうち、紫外線の波長が150nm以上480nm以下の光を豊富に含む紫外線源が用いられる。この中で、本発明に最も適しているのは、低圧水銀ランプである。低圧水銀ランプの改質に寄与する主な波長は、185nmと254nmである。この低圧水銀ランプから放射される185nmの紫外線によって発生するオゾンの量を更に低減するために、低圧水銀ランプの中でもオゾンレスランプを用いるのがより好ましい。オゾンレスランプに用いられる石英放電管の材質は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ceなどの酸化金属をドーピングした石英ガラスがよい。この材質では、200nm以下の波長はカットされ、オゾンの発生を低減することができる。
エキシマランプは低圧水銀ランプに比べ波長の短い172nmの波長にピークがあり、その他のピークはほとんど有さない。エキシマランプを用いた場合、172nmの波長の紫外線は酸素を吸収してオゾンを発生させるため、帯電ローラの表面がオゾンにより極度に酸化される。その結果、ローラ表面の水に対する撥水性が低下しやすいので好ましくない。
また、高圧水銀ランプやメタルハライドランプは、低圧水銀ランプに比べ波長の長い365nm等に波長のピークをもつ。そのため、高圧水銀ランプやメタルハライドランプを用いた場合、ローラへの熱の影響が大きくなりゴムが劣化する可能性がある。
また、架橋反応の際、架橋効率向上の観点から、カチオン重合触媒(重合開始剤)を共存させておくことが好ましい。例えば、活性エネルギー線によって賦活化されるルイス酸のオニウム塩に対してエポキシ基は高い反応性を示す。そのことから、カチオン重合可能な基がエポキシ基である場合、カチオン重合触媒としては、ルイス酸のオニウム塩を用いることが好ましい。
その他のカチオン重合触媒としては、例えば、ボレート塩、イミド構造を有する化合物、トリアジン構造を有する化合物、アゾ化合物、過酸化物などが挙げられる。
各種カチオン重合触媒の中でも、感度、安定性および反応性の観点から、芳香族スルホニウム塩や芳香族ヨードニウム塩が好ましい。特には、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム塩や、下記式で示される構造を有する化合物(商品名:アデカオプトマ−SP150、旭電化工業(株)製):
Figure 0005311869
や、下記式で示される構造を有する化合物(商品名:イルガキュア261、チバスペシャルティーケミカルズ社製)
Figure 0005311869
が好ましい。
カチオン重合触媒の使用量は、加水分解性縮合物に対して1質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
紫外線による、改質の度合いを決める主要な要素としては、光量、熱、オゾンの3要素がある。
光量は、表面層用処理液の架橋の観点からある程度多い方がよい。紫外線の積算光量の調節は、照射時間や、ランプ出力や、ランプと被照射体との距離などで行うことが可能である。また、照射時間内で積算光量に勾配をつけてもよい。なお、紫外線の積算光量は、以下のように定義される。
紫外線積算光量[mJ/cm2]=紫外線強度[mW/cm2]×照射時間[sec.]
低圧水銀ランプを用いる場合、紫外線の紫外線強度は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやUVD−S254を用いて測定することができる。エキシマランプを用いる場合、紫外線の紫外線強度は、ウシオ電機(株)製の紫外線積算光量計UIT−150−AやVUV−S172を用いて測定することができる。
熱は、表面層を酸化させるとともに、導電性弾性層を劣化させてしまう。そのため、帯電部材の成型方法としては熱の発生が少ない紫外線の照射方法が好ましい。熱の発生源は、主に紫外線ランプからの輻射熱であり、紫外線照射チャンバーの入排気、冷却、短時間照射などによって抑制することができる。熱は、紫外線照射チャンバー内の温度で常温から80℃程度までであると、程よい改質効率と酸化の抑制の観点から好ましい。
また、オゾンについては、光量や熱に比べはるかに酸化力が強く、そのため表面層の性質に大きく影響する。本発明においては、オゾンによる酸化で、表面層最表面の酸素原子%や最表面のC−O結合やC=O結合が増加し、表面層最表面のフッ素原子%が減少する。そのために水分が吸着しやすくなり、画像不良となるため好ましくない。
オゾンが発生する原因は、紫外線照射チャンバー内の酸素と172nm付近の波長の紫外線である。そのため、オゾンレスランプの使用、172nm波長カットフィルターの使用、紫外線照射チャンバーの入排気、紫外線照射チャンバー内の酸素濃度の低減、短時間照射などによって、オゾンの発生を抑制することが好ましい。
オゾン濃度は、オゾン濃度計(商品名「EG−2001F」もしくは「EG−2001R」、荏原実業株式会社製)によって測定することができる。紫外線照射チャンバー内のオゾン濃度は、0.20ppm以下であることが好ましい。
〈表面層の原子%を決める因子について〉
表面層の各原子の組成比(=原子%)は、主に添加した加水分解性シラン化合物の配合比率とその成形方法によって決まる。表面層の理論上の組成比は、加水分解性シラン化合物の各アルコキシ基が完全に縮合したとして、各原子の原子%を数え上げることで知ることができる(本発明では、理論原子%と呼ぶ。)しかし、架橋後の表面層の最表面における組成比は、縮合の進行度合い、表面層の紫外線架橋前の配向、紫外線による表面の酸化などにも影響を受ける。それらの傾向として、一例をあげると、次のような点を挙げることができる。
(A)縮合が進行していないと酸素原子%が多くなる。
(B)表面層のフッ素原子など疎水性官能基は最表面に配向して、内部に比べ多くなる傾向がある。
(C)紫外線による酸化が進むと内部に比べ最表面の酸素原子%やC−O結合やC=O二重結合が多くなる。
このように、理論原子%と架橋後の表面層最表面における原子%は必ずしも一致しない。よって、配合時の理論原子%は、その後の表面層の形成工程を加味して設計するのが好ましい。
以下、実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記に限定されるものではない。なお、以下、特に明記しない限り、試薬等で特に指定のないものは、市販の高純度品を用いた。
〔導電性弾性層の作製〕
まず、以下の各成分を加圧式ニーダーで15分間混練した。
・導電性弾性層の主体となるゴムとしてNBR(商品名「ニポールDN219」:日本ゼオン(株)製) 100質量部
・導電性粒子としてカーボンブラック(商品名「トーカブラック#7360SB」:東海カーボン製、DBP吸油量87ml/100g) 52質量部
・ステアリン酸亜鉛 1質量部
・酸化亜鉛 5質量部
・炭酸カルシウム(商品名「ナノックス#30」:丸尾カルシウム(株)製) 20質量部
・液状エポキシ化ポリブタジエン(商品名「アデカザイザーBF−1000」:旭電化工業(株)製) 10質量部
さらに、以下の各成分を加えて15分間オープンロールで混練し導電性弾性層形成用の組成物とした。
・ジベンゾチアゾリルジスルフィド(商品名「ノクセラーDM−P」:大内新興化学(株)製) 1質量部
・テトラベンジルチウラムジスルフィド(商品名「ノクセラーTBzTD」:大内新興化学(株)製) 3質量部
・加硫剤として硫黄 0.8質量部
次に、直径6mm、長さ256mmの円柱形の導電性支持体(鋼製 表面工業ニッケルメッキ)の円柱面の軸方向中央部231mmに熱硬化性接着剤(商品名「メタロックN−33」:東洋化学(株)製)を塗布した。次に、これを150℃で10分乾燥し、接着剤を半硬化状態にした。
ここで、図2は本発明に用いる押出機の一例である模式図を示す。押出機はクロスヘッド21を備える。クロスヘッドは導電性支持体送りローラ22によって送られた導電性支持体23を押出スクリュー24に垂直な方向から挿入でき、導電性支持体と同時に円筒状の混練物を一体に押出す事ができる。この押出機に先に調製した導電性弾性層形成用の組成物を投入し、導電性支持体の周囲に円筒状の未加硫ゴム組成物を成形した。続いて、軸方向中央部232mm部分の導電性弾性層を残し、導電性弾性層の端部を切断・除去処理25した。さらに、この未加硫ゴムローラを熱風オーブンに入れ160℃で30分間加熱し導電性弾性層を加硫するとともに、導電性弾性層と接着剤を架橋接着させる。こうして直径8.7mmの円筒状の加硫ゴムローラ26を得た。
この加硫ゴムローラを幅広研削機にて、導電性弾性層部分の中心直径が8.5mm、端部直径が8.3mmになるクラウン形状に研削した。使用した幅広研削機は、水口製作所(株)製の商品名「ゴムロール専用CNC研削盤 LEO−600F−F4L−BME」である。また、使用した砥石は、(株)ノリタケカンパニーリミテド製の商品名「研削砥石GC−120−B−VRG−PM」である。こうして得られたものを研磨ゴムローラと呼ぶ。
〔表面層用塗布液1の作製〕
まず、以下の各成分を混合した後、室温で撹拌した。
・グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)12.47g(14mol%)
・ヘキシルトリエトキシシラン(HeTES)13.18g(20mol%)
・トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(FTS、パーフルオロアルキル基の炭素数6)16.32g(10mol%)
・フェニルトリエトキシシラン(PhTES)43.08g(56mol%)
・水25.93g及び
・エタノール75.24g
次いで24時間加熱還流を行うことによって、固形分28質量%の加水分解性縮合物溶液を得た。固形分とは、上記の加水分解性シラン化合物が理論的に完全に縮合した場合の加水分解性縮合物の重量を、溶液の全重量で割った百分率で表す。
この固形分28質量%の加水分解性縮合物溶液を、固形分が7重量%になるように2−ブタノール/エタノールの混合溶剤で希釈した。さらに、この7質量%溶液100gに対してカチオン重合触媒として芳香族スルホニウム塩(商品名:アデカオプトマーSP−150、旭電化工業(株)製)0.35gを、加水分解性縮合物含有アルコール溶液に添加した。次いで、7質量%溶液に芳香族スルホニウム塩を添加した溶液を、固形分が1質量%になるようエタノールで希釈したものを表面層用塗布液1とした。28重量%から7重量%への希釈は、微量のカチオン重合触媒を精度良く添加するためであり、7重量%から1重量%への希釈は、導電性弾性層上に乗る塗布液量を制御するためである。
〔表面層用塗布液2の作製〕
表面層用塗布液1の配合量を以下のようにした以外は表面層用塗布液1と同様の方法で表面層用塗布液2を作製した。
・GPTES11.14g(10mol%)
・HeTES16.48g(20mol%)
・FTS30.60g(15mol%)
・PhTES52.89g(55mol%)
・水32.42g及び
・エタノール58.56g
〔表面層用塗布液3の作製〕
表面層用塗布液1の配合量を以下のようにした以外は表面層用塗布液1と同様の方法で表面層用塗布液3を作製した。
・GPTES6.36g(5mol%)
・HeTES18.83g(20mol%)
・FTS46.63g(20mol%)
・PhTES60.44g(52mol%)
・水37.05g及び
・エタノール47.56g
〔実施例1〜3〕
研磨ゴムローラの導電性弾性層に表面装用塗布液1をリング塗工により塗布した。こうして得られたゴムローラ31を図3の模式的に示す紫外線照射装置を用いて、紫外線照射を150秒間行った。
紫外線照射装置は、以下の構成を有する。
・ゴムローラを投入する投入口32
・ゴムローラの両端の導電性支持体部分を受けて回転させるローラ回転部材33
・ゴムローラに紫外線を照射する低圧水銀ランプ34
・ゴムローラの紫外線照射雰囲気をコントロールするためのチャンバー35
・入気孔36
・排気孔37
紫外線照射に関しては酸化チタン含有の石英ガラスを用いた低圧水銀オゾンレスランプ(商品名「GLQ500UZ/T1」、ハリソン東芝ライティング株式会社製)を用いた。このランプの分光分布は図4に示すとおりであり、200nm以下の紫外線はほとんど持たない。本紫外線照射条件において、波長254nmの紫外線積算光量は約8000mJ/cm2、ローラの表面温度は48℃であった。このときのオゾン濃度を、チャンバーの入排気条件を変えることにより制御し、それぞれ0.07ppm、0.13ppm、0.20ppmにして紫外線をゴムローラに照射した。こうして得られた帯電ローラをそれぞれ、実施例1、2、3とした。
〔実施例4〕
実施例1における表面層用塗布液1の代わりに表面層用塗布液2を用いた以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製したものを実施例4とした。
〔比較例1〕
実施例1における低圧水銀オゾンレスランプの替わりに低圧水銀ランプを用い、オゾン濃度を5.00ppmに調整した以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製したものを比較例1とした。低圧水銀ランプとしては、商品名「GLQ500US/11」(ハリソン東芝ライティング株式会社製)を使用した。
〔比較例2〕
実施例1における表面層用塗布液1の替わりに表面層用塗布液3を用い、オゾン濃度を0.40ppmに調整した以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製したものを比較例2とした。
〔比較例3〕
実施例1における表面層用塗布液1の替わりに表面層用塗布液2を用い、低圧水銀オゾンレスランプの替わりに低圧水銀ランプを用い、オゾン濃度を5.00ppmに調整した以外は、実施例1と同様の方法で帯電ローラを作製したものを比較例3とした。低圧水銀ランプとしては、商品名「GLQ500US/11」(ハリソン東芝ライティング株式会社製)を使用した。
上記の実施例1〜4、比較例1〜3の表面層の原子%測定及び膜厚測定、結露試験を行った。以下に、各評価項目の測定条件を記す。
≪測定条件≫
<表面層の原子%測定及び膜厚測定>
紫外線照射によって架橋された表面層の原子%をX線光電子分光分析装置(ESCA)にて測定した。測定条件は表12の通り。
Figure 0005311869
原子%の算出は全検出元素(水素は検出されない)を100原子%としてそれぞれの原子の原子%を算出した。また、C−O結合やC=O二重結合を持つ炭素の原子%は、炭素原子のピークをC−O結合やC=O二重結合などの状態にピーク分割し、そのピーク面積比で全状態の炭素原子%を割ったものをC−O結合やC=O二重結合を持つ炭素の原子%とした。
表面層の深さ方向の元素分析は、C60(フラーレン)のイオンスパッタ銃によるエッチングをして、その都度、元素分析することでおこなった。また、最表面からの深さは、以下の方法で算出した。まず、エッチングのサイクルを繰り返してもケイ素の原子%に変化がなくなったところを表面層のエッチングの終了点(=表面層がなくなったところ)とみなす。また別途、後述の方法で走査型透過電子顕微鏡(STEM)によって表面層の膜厚を測定する。このSTEMで計測した膜厚をエッチングした回数で割ることで、毎サイクルのエッチング率を算出する。本発明の表面層の場合に上記の方法でエッチングすると、2nm/サイクルのエッチング率であった。このようにして求めた深さ方向のケイ素の原子%を図5に示す。最表面から深さ方向に4nm離れた位置での酸素原子の原子%は、2サイクルエッチングした部分の値を用いた。図6に実施例1〜4、比較例1〜3の表面層における酸素原子%の深さ方向分布を示す。
表面層の膜厚は走査型透過電子顕微鏡(STEM)によって測定した。試料として、試料表面に有機質保護膜を形成してスパッタPt蒸着を行い、集束イオンビーム装置(FIB、商品名「FB−2000A型」(日立製)、加速電圧30kV)で切断することで損傷のない平滑断面を作った。測定は、STEM(商品名「HD−2000型」(日立製)、加速電圧200kV、150k倍)で行い、表面層の2点間距離を5点測定した平均を平均膜厚とした。実施例1〜4、比較例1〜3は、すべて10nm〜30nmの範囲内の平均膜厚であった。
≪画像評価≫
<結露試験>
前述の実施例1〜4、比較例1〜3で得られた帯電ローラを、カートリッジ(商品名「トナーカートリッジ307」:キヤノン(株)製、接触帯電方式を用いたカートリッジであり、電子写真感光体と帯電ローラは常に接触している。)に組み込み、厚さ0.04mmのポリエチレンの袋にカートリッジを入れ密閉した。このカートリッジを室温40℃湿度95%の恒温恒湿槽に1ヶ月放置した。このポリエチレンの袋内は、約3日ほどで湿度95%に達する。続いて、このカートリッジを室温23℃湿度50%の部屋に3時間放置した。この間に、水分が冷却され、ポリエチレンの袋内に結露する。この時点で、始めてポリエチレンの袋を開封し、電子写真装置であるLBP5000(キヤノン(株)製)にて、温度23℃、湿度50%RHの環境下においてハーフトーン画像を出力した。
そのハーフトーン画像に、帯電ローラの円周の周期、つまり当接部に非当接部と画像の濃度が異なる画像不良が発生するか否かを評価した。当接跡がある場合には×、当接跡がほとんど見られない場合には○という2段階で評価した。ちなみに、この画像不良は、室温23℃湿度50%の環境に24時間放置したのちに、再度ハーフトーン画像を出力した時には、水分が蒸発しているので発生しなかった。
≪評価結果≫
実施例1〜4では、
(1)10%≦XO≦20%
(2)XO−XO(4nm)≦2%
(3)5%≦XC-O,C=O≦15%
(4)10%≦XF≦20%
という、結露の発生しない要件をすべて満たしているため、結露試験における画像不良はみられなかった。
比較例1では、表面層の最表面のオゾンによる酸化のため、最表面と深さ4nmの位置での酸素原子%の差が大きかった。また、C−O結合、C=O二重結合などの官能基が多く、フッ素原子の脱離もあった。そのため、結露が発生した。つまり、
(1)XO≦20%
(2)XO−XO(4nm)≦2%
(3)XC-O,C=O≦15%
(4)10%≦XF
という点において、結露の発生しない要件を満たさないため、結露試験における画像不良がみられた。
比較例2では、オゾンによる酸化が激しく、最表面と深さ4nmの位置での酸素原子%の差が大きく、フッ素原子が多すぎるため、フッ素がミセル状に凝集し最表面に均一に分布しなくなった。そのため、結露が発生した。つまり、
(1)10%≦XO
(2)XO−XO(4nm)≦2%
(3)5%≦XC-O,C=O
(4)XF≦20%。
という点において、結露の発生しない要件を満たさないため、結露試験における画像不良がみられた。
比較例3では、フッ素原子の配合量は多いが、オゾンによる酸化が激しく、最表面と深さ4nmの位置での酸素原子%の差が大きく、C−O結合、C=O二重結合などの官能基が多い。そのため、結露が発生した。つまり、
(1)XO≦20%
(2)XO−XO(4nm)≦2%
(3)XC-O,C=O≦15%
という点において、結露の発生しない要件を満たさないため、結露試験における画像不良がみられた。

実施例1〜4および比較例1〜3の実施条件、評価項目をまとめたものを表2に示す。
Figure 0005311869
本発明の帯電ローラの一例を示す概略図である。 本発明の帯電ローラを製造するための押出し機の一例を示す概略図である。 本発明の帯電ローラを製造するための紫外線照射装置の一例を示す概略図である。 低圧水銀オゾンレスランプの分光分布 本発明の帯電ローラの表面層におけるケイ素原子%の深さ方向分布の一例を示すグラフである。 本発明の実施例と比較例の表面層における酸素原子%の深さ方向分布を示すグラフである。
符号の説明
11 導電性支持体
12 導電性弾性層
13 表面層
21 押出機のクロスヘッド
22 導電性支持体送りローラ
23 導電性支持体
24 押出スクリュー
25 切断・除去処理
26 未加硫ゴムローラ
31 ゴムローラ
32 投入口
33 ローラ回転部材
34 低圧水銀ランプ
35 チャンバー
36 入気孔
37 排気孔

Claims (4)

  1. 支持体、該支持体上に形成された導電性弾性層、および、該導電性弾性層上に形成された表面層を有する帯電部材において、
    該表面層は、
    フッ化アルキル基およびオキシアルキレン基を有するポリシロキサンを含有し、
    膜厚が6nm以上、1000nm以下であり、かつ
    酸素原子の原子%が該表面層の深さ方向に対して減少し、
    該表面層の最表面における酸素原子の原子%をXO、該表面層の最表面から深さ4nmの位置における酸素原子の原子%をXO(4nm)、該表面層の最表面におけるC-O結合及びC=O結合を持つ炭素原子の原子%をXC-O,C=O、フッ素原子の原子%をXFとしたときに、下記式(1)〜(4)の関係を満たすことを特徴とする帯電部材:
    (1)10%≦XO≦20%
    (2)XO−XO(4nm)≦2%
    (3)5%≦XC-O,C=O≦15%
    (4)10%≦XF≦20%。
  2. 前記表面層が、
    前記導電性弾性層の表面に設けてなる、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物とフッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させた縮合物を含有する塗膜に、オゾン濃度が0.20ppm以下の雰囲気で紫外線を照射して該塗膜を硬化させることによって形成されたものである請求項1に記載の帯電部材。
  3. 前記カチオン重合可能な基がエポキシ基である請求項2に記載の帯電部材。
  4. 請求項2または3に記載の帯電部材の製造方法であって、
    (1)支持体上に形成された導電性弾性層の表面に、カチオン重合可能な基を有する加水分解性シラン化合物フッ化アルキル基を有する加水分解性シラン化合物とを加水分解によって縮合させた縮合物を含有する塗膜を形成する工程と、
    (2)オゾン濃度が0.20ppm以下の雰囲気で該塗膜に紫外線を照射して該塗膜を硬化させる工程と、
    を有することを特徴とする帯電部材の製造方法。
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