JP5311492B2 - 寝返りシート - Google Patents

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Description

本発明は、敷き布団と人体の間に敷いて、寝返りを打ち易くするための寝返りシートに関する。
病人や老人等で、自由に寝返りを打つことができない人のために各種の介護用品が開発されている(特許文献1参照)(特許文献2参照)(特許文献3参照)。
特開2006−109928 実用新案登録第3126751号 実開平6−77728
既知の従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
従来の介護用品はいずれも、介助者の手助けにより使用されるもので、本人が容易に自力で寝返りを打つことを支援するものではない。
上記の課題を解決するために、本発明は、介助者の助けを借りることなく本人が容易に自力で寝返りを打つことを可能にする寝返りシートを提供することを目的とする。
以下の構成はそれぞれ上記の課題を解決するための手段である。
〈構成1〉
敷き布団22側に配置される下シート14と人体20側に配置される上シート16の少なくとも2枚のシートが互いに滑面18を介して重ね合わされており、前記上シート16と下シート14とが前記人体20の背骨に平行な方向への相対移動を妨げるように、両者を一体化する一体化手段が設けられていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成2〉
構成1に記載の寝返りシート10において、前記上シート16と下シート14はいずれも前記人体20の両側に、前記人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置し、かつ、前記上シート16と下シート14の一方の端縁24は連続し、他方の端縁26は縫合されていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成3〉
構成1に記載の寝返りシート10において、前記上シート16と下シート14はいずれも前記人体20の両側に、前記人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置し、かつ、前記上シート16と下シート14の両方の端縁が縫合されていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成4〉
構成1に記載の寝返りシート10において、前記下シート14は前記人体20の両側に前記人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置し、複数の上シート16の前記人体20の背骨にほぼ平行な一方の端縁24が、前記下シート14上に所定間隔で縫合されていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成5〉
構成1に記載の寝返りシート10において、前記上シート16と下シート14とは、前記人体20の背骨に平行な線を境に折り曲げられて連続一体化された、人体20の幅に比べて十分に狭い幅のユニット30とされており、このユニット30を複数、前記人体20の幅方向に隙間なく配列して連結したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成6〉
構成1に記載の寝返りシート10において、前記下シート14は、前記上シート16が前記人体20に密着するように上シート16の上面を開放し、前記上シート16の前記人体20の幅方向の縁を包囲して、前記上シート16の前記人体20の背骨に平行な方向の移動を制限し、前記人体20の幅方向の移動のみを許容するガイド構造を有することを特徴とする寝返りシート。
〈構成7〉
構成1乃至6のいずれかに記載の寝返りシート10において、前記上シート16の周辺およびまたは対角線上にシート張り用ワイヤー40を埋め込んだことを特徴とする寝返りシート。
〈構成8〉
構成1乃至7のいずれかに記載の寝返りシート10において、前記上シート16は、形状記憶繊維から構成したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成9〉
構成1乃至8のいずれかに記載の寝返りシート10において、前記下シート14と上シート16とは、生地表面に滑性がある化学繊維から構成したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成10〉
構成1乃至9のいずれかに記載の寝返りシート10において、前記下シート14と上シート16の両端縁が、人体20の背骨にほぼ平行な方向に貫通する窓を持つ一対のチューブ状シート12に固定されていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成11〉
構成1乃至10のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、サテン生地を上シートと下シート14に使用し、両シートの生地目が交差する様に配置することを特徴とする寝返りシート。
〈構成12〉
構成1に記載の寝返りシートにおいて、上シートと下シートは縫合されていない互いに独立して重ねられたシートであって、上シートの四隅に、上シートを下シート上の定位置に戻したときに弾力が均衡するように上シートの四隅を弾力で牽引するリールコードを固定したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成13〉
構成1乃至10のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、上シート16が両端で折り返されて、その端縁が下シート14に縫合されており、上シートが下シートに一体に連結されてループ状になっていて、上シートの両折り返し縁に一体化した補強用の上シート張り棒が設けられていることを特徴とする寝返りシート。
〈構成14〉
構成1に記載の寝返りシートにおいて、上シートと下シートは縫合されていない互いに独立して重ねられたシートであって、上シートの四隅に、上シートを下シート上の定位置に戻したときに弾力が均衡するように上シートの四隅をゴムひもで牽引することを特徴とする寝返りシート。
〈構成15〉
構成1乃至14のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、下シート固定用シートを敷き布団よりも幅広に構成したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成16〉
構成1乃至15のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、リールコードをゼンマイの弾力でケース内に巻き込み、前記リールコードを引き出すと、前記リールコードに対して前記ケース内に引き込む方向に弾力を及ぼす機能を持つ牽引リールを使用して、前記下シートに設けたリール固定用ポケットに前記牽引リールを納めて固定し、前記リールコードを前記はポケットに設けた小穴から外部へ引き出して、前記上シートに固定したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成17〉
構成16に記載の寝返りシートにおいて、前記ポケットを複数個、下シートに固定したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成18〉
構成1乃至17のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、前記上シートと下シートとが上下に重なり合う面の生地目方向が交差するように、前記上シートと下シートの生地目方向を選択したことを特徴とする寝返りシート。
〈構成19〉
構成1乃至17のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、前記上シートと下シートとが上下に重なり合う面の間に、生地目方向が交差する中間のシートを挟む三層構造にしたことを特徴とする寝返りシート。
〈構成20〉
構成1乃至19のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、上シートと下シートとを一時的に固定する固定手段を設けたことを特徴とする寝返りシート。
〈構成1の効果〉
敷き布団22側に配置される下シート14と人体20側に配置される上シート16が滑面18を介して重ね合わされているので、その上に寝ると寝返りが打ちやすい。人体20の背骨に平行な方向への相対移動を妨げるように、上シート16と下シート14とが一体化されていれば、寝返りを繰り返したときに、上シート16と下シート14とが分離しない。
〈構成2の効果〉
上シート16と下シート14とは、一方の端縁24で折り返された連続したシートで、他方の端縁26はヒートシール等の手段で縫合されることが好ましい。このチューブ状シート12はそのまま人体20の下に敷かれてもよいし、人体20の背骨に平行な複数の線でタックを付けるように数カ所で折り返されてもよい。
〈構成3の効果〉
上シート16と下シート14とは別々のシートにより構成して、両方の端縁がヒートシール等の手段で縫合されてもよい。
〈構成4の効果〉
一枚の敷き布団22と同程度の幅の下シート14上に、所定間隔で複数の上シート16の一方の端縁24が縫合されていると、どの部分でも、下シート14と上シート16が滑面18を介して重ね合わされている状態になる。こうしたルーバー状シート28は、下シート14と上シート16の全体としてのずれが小さいという効果がある。
〈構成5の効果〉
上シート16と下シート14とを折り曲げて、人体20の幅に比べて十分に狭い幅のユニット30を得る。このユニット30を複数、前記人体20の幅方向に隙間なく配列して連結すると、どの部分でも、下シート14と上シート16が滑面18を介して重ね合わされている状態になる。
〈構成6の効果〉
下シート14をケース状シート34とし、上シート16をスライドシート36とする。下シート14は上シート16の人体20の幅方向の移動のみを許容するので、下シート14と上シート16の全体としてのずれが小さいという効果がある。
〈構成7の効果〉
上シート16の周辺およびまたは対角線上にシート張り用ワイヤー40を埋め込んだので、上シート16に皺が寄らない。
〈構成8の効果〉
下シート14と上シート16の両端縁が、一対のチューブ状シート12に固定されているので、上シート16だけが自由に左右に移動する。
〈構成8の効果〉
上シート16が皺になりにくい。
〈構成9の効果〉
上シート16と下シート14が相互に滑りやすい
〈構成10の効果〉
上シート16と下シート14が一体化する。
〈構成11の効果〉
上シート16と下シート14が相互に滑りやすい
〈構成12の効果〉
リールコードを使って上シートを素早くもどす。
〈構成13の効果〉
シートが皺になりにくい。
〈構成14の効果〉
ゴム弾性を利用して上シートを引き戻す。
〈構成15の効果〉
上シートが滑る範囲を広げる
〈構成16の効果〉
リールコードにより上シートの戻りをよくすることができる。
〈構成17の効果〉
リールをポケットに納めて安全な構造になる。
〈構成18の効果〉
上シートと下シートのすべりをよくできる。
〈構成19の効果〉
上シートと下シートのすべりをよくできる。
〈構成20の効果〉
使用直前に上シートとしたシートの位置を正常にできる。
実施例1の寝返りシートの斜視図 寝返りシートの原理を示した解説図 実施例1の寝返りシート使用時の配置図 実施例2の寝返りシートの斜視図 実施例3の寝返りシートの斜視図 実施例4の寝返りシートの斜視図 実施例5の寝返りシートの斜視図 実施例6の寝返りシートの斜視図 実施例7の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。 実施例7の寝返りシート10が機能した時の各部位置関係を断面からみた解説図である。 実施例8のシートの斜視図である。 実施例8の上シート16を滑らせてリールコードを引いた状態を示した図である。 実施例9のシートの斜視図である。 実施例9のシートを実際に使用した時の状態を示した斜視図である。 実施例10のシートの斜視図である。 実施例10のゴムひも52が伸びた状態の斜視図である。 実施例11の下シートの固定方法を説明する斜視図である。 実施例11のシートの斜視図である。 リール固定用ポケット54の斜視図である。 リール固定用ポケット54を横から見た断面図である。 リール固定用ポケット54の断面図である。 リール固定用ポケット54の上シート牽引リール48を装着した時の断面図である。 実施例13のシートの分解斜視図である。 実施例13のシートの主要部斜視図である。 実施例14のシートの斜視図である。
以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
図1は実施例1の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。寝返りシート10は、チューブ状シート12と下シート14と上シート16と滑面18と人体20と敷き布団22と一方の端縁24と他方の端縁26とルーバー状シート28とユニット30とケース状シート34とスライドシート36ととを備えている。
敷き布団22側に配置される下シート14と人体20側に配置される上シート16の少なくとも2枚のシートが互いに滑面18を介して重ね合わされており、上シート16と下シート14とが人体20の背骨に平行な方向への相対移動を妨げるように、両者を一体化する一体化手段が設けられている。
図2は寝返りシート10の原理を説明するための頭上方向から見た解説図である。
敷き布団22側に配置される下シート14と人体20側に配置される上シート16が滑面18を介して重ね合わされている。この上で人体20が背骨に平行な方向に回転すると、人体20が丁度送りローラーの様な動きをする。従って、下シート14の上を上シート16が滑面18を介して滑り、上シート16がその回転方向に送り出される。つまり、人体20の頭頂部回転中心軸はそのままの位置で体は軽く回転できる。即ち、敷き布団22の幅方向両端部へ人体20が移動することなく僅かな力で寝返りが打てる様になる。そして人体20の背骨に平行な方向への相対移動を妨げるように、上シート16と下シート14とが一体化されていれば、寝返りを繰り返したとしても、上シート16と下シート14とが分離しない。
図3は実施例1の敷き布団22の上に寝返りシート10を敷いてその上に人体20が乗った時の配置図である。
上シート16と下シート14は人体20の荷重が強くかかる位置に配置され、荷重のかかる部分をカバーする寸法及び形状が選定される。人体20の背骨方向の寸法は座高の3分の1程度、人体20の幅方向の寸法は敷き布団22の幅とほぼ同程度が好ましい。
上シート16と下シート14はいずれも、例えば、ポリエチレンシート等の適度に柔軟性があるものが好ましい。また、体重が加わることにより著しく変形したり皺が寄ることがない適度な剛性を有することが好ましい。
図4は実施例2の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
図に示すように、上シート16と下シート14はいずれも人体20の両側に、人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置している。さらに、上シート16と下シート14の一方の端縁24は連続し、他方の端縁26は縫合されている。
上シート16と下シート14とは、一方の端縁24で折り返された連続したシートで、他方の端縁26はヒートシール等の手段で縫合されることが好ましい。このチューブ状シート12はそのまま人体20の下に敷かれてもよいし、人体20の背骨に平行な複数の線でタックを付けるように数カ所で折り返されてもよい。
図5は実施例3の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
図に示すように、上シート16と下シート14はいずれも人体20の両側に、人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置している。さらに、上シート16と下シート14の両方の端縁が縫合されている。
シートと下シート14とは別々のシートにより構成して、両方の端縁がヒートシール等の手段で縫合されてもよい。
図6は実施例4の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
図に示すように、下シート14は人体20の両側に人体20の背骨にほぼ平行な端縁を配置ている。複数の上シート16の人体20の背骨にほぼ平行な一方の端縁24が、下シート14上に所定間隔で縫合されている。
一枚の敷き布団22と同程度の幅の下シート14上に、所定間隔で複数の上シート16の一方の端縁24が縫合されていると、どの部分でも、下シート14と上シート16が滑面18を介して重ね合わされている状態になる。こうしたルーバー状シート28は、下シート14と上シート16の全体としてのずれが小さいという効果がある。
図7は実施例5の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
図に示すように、上シート16と下シート14とは、人体20の背骨に平行な線を境に折り曲げられて連続一体化されている。そして、人体20の幅に比べて十分に狭い幅のユニット30とされている。このユニット30を複数、人体20の幅方向に隙間なく配列して連結した。
上シート16と下シート14とを折り曲げて、人体20の幅に比べて十分に狭い幅のユニット30を得る。このユニット30を複数、前記人体20の幅方向に隙間なく配列して連結すると、どの部分でも、下シート14と上シート16が滑面18を介して重ね合わされている状態になる。これも全体としてのずれが小さくなる効果と共に滑面18が複層になるので更に滑りやすくなるという効果もある。また、このユニット30の各下シート14の一部をベースシート32の上面に縫合してもよい。
図8は実施例6の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
図に示すように、下シート14は、上シート16が人体20に密着するように上シート16の上面を開放している。さらに、下シート14は、上シート16の人体20の幅方向の縁を包囲して、上シート16の人体20の背骨に平行な方向の移動を制限する。こうして、下シート14は、人体20の幅方向の移動のみを許容するガイド構造を有する。
下シート14をケース状シート34とし、上シート16をスライドシート36とする。下シート14は上シート16の人体20の幅方向の移動のみを許容するので、下シート14と上シート16の全体としてのずれが小さいという効果がある。
図9は実施例7の寝返りシート10の一例を示す斜視図である。
この実施例では、チューブ連結上シート38の周辺と対角線上にシート張り用ワイヤー40を埋め込んだ。シート張り用ワイヤー40は、グラスファイバー等の材質で薄平たく線状に構成する。チューブ連結上シート38の裏側に、丁度凧の骨組みの様に隠されている。左右には、人体20の背骨にほぼ平行な方向に貫通する窓を持つ一対のチューブ状シート12を配置した。チューブ連結上シート38の両端縁は、一対のチューブ状シート12に固定されている。この構成により、チューブ連結上シート38が皺になりにくい。また、シート全体の各辺を常に直線に保つという効果が生まれた。
また、チューブ連結上シート38の材質を、形状記憶繊維の様な化学繊維で作ってもよい。これで、シート全体の表面を平らに保持できる。いずれの場合もチューブ連結上シート38の下面とチューブ連結下シート42の上面は滑面18となっており、左右のチューブ状シート12と共に擦られながら滑ることができる。
図10は実施例7の寝返りシート10が機能した時の各部位置関係を断面からみた解説図である。
図の上側はニュートラルポジションである。この状態からチューブ連結上シート38が、寝返りによる力を受けて、図の矢印方向に滑った時を考える。図の下側にその後の状態を示す。チューブ連結下シート42は敷き布団の上で左右上下とも移動はしていない。左右のチューブ状シート12がずれる様にして滑って、チューブ連結上シート38を図の右方向に軽く移動させている。
この構造の長所は、左右一対のチューブ状シート12を設けたので、方向性が良く、チューブ連結上シート38が安定して左右だけに移動できることである。即ち、ひとつのチューブ状シートを下に敷く場合に比べて、チューブを2連に連結した構造の方が、滑りの方向性がよい。就寝時に激しく寝返りを打った場合でも、シート本体が様々な方向に偏って行かず、皺にもならず人体20の動きに機能低下無く追従することが可能になった。
なお、上記の各実施例で使用したシートの形状は、体の中心部が乗る大きさならば円形、楕円形、菱形でも良い。また、本発明の特徴は、滑面18の働きによって外的要因に影響されずいつでも安定した滑りを確保できることにある。つまり、敷き布団、シーツ、就寝着などの素材表面が摩擦抵抗の高い如何なるものであっても、寝返りシート10の上に乗れば人体20を容易に滑らせ回転することが出来る。生地表面に滑性がある超極細繊維等で出来たポリエステルなどの化学繊維で製造すれば通気性もよく就寝時に蒸れることがない。
例えばベッドで就寝している場合、人間は寝返り時にベッドから転落しない様、無意識に体をベッドの中心部方向に戻す動きをしている。しかし、この動作が睡眠中にもリラックス出来ず肉体的にも疲労する原因となっている。本発明のシートは、人間の頭頂部回転中心軸を正中線とした位置から外れることなく体を容易に回転させることが出来る。従って、体をベッド中心部に戻す努力をすることが必要無くなり、睡眠中の肉体的精神的疲労も軽減し熟睡を確保する。さらにはベッドから転落する事故も防げる様になる。
急性腰痛症の患者にとって、寝返りは非常な激痛を誘発させる。さらには病状を悪化させる原因ともなっている。本発明はこの場合の寝返りも腰部の筋力を必要とさせない。従って、激痛を回避した寝返りを打たせることが可能となった。これにより、患者の安眠と病気の治癒に貢献することができた。
肩こり症及び頚椎疾患の患者にとって、睡眠時の寝返りは頚や肩周辺の血流を促進するために必要な運動である。しかし、寝返りに強い力が必要だと体が無抵抗のまま朝まで眠り続けてしまうことがある。その結果、朝の起床時に首や肩の凝りが激しく発症する。本発明はこの場合の寝返りも容易に可能となる。従って、患者に合った適度な高さの枕と本発明とを組み合わせることによって、睡眠時の適度な寝返り運動が肩周辺の血行を促進させ、凝りの治癒に働く。
図11は、実施例8のシートの斜視図である。
サテン生地を上シート16と下シート14に用いれば、両シートの生地目が交差する様に配置することによって滑り抵抗値が低くなり、布地でありながら良く滑り尚かつ通気性が良くなった。
図11において、上シート16と下シート14は縫合されていない互いに独立して重ねられたシートなので上シート16は人の様々な寝返り方によって左右上下を自在に動く。上シート16の四隅には、定位置に戻すための弱い力で牽引するリールコード46が付いているので、常に人体に優しく上シート16は下シート14の中心部に引き戻される。
図11において、四隅にある上シート牽引リール48にリールコード46がほぼ全部収まった状態で、上シート16がピンと張りつめる構造になっているため、上シート張り棒44と相まって、人がシートの上に乗っていない状態では、上シート16に皺が寄ったり片寄ることがない。
図12は、実際に上シート16を滑らせてリールコード46を引いた状態を示した図である。
図のように、寝返りによって、上シート16の片辺が撓む。上シート16の復元力と相まって、もう片辺側のリールコード46が上シート16を定位置に戻す様に引くため、素早く容易に元に戻せる構造になった。
図13は、実施例9のシートの斜視図である。
この例では、上シート16が両端で折り返されて、その端縁が下シート14に縫合されている。上シート16が下シート14に一体に連結されてループ状になったことによって上シート16の移動時のズレが少なくなったものである。さらに上シート16の両折り返し縁に一体化した上シート張り棒44がシートの縦方向の皺を抑制している。上シート張り棒44は、上シートよりも十分に硬いプラスチック棒や金属線により構成する。
図14は、上記のシートを実際に使用した時の状態を示した斜視図である。
上シート16をループ状にしたことで、シートが図のように激しく皺状になったとしても、上シート張り棒44に接合された引き戻し用のリールコード46によって上シート16がピンと張った綺麗な状態で定位置に戻される様になった。
図15は、実施例10のシートの斜視図である。図16は、実際に使用した時のゴムひも52が伸びた状態の図である。
この例では、上シート16の四隅をゴムひも52によって引っ張り定位置に戻す様にした。これは構造が単純で機械的故障が無く、衛生上の洗濯をする時も外す部品が無く、取り扱いが非常に容易になった。また、十分にコストも削減できる。
図17は、実施例11の下シートの固定方法を説明する斜視図である。
これは、下シート14を敷き布団22に固定した時の状態を示したものである。
下シート固定用シート50は、敷き布団22よりも幅広に構成されている。通常のシーツを布団に被せるのと同様に、図の様に敷き布団22の下側に巻き込む形で敷き布団22に固定させる。これにより、全体を非常に簡単に固定でき、尚かつ本体を外す時も容易である。
図18は、実施例11のシートの斜視図である。
下シート14に上シート牽引リール48を固定するためのリール固定用ポケット54を装着した図である。
このポケットの中に上シート牽引リール48を納めて固定するものである。上シート牽引リール48は、釣り道具などで多用されている。リールコード46をゼンマイの弾力でケース内に巻き込み、リールコード46を引き出すと、リールコード46にケース内に引き込む方向に弾力を及ぼす機能を持つ。ケースには安全ピン等の固定手段が取付られ、ケースを下シートの任意の場所に固定できる。リールコード46はポケットの底の小穴から外部へ伸びる様になっている。このポケットがリールを包み込んでカバーするため寝返り時にリールが身体に触れても不愉快でなく、また万一リールが壊れて破片が露出しても怪我などのおそれがない。
図19は、リール固定用ポケット54の斜視図である。
ポケットを3枚ずらしながら重ねることによって、リールを固定する位置を変えることができるため、寝具幅に合わせた最適な位置にリールをセッティングが出来る様になった。
図20は、リール固定用ポケット54を横から見た断面図である。
図21は、リール固定用ポケット54の前側ポケットに上シート牽引リール48を装着した時の断面図である。図22は、リール固定用ポケット54の中側ポケットに上シート牽引リール48を装着した時の断面図である。
3連のポケットの開口部にはそれぞれ面ファスナ56で開口部を塞ぐようになっているため、リールの着脱や位置変更が容易である。
図23は実施例13のシートの分解斜視図である。
図は、上シート用上面布58と上シート用下面布60と横方向生地目の下シートが62が3層に重なる構成を示した図である。上シート用上面布58は横方向に生地目が成る布であり、上シート用下面布60は縦方向に生地目が成る布で、この2つの生地を貼り合わせ縫合し1枚の16上シートと成る。そしてその下には横方向に生地目が成る横方向生地目の下シート62が上シート16を滑らすために下シート14として構成している。生地自体の表面は生地目方向に滑りやすい性質があるが、生地の表面同士が上下に重なり合う場合、生地目方向が交差すると生地は互いにとても滑りやすくなる特性がある。
図24は実施例13のシートの主要部斜視図である。
図の横方向生地目の下シート62の上に上シート用上面布58が上面に縫合された上シート16と実際に重なり合って少し横に滑り、ずれた時の状態を示したものである。ずれた時も、この様に両シート上面の生地の生地目が横方向に揃うことによって上下シート全体が生地目方向に滑りやすくなるため、たとえ寝返り時に身体が上シート16からはみ出し、下シート14の上にまたがって乗っても下シート14の生地目が横方向に向いているので滑りやすくなり、さらに円滑に寝返り動作を補助することが出来る様になった。つまり、中間のシートを含む3層の布シートの組み合わせにより、本発明による上下シート間の滑りと共に生地表面自らが持つ生地目方向の低摩擦性質の相乗効果が生まれ一層広範囲なシート上での寝返り補助を可能にした。
図25は、実施例14のシートの斜視図である。
下シート14に縫合された上シート固定用ボタン64とそれに合う上シート16のボタンホールとの位置関係を示した図である。図の様に上シート固定用ボタン64は上シート16を一時的に固定する役割を持つ。これの役割はこれから就寝に入ろうと人が初めて上シート16に乗る時、シートの中心部へ体を移動して行く過程での摩擦で上シート16が下シート14上のニュートラルポジションから四方八方にずれてしまうのを防ぐ働きをする。就寝に入る前、最初にこの上シート固定用ボタン64を上シート16に嵌め固定し、人体20が上シート16の端から乗って最も適切なポジションに体が移動したところでこのボタンを外すことにより上シート16が滑り出す様になる。これによって、痛くて腰が持ち上がらない様な状態でも寝返り補助効果が最大限に得られる上シート16の中心部へシートがずれることなく体を乗せることが容易に出来る様になった。上シートと下シートとを一時的に固定する固定手段は、ボタンやフック、結束紐、面ファスナ等でもよい。
10 寝返りシート
12 チューブ状シート
14 下シート
16 上シート
18 滑面
20 人体
22 敷き布団
24 一方の端縁
26 他方の端縁
28 ルーバー状シート
30 ユニット
32 ベースシート
34 ケース状シート
36 スライドシート
38 チューブ連結上シート
40 シート張り用ワイヤー
42 チューブ連結下シート
44 上シート張り棒
46 リールコード
48 上シート牽引リール
50 下シート固定用シート
52 ゴムひも
54 リール固定用ポケット
56 面ファスナ
58 上シート用上面布
60 上シート用下面布
62 横方向生地目の下シート
64 上シート固定用ボタン

Claims (5)

  1. 敷き布団22側に配置される下シート14と人体20側に配置される上シート16の少なくとも2枚のシートが互いに滑面18を介して重ね合わされており、
    上シートと下シートは縫合されていない互いに独立して重ねられたシートであって、上シートの四隅に、上シートを下シート上の定位置に戻したときに弾力が均衡するように上シートの四隅を弾力で牽引する手段を設け、
    前記弾力で牽引する手段は、一端を上シートの四隅に固定し、他端を下シート上に固定したリールコードであることを特徴とする寝返りシート。
  2. 請求項1に記載の寝返りシートにおいて、
    リールコードをゼンマイの弾力でケース内に巻き込み、前記リールコードを引き出すと、前記リールコードに対して前記ケース内に引き込む方向に弾力を及ぼす機能を持つ牽引リールを使用して、前記下シートに設けたリール固定用ポケットに前記牽引リールを納めて固定し、前記リールコードを前記固定用ポケットに設けた小穴から外部へ引き出して、前記上シートの四隅に固定したことを特徴とする寝返りシート。
  3. 請求項2に記載の寝返りシートにおいて、
    前記固定用ポケットを複数個、下シートに設けたことを特徴とする寝返りシート。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、
    下シートを固定した下シート固定用シートを設け、この下シート固定用シートを、敷き布団よりも幅広に構成したことを特徴とする寝返りシート。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の寝返りシートにおいて、
    上シートと下シートとを一時的に固定する固定用ボタンを設けたことを特徴とする寝返りシート。
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