以下、本発明に係る介護用移動マットの実施形態について図面を参照して説明する。
[第1実施形態(図1〜図13)]
図1は、本発明の第1実施形態による介護用移動マット10の筒状マット11を構成する材料要素を示している。この図1に示すように、筒状マット11は、その外周面側を構成する矩形状の表布12を有する。この表布12の縦寸法y1は、人間の大人の背丈以上とされ、横幅x1は、二重に折り畳んだ状態で大人の体幅を下方から両側方に十分包みこむことができる幅に設定されている。この表布12は、大人の体重を十分に支持することができるように、引張り荷重、摩擦等に対する高強度を有する十分に丈夫な材料、例えばポリエステルにより構成されている。また、筒状マット11は、その内周面側に設けられる矩形状の裏布13を有している。この裏布13は表布12と周縁を一致させて重合し得る同一形状、同一面積とされており、この裏布13は、滑り易い高滑性材料、例えばナイロンにより構成されている。
表布12と裏布13とは、これらの間に図示省略の綿等のクッション材を挟持させて例えばキルティング状に縫着されて1枚のシートに構成された後、幅方向両端が縫合され、軸方向両端が開口する筒状に形成される。これにより、柔軟かつ弾性のある緩衝機能付きの筒状マットとしての内外壁が構成される。このように、裏布13が表布12との縫合によって筒状に構成され、使用時に筒状マット11が扁平形状に変形し、その上に荷重がかかった状態でスライドする場合には、裏布13同士が重合し、摺動する。本実施形態では、裏布13を滑りのよいナイロンで構成することにより摺動抵抗を低減し、相互に滑り易い構成となっている。
図2は、図1に示した表布12と裏布13とが縫着されて一体化された介護用移動マット10の主体部分としての筒状マット11の構成、およびその筒状マット11の外周面側に接合されるマット回転および吊下げ用ベルトの構成を示している。なお、本実施形態では、3本のベルト14,20,26が筒状マット11の軸方向に沿って同軸上で間隔をあけて配設されている。
第1のベルト14は筒状マット11における要介護者の頚部を支持する高さ部位に配置されるものであり、高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度を発揮する幅および厚さを有する平坦な角帯状に構成されている。この第1のベルト14は、長さ方向両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、ベルト14の一方の部分は1本の長尺部15とされ、この長尺部15の一端側の端部16で折り返された他方のベルト部分は、長尺部15の1/2長さの第1短尺部17とされ、さらに長尺部15の他端側の端部18で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部15の1/2長さの第2短尺部19とされている。また、ベルト14の一方の端部16は、長尺部15と短尺部17との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部16のループ状の平坦面が長尺部15および短尺部17の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部16のループ状の平坦面には、ベルト14の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態となるため把持作用が具合よく行われる。同様に、ベルト14の他方の端部18も長尺部15と短尺部18との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部18のループ状の平坦面が長尺部15および短尺部18の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部18のループ状の平坦面には、ベルト14の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第2のベルト20は筒状マット11における要介護者の腰部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト14と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第2のベルト20も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部21とされ、この長尺部21の一端側の端部22で折り返された他方のベルト部分は、長尺部21の1/2長さの第1短尺部23とされ、さらに長尺部21の他端側の端部24で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部21の1/2長さの第2短尺部25とされている。また、ベルト20の一方の端部22は、長尺部21と短尺部23との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部24のループ状の平坦面が長尺部21および短尺部25の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部24のループ状の平坦面には、ベルト20の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部24のループ状の平坦面には、ベルト20の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第3のベルト26は筒状マット11における要介護者の膝部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト14および第2のベルト20と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第3のベルト26も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部27とされ、この長尺部27の一端側の端部28で折り返された他方のベルト部分は、長尺部27の1/2長さの第1短尺部29とされ、さらに長尺部27の他端側の端部30で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部26の1/2長さの第2短尺部31とされている。また、ベルト26の一方の端部28は、長尺部27と短尺部29との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部30のループ状の平坦面が長尺部27および短尺部31の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部30のループ状の平坦面には、ベルト20の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部30のループ状の平坦面には、ベルト26の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
図3は、第1のベルト14、第2のベルト20および第3のベルト26を筒状マット11に取付けた構成を示している。この図3に示すように、第1のベルト14においては、長尺部15の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット11の表布12側に接合部32,33として縫着されている。また、この第1のベルト14の一方の短尺部17においても、長尺部15の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部34,35として縫着されている。また、第1のベルト14の他方の短尺部19においても、長尺部15の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部36,37として縫着されている。
また、第2のベルト20においても、第1のベルト14と同様に長尺部21の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット11の表布12側に接合部38,39として縫着されている。また、この第2のベルト20の一方の短尺部23においても、長尺部21の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部40,41として縫着されている。また、第2のベルト20の他方の短尺部25においても、長尺部21の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部42,43として縫着されている。
さらに、第3のベルト26においても、第1、第2のベルト14、20と同様に長尺部27の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット11の表布12側に接合部44,45として縫着されている。また、この第3のベルト26の一方の短尺部29においても、長尺部27の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部46,47として縫着されている。また、第3のベルト26の他方の短尺部31においても、長尺部27の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部48,49として縫着されている。
図4は、第1のベルト14、第2のベルト20および第3のベルト26を平坦状態の筒状マット11に縫着接合した後、この筒状マット11を幅方向に湾曲させて両端を縫着により接合して筒状に形成した状態を示している。この図4に示したように、筒状に形成された筒状マット11の軸方向両端には開口部53,54が形成されている。本実施形態では、図4右上に示した一方の開口部53側が要介護者の頭部側(上側)となり、図4左下に示した他方の開口部54側が要介護者の脚部側(下側)となる。すなわち、筒状マット11の軸方向が要介護者の上下方向となる。なお、図4においては、筒状マット11の下面側に各ベルト14,20,26が配置されている。この状態が後述する要介護者を仰臥位で載せる際の使用状態を示しており、要介護者は筒状マット11の軸方向に上下方向を一致させて載ることになる。
この図4に示すように、本実施形態では、外周面側に高強度の表布12が設けられ、内周面側に高滑性の裏布13が設けられた軸方向両端開口の筒状マット11が構成される。そして、この筒状マット11の表布12の略同軸上に間隔をあけて3本のマット回転および吊下げ用のベルト14,20,26が筒状マット11の軸直角方向両側に向って設けられる。また、ベルト14,20,26の各先端は、それぞれ筒状マット11の外方に向って左右対称に突出する。また、ベルト14,20,26は、要介護者の頚部、腰部および膝部に対応する配置で3本設けられている。さらに、図4に示すように、各ベルト14,20,26の先端は、それぞれループ状に形成され、かつ筒状マット11の軸方向先端側の2本(第1、第3のベルト14、26)より、これらの間に配置されている1本(第2のベルト20)が長く形成されている。
図5は、筒状マット11を図4の状態から上下逆として示したものである。この図5により明確に示されるように、第1のベルト14の両端部側には、最も端部側に接近している接合部32,33,34,36から筒状マット11の側縁位置までの間に、このベルト14を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット11が回転し得る十分な余裕が設定されている。第2のベルト20についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部38,39,40,42から筒状マット11の側縁位置までの間に、このベルト20を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット11が第1のベルト14と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。さらに、第3のベルト26についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部44,45,46,48から筒状マット11の側縁位置までの間に、このベルト26を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット11が第1,第2のベルト14,20と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。
図6は、以上の構成を有する本実施形態による介護用移動マット10の筒状マット11に要介護者50を載せて移動する状態を示している。なお、この図6の例では補助者の図示を省略しているが、補助者は例えば3名により、第1のベルト14の両先端(把持部)16,18と、第2のベルト20の両先端(把持部)22,24と、第3のベルト26の両先端(把持部)28,30とを、それぞれ把持して、要介護者50を載せて移動することができる。
図7は、例えば2名の補助者により、要介護者50を筒状マット11に載せて移動する状態を例示している。この場合には、1名の補助者が第1のベルト14の両先端(把持部)16,18を把持し、他の1名の補助者が第3のベルト26の両先端(把持部)28,30把持する。第1、第3のベルト14、26間に配置されている第2のベルト20は、上述したように第1、第3のベルト14、26よりも長い構成とし、かつ両先端(把持部)22,24をループ状に形成しているため、この図7に示すように、第2のベルト20の両先端(把持部)22,24のいずれかを他方に挿入する等、相互に上方にて係合止着することができる。
図8〜図13は、ベッド51のベッド床52上から要介護者50を他の場所に移動する場合の作用、および要介護者50を他の場所からベッド床52上に移動する場合の作用についての説明図である。
まず、要介護者50をベッド床52上から他の場所に移動する場合の作用について説明する。この場合には、ベッド床52上に例えば仰臥位で横たわっている要介護者50に対し、本実施形態の筒状マット11をベッド床52と要介護者50との間に挿入する必要がある。
この際、まず図4に示したように、ベルト14,20,26が筒状マット11の下方にある状態において、要介護者50の頭部側が搭載される筒状マット11の上部側(開口部53側)から、脚部側が搭載される筒状マット11の下部側(開口部54側)に向けて、この筒状マット11を下向きに巻回しておく。この場合、本実施形態の筒状マット11は表布12と裏布13との間に綿等のクッション材を挟持させてキルティング状に縫着した構成であることから、コンパクトな形に巻くことができる。そこで、この、コンパクトな巻回状態の筒状マット11を、初めに要介護者50の膝下に挿入し、その後、筒状マット11の上部側をベッド床52に沿って要介護者50の腰部へ、次に頚部へと、巻回状態を次第に解除しながら展開してゆく。また、筒状マット11の下部側は脚の方へと展開してゆく。以上の作用により、筒状マット11をベッド床52と要介護者50との間に挿入することができる。
図8および図9は、このような作用によって要介護者50の下に筒状マット11を配置した状態を示している。本実施形態では、筒状マット11をコンパクトな形に巻くことができるので、要介護者50の仰臥位を側臥位に転換する必要がない。したがって、要介護者50に大幅な体位変更を要求することなく、要介護者50を筒状マット11上に載せることができる。この後は、図6または図7に示したように、補助者が第1のベルト14、第2のベルト20および第3のベルト26等を把持して持上げることにより、要介護者50を移動させることができる。したがって、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができ、しかもストレッチャ等を使用する必要なく補助者によって要介護者50をベッド等の外部に容易に、かつ安全に移動させることができる
一方、逆に外部からベッド51のベッド床52上に要介護者50を移動させる場合には、図6、図7等の状態で外部からベッド51まで要介護者50を移動させた後、図8および図9に示したように、要介護者50が載ったまま、一旦筒状マット11をベッド51上に置く。この場合、各ベルト14,20,26が筒状マット11の下面側にある状態となっている。そこで、補助者は筒状マット11の横方向に突出しているベルト14、20、26の各片側を把持して、筒状マット11の横方向に向けて引張る。これにより、筒状マット11の下側部分が引張り方向に向って回転するので、図10および図11に示すように、筒状マット11が各ベルト14、20、26の引寄せ端部側に移動する。この場合、本実施形態では筒状マット11の裏布13が高滑性の滑り易い材料、例えばナイロンにより構成されているので、筒状マット11が扁平に変形した状態でも裏布13同士の重合面の摩擦抵抗小さく、容易に回転させることができる。そして、本実施形態では、筒状マット11の回転引き抜き方向と反対側の縁部が要介護者50の身体の略中央部位まで達するので、その後は筒状マット11を容易に引き抜いて、図12および図13に示すように、外部に取外すことができる。
したがって、本実施形態によれば、要介護者に大幅な体位変更を必要とすることなく装着および離脱することができ、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができる。しかも、ストレッチャ等を使用する必要なく補助者等によって要介護者をベッド等の外部に容易に移動させることができる。[第2実施形態(図14、図15)]
本実施形態では、ベルトが要介護者の頚部、腰部および膝部等に対応する配置で4本設けられた介護用移動マットについて説明する。なお、本実施形態の説明には主として図14および図15を参照するが、関連する構成については図1〜図13も参照する。図1〜図13を参照本する場合には、これらの図に示した数字に「100」を加えた数字を使用する。
図14、図15および図1に示すように、本実施形態の介護用移動マット110は、その外周面側を構成する矩形状の表布112を有する。この表布112の縦寸法y1は、人間の大人の背丈以上とされ、横幅x1は、二重に折り畳んだ状態で大人の体幅を下方から両側方に十分包みこむことができる幅に設定されている。この表布112は、大人の体重を十分に支持することができるように、引張り荷重、摩擦等に対する高強度を有する十分に丈夫な材料、例えばポリエステルにより構成されている。また、筒状マット111は、その内周面側に設けられる矩形状の裏布113を有している。この裏布113は表布112と周縁を一致させて重合し得る同一形状、同一面積とされており、この裏布113は、滑り易い高滑性材料、例えばナイロンにより構成されている。
表布112と裏布113とは、これらの間に図示省略の綿等のクッション材を挟持させて例えばキルティング状に縫着されて1枚のシートに構成された後、幅方向両端が縫合され、軸方向両端が開口する筒状に形成される。これにより、柔軟かつ弾性のある緩衝機能付きの筒状マットとしての内外壁が構成される。このように、裏布113が表布112との縫合によって筒状に構成され、使用時に筒状マット111が扁平形状に変形し、その上に荷重がかかった状態でスライドする場合には、裏布113同士が重合し、摺動する。本実施形態では、裏布113を滑りのよいナイロンで構成することにより摺動抵抗を低減し、相互に滑り易い構成となっている。
図14(図2参照)は、図1に示した表布112と裏布113とが縫着されて一体化された介護用移動マット110の主体部分としての筒状マット111の構成、およびその筒状マット111の外周面側に接合されるマット回転および吊下げ用ベルトの構成を示している。なお、本実施形態では、4本のベルト114,120,160,126が筒状マット111の軸方向に沿って同軸上で間隔をあけて配設されている。
第1のベルト114は筒状マット111における要介護者の頚部を支持する高さ部位に配置されるものであり、高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第1のベルト114は、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部115とされ、この長尺部115の一端側の端部116で折り返された他方のベルト部分は、長尺部115の1/2長さの第1短尺部117とされ、さらに長尺部115の他端側の端部118で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部115の1/2長さの第1短尺部119とされている。また、ベルト114の一方の端部116は、長尺部115と短尺部117との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部116のループ状の平坦面が長尺部115および短尺部117の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部116のループ状の平坦面には、ベルト114の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。同様に、ベルト114の他方の端部118も長尺部115と短尺部118との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部18のループ状の平坦面が長尺部115および短尺部118の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部118のループ状の平坦面には、ベルト114の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第2のベルト120は筒状マット111における要介護者の腰部上方を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト114と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第2のベルト120も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部121とされ、この長尺部121の一端側の端部122で折り返された他方のベルト部分は、長尺部121の1/2長さの第1短尺部123とされ、さらに長尺部121の他端側の端部124で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部121の1/2長さの第2短尺部125とされている。また、ベルト120の一方の端部122は、長尺部121と短尺部123との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部124のループ状の平坦面が長尺部121および短尺部125の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部124のループ状の平坦面には、ベルト120の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部124のループ状の平坦面には、ベルト120の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第3のベルトは、筒状マット111における要介護者の腰部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト114と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第3のベルト160も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部161とされ、この長尺部161の一端側の端部162で折り返された他方のベルト部分は、長尺部161の1/2長さの第1短尺部163とされ、さらに長尺部161の他端側の端部164で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部161の1/2長さの第2短尺部165とされている。また、ベルト160の一方の端部162は、長尺部161と短尺部163との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部164のループ状の平坦面が長尺部161および短尺部165の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部164のループ状の平坦面には、ベルト160の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部164のループ状の平坦面には、ベルト160の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第4のベルト126は筒状マット111における要介護者の膝部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト114および第2のベルト120と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第4のベルト126も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部127とされ、この長尺部127の一端側の端部128で折り返された他方のベルト部分は、長尺部127の1/2長さの第1短尺部129とされ、さらに長尺部127の他端側の端部130で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部126の1/2長さの第2短尺部131とされている。また、ベルト126の一方の端部128は、長尺部127と短尺部129との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部130のループ状の平坦面が長尺部127および短尺部131の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部130のループ状の平坦面には、ベルト126の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部130のループ状の平坦面には、ベルト126の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
また、図14(図3参照)には、第1のベルト114、第2のベルト120、第3のベルト160および第4のベルト126を、筒状マット111に取付けた構成が示されている。これらの図に示すように、第1のベルト114においては、長尺部115の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット111の表布112側に接合部132,133として縫着されている。また、この第1のベルト114の一方の短尺部117においても、長尺部115の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部134,135として縫着されている。また、第1のベルト114の他方の短尺部119においても、長尺部115の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部136,137として縫着されている。
また、第2のベルト120においても、第1のベルト114と同様に長尺部121の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット111の表布112側に接合部138,139として縫着されている。また、この第2のベルト120の一方の短尺部123においても、長尺部121の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部140,141として縫着されている。また、第2のベルト120の他方の短尺部125においても、長尺部121の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部142,143として縫着されている。
また、第3のベルト160においても、第1のベルト114と同様に長尺部161の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット111の表布112側に接合部166,167として縫着されている。また、この第3のベルト160の一方の短尺部165においても、長尺部162の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部168,169として縫着されている。また、第3のベルト160の他方の短尺部163においても、長尺部162の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部170,171として縫着されている。
さらに、第4のベルト126においても、第1、第2、第3のベルト114、120、160と同様に長尺部127の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット111の表布112側に接合部144,145として縫着されている。また、この第4のベルト126の一方の短尺部129においても、長尺部127の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部146,147として縫着されている。また、第4のベルト126の他方の短尺部131においても、長尺部127の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部148,149として縫着されている。
図14には、さらに第1のベルト114、第2のベルト120および第3のベルト126を平坦状態の筒状マット111に縫着接合した後、この筒状マット111を幅方向に湾曲させて両端を縫着により接合して筒状に形成した状態を示している。この図14に示したように、筒状に形成された筒状マット111の軸方向両端には開口部153,154が形成されている。本実施形態では、図14右上に示した一方の開口部153側が要介護者の頭部側(上側)となり、図14左下に示した他方の開口部154側が要介護者の脚部側(下側)となる。すなわち、筒状マット111の軸方向が要介護者の上下方向となる。なお、図14においては、筒状マット111の下方に各ベルト114,120,160、126が配置されている。この状態が後述する要介護者を仰臥位で載せる際の使用状態を示しており、要介護者は筒状マット111の軸方向に上下方向を一致させて載ることになる。
また、図14に示すように、本実施形態では、外周面側に高強度の表布112が設けられ、内周面側に高滑性の裏布113が設けられた軸方向両端開口の筒状マット111が構成される。そして、この筒状マット111の表布112の略同軸上に間隔をあけて4本のマット回転および吊下げ用のベルト114,120,160,126が筒状マット111の軸直角方向両側に向って設けられる。また、ベルト114,120,160,126の各先端は、それぞれ筒状マット111の外方に向って左右対称に突出する。また、ベルト114,120,160,126は、要介護者の頚部、腰部および膝部に対応する配置で4本設けられている。さらに、各ベルト114,120,160,126の先端は、それぞれループ状に形成され、かつ筒状マット111の軸方向先端側の2本(第1、第3のベルト114、126)より、これらの間に配置されている2本(第2、第3のベルト120,160)を例として説明する。)が長く形成されている。
図15は、筒状マット111を図4の状態から上下逆として示したものである。この図5により明確に示されるように、第1のベルト114の両端部側には、最も端部側に接近している接合部132,133,134,136から筒状マット111の側縁位置までの間に、このベルト114を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット111が回転し得る十分な余裕が設定されている。第2のベルト120についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部138,139,140,142から筒状マット111の側縁位置までの間に、このベルト120を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット111が第1のベルト114と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。さらに、第3のベルト160についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部166,167,168,170から筒状マット111の側縁位置までの間に、このベルト160を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット111が第1,第2のベルト114,120と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。第4のベルト126についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部144,145,146,148から筒状マット111の側縁位置までの間に、このベルト126を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット111が第1,第2,第3のベルト114,120,160と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。
図14(および図6)を参照して、以上の構成を有する本実施形態による介護用移動マット110の筒状マット111に要介護者50を載せて移動する作用を説明する。なお、これらの図には補助者の図示が省略されているが、補助者は例えば2〜4名により、第1のベルト114の両先端(把持部)116,118と、第2のベルト120の両先端(把持部)122,124と、第3のベルト160の両先端(把持部)1162,164と、第4のベルト126の両先端(把持部)128,130とを、それぞれ把持して、要介護者50を載せて移動することができる。
図7には、例えば2名の補助者により、要介護者50を筒状マット111に載せて移動する状態を例示している。この場合には、1名の補助者が第1のベルト114の両先端(把持部)116,118を把持し、他の1名の補助者が第4のベルト126の両先端(把持部)128,130把持する。第1、第3のベルト114、126間に配置されている第2,第3のベルト120,160は、上述したように第1、第4のベルト114、126よりも長い構成とし、かつ両先端(把持部)121,124をループ状に形成しているため、この図7に示すように、第2のベルト120の両先端(把持部)122,124のいずれか一方を他方に挿入し、また第3のベルト160の両先端(把持部)162,164のいずれかを他方に挿入する等、相互に上方にて係合止着することができる。
以上の構成に基づき、図8〜図13を参照して、ベッド51のベッド床52上から要介護者50を他の場所に移動する場合の作用、および要介護者50を他の場所からベッド床52上に移動する場合の作用について説明する。
まず、要介護者50をベッド床52上から他の場所に移動する場合の作用について説明する。この場合には、ベッド床52上に例えば仰臥位で横たわっている要介護者50に対し、本実施形態の筒状マット111をベッド床52と要介護者50との間に挿入する必要がある。
この際、まずベルト114,120,160,26が筒状マット111の下方にある状態において、要介護者50の頭部側が搭載される筒状マット111の上部側(開口部153側)から、脚部側が搭載される筒状マット111の下部側(開口部154側)に向けて、この筒状マット111を下向きに巻回しておく。この場合、本実施形態の筒状マット111は表布112と裏布113との間に綿等のクッション材を挟持させてキルティング状に縫着した構成であることから、コンパクトな形に巻くことができる。そこで、この、コンパクトな巻回状態の筒状マット111を、初めに要介護者50の膝下に挿入し、その後、筒状マット111の上部側をベッド床52に沿って要介護者50の腰部へ、次に頚部へと、巻回状態を次第に解除しながら展開してゆく。また、筒状マット111の下部側は脚の方へと展開してゆく。以上の作用により、筒状マット111をベッド床52と要介護者50との間に挿入することができる。
図8および図9は、このような作用によって要介護者50の下に筒状マット111を配置した状態を示している。本実施形態では、筒状マット111をコンパクトな形に巻くことができるので、要介護者50の仰臥位を側臥位に転換する等の必要がない。したがって、要介護者50に大幅な体位変更を必要とすることなく、要介護者50を筒状マット111上に載せることができる。この後は、図6または図7に示したように、補助者が第1のベルト114、第2のベルト120、第3のベルト160および第4のベルト126等を把持して持上げることにより、要介護者50を移動させることができる。したがって、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができ、しかもストレッチャ等を使用する必要なく看護人等の補助者によって要介護者50をベッド等の外部に容易に、かつ安全に移動させることができる
一方、逆に外部からベッド51のベッド床52上に要介護者50を移動させる場合には、 図8および図9に示したように、要介護者50が載ったまま、一旦筒状マット111をベッド51上に置く。この場合、各ベルト114,120,160,126が筒状マット111の下方にある状態とすることが望ましい。そして、補助者は筒状マット111の一側方(同一方向)に配置している片側のベルト114、120、160および126を把持して、筒状マット111の外側に引張る。これにより、筒状マット111が下側部分を引寄せる方向に向って回転するので、図10および図11に示すように、筒状マット111が各ベルト114、120、160、126の引寄せ端部側に移動する。この場合、本実施形態では筒状マット111の裏布113が高滑性の滑り易い材料、例えばナイロンにより構成されているので、筒状マット111が扁平に変形した状態でも裏布113同士の重合面の摩擦抵抗小さく、容易に回転させることができる。そして、本実施形態では、筒状マット111の回転引き抜き方向と反対側の縁部が要介護者50の身体の略中央部位まで達するので、その後は筒状マット111を容易に引き抜いて、図12および図13に示すように、外部に取外すことができる。
したがって、本実施形態によれば、要介護者に大幅な体位変更を必要とすることなく装着および離脱することができ、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができる。しかも、ストレッチャ等を使用する必要なく補助者等によって要介護者をベッド等の外部に容易に移動させることができる。また、本実施形態ではベルトを4本とし、ベルト間隔が小さい構成としたことにより、筒状マット111を要介護者から外す場合の抜き出し機能が高まり、操作性をより向上させることができる。また、各ベルトにかかる要介護者の重量負担の軽減も図れる。
[第3実施形態(図1〜図13、図16〜図18)]
本実施形態では、筒状マットの表布の外周側に、ベルトと略平行な補助ベルトを設けた介護用移動マットについて説明する。なお、本実施形態の説明には主として図16〜図18図を参照するが、関連する構成については図1〜図13も参照する。図1〜図13を参照本する場合には、これらの図に示した数字に「200」を加えた数字を使用する。
図16(図1参照)に示すように、筒状マット211は、その外周面側を構成する矩形状の表布212を有する。この表布212の縦寸法y1は、人間の大人の背丈以上とされ、横幅x1は、二重に折り畳んだ状態で大人の体幅を下方から両側方に十分包みこむことができる幅に設定されている。この表布212は、大人の体重を十分に支持することができるように、引張り荷重、摩擦等に対する高強度を有する十分に丈夫な材料、例えばポリエステルにより構成されている。また、筒状マット211は、その内周面側に設けられる矩形状の裏布213を有している。この裏布213は表布212と周縁を一致させて重合し得る同一形状、同一面積とされており、この裏布213は、滑り易い高滑性材料、例えばナイロンにより構成されている。 表布212と裏布213とは、これらの間に図示省略の綿等のクッション材を挟持させて例えばキルティング状に縫着されて1枚のシートに構成された後、幅方向両端が縫合され、軸方向両端が開口する筒状に形成される。これにより、柔軟かつ弾性のある緩衝機能付きの筒状マットとしての内外壁が構成される。このように、裏布213が表布212との縫合によって筒状に構成され、使用時に筒状マット211が扁平形状に変形し、その上に荷重がかかった状態でスライドする場合には、裏布213同士が重合し、摺動する。本実施形態では、裏布213を滑りのよいナイロンで構成することにより摺動抵抗を低減し、相互に滑り易い構成となっている。
図14(図2参照)は、図1に示した表布212と裏布213とが縫着されて一体化された介護用移動マット210の主体部分としての筒状マット211の構成、およびその筒状マット211の外周面側に接合されるマット回転および吊下げ用ベルトの構成を示している。なお、本実施形態では、3本のベルト214,220,226が筒状マット211の軸方向に沿って同軸上で間隔をあけて配設されている。
第1のベルト214は筒状マット211における要介護者の頚部を支持する高さ部位に配置されるものであり、高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第1のベルト214は、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部215とされ、この長尺部215の一端側の端部216で折り返された他方のベルト部分は、長尺部215の1/2長さの第1短尺部217とされ、さらに長尺部215の他端側の端部218で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部215の1/2長さの第1短尺部219とされている。また、ベルト214の一方の端部216は、長尺部215と短尺部217との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部216のループ状の平坦面が長尺部215および短尺部217の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部216のループ状の平坦面には、ベルト214の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。同様に、ベルト214の他方の端部218も長尺部215と短尺部218との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部18のループ状の平坦面が長尺部215および短尺部218の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部218のループ状の平坦面には、ベルト214の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第2のベルト220は筒状マット211における要介護者の腰部上方を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト214と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者50の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第2のベルト220も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部221とされ、この長尺部221の一端側の端部222で折り返された他方のベルト部分は、長尺部221の1/2長さの第1短尺部223とされ、さらに長尺部221の他端側の端部224で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部221の1/2長さの第2短尺部225とされている。また、ベルト220の一方の端部222は、長尺部221と短尺部223との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部224のループ状の平坦面が長尺部221および短尺部225の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部224のループ状の平坦面には、ベルト220の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部224のループ状の平坦面には、ベルト220の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して
第3のベルト226は筒状マット211における要介護者の膝部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト214および第2のベルト220と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者50の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第3のベルト226も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部227とされ、この長尺部227の一端側の端部228で折り返された他方のベルト部分は、長尺部227の1/2長さの第1短尺部229とされ、さらに長尺部227の他端側の端部230で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部226の1/2長さの第1短尺部231とされている。また、ベルト226の一方の端部228は、長尺部227と短尺部229との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部230のループ状の平坦面が長尺部227および短尺部231の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部230のループ状の平坦面には、ベルト220の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部230のループ状の平坦面には、ベルト226の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
図16および図17は、第1ないし第3のベルト214、220,226を筒状マット211に取付けた構成を示し、図18は、図16のD−D断面を示している。これらの図に示すように、第1のベル214においては、長尺部215の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット211の表布212側に接合部232,233として縫着されている。また、この第1のベルト214の一方の短尺部217においても、長尺部215の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部234,235として縫着されている。また、第1のベルト214の他方の短尺部219においても、長尺部215の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部236,237として縫着されている。
また、第2のベルト220においても、第1のベルト214と同様に長尺部221の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット211の表布212側に接合部238,239として縫着されている。また、この第2のベルト220の一方の短尺部223においても、長尺部221の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部240,241として縫着されている。また、第2のベルト220の他方の短尺部225においても、長尺部221の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部242,243として縫着されている。
さらに、第3のベルト26においても、第1、第2のベルト214、220と平行に、長尺部227の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット211の表布212側に接合部244,245として縫着されている。また、この第3のベルト226の一方の短尺部229においても、長尺部227の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部246,247として縫着されている。また、第3のベルト226の他方の短尺部231においても、長尺227の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部248,249として縫着されている。
また、筒状マット211の表布253の外周側に沿って、環状配置で複数点の連結部を有するマット回転用の補助ベルトが設けられている。
具体的には、図17および図18に示すように、第1のベルト214の開口部253側に第1の補助ベルト270が設けられている。この第1の補助ベルト270はベルト214と略同様の幅を有する帯状のものであり、筒状マット211の開口部253側に配置され、複数の連結点271によって筒状マット211に縫着接合され、例えばリボン状に筒状マット211の表面側に湾曲突出している。連結点271は、例えば筒状マット211の周辺に沿って間隔的に4点とされている。
第1のベルト214と第2のベルト220との中間位置には、第2の補助ベルト272が設けられている。この第2の補助ベルト272はベルト214、220と略同様の幅を有する帯状のものであり、複数の連結点273によって筒状マット211に縫着接合され、例えばリボン状に筒状マット211の表面側に湾曲突出している。連結点273は、例えば筒状マット211の周辺に沿って間隔的に4点とされている。
第2のベルト220と第3のベルト226との中間位置には、第3の補助ベルト274が設けられている。この第2の補助ベルト272はベルト220、226と略同様の幅を有する帯状のものであり、複数の連結点275によって筒状マット211に縫着接合され、例えばリボン状に筒状マット211の表面側に湾曲突出している。連結点275は、例えば筒状マット211の周辺に沿って間隔的に4点とされている。
第3のベルト226の開口部254側には、第4の補助ベルト276が設けられている。この第4の補助ベルト276はベルト226と略同様の幅を有する帯状のものであり、筒状マット211の開口部254側に配置され、複数の連結点277によって筒状マット211に縫着接合され、例えばリボン状に筒状マット211の表面側に湾曲突出している。連結点277は、例えば筒状マット211の周辺に沿って間隔的に4点とされている。
なお、図17および図5は、筒状マット211を図16および図4の状態から上下逆として示し、これらの図17および図5により明確に示されるように、第1のベルト214の両端部側には、最も端部側に接近している接合部232,233,234,236から筒状マット211の側縁位置までの間に、このベルト214を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット211が回転し得る十分な余裕が設定されている。第2のベルト220についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部238,239,240,242から筒状マット211の側縁位置までの間に、このベルト220を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット211が第1のベルト214と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。さらに、第3のベルト226についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部244,245,246,248から筒状マット211の側縁位置までの間に、このベルト226を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット211が第1,第2のベルト214,220と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。
さらに、各補助ベルト270,272,274,276は、筒状マット211の外周面側に複数箇所に亘って突出しているので、これらの補助ベルト270,272,274,276に手を掛けて、筒状マット211の回転を補助することができる。したがって、本実施形態においては、補助ベルト270,272,274,276を利用して、さらに筒状マットを容易に回転させることができる。
そして、図6に示したように、以上の構成を有する本実施形態による介護用移動マット210の筒状マット211に要介護者50を載せて移動することができる。なお、この図6の例では補助者の図示を省略しているが、補助者は例えば3名により、第1のベルト214の両先端(把持部)216,218と、第2のベルト220の両先端(把持部)222,224と、第3のベルト226の両先端(把持部)228,230とを、それぞれ把持して、要介護者50を載せて移動することができる。
図7は、例えば2名の補助者により、要介護者50を筒状マット211に載せて移動する状態を例示している。この場合には、1名の補助者が第1のベルト214の両先端(把持部)216,218を把持し、他の1名の補助者が第3のベルト226の両先端(把持部)228,230を把持する。第1、第3のベルト214、226間に配置されている第2のベルト220は、上述したように第1、第3のベルト214、226よりも長い構成とし、かつ両先端(把持部)222,224をループ状に形成しているため、この図7に示すように、第2のベルト220の両先端(把持部)222,224のいずれかを他方に挿入する等、相互に上方にて係合止着することができる。
図8〜図13は、ベッド51のベッド床52上から要介護者50を他の場所に移動する場合の作用、および要介護者50を他の場所からベッド床52上に移動する場合の作用についての説明図である。
まず、要介護者50をベッド床52上から他の場所に移動する場合の作用について説明する。この場合には、ベッド床52上に例えば仰臥位で横たわっている要介護者50に対し、本実施形態の筒状マット211をベッド床52と要介護者50との間に挿入する必要がある。
この際、まず図4に示したように、ベルト214,220,226が筒状マット211の下方にある状態において、要介護者50の頭部側が搭載される筒状マット11の上部側(開口部53側)から、脚部側が搭載される筒状マット211の下部側(開口部54側)に向けて、この筒状マット211を下向きに巻回しておく。この場合、本実施形態の筒状マット211は表布212と裏布213との間に綿等のクッション材を挟持させてキルティング状に縫着した構成であることから、コンパクトな形に巻くことができる。そこで、この、コンパクトな巻回状態の筒状マット211を、初めに要介護者50の膝下に挿入し、その後、筒状マット211の上部側をベッド床52に沿って要介護者50腰部へ、次に頚部へと、巻回状態を次第に解除しながら展開してゆく。また、筒状マット211の下部側は脚の方へと展開してゆく。以上の作用により、筒状マット211をベッド床52と要介護者50との間に挿入することができる。
図8および図9は、このような作用によって要介護者50の下に筒状マット211を配置した状態を示している。本実施形態では、筒状マット211をコンパクトな形に巻くことができるので、要介護者50の仰臥位を側臥位に転換する等の必要がない。したがって、要介護者50に大幅な体位変更を必要とすることなく、要介護者50を筒状マット211上に載せることができる。この後は、図6または図7に示したように、補助者50が第1のベルト214、第2のベルト220および第3のベルト226等を把持して持上げることにより、要介護者50を移動させることができる。したがって、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができ、しかもストレッチャ等を使用する必要なく看護人等の補助者によって要介護者50をベッド等の外部に容易に、かつ安全に移動させることができる
一方、逆に外部からベッド51のベッド床52上に要介護者50を移動させる場合には、図8および図9に示したように、要介護者50が載ったまま、一旦筒状マット211をベッド51上に置く。この場合、各ベルト214,220,226が筒状マット211の下方にある状態とすることが望ましい。そして、補助者50は筒状マット211の一側方(同一方向)に配置している片側のベルト214、220および226を把持して、筒状マット211の外側に引張る。これにより、筒状マット211が下側部分を引寄せる方向に向って回転するので、図10および図11に示すように、筒状マット211が各ベルト214、220、226の引寄せ端部側に移動する。この場合、本実施形態では筒状マット211の裏布213が高滑性の滑り易い材料、例えばナイロンにより構成されているので、筒状マット211が扁平に変形した状態でも裏布213同士の重合面の摩擦抵抗が小さく、容易に回転させることができる。そして、本実施形態では、筒状マット211の回転引き抜き方向と反対側の縁部が要介護者50の身体の略中央部位まで達するので、その後は筒状マット211を容易に引き抜いて、図12および図13に示すように、外部に取外すことができる。さらに、本実施形態では、筒状マット211の表布213の外周側に沿って、環状配置で複数点の連結部を有するマット回転用の補助ベルト270,272,274,276を設けたことにより、これらの補助ベルト270,272,274,276を介して筒状マット211の回転をさらに確実に行えるとともに、一層容易に回転させることができるようになる。
[第4実施形態(図19〜図21)
本実施形態では、筒状マットの表布の外周側に、ベルトと略平行に、一点の連結部を有するベルト回転用の補助ベルトを設けた介護用移動マットについて説明する。なお、本実施形態の説明には主として図19〜図21図を参照するが、関連する構成については図1〜図13も参照する。図1〜図13を参照本する場合には、これらの図に示した数字に「200」を加えた数字を使用する。
図19(図1参照)に示すように、筒状マット311は、その外周面側を構成する矩形状の表布312を有する。この表布312の縦寸法y1は、人間の大人の背丈以上とされ、横幅x1は、二重に折り畳んだ状態で大人の体幅を下方から両側方に十分包みこむことができる幅に設定されている。この表布312は、大人の体重を十分に支持することができるように、引張り荷重、摩擦等に対する高強度を有する十分に丈夫な材料、例えばポリエステルにより構成されている。また、筒状マット311は、その内周面側に設けられる矩形状の裏布313を有している。この裏布313は表布312と周縁を一致させて重合し得る同一形状、同一面積とされており、この裏布313は、滑り易い高滑性材料、例えばナイロンにより構成されている。 表布312と裏布313とは、これらの間に図示省略の綿等のクッション材を挟持させて例えばキルティング状に縫着されて1枚のシートに構成された後、幅方向両端が縫合され、軸方向両端が開口する筒状に形成される。これにより、柔軟かつ弾性のある緩衝機能付きの筒状マットとしての内外壁が構成される。このように、裏布313が表布312との縫合によって筒状に構成され、使用時に筒状マット311が扁平形状に変形し、その上に荷重がかかった状態でスライドする場合には、裏布313同士が重合し、摺動する。本実施形態では、裏布313を滑りのよいナイロンで構成することにより摺動抵抗を低減し、相互に滑り易い構成となっている。
図14(図2参照)は、図1に示した表布312と裏布313とが縫着されて一体化された介護用移動マット310の主体部分としての筒状マット311の構成、およびその筒状マット311の外周面側に接合されるマット回転および吊下げ用ベルトの構成を示している。なお、本実施形態では、3本のベルト314,320,326が筒状マット311の軸方向に沿って同軸上で間隔をあけて配設されている。
第1のベルト314は筒状マット311における要介護者の頚部を支持する高さ部位に配置されるものであり、高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第1のベルト314は、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部315とされ、この長尺部315の一端側の端部316で折り返された他方のベルト部分は、長尺部315の1/2長さの第1短尺部317とされ、さらに長尺部315の他端側の端部318で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部315の1/2長さの第1短尺部319とされている。また、ベルト314の一方の端部316は、長尺部315と短尺部317との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部316のループ状の平坦面が長尺部315および短尺部317の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部316のループ状の平坦面には、ベルト314の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。同様に、ベルト314の他方の端部318も長尺部315と短尺部318との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部18のループ状の平坦面が長尺部315および短尺部318の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部318のループ状の平坦面には、ベルト314の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第2のベルト320は筒状マット311における要介護者の腰部上方を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト314と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第2のベルト320も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部331とされ、この長尺部331の一端側の端部322で折り返された他方のベルト部分は、長尺部331の1/2長さの第1短尺部323とされ、さらに長尺部321の他端側の端部324で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部321の1/2長さの第2短尺部325とされている。また、ベルト320の一方の端部322は、長尺部321と短尺部323との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部324のループ状の平坦面が長尺部321および短尺部325の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部324のループ状の平坦面には、ベルト320の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部324のループ状の平坦面には、ベルト320の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して
第3のベルト326は筒状マット311における要介護者の膝部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト314および第2のベルト320と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第3のベルト326も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部327とされ、この長尺部327の一端側の端部328で折り返された他方のベルト部分は、長尺部327の1/2長さの第1短尺部329とされ、さらに長尺部327の他端側の端部230で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部326の1/2長さの第1短尺部331とされている。また、ベルト326の一方の端部328は、長尺部327と短尺部229との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部330のループ状の平坦面が長尺部327および短尺部331の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部330のループ状の平坦面には、ベルト320の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部330のループ状の平坦面には、ベルト326の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
図19および図20は、第1ないし第3のベルト314、320,326を筒状マット311に取付けた構成を示し、図21は、図19のE−E断面を示している。これらの図に示すように、第1のベルト314においては、長尺部315の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット311の表布312側に接合部332,333として縫着されている。また、この第1のベルト314の一方の短尺部317においても、長尺部315の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部334,335として縫着されている。また、第1のベルト314の他方の短尺部319においても、長尺部315の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部336,337として縫着されている。
また、第2のベルト320においても、第1のベルト214と同様に長尺部321の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット311の表布312側に接合部338,339として縫着されている。また、この第2のベルト320の一方の短尺部323においても、長尺部321の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部340,341として縫着されている。また、第2のベルト320の他方の短尺部325においても、長尺部321の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部342,343として縫着されている。
さらに、第3のベルト326においても、第1、第2のベルト314、320と平行に、同様に長尺部327の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット311の表布312側に接合部344,345として縫着されている。また、この第3のベルト326の一方の短尺部329においても、長尺部327の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部346,347として縫着されている。また、第3のベルト326の他方の短尺部331においても、長尺327の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部348,349として縫着されている。
また、筒状マット311の表布353の外周側に沿って、ベルトと略平行に、一点の連結部を有するベルト回転用の紐状の補助ベルトが設けられている。
具体的には、図19および図20および図21に示すように、第1のベルト314の開口部353側に第1の補助ベルト380が設けられている。この第1の補助ベルト380はベルト314と略同様の幅を有する帯状のものであり、中央部を一の連結点383によって筒状マット311に縫着接合され、両端はマット311の表面側に第1のベルト314と平行に、かつ略同一長さで突出している。
また、第2のベルト324の第3ベルト324側には、第2の補助ベルト385が設けられている。この第2の補助ベルト385は第2のベルト324と略同様の幅を有する帯状のものであり、中央部を一の連結点387によって筒状マット311に縫着接合され、両端はマット311の表面側に第2のベルト324と平行に、かつ略同一長さで突出している。
さらに、第3のベルト324の開口部354側には、第3の補助ベルト388が設けられている。この第3の補助ベルト388は第3のベルト326と略同様の幅を有する帯状のものであり、中央部を一の連結点391によって筒状マット311に縫着接合され、両端はマット311の表面側に第3のベルト330と平行に、かつ略同一長さで突出している。
なお、図19および図5は、筒状マット311を図16および図4の状態から上下逆として示している。これらの図19および図5により明確に示されるように、第1のベルト314の両端部側には、最も端部側に接近している接合部332,333,334から筒状マット311の側縁位置までの間に、このベルト314を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット311が回転し得る十分な余裕が設定されている。第2のベルト320についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部338,339,340,342から筒状マット311の側縁位置までの間に、このベルト320を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット311が第1のベルト314と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。さらに、第3のベルト326についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部344,345,346,348から筒状マット311の側縁位置までの間に、このベルト326を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット311が第1,第2のベルト314,320と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。
さらに、各補助ベルト370,372,374,376は、筒状マット311の外周面側に複数箇所に亘って突出しているので、これらの補助ベルト270,272,374,376に手を掛けて、筒状マット311の回転を補助することができる。したがって、本実施形態においては、補助ベルト370,372,374,376を利用して、さらに筒状マットを容易に回転させることができる。
そして、図6に示したように、以上の構成を有する本実施形態による介護用移動マット210の筒状マット311に要介護者50を載せて移動することができる。なお、この図6の例では補助者の図示を省略しているが、補助者は例えば3名により、第1のベルト314の両先端(把持部)316,318と、第2のベルト320の両先端(把持部)322,324と、第3のベルト326の両先端(把持部)328,330とを、それぞれ把持して、要介護者50を載せて移動することができる。
図7は、例えば2名の補助者により、要介護者50を筒状マット311に載せて移動する状態を例示している。この場合には、1名の補助者が第1のベルト214の両先端(把持部316,318を把持し、他の1名の補助者が第3のベルト326の両先端(把持部)328,330を把持する。第1、第3のベルト314、326間に配置されている第2のベルト320は、上述したように第1、第3のベルト314、326よりも長い構成とし、かつ両先端(把持部)322,324をループ状に形成しているため、この図7に示すように、第2のベルト320の両先端(把持部)322,324のいずれかを他方に挿入する等、相互に上方にて係合止着することができる。
図8〜図13は、ベッド51のベッド床52上から要介護者50を他の場所に移動する場合の作用、および要介護者50を他の場所からベッド床52上に移動する場合の作用についての説明図である。
まず、要介護者50をベッド床52上から他の場所に移動する場合の作用について説明する。この場合には、ベッド床52上に例えば仰臥位で横たわっている要介護者50に対し、本実施形態の筒状マット311をベッド床52と要介護者50との間に挿入する必要がある。
この際、まず図4に示したように、ベルト314,320,326が筒状マット311の下方にある状態において、要介護者50の頭部側が搭載される筒状マット311の上部側(開口部53側)から、脚部側が搭載される筒状マット311の下部側(開口部354側)に向けて、この筒状マット311を下向きに巻回しておく。この場合、本実施形態の筒状マット311は表布312と裏布313との間に綿等のクッション材を挟持させてキルティング状に縫着した構成であることから、コンパクトな形に巻くことができる。そこで、この、コンパクトな巻回状態の筒状マット311を、初めに要介護者50の膝下に挿入し、その後、筒状マット311の上部側をベッド床52に沿って要介護者50の腰部へ、次に頚部へと、巻回状態を次第に解除しながら展開してゆく。また、筒状マット311の下部側は脚の方へと展開してゆく。以上の作用により、筒状マット311をベッド床52と要介護者50との間に挿入することができる。
図8および図9は、このような作用によって要介護者50の下に筒状マット311を配置した状態を示している。本実施形態では、筒状マット311をコンパクトな形に巻くことができるので、要介護者50の仰臥位を側臥位に転換する等の必要がない。したがって、要介護者50に大幅な体位変更を必要とすることなく、要介護者50を筒状マット311上に載せることができる。この後は、図6または図7に示したように、補助者が第1のベルト314、第2のベルト320および第3のベルト326等を把持して持上げることにより、要介護者50を移動させることができる。したがって、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができ、しかもストレッチャ等を使用する必要なく看護人等の補助者によって要介護者50をベッド等の外部に容易に、かつ安全に移動させることができる
一方、逆に外部からベッド51のベッド床52上に要介護者50を移動させる場合には、図8および図9に示したように、要介護者50が載ったまま、一旦筒状マット311をベッド51上に置く。この場合、各ベルト314,320,326が筒状マット311の下方にある状態とすることが望ましい。そして、補助者は筒状マット311の一側方(同一方向)に配置している片側のベルト314、320および326を把持して、筒状マット311の外側に引張る。これにより、筒状マット311が下側部分を引寄せる方向に向って回転するので、図10および図11に示すように、筒状マット311が各ベルト314、320、326の引寄せ端部側に移動する。この場合、本実施形態では筒状マット311の裏布313が高滑性の滑り易い材料、例えばナイロンにより構成されているので、筒状マット311が扁平に変形した状態でも裏布313同士の重合面の摩擦抵抗小さく、容易に回転させることができる。そして、本実施形態では、筒状マット311の回転引き抜き方向と反対側の縁部が要介護者50の身体の略中央部位まで達するので、その後は筒状マット311を容易に引き抜いて、図12および図13に示すように、外部に取外すことができる。
しかも、筒状マット311の表布312の外周側に沿って、ベルト314,324,326と略平行に、一点の連結部を有するベルト回転用の紐状の補助ベルト380,385,388を設けたことにより、これらの補助ベルト380,385,388を介して筒状マット311の回転をさらに確実に行えるとともに、一層容易に回転させることができるようになる。
[第5実施形態(図1〜図15、図22〜図24)
本実施形態では、ベルトと直交する方向に沿い、筒状マットの表布に複数点の連結部を有するマット回転補助用の補助ベルトが設けられている介護用移動マットについて説明する。なお、図1〜図13で使用した符号に関しては、第1実施形態の説明における数字に「400」を加えた形で説明する。
図19(図1参照)に示すように、筒状マット411は、その外周面側を構成する矩形状の表布412を有する。この表布412の縦寸法y1は、人間の大人の背丈以上とされ、横幅x1は、二重に折り畳んだ状態で大人の体幅を下方から両側方に十分包みこむことができる幅に設定されている。この表布412は、大人の体重を十分に支持することができるように、引張り荷重、摩擦等に対する高強度を有する十分に丈夫な材料、例えばポリエステルにより構成されている。また、筒状マット411は、その内周面側に設けられる矩形状の裏布413を有している。この裏布413は表布412と周縁を一致させて重合し得る同一形状、同一面積とされており、この裏布413は、滑り易い高滑性材料、例えばナイロンにより構成されている。 表布412と裏布413とは、これらの間に図示省略の綿等のクッション材を挟持させて例えばキルティング状に縫着されて1枚のシートに構成された後、幅方向両端が縫合され、軸方向両端が開口する筒状に形成される。これにより、柔軟かつ弾性のある緩衝機能付きの筒状マットとしての内外壁が構成される。このように、裏布413が表布412との縫合によって筒状に構成され、使用時に筒状マット411が扁平形状に変形し、その上に荷重がかかった状態でスライドする場合には、裏布413同士が重合し、摺動する。本実施形態では、裏布413を滑りのよいナイロンで構成することにより摺動抵抗を低減し、相互に滑り易い構成となっている。
図14(図2参照)は、図1に示した表布412と裏布413とが縫着されて一体化された介護用移動マット410の主体部分としての筒状マット411の構成、およびその筒状マット411の外周面側に接合されるマット回転および吊下げ用ベルトの構成を示している。なお、本実施形態では、3本のベルト414,420,426が筒状マット411の軸方向に沿って同軸上で間隔をあけて配設されている。
第1のベルト414は筒状マット411における要介護者の頚部を支持する高さ部位に配置されるものであり、高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第1のベルト414は、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部415とされ、この長尺部415の一端側の端部416で折り返された他方のベルト部分は、長尺部415の1/2長さの第1短尺部417とされ、さらに長尺部415の他端側の端部418で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部415の1/2長さの第1短尺部419とされている。また、ベルト414の一方の端部416は、長尺部415と短尺部417との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部416のループ状の平坦面が長尺部415および短尺部417の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部416のループ状の平坦面には、ベルト414の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。同様に、ベルト414の他方の端部418も長尺部415と短尺部418との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部18のループ状の平坦面が長尺部415および短尺部418の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部418のループ状の平坦面には、ベルト414の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
第2のベルト420は筒状マット411における要介護者の腰部上方を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト414と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第2のベルト420も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部431とされ、この長尺部231の一端側の端部422で折り返された他方のベルト部分は、長尺部431の1/2長さの第1短尺部423とされ、さらに長尺部421の他端側の端部424で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部421の1/2長さの第2短尺部425とされている。また、ベルト420の一方の端部422は、長尺部421と短尺部423との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部424のループ状の平坦面が長尺部421および短尺部425の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部424のループ状の平坦面には、ベルト420の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部424のループ状の平坦面には、ベルト420の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して
第3のベルト426は筒状マット211における要介護者の膝部を支持する高さ部位に配置されるものであり、第1のベルト214および第2のベルト420と同様に高引張り強度を有する材料、例えば綿を素材としており、要介護者の重量を十分に支持できる強度をもつ幅および厚さの平坦な角帯状に構成されている。この第3のベルト426も、長さ方向の両先端側をそれぞれ略1/4長さ部位で折り返すことにより、平坦面が同一となる形状の平行な2本構成とされている。これにより、一方のベルト部分は1本の長尺部427とされ、この長尺部427の一端側の端部428で折り返された他方のベルト部分は、長尺部427の1/2長さの第1短尺部429とされ、さらに長尺部427の他端側の端部230で折り返された反対側のベルト部分も、長尺部426の1/2長さの第1短尺部431とされている。また、ベルト426の一方の端部428は、長尺部427と短尺部429との平坦面を一致させる状態でループ状に折曲げられている。この折曲げにより、端部430のループ状の平坦面が長尺部427および短尺部431の平坦面に対して略直角に捩れた平坦面となっている。この捩れた端部430のループ状の平坦面には、ベルト420の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。この捩れた端部430のループ状の平坦面には、ベルト426の長さ方向に沿う引張り力を付与する場合に、補助者の手を挿入して把持する面が引張り方向に直交する状態であるため把持作用が具合よく行われる。
図19および図20は、第1ないし第3のベルト414、420,426を筒状マット411に取付けた構成を示し、図21は、図19のE−E断面を示している。これらの図に示すように、第1のベル414においては、長尺部415の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット411の表布412側に接合部432,433として縫着されている。また、この第1のベルト414の一方の短尺部417においても、長尺部415の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部434,435として縫着されている。また、第1のベルト414の他方の短尺部419においても、長尺部415の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部436,437として縫着されている。
また、第2のベルト420においても、第1のベルト414と同様に長尺部421の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット411の表布412側に接合部438,439として縫着されている。また、この第2のベルト420の一方の短尺部423においても、長尺部421の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部440,441として縫着されている。また、第2のベルト420の他方の短尺部425においても、長尺部421の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部442,443として縫着されている。
さらに、第3のベルト426においても、第1、第2のベルト414、420と平行に、同様に長尺部427の長さ方向略1/3毎に位置する2ヶ所の部分が、筒状マット411の表布412側に接合部444,445として縫着されている。また、この第3のベルト426の一方の短尺部429においても、長尺部427の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とが接合部446,447として縫着されている。また、第3のベルト426の他方の短尺部431においても、長尺427の長さ方向略1/3に位置する1ヶ所の部分と先端部とを接合部448,449として縫着されている。
また、筒状マット411の表布453の外周側に沿って、ベルトと直交する方向に、複数点の連結部を有するベルト回転用の紐状の補助ベルトが設けられている。
具体的には、図22、図23および図24に示すように、第1のベルト414の開口部453側、第1のベルト414を超える位置、第1のベルト414と第2のベルト424との間、第2のベルト424を超える位置、第2のベルト424と第3のベルト426との間、および第3のベルト426を超える位置、および第3のベルト426の開口部454側に、1本のリボン状のマット回転補助用の補助ベルト492が設けられている。
なお、図23および図5は、筒状マット411を図16および図4の状態から上下逆として示し、これらの図19および図5により明確に示されるように、第1のベルト414の両端部側には、最も端部側に接近している接合部432,433,434から筒状マット411の側縁位置までの間に、このベルト414を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット411が回転し得る十分な余裕が設定されている。第2のベルト420についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部438,439,440,442から筒状マット411の側縁位置までの間に、このベルト420を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット411が第1のベルト414と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。さらに、第3のベルト426についても、その両端部側に、最も端部側に接近している接合部444,445,446,448から筒状マット411の側縁位置までの間に、このベルト426を端部側に引張った場合に、その引張り方向に向って筒状マット411が第1,第2のベルト414,420と略同程度の回転がなし得る十分な余裕が設定されている。
さらに、各補助ベルト470,472,474,476は、筒状マット411の外周面側に複数箇所に亘って突出しているので、これらの補助ベルト470,472,474,476に手を掛けて、筒状マット411の回転を補助することができる。したがって、本実施形態においては、補助ベルト470,472,474,476を利用して、さらに筒状マットを容易に回転させることができる。
そして、図6に示したように、以上の構成を有する本実施形態による介護用移動マット210の筒状マット411に要介護者50を載せて移動することができる。なお、この図6の例では補助者の図示を省略しているが、補助者は例えば3名により、第1のベルト414の両先端(把持部)416,418と、第2のベルト420の両先端(把持部)422,424と、第3のベルト426の両先端(把持部)428,430とを、それぞれ把持して、要介護者50を載せて移動することができる。
図7は、例えば2名の補助者により、要介護者50を筒状マット411に載せて移動する状態を例示している。この場合には、1名の補助者が第1のベルト214の両先端(把持部416,418を把持し、他の1名の補助者50が第3のベルト426の両先端(把持部)428,430を把持する。第1、第3のベルト414、426間に配置されている第2のベルト420は、上述したように第1、第3のベルト414、426よりも長い構成とし、かつ両先端(把持部)422,424をループ状に形成しているため、この図7に示すように、第2のベルト420の両先端(把持部)422,424のいずれかを他方に挿入する等、相互に上方にて係合止着することができる。
図8〜図13は、ベッド51のベッド床52上から要介護者50を他の場所に移動する場合の作用、および要介護者50を他の場所からベッド床52上に移動する場合の作用についての説明図である。
まず、要介護者50をベッド床52上から他の場所に移動する場合の作用について説明する。この場合には、ベッド床52上に例えば仰臥位で横たわっている要介護者50に対し、本実施形態の筒状マット411をベッド床52と要介護者50との間に挿入する必要がある。
この際、まず図4に示したように、ベルト414,420,426が筒状マット411の下方にある状態において、要介護者50の頭部側が搭載される筒状マット411の上部側(開口部453側)から、脚部側が搭載される筒状マット411の下部側(開口部454側)に向けて、この筒状マット411を下向きに巻回しておく。この場合、本実施形態の筒状マット411は表布412と裏布413との間に綿等のクッション材を挟持させてキルティング状に縫着した構成であることから、コンパクトな形に巻くことができる。そこで、この、コンパクトな巻回状態の筒状マット411を、初めに要介護者50の膝下に挿入し、その後、筒状マット411の上部側をベッド床52に沿って要介護者50の腰部へ、次に頚部へと、巻回状態を次第に解除しながら展開してゆく。また、筒状マット411の下部側は脚の方へと展開してゆく。以上の作用により、筒状マット411をベッド床52と要介護者50との間に挿入することができる。
図8および図9は、このような作用によって要介護者50の下に筒状マット411を配置した状態を示している。本実施形態では、筒状マット411をコンパクトな形に巻くことができるので、要介護者50の仰臥位を側臥位に転換する等の必要がない。したがって、要介護者50に大幅な体位変更を必要とすることなく、要介護者50を筒状マット411上に載せることができる。この後は、図6または図7に示したように、補助者が第1のベルト414、第2のベルト420および第3のベルト426等を把持して持上げることにより、要介護者50を移動させることができる。したがって、最重度の要介護者等であっても容易かつ安全に横移動させることができ、しかもストレッチャ等を使用する必要なく看護人等の補助者によって要介護者50をベッド等の外部に容易に、かつ安全に移動させることができる
一方、逆に外部からベッド51のベッド床52上に要介護者50を移動させる場合には、図8および図9に示したように、要介護者50が載ったまま、一旦筒状マット411をベッド51上に置く。この場合、各ベルト414,420,426が筒状マット411の下方にある状態とすることが望ましい。そして、補助者は筒状マット411の一側方(同一方向)に配置している片側のベルト414、420および426を把持して、筒状マット411の外側に引張る。これにより、筒状マット411が下側部分を引寄せる方向に向って回転するので、図10および図11に示すように、筒状マット411が各ベルト414、420、426の引寄せ端部側に移動する。この場合、本実施形態では筒状マット411の裏布413が高滑性の滑り易い材料、例えばナイロンにより構成されているので、筒状マット411が扁平に変形した状態でも裏布413同士の重合面の摩擦抵抗小さく、容易に回転させることができる。そして、本実施形態では、筒状マット411の回転引き抜き方向と反対側の縁部が要介護者50の身体の略中央部位まで達するので、その後は筒状マット411を容易に引き抜いて、図12および図13に示すように、外部に取外すことができる。
しかも、筒状マット411の表布353の外周側に、ベルトと直交する方向に、ベルト回転用の紐状の補助ベルト492を設けたことにより、この補助ベルト492を介して筒状マット411の回転をさらに確実に行えるとともに、一層容易に回転させることができるようになる。