以下、本発明を具体化した一実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
まず、図1から図5を参照し、本実施の形態に係るテープ印刷装置1およびテープカセット30の構造について説明する。本実施の形態の説明では、図1において、図面の左下側をテープ印刷装置1の正面(前面)側とし、右下側を右側面側とする。また、図2において、図面の右下側をテープカセット30およびテープ印刷装置1の正面(前面)側とし、右上側を右側面側とする。
なお、本実施の形態では、透明フィルム状のフィルムテープ59に印刷を行った後、印刷面側に両面粘着テープ58を貼り合わせることで、印刷面を保護することができるラミネートタイプのテープカセットを例に説明する。また、テープ印刷装置1は、上記ラミネートタイプのテープカセットだけでなく、感熱紙テープが収納されたテープカセットや、印刷テープとインクリボンが収納されたテープカセットなど、上記とはテープ種類が異なるテープカセットであっても共通して使用可能な汎用機として構成されたものである。なお、本実施の形態では、フィルムテープ59、両面粘着テープ58、両面粘着テープ58を貼り合わせたフィルムテープ59等を総括し、単に「テープ」と呼ぶ場合もある。
テープ印刷装置1の外観について説明する。図1に示す、テープ印刷装置1は、平面視、略長方形状を有する本体カバー2で、内部の構造体を覆い保護する。本体カバー2の前面側には、文字、記号および数字等のキャラクタ入力用の文字キーや、パワーキー3A、種々の機能キー等を含むキーボード3が設けられている。キーボード3の後側には、入力したキャラクタを表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(後述)の交換時に、テープ印刷装置1の背面側を軸に開閉されるカセットカバー6が設けられている。カセットカバー6は、後述するカセット装着部8に対応して設けられている。また、図示しないが、本体カバー2とカセットカバー6の左側面には、印刷したテープを外部に排出するための排出スリットが設けられており、後述するカセット装着部8内に通じている。
次に、カセット装着部8について説明する。カセット装着部8(図2参照)は、本体カバー2の一部を凹部状に形成した部位であり、ディスプレイ5よりも後側に設けられ、カセットカバー6を閉じたとき、カセットカバー6に覆われて保護される。図2に示すように、カセット装着部8は、カセットカバー6を開けて上方からテープカセット30を装着できるように、テープカセット30の外郭を構成する箱形のカセットケース31の外形形状にあわせた凹部形状を有する。
カセット装着部8には、テープカセット30からテープを引き出して搬送する搬送機構、テープの表面に文字等を印刷する印刷機構、テープを切断する切断機構等が設けられている。カセット装着部8内で前側中央には、発熱体(図示せず)を備えるサーマルヘッド10を搭載したヘッドホルダ74が設けられている。ヘッドホルダ74の右斜め後方には、後述するリボン巻取スプール44(図4参照)の回転駆動を行うリボン巻取軸95が設けられている。ヘッドホルダ74の左側やや後方には、後述するテープカセット30のテープ送りローラ46の回転駆動を行うテープ駆動軸100が設けられている。また、カセット装着部8の外部には、図示しないギヤ群を介してリボン巻取軸95とテープ駆動軸100に駆動力を伝達して回転駆動させるテープ送りモータ23が設けられている。カセット装着部8の外部で、カセット装着部8の右側前寄りの位置には、カッターモータ24(図3参照)に駆動され、後述するテープカセット30のテープ排出口49から排出されるテープを切断するカット機構17(図4参照)が設けられている。
ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が設けられ、軸支部12Aを軸に、先端側を揺動可能に支持されている。プラテンホルダ12の後側面、つまり、サーマルヘッド10と対向する側の面12Bには、複数の検出スイッチ210(図4参照)が設けられている。各検出スイッチ210は、カセット装着部8内に存在するテープカセット30の前面30A(より詳細には、後述するアーム部34の前面)と対向するように後方へ突出している。各検出スイッチ210は、押圧されていないときは伸出した状態(オフ状態)とされ、押圧されているときに退入した状態(オン状態)となる。テープカセット30の前面30Aには、テープ種類に応じた凹部が設けられており、テープカセット30の装着時には、各検出スイッチ210が選択的に押圧される。このときの検出スイッチ210のオン・オフの組合せに基づいて、テープカセット30の装着の有無およびテープ種類が検出される。全ての検出スイッチ210がオフ状態であれば、テープカセット30が非装着であるとして検出される。
プラテンホルダ12の先端側で、サーマルヘッド10に対応する位置には、プラテンローラ15が回転可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側で、テープ駆動軸100にはめ込まれるテープカセット30のテープ送りローラ46に対応する位置にも、同様に、可動搬送ローラ14が回転可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側は、図示しない機構によって、カセットカバー6の開閉に連動して揺動するように構成されている。具体的に、カセットカバー6が閉じられると、プラテンホルダ12の先端側がカセット装着部8内の印刷位置へ移動し(図5参照)、プラテンローラ15と可動搬送ローラ14とがそれぞれサーマルヘッド10とテープ送りローラ46とに押し付けられて印刷可能な状態となる。カセットカバー6が開けられると、先端側がカセット装着部8外の待機位置へ移動し(図4参照)、プラテンローラ15と可動搬送ローラ14とがそれぞれサーマルヘッド10とテープ送りローラ46とから離れてカセット装着部8からテープカセット30を取り外し可能な状態となる。
次に、図3を参照し、テープ印刷装置1の電気的な構成について説明する。図3に示すように、テープ印刷装置1は、制御基板上に形成される制御回路部400を備えている。制御回路部400は、各機器を制御するCPU401、CPU401にデータバス410を介して接続されたROM402、CGROM403、RAM404、および入出力インターフェース411等を含む。
ROM402には、後述するテープ搬送プログラム(図6参照)を含む、テープ印刷装置1の制御のための各種プログラムが記憶されており、CPU401は、これら各種プログラムに基づいて各種演算を行う。なお、ROM402には、テープ搬送プログラムから参照される各種データやテーブルも記憶されている。CGROM403には、アルファベット文字や記号等のキャラクタの印字に用いられる印字用ドットパターンデータが記憶されている。RAM404は各種プログラムの実行において使用され、各種データやフラグ等が記憶される。
入出力インターフェース411には、検出スイッチ210、パワーキー3Aを含むキーボード3、ディスプレイ(LCD)5に表示データを出力するためのビデオRAM(図示外)を有する液晶駆動回路(LCDC)405、サーマルヘッド10を駆動するための駆動回路406、テープ送りモータ23を駆動するための駆動回路407、カッターモータ24を駆動するための駆動回路408等が接続されている。
次に、テープカセット30について説明する。図2に示す、テープカセット30は、上面30A、底面30B、および側面30C(ここでは、前面、背面、左側面、右側面からなる四側面)を有する箱型のカセットケース31内に、両面粘着テープ58、フィルムテープ59、およびインクリボン52(図4参照)が収納されたものである。カセットケース31は、上ケース31Aと下ケース31Bとを、上下方向に重ね合わせて形成される。
カセットケース31には、後述する第1テープスプール40、第2テープスプール41(図4参照)、リボン巻取スプール44、テープ送りローラ46をカセットケース31内で回転可能に支持する支持孔65、66、67、64が設けられている。また、カセットケース31の前面側には、ヘッドホルダ74が挿入されるヘッド挿入部39が、上下方向に貫通して設けられている。ヘッド挿入部39は、カセットケース31の前面の中央よりも左寄りの位置で、前面側に開放されている。以下では、カセットケース31の右前部から左方へ延びる部位を「アーム部」34と呼ぶこととする。また、アーム部34の先端よりも左側におけるヘッド挿入部39の上記開放部分を「開口部」77と呼ぶこととする。アーム部34は、先端に、カセットケース31の上下方向に延びるスリット状の開口34Aを有し、カセットケース31内のフィルムテープ59とインクリボン52がこの開口34Aから引き出されている。
カセットケース31の前面側において、ヘッド挿入部39の開口部77の左端には、フィルムテープ59を上下方向(テープ幅方向)に規制する基部と、フィルムテープ59の前方への外れを防止する突起部とを備えた規制部材36が、上下一対に設けられている。また、カセットケース31の前面側の左端には、テープ送りローラ46の位置で両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59をテープカセット30から排出するテープ排出口49が設けられている。両面粘着テープ58が貼り合わされテープ排出口49から排出されたフィルムテープ59は、カセット装着部8の外部に設けられたカット機構17の二枚の刃の間を通過し、図示しない排出スリットに案内され、テープ印刷装置1の外部に排出される。
次に、テープカセット30内部構造について、図4を参照して説明する。なお、図4では、理解を容易にするために、カセット装着部8にテープカセット30が装着された状態を、上ケース31Aを取り除いて示している。両面粘着テープ58が巻回された第1テープスプール40は、カセットケース31内の左後方に配置され、支持孔65を軸に回転可能に支持されている。両面粘着テープ58は、剥離紙を一面に備え、剥離紙を外側に向けて第1テープスプール40に巻回されている。フィルムテープ59が巻回された第2テープスプール41は、カセットケース31内の右後方に配置され、支持孔66を軸に回転可能に支持されている。インクリボン52が巻回されたリボンスプール42は、カセットケース31内の右前方に配置され、回転可能に支持されている。
リボンスプール42の右方と右前方には、円柱状の案内部材71、72がそれぞれ設けられており、第2テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59をアーム部34内へ案内する。また、リボンスプール42に巻回されたインクリボン52も、アーム部34内に案内されている。フィルムテープ59とインクリボン52は、アーム部34の開口34Aから、一旦、カセットケース31外に引き出されている。フィルムテープ59は、ヘッド挿入部39の開口部77をまたいで、規制部材36に案内されている。規制部材36は、上記したように、ヘッド挿入部39の開口部77の左端に設けられており、基部においてフィルムテープ59を上下方向(テープ幅方向)に規制して、テープ送りローラ46へ向けて案内する。フィルムテープ59とともに開口34Aから引き出されるインクリボン52も開口部77をまたぎ、規制部材36側へ案内されている。フィルムテープ59とインクリボン52は、開口部77において、プラテンホルダ12が印刷位置にあるときに(図5参照)、プラテンローラ15とサーマルヘッド10とに挟まれる。この状態でサーマルヘッド10による印刷が行われると、インクリボン52の保持するインクがフィルムテープ59に転写される。
規制部材36の後方には案内壁47が設けられている。案内壁47は、規制部材36側へ案内されるフィルムテープ59からインクリボン52を離し、カセットケース31内へ案内する。第1テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボン巻取軸95により回転駆動されるリボン巻取スプール44が、支持孔67(図2参照)に回転可能に支持されている。リボン巻取スプール44の回転駆動によってリボンスプール42から引き出されるインクリボン52は、サーマルヘッド10において文字等の印刷に使用され、案内壁47に案内されて、リボン巻取スプール44に巻き取られる。
第1テープスプール40の前方には筒状のテープ送りローラ46が配置され、上記したように、カセットケース31の支持孔64(図2参照)に回動可能に支持されている。テープ送りローラ46は、テープカセット30がテープ印刷装置1に装着され、プラテンホルダ12の先端側が印刷位置(図5参照)に移動した状態において、プラテンホルダ12の先端側に設けられた可動搬送ローラ14と対向する。テープ送りローラ46は、外周面45の一部(具体的には外周面45の前側から右後ろ側までの部分)を両面粘着テープ58の搬送路の一部とし、この部分に両面粘着テープ58を沿わせ、後述する制限部材60に向けて案内する。ここで、プラテンホルダ12が印刷位置にあるときに、テープ送りローラ46と可動搬送ローラ14とは密接状態となるが、このときのテープ送りローラ46と可動搬送ローラ14との間の部位を、以下、「ニップ部」33(図5参照)と呼ぶこととする。テープ送りローラ46は、ニップ部33において可動搬送ローラ14との間に両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを挟み、貼り合わせる。さらにテープ送りローラ46は、可動搬送ローラ14と協働して、ニップ部33に挟んだ、両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59を、制限部材60に向けて搬送する。テープ送りローラ46と可動搬送ローラ14の協働によって、両面粘着テープ58が第1テープスプール40から引き出され、フィルムテープ59が第2テープスプール41から引き出される。
テープ送りローラ46の右側から右斜め前方にかけての部位には、両面粘着テープ58がテープ送りローラ46の径方向外側へ移動することを規制する、規制壁43が設けられている。規制壁43は、平面視、テープ送りローラ46の外周面45に沿った円弧状に形成され、外周面45の両面粘着テープ58が案内される部位に対向して、外周面45から離れて配置されている。また、規制壁43の外周面45に対向する側の面は、周方向に沿って階段状(平面視、のこぎり歯状)に形成されている。規制壁43の階段状に形成されている側の面が、テープ送りローラ46に案内される両面粘着テープ58の剥離紙で覆われていない側の面に対向する。このような階段状の規制壁43に両面粘着テープ58が接触しても、接触面積が小さいため、両面粘着テープ58は剥がれやすい。
テープ送りローラ46の左前方には、テープ送りローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59の厚み方向(前後方向)への移動を制限する制限部材60が設けられている。図2に示すように、制限部材60は、カセットケース31の上下方向に延びる柱状の第1制限部材61と第2制限部材62とでフィルムテープ59を厚み方向に挟むように、第1制限部材61を後側に、第2制限部材62を前側に配置したものである。図5に示すように、第1制限部材61の第2制限部材62の側を向く第1面611は、フィルムテープ59に貼り合わされた両面粘着テープ58側の面に対向し、カセットケース31の後方へ向けたフィルムテープ59の移動を制限する。第1面611は、フィルムテープ59の搬送方向下流側の端部(すなわちテープ排出口49)において、上流側から下流側に向けてフィルムテープ59から離れる方向に傾斜する傾斜面を有する。第2制限部材62の第1制限部材61の側を向く第2面621は、両面粘着テープ58と貼り合わされたフィルムテープ59の面に対向し、カセットケース31の前方へ向けたフィルムテープ59の移動を制限する。第2面621は、第1面611に略平行に配置されており、フィルムテープ59の搬送方向上流側の端部において、下流側から上流側に向けてフィルムテープ59から離れる方向に傾斜する傾斜面622を有する。第1制限部材61の第1面611と第2制限部材62の第2面621との間は両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59が搬送されるテープ通路63として形成されている。
そして、フィルムテープ59の搬送方向において、第1面611のテープ搬送方向上流側の端部は、第2面621のテープ搬送方向上流側の端部よりも、上流側に位置する。換言すると、フィルムテープ59の搬送方向において、テープ排出口49から上流側へ延びる第2制限部材62の長さは、テープ排出口49から上流側へ延びる第1制限部材61の長さよりも短い。
このような構造を有するテープカセット30は、両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59の先端が、テープ排出口49から露出した状態となる。このため、テープカセット30の着脱時や保管時、テープ印刷装置1の電源をオフにした非使用時などに、フィルムテープ59の先端(搬送方向下流側端部)が、例えば利用者が触れるなどして外力を受けることがある。そこで、本実施の形態では、図5に示すように、フィルムテープ59の搬送方向に沿ったテープ通路63の長さをL1、テープ送りローラ46の外周面45と規制壁43との離間距離をL2としたときに、長さL1を、離間距離L2よりも長く形成している(L1>L2)。
フィルムテープ59の先端が外力を受け、搬送方向の上流側へ押し戻された場合、フィルムテープ59に貼り合わされた両面粘着テープ58も、フィルムテープ59とともに、搬送方向の上流側へ押し戻される。両面粘着テープ58は、ニップ部33よりも搬送方向の上流側においては、フィルムテープ59とは分離されて異なる搬送路を搬送されている。ゆえに、両面粘着テープ58は、搬送方向上流側に押し戻されると、ニップ部33より上流側では、フィルムテープ59とは独立に、テープ送りローラ46の外周面45に接触していた部分が外周面45から離れ、テープ送りローラ46の径方向外側に向かって撓む。撓んだ両面粘着テープ58は、外周面45の径方向外側で外周面45から離れて配置された規制壁43にぶつかる。規制壁43にぶつかった両面粘着テープ58は、規制壁43に向かう方向への移動が規制されるので、搬送方向上流側に押し戻されることがない。
ここで、両面粘着テープ58が外周面45に接触している状態から規制壁43にぶつかるまでに、搬送方向上流側へ押し戻される両面粘着テープ58の長さは、外周面45と規制壁43との離間距離L2とほぼ同一である。よって、搬送方向上流側に押し戻される両面粘着テープ58の長さの最大値は、離間距離L2とほぼ等しい。言いかえれば、両面粘着テープ58を搬送方向上流側へ押し戻すことのできる長さは、離間距離L2以下である。両面粘着テープ58は、ニップ部33にてフィルムテープ59に貼り合わされるので、フィルムテープ59を搬送方向上流側に押し戻すことのできる長さは、両面粘着テープ58を搬送方向上流側へ押し戻すことのできる長さと同等であり、すなわち離間距離L2以下である。ここで、上記したように、テープ通路63の通路長さL1は、離間距離L2よりも長い。そのため、フィルムテープ59が搬送方向上流側に押し戻された場合であっても、フィルムテープ59の先端が、テープ通路63の搬送方向上流側の端部よりもさらに搬送方向上流側へ移動してしまうことはない。L1>L2としたことによって、フィルムテープ59が、テープ通路63から外れてしまうことを防止できる。
さらに、テープカセット30の制限部材60は、第1面611のテープ搬送方向上流側端部が、第2面621の上流側端部よりも、上流側に位置している。制限部材60がこのような構造を有することで、フィルムテープ59の先端がさらに大きな外力を受けてテープ通路63から外れてしまった場合でも、フィルムテープ59の先端が、テープ通路63よりもカセットケース31の内側(厚み方向において第1面611側)へ移動することを規制することができる。そして、フィルムテープ59の先端が、テープ通路63よりもカセットケース31の外側(厚み方向において第2面621側)へ外れてしまった場合には、プラテンホルダ12の先端側が印刷位置に移動する際に、可動搬送ローラ14が、フィルムテープ59の先端をテープ送りローラ46側へ押し戻す。さらに第2面621が傾斜面622を有しているので、可動搬送ローラ14とテープ送りローラ46とが協働してフィルムテープ59を搬送すれば、フィルムテープ59の先端を容易にテープ通路63内に案内でき、フィルムテープ59を正規の搬送路に復帰させることができる。
なお、フィルムテープ59の搬送方向において、カット機構17によるフィルムテープ59の切断位置と、サーマルヘッド10によるフィルムテープ59への印字位置との間の長さをL3とする。本実施の形態では、長さL3は、例えば25mmとなっている。なお、長さL3には、切断位置と印字位置との間の物理的な距離の他に、テープ送りモータ23のスルーアップ、スルーダウンに必要な距離など、印刷に際し必要とされる距離が含まれてもよい。
次に、テープ印刷装置1によるテープの印刷の概要について説明する。なお、以下では、両面粘着テープ58やフィルムテープ59を総称して「テープ」と呼ぶこととする。テープ印刷装置1では、テープへの印刷を行うにあたって、あらかじめ利用者が、印刷領域(テープの印刷がなされる部分;図7参照)に対する前余白(印刷領域に対する先側の余白)の長さN[mm]を任意に設定することができる。長さNの設定はキーボード3の操作によって行われ、RAM404に保存される。また、長さNが利用者によって設定されていないときは、ROM402からデフォルト値として、長さL3に相当する25mmが読み込まれ、長さNに設定される。なお、本実施の形態では、説明を簡易にするため、利用者が前余白としての長さNを25mm未満(長さL3未満)に設定した場合には、前余白の長さNを25mmに設定して印刷を行うものとする。
また、テープ印刷装置1では、一回の印刷において消費されるテープの消費量を節約するか否か、利用者が任意に設定することができる。デフォルトでは、節約を行うモード(節約モード)が設定される。利用者が、節約しないモード(通常モード)の設定を行えば、RAM404に、現在のモードが通常モードであることを示すフラグが記憶される。節約モードにおいては、前余白の長さNを、テープの節約量α[mm]分、短くして、テープへの印刷が行われる。節約量αは、テープ印刷装置の構造に応じて、図5に示す、制限部材60のテープ通路63の長さL1と、テープ送りローラ46の外周面45と規制壁43との離間距離L2と、テープ排出口49とニップ部33との間の長さL4と、のうちのいずれかの長さを基準に設定される。長さL1と、離間距離L2と、長さL4とは、テープ印刷装置の設計に応じて大小関係が入れ替わるものであり、L1、L2、L4のうちの最も短いものを節約量αの基準とし、基準の長さよりも短い長さ(基準の長さを超えない長さ)が、節約量αとして設定される。
節約量αとして基準の長さを超えない長さに設定するのは、テープ送りモータ23を逆転駆動させた場合に生じうる不具合を確実に防止するためである。具体的には、両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59の先端がテープ通路63やニップ部33から外れ、正規の搬送路に復帰できなくなったり、あるいは、両面粘着テープ58が規制壁43にぶつかって接着し、ジャムを生じてしまったりすることを未然に防止する。その上で、節約量αをできるだけ長く確保するには、節約量αを、基準の長さに近づけることが好ましい。本実施の形態のテープ印刷装置1は、離間距離L2がL1、L2、L4のうち最も短く設計されており、離間距離L2を基準の長さとし、節約量αとして、離間距離L2よりも短い長さ(例えば2.5mm)が設定され、ROM402に記憶されている。したがって、節約モードでは、利用者の設定した前余白の長さNがL3(25mm)未満であれば、テープの印刷領域よりも先側で消費される部分の長さは、一回の印刷あたり22.5mmとなり、通常モードにおいて消費される長さに対して2.5mm節約することができる。
なお、テープ印刷装置1では、電源投入時や、テープカセット30の着脱が行われた場合には、節約モードが設定されていても、テープ消費量の節約を行わない。電源投入後やテープカセット30の交換後などには、テープの先端が必ずしもカット機構17の切断位置にあるとは限らず、外力を受けて、テープ搬送方向の上流側へ押し込まれた状態となっている場合がある。このような状態が起こりうる場合に、テープ消費量の節約を行わないことで、両面粘着テープ58が貼り合わされたフィルムテープ59の先端がテープ通路63やニップ部33から外れたり、あるいは両面粘着テープ58が規制壁43に接触したりすることを、確実に、防止するのである。このようなテープ消費量の節約を行わない処理を実施するため、テープ印刷装置1では、キーボード3のパワーキー3Aが操作されて電源が投入され、テープ印刷装置1に供給される電源がオフの状態からオンの状態になると、RAM404に、電源投入を示すフラグが成立状態で記憶される。同様に、テープカセット30が装着され、あるいは脱着され、検出スイッチ210のオンの状態とオフの状態との間に変化が生ずると、RAM404に、カセット着脱を示すフラグが成立状態で記憶される。後述するテープ搬送プログラムでは、これらのフラグを参照し、テープ消費量の節約を行うか否か、判断している。
以下、テープ印刷装置1の印刷時の動作の具体例について、図6〜図9を参照して説明する。図6に示す、テープ搬送プログラムは、本実施の形態においては、テープ印刷装置1のメインプログラムからサブルーチンとしてコールされるプログラムであり、テープの搬送等に関する処理を司るものである。もちろん、プログラムがこのような形態をなすことは一例に過ぎず、例えば独立したプログラムとして、その他のプログラムと並列に処理されるものであってもよい。
CPU401は、テープへの印刷指示に対する処理を開始すると、テープ搬送プログラムを実行する。図6に示すように、まず、RAM404から設定値の読込みが行われ(S1)、前余白の長さN、節約量α、現在のモード、各種フラグの状態などが読み込まれる。電源投入を示すフラグの状態と、カセット着脱を示すフラグの状態とが確認され、いずれか一方のフラグが成立した状態にあれば(S3:YES)、電源投入後、初めてテープへの印刷が行われるものとして、あるいは、テープカセット30の着脱がなされた後、初めてテープへの印刷が行われるものとして、S5に進む。モード設定の如何にかかわらず、テープ消費量の節約を行わない場合のテープの搬送は、S5〜S29の処理によって行われる。
S5では、前余白の長さNとして設定されている長さがL3(25mm)以上か否かが確認され、L3未満の場合にはS7〜S15が実行され、L3以上の場合にはS21〜S29が実行される。まず、前余白の長さNとしてL3未満が設定されている場合(S5:NO)、長さNが上書きされてL3(25mm)に再設定される(S7)。なお、S7〜S15の処理の具体例を、図7に示す。図7では、カット機構17の切断位置をC、サーマルヘッド10の印刷位置をHで示し、さらに、左右方向をテープの搬送方向とし、左方向を搬送方向下流側として、CおよびHを基準にしたテープ搬送の各過程におけるテープの搬送状態を示している(図8、図9も同様である。)。S7では、パターン1の過程1に示すように、前余白の長さNとして、カット機構17とサーマルヘッド10との間の長さ(L3)に相当する25mmが設定される。
図6に戻り、テープ送りモータ23が正転駆動され(S9)、さらに、印刷領域への印刷が開始される(S11)。なお、印刷処理の詳細については公知であるため説明を省略する。印刷はテープを搬送しながら行われ、印刷データに応じて設定される印刷領域の長さ分、テープが搬送されると、印刷が停止される(S13)。このときのテープの搬送状態を、図7の過程2に示す。さらに、テープ送りモータ23の駆動が継続され、印刷領域に対する後側の余白として前余白の長さNと同じ長さの後余白を確保するため、テープが長さN分、搬送される(S15)。このときのテープの搬送状態を、図7の過程3に示す。そしてS61に進み、テープ送りモータ23が継続して駆動され、テープがさらにL3(25mm)搬送された後、テープ送りモータ23の駆動が停止されて(S61)、メインプログラムに戻る。この状態で、他のプログラムによってカット機構17が駆動され、テープが切断されると、図7の過程4に示すように、印刷領域に対する先側に長さNの前余白を有し、後側に長さNの後余白を有した見栄えのよいテープが作成される。
また、図6のS5において、前余白の長さNとしてL3(25mm)以上が設定されている場合には(S5:YES)、S21に進み、テープ送りモータ23が正転駆動される(S21)。なお、以下に説明するS21〜S29の処理の具体例は、図8に示す。テープ送りモータ23の駆動によってテープがN−L3搬送されると、印刷領域の先端が、サーマルヘッド10の位置に到達する(S23)。このときのテープの搬送状態を、図8の過程1に示す。上記同様、テープを搬送しながらの印刷が行われ(S25)、印刷データに応じて設定される印刷領域の長さ分、テープが搬送されると、印刷が停止される(S27)。このときのテープの搬送状態を、図8の過程2に示す。さらに、テープ送りモータ23の駆動が継続され、後余白の確保のため、長さN分、テープが搬送される(S29)。このときのテープの搬送状態を、図8の過程3に示す。そしてS61に進み、テープがさらにL3搬送された後、テープ送りモータ23の駆動が停止されて(S61)、メインプログラムに戻る。カット機構17によりテープが切断されると、図8の過程4に示すように、印刷領域に対する先側に、L3以上の長さNを有する前余白と、後側に同様のL3以上の長さNを有する後余白が形成された、見栄えのよいテープが作成される。
次に、図6に示すように、上記のS3において、電源投入を示すフラグの状態と、カセット着脱を示すフラグの状態とが確認され、ともに、フラグが非成立の状態にあれば(S3:NO)、今回のテープへの印刷が、電源投入後2回目以降になされる印刷処理であり、かつ、前回と今回の印刷処理の間にテープカセット30の着脱がなされることなく行われるものとして、S31に進む。モードの設定に応じて、テープ消費量の節約を行う場合のテープの搬送は、S31〜S59の処理によって行われる。
S31では、上記のS5と同様に、前余白の長さNとして設定されている長さがL3(25mm)以上か否かが確認され、L3未満の場合にはS33〜S49あるいはS59が実行され、L3以上の場合にはS51〜S59が実行される。なお、前余白の長さNがL3以上に設定されている場合(S31:YES)、前回の印刷後にカット機構17とサーマルヘッド10との間に残るテープの部分は、今回の印刷で前余白として無駄なく利用される。したがって、この場合に実行されるS51、S53、S55、S57、S59の処理は、モード設定の如何にかかわらず、先に説明したS21、S23、S25、S27、S29のそれぞれの処理と同一である。よって、前余白の長さNがL3以上に設定されている場合のS51〜S59の説明は、S21〜S29の説明を準用するものとして省略する。
S31において、前余白の長さNとしてL3(25mm)未満が設定されている場合(S31:NO)、S33〜S49(あるいはS59)が実行される。ここで、モード設定が通常モードに設定されている場合、S35およびS47の判断処理ではNOに進み、その結果、実行される、S33、(S35:NO)、S41、S43、S45、(S47:NO)、S59の各処理は、先に説明したS7、S9、S11、S13、S15のそれぞれの処理と同一である。よって、通常モードの場合に実行されるS33〜S59の説明は、S7〜S15の説明を準用するものとして省略し、以下では、節約モードの場合に実行される、S33〜S49の処理について説明する。なお、以下に説明するS33〜S49の処理の具体例は、図9に示す。
図6に示すように、前余白の長さNがL3未満に設定されており(S31:NO)、S33に進むと、上記S7と同様に、長さNが上書きされてL3(25mm)に再設定される(S33)。このときのテープの搬送状態を、図9の過程1に示す。次に、モード設定が節約モードになっているので(S35:YES)、テープ送りモータ23が逆転駆動され(S37)、テープが節約量α[mm]分、搬送方向上流側へ搬送されて、テープ送りモータ23の駆動が停止される(S39)。このときのテープの搬送状態を、図9の過程2に示す。テープの先端は、切断位置(C)から、搬送方向上流側へαmm戻った位置に配置され、この位置からテープ送りモータ23が正転駆動され(S41)、テープを搬送しながらの印刷が行われる(S43)。これにより、前余白の長さNは、実質的に、L3−α[mm]となって、節約量α[mm]分、テープの消費量が節約される。印刷データに応じて設定される印刷領域の長さ分、テープが搬送されると、印刷が停止される(S45)。このときのテープの搬送状態を、図9の過程3に示す。モード設定が節約モードになっているのでS49に進み(S47:YES)、後余白の確保のため、長さL3−α分、テープが搬送される(S49)。このときのテープの搬送状態を、図9の過程4に示す。そしてS61に進み、テープがさらにL3搬送された後、テープ送りモータ23の駆動が停止されて(S61)、メインプログラムに戻る。この状態で、他のプログラムによってカット機構17が駆動され、テープが切断されると、図9の過程5に示すように、印刷領域に対する先側に長さL3−αの前余白を有し、後側にも同様に長さL3−αの後余白を有した見栄えのよいテープが作成される。
以上説明したように、本実施の形態のテープ印刷装置1によれば、フィルムテープ59を、可動搬送ローラ14とテープ送りローラ46とのニップ部33に挟み、制限部材60のテープ排出口49へ向かうテープ通路63へ案内することができる。ゆえに、テープ排出口49とニップ部33との間の長さL4よりも短く設定される節約量α分であれば、テープ送りモータ23が逆転駆動してフィルムテープ59を搬送方向上流側へ搬送しても、フィルムテープ59の先端(搬送方向の下流側端部)がニップ部33から外れることがない。そして、印刷前にフィルムテープ59を上流側へ搬送することで、一回の印刷において、フィルムテープ59の印刷領域より先側において必ず消費されることとなる部分の長さを、上流側へ搬送する節約量α分、短くすることができる。
また、制限部材60のテープ通路63の長さL1を基準に、L1よりも短い節約量αを設定すれば、テープ送りモータ23の逆転駆動によりフィルムテープ59を上流側へ搬送しても、フィルムテープ59の先端(搬送方向の下流側端部)がテープ通路63から外れることを防止できる。あるいは、テープ送りローラ46の外周面45と規制壁43との離間距離L2を基準に、L2よりも短い節約量αを設定すれば、ラミネートタイプのテープカセット30が装着された場合、テープ送りモータ23の逆転駆動によりフィルムテープ59を上流側へ搬送しても、フィルムテープ59に貼り合わされた両面粘着テープ58が規制壁43にぶつかって接着し、ジャムを生じてしまうことを未然に防止する。基準とするL1、L2、L4は、テープ印刷装置の設計に応じて大小関係が入れ替わるものであり、節約量αとしては、L1、L2、L4のうちの最も短いものを基準とするのが好ましい。その上で、節約量αを基準の長さに近づければ、節約量αをできるだけ長く確保することができる。本実施の形態のテープ印刷装置1では、L4>L1>L2の関係にあり、L2を基準に、L2よりも短い節約量αを設定したので、テープ送りモータ23の逆転駆動によりフィルムテープ59を上流側へ搬送しても、フィルムテープ59の先端がテープ通路63やニップ部33から外れることも、両面粘着テープ58が規制壁43にぶつかって接着することもない。
また、前余白として設定する長さNを、カット機構17の切断位置とサーマルヘッド10の印刷位置との間の長さL3以上とした場合、フィルムテープ59の先端から印刷位置までの長さが前余白の長さとなるようにフィルムテープ59を送ってから印刷を開始する。このため、印刷前に、フィルムテープ59の切断位置と印刷位置との間に残る部分をそのまま前余白として使用することができ、無駄を生じない。一方、前余白の長さNをL3未満とした場合、フィルムテープ59の先端から印刷位置までの長さが前余白の長さとなるようにフィルムテープ59を逆戻しして印刷を開始する。このため、印刷前に、フィルムテープ59の切断位置と印刷位置との間に残る部分で、前余白として使用できる部分からはみ出る部分の長さを減らすことができる。換言すると、フィルムテープ59の切断位置と印刷位置との間に残る部分は、一回の印刷において必ず消費される部分であるが、そのままフィルムテープ59を送って前余白からはみ出る部分を単に切除してしまうのではなく、フィルムテープ59を逆戻しして印刷領域に組み込み有効に利用することで、テープ消費の無駄を削減することができるのである。
また、テープ印刷装置1において、前回の印刷が終了した時点で、フィルムテープ59の先端は、通常、カット機構17の切断位置にある。前回の印刷から今回の印刷までの間にテープ印刷装置1の電源がオフにされたり、テープカセット30が脱着されたりした場合、例えば利用者が不用意にフィルムテープ59の先端に触れると、フィルムテープ59が上流側へ移動してしまうことがある。ゆえに、こうした状況下においては、印刷前のフィルムテープ59の上流側への搬送を行わないことで、フィルムテープ59の先端がテープ通路63やニップ部33から外れることや、両面粘着テープ58が規制壁43にぶつかって接着することを、未然に防止することができる。
また、本実施の形態では、節約モードにあって前余白の長さがL3−αとなれば、後余白の長さもL3−αとし、通常モードにあって前余白の長さがL3となれば、後余白の長さもL3とすることができるので、作成するテープの印刷領域の前後に形成する余白の大きさを揃え、見栄えをよくすることができる。
なお、上記実施の形態において、フィルムテープ59が、本発明の「テープ」に相当し、フィルムテープ59が、第2テープスプール41からテープ排出口49まで搬送される経路が、本発明の「第1の搬送路」に相当し、両面粘着テープ58が、第1テープスプール40からテープ排出口49まで搬送される経路が、本発明の「第2の搬送路」に相当する。可動搬送ローラ14、テープ送りローラ46が、それぞれ、本発明の「第1ローラ」、「第2ローラ」に相当する。テープ送りローラ46の回転駆動を行うテープ駆動軸100と、ギヤ群を介してテープ駆動軸100に駆動力を伝達するテープ送りモータ23とが、本発明の「搬送手段」に相当する。サーマルヘッド10が、本発明の「印刷手段」に相当する。テープ通路63およびテープ排出口49が、本発明の「通路」および「排出口」に相当する。カット機構17が、本発明の「切断手段」に相当する。利用者により設定された前余白の長さNをS1において読み込み、以降の処理に利用するCPU401が、本発明の「余白設定手段」に相当する。利用者により設定されたモード設定(節約モードまたは通常モード)をS1において読み込み、以降の処理に利用するCPU401が、本発明の「節約設定手段」に相当する。L4を基準にL4より短く設定される節約量αと、L1を基準にL1より短く設定される節約量αと、L2を基準にL2より短く設定される節約量αとが、それぞれ、本発明の「第1の長さ」、「第3の長さ」、「第5の長さ」に相当する。L2、L3、L3−αが、それぞれ、本発明の「第4の長さ」、「第2の長さ」、「第6の長さ」に相当する。パワーキー3Aの操作に応じて電源投入を示すフラグを成立させるCPU401が、本発明の「第1監視手段」に相当し、検出スイッチ210のオンの状態とオフの状態との間に変化が生ずるとカセット着脱を示すフラグを成立させるCPU401が、本発明の「第2監視手段」に相当する。規制壁43が、本発明の「規制部材」に相当する。
なお、本発明のテープ印刷装置1は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々変更を加え得ることが可能である。本実施の形態では、テープ送りローラ46の外周面45と規制壁43との離間距離L2よりも、テープ通路63の長さL1を長く形成したが(L1>L2)、L2よりもL1を短く形成してもよい。例えば、テープ送りローラ46の外径を小さくしたり、あるいは、規制壁43の位置を、テープ送りローラ46の外周面45から、より離して配置したりすれば実現可能である。そして、L2>L1とした場合には、節約量αを設定する上で基準とする長さを、L1とすればよい。テープ排出口49とニップ部33との間の長さL4についても同様であり、本実施の形態で述べたように、テープ印刷装置の設計に応じて、適宜、節約量αの設定を行えばよい。
また、テープ搬送プログラムでは、モードの設定状態、電源のオン・オフの状態、テープカセット30の着脱の有無、前余白の長さNの設定値など、各種条件に応じてテープ送りモータ23の逆転駆動の有無を処理したが、これらの条件の有無や組み合わせは任意である。例えば、前余白の長さNがL3未満であれば常にテープ消費量の節約(すなわち印刷前におけるテープの上流側への搬送)を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、テープ印刷装置1に、両面粘着テープ58とフィルムテープ59とインクリボンとが収納されるラミネートタイプのテープカセット30を装着した場合について説明したが、テープ印刷装置1には、第1テープスプールに両面粘着テープが巻回され、第2テープスプールに透明あるいは不透明なフィルムからなる感熱紙テープが巻回されるテープカセットを用いてもよい。あるいは、両面粘着テープを備えず、あらかじめ粘着テープと一体になった感熱紙テープを収納したテープカセットや、あらかじめ粘着テープと一体になった印刷用のテープとインクリボンとを収納したテープカセットを用いてもよい。