JP5309596B2 - 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス - Google Patents

炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP5309596B2
JP5309596B2 JP2008038825A JP2008038825A JP5309596B2 JP 5309596 B2 JP5309596 B2 JP 5309596B2 JP 2008038825 A JP2008038825 A JP 2008038825A JP 2008038825 A JP2008038825 A JP 2008038825A JP 5309596 B2 JP5309596 B2 JP 5309596B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
storage device
porous body
nitrogen
porous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008038825A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009196839A (ja
Inventor
徳彦 瀬戸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2008038825A priority Critical patent/JP5309596B2/ja
Publication of JP2009196839A publication Critical patent/JP2009196839A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5309596B2 publication Critical patent/JP5309596B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Description

本発明は、炭素多孔体の製造方法及びその炭素多孔体を用いた蓄電デバイスに関する。
近年、自動車分野では環境問題を考慮して電気自動車やハイブリッド自動車などが開発され、電子情報機器の分野では場所を選ばずに作業できる利便性を考慮して携帯パソコンや携帯電話、携帯オーディオなどが開発されている。このような製品では、小型ながら長時間の稼働を可能とする蓄電デバイスが求められている。この種の蓄電デバイスとしては、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池などが知られている。
例えば、電気二重層キャパシタとしては、水系又は非水系の電解液に一対の活性炭電極を配置したものが知られている。こうした電気二重層キャパシタでは、充放電は単なる静電的効果であるため、より高速での充放電が可能であるが、貯蔵可能な電気エネルギが二次電池より一桁程度低い。通常の電気二重層キャパシタでは充放電時に両極の電位が上下対称的に変化するが、負極にあたる側に二次電池の負極を適用すると、正負極の電位差が拡大する等によりエネルギ密度を増大させることができる。この系はハイブリッドキャパシタと呼ばれており、最近注目されている。
特許文献1には、正極に多孔性炭素を採用し、負極に金属リチウム又はリチウムイオンを吸蔵・離脱可能な炭素材料を採用したハイブリッドキャパシタが開示されている。このキャパシタによれば、負極に金属リチウム又はリチウムイオンを吸蔵・離脱可能な炭素材料を採用しているため負極電位が低下することから、従来の電気二重層キャパシタに比べて蓄電容量が向上する。また、特許文献2には、電気二重層キャパシタやリチウムイオン電池などの電極用材料として、単なる高表面積化や細孔の増加による容量の向上は頭打ち状態に達していることに鑑み、炭素に窒素をドーピングした材料が提案されている。具体的には、メラミン樹脂を発泡させたメラミンフォームを、不活性雰囲気下で炭素化して得られる窒素含有炭素フォームが電極用材料として有用であることが開示されている。
特開平8−107048号公報 特開2007−269505号公報
しかしながら、特許文献1では、ハイブリッド化によって最大セル電圧を高めることで蓄電容量の向上を図っているが、蓄電原理は基本的に電気二重層形成によるものなので、正極におけるイオン吸着密度の増大なしには蓄電量の大幅な向上は望めないという問題があった。また、特許文献2では、得られる窒素含有炭素フォームは、比表面積が非常に小さいため、硫酸水溶液のように水系電解液を利用する蓄電デバイスの電極として用いることはできるが、非水系電解液を利用する蓄電デバイスの電極として用いることはできないという問題があった。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、非水系電解液を利用する蓄電デバイスの電極材料として有用な炭素多孔体を製造する方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、炭素多孔体の製造方法を種々検討したところ、ニコチン酸と水酸化カルシウムとを中和して得られる塩を窒素気流中で500℃で焼成し、該焼成物を洗浄してカルシウム成分を除去することにより得られた炭素多孔体が、非水系電解液を利用する電気二重層キャパシタの電極として有用であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の炭素多孔体の製造方法は、
(a)カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する含窒素複素環式化合物とアルカリ土類金属イオンとの混合物を不活性雰囲気下で焼成することにより焼成物を得る工程と、
(b)該焼成物中の前記アルカリ土類金属イオンに由来する成分を溶解可能な洗浄液で前記焼成物を洗浄して前記成分を除去することにより炭素多孔体を得る工程と、
を含むものである。
また、本発明の蓄電デバイスは、負極と正極との間に非水系電解液を介在させた蓄電デバイスであって、前記正極は、上述した炭素多孔体の製造方法によって製造された炭素多孔体を含むものである。
本発明の炭素多孔体の製造方法によれば、負極と正極との間に非水系電解液を介在させた蓄電デバイスの電極材料として有用な炭素多孔体を製造することができる。具体的には、この製造方法によって得られる炭素多孔体をこうした蓄電デバイスの正極材料として用いた場合、単位面積あたりの比容量(面積比容量)が従来の電極材料に比べて数倍高くなるという優れた効果が得られる。
こうした効果が得られる理由については定かではないが、以下のように推察している。すなわち、本発明の製造方法によって得られる炭素多孔体は、炭素骨格(グラフェン構造)の一部が窒素で置換されたことにより、炭素表面には共有結合に関与しない余剰の電子が存在している。この過剰な電子は炭素多孔体の表面に極性を付与することになり、非水系電解液などの極性分子に対する親和性が増すと考えられる。また、このような表面極性の向上は、電気二重層を形成するイオンの安定化を促す可能性も考えられ、単位表面あたりのイオン吸着密度が増大することも考えられる。一方、本発明の製造方法によって得られる炭素多孔体は、比表面積が200m2/g以上であり、例えば特許文献2の窒素含有炭素フォームに比べると格段に大きな値であり、この点でも非水系電解液の蓄電デバイスの電極として有利である。
本発明の炭素多孔体の製造方法では、まず、工程(a)で、カルボキシ基又はヒドロキシ基を有する含窒素複素環式化合物と金属イオンとの混合物を不活性雰囲気下で焼成することにより焼成物を得る。
ここで、含窒素複素環式化合物は、カルボキシ基又はヒドロキシ基を1つだけ有していてもよいし、2つ以上有していてもよい。2つ以上有しているときには、カルボキシ基及びヒドロキシ基のいずれか一方だけを有していてもよいし、両方を有していてもよい。なお、ヒドロキシ基よりもカルボキシ基の方が好ましい。また、含窒素複素環式化合物としては、ピロールやピリジンなどのように1つの窒素を含む複素環式化合物;ピラゾールやイミダゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンなどのように2つの窒素を含む複素環式化合物;1,2,3−トリアジンや1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジンなどのように3つの窒素を含む複素環式化合物などが挙げられるが、これらのうちピリジンが好ましい。つまり、含窒素複素環式化合物として好ましいものは、カルボキシ基を有するピリジンであり、例えばピリジン−3−カルボン酸(ニコチン酸)、ピリジン−2−カルボン酸、ピリジン−4−カルボン酸、ピリジン−2,3−ジカルボン酸、ピリジン−2,4−ジカルボン酸、ピリジン2,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、ピリジン−3,4−ジカルボン酸、ピリジン−3,5−ジカルボン酸、ピリジン−2,4,5−トリカルボン酸などが挙げられる。アルカリ土類金属イオンとしては、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどが挙げられる。含窒素複素環式化合物と金属イオンとの混合物を得るには、例えば両者を水溶液中で混合したあと水を蒸発乾固することにより得るようにしてもよい。両者の使用量は、中和反応式に基づく化学量論量だけ用いてもよいし、一方が他方に対して過剰になるように用いてもよい。こうして得られる混合物を不活性雰囲気下で焼成するのであるが、不活性雰囲気としては窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などが挙げられる。また、焼成温度は、焼成する混合物にもよるが、例えば400〜1000℃で焼成する。
本発明の炭素多孔体の製造方法では、工程(a)のあと工程(b)で、焼成物中のアルカリ土類金属イオンに由来する成分を溶解可能な洗浄液で焼成物を洗浄して該成分を除去することにより炭素多孔体を得る。
ここで、洗浄液としては、アルカリ土類金属イオンに由来する成分を溶解可能であれば特に限定されないが、例えばアルカリ土類金属イオンがカルシウムイオンの場合には水や酸性水溶液を用いることが好ましい。こうした洗浄を行うことにより、焼成物中のアルカリ土類金属イオンに由来する成分が存在していた箇所は空洞になるため、炭素多孔体となる。このようにして得られる炭素多孔体は、比表面積が200m2/g以上、炭素原子に対する窒素原子の比(N/C)が0.02〜0.3程度となることが多い。ちなみに、洗浄前の焼成物の比表面積は10m2/g以下である。こうした洗浄の効率(つまりアルカリ土類金属に由来する成分の除去効率)を考慮すると、こうした成分の溶解度が高い洗浄液を用いることが好ましい。この点で、アルカリ土類金属イオンがカルシウムイオンの場合には、マグネシウムイオンやバリウムイオンなどと比べて水や酸性水溶液に対する溶解度が高いため、好ましい。
本発明の蓄電デバイスは、負極と正極との間に非水系電解液を介在させた蓄電デバイスであって、正極は、上述した炭素多孔体の製造方法によって製造された炭素多孔体を含むものである。
ここで、負極は、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであることが好ましい。このような負極としては、例えば金属リチウムやリチウム合金のほか、金属酸化物、金属硫化物、リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質などが挙げられる。リチウム合金としては、例えばアルミニウムやスズ、マグネシウム、インジウム、カルシウムなどとリチウムとの合金が挙げられる。金属酸化物としては、例えばスズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などが挙げられる。金属硫化物としては、例えばスズ硫化物やチタン硫化物などが挙げられる。リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物質としては、例えば黒鉛、コークス、メソフェーズピッチ系炭素繊維、球状炭素、樹脂焼成炭素などが挙げられる。
正極は、導電助剤を含んでいてもよい。導電助剤としては、導電性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類でもよいし、鱗片状黒鉛のような天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類でもよいし、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類でもよいし、銅や銀、ニッケル、アルミニウムなどの金属粉末類でもよいし、ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料でもよい。また、これらを単体で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、正極は、バインダ(結着成分)を含んでいてもよい。バインダとしては、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体などが挙げられる。これらの材料は単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
また、正極は、例えば上述した炭素多孔体と導電助剤とバインダとを混合したあと、集電体にプレス成形して形成してもよい。混合方法は、例えばN−メチルピロリドンなどの溶媒存在下で湿式混合してもよいし、乳鉢などを使って乾式混合してもよい。集電体としては、特に限定されるものではないが、例えば、InSnO2,SnO2,ZnO,In22などの透明導電助剤、フッ素ドープ酸化錫(SnO2:F)、アンチモンドープ酸化錫(SnO2:Sb)、錫ドープ酸化インジウム(In23:Sn)、ZnO,Alドープ酸化亜鉛(ZnO:Al)、Gaドープ酸化亜鉛(ZnO:Ga)などの不純物がドープされたそれらの材料等の単層又は積層層を、ガラスや高分子状に形成させたものを用いることができる。その膜厚は、特に限定されるものではないが、3nmから10μm程度が好ましい。なお、ガラスや高分子の表面がフラットなものでもよいし、表面に凹凸を有しているものでもよい。また、集電板として、ステンレス鋼やアルミニウム、銅などの金属板を用いることもできる。
非水系電解液は、特に限定されるものではないが、支持塩を含む極性有機溶媒やイオン性液体などを用いることができる。支持塩としては、例えば、LiPF6,LiClO4,LiBF4,Li(CF3SO22N,(C254NBF4,(C494NBF4,(C254NPF6、(C494NPF6などの公知の支持塩を用いることができる。支持塩の濃度としては、0.1〜2.0Mであることが好ましく、0.8〜1.2Mであることがより好ましい。極性有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。また、イオン性液体としては、特に限定されるものではないが、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや1−エチル−3−ブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートなどを用いることができる。
本発明の蓄電デバイスは、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複合して用いてもよい。
本発明の蓄電デバイスの形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
[実施例1]
1.炭素多孔体の合成
ニコチン酸(ピリジン−3−カルボン酸、東京化成工業製)と水酸化カルシウム粉末(和光純薬工業製)との中和塩を蒸発乾固法で調製した。具体的には、中和当量に相当する両試薬を水に分散したのち、80℃の湯浴で加熱することで透明溶液を得た。この透明溶液を蒸発乾固することで、ニコチン酸カルシウムの中和塩を得た。この中和塩を石英反応管中、不活性雰囲気(窒素気流中)で加熱することで炭素化した。具体的には、窒素の流量を1L/min、炭素化温度を500℃とし、その炭素化温度(500℃)に到達後、3時間温度を保持することで炭素化を行った。炭素化後の試料を水洗し、そこへ過剰量の酢酸(和光純薬工業製)を加え、炭素化に伴い生成したカルシウムの塩を除去した。ろ別後、水洗及び乾燥を行い、所望の炭素多孔体を得た。
液体窒素温度(77K)における窒素吸着測定から算出された当該炭素多孔体のBET比表面積は407m2/gであった。なお、図1に吸着等温線のグラフを示す。図1中、白抜きの印が吸着、黒塗りの印が脱着を表す(他の実施例、比較例も同じ)。また、当該炭素多孔体のN/C比つまり炭素原子に対する窒素原子の比は、元素分析から0.22と計算された。なお、炭素多孔体の元素分析は、全自動元素分析装置(エレメンタール社製、VarioEL)による燃焼法によって決定した。また、DFT(Density Functional Theory)法による細孔分布解析を行った。その結果を図2に示す。図2から、当該炭素多孔体はミクロ孔からメソ孔を有しているといえる。以上の結果から、合成された炭素材料は、大きな比表面積を有し、また炭素骨格内に多量の窒素原子がドープされた、窒素ドープ型の炭素多孔体であることが示された。
2.炭素電極の調製
前記1.で得た炭素多孔体をメノウ乳鉢にて磨砕したのちに、空気中、120℃で乾燥した。炭素多孔体を87重量部、導電助剤であるケッチェンブラック(ライオン製ECP600)を8.7重量部、バインダであるテフロンパウダー(テフロンは登録商標)を4.3重量部の割合で混練し、シート状の炭素電極を形成した。
3.蓄電デバイスの作製・評価
図3に示す蓄電デバイスを作製した。図3は蓄電デバイスの説明図であり、図3(a)は蓄電デバイス10の組立前の断面図、図3(b)は蓄電デバイス10の組立後の断面図である。蓄電デバイス10を組み立てるにあたり、まず、外周面にねじ溝が刻まれたステンレス製の円筒基体12の上面中央に設けられたキャビティ14に、負極16と、セパレータ18と、正極20とをこの順に積層した。本実施例では、負極16として直径16mm、厚さ0.4mmのリチウム金属箔、セパレータ18としてポリエチレン製セパレータ(東燃化学製、微多孔性ポリエチレン膜)、正極20として前記2.で調製した炭素電極(合材重量として1mg)を用いた。そして、非水系電解液をキャビティ14に注入したあと、ポリプロピレン製の絶縁リング29を入れ、次いでポリプロピレン製のリング22の穴に液密に固定されたステンレス製の円柱24を正極20の上に配置し、ステンレス製のコップ状の蓋26を円筒基体12にねじ込んだ。本実施例では、非水系電解液として、1mol/L濃度のLiPF6系電解液(富山薬品工業製、LIPAST3E7DEC/PF1)を用いた。これはLiPF6塩をエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比3:7)に溶解せしめたものである。更に、円柱24の上にPTFE製の絶縁用樹脂リング27を配置し、蓋26の上面中央に設けられた開口26aの内周面に刻まれたねじ溝に貫通孔25aを持つ加圧ボルト25をねじ込み、負極16とセパレータ18と正極20とを加圧密着させた。このようにして、蓄電デバイス10を組み立てた。なお、蓋26の上面中央に設けられた開口26aの径は円柱24の径よりも大きいことから、蓋26と円柱24とは非接触な状態となっている。また、キャビティ14の周辺にはパッキン28が配置されているため、キャビティ14内に注入された電解液が外部に漏れることはない。この蓄電デバイス10では、蓋26と加圧ボルト25と円筒基体12とが負極16と一体化されて全体が負極側となり、円柱24が正極20と一体化されると共に負極16と絶縁されているため正極側となる。このようにして組み立てた蓄電デバイス10を用いて、充放電特性の評価を行った。
蓄電デバイスの充放電特性は北斗電工製HJ1001SM8Aを用い、定電流法で評価した。すなわち、500mA/g(正極合材重量あたり)の電流量で初期のデバイス開放電圧からデバイス端子間電圧4.5Vまで定電流充填を行い、4.5Vに達した後に電位を維持したまま充電電流が50mA/gとなるまで充電を継続した。その後充電と同様に、500mA/g(正極合材重量あたり)の定電流による放電を2.0Vまで実施した。この充電−放電サイクルを40回繰り返した。40サイクル測定終了時の時間−電位曲線(クロノポテンショグラム)から、以下の式(1)を用い、静電容量(C)を求めた。
静電容量(C)=電流(I)×経過時間(Δt)÷電位差(ΔV) …(1)
式(1)で、電流(I)は定電流放電を行った際の電流値、経過時間(Δt)はデバイス端子間電圧の推移(ΔV)に要する時間である。ここでは、放電時のデバイス端子間電圧が3.5Vから2.5Vに推移した際に要した経過時間から、静電容量を算出した。
[実施例2]
実施例1におけるニコチン酸を、2,3−ピリジンジカルボン酸(東京化成工業製)に代えた以外は実施例1と同様にして炭素多孔体を調製した。この炭素多孔体のBET比表面積は512m2/gであった。また、N/C比は0.20であった。なお、実施例2の炭素多孔体の吸着等温線及び細孔分布をそれぞれ図1及び図2に示す。図2から、当該炭素多孔体は主にミクロ孔を有しているといえる。この炭素多孔体を用いて実施例1と同様にして炭素電極を調製したあと蓄電デバイスを作製し、充放電特性の評価を行った。
[比較例1]
上記実施例1及び2において使用された窒素ドープ型の炭素多孔体を、活性炭(クラレ RP−20)に代えた以外は実施例1と同様にして蓄電デバイスを作製し、充放電特性の評価を行った。なお、この活性炭の吸着等温線及び細孔分布をそれぞれ図1及び図2に示す。
[試験結果]
表1に実施例1,2及び比較例1の諸物性をまとめた。表1において、重量比容量は静電容量を正極合材の重量で除した値であり、面積比容量は重量比容量を比表面積で除した値である。表1に示すように、各実施例で調製された炭素多孔体は、比表面積が比較的小さいにもかかわらず、活性炭とほぼ同等の重量比容量を有していた。特に面積比容量で比較した場合、窒素がドープされていない活性炭(比較例1)に比べ、4倍近い値となった。このように大きな面積比容量が発現する機構については不明であるが、予想される機構として、炭素骨格中に窒素がドープされることにより、炭素細孔表面の濡れ性が向上することが考えられる。一般的に活性炭類は疎水的であるが、非水系電解液は極性が高い場合が多い。そのため、活性炭類ではその細孔内部に非水系電解液が浸透しがたいことが予想される。そのため、一部利用されていない細孔が存在する可能性が考えられる。しかしながら、そのことを考慮してもなお、約4倍もの容量差を生じせしめる理由とはならない。もう一つの有力な可能性として、炭素表面への異種元素のドーピングによって、炭素表面がわずかに分極することで、単位面積あたりの電解質イオンの吸着性が向上した可能性も挙げられる。電解質イオンの吸着性を向上せしめる理由については不明であるが、おそらくは異種元素のドーピングによる価数変化によって、炭素の表面に電荷のゆらぎが生じ、それが電解質イオンとの相互作用に何らかの寄与をしていると考えられる。これらの作用が相乗的に寄与することでこのような大幅な容量の向上が発現したと考えられる。
本発明は、主に電気化学産業に利用可能であり、例えばハイブリッド車や電気自動車の動力源、携帯電話やパソコンなど民生用家電機器の電源、ロードレベリング(負荷平準化)などへの電気化学的デバイスに利用することができる。
実施例1,2及び比較例1の吸着等温線のグラフである。 実施例1,2及び比較例1の細孔分布のグラフである。 蓄電デバイスの説明図であり、図3(a)は蓄電デバイス10の組立前の断面図、図3(b)は蓄電デバイス10の組立後の断面図である。
符号の説明
10 蓄電デバイス、12 円筒基体、14 キャビティ、16 負極、18 セパレータ、20 正極、22 リング、24 円柱、25 加圧ボルト、25a 貫通孔、26 蓋、26a 開口、27 絶縁用樹脂リング、28 パッキン、29 絶縁リング。

Claims (5)

  1. (a)カルボキシ基を有する含窒素複素環式化合物とアルカリ土類金属イオンとの混合物を不活性雰囲気下で焼成することにより焼成物を得る工程と、
    (b)該焼成物中の前記アルカリ土類金属イオンに由来する成分を溶解可能な洗浄液で前記焼成物を洗浄して前記成分を除去することにより炭素多孔体を得る工程と、
    を含む炭素多孔体の製造方法。
  2. 前記含窒素複素環式化合物は、カルボキシ基を有するピリジンである、
    請求項1に記載の炭素多孔体の製造方法。
  3. 前記金属イオンは、カルシウムイオンである、
    請求項1又は2に記載の炭素多孔体の製造方法。
  4. 前記洗浄液は、酸性水溶液である、
    請求項3に記載の炭素多孔体の製造方法。
  5. 負極と正極との間に非水系電解液を介在させた蓄電デバイスであって、
    前記正極は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素多孔体の製造方法によって製造された炭素多孔体を含む、
    蓄電デバイス。
JP2008038825A 2008-02-20 2008-02-20 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス Expired - Fee Related JP5309596B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008038825A JP5309596B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008038825A JP5309596B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009196839A JP2009196839A (ja) 2009-09-03
JP5309596B2 true JP5309596B2 (ja) 2013-10-09

Family

ID=41140786

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008038825A Expired - Fee Related JP5309596B2 (ja) 2008-02-20 2008-02-20 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5309596B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8911904B2 (en) 2012-10-05 2014-12-16 Ut-Battelle, Llc Mesoporous metal oxide microsphere electrode compositions and their methods of making
US10020493B2 (en) 2012-10-05 2018-07-10 Ut-Battelle, Llc Coating compositions for electrode compositions and their methods of making
JP6327053B2 (ja) * 2013-09-13 2018-05-23 株式会社豊田中央研究所 炭素多孔体、その製法及びアンモニア吸着材

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62108722A (ja) * 1985-11-06 1987-05-20 Tonbo Enpitsu:Kk 分子ふるい炭素組成物
JP3517117B2 (ja) * 1998-06-30 2004-04-05 株式会社東芝 リチウム二次電池
JP2005239456A (ja) * 2004-02-24 2005-09-08 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 窒素含有炭素およびその製造方法
EP1789364A4 (en) * 2004-08-16 2011-04-13 Jing Wang PROCESSES FOR THE PRODUCTION OF MONOLITHIC POROUS CARBON DISKS FROM AROMATIC ORGANIC PRECURSORS
JP4692921B2 (ja) * 2005-02-09 2011-06-01 株式会社豊田中央研究所 単分散球状カーボン多孔体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009196839A (ja) 2009-09-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10446847B2 (en) Nonaqueous lithium-type power storage element
TWI418077B (zh) Lithium secondary battery
US8845994B2 (en) Electrode active material having high capacitance, method for producing the same, and electrode and energy storage device comprising the same
US9711297B2 (en) Methods for solid electrolyte interphase formation and anode pre-lithiation of lithium ion capacitors
JP5228531B2 (ja) 蓄電デバイス
JP5440003B2 (ja) 蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法
JP5392355B2 (ja) 電気二重層キャパシタ
KR101832663B1 (ko) 고밀도 및 고용량 특성을 갖는 3차원 그래핀 구조체, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 전극 소재
JPWO2005096333A1 (ja) メソポア炭素材を負極に用いた有機電解質キャパシタ
JP2009231234A (ja) 負極用炭素材料、蓄電デバイス、及び蓄電デバイス搭載品
JP2006202646A (ja) イオン性液体組成物、イオン伝導性材料及び電解液材料
WO2008035638A1 (en) Electrochemical capacitor
US20120099246A1 (en) Lithium ion capacitor
JP5434389B2 (ja) 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス
JP5042754B2 (ja) 電気化学キャパシタ
WO2010055762A1 (ja) 電気二重層キャパシタ
TW201522219A (zh) 高電壓與高電容之活性碳以及碳爲主之電極
JP2011146359A (ja) アルカリ金属硫黄二次電池
JP2010146908A (ja) アルカリ金属硫黄二次電池
JP5309596B2 (ja) 炭素多孔体の製造方法及び蓄電デバイス
KR20130140395A (ko) 리튬 이차전지용 음극 및 그 제조방법과 이를 이용한 리튬 이차전지
JP5233267B2 (ja) 蓄電デバイス及びその正極材料
US20170011860A1 (en) Capacitor and method for charging and discharging same
JP2008244263A (ja) 蓄電デバイス
JP5245864B2 (ja) 蓄電デバイス

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101109

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120904

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121010

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130604

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130617

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees