JP5309525B2 - 光学素子、光学キット及びラベル付き印刷物 - Google Patents
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Description
潜像の形成には、様々な方法がある。例えば、万線モアレや凹版印刷を利用して形成することができる。
万線モアレを利用した潜像は、潜像とすべき像と、高密度に配列した多数の線とを重ねることにより得られる。この像は、肉眼で観察した場合には多数の線が識別を困難とし、それらの線を隠すことにより識別が容易になる。凹版印刷を利用した潜像は、インキ層に凹パターン及び/又は凸パターンを設けることにより得られる。凹パターン及び/又は凸パターンが形成している像は、正面から観察した場合には識別が困難であり、斜めから観察することにより可視化する。
万線モアレ又は凹版印刷を利用した潜像技術は、真偽判定が比較的容易である。しかしながら、これらの方法で形成した像は、肉眼で観察した場合に識別が不可能な訳ではない。そのため、これらの潜像はそれ自体の存在を悟られ易い。
蛍光インキは、紫外線を照射することにより発光するインキであって、これを用いて形成した潜像は、紫外線照射により可視化する。赤外線吸収インキは、赤外線吸収率が高いインキであって、これを用いて形成した潜像は、例えば、赤外線カメラで観察することにより可視化する。
特殊インキ使用して形成した潜像は、それ自体の存在を悟られ難い。しかしながら、その可視化には紫外線ランプ又は赤外線カメラなどの装置が必要である。
コレステリック液晶は、それ自体が特徴的な色を呈し、また見る角度によって観察される色が変わるため、カラーコピーなどによる単純な偽造を防止する効果がある。それに加えて、右回りか左回りのどちらか一方の円偏光のみを反射するという特徴を持っており、円偏光フィルタによる検証機能を持たせることも出来るため、一つの材料で偽造防止効果の複合化が実現できる。
例えば、特許文献1は、コレステリック液晶を用いた潜像技術を提案している。このように、複数の偽造防止技術を組み合わせることは、偽造防止効果が向上するため、非常に有効である。
しかしながら、偽造技術の進歩は著しい。それゆえ、偽造防止技術には更なる進歩が望まれている。
また、本発明の光学キットは、光学素子と、右回りの円偏光を透過して前記光学素子に照射する右円偏光フィルタと、左回りの円偏光を透過して前記光学素子に照射する左円偏光フィルタとを備え、前記光学素子は、基材と、前記基材上に該基材の上面の一部と重なり合う大きさの面積を有する大きさに形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する、回転方向が左巻きのコレステリック液晶材料からなる左偏光反射層と、前記左偏光反射層の上面と、前記左偏光反射層と重なる部分を除く前記基材の上面とを覆うように形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する、回転方向が右巻きのコレステリック液晶材料からなる右偏光反射層とを有し、前記基材上で前記左偏光反射層と前記右偏光反射層とが互いに重なる重合部分を第1の表示部とし、前記基材上で前記右偏光反射層のみの部分を第2の表示部とし、前記基材と前記右偏光反射層との間および前記基材と前記左偏光反射層との間に有色層が形成され、前記右偏光反射層の上に印刷パターン層が形成され、前記右偏光反射層および前記左偏光反射層はそれぞれ網点印刷により形成されていることを特徴とする。
また、本発明のラベル付き印刷物は、光学素子と、前記光学素子がラベルとして貼付された印刷物とを備え、前記光学素子は、基材と、前記基材上に該基材の上面の一部と重なり合う大きさの面積を有する大きさに形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する、回転方向が左巻きのコレステリック液晶材料からなる左偏光反射層と、前記左偏光反射層の上面と、前記左偏光反射層と重なる部分を除く前記基材の上面とを覆うように形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する、回転方向が右巻きのコレステリック液晶材料からなる右偏光反射層とを有し、前記基材上で前記左偏光反射層と前記右偏光反射層とが互いに重なる重合部分を第1の表示部とし、前記基材上で前記右偏光反射層のみの部分を第2の表示部とし、前記基材と前記右偏光反射層との間および前記基材と前記左偏光反射層との間に有色層が形成され、前記右偏光反射層の上に印刷パターン層が形成され、前記右偏光反射層および前記左偏光反射層はそれぞれ網点印刷により形成されていることを特徴とする。
したがって、単層の右偏光反射層および左偏光反射層による従来の偽造防止の判定のための要素に、右偏光反射層と左偏光反射層とが重なる2層構造による偽造防止のための新たな要素を付加し、かつ有色層および印刷パターン層による偽造防止のための新たな要素を付加し、さらに網点印刷からなる右偏光反射層および左偏光反射層による偽造防止のための新たな要素が加えられる。したがって、より一層の偽造防止効果、装飾効果及び美的効果を有する光学素子、光学キット及びラベル付き印刷物を提供することができる。
本発明の実施の形態の光学素子は、基材と、基材に形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する右偏光反射層と、基材に形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する左偏光反射層とを備え、これら右偏光反射層および前記左偏光反射層には、互いに重なる重合部分が設けられる。
光学素子10は、真正品であることが確認されるべきものであり、図1に示すように、光学素子10をその前面から見て表示部101と表示部102とを有する。
光学素子10は、図2に示すように、基材11と、基材11の上に形成された有色層12と、有色層12の上の一部にT字状に形成された左偏光反射層14と、有色層12および左偏光反射層14の上に形成された右偏光反射層13とを備える。
有色層12は、光学素子10の前面側から見た右偏光反射層13および左偏光反射層14の色を鮮明にするためのものであり、例えば黒色の墨インキを使用してスクリーン印刷、グラビア印刷、マイクログラビア印刷などにより形成される。
まず、光重合性を有するコレステリック液晶材料を有色層12上に塗布する。このとき、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷などの印刷法を用いてパターン状に液晶材料を塗布すると、必要な部分のみにコレステリック液晶層を形成することができる。次いで、液晶材料に紫外線を照射して、それらの重合を生じさせる。これにより、螺旋構造が固定化された高分子コレステリック液晶層である右偏光反射層13および左偏光反射層14を得ることができる。
なお、右偏光反射層13及び左偏光反射層14に用いるコレステリック液晶材料の色相は同じである方が望ましい。
光学素子10に白色光を照射し、これを肉眼で観察した場合、図3に示すように、表示部101及び102は互いからの判別が不可能又は困難である。これについてより詳細に説明する。
人間の目は、円偏光の回転方向の違いを認識できないため、表示部101と表示部102は同じ色、例えば、赤色に見え、互いからの判別が不可能又は困難である。
図4に示すように、図3に示す状態から観察方向をX方向に垂直な面内で傾けると、表示部101及び102の表示色が変化する。例えば、法線方向20から観察した場合に表示部101及び102は赤色に見えていたとすると、観察方向を視点21から25までX方向に垂直な面内で傾けることにより、表示部101及び102の色はオレンジ色、黄色、緑色、青緑色、青色と順次変化する。表示部101及び102で生じる色変化の理由を以下に説明する。
図5では、図1及び図2に示す光学素子10と左円偏光フィルム50とを重ねている。これを正面から観察すると、図5に示すように、表示部101表示部102の互いからの判別が容易である。これについてより詳細に説明する。
また、表示部102では、図4で説明したのと同様の色変化が左円偏光フィルム50を通しても観察できる。
図6では、図1及び図2に示す光学素子10と右円偏光フィルム60とを重ねている。これを正面から観察すると、図6に示すように、表示部101表示部102の互いからの判別が不可能又は困難である。これについてより詳細に説明する。
また、表示部101及び102では、図4で説明したのと同様の色変化が左円偏光フィルム60を通しても観察できる。
(1)表示部101及び102は、左円偏光フィルム50及び右円偏光フィルム60なしで法線方向から観察した場合に、互いにほぼ等しい色を表示する。
(2)表示部101及び102は、左円偏光フィルム50及び右円偏光フィルム60なしで法線方向から観察した場合と、左円偏光フィルム50及び右円偏光フィルム60なしで斜め方向から観察した場合とで同様の色変化を示す。
(3)表示部101及び102は、左円偏光フィルム50を介して法線方向から観察した場合に、互いに異なる色を表示する。
(4)表示部101及び102は、左円偏光フィルム50を介して斜め方向から観察した場合に、互いに異なる色を表示する。
(5)表示部102は、左円偏光フィルム50を介して法線方向から観察した場合と、左円偏光フィルムを介して斜め方向から観察した場合とで異なる色を表示する。
(6)表示部101及び102は、右円偏光フィルム60を介して法線方向から観察した場合に、互いにほぼ等しい色を表示する。
(7)表示部101及び102は、右円偏光フィルム60を介して斜め方向から観察した場合に、互いにほぼ等しい色を表示する。
(8)表示部102は、右円偏光フィルム60を介して法線方向から観察した場合と、右円偏光フィルムを介して斜め方向から観察した場合とで互いにほぼ等しい色を表示する。
また、この光学素子10と右円偏光フィルム50及び左円偏光フィルム60とを含んだ光学キットは、先の真偽判定に利用可能であるのに加え、玩具、学習教材又は装飾品としても利用することができる。
図7は、図1に示す光学素子の一変形例を示す断面図である。
図7に示す光学素子10は、右偏光13を被覆した保護層15をさらに含んでいること以外は、図1及び図2を参照しながら説明した光学素子10と同様の構造を有している。保護層15を設けると、右偏光反射層13などの損傷や光劣化を生じ難くすることができ、それゆえ、光学素子10が表示する像の劣化を抑制することができる。
保護層15の材料としては、例えば、耐傷性に優れたハードコート材料を使用することができる。また、保護層15の材料としては、典型的には透明性の高い材料を使用する。保護層15は無色透明であってもよく、有色透明であってもよい。
図8に示す光学素子10は、基材11の裏面を被覆した粘着層16をさらに含んでいること以外は、図7を参照しながら説明した光学素子10と同様の構造を有している。この光学素子10は、物品に貼り付けて使用する用途に適している。なお、粘着層16は、剥離紙で被覆してもよい。
Claims (3)
- 基材と、
前記基材上に該基材の上面の一部と重なり合う大きさの面積を有する大きさに形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する、回転方向が左巻きのコレステリック液晶材料からなる左偏光反射層と、
前記左偏光反射層の上面と、前記左偏光反射層と重なる部分を除く前記基材の上面とを覆うように形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する、回転方向が右巻きのコレステリック液晶材料からなる右偏光反射層とを有し、
前記基材上で前記左偏光反射層と前記右偏光反射層とが互いに重なる重合部分を第1の表示部とし、
前記基材上で前記右偏光反射層のみの部分を第2の表示部とし、
前記基材と前記右偏光反射層との間および前記基材と前記左偏光反射層との間に有色層が形成され、
前記右偏光反射層の上に印刷パターン層が形成され、
前記右偏光反射層および前記左偏光反射層はそれぞれ網点印刷により形成されている、
ことを特徴とする光学素子。 - 光学素子と、
右回りの円偏光を透過して前記光学素子に照射する右円偏光フィルタと、
左回りの円偏光を透過して前記光学素子に照射する左円偏光フィルタとを備え、
前記光学素子は、
基材と、
前記基材上に該基材の上面の一部と重なり合う大きさの面積を有する大きさに形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する、回転方向が左巻きのコレステリック液晶材料からなる左偏光反射層と、
前記左偏光反射層の上面と、前記左偏光反射層と重なる部分を除く前記基材の上面とを覆うように形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する、回転方向が右巻きのコレステリック液晶材料からなる右偏光反射層とを有し、
前記基材上で前記左偏光反射層と前記右偏光反射層とが互いに重なる重合部分を第1の表示部とし、
前記基材上で前記右偏光反射層のみの部分を第2の表示部とし、
前記基材と前記右偏光反射層との間および前記基材と前記左偏光反射層との間に有色層が形成され、
前記右偏光反射層の上に印刷パターン層が形成され、
前記右偏光反射層および前記左偏光反射層はそれぞれ網点印刷により形成されている、
ことを特徴とする光学キット。 - 光学素子と、
前記光学素子がラベルとして貼付された印刷物とを備え、
前記光学素子は、
基材と、
前記基材上に該基材の上面の一部と重なり合う大きさの面積を有する大きさに形成され、入射された光のうち左回転の偏光を反射する、回転方向が左巻きのコレステリック液晶材料からなる左偏光反射層と、
前記左偏光反射層の上面と、前記左偏光反射層と重なる部分を除く前記基材の上面とを覆うように形成され、入射された光のうち右回転の偏光を反射する、回転方向が右巻きのコレステリック液晶材料からなる右偏光反射層とを有し、
前記基材上で前記左偏光反射層と前記右偏光反射層とが互いに重なる重合部分を第1の表示部とし、
前記基材上で前記右偏光反射層のみの部分を第2の表示部とし、
前記基材と前記右偏光反射層との間および前記基材と前記左偏光反射層との間に有色層が形成され、
前記右偏光反射層の上に印刷パターン層が形成され、
前記右偏光反射層および前記左偏光反射層はそれぞれ網点印刷により形成されている、
ことを特徴とするラベル付き印刷物。
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