JP5309327B2 - 屋外固定物の固定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、工場や倉庫・店舗等の屋根葺に用いられているスレート屋根材を補修するための金属製折曲げ屋根材等の屋外固定物を固定する際に用いられる固定方法に関するものである。
従来、老朽化したスレート葺屋根の補修を行う場合、先ず古くなったスレート屋根材を取り外し、次いで新たなスレート屋根材等を取付けて新しい屋根を葺上げる方法が一般的であるが、この工法では、特に工場等の場合、その葺替工事の間、作業を長期間に亘って休止しなければならないという問題があった。また、取り外したスレート屋根材はその多くがセメントの他に10〜20mass%程度の石綿をも含むものであるため、近年は、この大量に発生する廃棄物の処理が環境汚染になるという問題があった。さらに、葺替工事中は屋根がなくなるため、風雨を凌ぐための養生を行うことが必要になり、しかも骨組だけになるため危険が伴い、かつ室内足場などを必要とするという問題もあった。
そこで、従来、老朽化したスレート葺屋根を取り壊すことなく、その上を金属製折曲げ屋根材にて覆うことによりスレート葺屋根を補修する方法が、例えば特許文献1,2により開示されて知られている。
即ち、特許文献1では、既設の波形スレート葺屋根を固定しているフックボルトに、固定金具としてのサドル部材を、その中央に設けられた通孔を介して挿通すると共に、該通孔から突出したフックボルトに、固定部材としての新規の長ナットを螺合させて締付け固定し、次にそのサドル部材上に、前記長ナットを跨ぐ高さで断面凸状に折曲成形された垂木部材を載置し、該垂木部材上に設けた金属製折曲げ屋根材の山部(凸部)から垂木部材に至るまで止着部材を挿通させることにより、金属製折曲げ屋根材を垂木部材上に支持固定する二重葺き屋根構造を提案している。
また、特許文献2では、既存の波形スレート板を固定しているフックボルトに、そのスレート板の略1山分に跨る固定金具としての支持金具を、その中央に設けられた挿入孔から挿通すると共に、フックボルトに弾性的に嵌着される固定部材としての止め板によって上側から押さえて固定し、次にその支持金具上に、新規の外装下地材を載置して固定具によって固着した後、該外装下地材上に新規の金属製折曲げ屋根材(外装材)を載置し、その金属製折曲げ屋根材の凸部上方から外装下地材に至るまでドリルビスを打入させることにより、金属製折曲げ屋根材を外装下地材上に支持固定する外装材葺替え構造を提案している。
特許第3484630号公報 特開2003−184228号公報
ところで、上記特許文献1および特許文献2で開示された従来技術は、屋外固定物としての補修用金属製折曲げ屋根材およびその固定のための垂木部材や下地材を固定するために、既設の波形スレート葺屋根を固定しているフックボルトの、固定金具を貫通した部分に固定部材としての長ナットや止め板を係合させて、それらフックボルトと、長ナットや止め板とで固定具を構成している。
しかしながら、上記固定具において、既設の波形スレート葺屋根を固定しているフックボルトは、屋外環境に長期間晒されていたため腐食により雄ねじのねじ山が損耗している場合が多く、かかるフックボルトの腐食部分の、ねじ山の損耗の程度が激しい雄ねじでは、長ナットや止め板をしっかりと係合させることが困難な場合がある。そして長ナットや止め板の係合が不充分な場合には、フックボルトへの補修用金属製折曲げ屋根材の強固な固定ができず、補修用金属製折曲げ屋根材が強風時に外れて飛散する可能性が必ずしも否定できない。
このため、例えば上記特許文献1記載の構成では、フックボルトの腐蝕がひどい場合は長ナットをさらに長くして係合長さを稼ぐことも考えられるが、長ナットをさらに長くすると下地の高さに収容される範囲に長ナットが収まらず、二重葺き屋根構造の構成に支障が生じてしまう。
そこで、本発明は、屋外固定物を固定する際に固定具のボルトの腐蝕部分に、従来の固定部材と同様の軸線方向長さの固定部材を容易にかつ充分強固に係合させる固定方法を提供することを目的としている。
上記課題を有利に解決する本発明の屋外固定物の固定方法は、屋外固定物を固定するための、ボルトを用いた固定方法において、前記ボルトの雄ねじとの間に遊びを有する寸法の貫通孔を形成した固定部材のその貫通孔に前記ボルトの腐食した部分の雄ねじを挿通し、前記固定部材の前記貫通孔に雌ねじが形成されており、前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させることで、前記ボルトに前記固定部材を係合させて前記屋外固定物を固定することを特徴とするものである。
上述した本発明の屋外固定物の固定方法によれば、固定部材の、屋外固定物を固定するためのボルトの雄ねじとの間に遊びを有する寸法であって雌ねじが形成されている貫通孔に、そのボルトの腐食した部分の雄ねじを挿通した状態で、前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて、前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させることで、前記ボルトに前記固定部材を係合させて前記屋外固定物を固定するので、雄ねじのねじ山の損耗の程度が激しい場合でも、そして前記固定部材が従来の固定部材と同様の軸線方向長さのものでも、その固定部材を容易にかつ充分強固にボルトに係合させて屋外固定物を固定することができる。
しかも、本発明の屋外固定物の固定方法においては、前記固定部材の前記貫通孔に雌ねじが形成され、前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させることで、前記ボルトに前記固定部材を係合させるので、ボルトへ固定部材の係合状態をより確実なものとすることができる。
なお、本発明の屋外固定物の固定方法においては、前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて、前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記貫通孔の内周面を係合させる際に、併せて前記雄ねじの、前記固定部材から突出している部分を切断することができ、このようにすれば、固定部材の圧縮塑性変形作業と同時にボルトの余長切断作業を行うことができる。
そして、本発明の屋外固定物の固定方法においては、前記屋外固定物は、既設スレート葺屋根上に被覆配設して固定する補修用金属製折曲げ屋根材であることができ、このようにすれば、既設スレート葺屋根上に被覆配設した補修用金属製折曲げ屋根材を強固に固定し得て、補修用金属製折曲げ屋根材が強風時に外れて飛散するのを有効に防止することができる。
本発明の屋外固定物の固定方法の一実施形態にかかるスレート葺屋根補修構造を示す断面図である。 (a),(b)および(c)は、上記実施形態の屋外固定物の固定方法で固定するクランプ金具を示す斜視図、底面図および側面図である。 上記実施形態の屋外固定物の固定方法で固定部材を圧縮塑性変形させる方法を示す説明図である。 上記実施形態の屋外固定物の固定方法で圧縮塑性変形させた固定部材をクランプ金具の一部と共に拡大して示す平面図である。 本発明の屋外固定物の固定方法の他の一実施形態にかかる太陽電池パネル取り付け構造を示す側面図である。 (a)および(b)は、図4中のA部を拡大して図4と同方向およびそれと直角な方向からそれぞれ示す断面図である。
図1に示す、本発明の屋外固定物の固定方法の一実施形態にかかるスレート葺屋根補修構造は、溝型鋼材などで構成される母屋1上にフックボルト2を介して固定されたスレート屋根材3の丸形凸部3aのうちの、上記フックボルト2の設置部分に屋根材固定用の固定金具としてのクランプ金具4を配置し、このクランプ金具4を介してその上に、屋外固定物としてのカバールーフである金属製折曲げ屋根材5を固定して、老朽化したスレート葺屋根をその上から金属製折曲げ屋根材5で覆うことにより、該スレート葺屋根の補修を行った様子を示している。
図2(a)〜(c)は、上記クランプ金具4の一例を示しており、図示のようにこのクランプ金具4は、矩形状の金属製板材を樋状に折曲することで、中央に上面部4cを設けるとともに、その上面部4cの左右側縁に対し左右傾斜部4a,4bを設け、さらにそれら左右傾斜部4a,4bの側縁に対しスレート屋根材3の丸形凸部3aの傾斜面に沿うように傾斜した左右鍔片4d,4eを設けたものである。このクランプ金具4の上面部4cの長手方向の中央部には凹部6が形成され、この凹部6の底壁には上記フックボルト2を挿通するために、幅方向に長い長円状のボルト挿通孔6aが形成されている。
また、このクランプ金具4の左右傾斜部4a,4bには、それら左右傾斜部4a,4bをエンボス加工することで内向きに窪んだ窪み部8,9が設けられており、これら窪み部8,9は、クランプ金具4をスレート屋根材3の丸形凸部3a上に載置した際に、クランプ金具4の荷重が左右鍔片4d,4eからスレート屋根材3の丸形凸部3aの傾斜面に集中して加わるのを防ぐためのものである。すなわち、これらくぼみ部8,9は左右傾斜部4a,4bの内面側では凸部を形成し、それらの凸部の下端面が左右鍔片4d,4eの下面に連なっているので、クランプ金具4の荷重は丸形凸部3aの頂部付近にも分散されることになり、例えば施工中に作業員がクランプ金具4を踏む等して荷重がかかった場合にも、スレート屋根材3が局部的に破損するおそれがなくなる。
さらに、このクランプ金具4の左右傾斜部4a,4bには、凹部6の長円状ボルト挿通孔6aに隣接する部分に、この部分を球殻状に外側に膨らませて膨出部10a,10bが設けられており、これら膨出部10a,10bは、フックボルト2の締め付け用のナット11や座金12が、芯ズレしている場合に、左右傾斜部4a,4bと干渉することがないようにするためのものである。すなわち、スレート屋根材固定用のフックボルト2が、スレート屋根材3の丸形凸部3aの頂点に対し芯ズレしていて、長円状ボルト挿通孔6aの中央でなく端部を貫通するような場合でも、該フックボルト2を締め付けているナット11や座金12が、これら膨出部10a,10b内に逃げて、左右傾斜部4a,4bと干渉することがないので、クランプ金具4をスレート屋根3上にしっかりと固定することができる。
ところで、このクランプ金具4は、上述のようにスレート屋根材3の所定位置の丸形凸部3aの、フックボルト2の設置部分上に載置されると共に、図1,2に示す如く、上記ボルト挿通孔6aに挿通されたフックボルト2と、そのフックボルト2の雄ねじ2aにその上端から挿通された固定部材7との係合によって該ストレート屋根材3上に強固に固定されて、その上面部4cに固定ねじ13等で固着された金属製折曲げ屋根材5を母屋1に固定する。すなわちフックボルト2と固定部材7とは、クランプ金具4を介して金属製折曲げ屋根材5を母屋1に固定する機能を果たすものである。
スレート屋根材3を長期間固定しているフックボルト2の雄ねじ2aは、少なくともナット11よりも先端側の部分で、屋外の風雨等に晒されて表面が腐食して、その雄ねじ寸法が細くなっている場合が多い。それゆえここにおける固定部材7は、フックボルト2のそのように腐蝕してねじ山の損耗の程度が激しい(ねじ山が殆どなくなっている)部分でもしっかりと確実に係合するように、例えば通常のナット用い、それを圧縮塑性変形させるものとする。すなわち、この固定部材7は、例えばフックボルト2の腐食前の正規の雄ねじ寸法(例えば呼び径6mmのメートル並み目ねじあるいは呼び径1/4インチ(2分)のウイットねじ)に螺合する雌ねじ寸法よりも例えば1〜2mm大径の雌ねじ7aを有する通常のフランジ付きナットとしている。
かかる固定部材7の雌ねじ7aに、この実施形態の固定方法では、図2(a)に示すように、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aを、雌ねじ7aとの間に遊びがあるため遊挿することで挿通し、次いで図3に示すように、その固定部材7を電動加締め工具21で、雌ねじ7aの半径方向内方へ圧縮塑性変形させることで、フックボルト2に固定部材7を係合させてクランプ金具4を固定し、これにより、金属製折曲げ屋根材5を母屋1に固定する。
ここで、電動加締め工具21は、図示しないモータでポンプを駆動してピストンロッド21aを液圧で進退移動させるとともに、それぞれピン22を介して揺動可能に一端部を支持した二本の腕部材23を有し、それら二本の腕部材23の中間部にそれぞれピン24を介して揺動可能に二本の連結部材25の一端部を支持し、それら二本の連結部材25の他端部をピストンロッド21aにピン26を介して連結し、それら二本の腕部材23の他端部(図では下端部)に二個の加締め爪27をそれぞれ固定してなり、二個の加締め爪27は、互いに対向する内方端部をそれぞれL字状に切り欠かれて、それらの切り欠き部に互いに対向する二つの押圧面27aを有するとともに、それらの切り欠き部に隣接する内方端部に外方およびピストンロッド21a方向へ向かって斜めに延在する二箇所の溝部27bを有している。
かかる電動加締め工具21は、図3に示すように、クランプ金具4の中央の凹部6に二個の加締め爪27を対向させて、二つの押圧面27aの間に固定部材7を位置させるとともに、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aのうち固定部材7の雌ねじ7aから突出した部分を二箇所の溝部27bの間に位置させ、上記モータでポンプを駆動してピストンロッド21aを液圧で図中矢印で示すように進出移動させると、そのピストンロッド21aの進出移動によりに二本の連結部材25のなす角が減少して二本の腕部材23が互いに接近する方向へ揺動し、これにより二個の加締め爪27が図中矢印で示すように互いに接近する方向へ移動して、二つの押圧面27aで固定部材7を押圧して圧縮塑性変形させる(加締める)とともに、二つの溝部27bの溝底の互いに対向する内方端部で、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aのうち固定部材7の雌ねじ7aから突出した部分の基部を挟み込んで切断する。
そして上記固定部材7の圧縮塑性変形の際には、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aと固定部材7の雌ねじ7aとが概ね嵌合した状態で、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aの山が食い込んで、そのフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aが強固に係合する。なお、固定部材7の圧縮塑性変形量は、雌ねじ7aの山が、雄ねじ2aの中心軸線に対し片側で例えば表面からの腐蝕深さに0.1mm〜0.5mm程度の所定食い込み深さを加えた分雄ねじ2aの谷に食い込むものとする。すなわち、固定部材7が、例えばフックボルト2の腐食前の正規の雄ねじ寸法に螺合する雌ねじ寸法より2mm大径の雌ねじ7aを有する場合は、固定部材7の圧縮塑性変形量は2mm〜3mm程度とすると、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aが強固に係合するので好ましい。
このようにしてフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aが係合した後は、電動加締め工具21のピストンロッド21aを後退移動させると、上記と逆に二個の加締め爪27が互いに離間する方向へ移動して、固定部材7を解放する。図4は、電動加締め工具21で圧縮塑性変形させてフックボルト2に係合させた固定部材7を、クランプ金具4の中央部と共に拡大して示している。
従って、この実施形態の固定方法によれば、固定部材7の、フックボルト2の雄ねじ2aに装着可能な寸法の貫通孔としてのねじ孔にフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aを挿通した状態で、固定部材7を雄ねじ2aへ向けて圧縮塑性変形させて、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7のねじ孔の内周面にある雌ねじ7aを係合させることで、フックボルト2に固定部材7を係合させて、屋外固定物としての金属製折曲げ屋根材5を母屋1に強固に固定することができるので、雄ねじ2aのねじ山の損耗の程度が激しい場合でも、そして固定部材7が従来の固定部材11と同様の軸線方向長さのものでも、その固定部材7を容易にかつ充分強固にフックボルト2に係合させて、補修用の金属製折曲げ屋根材5が強風時に外れて飛散するのを有効に防止することができる。
しかもこの実施形態の屋外固定物の固定方法によれば、固定部材7のねじ孔に雌ねじ7aが形成され、固定部材7を雄ねじ2aへ向けて圧縮塑性変形させてフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aを係合させることで、フックボルト2に固定部材7を係合させるので、フックボルト2へ固定部材7の係合状態をより確実なものとすることができる。
さらにこの実施形態の屋外固定物の固定方法によれば電動加締め工具21が、固定部材7を雄ねじ2aへ向けて圧縮塑性変形させてフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aを係合させる際に、併せて雄ねじ2aの、固定部材7から突出している部分を切断するので、固定部材7の圧縮塑性変形作業と同時にフックボルト2の余長切断作業を行うことができる。
一方、クランプ金具4の凹部6は、図1に示すように、深さが固定部材7の高さと同等もしくはそれ以上となるように形成されている。このように構成することにより、固定部材7をフックボルト2に係合させてクランプ金具4を既設のスレート屋根3上に固定した際に、固定部材7の上端が該クランプ金具4の上面部4cを越えないので、固定部材7がクランプ金具4から突出することがない。またクランプ金具4を固定部材7によってフックボルト2に固定する際に、電動加締め工具21が、フックボルト2の先端部の余長をクランプ金具4の上面部4cの高さ以下まで切断するので、フックボルト2もクランプ金具4の凹部6内に収まるようになる。
従って、この実施形態の固定方法によれば、新設の金属製折曲げ屋根材5をクランプ金具4上に載置する際に、固定部材7およびフックボルト2が金属製折曲げ屋根材5に当接することがないので、クランプ金具4の高さ程度まで金属製折曲げ屋根材5の山部高さを下げることができ、これにより、金属製折曲げ屋根板5をクランプ金具4に、その上面部4cへの固定ねじ13のねじ込み等によって直接固着することができるとともに、金属製折曲げ屋根材5に、一般に普及している屋根材(914mm幅)を使用して、補修屋根構造を全体に低く(フラットに)仕上げることができるので、葺き上げた補修屋根を安定したものとすることができる。
このような葺屋根施工によって、老朽化したスレート葺屋根は、カバールーフである新しい金属製折曲げ屋根材5によってその全面が覆われ、スレート屋根材3等の既設屋根設備を全く解体することなく補修することができるようになる。
図5は、本発明の屋外固定物の固定方法の他の一実施形態にかかる太陽電池パネル取り付け構造を示す側面図であり、この実施形態の固定方法は、既存のスレート葺屋根のスレート屋根材3を母屋1上に固定しているフックボルト2に、溝型形状の固定金具14と、それと同様の溝型形状の長尺の下地材15とを介して太陽電池パネル16を固定するものである。なお、ここで用いる固定具は、先の実施形態の固定具と同様のものである。
この実施形態の固定方法では、図6(a),(b)に拡大して示すように、開口側を上向きにした固定金具14の底部に設けたボルト挿通孔14aに、フックボルト2の、ナット11よりも先端側の腐食した部分を挿通して、その腐食した部分の雄ねじ2aを、先の実施形態におけると同様の固定部材7の雌ねじ7a内に遊挿して挿通してから、電動加締め工具21で、固定部材7を雄ねじ2aへ向けて圧縮塑性変形させることで、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aを係合させて固定金具14をフックボルト2に固定し、併せて、腐食した部分の雄ねじ2aの余長を切断する。
次いでここでは、固定金具14の開口部に開口部を対向させて固定金具14上に下地材15を配置し、固定金具14と下地材15とのフランジ同士を例えば固定ねじ13のねじ込み等によって固着させ、そしてその下地材15上に太陽電池パネル16を載置して、その下地材15に太陽電池パネル16を例えば固定ねじ13のねじ込み等によって固着させ、これにより、太陽電池パネル16を母屋1に固定する。
そして上記固定部材7の圧縮塑性変形の際には、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aと固定部材7の雌ねじ7aとが概ね嵌合した状態で、フックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aの山が食い込んで、そのフックボルト2の腐食した部分の雄ねじ2aに固定部材7の雌ねじ7aが強固に係合する。
従って、この実施形態の固定方法によれば、フックボルト2の腐食した部分に、上記固定部材7を容易にかつ充分強固に係合させて、屋外固定物としての太陽電池パネル16を母屋1に強固に固定することができるので、太陽電池パネル16が強風時に外れて飛散するのを有効に防止することができる。
以上、図示の実施形態に基づき説明したが、この発明の固定方法および固定具は、上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更することができるものであり、例えば、固定部材7が雌ねじを有して全体的に筒状をなす一方、二個の加締め爪27の押圧面27aが雄ねじ2aの軸線方向に延在する波型をなしていて、その波型の押圧面27aによる固定部材7の圧縮塑性変形により、固定部材7の内周面が波型に変形して雄ねじ2aを挟み込むようにしても良い。さらに、図2では、固定部材7はフランジ付きのものを示したが、フランジがなくても良い。
また、ボルトを用いた固定具で固定される屋外固定物は、上述した補修工法で用いる金属製折曲げ屋根材5や、新設あるいは交換した太陽電池パネル16に限られず、例えば、屋根上に設置するものでは、太陽電池パネル以外の太陽電池機器や、空調機器のクーリングタワー、アンテナ、ベンチレーター、雪止め器具等であっても良く、また建物側部に設置する壁材であっても良い。さらに、固定具のボルトは、屋根建材製品としての、金属屋根材の大波、小波や、塩化ビニール樹脂屋根材、ポリカーボネート屋根材、FRP屋根材等を固定するフックボルトであっても良い。そして、固定具のボルトは、フックボルトに限られず、部材に係合する頭部を持つ通常のボルトや、部材にねじ込み固定されるアンカーボルト等であっても良い。
かくして本発明の屋外固定物の固定方法によれば、固定部材の、屋外固定物を固定するためのボルトの雄ねじに装着可能な寸法の貫通孔に、そのボルトの腐食した部分の雄ねじを挿通した状態で、前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて、前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させることで、前記ボルトに前記固定部材を係合させて前記屋外固定物を固定するので、雄ねじのねじ山の損耗の程度が激しい場合でも、そして前記固定部材が従来の固定部材と同様の軸線方向長さのものでも、その固定部材を容易にかつ充分強固にボルトに係合させて屋外固定物を固定することができる。
1 母屋
2 フックボルト
2a 雄ねじ
3 スレート屋根材
3a スレート屋根材の丸形凸部
4 クランプ金具
4a 左傾斜部
4b 右傾斜部
4c 上面部
4d 左鍔片
4e 右鍔片
5 金属製折曲げ屋根材
6 凹部
6a ボルト挿入孔
7 固定部材
7a 雌ねじ
8,9 窪み部
10a,10b 膨出部
11 ナット
12 座金
13 固定ねじ
14 固定金具
14a ボルト挿通孔
15 下地材
16 太陽電池パネル
21 電動加締め工具
21a ピストンロッド
22,24,26 ピン
23 腕部材
25 連結部材
27 加締め爪
27a 押圧面
27b 溝部

Claims (3)

  1. 屋外固定物を固定するための、ボルトを用いた固定方法において、
    前記ボルトの雄ねじとの間に遊びを有する寸法の貫通孔を形成した固定部材のその貫通孔に前記ボルトの腐食した部分の雄ねじを挿通し、
    前記固定部材の前記貫通孔に雌ねじが形成されており、
    前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させることで、前記ボルトに前記固定部材を係合させて前記屋外固定物を固定することを特徴とする、屋外固定物の固定方法。
  2. 前記固定部材を前記雄ねじへ向けて圧縮塑性変形させて前記ボルトの腐食した部分の雄ねじに前記固定部材の前記雌ねじを係合させる際に、併せて前記雄ねじの、前記固定部材から突出している部分を切断することを特徴とする、請求項1に記載の屋外固定物の固定方法。
  3. 前記屋外固定物は、既設スレート葺屋根上に被覆配設して固定する補修用金属製折曲げ屋根材であることを特徴とする、請求項1または2に記載の屋外固定物の固定方法。
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