JP5308476B2 - 乗り物内空調ダクトクリーニング方法 - Google Patents
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Description
次に、エアランスを引き抜き、専用の蓋71,72で孔300,40で塞ぐ。そして、空調ダクト3の適当な箇所に吸引ダクトを介して集塵機8を接続し、集塵機8により空調ダクト3内に溜まった汚れを吸引して除去する(図5(3))。
具体的に説明すると、鉄道車両や飛行機等の乗り物は、高速で移動するものであり、各部は衝撃に耐え得るよう設計され、製造されている。一方、空調ダクトのクリーニングは事後的なものであり、クリーニングのために乗り物内の部材に孔開けをすることは、一般的に好ましくない。ビル等の建築物の場合、上述したようにクリーニング用の孔を開け(孔開け工事をして)、クリーニング後は専用の蓋でクリーニング用孔を塞いでいるが、高速運行する乗り物において蓋が落下しないよう、特別の配慮が必要になるし、乗り物の製造会社にとっては、そのような孔を事後的に開けること(一種の改良に当たる)は許可できないこともある。また、乗り物を運行する交通会社にとっても安全基準上認めていないか好ましくないとされる場合もある。
本願の発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、乗り物内空調ダクトクリーニングにおいて、内部の汚れを十分に除去できるようにすることを目的としたものである。
空調ダクトの内面に付着した汚れをエアランスを使用して叩き落とす叩き落とし工程と、
叩き落とし工程の後、空調ダクトに集塵機を接続し、叩き落とされた汚れを集塵機によって集めることで除去する集塵工程とより成る方法であり、
前記エアランスは、ランス本体と、ランス本体に接続した先端ホースより成るものであって、ランス本体は、屈曲した管状であって前記叩き落とし工程において屈曲形状を維持するものであり、先端ホースは、ランス本体を通して供給された圧縮空気を放出する際の反動で空調ダクトの内面を叩くものであり、
前記叩き落とし工程は、クリーニングのために孔を開けることなく空調ダクトに元々形成されている開口を通して先端ホースを空調ダクト内に位置させて汚れの叩き落としを行う工程であり、
前記叩き落とし工程は、
空調ダクトの第一の部位の内面を叩く位置に先端ホースを位置させるのに適した第一の寸法形状を持つ第一のランス本体に先端ホースを装着して当該先端ホースを空調ダクト内に位置させ、この状態で圧縮空気を供給することで先端ホースに第一の部位の内面を叩かせて当該内面に付着した汚れを落とす第一のステップと、
空調ダクトの第一の部位とは異なる第二の部位の内面を叩く位置に先端ホースを位置させるのに適した第二の寸法形状を持つ第二のランス本体に先端ホースを装着して当該先端ホースを空調ダクト内に位置させ、この状態で圧縮空気を供給することで先端ホースに第二の部位の内面を叩かせて当該内面に付着した汚れを落とす第二のステップと
を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、前記第一のステップは、前記第一の部位の内面を叩くのに適した長さを持つ第一の先端ホースを前記第一のランス本体に装着して汚れの叩き落としを行うステップであり、前記第二のステップは、前記第二の部位の内面を叩くのに適した異なる長さの第二の先端ホースを前記第二のランス本体に装着して汚れを叩き落としを行うステップであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記乗り物は、鉄道車両又は飛行機であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、前記請求項1、2又は3の構成において、前記第一のランス本体及び前記第二のランス本体は、いずれも金属製であるという構成を有する。
また、請求項2記載の発明によれば、上記効果に加え、先端ホースについても、汚れを落とす部位の位置に合わせて異なる長さのものを使用するので、汚れ除去をさらに十分に行うことができる。
まず、実施形態のクリーニング方法が実施される乗り物内空調ダクトについて説明する。図1及び図2は、本願発明の実施形態の方法によりクリーニングされる乗り物内空調ダクトの概略構成を示した図であり、図1は平面概略図、図2は側面断面概略図である。
この実施形態では、乗り物として鉄道車両が想定されており、図1及び図2に示すものは例えば都市部の在来線や地下鉄等を走る電車である。空調ダクト3は、車両の天井パネル4の裏側(上側)に設置されており、客室内からは当然見えない状態となっている。
両側板部31,32のうち、中心線Cに近い側31を中心側側板部と呼び、遠い側32を外側側板部と呼ぶ。外側側板部32は、下板部34の外側の縁から離れた位置に設けられており、外側側板部32の下縁と下板部34との間には大きな隙間がある。この隙間30は、客室内の空調用の開口(以下、ダクト開口と呼ぶ)である。ダクト開口30は、ダクトの長さ方向に延びており、やや幅の広いスリット状である。
天井パネル4には、空調ダクト3のダクト開口30の位置に合わせて同様に開口(以下、パネル開口と呼ぶ)が設けられている。上側ルーバー51は、パネル開口の縁に着脱可能に取り付けられている。上側ルーバー51の両端には、脚部61が設けられている。脚部61は、上側ルーバー51の長さ方向(空調ダクト3の長さ方向)において間隔をおいて複数設けられている。各脚部61は、パネル開口の縁にネジ止めされており、これによりパネル開口の縁に上側ルーバー51が取り付けられた状態となっている。
また、下側ルーバー52や上側ルーバー51の幅は、外側側板部32と内部仕切り部35との間隔よりも狭くなっており、下側ルーバー52や上側ルーバー51の両側には狭いスリットが形成されている。これらスリットが、客室内に送る空気の送風口となっている。尚、脚部61や連結具62は、小さい板状の部材であり、立てて設けられており、各スリットを塞がないようになっている。
また、内部仕切り部35の上端部は、図2に示すように折れ曲がっているが、その上端縁は上板部33には接触しておらず、両者の間に隙間350が形成されている。この隙間350も、長さ方向に延びたスリット状である。この隙間350を、以下、上部開口と呼ぶ。
まず、図3を使用してエアランスについて説明すると、エアランスは、ランス本体1と、ランス本体1の先端に取り付けた先端ホース2とより成っている。ランス本体1は、本実施形態では、アルミ等の金属製である。ランス本体1は、図3に示すように屈曲したものとなっている。このランス本体1は、一方の先端側の長さが長いU字(J字)状となっている。
尚、先端ホース2は上記のように柔軟なものであるが、ランス本体1は屈曲形状を維持する剛性を有するものである。但し、塑性変形可能なランス本体1を使用し、適宜の形状に変形させてから使用する場合もあり得る。とはいえ、ランス本体1は。圧縮空気の放出による汚れの叩き落としの際、形状を維持していることが最低限必要である。
次に、エアランスを空調ダクト3の第一の部位とは異なる第二の部位に適したものに変更する。例えば、エアランスとして、図3に示すL字状のランス本体1aと、中程度の長さの先端ホース2aとを選択し、ランス本体1aに先端ホース2aを接続してエアランスとする。このエアランスを上記と同様に上部開口350を通して空調ダクト3内に配置し、圧縮空気の供給源を動作させる。
同様に先端ホース2bから圧縮空気を放出させ、各先端片21を踊らせると、図4(3)に示すように、中心側側板部31の下側部分や下板部34、中心側側板部31と下板部34との隅の部分を重点的に叩くことができ、これらの部位に付着した汚れを落とすことができる。この場合も、図4(3)に矢印m3で示すように、空調ダクト3の長さ方向の軸の回りにエアランスを揺動させることで、隣接する部位についても広く汚れを落とすことができる。同様に、エアランスを空調ダクト3の長さ方向に沿って漸次移動させ、空調ダクト3の全長に亘って汚れの叩き落としを行う。尚、下板部34については、汚れを叩き落とすというよりも、付着した汚れを剥がし、集塵機で集塵し易くするという動作である。
この際、上記のように、空調ダクトの異なる部位の汚れの除去のために異なる寸法形状のランス本体1,1a,1bに先端ホース2,2a、2bを装着したエアランスを使用するので、各部位について十分に汚れの叩き落とし等を行うことができ、各部位の汚れを十分に除去することができる。この際、先端ホース2,2a,2bについても、汚れを落とす部位の位置に合わせて異なる長さのものを使用するので、汚れ除去をさらに十分に行うことができる。
この点を考慮し、本実施形態では、切り込み20によって複数の先端片21に分かれた先端ホース2を使用している。この先端ホース2は、圧縮空気の放出により踊って空調ダクト3の内面を叩く際、よりソフトに叩く状態になる。このため、強度的に弱い乗り物内空調ダクトについて変形や破損等を生じることなく、好適に汚れの除去を行うことができる。尚、先端片21が複数ある点は、より広範な領域について効率良く汚れの叩き落としを行うのに貢献している。
尚、先端ホースに設ける切り込みについては、最低二つは必要である(最低でも二つの先端片が形成されることが必要である)が、四つ、五つ、それ以上の切り込みを形成し、四つ、五つ、又はそれ以上の先端片を形成しても良い。また、先端片の長さは皆同じである必要はなく、異なる長さであっても良い。
尚、上記実施形態において、空調ダクト3は天井パネル4の裏側(上側)に設けられていたが、車両によっては客室の床の下側に設けられている場合もある。この場合も、カバーや蓋のような物を外すだけで特にクリーニング用の孔を開けることなく汚れの叩き落としが行える場合があり、このような空調ダクトについても本願発明は実施が可能である。
1a ランス本体
1b ランス本体
2 先端ホース
2a 先端ホース
2b 先端ホース
20 切り込み
21 先端片
3 空調ダクト
30 ダクト開口
31 中心側側板部
32 外側側板部
33 上板部
34 下板部
35 内部仕切り部
350 上部開口
4 天井パネル
Claims (4)
- 乗り物内に設置された空調ダクトの内面の汚れを除去する乗り物内空調ダクトのクリーニング方法であって、
空調ダクトの内面に付着した汚れをエアランスを使用して叩き落とす叩き落とし工程と、
叩き落とし工程の後、空調ダクトに集塵機を接続し、叩き落とされた汚れを集塵機によって集めることで除去する集塵工程とより成る方法であり、
前記エアランスは、ランス本体と、ランス本体に接続した先端ホースより成るものであって、ランス本体は、屈曲した管状であって前記叩き落とし工程において屈曲形状を維持するものであり、先端ホースは、ランス本体を通して供給された圧縮空気を放出する際の反動で空調ダクトの内面を叩くものであり、
前記叩き落とし工程は、クリーニングのために孔を開けることなく空調ダクトに元々形成されている開口を通して先端ホースを空調ダクト内に位置させて汚れの叩き落としを行う工程であり、
前記叩き落とし工程は、
空調ダクトの第一の部位の内面を叩く位置に先端ホースを位置させるのに適した第一の寸法形状を持つ第一のランス本体に先端ホースを装着して当該先端ホースを空調ダクト内に位置させ、この状態で圧縮空気を供給することで先端ホースに第一の部位の内面を叩かせて当該内面に付着した汚れを落とす第一のステップと、
空調ダクトの第一の部位とは異なる第二の部位の内面を叩く位置に先端ホースを位置させるのに適した第二の寸法形状を持つ第二のランス本体に先端ホースを装着して当該先端ホースを空調ダクト内に位置させ、この状態で圧縮空気を供給することで先端ホースに第二の部位の内面を叩かせて当該内面に付着した汚れを落とす第二のステップと
を有することを特徴とする乗り物内空調ダクトのクリーニング方法。 - 前記第一のステップは、前記第一の部位の内面を叩くのに適した長さを持つ第一の先端ホースを前記第一のランス本体に装着して汚れの叩き落としを行うステップであり、前記第二のステップは、前記第二の部位の内面を叩くのに適した異なる長さの第二の先端ホースを前記第二のランス本体に装着して汚れを叩き落としを行うステップであることを特徴とする請求項1記載の乗り物内空調ダクトのクリーニング方法。
- 前記乗り物は、鉄道車両又は飛行機であることを特徴とする請求項1又は2記載の乗り物内空調ダクトクリーニング方法。
- 前記第一のランス本体及び前記第二のランス本体は、いずれも金属製であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の乗り物内空調ダクトクリーニング方法。
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