JP5308358B2 - CaO−Al2O3−Fe2O3系化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CaO-Al-Fe系化合物の製造方法に関する。
CaO-Al-Fe系化合物の用途の一つとして水硬性材料がある。
近年、土木や建築分野において、コンクリート構造物の耐久性向上に対する要望が高まっている。
コンクリート構造物の劣化要因の1つとして、塩化物イオンの存在によって鉄筋腐食が顕在化する塩害があり、その塩害を抑制するための方法として、コンクリート構造物に塩化物イオン浸透抵抗性を付与する手法がある。
コンクリート硬化体の内部への塩化物イオン浸透を抑制し、塩化物イオン浸透抵抗性を与える方法としては、水/セメント比を小さくする方法が知られている(非特許文献1参照)。しかしながら、水/セメント比を小さくする方法では、施工性が損なわれるだけでなく、抜本的な対策とはならない場合があった。
また、セメントコンクリートに早強性を付与し、かつ、鉄筋の腐食を防止するなどの目的で、CaO・2Alとセッコウを主体とし、ブレーン比表面積値が8,000cm/g以上の微粉を含有するセメント混和材を使用する方法が提案されている(特許文献1参照)。
さらに、CaO/Alモル比が0.3〜0.7、ブレーン比表面積が2000〜7000cm/gのカルシウムアルミネートを含有するセメント混和材を使用し,優れた塩化物イオン浸透抵抗性を持ち,マスコンの温度ひび割れ抑制する方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、CaO/Alモル比が0.3〜0.7のカルシウムアルミネートを得るためには、CaO原料とAl原料を配合して高温で熱処理しないと得られないため、その製造方法に苦慮するものであった。また、CaO/Alモル比が0.3〜0.7のカルシウムアルミネートをセメント混和材として用いた際には、夏場の温度が高い時にはスランプロスが大きくなるという課題や、初期強度の発現性が乏しくなるという課題を有していた。
また、CaO/Alモル比が0.3〜0.7のカルシウムアルミネートは、Al成分に富んでいるため、原料コストが高いという課題も有していた。このため、原料コストと熱処理温度が高いことによる燃料コストの両方の側面から製造コストが高くなるという課題もあった。
一方、焼結アルミナが工業化されている。焼結アルミナは耐火物原料として普及している。焼結アルミナは高純度のバイヤー法アルミナを主原料として、ロータリーキルンで高温焼成して製造されている。この製造工程で集塵ダストが副生する。焼結アルミナの集塵ダストは、Al成分は約95%以上と純度は高いものの、NaO成分を約2%程度、SO成分を約1.5%程度含んでいる。このため、焼結アルミナの原料に再利用ができないものであった。また、他の用途への利用も制限され、有効な利用方法が見出されずにいた。
本発明のCaO-Al-Fe系化合物を製造するにあたり、焼結アルミナの集塵ダストを利用することも考えられるが、不純物として含まれるNaO成分がアルカリ−シリカ反応を助長する成分であることや、SO成分がCaO-Al-Fe系化合物の形成を阻害し、塩素固定化能力を低下させることから、そのまま利用することはできないものであった。
本発明者らは、鋭意努力を重ねた結果、セメント混和材として有用なCaO−Al−Fe系化合物を製造するにあたり、焼結アルミナの集塵ダストを利用することが可能な製造方法を見出した。そして、その組成を特定のCaO−Al−Fe系化合物とすることにより、熱処理温度を著しく低減でき、エネルギーコストを削減し、CO排出量も低減することに成功した。また、得られるCaO−Al−Fe系化合物はセメント混和材として有用であり、従来のCaO/Alモル比が0.3〜0.7のカルシウムアルミネートと比較して、(1)夏場のスランプロスを誘発しない、(2)セメントの初期強度発現性を阻害しない、(3)防錆効果が向上する、などの利点を有することを明らかにし、本発明を完成するに至った。
特開昭47−035020号公報 特開2005−104828号公報
岸谷孝一、西澤紀昭他編、「コンクリートの耐久性シリーズ、塩害(I)」、技報堂出版、pp.34−37、1986年5月
NaOやSOを含む焼結アルミナの集塵ダストを原料として利用しても、熱処理後のCaO-Al-Fe系化合物にNaOやSOを殆ど含まないCaO-Al-Fe系化合物の製造方法を提供するものであり、得られるCaO-Al-Fe系化合物をセメント混和材として使用すると、セメントコンクリート硬化体内部の鉄筋に優れた防錆効果を付与し、外部から侵入するセメントコンクリート硬化体への塩化物イオン浸透の遮蔽効果を有し、しかも、夏場のコンシステンシーの低下や強度発現性への悪影響も改善されたセメント混和材を提供する。
本発明は、(1)CaO原料、Al原料及びFe原料を湿式で混合粉砕し、粉砕物を造粒したものを熱処理して、CaO/Alモル比が0.2〜0.7でFeの含有量が0.5〜10質量%のCaO-Al-Fe系化合物を製造するにあたり、Al原料として焼結アルミナの集塵ダストを使用するCaO-Al-Fe系化合物の製造方法、(2)粉砕物から余剰な水分を搾り出した後、造粒する(1)のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法、(3)熱処理温度が、1400℃以上1650℃以下である(1)又は(2)のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法、(4)CaO-Al-Fe系化合物が、CaO・2Alの結晶を含有し、Fe成分の一部あるいは全部がCaO・2Alの結晶構造に固溶している(1)〜(3)のいずれかのCaO-Al-Fe系化合物の製造方法、である。
本発明のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法により、焼結アルミナの集塵ダストをAl原料として使用してもNaOやSO成分を殆ど含まないCaO-Al-Fe系化合物が得られ、未反応の原料も殆ど残らず、CaO-Al-Fe系化合物の生成反応が進行する。また、本発明の製造方法により得られたCaO-Al-Fe系化合物をセメント混和材として利用すると、従来のCaO/Alモル比が0.3〜0.7のカルシウムアルミネートと比較して、(1)夏場のスランプロスを誘発しない、(2)セメントの初期強度発現性を阻害しない、(3)防錆効果が向上する、などの効果を奏する。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本発明における部や%は、特に規定しない限り質量基準で示す。
また、本発明で云うセメントコンクリートとは、セメントペースト、セメントモルタル、及びコンクリートの総称である。
本発明のCaO-Al-Fe系化合物(以下、CFA化合物という)とは、CaO原料、Al原料、及びFe原料を混合して、キルンでの焼成や電気炉での溶融等の熱処理をして得られる、CaO、Al、Feを主成分とする化合物を総称するものである。
CFA化合物の組成は、CaO/Alモル比が0.2〜0.7でFe含有量が0.5〜10%であることが好ましく、CaO/Alモル比が0.4〜0.6がより好ましい。CaO/Alモル比が0.2未満では、塩化物イオンの遮蔽効果が充分に得られない場合があり、逆に、CaO/Alモル比が0.7を超えると急硬性が現れるようになり、可使時間が確保できない場合がある。CFA化合物にFeの含有量は、0.5〜10%が好ましく、1〜9%がより好ましく、3〜7%が最も好ましい。0.5%未満では、キルンで焼成した場合に未反応の酸化アルミニウムが多く残る可能性があり、10%を越えても効率的に反応を進行させる効果は頭うちとなり、塩化物イオン浸透抵抗性が悪くなる場合がある。
CFA化合物の製造に使用する原料について説明する。
CaO原料は、特に限定されないが、工業原料として市販されている例えば、生石灰(CaO)、消石灰(Ca(OH))、石灰石(CaCO)等の使用が挙げられる。
本発明では、Al原料として、焼結アルミナの集塵ダストを利用することを特徴とする。焼結アルミナのダストは、他のAl原料、例えば、ボーキサイトや工業用の酸化アルミニウムと比べて反応性が高く、熱処理でCFA化合物を効率良く生成するという特徴がある。その一方、焼結アルミナの集塵ダストは、製品となる焼結アルミナの成分と比べて、Al成分の純度は95%から97%と高い一方、NaO成分は約2%程度、SO成分は約1.5%程度と、高い値である。
Fe原料は、特に限定されないが、工業原料として市販されている鉄鉱石を粉砕、加工、精製したFeや鋼材洗浄廃塩酸から回収、精製して得られるFeなど如何なるものも使用可能である。また、Fe成分を比較的多く含むボーキサイト、いわゆる「赤ボーキ」をAl原料の一部に代替しても差し支えなく、むしろ、コストダウンの視点からは望ましい。
CFA化合物は、CaO原料、Al原料及びFe原料を配合し、湿式で原料を混合粉砕した後、造粒し、さらに、熱処理して得られる。
湿式で原料を混合粉砕する工程では、CaO原料、Al原料及びFe原料を配合し、合計100部に対して、水50〜100部を加えて粉砕混合することが好ましい。前記の範囲外では、粉砕効率が十分でない場合がある。
本発明では、湿式で原料を混合粉砕した後、余剰な水分を搾り出すことが好ましい。その方法は特に限定されないが、フィルタープレス、遠心分離、ろ過機などが挙げられる。ここで、本発明の余剰な水分とは、水/原料比で30%を超える水分を意味する。水/原料比で30%までの水分は、造粒工程で重要な役割を担うが、それ以上の水分はむしろ造粒の効率を悪くする場合がある。
本発明では、造粒工程は特に限定されるものではないが、例えば、ロータリードライヤー、円盤型ドラム造粒機、打錠機、押し出し成型機、プレス成型機などが挙げられる。中でも、ロータリードライヤーを選定することが、造粒効率の面からが好ましい。造粒後の形状は特に限定されないが、ロータリーキルンでの熱処理を行う際には、球形が望ましい。また、造粒物の大きさも特に限定されないが、一般的には、直径で1cm〜10cmの間にある。
本発明の熱処理方法は、特に限定されるものではない。その具体例としては、ロータリーキルンでの焼成や電気炉での熱処理が挙げられる。特に、ロータリーキルンでの熱処理が好適である。熱処理温度は原料の配合にもよるが1400℃以上が好ましく、1500℃以上がより好ましい。1400℃未満では効率良く反応が進まず未反応のAl成分が残るばかりでなく、水和活性が高く、スランプロスや偽凝結を誘発する12CaO・7Alが副生する場合がある。逆に、熱処理温度が1650℃を超えても化合物の生成反応の更なる改善は期待できない一方、消費エネルギーが大きくなり、コスト高となるばかりか、環境負荷も大きくなるため望ましくない。
CFA化合物の粉末度は、ブレーン比表面積値(以下、ブレーン値という)で2000〜7000cm/gが好ましく、3000〜6000cm/gがより好ましく、4000〜5000cm/gが最も好ましい。CA化合物が粗粒では充分な塩化物イオンの遮蔽効果が得られない場合があり、7000cm/gを超える微粉では急硬性が現れるようになり、可使時間が確保できない場合がある。
本発明では、セメントにCFA化合物を配合してセメント組成物とする。
セメントとしては、普通、早強、超早強、低熱、及び中庸熱等の各種ポルトランドセメントや、これらポルトランドセメントに、高炉スラグ、フライアッシュ、又はシリカを混合した各種混合セメント、石灰石粉末や高炉徐冷スラグ微粉末等を混合したフィラーセメント、並びに、都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰を原料として製造された環境調和型セメント(エコセメント)等のポルトランドセメントが挙げられ、これらのうちの一種又は二種以上が使用可能である。
CFA化合物をセメント混和材として使用する場合、セメント混和材の使用量は、特に限定されるものではないが、通常、セメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、1〜30部が好ましく、5〜15部がより好ましい。セメント混和材の使用量が少ないと充分な防錆効果、塩化物イオンの遮蔽効果、Caイオンの溶脱抑制効果が得られない場合があり、過剰に使用すると急硬性が現れるようになって充分な可使時間が確保できない場合があり、また、強度発現性が悪くなる場合がある。
本発明のセメント組成物の水/セメント組成物比は、25〜70%が好ましく、30〜65%がより好ましい。水の配合量が少ないと、ポンプ圧送性や施工性が低下したり、収縮等の原因となる場合があり、水の配合量が過剰では強度発現性が低下する場合がある。
本発明のCFA化合物やセメント組成物は、それぞれの材料を施工時に混合しても良いし、あらかじめ一部あるいは全部を混合しておいても差し支えない。
本発明では、セメント、CFA化合物、及び砂等の細骨材や砂利等の粗骨材の他に、膨張材、急硬材、減水剤、AE減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、増粘剤、従来の防錆剤、防凍剤、収縮低減剤、凝結調整剤、ベントナイト等の粘土鉱物、ハイドロタルサイト等のアニオン交換体、高炉水砕スラグ微粉末や高炉徐冷スラグ微粉末等のスラグ、石灰石微粉末等の混和材料からなる群のうちの一種又は二種以上を、本発明の目的を実質的に阻害しない範囲で併用することが可能である。
混合装置としては、既存の如何なる装置も使用可能であり、例えば、傾胴ミキサ、オムニミキサ、ヘンシェルミキサ、V型ミキサ、及びナウタミキサ等の使用が可能である。
以下、実施例、比較例を挙げてさらに詳細に内容を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
「実験例1」
CaO原料として市販の炭酸カルシウムを、Al原料として焼結アルミナの集塵ダストを、Fe原料として市販の酸化鉄を使用し、CFA化合物を製造した。原料のCaO/Alモル比がほぼ0.5となるように、CaO原料の炭酸カルシウムとAl原料の焼結アルミナの集塵ダストを配合し、Fe含有量が6%となるようにFe原料の酸化鉄を加えて原料とした。
これら原料を混合粉砕し、造粒し、熱処理してCFA化合物を製造した。この際、原料の混合粉砕を乾式で行った場合と、湿式で行った場合を比較検討した。乾式で混合粉砕を行った場合は、ボールミルに原料をフィードし、粉砕処理を行い、その後、パン型の回転造粒機を用いて造粒した。この際、原料の100部に対して水を20部加えた。一方、湿式で粉砕混合を行った場合は以下の条件で行った。原料100部に対して、水70部を加え、ボールミルにフィードして混合粉砕し、その後、フィルタープレス機で余剰な水分を搾りとり(水/原料比で30%)、回転ドライヤーにフィードして造粒した。
造粒後は、いずれもロータリーキルンへフィードして熱処理を行った。造粒物の大きさは、乾式、湿式ともに、最大粒径は100mm、最小粒径は10mmであった。熱処理温度は、バーナーの焼点温度で1550℃±30℃で行った。得られた焼成物を分析した結果、表1のようになった。
<使用材料>
市販の炭酸カルシウム:CaO成分:55.4%、SiO成分:0.1%、MgO成分:0.3%、強熱減量:44.1%、その他0.1%。粒度:平均粒径15μm、最大粒径150μm。
焼結アルミナの集塵ダスト:Al成分:96.3%、NaO成分:2.0%、SO成分:1.4%、強熱減量:0.2%、その他0.1%。粒度:平均粒径8μm、最大粒径100μm。
市販の酸化鉄:Fe成分:98.7%、強熱減量:1.2%。その他0.1%。粒度:平均粒径3μm、最大粒径25μm。
(試験方法)
粉末X線回折(XRD):未反応物(酸化アルミニウム)の回折ピークが明確に確認された場合を×、多少残っているようであれば△、確認されなかった場合を○とした。
Figure 0005308358
表1より、乾式で原料の混合粉砕を行った場合には、焼成物にNaO成分やSO成分が多く含まれ、未反応のAl成分の残存も認められる。
一方、湿式で原料の混合粉砕を行った場合には、焼成物にNaO成分やSO成分が殆ど含まれておらず、未反応のAl成分の存在も確認できなかった。また、焼成物はXRDではCaO・2Alの結晶構造を有していた。Fe成分はCaO・2Alの結晶構造に固溶したことをXRDで確認した。これはCaO・2Alの回折ピークのみ認められ、原料として配合したFeや、Fe成分を含有する他の化合物の生成が認められなかったためである。
「実験例2」
原料の混合粉砕を湿式で行い、Fe成分の配合量を6%に一定とし、CaO/Alモル比を表2になるように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。
ただし、CaO/Alモル比0.7のものは1400℃、CaO/Alモル比0.6のものは1450℃、CaO/Alモル比0.4のものは1500℃、CaO/Alモル比0.2のものは1550℃でそれぞれ熱処理を行った。
なお、比較例として、Fe成分を配合しない場合についても併記した。結果を表2に示す。
Figure 0005308358
表2より、CaO/Alモル比が0.2から0.7の間で変化しても、湿式で原料を混合粉砕することで、焼成物にNaO成分やSO成分が殆ど含まれておらず、未反応のAl成分の存在も確認できなかった。
一方、Fe原料を配合しないと、CFA化合物の生成反応が進行しにくく、未反応のAl成分が著しく多く確認されている。
「実験例3」
原料の混合粉砕を湿式で行い、CaO/Alモル比を0.5とし、Fe成分の配合量を表3に示すように変化したこと以外は実験例1と同様に行った。バーナーの焼点温度は1550℃で熱処理を行った。結果を表3に示す。
Figure 0005308358
表3より、鉄分を含有することで未反応物のアルミナが残らずエネルギー的に効率良く合成することが可能であることが分かる。
なお、鉄分を加えない場合、CaO/Alモル比0.7のものは1500℃、CaO/Alモル比0.6のものは1550℃、CaO/Alモル比0.4のものは1600℃、CaO/Alモル比0.2のものは1650℃以上で焼成することで未反応の酸化アルミニウムの回折ピークが消失した。
「実験例4」
Al原料の違いについて検討した。Al原料としてボーキサイトを使用したこと以外は実験例1と同様に行った。原料のCaO/Alモル比がほぼ0.5となるように、CaO原料の炭酸カルシウムとAl原料を配合し、Fe含有量がほぼ6質量%となるようにFe原料の酸化鉄を加えて原料とした。この原料を湿式で混合粉砕し、造粒し、熱処理してCFA化合物を製造した。結果を表4に示す。
<使用材料>
ボーキサイト:Al成分:89.4%、SiO成分:4.0%、Fe成分:1.8%、MgO成分:0.2%、TiO成分:3.7%、NaO成分:0.1%、KO成分:0.5%、強熱減量:0.3%、粒度:5mm下。
Figure 0005308358
表4より、ボーキサイトを使うと未反応の酸化アルミニウムの回折ピークが確認されるが、焼結アルミナの集塵ダストを使うと未反応の酸化アルミニウムの回折ピークは認められないことが分かる。
「実験例5」
CFA化合物のセメント混和材としての性能を評価した。表5に示すCFA化合物をブレーン比表面積で3000±300cm/gに粉砕してセメント混和材とした。
Figure 0005308358
セメントとセメント混和材からなるセメント組成物100部中、セメント混和材を7部配合してセメント組成物を調製し、水/セメント組成物比0.5のモルタルをJIS R 5201に準じて調製した。このモルタルを用いて、防錆効果、圧縮強さ、コンシステンシーを調べた。結果を表5に併記する。
(使用材料)
セメント:普通ポルトランドセメント、市販品
細骨材:JIS R 5201で使用する標準砂
水:水道水
(評価方法)
防錆効果:モルタルに内在塩化物イオンとして、10kg/mとなるように塩化物イオンを加え、丸鋼の鉄筋を入れて50℃に加温養生することによる促進試験で防錆効果を確認した。鉄筋に錆が発生しなかった場合は良、1/10の面積以内で錆が発生した場合は可、1/10の面積を超えて錆が発生した場合は不可とした。
圧縮強さ:JIS R 5201に準じて材齢1日と28日圧縮強さを測定。
コンシステンシー:JIS R 5201に準じてモルタルフローを測定した。なお、モルタルは夏場を想定して35℃で練り上げ、練り直後と、90分経過後について測定し、流動性の低下の度合いを調べた。
Figure 0005308358
表6より、焼結アルミナの集塵ダストを使い、原料調整の工程で混合粉砕を行う際に乾式で行ったセメント混和材は、防錆効果が十分でなく、圧縮強度は低く、コンシステンシーの経時変化も大きいことが分かる。また、Fe成分を配合せずに製造されたセメント混和材や、ボーキサイトを原料として製造したセメント混和材は、コンシステンシーの経時変化も大きいことが分かる。
一方、湿式で混合粉砕を行いFe成分を配合して製造されたセメント混和材は、良好な防錆効果を示し、圧縮強度の増進も良好で、コンシステンシーへの悪影響もないことが分かる。
本発明のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法により、焼結アルミナの集塵ダストをAl原料として使用してもNaOやSO成分を殆ど含まないCaO-Al-Fe系化合物が得られ、未反応の原料も殆ど残らず、CaO-Al-Fe系化合物をセメント混和材として利用すると、(1)夏場のスランプロスを誘発しない、(2)セメントの初期強度発現性を阻害しない、(3)防錆効果が向上する、などの効果を奏するので、広範な分野で使用可能である。

Claims (4)

  1. CaO原料、Al原料及びFe原料を湿式で混合粉砕し、粉砕物を造粒したものを熱処理して、CaO/Alモル比が0.2〜0.7でFeの含有量が0.5〜10質量%のCaO-Al-Fe系化合物を製造するにあたり、Al原料として焼結アルミナの集塵ダストを使用することを特徴とするCaO-Al-Fe系化合物の製造方法。
  2. 粉砕物から余剰な水分を搾り出した後、造粒することを特徴とする請求項1に記載のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法。
  3. 熱処理温度が、1400℃以上1650℃以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法。
  4. CaO-Al-Fe系化合物が、CaO・2Alの結晶を含有し、Fe成分の一部あるいは全部がCaO・2Alの結晶構造に固溶していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のCaO-Al-Fe系化合物の製造方法。
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