以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するフローチャート図である。
図2(a)及び図2(b)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
図3は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を例示する模式図である。
図4は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
図5は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。すなわち、図5は、図4のA1−A2線断面図である。
以下、図3〜図5を参照しつつ、実施形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成の概要について説明する。
図3に表したように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110は、メモリ部MUと、制御部CUと、を有する。
メモリ部MUは、第1配線WR1と、第2配線WR2と、メモリセルMCと、を有する。
第2配線WR2は、第1配線WR1の延在方向に対して非平行な方向に延在する。本具体例では、第1配線WR1の延在方向と、第2配線WR2の延在方向と、は互いに直交している。第1配線WR1は、例えばX軸方向に沿って延在し、第2配線WR2は、例えば、X軸方向に対して垂直なY軸方向に沿って延在する。X軸方向とY軸方向とに対して垂直な方向をZ軸方向とする。
第1配線WR1は、例えば複数設けられる。すなわち、複数の第1配線WR1のそれぞれは、X軸方向に沿って延在し、複数の第1配線WR1はY軸方向に沿って並ぶ。第2配線WR2は複数設けられる。すなわち、複数の第2配線WR2のそれぞれは、Y軸方向に沿って延在し、複数の第2配線WR2はX軸方向に沿って並ぶ。
第1配線WR1は、例えばビット線BLとされる。第2配線WR2は、例えばワード線WLとされる。但し、本実施形態はこれに限らず、第1配線WRをワード線WLとし、第2配線WR2をビット線BLとしても良い。すなわち、以下において、第1配線WR1と第2配線WR2とは互いに入れ替えが可能である。以下では、第1配線WRがビット線BLであり、第2配線WR2がワード線WLである例として説明する。
ここで、複数のビット線BLは、例えば、第1〜第mビット線BL1〜BLm(ここで、mは2以上の整数)を含む。複数のワード線WLは、例えば、第1〜第nワード線WLn(ここで、nは2以上の整数)を含む。
第1配線WR1及び第2配線WR2には、熱に強く、抵抗の低い材料を用いることが望ましい。第1配線WR1及び第2配線WR2には、例えば、W、WSi、NiSi及びCoSiの少なくともいずれかが用いられる。
図3及び図4に表したように、メモリセルMCは、第1配線WR1と第2配線WR2との交差部に設けられる。すなわち、複数のメモリセルMCのそれぞれは、複数の第1配線WR1と、複数の第2配線WR2と、のそれぞれの交差部に設けられる。具体的には、複数のメモリセルMCのそれぞれは、複数の第1配線WR1のそれぞれと、複数の第2配線WR2のそれぞれと、の間に設けられる。例えば、Z軸方向に沿って、第1配線WR1と、メモリセルMCと、第2配線WR2と、が積層される。
なお、本願明細書において、「積層」とは、直接重ねられる場合の他、他の要素を間に挟んで重ねられる場合も含む。
なお、図3においては、簡単のために、ビット線BL(例えば第1配線WR1)が3本例示され、ワード線WL(例えば第2配線WR2)が3本例示されているが、既に説明したように、ビット線BL及びワード線WLの数は任意である。
図5に表したように、メモリセルMCは、抵抗変化層VRを含む。すなわち、複数のメモリセルMCのそれぞれは、抵抗変化層VRを含む。抵抗変化層VRにおいては、第1配線WR1と第2配線WR2とを介して印加される電圧及び通電される電流の少なくともいずれかによって、抵抗が変化する。すなわち、抵抗変化層VRの抵抗は、第1配線WR1と第2配線WR2とを介して印加される印加される電圧及び通電される電流の少なくともいずれかに基づいて変化する。
メモリセルMCは、第1電極EL1、第2電極EL2及び第3電極EL3をさらに含むことができる。本具体例では、第1電極EL1は、例えばワード線WLと電気的に接続され、第3電極EL3は、例えばビット線BLに電気的に接続され、第2電極EL2は、第1電極EL1と第3電極EL3との間に設けられる。例えば、抵抗変化層VRは、第1電極EL1と第2電極EL2との間に設けられる。第1電極EL1及び第2電極EL2は、例えば、バリアメタル及び接着層として機能することができる。
メモリセルMCは、例えば、第2電極EL2と第3電極EL3との間に設けられた整流素子DIをさらに含む。本具体例では、整流素子DIは、第2電極EL2の側(ワード線WLの側)に配置された第1半導体層D1と、第3電極EL3の側(ビット線BLの側)に配置された第3半導体層D3と、第1半導体層D1と第2半導体層D2との間に配置された第2半導体層D2と、を含む。例えば、第1半導体層D1は、高不純物濃度のn形半導体層(n+層)であり、第2半導体層D2は、第1半導体層D1よりも不純物濃度が低いn形半導体層(n−層)であり、第3半導体層D3は、高不純物濃度のp形半導体層(p+層)である。このように、本具体例においては、整流素子DIは、pn接合ダイオードが用いられているが、整流素子DIには、ショットキーダイオードなどの任意の構成を適用することができる。
このように、メモリセルMCは、互いに直列に接続された抵抗変化層VRと整流素子DIとを含むことができる。なお、本具体例では、抵抗変化層VRがワード線WLの側に設けられ、整流素子DIがビット線BLの側に設けられているが、抵抗変化層VRがビット線BLの側に設けられ、整流素子DIがワード線WLの側に設けられても良い。また、本具体例では、ワード線WLの側に第1半導体層D1が配置され、ビット線BLの側に第3半導体層D3が配置されているが、ワード線WLの側に第3半導体層D3が配置され、ビット線BLの側に第1半導体層D1が配置されても良い。以下では、ワード線WLの側に第1半導体層D1が配置され、ビット線BLの側に第3半導体層D3が配置されている場合として説明する。
第2電極EL2には、例えば、仕事関数を考慮して、W、WN、TaN、TaSiN、TaSi2、TiN、TiC、TaC、及び、Nb−TiO2等を用いることができる。
第1電極EL1及び第3電極EL3には、例えば、Pt、Au、Ag、TiAlN、SrRuO、Ru、RuN、Ir、Co、Ti、TiN、TaN、LaNiO、Al、PtIrOx、PtRhOx、W、及び、Rh/TaAlN等を用いることができる。さらに、第1電極EL1及び第3電極EL3には、第2電極EL2の材料と同じ材料を用いることもできる。
また、メモリセルMCは、例えば、抵抗変化層VRにおける配向性を一様にするようなメタル膜をさらに含むこともできる。また、メモリセルMCは、上記以外のバッファ層、バリアメタル層及び接着層等をさらに含むこともできる。
なお、上記において、第1〜第3電極EL1〜EL3は必要に応じて設けることができ、場合によっては省略することが可能である。
抵抗変化層VRにおいては、例えば、印加される電圧によって、電流エネルギー、熱エネルギー及び化学エネルギーの少なくともいずれかを介して、抵抗変化層VRの抵抗値が変化する。すなわち、抵抗変化層VRは、第1抵抗値を有する第1状態(高抵抗状態)と、第1抵抗値よりも低い第2抵抗値を有する第2状態(低抵抗状態)と、を有する。ここで、第1状態(高抵抗状態)から第2状態(低抵抗状態)に移行する動作をセット動作と言い、第2状態(低抵抗状態)から第1状態(高抵抗状態)に移行する動作をリセット動作と言うことにする。
抵抗変化層VRの構成の例については後述する。
図4及び図5においては省略されているが、ビット線BLどうしの間、ワード線WLどうしの間、及び、メモリセルMCどうしの間のそれぞれには、層間絶縁膜が設けられる。
図3に表したように、制御部CUは、第1配線WR1と第2配線WR2とに接続される。制御部CUは、第1配線WR1と第2配線WR2とに印加される電圧を制御して、抵抗変化層VRに、上記の抵抗変化のための電圧及び電流の少なくともいずれかを供給する。
そして、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110においては、制御部CUは、抵抗変化層VRを、第1抵抗値を有する第1状態から、第1抵抗値よりも低い第2抵抗値を有する第2状態に変化させるセット動作において、第1配線WR1にセット動作電圧を印加する際に、第1配線WR1の電位の変化に基づいて第1配線WR1に供給される電流の上限値を増やす。
なお、既に説明したように、第1配線WR1がワード配線WLでも良いが、以下では、第1配線WR1はビット線BLである場合として説明するが。すなわち、制御部CUは、セット動作において、ビット線BLにセット動作電圧を印加する際に、ビット線BLの電位の変化に基づいてビット線BLに供給される電流の上限値を増やす。
例えば、図1に表したように、制御部CUは、ビット線BL(第1配線WR1)の電位を検出しつつ、電流を所定の上限値に制限しつつ、電流をビット線BL(第1配線WR1)に供給する(ステップS110)。
そして、制御部CUは、検出された電位の絶対値が予め定められた基準値(例えば第1基準値)にまで低下したら、電流の上限値を増やす(ステップS120)。
図2(a)は、検出されたビット線BLの電位(ビット線電位V_BL)の変化を例示しており、図2(b)は、ビット線BLに供給される電流の上限値(電流上限値Icomp)の変化を例示している。これらの図の横軸は時間tであり、図2(a)の縦軸は、ビット線電位V_BLであり、図2(b)の縦軸は電流上限値Icompである。これらの図において、第2時刻t02は、第1時刻t01よりも後の時刻であり、第3時刻t03は、第2時刻t02よりも後の時刻であり、第4時刻t04は、第3時刻t03よりも後の時刻であり、第5時刻t05は、第4時刻t04よりも後の時刻であり、第6時刻t06は、第5時刻t05よりも後の時刻であり、第7時刻t07は、第6時刻t06よりも後の時刻である。
ビット線電位V_BLの検出及び電流上限値Icompの設定は制御部CUによって行われる。以下では、説明を簡単にするために、ビット線BL及びワード線WL等の配線の抵抗による電圧降下は無視して説明する。
なお、第1時刻t01以前において、抵抗変化層VRは高抵抗状態の第1状態であるとする。
図2(a)に表したように、例えば、第1時刻t01よりも前においては、ビット線BLは、非選択電圧VNSELに設定されており、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VNSELである。そして、第1時刻t01において、ビット線BLに、選択電圧VSELを有するセット電圧Vsetが印加される。選択電圧VSELが、セット動作電圧に相当する。
本具体例では、選択電圧VSELは、基準電位に対して正極性の電圧であり、非選択電圧VNSELも基準電位に対して正極性の電圧である場合として説明する。または、非選択電圧VNSELは、基準電位と同じ電位である。選択電圧VSELは、非選択電圧VNSELよりも高い電圧である。すなわち、選択電圧VSELの絶対値は、非選択電圧VNSELの絶対値よりも大きい。
このように、第1時刻t01において、ビット線BLに選択電圧VSELを有するセット電圧Vsetが印加されることで、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VNSELから上昇し、第2時刻t02において、ビット線電位V_BLは、選択電圧VSELに到達する。本具体例では、選択電圧VSELは第1電圧V1である。
図2(b)に表したように、第1時刻t01よりも前、及び、第1時刻t01以降において、電流上限値Icompは、第1値IL1に設定されている。すなわち、選択電圧VSELを有するセット電圧Vsetがビット線BLに印加され、電流が電流上限値Icompに制限された状態で、ビット線BLに電流が供給される。そして、この電流が、抵抗変化層VRに通電される。そして、この電流の供給と同時に、ビット線電位V_BLが検出される。
そして、例えばこの電流の通電によって抵抗変化層VRの抵抗が第1状態(高抵抗状態)から、第2状態(低抵抗状態)に向けて変化する。
すなわち、図2(a)に表したように、第3時刻t03において抵抗変化層VRの抵抗が低下する。このとき、ビット線BLに流れる電流が電流上限値Icompに制限されているため、ビット線電位V_BLは、抵抗変化層VRの抵抗の減少に伴って、低下する。
このビット線電位V_BLの低下は検出されており、第4時刻t04において、検出されたビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)にまで低下する。
このとき、図2(b)に表したように、制御部CUは、検出されたビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)にまで低下したとき(第4時刻t04)に、電流上限値Icompを増やす。本具体例では、制御部CUは、第1値IL1から、第1値IL1よりも大きい第2値IL2に向けて、電流上限値Icompを増やす。本具体例では、第4時刻t04から電流上限値Icompが増大され、第5時刻t05において、電流上限値Icompは第2値IL2に到達する。
これにより、ビット線電位V_BLは、第4時刻t04以降において上昇し、例えば第5時刻t05において、一定値(この例では第2電圧V2)に到達する。第2電圧V2は第1電圧V1と同じでも良く、また、第1電圧V1と異なっても良い。ビット線BLに流れる電流が第2値IL2で制限されている場合には、第2電圧V2は第1電圧V1よりも小さな値となる。
なお、図2(a)に例示したように、抵抗変化層VRにおける抵抗値の変化が極めて速い場合には、第4時刻t04から第5時刻t05の間の非常に短い期間において、ビット線電位V_BLは基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)よりも小さい値を取り得る。そして、ビット線電位V_BLはその値から上昇する。
そして、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された状態で、電流がビット線BLに供給され、例えば予め定められた時間の経過に伴って、第6時刻t06において、ビット線BLへの電流の供給の終了動作が実施される。すなわち、第6時刻t06において、セット電圧Vsetは例えば非選択電圧VNSELに設定され、ビット線電位V_BLは、若干の時間遅れを経て、第7時刻t07において、非選択電圧VNSELに戻る。
このように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110においては、電流上限値Icompが第1値IL1に設定された第1の電流供給(ステップS110)と、ビット線電位V_BLが、基準値VREFにまで低下して、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された第2の電流供給(ステップS120)と、が実施される。これにより、セット動作の制御性が向上できる。
図6は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を例示する回路図である。
すなわち、同図は、不揮発性記憶装置110に含まれる回路の構成を例示している。
図6に表したように、制御部CUは、例えば、電流発生部IGUと、ビット線電位検出部BLSUと、スイッチ部SWUと、を含む。
電流発生部IGUは、例えば、カレントミラー回路IGU1と、電流源IREFと、第1トランジスタTr1と、第2トランジスタTr2と、を含む。
第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とは直列に接続され、第1トランジスタTr1の電流経路の一端が、第1ノードにおいて、電流源IREFに接続されている。第2トランジスタTr2の電流経路のうちの第1トランジスタTr1とは反対側の端子は、例えば低電位に設定される。
カレントミラー回路IGU1は、第1〜第4カレントミラートランジスタCTr1〜CTr4を含む。第1カレントミラートンランジスタCTr1と第2カレントミラートランジスタCTr2とは直列に接続される。第3カレントミラートンランジスタCTr3と第4カレントミラートランジスタCTr4とは直列に接続される。カレントミラー回路IGU1においては、第1カレントミラートンランジスタCTr1及び第2カレントミラートランジスタCTr2の電流経路に流れる電流に応じた電流が、第3カレントミラートンランジスタCTr3及び第4カレントミラートランジスタCTr4の電流経路に流れる。第4カレントミラートランジスタCTr4の電流経路のうちの第3カレントミラートランジスタCTr3とは反対の側の電流経路が、カレントミラー回路IGU1の出力となる。
第1ノードN1と接続された第2ノードN2に、カレントミラー回路IGU1の第2カレントミラートランジスタCTr2の電流経路の一端に接続されている。
カレントミラー回路IGU1の第3カレントミラートランジスタCTr3の一端には、選択電圧VSELが印加される。第2トランジスタTr2の動作によって、カレントミラー回路IGU1のカレントミラー比が制御される。
電流発生部IGUの出力(カレントミラー回路IGU1の出力)は、スイッチ部SWUを介してビット線BLに接続される。
スイッチ部SWUの第3ノードN3に電流発生部IGUの出力(カレントミラー回路IGU1の出力)線が接続され、電流発生部IGUの出力(カレントミラー回路IGU1の出力)線はビット線BLと電気的に接続される。なお、ビット線BLの電位がビット線電位V_BLである。ワード線WLには、ワード線信号V_WLが入力される。
スイッチ部SWUは、例えば、第3トランジスタTr3を含む。第3トランジスタTr3の電流経路の一端は、第3ノードN3とビット線BLとの間の第4ノードN4に接続される。第3トランジスタTr3の電流経路のうちの第4ノードN4とは反対側の端子には、電圧VUBLが印加される。第3トランジスタTr3のゲートには、放電信号Vg_disが入力される。
ビット線電位検出部BLSUは、例えば、比較回路OPAMPと、パルス制御回路PCUと、を含む。比較回路OPAMPの1つの端子は、第3ノードN3に電気的に接続され、比較回路OPAMPのその端子にはビット線BLの電位を反映した信号NSENが入力される。比較回路OPAMPの別の端子は、基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)に設定される。比較回路OPAMPの出力は、パルス制御回路PCUに入力される。パルス制御回路PCUの出力である第1検出信号G_DET1に基づく信号が、第2トランジスタTr2のゲートに入力される。なお、第1検出信号G_DET1は、例えばピークホールド回路(図示しない)を経由して第2トランジスタTr2のゲートに入力されることが望ましい。ここで、第2トランジスタTr2のゲートに入力され、第1検出信号G_DET1に基づく信号を、電流制御信号Vg_CMとする。
このようにして、制御部CUにおいて、ビット線電位検出部BLSUによるビット線電位V_BLの検出結果に基づく第1検出信号G_DET1を反映した電流制御信号Vg_CMが、電流発生部IGUの第2トランジスタTr2のゲートに入力される。これにより、カレントミラー回路IGU1のカレントミラー比が制御され、その結果、電流発生部IGUからビット線BLに供給される電流の電流上限値Icompが制御される。すなわち、図1及び図2に関して説明した動作が、制御部CUにおいて実施される。
図7(a)〜図7(e)は、第1の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
すなわち、これらの図は、図6に例示した制御部CUに含まれる各要素の、セット動作における電位の関係を例示しておいる。これらの図の横軸は時間tである。
図7(a)の縦軸は、ビット線電位V_BLであり、図7(b)の縦軸は、電流上限値Icompであり、図7(c)の縦軸は、ワード線信号V_WLであり、図7(d)の縦軸は、電流制御信号Vg_Cmであり、図7(e)の縦軸は、放電信号Vg_disである。
図7(c)に表したように、第1時刻t01よりも前の時刻t00よりも前において、ワード線信号V_WLは低電圧V_WLLとされている。時刻t00において、ワード線信号V_WLは、低電圧V_WLLから高電圧V_WLHに向けて変化する。そして、第1時刻t01よりも前にワード線信号V_WLは高電圧V_WLHに到達し、高電圧V_WLHに維持される。第2時刻t02よりも後で第3時刻t03よりも前に、ワード線信号V_WLは、低電圧V_WLLに戻る。
図7(d)に表したように、電流制御信号Vg_CMは、第1時刻t01において、低電圧Vg_CMLに設定されている。一方、本具体例では、図7(e)に表したように、放電信号Vg_disは、常に低電圧Vg_disLに設定されている。
図7(a)に表したように、第1時刻t01において、ビット線BLに、選択電圧VSELを有するセット電圧Vsetが印加され、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VNSELから上昇し、第2時刻t02において、ビット線電位V_BLは、選択電圧VSELに達する。本具体例では、選択電圧VSELは第1電圧V1とされている。なお、選択電圧VSEL(第1電圧V1)として、例えば5.5ボルト(V)以上、6.0V以下の電圧が用いられる。
図7(b)に表したように、電流上限値Icompが第1値IL1に設定されている状態で、電流が抵抗変化層VRに通電される。そして、この電流の通電によって抵抗変化層VRの抵抗が第1状態(高抵抗状態)から、第2状態(低抵抗状態)に向けて低下し、図7(a)に表したように、第3時刻t03において、ビット線電位V_BLは、抵抗変化層VRの抵抗の減少に伴って、低下し始める。
このビット線電位V_BLの低下が比較回路OPAMPによって検出され、第4時刻t04において、ビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)にまで低下する。基準値VREFとしては、例えば、5V程度が用いられる。
これにより、図7(d)に表したように、時刻t04において、電流制御信号Vg_CMは、低電圧Vg_CMLから高電圧Vg_CMHに向けて変化する。
これにより、図7(b)に表したように、電流上限値Icompが増大する。本具体例では、第1値IL1から、第1値IL1よりも大きい第2値IL2に向けて、電流上限値Icompが増大する。
これにより、図7(a)に表したように、ビット線電位V_BLは、第4時刻t04以降において上昇し、例えば第5時刻t05において、第2電圧V2に到達する。なお、第2電圧V2は第1電圧V1と同じでも良く、また、第1電圧V1と異なっても良い。
そして、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された状態で、電流がビット線BLに供給され、例えば予め定められた時間の経過に伴って、第6時刻t06において、ビット線BLへの電流の供給の終了動作が実施される。すなわち、第6時刻t06において、セット電圧が例えば非選択電圧VNSELに設定され、ビット線電位V_BLは、若干の時間遅れを経て、第7時刻t07において、非選択電圧VNSELに戻る。
その後、第8時刻t08において、電流制御信号Vg_CMは、高電圧Vg_CMHから低電圧Vg_CMLに向けて変化し始め、第9時刻t09において、低電圧Vg_CMLに到達する。これにより、電流上限値Icompは、第2値IL2から第1値IL1に向けて変化し始め、第9時刻t09において、初期の第1値IL1に戻る。
このようにして、図6に例示した回路構成によって、ビット線BLの電位(ビット線電位V_BL)の変化に基づいてビット線BLに供給される電流の上限値(電流上限値Icomp)が増大される。これにより、セット動作の制御性が向上できる。
すなわち、不揮発性記憶装置110においては、電流上限値Icompが第1値IL1に設定された第1の電流供給の後に、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された第2の電流供給が行われる。すなわち、セット動作において、ビット線電位V_BLは、第1時刻t01から上昇し始め、第2時刻t02から第3時刻t03まで実質的に一定で、第3時刻t03から低下し、第4時刻t04以降において再び上昇し、第5時刻t05から第6時刻t06まで実質的に一定で、第6時刻t06から低下し始め、第7時刻t07で低下し終わる。すなわち、ビット線電位V_BLの波形は、第1時刻t01から第4時刻t04までの1つ目のパルスと、第4時刻t04から第7時刻t07までの2つ目のパルスと、の2つのパルスの波形を含む。1つ目のパルスと2つ目のパルスは連続している。
このように、第1の電流供給と第2の電流供給とを組み合わせて実施することで、安定な低抵抗状態が実現できる。例えば、不安定な低抵抗状態を安定な低抵抗状態に変化させることができる。また、例えば、不安定な低抵抗状態をスクリーニングし、安定な低抵抗状態だけを残すことができると考えられる。
図8は、比較例の不揮発性記憶装置の構成を例示する回路図である。
すなわち、比較例の不揮発性記憶装置119に含まれる回路の構成を例示している。
図8に表したように、比較例においては、ビット線電位検出部BLSUによるビット線BLの電位の検出結果に基づく第1検出信号G_DET1が、電流発生部IGUの第2トランジスタTr2のゲートに入力されない。そして、第1検出信号G_DET1が、スイッチ部SWUの第3トランジスタTr3のゲートに放電信号Vg_disとして入力される。
図9(a)〜図9(e)は、比較例の不揮発性記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
すなわち、これらの図は、図8に例示した制御部CUに含まれる各要素の、セット動作における電位の関係を例示している。これらの図の横軸は時間tである。
図9(d)に表したように、電流制御信号Vg_CMは低電圧Vg_CMLで、一定である。このため、カレントミラー回路IGU1のカレントミラー比が一定である。
このため、図9(b)に表したように、比較例の不揮発性記憶装置119においては、電流上限値Icompは一定であり、電流上限値Icompは値IL91に設定されている。
図9(c)に表したように、不揮発性記憶装置119においても、時刻t90において、ワード線信号V_WLは、低電圧V_WLLから高電圧V_WLHに変化する。
図9(a)に表したように、第1時刻t91において、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VNSELから上昇し、第2時刻t92において、ビット線電位V_BLは選択電圧VSELに到達する。そして、抵抗変化層VRの抵抗の減少に基づいて、第3時刻t93において、ビット線電位V_BLは低下し始める。
ビット線電位V_BLの低下が比較回路OPAMPによって検出され、第4時刻t94において、ビット線電位V_BLが基準値VREFにまで低下する。
図9(d)に表したように、第4時刻t94において、ビット線電位V_BLの低下に基づいて、放電信号Vg_disが、低電圧Vg_disLから高電圧Vg_disHに変化する。これにより、電流発生部IGUから供給される電流は、第3トランジスタTr3を経由して流れ、ビット線BLには供給されない。そして、例えば、ビット線BLの電荷も、第3トランジスタTr3を経由して放電される。
このため、図9(a)に表したように、第4時刻t94から、ビット線電位V_BLは、急激に低下し、第5時刻t95において、非選択電圧VNSELに戻る。
そして、その後、第6時刻t96において、放電信号Vg_disは、高電圧Vg_disHから低電圧Vg_disLに戻る。
すなわち、図9(a)に例示したように、不揮発性記憶装置119においては、セット動作における電流の供給が、1回である。すなわち、セット動作において、ビット線電位V_BLは、第1時刻t91から上昇し始め、第2時刻t92から第3時刻t93まで実質的に一定で、第3時刻t93から低下し始め、第5時刻t95で低下し終わる。すなわち、ビット線電位V_BLの波形は、第1時刻t91から第5時刻t05までの1つパルスの波形だけを有している。
このような動作が実施される比較例の不揮発性記憶装置119においては、セット動作において低抵抗状態が不安定な場合があり、セット動作の制御性が低い場合がある。
これに対し、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110においては、第1の電流供給と、電流上限値Icompを増やした第2の電流供給と、を組み合わせることで、安定な低抵抗状態が実現でき、セット動作の制御性が向上する。
このように、第1の電流供給と第2の電流供給とを行うことでセット動作の制御性を向上させる構成は、以下のような実験結果に基づいて構築された。
図10は、不揮発性記憶装置に関する実験結果を例示するグラフ図である。
すなわち、同図は、メモリセルMCにセットパルスを印加するセット動作と、リセットパルスを印加するリセット動作を実施したときのメモリセルMCに流れる電流Icellを測定した結果を示す図である。
この実験では、セットパルスとして、図7(a)に例示した、2つのパルスを有する波形を用いた。すなわち、セットパルスとして、第1時刻t01から第4時刻t04までの時間が1マイクロ秒(μs)以下で、電圧が4.5Vの1つ目のパルスと、第4時刻t04から第7時刻t07までの時間が1μsで、電圧が3.5Vの2つ目のパルスと、が連続してメモリセルMCに印加された。そして、リセットパルスとしては、時間幅が10μsで、電圧が4Vのパルスが用いられた。すなわち、同図は、実施形態に係る不揮発性記憶装置110の動作に対応する。
そして、電流Icellが0.2μA以下の状態がオフ電流Ioffの状態(高抵抗状態)とされ、電流Icellが0.6μA以上の状態がオン電流Ionの状態(低抵抗状態)とされた。そして、低抵抗状態と高抵抗状態との間の相互のスイッチングが繰り返し行われた。すなわち、電流Icellがオフ電流Ioffの状態のときには、セットパルスが印加され、電流Icellがオン電流Ionの状態になるまで、セットパルスが繰り返して印加された。そして、電流Icellがオン電流Ionの状態のときには、リセットパルスが印加され、電流Icellがオフ電流Ioffの状態になるまで、リセットパルスが繰り返して印加された。
図10の横軸は、印加したパルスの数(パルス数Npls)である。
図10において、セットパルス印加期間Psにおいては、電流Icellがオン電流Ionよりも小さい状態であり、オン電流Ion以上の状態になるまで、セットパルスが繰り返して印加された。すなわち、セットパルス印加期間Psは、セット動作が実施されている期間に相当する。一方、リセットパルス印加期間Prにおいては、電流Icellがオフ電流Ioffよりも大きい状態であり、オフ電流Ioff以下の状態になるまで、リセットパルスが繰り返して印加された。すなわち、リセットパルス印加期間Prは、リセット動作が実施されている期間に相当する。
本実験においては、メモリセルMCの抵抗変化層VRとして、ZnMn2O4が用いられた。抵抗変化層VRの厚さは、5nmであり、抵抗変化層VRの厚さ方向に対して垂直な平面で切断したときの面積は、50nm×50nmである。
図10に表したように、セット動作において、2つの連続したパルス波形を用いた本実験では、セットパルス印加期間Psは短い。すなわち、セットパルスの印加の回数(パルス数Npls)が2回〜4回と、少ないセットパルスの印加の回数(パルス数Npls)で、メモリセルMCが低抵抗状態に移行した。すなわち、セット動作におけるセットパルスの再印加の回数が少ない。
また、セット状態(低抵抗状態)における電流Icellは均一であり、パルス数Nplsに係わらずほぼ一定の値を示した。
また、リセット動作においても、リセットパルスの印加の回数(パルス数Npls)が20回〜30回と、比較的少ないリセットパルスの印加の回数(パルス数Npls)で、メモリセルMCが高抵抗状態に移行した。すなわち、リセット動作におけるリセットパルスの再印加の回数も少ない。
図11は、不揮発性記憶装置に関する別の実験結果を例示するグラフ図である。
この実験では、セットパルスとして、図9(a)に例示した1つのパルスを有する波形を用いた。すなわち、セットパルスとして、第1時刻t91から第5時刻t95までの時間が2μs以下で、電圧が4.5Vの1つのパルスが、メモリセルMCに印加された。すなわち、図11に結果を例示した実験は、比較例の不揮発性記憶装置119の動作に対応する。そして、1つのセットパルスの時間が、図10に結果を例示した実験に対して2倍に設定された。なお、本実験においては、リセットパルスは、図10に結果を例示した実験と同じとされた。
このときも、セットパルス印加期間Ps(すなわちセット動作)においては、オン電流Ionの状態になるまで、セットパルスが繰り返して印加された。そして、リセットパルス印加期間Pr(すなわちリセット動作)においては、オフ電流Ioffの状態になるまで、リセットパルスが繰り返して印加された。本実験におけるメモリセルMCの構成は、図10に例示した実験のメモリセルMCの構成と同じである。
図11に表したように、セット動作において、1つのパルス波形を用いた実験においては、セットパルス印加期間Psが非常に長い。すなわち、セット動作においては、セットパルスの印加の回数が50回と、非常に多いセットパルスの印加の回数で、メモリセルMCが低抵抗状態に移行した。すなわち、セット動作におけるセットパルスの再印加の回数が非常に多い。
また、セット状態(低抵抗状態)における電流Icellは不均一であり、大きくばらついた。
また、リセット動作においても、リセットパルスの印加の回数(パルス数Npls)が約100回と、多いリセットパルスの印加の回数(パルス数Npls)で、メモリセルMCが高抵抗状態に移行した。すなわち、リセット動作におけるリセットパルスの再印加の回数も多かった。
このように、1つのパルス波形のセットパルスでセット動作を行う場合は、低抵抗状態に移行し難く、また、低抵抗状態における電流Icellが大きくばらつき、セット動作の制御性が悪い。また、低抵抗状態から高抵抗状態に移行させるリセット動作も困難であった。
これに対し、図10に関して説明したように、2つのパルス波形(第1の電流供給及び第2の電流供給)を用いるセット動作を行う場合は、低抵抗状態に移行し易い。また、低抵抗状態における電流Icellが均一にできる。また、リセット動作も容易であった。
また、別の実験で、複数のパルスを抵抗変化層VRに印加して高抵抗状態から低抵抗状態に移行させる場合に、移行の直前の抵抗変化層VRの電流が比較的小さい状態から低抵抗状態に移行する、すなわち、電流値が一度に大きく増大する場合と、移行の直前の抵抗変化層VRの電流が比較的大きい状態から低抵抗状態に移行する、すなわち、複数のパルスの印加によって電流値が徐々に増大する場合と、があることが分かった。そして、電流値が徐々に増大する場合(移行の直前の抵抗変化層VRの電流が大きい場合)においては、電流値が一度に大きく増大する場合(移行の直前の抵抗変化層VRの電流が大きい場合)に比べて、リセット動作が容易になることが分かった。
この別の実験結果は、図11に比べて図10におけるリセット動作が容易である上記の実験結果と符合する。
なお、図9に例示したように、1つのパルス波形のセットパルスでセット動作を行う場合は、低抵抗状態に近い抵抗状態になった場合においても抵抗変化層VRに有効に電圧を印加するために、電流上限値Icompを予め大きく設定する必要があり、低抵抗状態に過度にセットされてしまい易くなる。これに対し、本実施形態においては、2つのパルス波形のセットパルスでセット動作を行うため、適正な電流上限値Icompを用いることができ、過度なセットが抑制できる。
このように、2つのパルス波形(第1の電流供給及び第2の電流供給)を用いるセット動作を行うことにより、セット動作及びリセット動作を含む動作の制御性が向上できる。
なお、本実施形態に係る不揮発性記憶装置110においては、制御部CUは、ビット線BLにセット動作電圧を印加する際に、ビット線電位V_BLを検出し、ビット線電位V_BLの変化に基づいてビット線BLに供給される電流上限値Icompを増やす。すなわち、電流上限値Icompが相対的に小さい第1値IL1に制限された第1の電流供給と、電流上限値Icompが相対的に大きい第2値IL2に制限された第2の電流供給と、が連続的に行われる。
一方、電流上限値Icompが相対的に小さい第1値IL1に制限された第1の電流供給を行い、この後ベリファイ動作を行ってメモリセルMCの状態を検出した後、その結果に基づいて、電流上限値Icompを相対的に大きい第2値IL2に制限して第2の電流供給を行うことも考えられる。しかし、この場合には、第1の電流供給と、第2の電流供給と、の間に、ベリファイ動作が行われるため、1つのセット動作の時間が長くなる。
これに対し、本実施形態においては、ビット線電位V_BLを検出しつつ、ビット線BLに流れる電流を電流上限値Icomp(第1値IL1)に制限しつつ、電流をビット線BLに供給する第1の電流供給と、検出されたビット線電位V_BLの絶対値が予め定められた基準値VREF(第1基準値VREF1)にまで低下したら、電流上限値Icompを増やした第2の電流供給と、が連続的に行われるため、1つのセット動作の時間を短縮できる利点がある。
なお、第1の電流供給(第1値IL1の電流上限値Icompに電流を制限した電流の供給)のときに、ビット線BLに印加するセット動作電圧(選択電圧VSELであり、図1に例示した第1電圧V1)の絶対値に比べて、第2の電流供給(第2値IL2の電流上限値Icompに電流を制限した電流の供給)のときに、ビット線BLに印加するセット動作電圧(図1に例示した第2電圧V2)の絶対値の方が小さいことが望ましい。ビット線BLに流れる電流が第2値IL2で制限されている場合には、第2電圧V2は第1電圧V1よりも小さな値となる。さらに、選択電圧VSELを低下させることにより、第2電圧V2を第1電圧V1よりも小さくすることも可能である。
すなわち、セット電圧の値を第1電圧V1から第2電圧V2に低下することで、過度に大きい電圧がメモリセルMCに印加されることが抑制できる。すなわち、メモリセルMCに印加されるストレスを小さく保つことができる。これにより、例えば不揮発性記憶装置の信頼性が向上できる。
すなわち、制御部CUは、ビット線BLの電位(ビット線電位V_BL)の変化に基づいて、セット動作電圧V(選択電圧VSEL)の絶対値を減少することができる。
なお、本実施形態において、例えば、キャパシタを用い、キャパシタに蓄積された電荷をビット線BLに供給し、ビット線BLに電圧を印加する動作を用いても、同様な効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置120も、メモリ部MUと、制御部CUと、を備える。メモリ部MUの構成は、不揮発性記憶装置110と同様とすることができるので説明を省略する。以下では不揮発性記憶装置120における制御部CUと、その動作について説明する。
図12は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を例示する回路図である。
すなわち、同図は、不揮発性記憶装置120に含まれる回路の構成を例示している。
図12に表したように、不揮発性記憶装置120における制御部CUも、電流発生部IGUと、ビット線電位検出部BLSUと、スイッチ部SWUと、を含む。
電流発生部IGUは、カレントミラー回路IGU1と、電流源IREFと、第1トランジスタTr1と、第2トランジスタTr2と、を含む。そして不揮発性記憶装置120においては、カレントミラー回路IGU1の第2カレントミラートランジスタCTr2のゲートと、第4カレントミラートランジスタCTr4のゲートと、の間にスイッチSWが設けられている。スイッチSWには、ビット線電位検出部BLSUによるビット線電位V_BLの検出結果に基づく第2検出信号G_DET2が入力される。第1検出信号G_DET1は1回目の検出信号であり、第2検出信号G_DET2は2回目の検出信号である。スイッチSWに入力される信号の状態によって、第2カレントミラートランジスタCTr2のゲートと、第4カレントミラートランジスタCTr4のゲートと、の電気的な接続が開閉可能となっている。
一方、スイッチ部SWUの第3トランジスタTr3のゲートへ入力される放電信号Vg_disに、ビット線電位検出部BLSUによるビット線BLの検出結果に基づく第2検出信号G_DET2が、反映可能となっている。
上記以外は、不揮発性記憶装置120における制御部CUの構成は、不揮発性記憶装置110と同様とすることができるので説明を省略する。
図13(a)〜図13(e)は、第2の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
時刻t00、第1時刻t01〜第6時刻t06における動作は、図7(a)〜図7(e)に関して説明したのと同様である。
すなわち、図13(e)に表したように、放電信号Vg_disは、低電圧Vg_disLに設定されている。
そして、時刻t00、第1時刻t01〜第6時刻t06においては、カレントミラー回路IGU1のスイッチSWが閉状態であり、第2カレントミラートランジスタCTr2のゲートと、第4カレントミラートランジスタCTr4のゲートと、が電気的に接続されている。
このため、電流上限値Icompが第1値IL1に設定されている状態で、第1時刻t01において、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VNSELから上昇し、第2時刻t02において、ビット線電位V_BLは、非選択電圧VSEL(本具体例では第1電圧V1)に到達する。そして、第3時刻t03において、ビット線電位V_BLは、抵抗変化層VRの抵抗の減少に伴って低下し始め、第4時刻t04において、ビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第1基準値VREF1)にまで低下する。そして、時刻t04において、電流制御信号Vg_CMが、低電圧Vg_CMLから高電圧Vg_CMHに向けて変化し、電流上限値Icompが第2値IL2に増大する。これにより、ビット線電位V_BLは、第4時刻t04以降において上昇し、例えば第5時刻t05において第2電圧V2に到達する。
その後、図13(a)に表したように、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された状態で、ビット線BLに電流が供給され、抵抗変化層VRの抵抗がさらに減少する。これにより、第6時刻t06において、ビット線電位V_BLが、低下し始める。
このビット線電位V_BLの低下が比較回路OPAMPによって検出され、第10時刻t10において、ビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第2基準値VREF2)にまで低下する。なお、本具体例では、第2基準値VREF2は第1基準値VREF1と同じに設定されているが、第2基準値VREF2は第1基準値VREF1よりも大きくても良く、第1基準値VREF1よりも小さくても良い。
ビット線電位V_BLが、基準値VREFまで2回目に低下した第10時刻t10において、放電信号Vg_disに、2回目の検出信号である第2検出信号G_DET2が反映される。
すなわち、図13(e)に表したように、第10時刻t10において、放電信号Vg_disは、低電圧Vg_disLから高電圧Vg_disHに向けて上昇する。そして、第10時刻t10において、ビット線電位V_BLの検出結果に基づく第2検出信号G_DET2がスイッチSWに入力され、スイッチSWが開状態となり、第2カレントミラートランジスタCTr2のゲートと、第4カレントミラートランジスタCTr4のゲートと、の間の電気的な接続が遮断される。
これにより、図13(a)に表したように、第10時刻t10において、ビット線BLへの電流の供給の終了動作が実施される。すなわち、第10時刻t10において、ビット線電位V_BLは、第10時刻t10から急激に低下し、第11時刻t11において、非選択電圧VNSELとなる。
そして、図13(e)に表したように、第11時刻t11よりも後の第12時刻t12において、放電信号Vg_disは、低電圧Vg_disLとなる。
その後、第8時刻t08において、電流制御信号Vg_CMは、高電圧Vg_CMHから低電圧Vg_CMLに向けて変化し始め、第9時刻t09において、低電圧Vg_CMLに到達する。これにより、電流上限値Icompは、第2値IL2から第1値IL1に向けて変化し始め、第9時刻t09において、初期の第1値IL1に戻る。
このように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置120においては、制御部CUは、第1の実施形態に関して説明した、第1の電流供給(第1値IL1の電流上限値Icompに電流を制限した電流の供給)と、第2の電流供給(第2値IL2の電流上限値Icompに電流を制限した電流の供給)と、を行い、第2の電流供給の際に、ビット線電位V_BLをさらに検出し、ビット線電位V_BLが、絶対値が予め定められた基準値VREF(第2基準値VREF2)にまで低下したら、ビット線BLに印加する電圧を低下する(ビット線BLに例えば非選択電圧VNSELを印加する)。
このように、不揮発性記憶装置120においては、制御部CUは、セット動作の際に、電流の上限値(電流上限値Icomp)を増やした後(第4時刻t04の後)に、ビット線BLの電位(ビット線電位V_BL)の変化に基づいて、ビット線BLに印加される電圧を、電流上限値Icompを増やす前に印加した電圧(例えば第1の電流供給の際の電圧)の絶対値よりも小さい絶対値を有する電圧(例えば非選択電圧)に変更する。なお、後者の電圧(例えば非選択電圧)の絶対値は、第2の電流供給の際の電圧の絶対値よりも小さい。
このように、不揮発性記憶装置120においては、制御部CUは、セット動作の際に、電流の上限値を増やした後(第4時刻t04の後)に、ビット線BLの電位の変化に基づいて電流の供給の終了動作を実施する。
これにより、メモリセルMCに過度のパルスが印加されることが抑制できる。これにより、セット状態(低抵抗状態)をより精度良く制御することができる。
(第3の実施の形態)
第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置130の構成は、不揮発性記憶装置110と同様とすることができるので説明を省略する。以下では不揮発性記憶装置130の動作について説明する。
図14(a)及び図14(b)は、第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置の動作を例示するタイミングチャート図である。
本実施形態に係る不揮発性記憶装置130において、第1時刻t01から第6時刻t06よりも前の動作は、図2に例示した不揮発性記憶装置110の動作と同様なので説明を省略し、第6時刻t06以降の動作について説明する。
図14(a)に表したように、電流上限値Icompが第2値IL2に増大された状態で、ビット線BLに電流が供給され、抵抗変化層VRの抵抗がさらに減少する。これにより、第6時刻t06において、ビット線電位V_BLが、低下し始める。
このビット線電位V_BLの低下が比較回路OPAMPによって検出され、第10時刻t10において、ビット線電位V_BL(の絶対値)が予め定められた基準値VREF(例えば第2基準値VREF2)にまで低下する。なお、第2基準値VREF2は第1基準値VREF1よりも大きくても良く、第1基準値VREF1よりも小さくても良い。
そして、第10時刻t10において、電流上限値Icompがさらに増大される。
すなわち、図14(b)に表したように、第10時刻t10において、電流上限値Icompは、第2値IL2から、第2値IL2よりも大きい第3値IL3に向けて増大する。そして、第13時刻t13において、電流上限値Icompは、第3値IL3に到達する。
そして、図14(a)に表したように、ビット線電位V_BLは、第10時刻t10以降において上昇し、例えば第13時刻t13において、第3電圧V3に到達する。このとき、第3電圧V3が第2電圧V2よりも小さくなるように、選択電圧VSELを小さくしても良い。これにより、セット動作の制御性がより向上する。そして、例えば、予め定められた時間の経過に伴って、第14時刻t14において、セット電圧Vsetが例えば非選択電圧VNSELに設定され、ビット線電位V_BLは、若干の時間遅れを経て、第15時刻t15において、非選択電圧VNSELに戻る。
このように、本実施形態に係る不揮発性記憶装置130においては、電流上限値Icompが第1値IL1に設定された第1の電流供給(ステップS110)と、ビット線電位V_BLが基準値VREF(第1基準値VREF1)にまで低下して電流上限値Icompが第2値IL2に増大された第2の電流供給(ステップS120)と、ビット線電位V_BLが基準値VREF(第2基準値VREF2)にまで低下して電流上限値Icompが第3値IL3に増大された第3の電流供給と、が実施される。これにより、セット動作の制御性がさらに向上できる。
このように、制御部CUは、セット動作の際に、電流の上限値(電流上限値Icomp)を増やした後(第4時刻t04の後)に、ビット線BLの電位(ビット線電位V_BL)の変化に基づいて、電流の上限値(電流上限値Icomp)を変更する。例えば、電流の上限値(電流上限値Icomp)を増やす。すなわち、制御部CUは、第4時刻t04において電流上限値Icompを増大した後に、第10時刻t10において電流上限値Icompを変更する。例えば、電流上限値Icompを増やす。
例えば、制御部CUは、電流上限値Icompを例えば第2値IL2に増やしたときにビット線電位V_BLを検出し、電流上限値Icompを第2値IL2に増やしたときにおいて検出されたビット線電位V_BLの絶対値が予め定められた基準値(例えば第2基準値VREF2)値にまで低下したら、電流上限値Icompをさらに増やす。例えば、電流上限値Icompを、第2値IL2よりも大きい第3値IL3に増やす。
また、第1の電流供給と、第2の電流供給と、上記の第3の電流供給と、に加え、任意の回数の電流供給を実施しても良い。すなわち、2以上の整数nにおいて、ビット線電位V_BLの変化に基づいて、電流上限値Icompが第(n−1)値IL(n−1)よりも大きい第n値ILnに設定された第nの電流供給を、n回実施しても良い。
なお、本実施形態に係る動作と、第2実施形態に係る動作と、を組み合わせて実施しても良い。すなわち、ビット線電位V_BLの変化に基づいて、電流上限値Icompが第(n−1)値IL(n−1)よりも大きい第n値ILnに設定された第nの電流供給をn回実施した後、ビット線電位V_BLが予め定められた基準値まで低下したら、ビット線BLに印加される電圧を、セット動作電圧Vの絶対値よりも小さい絶対値を有する電圧(例えば非選択電圧VNSEL)に変更することができる。すなわち、ビット線電位V_BLの変化に基づいて、電流上限値Icompが第(n−1)値IL(n−1)よりも大きい第n値ILnに設定された第nの電流供給をn回実施した後、ビット線電位V_BLが予め定められた基準値まで低下したら、電流の供給の終了動作を実施する。
以下、実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成の例について説明する。以下では、不揮発性記憶装置として、第1の実施形態に関して説明した不揮発性記憶装置110として説明するが、以下の説明は、第2及び第3の実施形態に係る不揮発性記憶装置120及び130にも適用できる。
図15は、実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を例示するブロック図である。
図15に表したように、不揮発性記憶装置110にメモリ部MUと制御部CUとが設けられる。
既に説明したように、メモリ部MUは、複数のビット線BLと、複数のワード線WLと、それらの間に設けられるメモリセルMCと、を含むことができる。メモリセルMCは、抵抗変化層VRを含む。すなわち、メモリ部MUは、マトリクス状に配置されたメモリセルMCを含むメモリセルアレイを含む。
制御部CUは、例えば、カラム制御回路302、ロウ制御回路303、データ入出力バッファ304、アドレスレジスタ305、コマンド・インタフェース306、ステートマシン307及びパルスジェネレータ309を含む。
カラム制御回路302は、例えば、メモリ部MUのビット線BLを制御し、メモリセルMCのデータの消去、メモリセルMCへのデータの書き込み、及び、メモリセルMCからのデータの読み出しを行う。データの書き込みは、例えば、セット動作に対応し、データの消去は、例えば、リセット動作に対応する。
ロウ制御回路303は、例えば、メモリ部MUのワード線WLを選択し、メモリセルMCのデータの消去、メモリセルMCへのデータの書き込み、及び、メモリセルMCからのデータ読み出しに必要な電圧をワード線WLに印加する。
データ入出力バッファ304は、例えば、不揮発性記憶装置110の外部のホスト(図示しない)に、I/O線312を介して接続される。データ入出力バッファ304は、書き込みデータの受け取り、消去命令の受け取り、読み出しデータの出力、アドレスデータやコマンドデータの受け取りを行う。データ入出力バッファ304は、受け取った書き込みデータをカラム制御回路302に送り、カラム制御回路302から読み出したデータを受け取って外部に出力する。
外部からデータ入出力バッファ304に供給されたアドレスは、アドレスレジスタ305を介してカラム制御回路302及びロウ制御回路303に送られる。
また、外部のホストからデータ入出力バッファ304に供給されたコマンドは、コマンド・インタフェース306に送られる。
コマンド・インタフェース306は、外部のホストから供給される外部制御信号311を受け取る。コマンド・インタフェース306は、データ入出力バッファ304に入力されたデータが書き込みデータかコマンドかアドレスかを判断し、コマンドであれば受け取りコマンド信号としてステートマシン307に転送する。
ステートマシン307は、不揮発性記憶装置110の動作の管理を行う。ステートマシン307は、カラム制御回路302、ロウ制御回路303、データ入出力バッファ304、コマンド・インタフェース306及びパルスジェネレータ309に、内部制御信号313を供給する。ステートマシン307は、例えば、外部のホストからのコマンドをコマンド・インタフェース306を介して受け付け、読み出し、書き込み、消去、及び、データの入出力管理等を行う。また、外部のホストは、ステートマシン307が管理するステータス情報を受け取り、動作結果を判断することも可能である。また、このステータス情報は、書き込み及び消去の制御にも利用される。
ステートマシン307によってパルスジェネレータ309が制御される。この制御により、パルスジェネレータ309は、任意の電圧、及び、任意のタイミングを有するパルスを出力することが可能である。
パルスジェネレータ309から出力されるパルスは、カラム制御回路302で制御された任意の配線(ビット線BL)、及び、ロウ制御回路303で選択された任意の配線(ワード線WL)へ供給されることが可能である。
なお、制御部CUは、例えばシリコン基板上に設けることができ、制御部CUの上にメモリ部MUが設けられる。これにより、不揮発性記憶装置110のチップ面積を、メモリ部MUの面積に実質的に同じにすることができる。
図16は、実施形態に係る不揮発性記憶装置の構成を例示する回路である。
なお、同図においては、簡単のために、3本のビット線BLと、3本のワード線WLと、に関して描かれているが、ビット線BLの数と、ワード線WLの数と、は任意である。
図16に表したように、ビット線BL(第1〜第3ビット線BL1〜BL3)と、ワード線WL(第1〜第3ワード線WL1〜WL3)と、の交差部に、メモリセルMC(メモリセルMC11、MC12、M13、MC21、MC22、M23、MC31、MC32、M33など)が設けられる。メモリセルMCのそれぞれにおいては、抵抗変化層VRと整流素子DIとが直列に接続されている。
ビット線BLのそれぞれは、カラム側選択回路302aに接続されている。カラム側選択回路302aは、カラム制御回路302に含まれる。また、ワード線WLのそれぞれは、ロウ側選択回路303aに接続されている。ロウ側選択回路303aは、ロウ制御回路303に含まれる。
カラム側選択回路302aは、例えば、ビット線BL毎に設けられた、ビット線側選択PMOSトランジスタQP0及びビット線側選択NMOSトランジスタQN0の組みを含む。ビット線側選択PMOSトランジスタQP0のゲートは、ビット線側選択NMOSトランジスタQN0のゲートと共通接続されている。ビット線側選択PMOSトランジスタQP0のドレインは、ビット線側選択NMOSトランジスタQN0のドレインと共通接続されている。
ビット線側選択PMOSトランジスタQP0のソースは、高電位電源Vccに接続されている。ビット線側選択NMOSトランジスタQN0のソースは、ビット線側ドライブセンス線BDSに接続される。ビット線側ドライブセンス線BDSは、書き込みパルスを供給すると共に、データ読み出し時に検出すべき電流を供給する。
ビット線側選択PMOSトランジスタQP0及びビット線側選択NMOSトランジスタQN0の共通ドレインは、ビット線BLに接続される。ビット線側選択PMOSトランジスタQP0及びビット線側選択NMOSトランジスタQN0の共通ゲートには、ビット線BLのそれぞれを選択するビット線選択信号BLS(第1〜第3ビット線選択信号BLS1〜BLS3)が供給される。
ロウ側選択回路303aは、例えば、ワード線WL毎に設けられた、ワード線側選択PMOSトランジスタQP1及びワード線側選択NMOSトランジスタQN1の組みを含む。ワード線側選択PMOSトランジスタQP1のゲートは、ワード線側選択NMOSトランジスタQN1のゲートと共通接続されている。ワード線側選択PMOSトランジスタQP1のドレインは、ワード線側選択NMOSトランジスタQN1のドレインと共通接続されている。
ワード線側選択PMOSトランジスタQP1のソースは、ワード線側ドライブセンス線WDSに接続されている。ワード線側ドライブセンス線WDSは、書き込みパルスを供給すると共に、データ読み出し時に検出すべき電流を供給する。ワード線側選択NMOSトランジスタQN1のソースは、低電位電源Vssに接続されている。
ワード線側選択PMOSトランジスタQP1及びワード線側選択NMOSトランジスタQN1の共通ドレインは、ワード線WLに接続される。ワード線側選択PMOSトランジスタQP1及びワード線側選択NMOSトランジスタQN1の共通ゲートには、ワード線WLのそれぞれを選択するワード線選択信号WLS(第1〜第3ワード線選択信号WLS1〜WLS3)が供給されている。
なお、以上の構成は、メモリセルMCが個別に選択されるのに適した例である。
一方、選択されたワード線WLにつながる複数のメモリセルMCのデータを一括で読み出す場合には、例えば、ビット線BLのそれぞれに対して個別にセンスアンプが配置され、ビット線BLのそれぞれは、ビット線選択信号BLSで、カラム側選択回路302aを介して、個別にセンスアンプに接続される構成を採用することもできる。
図17は、実施形態に係る別の不揮発性記憶装置の一部の構成を例示する模式的斜視図である。
図18は、実施形態に係る別の不揮発性記憶装置の一部の構成を例示する模式的断面図である。すなわち、図18は、図17のA1−A2線断面図である。
図17及び図18に表したように、実施形態に係る不揮発性記憶装置111におけるメモリ部MUは、互いに積層された複数の要素メモリ層MAを有する。複数の要素メモリ層MAは、例えばZ軸方向に沿って積層される。本具体例では、4つの要素メモリ層MA、すなわち、第1〜第4要素メモリ層MA1〜MA4が設けられているが、要素メモリ層MAの数は、任意である。
要素メモリ層MAのそれぞれは、第1配線WR1と、第2配線WR2と、第1配線WR1と第2配線WR2との間に設けられた抵抗変化層VRを含むメモリセルMCと、を有する。
すなわち、第1要素メモリ層MA1は、第1層ビット線BLL1(ビット線BL11、BL12及びBL13を含む)と、第1層ワード線WLL1(ワード線WL11、WL12及びWL13を含む)と、第1層メモリセルMC1と、を含む。
第2要素メモリ層MA2は、第2層ビット線BLL2(ビット線BL21、BL22及びBL23を含む)と、第1層ワード線WLL1(ワード線WL11、WL12及びWL13を含む)と、第2層メモリセルMC2と、を含む。
第3要素メモリ層MA2は、第2層ビット線BLL2(ビット線BL21、BL22及びBL23を含む)と、第2層ワード線WLL2(ワード線WL21、WL22及びWL23を含む)と、第3層メモリセルMC3と、を含む。
第4要素メモリ層MA4は、第3層ビット線BLL3(ビット線BL31、BL32及びBL33を含む)と、第2層ワード線WLL2(ワード線WL21、WL22及びWL23を含む)と、第4層メモリセルMC4と、を含む。
このように、不揮発性記憶装置111においては、Z軸方向に沿って隣接する要素メモリ層MAにおいて、ビット線BLまたはワード線WLが共有される。ただし、実施形態はこれに限らない。例えば、Z軸方向に沿って隣接する要素メモリ層MAどうしの間に層間絶縁膜が設けられ、要素メモリ層MAのそれぞれに、ビット線BL及びワード線WLが設けられても良い。この場合、要素メモリ層MAのそれぞれにおけるビット線BLの延在方向及びワード線WLの延在方向は任意である。
要素メモリ層MAのそれぞれにおける構成には、不揮発性記憶装置110に関して説明した構成が適用できる。要素メモリ層MAのそれぞれにおける動作には、不揮発性記憶装置110、120及び130に関して説明した動作が適用できる。
なお、図18に示した例では、要素メモリ層MAのそれぞれにおける抵抗変化層VRと整流素子DIの積層順が同じであるが、抵抗変化層VRと整流素子DIの積層順は任意である。例えば、Z軸方向に沿って隣接する要素メモリ層MAにおいて、抵抗変化層VRと整流素子DIの積層順が反転されても良い。
また、例えば、カラム制御回路302及びロウ制御回路303は、複数の要素メモリ層MAのそれぞれに設けてもよく、複数の要素メモリ層MAにおいて共有されても良い。
図19は、実施形態に係る不揮発性記憶装置における抵抗変化層の動作を例示する模式的断面図である。
図19に表したように、実施形態に係る不揮発性記憶装置の抵抗変化層VRは、高抵抗状態HRSと、低抵抗状態LRSと、を有する。
抵抗変化層VRは、例えば、少なくとも2種類の陽イオン元素を有する複合化合物を含む。例えば、陽イオン元素の少なくとも1種類は、電子が不完全に満たされたd軌道を有する遷移元素であって、隣接する陽イオン元素間の最短距離が、0.32nm以下とされる。
例えば、抵抗変化層VRは、例えば、化学式AxMyXzで表される化合物を含む。この化学式において、「A」と「M」と「X」とは、互いに異なる元素を示す。抵抗変化層VRは、例えばスピネル構造(AM2O4)、イルメナイト構造(AMO3)、デラフォサイト構造(AMO2)、LiMoN2構造(AMN2)、ウルフラマイト構造(AMO4)、オリビン構造(A2MO4)、ホランダイト構造(AxMO2)、ラムスデライト構造(AxMO2)、及び、ぺロブスカイト構造(AMO3)等の結晶構造を持つ材料を含む。
抵抗変化層VRには、例えば、「A」がZnであり、「M」がMnであり、「X」がOであるZnMn2O4が用いられる。
図19に表したように、抵抗変化層VRには、拡散イオン71(例えばZn)、陰イオン73(例えばO)、遷移元素イオン72(例えばMn)を含む化合物層80が用いられる。
高抵抗状態HRSから低抵抗状態LRSに移行させるセット動作SOにおいては、以下が実施される。すなわち、高抵抗状態HRSにおいて、第1電極層CL1を基準電位に設定し、第2電極層CL2に基準電位よりも低い負の電圧を印加すると、抵抗変化層VRの中の拡散イオン71の一部が第2電極層CL2の側に移動し、抵抗変化層VR内の拡散イオン71が陰イオン73に対して相対的に減少する。第2電極層CL2の側に移動した拡散イオン71は、第2電極層CL2から電子を受け取り、メタルとして析出し、メタル層MLを形成する。抵抗変化層VRの内部では、陰イオン73が過剰となり、結果的に抵抗変化層VR内の遷移元素イオン72の価数が上昇する。これにより、抵抗変化層VRは、キャリアの注入による電子伝導性を有する状態となり、低抵抗状態LRSに移行する。
低抵抗状態LRS(例えば書き込み状態)を高抵抗状態HRS(例えば消去状態)に移行させるリセット動作ROは、例えば抵抗変化層VRに大電流を充分な時間で流しジュール熱によって抵抗変化層VRを加熱し、抵抗変化層VRにおいて酸化還元反応を促進することで実施できる。また、セット動作SOとは逆向きの電界を印加する、すなわち、例えば第2電極層CL2に正の電圧を印加することで、リセット動作ROを実施することもできる。
なお、抵抗変化層VRの抵抗状態を検出する情報の再生動作(読み出し動作)に関しては、抵抗変化層VRに含まれる材料が抵抗変化を起こさない程度の微小な電流値を流しつつ、抵抗変化層VRの抵抗状態を検出することで実施される。
図20は、実施形態に係る別の不揮発性記憶装置における抵抗変化層の動作を例示する模式的断面図である。
図20に表したように、実施形態に係る別の不揮発性記憶装置の抵抗変化層VRは、第1化合物層81と、第1化合物層81と積層された第2化合物層82と、を含む。
第1化合物層81は、例えば第1電極層CL1の側に設けられ、第2化合物層82は、例えば第2電極層CL2の側に設けられる。
第1化合物層81は、例えば、化学式AxM1yX1zで表記される化合物を含む。この化学式において、「A」と「M1」と「X1」とは、互いに異なる元素を示す。
第2化合物層82は、第1化合物層81に含まれる陽イオン元素を収容できる空隙サイト75を有している。
本具体例では、第1化合物層81においては、「A」が拡散イオン71のMgで、「M1」が遷移元素イオンのMnで、「X1」が陰イオンのOとされている。
第2化合物層82は、遷移元素イオン72のTiと、陰イオン73の酸素と、を含み、第2化合物層82には空隙サイト75が設けられる。
なお、本具体例では、第1化合物層81が1つで、第2化合物層82が1つの場合が例示されているが、上記のような第1化合物層81と第2化合物層82の少なくともいずれかが複数設けられて、これらの層が積層されても良い。
このような抵抗変化層VRにおいて、第1化合物層81が陽極側、第2化合物層82が陰極側となるように、第1電極層CL1及び第2電極層CL2に電位を与え、抵抗変化層VRに電位勾配を発生させると、第1化合物層81内の拡散イオン71の一部が抵抗変化層VR中を移動し、第2化合物層82内に進入する。第2化合物層82中には、拡散イオン71を収容できる空隙サイト75が設けられているため、第1化合物層81の側から移動してきた拡散イオン71は、この空隙サイト75に収まる。このため、第1化合物層81内の遷移元素イオン74の価数が上昇し、第2化合物層81内の遷移元素イオン72の価数が減少する。
すなわち、高抵抗状態HRSにおいては、抵抗変化層VRは、例えば、Mg2+Mn3+ 2O2− 4+αTi4+ 2O2− 4で表される状態を有しており、低抵抗状態LRSにおいては、抵抗変化層VRは、αMg4+ 2O2− 4+Mg2+Ti3+ 2O2− 4で表される状態を有する。なお、ここで、上記の化学式における「α」は空隙サイトを指す。
例えば、第1化合物層81の抵抗状態及び第2化合物層82の抵抗状態が高抵抗状態HRSであるとき、上記のような電位を与えて第1化合物層81内の拡散イオン71の一部を第2化合物層82内に移動させることにより、第1化合物層81及び第2化合物層82の結晶中に伝導キャリアが発生し、第1化合物層81及び第2化合物層82は電気伝導性を有する状態になる。すなわち、セット動作SOが実行される。
また、低抵抗状態LRSを高抵抗状態HRSに移行させるリセット動作ROは、例えば抵抗変化層VRに大電流を充分な時間で流しジュール熱によって抵抗変化層VRを加熱し、抵抗変化層VRにおいて酸化還元反応を促進することで実施できる。また、セット動作SOとは逆向きの電界を抵抗変化層VRに印加することで、リセット動作ROを実施することもできる。
なお、実施形態は上記に限らず、抵抗変化層VRに用いられる材料は任意である。抵抗変化層VRは、例えば、NiO、TiO2、SrZrO3、Pr0.7Ca0.3MnO3等の材料のいずれかを含む薄膜を含む。また、抵抗変化層VRには、例えば、SiCが用いられる。
実施形態は、不揮発性記憶装置の駆動方法を含む。すなわち、本発明の実施形態は、第1配線WR1と、第1配線WR1の延在方向に対して非平行な方向に延在する第2配線WR2と、第1配線WR1と第2配線WR2との交差部に設けられ、第1配線WR1と第2配線WR2とを介して印加される電圧及び通電される電流の少なくともいずれかによって抵抗が変化する抵抗変化層VRを含むメモリセルMCと、を、を有するメモリ部MUを有する不揮発性記憶装置の駆動方法である。そして、本駆動方法は、抵抗変化層VRを、第1抵抗値を有する第1状態(高抵抗状態HRS)から、第1抵抗値よりも低い第2抵抗値を有する第2状態(低抵抗状態LRS)に変化させるセット動作SOの際に、第1配線WR1にセット動作電圧を印加する際に、第1配線WR1の電位の変化に基づいて第1配線WR1に供給される電流の上限値(電流上限値Icomp)を増やすことを含む。
例えば、図1及び図2に関して説明したように、第1配線WR1の電位を検出しつつ、電流を上記の上限値(電流上限値Icomp)に制限しつつ、電流を第1配線WR1に供給し(ステップS110)、検出された電位(ビット線電位V_BL)の絶対値が予め定められた基準値VREFにまで低下したら、上限値(電流上限値Icomp)を、例えば第1値IL1から第2値IL2に、増やす。
以上説明したように、実施形態によれば、動作の制御性を向上した不揮発性記憶装置を提供することができる。
なお、本願明細書において、「垂直」及び「平行」は、厳密な垂直及び厳密な平行だけではなく、例えば製造工程におけるばらつきなどを含むものであり、実質的に垂直及び実質的に平行であれは良い。
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、不揮発性記憶装置に含まれるメモリ部、メモリセル、抵抗変化層、電極、整流素子、半導体層、配線、制御部、電流発生部、ビット線電位検出部、スイッチ部、カレントミラー回路、トランジスタ等、各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
その他、本発明の実施の形態として上述した不揮発性記憶装置及びその駆動方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての不揮発性記憶装置及びその駆動方法も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。