以下、本発明に係る実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
<第1の実施例>
図1には、光符号分割多重通信システム(以下、単に通信システムと称する)100が示される。通信システム100は、バス型トポロジーのPONである。OLT1とONU2−1〜2−Nとは符号化光信号を互いに送受信自在である。”N”は、通信システム100に含まれるONUの個数であり、2以上の整数である。以下、符号化光信号を、ONU2−i(i=1〜N)からOLT1に送信する場合を上り送信、OLT1からONU2−i(i=1〜N)に送信する場合を下り送信と称する。また、バス型トポロジーにおけるOLT1の存在する辺り全体を上流、ONU2−iの存在する辺り全体を下流と称する。
OLT1は、伝送路4−i及び5−i(i=1〜N)を介してONU2−i(i=1〜N)との間で符号化光信号を送受信自在な例えば通信局側に設けられた光終端装置である。上り送信の場合、OLT1は、伝送路5−1を介して結合器3−1から光多重化信号7−1−3を受信する。また、OLT1は、受信した光多重化信号7−1−3を各チャネルの符号パターンを用いて復号して受信情報を生成する。
ONU2−i(i=1〜N)は、伝送路4−i(i=1〜N)及び5−i(i=1〜N−1)を介してOLT1との間で符号化光信号を送受信自在な例えば加入者側に設けられた光通信装置である。上り送信の場合、ONU2−iは、固有の符号パターンを用いて光信号を符号化して符号化光信号を生成し、これを伝送路4−iを介して結合器3−iに送信する。ONU2−iは、符号化光信号を設定送信パワーに従って送信する。また、当該符号パターンはチャネル毎に固有のものである。
結合器3−i(i=1〜N−1)は、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを備え、入力ポートの各々に到来した符号化光信号を結合して出力ポートから出力する装置である。上り送信の場合、ONU2−iから一方の入力ポート(以下、第1入力ポートと称する)に到来した符号化光信号7−i−1を、下流の結合器3−(i+1)から他方の入力ポート(以下、第2入力ポートと称する)に到来された多重光信号すなわち符号化光信号7−i−2に含めて、出力ポートから信号7−i−3を上流の結合器3−(i−1)に送信する。なお、符号化光信号6−iと符号化光信号7−i−1(i=1〜N−1)とは同一内容の信号である。また、符号化光信号6−Nと符号化光信号7−N−2とは同一内容の信号である。
伝送路4−i(i=1〜N)は、例えば光ファイバなどの伝送路である。伝送路5−i(i=1〜N−1)は、例えば光ファイバなどの伝送路である。
図2には、OLT1の構成が示される。
分岐器11は、光多重化信号7−1−3を受信し、その信号内容を複製して復号器12−1〜12−Nの各々に供給する。
復号器12−i(i=1〜N)は、分岐器11から供給された信号を、所定の符号化パターンを用いて復号する。復号器12−iは1つのチャネルに対応する。復号器12−iが用いる符号化パターンは、光多重化信号7−1−3に含まれる符号化光信号のうちの1つを符号化する際に用いられた符号化パターンと同一の符号化パターンであり、復号器12−1〜12−Nの各々が用いる符号化パターンは互いに異なる。
受信器13−i(i=1〜N)は、復号器12−iによって復号された信号を復調して受信情報14−i(i=1〜N)として出力する。
図3には、結合器3−iの構成が示される。
対称結合器30−iは、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを備える例えば3dBカプラなどの結合器である。一方の入力ポートにはタップ分岐器31−iの出力信号が入力され、他方の入力ポートにはタップ分岐器32−iの出力信号が入力される。出力ポートからは、これら両出力信号を結合して得られた信号が出力される。一方の入力ポートから出力ポートへ透過する光の透過損失と、他方の入力ポートから出力ポートへ透過する光の透過損失とは等しい。
タップ分岐器31−iは、1つの入力ポートと2つの出力ポートとを備える分岐器である。伝送路4−iを介して入力される符号化光信号7−i−1を一方の出力ポートから対称結合器30−iへ供給すると共に、符号化光信号7−i−1の複製信号を他方の出力ポートからPD33−iへ供給する。
タップ分岐器32−iは、1つの入力ポートと2つの出力ポートとを備える分岐器である。伝送路5−(i+1)を介して入力される符号化光信号7−i−2を一方の出力ポートから対称結合器30−iへ供給すると共に、符号化光信号7−i−2の複製信号を他方の出力ポートからPD34−iへ供給する。
PD33−iは、タップ分岐器31−iから出力された符号化光信号7−i−1を電気信号に変換して処理部36−iに供給する。
PD34−iは、タップ分岐器32−iから出力された符号化光信号7−i−2を電気信号に変換して処理部36−iに供給する。
データベース35−iは、結合器3−iの識別子等のデータの集合である。詳細については、後述する(図5を参照)。
処理部36−iは、PD33−i及び34−iの各々から供給された電気信号と、データベース35−iのデータとに基づいて、結合器3−iに接続されているONU2−iにおける符号化光信号6−iの送信パワーを調整する。当該調整は、チャネル当たりの設定送信パワーのバラツキを所定範囲内に収めるため、又は、チャネル当たりの設定送信パワーを等しくするためのものである。以下、当該調整のための手段を送信パワー調整手段と称する。処理部36−iは、送信パワーの変更命令をONU2−iに発することで当該調整を行う。処理部36−iは、当該命令と共に送信パワー設定値をONU2−iへ供給することもできる。
NWインターフェース37−iは結合器3−(i+1)との間で、NWインターフェース38−iはONU2−iとの間で、NWインターフェース39−iは結合器3−(i−1)との間で、それぞれ制御情報を通信するインターフェースである。
図4には、ONU2−iの構成が示される。
NWインターフェース21−iは、結合器3−iとの間で制御情報を通信するインターフェースである。
データベース22−iは、ONU2−iの識別子及びONU2−iのオン/オフ状態を示すデータの集合である。詳細については、後述する(図6を参照)。
処理部23−iは、ONU2−iのオン/オフ状態についての結合器3−iからの問い合わせに応答する処理、及び結合器3−iから供給される送信パワー設定値に基づいて送信部24−iの送信パワーを設定する処理を行う。
送信部24−iは、電気信号からなる送信情報26−iを符号化光信号に変換して出力する。送信部24−iは、処理部23−iから供給される送信パワー設定値に基づいて符号化光信号の送信パワーを設定する。送信情報26−iは、結合器3−iに対して送信すべき情報であり、例えばCPUなどの情報処理部(図示せず)やRAMなどの記憶装置から供給される。
符号器25−iは、送信部24−iの出力光信号を所定の符号パターンを用いて符号化して符号化光信号6−iを生成し、送信部24−iによって設定された送信パワーにて符号化光信号6−iを結合器3−iへ送信する。当該符号パターンは、チャネル毎に割り当てられた固有のパターンである。故に、ONU2−1〜2−Nの各々の符号器25−iは、互いに異なる符号パターンを用いて符号化処理を行う。
図5には、結合器3−iが有するデータベース35−iの一例が示される。
「結合器ID」は、自装置である結合器3−iを示す識別子である。以下、これを記号ID_iとして示す。ID_iは、例えば自然数で示される。
「第1入力ポート側装置ID」は、結合器3−iの第1入力ポートに接続される装置すなわち結合器3−(i+1)又はONU2−iを示す識別子である。以下、これを記号ID1_iとして示す。結合器3−(i+1)の識別子ID1_iは例えば自然数で示される。ONU2−iの識別子ID1_iは自然数以外の例えば”0”などの値で示される。
「第2入力ポート側装置ID」は、結合器3−iの他方の第2入力ポートに接続される装置すなわち結合器3−(i+1)又はONU2−iを示す識別子である。以下、これを記号ID2_iとして示す。結合器3−(i+1)の識別子ID2_iは例えば自然数で示される。ONU2−iの識別子ID2_iは自然数以外の例えば”0”などの値で示される。
「第1入力ポート側多重信号数」は、結合器3−iの第1入力ポートに供給される多重光信号に含まれる信号の多重数である。以下、これを記号N1_iとして示す。N1_iは、正の整数で示される。
「第2入力ポート側多重信号数」は、結合器3−iの第2入力ポートに供給される多重光信号に含まれる信号の多重数である。以下、これを記号N2_iとして示す。N2_iは、正の整数で示される。
図6には、ONU2−iが有するデータベース22−iの一例が示される。
「ONUのID」は、自装置がONUであることを示す識別子である。以下、これを記号ID3_iとして示す。ID3_iは、例えば”0”などの値で示される。
「電源のオン/オフ」は、自装置であるONU2−iの電源のオン/オフ状態を示すデータである。以下、これを記号LIV_iとして示す。LIV_iは、例えば2進数の1桁で示される。例えばオフ状態を”0”、オン状態を”1”として示す。
図7を参照しつつ、結合器3−iの処理部36−iによる状態確認処理について説明する。処理部36−iは、当該ルーチンを周期的に実行する。当該ルーチンの実行周期は、ONU2−iの電源がオン/オフする間隔よりも十分に小さい。
先ず、処理部36−iは、データベース22−iを参照し、第1入力ポートに接続されている装置を判別する(ステップS101)。第1入力ポートは、NWインターフェース38に対応する。処理部36−iは、データベース22−iのID1_iが”0”であれば装置がONU2−iであるか又は装置が接続されていないと判別し、自然数であれば装置が結合器3−kであると判別する。
処理部36−iは、ステップS101において第1入力ポートに接続されている装置がONU2−iであるか又は装置が接続されていないと判別した場合には、NWインターフェース38−iを介して問い合わせ信号を発する(ステップS102)。処理部36−iは、一定時間経過しても応答がない場合すなわち装置が接続されていないと判別した場合には、データベース22−iのN1_iを”0”とする。
ONU2−iからオン状態を示す応答を受信した場合には(ステップS103)、処理部36−iは、データベース35−iの第1入力ポートの多重信号数N1_iを”1”とする(ステップS104)。ONU2−iからオフ状態を示す応答を受信した場合には(ステップS103)、処理部36−iは、第1入力ポートの多重信号数N1_iを”0”とする(ステップS105)。なお、ONU2−iの処理部23−iが、処理部36−iからの当該問い合わせに応じて、データベース22−iのLIV_iの値に基づいてオン/オフ状態を応答する。LIV_iの値が”1”のときはオン状態、”0”のときはオフ状態の応答となる。なお、例えば調整等の理由でONU2−iの電源がオン状態であってもネットワークに接続しない設定とする場合にLIV_iの値が”0”に設定される。
処理部36−iは、ステップS101においてID1_iが自然数であると判別した場合すなわち第1入力ポートに接続されている装置が結合器3−kであると判別した場合には、NWインターフェース38−iを介して結合器3−kに対して多重信号数を問い合わせる(ステップS106)。結合器3−kの処理部36−kは、当該問い合わせに応じて、データベース35−kの第1入力ポート側多重信号数N1_kと第2入力ポート側多重信号数N2_kとを処理部36−iに送信する。処理部36−iは、データベース35−iの第1入力ポートの多重信号数N1_iを”N1_k+N2_k”とする(ステップS107)。以下、下流の結合器に対して多重信号数を問い合わせて取得する手段を多重数取得手段と称する。
次に、処理部36−iは、データベース22−iを参照し、第2入力ポートに接続されている装置を判別する(ステップS108)。第2入力ポートは、NWインターフェース37に対応する。処理部36−iは、データベース22−iのID2_iが”0”であればONU2−iであるか又は装置が接続されていないと判別し、自然数であれば結合器3−lであると判別する。
処理部36−iは、ステップS108において第2入力ポートに接続されている装置がONU2−iであるか又は装置が接続されていないと判別した場合には、NWインターフェース37−iを介して問い合わせ信号を発する(ステップS109)。処理部36−iは、一定時間経過しても応答がない場合すなわち装置が接続されていないと判別した場合には、データベース22−iのN2_iを”0”とする。
ONU2−iからオン状態を示す応答を受信した場合には(ステップS110)、処理部36−iは、データベース35−iの第2入力ポートの多重信号数N2_iを”1”とする(ステップS111)。ONU2−iからオフ状態を示す応答を受信した場合には(ステップS110)、処理部36−iは、第2入力ポートの多重信号数N2_iを”0”とする(ステップS112)。なお、ONU2−iの処理部23−iが、処理部36−iからの当該問い合わせに応じて、データベース22−iのLIV_iの値に基づいてオン/オフ状態を回答する。LIV_iの値が”1”のときはオン状態、”0”のときはオフ状態の応答となる。
処理部36−iは、ステップS108においてID2_iが自然数であると判別した場合すなわち第2入力ポートに接続されている装置が結合器3−lであると判別した場合には、NWインターフェース37−iを介して結合器3−lに対して多重信号数を問い合わせる(ステップS113)。結合器3−lの処理部36−lは、当該問い合わせに応じて、データベース35−lの第1入力ポート側多重信号数N1_lと第2入力ポート側多重信号数N2_lとを処理部36−iに送信する。処理部36−iは、データベース35−iの第2入力ポートの多重信号数N2_iを”N1_l+N2_l”とする(ステップS114)。
図8を参照しつつ、結合器3−iの処理部36−iによる送信強度制御処理について説明する。処理部36−iは、当該ルーチンを周期的に実行する。当該ルーチンの実行周期は、ONU2−iの電源がオン/オフする間隔よりも十分に小さい。
先ず、処理部36−iは、データベース35−iの第1入力ポート側多重信号数N1_iが”0”か否かを判別する(ステップS201)。また、処理部36−iは、データベース35−iの第2入力ポート側多重信号数N2_iが”0”か否かを判別する(ステップS202)。N1_i及びN2_iの少なくともいずれかが”0”の場合には、当該ルーチンを終了する。これは、結合器3−iにおいて信号多重がなされておらず、送信強度を調整する必要がないからである。N1_i及びN2_iがともに”0”でない場合には、処理部36−iは、以下の処理を行う。
先ず、処理部36−iは、結合器3−iの第1入力ポートに入力される符号化光信号7−i−1の光強度P1_iをモニタする(ステップS203)。符号化光信号7−i−1は、PD33−iによってアナログ電気信号に変換されて処理部36−iに供給される。処理部36−iは、例えば、PD33−iから供給されるアナログ電気信号の電圧値をデジタル値に変換して得られた値を光強度P1_iとする。
次に、処理部36−iは、結合器3−iの第2入力ポートに入力される符号化光信号7−i−2の光強度をモニタする(ステップS204)。符号化光信号7−i−2は、PD34−iから処理部36−iに供給される。以下、当該モニタによって得られた光強度をP2_iとして示す。処理部36−iは、PD34−iから供給されるアナログ電気信号の電圧値をデジタル値に変換して得られた値を光強度P2_iとする。以下、光強度P1_i及びP2_iを判別する手段を光強度判別手段と称する。
次に、処理部36−iは、値R1=P1_i×N2_i及びR2=P2_i×N1_iを求める(ステップS205及びS206)。R1とR2とが等しいときに、結合器3−iの出力信号7−i−3に多重されたチャネル当たりの送信パワーが等しいと考えられる。
処理部36−iは、R1とR2とが等しいか否かを判定する(ステップS207)。なお、処理部36−iは、R1とR2との差が所定の範囲内に収まっているか否かを判定しても良い。これは、例えば外部雑音などの影響による誤差を除くためである。
R1とR2とが等しい場合又はR1とR2との差が所定の範囲内に収まっている場合には、送信強度を調整する必要がないと判断し、当該ルーチンを終了する。そうでない場合には、処理部36−iは、第1入力ポートから入力される符号化光信号のチャネル当りの光強度と、第2入力ポートから入力される符号化光信号のチャネル当りの光強度とを等しくするために以下の処理を行う。
先ず、処理部36−iは、R1とR2のどちらが大きいか判定する(ステップS208)。R2の方が大きい場合には、第1入力ポート側の装置がONU2−iであるか否かを判別する(ステップS209)。詳細には、処理部36−iは、データベース35−iのID1_iが”0”か否かを判別する。
処理部36−iは、ID1_iが”0”である場合すなわち第1入力ポート側の装置がONU2−iである場合、ONU2−iに対して符号化光信号6−iの送信パワーを上げる命令を与える(ステップS210)。ONU2−iの処理部23−iは、当該命令に応じて符号化光信号6−iの送信パワーを上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に送信パワー設定値をONU2−iに対して供給することもできる。送信パワー設定値は、例えば、(光強度P2_i)÷(多重信号数N2_i)により得られる。この場合、ONU2−iの処理部23−iは、送信パワーの現在設定値を、処理部36−iから供給された送信パワー設定値に変更することで送信パワーを上げる。
処理部36−iは、ID1_iが”0”でない場合すなわち第2入力ポート側の装置がONU2−iである場合、ONU2−iに対して符号化光信号6−iの送信パワーを下げる命令を与える(ステップS211)。ONU2−iの処理部23−iは、当該命令に応じて符号化光信号6−iの送信パワーを上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に送信パワー設定値をONU2−iに対して供給することもできる。送信パワー設定値は、例えば、(光強度P1_i)÷(多重信号数N1_i)により得られる。この場合、ONU2−iの処理部23−iは、送信パワーの現在設定値を、処理部36−iから供給された送信パワー設定値に変更することで送信パワーを下げる。
処理部36−iは、ステップS208において、R1の方が大きいと判別した場合には、第2入力ポート側の装置がONU2−iであるか否かを判別する(ステップS212)。詳細には、処理部36−iは、データベース35−iのID2_iが”0”か否かを判別する。
処理部36−iは、ID2_iが”0”である場合すなわち第2入力ポート側の装置がONU2−iである場合、ONU2−iに対して符号化光信号6−iの送信パワーを上げる命令を与える(ステップS213)。ONU2−iの処理部23−iは、当該命令に応じて符号化光信号6−iの送信パワーを上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に送信パワー設定値をONU2−iに対して供給することもできる。送信パワー設定値は、例えば、(光強度P1_i)÷(多重信号数N1_i)により得られる。この場合、ONU2−iの処理部23−iは、送信パワーの現在設定値を、処理部36−iから供給された送信パワー設定値に変更することで送信パワーを上げる。
処理部36−iは、ID2_iが”0”でない場合すなわち第1入力ポート側の装置がONU2−iである場合、ONU2−iに対して符号化光信号6−iの送信パワーを下げる命令を与える(ステップS214)。ONU2−iの処理部23−iは、当該命令に応じて符号化光信号6−iの送信パワーを上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に送信パワー設定値をONU2−iに対して供給することもできる。送信パワー設定値は、例えば、(光強度P2_i)÷(多重信号数N2_i)により得られる。この場合、ONU2−iの処理部23−iは、送信パワーの現在設定値を、処理部36−iから供給された送信パワー設定値に変更することで送信パワーを下げる。
通信システム100の如きバス型トポロジーにおける上り送信の場合には、各結合器3−iにおいて1チャネルずつ符号化光信号が多重される。上記したように、本実施例の構成によれば、各結合器3−iが、2つの入力ポートの各々に入力される符号化光信号の強度と多重数とに基づいてONU2−iにおける符号化光信号の送信パワーを調整するので、出力ポートから出力される多重光信号7−i−3に含まれるチャネル当たりの送信パワーのバラツキを所定範囲内に収めることが少なくとも可能となる。更に、チャネル当たりの設定送信パワーを等しくすることもできる。
また、パワーモニタによってすなわち符号化光信号の直流成分を求めることによって強度を求め得るので、符号化光信号の周波数特性については問題とならない。また、符号化光信号の強度と多重数とに基づいて符号化光信号のパワーを調整するので、例えばONUを通信システム内に新たに追加した場合でも、短時間でチャネル当たりの送信パワーを等しくすることができる。例えば伝送損失を予め測定して全伝送路のレベルダイヤを算出する、マニュアルで全チャネルの送信パワーを調整するといった複雑な手順を必要としない。
<第2の実施例>
図9には、本発明の第2の実施例である結合器3−iを含む通信システム100の構成が示される。
結合器3−iの2つの入力ポートの各々に結合器が接続されていることが、第1の実施例と異なる。詳細には、第2入力ポートには結合器3−(i+1)(図10参照)が接続され、第1入力ポートには結合器3−M(Mは、1〜N−1以外)が接続されている。なお、結合器3−Mの下流には、図示せぬONUが接続されている。ONUが結合器3−Mに直接接続されている場合もあるし、図示せぬ別の結合器を少なくとも1つ介して接続されている場合もある。
結合器3−Mは、2つの入力ポートと1つの出力ポートとを備え、上り送信の場合、第1入力ポートに入力された符号化光信号8−i−1と、第2入力ポートに入力された符号化光信号8−i−2とを結合して、出力ポートから信号6−iを出力する。
図10には、結合器3−iの構成が示される。対称結合器30−iと、タップ分岐器31−i及び32−iと、PD33−i及び34−iと、データベース35−iと、処理部36−iと、NWインターフェース37−i、38−i及び39−iは、第1の実施例におけるものと同じである。本実施例における結合器3−iは、可変減衰器40−i及び41−iを更に含む。
可変減衰器40−iは、伝送路4−iを介して入力される符号化光信号7−i−1を、処理部36−iから供給される指令信号の内容に基づいて減衰させ、タップ分岐器31−iへ供給する。可変減衰器41−iは、第1入力ポートに接続されている。以下、可変減衰器40−iを第1の可変減衰器とも称する。
可変減衰器41−iは、伝送路5−(i+1)を介して入力される符号化光信号7−i−2を、処理部36−iから供給される指令信号の内容に基づいて減衰させ、タップ分岐器32−iへ供給する。可変減衰器41−iは、第2入力ポートに接続されている。以下、可変減衰器41−iを第2の可変減衰器とも称する。
結合器3−iのデータベース35−iの情報、及びONU2−iのデータベース22−iの情報は、第1の実施例におけるものと同じである。また、結合器3−iの処理部36−iによる状態確認処理ルーチンも第1の実施例におけるものと同じである。
図11を参照しつつ、結合器3−iの処理部36−iによる送信強度制御処理について説明する。処理部36−iは、当該ルーチンを周期的に実行する。当該ルーチンの実行周期は、ONU2−iの電源がオン/オフする間隔よりも十分に小さい。ステップS301〜S308の処理は、第1の実施例における送信強度制御処理のステップS201〜S208(図8)と同様であるので説明を省略し、ステップS309から説明する。
ステップS308において、処理部36−iが、R1よりもR2の方が大きいと判別した場合には、以下の処理を行う。処理部36−iは、第2入力ポートに接続されている可変減衰器41−iに対して減衰量を上げる命令を発する(ステップS309)。可変減衰器41−iは、当該命令に応じて対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器41−iに供給することもできる。この場合、可変減衰器41−iは、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
ステップS308において、処理部36−iが、R1よりもR2の方が小さいと判別した場合には、以下の処理を行う。処理部36−iは、第1入力ポートに接続されている可変減衰器40−iに対して減衰量を上げる命令を発する(ステップS310)。可変減衰器40−iは、当該命令に応じて対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器40−iに供給することもできる。この場合、可変減衰器40−iは、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
上記したように、本実施例の構成によれば、各結合器3−iが、2つの入力ポートの各々に入力される符号化光信号の強度と多重数とに基づいて当該符号化光信号の強度を調整するので、出力ポートから出力される多重光信号7−i−3に含まれるチャネル当たりの送信パワーを等しくすることができる。
<第3の実施例>
本実施例における通信システム100の構成は、第2の実施例におけるものと同じである。以下、第2の実施例と異なる部分について主に説明する。第2の実施例においては、可変減衰器40−i及び41−iの減衰量を増加させることにより、多重チャネル間の光信号送信パワーを調整した。減衰量の増加による光信号送信パワーの減少により、光信号のSN比(Signal-to-Noise Ratio)が劣化することが考えられる。本実施例における通信システム100は、可変減衰器40−i及び41−iの減衰量を減少させる構成を有するものである。
図12には、本実施例におけるデータベース35−iの一例が示される。「結合器ID」、「第1入力ポート側装置ID」、「第2入力ポート側装置ID」、「第1入力ポート側多重信号数」、及び「第2入力ポート側多重信号数」は、図5に示されるデータベース35−iにおけるものと同じである。本実施例におけるデータベース35−iは、「第1入力ポート側減衰量フラグ」及び「第2入力ポート側減衰量フラグ」を更に含む。
「第1入力ポート側減衰量フラグ」は、可変減衰器40−iの減衰量の現在設定値が0dBであるか否かを示すものである。以下、これを記号VOA1_iとして示す。VOA1_iは、例えば2進数の1桁で示される。例えば、減衰量の現在設定値が0dBのときに”0”、0dB以外のときに”1”として示す。
「第2入力ポート側減衰量フラグ」は、可変減衰器41−iの減衰量の現在設定値が0dBであるか否かを示すものである。以下、これを記号VOA2_iとして示す。VOA2_iは、例えば2進数の1桁で示される。例えば、減衰量の現在設定値が0dBのときに”0”、0dB以外のときに”1”として示す。
図13を参照しつつ、結合器3−iの処理部36−iが図12のデータベース35−iを用いて実行する状態確認処理を説明する。処理部36−iは、当該ルーチンを周期的に実行する。当該ルーチンの実行周期は、ONU2−iの電源がオン/オフする間隔よりも十分に小さい。ステップS401〜S414の処理は、第1の実施例における状態確認処理のステップS101〜S114(図7)と同様であるので説明を省略し、ステップS415から説明する。
先ず、処理部36−iは、可変減衰器40−iに対して減衰量の現在設定値を問い合わせる(ステップS415)。処理部36−iは、可変減衰器40−iから減衰量の現在設定値を取得し、当該現在設定値が0dBか否かを判別する(ステップS416)。現在設定値が0dBである場合、処理部36−iは、データベース35−iの第1入力ポート側減衰量フラグVOA1_iを”0”とする(ステップS417)。現在設定値が0dBでない場合、処理部36−iは、VOA1_iを”1”とする(ステップS418)。
次に、処理部36−iは、可変減衰器41−iに対して減衰量の現在設定値を問い合わせる(ステップS419)。処理部36−iは、可変減衰器41−iから減衰量の現在設定値を取得し、当該現在設定値が0dBか否かを判別する(ステップS420)。現在設定値が0dBである場合、処理部36−iは、データベース35−iの第2入力ポート側減衰量フラグVOA2_iを”0”とする(ステップS421)。現在設定値が0dBでない場合、処理部36−iは、VOA2_iを”1”とする(ステップS422)。
図14を参照しつつ、結合器3−iの処理部36−iが図12のデータベース35−iを用いて実行する送信強度制御処理を説明する。処理部36−iは、当該ルーチンを周期的に実行する。当該ルーチンの実行周期は、ONU2−iの電源がオン/オフする間隔よりも十分に小さい。
先ず、処理部36−iは、データベース35−iの第1入力ポート側多重信号数N1_iが”0”か否かを判別する(ステップS501)。また、処理部36−iは、データベース35−iの第2入力ポート側多重信号数N2_iが”0”か否かを判別する(ステップS502)。N1_i及びN2_iの少なくともいずれかが”0”の場合には、処理部36−iは、可変減衰器40−i及び41−iの減衰量を0dBとする(ステップS503及びS504)。かかる処理を行う理由は以下の通りである。
N1_iの値が”0”である場合すなわち第1入力ポートから符号化光信号が入力されない場合、結合器3−iにおいては信号多重がなされないので入力符号化光信号のパワー調整をする必要がない。しかし、仮に、第2入力ポートに接続されている可変減衰器41−iの減衰量が0dBを超えており、そのポートから符号化光信号7−i−2が入力されていると、符号化光信号7−i−2はパワー減衰を生じて結合部3−iを通過する。このことは受信信号のSN比劣化、パワーバジェットの減少の原因となるので、可変減衰器41−iを0dBに設定するのが望ましい。仮に、第1入力ポートに接続されている可変減衰器40−iの減衰量が0dBを超えている状態で、新たに第1入力ポートにONU又は結合部が接続され通信が開始された場合、その符号化光信号も第1入力ポートから入力され、パワー減衰を生じて結合部3−iを通過する。このことは同様に望ましくないので、第1入力ポートから符号化光信号が入力されなくなった後、可変減衰器40−iも0dBに設定するのが望ましい。N2_iの値が”0”である場合についても同様の理由から上記の処理を行っている。
N1_i及びN2_iがともに”0”でない場合には、処理部36−iは、ステップS505以降の処理を行う。ステップS505〜S510の処理は、第2の実施例における送信強度制御処理のステップS303〜S308(図11)と同様であるので説明を省略し、ステップS511から説明する。
ステップS510において、処理部36−iが、R1よりもR2の方が大きいと判別した場合には、以下の処理を行う。処理部36−iは、可変減衰器40−iの減衰量を現在設定値から更に下げることができるか否かを判別する(ステップS511)。詳細には、処理部36−iは、データベース35−iのVOA1_iが”1”であるか否かを判定する。
VOA1_iが”1”である場合には、処理部36−iは、可変減衰器40−iに対して減衰量の現在設定値を下げる命令を発する(ステップS512)。可変減衰器40−iは、当該命令に応じて減衰量を下げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器40−iに供給することもできる。この場合、可変減衰器40−iは、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを上げる。
VOA1_iが”0”である場合すなわち可変減衰器40−iの減衰量が0dBである場合には、処理部36−iは、可変減衰器41−iに対して減衰量の現在設定値を上げる命令を発する(ステップS513)。可変減衰器40−iの減衰量を下げることができないので、かかる処理を行うのである。可変減衰器41−iは、処理部36−iからの命令に応じて減衰量を上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器40−iに供給することもできる。この場合、可変減衰器41−iは、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
ステップS508において、処理部36−iが、R1よりもR2の方が小さいと判別した場合には、以下の処理を行う。処理部36−iは、可変減衰器41−iの減衰量を現在設定値から更に下げることができるか否かを判別する(ステップS514)。詳細には、処理部36−iは、データベース35−iのVOA2_iが”1”であるか否かを判定する。
VOA2_iが”1”である場合には、処理部36−iは、可変減衰器41−iに対して減衰量の現在設定値を下げる命令を発する(ステップS515)。可変減衰器41−iは、当該命令に応じて減衰量を下げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器41−iに供給することもできる。この場合、可変減衰器41−iは、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを上げる。
VOA2_iが”0”である場合すなわち可変減衰器41−iの減衰量が0dBである場合には、処理部36−iは、可変減衰器40−iに対して減衰量の現在設定値を上げる命令を発する(ステップS516)。可変減衰器41−iの減衰量を下げることができないので、かかる処理を行うのである。可変減衰器40−iは、処理部36−iからの命令に応じて減衰量を上げる。
かかる処理の際、処理部36−iは、当該命令と共に減衰量設定値を可変減衰器40−iに供給することもできる。この場合、減衰量の現在設定値を、処理部36−iから供給された減衰量設定値に変更することで、対称結合器30−iへ供給すべき符号化光信号のパワーを下げる。
上記したように、本実施例の構成によれば、符号化光信号の強度を調整するための可変減衰器40−i及び41−iの減衰量を減少させることができるので、符号化光信号のSN比の劣化を防ぎつつ、多重光信号7−i−3に含まれるチャネル当たりの送信パワーを等しくすることができる。
なお、上記した第2及び第3の実施例においては、第1及び第2の入力ポートに供給された符号化光信号の一方のみについての減衰量を調整する場合の例であるが、第1及び第2の入力ポートに供給された符号化光信号の各々についての減衰量を調整することもできる。