以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る積層コンデンサの斜視図である。図2は、第1実施形態に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。図3は、第1実施形態に係る積層コンデンサが備える積層体の分解斜視図である。
積層コンデンサC1は、図1に示されるように、積層体1と、積層体1の外表面に配置された第1及び第2の端子電極10,11とを備えている。
積層体1は略直方体であって、側面4〜9を有している。側面4は側面5と対向し、側面6は側面7と対向し、側面8は側面9と対向している。側面4,5は長方形状を呈しており、側面6,7は、側面4,5を連結するように側面4,5の短辺方向に沿って伸びている。側面8,9は、側面4,5を連結するように側面4,5の長辺方向に沿って伸びている。
第1及び第2の端子電極10,11は、互いに絶縁されている。第1の端子電極10は、側面6を覆うように配置されている。第2の端子電極11は、側面7を覆うように配置されている。第1及び第2の端子電極10,11は、例えば、導電性金属粉末及びガラスフリットを含む導電性ペーストを積層体1の対応する外表面に付与し、焼き付けることによって形成される。なお必要に応じて、焼き付けられた電極の上にめっき層が形成されることもある。
積層体1は、図2及び図3に示されるように、複数(本実施形態では7層)の絶縁体層20が積層されたものである。先述した積層体1の側面6〜9は絶縁体層20の積層方向に沿って伸びる面であり、側面4,5は絶縁体層20の積層方向と直交する方向に伸びる面である。各絶縁体層20は、例えば誘電体セラミックを含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成される。実際の積層コンデンサC1では、各絶縁体層20は、絶縁体層20の間の境界が視認できない程度に一体化されている。
積層コンデンサC1は積層体1内に、複数(本実施形態では12個)の内部電極を備えている。複数の内部電極は、1つの第1の内部電極21と、1つの第2の内部電極22と、複数(本実施形態では2つ)の第3の内部電極23と、複数(本実施形態では2つ)の第4の内部電極24と、1つの第5の内部電極25と、1つの第6の内部電極26と、複数(本実施形態では2つ)の第7の内部電極27と、複数(本実施形態では2つ)の第8の内部電極28とからなる。第1〜第8の内部電極21〜28は、導電性ペーストの焼結体から構成される。
第1,第4,第5,及び第7の内部電極21,24,25,27は、一端面が第1の端子電極10に接続されている。また、第2,第3,第6,及び第8の内部電極22,23,26,28は、一端面が第2の端子電極11に接続されている。第1,第4,第5,及び第7の内部電極21,24,25,27のうち、一端面が第2の端子電極11に接続された内部電極と、絶縁体層20の積層方向から見たときに絶縁体層20のみを間に挟んで重なる部分を有するのは、第1の内部電極21だけである。第2,第3,第6,及び第8の内部電極22,23,26,28のうち、一端面が第1の端子電極10に接続された内部電極と、絶縁体層20の積層方向から見たときに絶縁体層20のみを間に挟んで重なる部分を有するのは、第2の内部電極22だけである。以下、第1〜第8の内部電極21〜28の構成について、より詳しく述べる。
第1の内部電極21は、絶縁体層20に挟まれている。第1の内部電極21の一端面は、積層体1から露出して第1の端子電極10に接続されている。より具体的には、第1の内部電極21は、その一端部が積層体1の側面6側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面6から露出している。
第6の内部電極26は、第1の内部電極21と同一の層に位置している。第6の内部電極26の一端面は、積層体1から露出して第2の端子電極11に接続されている。より具体的には、第6の内部電極26は、その一端部が積層体1の側面7側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面7から露出している。第6の内部電極26と第1の内部電極21とは、他端部の端面同士が対向している。これにより、積層体1は、第1の内部電極21と第6の内部電極26とで挟まれる容量形成領域1aを含むこととなる。容量形成領域1aは、絶縁体層20のうち、第1の内部電極21と第6の内部電極26との間に位置する部分であり、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域である。
第2の内部電極22は、絶縁体層20を挟んで第1の内部電極21と隣り合うように配置されている。第2の内部電極22の一端面は、積層体1から露出して第2の端子電極11に接続されている。より具体的には、第2の内部電極22は、その一端部が積層体1の側面7側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面7から露出している。また、第2の内部電極22は、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第1の内部電極21と重なる領域を有している。より具体的には、第2の内部電極22の他端部は、第1の内部電極21の他端部と絶縁体層20の積層方向から見たときに重なっている。これにより、積層体1は、第1の内部電極21と第2の内部電極22とで挟まれる容量形成領域1bを含むこととなる。容量形成領域1bは、絶縁体層20のうち、第1の内部電極21と第2の内部電極22とに重なる部分であり、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域である。
第5の内部電極25は、第2の内部電極22と同一の層に位置している。第5の内部電極25の一端面は、積層体1から露出して第1の端子電極10に接続されている。より具体的には、第5の内部電極25は、その一端部が積層体1の側面6側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面6から露出している。第5の内部電極25と第2の内部電極22とは、他端部の端面同士が対向している。これにより、積層体1は、第2の内部電極22と第5の内部電極25とで挟まれる容量形成領域1cを含むこととなる。容量形成領域1cは、絶縁体層20のうち、第2の内部電極22と第5の内部電極25との間に位置する部分であり、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域である。なお、第5の内部電極25は、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第6の内部電極26と重なりを有していない。
第3の内部電極23は、第2の内部電極22から見たときに、絶縁体層20の積層方向において第1の内部電極21とは反対側に配置されている。第3の内部電極23は、第2の内部電極22との間に絶縁体層20を挟んで配置されている。第3の内部電極23の一端面は、積層体1から露出して第2の端子電極11に接続されている。より具体的には、第3の内部電極23は、その一端部が積層体1の側面7側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面7から露出している。
第3の内部電極23は、絶縁体層20の積層方向から見たときに第2の内部電極22からはみ出さないように配置されている。より具体的には、第3の内部電極23は、第2の内部電極22と同じ大きさを有している。このように配置された第3の内部電極23と第1の内部電極21との間には、第2の内部電極22を介さずに重なり合う領域、すなわち積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域が形成されない。
第4の内部電極24は、第3の内部電極23と同一の層に位置している。第4の内部電極24の一端面は、積層体1から露出して第1の端子電極10に接続されている。より具体的には、第4の内部電極24は、その一端部が積層体1の側面6側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面6から露出している。第4の内部電極24と第3の内部電極23とは、他端部の端面同士が対向している。これにより、積層体1は、第3の内部電極23と第4の内部電極24とで挟まれる容量形成領域1dを含むこととなる。容量形成領域1dは、絶縁体層20のうち、第3の内部電極23と第4の内部電極24との間に位置する部分であり、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域である。
第4の内部電極24は、絶縁体層20の積層方向から見たときに第5の内部電極25からはみ出さないように配置されている。より具体的には、第4の内部電極24は、第5の内部電極25と同じ大きさを有している。このように第4の内部電極24を配置することにより、第4の内部電極24と第2の内部電極22との間に、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域が形成されることを防げる。
第7の内部電極27は、第1の内部電極21から見たときに、絶縁体層20の積層方向において第2の内部電極22とは反対側に配置されている。第7の内部電極27は、第1の内部電極21との間に絶縁体層20を挟んで配置されている。第7の内部電極27の一端面は、積層体1から露出して第1の端子電極10に接続されている。より具体的には、第7の内部電極27は、その一端部が積層体1の側面6側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面6から露出している。
第7の内部電極27は、絶縁体層20の積層方向から見たときに第1の内部電極21からはみ出さないように配置されている。より具体的には、第7の内部電極27は、第1の内部電極21と同じ大きさを有している。このように配置された第7の内部電極27と第2の内部電極22との間には、第1の内部電極21を介さずに重なり合う領域、すなわち積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域が形成されない。
第8の内部電極28は、第7の内部電極27と同一の層に位置している。第8の内部電極28の一端面は、積層体1から露出して第2の端子電極11に接続されている。より具体的には、第8の内部電極28は、その一端部が積層体1の側面7側に位置しており、当該一端部の端面は積層体1の側面7から露出している。第8の内部電極28と第7の内部電極27とは、他端部の端面同士が対向している。これにより、積層体1は、第7の内部電極27と第8の内部電極28とで挟まれる容量形成領域1eを含むこととなる。容量形成領域1eは、絶縁体層20のうち、第7の内部電極27と第8の内部電極28との間に位置する部分であり、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域である。
第8の内部電極28は、絶縁体層20の積層方向から見たときに第6の内部電極26からはみ出さないように配置されている。より具体的には、第8の内部電極28は、第6の内部電極26と同じ大きさを有している。このように第8の内部電極28を配置することにより、第8の内部電極28と第1の内部電極21との間に、積層コンデンサC1の静電容量を実質的に生じさせる領域が形成されることを防げる。
以上述べた構成を有する第1実施形態に係る積層コンデンサC1によれば、重なり合う内部電極による容量形成領域は、容量形成領域1bのみである。しかも、第1及び第2の内部電極21,22を1対しか備えないので、容量形成領域1bは1つのみとなる。したがって、第1実施形態に係る積層コンデンサC1では、重なり合う内部電極による容量形成領域は1つしか存在しないこととなる。そのため、重なり合う内部電極による容量形成領域を複数有する積層コンデンサと比べて、静電容量値のばらつきを抑制することができる。
また第1実施形態に係る積層コンデンサC1は、第1及び第6の内部電極21,26による容量形成領域1aと、第2及び第5の内部電極22,25による容量形成領域1cと、第3及び第4の内部電極23,24による容量形成領域1dと、第7及び第8の内部電極27,28による容量形成領域1eとを有している。容量形成領域1a,1c,1d,1eは、同一の層に位置する2つの内部電極間にあるため、重なり合う2つの内部電極による容量形成領域1bと比べて、積層ずれ等の影響を受けにくい。したがって、積層コンデンサC1における静電容量値のばらつきを更に抑えることができる。容量形成領域1a,1c,1d,1eは、2つの内部電極の端面間に生じるものであるため、容量形成領域1bと比べて静電容量値が小さくなる。よって、積層コンデンサC1としての静電容量値を微調整することが可能となる。
また、第1実施形態に係る積層コンデンサC1では、第1の端子電極10には第1、第4、第5、及び第7の内部電極21,24,25,27が並列接続され、第2の端子電極11には第2、第3、第6、及び第8の内部電極22,23,26,28が並列接続されている。第1及び第2の端子電極10,11それぞれに複数の内部電極を並列接続することで、直流抵抗を低減することができる。その結果、積層コンデンサのQ値を向上させることができる。
続いて、図4(a)に基づいて、第1実施形態の変形例について説明する。図4(a)は、第1実施形態の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3及び第7の内部電極23,27の形状が第1実施形態と異なっている。
本変形例の第3の内部電極23は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第2の内部電極22よりも長さが短い。そのため、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第5の内部電極25の他端面と第3の内部電極23の他端面との間の距離は、第5の内部電極25の他端面と第2の内部電極22の他端面との間の距離よりも長くなる。第3の内部電極23と第2の内部電極22が同じ長さの場合、大きな積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において第2の内部電極22と第5の内部電極25との間から第3の内部電極23がはみ出てしまう可能性が生じる。第3の内部電極23がはみ出ると、第3の内部電極23と第1の内部電極21との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域ができてしまうおそれがある。本変形例では、第3の内部電極23を第2の内部電極22よりも短くすることにより、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを未然に防いでいる。
本変形例の第7の内部電極27は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第1の内部電極21よりも長さが短い。そのため、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第7の内部電極27の他端面と第6の内部電極26の他端面との間の距離は、第1の内部電極21の他端面と第6の内部電極26の他端面との間の距離よりも長くなる。第7の内部電極27と第1の内部電極21が同じ長さの場合、大きな積層ずれ等が発生したときに、絶縁体層20の積層方向において第1の内部電極21と第6の内部電極26との間から第7の内部電極27がはみ出て、第7の内部電極27と第2の内部電極22との間に静電容量を実質的に生じさせる領域ができてしまうおそれがある。本変形例では、第7の内部電極27を第1の内部電極21よりも短くすることにより、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを未然に防いでいる。
このような積層コンデンサでは、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じ効果を得ることができる。また、第3の内部電極23を第2の内部電極22よりも短くし、第7の内部電極27を第1の内部電極21よりも短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを抑制できる。よって、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図4(b)に基づいて、第1実施形態の他の変形例について説明する。図4(b)は、第1実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第4及び第8の内部電極24,28の形状が第1実施形態と異なっている。
本変形例の第4の内部電極24は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第5の内部電極25よりも長さが短い。そのため、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第2の内部電極22の他端面と第4の内部電極24の他端面との間の距離は、第2の内部電極22の他端面と第5の内部電極25の他端面との間の距離よりも長くなる。これにより、大きな積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において第4の内部電極24が第5の内部電極25からはみ出る可能性を低減できる。その結果、第4の内部電極24と第2の内部電極22との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域ができてしまう可能性を低減できる。
本変形例の第8の内部電極28は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第6の内部電極26よりも長さが短い。そのため、絶縁体層20の積層方向から見たときに、第8の内部電極28の他端面と第1の内部電極21の他端面との間の距離は、第6の内部電極26の他端面と第1の内部電極21の他端面との間の距離よりも長くなる。これにより、積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において第8の内部電極28が第6の内部電極26からはみ出る可能性を低減できる。その結果、第8の内部電極28と第1の内部電極21との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域ができてしまう可能性を低減できる。
このような積層コンデンサでは、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じ効果を得ることができる。また、第4の内部電極24を第5の内部電極25よりも短くし、第8の内部電極28を第6の内部電極26よりも短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを抑制できる。よって、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図4(c)に基づいて、第1実施形態の他の変形例について説明する。図4(c)は、第1実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28の形状が第1実施形態と異なっている。
積層体1の側面6,7が対向する方向において、本変形例の第3の内部電極23は第2の内部電極22よりも長さが短く、第4の内部電極24は第5の内部電極25よりも長さが短く、第7の内部電極27は第1の内部電極21よりも長さが短く、第8の内部電極28は第6の内部電極26よりも長さが短い。これにより、大きな積層ずれ等が発生した際に、第1の内部電極21と第3及び第8の内部電極23,28との間、及び、第2の内部電極22と第4及び第7の内部電極24,27との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域ができてしまう可能性を低減できる。
このような積層コンデンサでは、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じ効果を得ることができる。また、第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28を短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを抑制でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
(第2実施形態)
図5(a)は、第2実施形態に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。
第2実施形態に係る積層コンデンサは、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じく、略直方体の積層体1と、第1及び第2の端子電極10,11とを備えている。
積層体1は、複数(本実施形態では7層)の絶縁体層20が積層されたものである。第2実施形態に係る積層コンデンサは、積層体1内に、複数(本実施形態では12個)の内部電極を備えている。複数の内部電極は、1つの第1の内部電極21と、1つの第2の内部電極22と、複数(本実施形態では4つ)の第3の内部電極23と、複数(本実施形態では4つ)の第4の内部電極24と、1つの第5の内部電極25と、1つの第6の内部電極26とからなる。第1〜第6の内部電極21〜26は、第1実施形態に係る積層コンデンサが備える第1〜第6の内部電極21〜26と同一の構成を有している。
第2実施形態に係る積層コンデンサによれば、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同様に、重なり合う内部電極に挟まれた容量形成領域は、第1の内部電極21と第2の内部電極22とで挟まれた容量形成領域のみであり、当該容量形成領域は1つしか存在しない。そのため、重なり合う内部電極に挟まれた容量形成領域を複数有する積層コンデンサと比べて、静電容量値のばらつきを抑えることができる。また、第1の内部電極21と第6の内部電極26とで挟まれる容量形成領域と、第2の内部電極22と第5の内部電極25とで挟まれる容量形成領域と、第3の内部電極23と第4の内部電極24とで挟まれる容量形成領域とを有し、これらの容量形成領域は、第1の内部電極21と第2の内部電極21とで挟まれた容量形成領域と比べて積層ずれ等の影響を受けにくい。よって、積層コンデンサC1における静電容量値のばらつきをいっそう抑えることができる。更に、第1の端子電極10には第1、第4、及び第5の内部電極21,24,25が並列接続され、第2の端子電極11には第2、第3、及び第6の内部電極22,23,26が並列接続されているので、直流抵抗を低減することができ、積層コンデンサのQ値を向上させることができる。
続いて、図5(b)に基づいて、第2実施形態の変形例について説明する。図5(b)は、第2実施形態の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3の内部電極23の形状が第2実施形態と異なっている。
本変形例の第3の内部電極23は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第2の内部電極22よりも長さが短い。これにより、積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において第2の内部電極22と第5の内部電極25との間から第3の内部電極23がはみ出る可能性を低減できる。その結果、第3の内部電極23と第1の内部電極21との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減できる。
このような積層コンデンサでは、第2実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第3の内部電極23を第2の内部電極22よりも短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを抑制でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図6(a)に基づいて、第2実施形態の他の変形例について説明する。図6(a)は、第2実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第4の内部電極24の形状が第2実施形態と異なっている。
本変形例の第4の内部電極24は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第5の内部電極25よりも長さが短い。これにより、積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において第4の内部電極24が第5の内部電極25からはみ出す可能性を低減できる。その結果、第2の内部電極22と第4の内部電極24との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減できる。
このような積層コンデンサでは、第2実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第4の内部電極24を第5の内部電極25よりも短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成されるのを抑制でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図6(b)に基づいて、第2実施形態の他の変形例について説明する。図6(b)は、第2実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3及び第4の内部電極23,24の形状が第2実施形態と異なっている。
積層体1の側面6,7が対向する方向において、本変形例の第3の内部電極23は第2の内部電極22よりも長さが短く、第4の内部電極24は第5の内部電極25よりも長さが短い。これにより、積層ずれ等が発生した際に、絶縁体層20の積層方向において、第2の内部電極22から第3の内部電極23がはみ出る可能性、及び、第5の内部電極25から第4の内部電極24がはみ出る可能性を低減できる。その結果、第1の内部電極21と第3の内部電極23との間、及び、第2の内部電極22と第4の内部電極24との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減できる。
このような積層コンデンサでは、第2実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第3及び第4の内部電極23,24をより小さくしたので、積層ずれ等が発生した際に、静電容量を実質的に生じさせる領域が新たに形成される可能性を抑制でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。
第3実施形態に係る積層コンデンサは、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同じく、略直方体の積層体1と、第1及び第2の端子電極10,11とを備えている。
積層体1は、複数(本実施形態では7層)の絶縁体層20が積層されたものである。第3実施形態に係る積層コンデンサは、積層体1内に、複数(本実施形態では12個)の内部電極を備えている。複数の内部電極は、1つの第1の内部電極21と、1つの第2の内部電極22と、複数(本実施形態では2つ)の第3の内部電極23と、複数(本実施形態では2つ)の第4の内部電極24と、1つの第5の内部電極25と、1つの第6の内部電極26と、複数(本実施形態では2つ)の第7の内部電極27と、複数(本実施形態では2つ)の第8の内部電極28とからなる。
絶縁体層20の積層方向から見た第1〜第8の内部電極21〜28の形状は、第1実施形態に係る積層コンデンサC1が備える第1〜第8の内部電極21〜28と同一である。ただし、第1、第2、第5、及び第6の内部電極21,22,25,26は、第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28と比べて、厚くなっている。
第3実施形態に係る積層コンデンサによれば、第1実施形態に係る積層コンデンサC1と同様の効果を得ることができる。更に、第3実施形態に係る積層コンデンサでは、第1、第2、第5、及び第6の内部電極21,22,25,26の厚さを比較的厚くできるので、直流抵抗を更に下げることが可能となり、積層コンデンサのQ値をいっそう向上させることができる。また、端面間が対向する第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28の厚さを比較的薄くできるので、静電容量値が小さい容量形成領域をより確実に得ることができる。よって、静電容量値の微調整がより確実に可能となる。
続いて、図8(a)に基づいて、第3実施形態の変形例について説明する。図8(a)は、第3実施形態の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3及び第7の内部電極23,27の形状が第3実施形態と異なっている。
本変形例の第3の内部電極23は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第2の内部電極22よりも長さが短い。本変形例の第7の内部電極27は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第1の内部電極21よりも長さが短い。
このような積層コンデンサでは、第3実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第3の内部電極23を第2の内部電極22よりも短くし、第7の内部電極27を第1の内部電極21よりも短くしたので、大きな積層ずれ等が発生した際に、第1の内部電極21と第3の内部電極23との間、及び、第2の内部電極22と第7の内部電極27との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減できる。よって、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図8(b)に基づいて、第3実施形態の他の変形例について説明する。図8(b)は、第3実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第4及び第8の内部電極24,28の形状が第3実施形態と異なっている。
本変形例の第4の内部電極24は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第5の内部電極25よりも長さが短い。本変形例の第8の内部電極28は、積層体1の側面6,7が対向する方向において、第6の内部電極26よりも長さが短い。
このような積層コンデンサでは、第3実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第4の内部電極24を第5の内部電極25よりも短くし、第8の内部電極28を第6の内部電極26よりも短くしたので、積層ずれ等が発生した際に、第2の内部電極22と第4の内部電極24との間、及び、第1の内部電極21と第8の内部電極28との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
続いて、図8(c)に基づいて、第3実施形態の他の変形例について説明する。図8(c)は、第3実施形態の他の変形例に係る積層コンデンサが備える積層体の断面図である。本変形例に係る積層コンデンサでは、第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28の形状が第3実施形態と異なっている。
積層体1の側面6,7が対向する方向において、本変形例の第3の内部電極23は第2の内部電極22よりも長さが短く、第4の内部電極24は第5の内部電極25よりも長さが短く、第7の内部電極27は第1の内部電極21よりも長さが短く、第8の内部電極28は、第6の内部電極26よりも長さが短い。
このような積層コンデンサでは、第3実施形態に係る積層コンデンサと同じ効果を得ることができる。また、第3の内部電極23を第2の内部電極22よりも短くし、第4の内部電極24を第5の内部電極25よりも短くし、第7の内部電極27を第1の内部電極21よりも短くし、第8の内部電極28を第6の内部電極26よりも短くしたので、大きな積層ずれ等が発生した際に、第1の内部電極21と第3及び第8の内部電極23,28との間、及び、第2の内部電極22と第4及び第7の内部電極24,27との間に、静電容量を実質的に生じさせる領域が形成される可能性を低減でき、静電容量値のばらつきが少ない積層コンデンサをより確実に得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨が逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、第3、第4、第7、及び第8の内部電極23,24,27,28の枚数は上記実施形態に示したものに限られない。ただし、第1及び第2の内部電極21,22については一対のみとする。
また上に示した各変形例では、第3の内部電極23が短いときには第7の内部電極27も短く、第4の内部電極24が短いときには第8の内部電極28も短くなっているが、必ずしもそうでなくてもよい。すなわち、第3の内部電極23、第7の内部電極27、第4の内部電極24、及び第8の内部電極28の長さは、別々に設定することができる。
C1・・・積層コンデンサ、1・・・積層体、10・・・第1の端子電極、11・・・第2の端子電極、20・・・絶縁体層、21・・・第1の内部電極、22・・・第2の内部電極、23・・・第3の内部電極、24・・・第4の内部電極、25・・・第5の内部電極、26・・・第6の内部電極、27・・・第7の内部電極、28・・・第8の内部電極。