以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施例について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、「記憶部」或いはこれに類する用語は、情報を格納する装置のみならず、情報を格納する格納領域を意味するものである。したがって、以下の説明で複数の記憶部が示された場合には、複数の記憶装置のみならず、単一の記憶装置に含まれる複数の記憶領域を意味する場合もある。
図1は、一実施例に係る用紙排出装置が組み込まれた画像形成装置1の構成を示す図である。図1に示すように、画像形成装置1は、複合機10と後処理装置20を備える。複合機10は、画像情報に基づいて画像を形成するとともに形成された画像を用紙(シート)P2へ転写する。後処理装置20は、複合機10によって印刷処理が施された用紙P2に対して後処理を施す。
複合機10は、複写機としての機能と、プリンタとしての機能と、ファクシミリ装置としての機能を併せ持つ。複合機10がプリンタとして使用されるとき、複合機10は、まず、原稿P1の原稿画像を読み取る。その後、複合機10は、読み取った原稿画像に基づいて画像を形成し、形成された画像を用紙P2へ転写する。複合機10がプリンタとして使用されるとき、外部のパーソナルコンピュータ等から送信される画像情報信号に基づき、画像を形成し、形成された画像を用紙P2へ転写する。複合機10がファクシミリ装置として使用されるとき、通信回線を介して送信される画像情報信号に基づき、画像を形成し、形成された画像を用紙P2へ転写する。
複合機10は、原稿P1を装填するための原稿搬送装置11と、この原稿搬送装置11に装填された原稿P1から原稿画像を読み取る画像読取部12と、この画像読取部12で読み取られた原稿画像を用紙P2にトナー像として転写する画像形成部13と、この画像形成部13で転写された用紙のトナー像を定着する定着部14と、画像形成部13に向けて給紙する用紙P2を貯留する用紙貯留部15を備える。画像読取部12、画像形成部13、定着部14及び用紙貯留部15は、箱形の装置本体2内に収容されるとともに適切な手段を用いて固定されている。原稿搬送装置11は、装置本体2とは別体に形成され、装置本体2の上面に載置される。
原稿読取部12の上面に開閉自在に取り付けられている原稿搬送装置11は、開閉可能なカバー蓋体111、原稿トレイ112及び原稿給紙機構113を備える。カバー蓋体111の上面は、凹状に形成され、この凹部に原稿トレイ112が配設される。原稿トレイ112には、原稿OP1の束が装填される。原稿給紙機構113は、原稿トレイ112に装填された原稿束から原稿P1を1枚ずつ繰出し、画像読取部12に送り出し、原稿画像を画像読取部12の上面に対向させる。
画像読取部12は、コンタクトガラス121と画像読取機構122を備える。コンタクトガラス121は、画像読取部12の上面に配設される。原稿給紙機構113により送り出された原稿P1の画像面がコンタクトガラス121に密着される。画像読取機構122は、コンタクトガラス121に密着された原稿画像を走査して読み取る。画像読取機構122は、移動しながら原稿画像に光を照射する移動光源125を備える。移動光源125からの光は、原稿P1により反射される。画像読取機構122は、更に、移動光源125の反射光を所定の光路に沿うように反射する複数のミラー126及び光路の光を収束させるレンズ部材127を含む光学系部材124を備える。
画像形成部13は、感光体ドラム131、搬送ベルト132、帯電器、露光装置、現像装置及びクリーニング装置等を含む。感光体ドラム131の周面には静電潜像及びトナー像が順次形成される。搬送ベルト132は、感光体ドラム131の周面に用紙P2を送り込む。感光体ドラム131は、長手方向軸周りに回転する。
移動光源125の反射光は、上述の如く、光学系部材124を通過し、CCD(Charge Coupled Device)へ入力される。これにより、画像データに対応するアナログ信号がデジタル信号に変換されることとなる。デジタル信号に対応したレーザ光が、感光体ドラム131の周面に照射される。この照射によって、感光体ドラム131の周面に静電潜像が順次形成される。走査光照射位置の下流側で、形成された静電潜像に現像部133からトナーが供給される。この結果、感光体ドラム131の周面にトナー像が形成される。このトナー像は、搬送ベルト132によって給紙された用紙P2に転写される。
定着部14は、画像形成部13で感光体ドラム131により画像が転写された用紙P2のトナー像に対し定着処理を施す。定着部14は、定着ローラ141と、定着ローラ141の下方に配設されるとともに定着ローラ141に対向配置される加圧ローラ142を備える。定着ローラ141の内部には、通電発熱体等の発熱源が装着される。画像形成部13から搬送ベルト132の周回駆動に伴って搬送されてきた用紙P2は、定着ローラ141及び加圧ローラ142間のニップ部へ給紙される。ニップ部において、定着ローラ141からの熱エネルギにより、トナー像が用紙P2に定着される。定着部14を通過した用紙P2は、最下流端に設けられた搬出ローラ対143を介し、排紙口4を通って後処理装置20へ向けて搬出される。
用紙貯留部15は、装置本体2に対して挿脱自在に内装された複数段の用紙カセット(シート収容部)151を備える。各用紙カセット151の一方の端部(図1に示す例では右端部)には、ピックアップローラ152や給紙ローラ153が設けられる。ピックアップローラ152の駆動回転により、用紙カセット151に装填されている用紙束の最上位の用紙P2が順次繰り出され、給紙ローラ153及び搬送路3を介して画像形成部13に向けて搬送される。
用紙カセット151から導出された用紙P2は、搬送ベルト132によって搬送され、感光体ドラム131の周面のトナー像が転写される。トナー像が転写された用紙P2は、定着部14において定着ローラ141からの加熱による熱定着処理が施された後、搬出ローラ対143を通って装置本体2の排紙口4から排出され、後処理装置20へ引き渡される。
後処理装置20は、箱形の装置本体6と、この装置本体6に収容される用紙搬入部21、パンチ部22、仕分け部23、中間トレイ部24、マルチトレイ部30及び用紙中折り部25を備える。
用紙搬入部21は、複合機10の搬出ローラ対143を介して排紙口4から排紙された転写処理済みの用紙P2を後処理装置20内に受け入れる部分である。用紙搬入部21は、傾斜板からなる用紙受入れシュート211を備える。
用紙受入れシュート211は、装置本体6の右上部で複合機10の排紙口4に向けて上下に広がった状態で形成されている。したがって、排紙口4から排紙された用紙P2は、この用紙受入れシュート211の上下の面にガイドされ、左上方に向けてスライド移動する。
パンチ部22は、用紙搬入部21を介して複合機10から送り込まれた用紙P2の先端側の縁部にパンチ孔を穿孔する。パンチ部22は、パンチングマシンと、用紙P2の搬送路を挟んでパンチングマシンの直下に設けられた受け台と、この受け台の直下に設けられたパンチ屑を収容するためのパンチ屑容器221を備える。パンチング処理の実行が予定された用紙P2が、複合機10から排紙口4を介して後処理装置20内へ送り込まれると、パンチ部22においてパンチングマシン221により用紙P2の先端側の縁部にパンチング処理が施され、引き続き仕分け部23へ向けて搬送される。このときに生じたパンチ滓は、パンチ屑容器221に収容される。なお、パンチング処理の実行が予定されていない用紙P2が、複合機10から後処理装置20へ送り込まれると、パンチング処理が施されることなくパンチ部22を通過する。
パンチ部22を通過した用紙P2の行き先は、用紙処理の種類に応じて自動的に或いは操作パネルを介してユーザが所定の設定操作を行うことにより予め決められる。パンチ部22を通過した用紙P2の行き先にしたがって、仕分け部23は、用紙P2を汎用トレイ301、マルチトレイ部30及び中間トレイ部24のいずれかに仕分ける。
中間トレイ部24は、導入された用紙P2にステイプル処理などの後処理を施す。中間トレイ部24に導入された所定枚数の用紙は、中間搬送路241に積載され、ステイプラによって所定のステイプル処理が施された後、逆送されて大容量トレイ302へ排出される。大容量トレイ302は、用紙束の多部数の排出に対応するべく、昇降可能に構成され、積載量に応じて、大容量トレイ302の高さ位置の制御がなされる。
装置本体6の天板に上面トレイ303が配設される。上面トレイ303は、パンチング処理やステイプル処理を施されていない用紙P2を排出するために用いられる。上面トレイ303には、通常、A4サイズの用紙P2が排出される。A3サイズの用紙P2は、汎用トレイ301へ排出される。
用紙中折り部25は、中綴じ用ステイプラを備える。用紙中折り部25は、中綴じ用ステイプラを用いて用紙P2に対してステイプル処理を施した後、用紙P2の中央部から二つ折り処理(中折り処理)を施す。中折り対象の用紙P2は、中間トレイ部24の外側(図では右側)の搬送路を通って導入される。中折り処理後の用紙P2は、専用の中折りトレイ251へ排出される。
画像形成装置1は、複合機10がプリンタやファクシミリ装置として使用されるときに、外部からの信号と情報の遣り取りを行うためのインタフェース回路を備える。
図2は、画像形成部により画像形成処理を施与された用紙P2を排出するマルチトレイ部(用紙排出装置)30の斜視図である。マルチトレイ部30は、直方体形状の枠フレーム31と、枠フレーム31から突設される複数の排紙トレイ32を備える。排紙トレイ32は、複合機10から離間する方向に延び、マルチトレイ部30から排出された用紙P2を受け止める。複数の排紙トレイ32は、上下方向に等ピッチで並設される。枠フレーム31は、後処理装置20の装置本体6の上面において、複合機10から離間した位置で立設されている(図1参照)。図2には、枠フレームの上面を形成する天板312と、複合機10に対して対向する面をなす面板315が示される。天板312と面板315の側縁に沿って、カバー317が取り付けられている。面板315の下部には、画像形成部13を通じて画像形成処理を施与された用紙P2のマルチトレイ部内への入り口となる受入開口316が形成される。また、図2において、面板315の下方に存するガイドプレート901が示されている。
図3は、天板312、面板315及びカバー317を除去したマルチトレイ部30を示す。図3において、枠フレーム31の側箱311が示される。一対の側箱311は、枠フレーム31の両側部を形成するとともにカバー317を固定する役割を担う。図3において、側箱311間に複数の切り換えガイド(ガイド部材)40が示される。各切り換えガイド40は、各排紙トレイ32に対応して設けられ、上下方向に整列される。一対の側箱311のうち一方は、駆動モータ(駆動源)71を基点として構築される駆動力伝達機構70を収容する。他方の側箱311は、切り換えガイド40の姿勢を切り換える切換え機構50を収容する。側箱311は、面板315の上縁近傍に沿って延びる回転中心軸上に位置する回動シャフトを支持し、面板315は、この回動シャフト周りに回動し、上下に開閉可能とされている。面板315を開放位置に回動させることにより、メンテナンス作業やジャム解消作業等を行うことができる。尚、図3は更に、枠フレーム31と複合機10の間に存する上面トレイ303及び後処理装置20の用紙搬入部21を併せて示している。
図3は更に、切り換えガイド40の途中部から露出する搬送ローラ621を示す。搬送ローラ621は、マルチトレイ部30内の用紙P2を搬送する役割を担う。また、図3は更に、面板315の取り付け面と反対側の面に配設される取り付け基台900を示す。取り付け基台900は、排紙トレイ32の基端部に接続される。排紙トレイ32は、取り付け基台900との接続部を基端として、複合機10から離間する方向に延びる(図1及び図2参照)。排紙トレイ32の先端部は、基端部と比して若干上方に位置し、排紙トレイ32は、傾斜姿勢で固定される。
図4は、図3に示される複数の切り換えガイド40のうち1つを示す斜視図である。切り換えガイド40は、一対の側箱311間で延びる長尺のガイド本体401と、ガイド本体401から突設された複数枚のガイドフィン42を備える。ガイド本体401には、搬送ローラ621(図3参照)を露出させるための2つの逃がし孔45が形成されている。切り換えガイド40の両端には、ガイド軸41が形成される。ガイド軸41は、側箱311を貫通し、切り換えガイド40の回動軸として機能する(図3参照)。一対のガイド軸41のうち一方は、操作部材(第1部材)54と嵌合する。切り換えガイド40は、更に、捻りバネ43を備える。捻りバネ43は、ガイド軸41及び側箱311に接続される。
操作部材54は、略三角形状をなす基板541と、基板541の一の縁からガイド軸41の延出方向に延びる接触板542と、基板541の面からガイド軸41に向けて延びる連結筒543を備える。ガイド軸41は、断面略U字形状をなし、連結筒543は、ガイド軸41の断面に対し相補的な断面を有する貫通穴を備える。この貫通穴は、基板541を貫く。ガイド軸41は、この貫通穴に挿入され、操作部材54とともに回動する。
三日月状のガイドフィン42は、円弧形状をなす上方に湾曲した案内縁(案内部)421と案内縁421の上方に位置する上縁422を備える。案内縁421は、排紙搬送路310(図5参照)中に所定の傾斜角度を以って延出する。案内縁421は用紙P2と接触し、搬送途中の用紙P2の搬送方向を変更する。これにより用紙P2は、排紙トレイ32に案内されることとなる。
図4を再度参照する。基板541と側箱311との間において、両端に延出部を有する捻りバネ43が外嵌される。ガイド軸41の他端側にも同様の捻りバネ43が外嵌される。操作部材54に隣接する捻りバネ43の一端側の延出部は側箱311に引っ掛けられ、他端側の延出部は接触板542の背面に係止される。操作部材54は、捻りバネ43によってガイド軸41周りに時計方向に向けて付勢される。
図3及び図4を参照する。切換え機構50は、側箱311内で上下方向に整列する複数のプーリ51と、各プーリ51に掛け回されたタイミングベルト52(ベルト)と、タイミングベルト52の外面側に接続された干渉突起(第2部材)53と、切り換えガイド40と接続されるとともに切り換えガイド40と一体的に回動する操作部材54を備える。プーリ51とタイミングベルト52は、干渉突起53を移動させるための移動機構として用いられる。複数のプーリ51のうち最下位置に配されるプーリは、タイミングベルト52に噛み合う歯を備える歯付きプーリ51aである。タイミングベルト52は、歯付きプーリ51aと最上位のプーリ51との間に張設されている。歯付きプーリ51aはモータ等の駆動源と接続され回転駆動力を与えられる。
干渉突起53が操作部材54と接触することに起因する外力により、操作部材54がガイド軸41との接続部を軸に回動し、切り換えガイド40の姿勢は、退避姿勢と案内姿勢との間で切り換えられる。歯付きプーリ51a以外のプーリ51は、干渉突起53が操作部材54と干渉する際の操作部材54からの反力に抗するために用いられる。これにより、干渉突起53と操作部材54の接触の間のタイミングベルト52の湾曲が防止される。
図3に示す例において、タイミングベルト52が時計回りに周回すると、干渉突起53は、下方に向けて移動する。この間、干渉突起53は、最上位の操作部材54から順番に各操作部材54の接触板542と干渉する。干渉突起53は、各操作部材54において接触板542をガイド軸41周りに反時計方向に回動させた後に、その下端部から下方へ抜け出て次の操作部材54に向かう。したがって、操作部材54は、干渉突起53が通過する度にガイド軸41周りに揺動することとなる。これに伴い、ガイドフィン42もガイド軸41周りに一体的に揺動することとなる。
図5は、図2に示すVII−VII線におけるマルチトレイ部30の断面図である。 排紙搬送路(搬送路)310は、面板315と切り換えガイド40との間で形成される。排紙搬送路310は、上下方向に延び、用紙P2を上方へ向けて搬送するために用いられる。用紙P2は、排紙搬送路310に案内され、上方に移動し、その後、姿勢変化した切り換えガイド40に案内され、この切り換えガイド40に対応する排紙トレイ32へ向けて排出される。排紙トレイ32は、排出された用紙P2を受け止める。面板315の内表面には、排紙搬送路310を形成するべく、上下方向へ延びる複数のリブや、従動コロが設けられる。これらは、排紙搬送路310内を上昇する用紙P2の円滑な搬送を可能とする。
ガイドフィン42は、ガイド軸41周りの回動に伴い、退避姿勢(第1姿勢)S1と案内姿勢(第2姿勢)S2の間で回動する。退避姿勢S1の位置にガイドフィン42が存するとき、干渉突起53は、操作部材54と干渉しない。また、案内縁421は排紙搬送路310を横切らず、搬送途中の用紙P2と接触しない。したがって、用紙P2の搬送方向は変更されない。上縁422は、排紙搬送路310に沿い、排紙搬送路310の面の一部を形成する。干渉突起53がいずれかの操作部材54の接触板542と干渉した状態でタイミングベルト52の周回が停止されると、干渉突起53が干渉している操作部材54に対応したガイドフィン42は、案内姿勢S2に姿勢設定された状態になる。案内姿勢S2において、案内縁421は、排紙搬送路310を横切り、搬送途中の用紙P2の先頭縁と接触する。また、上縁422は面板315と接触する。この結果、用紙P2の搬送方向が変更され、排紙トレイ32に受け止められる。
搬送機構60は、垂直搬送機構61と排出搬送機構62を備える。垂直搬送機構61は、用紙P2を排紙搬送路310に沿って上方へ搬送する。用紙P2が上方へ搬送されている間、退避姿勢S1にあるガイドフィン42の上縁422(図4参照)は、用紙P2を案内する役割を担う。案内姿勢S2にあるガイドフィン42の案内縁421に案内された用紙は、排出搬送機構62によって、排紙トレイ32へ排出される。
垂直搬送機構61は、下から第1段、第3段および第5段の排紙トレイ32の基端側に対向させて排紙搬送路310の左側にそれぞれ配設された第1搬送ローラ611と、これら各第1搬送ローラ611にそれぞれ右側で対向させて配設された第2搬送ローラ612を備える。第2搬送ローラ612は、枠フレーム31の面板315の内表面に配設され、第1搬送ローラ611とニップを形成して従動回転する搬送コロである。排紙搬送路310へ導入された用紙P2は、これら第1及び第2搬送ローラ611,612にニップされた状態で、両ローラの互いに反対方向へ向かう回転によって排紙搬送路310内を上昇する。
第1搬送ローラ611は、枠フレーム31の一対の側箱311間に架設された第1ローラ軸613周りに回転可能に軸支される。第2搬送ローラ612は、第2ローラ軸614周りに回転可能に軸支される。第1搬送ローラ611は、駆動力伝達機構70の駆動によって、第1ローラ軸613周りに回転する。第2搬送ローラ612は、第1搬送ローラ611の回転に対し、第2ローラ軸614周りに従動回転する。
排出搬送機構62は、各排紙トレイ32の基端部に対向してそれぞれ設けられた第3搬送ローラ621と、各第3搬送ローラ621の直上位置にそれぞれ対向配置された第4搬送ローラ622を備える。
第3搬送ローラ621は、枠フレーム31の一対の側箱311間に架設された第3ローラ軸623周りに回転可能に軸支されている。第4搬送ローラ622は、第4ローラ軸624周りに回転可能に軸支されている。第3搬送ローラ621は、駆動力伝達機構70の駆動によって第3ローラ軸623周りに回転する。第4搬送ローラ622は、第3搬送ローラ621の回転に対し、第4ローラ軸624周りに従動回転する。
用紙P2は、受入開口316を介して排紙搬送路310へ送り込まれた後、案内姿勢S2に姿勢設定されたガイドフィン42に案内され、排紙搬送路310から排紙トレイ32に向けて進入する。この用紙P2は、第3及び第4搬送ローラ621,622間でニップされつつ、これら第3搬送ローラ621、第4搬送ローラ622の互いに逆方向の回転によって、排紙トレイ32へ向けて排出される。
図6は、タイミングベルト52と操作部材54の位置関係を示す。タイミングベルト52の上下方向に延びる一対のベルト帯の一方に沿って、操作部材54は整列する。退避姿勢S1にある操作部材54の接触板542は、タイミングベルト52のベルト帯に対して下端が近接する方向に傾斜し、案内姿勢S2にある操作部材54の接触板542は、タイミングベルト52のベルト帯に対して略平行となる。捻りバネ43(図4参照)は、操作部材54が退避姿勢を維持するように付勢力を操作部材54に与える。
タイミングベルト52の下端に位置する歯付きプーリ51aの下方にガイド操作部材902が配設される。ガイド操作部材902の構造は、操作部材54の構造と略同様であるが、ガイド操作部材902は、切り換えガイド40に代えて、ガイドプレート901(図2参照)に接続する。本実施例においては、干渉突起53のホームポジションは、最下位の歯付きプーリ51aの直下位置とされている。干渉突起53がホームポジションに位置しているとき、ガイドプレート901が上向き姿勢に姿勢設定される。この結果、送り込まれた用紙P2は、必ず汎用トレイ301へ排出されることになる。これに対し、干渉突起53がホームポジションから外れたときには、ガイドプレート901が下向き姿勢に姿勢設定される。これによってマルチトレイ部30へ送り込まれた用紙P2は、ガイドプレート901に掬い上げられ、マルチトレイ部30内の排紙搬送路310へ向かう。
このように本実施例では、1つの干渉突起53を備えるタイミングベルトを用いて、汎用トレイ301又は排紙トレイ32のいずれかへの排紙経路の選択並びに複数の排紙トレイ32のうち1つの排紙トレイ32の選択を行なうことが可能である。これにより、ガイドプレート901及び各ガイドフィン42の姿勢変更のための専用の機構を設ける必要がなくなり、部品点数の削減並びに製造コストの低減化に貢献することができる。
マルチトレイ部30の作用について説明する。タイミングベルト52の干渉突起53が最下位のホームポジションに位置設定されている状態では、干渉突起53がガイド操作部材902の接触板542を、捻りバネ43の付勢力に抗してガイド軸41回りに所定量だけ反時計方向に向けて回動させる。このため、接触板542と一体のガイド軸41が軸心周りに同一量だけ回動する。この結果、ガイドプレート901が同一量だけ回動して上向き姿勢とされる。したがって、仕分け部23から送り出された用紙P2は、ガイドプレート901の下を潜って汎用トレイ301へ向けて排出される。
ガイドプレート901が下向き姿勢に姿勢設定されるとき、用紙P2がマルチトレイ部30で排出処理される。タイミングベルト52が時計方向に周回すると、ホームポジションにいた干渉突起53は、ガイド操作部材902から外れて上昇する。この時点で、ガイドプレート901が下向き姿勢に姿勢設定される。
更に上昇した干渉突起53は、最上位のプーリ51を回って下降する。その後、操作部材54の接触板542と干渉し、接触板542を一旦ガイド軸41周りに反時計方向へ回動させる。その後、接触板542を潜り抜け、下方に位置する次の操作部材54へ向かう。
タイミングベルト52の周回を、干渉突起53が下から2段目の操作部材54の位置で停止させたとする。この場合、干渉突起53が捻りバネ43の付勢力に抗して、下から2段目の接触板542をガイド軸41周りに反時計方向に向けて所定量だけ回動させる。このため、対応するガイドフィン42が退避姿勢S1から案内姿勢S2へ姿勢変更される。各排紙トレイ32に対応して一対の側箱311間に架設される複数の枠内ガイド板が配される。ガイドフィン42が退避姿勢S1から案内姿勢S2へ姿勢変更されると、枠内ガイド板からガイドフィン42が離間し、用紙P2が排紙トレイ32へ向かう経路を形成する。
この間、仕分け部23から送り出された用紙P2は、ガイドフィン42にガイドされつつ受入開口316を通って排紙搬送路310内へ送り込まれ、排紙搬送路310内を上昇する。
マルチトレイ部30へ向けて送り出された用紙P2は、干渉突起53と接触する操作部材54に対応する排紙トレイ32へ排出される。したがって、干渉突起53のホームポジションを基準として、タイミングベルト52の周回量を制御することにより、用紙P2を予め選択された排紙トレイ32へ向けて適正に排出させることができる。
図7は、制御部により用紙P2のマルチトレイ部30への排出制御の一実施例を説明するブロック図である。制御部80は、マルチトレイ部30への用紙の排出動作を制御する役割を担う。制御部80は、演算処理ユニットであるCPU(central processing unit)81と、CPU81に付設された読み出し専用のROM(read only memory)82と、CPU81に付設された読み書き自在のRAM(random access memory)83を備える。
ROM82には、制御を実行するためのプログラムが記憶されている。このプログラムに基づき、切り換えガイド40のガイドフィン42の姿勢変更制御が実行される。これに対し、RAM83は、制御動作において、一時的に用いられる各種のデータを一時的に書き込んだり読み出したりする領域として使用される。
CPU81は、いずれの排紙トレイ32が選択されたかを判別する排紙トレイ判別部811と、駆動モータ71の駆動の目的に応じてその回転方向を判別する回転方向判別部812と、タイミングベルト52の周回速度をどの程度に設定するかを判別するベルト周回速度判別部813と、これら排紙トレイ判別部811及びベルト周回速度判別部813の判別結果に基づき駆動モータ71へ向けて所定の制御信号を出力する制御信号出力部814を含む。
CPU81の制御による関連機器の動作及びマルチトレイ部30へ導入された用紙P2の流れの概要を説明する。いずれかの排紙トレイ32が選択されると、CPU81は、駆動モータ71を、用紙P2を排出させていたときとは逆方向に駆動させてタイミングベルト52を周回させ、干渉突起53を選択された排紙トレイ32に対応する操作部材54に位置付けして停止させる。これにより、選択された排紙トレイ32に対応するガイドフィン42は、案内姿勢S2に姿勢設定される。
その後、後処理装置20による用紙P2の排出処理が開始される。これと同時に、駆動モータ71が用紙P2を搬送させる方向に向けて駆動される。この結果、処理装置20からガイドプレート901を通ってマルチトレイ部30の排紙搬送路310へ導入された用紙P2は、選択された排紙トレイ32に対応するガイドフィン42に案内されつつ、選択された排紙トレイ32へ排出される。
ホームポジションに干渉突起53が位置しているときに、最下段の排紙トレイ32が選択されると、最下段の排紙トレイ32に対応する位置に干渉突起53が到達するまでに、タイミングベルト52を時計方向に略一周させる必要がある。このため、必要に応じて(特に、用紙Pの搬送速度(排紙速度)が速い高速機種の画像形成装置1を用いる場合)、排紙トレイ32が選択された直後であって、マルチトレイ部30への排紙がスタートされる前に、予めガイドフィン42の姿勢を退避姿勢S1から案内姿勢S2へ変更してもよい。これに対し、排紙速度の遅い低速機種の画像形成装置1を用いる場合には、後処理装置20への排紙が開始した後、ガイドフィン42の姿勢を変更させてもよい。
尚、干渉突起53のホームポジションは、用紙P2を最も使用頻度の高い汎用トレイ301へ排出する位置に設定されることが好ましい。これにより、ガイドプレート901の切り換え動作に要する時間を極力少なくすることができる。
CPU81の機能部である排紙トレイ判別部811、回転方向判別部812、ベルト周回速度判別部813及び制御信号出力部814について個別にその機能を説明する。
排紙トレイ判別部811には、プリンタやファクシミリ装置等の外部機器90からインタフェースを介して伝送された情報や、複合機10の適所に設けられた入力装置84(シート識別部)からの排紙トレイ32の選択に関する情報等が入力される。
排紙トレイ判別部811は、例えば、パーソナルコンピュータ上のプリンタドライバで設定された排紙先の排紙トレイ32の情報を取得する。その後、排紙先の排紙トレイ32に用紙P2を排出させるべく、排紙トレイ32の特定番号(例えば、下から3段目)を指令信号として制御信号出力部814へ向けて出力する。この指令信号が入力された制御信号出力部814は、その選択された排紙トレイ32に対応するガイドフィン42を退避姿勢S1から案内姿勢S2に姿勢変更させるべく、駆動モータ71へ向けて制御信号を出力する。
駆動モータ71へ向けて出力された制御信号は、ホームポジションに位置している干渉突起53を、選択された操作部材54へ移動させるために必要なパルス数を含むパルス信号である。このパルス信号が入力された駆動モータ71のモータ軸は、そのパルス数に対応した量だけ回転し、タイミングベルト52を周回させる。これにより、干渉突起53は目的の操作部材54に到達し、接触板542をガイド軸41周りに回動させる。この結果、選択されたガイドフィン42は退避姿勢S1から案内姿勢S2へ姿勢変更する。
その後、用紙P2は、仕分け部23から受入開口316を介してマルチトレイ部30内の排紙搬送路310へ送り込まれ、案内姿勢S2に姿勢設定されたガイドフィン42を介して、選択された排紙トレイ32へ排出される。この用紙P2の排出は、排紙トレイ判別部811に入力される情報に含まれる排出予定の用紙枚数と合致する枚数の用紙の排出が完了するまで実行される。用紙の排出工程が完了すると、制御信号出力部814からの制御信号による駆動モータ71の駆動によってタイミングベルト52が周回され、干渉突起53が元のホームポジションへ戻される。これにより、排紙トレイ判別部811に次に入力される入力信号に基づく、新たなジョブを実行する準備が完了する。
入力装置84は、複合機10を複写機として利用するとき及び複写処理によって複写された用紙P2の排出先を設定するときに、ユーザから所定の入力操作を受け付ける。複合機10をファクシミリ装置として使用するときには、例えば、ROM82に格納されたプログラムを用いて、ファクシミリ専用の排出先を予め設定しておくことができる。
複合機10が複写機として使用される場合であって、入力装置84から特に排出先を選択するためのキー操作が行われなかったときは、ガイドプレート901が上向き姿勢を維持する。したがって、排出先の選択が行われなかったときには、複写処理後の用紙P2は全て汎用トレイ301へ向けて排出される。入力装置84からいずれかの排紙トレイ32を選択する旨のキー操作による入力処理が行われたときには、この入力処理に起因する信号が排紙トレイ判別部811へ入力される。これによって、外部機器90からのID番号が排紙トレイ判別部811へ入力された場合と同様の制御が行われ、用紙P2が選択された排紙トレイ32へ向けて排出されることになる。
回転方向判別部812は、排紙工程処理状況に応じて、切り換えガイド40を操作するための駆動(第1モード)と用紙P2を搬送するための駆動(第2モード)を判別する。駆動モータ71の駆動回転の方向は、回転方向判別部812の判別結果に応じて定められる。後述される第1モード及び第2モードの動作は、駆動力伝達機構70を構成するワンウェイクラッチを含む駆動列により達成される。
第1モードであると判別された場合、回転方向判別部812は、制御信号出力部814を介して駆動モータ71を正方向に回転させる信号を出力する。これによりタイミングベルト52は、排紙トレイ判別部811が判別した周回量だけ一方向に駆動される。タイミングベルト52の所定の周回で、選択された排紙トレイ32に対応するガイドフィン42が退避姿勢S1から案内姿勢S2に姿勢変更されると、駆動モータ71が停止される。この駆動モータ71の停止のタイミングの判別は排紙トレイ判別部811が行う。排紙トレイ判別部811は、駆動モータ71を停止させるための停止信号を制御出力部814へ送信し、制御出力部814は、駆動モータ71に停止信号を送る。この結果、駆動モータ71が停止されることとなる。また、排紙トレイ判別部811は、回転方向判別部812に第1モードが終了したことを示す信号を送信する。
排紙トレイ判別部811から回転方向判別部812への第1モードが終了したことを示す信号の送信がなされると、第2モードが実行される。第2モードでは、回転方向判別部812は、制御信号出力部814に駆動モータ71を逆方向に駆動回転させる制御信号を出力させる。この制御により駆動モータ71は逆回転され、用紙P2は、排紙搬送路310に沿って搬送された後、案内姿勢S2に姿勢設定されているガイドフィン42を通って選択された排紙トレイ32へ排出される。
排紙トレイ32への用紙P2の排紙が完了すると、駆動モータ71の駆動が停止される。排紙が完了したか否かは、例えば、排紙トレイ32へ向かう排紙搬送路に配置されたPI(フォトインタラプタ)センサ(図示せず)の出力に基づき判定される。
入力装置84には、タイミングベルト52の周回速度を変更させるためのダイヤル(図示せず)が設けられる。このダイヤルは、例えば、タイミングベルト52の周回速度が速過ぎることによって干渉突起53が被操作プレート542と干渉するとき、若しくは干渉が解除されるときに生じる騒音の発生を抑制するときに用いられる。
一方、ROM82には、ダイヤルの回動量と、タイミングベルト52の周回速度(駆動モータ71の駆動速度)との関係を示すテーブルが記憶される。ベルト周回速度判別部813は、入力されたダイヤルの回動量からROM82のテーブルを参照して駆動モータ71の駆動速度を設定し、駆動モータ71をその駆動速度で駆動させるべき指令信号を制御信号出力部814へ出力する。
この指令信号を受けた制御信号出力部814は、駆動モータ71に与える駆動パルスの周期を調整する等して、駆動モータ71の駆動速度を変更(駆動速度を低下)させ、タイミングベルト52の周回速度を調整する。例えば、周回速度を遅くすることで、タイミングベルト52の干渉突起53と操作部材54の被操作プレート542との干渉に起因する騒音の発生を抑えることができる。
騒音の発生を容認し、用紙P2の排出効率を向上させることを優先させるような場合には、ダイヤルが基準位置から逆方向に向けて操作される。これにより、駆動モータ71の駆動速度が速められる。この結果、タイミングベルト52の周回速度が増加し、選択された排紙トレイ32のガイドフィン42の退避姿勢S1から案内姿勢S2への姿勢変更を、迅速に行わせることができる。
図8は、排紙搬送路310に対する案内姿勢S2にある切り換えガイド40の角度を用紙P2の種類に応じて変更する制御を説明するブロック図である。図8に示される入力装置84(シート識別部)は、複合機10のタッチパネル式の操作盤である。入力装置84は、いくつかの機能を実行させるための選択ボタンを含むが、選択ボタンのうち1つが特殊紙選択機能である。特殊紙選択機能のボタンが押されると、次に、いくつかの種類のシート材料が表示される。図8において、「トレーシングペーパ」、「OHP」、「藁半紙」、「厚紙」、「特殊紙A」及び「特殊紙B」が表示されている。使用者が表示されるシート材料のボタンのうち1つを選択すると、入力装置は、CPU81の排紙トレイ判別部811にシート種信号(シート識別情報)を出力する。図8に示す実施例において、「厚紙」が選択されている。尚、図8に示す実施例では、シートの種類に関する情報を用いて排紙トレイ判別部811にシートの剛性に関する情報を与えているが、他の情報(例えば、シートの坪量、シートの厚さ寸法或いは実際に測定された剛性など)を用いて、排紙トレイ判別部811にシートの剛性に関する情報を与えることも可能である。シート種信号に含まれる情報は、RAM83に一時的に記録されてもよい。
シートの種類の選択が実行された後、入力装置84は、排出先となる排出トレイ32を使用者に選択させるための画面を表示する。使用者は、表示される複数の排出トレイ32の中から1つを選択する。図8に示す実施例では、「トレイ4」が選択されている。
ROM82は、通常用いられるシート(例えば、コピー紙など)用に設定されたパルス初期値「X0」(基準値)を格納する。このパルス初期値「X0」は、図7に関連して説明された実施形態の制御において、排紙搬送路310に対する案内姿勢S2にある切り換えガイド40の延出角度を決定する役割を担う。図8に示される実施例では、トレイ4に対応するパルス初期値X0が示されている。
RAM83は、入力装置84を通じて選択可能な各種類のシートに対応するパルス補正値を格納する。
排紙トレイ判別部811は、ROM82から制御プログラムを読み出すとともに、RAM82から選択されたシートに対応するパルス補正値を読み出す。図8に示す実施例では、「厚紙」に対応するパルス補正値「X5」を読み出すこととなる。その後、排紙トレイ判別部811は、制御プログラムに含まれるパルス初期値「X0」に対して、パルス補正値「X5」を用いて補正演算(例えば、値「X0」に対して「X5」を加算或いは減算するなど)を行ない、補正演算された値を含む指令信号を制御信号出力部814へ送信する。制御信号出力部814は、この指令信号に応じた制御信号(角度信号)を駆動モータ71へ送信する。
図9は、操作部材54と干渉突起53の接触を示す。図9(a)は、操作部材54が干渉突起53と接触する前の操作部材54と干渉突起53間の位置関係を表し、図9(b)は、図8に関連して説明された制御を用いて、厚紙の剛性を考慮した補正値を用いて、干渉突起53を移動させ、選択された「トレイ4」に対応する操作部材54に接触させた状態を示し、図9(c)は、補正値を用いない制御(図7参照)により、干渉突起53を移動させ、選択された「トレイ4」に対応する操作部材54に接触させた状態を示す。
図9に示すように、タイミングベルト52の周回に伴い、干渉突起53が下方に移動するにつれて、操作部材54の初期位置(図9(a)に示す操作部材54と干渉突起53が接触する前の位置)からの回動量が徐々に大きくなっていることが分かる。
図9(b)及び図9(c)は、図8に関連して説明された制御において、「厚紙」に対応する補正値「X5」により、駆動モータ71に送信されるパルス信号が含むパルス数は、通常のシート(例えば、コピー用紙)を「トレイ4」に排出する際に送信されるパルス信号が含むパルス数よりも減ぜられていることを示している。
図10は、切り換えガイド40の回動を示す。図10(a)は、干渉突起53が図9(b)に示される位置に存するときの切り換えガイド40の回動位置を示し、図10(b)は、干渉突起53が図9(c)に示される位置に存するときの切り換えガイド40の回動位置を示す。
図9に関連して説明した如く、干渉突起53が上方位置にあるとき、操作部材55の回動量は小さくなっている。したがって、干渉突起53が上方位置にあるとき、操作部材54と一体的に回動する切り換えガイド40の回動量は、干渉突起53が下方位置にあるときと比べて小さくなる。したがって、用紙P2の搬送方向と切り換えガイド40の案内縁421との交点(枠内ガイド板の上下方向に延びる面上の鉛直線と案内縁421の交点C)を点Cとして定義すると、点Cにおける円弧状輪郭をなす案内縁421の接線と用紙P2の搬送方向がなす角度θは、干渉突起53が上方位置にあるときの方が、干渉突起53が下方位置にあるときよりも小さくなる。図10を参照すると、図10(a)に示される角度θ(第1の角度)は、図10(b)に示される角度θ(第2の角度)よりも小さいことが分かる。点Cにおいて衝突した後の用紙P2の先頭縁の移動方向も干渉突起53の位置に応じて変動する。図10(a)における用紙Pの搬送方向の角度は、図10(b)より垂直方向に傾く。
切り換えガイド40を大きく回動させ、且つ、剛性が高い用紙P2を搬送した場合(図10(b)に示す用紙P2が、例えば、厚紙である場合)には、用紙P2の先頭縁は、切り換えガイド40の案内縁421に衝突する。図10(b)に示す用紙P2の搬送経路は、用紙P2の先頭縁と案内縁421との衝突の後、用紙P2の先頭縁近くにおいて用紙P2が急激に湾曲することを要求する。このため、湾曲しにくい剛性の高い用紙P2が搬送された場合には、用紙P2は案内縁421に沿って案内されず、搬送経路中での詰まりを生じさせることになる。一方、切り換えガイド40を小さく回動させて得られる用紙P2の搬送経路は、用紙P2の先頭縁近傍部分における急激な湾曲を要求しない。したがって、比較的円滑に用紙P2の先頭縁が下流に案内されることとなる。
尚、剛性が低い用紙P2(例えば、コピー用紙など)を用いる場合には、図10(b)に示す経路の方が好ましい。剛性が低い用紙P2は、搬送経路が要求する用紙P2の先端縁近傍での急激な湾曲に応ずることができるとともに、用紙P2全体は、大きな曲率半径を描く搬送経路に沿って移動することができるため、用紙P2全体としての円滑な搬送を得られるからである。
図8乃至図10に関連して説明された実施例では、入力装置84がシート種信号をCPU81に送信する。シート種信号を受信したCPU81の排紙トレイ判別部811がシート種信号に基づき、RAM83に記憶されたシートの種類と補正値との関係を表すルックアップテーブルから角度補正値を決定し、角度信号を駆動モータ71に送信する。この角度信号は、駆動モータ71の回転角度に関連する情報を含んでいる。この結果、駆動モータ71が角度信号に含まれる回転角度の情報に従って回転し、干渉突起53を所定距離だけ移動させるとともに切り換えガイド40を搬送対象の用紙P2に対して最適な傾斜角度をなす位置に移動させる。
図1に示される複合機10は、4つの用紙カセット151を備える。このうち、最下位置にある用紙カセット151が、例えば、厚紙専用の用紙カセット151であり、他の3つの用紙カセットには通常のコピー用紙が収容されているものとする。入力装置84は、いくつかの機能を実行させるための選択ボタン(選択部)を表示しているが、これらのうち1つが厚紙選択機能ボタンである。厚紙選択機能ボタンが押されると、入力装置84は、複合機10の制御を司るCPU89及びマルチトレイ部30の制御を司るCPU81の排出トレイ判別部811に信号を送信する。
厚紙選択機能ボタンが押された後、入力装置84は、排出先となる排出トレイ32を使用者に選択させるための画面を表示する。使用者は、表示される複数の排出トレイ32の中から1つを選択する。図8に示す実施例では、「トレイ4」が選択されている。入力装置84は、選択されたトレイに関する信号を排紙トレイ判別部811に送信する。
厚紙選択機能ボタンから信号を受けた排紙トレイ排出部811はRAMから厚紙搬送用の補正値X5を読み出す。その後、上述の制御工程と同様の制御工程にしたがって、駆動モータ71に制御信号を送信する。厚紙選択機能ボタンからの信号は、用紙P2を排出元となる用紙カセットを選択するための収容部選択信号として機能するとともにシートの剛性に関連する情報を含むシート種信号として機能する。
図1に示される複合機10が備える4つの用紙カセット151それぞれに、「コピー用紙」、「OHP」、「厚紙」及び「トレーシングペーパ」が収容されるとき、入力装置84は、いくつかの機能を実行させるための選択ボタンを表示し、これらのうち1つが紙選択機能ボタンとして機能する。紙選択機能ボタンが押されると、入力装置84は、用紙カセット151が収容する4種の用紙P2を表すボタンを表示する。厚紙が選択されると、入力装置84は、複合機10の制御を司るCPU89及びマルチトレイ部30の制御を司るCPU81の排出トレイ判別部811に信号を送信する。
厚紙ボタンが押された後、入力装置84は、排出先となる排出トレイ32を使用者に選択させるための画面を表示する。使用者は、表示される複数の排出トレイ32の中から1つを選択する。入力装置84は、選択されたトレイに関する信号を排紙トレイ判別部811に送信する。
厚紙ボタンから信号を受けた排紙トレイ排出部811はRAM83から厚紙搬送用の補正値X5を読み出す。その後、上述の制御工程と同様の制御工程にしたがって、駆動モータ71に制御信号を送信する。厚紙を選択する信号は、用紙P2を排出元となる用紙カセットを選択するための収容部選択信号として機能するとともに複数種の用紙P2の中から指定された特定のシートの剛性に関連する情報を含むシート種信号として機能する。
上述の制御は、使用者の手入力によりシートの剛性を判別する手法を用いたが、複合機10或いはマルチトレイ部30中の用紙P2の搬送経路途中に紙厚センサ(シート識別部)を配設し、紙厚センサによって測定される紙厚寸法に関する出力信号を用いて、搬送されている用紙P2の種類を区別する手法を採用してもよい。一般的に、紙厚寸法は紙の剛性に対し、高い相関関係を有するので、紙厚センサの出力信号をシートの剛性に関連する情報を含むシート種信号として用いることが可能である。尚、搬送中の光透過度など他の紙の特性を測定するセンサを用いて、用紙P2の種類を区別することも可能である。
尚、複合機10がプリンタとして利用される場合には、パーソナルコンピュータなどの外部装置からの信号にシートの剛性に関連する情報が含まれてもよい。これによっても、上述の制御を達成することができる。
上述の実施例においては、複数の排出トレイ32を備えるマルチトレイ部30を用いていたが、単数の排出トレイを備える用紙排出装置に対して、上述の制御原理を適用することが可能である。この場合には、例えば、干渉突起53、操作部材54、タイミングベルト52やプーリ51を用いることなく、直接的に駆動モータ71を、シートを搬送するための搬送ガイドに接続させることにより、角度変更可能な搬送ガイドとすることができる。
上述された実施例において、用紙P2の種類に応じて、切り替えガイド40の回動量を自動的に変更する例を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、駆動モータ71の代わりに手動で切り替えガイド40の回動量を調整する構造も、本発明に含まれるものである。