以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、帯状部材結束体1の一実施形態が示されている。
この帯状部材結束体1は、後述する製造ドラム10を利用して製造されるものであり、老朽化した既設管をライニングする螺旋管を製管する帯状部材1Aが巻き重ねられて中空円筒状に形成され、中空円筒状の帯状部材の外周面、内周面および左右の側面にわたって緩衝材2が周方向に間隔をおいて複数箇所(実施例においては90度の間隔をおいて4カ所)巻回されるとともに、各緩衝材2の周囲に結束バンド3が巻回されて結束されることにより形成されている。
これにより、帯状部材結束体1は、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材の巻き重ね方向に対して交差する方向に結束バンド3によって複数箇所結束されているため、帯状部材1Aの解き出しを確実に防止することができる。
ここで、緩衝材2は、結束バンド3の結束によって帯状部材1Aが変形し、損傷するのを防止するために用いられる。この緩衝材2としては、積層構造のダンボールを中空円筒状の帯状部材の外周面、内周面および左右の側面にわたって一周巻回し、内周面側で両端を突き合わせて固定する構造を採用したが、緩衝性能を有すれば、ダンボール以外にも、プラスチック、ゴム、布(繊維)などを用いることもできる。
また、結束バンド3としては、保管時における破断強度の低下が少ないポリエステルバンドを用いたが、紐、線材、帯、ベルト、チェーンなどであってもよく、材料もプラスチック以外に、金属や繊維などを利用することができる。
次に、このような帯状部材結束体1を製造する手順について説明する。
帯状部材結束体1を製造するに際しては、図2および図3に示す製造ドラム10が使用される。
この製造ドラム10は、左右一対の側枠11,11と、これらの側枠11,11間に着脱自在に連結可能な複数本の連結ロッド12およびテンションロッド13(図4(c)参照)と、から構成されている。
各側枠11は、内周リング14、外周リング15およびこれらの内周リング14および外周リング15間に周方向に間隔おいて放射状に連結された複数本の補強桟16からなり、補強桟16には、長手方向に沿ってスリット16aが形成されるとともに、内周リング14に近接してストッパ17が固定されてスリット16aを断続している。
連結ロッド12およびテンションロッド13は、両端にナット(図示せず)が固定された同一構造の棒状体であって、ボルト18を側枠11における補強桟16のスリット16aを通して連結ロッド12およびテンションロッド13のナットにねじ込むことにより、側枠11に連結ロッド12およびテンションロッド13を着脱自在に連結することができる。
このように構成された製造ドラム10を組み立てるには、左右の側枠11,11における対応する補強桟16のスリット16aを通してボルト18を差し込んで左右の側枠11間に配置された連結ロッド12のナットにねじ込み、連結ロッド12を左右の側枠11にわたって連結する。この際、ボルト18は、ストッパ17の外周側に位置するように、スリット16aに差し込んで連結ロッド12を連結する。同様に、周方向に間隔をおいて連結ロッド12を順に連結する。これにより、左右の側枠11,11が周方向に間隔おいて複数本の連結ロッド12によって連結されて製造ドラム10が組み立てられる。この際、周方向に間隔をおいて連結された複数本の連結ロッド12によって巻き芯が形成される。
次に、製造ドラム10を利用して帯状部材結束体1を製造する要領について図4に基づいて説明する。
組み立てられた製造ドラム10は、その左右の側枠11,11が一対の回転ローラ21を回転自在に軸支して形成された回転台20(図4(a)参照)にそれぞれ載置される。これにより、製造ドラム10を回転自在に支持することができる。
一方、詳細には図示しないが、成形装置から押し出された帯状部材1Aは、図示しない繰り出しドラムに巻き取られており、その繰り出しドラムに対向する位置に製造ドラム10が回転自在に支持されている。そして、繰り出しドラムに巻き取られた帯状部材1Aを図示しないガイドローラを経て引き出し、その先端をロープなどを用いて製造ドラム10に止着した後、製造ドラム10を回転させる。これにより、繰り出しドラムから帯状部材1Aを引き出して複数本の連結ロッド12を巻き芯として巻き取ることができる(図4(a)参照)。
帯状部材1Aを順に巻き重ねて設定された外径に達したならば、製造ドラム10の回転を中止した後、帯状部材1Aを切断し、その切断端部をロープなどを利用して製造ドラム10に止着する。次いで、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材の左右側面、外周面および内周面にわたって緩衝材2を巻回するとともに、その緩衝材2の周囲に結束バンド3を巻回し、引き締めて結束する(図4(b)参照)。
ここで、緩衝材2および結束バンド3の挿通は、隣接する補強桟16,16間において、内周リング14とストッパ17との間に形成される空間および最外層の帯状部材1Aと外周リング15との間に形成される空間を利用して行う。
また、結束バンド3による中空円筒状の帯状部材の結束に際して、緩衝材2を介在させることにより、帯状部材1Aが変形し、傷付くのを防止することができる。
次いで、製造ドラム10を90度づつ回転させ、各回転位置において、同様に、緩衝材2を巻回するとともに、緩衝材2の周囲に結束バンド3を巻き回して結束する。
これにより、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材は、帯状部材1Aの巻き重ね方向に交差する方向に緩衝材2を介して複数本の結束バンド3によって固定されて帯状部材結束体1に形成される。
帯状部材結束体1が製造されたならば、その両端部の製造ドラム10に対する連結を解除した後、帯状部材結束体1の外周面に位置してテンションロッド13を左右の側枠11,11間に配置し、それらの対応する補強桟16のスリット16aにボルト18を挿通し、テンションロッド13のナットにねじ込んでテンションロッド13を左右の側枠11に連結する。同様に、周方向に間隔をおいて複数箇所にテンションロッド13を左右の側枠11,11に連結する。次いで、複数本のテンションロッド13が下方に位置するように製造ドラム10を回転させた後、連結ロッド12を固定しているボルト18を弛めて連結を解除し、連結ロッド12を内周リング14を通して取り出す。これにより、帯状部材結束体1が複数本のテンションロッド13に支持される。次いで、詳細には図示しないが、天井クレーンなどを利用して帯状部材結束体1を支持した状態で、テンションロッド13を固定するボルト18を弛めて連結を解除すれば、テンションロッド13によって連結された側枠11,11を離脱でき、製造ドラム10を構成する一対の側枠11,11、複数本の連結ロッド12およびテンションロッド13に分解される(図4(d)参照)。その後、帯状部材結束体1を保管場所まで搬出した後、保管場所において、帯状部材結束体1をその中空部が左右方向に向いた縦置き状態のまま輪止めを施して保管する(図1参照)。
このため、帯状部材結束体1は、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材が緩衝材2を介して複数本の結束バンド3によって帯状部材1Aの巻き重ね方向に対して交差する方向に固定されて保管されることから、帯状部材1Aの解き出しを確実に防止するとともに、不用意な動き出しを防止して保管することができる。しかも、ドラムを用いることなく保管できることから、ドラムを保管するための大きなスペースを確保する必要もないものとなる。また、帯状部材結束体1の保管に際して、中空部が上下方向を向いた横倒し状態で保管する場合に比較して保管スペースを有効に利用することができる他、製造された帯状部材結束体1を横倒しし、輸送や施工に際して再び起き上げる手間が省けるとともに、横倒しする作業や起き上げる作業に伴って荷崩れが発生することを防止できる。
ところで、前述した実施形態においては、複数本の連結ロッド12を左右の側枠11,11に連結して巻き芯に利用するとともに、製造ドラム10に組み立てる場合を説明したが、連結ロッド12に限定するものではない。例えば、円弧状あるいは多角形状に折曲した複数個の板材を連結材として左右の側枠11,11に周方向に間隔をおいて連結し、巻き芯に利用してもよい。また、連結ロッド12を連結材として利用する場合も、断面形状は、円形に限らず任意の形状を採用することができる。
また、前述した帯状部材結束体1を製造するに際しては、図5乃至図7に示す巻取り装置30を採用することもできる。
この巻取り装置30は、基台31に前後方向(図6の左右方向)に移動自在に設けられた移動台32と、移動台32に回転自在に軸支された巻取りドラム33とを主要部として構成されている。
移動台32は、基台31に設けられた図示しないリードスクリューの回転により、基台31上に敷設されたパッド311に沿って前後方向に移動することができる。
巻取りドラム33は、移動台32に回転自在に軸支された回転軸34と、回転軸34に取付板35を介して放射状に固定された複数個(実施例においては周方向に90度の間隔をおいて4個)の内側板36と、各内側板36に固定されたリニアベアリング37に嵌合されて半径方向に摺動自在な支持部材38と、各支持部材38に一体に固定された円弧状のドラムプレート39と、各支持部材38の先端部に回動自在に連結された外側板40と、外側板40を内側板36に対向する起立位置とドラムプレート39の内周面側に沿った伏倒位置との間で回動させる起伏機構41と、ドラムプレート39を拡径し、あるいは縮径する拡縮機構42とから構成されており、回転軸34は、移動台32に設けた巻取りモータM1の出力軸にチェーン−スプロケットを介して連結されている。
これにより、巻取りモータM1を回転駆動させると、チェーン−スプロケットを介して回転軸34および該回転軸34に連結された内側板36を回転させるとともに、内側板36に設けられたリニアベアリング37に嵌合された支持部材38、すなわち、ドラムプレート39を回転させることができる。
なお、支持部材38は、断面略Π字状に形成され、その内側板36側の端縁がリニアベアリング37に摺動自在に嵌合されている。また、支持部材38の外周面側に固定されたドラムプレート39は、該支持部材38よりも若干幅広であって、帯状部材1Aを巻き取るに際して好適な曲率半径に形成されており、隣接するドラムプレート39の間には、後述するように、緩衝材2を巻き回すとともに、緩衝材2の周囲に結束材3を巻回する際して作業空間が確保されている。
ここで、起伏機構41は、長穴43aを有して外側板40に一体に設けられ、支持部材38の先端部に回動自在に連結されたガイド43と、支持部材38に一つの角部が回動自在に連結された略三角形状のアーム44と、基端が支持部材38に、ピストンロッドの先端がアーム44の他の角部にそれぞれ回動自在に連結されたシリンダ45とからなり、アーム44の残りの角部が外側板40に設けたガイド43に長穴43aを通してピン連結されている。
したがって、シリンダ45を収縮作動させることにより、アーム44を内方に引き込んで支持部材38との連結部回りに回動させるとともに、回動するアーム44を介して外側板40のガイド43を内方に引き込む。これにより、外側板40は、支持部材38との連結部回りに回動し、ドラムプレート39に対して直交する起立位置から徐々に倒れ込む(図8参照)。この際、アーム44とガイド43との連結部は、ガイド43の長穴43aに沿って移動する。なおもシリンダ45を収縮作動させると、外側板40は、その内周側端部がドラムプレート39の内周側に入り込んで略水平な伏倒位置へと回動する。
一方、外側板40が伏倒位置にある時、すなわち、シリンダ45が最収縮している状態において、シリンダ45を伸長作動させると、アーム44を外方に押し出して支持部材38との連結部回りに回動させるとともに、回動するアーム44を介して外側板40のガイド43を外方に押し出す。これにより、外側板40は、支持部材38との連結部回りに回動し、ドラムプレート39の内周側に内周側基端部が格納された伏倒位置から徐々に起き上がる。この際、アーム44とガイド43との連結部は、ガイド43の長穴43aに沿って移動する。なおもシリンダ45を伸長作動させると、外側板40は、ドラムプレート39と直交するとともに、内側板36と対向する起立位置へと回動する。
また、拡縮機構42は、回転軸34の内部に軸芯を一致させて回転自在に軸支されるとともに、先端側半部に軸芯方向に間隔をおいて雄ねじ部461が形成されたスクリューシャフト46と、スクリューシャフト46の各雄ねじ部461にそれぞれ螺合されたナット部材47と、各ナット部材47にそれぞれ一端が回動自在に連結されるとともに、各他端が各支持部材38にそれぞれ回動自在に連結されたX字状のリンク48,48とからなり、スクリューシャフト46は、移動台32に設けた拡縮モータM2の出力軸にチェーン−スプロケットを介して連結されている。そして、スクリューシャフト46の各雄ねじ部461は、互いに逆ねじに形成され、また、各ナット部材47も、対応する各雄ねじ部461に合わせて互いに逆ねじに形成されている。
したがって、拡縮モータM2を介してスクリューシャフト46を正回転あるいは逆回転させることにより、スクリューシャフト46の各雄ねじ部461にそれぞれ螺合されたナット部材47を互いに接近させ、あるいは、互いに離隔させることができる。各ナット部材47が互いに離隔するとき、各ナット部材47に連結されたリンク48,48の一端間の間隔が拡大し、各支持部材38がリンク48,48によって引き下げられる。すなわち、各支持部材38に設けられたドラムプレート40が半径方向内方の縮径位置に移動する(図7鎖線位置、図9参照)。この際、各支持部材38の移動は、各内側板36に設けられたリニアベアリング37にそれぞれ案内される。
一方、各ナット部材47が互いに接近するとき、各ナット部材47に連結されたリンク48,48の一端間の間隔が短縮し、各支持部材38がリンク48,48によって押し上げられる。すなわち、各支持部材38に設けられたドラムプレート39が半径方向外方の拡径位置に移動する。この際、各支持部材38の移動は、各内側板36に設けられたリニアベアリング37にそれぞれ案内される。
なお、スクリューシャフト46には、クラッチ49(図6参照)が設けられており、拡縮モータM2の駆動を断接することができる。
次に、このように構成された巻取り装置30を利用して帯状部材結束体1を製造する要領について説明する。
初期状態においては、巻取りドラム33のドラムプレート39は拡径位置にあり、また、外側板40は起立位置に立ち上げられている。また、成形装置から押し出された帯状部材1Aは、図示しない繰り出しドラムに巻き取られており、その繰り出しドラムと対向する位置に巻取り装置30が設置されている。
帯状部材1Aの巻取りに際しては、まず、巻取りドラム33のドラムプレート39の周囲に保護材としてのダンボールを巻き付けて止着した後、繰り出しドラムに巻き取られた帯状部材1Aの先端をガイドローラR(図5、図6参照)を経て引き出し、ロープなどを利用して巻取りドラム33に止着し、巻取りモータM1を回転駆動させる。巻取りモータM1の回転駆動は、回転軸34および該回転軸34に連結された内側板36を回転させるとともに、内側板36に設けられたリニアベアリング37に嵌合された支持部材38、すなわち、ドラムプレート39を回転させる。これにより、回転するドラムプレート39の回りに帯状部材1Aをダンボールを介して巻き取ることができる。この際、移動台32がリードスクリューの回転により、巻取り速度に同調して、巻取りドラム33の外側板40と内側板36との間隔に相当する距離を前後方向に往復移動し、帯状部材1Aを外側板40と内側板36との間に整列して巻き重ねる。
なお、巻取りドラム33の回転は、X字状のリンク48およびナット部材47を介してスクリューシャフト46を共回りさせる。この際、クラッチ49は切断されており、スクリューシャフト36が回転しても、拡縮モータM2を回転させることはない。
帯状部材1Aを順に巻き重ねて設定された外径に達したならば、巻取りモータM1の回転駆動、すなわち、回転軸34の回転による巻取りドラム33の回転を停止した後、帯状部材1Aを切断し、その切断端部をロープなどを利用して巻取りドラム33に止着する。次いで、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材の左右側面、外周面および内周面にわたって緩衝材2を巻き回すとともに、緩衝材2の周囲に結束バンド3を巻回し、引き締めて結束する。次いで、巻取りドラム33を90度回転させ、中空円筒状の帯状部材の左右側面、外周面および内周面にわたって緩衝材2を巻き回すとともに、緩衝材2の周囲に結束バンド3を巻回し、引き締めて結束する。以下同様に、90度の間隔をおいて中空円筒状の帯状部材の左右側面、外周面および内周面を緩衝材2を介して結束バンド3によって結束する。このように、結束バンド3による中空円筒状の帯状部材の結束に際して、緩衝材2を介在させることにより、帯状部材1Aが変形し、傷付くのを防止することができる。
ここで、緩衝材2および結束バンド3の挿通は、中空円筒状の帯状部材の外周面側における隣接する内側板36間および隣接する外側板40間の空間、その内周面側における隣接するドラムプレート39間の空間を利用して行う。
結束材3による結束が終了したならば、帯状部材結束体1の外周面に保護材としてのダンボールを巻き回して止着した後、ダンボールの雨水などによる破損を防止するためフィルムを積層するとともに、合わせて、遮光シートを被せて紫外線による劣化を防止する。
次いで、巻取りドラム33に対する帯状部材1Aの連結を解除した後、移動台32を最前方位置に移動させ(図6鎖線位置)、巻取りドラム33の下方に図示しないリフターを配置する。その後、クラッチ49を接続して拡縮モータM2を回転駆動させ、スクリューシャフト46を縮径方向に回転させ、ナット部材47を互いに離隔する方向に移動させることにより、X字状のリンク48を介してドラムプレート39を半径方向内方に向かって移動させる。これにより、帯状部材結束体1は、ドラムプレート39に支持されて下降し、リフターに搭載される。なおも拡縮モータM2を縮径方向に回転駆動させれば、巻取りドラム33の各ドラムプレート39は、リフターに支持された帯状部材結束体1の内周面から離脱する。
この後、シリンダ45を収縮作動させると、外側板40が、支持部材38との連結部回りに回動して引き込まれ、ドラムプレート39の内周面側において略水平な伏倒位置へと回動する。次いで、リードスクリューを回転駆動させ、移動台32を後退させれば、巻取りドラム33の縮径したドラムプレート39およびドラムプレート39に対して伏倒位置へと回動した外側板40をリフターに搭載された帯状部材結束体1の中空部から抜き出すことができる。
リフターに支持された帯状部材結束体1は、そのまま保管場所まで搬出され、前述したように、保管場所において、帯状部材結束体1をその中空部が左右方向に向いた縦置き状態のまま輪止めを施して保管される。
一方、帯状部材結束体1が搬出されたならば、リードスクリューを回転駆動し、移動台32を巻取り作業位置まで前進させた後、拡縮モータM2を介してスクリューシャフト46を拡径方向に回転させることにより、ナット部材47を互いに接近させ、X字状のリンク48を立ち上げて支持部材38、すなわち、ドラムプレート39を拡径位置に押し上げた後、クラッチ49を切断する。次いで、シリンダ45を伸長作動させ、外側板40を押し出して回動させ、内側板36と対向する起立位置へと立ち上げる。
ドラムプレート39が拡径され、外側板40が起立位置に回動したならば、前述したように、ドラムプレート39の周囲にダンボールを巻き付けて止着した後、ガイドローラRを経て引き出された帯状部材1Aの先端を巻取りドラム33に連結し、移動台32を前後に往復移動させながら巻取りドラム33を回転させて帯状部材1を巻き取ればよい。
このような巻取り装置30を利用して帯状部材結束体1を製造するときには、製造ドラム10を利用して製造する場合に比較して、作業時間を大きく短縮することができ、生産効率を大幅に向上させることができる。
次に、このような帯状部材結束体1を施工現場まで輸送し、帯状部材結束体1から帯状部材1Aを引き出して既設管内に供給する施工用治具50について説明する。
この施工用治具50は、図10に示すように、左右一対の側枠51,51と、これらの側枠51,51間に着脱自在に連結可能な複数本のテンションロッド53と、から構成されている。
各側枠51は、内周リング54、外周リング55およびこれらの内周リング54および外周リング55間に周方向に間隔おいて放射状に連結された複数本の補強桟56(図面では8本)からなり、補強桟56には、長手方向に沿ってスリット56aが形成されるとともに、内周リング54に近接してストッパ57が固定されてスリット56aを断続している。
テンションロッド53は、両端にナット(図示せず)が固定された同一構造の棒状体であって、ボルト58を側枠51における補強桟56のスリット56aを通してテンションロッド53のナットにねじ込むことにより、側枠51にテンションロッド53を半径方向に固定位置を調整して着脱自在に連結することができる。
このように構成された施工用治具50を組み立てるには、左右の側枠51,51における対応する補強桟56のスリット56aを通してボルト58を差し込んで左右の側枠51間に配置されたテンションロッド53のナットにねじ込み、テンションロッド53を左右の側枠51にわたって連結する。この際、テンションロッド53が、帯状部材結束体1の外径に対応する半径上に位置するようにスリット56aに沿って固定位置を調整する。同様に、周方向に間隔をおいてテンションロッド53を半周にわたって左右の側枠51に順に連結する。これにより、左右の側枠51,51が周方向に間隔おいて複数本(図面では5本)のテンションロッド53によって半周だけ連結された施工用治具50が組み立てられる。
この場合、左右の側枠51が自立するとともに、帯状部材結束体1を支持する強度が確保されるならば、必ずしも半周にわたって複数本のテンションロッド53を左右の側枠51に連結する必要はなく、半周未満の範囲にわたって複数本のテンションロッドを周方向に間隔をおいて連結するようにしてもよい。
組み立てられた施工用治具50は、その左右の側枠51,51が一対の回転ローラ21を回転自在に軸支して形成された回転台20に、テンションロッド53が連結された半周部が下半部となるようにそれぞれ載置される(図11(a)参照)。これにより、施工用治具50を回転自在に支持することができる。
次いで、施工現場に輸送された帯状部材結束体1(巻取り装置30によって製造された帯状部材結束体1においては、輸送に先立って遮光シート、フィルム、外周側ダンボールは除去されている)を、中空部を水平方向に向けてクレーンなどを利用して持ち上げ、その左右側面が左右の側枠51,51の内面と対向するように、組み立てられた施工用治具50の左右の側枠51,51間に落とし込む。これにより、左右の側枠51,51間に挿入された帯状部材結束体1の下半部の外周面が複数本のテンションロッド53によって支持される(図11(b)参照)。
この後、帯状部材結束体1の外周面に位置してテンションロッド53を左右の側枠51,51間に配置し、それらの対応する補強桟56のスリット56aにボルト58を挿通し、テンションロッド53のナットにねじ込んでテンションロッド53を左右の側枠51に連結する。同様に、周方向に間隔をおいて残りの半周分に相当する複数箇所にテンションロッド53を左右の側枠51,51に連結することにより、帯状部材結束体1を施工用治具50に軸芯をほぼ一致させて収容することができる(図11(c)参照)。
施工用治具50に収容された帯状部材結束体1については、その後、結束バンド3を切断して帯状部材1Aの巻き重ね方向に交差する方向の固定を解除する。この状態において、結束が解除された中空円筒状の帯状部材の内周側から帯状部材1Aの巻き始め端部を引き出し、側枠51の内周リング54を経て外方に引き出す。これにより、帯状部材1Aの一端部を図示しないマンホールを経て既設管内に導くことができる。
この際、中空円筒状の帯状部材の内周側から引き出された帯状部材1Aは、内周リング54に規制されて引き出される。すなわち、側枠51の内周リング54の外径は、帯状部材結束体1の内径よりも小径に設定されており、帯状部材1Aが内周側から引き出されることにより、中空部の内径が徐々に大きくなるが、常に中空部の内径よりも小径の内周リング54を経ることで絞られて引き出される。したがって、輸送用ドラムを利用して引き出す従来例のように、帯状部材1Aが輸送用ドラムの中空部で上下に跳ね上がったり、引き出し方向とは反対側に飛び出すことがなく、安定した姿勢で、かつ、引っ掛かりなどを発生することなく安全に帯状部材1Aを引き出すことができる。
このように、施工現場において1台の施工用治具50を用意しておくだけでよく、工場から供給された帯状部材結束体1から帯状部材1Aを安全に引き出して製管作業に供することができる。しかも、施工現場において、輸送用ドラムを保管する必要もなく、したがって、空の輸送用ドラムを工場に返却する作業も不要となる。
なお、前述した実施形態においては、固定長のテンションロッド53を例示したが、図12に示すように、外筒側テンションロッド531と、外筒側テンションロッド531に対して摺動自在に嵌挿された内筒側テンションロッド532とからなる可変長のテンションロッド53を用いることもできる。これにより、帯状部材結束体1の幅に合わせて容易に左右の側枠51,51間に落とし込むことができる。
このような可変長のテンションロッド53を左右の側枠51,51に連結することに対応して、左右の側枠51,51を回転自在に支持する一対の回転台20に摺動機構を設け、摺動機構を利用して一方の回転台20を左右方向に移動できるようにすればよい。例えば、図12に示すように、摺動機構60はフレーム61にねじ棒62の回転によって摺動する可動部63および移動しない固定部64に設け、一方の回転台30を可動部63に設けるとともに、他方の回転台20を固定部64に設け、ハンドル65を介してねじ棒62を回転すれば、可動部63がフレーム61に沿って移動する。これにより、可動部63に設けられた一方の回転台20、該回転台20に支持された一方の側枠51が移動することを、一方の側枠51に連結された内筒側テンションロッド532が、他方の側枠51に連結された外筒側テンションロッド531に対して摺動することで対応することができ、結局、一方の側枠51を他方の側枠51に対して離隔させる方向に移動させて、左右の側枠51,51の間隔を拡大することができる。
したがって、左右の側枠51,51間の間隔を、帯状部材結束体1の幅に合わせて調整することができ、調整した間隔の左右の側枠51,51間に対応する幅の帯状部材結束体1を収容することができる。この結果、帯状部材結束体1の帯状部材1Aが左右の側枠51に接触して損傷することを防止できる。
ここで、帯状部材結束体1の挿入が円滑に行われるためには、帯状部材結束体1の幅の5%以上移動できることが好ましい。
一方、図13には、他の実施形態の帯状部材結束体1’が示されている。
この帯状部材結束体1’は、後述する施工用治具70に対応して製造されるものであり、帯状部材1Aが巻き重ねられて中空円筒状に形成され、中空円筒状の帯状部材の外周面、内周面および左右の側面にわたって積層構造のダンボールなどの緩衝材2が周方向に間隔をおいて複数箇所(実施例においては90度の間隔をおいて4カ所)巻回されるとともに、各緩衝材2の周囲に結束バンド3が巻回されて結束され、さらに、その外周面にフィルム4が複数層積層されて形成されている。
これにより、帯状部材結束体1’は、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材の巻き重ね方向に対して交差する方向に結束バンド3によって複数箇所固定されているため、帯状部材1Aの解き出しを確実に防止することができる。また、帯状部材1Aの巻き重ね方向に複数層のフィルム4によって固定されているため、中空部が上下方向を向いた横倒し状態で帯状部材1Aを引き出す際に、帯状部材1Aの剛性によって外径方向に膨らんで拡径するのを防止することができる。
このような帯状部材結束体1’も先に示した製造ドラム10を利用して製造される。
なお、製造ドラム10については、前述したため、その詳細な説明を省略するとともに、製造ドラム10を利用した帯状部材結束体1’の製造方法についても、共通する工程を省略し、相違する点について説明する。
製造ドラム10を組み立てたならば、その左右の側枠11,11を回転台20の一対の回転ローラ21上に配置し、製造ドラム10を回転自在に支持する。次いで、図示しない繰り出しドラムに巻き取られた帯状部材1Aを引き出し、その先端を製造ドラム10に止着した後、製造ドラム10を回転させて、帯状部材1Aを複数本の連結ロッド12を巻き芯として巻き取る(図14(a)参照)。そして、帯状部材1Aを順に巻き重ねて設定された外径に達したならば、製造ドラム10の回転を中止して帯状部材1Aを切断し、その切断端部を製造ドラム10に止着する。次いで、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材の左右側面、外周面および内周面にわたって90度ずつ間隔をおいて緩衝材2を巻回して止着した後、各緩衝材2の周囲に結束バンド3を順に巻回し、引き締めて結束する(図14(b)参照)。
次いで、複数の結束バンド3によって結束された中空円筒状の帯状部材の外周面にフィルム4を複数回巻き回して被覆する(図14(c)参照)。
これにより、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材は、帯状部材1Aの巻き重ね方向に交差する方向に緩衝材2を介して複数本の結束バンド3によって固定されるとともに、帯状部材1Aの巻き重ね方向に複数層のフィルム4によって固定された帯状部材結束体1’が製造される。
帯状部材結束体1’が製造されたならば、製造ドラム10に対する帯状部材1Aの端部の連結を解除した後、帯状部材結束体1’の外周面に位置してテンションロッド13を周方向に間隔をおいて左右の側枠11,11に順に連結する。次いで、複数本のテンションロッド13が下方に位置するように製造ドラム10を回転させた後、連結ロッド12の連結を解除して取り出し、帯状部材結束体1’を複数本のテンションロッド13に支持する。次いで、図示しない天井クレーンなどを利用して帯状部材結束体1’を支持した状態で、テンションロッド13の連結を解除すれば、テンションロッド13によって連結された側枠11,11が離脱し、製造ドラム10を構成する一対の側枠11,11、複数本の連結ロッド12およびテンションロッド13に分解される(図14(d)参照)。その後、帯状部材結束体1’を保管場所まで搬出した後、保管場所において、帯状部材結束体1’を輪止めして保管する(図13参照)。
このため、帯状部材結束体1’は、巻き重ねられた中空円筒状の帯状部材が緩衝材2を介して複数本の結束バンド3によって帯状部材1Aの巻き重ね方向に対して交差する方向に固定されるとともに、複数層のフィルム4によって帯状部材1Aの巻き重ね方向に固定されて保管されることから、帯状部材1Aの解き出しを確実に防止して保管することができる。しかも、ドラムを用いることなく保管できることから、ドラムを保管するための大きなスペースを確保する必要もないものとなる。また、帯状部材結束体1’の保管に際して、中空部が上下方向を向いた横倒し状態で保管する場合に比較して保管スペースを有効に利用することができる他、製造された帯状部材結束体1’を横倒しし、輸送や施工に際して再び起き上げる手間が省けるとともに、横倒しする作業や起き上げる作業に伴って荷崩れが発生することを防止できる。
次に、このような帯状部材結束体1’を施工現場まで輸送し、帯状部材結束体1’から帯状部材1Aを引き出して既設管内に供給する他の実施形態の施工用治具70について説明する。
この施工用治具70は、図15に示すように、支持フレーム71と、支持フレーム71に立設可能な複数本の支柱72と、複数本の支柱72に連結可能なガイドフレーム73と、から構成されている。
支持フレーム71は、外周リング74に十字状の連結材75を溶着するとともに、隣接する連結材75にわたって補強材751を溶着して形成され、各連結材75の先端部には、半径方向に間隔をおいて複数個の雌ねじ(図示せず)が形成されている。ここで、支持フレーム71の外周リング74の直径は、帯状部材結束体1’の外径よりも十分に大きく設定されている。
支柱72は、下端に取付ステー(図示せず)が溶着されるとともに、上端にナット(図示せず)が溶着されて形成され、取付ステーを通してボルトを支持フレーム71における連結材75の雌ねじにねじ込むことにより、支柱72を支持フレーム71に半径方向に位置を変えて連結することができる。ここで、支柱72の長さは、帯状部材結束体1’の幅よりも大きく設定されている。
ガイドフレーム73は、内周リング76と、該内周リング76の外周面に周方向に90度の間隔をおいて放射方向に溶着された4本の支持アーム77と、内周リング76の上面に複数本のステー781を介して固定されたガイドリング78と、からなり、各支持アーム77の先端部には、半径方向に間隔をおいてボルト穴(図示せず)が形成されている。このボルト穴は、支持フレーム71における連結材75の雌ねじに対応して形成されており、支持フレーム71の連結材に支柱72を連結した際、支柱72が略垂直に立設し、その上端に設けられたナットと対向するようになっている。したがって、ガイドフレーム73における支持アーム77のボルト穴にボルトを挿通し、支柱72のナットにねじ込むことにより、ガイドフレーム73を支柱72に連結することができる。ここで、ガイドリング78は、帯状部材結束体1’の中空部に臨むように配置され、しかも、その内径は、帯状部材結束体1’の中空部の内径よりも小径に設定されている。
次に、このように構成された施工用治具70を用いて帯状部材結束体1’から帯状部材1Aを引き出す施工要領について、図16に基づいて説明する。
施工現場においては、施工用治具70は、支持フレーム71、支柱72、ガイドフレーム73に分解されて用意されている他、施工用治具70に帯状部材結束体1’を支持して回転させる回転テーブル80が用意されている。
一方、トラックなどによって帯状部材結束体1’が施工現場まで輸送されると、施工現場において、回転テーブル80上に支持フレーム71が載置される。そして、クレーンなどを利用して帯状部材結束体1’を懸吊し、横倒し状態で支持フレーム71上に載置する(図16(a)参照)。次いで、帯状部材結束体1’の外周側に位置して支持フレーム71の各連結材75に支柱72をそれぞれ配置し、ボルトを用いて連結し、支柱72を立設する。さらに、支柱72の上端にガイドフレーム73の支持アーム77を載置し、支持アーム77のボルト穴を通してボルトを支柱72のナットにねじ込み、ガイドフレーム73を支柱72に連結する。これにより、支持フレーム71に載置された帯状部材結束体1’の外周面および上面が支柱72およびガイドフレーム73によって概略包囲される(図16(b)参照)。
この後、帯状部材結束体1’の結束バンド3を切断して、帯状部材1Aの巻き重ね方向に交差する方向の固定を解除する。ただし、帯状部材結束体1’は、その外周面が複数層のフィルム4によって被覆されており、このため、外径方向への広がりが防止されて元の外径に継続して保持されている。この状態において、帯状部材結束体1’の内周側から帯状部材1Aの巻き始め端部を引き上げ、ガイドフレーム73の内周リング76およびガイドリング78を経て外方に引き出す。これにより、帯状部材1Aの一端部を図示しないマンホールを経て既設管内に導くことができる。
この際、帯状部材結束体1’の内周側から引き出された帯状部材1Aは、ガイドリング78に規制されて引き出される。すなわち、横倒し状態の帯状部材結束体1’は、帯状部材1Aが内周側から引き出されることにより、中空部の内径が徐々に大きくなるが、常に中空部の内径よりも小径のガイドリング78を経ることで絞られて引き出される。したがって、輸送用ドラムを利用して引き出す従来例のように、帯状部材1Aが輸送用ドラムの中空部で上下に跳ね上がったり、引き出し方向とは反対側に飛び出すことがなく、安定した姿勢で、かつ、引っ掛かりなどを発生することなく安全に帯状部材1Aを引き出すことができる。
このように、施工現場において1台の施工用治具70と回転テーブル80を用意しておくだけでよく、工場から供給された帯状部材結束体1’から帯状部材1Aを安全に引き出して製管作業に供することができる。しかも、施工現場において、輸送用ドラムを保管する必要もなく、したがって、空の輸送用ドラムを工場に返却する作業も不要となる。
なお、既設管内において、帯状部材1Aが螺旋状に巻回されて螺旋管が製管されると、帯状部材結束体1’から引き出された帯状部材1Aも螺旋状にねじれた状態になる。帯状部材1Aは、螺旋状に巻回される回数が多くなるほど捩れが蓄積されるため、蓄積された捩れにより、帯状部材1Aが塑性変形し、折れ曲がったり、破断するおそれがある。このため、帯状部材結束体1’から帯状部材1Aを引き出す際には、回転テーブル80を介して帯状部材結束体1’を時計回り方向あるいは反時計回り方向に回転させることにより、帯状部材1Aを適当な捩れ状態に制御して、帯状部材1Aに捩れが蓄積することを防止する。
ところで、前述した施工用治具70の実施形態においては、案内部材として、帯状部材結束体1’の中空部の内径よりも小径であって、帯状部材結束体1’の中空部に臨んで配置されたガイドリング78で例示したが、このようなリング体に限定するものではない。例えば、複数個の案内ローラを三角形状あるいは四角形状に配置して案内部材を形成し、内周リング76に設けるようにしてもよい。