JP5299211B2 - 燃料電池システムおよびその停止方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池システムおよびその制御方法に関するものである。
固体高分子型燃料電池では、発電を停止している間に、アノード側流路内のガスとカソード側流路内のガスとが電解質膜を介して相互に移動可能になる。このような発電停止後の電解質膜を介したガス移動に起因して、燃料電池においては種々の不都合が生じる可能性があるが、従来、それらの不都合に対して、いくつかの対策が提案されてきた。例えば、燃料電池システムの停止後にアノード側流路内の圧力が低下したときには、アノード側流路に対して燃料を再供給する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような構成とすることにより、燃料電池の発電停止後も、電極触媒に水素が拡散・浸透した状態を保ち、燃料電池システムの始動性を向上させることができる、とされている。
特許第4028363号公報 特開2008−004564号公報 特開2007−242408号公報
発電停止中の電解質膜を介したガス移動に起因して生じる主要な不都合の一つとして、カソードが望ましくない程度に高電位となることが挙げられる。このようなカソードの過剰な電位上昇は、電解質膜を介してガスが移動して、アノード上に水素が存在する領域と酸素が存在する領域とが形成されると共にカソード側流路で酸素が存在する状態となって、燃料電池内で内部電池が形成されることによって生じる。既述したように燃料電池システムの停止時にアノード側流路に対して燃料を再供給すると、カソード側流路の封止状態が極めて厳密に維持される場合には、カソードの過剰な電位上昇も抑制することが可能になる可能性がある。しかしながら、カソード側の封止状態を厳密に維持するためには、例えば、高価な封止バルブを設ける必要があり、現実には採用し難い場合がある。カソード側流路の封止状態が厳密に維持されていない場合には、外部からカソード側流路内に空気が流入するため、上記のようにアノード側流路へと燃料を再供給しても、その後のカソードにおける望ましくない程度の電位上昇を抑えることができなくなる。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、カソード側流路における封止状態に依存することなく、発電停止後の燃料電池のカソードにおける過剰な電位上昇を抑制することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実施することが可能である。
[適用例1]
燃料電池を備える燃料電池システムであって、
前記燃料電池内においてアノードと連通して形成され、水素を含有する燃料ガスが流れる電池内燃料ガス流路と、
前記燃料電池内においてカソードと連通して形成され、酸素を含有する酸化ガスが流れる電池内酸化ガス流路と、
前記燃料電池の発電の停止が指示されて、前記電池内燃料ガス流路に対する前記燃料ガスの供給、および、前記電池内酸化ガス流路に対する前記酸化ガスの供給が停止された後に、前記電池内燃料ガス流路内におけるガス圧であるアノードガス圧が第1の基準圧力以下であるか否かを判定するアノードガス圧低下判定部と、
前記アノードガス圧低下判定部が、前記アノードガス圧が前記第1の基準圧力以下であると判定したときに、前記アノードガス圧が、前記第1の基準圧力よりも高圧である第2の基準圧力以上となるように、前記電池内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを再供給させる水素再供給制御部と、
前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得するアノード側分圧取得部と、
前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得するカソード側分圧取得部と、
前記水素再供給制御部による前記燃料ガスの再供給を行なった後に、前記アノード側分圧取得部が取得した前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧と、前記カソード側分圧取得部が取得した前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧とを比較して、各ガスの分圧差が基準値以下であるか否かの判定を行なう分圧均等化判定部と、
前記分圧均等化判定部によって、前記各ガスの分圧差が基準値以下であると判定されたときに、前記燃料電池の発電停止に係る一連の制御を終了する発電停止制御部と
を備える燃料電池システム。
適用例1に記載の燃料電池システムによれば、システム停止時に、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路における各ガス成分の分圧差が基準値以下であると判断されるまで燃料ガスの再供給を行なうため、システムの停止後に、各ガス成分の分圧差を駆動力として電解質膜を透過してガスが移動することを抑制できる。これにより、システムの停止後に電池内酸化ガス流路内の圧力が変動して負圧になることに起因して、外部から電池内酸化ガス流路内に空気が取り込まれることを抑制できる。このような空気(酸素)の取り込みを抑えることにより、カソードが望ましくない程度に高電位となることを抑制し、電池性能の低下を抑えることができる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池システムであって、さらに、前記アノードに供給された後に前記燃料電池から排出された排出燃料ガスを、再び前記電池内燃料ガス流路へと導く燃料ガス循環路と、前記水素再供給制御部によって前記燃料ガスの供給が行なわれる際に、前記燃料ガス循環路において前記燃料ガスの循環を行なわせる駆動力を生じる循環駆動部とを備える燃料電池システム。適用例2に記載の燃料電池システムによれば、電池内燃料ガス流路に対して燃料ガスを再供給する際に、循環駆動部によって燃料ガスの循環を行なわせるため、燃料電池内部における部分的な水素不足を抑制することができる。これにより、内部電池の形成を抑制する信頼性を高めることができる。
[適用例3]
適用例2記載の燃料電池システムであって、前記燃料ガス循環路は、該燃料ガス循環路内を流れる前記燃料ガスを攪拌する燃料ガス攪拌部を備える燃料電池システム。適用例3に記載の燃料電池システムによれば、循環する燃料ガスが攪拌部で攪拌されるため、循環する燃料ガスにおける濃度分布を均一化して、電池内燃料ガス流路における部分的な水素不足を抑制する効果をさらに高めることができる。
[適用例4]
適用例1ないし3いずれか記載の燃料電池システムであって、さらに、前記水素再供給制御部による前記燃料ガスの再供給に先立って、前記電池内燃料ガス流路に対して、通常の発電時に前記電池内燃料ガス流路に供給する前記燃料ガスの流量よりも大きな流量で、前記燃料ガスを供給する電池内燃料ガス流路パージ制御部を備える燃料電池システム。適用例4に記載の燃料電池システムによれば、通常の発電時よりも大きな流量で電池内燃料ガス流路に対して燃料ガスを供給することで、電池内燃料ガス流路から液水を除去することができる。そのため、燃料ガスの再供給時には、電池内燃料ガス流路の隅々にまで水素を行き渡らせ、部分的に水素が不足する部位の発生を抑制することができる。
[適用例5]
適用例4記載の燃料電池システムであって、さらに、前記電池内燃料ガス流路内を前記燃料ガスが通過する際の圧損を求める電池内燃料ガス流路圧損取得部を備え、前記燃料ガス流路パージ制御部は、前記電池内燃料ガス流路圧損取得部が取得した前記圧損が予め定めた基準値よりも低くなるまで、大きな流量で前記燃料ガスを供給する動作を続行する燃料電池システム。適用例5に記載の燃料電池システムによれば、電池内燃料ガス流路から液水を除去する動作の信頼性を高め、電池内燃料ガス流路における部分的な水素不足の発生を抑える効果を高めることができる。
[適用例6]
適用例1ないし5いずれか記載の燃料電池システムであって、前記アノード側分圧取得部は、前記燃料ガス流路における水素分圧を取得するアノード側水素分圧取得部と、前記燃料ガス流路における窒素分圧を取得するアノード側窒素分圧取得部と、を備え、前記カソード側分圧取得部は、前記酸化ガス流路における水素分圧を取得するカソード側水素分圧取得部と、前記酸化ガス流路における窒素分圧を取得するカソード側窒素分圧取得部と、を備え、前記分圧均等化判定部は、水素分圧差と窒素分圧差とに基づいて、前記判定を行なう燃料電池システム。適用例6に記載の燃料電池システムによれば、水素分圧差と窒素分圧差に基づいて、各ガス成分の分圧差が基準値以下になったか否かを判断することができる。
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、燃料電池システムを搭載する移動体、あるいは、燃料電池システムの停止方法などの形態で実現することが可能である。
燃料電池システム100の概略構成を表わすブロック図である。 停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。 ガス透過の様子を表わす説明図である。 燃料電池システム110の概略構成を表わすブロック図である。 停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。 停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。
A.装置の全体構成:
図1は、本発明の第1実施例としての燃料電池システム100の概略構成を表わすブロック図である。本実施例では、燃料電池システム100は、電気自動車に搭載されて、駆動用電源として用いられている。燃料電池システム100は、燃料電池スタック10と、燃料ガス給排部20と、酸化ガス給排部30と、冷媒給排部40と、制御部500と、を備えている。また、燃料電池システム100を搭載する電気自動車は、燃料電池システム100の他に、インバータ400と、駆動モータ410と、二次電池200と、DC/DCコンバータ300と、を備える。
燃料電池スタック10は、固体高分子型燃料電池であり、単セルが複数積層されたスタック構成を有している。本実施例では、単セルは、MEA(膜−電極接合体、Membrane Electrode Assembly)と、ガス拡散層と、ガスセパレータと、を備えている。ここで、MEAは、電解質膜と、電解質膜の各々の面に形成された電極であるアノードおよびカソードと、によって構成される。このMEAは、ガス拡散層によって挟持されており、MEAおよびガス拡散層から成るサンドイッチ構造は、さらに両側からガスセパレータによって挟持されている。
MEAを構成する電解質膜は、固体高分子材料、例えばフッ素系樹脂により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜であり、湿潤状態で良好な電気伝導性を示す。カソードおよびアノードは、電解質膜上に形成された層であり、電気化学反応を進行する触媒金属(例えば白金)を担持するカーボン粒子と、プロトン伝導性を有する高分子電解質と、を備えている。ガス拡散層は、ガス透過性および電子伝導性を有する部材によって構成されており、例えば、発泡金属や金属メッシュなどの金属製部材や、カーボンクロスやカーボンペーパなどのカーボン製部材により形成することができる。
ガスセパレータは、ガス不透過な導電性部材、例えば、カーボンを圧縮してガス不透過とした緻密質カーボン等のカーボン製部材や、プレス成形したステンレス鋼などの金属製部材により形成されている。ガスセパレータは、MEAのアノードとの間に、水素を含有する燃料ガスの流路(セル内燃料ガス流路)を形成し、MEAのカソードとの間に、酸素を含有する酸化ガスの流路(セル内酸化ガス流路)を形成する。ガスセパレータの表面には、上記したセル内ガス流路を形成するための凹凸を形成しても良く、あるいは、ガスセパレータとガス拡散層との間に、セル内ガス流路を形成するための多孔質体を配置しても良い。
燃料電池スタック10の内部には、さらに、セル間冷媒流路が形成されている。このような冷媒流路は、例えば、積層されたすべての単セル間、具体的には、異なる単セルを構成する隣接し合うガスセパレータ間に形成することができる。あるいは、単セルを所定数積層する毎に、ガスセパレータ間にセル間冷媒流路を形成しても良い。
さらに、燃料電池スタック10には、燃料電池スタック10を、その積層方向に貫通する複数の流路が形成されている。具体的には、各セル内燃料ガス流路へと燃料ガスを分配するための燃料ガス供給マニホールドと、各セル内燃料ガス流路から排出された排出燃料ガスが集合する燃料ガス排出マニホールドが形成されている。また、各セル内酸化ガス流路へと酸化ガスを分配するための酸化ガス供給マニホールドと、各セル内酸化ガス流路から排出された排出酸化ガスが集合する酸化ガス排出マニホールドが形成されている。さらに、各セル間冷媒流路へと冷媒を分配するための冷媒供給マニホールドと、各セル間冷媒流路から排出された冷媒が集合する冷媒排出マニホールドが形成されている。
燃料ガス給排部20は、水素を含有する燃料ガスを燃料電池スタック10に供給すると共に、燃料電池スタック10から排出された排出燃料ガスをアノードへ再供給する機能及び排出燃料ガスを燃料電池システム100の外部へ排出する機能を有する。
燃料ガス給排部20は、燃料ガス供給源である水素タンク21と、燃料ガス供給配管22と、燃料ガス循環配管24と、燃料ガス排出配管28と、を備える。水素タンク21は、燃料電池スタック10に対して燃料ガスである水素を供給する燃料ガス供給部であって、高圧の水素ガスを貯蔵するボンベによって構成される。燃料ガス供給配管22の一端は、水素タンク21に接続され、他端は燃料電池スタック10(具体的には、既述した燃料ガス供給マニホールドの端部の供給口)に接続されている。水素タンク21は、燃料ガス供給配管22との接続部において遮断弁V1を備える。
燃料ガス供給配管22には、調圧バルブV2が設けられている。制御部500からの指示に従って遮断弁V1が開閉されることにより、水素タンク21は、燃料ガス供給配管22への燃料ガスの放出及び放出停止を行う。水素タンク21から燃料ガス供給配管22に放出された燃料ガスは、調圧バルブV2により所定圧力に調圧されて燃料電池スタック10へ供給される。
燃料ガス循環配管24の一端は、燃料電池スタック10(具体的には、既述した燃料ガス排出マニホールドの端部の排出口)に接続され、その他端は、燃料ガス供給配管22の中ほど(具体的には、調圧バルブV2よりも下流の位置)に接続されている。燃料ガス循環配管24には、圧力センサP1と、水素濃度計D1と、気液分離器25と、燃料ガス循環ポンプ26とが設けられている。圧力センサP1は、燃料ガス循環配管24の内圧を検出する。水素濃度計D1は、燃料ガス循環配管24内に存在する循環ガス中の水素濃度を検出する。本実施例では、圧力センサP1により検出した内圧を、燃料電池スタック10内の燃料ガス流路(各セル内燃料ガス流路および燃料ガスマニホールドを含む流路であり、以下、電池内燃料ガス流路と呼ぶ)内の圧力(以下、「アノード全圧」とも呼ぶ)として用いている。また、本実施例では、水素濃度計D1により検出した水素濃度を、電池内燃料ガス流路内の水素濃度として用いており、これらを、後述する停止前処理に利用している。燃料電池スタック10から排出された排出燃料ガスは、燃料ガス循環ポンプ26を作動させることで、燃料ガス供給配管22に導入され、再び燃料ガスとして燃料電池スタック10の電気化学反応に利用される。気液分離器25は、排出燃料ガスに含まれる水蒸気を凝縮させて、排出燃料ガス中の水分の一部を除去する装置である。
燃料ガス排出配管28は、燃料電池スタック10から排出された排出燃料ガスの一部を燃料電池システム100の外部へ排出するために用いられる。燃料ガス排出配管28の一端は、気液分離器25に接続され、他端は、後述する希釈器37に接続されている。燃料ガス排出配管28には、排気弁V3が設けられている。排気弁V3は、通常は閉じられているが、所定のタイミングで開弁することで、燃料ガス循環配管24内を流れる排出燃料ガスの一部が、気液分離器25を介して希釈器37側へと排出される。また、このように排気弁V3が開弁される際には、気液分離器で凝縮された液水も、排出燃料ガスと共に希釈器37側へと排出される。上記のように希釈器37に導入された排出燃料ガスは、配管34及びマフラ38を通って外部へ排出される。燃料電池スタック10が発電を行なう際には、所定のタイミングで排気弁V3を開弁することにより、燃料電池スタック10に供給される燃料ガス中の不純物濃度(電解質膜を介してカソード側からアノード側に移動した窒素濃度および水蒸気濃度)の上昇を抑えることができる。
酸化ガス給排部30は、酸化ガスとしての空気を燃料電池スタック10に供給すると共に、燃料電池スタック10から排出された排出酸化ガスを燃料電池システム100の外部へ排出する機能を有する。
酸化ガス給排部30は、酸化ガス供給配管32と、酸化ガス排出配管33と、を備える。酸化ガス供給配管32の一端は、燃料電池システム100の外部に存在する大気に開放され、他端は燃料電池スタック10(具体的には、既述した酸化ガス供給マニホールドの端部の供給口)に接続されている。
酸化ガス供給配管32には、エアコンプレッサ36が設けられている。エアコンプレッサ36は、システム外部からエアクリーナ(図示せず)を介して酸化ガス供給配管32に取り込んだ酸化ガス(空気)を圧縮する。圧縮された酸化ガスは、燃料電池スタック10へ供給される。
酸化ガス排出配管33の一端は、燃料電池スタック10(具体的には、既述した酸化ガス排出マニホールドの端部の排出口)に接続され、他端は希釈器37に接続されている。酸化ガス排出配管33には、圧力センサP2と、水素濃度計D2と、弁V4とが設けられている。圧力センサP2は、酸化ガス排出配管33の内圧を検出する。水素濃度計D2は、酸化ガス排出配管33内に存在する排出酸化ガス中の水素濃度を検出する。本実施例では、圧力センサP2により検出した内圧を、燃料電池スタック10内の酸化ガス流路(各セル内酸化ガス流路および酸化ガスマニホールドを含む流路であり、以下、電池内酸化ガス流路と呼ぶ)内の圧力(以下、「カソード全圧」とも呼ぶ)として用いている。また、本実施例では、水素濃度計D2により検出した水素濃度を、電池内酸化ガス流路内の水素濃度として用いており、これらを、後述する停止前処理に利用している。燃料電池スタック10から排出された排出酸化ガスは、酸化ガス排出配管33を通って希釈器37に導入される。
希釈器37は、排出酸化ガスと、上述の所定のタイミングで希釈器37に導入された排出燃料ガスとを混合し混合排ガスとする。これにより、混合ガス中の水素を希釈し、水素濃度を低減させる。希釈器37から排出された混合排ガスは、配管34を通ってマフラ38に到達し、マフラ38から燃料電池システム100の外部へ排出される。燃料電池スタック10への酸化ガスの供給量は、エアコンプレッサ36の回転数を制御部500により制御することで調整することができる。
燃料電池スタック10が発電する際には、上記のように、燃料ガスとしての水素がアノードに供給され、酸化ガスとしての空気がカソードに供給されて、各単セルにおいて電気化学反応が進行する。燃料電池スタック10により発電された電力は、インバータ400に供給され、交流電力に変換されて、車両駆動用の駆動モータ410に供給される。また、燃料電池スタック10とインバータ400とを接続する配線には、さらに、DC/DCコンバータ300を介して二次電池200が接続されている。二次電池200は、燃料電池スタック10の発電電力に余剰がある場合は、燃料電池スタック10によって充電され、発電電力に不足がある場合は、インバータ400へ放電を行う。また、二次電池200は、電気自動車の制動時には、駆動モータ410が発電機として働くことにより生じた電力を蓄電することもできる。また、二次電池は、燃料電池スタック10が発電を停止しているときには、制御部500や、制御部500に駆動されるアクチュエータに対して、動作に要する電力を供給する。
燃料電池スタック10とインバータ400とを接続する配線には、スイッチSW1が設けられている。燃料電池システム100の起動時および停止時には、このスイッチSW1のオン−オフが制御されることによって、燃料電池スタック10とインバータ400との間の接続が入り切りされる。なお、図1では、燃料電池スタック10に接続される主たる負荷としてインバータ400を介して駆動モータ410が記載されているが、燃料電池スタック10には、さらに他の負荷として、電気自動車の空気調整設備や、照明設備が接続されている。
冷媒給排部40は、冷媒(例えば冷却水)を燃料電池スタック10に供給することで、燃料電池スタック10の温度を適正に保つ機能を有する。冷媒給排部40は、冷媒配管42とラジエータ44と、を備える。冷媒配管42は、燃料電池スタック10内とラジエータ44との間を循環するように冷媒を導く流路である。冷媒配管42には、循環ポンプ46が設けられており、循環ポンプ46は、冷媒が冷媒配管42内を循環するための駆動力を生じる。冷媒は、このように循環することにより、燃料電池スタック10で電気化学反応に伴って生じた熱を吸収し、吸収した熱をラジエータ44において放熱する。
制御部500は、各種センサ610からの信号や燃料電池スタック10に対する負荷要求に関する情報が入力されて、各種アクチュエータ600に駆動信号を出力し、燃料電池システム100の運転全体を制御する。制御部500は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成されている。制御部500は、CPU502と、ROM504と、RAM506と、インタフェース508とを備えている。CPU502は、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行する。ROM504は、CPU502で各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等を格納する。RAM506は、CPU502で各種演算処理を行うのに必要な各種データが一時的に読み書きされる。インタフェース508は、各種アクチュエータ600や各種センサ610と制御部500とを制御用信号線を介して接続している。ここで、各種アクチュエータ600としては、具体的には、遮断弁V1、調圧バルブV2、燃料ガス循環ポンプ26、排気弁V3、弁V4、エアコンプレッサ36、スイッチSW1等が挙げられる。また、各種センサ610としては、具体的には、圧力センサP1,P2、水素濃度計D1,D2等が挙げられる。また、制御部500は、DC/DCコンバータ300やインバータ400に制御信号を出力して、燃料電池スタック10の発電量に係る制御を行なっている。さらに、制御部500は、燃料電池システム100の運転に係る制御だけでなく、電気自動車が備えるその他の各部(例えば、空気調節設備等)に係る運転状態も制御している。
燃料電池スタック10の通常発電時には、遮断弁V1、調圧バルブV2が開状態となり水素がアノードに供給されると共に、燃料ガス循環ポンプ26が作動し、排出燃料ガスが燃料ガス供給配管22に導入され再利用されている。また、エアコンプレッサ36が作動し、酸化ガスがカソードに供給されると共に、弁V4が開状態となり、排出酸化ガスが外部へ排出される。また、循環ポンプ46が作動し、冷媒が燃料電池スタックに循環供給されている。また、通常発電時は、スイッチSW1がオンとなり、インバータ400に発電電力が供給可能となる。ここで、通常発電時とは、燃料電池スタック10が所定の定常温度に昇温した状態であって、負荷要求に応じた充分量の燃料ガスおよび酸化ガスが燃料電池スタック10に供給されることで、負荷要求に応じた電力が燃料電池スタック10で発電され、インバータ400等の負荷へと供給される状態をいう。一方、システム停止時には、燃料電池スタック10への燃料ガス、酸化ガスの供給が停止されると共に、冷媒の循環や燃料ガス循環ポンプ26による排出燃料ガスの循環が停止され、燃料電池スタック10とインバータ400との接続が切断されて、燃料電池スタック10の発電が停止される。
B.第1実施例のシステム停止時の動作:
図2は、本実施例の燃料電池システム100の停止時に、制御部500において実行される停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。本ルーチンは、電気自動車に設けられたシステム停止を指示するスイッチ(例えば、イグニションスイッチ)がユーザにより操作されたときに、起動され、実行される。本ルーチンが起動されると、制御部500は、燃料電池スタック10の発電を停止させる(ステップS100)。具体的には、制御部500は、スイッチSW1をオフにして、燃料電池スタック10とインバータ400等の負荷との接続を切断すると共に、燃料電池スタック10への燃料ガスおよび酸化ガスの供給を停止させる。燃料電池スタック10への燃料ガスの供給を停止する際には、制御部500は、遮断弁V1および調圧バルブV2を閉弁させる。このとき、燃料ガス循環ポンプ26は駆動停止され、排気弁V3は、所定のタイミングでの開弁制御が停止されて閉弁状態となる。燃料電池スタック10への酸化ガスの供給を停止する際には、エアコンプレッサ36が停止される。このとき、燃料電池スタック10の発電時に開弁されていた弁V4は、そのまま開弁状態が維持される。なお、ステップS100においては、循環ポンプ46を停止して、冷媒給排部40による冷媒の循環の動作も停止する。
燃料電池スタック10が発電を行なっているときには、電池内酸化ガス流路には空気が供給されている。そのため、ステップS100において燃料電池スタック10の発電を停止するときには、電池内酸化ガス流路には、空気、すなわち、主として窒素と酸素とが残留する状態となる。具体的には、電池内酸化ガス流路に残留するガスにおいて、窒素と酸素のモル分率が、例えば窒素が約0.8、酸素が約0.2となり、窒素の方が酸素よりも分圧が高い状態となる。なお、燃料電池スタック10の発電時には、電池内酸化ガス流路に対して、大気圧と同程度あるいは加圧された空気(例えば、100〜200kPa abs)が供給されるが、発電停止後には、弁V4が開弁されていることにより、電池内酸化ガス流路は大気圧となる。
これに対して、電池内燃料ガス流路では、燃料電池スタック10が発電を行なっているときには、水素タンク21から水素が供給されると共に、各単セル内において、電解質膜を介してカソード側から窒素が供給される。そのため、ステップS100において燃料電池スタック10の発電を停止するときには、電池内燃料ガス流路には、主として水素と窒素とが残留している。具体的には、電池内燃料ガス流路に残留するガスにおいて、窒素と水素のモル分率が、例えば窒素が約0.2、水素が約0.8となり、窒素よりも水素の方が分圧が高い状態になる。なお、燃料電池スタック10の発電時には、電池内燃料ガス流路内のガス圧(アノード全圧)は、既述した発電時の電池内酸化ガス流路の圧力と同等となっており、発電停止後にも、しばらくの間はこの圧力が保たれる。
ステップS100において燃料電池スタック10の発電を停止させると、制御部500は、圧力センサP1からアノード全圧を取得して(ステップS110)、アノード全圧が、第1の基準圧力以下であるか否かを判断する(ステップS120)。このとき、制御部500は、アノードガス圧低下判定部として機能する。
ここで、上記のように燃料電池スタック10の発電を停止すると、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路との間で、流路内のガスの各構成成分が、分圧差に応じて電解質膜を透過して移動する。具体的には、セル内燃料ガス流路から、水素分圧のより低いセル内酸化ガス流路へと、水素が電解質膜を透過して移動する。また、セル内酸化ガス流路から、窒素分圧のより低いセル内燃料ガス流路へと、窒素が電解質膜を透過して移動する。このとき、水素の移動が最も速く進行するため、水素が移動することによって、発電停止後直ちにアノード全圧が低下を始める。図3は、セル内燃料ガス流路とセル内酸化ガス流路との間におけるガス透過の様子を表わす説明図である。図3(A)は、燃料電池スタック10の発電を停止させた直後の様子であって、セル内燃料ガス流路からセル内酸化ガス流路へと水素が移動する様子を表わしている。
ステップS120で用いられる第1の基準圧力としては、上記のような水素の移動が進行していると判断するための値が予め定められて、制御部500内に記憶されている。本実施例では、第1の基準圧力は、大気圧よりも低い90kPa absに設定している。なお、上記のようにセル内燃料ガス流路からセル内酸化ガス流路へと移動した水素は、カソードが備える触媒上で、酸素と反応して水を生じる。ここで、セル内酸化ガス流路の酸素分圧はセル内燃料ガス流路の酸素分圧よりも高いため、セル内酸化ガス流路からセル内燃料ガス流路への酸素の移動も起こり得る。しかしながら、既述したように、セル内燃料ガス流路からセル内酸化ガス流路への水素の透過がより速く進行し、透過した水素は速やかに酸素と反応する。そのためセル内酸化ガス流路では、主として水素との反応によって、酸素量が次第に減少する。
ステップS120において、アノード全圧が第1の基準圧力以下ではないと判断されると、制御部500は、ステップS110に戻り、アノード全圧の取得と、アノード全圧と第1の基準圧力との比較の動作を繰り返す。ステップS120において、アノード全圧が第1の基準圧力以下であると判断されると、制御部500は、電池内燃料ガス流路への水素の再供給を行なう(ステップS130)。具体的には、遮断弁V1および調圧バルブV2を開弁する。また、燃料ガス循環ポンプ26の駆動を再開する。このとき、制御部500は、水素再供給制御部として機能する。
図3(B)は、水素の再供給を行なう際の様子を表わす説明図である。水素の再供給によって、セル内燃料ガス流路では水素濃度および水素分圧が上昇する。また、その間にも、セル内燃料ガス流路からセル内酸化ガス流路への水素の移動が行なわれ、カソード上では、水素の酸化反応が進行する。これにより、セル内酸化ガス流路における酸素濃度はさらに低下する。本実施例では、セル内酸化ガス流路に残留する酸素量に対して、セル内燃料ガス流路内の水素量の方が多く、また、セル内燃料ガス流路に対しては水素の再供給も行なわれるため、セル内酸化ガス流路内の酸素は、やがて、水素の酸化によってほぼすべてが消費される。
次に、制御部500は、圧力センサP1からアノード全圧を再び取得して(ステップS140)、アノード全圧が、第2の基準圧力以上となったか否かを判断する(ステップS150)。ここでは、電解質膜を水素が透過することにより低下したアノード全圧が、ステップS130における水素の再供給によって回復したか否かを判断している。そのため、第2の基準圧力は、第1の基準圧力よりも大きな値であって、端部が大気開放された電池内酸化ガス流路と同等の圧力を設定すればよい。そのため、本実施例では、第2の基準圧力は大気圧に設定している。
ステップS150で、アノード全圧が第2の基準圧力以上ではないと判断した場合には、制御部500は、水素の再供給の動作を継続しつつ、アノード全圧を取得する動作(ステップS140)と、アノード全圧が第2の基準圧力以上であるか否かを判断する動作(ステップS150)とを繰り返す。ステップS140において、アノード全圧が第2の基準圧力以上であると判断したときには、制御部500は、水素の再供給を停止させる(ステップS160)。具体的には、遮断弁V1および調圧バルブV2を閉弁させる。このとき、制御部500は、燃料ガス循環ポンプ26による燃料ガスの循環も停止させる。
上記のように水素の再供給を行なって、アノード全圧を回復させると共に電池内燃料ガス流路における水素分圧を上昇させることにより、燃料電池スタック10内では、水素分圧の差に基づいて、セル内燃料ガス流路側からセル内酸化ガス流路側への水素の透過が引き続き進行する。また、セル内酸化ガス流路側からセル内燃料ガス流路側への窒素の透過も引き続き進行する。ここで、既述したように、水素の透過の方が窒素の透過よりも速く進行すると共に、システム停止時には、電解質膜を介した窒素分圧差よりも水素分圧差の方が大きくなっている。そのため、セル内酸化ガス流路においては、通常は、セル内燃料ガス流路側へと移動する窒素量よりも、セル内燃料ガス流路から流入する水素量の方が多くなる。このとき、セル内酸化ガス流路では、弁V4が開弁されて大気開放されているため、流入する水素によってセル内酸化ガス流路内ガスの一部が酸化ガス排出配管33側へと押し出され、排出される。このように、セル内酸化ガス流路では、セル内燃料ガス流路から水素が流入すると共に、セル内酸化ガス流路内のガス(窒素と水素を含むガス)が外部に排出され、さらに、セル内燃料ガス流路側へと窒素が透過することにより、水素濃度および水素分圧が次第に上昇すると共に、窒素濃度および窒素分圧が次第に低下する。また、セル内燃料ガス流路では、窒素分圧が次第に上昇する。図3(C)は、水素が再供給された燃料電池スタック10内において、セル内燃料ガス流路とセル内酸化ガス流路の間で水素と窒素が移動する様子を表わす説明図である。
ステップS160で水素の再供給を停止させた後は、制御部500は、再供給を停止させた後に所定の基準時間が経過したか否かを判断する(ステップS170)。制御部500は、基準時間が経過するまで、ステップS170の処理を繰り返す。
ステップS170で基準時間が経過したと判断すると、制御部500は、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路との間で、各流路内のガスにおける各々の構成成分の分圧差が、基準値以下であるか否かを判断する(ステップS180)。このステップS180では、セル内燃料ガス流路内のガス組成とセル内酸化ガス流路内のガス組成とが等しいと評価して良いか否かを判断している。既述したように、燃料電池スタック10が発電を停止した後には、セル内酸化ガス流路内の酸素は消費されて無くなるため、各流路内のガスにおける構成成分は、水素と窒素であると考えることができる。そこで、本実施例のステップS180では、制御部500は、電池内燃料ガス流路における水素分圧と窒素分圧、および、電池内酸化ガス流路における水素分圧と窒素分圧を取得して、水素分圧差と窒素分圧差とを求めている。そして、水素分圧差と窒素分圧差とが、各々について予め定めた基準値以下である場合に、各々の流路における各ガス成分の分圧が等しいと判断している。電池内燃料ガス流路における水素分圧は、圧力センサP1が検出したアノード全圧と、水素濃度計D1が検出した水素濃度に基づいて算出する。電池内燃料ガス流路における窒素分圧は、上記アノード全圧から、上記算出した水素分圧を減算することによって取得する。電池内酸化ガス流路における水素分圧は、圧力センサP2が検出したカソード全圧と、水素濃度計D2が検出した水素濃度に基づいて算出する。電池内酸化ガス流路における窒素分圧は、上記カソード全圧から、上記算出した水素分圧を減算することによって取得する。ステップS180においては、制御部500は、分圧均等化判定部として機能する。
ステップS180において、水素分圧差に係る基準値、および、窒素分圧差に係る基準値は、以下のようにして設定することができる。すなわち、水素分圧差および窒素分圧差が上記基準値以下であれば、セル内燃料ガス流路とセル内酸化ガス流路の間で、ガスの分圧差に起因するガスの移動がほとんど起こらず、電池内酸化ガス流路が負圧になることに起因するシステム外部から電池内酸化ガス流路への空気の流入を充分に抑制可能となる値として設定される。これは、例えば、電気自動車に想定される停止時間であって、その時間内であれば、電池内酸化ガス流路内に空気が流入することに起因する触媒劣化が生じないものとして補償すべき時間や、停止処理後の弁V4における封止の厳密さの程度や、圧力センサP1,P2および水素濃度計D1,D2の精度等に応じて、適宜設定することができる。このような水素分圧差に係る基準値や窒素分圧差に係る基準値は、例えば、0〜30kPaとすることができる。
ステップS180において、各ガス成分の分圧差が、基準値を上回ると判断したときには、制御部500は、再びステップS110に戻ってアノード全圧を取得する。ステップS180において各ガス成分の分圧差が基準値を上回ると判断される場合には、セル内燃料ガス流路とセル内酸化ガス流路の間で、各ガス成分の分圧差に従ったガスの移動が引き続き起こる。既述したように、水素の透過速度の方が窒素の透過速度よりも速く、また、電池内酸化ガス流路が大気開放されているため、分圧差に起因するガス移動が起こると、アノード全圧が次第に低下し、ステップS120において、アノード全圧が第1の基準圧力以下であると判断されることになる。その場合には、ステップS130以降の工程が、再び実行される。
ステップS180において、各ガス成分の分圧差が基準値以下であると判断すると、制御部500は、弁V4を閉弁して、本ルーチンを終了する。本ルーチンの終了により、燃料電池システム100の停止時の処理が終了する。このとき、制御部500は、発電停止制御部として機能する。
以上のように構成された本実施例の燃料電池システム100によれば、システム停止時に、実質的に酸素が存在しない状態にすると共に、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路における各ガス成分の分圧が等しくなったと判断されるまで水素の再供給を行なうため、システムの停止後に、各ガス成分の分圧差を駆動力として電解質膜を透過してガスが移動することを抑制できる。これにより、システムの停止後にカソード全圧が変動して負圧になることに起因して、外部から電池内酸化ガス流路内に空気が取り込まれることを抑制できる。このような空気(酸素)の取り込みを抑えることにより、カソードが望ましくない程度に高電位となることを抑制し、カソードが高電位となることに起因する電極酸化(カソードが備える触媒を担持する担体の酸化)を抑制し、電極酸化に起因する電池性能の低下を抑えることができる。
カソードが望ましくない程度に高電位となる現象は、一般に、アノード上に水素と酸素が存在し、カソード上に酸素が存在して、内部電池が形成される場合に起こると考えられている。具体的には、アノード上で水素濃度が高い領域では、アノードでは水素からプロトンと電子が生じると共に、電解質膜内をアノード側からカソード側へとプロトンが移動して、通常の電池反応が進行する。これに対して、アノード上で水素濃度が低く酸素が存在する領域では、カソードが備える触媒担持担体(本実施例ではカーボン粒子)の酸化が進行すると共に、この酸化反応で生じたプロトンが電解質膜内をカソード側からアノード側へと移動し、アノードでは移動してきたプロトンが酸化されて水が生じる。このとき、アノードにおいて水素濃度が高い領域と低い領域との間で電子のやり取りが行なわれ、外部の回路には電子が流れない内部電池の状態となって、カソードの電位が望ましくない程度に上昇する。
本実施例では、外部から電池内酸化ガス流路内に空気が取り込まれることが抑制されることにより、アノード上に水素と酸素が存在すると共にカソード上に酸素が存在する状態となることが抑えられ、システム停止中における内部電池の形成を抑制することができる。また、本実施例では、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路のガス成分の分圧を同じにすることによって空気の取り込みを抑えているため、停止中における空気の取り込みを抑制するために、酸化ガス排出配管33において、封止の気密性を確保する必要がない。そのため、システム停止時に各ガス成分の分圧が同じになった後に閉弁する弁V4は、厳密に封止を行なう必要はなく、弁V4が要するコストを低減することが可能となる。なお、弁V4は、厳密な封止は行なわなくても、外部から電池内酸化ガス流路への空気(酸素)の拡散を抑制することができるが、本実施例では、既述したように、各ガス成分の分圧を同じにしてシステムを停止するため、弁V4を設けないこととしても、カソードの高電位化を抑制する充分な効果を得ることが可能である。
さらに、本実施例では、システムの停止時に、各ガス成分の分圧差を基準値以下にする際に、濃度分圧差に従った電解質膜の透過を利用している。そのため、セル内燃料ガス流路とセル内酸化ガス流路の間で、各ガス成分の分圧を揃えるために、特別にエネルギを消費する必要がなく、システム全体のエネルギ効率が低下することがない。
また、本実施例によれば、電池内燃料ガス流路に対して水素を再供給する際には、燃料ガス循環ポンプを駆動している。そのため、電池内燃料ガス流路のいずれかの箇所において窒素が滞留して部分的に水素が不足する状態になることを抑制でき、システムの停止時において酸素が消費されてしまうまでの途中においても、内部電池の形成を抑制する信頼性を高めることができる。また、水素の再供給時に燃料ガス循環ポンプを駆動することにより、電池内燃料ガス流路内において各ガス成分の分布を均一化することができる。このように、各ガス成分が均一に混合された状態で、各ガス成分の分圧を酸化ガス側と等しくして停止することにより、システムの停止後に残留するガスの分圧差に起因する電解質膜を介したガスの移動を抑える効果を高めることができる。特に、燃料ガス循環ポンプを駆動することなく水素の再供給のみ行なう場合には、セル内燃料ガス流路において、水素が供給される入り口側とは反対の出口側近傍において窒素濃度が高くなり易くなる。このように電池内燃料ガス流路内でガス成分の分布が不均一となると、水素濃度計D1における検出値の精度が不十分となる場合も考えられるが、本実施例のように燃料ガスの循環を行なうことにより、システム停止時にガス分圧を揃える動作の精度を向上させることができる。なお、水素の再供給時に燃料ガスの循環を行なわない場合には、次回始動時には、発電開始に先だって燃料ガス循環ポンプ26を駆動して充分に燃料ガスを循環させる、あるいは、発電開始に先立って排気弁V3を短時間開弁して、窒素濃度が高いガスを電池内燃料ガス流路から排出することが望ましい。
また、本実施例によれば、各ガス成分の分圧差を同じにするために、アノード全圧が低下するたびに水素の再供給を行なっている。そのため、電池内燃料ガス流路内の水素量を維持しつつ、セル内燃料ガス流路からセル内酸化ガス流路への水素の移動の継続を確保し、電池内酸化ガス流路内に残留する酸素を消費して、燃料電池スタック10内に、実質的に酸素が存在しない状態とすることができる。このように実質的に燃料電池内に酸素が存在しない状態とすると共に、外部からの空気の流入を抑えることにより、内部電池の形成を効果的に抑制することが可能になる。
また、本実施例によれば、燃料電池システムが停止している間、水素と窒素が同じ割合で混合されたガスが電池内燃料ガス流路および電池内酸化ガス流路に満たされた状態が長く維持されるため、次回の始動時に、カソードの電位が望ましくない程度に上昇することを抑制することができる。例えば、システムの停止時に、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路の両方を空気で満たした状態とすることによって、双方のガス分圧を等しくすることも可能である。しかしながらこの場合には、システム停止中のカソードにおける過剰な電位上昇は抑制できるものの、次回起動時において、電池内燃料ガス流路へと水素が供給され始めるときに、アノード上に水素と酸素が存在する状態となり、内部電池が形成されてしまう。これに対して本実施例では、いずれの流路にも実質的に酸素が存在しない状態で、ガス成分の分圧差を等しくしてシステムを停止しているため、次回システム始動時にも、アノード上に水素と酸素が存在する状態になり難く、内部電池の形成を抑えることができる。
本実施例では、システム停止の動作中に電池内酸化ガス流路内の酸素が消費され、停止の動作の終了時におけるガス流路内のガス成分は、ほぼ水素と窒素だけになるため、ステップS180では、水素分圧と窒素分圧のみを比較しているが、異なる構成としても良い。例えば、燃料ガス循環配管24および酸化ガス排出配管33に酸素濃度センサを設けて、酸素分圧も考慮することとしても良い。システム停止の処理がある程度進行するまではガス流路内に酸素も残留しており、また、電池内酸化ガス流路の容積によっては、より長く酸素が残留することになるため、酸素分圧をさらに考慮することで、ガス成分の分圧を揃えてシステムを停止する動作の精度を向上させることができる。
なお、水素の再供給によって電池内燃料ガス流路における水素濃度および水素分圧を上昇させた際に、その後のステップS170における基準時間が短い場合には、ステップS180で分圧差が基準値を上回ると判断されるものの、その後さらに水素および窒素の移動が進行して、各ガス分圧がほぼ等しくなる場合も考えられる。このような場合には、ステップS180で分圧差が基準値を上回ると判断された後にステップS110に戻っても、ステップS120においてアノード全圧が第1の基準圧力以下にはならない場合があり得る。そのため、ステップS120においてアノード全圧が第1の基準圧力を超える場合に、先回実行したステップS160における水素の再供給停止からの経過時間が、予め定めた基準時間を超えているときには、ガスの移動が起こらない程度に各ガス成分の分圧が等しくなったものと判断して、ステップS190に移行して本ルーチンを終了することとしても良い。このようなステップS120の後の判断をさらに加えるか否か、あるいはステップS170における基準時間やステップS180で用いる分圧差の基準値をどのくらいに設定するかは、ガス濃度センサの精度や、電解質膜を介したガス成分の透過の速度や、カソード電位の上昇が起こらない停止時間として補償したい時間等を考慮して、適宜設定すればよい。
また、ステップS150における水素の再供給を停止すべきか否かに係る判断では、アノード全圧が第2の基準圧力以上となる状態であることを判断できるならば、アノード全圧に直接基づくことなく判断を行なっても良い。例えば、水素の再供給を開始してからの経過時間が、所定の時間を経過したか否かを基準にしても良い。具体的には、例えば、第1の基準圧力以下に低下したアノード全圧を第2の基準圧力に昇圧させるために要する水素量と、水素の再供給時における設定された燃料ガス供給量とに基づいて、アノード全圧を第2の基準圧力に昇圧させるために要する時間を予め設定しておき、この予め設定した時間が経過したときに、水素の再供給を停止しても良い。
また、実施例では、ステップS180において、水素分圧差と窒素分圧差の両方が所定の基準値以下であるか否かを判断しているが、異なる構成としても良い。例えば、本実施例のように、電池内燃料ガス流路および電池内酸化ガス流路に残留するガスが水素と窒素のみであって、停止時の処理を行なう間、電池内燃料ガス流路と電池内酸化ガス流路の圧力が等しく保たれる場合には、一方の水素分圧差のみを算出して比較しても良い。全体として、流路内の各ガス成分の分圧差が充分に小さくなったことを判断できればよい。
C.第2実施例:
図4は、第2実施例の燃料電池システム110の概略構成を表わすブロック図である。本実施例の燃料電池システム110も、第1実施例と同様に、電気自動車に搭載されて、駆動用電源として用いられている。本実施例の燃料電池システム110は、返送配管29と三方弁V20と弁V22を設けた点以外は、第1実施例と同様の構成を有しているため、共通する部分には同じ参照番号を付すと共に、詳しい説明を省略している。図4に示す燃料電池システム110では、二次電池200、DC/DCコンバータ300、負荷接続部45、インバータ400、および、モータ410の図示は省略している。
返送配管29は、希釈器37と燃料ガス循環配管24とに接続されている。返送配管29と燃料ガス循環配管24の接続部には、三方弁V20が設けられている。また、配管34には、弁V22が設けられている。なお、燃料ガス循環配管24の部分のうち、三方弁V20よりも上流側部分を上流側配管24aとも呼び、下流側部分を下流側配管24bとも呼ぶ。三方弁V20は、通常の発電時には、下流側配管24bが、上流側配管24aとは連通するが返送配管29とは連通しないように切り替えられている。これにより、通常の発電時には、燃料電池スタック10から排出された燃料ガスは、気液分離器25と、上流側配管24aと、下流側配管24bと、をこの順で経由して循環することができる。これに対して、後述するシステム停止時には、三方弁V20は、下流側配管24bが、返送配管29とは連通するが上流側配管とは連通しないように切り替えられている。これにより、システム停止時には、燃料電池スタック10から排出された燃料ガスは、気液分離器25と、燃料ガス排出配管28と、希釈器37と、返送配管29と、下流側配管24bと、をこの順で経由して循環することができる。
図5は、第2実施例の燃料電池システム110が備える制御部500によって実行される停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。第2実施例では、図2に示す第1実施例の各工程に対応する工程には、100番台から200番台に変更した工程番号を付している。第2実施例では、ステップS230およびS260の工程に係る動作のみが第1実施例と異なっているため、第1実施例と同じ工程については詳しい説明を省略する。
第2実施例の制御部500は、発電の停止後に電池内燃料ガス流路から電池内酸化ガス流路へと電解質膜を介して水素が移動することによって、アノード全圧が第1の基準圧力以下になると(ステップS220)、ステップS120と同様に水素の再供給および再循環を開始すると共に、排気弁V3を開弁し、弁V22を閉弁し、三方弁V20を切り替える(ステップS230)。これにより、燃料電池スタック10から排出された排出燃料ガスは、希釈器37を経由する既述した経路で、循環を開始する。
その後、制御部500は、アノード全圧を取得して(ステップS240)、第2の基準圧力と比較する動作を(ステップS250)、アノード全圧が第2の基準圧力以上となるまで繰り返す。アノード全圧が第2の基準圧力以上になると、制御部500は、ステップS160と同様に水素の再供給および再循環を停止すると共に、排気弁V3を閉弁し、弁V22を開弁し、三方弁V20を元の状態に戻す(ステップS260)。
以上のように構成された第2実施例の燃料電池システム110によれば、第1実施例と同様の効果が得られることに加えて、燃料電池スタック10から排出された排出燃料ガスを、希釈器37を経由するように再循環させることにより、燃料電池内を循環させる燃料ガスを攪拌して均一化する効果を、さらに高めることができる。これにより、電池内燃料ガス流路内で部分的に水素が不足することに起因して生じる問題、具体的には、カソードにおける望ましくない程度の高電位化を抑制する効果を高めることができる。
また、本実施例によれば、システム停止の動作において、排出燃料ガスが希釈器37を経由するように燃料ガスを循環させるため、システムを停止したときには、希釈器37内が、電池内燃料ガス流路および電池内酸化ガス流路と同様の組成のガスで満たされる状態となる。そのため、燃料電池システムの停止中に、配管34および希釈器37を経由して電池内酸化ガス流路へと外部から空気が拡散・流入することを抑制する効果、および、これに起因するカソードにおける過剰な電位上昇を抑制する効果を、さらに高めることができる。
なお、第2実施例では、電池内燃料ガス流路を経由して循環する燃料ガスの攪拌状態を向上させるために希釈器37を用いているが、異なる構成としても良い。例えば、希釈器37に代えて、マフラ38を経由するように燃料ガスを循環させて、水素再供給時の燃料ガスの攪拌状態を向上させても良い。水素再供給時において、通常の発電時に燃料ガスが経由する燃料ガス循環配管24よりも流路断面積の大きい流路を経由させることにより、燃料ガスの攪拌状態を向上させることができる。また、燃料ガスが循環する流路において、流れるガスの攪拌を促進する構造、例えば、ガスの流れ方向に対して平行ではない所定の角度を成す板状部材(邪魔板)を、流路内に配置することによって、攪拌状態を向上させても良い。このような邪魔板を流路内に配置する場合には、水素再供給時に経由させる流路内に邪魔板を配置する他、通常の発電時に経由する流路(例えば、燃料ガス循環配管24や、燃料電池スタック10内の燃料ガスマニホールド)内に邪魔板を配置しても良い。
D.第3実施例:
図6は、第3実施例の燃料電池システムの制御部において実行される停止時処理ルーチンを表わすフローチャートである。第3実施例は、図1と同様の構成を有する燃料電池システム100における停止時処理に係るものである。図6において、図2に示す第1実施例の各工程に対応する工程には、100番台から300番台に変更した工程番号を付している。第3実施例では、燃料電池スタック10の発電を停止させた直後に、アノード全圧が第1の基準圧力以下であると判断されて水素が再供給される前に、電池内燃料ガス流路の圧力損失を低減させる処理(ステップS302〜S306)を行なう点のみが、第1実施例とは異なっている。そのため、第1実施例と同じ工程については、詳しい説明を省略する。なお、第3実施例では、アノードの圧力損失を測定するために、燃料電池システム100(図1)の燃料ガス供給配管22において、燃料電池スタック10との接続部付近に、供給側圧力センサをさらに設けている。そして、供給側圧力センサと燃料ガス排出側に設けた圧力センサP1の検出信号に基づき、制御部500は、アノードの圧力損失を算出する。
第3実施例では、制御部500は、燃料電池スタック10の発電を停止した後に、増大させた流量にて燃料ガスが循環するように、燃料ガス循環ポンプ26に駆動信号を出力する(ステップS302)。この工程は、セル内燃料ガス流路内に滞留する液水を、燃料電池スタック10から排出させるための工程である。そのため、ステップS302では、循環する燃料ガスの流量が、通常の発電時に比べて大きな流量であって、セル内燃料ガス流路内に滞留する液水を吹き飛ばして排出可能にするための流量として予め定めた流量となるように、燃料ガス循環ポンプ26が駆動される。内部に滞留する液水が除去されることにより、電池内燃料ガス流路における圧力損失は次第に低下する。このようにして燃料電池スタック10から排出された液水は、気液分離器25において燃料ガスから分離される。なお、増大させた流量にて燃料ガスの循環を行なう間に、排気弁V3を開弁させて、気液分離器25からの液水の排出を行なっても良い。
次に、制御部500は、アノードの圧力損失が、予め定めた基準値以下であるか否かを判断する(ステップS304)。ここで、アノードの圧力損失は、既述したように、供給側圧力センサと排出側の圧力センサP1の検出信号に基づいて求められる。また、基準値は、燃料電池スタックの発電を停止させた際(ステップS300)の通常の圧力損失よりも低い値であって、電池内燃料ガス流路から充分に液水が除去されたことを表わす値として設定されている。アノードの圧力損失が基準値以下でないと判断した場合は、制御部500は、ステップS304における動作、すなわち、アノードの圧力損失を求める動作と、求めた圧力損失を基準値と比較する動作とを繰り返す。一方、アノードの圧力損失が基準値以下であると判断した場合には、制御部500は、燃料ガス循環ポンプ26の作動を停止させ、燃料ガスの循環を停止させる(ステップS306)。燃料ガスの循環を停止させた後は、制御部500は、ステップS110以降と同様の、ステップS310以降の工程を行なう。
以上のように構成された第3実施例の燃料電池システムによれば、第1実施例と同様の効果が得られることに加えて、電池内燃料ガス流路への水素の再供給を開始させる前に、電池内燃料ガス流路内の液水を除去するための動作を行なうため、システムの停止後の電池内燃料ガス流路において、水素を隅々にまで行き渡らせ、部分的に水素が不足する部位の発生を抑えることができる。これにより、部分的に水素が不足する部位の発生に起因した、カソードにおける過剰な電位上昇を抑制することができる。
なお、第3実施例では、アノード全圧が第1の基準圧力以下であるか否かの判断(ステップS310、S320)を行なう前に、電池内燃料ガス流路内の液水を除去する動作を行なっているが、後で行なっても良い。少なくとも、停止時に最初に行なう水素の再供給・再循環(ステップS330)に先だって行なえばよい。また、第3実施例では、第1実施例の燃料電池システム100において、増大させた流量での燃料ガスの循環を行なわせたが、異なる構成としても良い。例えば、第2実施例の燃料電池システム110において本実施例を適用し、ステップS200とステップS210の間に、ステップS302〜S306の動作を行なうこととしても良い。
E.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
E1.変形例1:
第1ないし第3実施例の燃料電池システムは、その発電時に、排出燃料ガスを、再び燃料ガスとして燃料電池スタック10へと供給する構成となっているが、異なる構成としても良い。例えば、発電時には、排出燃料ガスを燃料電池スタック外へと排出する構成としても良く、また、発電時には、燃料ガス排出マニホールドの端部を封止して、燃料電池スタックに対して燃料ガス(水素)の供給のみを行なう構成(いわゆるアノードデッドエンド型)としても良い。このような場合であっても、電解質膜を介した両側で各ガス成分の分圧差を基準値以下になるまで、セル内燃料ガス流路側へと水素を供給することで、同様の効果が得られる。なお、このような場合であっても、水素を再供給する際には、実施例のように、流路内の燃料ガスが充分に攪拌されることが望ましい。
E2.変形例2:
第1ないし第3実施例の燃料電池システムは、水素タンク21を備えて、発電時に用いる燃料ガス、および、停止時にアノード側に再供給するガスとして水素を用いているが、異なる構成としても良い。例えば、水素ガスに代えて、炭化水素やアルコールを改質して得られる水素リッチガスを、燃料ガスおよびシステム停止時に再供給するガスとして用いてもよい。また、発電時に用いる燃料ガスとは別に、酸素を含有しないガス、例えば、メタンや、窒素等の不活性ガスを、停止時に電池内燃料ガス流路に供給するためのガスとして別途用意することとしても良い。上記のようなガスを用いても、電解質膜の透過を利用してガス分圧差を所定値以下にすることで、実施例と同様の効果が得られる。ただし、システム停止時に電池内燃料ガス流路に再供給するガスは、酸素を含有しない水素含有ガスであることが望ましく、通常の発電時に燃料電池のアノードに供給するためのガスを用いれば、特別に再供給ガスを用意する必要が無いため望ましい。
E3.変形例3:
第1ないし第3実施例では、燃料電池システムは車両に搭載されていることとしたが、異なる構成としても良い。例えば、車両以外の移動体の駆動用電源として、燃料電池システムを用いても良い。あるいは、家庭用等に電力を供給する定置型の燃料電池システムであっても、本願を適用することにより、システム停止中におけるカソードの過剰な電圧上昇を抑え、電池性能の低下を抑制することができる。
10…燃料電池スタック
20…燃料ガス給排部
21…水素タンク
22…燃料ガス供給配管
24…燃料ガス循環配管
24a…上流側配管
24b…下流側配管
25…気液分離器
26…燃料ガス循環ポンプ
28…燃料ガス排出配管
29…返送配管
30…酸化ガス給排部
32…酸化ガス供給配管
33…酸化ガス排出配管
34…配管
36…エアコンプレッサ
37…希釈器
38…マフラ
40…冷媒給排部
42…冷媒配管
44…ラジエータ
45…負荷接続部
46…循環ポンプ
100,110…燃料電池システム
200…二次電池
300…DC/DCコンバータ
400…インバータ
410…駆動モータ
500…制御部
502…CPU
504…ROM
506…RAM
508…インタフェース
600…各種アクチュエータ
610…各種センサ
D1…水素濃度計
D2…水素濃度計
P1…圧力センサ
P2…圧力センサ
SW1…スイッチ
V1…遮断弁
V2…調圧バルブ
V20…三方弁
V22…弁
V3…排気弁
V4…弁

Claims (10)

  1. 燃料電池を備える燃料電池システムであって、
    前記燃料電池内においてアノードと連通して形成され、水素を含有する燃料ガスが流れる電池内燃料ガス流路と、
    前記燃料電池内においてカソードと連通して形成され、酸素を含有する酸化ガスが流れる電池内酸化ガス流路と、
    前記燃料電池の発電の停止が指示されて、前記電池内燃料ガス流路に対する前記燃料ガスの供給、および、前記電池内酸化ガス流路に対する前記酸化ガスの供給が停止された後に、前記電池内燃料ガス流路内におけるガス圧であるアノードガス圧が第1の基準圧力以下であるか否かを判定するアノードガス圧低下判定部と、
    前記アノードガス圧低下判定部が、前記アノードガス圧が前記第1の基準圧力以下であると判定したときに、前記アノードガス圧が、前記第1の基準圧力よりも高圧である第2の基準圧力以上となるように、前記電池内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを再供給させる水素再供給制御部と、
    前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得するアノード側分圧取得部と、
    前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得するカソード側分圧取得部と、
    前記水素再供給制御部による前記燃料ガスの再供給を行なった後に、前記アノード側分圧取得部が取得した前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧と、前記カソード側分圧取得部が取得した前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧とを比較して、各ガスの分圧差が基準値以下であるか否かの判定を行なう分圧均等化判定部と、
    前記分圧均等化判定部によって、前記各ガスの分圧差が基準値以下であると判定されたときに、前記燃料電池の発電停止に係る一連の制御を終了する発電停止制御部と
    を備える燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記アノードに供給された後に前記燃料電池から排出された排出燃料ガスを、再び前記電池内燃料ガス流路へと導く燃料ガス循環路と、
    前記水素再供給制御部によって前記燃料ガスの供給が行なわれる際に、前記燃料ガス循環路において前記燃料ガスの循環を行なわせる駆動力を生じる循環駆動部と
    を備える燃料電池システム。
  3. 請求項2記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料ガス循環路は、該燃料ガス循環路内を流れる前記燃料ガスを攪拌する燃料ガス攪拌部を備える
    燃料電池システム。
  4. 請求項1ないし3いずれか記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記水素再供給制御部による前記燃料ガスの再供給に先立って、前記電池内燃料ガス流路に対して、通常の発電時に前記電池内燃料ガス流路に供給する前記燃料ガスの流量よりも大きな流量で、前記燃料ガスを供給する電池内燃料ガス流路パージ制御部を備える
    燃料電池システム。
  5. 請求項4記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記電池内燃料ガス流路内を前記燃料ガスが通過する際の圧損を求める電池内燃料ガス流路圧損取得部を備え、
    前記燃料ガス流路パージ制御部は、前記電池内燃料ガス流路圧損取得部が取得した前記圧損が予め定めた基準値よりも低くなるまで、大きな流量で前記燃料ガスを供給する動作を続行する
    燃料電池システム。
  6. 請求項1ないし5いずれか記載の燃料電池システムであって、
    前記アノード側分圧取得部は、前記燃料ガス流路における水素分圧を取得するアノード側水素分圧取得部と、前記燃料ガス流路における窒素分圧を取得するアノード側窒素分圧取得部と、を備え、
    前記カソード側分圧取得部は、前記酸化ガス流路における水素分圧を取得するカソード側水素分圧取得部と、前記酸化ガス流路における窒素分圧を取得するカソード側窒素分圧取得部と、を備え、
    前記分圧均等化判定部は、水素分圧差と窒素分圧差とに基づいて、前記判定を行なう
    燃料電池システム。
  7. 燃料電池を備える燃料電池システムにおけるシステムの停止方法であって、
    前記燃料電池の発電の停止が指示されたときに、前記燃料電池内においてアノードと連通して形成されて水素を含有する燃料ガスが流れる電池内燃料ガス流路に対する前記燃料ガスの供給を停止すると共に、前記燃料電池内においてカソードと連通して形成されて酸素を含有する酸化ガスが流れる電池内酸化ガス流路に対する前記酸化ガスの供給を停止する第1の工程と、
    前記第1の工程の後に、前記電池内燃料ガス流路内におけるガス圧であるアノードガス圧が第1の基準圧力以下であるか否かを判定する第2の工程と、
    前記第2の工程において、前記アノードガス圧が前記第1の基準圧力以下であると判定されたときに、前記アノードガス圧が、前記第1の基準圧力よりも高圧である第2の基準圧力以上となるように、前記電池内燃料ガス流路に対して前記燃料ガスを再供給する第3の工程と、
    前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得する第4の工程と、
    前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧を取得する第5の工程と、
    前記第3の工程の後に、前記第4の工程で取得した前記電池内燃料ガス流路内に含まれる各ガスの分圧と、前記第5の工程で取得した前記電池内酸化ガス流路内に含まれる各ガスの分圧とを比較して、各ガスの分圧差が基準値以下であるか否かを判定する第6の工程と、
    前記第6の工程において、前記各ガスの分圧差が基準値以下であると判定されたときに、前記燃料電池の発電停止に係る一連の制御を終了する第7の工程と
    を備える燃料電池システムの停止方法。
  8. 請求項7記載の燃料電池システムにおけるシステムの停止方法であって、
    前記第3の工程は、前記燃料電池から排出された排出燃料ガスを再び前記電池内燃料ガス流路へと導き、前記燃料ガスを循環させながら前記燃料ガスを再供給する工程である
    燃料電池システムの停止方法。
  9. 請求項7または8記載の燃料電池システムにおけるシステムの停止方法であって、さらに、
    前記第1の工程の後、前記第3の工程の前に、前記電池内燃料ガス流路に対して、通常の発電時に前記電池内燃料ガス流路に供給する前記燃料ガスの流量よりも大きな流量で、前記燃料ガスを供給する第8の工程を備える
    燃料電池システムの停止方法。
  10. 請求項7ないし9いずれか記載の燃料電池システムにおけるシステムの停止方法であって、
    前記第6の工程において前記各ガスの分圧差が基準値以下ではないと判定されたときには、前記第6の工程において前記各ガスの分圧差が基準値以下であると判定されるまで、前記第2ないし第5の工程を繰り返し実行する
    燃料電池システムの停止方法。
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