JP5298733B2 - トナー及び現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為のトナー、及びこのトナーを含む現像剤に関する。
電子写真、静電記録、静電印刷等に使用される現像剤は、その現像工程において静電荷像が形成されている静電潜像担持体等の像担持体に一旦付着され、次に転写工程において静電潜像担持体から転写紙等の転写媒体に転写された後、定着工程において紙面に定着される。このような電子写真方式に使用される現像剤として、キャリアとトナーから成る二成分系現像剤及びキャリアを必要としない一成分系現像剤(磁性トナー、非磁性トナー)などの乾式トナーが用いられている。
従来から、電子写真、静電記録、静電印刷などに用いられるこのような乾式トナーは、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂などのトナーバインダーを着色剤などと共に溶融混練し微粉砕した、いわゆる粉砕型トナーが広く用いられている。また最近では、懸濁重合法、乳化重合凝集法による、いわゆる重合型トナーも用いられている。この他、ポリマー溶解懸濁法と呼ばれる体積収縮を伴う工法によるトナーも知られている(特許文献1参照)。この方法によるトナーは、トナー材料を低沸点有機溶媒などの揮発性溶剤に分散乃至溶解させた分散液乃至溶液を、分散剤の存在する水系媒体中で乳化、液滴化した後に揮発性溶剤を除去して得られるものである。この方法によるトナーは、前記した懸濁重合法、乳化重合凝集法と異なり、用いることのできる樹脂の汎用性が広い。このため、特に透明性や定着後の画像部の平滑性が要求されるようなフルカラープロセスに有用なポリエステル樹脂を用いることができる点で優れている。
しかしながら、上記の重合型トナーでは、水系媒体中で分散剤を使用しているために、分散剤がトナー表面に残存して環境安定性が損なわれたり、あるいはトナーの帯電特性が損なわれるなどの不具合が発生する。また、分散剤を除去するために大量の洗浄水が必要であるため、必ずしも満足のいくものではなく、また地球資源上の観点からも問題があると言える。
これに代わるトナーとして、圧電パルスを利用して微小液滴を形成し、これを乾燥固化してトナー化する、いわゆる液滴造粒法によるトナーが提案されている(特許文献2参照)。更に、ノズル内の熱膨張を利用し、上記したような微小液滴を形成した後に、これを乾燥固化して得られるトナーも知られている(特許文献3参照)。更に、音響レンズを利用した同様の処理により得られるトナーも提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、これら従来の液滴造粒法によるトナーでは、一つのノズルから単位時間あたりに吐出できる液滴数は少なく、生産性が悪いという問題がある。また同時に、液滴同士の合一によって生じた液滴粒子の発生によって、単一分散性の粒子以外の前記した合一による液滴粒子によるトナー粒子が混合するため、トナー粒子の粒度分布が広がるのを抑止できないという問題点も発生する。その結果、従来の液滴法のトナーは、十分に満足のいくものではなかった。
また、これら液滴造粒法として、熱硬化性樹脂やUV硬化樹脂を含有させたトナー原料を分散質として分散媒中に微分散した分散液を、ノズルから液滴として間欠的に吐出した後、液滴を凝集させ、熱硬化樹脂もしくはUV硬化樹脂を硬化させて粒子形成の安定化を図る発明も知られている(特許文献5、6参照)。
しかしながら、これらの発明も特許文献1〜4と同様に、生産性が低く、単一分散性の観点においても不十分であった。また、粒子形成後に樹脂を硬化させているが、上述した透明性や定着後の画像の平滑性などの定着特性に関する問題点を解決するものではなかった。
上述した特許文献5〜6に示される液滴造粒法の場合、流体に直接加振部が触れる(特許文献5〜6の図2、図4、図5〜8およびその説明)が、この様な構成の場合、細孔と振動部の数が一致する場合はシャープな粒径分布を達成できる。しかし増産化を目的とし、たとえば、多数の細孔と1つの加振部からなる液滴形成手段による製造を採用した場合、細孔の位置と加振部との距離に応じて、細孔から吐出する液滴の大きさが変化し、異なるオリフィス間で異なった粒径のトナーを生産してしまうことが判明した。
一方、電子写真用トナーにおいて、画像形成装置の高速化、省エネルギー化に伴い、低温定着性に優れたトナーが要求される一方で、耐オフセット性、及び保存性(耐ブロッキング性)など、低温定着性と相反する特性を持つトナーが必要とされている。そのため、芳香族系ポリエステル樹脂を用いたトナーが提案されているが、これは、用いる離型剤との相溶性に乏しいため、トナーから離型剤の分離や経時使用におけるキャリアや現像装置内の汚染などの問題を有している。
またトナーにおける結着樹脂に視点を向けると、特許文献7には、ブタジエン、イソプレン及びクロロプレンなどのジエン単量体を構成成分として含有する樹脂を用いたトナーが開示されている。これらはジエン化合部を含有することで帯電性に良好な結果が得られることが示されているが、これらジエン単量体で構成されたホモポリマーはガラス転移点Tgが0℃以下の常温液体の樹脂であるため、それら単独での使用は困難であり、他のモノマーとの共重合体とする必要がある。また特許文献8にはスチレン-ジエン化合物共重合体の懸濁重合法により、ワックスを内包したトナーを得ていることが示されている。この発明は、いずれもジエン化合物とビニル重合した樹脂を用い、ワックスの分離による不具合を抑制するものであった。
それに対して、特許文献9には、エントロピー弾性を有する熱可塑性エラストマーが開示されており、また特許文献10、11には、ポリイソプレンホモポリマーの自分子内縮合物、すなわち、環化ゴム、cis 1,4−ポリイソプレンの環化物とワックスを併用して用いることが示されている。ポリイソプレン樹脂自体は、前述のとおり、Tgが−70℃程度の樹脂であり、これを環化することによりエントロピー弾性が得られ、熱可塑性の常温固体の樹脂として用いることが出来る。
これらの樹脂はその分子量や使用するワックスが適切に選択されたものであり、ワックスを溶融した樹脂が形成されることでトナーの低温軟化を達成しながら、優れた耐熱保存性と耐ホットオフセット性を得ることができる。しかしながら、優れた定着性を示すものの、樹脂が弾性を有するために、粉砕法によってトナーを得るには、粉砕性に劣り、生産性が極めて悪いという問題があった。
特開平7−152202号公報 特開2003−262976号公報 特開2003−280236号公報 特開2003−262977号公報 特開2006−28432号公報 特開2006−28433号公報 特許第3780159号公報 特許第3131759号公報 特開2007−079348号公報 特開2003−345064号公報 特許第4049547号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来技術における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、小粒径で且つ、これまでにない単一分散性を有する粒子群からなるトナーに求められる流動性や帯電特性等の多くの特性値が各トナー粒子間に見られる変動の幅が全くないか、非常に少ないトナーを提供することを目的とする。また本発明は、耐オフセット性、低温定着性、定着離型性、耐熱保存性、耐フィルミング性のいずれにも優れ、高解像度で、高精細・高品質な画像を形成し、長期にわたって画像劣化のないトナーを提供することを目的とする。更にまた、本発明は、そのトナーを用いる現像剤を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のトナーはすなわち、下記(1)〜(9)の構成のものであり、本発明の現像剤は、下記(10)の構成のものである。
(1) 少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を有するトナー組成物を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を、気相中で液滴化させた後に固化させて得られるトナーであって、
前記トナー組成液は、離型剤およびポリエステル樹脂を含有する分散液1と、環化率が50〜75%の環化ゴム、融点が50〜85℃である離型剤およびポリエステル樹脂を含有する分散液2とを混合したものを含んでなることを特徴とするトナー。
(2) 前記(1)のトナーにおいて、前記液滴化は、吐出孔を有する薄膜を振動させ、前記トナー組成液を前記吐出孔から連続的に吐出させて行うことを特徴とするトナー。
(3) 前記(1)または(2)のトナーにおいて、前記液滴化は、前記トナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数の吐出孔が形成された薄膜を振動手段によって振動させて前記吐出孔の各々から、前記トナー組成液を周期的に放出させて行うことを特徴とするトナー。
(4) 前記(3)のトナーにおいて、前記振動手段は、前記薄膜の吐出孔を設けた領域の周囲に円環状に形成された振動発生手段であることを特徴とするトナー。
(5) 前記(3)のトナーにおいて、前記振動手段は、前記薄膜に対して平行な振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であることを特徴とするトナー。
(6) 前記(3)〜(5)のいずれかのトナーにおいて、前記振動手段の振動周波数が20kHz以上2.0MHz未満であることを特徴とするトナー。
(7) 前記()〜(6)のいずれかのトナーにおいて、前記振動手段がホーン型振動子であることを特徴とするトナー。
(8) 前記(2)〜(7)のいずれかのトナーにおいて、前記吐出孔の開口径が1〜40μmであることを特徴とするトナー。
(9) 前記(1)〜(8)のいずれかのトナーにおいて、前記液滴化させた後の固化は、前記液滴化させたトナー組成液から溶媒を除去することによって行われることを特徴とするトナー。
(10) 前記(1)〜(9)のいずれかのトナーとキャリアを含むことを特徴とする現像剤。
本発明によれば、先の課題を解決したトナーを提供することができる。
すなわち本発明によれば、小粒径且つ粒度の単一な粒子群からなるトナーであって、低温定着性、耐オフセット性、定着離型性、耐熱保存性、耐フィルミング性のいずれにも優れ、初期、経時ともに長期にわたって画像劣化のないトナーを提供することができる。
本発明のトナーに用いられる結着樹脂としては、環化ゴムとポリエステル樹脂の混合物である。
環化ゴムはイソプレンに代表される不飽和オレフィン樹脂を環化したものであり、その環化率を適切に選択することで、樹脂のガラス転移点(Tg)を調整できる。本発明のトナーは、その使用環境、特に高温高湿環境での性能劣化を防止するために、Tgは高いことが好ましいが、従来のスチレンアクリルやポリエステルなどの熱可塑性樹脂は、定着装置の消費電力を引き下げるために、低温で適切な溶融粘度に融解する樹脂を作った場合に、往々にしてTgが低くなる傾向にあった。従来のトナーでは、一般にこのTgを如何に下げるかに注目されていたと言える。
環化イソプレン樹脂に代表される環化ゴムはワックス類ときわめて高い相溶性を示す。環化ゴムとワックスとを混合して用いることにより、ワックスは容易に環化ゴム中に微分散した状態及び/または相溶した状態が得られ、これにより環化ゴムは可塑化される。つまり、適切な環化率を有する樹脂(環化ゴム)と、ワックスとを選択することで、狙いとする定着温度で速やかに軟化するように、部分的に可塑化した環化ゴムを用いることによって定着装置の消費電力を引き下げることができる。
その際、一般にスチレンアクリルやポリエステル樹脂に比べて、より高いTgの環化ゴムを使用することができるため、低温定着性が得られながら、高温高湿での保存性も良好なトナーが得られる。このように本発明のトナーでは、低温定着性と高温高湿での保存性に優れる一方、環化ゴムは、ワックスをよく吸収するため、離型剤として、ワックスが作用しにくい面がある。そのために、環化ゴムは一般にポリエステル樹脂中にドメイン径0.1〜1μmとなる様に分散した形態として用い、ポリエステル樹脂部に環化ゴムと独立して分散したワックスを含有させることで、離型性の問題が解決できる。環化ゴムは、ポリエステル樹脂との相溶性に乏しいため、ポリエステル樹脂中に島状に分散させることができ、ポリエステル樹脂中の環化ゴムと独立して分散したワックスは環化ゴムに吸収されることなく、離型性を発現する。
本発明のトナーに使用される環化ゴムは、環化部と非環化部から構成される。環化ゴム中における環化部の割合を環化率で示すが、この環化率は、可塑化の程度とゴム状温度領域における弾性率を決定する重要なファクターである。また、環化ゴムの環化率に応じて、環化ゴムを所望とする程度にまで可塑するための最適なワックスの融点が存在することが判明した。すなわち、本発明者らは鋭意検討の結果、環化ゴムの環化率とワックスの融点とを最適に設計することで、上記の目的を達成する構成が得られることを見出した。すなわち、好ましくは、環化ゴムは環化率が50〜75%であるポリイソプレン樹脂であり、前記ワックス(離型剤)は融点が50〜85℃であることが好ましい。
また、本発明のトナーに使用される適切なワックス(離型剤)としては、カルナウバワックス、パラフィンワックスの少なくとも一つを含むことがより好ましい。
これにより、環化ゴムはワックスとの適度な可塑効果が得られ、かつ、ワックスがトナーから遊離するなどの現象がなく、使用時のキャリアや各部材の汚染を生じることも少ないことが見出された。本発明のトナーを作成するには、従来の混練粉砕型の工法を用いることも可能であるが、環化ゴムは極めて粉砕性に乏しく、これを内添した樹脂も、著しく生産性が落ちる。
そこで本発明では、結着樹脂の少なくとも一部が溶解するトナー組成液を液滴化し、これを固化させて得る工法を用いることが好ましい。
本発明のトナーの構成要素である環化ゴム、ワックス、ポリエステル樹脂は通常の混練法で適切な条件を選択することで、ポリエステル樹脂中に環化ゴムを島状に内包した分散体(樹脂分散体)とすることができる。その過程でワックスは容易に環化ゴムに吸収される。この樹脂分散体はポリエステルを溶解する溶媒に溶解乃至分散することで、ワックスを内包した環化ゴムを分散したポリエステル樹脂溶液(トナー組成液)として得ることができる。また、環化ゴムはワックスをよく相溶するため、環化ゴムと同一の相に全てのワックスを存在させると低温定着性には優れるが、定着時のワックスの浸出(しみだし)が少なくなるため、離型性が発現しにくい。
離型性を発現させるには、環化ゴムと異なる相にワックスを分散させればよく、たとえば、環化ゴムを含まない樹脂にワックス類を分散させた樹脂をあらかじめ作成し、これと環化ゴムとを混合することが好ましい。
たとえば、樹脂とワックスを含有する分散液1を作成し、これと別に作成した先の環化ゴムとこれを可塑化するワックスおよび樹脂を含有する分散液2と混合して、トナー組成液を作成する。この樹脂分散液に、さらに顔料やカーボンなどの着色剤、必要に応じて帯電制御剤などを分散、もしくは、溶解して、トナー組成液を作成することができる。
この混合溶液乃至分散液であるトナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数のノズルから、振動手段によって印加された振動により、前記複数のノズルの各々から、前記トナー組成液が周期的に放出されて液滴となり、この液滴のトナー組成物を乾燥することによって、トナー粒子が得られる。
本発明のトナーでは、乾燥の際に離型剤が液滴内部に移動するため、最終的に得られるトナーの表面には離型剤が殆ど露出しない状態となる。更に、離型剤は液滴中に適度な分散径を保ちながら微分散する状態となる。この現象は、おそらく液相と気相に対する結着樹脂と離型剤に対する分配能の差と、結着樹脂と離型剤との高い相溶性によって生じると考えられる。この為、得られるトナー粒子の均質性が高くなり、不良トナーが極度に少なくなる。また、トナー表面に離型剤が存在しないので、耐フィルミング性に非常に優れたトナーが得られる。更に、トナー内部では適度な分散径で離型剤が分散しているので、加熱定着時には速やかにトナー表面に離型剤が移行し、優れた定着離型性を発揮することができる。また、トナー組成液中で離型剤が凝集することがないので、液滴化工程におけるノズルの目詰まりを発生させることがない。
更に本発明では、小粒径且つ、単一分散性を有したこれまでにない粒度のトナー粒子が製造できる。このため、流動性や帯電特性などのトナーに求められる多くの特性値において、これまでの製造方法にみられた粒子同士の変動の幅が全くなく、あるいは非常に少ないトナーが得られることになる。すなわち、本発明のトナーでは、単一分散性のトナーが得られるが、これは本発明のトナーを構成するトナー粒子間でその形状、大きさなどが略同一であり、しかも前記したトナーに求められる多くの特性値がトナー粒子間においても略同一のトナーであることを意味している。
さらに本発明のトナーはノズルを設けた領域の周囲に円環状に振動発生手段が設けられている貯留部から、前記したトナー組成液が放出されて液滴化される。この前記振動発生手段の振動周波数は、20kHz以上2.0MHz未満であるとすることにより、上記したような単一分散性のトナーが得られるので、上記した効果をより確実に得ることができる。
以下、本発明のトナーを得るための好適な製造装置等について、説明する。
<トナー製造装置>
本発明のトナーを得る製造方法として、好ましくは、複数の均一径ノズルを有する薄膜からトナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出し、液滴化する周期的液滴化装置を用いることが好ましい。
すなわち、本発明のトナーの製造に使用されるトナー製造装置としては、少なくとも樹脂と着色剤とを含有するトナー用材料の溶解乃至分散液であるトナー組成液を、前記複数のノズルを有する薄膜の周囲に振動発生手段を円環状に形成してなる液滴化手段又は複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を垂直方向に縦振動する振動発生手段を設けてなる液滴化手段を用いる。このようなトナー製造装置により、前記した各ノズルからトナー組成液を放出することにより均一粒径(単一分散径)の液滴を生成させることができる。
本発明のトナーを製造するには、トナー組成液の液滴は複数のノズルを有する前記薄膜を機械的に振動させることによって、前記ノズルの各々から、トナー組成液が周期的に放出されて液滴が形成される。振動発生手段は、ノズルを有する膜に対して垂直方向に振動すればよく、どのような配置でもよいが、本発明においては次の二通りの方式を用いる。
(1)複数のノズルを有する薄膜に対して平行な振動面を有し、垂直方向に縦振動する振動発生手段(縦振動発生手段)を用いる方式(以下単に「ホーン型」ともいう)。
(2)複数のノズルを有する薄膜の周囲に円環状に形成された振動発生手段(円環状振動発生手段)を設ける方式(以下、単に「リング型」ともいう)。
以下、各方式について説明する。
(縦振動発生手段)
まず、縦振動発生手段を設けたトナー製造装置の一例について図1の模式的構成図を参照して説明する。
トナーの製造装置1は、少なくとも結着樹脂(環化率50〜75%の環化ゴム、ポリエステル樹脂)、離型剤(ワックス)及び着色剤を含有するトナー組成液を液滴化して放出する液滴化手段としての液滴噴射ユニット2と、この液滴噴射ユニット2が上方に配置され、液滴噴射ユニット2から放出される液滴化されたトナー組成液の液滴を固化してトナー粒子Tを形成する粒子化手段としての粒子形成部3と、粒子形成部3で形成されたトナー粒子Tを捕集するトナー捕集部4と、トナー捕集部4で捕集されたトナー粒子Tがチューブ5を介して移送され、移送されたトナー粒子Tを貯留するトナー貯留手段としてのトナー貯留部6と、トナー組成液10を収容する原料収容部7と、この原料収容部7内から液滴噴射ユニット2に対してトナー組成液10を送液する配管(送液管)8と、稼動時などにトナー組成液10を圧送供給するためのポンプ9とを備えている。
また、原料収容部7からのトナー組成液10は、液滴噴射ユニット2による液滴化現象により自給的に液滴噴射ユニット2に供給されるが、装置稼働時等には上述したように補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成としている。なお、トナー組成液10として、ここでは、少なくとも結着樹脂(環化率50〜75%の環化ゴム、ポリエステル樹脂)、離型剤(ワックス)及び着色剤を含有するトナー組成物を溶剤に溶解又は分散した溶液あるいは分散液を用いている。
次に、液滴噴射ユニット2について図2〜6に基づいて説明する。図2は同液滴噴射ユニット2の概略断面説明図、図3は図2を下側から見た要部底面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、複数のノズル(吐出孔)11が形成された薄膜(ノズル板)12と、この薄膜12を振動させる機械的振動手段(以下「振動手段という」13と、薄膜12と振動手段13との間に少なくとも結着樹脂(環化率50〜75%の環化ゴム、ポリエステル樹脂)、離型剤(ワックス)及び着色剤を含有するトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成する流路部材15とを備えている。
前記複数のノズル11を有する薄膜12は、前記振動手段13の振動面13aに対して平行に設置されており、薄膜12の一部がハンダまたはトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定されており、振動手段13の振動方向とは実質的に垂直な位置関係となる。前記振動手段13の振動発生手段21の上下面に電圧信号が付与されるように、通信手段24が設けられており、駆動信号発生源23からの信号を機械的振動に変換することができる。電気信号を与える通信手段24としては、表面を絶縁被覆されたリード線が適している。また、振動手段13は後述する各種ホーン型振動子、ボルト締めランジュバン型振動子など、振動振幅の大きな素子を用いることが、効率的かつ安定なトナー生産には好適である。
振動手段13は、振動を発生する振動発生手段21と、この振動発生手段21で発生した振動を増幅する振動増幅手段22とで構成され、駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が振動発生手段21の電極21a、21b間に印加されることによって、振動発生手段21に振動が励起され、この振動が振動増幅手段22で増幅され、薄膜12と平行に配置される振動面13aが周期的に振動し、この振動面13aの振動による周期的な圧力によって薄膜12が所要周波数で振動する。
この振動手段13としては、薄膜12に対して確実な縦振動を一定の周波数で与えることができるものであれば特に制限はなく、適宜選択して使用することができるが、薄膜12を振動させることから、振動発生手段21にはバイモルフ型のたわみ振動の励起される圧電体21Aが好ましい。圧電体21Aは、電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する機能を有する。具体的には、電圧を印加することにより、たわみ振動が励起され、薄膜12を振動させることが可能となる。
振動発生手段21を構成する圧電体21Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスが挙げられるが、一般に変位量が小さい為、積層して使用されることが多い。この他にも圧電体21Aとして、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電高分子や、水晶、LiNbO、LiTaO、KNbO等の単結晶などが挙げられる。
振動手段13は、ノズル11を有する薄膜12に対して垂直方向の振動を与えるものであれば、どのような配置でもよいが、振動面13aと薄膜12とは平行に配置される。
図示した例では振動発生手段21と振動増幅手段22で構成される振動手段13としてホーン型振動子を用いており、このホーン型振動子は、圧電素子などの振動発生手段21の振幅を振動増幅手段22としてのホーン22Aで増幅することができるため、機械的振動を発生する振動発生手段21自体は小さな振動でよく、機械的負荷が軽減するために生産装置としての長寿命化につながる。
ホーン型振動子としては、公知の代表的なホーン形状でよく、例えば図4に示すようなステップ型、図5に示すようなエクスポネンシャル型、図6に示すようなコニカル型などを挙げることができる。これらのホーン型振動子は、ホーン22Aの面積の大きい面に圧電体21Aが配置され、圧電体21Aは縦振動を利用し、ホーン22Aの効率的な振動を誘起し、ホーン22Aに面積の小さい面を振動面13aとして、この振動面13aが最大振動面となるように設計されている。
圧電体21の上方と下方にはリード線(通信手段)24が配置され、駆動回路23より交流電圧信号を与える。これらホーン振動子の最大振動面は、13aとなるように形状を設計されるものである。
また、振動手段13としては、特に高強度なボルト締めランジュバン型振動子を用いることもできる。このボルト締めランジュバン型振動子は圧電セラミックスが機械的に結合されており、高振幅励振時に破損することがない。
貯留部(液流路)14及び機械的振動手段13、薄膜12の構成を、図2の概略図を用いて詳細に説明する。貯留部14には、液供給チューブ18が少なくとも1箇所設けられており、一部断面図に示されるように、流路を通じて貯留部14に液を導入する。また、必要に応じて気泡排出チューブ19を設けることも可能である。この流路部材15に取り付けた図示しない支持部材によって液滴噴射ユニット2が、図1に示す粒子形成部3の天面部に設置保持されている。なお、ここでは、粒子形成部3の天面部に液滴噴射ユニット2を配置している例で説明しているが、粒子形成部3となる乾燥部側面壁又は底部に液滴噴射ユニット2を設置する構成とすることもできる。
機械的振動を発生する振動手段13の大きさは、発振振動数の減少に伴い大きくなることが一般的であり、必要な周波数に応じて、適宜振動手段に直接穴あけ加工を施し貯留部を設けることができる。また、貯留部全体を効率的に振動させることも可能である。この場合、振動面とは、前記複数のノズルを有する薄膜が貼り合わされた面と定義される。
このような構成の液滴噴射ユニット2の異なる例について図7及び図8を参照して説明する。
図7に示す例は、振動手段80(13)として、振動発生部としての圧電体81及び振動増幅部としてのホーン82で構成されるホーン型振動子80を用いて、ホーン82の一部に貯留部(液流路)14を形成したものである。この液滴噴射ユニット2は、ホーン型振動子80のホーン82に一体形成した固定部(フランジ部)83によって図1に示す粒子形成部3(乾燥手段)の壁面に固定されていることが好ましい。振動の損失を防ぐ観点から、図示しない弾性体を用いて固定してもよい。
図8に示す例は、振動手段90(13)として、振動発生部としての圧電体91A、91B及びホーン92A、92Bがボルトで機械的に強固に固定されて構成されるボルト締めランジュバン型振動子90を用いて、ホーン92Aに貯留部(液流路14)を形成したものである。周波数条件により、素子が大きくなる場合もあり、図示のように振動子の一部に流体導入/排出路及び貯留部を加工し、複数の薄膜を有する金属薄膜を貼り付けることができる。
なお、図1では、液滴噴射ユニット2が1個だけ粒子形成部3に取付けられている例を示しているが、複数個の液滴噴射ユニット2を粒子形成部3(乾燥塔)上部に並列にすることが、生産性向上の観点から好ましく、その個数は100〜1000個の範囲であることが、制御性の観点から好ましい。この場合、液滴噴射ユニット2の各貯留部14には配管8を介して原料収容部(共通液溜め)7に通じ、トナー組成液10が供給される構成とする。トナー組成液10は、液滴化に伴って自給的に供給される構成とすることもできるし、また、装置稼働時等、補助的にポンプ9を用いて液供給を行う構成とすることもできる。
液滴噴射ユニットの他の例について図9を参照して説明する。なお、図9は同液滴噴射ユニットの模式的断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、前述した例と同様に、ホーン型振動子を振動手段13を用いて、この振動発生手段13の周囲を囲んでトナー組成液10を供給する流路部材15を配置し、振動発生手段13の振動増幅手段(ホーン)22に薄膜12と対向する部分に貯留部14を形成している。さらに、流路部材15の周囲に所要の間隔を置いて気流35を流す気流路37を形成する気流路形成部材36を配置している。なお、図示を簡略化するため、薄膜12のノズル11は1個で示しているが、前述したように複数個設けられている。また、図10に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3を構成する乾燥塔の上部に並べて配置する。これにより、より生産性の向上を図ることができる。
(円環状振動手段)
図11は図1に示す装置において液滴噴射ユニットをリング型に代えたものである。
リング式の液滴噴射ユニット2について図12〜図14を参照して説明する。なお、図12は同液滴噴射ユニット2の断面説明図、図13は図12を下側から見た要部底面説明図、図14は液滴化手段の概略断面説明図である。
この液滴噴射ユニット2は、少なくとも樹脂及び着色剤を含有するトナー組成液10を液滴化して放出させる液滴化手段11と、この液滴化手段11にトナー組成液10を供給する貯留部(液流路)14を形成した流路部材15とを備えている。
液滴化手段16は、複数のノズル(吐出口)11が形成された薄膜12と、この薄膜12を振動させる円環状の振動発生手段(電気機械変換手段)17とで構成されている。ここで、薄膜12は、最外周部(図14の斜線を施して示す領域)をハンダ又はトナー組成液に溶解しない樹脂結着材料によって流路部材15に接合固定している。振動発生手段17は、この薄膜12の変形可能領域16A(流路部材15に固定されていない領域)内の周囲に配されている。この振動発生手段17にはリード線21、22を通じて駆動回路(駆動信号発生源)23から所要周波数の駆動電圧(駆動信号)が印加されることで、例えば撓み振動を発生する。
液滴化手段16は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12の変形可能領域16A内の周囲に円環状の振動発生手段17が配されていることによって、例えば図15に示す構成のような振動発生手段17Aが薄膜12の周囲を保持している構成に比べて、相対的に薄膜12の変位量が大きくなる。この大きな変位量が得られる比較的大面積(φ1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置することができ、これら複数のノズル11より一度に多くの液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
図11では、液滴噴射ユニット2が1個配置されている例で図示しているが、好ましくは、図16に示すように、複数、例えば制御性の観点からは100〜1,000個(図16では4個のみ図示)の液滴噴射ユニット2を、粒子形成部3の天面部3Aに並べて配置し、各液滴噴射ユニット2には配管8Aを原料収容部7(共通液溜め)に通じさせてトナー組成液10を供給するようにする。これによって、一度により多くの液滴を放出させることができて、生産効率の向上を図ることができる。
(液滴形成メカニズム)
次に、この液滴化手段としての液滴噴射ユニット2による液滴形成のメカニズムについて説明する。
上述したように液滴噴射ユニット2は、貯留部14に臨む複数のノズル11を有する薄膜12に、機械的振動手段である振動手段13によって発生した振動を伝播させて、薄膜12を周期的に振動させ、比較的大面積(φ1mm以上)の領域に複数のノズル11を配置し、それら複数のノズル11より液滴を安定的に形成して放出することができるようになる。
図17に示すような単純円形薄膜12の周辺部12Aを固定した場合、基本振動は周辺が節になり、図18に示すように、薄膜の中心Oで変位ΔLが最大(ΔLmax)となる断面形状となり、振動方向に周期的に上下振動する。
また、図19、図20に示すような、より高次のモードが存在することが知られている。これらのモードは、円形薄膜内に、同心円状に節を1乃至複数持ち、実質的に軸対称な変形形状である。また、図21に示すように、中心部が凸形状12cとすることで液滴の進行方向を制御し、かつ振動振幅量を調整することが可能である。
円形薄膜の振動により、円形膜各所に設けられたノズル近傍の液体には、薄膜の振動速度Vmに比例した音圧Pacが発生する。音圧は、媒質(トナー組成液)の放射インピーダンスZrの反作用として生じることが知られており、音圧は、放射インピーダンスと膜振動速度Vmの積で下記式(1)の方程式を用いて表される。
ac(r,t)=Z・V(r,t) (1)
薄膜の振動速度Vmは時間とともに周期的に変動しているため時間の関数であり、例えばサイン波形、矩形波形など、様々な周期変動を形成することが可能である。また、前述のとおり、薄膜の各所で振動方向の振動変位は異なっており、Vmは、薄膜上の位置座標の関数でもある。本発明で用いられる薄膜の振動形態は、上述のとおり軸対象である。したがって、実質的には半径座標の関数となる。
以上のように、分布を持った薄膜の振動変位速度に対して、それに比例する音圧が発生し、音圧の周期的変化に対応してトナー組成液が、気相へ吐出される。
気相へ周期的に排出されたトナー組成液は、液相と気相との表面張力差によって球体を形成するため、液滴化が周期的に発生する。
液滴化を可能とする薄膜の振動周波数としては20kHz〜2.0MHzの領域が用いられ、50kHz〜500kHzの範囲がより好適に用いられる。20kHz以上の振動周期であれば、液体の励振によって、トナー組成液中の顔料やワックスなどの微粒子の分散が促進される。
更には、前記音圧の変位量が、10kPa以上となることによって、上述の微粒子分散促進作用がより好適に発生する。
ここで、形成される液滴の直径は、前記膜のノズル近傍における振動変位が大きいほど大きくなる傾向にあり、振動変位が小さい場合、小滴が形成されるか、または液滴化しない。このような、各ノズル部位における液滴サイズのばらつきを低減するためには、ノズル配置を、膜振動変位の最適な位置に規定することが必要である。
本発明のトナーを製造する際には、図18〜20で説明されるように、前記機械的振動手段により発生するノズル近傍における薄膜の振動方向変位ΔLの最大値ΔLmaxと、最小値ΔLmimの比R(=ΔLmax/ΔLmin)が、2.0以内である部位にノズルを配置することにより、上記液滴サイズのばらつきを、高画質な画像を提供することのできるトナー微粒子として必要な領域に保てることを見出した。
トナー組成液の条件を変更し、粘度20mPa・s以下、表面張力20乃至75mN/mの領域において、サテライトの発生開始領域が同様であったことから、前記音圧の変位量が、500kPa以下であることが必要となる。更に好適には、100kPa以下である。
(複数のノズルを有する薄膜)
ノズルを有する薄膜は、先にも述べたように、トナー用材料の溶解乃至分散液(トナー組成液10)を、吐出させて液滴とする部材である。
この薄膜12の材質、ノズル11の形状としては、特に制限はなく、適宜選択した形状とすることができるが、例えば、薄膜12は厚み5〜500μmの金属板で形成され、かつ、ノズル11の開口径が1〜40μm、好ましくは3〜35μmであることが、ノズル11からトナー組成液10の液滴を噴射させるときに、極めて均一な粒子径を有する微小液滴を発生させる観点から好ましい。なお、前記ノズル11の開口径は、真円であれば直径を意味し、楕円であれば短径を意味する。また、複数のノズル11の個数は、2ないし3000個が好ましい。
(乾燥)
液滴から溶剤を除去する乾燥工程は、加熱した乾燥窒素などの気体中に液滴を放出することによって行われる。必要であれば、さらに流動床乾燥や真空乾燥といった二次乾燥が行われる。
<トナー>
本発明のトナーは、前記したトナーの製造方法により、粒度分布が単分散なものが得られる。具体的には、前記トナーの粒度分布(重量平均粒径/個数平均粒径)としては、1.00〜1.15の範囲にあるのが好ましい。また、重量平均粒径としては、1〜20μmであるのが好ましい。
前記トナーの製造方法により得られたトナーは、静電反発効果により、容易に気流に再分散、すなわち浮遊させることができる。このため、従来の電子写真方式で利用されるような搬送手段を用いなくても、現像領域まで容易にトナーを搬送することができる。すなわち、微弱な気流でも充分な搬送性があり、簡単なエアーポンプでトナーを現像域まで搬送し、そのまま現像することができる。現像は、いわゆるパワークラウド現像となり、気流による像形成の乱れがないことから、極めて良好な静電潜像の現像が行える。また、本発明のトナーは、従来の現像方式であっても問題なく応用することができる。このとき、キャリアや現像スリーブ等の部材は、単にトナー搬送手段として使用することになり、従来、機能分担していた摩擦帯電機構を考慮する必要が全くない。したがって、材料の自由度が大きく増すことから、耐久性を大きく向上させたり、安価な材料を使用することもでき、コストの低減を図ることもできる。
本発明のトナーは、環化率が50〜75%の環化ゴムとポリエステル樹脂、および融点が50〜85℃の離型剤を含有していることが特徴であるが、それ以外のトナー材料は、従来の電子写真用トナーと全く同じものが使用できる。すなわち、環化率50〜75%の環化ゴム及びポリエステル系樹脂(スチレンアクリル系樹脂、ポリオール系樹脂、エポキシ系樹脂等を併用してもよい)のトナーバインダーを各種有機溶媒に溶解し、着色剤を分散、かつ、融点が50〜85℃の離型剤を分散又は溶解し、これを前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的とするトナー粒子を作製することが可能である。また、上記材料を熱溶融混練し得られた混練物を各種溶媒に一度溶解乃至分散した液を、前記トナー製造方法により微小液滴とし乾燥固化させることで、目的のトナーを得ることも可能である。離型剤である酸変性炭化水素系ワックスをトナー中に添加することにより、耐オフセット性、低温定着性が向上するとともに、離型剤の分散粒径を微小化できるとともに結晶成長を抑制できるためノズルの詰まりを防止することができる。
(トナー用材料)
前記トナー用材料としては、少なくとも樹脂及び着色剤、離型剤として好ましくはカルナウバワックスもしくはパラフィンワックスの少なくともいずれか1つを含有し、必要に応じて、帯電制御剤、磁性体、流動性向上剤、滑剤、クリーニング助剤、抵抗調整剤等のその他の成分を含有する。
(樹脂)
本発明における環化ゴムは、共役ジエン系モノマーから構成される天然ゴムや合成ゴムの分子内または/及び分子間に環状構造を持たせた樹脂であり、これらの天然ゴムや合成ゴムを酸触媒等の触媒を用いて反応させることで得ることができる。
天然ゴムとしては、主にシス−1,4−ポリイソプレンを主成分とする天然ポリイソプレンが挙げられる。天然ゴムは、本発明の効果に影響しない範囲で非ゴム成分等の不純物を含んでも問題ないが、環化率の制御の観点から、精製された天然ゴムを用いることが好ましい。
合成ゴムとしては、共役ジエン系モノマーを単独、もしくは2種以上を重合して得られるポリマーが主に挙げられる。共役ジエン系モノマーとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン等が挙げられる。これらの中でも、1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく用いられ、特にはシス−1,4−ブタジエン構造を主成分とするポリブタジエン、シス−1,4−イソプレン構造を主成分とするポリイソプレンが好ましく用いられる。
また、本発明における合成ゴムは、前記共役ジエン系モノマーと共に、共役ジエン系モノマーと共重合可能なモノマーを重合して得られたポリマーであっても良い。共役ジエン系モノマーと共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メトキシメチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、クロロメチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、ペンタフルオロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィンモノマー;等が挙げられる。これらの中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましく用いられる。これら共役ジエン系モノマーと共重合可能なモノマーのポリマー中における含有量は特に限定されるものではないが、環化率の制御の観点から、60モル%以下、好ましくは40%以下、特に好ましくは20%以下である。
本発明の環化ゴムは、上記の天然ゴムまたは合成ゴムを、環化触媒を用いて反応させることで得ることができる。環化触媒としては、例えば、硫酸;p−トルエンスルホン酸、モノフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸等の有機スルホン酸;その無水物またはアルキルエステル等の有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄等の金属ハロゲン化合物;等が挙げられる。これらの環化触媒は、単独で用いても2種類以上を併用して用いても良い。これらの中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。
本発明のトナーに使用される環化ゴムにおける環化率とは、環化ゴム中における環化部の割合を表す。環化率は、H−NMR分析により測定される。環化反応前後におけるポリマー中の二重結合由来のプロトンのピーク面積をそれぞれ測定し、環化反応前の前記ピーク面積を(C0)とし、環化反応後の前記ピーク面積を(C1)とすると、下記式(1)より求めることができる。
環化率(%)={1−(C1/C0)}×100 ・・・(1)
本発明における環化ゴムの環化率は50〜75%が好ましく、より好ましくは55〜70%、特に好ましくは60〜65%である。50%より低い場合、定着温度域における樹脂の溶融粘弾性が低くなり、ホットオフセットが発生しやすくなる。逆に75%より高い場合、定着温度域におけるトナーの溶融粘弾性が高くなり、低温定着性が悪化する。また、弾性率の増大に伴い、混練性や粉砕性が著しく悪化する。
本発明に使用される環化ゴムのガラス転移点(Tg)は、55〜100℃であることが好ましく、より好ましくは60〜80℃、特に好ましくは65〜70℃である。本発明のトナーは、環化ゴムにワックスを微分散、もしくは相溶させることによって、ワックスが環化ゴムの一部を可塑化し、優れた低温定着性を発揮する。ワックスによって可塑化された環化ゴムの一部のTgは、可塑化されていない環化ゴムのTgよりも低くなる。従って、環化ゴムのTgが前述した範囲より低いと、可塑化した環化ゴムのTgが低すぎるため、トナーの耐熱保存性は悪化する。また、Tgが高すぎる場合は、環化ゴムの可塑化に必要なワックス量が多くなり、フィルミングの原因になる。更に、トナーのTgが高くなり過ぎるため、低温定着性が損なわれる。
環化ゴムの重量平均分子量Mwは、1.0×10〜5.0×10であることが好ましく、より好ましくは1.3×10〜3.5×10である。1.0×10より小さいと、環化ゴムの温度に対する緩和弾性率特性におけるゴム状平坦領域の幅が減少し、トナーの定着可能な温度幅が減少する。また、5.0×10より大きい場合は、環化ゴムの弾性率が高くなりすぎる為、低温定着性が得られなくなったり、粉砕性が低下する。また、環化ゴムの分子量分布幅はシャープであることが、トナーのシャープメルト性を高める上で好ましい。重量平均分子量Mwと個数平均分子量Mnの比(Mw/Mn)は3.0以下であることが好ましく、より好ましくは2.5以下である。
環化ゴムと併用するポリエステル系重合体を構成するモノマーとしては、以下のものが挙げられる。2価のアルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、又は、ビスフェノールAにエチレンオキシド、プロピレンオキシド等の環状エーテルが重合して得られるジオール、などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を架橋させるためには、3価以上のアルコールを併用することが好ましい。
前記3価以上の多価アルコールとしては、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、例えば、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタトリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、などが挙げられる。
ポリエステル系重合体を形成する酸成分としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のべンゼンジカルボン酸類又はその無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等のアルキルジカルボン酸類又はその無水物、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸等の不飽和二塩基酸、マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物等の不飽和二塩基酸無水物、などがあげられる。また、3価以上の多価カルボン酸成分としては、トリメット酸、ピロメット酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシ−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシ)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、エンポール三量体酸、又はこれらの無水物、部分低級アルキルエステル、などが挙げられる。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合は、樹脂成分のTHF可溶成分の分子量分布で、分子量3千〜5万の領域に少なくとも1つのピークが存在するのが、トナーの定着性、耐オフセット性の点で好ましく、また、THF可溶分としては、分子量10万以下の成分が60〜100%となるような結着樹脂も好ましく、分子量5千〜2万の領域に少なくとも1つのピークが存在する結着樹脂がより好ましい。
結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、その酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、トナー中に従来公知のスチレン−(メタ)アクリル系樹脂を混合することも可能である。
前記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−アミルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−へキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロロスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン等のスチレン、又はその誘導体、などが挙げられる。
前記アクリル系単量体としては、例えば、アクリル酸、あるいはアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸n−ドデシル、アクリル酸2−エチルへキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸、又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記メタクリル系単量体としては、例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸n−ドデシル、メタクリル酸2−エチルへキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等のメタクリル酸又はそのエステル類、などが挙げられる。
前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマーの例としては、以下の(1)〜(18)が挙げられる。(1)エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のモノオレフイン類;(2)ブタジエン、イソプレン等のポリエン類;(3)塩化ビニル、塩化ビニルデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;(4)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;(5)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;(6)ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;(7)N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物;(8)、ビニルナフタリン類;(9)アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸若しくはメタクリル酸誘導体等;(10)マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;(11)マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;(12)マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、シトラコン酸モノメチルエステル、シトラコン酸モノエチルエステル、シトラコン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、アルケニルコハク酸モノメチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、メサコン酸モノメチルエステルの如き不飽和二塩基酸のモノエステル;(13)ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸エステル;(14)クロトン酸、ケイヒ酸の如きα,β−不飽和酸;(15)クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;(16)該α,β−不飽和酸と低級脂肪酸との無水物、アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル酸、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルの如きカルボキシル基を有するモノマー;(17)2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のアクリル酸又はメタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;(18)4−(1−ヒドロキシ−1−メチルブチル)スチレン、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルへキシル)スチレンの如きヒドロキシ基を有するモノマー。
本発明のトナーにおいて、結着樹脂のビニル重合体、又は共重合体は、ビニル基を2個以上有する架橋剤で架橋された架橋構造を有していてもよい。この場合に用いられる架橋剤としては、芳香族ジビニル化合物として、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、などが挙げられる。アルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6へキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、などが挙げられる。エーテル結合を含むアルキル鎖で結ばれたジアクリレート化合物類として、例えば、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、ポリエチレングリコール#600ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、これらの化合物のアクリレートをメタアクリレートに代えたもの、などが挙げられる。その他、芳香族基及びエーテル結合を含む鎖で結ばれたジアクリレート化合物、ジメタクリレート化合物も挙げられる。ポリエステル型ジアクリレート類として、例えば、商品名MANDA(日本化薬社製)が挙げられる。
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及び以上の化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたもの、トリアリルシアヌレート、トリアリルトリメリテートが挙げられる。
これらの架橋剤は、前記ビニル重合体、又は共重合体を形成する他のモノマー100質量部に対して、0.01〜10質量部用いることが好ましく、0.03〜5質量部用いることがより好ましい。これらの架橋性モノマーのうち、トナー用樹脂に定着性、耐オフセット性の点から、芳香族ジビニル化合物(特にジビニルベンゼン)、芳香族基及びエーテル結合を1つ含む結合鎖で結ばれたジアクリレート化合物類が好適に挙げられる。これらの中でも、スチレン系共重合体、スチレン−アクリル系共重合体となるようなモノマーの組み合わせが好ましい。
本発明のビニル重合体又は共重合体の製造に用いられる重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(1−シクロへキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)−イソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−フェニルアゾ−2’,4’−ジメチル−4’−メトキシバレロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)、メチルエチルケトンパ−オキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、シクロへキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジークミルパーオキサイド、α−(tert−ブチルパーオキシ)イソプロピルべンゼン、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、m−トリルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルへキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシカーボネート、ジ−エトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシカーボネート、アセチルシクロへキシルスルホニルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシアセテート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルへキサレート、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチル−オキシベンゾエ−ト、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ジ−tert−ブチルパーオキシイソフタレート、tert−ブチルパーオキアリルカーボネート、イソアミルパーオキシ−2−エチルへキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキシへキサハイドロテレフタレート、tert−ブチルパーオキシアゼレート、などが挙げられる。
結着樹脂がスチレン−アクリル系樹脂の場合、樹脂成分のテトラヒドロフラン(THF)に可溶分のGPCによる分子量分布で、分子量3,000〜50,000(数平均分子量換算)の領域に少なくとも1つのピークが存在し、分子量100,000以上の領域に少なくとも1つのピークが存在する樹脂が、定着性、オフセット性、保存性の点で好ましい。また、THF可溶分としては、分子量分布100,000以下の成分が50〜90%となるような結着樹脂が好ましく、分子量5,000〜30,000の領域にメインピークを有する結着樹脂がより好ましく、5,000〜20,000の領域にメインピークを有する結着樹脂が最も好ましい。
結着樹脂がスチレン−(メタ)アクリル系樹脂等のビニル重合体のときの酸価としては、0.1mgKOH/g〜100mgKOH/gであることが好ましく、0.1mgKOH/g〜70mgKOH/gであることがより好ましく、0.1mgKOH/g〜50mgKOH/gであることが最も好ましい。
本発明において、結着樹脂の分子量分布は、THFを溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される。
本発明のトナーに使用できる結着樹脂としては、前記ビニル重合体成分及びポリエステル系樹脂成分の少なくともいずれか中に、これらの両樹脂成分と反応し得るモノマー成分を含む樹脂も使用することができる。ポリエステル系樹脂成分を構成するモノマーのうちビニル重合体と反応し得るものとしては、例えば、フタル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸又はその無水物、などが挙げられる。ビニル重合体成分を構成するモノマーとしては、カルボキシル基又はヒドロキシ基を有するものや、アクリル酸若しくはメタクリル酸エステル類が挙げられる。
また、ポリエステル系重合体、ビニル重合体とその他の結着樹脂を併用する場合、全体の結着樹脂の酸価が0.1〜50mgKOH/gを有する樹脂を60質量%以上有するものが好ましい。
本発明において、トナー組成物の結着樹脂成分の酸価は、以下の方法により求められる。その基本操作はJIS K−0070に準ずる。
(1)試料は予め結着樹脂(重合体成分)以外の添加物を除去して使用するか、結着樹脂及び架橋された結着樹脂以外の成分の酸価及び含有量を予め求めておく。試料の粉砕品0.5〜2.0gを精秤し、重合体成分の重さをWgとする。例えば、トナーから結着樹脂の酸価を測定する場合は、着色剤又は磁性体等の酸価及び含有量を別途測定しておき、計算により結着樹脂の酸価を求める。
(2)300(ml)のビーカーに試料を入れ、トルエン/エタノール(体積比4/1)の混合液150(ml)を加え溶解する。
(3)0.1mol/lのKOHのエタノール溶液を用いて、電位差滴定装置を用いて滴定する。
(4)この時のKOH溶液の使用量をS(ml)とし、同時にブランクを測定し、この時のKOH溶液の使用量をB(ml)とし、以下の計算式(2)で算出する。ただしfはKOHのファクターである。
酸価(mgKOH/g)=[(S−B)×f×5.61]/W (2)
トナーの結着樹脂及び結着樹脂を含む組成物は、トナー保存性の観点から、ガラス転移温度(Tg)が35〜80℃であるのが好ましく、40〜75℃であるのがより好ましい。Tgが35℃より低いと高温雰囲気下でトナーが劣化しやすく、また定着時にオフセットが発生しやすくなることがある。また、Tgが80℃を超えると、定着性が低下することがある。
(着色剤)
前記着色剤としては、特に制限はなく、通常使用される樹脂を適宜選択して使用することができるが、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びこれらの混合物、などが挙げられる。
前記着色剤の含有量としては、トナーに対して1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他に、例えば、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
前記マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の、水を含んだ水性ペーストを、樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため、乾燥する必要がなく、好適に使用される。混合混練するには、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に使用される。
前記マスターバッチの使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.1〜20質量部が好ましい。
また、前記マスターバッチ用の樹脂は、酸価が30mgKOH/g以下、アミン価が1〜100で、着色剤を分散させて使用することが好ましく、酸価が20mgKOH/g以下、アミン価が10〜50で、着色剤を分散させて使用することがより好ましい。酸価が30mgKOH/gを超えると、高湿下での帯電性が低下し、顔料分散性も不十分となることがある。また、アミン価が1未満であるとき、及び、アミン価が100を超えるときにも、顔料分散性が不十分となることがある。なお、酸価はJIS K0070に記載の方法により測定することができ、アミン価はJIS K7237に記載の方法により測定することができる。
また、分散剤は、顔料分散性の点で、結着樹脂との相溶性が高いことが好ましく、具体的な市販品としては、「アジスパーPB821」、「アジスパーPB822」(味の素ファインテクノ社製)、「Disperbyk−2001」(ビックケミー社製)、「EFKA−4010」(EFKA社製)、などが挙げられる。
前記分散剤は、トナー中に、着色剤に対して0.1〜10質量%の割合で配合することが好ましい。配合割合が0.1質量%未満であると、顔料分散性が不十分となることがあり、10質量%より多いと、高湿下での帯電性が低下することがある。
前記分散剤の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにおけるスチレン換算質量での、メインピークの極大値の分子量で、500〜100,000が好ましく、顔料分散性の観点から、3,000〜100,000がより好ましい。特に、5,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000が最も好ましい。分子量が500未満であると、極性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがあり、分子量が100,000を超えると、溶剤との親和性が高くなり、着色剤の分散性が低下することがある。
前記分散剤の添加量は、着色剤100質量部に対して1〜50質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。1質量部未満であると分散能が低くなることがあり、50質量部を超えると帯電性が低下することがある。
(離型剤)
本発明では、環化イソプレン樹脂と適度に相互溶解し、樹脂の軟化を促し、一方、ポリエステル樹脂と非相溶性のワックスを用いる。本発明では、定着時の耐オフセット性、低温定着性を目的に、離型剤として、融点が50〜85℃の離型剤を含有させている。このような離型剤としては従来公知のワックスが使用できるが中でも、カルナウバワックス、パラフィンワックスの少なくともいずれか一方を含有することが好ましい。
炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、サゾールワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス等が挙げられ、二種以上併用してもよい。中でも、低温定着性、耐オフセット性の点で、融点が低いパラフィンワックスが好ましい。
以上のように、炭化水素系ワックスを低融点のパラフィンワックスとすることでトナーとして低温定着性、耐オフセット性を達成でき、さらに無水マレイン酸変性させることで分散液中で安定して微分散化されることでトナー組成液を機械的振動手段により周期的に放出し液滴化する製造方法においてノズルの詰まりを防止できる。またトナー中においても安定して微分散化されることで更なる低温定着性、耐オフセット性を達成できる。
本発明において、離型剤は、酸価が1〜90KOHmg/gであることが好ましく、離型剤の分散性及び耐オフセット性の観点から、5〜50KOHmg/gがさらに好ましい。酸価が1mgKOH/g未満であると、離型剤の分散性が不十分となり、ノズルの詰まりが発生する。仮にトナー化できたとしてもトナーの流動性、帯電性、定着性等の諸特性が低下することがある。また、酸価が90mgKOH/gを超えると、ノズルから噴射して液滴化する工程において液中から離脱してしまい、耐オフセット性が低下することがある。また、ポリエステル樹脂との分離性が低下して、耐オフセット性が不十分となることがある。
なお、酸価は、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)、電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)及び解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて、測定される。このとき、装置の校正は、トルエン120mlとエタノール30mlの混合溶媒を用いて行われ、測定温度は、23℃、測定条件は、以下の通りである。
Stir
Speed [%] 25
Time [s] 15
EQP titration
Titrant/Sensor
Titrant CH3ONa
Concentration [mol/L] 0.1
Sensor DG115
Unit of measurement mV
Predispensing to volume
Volume [mL] 1.0
Wait time [s] 0
Titrant addition Dynamic
dE(set) [mV] 8.0
dV(min) [mL] 0.03
dV(max) [mL] 0.5
Measure mode Equilibrium controlled
dE [mV] 0.5
dt [s] 1.0
t(min) [s] 2.0
t(max) [s] 20.0
Recognition
Threshold 100.0
Steepest jump only No
Range No
Tendency None
Termination
at maximum volume [mL] 10.0
at potential No
at slope No
after number EQPs Yes
n=1
comb. termination conditions No
Evaluation
Procedure Standard
Potential 1 No
Potential 2 No
Stop for reevaluation No
具体的には、JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して以下のようにして測定を行う。
まず、試料0.5gをトルエン120mlに添加して室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解させた後、エタノール30mlを添加して試料溶液とする。次に、予め標定された0.1N水酸化カリウムのアルコール溶液で滴定することにより、滴定量X[ml]が求められ、下記式
酸価=X×N×56.1/試料重量[KOHmg/g]
から、酸価が求められる。ただし、上記式中、Nは、0.1N水酸化カリウムのアルコール溶液のファクターである。
本発明において、離型剤は、定着性及び耐オフセット性の観点から、120℃における溶融粘度が、1.0〜30mPa・cmであることが好ましく、1.0〜10mPa・cmがさらに好ましい。溶融粘度が1.0mPa・cm未満であると、トナーの流動性が劣ることがあり、30mPa・秒を超えると、耐オフセット性が悪化することがある。なお、溶融粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計を用いて測定される。
本発明において、上記ワックスを相溶した環化イソプレン樹脂はワックスにより可塑化し配合比やワックスの融点、樹脂のTgや分子量、環化率に応じて樹脂の熱的性質が変化する。
この現象は、見かけ上樹脂のTgや軟化温度が変化するように観測され、特に、ワックスの融点は樹脂の性質を大きく変化させる要因である。ワックスの融点が低過ぎる場合、トナーの高温保管時の凝集が発生しやすくなったり、画像面の張り付きが生じたりする。一方で、融点の高いワックスを使用すると、期待する低温定着性が得られない。ワックスの融点は50〜85℃が好適である。
ここで、融点とは、示差走査熱量分析(Differential scanning calorimetry;DSC)により得られる示差熱曲線において、吸熱量が極大になる吸熱ピークの温度である。DSC測定機器としては、高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定することが好ましい。測定方法としては、ASTM D3418−82に準じて行う。本発明に用いられるDSC曲線は、1回昇温、降温させ前履歴を取った後、温度速度10℃/minで、昇温させた時に測定されるものを用いる。融点が50℃未満であると、トナーの製造時やトナーを保存する際にブロッキングを起こしやすくなり、耐熱保存性が低下することがある。また、融点が90℃を超えると、低温定着性や耐オフセット性が低下することがある。
本発明においては、離型剤の添加量が結着樹脂100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、0.5〜10質量部がさらに好ましい。この添加量が0.1質量部未満であると、離型剤の効果が十分得られず、耐オフセット性が低下することがあり、20質量部を超えると、トナーの流動性が低下したり、現像装置に固着したりすることがある。
(磁性体)
本発明のトナーには、必要に応じて、磁性体を含有してもよい。
本発明で使用できる磁性体としては、例えば、(1)マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む酸化鉄、(2)鉄、コバルト、ニッケル等の金属、又は、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属との合金、(3)及びこれらの混合物、などが用いられる。
磁性体として具体的に例示すると、Fe、γ−Fe、ZnFe、YFe12、CdFe、GdFe12、CuFe、PbFe12O、NiFe、NdFeO、BaFe1219、MgFe、MnFe、LaFeO、鉄粉、コバルト粉、ニッケル粉、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも特に、四三酸化鉄、γ−三二酸化鉄の微粉末が好適に挙げられる。
また、異種元素を含有するマグネタイト、マグヘマイト、フェライト等の磁性酸化鉄、又はその混合物も使用できる。異種元素を例示すると、例えば、リチウム、ベリリウム、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、ゲルマニウム、ジルコニウム、錫、イオウ、カルシウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、などが挙げられる。好ましい異種元素としては、マグネシウム、アルミニウム、ケイ素、リン、又はジルコニウムから選択される。異種元素は、酸化鉄結晶格子の中に取り込まれていてもよいし、酸化物として酸化鉄中に取り込まれていてもよいし、又は表面に酸化物あるいは水酸化物として存在していてもよいが、酸化物として含有されているのが好ましい。
前記異種元素は、磁性体生成時にそれぞれの異種元素の塩を混在させ、pH調整により、粒子中に取り込むことができる。また、磁性体粒子生成後にpH調整、あるいは各々の元素の塩を添加しpH調整することにより、粒子表面に析出することができる。
前記磁性体の使用量としては、結着樹脂100質量部に対して、磁性体10〜200質量部が好ましく、20〜150質量部がより好ましい。これらの磁性体の個数平均粒径としては、0.1〜2μmが好ましく、0.1〜0.5μmがより好ましい。前記個数平均径は、透過電子顕微鏡により拡大撮影した写真をデジタイザー等で測定することにより求めることができる。
また、磁性体の磁気特性としては、10Kエルステッド印加での磁気特性がそれぞれ、抗磁力20〜150エルステッド、飽和磁化50〜200emu/g、残留磁化2〜20emu/gのものが好ましい。
前記磁性体は、着色剤としても使用することができる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーには、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
(流動性向上剤)
本発明のトナーには、流動性向上剤を添加してもよい。該流動性向上剤は、トナー表面に添加することにより、トナーの流動性を改善(流動しやすくなる)するものである。
前記流動性向上剤としては、例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末、湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナ、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤若しくはシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ、処理酸化チタン、処理アルミナ、などが挙げられる。これらの中でも、微粉末シリカ、微粉未酸化チタン、微粉未アルミナが好ましく、また、これらをシランカップリング剤やシリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカが更に好ましい。
前記流動性向上剤の粒径としては、平均一次粒径として、0.001〜2μmであることが好ましく、0.002〜0.2μmであることがより好ましい。
前記微粉末シリカは、ケイ素ハロゲン化含物の気相酸化により生成された微粉体であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。
ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成された市販のシリカ微粉体としては、例えば、AEROSIL(日本アエロジル社商品名、以下同じ)−130、−300、−380、−TT600、−MOX170、−MOX80、−COK84:Ca−O−SiL(CABOT社商品名)−M−5、−MS−7、−MS−75、−HS−5、−EH−5、Wacker HDK(WACKER−CHEMIEGMBH社商品名)−N20 V15、−N20E、−T30、−T40:D−CFineSi1ica(ダウコーニング社商品名):Franso1(Fransi1社商品名)、などが挙げられる。
更に、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。処理シリカ微粉体において、メタノール滴定試験によって測定された疎水化度が好ましくは30〜80%の値を示すようにシリカ微粉体を処理したものが特に好ましい。疎水化は、シリカ微粉体と反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物等で化学的あるいは物理的に処理することによって付与される。好ましい方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体を有機ケイ素化合物で処理する方法がよい。
有機ケイ素化合物としては、ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、n−ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルビニルクロロシラン、ジビニルクロロシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、へキサメチルジシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、アリルジメチルクロロシラン、アリルフェニルジクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、α−クロルエチルトリクロロシラン、β−クロロエチルトリクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、へキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフエニルテトラメチルジシロキサン及び1分子当り2から12個のシロキサン単位を有し、未端に位置する単位にそれぞれSiに結合した水酸基を0〜1個含有するジメチルポリシロキサン等がある。更に、ジメチルシリコーンオイルの如きシリコーンオイルが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
流動性向上剤の個数平均粒径としては、5〜100nmになるものが好ましく、5〜50nmになるものがより好ましい。
BET法で測定した窒素吸着による比表面積としては、30m/g以上が好ましく、60〜400m/gがより好ましい。
表面処理された微粉体としては、20m/g以上が好ましく、40〜300m/gがより好ましい。
これらの微粉体の適用量としては、トナー粒子100質量部に対して0.03〜8質量部が好ましい。
(クリーニング性向上剤)
記録紙等にトナーを転写した後、静電潜像担持体や一次転写媒体に残存するトナの除去性を向上させるためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合によって製造されたポリマー微粒子、などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
これらの流動性向上剤やクリーニング性向上剤等はトナーの表面に付着乃至は固定化させて用いられるため、外添剤とも呼ばれており、トナーに外添する方法としては各種の粉体混合機等が用いられる。例えば、V型混合機、ロッキングミキサー、レーディゲミキサー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、などが挙げられ、固定化も行う場合はハイブリタイザー、メカノフュージョン、Qミキサー等が挙げられる。
(二成分現像剤)
本発明のトナーは、トナーを一成分現像剤として使用したり、あるいはトナーとキャリアとを混合して二成分現像剤として使用してもよい。二成分現像剤として使用する場合、前記キャリアとしては、通常のフェライト、マグネタイト等のキャリアも樹脂コートキャリアも使用することができる。
前記樹脂コートキャリアは、キャリアコア粒子とキャリアコア粒子表面を被覆(コート)する樹脂である被覆材からなる。
該被覆材に使用する樹脂としては、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体等のスチレン−アクリル系樹脂、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体等のアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、アミノアクリレート樹脂が好適に挙げられる。この他にも、アイオモノマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等のキャリアの被覆(コート)材として使用できる樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、樹脂中に磁性粉が分散されたバインダー型のキャリアコアも用いることができる。
樹脂コートキャリアにおいて、キャリアコアの表面を少なくとも樹脂被覆剤で被覆する方法としては、樹脂を溶剤中に溶解若しくは懸濁せしめて塗布したキャリアコアに付着せしめる方法、あるいは単に粉体状態で混合する方法が適用できる。
前記樹脂コートキャリアに対する樹脂被覆材の割合としては、適宜決定すればよいが、樹脂コートキャリアに対し0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましい。
2種以上の混合物の被覆(コート)剤で磁性体を被覆する使用例としては、(1)酸化チタン微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物12質量部で処理したもの、(2)シリカ微粉体100質量部に対してジメチルジクロロシランとジメチルシリコンオイル(質量比1:5)の混合物20質量部で処理したものが挙げられる。
前記樹脂中、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物、シリコーン樹脂が好適に使用され、特にシリコーン樹脂が好ましい。
含フッ素樹脂とスチレン系共重合体との混合物としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンとスチレン−メタクリ酸メチル共重合体との混合物、ポリテトラフルオロエチレンとスチレン−メタクリル酸メチル共重合体との混合物、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合(共重合体質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体(共重合質量比10:90〜90:10)とスチレン−アクリル酸2−エチルヘキシル−メタクリル酸メチル共重合体(共重合体質量比20〜60:5〜30:10:50)との混合物が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、含窒素シリコーン樹脂及び含窒素シランカップリング剤と、シリコーン樹脂とが反応することにより生成された、変性シリコーン樹脂が挙げられる。
キャリアコアの磁性材料としては、例えば、フェライト、鉄過剰型フェライト、マグネタイト、γ−酸化鉄等の酸化物や、鉄、コバルト、ニッケルのような金属、又はこれらの合金を用いることができる。
また、これらの磁性材料に含まれる元素としては、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムが挙げられる。これらの中でも特に、銅、亜鉛、及び鉄成分を主成分とする銅−亜鉛−鉄系フェライト、マンガン、マグネシウム及び鉄成分を主成分とするマンガン−マグネシウム−鉄系フェライトが好適に挙げられる。
前記キャリアの抵抗値としては、キャリアの表面の凹凸度合い、被覆する樹脂の量を調整して10〜1010Ω・cmにするのがよい。
前記キャリアの粒径としては、4〜200μmのものが使用できるが、10〜150μmが好ましく、20〜100μmがより好ましい。特に、樹脂コートキャリアは、50%粒径が20〜70μmであることが好ましい。
二成分現像剤では、キャリア100質量部に対して、本発明のトナー1〜200質量部で使用することが好ましく、キャリア100質量部に対して、トナー2〜50質量部で使用するのがより好ましい。
本発明のトナーを用いた現像方法は、従来の電子写真法に使用する静電潜像担持体が全て使用できるが、例えば、有機静電潜像担持体、非晶質シリカ静電潜像担持体、セレン静電潜像担持体、酸化亜鉛静電潜像担持体、などが好適に使用可能である。
以下、実施例により本発明について、さらに詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されて解釈されるものではない。
下記実施例及び比較例において、「環化ゴムの環化率」、「樹脂のガラス転移温度(Tg)」、「樹脂の重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mn」、及び「ワックスの融点」は、以下のようにして測定を行った。
(環化ゴムの環化率)
環化ゴムの環化率は、H−NMR(日本電子(株)製、JOEL JNM400 FT NMR SYSTEM)を用いて測定した。環化反応前後のポリマーそれぞれの1wt%重クロロホルム溶液を、試料管(WILMAD社製、高精度NMR試料管)に入れ、環化反応前後におけるポリマー中の二重結合由来のプロトンのピーク面積をそれぞれ測定した。環化反応前の前記ピーク面積を(C0)、環化反応後の前記ピーク面積を(C1)とし、前記式(1)を用いて環化率を求めた。
(樹脂のガラス転移温度(Tg))
樹脂のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析装置(TA−60WS及びDSC−60、島津製作所製)を用いて測定した。試料10mgをアルミニウム製サンプルパンに計量し、窒素フロー(流量50mL/min)を行いながら、20℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、更に20℃まで降温速度10℃/minで降温した後、昇温速度10℃/minで20℃から200℃まで昇温した時のDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線から、吸熱ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度を求め、ガラス転移温度(Tg)とした。
(樹脂の重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mn)
樹脂の分子量分布はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー) 測定装置(東ソー(株)製、HLC−8220GPC)によって測定した。カラムにはTSK−GEL Hタイプ(東ソー(株)製)を使用した。40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてHFIP(ヘキサフルオロ−2−プロパノール)、若しくはTHF(テトラヒドロフラン)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6質量%に調製した樹脂の試料溶液を50〜200μl注入して測定した。ここで、環化ゴムの溶媒としてはHFIP、その他の樹脂の溶媒としてはTHFを使用した。重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mnの測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えばPressureChemical Co.、あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用いた。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
(ワックスの融点)
ワックスの融点は、示差走査熱量分析装置(TA−60WS及びDSC−60、島津製作所製)を用いて測定した。試料10mgをアルミニウム製サンプルパンに計量し、窒素フロー(流量50mL/min)を行いながら、20℃から200℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、更に20℃まで降温速度10℃/minで降温した後、昇温速度10℃/minで20℃から200℃まで昇温した時に測定されるワックスの吸熱ピークの最大ピークであるピークトップの温度をもってワックスの融点とした。
(環化ゴムAの製造例1)
窒素導入管、還流冷却管、攪拌器、及び温度計を備えた四つ口フラスコに、ポリイソプレン(重量平均分子量:Mw3.0×10、Mw/Mn比:2.1、シス−1,4構造86%、トランス−1,4構造7%、3,4構造7%)120質量部、トルエン1000質量部を仕込み、溶解した後、p−トルエンスルホン酸6質量部を投入し、窒素雰囲気下、85℃で2時間環化反応を行った。その後、炭酸ナトリウム10%溶液質量40部を投入し、1時間撹拌して環化反応を停止した。反応溶液を多量のメタノール溶液に投入して析出物を回収し、減圧乾燥を行って、環化ポリイソプレンAを得た。得られた環化ポリイソプレンAの物性を表1に示す。
(環化ゴムBの製造例2)
前記した環化ゴムの製造例1において、環化反応時間を4時間に変えた以外は環化ゴムの製造例1と同様にして、環化ポリイソプレンBを得た。得られた環化ポリイソプレンBの物性を表1に示す。
(環化ゴムCの製造例3)
環化ゴムの製造例1において、環化反応時間を6時間に変えた以外は環化ゴムの製造例1と同様にして、環化ポリイソプレンCを得た。得られた環化ポリイソプレンCの物性を表1に示す。
(環化ゴムDの製造例4)
環化ゴムの製造例1において、環化反応時間を8時間に変えた以外は環化ゴムの製造例1と同様にして、環化ポリイソプレンDを得た。得られた環化ポリイソプレンDの物性を表1に示す。
(環化ゴムEの製造例5)
環化ゴムの製造例1において、環化反応温度を75℃とし、反応時間を1時間に変えた以外は、環化ゴムの製造例1と同様にして、環化ポリイソプレンEを得た。得られた環化ポリイソプレンEの物性を表1に示した。
Figure 0005298733
(ポリエステル樹脂の製造例)
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び温度計を備えた四つ口フラスコに、テレフタル酸150質量部、ビスフェノールA(2,2)プロピレンオキサイド207質量部、ビスフェノールA(2,2)エチレンオキサイド127質量部、エステル化触媒としてジブチル錫オキシド2.5質量部を投入し、窒素雰囲気下、230℃で15時間縮重合反応させた後、230℃、8.0kPaにて1時間反応を行った。180℃まで冷却した後、無水トリメリット酸115質量部を投入し、210℃まで3時間かけて昇温を行い、常圧(101.3kPa)下、10時間反応させた後に、210℃、20kPaにて3時間反応を行って、ポリエステル樹脂A(Mw1.5×10、Mw/Mn4.6、Tg60℃)を合成した。
(マスターバッチの製造例)
下記の組成の環化ゴム、ポリエステル樹脂、を混合して、2本ロールにより混練した。先に、ロール温度を80℃とし、先にポリエステルを投入し、その後、ロール温度を130℃まで上げて、環化ゴムを投入した。さらに下記に示す処方のワックスを投入し、30分間分散して、マスターバッチ1を作製した。作成したマスターバッチを表2に示す。
[マスターバッチ1]
環化ゴムA 30質量部
ポリエステル樹脂A 63質量部
ワックスF 7質量部
上記したマスターバッチ1の処方と同様にし、ただしマスターバッチ1の処方中、ワックスを表2に示すワックスを用い、環化ゴムAおよびポリエステル樹脂を表3に示すものに代えてマスターバッチ2〜11のマスターバッチを作成した。作成した全てのマスターバッチ1〜11を表3に示す。
Figure 0005298733
Figure 0005298733
〔実施例1〕
−着色剤分散液の調製−
先ず、着色剤として、カーボンブラックの分散液を調製した。
カーボンブラック(Regal400;Cabot社製)20質量部、顔料分散剤2質量部を、酢酸エチル78質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用し、一次分散させた。該顔料分散剤として、アジスパーPB821(味の素ファインテクノ社製)を使用した。得られた一次分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、凝集体を完全に除去した二次分散液を調製した。更に、0.45μmの細孔を有するフィルター(PTFE製)に通過させ、サブミクロン領域まで分散させた[カーボンブラック分散液]を調製した。
−樹脂及びワックスを添加した分散液の調製−
撹拌羽と温度計をセットした容器に、結着樹脂として先のポリエステル樹脂の製造例で作成したポリエステル樹脂A 10質量部、パラフィンワックス(ワックスF:mp=81℃)10質量部、酢酸エチル80質量部を仕込み、85℃に加温して20分間撹拌し、その後、急冷してパラフィンワックスの微粒子を析出させた。この分散液を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力によりさらに細かく分散して[樹脂・ワックス分散液]を得た。
−樹脂および環化ゴム分散液の調整−
前記した[マスターバッチ1]20質量部を、酢酸エチル80質量部に、攪拌羽を有するミキサーを使用して溶解した。得られた液体を、ダイノーミルを用いて強力なせん断力により細かく分散し、ステンレス製400メッシュに通過させて、凝集体を完全に除去した二次分散液である[樹脂・環化ゴム分散液]を調製した。
−トナー組成液の調製−
[カーボンブラック分散液]30質量部、[樹脂・ワックス分散液] 70質量部、[樹脂・環化ゴム分散液] 490質量部を、攪拌羽を有するミキサーを使用し混合した。
得られたトナー組成液(トナー組成準備液)に、更に酢酸エチルを用いて固形分が6.0%になるよう希釈し、[トナー組成液]を調製した。
−トナーの作製−
得られた[トナー組成液]を、図11に示すトナー製造装置のリング型振動子のヘッドに供給した。
なお、使用した薄膜は、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径8μmの吐出孔(ノズル)を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、薄膜の中心から約5mmφの範囲にのみ設けた。圧電体としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を積層したものを使用し、振動周波数は100KHzとした。
分散液調製後、以下のようなトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
乾燥空気流量 :分散用窒素ガス 2.0L/分、装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
装置内温度 :27〜28℃
露点温度 :−20℃
ノズル振動数 :98kHz
乾燥固化した粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。さらに、この粒子に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0重量%をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて外添処理を行い、ブラックトナーa(単に「トナーa」ということがある)を得た。得られたトナーaの粒度を測定した。表5に示すように、重量平均粒径(D4)は5.3μmであり、Dv/Dnは1.02であり、非常にシャープな粒度分布であった。
なお、トナーの作成は連続して5時間行ったがノズルが詰まることは無かった。
−キャリアの作製−
シリコ−ン樹脂(オルガノストレ−トシリコ−ン): 100質量部
トルエン : 100質量部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン: 5質量部
カ−ボンブラック : 10質量部
上記混合物をホモミキサ−で20分間分散し、コ−ト層形成液を調整した。上記混合物をホモミキサ−で20分間分散し、コ−ト層形成液を調整した。このコ−ト層形成液を、流動床型コ−ティング装置を用いて、粒径50μmの球状マグネタイト1000質量部の表面にコ−ティングして磁性キャリアAを得た。
−二成分現像剤の作製−
トナーa 4質量部に対して上記磁性キャリアA 96質量部をボールミルで混合し、[二成分現像剤1]を作成し、コールドオフセット性、ホットオフセット性及びフィルミング性の評価を行った。評価結果を表5に示す。表5に示すように、二成分現像剤1は、コールドオフセット性、ホットオフセット性及びフィルミング性ともに良好であった。また表5に示す各特性の評価は、下記の評価方法に従って行った。これらの評価結果も表5に示す。
[評価方法]
<粒度分布>
本発明のトナーの重量平均粒径(D4)及び個数平均粒径(Dn)は、粒度測定器(「マルチサイザーIII」、ベックマンコールター社製)を用い、アパーチャー径100μmで測定し、解析ソフト(Beckman Coulter Mutisizer 3 Version3.51)にて解析を行った。具体的にはガラス製100mlビーカーに10wt%界面活性剤(アルキルベンゼンスルフォン酸塩ネオゲンSC−A;第一工業製薬製)を0.5ml添加し、各トナー0.5g添加しミクロスパーテルでかき混ぜ、次いでイオン交換水80mlを添加した。得られた分散液を超音波分散器(W−113MK−II本多電子社製)で10分間分散処理した。前記分散液を、前記マルチサイザーIIIを用い、測定用溶液としてアイソトンIII(ベックマンコールター製)を用いて測定を行った。測定は装置が示す濃度が8±2%になるように前記トナーサンプル分散液を滴下した。本測定法は粒径の測定再現性の点から前記濃度を8±2%にすることが重要である。この濃度範囲であれば粒径に誤差は生じない。チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とした。トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定後、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの重量平均粒径(D4)、個数平均粒径(Dn)を求めることができる。粒度分布の指標としては、トナーの重量平均粒径(D4)を個数平均粒径(Dn)で除したD4/Dnを用いる。完全に単分散であれば1となり、数値が大きいほど分布が広いことを意味する。
作成したトナーを、(株)リコー製複合機 ImagioNeoC285のBKユニットに搭載し、印字試験を行った。評価は次のように行った。
(定着性)
<低温定着性>
前記定着温度を調整可能なように改造した評価機を用いた。厚紙の転写紙(株式会社NBSリコー製、複写印刷用紙<135>)に、トナー付着量0.85±0.1mg/cmの単色ベタ画像を作成し、外部電源を用いて定着ベルトの温度を変化させて定着を行った。得られた定着画像表面を描画試験器(AD−401、上島製作所製)を用いて、ルビー針(先端半径260〜320μmR、先端角60度)、荷重50gで描画し、繊維(ハニコット#440、ハニロン社製)で描画表面を強く5回擦り、画像の削れが殆ど無くなる定着ベルト温度をもって定着下限温度とし、下記基準により低温定着性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:定着下限温度が110℃以下
○:定着下限温度が111℃以上120℃以下
△:定着下限温度が121℃以上135℃以下
×:定着下限温度が136℃以上140℃以下
××:定着下限温度が141℃以上
<耐ホットオフセット性>
前記評価機を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200)に、ブラックトナー付着量0.85±0.1mg/cmの単色ベタ画像を作成し、定着ローラ又はベルトの温度を変化させて定着試験を行い、ホットオフセットの有無を目視評価し、ホットオフセットが発生しない上限温度を定着上限温度とし、下記基準で耐ホットオフセット性を評価した。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から3.0cmの位置に作成した。また、各トナー4色の測定結果の内、最も悪い結果をそのトナーの評価値とした。
〔評価基準〕
◎:定着上限温度が220℃以上
○:定着上限温度が210℃以上220℃未満
△:定着上限温度が190℃以上210℃未満
×:定着上限温度が180℃以上190℃未満
××:定着上限温度が180℃未満
(定着離型性)
前記評価機を用い、普通紙の転写紙(株式会社リコー製、タイプ6200(縦目))にトナー付着量0.85±0.1mg/cmのベタ画像を作成し、定着ローラ又はベルトの温度を変化させて定着試験を行い、定着ニップ出口付近に定着紙と定着ベルトを分離させる為に配置された分離爪に、A4サイズの横方向に排紙された定着画像が接触することで発生する定着画像上の傷跡の程度を目視評価した。傷跡の程度は、ランク見本により5段階で評価され、傷跡若しくはジャムが全く発生しない上限温度を定着離型性の指標とした。なお、ベタ画像は転写紙上において、通紙方向先端から0.5cmの位置に作成した。
〔評価基準〕
◎:上限温度が200℃以上
○:上限温度が190℃以上200℃未満
△:上限温度が170℃以上190℃未満
×:上限温度が160℃以上170℃未満
××:上限温度が160℃未満
(キャリア汚染性)
キャリア汚染性は、トナーのキャリア汚染の指標となる特性であり、トナーの機械的強度が高い程、キャリア汚染が少ない。
評価法として、具体的には、上記評価機を用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と30,000枚ランニング出力した後の現像剤を抜き取り、現像剤を目開き32μmのメッシュが張られたゲージ内に適量入れ、エアブローを行い、トナーとキャリアを分離した。得られたキャリア1.0gを50mlガラス瓶に入れ、クロロホルム10mlを加えて、50回手振りして、10分間静置させた。その後、上澄みのクロロホルム溶液をガラスセルに入れ、濁度計を用いてクロロホルム溶液の透過率を測定し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:透過率が95%以上
○:透過率が90%以上94%以下
△:透過率が80%以上89%以下
×:透過率が70%以上79%以下
××:透過率が69%以下
(感光体フィルミング性)
前記評価機を用い、単色モードで50%画像面積の画像チャートを100枚ランニング出力した後と50,000枚ランニング出力した後に、感光体上のトナーフィルミング状態を目視評価を行った。出力画像の異常の有無も考慮し、以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全くなく、感光体上のトナーフィルミングはない。
○:画像異常が全くないが、感光体上にうっすらとトナーフィルミングが見られる。
△:若干の異常画像が見られ、感光体上にも明らかなトナーフィルミングが見られる。
×:明らかな画像異常が見られ、感光体上のトナーフィルミングがひどく、問題のあるレベル。
××:明らかな画像異常が見られ、感光体上のトナーフィルミングがひどく、正常な画像が得ることができない。
(初期画像品質)
初期の画像品質は、前記評価機を用いて、画像評価チャートをBK単色モードで出力し、階調性の不良、カブリ、画像濃度、及びカスレなどの有無について評価した。異常の有無、及び画質のランク評価を目視評価し以下の5段階に分けて判定した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:原画と比較するとごく僅かな色合い、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが、実用上問題なく良好である。
△:階調性不良、画像濃度、地肌部の汚れなどがやや感じられる。
×:階調性不良、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:階調性不良、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
(経時画像品質)
前記評価機を用い、BK単色モードで80%画像面積の画像チャートを50,000枚ランニング出力した後、前記初期画質評価と同様の評価を行い、初期画像との比較を行って、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
◎:画像異常が全く観察されず良好である。
○:初期画像と比較すると、ごく僅かな階調性変化、画像濃度、地肌部の汚れなどの違いが観察されるが通常温湿度の環境下では問題無いレベルである。
△:初期画像と比較すると、階調性、画像濃度、地肌部の汚れなどにやや変化が感じられる。
×:初期画像と比較すると、階調性変化、濃度変化、地肌部の汚れなどが明らかで問題となる。
××:初期画像と比較すると、階調性変化、濃度変化、地肌部の汚れなどがひどく、正常な画像が得ることができない。
〔実施例2〕
実施例1で得られたトナー組成液を、図1に示したホーン型振動子のヘッドに供給した。
使用したノズルプレートは、外径8.0mmで厚み20μmのニッケル板に、真円形状の直径10μmの吐出孔を、電鋳法による加工で作製した。吐出孔は各吐出孔間の距離が100μmとなるように千鳥格子状に、ノズルプレート中心の約5mmφの範囲にのみ設けた。この場合の有効吐出孔数は約1000個となる。
分散液調製後、以下のようなトナー作製条件で、液滴を吐出させた後、該液滴を乾燥固化することにより、トナー母体粒子を作製した。
〔トナー作製条件〕
乾燥空気流量 :分散用窒素ガス 2.0L/分、装置内乾燥窒素ガス 30.0L/分
乾燥入口温度 :60℃
乾燥出口温度 :45℃
露点温度 :−20℃
駆動振動数 :180kHz
乾燥固化した粒子は、1μmの細孔を有するフィルターで吸引捕集した。さらに、この粒子に対して、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)1.0質量%をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて外添処理を行い、ブラックトナーを得た。
このトナーの粒度を測定した結果を表2に示したが、重量平均粒径(D4)は5.3μmであり、Dv/Dnは1.02であり、非常にシャープな粒度分布であった。
実施例1と同様のキャリアを用いて現像剤を作成し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
〔実施例3〜7および比較例1〜5〕
以下、実施例2同様にして下表4の材料を用いて、トナーを作成した。同様に評価を行った結果を表4に併記する。
Figure 0005298733
本発明のトナーは、優れた単一分散性を有しており、高解像度で、高精細・高品質で、長期にわたって劣化のない画像を形成することができ、低温定着性および耐オフセット性に優れるので、電子写真、静電記録、静電印刷等に於ける静電荷像を現像する為の現像剤に好適に使用することができる。
本発明のトナーの製造に係る機械的縦振動手段を設けたトナー製造装置の一例の模式的構成図である。 図1における液滴噴射ユニットの概略断面図である。 図2の液滴噴射ユニットの要部底面説明図である。 ステップ型のホーン型振動子の例を示す説明図である。 エクスポネンシャル型のホーン型振動子の例を示す説明図である。 コニカル型のホーン型振動子の例を示す説明図である。 液滴噴射ユニットの他の例の模式的断面説明図である。 液滴噴射ユニットの他の例の模式的断面説明図である。 液滴噴射ユニットの他の例の模式的断面説明図である。 図9の液滴噴射ユニットを複数設ける場合の説明図である。 本発明の円環状機械的振動手段を設けたトナー製造装置の一例の模式的構成図である。 図11における液滴噴射ユニットの概略断面図である。 図12の液滴噴射ユニットの要部底面説明図である。 本発明の液滴化手段の概略断面説明図である。 液滴化手段の比較構成例の概略断面説明図である。 図12における液滴噴射ユニットを複数個配置した例である。 薄膜の振動を説明するための図である。 機械的振動手段により発生する薄膜の基本振動の、変位ΔLとノズル配置領域の関係を示すグラフである。 機械的振動手段により発生する薄膜の高次のモードの振動の、変位ΔLとノズル配置領域の関係を示すグラフである。 機械的振動手段により発生する薄膜の高次のモードの振動の、変位ΔLとノズル配置領域の関係を示すグラフである。 中心部が凸形状を有する薄膜の例を示す概略断面説明図である。
符号の説明
1 トナー製造装置
2 液滴噴射ユニット
3 粒子形成部
4 トナー捕集部
5 チューブ
6 トナー貯留部
7 原料収容部
8、8A 配管
9 ポンプ
10 トナー組成液
11 ノズル
12 薄膜
13、80、90 振動手段
13a 振動面
14 貯留部
15 流路部材
16 液滴化手段
16A 変形可能領域
17 振動発生手段
18 液供給チューブ
19 気泡排出チューブ
21 振動発生手段
21A、81、91A、91B 圧電体
21a、21b 電極
22 振動増幅手段
22A、82、92A、92B ホーン
23 駆動信号発生源
24 通信手段(リード線)
35 気流
36 気流路形成部材
37 気流路
83 固定部

Claims (10)

  1. 少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を有するトナー組成物を有機溶媒に溶解乃至分散させたトナー組成液を、気相中で液滴化させた後に固化させて得られるトナーであって、
    前記トナー組成液は、離型剤およびポリエステル樹脂を含有する分散液1と、環化率が50〜75%の環化ゴム、融点が50〜85℃である離型剤およびポリエステル樹脂を含有する分散液2とを混合したものを含んでなることを特徴とするトナー。
  2. 前記液滴化は、吐出孔を有する薄膜を振動させ、前記トナー組成液を前記吐出孔から連続的に吐出させて行うことを特徴とする請求項1に記載のトナー。
  3. 前記液滴化は、前記トナー組成液を貯留する貯留部に設けた複数の吐出孔が形成された薄膜を振動手段によって振動させて前記吐出孔の各々から、前記トナー組成液を周期的に放出させて行うことを特徴とする請求項1または2に記載のトナー。
  4. 前記振動手段は、前記薄膜吐出孔を設けた周囲の領域に円環状に形成された振動発生手段であることを特徴とする請求項3記載のトナー。
  5. 前記振動手段は、前記薄膜に対して平行な振動面を有し、該振動面が垂直方向に縦振動する振動手段であることを特徴とする請求項3記載のトナー。
  6. 前記振動手段の振動周波数が20kHz以上2.0MHz未満であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のトナー。
  7. 前記振動手段がホーン型振動子であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載のトナー。
  8. 前記吐出孔の開口径が1〜40μmであることを特徴とする請求項2〜のいずれかに記載のトナー。
  9. 前記液滴化させた後の固化は、前記液滴化させたトナー組成液から溶媒を除去することによって行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のトナー。
  10. 請求項19のいずれかに記載のトナーとキャリアを含むことを特徴とする現像剤。
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